図面 (/)

技術 有機ハロゲン化合物の吸収剤、それを用いた炭化水素ガスからの有機ハロゲン化合物の除去方法、その方法を用いたハロゲン化合物の吸収装置、及び炭化水素ガスの製造方法

出願人 クラリアント触媒株式会社JXTGエネルギー株式会社
発明者 中嶋直仁金賢中藤原薫
出願日 2018年9月18日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-173289
公開日 2020年3月26日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-044474
状態 未査定
技術分野 珪酸塩及びセ゛オライト、モレキュラーシーブ 固体収着剤及びろ過助剤 吸収による気体分離 石油精製,液体炭化水素混合物の製造
主要キーワード 押出成型体 微量塩素 未飽和状態 塩基性カルシウム化合物 ベントナイト粉末 次流通 構造崩壊 充填体積
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月26日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題

石油留分を処理するプロセス、及び原油由来する無機ハロゲン化合物有機ハロゲン化合物混合流体から、有機ハロゲン化合物を効率よく吸収し、ハロゲン化合物吸収材料吸収能力を高めることにより、吸収材料の交換頻度を小さくする。

解決手段

有機ハロゲン化合物の吸収能力の高いアタパルジャイトパリゴルスカイト)を含む吸収剤を使用する。更には、その吸収剤と酸化亜鉛を含むハロゲン化合物吸収剤を直列に配置させた吸収塔を使用することにより、無機ハロゲン化合物と共に有機ハロゲン化合物を高濃度で含む流体処理能力を高めることができる。

概要

背景

石油精製工程において、炭化水素に含まれるハロゲン化合物としては、原油由来するものと触媒反応に由来するものがある。また、その成分は無機ハロゲン化合物有機ハロゲン化合物が存在することが知られている。このようなハロゲン化合物、特にハロゲン化水素などの無機ハロゲン化合物は、下流工程の装置腐食などの問題を引き起こす。有機ハロゲン化合物としては、例えば塩化プロパンのような、炭化水素のハロゲン化合物が挙げられる。また、反応工程と触媒再生工程が分離している移動床式接触改質プロセスにおいては、オキシクロリネーションにより再生された触媒が反応工程に塩素を持込むため、同様に反応器内で塩化水素が生成し、生成物と共に塩化水素と塩化炭化水素の両方が反応器外に排出される。

上記ハロゲン化合物におけるハロゲンとしては塩素、臭素ヨウ素などが含まれ、従って上記ハロゲン化合物としては塩化物臭化物ヨウ化物などが含まれるが、以下では説明を簡潔にするために、主に、無機ハロゲン化合物を塩化水素として、有機ハロゲン化合物を塩化炭化水素として記載する。しかしながら、本発明の適用範囲はそれらに限定されるものではない。

上述した塩化物のうち、塩化水素については、アルカリ系吸収剤あるいはアルカリ洗浄液を用いて除去する方法が知られているが、液体の使用は煩雑な処理を伴い、事故の原因などにもなりやすく、最近は固体の吸収剤が広く使われるようになっている。塩化水素用の固体の吸収剤の例としては、酸化亜鉛酸化カルシウム吸収成分とし、これに不活性結合剤として粘土鉱物を添加した吸収剤(特許文献1参照)や、アルカリ金属担持した活性アルミナを用いて炭化水素中の塩化物を吸収する方法が知られている(特許文献2参照)。

酸化亜鉛を用いる吸収剤は塩化水素だけでなく、塩化炭化水素も効率良く反応除去できる吸収剤として知られる(特許文献1および3)。一般的に塩化炭化水素は塩化水素より酸化亜鉛を含む吸収剤との反応性が低いため、それを改良し、塩化炭化水素を効率よく除去できる吸収剤としてシリカマグネシア複合酸化物と酸化亜鉛を含む吸収剤も提案されている(特許文献4参照)。

上記した特許文献4に記載された塩化炭化水素に対する反応性を高めた吸収剤であっても、塩化水素に比べて塩化炭化水素の吸収性が低い。その理由としては、塩化水素は比較的高いイオン結合性酸性)のために中和反応に係る無機ハロゲン化合物吸収剤(例としては、酸化亜鉛)と中和反応速度が大きいのに対して、塩化炭化水素は比較的低いイオン結合性(塩素−炭素結合)のため、酸化亜鉛などとの間の反応性もしくは吸着性が低いことが考えられる。そのため、酸化亜鉛に対するシリカマグネシア複合酸化物の組成比を大きくして塩化炭化水素の処理能力を向上させようとすると、逆に塩化水素の吸収能力が低下するというジレンマに陥りやすい。そのようなことから、従来の吸収剤を使用すると塩素吸着塔出口において、流体処理が進むにつれて塩化炭化水素のリークが先に検出されることが一般的である。

