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技術 ステアリング支持構造

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 斉藤孝信
出願日 2018年9月14日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-172105
公開日 2020年3月26日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-044857
状態 未査定
技術分野 車両用車体構造
主要キーワード 二又形状 目的条件 荷重振幅 静解析 幾何学特性 静的剛性 形状最適化 最適化解析
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (19)

課題

振動特性が適正化されるとともに動的剛性の向上と軽量化を実現するステアリング支持構造を提供する。

解決手段

本発明に係るステアリング支持構造1は、ステアリングハンドル21を支持するものであって、車体幅方向に延在して両端部が車体11のAピラー13に接続され、ステアリングハンドル21が取り付けられるステアリングビーム23と、ステアリングビーム23を車体11に取り付ける取付部品として、一端側がダッシュボード15に接続し、他端側がステアリングビーム23に接続するブラケット3と、ステアリングビーム23の両端部をAピラー13に接続する接続部5と、一端側が車体11のフロア部17に接続し、他端側がステアリングビーム23に接続するステイ部7とを有し、ブラケット3は、前記他端側がステアリングビーム23の外周面のうち車体前方側の半周以上に接触していることを特徴とするものである。

概要

背景

自動車ステアリングハンドルを支持するステアリング支持構造に関して、これまでに様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、車両幅方向に延在するインパネリインフォースに取り付けられてステアリングコラムを支持するステアリング支持ブラケットとして、アッパブラケットロアブラケットとからなるステアリング支持構造が開示されている。
また、特許文献2には、車幅方向へ延びるステアリング支持部材本体と、該ステアリング支持部材本体の両端部を車体に固定するためのサイドブラケットとを有するステアリング支持部材によりステアリングコラムを支持するステアリング支持部材構造が開示されている。

概要

振動特性が適正化されるとともに動的剛性の向上と軽量化を実現するステアリング支持構造を提供する。本発明に係るステアリング支持構造1は、ステアリングハンドル21を支持するものであって、車体幅方向に延在して両端部が車体11のAピラー13に接続され、ステアリングハンドル21が取り付けられるステアリングビーム23と、ステアリングビーム23を車体11に取り付ける取付部品として、一端側がダッシュボード15に接続し、他端側がステアリングビーム23に接続するブラケット3と、ステアリングビーム23の両端部をAピラー13に接続する接続部5と、一端側が車体11のフロア部17に接続し、他端側がステアリングビーム23に接続するステイ部7とを有し、ブラケット3は、前記他端側がステアリングビーム23の外周面のうち車体前方側の半周以上に接触していることを特徴とするものである。

目的

したがって、ステアリングハンドルを支持するステアリング支持構造においても、振動特性が適正化されるとともに、動的剛性の向上と軽量化が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ステアリングハンドルを支持するステアリング支持構造であって、車体幅方向に延在して両端部が車体のAピラーに接続し、前記ステアリングハンドルが取り付けられるステアリングビームと、該ステアリングビームを前記車体に取り付ける取付部品を備え、該取付部品は、一端側が前記ステアリングビームよりも車体前方側における前記車体に接続して他端側が前記ステアリングビームに接続するブラケットと、前記ステアリングビームの両端部を前記Aピラーに接続する接続部と、一端側が前記車体のフロア部に接続し、他端側が前記ステアリングビームに接続するステイ部と、を有し、前記ブラケットは、前記他端側が前記ステアリングビームの外周面のうち車体前方側の半周以上に接触していることを特徴とするステアリング支持構造。

請求項2

ステアリングハンドルを支持するステアリング支持構造であって、車体幅方向に延在して両端部が車体のAピラーに接続し、前記ステアリングハンドルが取り付けられるステアリングビームと、該ステアリングビームを前記車体に取り付ける取付部品を備え、該取付部品は、一端側が前記ステアリングビームよりも車体前方側における前記車体に接続して他端側が前記ステアリングビームに接続するブラケットと、前記ステアリングビームの両端部を前記Aピラーに接続する接続部と、一端側が前記車体のフロア部に接続し、他端側が前記ステアリングビームに接続するステイ部と、を有し、前記接続部は、前記ステアリングビームの端部を軸周りの3方向から支持することを特徴とするステアリング支持構造。

