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技術 接合方法及び複合圧延材の製造方法

出願人 日本軽金属株式会社
発明者 堀久司
出願日 2018年9月18日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-174167
公開日 2020年3月26日 (8ヶ月経過) 公開番号 2020-044545
状態 未査定
技術分野 圧接、拡散接合
主要キーワード 傾斜角度γ 銅合金部材 段差側面 実施例形態 銅部材 両金属部材 接線速度 複合圧延
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月26日)のものです。
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図面 (12)

課題

異なる種類の金属部材を好適に接合することができる接合方法及び複合圧延材の製造方法を提供することを課題とする。

解決手段

回転する回転ツールFを第一金属部材1の表面1bのみから挿入するとともに、攪拌ピンF2のみを少なくとも第一金属部材1に接触させた状態で突合せ部Jに沿って回転ツールFを相対移動させて第一金属部材1と第二金属部材2とを接合する接合工程と、を含み、接合工程では、回転ツールFの回転中心軸Cの鉛直面に対する傾斜角度をγとし、傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβとし、攪拌ピンF2の外周面の回転中心軸Cに対する傾斜角度をαとすると、γ=α−βにした状態で接合を行うことを特徴とする。

概要

背景

例えば、特許文献1には、材料の異なる金属部材同士回転ツール摩擦攪拌接合する技術が開示されている。

概要

異なる種類の金属部材を好適に接合することができる接合方法及び複合圧延材の製造方法を提供することを課題とする。回転する回転ツールFを第一金属部材1の表面1bのみから挿入するとともに、攪拌ピンF2のみを少なくとも第一金属部材1に接触させた状態で突合せ部Jに沿って回転ツールFを相対移動させて第一金属部材1と第二金属部材2とを接合する接合工程と、を含み、接合工程では、回転ツールFの回転中心軸Cの鉛直面に対する傾斜角度をγとし、傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβとし、攪拌ピンF2の外周面の回転中心軸Cに対する傾斜角度をαとすると、γ=α−βにした状態で接合を行うことを特徴とする。

目的

本発明は、異なる種類の金属部材を容易に接合することができる接合方法及び複合圧延材の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

先細り攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて材料の異なる一対の金属部材接合する接合方法であって、端部に垂直面を備えた第一金属部材と、端部に傾斜面を備え前記第一金属部材よりも融点が高く板厚が小さい第二金属部材と、を準備する準備工程と、前記第一金属部材と前記第二金属部材の端部同士を突き合わせてV字状の隙間を備えた突合せ部を形成する突合せ工程と、回転する前記回転ツールを前記第一金属部材の表面のみから挿入するとともに、前記攪拌ピンのみを少なくとも前記第一金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に沿って前記回転ツールを相対移動させて前記第一金属部材と前記第二金属部材とを接合する接合工程と、を含み、前記接合工程では、前記回転ツールの回転中心軸の鉛直面に対する傾斜角度をγとし、前記傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβとし、前記攪拌ピンの外周面の前記回転中心軸に対する傾斜角度をαとすると、γ=α−βにした状態で接合を行うことを特徴とする接合方法。

請求項2

前記突合せ工程では、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の裏面同士を面一とした状態で前記第一金属部材と前記第二金属部材とを突き合わせることを特徴とする請求項1に記載の接合方法。

請求項3

前記突合せ工程では、前記第一金属部材の裏面が前記第二金属部材の裏面よりも低い位置となり、前記第一金属部材の表面が前記第二金属部材の表面よりも高い位置となるように前記第一金属部材と前記第二金属部材とを突き合わせ、前記接合工程では、攪拌ピンの先端が前記第二金属部材の裏面の高さよりも下に位置するように前記攪拌ピンの挿入深さを設定することを特徴とする請求項1に記載の接合方法。

