図面 (/)

技術 万年筆のペン先とインクの供給装置

出願人 池田保男
発明者 池田保男
出願日 2018年9月17日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-173147
公開日 2020年3月26日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-044682
状態 未査定
技術分野 ペン・筆
主要キーワード 追随性能 空気逃げ溝 格子壁 開き特性 拡幅部分 可動筒 連絡流路 開き量
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月26日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (11)

課題

筆圧に応じて切り割の開き量が大きく変化するペン先インク切れを起さない最適なインク供給装置を提供する。

解決手段

格子状隙間部70と周縁弾力部80を有するペン先1と、その凹所2に装着した可撓性の有る舌片13とで、毛細管作用が強く作用する主インク流路25と弱く作用する副インク流路26を形成し、インク表面張力で舌片自由端18はペン先表面3に引き寄せられてペン先可撓部4への追随性を向上し、副インク流路26により交代空気の迅速な流入を可能にしてインク流量の大幅な変動への追随性能を向上し、運筆中のインク切れを防止する。

概要

背景

切り割を持つペン先筆圧に応じて筆跡線幅を大きく変化させるペン先は、フレックスペン又はフレキシブルペンニブと呼ばれており、その線幅変化率は、通常の万年筆が2倍程度であるのに比べて4から6倍であることが知られている。中でも筆圧に鋭敏に応じて線幅を大きく変えるペン先はウエットヌードル(wet noodle)と呼称され、その筆跡は多量に流出したインクで輝いて見える。(非特許文献1、2及び3参照)

筆跡の線幅変化率が大きい事は切り割から筆記先端に流出するインクの流量変化が大きい事であり、万年筆のペン芯に於いては同時に吸い込まれる空気の流量変化も大きく、両者のバランスを常に維持する事が困難であった。古典的な万年筆ではペン先とペン芯の間にインク調整溜まりを設けて均質化する試みが行われているが、極めてゆっくりとした筆記速度の下でしか機能しておらず、扱い方も一般的ではないので限られた人にしか使われていない。またあまり筆圧を掛けずに細線運筆する場合、ペン芯の平均インク流量がフレックスではない普通の万年筆より遥かに多いので、インクが出過ぎている印象を与えやすく、筆跡の乾きも遅い。(非特許文献4:waterman pen parts、及び非特許文献3:Additional Nib Grading Criteria 及びProfessional" nib....参照)

従来のペン芯によるインク供給装置を持つ万年筆では、強い筆圧が加わりペン先の撓み量が大きくなると、ペン芯のペン先接触面からペン先の切り割部が浮き上がり、両者の間に在ったインク膜が軸内のインク貯蔵部の方向に後退したり、破断して筆記不能になるとか、また同時に筆記先端がV字形に開くので、インク膜が開きの少ない方向に逆流して、筆記先端からインクが無くなり筆記不能になる事が起こる。

筆跡の線幅を広げようとして筆圧を増加させると、ペン先は上方に大きく撓むのでペン芯の先端は紙面に接触し汚染の原因となる。ペン芯先端を短縮すると切り割との接触面積縮小してインク切れを発生させるし、切り割を長くして開き量の大きいペン先にするとインク膜の後退が起るという二律背反になるので、ペン芯を使用するフレキシブルな万年筆の線幅変化率は低レベルな物しか実現できない。

一方、ペン軸にペン先を嵌装し、インク瓶にペン先を浸けてペン先の凹所インク滴を付着させて使う所謂ディップペンでは、ペン先弾力部の片持ち梁としての支持部となるハート付近まで切り欠き部を設けて、切り割を含む左右の弾力片が撓み、開きやすいように設計されたペン先があり、フレックス又はフレキシブルペンニブとして多く知られている。(非特許文献2のGallery参照)

ディップペンでは筆圧印加で筆記先端が開くと、ペン先の凹所に張りついていたインクがペン先の開きに応じて紙へ流れ出すが、張り付いているインクの量が少ないうえ、流出量の調節機能がなく多量に消費されてしまう為、文字が書かれている途中でインク切れを起す事が多い。

