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技術 空気入りタイヤ

出願人 TOYOTIRE株式会社帝人株式会社豊田通商株式会社
発明者 宮部直昭砂川敬倫東浩司
出願日 2017年1月20日 (3年9ヶ月経過) 出願番号 2017-008876
公開日 2020年3月26日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-044849
状態 未査定
技術分野 タイヤ一般
主要キーワード 加熱分解反応 電磁波処理 構成率 原料総量 引抜試験 化石由来 原子核反応 発生形態
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月26日)のものです。
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課題

主たる原料として非化石原料を用いた環境負荷低減ポリエステルを用いて製造された空気入りタイヤを提供すること。

解決手段

非化石原料由来であるポリエステルを含む空気入りタイヤ。好ましい態様において、該ポリエステルの直鎖部分もしくは環状部分が非化石原料由来の原料を用いて製造されたポリエステルを用いた、前記の空気入りタイヤ。

概要

背景

空気入りタイヤに用いられるポリエステルは、そのほとんどが石油由来原料より製造されている。石油由来のポリエステルの多くは軽くて強靭であり耐久性に優れ、容易かつ任意に成形することが可能であり、量産されて空気入りタイヤが優れた性能を発揮することを支えてきた。しかし、これらのポリエステルは、環境中に廃棄された場合、容易に分解されずに蓄積する。また、焼却の際には大量の二酸化炭素を放出し、地球温暖化拍車掛けている。近年、化石燃料の減少、大気中の二酸化炭素増加という深刻な環境問題に対する対策が必要となっており、タイヤに用いるポリエステルの分野では、原料として非化石原料から誘導された原料を用いた環境負荷の軽減されたポリエステルが求められている。

植物はその成長時に空気中の二酸化炭素を吸収し、光合成により炭素を自らに固定化する。したがってその植物を原料として製造したポリエステルを使用し、使用後に燃焼された際に発生する二酸化炭素は、その植物がもともと吸収した二酸化炭素と同量である、いわゆるカーボンニュートラルとなり、たとえ燃焼させても地球上の二酸化炭素を増加させることはない。たとえば、ポリ乳酸などの植物を原料としたポリエステルは環境負荷が少ないといわれている。

このような観点から、特許文献1には、非化石原料を主たる原料として用いた、優れた耐熱性を有する環境負荷低減型のポリエステルが記載されている。しかしながら、引用文献1には、この環境負荷低減型のポリエステルをタイヤまたはその部材に利用することは記載されていない。
また、特許文献2には、ポリエステルをタイヤのカーカス材として使用することが記載されている。しかしながら、特許文献2には、ポリエステルの構成炭素の由来については記載されていないことから、化石原料由来のポリエステルが使用されていると推測される。
さらに、特許文献3には、ポリエチレンナフタレートをタイヤのベルト補強材として使用することが記載されている。しかしながら、特許文献3にも、かかるポリエチレンナフタレートの構成炭素の由来については記載されていないことから、化石原料由来のポリエチレンナフタレートが使用されていると推測される。

概要

主たる原料として非化石原料を用いた環境負荷低減型ポリエステルを用いて製造された空気入りタイヤを提供すること。 非化石原料由来であるポリエステルを含む空気入りタイヤ。好ましい態様において、該ポリエステルの直鎖部分もしくは環状部分が非化石原料由来の原料を用いて製造されたポリエステルを用いた、前記の空気入りタイヤ。なし

目的

本発明の目的は、主たる原料として非化石原料を用いた環境負荷低減型ポリエステルから製造された空気入りタイヤを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