請求項4

前記接合工程では、前記回転ツールの移動軌跡に形成される塑性化領域のうち、前記第二金属部材側がシアー側となり、前記第一金属部材側がフロー側となるように前記回転ツールの回転方向及び進行方法を設定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の接合方法。

請求項5

前記準備工程では、前記第一金属部材をアルミニウム又はアルミニウム合金を形成し、前記第二金属部材を銅又は銅合金で形成し、前記接合工程では、前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材のみに接触させた状態で前記突合せ部に沿って前記回転ツールを相対移動させて前記第一金属部材と前記第二金属部材とを接合することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の接合方法。

請求項6

前記接合工程では、前記回転ツールの外周面に基端から先端に向うにつれて左回り螺旋溝刻設した場合、前記回転ツールを右回転させ、前記回転ツールの外周面に基端から先端に向うにつれて右回りの螺旋溝を刻設した場合、前記回転ツールを左回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の接合方法。

請求項7

材料の異なる一対の金属部材で形成された複合圧延材の製造方法であって、端部に垂直面を備えた第一金属部材と、端部に傾斜面を備え前記第一金属部材よりも融点が高く板厚が小さい第二金属部材と、先細りの攪拌ピンを備えた回転ツールと、を準備する準備工程と、前記第一金属部材と前記第二金属部材の端部同士を突き合わせてV字状の隙間を備えた突合せ部を形成する突合せ工程と、回転する前記回転ツールを前記第一金属部材の表面のみから挿入するとともに、前記攪拌ピンのみを少なくとも前記第一金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に沿って前記回転ツールを相対移動させて前記第一金属部材と前記第二金属部材とを接合する接合工程と、前記接合工程で接合された前記金属部材同士を、接合線圧延方向として圧延する圧延工程と、を含み、前記接合工程では、前記回転ツールの回転中心軸の鉛直面に対する傾斜角度をγとし、前記傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβとし、前記攪拌ピンの外周面の前記回転中心軸に対する傾斜角度をαとすると、γ=α−βにした状態で接合を行うことを特徴とする複合圧延材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、接合方法及び複合圧延材の製造方法に関する。

背景技術

0002

例えば、特許文献1には、材料の異なる金属部材同士回転ツール摩擦攪拌接合する技術が開示されている。

先行技術

0003

特開2016−150380号公報

発明が解決しようとする課題

0004

従来の接合方法では、第一金属部材及び第二金属部材の両方の端部に傾斜面を設け、これらの傾斜面同士を面接触させて突き合わせるというものであった。そのため、傾斜面を形成するのが煩雑になるとともに、両金属部材傾斜角度が一致しないと面接触しないため準備工程及び突合せ工程が煩雑になるという問題があった。

0005

このような観点から、本発明は、異なる種類の金属部材を容易に接合することができる接合方法及び複合圧延材の製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

このような課題を解決するために本発明は、先細り攪拌ピンを備えた回転ツールを用いて材料の異なる一対の金属部材を接合する接合方法であって、端部に垂直面を備えた第一金属部材と、端部に傾斜面を備え前記第一金属部材よりも融点が高く板厚が小さい第二金属部材と、を準備する準備工程と、前記第一金属部材と前記第二金属部材の端部同士を突き合わせてV字状の隙間を備えた突合せ部を形成する突合せ工程と、回転する前記回転ツールを前記第一金属部材の表面のみから挿入するとともに、前記攪拌ピンのみを少なくとも前記第一金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に沿って前記回転ツールを相対移動させて前記第一金属部材と前記第二金属部材とを接合する接合工程と、を含み、前記接合工程では、前記回転ツールの回転中心軸の鉛直面に対する傾斜角度をγとし、前記傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβとし、前記攪拌ピンの外周面の前記回転中心軸に対する傾斜角度をαとすると、γ=α−βにした状態で接合を行うことを特徴とする。