塩化炭化水素の検出後即座に使用を停止した使用済み吸収剤に含まれる塩素の分布を調べると、処理ガスの入口側に位置した吸収剤は酸化亜鉛が塩化亜鉛へと変わる反応(ZnO → ZnCl2)に対応して合理的な塩素含有率飽和状態)となる。一方で、処理ガスの出口側に位置した吸収剤は塩素含有率が低い状態となり、設備形状や運転条件にもよるが、未飽和状態の層が全体の1/3程度(飽和状態層としては全体の2/3程度)となり、吸収剤の交換頻度が高くなり、コストアップの大きな要因となり、その頻度を小さくしようとすると、塩化炭化水素リークのリスクが高くなる。このようなことから飽和状態層を厚くすることによって、吸収剤の交換頻度を低くし、塩素吸着塔を長期間、安全に運転することが求められる。

また石油精製工程で使用する原料原油の品質などは必ずしも一定ではなく、その工程で発生する塩化物の量、及び無機物である塩化水素と有機物である塩化炭化水素の比は、反応形式や原料など、その時の条件により変動する場合がある。そのような場合、上記文献に記載されたような吸収剤を充填すると、吸収剤の寿命予測が難しく、また塩化炭化水素の排出量が多いと吸収剤の交換頻度を高くする必要があるなど問題が発生しやすい。そのため、塩化炭化水素と塩化水素の濃度比など、その工程条件に合わせて、塩化物吸収塔内の塩化炭化水素吸収能力を調整できることが好ましい。

以上述べた如く、ハロゲン化合物の除去技術は進歩しているものの、市場からのニーズは無機ハロゲン化合物と有機ハロゲン化合物の両方を適切に処理できる吸収剤を求めており、現状はその要求に応えられていないのが実情である。

概要

石油留分を処理するプロセス、及び原油に由来する無機ハロゲン化合物と有機ハロゲン化合物の混合流体から、有機ハロゲン化合物を効率よく吸収し、ハロゲン化合物吸収材料の吸収能力を高めることにより、吸収材料の交換頻度を小さくする。有機ハロゲン化合物の吸収能力の高いアタパルジャイトパリゴルスカイト)を含む吸収剤を使用する。更には、その吸収剤と酸化亜鉛を含むハロゲン化合物吸収剤を直列に配置させた吸収塔を使用することにより、無機ハロゲン化合物と共に有機ハロゲン化合物を高濃度で含む流体の処理能力を高めることができる。

目的

本発明は、上記課題を解決しようとするものであって、有機ハロゲン化合物、例えば塩化炭化水素を含む流体から、有機ハロゲン化合物(例えば塩化炭化水素)を効率的に、好ましくは選択的に、除去することが出来る吸収剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

請求項2

アタパルジャイトの含有量が、上記吸収剤の全重量を基準として、少なくとも40重量%である、請求項1に記載の吸収剤。

請求項3

成型体の形態にある、請求項1または2に記載の吸収剤。

請求項4

炭化水素ガス中に含まれている有機ハロゲン化合物を除去するための、請求項1〜3のいずれか1つに記載の吸収剤。

請求項5

酸化亜鉛および/または酸化カルシウムを含む無機ハロゲン化合物吸収剤で予め処理された炭化水素ガスから有機ハロゲン化合物を除去するための、請求項1〜4のいずれか1つに記載の吸収剤。

請求項6

上記有機ハロゲン化合物が塩化炭化水素である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の吸収剤。

請求項7

有機ハロゲン化合物および任意選択的に無機ハロゲン化合物を含む炭化水素ガスから有機ハロゲン化合物を除去する方法であって、i)上記炭化水素ガスを請求項1〜6のいずれか1つに吸収剤と接触させるステップ、を含む、方法。

請求項8

有機ハロゲン化合物および無機ハロゲン化合物を含む炭化水素ガスから有機ハロゲン化合物および無機ハロゲン化合物を除去する方法であって、a)上記炭化水素ガスを無機ハロゲン化合物吸収剤と接触させるステップ、およびb)ステップa)の下流で、ステップa)の後に得られた炭化水素ガスを請求項1〜6のいずれか1つに吸収剤と接触させるステップ、を含む、方法。