非化石原料由来原料を用いて製造されたポリエステルを含む空気入りタイヤ

請求項2

該ポリエステルの直鎖部分もしくは環状部分が非化石原料由来の原料を用いて製造されたポリエステルを含む、請求項1記載の空気入りタイヤ。

請求項3

該ポリエステルの直鎖部分および環状部分が非化石原料由来の原料を用いて製造されたポリエステルを含む、請求項1記載の空気入りタイヤ。

技術分野

0001

本発明は、非化石原料由来で構成された、環境負荷低減ポリエステル原材料として製造された空気入りタイヤに関するものである。

背景技術

0002

空気入りタイヤに用いられるポリエステルは、そのほとんどが石油由来原料より製造されている。石油由来のポリエステルの多くは軽くて強靭であり耐久性に優れ、容易かつ任意に成形することが可能であり、量産されて空気入りタイヤが優れた性能を発揮することを支えてきた。しかし、これらのポリエステルは、環境中に廃棄された場合、容易に分解されずに蓄積する。また、焼却の際には大量の二酸化炭素を放出し、地球温暖化拍車掛けている。近年、化石燃料の減少、大気中の二酸化炭素増加という深刻な環境問題に対する対策が必要となっており、タイヤに用いるポリエステルの分野では、原料として非化石原料から誘導された原料を用いた環境負荷の軽減されたポリエステルが求められている。

0003

植物はその成長時に空気中の二酸化炭素を吸収し、光合成により炭素を自らに固定化する。したがってその植物を原料として製造したポリエステルを使用し、使用後に燃焼された際に発生する二酸化炭素は、その植物がもともと吸収した二酸化炭素と同量である、いわゆるカーボンニュートラルとなり、たとえ燃焼させても地球上の二酸化炭素を増加させることはない。たとえば、ポリ乳酸などの植物を原料としたポリエステルは環境負荷が少ないといわれている。

0004

このような観点から、特許文献1には、非化石原料を主たる原料として用いた、優れた耐熱性を有する環境負荷低減型のポリエステルが記載されている。しかしながら、引用文献1には、この環境負荷低減型のポリエステルをタイヤまたはその部材に利用することは記載されていない。
また、特許文献2には、ポリエステルをタイヤのカーカス材として使用することが記載されている。しかしながら、特許文献2には、ポリエステルの構成炭素の由来については記載されていないことから、化石原料由来のポリエステルが使用されていると推測される。
さらに、特許文献3には、ポリエチレンナフタレートをタイヤのベルト補強材として使用することが記載されている。しかしながら、特許文献3にも、かかるポリエチレンナフタレートの構成炭素の由来については記載されていないことから、化石原料由来のポリエチレンナフタレートが使用されていると推測される。

先行技術

0005

特開2010−280750号公報
特開2008−290503号公報
特開平5−338403号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明の目的は、主たる原料として非化石原料を用いた環境負荷低減型ポリエステルから製造された空気入りタイヤを提供することにある。
ここで「環境負荷低減型」とは、具体的にはその対象となるポリエステルを燃焼させた場合に発生する二酸化炭素の実質的な発生量が少ないことなどを表す。

課題を解決するための手段

0007

上記課題の下に本発明者らが鋭意検討した結果、非化石原料由来ポリエステルを用いることにより、従来の化石原料由来のポリエステルから製造したタイヤと比較しても性能が損なわれることがないことを見出し、本発明を完成するにいたった。

0008

すなわち、本発明は、非化石原料由来ポリエステルを用いた空気入りタイヤを提供する。

0009

本発明の空気入りタイヤのポリエステルは非化石原料で構成されており、かつ固有粘度が0.50〜1.00dL/g、融点が230℃以上であるポリエステルであり、これによって上記の課題が解決できる。
以下、ある有機化合物中の全炭素原子中、1950年時点循環炭素中の14C濃度を基準(100%)としたときに、現時点でのその有機化合物に含まれる14C濃度比率をその有機化合物の「バイオ化率」と称する。この濃度比率の測定原理測定手法については後述する。

発明の効果

0010

本発明によれば、非化石原料由来環境負荷低減型ポリエステルを使用した環境負荷低減型の空気入りタイヤを提供することができる。
すなわち、化石原料を使用して製造される同じ化学構造を有するポリエステルから構成されるタイヤと比べて、本発明のタイヤを構成するポリエステルを燃焼させたときに発生する二酸化炭素の実質的な排出量が少なくともポリエステル1kgあたり400g以上削減されるタイヤであるという効果を有する。よって、環境負荷を低減させながら、従来と同じ性能を発揮できるタイヤを提供することができる。