筆記中に頻繁にインク瓶にペン先を浸す不便を解消しようとして、万年筆のペン先に替えて、ディップペン先を装着する試みが行われるが、前述のように万年筆のペン芯は撓み量が少なく、開き量の変化の少ない、かつ、インク流量変化の少ないペン先に合わせたものであるので、撓み量や開き量の変化が大きく、インク流量変化の激しいこの用途には対応できず、インク切れを発生し連続した筆記が出来ない。

またディップ方式のペン先は元来、ペン芯を用いる事は考慮されておらず,筆圧変化に応じて字幅が変化するフレキシブル万年筆を実現する為には、筆圧変化に応じて筆記先端の開き量が変化し易い特性の有るペン先と、開き量に比例して増減するインク流量に敏感に反応するインク供給装置と、そのインク供給装置の筆記先端側の部分が大きく撓んだ筆記先端から離れて紙面を汚染しない構造が必要になる。

概要

筆圧に応じて切り割の開き量が大きく変化するペン先とインク切れを起さない最適なインク供給装置を提供する。格子状隙間部70と周縁弾力部80を有するペン先1と、その凹所2に装着した可撓性の有る舌片13とで、毛細管作用が強く作用する主インク流路25と弱く作用する副インク流路26を形成し、インクの表面張力で舌片自由端18はペン先表面3に引き寄せられてペン先可撓部4への追随性を向上し、副インク流路26により交代空気の迅速な流入を可能にしてインク流量の大幅な変動への追随性能を向上し、運筆中のインク切れを防止する。

目的

Wikipedia Flex nib (https://en.wikipedia.org/wiki/Flex_nib)
Wikipedia Nib (pen) (https://en.wikipedia.org/wiki/Nib_(pen))
Grading Flexible Nibs (http://www.vintagepen.net/grading-flex-nibs.html)
Fine Vintage Writing Instruments (http://www.fivestarpens.com/waterman-pen-parts.html)






筆圧の変化に応じて筆記先端が開きやすいペン先と、紙面に近い筆記角度でペン先が大きく撓んでもインクの供給装置が紙面に触れる事がなく、筆記先端の開き量に応じてインク切れを起さずペン先に安定したインクを供給するインク供給装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ペン先は、筆記先端切り割と格子状隙間部と周縁弾力部を含むペン先可撓部とペン先体幹部を有して凹所を形成し、筆記先端からペン先可撓部を通ってペン先体幹部に至る切り割を有し、格子状隙間部はインク毛細管作用が作用する複数の隙間で構成され、複数の隙間はペン先軸線近傍からペン先周縁近傍に配設されてペン先周縁との間に周縁弾力部を形成し、ペン先の凹所には可撓性の有る薄片状の舌片を配設し、舌片周縁部とペン先表面とを近接又は接触させて舌片上面と舌片周縁部とペン先表面との間にインク流路を形成し、インク流路は、舌片上面と舌片周縁部とペン先表面との間に楔形主インク流路と、更に舌片上面とペン先表面との間に舌片軸線とペン先軸線に添って副インク流路を形成し、インク流路はペン先固定部から筆記先端に向かうに従ってインク流路の厚さを縮小して構成されたペン先とインクの供給装置

技術分野

0001

この発明は、筆圧の変化で筆跡線幅が変化するペン先と、そのインク供給装置に関する。

背景技術

0002

切り割を持つペン先で筆圧に応じて筆跡の線幅を大きく変化させるペン先は、フレックスペン又はフレキシブルペンニブと呼ばれており、その線幅変化率は、通常の万年筆が2倍程度であるのに比べて4から6倍であることが知られている。中でも筆圧に鋭敏に応じて線幅を大きく変えるペン先はウエットヌードル(wet noodle)と呼称され、その筆跡は多量に流出したインクで輝いて見える。(非特許文献1、2及び3参照)

