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技術 射出成形機、射出成形機の状態報知システム、射出成形機の状態報知方法

出願人 株式会社日本製鋼所
発明者 宮木毅白井英明菊川雅之
出願日 2019年8月8日 (1年4ヶ月経過) 出願番号 2019-145993
公開日 2020年3月26日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-044836
状態 未査定
技術分野 プラスチック等の射出成形 チル鋳造・ダイキャスト
主要キーワード 繁忙状態 使用時状態 ストッパ先端 連動接続 回転完了 予備部品 換算時間 交換推奨
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

メンテナンス状態を適切に報知することのできる射出成形機、射出成形機の状態報知システム、および射出成形機の状態報知方法を提供する。

解決手段

射出成形機11の作動状態非定常値Vであることを検出する検出手段35と、換算時間数または換算回数数の少なくとも一方からなる積算値Nをカウントする計数手段29aとが備えられ、非定常値Vと積算値Nの双方から演算される値Mが所定の閾値ma,mbとなるか閾値ma,mbを超えた際に射出成形機11のメンテナンス状態A,Bを報知する報知手段29,30が備えられている。

概要

背景

従来、射出成形に用いられる部品の異常を精度よく検知できる射出成形機用情報管理装置としては特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1では、同一の設定条件成形品を繰り返し製造するサイクル運転において、n(nは2以上の自然数回目ショットとm(mはnから所定の正の自然数を引いた1以上の自然数)回目のショットとの、前記部品にかかる負荷を表す物理量の実績値の差を算出することにより、部品の異常が検出される。更に詳しくは明細書の(0058)ないし(0064)に記載されるように負荷を表す物理量により異常は検出される。そして(0074)ないし(0077)に記載されるように軽度の異常が発生しているときは、サイクル運転を継続させてもよく、重度の異常が発生した場合は、サイクル運転が中断される。

また射出成形機の情報を診断することで、異常の発生を推定・予防すると共に、誤って異常の診断がされることを防ぎ、不測の生産停止を防止することを目的とした射出成形システムとしては特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献2では射出成形機と診断サーバとを通信回線で接続し、モータ発熱量の測定値推定値を比較し、測定値が推定値の差が許容範囲外、又は、許容範囲を超える回数許容回数異常と判断されると診断請求データを診断サーバに伝達することが記載されている(0038)。そのことにより保守管理遅れにより異常に発展することを未然に防ぐことが可能である(0045)。

前記2件の特許文献1,2に共通するのは、異常状態を検出して射出成形機をすぐに停止するのではなく、軽度の異常の発生を検出した場合に運転を継続しつつ通知することにより、重度の異常に至る前に対策を行うという点である。

概要

メンテナンス状態を適切に報知することのできる射出成形機、射出成形機の状態報知システム、および射出成形機の状態報知方法を提供する。 射出成形機11の作動状態非定常値Vであることを検出する検出手段35と、換算時間数または換算回数数の少なくとも一方からなる積算値Nをカウントする計数手段29aとが備えられ、非定常値Vと積算値Nの双方から演算される値Mが所定の閾値ma,mbとなるか閾値ma,mbを超えた際に射出成形機11のメンテナンス状態A,Bを報知する報知手段29,30が備えられている。

目的

また射出成形機の情報を診断することで、異常の発生を推定・予防すると共に、誤って異常の診断がされることを防ぎ、不測の生産停止を防止することを目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

メンテナンス状態報知する射出成形機において、射出成形機の作動状態非定常値であることを検出する検出手段と、換算時間数または換算回数数の少なくとも一方からなる積算値カウントする計数手段とが備えられ、前記非定常値と前記積算値の双方から演算される値が所定の閾値となるか閾値を超えた際に射出成形機のメンテナンス状態を報知する報知手段が備えられたことを特徴とする射出成形機。

請求項2

前記非定常値と積算値はそれぞれ数値化され、双方の数値を加算した値が所定の閾値となるか閾値を超えた際に射出成形機のメンテナンス状態を報知する報知手段が備えられたことを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。

請求項3

前記非定常値と前記積算値の双方から演算される値は、ニューラルネットワークを用いた機械学習装置により重み付けされたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の射出成形機。

請求項4

メンテナンス状態を報知する射出成形機の状態報知システムにおいて、請求項1に記載の射出成形機は該射出成形機の配置された企業内部の中央制御装置または前記射出成形機の配置された企業外部の制御装置に接続され、前記企業外部の制御装置への射出成形機のメンテナンス状態が送信可能に設けられたことを特徴とする射出成形機の状態報知システム。

請求項5

メンテナンス状態は少なくとも射出成形機の画面に報知され、オペレータが前記画面または別の装置から送信許可した場合に前記企業外部の制御装置への射出成形機のメンテナンス状態の送信が行われることを特徴とする請求項4に記載の射出成形機の状態報知システム。

請求項6

前記企業内部の中央制御装置の内部または前記射出成形機の配置された企業外部の制御装置の内部に機械学習装置を設けるか、または前記企業内部の中央制御装置に直接接続または前記射出成形機の配置された企業外部の制御装置に直接接続して機械学習装置を設けたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の射出成形機の状態報知システム。

請求項7

メンテナンス状態を報知する射出成形機の状態報知方法において、射出成形機の作動状態が非定常値であることを検出手段により検出するともに、換算時間数または換算回数数の少なくとも一方からかる積算値を計数手段によりカウントし、前記非定常値と前記積算値の双方から演算される値が所定の閾値となるか閾値を超えた際に報知手段によりメンテナンス状態を報知することを特徴とする射出成形機の状態報知方法。

請求項8

複数の段階の閾値に対応して異なるメンテナンス状態の報知がなされることを特徴とする請求項7に記載の射出成形機の状態報知方法。

請求項9

前記異なるメンテナンス状態の報知は、教師あり学習を行う機械学習装置を用いることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の射出成形機の状態報知方法。

技術分野

0001

本発明は、メンテナンス状態報知する射出成形機、メンテナンス状態を報知する射出成形機の状態報知システム、およびメンテナンス状態を報知する射出成形機の状態報知方法に関するものである。

背景技術

0002

従来、射出成形に用いられる部品の異常を精度よく検知できる射出成形機用情報管理装置としては特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1では、同一の設定条件成形品を繰り返し製造するサイクル運転において、n(nは2以上の自然数回目ショットとm(mはnから所定の正の自然数を引いた1以上の自然数)回目のショットとの、前記部品にかかる負荷を表す物理量の実績値の差を算出することにより、部品の異常が検出される。更に詳しくは明細書の(0058)ないし(0064)に記載されるように負荷を表す物理量により異常は検出される。そして(0074)ないし(0077)に記載されるように軽度の異常が発生しているときは、サイクル運転を継続させてもよく、重度の異常が発生した場合は、サイクル運転が中断される。

0003

また射出成形機の情報を診断することで、異常の発生を推定・予防すると共に、誤って異常の診断がされることを防ぎ、不測の生産停止を防止することを目的とした射出成形システムとしては特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献2では射出成形機と診断サーバとを通信回線で接続し、モータ発熱量の測定値推定値を比較し、測定値が推定値の差が許容範囲外、又は、許容範囲を超える回数許容回数異常と判断されると診断請求データを診断サーバに伝達することが記載されている(0038)。そのことにより保守管理遅れにより異常に発展することを未然に防ぐことが可能である(0045)。

0004

前記2件の特許文献1,2に共通するのは、異常状態を検出して射出成形機をすぐに停止するのではなく、軽度の異常の発生を検出した場合に運転を継続しつつ通知することにより、重度の異常に至る前に対策を行うという点である。

先行技術

0005

特開2017−87588号公報(請求項1、(0058)ないし(0064)、(0074)ないし(0077)、図1
特開2014−184641号公報(請求項1、(0038)、(0045)、(図1)、(図3

発明が解決しようとする課題

0006

ところが特許文献1や特許文献2に記載されるような運転を継続可能な程度の軽度の異常の発生を正確に捉えることは非常に困難である。即ち成形される材料の変更やそれに伴う成形条件の変更、気温湿度等の気象条件等の外乱要素の変更に応じて、いずれの条件の場合でも軽度の異常を正確に捉えることは難しいという問題があった。また特許文献1および特許文献2では射出成形機において検出された異常をどのようなときに送信し、または送信しないかについては何ら記載されていない。