請求項9

上記無機ハロゲン化合物吸収剤が酸化亜鉛および/または酸化カルシウムを含む、請求項8に記載の方法。

請求項10

上記無機ハロゲン化合物が塩化水素であり、上記有機ハロゲン化合物が塩化炭化水素である、請求項7〜9のいずれか1つに記載の方法。

請求項11

ステップa)において無機ハロゲン化合物吸収剤により炭化水素ガスにおける塩化水素濃度を0.1mg−Cl/Nm3以下に減少させ、その後、ステップb)において塩化炭化水素を炭化水素ガスから吸収・除去する、請求項10に記載の方法。

請求項12

無機ハロゲン化合物吸収剤を備えた無機ハロゲン化合物吸収領域と、請求項1〜6のいずれか1つに記載の有機ハロゲン化合物吸収剤を備え、上記無機ハロゲン化合物吸収領域の後段直列に配置された有機ハロゲン化合物吸収領域とを有する、ハロゲン化合物吸収装置

請求項13

以下のステップ:1)接触改質工程から留出した炭化水素ガスを、無機ハロゲン化合物吸収剤と接触させるステップ、および2)ステップ1)の下流で、ステップ1)の後に得られた炭化水素ガスを請求項1〜6のいずれか1つに吸収剤と接触させるステップ、を含む、接触改質工程から留出した炭化水素ガスから、塩化水素濃度および塩化炭化水素濃度が低められた炭化水素ガスを製造する方法。

請求項14

上記無機ハロゲン化合物吸収剤が酸化亜鉛および/または酸化カルシウムを含む、請求項13に記載の製造方法。

請求項15

塩化水素濃度が0.1mg−Cl/Nm3以下であり、塩化炭化水素濃度が0.3mg−Cl/Nm3以下である炭化水素ガスが製造される、請求項13または14に記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は種々の工業プロセスで発生する気体などの流体から有機ハロゲン化合物、例えばハロゲン化炭化水素を除去する技術に係わり、特に石油精製工程での接触改質装置から留出する炭化水素含有ガスから、不所望の有機ハロゲン化合物、例えばハロゲン化炭化水素を効率よく除去するハロゲン化合物吸収剤およびその吸収剤を用いたハロゲン化合物の吸収・除去方法、ハロゲン化合物吸収装置に関する。

背景技術

0002

石油精製工程において、炭化水素に含まれるハロゲン化合物としては、原油由来するものと触媒反応に由来するものがある。また、その成分は無機ハロゲン化合物と有機ハロゲン化合物が存在することが知られている。このようなハロゲン化合物、特にハロゲン化水素などの無機ハロゲン化合物は、下流工程の装置腐食などの問題を引き起こす。有機ハロゲン化合物としては、例えば塩化プロパンのような、炭化水素のハロゲン化合物が挙げられる。また、反応工程と触媒再生工程が分離している移動床式接触改質プロセスにおいては、オキシクロリネーションにより再生された触媒が反応工程に塩素を持込むため、同様に反応器内で塩化水素が生成し、生成物と共に塩化水素と塩化炭化水素の両方が反応器外に排出される。

0003

上記ハロゲン化合物におけるハロゲンとしては塩素、臭素ヨウ素などが含まれ、従って上記ハロゲン化合物としては塩化物臭化物ヨウ化物などが含まれるが、以下では説明を簡潔にするために、主に、無機ハロゲン化合物を塩化水素として、有機ハロゲン化合物を塩化炭化水素として記載する。しかしながら、本発明の適用範囲はそれらに限定されるものではない。

0004

上述した塩化物のうち、塩化水素については、アルカリ系の吸収剤あるいはアルカリ洗浄液を用いて除去する方法が知られているが、液体の使用は煩雑な処理を伴い、事故の原因などにもなりやすく、最近は固体の吸収剤が広く使われるようになっている。塩化水素用の固体の吸収剤の例としては、酸化亜鉛酸化カルシウム吸収成分とし、これに不活性結合剤として粘土鉱物を添加した吸収剤(特許文献1参照)や、アルカリ金属担持した活性アルミナを用いて炭化水素中の塩化物を吸収する方法が知られている(特許文献2参照)。

0005

酸化亜鉛を用いる吸収剤は塩化水素だけでなく、塩化炭化水素も効率良く反応除去できる吸収剤として知られる(特許文献1および3)。一般的に塩化炭化水素は塩化水素より酸化亜鉛を含む吸収剤との反応性が低いため、それを改良し、塩化炭化水素を効率よく除去できる吸収剤としてシリカマグネシア複合酸化物と酸化亜鉛を含む吸収剤も提案されている(特許文献4参照)。