請求項3

ステアリングハンドルを支持するステアリング支持構造であって、車体幅方向に延在して両端部が車体のAピラーに接続し、前記ステアリングハンドルが取り付けられるステアリングビームと、該ステアリングビームを前記車体に取り付ける取付部品を備え、該取付部品は、一端側が前記ステアリングビームよりも車体前方側における前記車体に接続して他端側が前記ステアリングビームに接続するブラケットと、前記ステアリングビームの両端部を前記Aピラーに接続する接続部と、一端側が前記車体のフロア部に接続し、他端側が前記ステアリングビームに接続するステイ部と、を有し、該ステイ部は、前記他端側の先端に二又形状部を有し、該二又形状部が前記ステアリングビームの外周面のうち車体下方側の半周以上に接触していることを特徴とするステアリング支持構造。

請求項4

前記接続部は、前記ステアリングビームの端部を軸周りの3方向から支持することを特徴とする請求項1に記載のステアリング支持構造。

請求項5

前記ステイ部は、前記他端側の先端に二又形状部を有し、該二又形状部が前記ステアリングビームの外周面のうち車体下方側の半周以上に接触していることを特徴とする請求項1、2又は4に記載のステアリング支持構造。

技術分野

0001

本発明は、自動車ステアリングハンドルを支持するステアリング支持構造に関し、特に、ステアリングハンドルの振動特性が適正化されるとともに動的剛性の向上と軽量化を実現するステアリング支持構造に関する。

背景技術

0002

自動車のステアリングハンドルを支持するステアリング支持構造に関して、これまでに様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、車両幅方向に延在するインパネリインフォースに取り付けられてステアリングコラムを支持するステアリング支持ブラケットとして、アッパブラケットロアブラケットとからなるステアリング支持構造が開示されている。
また、特許文献2には、車幅方向へ延びるステアリング支持部材本体と、該ステアリング支持部材本体の両端部を車体に固定するためのサイドブラケットとを有するステアリング支持部材によりステアリングコラムを支持するステアリング支持部材構造が開示されている。

先行技術

0003

特開2018−62235号公報
WO2016/152793号公報

発明が解決しようとする課題

0004

自動車のステアリングハンドルにおいては、人(運転者)が体感することができない振動数にすることや、自動車における振動源(例えばエンジン等)から発する振動共振しない振動数にする等のように振動特性を適正化することに加え、ステアリング支持構造の動的剛性(しっかり感)の向上と軽量化が要求される。

0005

一般に、構造体の動的剛性は、加振点からの荷重の入力により構造体の形状が周期的に変化する場合においては、その振動特性が関係するとされている。例えば図18に示すような1自由度系の振動の場合における動的剛性は、剛性K(多自由度系の振動の場合は剛性マトリクスに相当)と質量Mとを用いてω=(K/M)0.5で表される振動数により評価され、剛性Kを向上することで振動数ωが増加すれば、動的剛性は向上するとされている。

0006

しかしながら、構造体の剛性Kが増加しても質量Mが増加すれば振動数ωが増加しない場合もあり、このような場合には動的剛性は向上しないことになる。そのため、構造体の動的剛性を向上するためは、構造体を軽量化して剛性を向上することが有効である。
したがって、ステアリングハンドルを支持するステアリング支持構造においても、振動特性が適正化されるとともに、動的剛性の向上と軽量化が望まれていた。

0007

特許文献1に開示されている技術は、アッパブラケットとロアブラケットとを締結具締結したときの組付け歪みを低減するものであった。また、特許文献2に開示されている技術は、ステアリング支持部材でステアリングコラムをその重心位置で固定することにより、従来の高剛性化により重量増をきたしていたステアリング支持部材について、必要な範囲で捩じれや撓みなどに対する剛性を小さくし、ステアリング支持部材の軽量化を図るものであった。しかしながら、これらの技術は、振動するステアリングハンドルの振動特性の適正化と動的剛性に資するものではなかった。

0008

本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、振動するステアリングハンドルの振動特性が適正化されるとともに、動的剛性の向上と軽量化の両立を実現したステアリング支持構造を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