0007

また、本発明は、材料の異なる一対の金属部材で形成された複合圧延材の製造方法であって、端部に垂直面を備えた第一金属部材と、端部に傾斜面を備え前記第一金属部材よりも融点が高く板厚が小さい第二金属部材と、先細りの攪拌ピンを備えた回転ツールと、を準備する準備工程と、前記第一金属部材と前記第二金属部材の端部同士を突き合わせてV字状の隙間を備えた突合せ部を形成する突合せ工程と、回転する前記回転ツールを前記第一金属部材の表面のみから挿入するとともに、前記攪拌ピンのみを少なくとも前記第一金属部材に接触させた状態で前記突合せ部に沿って前記回転ツールを相対移動させて前記第一金属部材と前記第二金属部材とを接合する接合工程と、前記接合工程で接合された前記金属部材同士を、接合線圧延方向として圧延する圧延工程と、を含み、前記接合工程では、前記回転ツールの回転中心軸の鉛直面に対する傾斜角度をγとし、前記傾斜面の鉛直面に対する傾斜角度をβとし、前記攪拌ピンの外周面の前記回転中心軸に対する傾斜角度をαとすると、γ=α−βにした状態で接合を行うことを特徴とする。

0008

かかる接合方法又は製造方法によれば、傾斜面を形成するのは第二金属部材だけで済む。また、V字状の隙間をあけた状態で両金属部材を突き合わせるため、高い精度は必要なく突合せ作業も容易に行うことができる。また、例えば、第一金属部材のみに接触するように回転ツールを挿入すれば、軟化温度の低い第一金属部材に合わせて接合条件を調節することができ、入熱量を抑えることができる。したがって、第一金属部材が大きく軟化してバリが過剰に発生するのを抑制することができ、金属不足による接合不良を防ぐことができる。また、回転ツールの回転中心軸の鉛直面に対する傾斜角度γを、攪拌ピンの外周面の回転中心軸に対する傾斜角度αから傾斜面の傾斜角度βを減算した値に一致させることにより、傾斜角度α,βとして最適な値を選択することができると共に、攪拌ピンの外周面と傾斜面とを平行にして、攪拌ピンの外周面と傾斜面との接触を避けつつ、攪拌ピンの外周面と傾斜面とを高さ方向に亘って極力近接させることができる。また、第一金属部材の板厚を第二金属部材の板厚よりも大きくすることにより、接合部の金属不足を防ぐことができる。

0009

また、前記突合せ工程では、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の裏面同士を面一とした状態で前記第一金属部材と前記第二金属部材とを突き合わせることが好ましい。

0010

かかる接合方法によれば、金属部材同士の裏面を面一にすることができる。

0011

また、前記突合せ工程では、前記第一金属部材の裏面が前記第二金属部材の裏面よりも低い位置となり、前記第一金属部材の表面が前記第二金属部材の表面よりも高い位置となるように前記第一金属部材と前記第二金属部材とを突き合わせ、前記接合工程では、攪拌ピンの先端が前記第二金属部材の裏面の高さよりも下に位置するように前記攪拌ピンの挿入深さを設定することが好ましい。

0012

かかる接合方法によれば、第二金属部材の深さ方向全体に亘って摩擦攪拌を行うことができる。

0013

また、前記接合工程では、前記回転ツールの移動軌跡に形成される塑性化領域のうち、前記第二金属部材側がシアー側となり、前記第一金属部材側がフロー側となるように前記回転ツールの回転方向及び進行方法を設定することが好ましい。

0014

塑性化領域のうち、融点が高い第二金属部材側がフロー側となると、突合せ部での第一金属部材の温度が低下して、異なる金属同士の界面における相互拡散が促進されず、接合不良となるおそれがある。しかし、かかる接合方法によれば、融点の高い第二金属部材側がシアー側となるように設定することで、突合せ部での第一金属部材の温度を比較的高温に保つことが可能となり、異なる金属同士の界面における相互拡散が促進され、接合不良となるのを防ぐことができる。
なお、シアー側とは、接合部に対する回転ツールの外周の相対速さが、回転ツールの外周における接線速度の大きさに移動速度の大きさを加算した値となる側である。フロー側とは、接合部に対する回転ツールの外周の相対速さが、回転ツールの外周における接線速度の大きさに移動速度の大きさを減算した値となる側である。