0003

筆跡の線幅変化率が大きい事は切り割から筆記先端に流出するインクの流量変化が大きい事であり、万年筆のペン芯に於いては同時に吸い込まれる空気の流量変化も大きく、両者のバランスを常に維持する事が困難であった。古典的な万年筆ではペン先とペン芯の間にインク調整溜まりを設けて均質化する試みが行われているが、極めてゆっくりとした筆記速度の下でしか機能しておらず、扱い方も一般的ではないので限られた人にしか使われていない。またあまり筆圧を掛けずに細線運筆する場合、ペン芯の平均インク流量がフレックスではない普通の万年筆より遥かに多いので、インクが出過ぎている印象を与えやすく、筆跡の乾きも遅い。(非特許文献4:waterman pen parts、及び非特許文献3:Additional Nib Grading Criteria 及びProfessional" nib....参照)

0004

従来のペン芯によるインク供給装置を持つ万年筆では、強い筆圧が加わりペン先の撓み量が大きくなると、ペン芯のペン先接触面からペン先の切り割部が浮き上がり、両者の間に在ったインク膜が軸内のインク貯蔵部の方向に後退したり、破断して筆記不能になるとか、また同時に筆記先端がV字形に開くので、インク膜が開きの少ない方向に逆流して、筆記先端からインクが無くなり筆記不能になる事が起こる。

0005

筆跡の線幅を広げようとして筆圧を増加させると、ペン先は上方に大きく撓むのでペン芯の先端は紙面に接触し汚染の原因となる。ペン芯先端を短縮すると切り割との接触面積縮小してインク切れを発生させるし、切り割を長くして開き量の大きいペン先にするとインク膜の後退が起るという二律背反になるので、ペン芯を使用するフレキシブルな万年筆の線幅変化率は低レベルな物しか実現できない。

0006

一方、ペン軸にペン先を嵌装し、インク瓶にペン先を浸けてペン先の凹所インク滴を付着させて使う所謂ディップペンでは、ペン先弾力部の片持ち梁としての支持部となるハート付近まで切り欠き部を設けて、切り割を含む左右の弾力片が撓み、開きやすいように設計されたペン先があり、フレックス又はフレキシブルペンニブとして多く知られている。(非特許文献2のGallery参照)

0007

ディップペンでは筆圧印加で筆記先端が開くと、ペン先の凹所に張りついていたインクがペン先の開きに応じて紙へ流れ出すが、張り付いているインクの量が少ないうえ、流出量の調節機能がなく多量に消費されてしまう為、文字が書かれている途中でインク切れを起す事が多い。

0008

筆記中に頻繁にインク瓶にペン先を浸す不便を解消しようとして、万年筆のペン先に替えて、ディップペン先を装着する試みが行われるが、前述のように万年筆のペン芯は撓み量が少なく、開き量の変化の少ない、かつ、インク流量変化の少ないペン先に合わせたものであるので、撓み量や開き量の変化が大きく、インク流量変化の激しいこの用途には対応できず、インク切れを発生し連続した筆記が出来ない。

0009

またディップ方式のペン先は元来、ペン芯を用いる事は考慮されておらず,筆圧変化に応じて字幅が変化するフレキシブル万年筆を実現する為には、筆圧変化に応じて筆記先端の開き量が変化し易い特性の有るペン先と、開き量に比例して増減するインク流量に敏感に反応するインク供給装置と、そのインク供給装置の筆記先端側の部分が大きく撓んだ筆記先端から離れて紙面を汚染しない構造が必要になる。

先行技術

0010

Wikipedia Flex nib (https://en.wikipedia.org/wiki/Flex_nib)
Wikipedia Nib (pen) (https://en.wikipedia.org/wiki/Nib_(pen))
Grading Flexible Nibs (http://www.vintagepen.net/grading-flex-nibs.html)
Fine Vintage Writing Instruments (http://www.fivestarpens.com/waterman-pen-parts.html)

発明が解決しようとする課題

0011

筆圧の変化に応じて筆記先端が開きやすいペン先と、紙面に近い筆記角度でペン先が大きく撓んでもインクの供給装置が紙面に触れる事がなく、筆記先端の開き量に応じてインク切れを起さずペン先に安定したインクを供給するインク供給装置を提供する。