(1)本発明に係るステアリング支持構造は、ステアリングハンドルを支持するものであって、車体幅方向に延在して両端部が車体のAピラーに接続し、前記ステアリングハンドルが取り付けられるステアリングビームと、該ステアリングビームを前記車体に取り付ける取付部品を備え、該取付部品は、一端側が前記ステアリングビームよりも車体前方側における前記車体に接続して他端側が前記ステアリングビームに接続するブラケットと、前記ステアリングビームの両端部を前記Aピラーに接続する接続部と、一端側が前記車体のフロア部に接続し、他端側が前記ステアリングビームに接続するステイ部と、を有し、前記ブラケットは、前記他端側が前記ステアリングビームの外周面のうち車体前方側の半周以上に接触していることを特徴とするものである。

0010

(2)本発明に係るステアリング支持構造は、ステアリングハンドルを支持するものであって、車体幅方向に延在して両端部が車体のAピラーに接続し、前記ステアリングハンドルが取り付けられるステアリングビームと、該ステアリングビームを前記車体に取り付ける取付部品を備え、該取付部品は、一端側が前記ステアリングビームよりも車体前方側における前記車体に接続して他端側が前記ステアリングビームに接続するブラケットと、前記ステアリングビームの両端部を前記Aピラーに接続する接続部と、一端側が前記車体のフロア部に接続し、他端側が前記ステアリングビームに接続するステイ部と、を有し、前記接続部は、前記ステアリングビームの端部を軸周りの3方向から支持することを特徴とするものである。

0011

(3)本発明に係るステアリング支持構造は、ステアリングハンドルを支持するものであって、車体幅方向に延在して両端部が車体のAピラーに接続し、前記ステアリングハンドルが取り付けられるステアリングビームと、該ステアリングビームを前記車体に取り付ける取付部品を備え、該取付部品は、一端側が前記ステアリングビームよりも車体前方側における前記車体に接続して他端側が前記ステアリングビームに接続するブラケットと、前記ステアリングビームの両端部を前記Aピラーに接続する接続部と、一端側が前記車体のフロア部に接続し、他端側が前記ステアリングビームに接続するステイ部と、を有し、該ステイ部は、前記他端側の先端に二又形状部を有し、該二又形状部が前記ステアリングビームの外周面のうち車体下方側の半周以上に接触していることを特徴とするものである。

0012

(4)上記(1)に記載のものにおいて、前記接続部は、前記ステアリングビームの端部を軸周りの3方向から支持することを特徴とするものである。

0013

(5)上記(1)、(2)又は(4)に記載のものにおいて、前記ステイ部は、前記他端側の先端に二又形状部を有し、該二又形状部が前記ステアリングビームの外周面のうち車体下方側の半周以上に接触していることを特徴とするものである。

発明の効果

0014

本発明においては、ステアリングハンドルを支持するものであって、車体幅方向に延在して両端部が車体のAピラーに接続し、前記ステアリングハンドルが取り付けられるステアリングビームと、該ステアリングビームを前記車体に取り付ける取付部品を備え、該取付部品は、一端側が前記ステアリングビームよりも車体前方側における前記車体に接続し、他端側が前記ステアリングビームに接続するブラケットと、前記ステアリングビームの両端部を前記Aピラーに接続する接続部と、一端側が前記車体のフロア部に接続し、他端側が前記ステアリングビームに接続するステイ部と、を有し、前記ブラケットは、前記他端側が前記ステアリングビームの外周面のうち車体前方側の半周以上に接触していることにより、ステアリングハンドルの振動特性が適正化されるとともに、動的剛性の向上と軽量化の両立を実現することができる。