0011

本発明の非化石原料由来ポリエステルは、例えば、空気入りタイヤを構成するカーカス材やベルト補強材などの材料として用いることができる。非化石原料由来ポリエステルは、非化石原料由来原料を用いる以外は、従来のポリエステルと同様の方法で製造され、空気入りタイヤやその部材の製造に用いられる。

0012

本発明において、また非化石原料由来原料とは、非化石バイオマス資源から製造した原料を指す。ここで非化石バイオマス資源とは、太陽エネルギー使い、水と二酸化炭素から生成される再生可能生物由来のカーボンニュートラルな有機性資源を指し、石油石炭天然ガスなどより得られる化石資源を除く資源のことを指す。すなわち、このような非化石バイオマス資源より製造された原料となる有機化合物などを上述した非化石原料と称する。

0013

本発明におけるバイオマス資源は、その発生形態から廃棄物系、未利用系、資源作物系の3種に分類される。バイオマス資源としては、例えばセルロース系作物(パルプケナフ麦わら稲わら、古紙、製紙残渣など)、リグニン木炭堆肥天然ゴム綿花サトウキビ、油脂(菜種油綿実油大豆油ココナッツ油など)、グリセロール炭水化物系作物(トウモロコシイモ類小麦、米、キャッサバなど)、バガステルペン系化合物、パルプ黒液生ごみ排水汚泥などが挙げられる。また、バイオマス資源からグリコール化合物を製造する方法としては、特に限定はされないが、菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法;酸、アルカリ触媒熱エネルギーもしくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法;または微細化、圧縮マイクロ波処理もしくは電磁波処理など物理処理方法など既知の方法が挙げられる。

0014

バイオマス資源からポリエステルを製造する方法としては、種々の製造方法を挙げることができる。その製造方法は特に限定されないが、まずバイオマス資源から菌類や細菌などの微生物などの働きを利用した生物学的処理方法;酸、アルカリ、触媒、熱エネルギーもしくは光エネルギーなどを利用した化学的処理方法;または微細化、圧縮、マイクロ波処理もしくは電磁波処理など物理的処理方法など既知の方法を行う。次にこれらの製造方法により得られた生成物に対して、さらに触媒を用いて水素加熱分解反応を行い精製する方法が挙げられる。また別の1つの製造方法として、サトウキビ、バガス、炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、さらに、エチレンオキサイドを経て生成する方法などが挙げられる。このような手法により製造され、さらに蒸留操作等により精製する方法なども採用することができる。

0015

あるいは別の方法としてバイオマス資源から、グリセロール、ソルビトールキシリトールグルコール、フルクトースまたはセルロースなどに変換し、さらに触媒を用いて水素化熱分解反応により、エチレングリコールと1,2−プロパンジオールの混合物を生成する。またはサトウキビ、バガス、炭水化物系作物などから生物学処理方法によりエタノールを製造し、さらに、エチレンオキサイドを経て、エチレングリコール、ジエチレングリコールトリエチレングリコールの混合物を生成する方法などが挙げられる。

0016

本発明においてバイオ化率とは、ポリエステルを構成する全炭素原子中、1950年時点の循環炭素中の放射性炭素である14C濃度を基準(この値を100%と設定する)とした場合の14C濃度の比率を表す。その放射性炭素である14Cの濃度は以下の測定方法(放射性炭素濃度測定)により測定することができる。すなわち14Cの濃度測定は、タンデム加速器質量分析計を組み合わせた加速器質量分析法AMS:Accelerator Mass Spectrometry)によって、分析する試料に含まれる炭素の同位体(具体的には12C、13C、14Cが挙げられる。)を加速器により原子重量差を利用して物理的に分離し、同位体の原子一つ一つの存在量を計測する方法である。