課題を解決するための手段

0012

ペン先は、筆記先端と切り割と格子状隙間部と周縁弾力部を含むペン先可撓部とペン先体幹部を有して凹所を形成し、筆記先端からペン先可撓部を通ってペン先体幹部に至る切り割を有し、格子状隙間部はインクの毛細管作用が作用する複数の隙間で構成されてペン先軸線近傍からペン先周縁近傍に配設されてペン先周縁との間に周縁弾力部を形成し、ペン先の凹所には可撓性の有る薄片状の舌片を配設し、舌片周縁部とペン先表面とを近接又は接触させて舌片上面と舌片周縁部とペン先表面との間にインク流路を形成し、インク流路は、舌片上面と舌片周縁部とペン先表面との間にインクの毛細管作用が強く作用する楔形主インク流路と、更に舌片上面とペン先表面との間に、舌片軸線とペン先軸線に沿ってインクの毛細管作用が弱く作用する副インク流路とを形成し、インク流路はペン先固定部から筆記先端に向かうに従ってインク流路の厚さを縮小して構成されたペン先とインクの供給装置とする。

発明の効果

0013

薄片状の舌片により筆記先端の極めて近くまでインク流路を確保する事が出来るので、紙面に近い筆記角度で使用しても舌片の先端やペン芯先端が紙面に接触せず、筆跡を汚す事がない。更に、筆記角度の変化や筆圧の変化、筆記速度の変化、ペン先を捩るような力の変化が加えられつつ連続した運筆が行われても、インク切れを起さず、ペン先にインク膜が安定して存在し続けるので、運筆に専念して抑揚豊かな筆跡を連続して書く事が出来る。また、ペン先を裏返して凹所を上にして筆記すると、極めて開きやすいペン先であっても開きの変化を生じないので、筆圧に反応しない、線幅一定の筆跡を得る事が出来るなど多機能な万年筆を提供する事が出来る。

図面の簡単な説明

0014

格子状隙間部と周縁弾力部とからなるペン先可撓部を持つ、第1実施例のペン先の平面図。
舌片固定部をペン芯の舌片位置決め溝に装着し、舌片上面側から見たペン芯組立体の平面図。
図1のペン先をペン芯組立体の所定位置に重ね合わせた状態のペン組立体の平面図。
ペン組立体の縦断面図。
ペン組立体を首部筒に装着し、インク貯蔵部と軸筒を取り付けた状態の縦断面図。
図3のA−A線部分の拡大断面図。
図3のA−A線部分の断面にインクが介在した時のインク膜の状態を示す拡大断面図。
筆圧が印可され軸筒が捩られた状態で、図3のA−A線部分の断面にインクが介在した時のインク膜の状態の一例を示す拡大断面図。
図3のB−B線部分の隙間の拡大断面図。
格子状隙間部の他の形状を示す第2実施例のペン先の平面図。

実施例

0015

図1に於いて、第1実施例のペン先1は曲率の異なる形状を組み合わせて成形した筒型の一部で凹所2を形成し、筆記先端7と、切り割6の一部分を拡幅したハート孔8を含む切り割6と、格子状隙間部70と周縁弾力部80から成るペン先可撓部4を形成し、格子状隙間部70はインクの表面張力が作用して外界の空気との間にインク膜を形成できる程度の幅を持った複数の隙間73で、その外端731はペン先周縁102との間に、周縁弾力部80を形成し、その内端732は切り割6と軸線上で繋がっている。

0016

格子状隙間部70は、片持ち梁として機能するペン先可撓部4を分断して、隙間部分の断面2次モーメントを減少させて筆記先端7をより少ない筆圧で開きやすくさせると同時に、周縁弾力部80の断面2次モーメントの影響を相対的に増大させることにより、筆記先端7をより開きやすくする効果を生む

0017

図2は舌片13とペン芯31とを組み立てた状態を示すペン芯組立体35で、舌片13は柔軟で薄い肉厚金属箔合成樹脂フィルムなどの材料を用いてインクの表面張力程度の弱い力の作用でよく撓む片持ち梁として作動する舌片可撓部20と、ペン芯31に固定する為の舌片固定部21を有している。舌片可撓部20は概略平面を保ったまま図4に示すように傾斜角12をもってペン先1の凹所2と接触した時に、舌片周縁部16がペン先表面3と概略接触する形状に成形されている。