0006

上記した特許文献4に記載された塩化炭化水素に対する反応性を高めた吸収剤であっても、塩化水素に比べて塩化炭化水素の吸収性が低い。その理由としては、塩化水素は比較的高いイオン結合性酸性)のために中和反応に係る無機ハロゲン化合物吸収剤(例としては、酸化亜鉛)と中和反応速度が大きいのに対して、塩化炭化水素は比較的低いイオン結合性(塩素−炭素結合)のため、酸化亜鉛などとの間の反応性もしくは吸着性が低いことが考えられる。そのため、酸化亜鉛に対するシリカマグネシア複合酸化物の組成比を大きくして塩化炭化水素の処理能力を向上させようとすると、逆に塩化水素の吸収能力が低下するというジレンマに陥りやすい。そのようなことから、従来の吸収剤を使用すると塩素吸着塔出口において、流体処理が進むにつれて塩化炭化水素のリークが先に検出されることが一般的である。

0007

塩化炭化水素の検出後即座に使用を停止した使用済み吸収剤に含まれる塩素の分布を調べると、処理ガスの入口側に位置した吸収剤は酸化亜鉛が塩化亜鉛へと変わる反応(ZnO → ZnCl2)に対応して合理的な塩素含有率飽和状態)となる。一方で、処理ガスの出口側に位置した吸収剤は塩素含有率が低い状態となり、設備形状や運転条件にもよるが、未飽和状態の層が全体の1/3程度(飽和状態層としては全体の2/3程度)となり、吸収剤の交換頻度が高くなり、コストアップの大きな要因となり、その頻度を小さくしようとすると、塩化炭化水素リークのリスクが高くなる。このようなことから飽和状態層を厚くすることによって、吸収剤の交換頻度を低くし、塩素吸着塔を長期間、安全に運転することが求められる。

0008

また石油精製工程で使用する原料原油の品質などは必ずしも一定ではなく、その工程で発生する塩化物の量、及び無機物である塩化水素と有機物である塩化炭化水素の比は、反応形式や原料など、その時の条件により変動する場合がある。そのような場合、上記文献に記載されたような吸収剤を充填すると、吸収剤の寿命予測が難しく、また塩化炭化水素の排出量が多いと吸収剤の交換頻度を高くする必要があるなど問題が発生しやすい。そのため、塩化炭化水素と塩化水素の濃度比など、その工程条件に合わせて、塩化物吸収塔内の塩化炭化水素吸収能力を調整できることが好ましい。

0009

以上述べた如く、ハロゲン化合物の除去技術は進歩しているものの、市場からのニーズは無機ハロゲン化合物と有機ハロゲン化合物の両方を適切に処理できる吸収剤を求めており、現状はその要求に応えられていないのが実情である。

先行技術

0010

特公昭52−035036号公報
特表平7−506048号公報
特許3542055号公報
特許5259090号公報

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、上記課題を解決しようとするものであって、有機ハロゲン化合物、例えば塩化炭化水素を含む流体から、有機ハロゲン化合物(例えば塩化炭化水素)を効率的に、好ましくは選択的に、除去することが出来る吸収剤を提供することを第一の目的とする。

0012

本発明の他の目的は、以下の記載から明らかとなろう。

課題を解決するための手段

0013

本発明者等は、上記の実状に鑑み、従来技術の欠点を解決すべく、ハロゲン化合物除去剤除去能力向上を課題として鋭意研究を行った。その結果、本発明の課題を解決するための考えとして以下のような知見、指針を得た。
(1)前述した文献は、主に塩化水素と塩化炭化水素の両方を単一の吸収剤により吸収することを狙いとしている。そのため、塩化水素の吸収能力が飽和する前に、塩化炭化水素の処理能力が飽和し、リークが発生するという問題点を解決できていない。
(2)そこで塩化炭化水素、ハロゲン化水素の両方を単一の吸収剤で処理する従来の考えから、塩化炭化水素を選択的に吸収できる吸収剤により機能分離の考えに切り替えた。その塩化炭化水素吸収能の高い吸収剤と、従来からのハロゲン化合物吸収剤を組み合わせることにより、塩素化合物の処理能力を最適化できないか検討した。
(3)その過程で、粘土系鉱物一種であるアタパルジャイトテストしたところ、塩化炭化水素の吸収能力が従来の吸収剤に比べ格段に高いことを見出した。そのような特性を有するアタパルジャイトを塩化水素吸収を担う化合物と混合するのではなく、無機ハロゲン化合物吸収剤の後にアタパルジャイト含有吸収剤を接続、配置することにより、塩化水素と塩化炭化水素をバランスよく吸収でき、その結果、炭化水素流体トータルの処理能力を高めることができることを見出し、本発明に到達した。