0017

炭素原子1モル(6.02×1023個)中には、通常の炭素原子の約一兆分の一である約6.02×1011個の14Cが存在する。14Cは放射性同位体と呼ばれ、その半減期は5730年で規則的に減少している。これらが全て崩壊するには22.6万年を要する。従って大気中の二酸化炭素などが植物などに取り込まれて固定化された後、22.6万年以上が経過したと考えられる石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料においては、固定化当初はこれらの中にも含まれていた14C元素は全てが崩壊している。ゆえに、現在に至っては石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料中に14C元素は全く含まれてない。ゆえに、これらの化石燃料を原料として生産された化学物質にも14C元素は全く含まれていない。一方、14Cは宇宙線が大気中で原子核反応を行い、絶え間なく生成され、放射壊変による減少とがバランスし、地球の大気環境中では、14Cの量は一定量となっている。

0018

一方、大気中の二酸化炭素が植物やそれを食する動物などに取り込まれて固定化された場合には、その取り込まれた状態では、14Cは新たに補充されることなく、14Cの半減期に従って、時間の経過とともに14C濃度は一定の割合で低下する。このため、14C濃度を分析することにより、化石資源を原料としたものか、あるいはバイオマス資源を原料にした化合物かを簡易判別することが可能となる。またこの14C濃度は1950年時点の自然界における循環炭素中の14C濃度をmodern standard referenceとし、この14C濃度を100%とする基準を用いることが通常行われる。現在のこのようにして測定される14C濃度は、約110pMC(percent Modern Carbon)前後の値であり、仮に試料として用いられているプラスチックなどが100%天然系(生物系)由来の物質で製造されたものであれば、110pMC程度の値を示すことが知られている。この値が上述したバイオ化率100%に相当する。一方石油系(化石系)由来の物質を用いてこの14C濃度を測定した場合、ほぼ0pMCを示す。この値が上述したバイオ化率0%に相当する。これらの値を利用して天然由来系−化石由来系の混合比を算出することができる。さらにこの14C濃度の基準となるmodern standard referenceとしてはNIST(National Institute of Standardsand Technology:米国国立標準・技術研究所)が発行した蓚酸標準体を用いることが好ましく採用することができる。この蓚酸中の炭素の比放射能(炭素1g当たりの14Cの放射能強度)を炭素同位体毎に分別し、13Cについて一定値補正して、西1950年から測定日までの減衰補正を施した値を標準の14C濃度の値として用いている。

0019

ポリエステル中の14C濃度の分析方法は、まずポリエステルの前処理が必要となる。具体的には、ポリエステルに含まれる炭素を酸化処理し、すべて二酸化炭素へと変換する。さらに、得られた二酸化炭素を水や窒素と分離し、二酸化炭素を還元処理し、固形炭素であるグラファイトへと変換する。この得られたグラファイトにCs+などの陽イオン照射して炭素の負イオンを生成させる。引き続いて、タンデム加速器を用いて炭素イオン加速し、負イオンから陽イオンへ荷電変換させ、質量分析電磁石により12C3+、13C3+、14C3+の進行する軌道を分離し、14C3+は静電分析器により測定を行う。

0020

本発明において、重合して生成されるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルを主たる原料として用い、エチレングリコールをジオール成分として用いた製造方法により得ることができる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸ナフタレンジカルボン酸などが好ましく用いられる。また芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル、具体的にはジメチルエステルジエチルエステルジプロピルエステルジブチルエステルなどを挙げることができる。

0021

ここで、「主たる」とは、本発明の効果が実質的に損なわれない範囲内で他の酸成分を重合してもよいことを意味する。その共重合成分としては、一般にポリエステルで用いられているジカルボン酸成分を挙げることができる。具体例としては、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびそれらの低級アルキルエステルなどが好ましく例示される。これらは基本的に化石資源由来であることがほとんどであり、本発明のポリエステルの原料総量に対して、その他の化石資源由来原料とあわせて最大10重量%まで添加することができる

0022

本発明のポリエステルの製造においては、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤酸化防止剤固相重合促進剤、整色剤蛍光増白剤帯電防止剤抗菌剤紫外線吸収剤光安定剤熱安定剤遮光剤または艶消剤などを添加してもよい。しかしながらこれらの添加剤も、基本的に化石資源由来であることが多く、本発明のポリエステルの原料総量に対して、その他の化石資源由来原料とあわせて最大10重量%まで添加することができる。