図面の簡単な説明

0015

本発明の実施の形態に係るステアリング支持構造を説明する図である((a)全体図、(b)ブラケットの拡大図)。
本発明の実施の形態に係るステアリング支持構造の接続部を示す図である。
本発明の実施の形態に係るステアリング支持構造のステイ部を示す図である。
本発明で対象とするステアリング支持構造を説明する図である。
本発明で対象とするステアリング支持構造において、ステアリングビームを車体に取り付けるブラケットの従来の元形状を説明する図である。
本発明で対象とするステアリング支持構造において、ステアリングビームを車体に取り付ける接続部の従来の元形状を説明する図である。
本発明で対象とするステアリング支持構造において、ステアリングビームを車体に取り付けるステイ部の従来の元形状を説明する図である。
本発明に至った経緯の説明において、形状最適化解析方法の処理の流れを示す図である。
本発明に至った経緯の説明において、ステアリングハンドルの周波数応答解析により求められるステアリングハンドルの周波数応答の結果の一例を説明する図である。
本発明に至った経緯の説明において、振動解析における加振条件と、該振動解析の解析結果に基づいて求めた荷重条件とを説明する図である。
本発明に至った経緯の説明において、感度解析により部品又は部材の感度を示す材料密度コンター図の一例である。
本発明に至った経緯の説明において、最適化の対象とするブラケットについて設定した設計空間と、形状最適化解析により求められたブラケットの最適形状の一例を示す図である。
本発明に至った経緯の説明において、最適化の対象とする接続部について設定した設計空間と、形状最適化解析により求められた接続部の最適形状の一例を示す図である。
本発明に至った経緯の説明において、最適化の対象とするステイ部について設定した設計空間と、形状最適化解析により求められたステイ部の最適形状の一例を示す図である。
本発明の実施例において、ステアリングハンドル面のY方向にステアリングハンドルを加振する周波数応答解析により求められた周波数応答におけるピーク周波数を示すグラフである。
本発明の実施例において、ステアリングハンドル面のZ方向にステアリングハンドルを加振する周波数応答解析により求められた周波数応答におけるピーク周波数を示すグラフである。
本発明の実施例で比較対象としたステアリング支持構造において、従来の板厚を増加した部品とその板厚増加量を示す図である。
構造体の静的剛性と動的剛性を説明する図である。

0016

本発明の実施の形態に係るステアリング支持構造の説明をするに先立ち、本発明で対象とする車体と、本発明に至った経緯を説明する。

0017

<車体>
本実施の形態に係る車体11は、図4図7に示すように、Aピラー13、ダッシュボード15及びフロア部17に設けられたトンネル部19等の車体骨格部品と、振動特性の適正化の対象とするステアリングハンドル21と、ステアリングハンドル21を支持するステアリング支持構造30を備えてなるものであり、ステアリング支持構造30は、ステアリングハンドル21が取り付けられるステアリングビーム23と、ステアリングビーム23を車体11に取り付ける取付部品であるブラケット25、接続部27及びステイ部29を有して構成されたものである。

0018

ステアリングハンドル21は、加振されて振動する部品であり、本実施の形態においては、図4に示すように、ステアリングハンドル21のステアリング面(ステアリングハンドル21の回転中心軸に直交する面)における左右方向(図4中のY軸方向)と上下方向(図4中のZ軸方向)に振動するものである。

0019

ステアリングビーム23と、ブラケット25、接続部27及びステイ部29は、ステアリングハンドル21を直接的又は間接的に支持する部品であり、ステアリングハンドル21を加振したときの振動が伝達する経路にあるものである。

0020

ステアリングビーム23は、図4に示すように、車体幅方向に延在し、両端部が車体11のAピラー13に固定されている。

0021

ブラケット25は、図5に示すように、一端側がステアリングハンドル21よりも車体前方側のダッシュボード15に固定され、他端側がステアリングビーム23に接続されている。
接続部27は、図6に示すように、ステアリングビーム23の両端部とAピラー13とを接続して固定するものである。
ステイ部29は、図7に示すように、下端側が車体11のフロア部17にあるトンネル部19に接続して固定され、上端側がステアリングビーム23に接続されている。

0022

図5図7に示すブラケット25、接続部27及びステイ部29は、後述する形状最適化をする前の元形状のものである。ここで、ブラケット25、接続部27及びステイ部29の元形状は、従来から一般的に用いられている代表的な形状である。

0023

ブラケット25の元形状は、ステアリングビーム23を上方から吊って支持する形状のもの、接続部27の元形状は、ステアリングビーム23の端部を軸周りの2方向から挟み込む形状のもの、ステイ部29の元形状は、他端側の先端部29aがステアリングビーム23の外周面の後方に接触して沿うような湾曲面状の形状のものである。

0024

<本発明に至った経緯>
本発明者はこれまで、車体に要求される剛性等の性能を保持しつつ車体の軽量化を実現する手法として、例えば特開2013−25533号に開示されている形状最適化解析方法を提案した。

0025

形状最適化解析方法とは、予め所定形状、例えばT字型形状を想定し、その形状を前提として最適な形状を求めるのではなく、所定の形状を想定することなく、与えられた解析条件を満たす最適な形状をトポロジー最適化等により求めるものである。