0014

すなわち本発明は、以下に関する:
1.アタパルジャイトを含む、有機ハロゲン化合物吸収剤。
2.アタパルジャイトの含有量が、上記吸収剤の全重量を基準として、少なくとも40重量%である、上記1に記載の吸収剤。
3.成型体の形態にある、上記1または2に記載の吸収剤。
4.炭化水素ガス中に含まれている有機ハロゲン化合物を除去するための、上記1〜3のいずれか1つに記載の吸収剤。
5.酸化亜鉛および/または酸化カルシウムを含む無機ハロゲン化合物吸収剤で予め処理された炭化水素ガスから有機ハロゲン化合物を除去するための、上記1〜4のいずれか1つに記載の吸収剤。
6.上記有機ハロゲン化合物が塩化炭化水素である、上記1〜5のいずれか1つに記載の吸収剤。
7.有機ハロゲン化合物および任意選択的に無機ハロゲン化合物を含む炭化水素ガスから有機ハロゲン化合物を除去する方法であって、
i) 上記炭化水素ガスを上記1〜6のいずれか1つに吸収剤と接触させるステップ
を含む、方法。
8.有機ハロゲン化合物および無機ハロゲン化合物を含む炭化水素ガスから有機ハロゲン化合物および無機ハロゲン化合物を除去する方法であって、
a) 上記炭化水素ガスを無機ハロゲン化合物吸収剤と接触させるステップ、および
b) ステップa)の下流で、ステップa)の後に得られた炭化水素ガスを上記1〜6のいずれか1つに吸収剤と接触させるステップ、
を含む、方法。
9.上記無機ハロゲン化合物吸収剤が酸化亜鉛および/または酸化カルシウムを含む、上記8に記載の方法。
10.上記無機ハロゲン化合物が塩化水素であり、上記有機ハロゲン化合物が塩化炭化水素である、上記7〜9のいずれか1つに記載の方法。
11.ステップa)において無機ハロゲン化合物吸収剤により炭化水素ガスにおける塩化水素濃度を0.1mg−Cl/Nm3以下に減少させ、その後、ステップb)において塩化炭化水素を炭化水素ガスから吸収・除去する、上記10に記載の方法。
12.無機ハロゲン化合物吸収剤を備えた無機ハロゲン化合物吸収領域と、上記1〜6のいずれか1つに記載の有機ハロゲン化合物吸収剤を備え、上記無機ハロゲン化合物吸収領域の後段直列に配置された有機ハロゲン化合物吸収領域とを有する、ハロゲン化合物吸収装置。
13.以下のステップ:
1)接触改質工程から留出した炭化水素ガスを、無機ハロゲン化合物吸収剤と接触させるステップ、および
2) ステップ1)の下流で、ステップ1)の後に得られた炭化水素ガスを上記1〜6のいずれか1つに吸収剤と接触させるステップ、
を含む、
接触改質工程から留出した炭化水素ガスから、塩化水素濃度および塩化炭化水素濃度が低められた炭化水素ガスを製造する方法。
14.上記無機ハロゲン化合物吸収剤が酸化亜鉛および/または酸化カルシウムを含む、上記13に記載の製造方法。
15.塩化水素濃度が0.1mg−Cl/Nm3以下であり、塩化炭化水素濃度が0.3mg−Cl/Nm3以下である炭化水素ガスが製造される、上記13または14に記載の製造方法。

0015

なお、本発明の吸収剤、方法および/または装置によって炭化水素ガスから除去される被処理ハロゲン化合物としては、有機ハロゲン化合物および無機ハロゲン化合物が挙げられ、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。そして、有機ハロゲン化合物の例には、有機塩化物、例えば塩化エチレン、塩化プロパン、塩化ブタンのような塩化炭化水素が含まれ、無機ハロゲン化合物の例には、無機塩化物、例えば塩化水素が含まれる。これらの被処理ハロゲン化合物は、好ましくは、流体の形態にあり、より好ましくはガスの形態にある。