0007

そこで本発明では、メンテナンス状態を適切に報知することのできる射出成形機、射出成形機の状態報知システム、および射出成形機の状態報知方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の請求項1に記載の射出成形機は、メンテナンス状態を報知する射出成形機において、射出成形機の作動状態非定常値であることを検出する検出手段と、換算時間数または換算回数数の少なくとも一方からなる積算値カウントする計数手段とが備えられ、
前記非定常値と前記積算値の双方から演算される値が所定の閾値となるか閾値を超えた際に射出成形機のメンテナンス状態を報知する報知手段が備えられたことを特徴とする。

0009

本発明の請求項2に記載の射出成形機は、請求項1において、前記非定常値と積算値はそれぞれ数値化され、双方の数値を加算した値が所定の閾値となるか閾値を超えた際に射出成形機のメンテナンス状態を報知する報知手段が備えられたことを特徴とする。

0010

本発明の請求項3に記載の射出成形機は、請求項1または請求項2において、前記非定常値と前記積算値の双方から演算される値は、ニューラルネットワークを用いた機械学習装置により重み付けされたものであることを特徴とする。

0011

本発明の請求項4に記載の射出成形機の状態報知システムは、メンテナンス状態を報知する射出成形機の状態報知システムにおいて、該射出成形機の配置された企業内部の中央制御装置または前記射出成形機の配置された企業外部の制御装置に接続され、前記企業外部の制御装置への射出成形機のメンテナンス状態が送信可能に設けられたことを特徴とする。

0012

本発明の請求項5に記載の射出成形機の状態報知システムは、請求項4において、メンテナンス状態は少なくとも射出成形機の画面に報知され、オペレータが前記画面または別の装置から送信許可した場合に前記企業外部の制御装置への射出成形機のメンテナンス状態の送信が行われることを特徴とする。

0013

本発明の請求項6に記載の射出成形機の状態報知システムは、請求項4または請求項5において、前記企業内部の中央制御装置の内部または前記射出成形機の配置された企業外部の制御装置の内部に機械学習装置を設けるか、または前記企業内部の中央制御装置に直接接続または前記射出成形機の配置された企業外部の制御装置に直接接続して機械学習装置を設けたことを特徴とする。

0014

本発明の請求項7に記載の射出成形機の状態報知方法は、メンテナンス状態を報知する射出成形機の状態報知方法において、射出成形機の作動状態が非定常値であることを検出手段により検出するともに、換算時間数または換算回数の少なくとも一方からかる積算値を計数手段によりカウントし、前記非定常値と前記積算値の双方から演算される値が所定の閾値となるか閾値を超えた際に報知手段によりメンテナンス状態を報知することを特徴とする。

0015

本発明の請求項8に記載の射出成形機の状態報知方法は、請求項7において、複数の段階の閾値に対応して異なるメンテナンス状態の報知がなされることを特徴とする。

0016

本発明の請求項9に記載の射出成形機の状態報知方法は、請求項7または請求項8において、前記異なるメンテナンス状態の報知は、教師あり学習を行う機械学習装置を用いることを特徴とする。

発明の効果

0017

本発明の射出成形機は、メンテナンス状態を報知する射出成形機において、射出成形機の作動状態が非定常値であることを検出する検出手段と、換算時間数または換算回数数の少なくとも一方からなる積算値をカウントする計数手段とが備えられ、前記非定常値と前記積算値の双方から演算される値が所定の閾値となるか閾値を超えた際に射出成形機のメンテナンス状態を報知する報知手段が備えられているので、メンテナンス状態を適切に報知することができる。

図面の簡単な説明

0018

本実施形態の射出成形機および射出成形機の状態報知システムの概略図である。
本実施形態の射出成形機、射出成形機の状態報知システム、射出成形機の状態報知方法のメンテナンス状態の演算方法を示す説明図である。
本実施形態の射出成形機、射出成形機の状態報知システム、射出成形機の状態報知方法のフローチャート図である。
第2の実施形態の射出成形機および射出成形機の状態報知システムの概略図である。
第3の実施形態の射出成形機および射出成形機の状態報知システムの制御装置のブロック図である。
第3の本実施形態の射出成形機および射出成形機の状態報知システムの制御装置の機械学習装置のニューラルネットワークを示す説明図である。

実施例

0019

本発明の射出成形機11と射出成形機の状態報知システム12について図1を参照して説明する。射出成形機11はメンテナンス状態を報知可能な射出成形機であり、工場13内の中央制御装置14や例えば射出成形機製造メーカ15等の外部の制御装置16に接続されている。

0020

射出成形機11は、溶融樹脂射出する射出装置17と成形金型18を型締する型締装置19が設けられている。射出装置17は加熱筒20内には逆流防止弁21を備えたスクリュ22が内蔵されており、スクリュ22は計量用サーボモータ23により回転され、射出用サーボモータ24により前後進移動背圧制御が行われる。型締装置19は、型締機構25と型開閉機構26が備えられ、固定盤27には固定金型18aが取付けられ、可動盤28には可動金型18bが取付けられる。ただし射出成形機11は他の機構により作動されるものでもよくその種類は限定されない。

0021

また射出成形機11は、制御装置29を備えており、制御装置29には操作画面を兼ねた表示装置30が接続されている。表示装置30は液晶パネルタッチパネルからなり、射出成形機に関する各種情報の表示の他、オペレータがタッチパネルにタッチすることにより成形条件等の入力が行われる。なお前記タッチパネルからなる表示装置30の他にテンキーや各種機能キーなどのボタンキーを設けてもよい。射出成形機11のメンテナンス状態を報知する報知手段は、制御装置29と表示装置30等から構成される。

0022

また制御装置29は、射出成形機11に取付けられ該射出成形機11の状態を検知する検出手段である各種のセンサ(図示せず)に接続されている。射出成形機11に取付けられるセンサについては公知であるので全ては説明しないが、代表的なものとして計量用サーボモータ23、射出用サーボモータ24、型開閉機構25のサーボモータ等、各サーボモータの回転角度や各サーボモータにより移動される可動部の位置を検出するロータリエンコーダや可動部の位置を検出するリニアスケール等の位置センサ、サーボモータ等の負荷やトルクを検出する電流センサ電圧センサヒータにより加熱される部分や配電盤等の加熱を検出する熱電対等の温度センサ、可動部に加えられている力を検出するロードセル等の力センサ型締シリンダ等の油圧機構の各部の油圧を検出する油圧センサ、などがある。または射出成形機11の非定常状態を検出するために振動センサ騒音計などのセンサを別途取付けたものでもよい。

0023

これらセンサは射出成形機11の成形時のシーケンス制御等の際の信号を検出するが、本発明では射出成形機11の作動状態が非定常状態であることを検出する検出手段をも兼ねている。また射出成形機11の状態を検出する検出手段は、広義の意味の射出成形機に含まれる周辺機器や射出成形機の近傍に取付けられたものでもよい。本実施形態では固定盤27の上部には取出機34が取付けられ、取出機34には成形品の重量を検出するロードセルからなるセンサ35が備えられている。なお検出手段である成形品の重量測定装置は射出成形機11の近傍に配置されたものでもよい。

0024

制御装置29は、記憶部、演算部、入出力部等を備えている。そして記憶部には射出成形を行う際のシーケンス制御のためのプログラムが保存されている他、本実施形態の状態検出のためのデータやプログラムが格納されている。また演算部29aでは、射出成形時の各種のデータ処理の他、本実施形態の射出成形機11の状態判断が行われる。更に入出力部は、前記アクチュエータやセンサに接続されている。そして演算装置からアクチュエータへの出力信号の送信やセンサ等から演算部29aへの入力信号の送信は入出力部を介して行われる。また本実施形態ではタイマは演算部29aまたは演算部29aに付属するものであり、前記各部の作動時間を検出する。本発明においてタイマを含む演算部29aは、作動時間をカウントして積算値Nとして処理する計数手段に相当する。