0015

また、前記準備工程では、前記第一金属部材をアルミニウム又はアルミニウム合金を形成し、前記第二金属部材を銅又は銅合金で形成し、前記接合工程では、前記攪拌ピンのみを前記第一金属部材のみに接触させた状態で前記突合せ部に沿って前記回転ツールを相対移動させて前記第一金属部材と前記第二金属部材とを接合することが好ましい。

0016

かかる接合方法によれば、銅又は銅合金製の金属部材とアルミニウム又はアルミニウム合金製の金属部材とを好適に接合することができる。

0017

また、前記接合工程では、前記回転ツールの外周面に基端から先端に向うにつれて左回り螺旋溝刻設した場合、前記回転ツールを右回転させ、前記回転ツールの外周面に基端から先端に向うにつれて右回りの螺旋溝を刻設した場合、前記回転ツールを左回転させることが好ましい。

0018

かかる接合方法によれば、塑性流動化した金属が螺旋溝に導かれて回転ツールの先端側に流動するため、バリの発生を抑制することができる。

発明の効果

0019

本発明に係る接合方法及び複合圧延材の製造方法によれば、異なる種類の金属部材を好適に接合することができる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の実施形態の回転ツールを示した側面図である。
本実施形態に係る回転ツールの接合形態を示した模式断面図である。
本発明の第一実施形態に係る準備工程及び突合せ工程を示す断面図である。
第一実施形態に係る接合工程を示す斜視図である。
第一実施形態に係る接合工程を示す断面図である。
第一実施形態に係る接合工程後を示す断面図である。
第一実施形態に係る圧延工程を示す斜視図である。
第一実施形態に係る圧延工程後を示す断面図である。
本発明の第二実施形態に係る準備工程及び突合せ工程を示す断面図である。
第二実施形態に係る接合工程を示す断面図である。
第二実施形態に係る接合工程後を示す断面図である。

実施例

0021

[第一実施形態]
本発明の実施形態に係る複合圧延材の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。まずは、本実施形態で用いる回転ツールについて説明する。

0022

図1に示すように、回転ツールFは、連結部F1と、攪拌ピンF2とで構成されている。回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されている。連結部F1は、摩擦攪拌装置回転軸(図示省略)に連結される部位である。連結部F1は円柱状を呈し、ボルト締結されるネジ孔(図示省略)が形成されている。

0023

攪拌ピンF2は、連結部F1から垂下しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。側面視した場合において、回転中心軸Cと攪拌ピンF2の外周面とのなす傾斜角度αは本実施形態では15°に設定されている。傾斜角度αは10〜60°の範囲で適宜設定される。傾斜角度αが10°未満であると、接合時に攪拌ピンF2の外周面からバリが排出されてしまい接合欠陥を発生するおそれがあるため、好ましくない。傾斜角度αが60°を超えると、回転ツールFの径が大きくなりすぎて回転ツールFや摩擦攪拌装置への負荷が大きくなるため、好ましくない。

0024

攪拌ピンF2の外周面には螺旋溝が刻設されている。本実施形態では、回転ツールFを右回転させるため、螺旋溝は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。言い換えると、螺旋溝は、螺旋溝を基端から先端に向けてなぞると上から見て左回りに形成されている。攪拌ピンF2の先端には、回転中心軸Cと水平な平坦面F3が形成されている。

0025

なお、回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。言い換えると、この場合の螺旋溝は、螺旋溝を基端から先端に向けてなぞると上から見て右回りに形成されている。螺旋溝をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、被接合金属部材(後記する第一金属部材1、第二金属部材2)の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。