0026

また、トポロジー最適化とは、ある程度の大きさの設計空間を設け、当該設計空間に立体要素を組み込み、与えられた解析条件を満たしつつ必要最小限の立体要素を残すことで当該解析条件を満たす最適形状を得るという方法である。トポロジー最適化においては、設計空間をなす立体要素に直接拘束を行い、直接荷重を加えるという方法が用いられる。

0027

そこで本発明者は、図4に示すような車体11において、ステアリングハンドル21を加振したときの振動特性の適正化を図ることを目的として、ステアリングハンドル21の振動が伝達する経路にある部品又は部材を解析対象として形状最適化解析を行い、その最適形状に関する予備的検討を行った。ここで、形状最適化解析は、図8に示すステップS1からステップS13を実行することにより行った。以下、図8に示す各ステップにおける処理について説明する。なお、ステップS1からステップS13は、コンピュータ上で実行することができる。

0028

≪振動解析ステップ≫
振動解析ステップS1は、車体11におけるステアリングハンドル21に所定の加振条件を与えて振動解析を行い、ステアリングハンドル21の最大変位を求めるものである。

0029

振動解析ステップS1は、振動解析の一手法である周波数応答解析を用いることができる。周波数応答解析とは、構造体に定常的に正弦波荷重が作用した場合の応答を求めるものである。

0030

振動解析ステップS1における周波数応答解析では、ステアリングハンドル21に与える加振条件として、複数の正弦波周波数各正弦波周波数における荷重振幅を与える。ここでは、図4に示すように、ステアリングハンドル21をステアリング面におけるY方向とZ方向のそれぞれに振動させるように加振条件(Y加振、及びZ加振)を与えた。

0031

図9に、周波数応答解析の結果の一例を示す。図9において、横軸は、振動の周波数、縦軸は、各周波数の加速度振幅である。
このように、周波数応答解析の結果から、各周波数の正弦波の変位を足し合せてステアリングハンドル21の変位の時間応答を求め、該求めた時間応答における最大変位を加振条件ごとに求めることができる。

0032

≪最大変位荷重取得ステップ≫
最大変位荷重取得ステップS3は、振動解析ステップS1において求めたステアリングハンドル21の最大変位と同じ変位をステアリングハンドル21に与えるのに要する荷重を求めるものである。

0033

前述のように、Y加振とZ加振のそれぞれについて周波数応答解析を行った場合、Y方向及びZ方向それぞれの最大変位を取得し、図10に示すように、Y加振とZ加振それぞれに対する荷重(Y荷重及びZ荷重)を求めればよい。

0034

≪感度解析ステップ≫
感度解析ステップS5は、最大変位荷重取得ステップS3において求めた荷重を荷重条件として与えて車体11の感度解析を行い、最適化の対象とする部品又は部材を特定するものである。

0035

感度解析とは、材料特性幾何学特性境界条件等のパラメータを変更することにより、解析対象とする構造体(例えば、車体11)の構造的応答がどのような影響を受けるかを推定するものである。そのため、感度解析ステップS5は、後述する最適化解析ステップS13における最適化解析の設計変数を材料特性に係るパラメータとし、最適化解析の目標関数の感度を構造的応答に対する影響として求めるものとする。

0036

例えば、最適化解析ステップS13における最適化解析にトポロジー最適化を適用し、該トポロジー最適化において密度法を用いる場合、設計空間を設定せず、車体の部品又は部材をモデル化する要素(平面要素及び/立体要素)の材料密度を設計変数とし、目標関数である車体11のひずみエネルギー総和の最小化を目的条件としてトポロジー最適化を行うことにより、要素の材料密度が求められる。このようにして求められた材料密度は、車体11の剛性に対する感度を表す指標となる。

0037

図11に、ステアリングハンドル21の振動が伝達する経路にある部品であるステアリングビーム23、ブラケット25、接続部27及びステイ部29について感度解析を行った結果の一例を示す。

0038

図11は、感度解析において剛性に対する感度を表す材料密度の値をコンター表示したものであり、材料密度の値が1.0に近いほど性能に対する感度が大きく、材料密度の値が0に近いほど性能に対する感度が小さいことを意味する。これより、ブラケット25、接続部27及びステイ部29の感度が高いために、これらを最適化の対象として特定することができる。