0025

また射出成形機11の制御装置29は、回線31を介して射出成形機11の配置されている工場13内または該企業内の中央制御装置14に入出力部を介して接続されている。これらは企業内部において中央制御装置14のサーバを含むパーソナルコンピュータ14aと各射出成形機11,11,11との回線31は、専用の通信線であってもよく、また企業内部に構築されたイントラネットイーサネット登録商標)の回線であってもよい。また前記射出成形機11と中央制御装置14の間の回線接続無線LANやWiFiにより接続されたものでもよく、通信方法は限定されない。

0026

なお詳しくは後述する本発明のメンテナンス指標値Mを演算処理する機能は、射出成形機11の制御装置29に保有させてもよく、中央制御装置14に保有させてもよく、両者で機能分担してもよい。一般的にメンテナンス指標値Mの演算が軽度の演算処理に留まる場合は射出成形機11の制御装置29の側で可能であるが、高度な演算処理を行う場合は中央制御装置14の側で演算処理が行われることが好ましい。またこれらは射出成形機11を保有し作動させている企業のシステム構築状況とも深く関連する。

0027

射出成形機11の作動している企業内の中央制御装置14と該企業とは外部の射出成形機製造メーカ15の制御装置16は、インターネット等の回線32により接続されている。射出成形機11の配置されている企業内のデータ送信を行う中央制御装置14であるパーソナルコンピュータ14aのデフォルトゲートウェイ14bを介して企業外部の制御装置16のパーソナルコンピュータ16aのデフォルトゲートウェイ16bが接続され、それぞれ外部からのウイルスソフト等の侵入が阻止されるようになっている。

0028

なお本実施形態において企業外部の制御装置16とは、射出成形機製造メーカ15の制御装置16を指すが、メンテナンス専門に行う企業の制御装置であってもよい。また射出成形機製造メーカ15側の制御装置16が置かれる場所は、サービス業務全体の統括機能を有する本社等の拠点であってもよいが射出成形機11を保有する会社のエリアの各サービス拠点であってもよい。そして前記制御装置16は、各サービス担当者携帯電話連動接続させることも可能である。更にこれら射出成形機11の配置されている企業内部の中央制御装置14と企業外部の制御装置16の通信は、インターネットに限定されず、インターネット以外の電話回線ファクシミリを含む)や2社間専用の通信回線などでもよく、通信方法は限定されない。

0029

次に射出成形機の状態報知システム12を用いた射出成形機11の状態報知方法について図2により説明する。本発明の第1の特徴は、射出成形機11の作動状態を、センサ等の検出手段から検出される非定常値Vと、タイマ等によりカウントされる成形時間などの積算値Nの双方を組み合わせて判断する点である。これらの判断は、射出成形機11の各部品や各部分ごとに行われる。より具体的には射出成形機11の作動状態の検出および報知は、各種モータ、モータ制御装置等の配電盤、減速機ボールネジ機構、型締シリンダ、油圧機構、油圧ポンプ、可動盤28等の可動部、射出装置17のスクリュ22、逆流防止弁21、ヒータ、射出や型締等のロードセルなどについてそれぞれ別個に行われる。また前記において各部分とは2以上の部品についての判断および報知がまとめて行われることを指す。

0030

最初に射出成形機11の作動時の非定常値Vの検出と利用について説明する。各部品や各部分の非定常値Vの検出に用いられるセンサの種類は上記のように限定されず、射出成形機11の制御に利用されるものを兼用することが望ましいが、非定常値Vの検出専用に設けたものでもよい。またセンサ35が設けられる部分も限定されない。

0031

作動状態の射出成形機11において非定常値Vが検出されたかどうかの判断は、定常値との比較において行われる。一般的な定常値の設定方法は、射出成形機11の新造時または当該部品交換時または新造や交換から一定期間内の作動時に、振動騒音・成形時間・電流値成形機の状態を示す値が設定内であり、良好な成形品が成形されている状態で検出された値の平均値を記憶部に保存させること等により行われる。前記定常値の保存は、自動的または作業員が記憶部に保存することにより行われる。また定常値は、計算上の値または部品メーカ指定の値を用いて設定してもよい。更に定常値は、成形に応じて定常値がそれぞれ異なる場合、安定して成形された一定期間の成形サイクル時の測定値の平均値、微分値等を用いて算出するようにしてもよい。一例として温度センサにより測定される配電盤やモータの温度、電流センサ等により測定されるヒータに関する抵抗値、振動センサにより測定される可動部やポンプ等の振動、油圧センサにより測定される型締シリンダのシール部材の状態などは、予め固定的に設定した定常値を用いてもよい。またボールネジ機構を含む可動盤等の可動部や逆流防止弁21を含むスクリュ22、減速機などでモータの電流値(トルク)を測定するものは、成形材料金型重量サイクル時間などによる変動があり、成形サイクル時の複数回数の測定値の平均値等から定常値を演算により求めてもよい。

0032

そして非定常値Vの判断のために定常値に対して或る幅を持った閾値(非定常値判断値)がそれぞれ設定され、定常値とともに記憶部に保存される。どの程度定常値から乖離した値を非定常値判断値として設定するかについてはそれぞれの部品や部分により相違する。部品や部分の軽微な異常やその前兆を捉えるためには極めて小さい非定常状態を捉える必要があり非定常値Vは定常値から僅かに乖離した値に設定する必要がある。非定常値Vを小さい値に設定すると射出成形機11の部分や部品が正常に作動しているにも関わらず外乱要素により非定常値Vを超えることがあり本来は望ましいことではない。しかし本発明では、殆どの場合1度だけ非定常値Vを超えたことによりメンテナンス状態を判断する訳ではない。従ってどのような原因で非定常値Vが検出されたものであっても、部品や部分の軽微な異常の可能性があるものとしてカウントしていくことが望ましい。これら非定常値Vを用いた非定常状態の判断は、通常は非定常値Vが検出された回数を換算値に置き換え累積加算して利用する。しかし定常値から乖離した非定常値Vの値や量を換算値のための演算に加味してもよく、両者の組み合わせでもよい。

0033

また一つの非定常値Vの検出により複数の部品のいずれかに異常があると疑われる場合もよくあることである。例えば可動盤28の移動を行う型開閉用サーボモータの電流値に非定常値が検出された場合、リニアガイドタイバブッシュ、ボールネジ機構(取付部のボルトの緩みを含む)等の機構部に問題が発生しかかっている場合や、サーボモータ自体やその制御系に問題が発生しかかっている場合も考えられる。これらの場合はどの部品に異常が発生しているか不明であってもまずは表示装置30に状態を報知することによりオペレータにどの部分に異常の可能性があるかを報知する。オペレータは、その報知を見て、企業外部の射出成形機製造メーカ15等に連絡するかどうかを決定する。

0034

また前記の複数の部品のいずれかに異常があると疑われる場合、他のセンサの値との組み合せによりどの部品に問題がありそうか推定できる場合もある。例えば前記可動盤28の型開閉移動の場合、位置センサやタイマとの組合せにより、型開閉の区間全体に非定常値が発生しているのか、特定の区間のみに非定常値が発生しているかを把握することにより、どの部品に問題がありそうか推定できることもある。また射出成形機11の異常報知の履歴は、射出成形機11の記憶部または中央制御装置14の記憶部に保存されており、前回に同様の異常が発生したときのデータを参照して、どの部品の異常の可能性が高いかを予知することが可能な場合もある。

0035

次に積算値Nの検出および利用について説明する。積算値Nについては、成形時に異常が無くても漸増される値であり、一般的には成形時間が最もよく使用される。積算値Nは、演算部29aの係数手段であるタイマによりカウントされる。積算値Nは、一般的には装置全体電源投入から電源ダウンまでの作動時間が用いられる。なお前記タイマのカウント開始は電源投入時以外に、射出成形機をいずれかの方法で作動開始時、全自動運転開始時などいずれのタイミングでもよく、各部品ごとの作動開始された時でもよい。