0026

図2に示すように、回転ツールFを用いて摩擦攪拌を行う際には、被接合金属部材に回転した攪拌ピンF2のみを挿入し、被接合金属部材と連結部F1とは離間させつつ移動させる。言い換えると、攪拌ピンF2の基端部は露出させた状態で摩擦攪拌を行う。回転ツールFの移動軌跡には摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域Wが形成される。

0027

次に、本実施形態の複合圧延材の製造方法について説明する。本実施形態に係る複合圧延材の製造方法は、一対の金属部材同士を回転ツールFで接合した後に圧延し、複合圧延材を得るというものである。なお、以下においては、「裏面」の反対側の面を「表面」とする。

0028

図3に示すように、第一金属部材1は、板状を呈する。第一金属部材1の端面1aは、表面1b及び裏面1cに対して垂直な垂直面になっている。第一金属部材1は、本実施形態ではアルミニウム合金で形成されているが、アルミニウム、銅、銅合金、チタンチタン合金マグネシウムマグネシウム合金など摩擦攪拌可能な金属材料で形成してもよい。

0029

第二金属部材2は、板状を呈する。第二金属部材2の板厚は、第一金属部材1の板厚よりも小さくなっている。第二金属部材2の端面2aは、鉛直面に対して傾斜する傾斜面となっている。端面2aの傾斜角度βは適宜設定すればよいが、本実施形態では、攪拌ピンF2の傾斜角度αよりも小さい角度になっている。第二金属部材2は、第一金属部材1よりも融点が高く、かつ、摩擦攪拌可能な材料で形成されている。第二金属部材2は、例えば、銅又は銅合金で形成してもよい。

0030

本実施形態に係る複合圧延材の製造方法は、準備工程と、突合せ工程と、接合工程と、圧延工程と、を行う。なお、特許請求の範囲の接合方法は、準備工程と、突合せ工程と、接合工程と、を行う工程である。

0031

準備工程は、前記した第一金属部材1、第二金属部材2及び回転ツールFを用意する工程である。

0032

突合せ工程は、図3に示すように、第一金属部材1と第二金属部材2の端部同士を突き合わせる工程である。突合せ工程では、第一金属部材1の端面1aと、第二金属部材2の端面2aとを突き合わせて突合せ部Jを形成する。突合せ部Jは、表面1b,2bに向かうにつれて開口が広がるように断面V字状の隙間が形成される。第一金属部材1の裏面1cと、第二金属部材2の裏面2cとは面一になる。第一金属部材1及び第二金属部材2は架台Kに移動不能に固定される。

0033

接合工程は、回転ツールFを用いて第一金属部材1と第二金属部材2とを接合する工程である。図4に示すように、接合工程では、回転ツールFの攪拌ピンF2を右回転させつつ、第一金属部材1の表面1bであり、かつ、突合せ部Jの近傍に設定した開始位置Spに回転ツールFを挿入する。そして、突合せ部Jの延長方向と平行に回転ツールFを相対移動させる。回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域Wが形成される。接合工程では、主に第一金属部材1側の塑性流動材が突合せ部Jの隙間に流入するように摩擦攪拌接合を行う。

0034

図5に示すように、本接合工程では、回転ツールFの回転中心軸Cを鉛直面に対して第一金属部材側に傾斜角度γだけ傾斜させることで、攪拌ピンF2のみを第一金属部材1のみに接触させた状態で摩擦攪拌を行う。ここでの回転ツールFの回転中心軸Cを鉛直面に対して傾斜させる傾斜角度γは、回転中心軸Cと攪拌ピンF2の外周面とのなす傾斜角度αから第二金属部材2の端面2aの傾斜角度βを減算した値と同じになっており(γ=α−β)、端面2aと端面2aに臨む攪拌ピンF2の外周面とは平行である。