0016

上述のように、説明を簡潔にするために、本明細書においては、主に、上記ハロゲンが塩素である実施態様、特に無機ハロゲン化合物が塩化水素でありおよび/または有機ハロゲン化合物が塩化炭化水素である実施態様を中心に詳しく述べる。従って、例えば、無機ハロゲン化合物吸収剤を「塩化水素吸収剤」と、有機ハロゲン化合物吸収剤を「塩化炭化水素吸収剤」と記載することもあるが、本明明細書における説明は、塩化水素や塩化炭化水素以外のハロゲン化合物に関する実施態様にも適用可能なものであり、当業者であれば、これらの説明を参照することによって他の実施態様についても適切に理解することが可能であろう。

発明の効果

0017

本発明の塩化炭化水素吸収剤は、塩化物等により活性化処理した触媒を用いて石油留分を処理するプロセス等の化学反応工程で発生する有機塩化物の除去に適用することができる。本発明の吸収剤は、塩化炭化水素を吸収し、吸着速度が速く、吸収容量も大きく、かつ吸収した塩化炭化水素の脱離が起こり難い。

0018

塩化物吸収塔において、本発明のアタパルジャイト含有吸収剤を塩化水素用の吸収剤、または塩化水素吸収能に比べて塩化炭化水素の吸収能が低い吸収剤、例えば酸化亜鉛含有吸収剤の後方に設置することにより、当該吸収塔の出口における塩化炭化水素のリークを遅らせることができる。従って、炭化水素流体中の塩化炭化水素と共存する無機ハロゲン化合物の両方を吸収でき、且つそれぞれの吸収剤からのリーク時間を調整できる吸収方法を提供することができる。これによって、塩化物吸収塔を長期間、安定に運転することができるため、操業上の利用価値が高い。また、工程で発生する無機ハロゲン化合物と塩化炭化水素の量に応じて、それぞれのリーク時間を調整し、ほぼ同じ時間に調整可能な吸収装置を提供することも可能になる。

0019

本発明のアタパルジャイト含有吸収剤を、酸化亜鉛などを主成分とする従来のハロゲン吸収剤に混合して、使用することも可能である。しかしながらそうすると、被処理流体である有機、無機ハロゲン化合物の成分組成に応じた適切な吸収が困難となり、必ずしも好ましい結果となるとは限らない。そのため、二種の吸収剤を同一装置内に別々に充填、連結し、もしくはそれぞれの吸収剤を充填した吸収装置を直列に連結し、それぞれの充填体積比を調整することにより、原料の種類、反応条件などに合わせた最適なハロゲン化合物の処理の最適化が可能となり、安全性、経済性の点でよりよい結果が生まれやすい。

図面の簡単な説明

0020

本発明のハロゲンガス除去システムの一例を示す。(改良されたハロゲンガス除去システムの構成)

0021

即ち本発明の1つの実施態様において、本発明は、炭化水素を含む流体(典型的にはガス)から有機ハロゲン化合物、例えばハロゲン化炭化水素を除去するために使用される、アタパルジャイトを含む吸収剤に関する。ここで、上記の炭化水素を含む流体、特に炭化水素を含むガス(以下、「炭化水素ガス」とも呼ぶ)は、有機ハロゲン化合物および任意選択的に無機ハロゲン化合物を含む。上記吸収剤は、ハロゲン化合物、特に有機ハロゲン化合物(好ましくは塩化炭化水素)に対して吸収・吸着特性を有し、好ましくは固体である。なお、上記炭化水素ガスを上記剤で処理することにより、ガス中の有機ハロゲン化合物を上記剤に吸収させて、上記炭化水素ガスから有機ハロゲン化合物を除去するという観点から、本明細書では、「吸収剤」を「除去剤」とも呼ぶ。

0022

本発明におけるアタパルジャイトは別名パリゴルスカイトとも呼ばれる、天然硅酸塩鉱物である。採掘地、製法などによりその成分組成は多少異なるが、本発明においてはいずれのアタパルジャイトも使用することができ、アタパルジャイトは一例として酸化ケイ素として約59%、酸化アルミニウムとして11%、酸化鉄として3.6%、酸化マグネシウムとして11%の重量組成比で構成されている。そのような組成を有する粉末状態製品が、ユニオン化成(株)などから供給されており、容易に入手可能である。

0023

上記アタパルジャイトは、好ましくは、電子顕微鏡などの顕微鏡観察による平均粒子径が0.01〜3μm、好ましくは0.03〜0.5μmである。また、上記アタパルジャイトとしては、BET法測定による表面積が100〜400m2/g、より好ましくは150〜300m2/gのものが好ましい。