0036

積算値Nに作動動時間を用いる場合、通常1時間=1を換算時間としてカウントする。射出成形機を高加速度による過負荷リサイクル材料の使用など特殊な条件のものでの使用を行った場合は各部品の負荷が上昇するので、例えば成形時間に1.5など一定の係数を乗算して換算時間を算出してもよい。また積算値Nである換算時間については、成形を行った日数や、時間以下の分や秒の単位まで加えた値を基礎にして積算してもよい。

0037

また積算値Nは、成形サイクル数等の回数であってもよい。積算値Nに成形サイクルを用いる場合、通常は1成形サイクル=1を換算回数としてカウントする。しかし成形時の換算回数は、型開閉移動については1成形サイクルで型開と型閉で2回とカウントしたり、スクリュ回転数等の回転数についてはスクリュ22や計量用サーボモータ23等の回数をカウントしてもよい。これら換算回数を積算値Nに使用する場合についても、使用時状態に応じた負荷を案して一定の係数を乗算等した値を換算回数として使用してもよい。また積算値Nは換算時間と換算回数の両方を用いてもよい。

0038

これら換算時間や換算回数などの積算値Nは、複数の部品ごとにカウントされ記憶部に記憶される。即ち射出成形機11が新品の場合でも、上記のように成形時間=1として換算時間を演算する部品と、負荷に応じて一定の係数を乗算して換算時間を求める部品では換算時間の積算値Nはそれぞれ異なってくる。また換算時間や換算回数などの積算値Nは、部品交換とともに0にリセットされる。その結果射出成形機11の出荷時に、成形時間=1の積算値Nによりカウントする部品が複数あったとしても、各部品の交換によりメンテナンス指標値Mを構成する積算値Nはそれぞれバラバラな値になる。部品の交換日または交換時間、交換時のセンサの数値等の各種データは、自動的またはオペレータの入力により中央制御装置14の記憶部に保存され、表示により部品の交換履歴一目で判るようになっている。

0039

図2においては右肩上がりに漸増する積算値Nに対して非定常値Vの換算値V1が加算されて累積された値がメンテナンスに関するメッセージを報知するための判断値であるメンテナンス指標値Mとなることを示している。図2においては非定常値Vが4回検出されてその都度積算値Nをベースとしたメンテナンス指標値Mに換算値V1が加算され、最終的に5回目の非定常値Vの検出によりメンテナンス指標値Mに換算値V1が加算され、第1のメッセージAを報知する閾値maを超えて第1のメッセージAが報知される例を示している。

0040

次にメーカの保証期間法定点検等との関係も記載しておく。一般的に射出成形機11の各部品は、部品メーカにより保証期間が定められている。また各部品は、成形時間または成形回数の累積、または単に経年変化によっても劣化する。しかし各部品は、前記部品メーカによる保証期間を過ぎたとしても、徐々に劣化が進行して故障が発生する確率は僅かづつ増加するものの、相当期使用可能であるのが実状である。従ってメーカの保証期間は、積算値Nに基づくメンテナンス状態のメッセージ報知を定める際の重要な要素にはなるが、一般的には実際の部品交換時を示す報知としては用いられない。ただしメーカが交換期限を指定している場合は、表示装置30に交換期限より所定日数手前の日と交換期限日に報知する。なお蒸気コンプレッサを用いるものなどで法定点検や定期交換法令規則により定められているものは当然ながら法令等に従ったメンテナンス(点検や部品交換)が必要なことは言うまでもなく、それらも交換期限より所定日数手前の日と交換期限日に報知する。

0041

なお本発明は、社内LANまたはインターネット等の通信に接続されずに、メンテナンス状態を報知する射出成形機11単独でも成立する。即ちセンサにより検出される非定常値Vと、換算時間数または換算回数の少なくとも一方からかる積算値Nが加算等の組み合わせされたメンテナンス指標値Mに基づくメンテナンス情報が射出成形機の画面表示また音声により報知されるだけでもよい。オペレータは前記報知を受けて射出成形機製造メーカ15への連絡や予備部品の確保など必要な措置を講ずることができる。

0042

次にメンテナンス状態を報知する射出成形機11の状態報知システムおよびメンテナンス状態を報知する射出成形機11の状態報知方法について図3のフローチャートにより説明する。射出成形機11のメンテナンス状態は、各部品または各部分ごとに管理されることは上記した通りであるが、ここではスクリュ22の逆流防止弁21の摩耗の検出を例に説明する。

0043

まず射出成形機11に電源投入されると、予め異常予兆報知の設定がなされた部品(ここでは逆流防止弁21)ごとに前回の成形までに累積されたメンテナンス指標値Mが読み出される(s1)。また電源投入とともに作動時間(積算値N)のカウントが開始される(s2)。そして成形条件が読み出されて成形サイクルがスタートする(s3)。なお成形サイクルスタート等から作動時間(積算値N)の積算を開始してもよいことも上記の通りである。

0044

連続成形された射出成形品の重量は、広義の意味で射出成形機11に含まれる周辺機器である取出機34の重量測定用のロードセル(センサ35)により検出される。そして予め合格品として定めた成形品重量(定常値)に対して成形品の重量のバラつきを検出し、成形品の重量が予め定めた範囲(閾値)を超え、非定常値Vが検出されたか(s4)を判断する。そして非定常値Vが検出された場合は、制御装置29において非定常値Vを換算値V1に置換・演算する(s5)。そして更に前記メンテナンス指標値Mに非定常値Vからなる換算値V1を加算して新しいメンテナンス指標値Mとする(M+V1=M)(s6)。換算値V1をどの大きさの数値とするかは、積算値Nの換算値との関係で決定される。一例として積算値Nは成形時間1時間を1とするならば、非定常値Vが一回検出された際の換算値V1は、その100倍として100を加算する。なお成形品の重量測定時の定常値との差異量(非定常値判断値の値)は、不良品と判断される数値と同じでもよいが、更に閾値の狭めておき成形品が合格品とされる範囲の中での数値変動を捉えることも望ましい。また異常回数を1回としてカウントし常に一定数を加算するのではなく、比較値からの乖離の度合に応じて換算値を決定し、変数からなる換算値を加算するようにしてもよい。更に前記の演算方法は加算以外の演算方法を一部または全部に用いたものでもよい。

0045

次に新しいメンテナンス指標値Mが異常報知を行う値であるかの判断を行う。具体的には新しいメンテナンス指標値Mが第1のメッセージAを表示するための閾値であるmaより小さいかどうかの判断を行う(s7)。また前記(s4)において非定常値Vの検出がなされない場合(s4=N)についても、換算値V1が加算されないメンテナンス指標値Mにより第1のメッセージAを表示するための閾値であるmaより小さいかどうかの判断を行う。これは連続成形の間に積算値Nの積み上げのみにより閾値maに到達する場合があるからである。

0046

そしてステップ(s7)においてメンテナンス指標値Mがmaよりも小さい場合(s7=Yの場合)は次に、成形完了か(s8)の判断を行う。そして成形完了でない場合(s8=N)は、次に積算値Nの演算を行う。積算値Nの演算として、タイマにより成形時間のカウントがなされたか(s9)が判断され、例えば1時間が経過してカウントされた場合は、1が加算されN+1=Nとなる(s10)。そしてメンテナンス指標値Mについても新しい積算値Nを加算して新たなメンテナンス指標値Mとする(M←M+N)(s11)。そしてタイマのカウントがあった場合(s9=Y)も無かった場合(s9=N)も次の成形サイクルへ移行し、再び次の成形サイクルにおいて非定常値Vが検出されるか(s4)を判断する。

0047

またステップ(s7)においてメンテナンス指標値Mが閾値であるma以上の場合(s7=Nの場合)、次にステップ(s12)においてma≦M<mbの判断を行う。なおステップ(s12)において、mbもまた射出成形機11の状態を判断するための閾値である。そして(s12=Y)の場合、射出成形機11の表示装置30に第1のメッセージAとメーカ連絡ボタン33の表示(報知)がなされる(s13)。第1のメッセージAの表示は初回にma≦M<mbの範囲となったときだけ表示され、オペレータが消去するまで表示が継続される。