0018

ペン芯31には舌片固定部21を定位置に取り付ける為の位置決め溝34と段差55を設けてあり、ペン芯上面41は、筆記先端7方向に向かうに従ってペン芯自体の厚みを増すように傾斜が付けられ、位置決め溝34にも同じ傾斜が付けられているので、舌片13はこの傾斜を保ってペン先表面3に相対している。

0019

図4に示すペン芯31の段差55は舌片固定部21をペン芯31の位置決め溝34に固定した時に、舌片可撓部20の舌片下面15との間に舌片下面空間23を形成して、インク膜の生成を阻害する。仮にこの段差がない場合には、ペン先可撓部4が上方に変位すると、舌片下面15側に浸出したインクの表面張力によって舌片可撓部20がペン芯31に同時に張り付くので、舌片可撓部20がペン先表面3へ引き寄せられる力を減少させてしまう現象が起るので、これを防止する。

0020

図3図1のペン先1をペン芯組立体35の所定の位置に重ね合わせた状態であるペン組立体45を示し、図4はその縦断面図であり、ペン先1の凹所2のペン先表面3と舌片上面14とで形成された空間はインク流路11を形成する。

0021

図5はペン組立体45を万年筆の首部筒36に装着した状態を示し、インク流路11は、首部筒36の内面とペン芯上面41とで形成される空間であるインク連絡流路39に連通し、さらにインク貯蔵部38と繋がっている。

0022

図6図3のペン組立体45のA−A線部分の断面を示す。インク流路11は、ペン先表面3と舌片上面14と舌片周縁部16で楔形でインクの毛細管作用が強く作用する主インク流路25と、舌片上面14を通る舌片軸線131とペン先軸線101に添った大きな空間で、主インク流路25よりも毛細管作用が弱く作用する副インク流路26とを形成し、このインク流路11はペン先固定部10から筆記先端7に向かうに従って、インク流路11の厚さを減じ、舌片自由端部18はペン先表面3に概略接触している。そのためインク流路11内に入った気泡40は主インク流路25のインク流を妨げる事がなく、副インク流路26に集まる傾向を生む。

0023

ペン先1の格子状隙間部70は、インク流路11がインクで満たされるとインクが侵入し、外界の空気との間でインク膜を形成し、副インク流路26に空気が侵入する事があっても主インク流路25に生成するインク膜と繋がっているので、楔形の主インク流路25のインクによるインク流路11の濡れを補い、副インク流路26の再生に寄与する。特に運筆中の格子状隙間部70は、紙の上を滑る筆記先端7の振動激しく伝わる為、その隙間73の幅が常に変化しており、隙間73に隣り合っている格子壁74同士も上下に振動しているので、インク流量変化の緩衝機能があり副インク流路26の再生が早い特徴がある。

0024

運筆で流出したインク量により発生するインク貯蔵部38内の気圧の減少によって流入する交代空気の気泡40は、ハート孔8から副インク流路26に吸い込まれ、インク連絡流路39を通ってインク貯蔵部38に達する。ハート孔8からインク貯蔵部38に進むに従って気泡40の体積は徐々に拡大するが、ペン芯上面41との傾斜角12と、インク流路11とインク連絡流路39の断面積漸次拡大するので、気泡40はインク流路11を閉塞することなく、速やかにインク貯蔵部38に到達する。この交代空気の速い上昇効果でインク貯蔵部38内の気圧が直ちに平衡状態に達し、次の瞬間に筆跡幅が急拡大するような筆圧が印可された時も、インク貯蔵部38内の気圧平衡遅れや、インク流路閉塞によるインクの出りを原因とする筆跡の掠れが発生せず、連続的な速書きにも十分に適応する事が出来る。

0025

図7は万年筆として組み立てた後、図6に示した断面にインクが介在した様子を示し、舌片周縁部16から漏れ出たインクは凹所2のペン先表面3と外気の間でインク膜27を生成し、切り割6にインク膜28を生成する事で、これらのインク膜の表面張力により舌片可撓部20はペン先可撓部4に常に引き付けられ、ペン先可撓部4が変位してもインク流路11はその形を変えながらも存続し、連続した運筆を可能にする。