0024

本発明の吸収剤中のアタパルジャイトの含有重量組成が高い程、塩化炭化水素の吸収量が高まり好ましい。そのため、吸収剤はアタパルジャイトのみで形成されていることが好ましい。しかしながら、被処理流体の内容、要求される成型体の物理強度などに合わせて、他の添加剤を加えることは可能であるが、それでもアタパルジャイトの重量組成は、上記吸収剤の全重量を基準として、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、より一層好ましくは75重量%以上、よりさらに一層好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。また、本発明の好ましい実施態様において、本発明の有機ハロゲン化合物吸収剤は、アタパルジャイトを主成分として含み、すなわち、アタパルジャイトを上記吸収剤の全重量を基準として50重量%超の量で含むか、かつ/または上記吸収剤に含まれるいずれの他成分よりも多い量で含む。

0025

また、上記のように、本発明の有機ハロゲン化合物吸収剤はアタパルジャイト以外の成分を含むことができるが、本発明の1つの実施態様において、上記吸収剤は、塩基性カルシウム化合物をさらに含まないか、または塩基性カルシウム化合物をさらに含む場合であってもそれらの含有量は、吸収剤の全重量を基準として、30重量%未満、例えば20重量%未満または10重量%未満である。上記塩基性カルシウム化合物としては、例えば水酸化カルシウム炭酸カルシウム、酸化カルシウムおよびアルミン酸カルシウムが挙げられる。

0026

さらに別の実施態様において、本発明の有機ハロゲン化合物吸収剤は、酸化亜鉛をさらに含まないか、または酸化亜鉛をさらに含む場合であってもその含有量は、吸収剤の全重量を基準として、10重量%未満、例えば5重量%未満または3重量%未満である。本発明のさらなる1つの実施態様において、本発明の有機ハロゲン化合物吸収剤は、酸化カルシウムをさらに含まないか、または酸化カルシウムをさらに含む場合であってもその含有量は、吸収剤の全重量を基準として、10重量%未満、例えば5重量%未満または3重量%未満である。

0027

本発明の吸収剤中には、例えば珪藻土のような多孔質材料(アタパルジャイト以外の多孔質材料。以下、単に「多孔質材料」とも呼ぶ)を含めることも可能である。上記多孔質材料は、例えばミクロ孔またはマクロ孔を有する多孔質材料であることができる。例えば上記吸収剤が成型体の形態である場合に、上記多孔質材料は成型体中ガス拡散を容易にすることができる。

0028

本発明の吸収剤が多孔質材料を含む場合、上記吸収剤は、吸収剤の全重量を基準として、1〜60重量、例えば20〜50重量%の量で、多孔質材料を含むことができる。本発明の吸収剤が多孔質材料を含む場合、アタパルジャイトと多孔質材料の重量比は、40:60〜99:1、好ましくは50:50〜80:20であることができる。アタパルジャイト量がこれらの範囲より小さい組成では塩化炭化水素の吸収能力が低下し、かつ物理強度が低下しやすい、これらの範囲より大きな組成では、多孔質材料によるガス拡散の効果が十分に発揮されない。

0029

本発明の吸収剤の形状やサイズはその使用形態により適宜選択することができるが、ハロゲン化炭化水素などの有機ハロゲン化合物を含む流体の透過性、吸収性を向上させるために、円柱状、円盤状、筒状など、種々の形態に成型されていることが好ましい。従って、本発明の好ましい実施態様において、上記吸収剤は成型体の形態にある。一般的には直径が1〜6mmで長さが3〜20mm程度の円柱状ペレットが好適に用いられる。しかしながら、当然これに限定されるわけではなく、種々の異形状のペレット、錠剤形状顆粒状及び破砕粒状、または噴霧乾燥による微粒子状などとすることもできる。

0030

例えば、本発明の吸収剤は、アタパルジャイトのみ、および任意選択的に多孔質材料としての珪藻土、必要に応じて分散媒を添加、混合、混練し、次いで成型を行った後、乾燥する方法により製造することができる。アタパルジャイト、珪藻土は通常粉末として提供される。その場合、それらの粉末を計量、混合する。例えば、一般的な押出円柱状ペレットを製造する場合には、所定量のアタパルジャイトに必要量の添加剤(任意)を加え、乾式混合した後、水を添加して混練することができる。水を添加する際には混合物が不均一とならないように分割投入することが望ましい。混練には例えばマラーなどを使用できる。分散媒は、添加剤を均一に混合させる目的に加え、成型、乾燥工程で一定の形状を維持するための凝集力を付与するために使用することができる。分散媒としては水が好適に使用され、必要によってはアルコール等の有機溶剤、その他の添加剤を使用することもできる。