0035

つまり、回転ツールFの回転中心軸Cを傾ける方向は傾斜角度α,βの関係によって決定される。例えば、本実施形態のように「α>β」の場合に傾斜角度γは正の値となり、第一金属部材側に回転ツールFの回転中心軸Cを傾ける。また、「α<β」の場合に傾斜角度γは負の値となり、第二金属部材2側に回転ツールFの回転中心軸Cを傾ける。また、「α=β」の場合に傾斜角度γは「0(ゼロ)」となり、回転ツールFの回転中心軸Cを傾けずに鉛直面と平行にする。

0036

接合工程では、塑性化領域Wのうち、第二金属部材2側(突合せ部Jに近い側)がシアー側となり、第一金属部材1側(突合せ部Jから離間する側)がフロー側となるように設定している。つまり、本実施形態に係る接合工程では、進行方向右側に第一金属部材1が位置するように配置して、回転ツールFを右回転させる。なお、進行方向右側に第二金属部材2が位置するように配置した場合は、回転ツールFを左回転させることにより、塑性化領域Wのうち第二金属部材2側(突合せ部Jに近い側)がシアー側となる。

0037

攪拌ピンF2の挿入深さは、図5に示すように適宜設定すればよいが、本実施形態では第一金属部材1の板厚の90%程度の深さに設定している。また、本実施形態の接合工程では、回転ツールFが第二金属部材2に接触せず、かつ、摩擦攪拌によって第一金属部材1と第二金属部材2とが拡散接合するように開始位置Spの位置及び移動ルートを設定している。

0038

ここで、回転ツールFの外周面と第二金属部材2とが大きく離間すると、突合せ部Jで第一金属と第二金属とが相互に拡散せず、第一金属部材1と第二金属部材2とを強固に接合することができない。一方、回転ツールFと第二金属部材2とを接触させ、両者の重なり代を大きくした状態で摩擦攪拌を行うと、第二金属部材2を軟化させるために、接合条件を調節して入熱量を大きくする必要があり、接合不良となるおれがある。したがって、突合せ部Jで第一金属と第二金属とが相互に拡散して接合するように、回転ツールFの外周面と第二金属部材2とをわずかに接触させた状態で接合するか、若しくは、回転ツールFの外周面と第二金属部材2とを接触させず極力近づけた状態で接合することが好ましい。

0039

また、本実施例形態のように、第一金属部材1がアルミニウム又はアルミニウム合金部材であり、第二金属部材2が銅又は銅合金部材である場合、接合工程において、回転ツールFの外周面と第二金属部材2とを接触させず極力近づけた状態で接合することが好ましい。因みに、入熱量が大きくなる接合条件下で、仮に回転ツールFの外周面と第二金属部材2(銅部材)とを接触させたとすると、アルミニウム合金部材中に少量の銅部材が攪拌混入され、Al/Cuの相互拡散が促進され、アルミニウム合金部材中に分散したAl−Cu相が液相となり、アルミニウム合金部材側から多くのバリが発生して接合不良となる。

0040

図6に示すように、塑性化領域Wの表面にはバリVが形成される。塑性化領域Wと第二金属部材2とは隣接している。つまり、塑性化領域Wは、突合せ部Jを超えて第二金属部材2側には形成されていない。第一金属部材1は、第二金属部材2よりも厚く形成されているため、突合せ部Jの隙間に第一金属部材1の塑性流動材が流入し、塑性化領域Wの表面に凹溝等は発生しない。つまり、接合部の金属不足を防ぐことができる。接合工程が終了したら、バリVを切除するバリ切除工程を行うことが好ましい。