0048

第1のメッセージAについては、軽度な異常の予兆を報知するものであり、一例として次のような報知がなされる。
「逆流防止弁の予備部品の準備を推奨します。」または「逆流防止弁の点検を推奨します。」
前記報知は、画面表示の他、音声によるものやプリンタから文字打ち出されるものでもよく、それらのうち少なくとも二つの組み合せであってもよい。また前記報知は、射出成形機11の側の表示装置30ではなく、通信により工場内(または企業内)の中央制御装置14のパーソナルコンピュータ14aの表示画面に表示されるものでもよい。

0049

なお成形品の重量バラつきに対しては逆流防止弁の摩耗が疑われるが、それ以外の原因も無い訳ではない。ここでは説明を単純化するために深く説明しないがスクリュ駆動機構の劣化やスクリュ駆動機構の制御不良、逆流防止弁21以外のスクリュ22の摩耗や加熱筒内孔の摩耗、加熱筒や金型の温度の不適などがある。それらの不良状態や不適状態は、他のセンサの検出値や、逆流防止弁や他の部分の交換からの時間経過(積算値N)との組合せにより、ある程度はどの部品に問題が発生しているか推定が可能な場合も多い。また複数の部品のうちどの部品に異常の予兆が出ているか特定できない場合は、異常の予兆の可能性のある部品を列挙して第1のメッセージAを報知する。

0050

そしてまた射出成形機11等の表示装置30等には第1のメッセージAとともにボタンを押すことにより射出成形機製造メーカ15へ送信が行われるメーカ連絡ボタン33が表示される。そしてオペレータが射出成形機11の表示装置30のメーカ連絡ボタン33を押してONの信号が送信された際にのみ、射出成形機11の逆流防止弁のメンテナンス情報は、中央制御装置14のパーソナルコンピュータ14a(デフォルトゲートウェイ14b)を介してインターネット等の回線32により射出成形機製造メーカ15等、企業外部のパーソナルコンピュータ14aに転送される。本実施形態では送られるデータは、企業名と工場名、担当者名を含む連絡先、射出成形機11の機種製造番号、逆流防止弁の部品番号、交換日時、成形時間、成形品の重量分布(バラつき)に関するデータ、各成形時の成形履歴等である。

0051

なおこの際、射出成形機11と中央制御装置14の間の回線31は、有線LANなどのケーブルにより接続してもよいが、WiFiを含む無線LAN等の無線により接続してもよい。また企業内部の中央制御装置14と企業外部の制御装置16も専用回線などインターネット以外の回線手段により接続してもよい。射出成形機11の配置された企業のパーソナルコンピュータ14aにおいては、履歴情報を直接または前記パーソナルコンピュータ14aを介してサーバに保存するとともに、予備部品の発注を含む在庫確保などを行うことができる。また射出成形機製造メーカ15の側でも情報の受信とともに、予備部品の製造や在庫確保、発送サービス員手配などを行うことができる。

0052

なお本発明は、メンテナンス状態を自動的に射出成形機11から射出成形機製造メーカ15へ送信するものを除外するものではないが、本実施形態では次の理由によりメーカ連絡ボタン33を設け、表示装置30等を見たオペレータが前記表示装置30または別の装置である中央制御装置14からメンテナンス状態を送信許可した場合のみ射出成形機製造メーカ15へ送信がなされるようになっている。即ち射出成形機11を作動させ成形を行っている成形メーカでは全てのデータが自動的に射出成形機製造メーカ15に送られることへの抵抗感がある場合が多い。また初期の軽度な異常の予兆が報知された状態では予備部品があれば射出成形機製造メーカ15に連絡が不要の場合もある。更には通信回数を制限することによりウイルス感染データ漏えいなどの可能性も更に低くすることができるためである。

0053

また表示装置30に表示された第1のメッセージAに対してオペレータがメーカ連絡ボタン33を押さないで、射出成形機11からONの信号が送信されない場合は(s14=N)は、射出成形機製造メーカ15への連絡は行われない。この場合社内の中央制御装置14にデータが送られるようにしてもよく、射出成形機11内だけでデータが履歴として蓄積されるようにしてもよい。そして次に成形完了したか(s8)の判断が行われ、上記した(s9)、(s10)、(s11)、の積算値Nの演算のステップを経て次の成形サイクルに移行する。

0054

またステップ(s12)においてメンテナンス指標値Mがmb以上である場合(s12=N)は、次に(s16)においてmb≦M<mcの判断がなされる。ステップ(s16)に移行するのは、既に第1のメッセージAが報知済であり更にメンテナンス指標値Mに積算値Nが加算されたケースおよびメンテナンス指標値Mに非定常値V1が加算されたケースと、図2に示されるように非定常値Vを1以外の従量値を使用していて、メンテナンス指標値Mと非定常値V2aを加算した結果、演算されたメンテナンス指標値Mがいきなりmb以上となったケースである。そしてメンテナンス指標値Mがmb以上であってmcよりも小さい場合(s16=Y)、射出成形機11の表示装置30に第2のメッセージBの表示(報知)がなされる(s17)。第2のメッセージBの表示は初回にmb≦M<mcの範囲となったときだけ表示され、オペレータが消去するまで表示が継続される。

0055

第2のメッセージBについては、軽度の異常の存在を連絡するものであり、一例として次のような報知がなされる。
「逆流防止弁の交換を推奨します。」「逆流防止弁の点検の必要があります。」
また前記報知についても、音声によるものやプリンタから文字が打ち出されるものでもよく、そられのうち少なくとも二つの組み合せであってもよい。また前記報知は、射出成形機11の側の表示装置30の画面ではなく、通信により工場13内(または企業内)の中央制御装置14のパーソナルコンピュータ14aの画面に表示されるものでもよい。

0056

第2のメッセージBについても第1のメッセージAの場合と同様に、表示装置30にメーカ連絡ボタン33が表示され、オペレータの操作によりメーカ連絡ボタンが押され、ON信号が送信された際(s18=Y)には射出成形機11のメンテナンス情報は、インターネット等の回線32により射出成形機製造メーカ15等、企業外部のパーソナルコンピュータに転送される(s19)。また送信されない場合であってオペレータが成形数量成形完了等により装置を停止させない場合(s8=N)には成形を継続する。即ちメンテナンス指標値がmb≦M<mcの範囲内の値を示している場合、直ちに射出成形機11の完全な故障、成形不良、オペレータへの危険等のいずれかに繋がるものではないので、自動的には射出成形機11は停止させず、予め設定した生産個数分の成形を継続してもよい。

0057

またステップ(s16)においてMがmc以上である場合(s16=N)は、次に(s20)において表示装置30に異常が発生したことを示すメッセージCとメーカ連絡ボタン33を表示(報知)する。ステップ(s20)に移行するのは、既に第2のメッセージBが報知済であり更に積算値Nを含むメンテナンス指標値Mに非定常値V1が加算されたケースと、図2に示されるように非定常値の換算値に従量値を使用していてメンテナンス指標値Mと非定常値の換算値V2bを加算した結果、演算された新しいメンテナンス指標値Mがいきなりmc以上となった場合である。そして異常値が検出されると射出成形機11は、即時またはその成形サイクルが完了するまで成形を行ってから停止される。なお成形品の重量を検出して行われる逆流防止弁の異常検出に際しては、非定常値Vが検出された回数を固定的な換算値として加算する方式でもよいが、サーボモータの電流値を検出してサーボモータや可動部の異常を検出する場合などでは、非定常値の換算値Vは従量値として、異常値が検出された場合には射出成形機11を非常停止させることが望ましい。