0023

上記のポリエステルは、非化石原料由来原料を用いること以外は任意の方法によって製造することができる。ポリエチレンテレフタレートの場合を例示すれば、テレフタル酸と非化石原料由来エチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルと非化石原料由来エチレングリコールとをエステル交換反応させることにより、テレフタル酸のエチレングリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第一段階の反応と、第一段階の反応生成物重合反応触媒の存在下で減圧加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第二段階の反応によって製造することができる。

0024

本発明のポリエステルの中で、酸成分としてテレフタル酸ジメチルまたはテレフタル酸を原料に用いて得られたポリエチレンテレフタレートを構成する繰り返し単位中の全炭素に対する割合は、テレフタル酸ジメチル由来の炭素が80%(8個)、エチレングリコール由来の炭素が20%(2個)で構成されている。ジオール成分としてバイオ化率80%以上のエチレングリコールを用いるということは、ポリエチレンテレフタレートを構成する全炭素のうち、エチレングリコール由来の全炭素(ポリエチレンテレフタレートの繰り返し単位を構成する全炭素のうち20%)の80%以上が非化石原料由来の14Cを含む炭素原子である。したがって、理論計算上、ポリエチレンテレフタレートのバイオ化率は16%以上となる。このようなバイオ化率16%以上のポリエチレンテレフタレートを採用することも本発明における一態様である。

0025

本発明のポリエステルの中で、酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸などを原料に用いて得られたポリエチレンナフタレートを構成する繰り返し単位中の全炭素に対する割合は、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の炭素が86%(12個)、エチレングリコール由来の炭素が14%(2個)で構成されている。ジオール成分としてバイオ化率80%以上のエチレングリコールを用いるということは、ポリエチレンナフタレートの繰り返し単位を構成する全炭素のうち、エチレングリコール由来の全炭素(ポリエチレンナフタレートの繰り返し単位を構成する全炭素のうち14%)の80%以上が非化石原料由来の14Cを含む炭素原子である。したがって、理論計算上、ポリエチレンテレフタレートのバイオ化率は11%以上となる。このようなバイオ化率11%以上のポリエチレンナフタレートを採用することも本発明における一態様である。
上述した本発明の効果を奏するには、このようなバイオ化率10%以上のポリエステルであることが必要であり、10%未満であるとその効果を充分に発現させることができない。

0026

生成したポリエステルの固有粘度は、0.50〜1.00dL/gの範囲内にあることが好ましい。該固有粘度が0.50dL/g未満であると、得られる成形物の強度は非常に弱くなり、成形物としての使用は困難である。一方、固有粘度が1.00dL/gを超えると、溶融粘度が大きくなりすぎて成形性が極度に悪化する。該固有粘度は0.60〜0.70dL/gの範囲にあることが好ましい。固有粘度は後述するように、ポリエステルを溶解した溶液粘度から算出することができる。

0027

一般的にポリエステルの重合反応では、エステル交換反応触媒、重合反応触媒が使用され、主にマンガンアンチモンゲルマニウムなどの重金属が使用される。より具体的には、酢酸マンガン三酸化アンチモン二酸化ゲルマニウムなどを挙げることができる。重金属は環境負荷が大きいため、本発明において双方の反応触媒として環境への負荷が比較的少ないチタン触媒の使用がさらに望ましい。酸成分としてリサイクルされたテレフタル酸ジメチル、ジオール成分として非化石原料由来エチレングリコールを使用し、重合反応触媒としてチタン触媒を使用することで、地球環境問題をさらに改善し得るポリエステルを含む空気入りタイヤやその部材の提供が可能となる。

0028

また重合反応触媒として用いるチタン触媒については、下記一般式(I)で表わされる化合物、または一般式(I)で表わされる化合物と下記一般式(II)で表わされる芳香族多価カルボン酸もしくはその無水物とを反応させた生成物を用いることも好ましく挙げることができる。