0039

≪設計空間設定ステップ≫
設計空間設定ステップS7は、感度解析ステップS5において最適化の対象として特定された部品に対して設計空間を設定するものである。
図12(a)に、ブラケット25に対して設定した設計空間31を、図13(a)に、接続部27に対して設定した設計空間33を、図14(a)に、ステイ部29に対して設定した設計空間35を例示する。

0040

最適化ブロックモデル生成ステップ≫
最適化ブロックモデル生成ステップS9は、設計空間設定ステップS7において設定した設計空間に、立体要素からなる最適化ブロックモデルを生成するものである。

0041

最適化ブロックモデル生成ステップS9において生成する最適化ブロックモデルは、後述する最適化解析ステップS13における最適化解析の対象となるものであり、最適化解析の過程において剛性向上に対する寄与が低い部位に位置する立体要素が消去され、剛性向上に対する寄与が大きい部位に位置する立体要素が残存する。

0042

結合処理ステップ≫
結合処理ステップS11は、最適化ブロックモデル生成ステップS9において生成した最適化ブロックモデルを、車体に結合し、最適化解析モデルを生成するものである。
最適化ブロックモデルと車体との結合は、剛体要素を用いるもの、あるいは、節点共有させるもの、のいずれであってもよい。

0043

≪最適化解析ステップ≫
最適化解析ステップS13は、結合処理ステップS11において生成した最適化解析モデルに、最大変位荷重取得ステップS3において求めた荷重を荷重条件として与え、加振により車体の一部に生じる慣性力を考慮して最適化ブロックモデルを最適化の対象として最適化解析を行い、該最適化ブロックモデルの最適な形状を求めるものである。

0044

また、最適化解析ステップS13においては、最適化解析における最適化解析条件として、最適化解析の目的に応じて設定する目的条件と、最適化解析を行う上で課す制約条件とを与える。

0045

本発明は、ステアリングハンドルの振動数を増加することで振動特性を適正化することを目的とするものであるため、最適化解析においては、剛性の向上と軽量化が得られる目的条件と制約条件とを与えればよい。
そこで、目的条件としては、例えば、最適化解析モデルにおけるひずみエネルギー総和の最小化、変位の最小化、体積の最小化、質量の最小化などを与える。
また、制約条件としては、最適化解析の対象となる最適化ブロックモデルの体積制約率、任意の節点の変位量応力などを与える。

0046

さらに、最適化解析ステップS13においては、加振により車体の一部に生じる慣性力を慣性リリーフ法により考慮する。ここでは、慣性リリーフ法とは、慣性力の座標の基準となる支持点において物体が支持された状態(自由支持状態)で等加速度運動中の物体に作用する力から応力やひずみを求める解析手法であり、運動中の飛行機静解析に使用されている。

0047

本実施の形態では、該加振によるステアリングハンドル21の振動の最大変位と同じ変位を与える荷重を与えて最適化解析において慣性リリーフ法を適用することで、ステアリングハンドル21を加振したときの慣性力を考慮することができる。

0048

なお、最適化解析ステップS13における最適化解析には、例えば、トポロジー最適化を適用することができる。トポロジー最適化において密度法を用いる際に中間的な密度が多い場合には、下式で表すように最適化パラメータとしてペナルティ係数を与えて離散化することが好ましい。

0049

0050

離散化によく用いられるペナルティ係数は2以上であり、ペナルティ係数の値は適宜設定することができる。

0051

図12(b)に、上記のステップS1からステップS13を実行して得られたブラケット25の最適形状41を示す。最適形状41は、最適化解析条件として、目的条件にはひずみエネルギー総和最小を与え、制約条件には体積制約率20%以下を与えた場合のものである。

0052

本発明者は、形状最適化解析により得られたブラケット25の最適形状41について検討をすすめた結果、最適形状41は、一端がダッシュボード15に接続し、他端側が車体前方側からステアリングビーム23の外周面を包み込むような形状であり、さらには、ステアリングビーム23の外周面のうち少なくとも車体前方側の半周以上に接触するものであれば良いことを見い出した。