0058

異常停止が報知された場合についても、第1のメッセージA、第2のメッセージBの場合と同様に、表示装置30にメーカ連絡ボタン33が表示され、オペレータの操作により、メーカ連絡ボタンが押されON信号が送信された際(s21=Y)には射出成形機11の異常を含むメンテナンス情報は、インターネット等の回線32により射出成形機製造メーカ15等、企業外部のパーソナルコンピュータに転送される(s22)。また前記転送の有無にかかわらず、(s8)のステップへは進まずそのまま成形サイクルは終了となる。なお本実施形態の図3のフローチャートでは、メンテナンス指標値Mに基づく報知は、部品の準備等を推奨する第1のメッセージAと、部品の交換を推奨する第2のメッセージBと、異常を報知し装置を停止させるメッセージCの3段階となっている。しかし各部分または各部品ごとにメッセージの段階数は、複数の段階の閾値に対応して異なるメンテナンス状態の報知がなされるものであればよく、2段階ないし4段階など段階が異なるようにしてもよい。

0059

なお上記においてメンテナンス指標値Mが所定の閾値であるma,mb、bcになった際(M=ma,M=mb,M=mc)際か、閾値を超えた際(M>ma,M>mb,M>mc)に第1のメッセージA、第2のメッセージB、第3のメッセージCを報知するようにするかは微差であり、いずれの方法でもよい。

0060

本発明は、上記のように各種センサによって検出される非定常値Vを換算した換算値V1と、成形時間(換算成形時間の場合を含む)や成形数といった積算値Nの双方を累積加算等の演算を行って得られるメンテナンス指標値Mが所定の閾値(ma、mb等)となるか閾値(ma、mb等)を超えた際に射出成形機11のメンテナンス状態を報知する。従って射出成形機11を構成する部分または部品の経年変化とセンサから検出される状態変化を加味して射出成形機11の状態を検出、判断、および報知することができる。

0061

次に成形時間または成形サイクル数を諸条件に応じて所定値を乗算し、積算値を換算する例について図4の第2の実施形態の竪型ロータリ射出成形機41の状態報知システムの例で説明する。竪型ロータリ射出成形機41は、特許5518565号などにも記載があるように金型42を取付けた回転盤43がサーボモータ44等の電動機により回転可能に設けられた成形機である。竪型ロータリ射出成形機41は、型締装置45とその両側に設けられた第1の射出装置46と第2の射出装置47から基本的な部分が構成される。型締装置45は、下方に設けられた固定盤48に4本のタイバ49が直立方向に固定され、タイバ49には可動盤50が挿通され、該可動盤50は上下方向に移動可能となっている。そして可動盤50の下面には、回転盤43(ロータリテーブル)が回転自在に取付けられている。そして固定盤48には固定金型42aが取付けられ、回転盤43には可動金型42bが取付けられる。

0062

そして回転盤43の回転はサーボモータ44により行われ、サーボモータ44の駆動軸51に取付けられた歯付プーリ52と回転盤43の外周面歯付部とにわたってタイミングベルト53が掛け渡されている。またサーボモータ44には減速機54が取付けられている。また竪型ロータリ射出成形機41は制御装置56を備えている。制御装置56はサーボモータ44等の駆動を制御するものであり、サーボモータ44のエンコーダ44aやサーボモータ44へ送信される電流値を測定する電流センサを含む各センサに接続されている。また制御装置56はメンテナンス情報などを表示する表示装置57に接続されている。更に制御装置56は、工場内部の中央制御装置58を介して図示しない企業外部の制御装置にも接続されている。

0063

竪型ロータリ射出成形機41の回転盤43に取付けられる金型42は、成形品に応じてそれぞれ重量が異なる場合がある。また回転盤43の回転速度は、必要以上に成形時間が延長されないようにサーボモータ44の能力内で回転盤43がほぼ最速反転または回転されるように制御される。この際の回転盤43の反転等の速度は、加速時と減速時の加速度がサーボモータ44や減速機54の許容範囲内となるようにし、サーボモータ44や減速機54への負荷を軽減している。しかしそれでも最重量の金型42を使用した場合と最軽量の金型42を使用した場合や回転速度(加速度)が異なる場合など、成形条件ごとにサーボモータ44と減速機54への負荷は相違する。

0064

そのため図4の第2の実施形態では、サーボモータ44に送られる電流値からピークトルクを検出し、該ピークトルクを係数値化する。即ちピークトルクが大きくなるにつれて係数値aを大きくする。そして前記係数値aと成形時間Nを乗算して積算値Nに用いる換算時間aNを求める。または前記係数値aと成形サイクル数nを乗算して換算回数である換算成形数の積算値anを求める。このことにサーボモータ44や減速機54の負荷が大きい場合、単なる成形時間Nや成形サイクル数nをそのまま積算値Nとして用いたものよりも、実態の負荷の累積に近い積算値Nとすることができる。

0065

なお図4の第2の実施形態において係数値化に用いるのは、負荷の大きさに応じて数値が変更されるものであればピークトルク以外に、回転盤43の回転時の一部または全部の電流値の合計、金型重量、サーボモータまたは減速機の温度などでもよい。図4の第2の実施形態の場合も前記により演算した換算時間aN等の積算値Nと、センサにより検出される非定常値Vを加算してメンテナンス指標値Mを演算し、装置の状態の報知に使用する。非定常値Vについてはサーボモータ44のピークトルクや電流値全体の乖離や回転完了までの時間の乖離等をそれぞれセンサにより計測し、サーボモータ44や減速機54が新品またはそれに近い状態のときの検出値(定常値)と比較する。

0066

また減速機54については、回転盤43が回転して図示しないストッパに当接された際や図示しない近接スイッチによりカム等が検出された際におけるサーボモータ44のエンコーダ44aの検出値の平常値からの乖離の発生などを検出する。または停止位置において回転盤43を固定するストッパ55を前進させて回転盤43の位置決め孔43aに挿入する際に、テーパー状のストッパ先端側が位置決め孔43aの側面に当たって回転盤43が回ってしまう現象をサーボモータ44のエンコーダ44aにより検出する。これらにより減速機54内の歯車の摩耗などによりバックラッシが大きくなってきていることなどを検出する。これら非定常値Vが検出された際の非定常値の演算方法については上記したように定常値からの乖離に応じた従量値を用いるが望ましい。

0067

なお図4の第2の実施形態の竪型ロータリ射出成形機41の回転盤回転用のサーボモータ44、減速機54、タイミングベルト53などの駆動系についても、センサによる非定常値の検出を受けても特定の1部品の異常の予兆と判断できない場合もある。その場合は、各部品の交換からの積算時間や前回の異常の発生時の記録等も勘案して、異常の予兆が発生した可能性の高い部品順に表示を行ってもよい。図4の異常の報知も基本的には図3のフローチャートと同じでメンテナンス状態に段階を設けた報知を行う。

0068

次に図5図6に示される第3の実施形態の射出成形機および射出成形機の状態報知システムの制御装置について説明する。第3の実施形態の射出成形機の射出装置や型締装置等の機構は、第1の実施形態の射出成形機であっても第2の実施形態の射出成形機であってもよく、射出成形機の機構は限定されない。従って以下の説明において、同一要素または同一機能を有する部分については、図1ないし図3と同一符号を用い、重複する説明は省略する。第3の実施形態では、メンテナンス状態の判断と報知するという技術思想は同じであるが、AI(Artfifical Intelligence)技術を用いてメンテナンス状態の判断と報知をする点に特徴がある。

0069

図5に示されるブロック図は、射出成形機11の制御装置29の演算装置29aに機械学習装置61が搭載された例を概念的に示している。制御装置29は、設定・入力機能を備えた表示装置30や、射出成形機11の各センサにも接続されている。そして制御装置29には前記表示装置30やセンサからの信号を入力する入力部62を備えている。また入力部62は演算装置29aの機械学習装置61に接続されている。

0070

機械学習装置61は、データ入力処理部63、学習部64、学習結果出力部65、重み付け記憶部66aを含む記憶部66等を備えている。ここにおいては記憶部66については制御装置29全体の記憶部も兼ねている。記憶部66には、部品の交換時期や成形時の射出成形機のデータが保存されている。そしてメンテナンス情報を報知する各部品ごとの積算値や非定常値の累積値も保存されている。また制御装置29の演算装置29aは通常の射出成形機11のメンテナンス状態を判断し報知する部分を備えている。具体的には演算装置29aはタイマ67を備えており、タイマ67は積算値演算処理部68に接続されている。更に演算装置29aは、入力部62に接続される非定常値演算処理部69を備えている。そして積算値演算処理部68と非定常値演算処理部69はそれぞれ重み付け修正部70に接続されている。