0029

[但し、式(I)中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ同一もしくは異なって、アルキル基またはフェニル基を表す。mは1〜4の整数を表し、且つmが2〜4のとき、それぞれ2〜4個あるR2およびR3はそれぞれ同一の基または異なる基を表す。]

0030

[但し、式(II)中、nは2〜4の整数を表す。]

0031

ここで上記式(I)で表されるチタン化合物としては例えば、チタンテトラエトキシドチタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタンテトラアルコキシドのほか、チタンテトラフェノキシドヘキサエチルジチタネート、ヘキサプロピルジチタネート、ヘキサブチルジチタネート、ヘキサフェニルジチタネート、オクタエチルトリチタネート、オクタプロピルトリチタネート、オクタブチルトリチタネート、オクタフェニルトリチタネートなどを挙げることができる。また、一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸またはその無水物としては、フタル酸トリメリット酸ヘミメリット酸ピロメリット酸およびこれらの無水物が好ましく用いられる。

0032

上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸またはその無水物の一部または全部を溶解し、この混合液にチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力については特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸またはその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコールテトラメチレングリコールベンゼンおよびキシレンなどから所望に応じていずれを用いることもできる。

0033

ここで、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応モル比には特に限定はないが、チタン化合物の割合が高すぎると、この化合物を触媒として用いて得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりすることがある。逆にチタン化合物の割合が低すぎるとポリエステル製造工程において重縮合反応が進みにくくなることがある。このため、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。特に好ましくは2/2〜2/4である。

0034

本発明のポリエステル中に含まれる、ポリエステル可溶性チタン元素量は全ジカルボン酸成分を基準として5〜70ppmの範囲にあるようにすることが好ましい。ここでポリエステル可溶性のチタン元素とは二酸化チタンのような無機粒子としてポリエステル中に配合され、ポリエステルと分子レベル混和することなくポリエステル中に存在するTi元素は該当しないことを意味する。より具体的には有機系のTi系触媒などに含まれているチタン元素がポリエステル可溶性のチタン元素に該当する。より具体的には、ポリエステル可溶性のチタン元素とは、艶消し目的で添加される二酸化チタンのような無機のチタン化合物は含まれず、通常触媒として用いられている有機のチタン化合物や艶消し剤として使用される二酸化チタンに不純物として含有されている有機チタン化合物を指す。該ポリエステル可溶性のチタン元素量が5ppm未満の場合は重縮合反応が遅くなり、70ppmを超える場合は得られるポリエステルの色調が、不良になり、かつその耐熱性が低下することがあり好ましくない。チタン元素量はポリエステルに対して7〜60ppmの範囲が好ましく、10〜50ppmの範囲がさらに好ましい。

0035

本発明のポリエステルを製造する際は、エステル交換触媒重縮合触媒以外に、任意のリン化合物を添加することができる。リン化合物の種類は特に限定するものではないが、たとえば特にチタン系触媒を使用した場合には、下記一般式(III)により表されるリン化合物を任意の段階で添加することが好ましい。

0036

[上記式中、R6およびR7は同一または異なっている、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、Xは−CH2−または−CHPh−を表す。]

0037

上記一般式(III)のリン化合物(ホスホネート化合物)としては、カルボメトキシメタンホスホン酸カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプトシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノフェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸およびカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類およびジブチルエステル類から選ばれることが好ましい。これらの化合物の中でより好ましいのは、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシメタンホスホン酸ジメチルエステル、カルボメトキシメタンホスホン酸ジエチルエステル、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸ジメチルエステルまたはカルボエトキシメタンホスホン酸ジエチルエステルである。上記のホスホネート化合物は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較して、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行するので、反応中におけるチタン化合物の触媒活性持続時間が長くなり、結果として該チタン化合物のポリエステルへの添加量を少なくすることができる。

0038

また、上記のチタン化合物を含む触媒系は下記数式(1)および数式(2)を同時に満足するものであることが好ましい。
0.65 ≦ P/Ti ≦ 5.0 (1)
10 ≦ P+Ti ≦ 200 (2)
[上記数式(1)、数式(2)中、Tiはポリエステル中に含有されるポリエステル可溶性のチタン金属元素の濃度(重量ppm)を、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物のリン元素の濃度(重量ppm)を表す。]