0026

運筆中の万年筆の軸筒には筆記圧に加えて捩る力も作用していて、特に筆圧変化で筆跡の線幅を変化させる運筆時に於いて顕著であるが、その状態の一例を図8に示す。ペン先右側可撓部82が右側舌片周縁部162から離脱する方向に変位し、切り割6にあったインク膜28が引き伸ばされて左側インク膜29と右側インク膜30となってインク流路11が分断された瞬間を示している。この時、ペン先表面3と舌片周縁部16と外気とに生成するインク膜27の右側のインク膜272は引き伸ばされ、副インク流路262を形成したインク膜30とで右側のインク流路が確保されると同時に、これらのインク膜に作用している表面張力によって舌片13はペン先1に引き寄せられる。

0027

時には左側インク膜29と右側インク膜30との間が切れて、舌片上面14が露出し右側インク膜30が潜入インク膜24の位置にずれ、主インク流路25、副インク流路26、インク膜27の各右側部分は、右側主インク流路252、右側副インク流路262、インク膜272で示した形になるが、常にこれらのインクの表面張力がペン先可撓部4と舌片可撓部20を引き寄せる形となり、インク流路11は安定的に確保される。

0028

左右の筆記先端に供給されるインクの状態は、運筆中の筆記先端の動きが激しい中で、このような状態の繰り返しであり、可撓性の高い舌片とインクの表面張力との連動によって、舌片13がペン先可撓部4の動きに追随し、筆記先端と紙面との接触点で確実なインクの受け渡しが行われ筆跡の線割れの発生を防ぐ事が出来る。

0029

図9図3のB−B線部分の隙間73の拡大断面図で、隙間の外端731は、ペン先外表面301と外交点7310及び、ペン先内表面302と内交点7312を結ぶ、隙間底面7300を形成している。隙間底面7300は外交点7310でペン先外表面301と傾斜して設けられている。

0030

この傾斜を設けることにより、主インク流路25のインクが減少して副インク流路26に外気が侵入し、インク膜が内交点7312と舌片上面14の潜入交点1425まで潜入して、内交点インク膜247となる場合に、主インク流路25のインク容量を確保しながら周縁弾力部80の断面2次モーメントを可能な限り減少させる事が出来るので、内交点7312でペン先内表面302に対し隙間底面7300を垂直に設ける場合よりも筆記先端が撓み易く、開きやすいペン先とする事が出来る。

0031

図10は格子状隙間部70の他の形態を示すペン先1の第2実施例で、ペン先1の軸線方向に長く伸びた、切り割6の拡幅部分であるハート孔8と、ペン先軸線101に平行、或いは平行に近い傾きで隙間75を左右対称に配置して格子状隙間部70と周縁弾力部80を形成したものである。第1実施例のペン先と比較して軸筒が捩られた時の片持ち梁としての剛性が高く、左右方向に高速で運筆した時の、紙との間で発生する筆記先端の振動によるインク滴の飛散を防ぐ為のペン先可撓部4の剛性を確保する事が出来、少ない筆記角度で使用されることが多いペンで絵を描く用途に適している。

0032

第1及び第2実施例に示したペン先体幹部9はペン先固定部10を含んでいる。ペン先1に占めるペン先可撓部4の割合が小さい大型のペン先では、首部筒36内にペン芯31と共に固定される、或いはペン芯31に固定されるペン先固定部10のペン先体幹部9に占める割合も小さくなり、小型のペン先では同じものになる。

0033

またペン先可撓部4は筆記先端7から切り割6、格子状隙間部70、周縁弾力部80、ハート孔8を含んで構成されるが、ペン先1の成形形状によってはペン先体幹部9の一部分も筆圧で弾性変形するものがあるので、ペン先可撓部4の範囲は、これらの構成要素に限定されない。