0041

圧延工程は、接合された第一金属部材1及び第二金属部材2を圧延する工程である。図7に示すように、圧延工程では、ローラR,Rを備えた圧延装置を用いて冷間圧延を行う。圧延工程では、接合工程における接合線(塑性化領域W)を圧延方向に設定して圧延する。以上により、図8に示す複合圧延材10が形成される。圧延工程における圧下率は、第一金属部材1及び第二金属部材2の材料や複合圧延材10の用途に応じて適宜設定すればよい。図6に示すように、接合工程後では第一金属部材1と第二金属部材2との間で板厚の差が生じているが、図8に示す圧延工程後ではその差が無視できる程度に圧延されている。

0042

以上説明した複合圧延材の製造方法及び接合方法によれば、接合工程において、第一金属部材1側の端面1aは、表面1b及び裏面1cに対して垂直としため、第一金属部材1を容易に準備することができる。また、第二金属部材2に傾斜面を設けたが、突合せ工程では、断面V字状の隙間をあけて突き合わせるため、突き合わせ作業を容易に行うことができる。また、第一金属部材1の板厚を、第二金属部材2の板厚よりも大きくするととに、接合工程で突合せ部Jの隙間に塑性流動材が流入するように接合するため、接合部の金属不足を防ぐことができる。

0043

また、第一金属部材1及び第二金属部材2に回転ツールのショルダ部を接触させないため、入熱量を小さくすることができ、摩擦抵抗を小さくすることができるので、回転ツールFや摩擦攪拌装置への負荷を小さくすることができる。また、本実施形態のように、第一金属部材1がアルミニウム又はアルミニウム合金部材であり、第二金属部材2が銅又は銅合金部材である場合、接合工程において、回転ツールFの外周面と第二金属部材2(銅部材)とを接触させず、かつ、極力近づけた状態で接合することが好ましい。このようにすると、アルミニウム合金部材側からバリVが過剰に発生することなく、突合せ部Jで第一金属部材1と第二金属部材2との相互拡散が促進され強固に接合する。したがって、従来よりも第一金属部材1及び第二金属部材2への入熱量を抑え、回転ツールFや摩擦攪拌装置への負荷を小さくすることができるとともに、第一金属部材1側からバリVが過剰に発生するのを抑制することができる。さらに、ショルダ部を第一金属部材1及び第二金属部材2に接触させないため、回転ツールFが高温になるのを防ぐことができる。これにより、回転ツールFの材料選択が容易になるとともに、回転ツールFの寿命を長くすることができる。

0044

塑性化領域Wのうち融点が高い第二金属部材2側がフロー側となると、突合せ部Jでの第一金属部材1の温度が低下して、異なる金属同士の界面における相互拡散が促進されず、接合不良となるおそれがある。入熱量を大きくするように接合条件を調節すると、シアー側となっている第一金属部材1側からバリが過剰に発生して接合欠陥となる。しかし、本実施形態のように、塑性化領域Wのうち、融点が高い第二金属部材2側がシアー側となるように接合条件(回転ツールFの回転方向、進行方向等)を設定することで、突合せ部Jでの第一金属部材1の温度を比較的高温に保つことが可能となり、異なる金属同士の界面における相互拡散が促進され、接合不良となるのを防ぐことができる。

0045

回転ツールFの外周面を第二金属部材2にわずかに接触させてもよいが、本実施形態では回転ツールFと第二金属部材2とを接触させないように設定しているため、第一金属部材1と第二金属部材2とが混合攪拌されるのを防止することができ、バリVが過剰に発生して接合不良となるのをより確実に防ぐことができる。