0039

ここで、(P/Ti)が0.65未満の場合、ポリエステルの色相黄味を帯び、好ましくない。また、(P/Ti)が5.0を超えるとポリエステルの重合反応性が大幅に低下し、目的とするポリエステルを得ることが困難となる。この(P/Ti)の適正範囲は通常の金属触媒系よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場合、本発明のような従来にない効果を得ることができる。一方、(Ti+P)が10に満たない場合は、製糸プロセスにおける生産性が大きく低下し、満足な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が200を超える場合には、少量ではあるが触媒に起因する異物が発生し好ましくない。上記数式(1)、(2)の範囲は好ましくは(1)式中の(P/Ti)は1.0〜4.5の範囲、(2)式中の(Ti+P)は12〜150の範囲であり、さらに好ましくは、(1)式中の(P/Ti)は2.0〜4.0の範囲、(2)式中の(Ti+P)は15〜100の範囲である。本発明の製造方法において、前記触媒系を用いて行われる重合反応は、230〜320℃の温度において、常圧下または減圧下、好ましくは0.05Pa〜0.2MPaにおいて、これらの条件を組み合わせて、15〜300分間重合反応させることが好ましい。

0040

本発明によって得られるポリエステルは、最終的に燃焼処理された場合の二酸化炭素発生量を実質的に削減することができる。前述のとおり、植物がその成長時に空気中の二酸化炭素を吸収し、光合成により炭素を自らに固定化するため、その植物を原料として製造したプラスチックを使用し、使用後に燃焼された際に発生する二酸化炭素は、その植物がもともと吸収した二酸化炭素と同量であり、カーボンニュートラルとなり、たとえ燃焼させても地球上の二酸化炭素を実質的には増加させない、とみなせるからである。完全燃焼時の二酸化炭素発生量は計算により求めることができる。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)の1構成単位分子量192.1)を完全燃焼させた場合、10倍モル量のCO2(分子量44.0)が発生することから、二酸化炭素発生量は下記数式(3)によって求められる。
二酸化炭素発生量CO2(g)
=燃焼させたPET重量(g)/192.1×10×44 (3)

0041

ただし、エチレングリコールがバイオマス由来であれば、上述のカーボンニュートラルの考え方から、PETの1構成単位を完全燃焼させた場合、エチレングリコール分を除く8倍モル量のCO2が発生すると考えてよい。したがって、バイオマス由来のエチレングリコールを使用した場合は、二酸化炭素発生量は下記数式(4)によって求められる。
二酸化炭素発生量CO2(g)
=燃焼させたPET重量(g)/192.1×8×44 (4)

0042

一方ポリマーがポリエチレンナフタレート(PEN)の場合、PENの1構成単位(分子量242.2)を完全燃焼させた場合、14倍モル量のCO2(分子量44.0)が発生することから、二酸化炭素発生量は下記数式(5)によって求められる。
二酸化炭素発生量CO2(g)
=燃焼させたPEN重量(g)/242.2×14×44 (5)

0043

ただし、エチレングリコールがバイオマス由来であれば、上記のPETの場合と同様に考えると二酸化炭素発生量は下記数式(6)によって求められる。
二酸化炭素発生量CO2(g)
=燃焼させたPEN重量(g)/242.2×12×44 (6)

0044

ゆえに、バイオマスエチレングリコールを使用することにより、従来のポリエステルに比べて、実質的な二酸化炭素排出量をポリエステル1kgあたり300g以上抑制することができる。

0045

また本発明においてはポリエステルを構成する成分の総量の20重量%以上が非化石原料で構成されている必要がある。非化石原料とは上述のように、バイオマス資源より製造された原料と成る有機化合物を非化石原料と称している。本発明者らの検討の結果、このようなポリエステル中の非化石原料の構成率が20重量%以上のポリエステルを採用することによって、上述した本発明の効果を奏することができ、20重量%未満であるとその効果を充分に発現させることができない。一例として上述のようにポリマーがポリエチレンテレフタレート(PET)でそのエチレングリコールがバイオマス由来であれば、エチレングリコール部分が非化石原料で構成されている場合に該当する。この場合には、ポリエステル中、非化石原料で構成されている重量比率は以下の式(7)によって表すことができる。
PET1構成単位中のEG部分の分子量/PET1構成単位の分子量
=60/192.1×100=31.2% (7)