0071

また重み付け修正部70は、機械学習装置61の記憶部66の重み付け記憶部66aと接続されている。更に重み付け修正部70は、メンテナンス指標値演算部71に接続され、メンテナンス指標値演算部71は、メンテナンス情報報知判断部72に接続されている。そしてメンテナンス情報報知判断部72は、機械学習装置61のデータ入力処理部63および記憶部66と接続され、更には制御装置29の出力部73に接続されている。そして制御装置29の出力部73は、射出成形機11の表示装置30やその他の駆動系のサーボアンプソレノイドなどに接続されている。また出力部73は、場合によっては、工場13内の中央制御装置14や、工場外部の射出成形機製造メーカ15等の外部の制御装置16に接続されている。

0072

次にメンテナンス状態の報知を行う制御装置28の演算部29aと機械学習装置61の各部の機能について説明する。積算値演算処理部68はタイマ67で計時された時間等からメンテナンス状態演算のための積算値Nを生成する。なお前記積算値Nは、射出成形機11の動作状態を加味し、射出成形機11の高負荷状態や劣悪な環境での使用時は一定の係数を乗算するようにしてもよい。また非定常値演算処理部69は、外部のセンサ等から入力部62を介して入力されるデータ信号からメンテナンス状態演算のための非定常値Vを生成する。

0073

これらの積算値Nと非定常値Vは、重み付け修正部70において、それぞれの値に係数値が乗算され、重み付けされた積算値Na、非定常値Vaに修正される。なお重み付けの修正方法は乗算に限定されず他の演算方法であってもよい。積算値Nと非定常値Vに重み付けする際の係数値の演算および修正については、後述する機械学習装置61の説明の部分で説明する。そして重み付けが修正された積算値Naと非定常値Vaは次のメンテナンス指標値演算部71に送られて加算され、メンテナンス指標値Mが生成される。そして次のメンテナンス状態報知判断部72において、記憶部66において記憶されている閾値ma,mb,mcと比較され、軽度な異常の予兆を報知し点検を推奨する第1のメッセージA、軽度な異常の存在を報知し部品の交換を推奨する第2のメッセージB、異常を報知する第3のメッセージCのいずれかのメッセージを出力するか、または未だメンテナンス状態を報知する段階に無いとして何もメッセージを報知しない。

0074

前記メンテナンス状態報知判断部72において前記第1のメッセージA、前記第2のメッセージB、前記第3のメッセージCのいずれかが出力された際、同時か前後してメンテナンス状態報知判断部72からメンテナンス指標値Mとその演算過程を含むデータが、機械学習装置61のデータ入力処理部63に送られる。また記憶部66にも送られて記憶される。

0075

また前記第1のメッセージA、第2のメッセージB、第3のメッセージCのいずれかが出力されたときは、作業者が部品の摩耗等の劣化度チェックを行う。そして最適な時期に第1のメッセージA、第2のメッセージB、第3のメッセージCが出力されていた場合は、作業者が表示装置30から、メッセージの出力その最適であったという情報を入力する。前記入力された情報は、入力部62を介して機械学習装置61のデータ入力処理部63に送られる。そして前記情報は、メンテナンス状態報知判断部72から送られたデータを紐付けされて、第1のメッセージA、第2のメッセージB、第3のメッセージCのいずれかを出すためのメンテナンス指標値(積算値と非定常値の重み付けを含む)が適切であった教師データとされる。

0076

また部品の劣化度をチェックして第1のメッセージA、第2のメッセージB、第3のメッセージCのいずれかがを出す時期が早すぎた場合、遅すぎた場合についても同様に作業者が表示装置30からメッセージAまたはメッセージBを出す時期が最適でなかったという情報を入力する。そして前記前記入力された情報は、機械学習装置61のデータ入力処理部63に送られる。そして前記情報はメンテナンス状態報知判断部72から送られたデータを紐付けされて、第1のメッセージA、第2のメッセージB、第3のメッセージCのいずれかを出すためのメンテナンス指標値(積算値と非定常値の重み付けを含む)が不適切であった教師データとされる。

0077

なお部品の劣化度を作業者の目視により判断する場合、次の段階に進む押しボタン等を用いて情報入力すると作業者の手間が省けて有利である。具体的には第1のメッセージAの場合は、「部品まったく問題なし」、「部品ごく僅かな劣化があるが成形継続可能」、「すぐ部品交換必要」といったボタンを択一的に設けておく。そして作業者が「部品まったく問題なし」のボタンを押した場合はメッセージの表示が早すぎ、「部品ごく僅かな劣化があるが成形継続可能」のボタンを押した場合はメッセージの表示が適切であり、「すぐ部品交換必要」ボタンを押した場合はメッセージの表示が遅すぎるというようにしてもよい。なお部品の劣化度の情報は、複数項目の評価から入手したり、作業者がデータを加工したラベルデータを用いて入手してもよい。更には部品の劣化度の情報は、カメラやセンサを用いて、部品の劣化度を機械的に判断して数値化し、作業者が摩耗度等の判断を行わないようにしてもよい。

0078

なおは点検を推奨する第1のメッセージAが出される前に交換を推奨するすメッセージBが表示された場合の情報や、前記第1のメッセージAや第2のメッセージBが出される前に、異常を示す第3のメッセージCが表示された場合の情報は、作業者の判断を経ることなく自動的に、重み付けされた積算値Nや非定常値Vの情報を含むメンテナンス指標値Mが不適切であった教師データとされる。

0079

そして機械学習装置61のデータ入力処理部63において処理された外部情報は、学習部64に送られ、図6に示されるように学習部64において脳の神経回路仕組みを模倣したニューラルネットワークを用いて主に教師あり学習が行われる。具体的には重み付けされた積算値Nや非定常値Vの情報を含むメンテナンス指標値Mが適切であった教師データと、前記メンテナンス指標値Mが不適切であった教師データは、それぞれニューラルネットワークの入力層から入力される。

0080

そしてニューラルネットワークでは前記各教師データ(どのような積算値Nと非定常値Vの重み付けのときに最適なメッセージ報知がされていたか)を用いて回帰分析がなされ、関数式(一般的には複数の関数式)が導き出される。なお教師あり学習の手法は、回帰分析の他、決定木を用いたものでもよい。前記関数計算式は、そのまま利用される場合もあれば近似式として利用される場合もある。なお図6は、ニューラルネットワークを示すものであり、は、入力層74と出力層75の間に中間層76(隠れ層)を1層だけ備えたものであるが、入力層と出力層の間に複数の中間層(隠れ層)を備え、ディープラーニングを行うものを除外するものではない。特に異常検出または故障予知において学習に用いるデータが少ない場合は機械学習装置61が行う推論を含めたディープラーニングを行うことは望ましい手法である。

0081

そして学習部64では、ニューラルネットワークの関数式を用いて出力層75にメンテナンス指標値の基となる時間等の積算値Nと各センサ等の正常時以外の非定常値Nに重み付けを行うための数値が出力される。即ち本発明では、ニューラルネットワークを用いた機械学習装置61により積算値Nと非定常値Vの重み付けがなされる。この点についてより簡単な例で示せば、ある部品の交換を推奨する第2のメッセージBを出す要素として時間の要素(積算値N)が深くかかわっていることが多数の学習機会から教師あり学習された場合は、積算値Nの重み付けを増加させ、センサ等から検出される非定常値Vの重み付けを減少させる。またはその反対に時間等の積算値Nの関係が少なく、センサ等の検出値(非定常値V)との関係が大きいことが教師あり学習された場合は、センサ等の非定常値Vの重み付けを大きくする。前記重み付けの調整は、複数のセンサ間の関係においても行われるし、非定常値Vの検出回数と非定常値Vの大きさ(度数)との関係においても行われる。また前記の重み付けの調整に応じて、第1のメッセージAおよび第2のメッセージBを報知する際の閾値ma,mb,mcの値自体も変更されることが多い。