0034

格子状隙間部70を設ける事は、ペン先可撓部4の撓み、開き特性に周縁弾力部80の断面2次モーメントの影響を増大させるためのものであるので、格子状隙間部70の形状は前述したものに限られず、隙間73(第1実施例)や隙間75(第2実施例)の形状や配置の間隔等は、ペン先1の形状によって撓み易くする部分や開きやすくする部分などを決める時の、ペン先可撓部4の設計の自由度の中に含まれる。

0035

また、ペン先1の上面からインクの蒸発や、飛散を防止する為に、ペン先可撓部4のペン先1の上方への変位を邪魔しない範囲で覆いとなる軟質で薄い肉厚の舌片状カバーなどを装着する事も出来る。このカバーにも撓み易くする為や交代空気の導入の為に、しわ状の凹凸や、切れ目やハート孔を設ける事が有用である。

0036

また更には、首部筒先部外側にネジを設け、これに螺合する筒を回転させて軸方向に前後動させ、過大な筆圧印加時に筒先端の内側面が、変位して幅が広がったペン先可撓部の一部分に当接し、更なる広がりを防止する働きを持つ、筆跡の線幅を調節する為の可動筒を設ける事も出来る。

0037

1.ペン先
101.ペン先軸線
102.ペン先周縁
2.凹所
3.ペン先表面
301.ペン先外表面
302.ペン先内表面
4.ペン先可撓部
6.切り割
7.筆記先端
8.ハート孔
9.ペン先体幹部
10.ペン先固定部
11.インク流路
12.傾斜角
13.舌片
131.舌片軸線
14.舌片上面
1425.潜入交点(7312と14の交点)
15.舌片下面
16.舌片周縁部
161.左側舌片周縁部
162.右側舌片周縁部
18.舌片自由端
20.舌片可撓部
21.舌片固定部
23.舌片下面空間
24.潜入インク膜
247.内交点インク膜(内交点7312に於ける潜入インク膜)
25.主インク流路
251.左側主インク流路
252.右側主インク流路
26.副インク流路
261.左側副インク流路
262.右側副インク流路
27.ペン先表面3と舌片周縁部16と外気とに生成するインク膜
271.27の左側インク膜
272.27の右側インク膜
28.切り割6と舌片上面14とに生成するインク膜
29.28の左側のインク膜
30.28の右側のインク膜
31.ペン芯
34.位置決め溝
35.ペン芯組立体
36.首部筒
37.軸筒
38.インク貯蔵部
39.インク連絡流路
40.交代空気の気泡
41.ペン芯上面
45.ペン組立体
47.空気逃げ溝
48.櫛溝
55.段差
70.格子状隙間部
73.隙間
7300.隙間底面
731.隙間の外端(第1実施例)
7310.外交点(隙間の外端731とペン先外表面311との交点)
7312.内交点(隙間の外端731とペン先内表面312との交点)
732.隙間の内端(第1実施例)
74.格子壁
75.隙間(第2実施例)
751.隙間の外端(第2実施例)
752.隙間の内側(第2実施例)
80.周縁弾力部
81.ペン先左側可撓部
82.ペン先右側可撓部

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 杭州簡い科技有限公司の「 回転係止ペン」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】筆記をするときに、片手で、かつ握持姿勢を変えることなく、快速に操作できる回転係止ペンを提供する。【解決手段】回転係止ペンは、バネを内部に有する軸筒前部1と、該軸筒前部1に相対回転可能に接続され... 詳細

  • 上海馳尊文具有限公司の「 自動的にインクを吸い取ることができる万年筆」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】本発明は自動的にインクを吸い取ることができる万年筆を開示した。【解決手段】ペン軸を含み、前記ペン軸の中にはインク貯蔵チャンバが設けられ、前記インク貯蔵チャンバの上側内壁の中にはリールチャンバが... 詳細

  • テイボー株式会社の「 筆先及び筆先を備える液体塗布具」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】繊維の種類、繊維の化学構造、繊維の径、捲縮度合い、変形後の回復度合い等の面において、筆先の繊維として柔軟性がある筆先、及び、該筆先を備えた液体塗布具を提供する。【解決手段】20%伸長回復率が5... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