0053

さらに、本発明者は、ステアリングビーム23を車体に取り付ける接続部27とステイ部29についても、上記のブラケット25と同様に最適化解析を行った。
図13(b)に、接続部27の最適形状43を、図14(b)に、ステイ部29の最適形状45を示す。最適形状43及び最適形状45は、ブラケット25の最適形状41と同様、最適化解析条件として、目的条件にはひずみエネルギー総和最小を与え、制約条件には体積制約率20%以下を与えた場合のものである。

0054

これらの最適形状について検討した結果、以下の知見が得られた。
まず、接続部27の最適形状43は、ステアリングビーム23の端部を軸周りの3方向から支持するようにAピラー13に接続して取り付ける形状であることを見い出した。

0055

一方、ステイ部29の最適形状45は、ステアリングビーム23に接続する他端側が車体下方側からステアリングビーム23の外周面を包み込む形状であり、さらには、ステアリングビーム23の外周面のうち少なくとも車体下方側の半周以上に接触するものであれば良いことを見い出した。

0056

本発明に係るステアリング支持構造は、上記の検討により完成したものであり、その具体的な構成等を以下に説明する。

0057

<ステアリング支持構造>
本発明の実施の形態に係るステアリング支持構造について説明する。
本実施の形態に係るステアリング支持構造1は、図1(a)に示すように、車体幅方向に延在して両端部が車体11のAピラー13に接続され、ステアリングハンドル21が取り付けられるステアリングビーム23と、ステアリングビーム23を車体11に取り付ける取付部品とを備え、取付部品は、ブラケット3と、接続部5と、ステイ部7と、を有するものである。

0058

<ブラケット>
ブラケット3は、図1(b)に示すように、一端側がステアリングビーム23よりも車体前方側における車体11の一部位であるダッシュボード15に接続し、他端側がステアリングビーム23に接続するものであり、他端側がステアリングビーム23の外周面のうち車体前方側の半周以上に接触している。

0059

<接続部>
接続部5は、図2に示すように、ステアリングビーム23の両端部をAピラー13に接続するものであり、ステアリングビーム23の端部を軸周りの3方向から支持している。

0060

<ステイ部>
ステイ部7は、図3に示すように、一端側が車体11のフロア部17にあるトンネル部19に接続し、他端側がステアリングビーム23に接続するものであり、他端側の先端に二又形状部7aを有し、二又形状部7aがステアリングビーム23の外周面のうち車体下方側の半周以上に接触している。

0061

このように、本実施の形態に係るステアリング支持構造においては、ステアリングビームを車体に取り付ける取付部品であるブラケットと接続部とステイ部の形状が最適化解析により求めた各取付部品の最適形状に基づいて規定されているため、剛性の向上と軽量化の双方が実現されたものである。そして、前述した振動数と剛性及び質量との式によれば、剛性の向上と軽量化により振動数は増加する関係にある。よって、本発明に係るステアリング支持構造によれば、ステアリングハンドルの振動数が増加して振動特性が適正化されるとともに、動的剛性の向上と軽量化の両立を実現することができる。
なお、本発明に係るステアリング支持構造において振動特性が適正化されることについては、後述する実施例において実証する。

0062

さらに、上記の説明は、ブラケット3と接続部5とステイ部7の3つを全て備えたステアリング支持構造についてのものであったが、本発明はこれに限られるものではなく、ブラケット3と接続部5とステイ部7のいずれか一つ又は二つを備え、他のものは従来の元形状とでもよい。この点についても、後述する実施例にて実証する。

0063

本発明に係るステアリング支持構造の作用効果を確認するための具体的な実験を行ったので、その結果について以下に説明する。

0064

本実施例では、ステアリングビーム23を車体11に取り付ける取付部品として、図1に示すブラケット3、図2に示す接続部5、及び、図3に示すステイ部7を適用した車体11を解析対象として振動解析を行い、ステアリングハンドル21の振動特性を評価した。

0065

ここで、振動特性は、車体11のステアリングハンドル21に所定の加振条件を与えたときの周波数応答解析を行い、該周波数応答解析により求めた周波数応答において加速度ピークとなる周波数により評価した。

0066

また、周波数応答解析における加振条件は、最大変位を求める周波数応答解析と同一条件とし、ステアリングハンドル21のステアリング面におけるY方向及びZ方向のそれぞれに与えた。