0082

そして学習部64のニューラルネットワークを用いて出力層75に出力された学習結果(積算値Nと非定常値Vの重み付けの数値)は、学習結果出力部65を介して記憶部66の中の重み付け記憶部66aに一旦格納される。なお図5のブロック図は、制御装置29および機械学習装置61の機能をあくまで概念的に示すものであって実際の制御は種々の方式が想定される。

0083

次にAIによる教師あり学習を行う機械学習装置61を用いた射出成形機の状態報知方法について更に説明する。機械学習装置61を用いた演算方法についても図2の手法が用いられ、積算値Nと非定常値Vの重み付けに機械学習の結果を活用する。また射出成形機11の状態報知方法のフローチャートについても、図3のフローチャートが用いられる。ただしAIの予知能力が向上している場合は、メッセージは部品の交換を推奨する第2のメッセージBと異常を示す第3のメッセージCの2段階でもよい。

0084

タイマ67等により検出され積算値演算処理部68で数値処理された積算値Nは、機械学習装置61の学習部64において機械学習され記憶部66の重み付け記憶部66aに記憶されたデータに基づき、更に重み付け修正部70で重み付けされ修正が行われる。最初の段階ででは積算値の重み付けは50%以上とすることが好ましい。射出成形機11のセンサにより検出された非定常値演算処理部69で数値処理された非定常値Vも更に重み付け記憶部66aに記憶されたデータに基づき重み付け修正部70で重み付けされ修正が行われる。そして前記修正処理のされた積算値Naと非定常値Vaはメンテナンス指標値演算部71で加算される。そしてメンテナンス情報報知判断部72で記憶部66に記憶された所定の閾値と比較され、閾値となるか閾値ma,mb,mcを超えた際等に射出成形機11のメンテナンス状態を報知する。閾値ma,mb,mcについても機械学習の結果、変更されることが多いことは上記の通りである。

0085

なお前記積算値Nと非定常値Vのそれぞれの重み付けの変更やそれに伴う閾値ma,mb,mcの変更は毎回のメッセージ表示に対応した機械学習ごとに行う。しかし一定数のデータ量を集積してから機械学習を行い、重み付けや閾値を変更してもよい。更にはデータ数が少ない場合は、AIがディープラーニング等により推論も加えて前記積算値Nと非定常値Vのそれぞれの重み付けの変更やそれに伴う閾値の変更をしてもよい。

0086

また上記において機械学習装置61は、ニューラルネットワークを用いて教師あり学習を行うものを中心に記載したがk平均法等の教師なし学習するものを除外するものではない。交換を推奨する必要がある部品の状態をセンサ等により客観的に把握できる場合は教師なし学習も可能である。即ち積算値Nと非定常値Vの値からクラスタリング等によりどのような組み合せのときには部品に問題が発生していて交換を推奨するべきか、またはどのような組み合せのときには部品に問題が発生していなくて交換が不要か分類を作成する。そして前記分類分けが正しいかを更に機械学習装置61を用いて検証することにより機械学習の精度を高めることができる。更には異常を示す第3のメッセージCが射出成形機11から出されたときのデータに対してマイナス報酬を与えることによる強化学習を行い、強化学習によるデータを蓄積することによって故障予知の精度の向上を図るようにするようにしてもよい。

0087

また上記において機械学習装置61は、射出成形機11に設ける例について記載した。しかし射出成形機11単体では、部品の故障予知が必要となる頻度はそれほど高くない。そのため機械学習装置61は、企業内部の中央制御装置の内部、または射出成形機の配置された企業外部の制御装置の内部にを設けるか、企業内部の中央制御装置に直接接続または射出成形機の配置された企業外部の制御装置に直接接続して設けることも好ましい。このように中央制御装置14や外部の制御装置16や外部の制御装置16に機械学習装置61を設けると、各射出成形機11の定常時以外のデータの学習機会が増加し、教師あり学習の機会の増大と精度の向上を図ることができる。また射出成形機11の制御装置29に機械学習装置61が設けられる場合であっても、同一の機種、または同一機種近似する機構を備えていて部品の劣化度が共通する射出成形機11のデータを、他の射出成形機11に入力して利用することも可能である。

0088

そして特に現在の射出成形機では実際に装置(部品)に異常が発生して装置が停止してしまう問題の発生回数が少ないため、AIを用いても異常時の機械学習の機会が少なく故障予知の精度を向上させるのが困難であると言われている。しかし本発明では装置の異常発生のみを検出するのではなく、軽度な異常の予兆を報知する第1のメッセージAや部品の交換を推奨する第2のメッセージBの段階の情報を用いるのでデータ量が多く機械学習の機会が多い。更には上記のように中央制御装置14や外部の制御装置16において多数の射出成形機11のデータを集めることができるのでより一層、機械学習の機会が多くなり、メンテナンス状態の報知の精度が向上する。

0089

なお射出成形機の部品の故障予知は、1つの異常値から複数の部品の異常(点検や交換の必要性を含む)が疑われる場合がある。しかしAIを用いた第3の実施形態では、単数または複数の指令値と単数または複数のセンサの検出値(非定常値V)から複数の部品や箇所のうちのいずれかの交換や点検を推奨する場合も、指令値とセンサの値の組み合わせ、または各センサ間の値のうちどの値の非定常値Vが発生した場合に、どの部品に問題が発生しつつある場合が多かったかを学習し特定することが可能である。または前記部品の特定には、各部品の交換時期からのそれぞれの積算値Nも考慮される。そして幾つかの部品のうち複数の部品に異常が疑われると判断される場合は、部品異常の可能性が高い順にリスト表示してもよい。そして点検した結果、実際に問題のある部品が判明した場合は、そのことを更に機械学習(教師あり学習)させることにより、部品異常の可能性が高い順のリストの精度を高めることができる。

0090

また部品交換の推奨は、部品単品ごとに最適の推奨タイミングだけで捉えて報知するだけではなく、他の要素との関係で部品単品または複数の部品に対して点検推奨や交換推奨の報知を行うようにしてもよい。具体的には部品Aについて交換推奨すべきと判断され報知する際に、部品B,Cが非定常値Vの出現が無いか非定常値Vの出現が少なくて交換推奨する時期よりも少し前であっても同時に交換推奨行う。この際には次のような点が考慮される。交換推奨時期よりも手前の部品を交換してしまうことによるコストアップに対して、部品交換作業の回数や時間などのコスト(作業者の旅費なども含む場合もある)を減らすことによるコストダウンの方が大きい場合は、同時に複数の部品を交換することが合理的である。または射出成形機製造メーカまたは射出成形機を保有する工場における部品在庫数や部品調達に必要な日数等を勘案し、交換部品入手までに時間がかかるものはその日数を加味して部品交換の報知を行うものも好ましいと言える。更には射出成形機の操業を全く停止することができない繁忙状態が来ることが判明している場合についても部品交換推奨のタイミングを早めるなどの措置を一括して講じることも可能である。

0091

そしてこれらのケースでAIを用いる場合は、機械学習における数理計画法を用いて最適化を図ることが望ましい。より具体的には目的関数などの数理モデルを作成し、どういう条件で部品交換に関するコストが最小化されるか等の最適化を図る。なお最適化のためのアルゴリズムとしては特定のアルゴリズムに限定されるものではなく、分枝限定法等の線型計画法、信頼領域法などを用いてもよい。

0092

本発明については、一々列挙はしないが、上記した本実施形態のものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものや本実施形態の各記載を掛け合わせたものについても、適用されることは言うまでもないことである。

0093

また本発明については射出成形機について記載したが、プレス装置ダイアフラムを用いた真空積層装置などのメンテナンス状態を報知にも応用することができる。

0094

11,射出成形機
12 射出成形機の状態報知システム
13工場(射出成形機の配置された企業)
14中央制御装置
15 射出成形機製造メーカ(射出成形機の配置された企業外部)
16,29制御装置
29a演算部(計時手段)
30表示装置
35センサ(検出手段)
N積算値
V非定常値
Mメンテナンス指標値
ma,mb,mc 閾値

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