0046

また、回転ツールFの回転中心軸Cを鉛直面に対して第一金属部材1側に傾斜角度γだけ傾斜させているため、突合せ部Jにおいては、攪拌ピンF2と第二金属部材2との接触を容易に回避することができる。また、本実施形態では、回転ツールFの回転中心軸Cの鉛直面に対する傾斜角度γを、攪拌ピンF2の外周面の回転中心軸Cに対する傾斜角度αから第二金属部材2の端面2aの鉛直面に対する傾斜角度βを減算した値に一致させることにより、傾斜角度α,βとして最適な値を選択することができると共に、攪拌ピンF2の外周面と端面2aとを平行にして、攪拌ピンF2の外周面と端面2aとの接触を避けつつ、攪拌ピンF2の外周面と端面2aとを高さ方向に亘って極力近接させることができる。例えば、傾斜角度αは、摩擦攪拌接合(FSW=Friction Stir Welding)の技術分野による回転ツールの設計思想により決定され、また、傾斜角度βは、鋳造分野(例えばダイカスト)による金型の設計思想により決定される。つまり、傾斜角度α,βは共に設計思想によって最適な値があるので、「α=β」にすることは難しい場合がある。しかし、本実施形態によれば、傾斜角度α,βを自由に選択することが可能であるので、傾斜角度α,βとして最適な値を選択することができる。また、本実施形態によれば、回転ツールFの外周面と第二金属部材2とが接触しない状態で、両者を極力近づける作業が容易となる。

0047

[第二実施形態]
本発明の第二実施形態に係る複合圧延材の製造方法について説明する。本実施形態に係る複合圧延材の製造方法は、準備工程と、突合せ工程と、接合工程と、圧延工程と、を行う。

0048

準備工程では、図9に示すように、段差架台KAを用意する。段差架台KAは、底部K1と、底部K1よりも一段上がった位置にある底部K2と、段差側面K3とを有している。

0049

突合せ工程では、図9に示すように、第一金属部材1と第二金属部材2との端部同士を突き合わせる。第一金属部材1は、底部K1に配置するとともに、段差側面K3に第一金属部材1の端面1aを当接させる。第一金属部材1と第二金属部材2とを突き合わせることにより突合せ部Jが形成される。突合せ部Jは第一実施形態と同様に、断面V字状の隙間が形成される。第一金属部材1と第二金属部材2とを突き合わせた状態で、第二金属部材2の表面2bよりも、第一金属部材1の表面1bの方が高い位置となるとともに、第二金属部材2の裏面2cよりも、第一金属部材1の裏面1cの方が低い位置となる。

0050

接合工程では、図10に示すように、回転ツールFを用いて第一金属部材1と第二金属部材2とを接合する工程である。接合工程では、第一実施形態と同じ要領で摩擦攪拌を行う。つまり、回転ツールFの攪拌ピンF2を回転させつつ、第一金属部材1の表面1bであり、かつ、突合せ部Jの近傍に設定した開始位置に回転ツールFを挿入する。そして、回転ツールFを第一金属部材1側に傾斜角度γ傾けた状態で、突合せ部Jの延長方向と平行に回転ツールFを相対移動させる。回転ツールFは、第二金属部材2とわずかに接触させてもよいが、本実施形態では第一金属部材1のみと接触させた状態で摩擦攪拌を行う。回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域Wが形成される。接合工程では、主に第一金属部材1側の塑性流動材が突合せ部Jの隙間に流入するように摩擦攪拌接合を行う。

0051

本実施形態に係る接合工程では、回転ツールFの攪拌ピンF2の先端(平坦面F3)が、第二金属部材2の裏面2cよりも下方に位置するように攪拌ピンF2の挿入深さを設定する。圧延工程については、第一実施形態と同様である。

0052

以上説明した第二実施形態においても、第一実施形態と略同等の効果を得ることができる。第一実施形態においては、図5に示すように、第二金属部材2の高さ方向の全体に亘って接合することは困難である。しかし、第二実施形態においては、第二金属部材2の裏面2cよりも深い位置に攪拌ピンF2を挿入した状態で摩擦攪拌接合を行うため、図11に示すように、第二金属部材2の板厚方向の全体に亘って接合することが可能となる。これにより、第一金属部材1と第二金属部材2の接合強度を高めることができる。

0053

1 第一金属部材
2 第二金属部材
F回転ツール
F1 連結部
F2攪拌ピン
F3平坦面
J 突合せ部
W 塑性化領域

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