0046

またポリマーがポリマーがポリエチレンナフタレート(PEN)でそのエチレングリコールがバイオマス由来である場合には、同様にして以下の式(8)に示すようにしてポリエステル中の非化石原料で構成されている重量比率を算出することができる。
PEN1構成単位中のEG部分の分子量/PEN1構成単位の分子量
=60/242.2×100=24.8% (8)

0047

よって好ましくはポリエステルを構成する総量の24重量%以上が、さらにより好ましくは31重量%以上が非化石原料で構成されていることが好ましい。これらの要件を満たすことによって、本発明のポリエステルは実質的な二酸化炭素発生量の削減を達成することができる。

0048

以上のとおり、本発明によって、化石原料を使用した同じに比べて該ポリエステルを燃焼させたときに発生する二酸化炭素量が削減される、環境負荷が低減されたポリエステル、それから構成される空気入りタイヤが得られる。

0049

以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

0050

従来の化石原料由来の原料と非化石原料由来の原料を用いて製造したポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)をそれぞれ用いたタイヤおよびタイヤ部材を作成し、性能試験を行った。

0051

各測定方法は以下の通りである。

0052

・バイオ化率:ASTMD6866 Method Bに準拠し、コード中に含まれる14C濃度を測定後、1950年時点の循環炭素中の放射性炭素である14C濃度を基準(この値を100%と設定する)とした場合の14C濃度の比率。

0053

上より数:JIS L1017に準拠し、上より数を測定。

0054

コード径:JIS L1017に準拠し、コード径を測定。

0055

繊度:JIS L1017に準拠し、正量繊度を測定。

0056

・強力:JIS L1017に準拠し、引張試験を行い、コードが破断した時の荷重を測定。

0057

・切伸:JIS L1017に準拠し、引張試験を行い、コードが破断した時の伸び率を測定。

0058

・EASL@2cN/dtex:JIS L1017に準拠し、引張試験を行い、2cN/dtex時の伸び率を測定。

0059

乾熱収縮率:JIS L1017 B法に準拠し、無荷重状態で加熱した際のコードの長さ変化により収縮率を測定。

0060

・T−pull接着:JIS L1017に準拠し、引抜試験を行い、引抜接着力を測定。

0061

・Disc疲労:JIS L1017に準拠し、コードをGCF疲労試験機で疲労させた後、コードの強力を測定し、強力保持率を求める。圧縮/伸長歪=10%/5%, 疲労時間:PET=72時間、PEN=24時間

0062

一般耐久性:JIS D4230−A法終了後にタイヤから取り出したコードを、JIS L1017に準拠し、コード強力を測定。得られたコード強力を新品タイヤから取り出したコードの強力で除することにより強力保持率を求める。

0063

高速耐久性:ECS−30の試験条件スピードレンジ+30km/hr.×10minを上限として評価。終了後解体。タイヤから取り出したコードを、JIS L1017に準拠し、コード強力を測定。得られたコード強力を新品タイヤから取り出したコードの強力で除することにより強力保持率を求める。

0064

操縦定性Dry/Wet:東洋ゴム工業株式会社所有テストコース試験
テストに使用した車両は当該タイヤを標準とする車両。
テストドライバー3人による官能評価。満点=5点/標準=3点、の平均値
Dryは乾燥路、Wetは水深1mmに調整。走路は別。

実施例

0065

表から明らかなように、本発明の非化石原料由来原料を用いたポリエステルから製造した空気入りタイヤならびにそれを構成する部材の性能は、従来の化石原料由来原料を用いたものと同等であることが示された。
したがって、本発明によれば、環境負荷低減型の空気入りタイヤを提供することができる。

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