0067

なお、加振条件は、ステアリングハンドル21の振動特性の評価において一般的に適用される条件とし、周波数応答解析においては、加振点であるステアリングハンドル21に与える周波数と、該周波数における荷重振幅を設定した。

0068

本実施例では、取付部品として本発明に係るブラケット3(図1)、接続部5(図2)及びステイ部7(図3)の少なくともいずれか一つを用いたものを発明例1〜発明例7とした。

0069

発明例1は、本発明に係るブラケット3を用いたもの、発明例2は、本発明に係る接続部5を用いたもの、発明例3は、本発明に係るステイ部7を用いたものであり、発明例1〜発明例3においてその他の取付部品は従来の元形状としたものである。

0070

発明例4は、本発明に係るブラケット3及びステイ部7と元形状の接続部27を用いたもの、発明例5は、本発明に係るブラケット3及び接続部5と元形状のステイ部29を用いたもの、発明例6は、本発明に係る接続部5及びステイ部7と元形状のブラケット25を用いたものである。
さらに、発明例7は、本発明に係るブラケット3と接続部5とステイ部7を用いたものである。

0071

また、比較対象として、元形状のブラケット25と接続部27とステイ部29を備えて構成されるステアリング支持構造30(図4参照)を用いたものを基準例とした。

0072

図15に、加振条件としてY加振を与えた場合のピーク周波数の結果を、図16に、加振条件としてZ加振を与えた場合のピーク周波数の結果を示す。

0073

図15及び図16より、Y加振及びZ加振のいずれの場合においても、基準例に比べると発明例1〜発明例7におけるピーク周波数は高くなった。特に、本発明に係るブラケット3と接続部5とステイ部7の全てを用いた発明例7におけるピーク周波数が最も高く、基準例に比べて7.4Hz(Y加振)及び5.0Hz(Z加振)増加した。

0074

また、発明例1〜発明例7の結果を比較すると、本発明に係るブラケット3を適用した場合(発明例1、発明例4、発明例5及び発明例7)にあっては、接続部5及び/又はステイ部7を適用した場合(発明例2、発明例3、発明例6)に比べてピーク周波数の向上が大きい結果となった。

0075

これらの結果は、本発明により、人が体感する約30Hz以上の振動数にステアリングの振動特性が適正化されたことに加え、動的剛性(しっかり感)が向上したことを示すものである。

0076

さらに、発明例1〜発明例7においてはいずれも、最適形状に基づいてブラケット3、接続部5及びステイ部7の形状が規定されているため、形状最適化前の元形状のブラケット25、接続部27及びステイ部29を用いた基準例に比べて軽量化された結果となった。特に、ブラケット3及び接続部5を用いた発明例5においては、121gの軽量化が得られた。

0077

次に、ステアリング支持構造の振動特性を適正化するために、最適化の対象とする取付部品に用いられる鋼板の板厚を増加させた場合を比較例とし、発明例と比較検討した。

0078

比較例においては、図17に示すように、ステアリングハンドル21の振動を伝達する経路にあるステアリングビーム23、ブラケット25及び接続部27の一部又は全部について、それぞれ図17中に示されている数値だけ各部品の元形状よりも板厚を増加させた。

0079

そして、比較例についても発明例と同様に周波数応答解析を行い、周波数応答において加速度がピークとなるピーク周波数を求めた。その結果、比較例においては、Y加振については5.5Hz、Z加振については4.7Hzのピーク周波数の上昇が得られた。しかしながら、板厚を増加したことにより、3.3kgの質量増加となり、発明例1〜発明例7に比べると、振動特性の適正化に対する重量効率が悪化した結果であった。

実施例

0080

上より、本発明に係るステアリング支持構造によれば、ステアリングハンドルの振動特性が適正化されるとともに、動的剛性の向上と軽量化が実現できることが示された。

0081

1ステアリング支持構造
3ブラケット
5 接続部
7ステイ部
7a二又形状部
11 車体
13 Aピラー
15ダッシュボード
17フロア部
19トンネル部
21ステアリングハンドル
23ステアリングビーム
25 ブラケット(元形状)
27 接続部(元形状)
29 ステイ部(元形状)
29a 先端部
30 ステアリング支持構造
31設計空間
33 設計空間
35 設計空間
41最適形状
43 最適形状
45 最適形状

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