0031

混練りされた原料は、次いで成型することができる。成型は、例えばディスクペレッターまたはプランジャー押出機を用いて行うことができる。

0032

通常、成型された除去剤を次いで乾燥する。上記乾燥は、例えば、80〜400℃の温度、好ましくは120〜300℃の温度で、行うことができる。

0033

上記のように製造された吸収剤にハロゲン化合物を含む炭化水素ガスを通気させて両者を接触させ、必要に応じて適切な時間保持し、当該吸収剤に上記炭化水素ガスに含まれるハロゲン化合物を吸収させることにより、好ましくは選択的におよび/または優先的に有機ハロゲン化合物を吸収させることにより、上記ガスからハロゲン化合物(好ましくは選択的におよび/または優先的に有機ハロゲン化合物)を除去することができる。

0034

ここで、本発明の有機ハロゲン化合物吸収剤は、塩化物等により活性化処理した触媒を用いて石油留分を処理するプロセスや、原油や各種石精製プロセスに由来する有機ハロゲン化合物の除去に使用することができる。前記の活性化処理した触媒を用いるプロセスは、ナフサ留分の接触改質、移動床式接触改質プロセスにおけるオキシクロリネーションなどの触媒再生プロセス重質ナフサ芳香族化などの反応工程などが挙げられる。これら工程から留出する石油留分としては、重質ナフサや軽質ナフサBTXなどが挙げられる。本発明は、前記プロセスから発生する有機ハロゲン化合物(および任意選択的に無機ハロゲン化合物)と炭化水素を含有する混合物に対して好適に使用することができる。液状の炭化水素に対しても使用することができるが、単位時間当たりの処理量等を考慮すると、ガス状のものが空間速度を大きくすることができるため、前記プロセスから留出する炭化水素ガス、典型的には前記プロセスから留出する炭化水素を気液分離して得られるガス留分副生ガス)に好適に使用できる。有機ハロゲン化合物(および任意選択的に無機ハロゲン化合物)を含有するそのような炭化水素ガスとして、特に、接触改質装置から発生する副生ガスに対して好適に使用することができる。上記の有機ハロゲン化合物(および任意選択的に無機ハロゲン化合物)を含有する炭化水素ガスは、有機ハロゲン化合物(および任意選択的に無機ハロゲン化合物)以外に、水素ガス一酸化炭素等の他のガス分を含有していても構わない。

0035

本発明の好ましい実施態様において、本発明の上記吸収剤を使用することにより、上記炭化水素ガスから有機ハロゲン化合物を選択的におよび/または優先的に除去することが可能である。

0036

本発明のハロゲン化合物吸収剤を用いる処理、すなわち上記炭化水素ガスに含まれる有機ハロゲン化合物を当該吸収剤に吸収させて当該ガスから有機ハロゲン化合物を除去するための処理は、好ましくは、0〜200℃、より好ましくは20〜140℃の温度で行うことができる。ここで、圧力は好ましくは0.2〜6.0MPa、より好ましくは1.0〜4.0MPaである。全吸着剤(無機ハロゲン化合物吸収剤と有機ハロゲン化合物吸収剤)体積に対するガス空間速度GHSV)は、好ましくは200〜6000h−1、より好ましくは800〜5000h−1の条件で上記処理を行うことが好ましい。

0037

従って、本発明の1つの実施態様において、本発明は、炭化水素ガス中に含まれている有機ハロゲン化合物を除去するための、上記有機ハロゲン化合物吸収剤に関する。また、本発明の他の実施態様において、本発明は、炭化水素ガス中に含まれている有機ハロゲン化合物を除去するための、上記有機ハロゲン化合物吸収剤の使用に関する。

0038

さらに、本発明の1つの実施態様において、本発明は、有機ハロゲン化合物および任意選択的に無機ハロゲン化合物を含む炭化水素ガスから有機ハロゲン化合物を除去する方法であって、
i) 上記炭化水素ガスを上記有機ハロゲン化合物吸収剤と接触させるステップ、
を含む方法に関する。ここで、上記ステップi)は、例えば0〜200℃、好ましくは20〜140℃の温度でおよび/または0.2〜6.0MPa、好ましくは1.0〜4.0MPaの圧力で、上記炭化水素ガスを上記吸収剤中に流入させることにより行うことができる。上記炭化水素ガスは、全吸着剤(無機ハロゲン化合物吸収剤と有機ハロゲン化合物吸収剤)体積に対して、例えば200〜6000h−1、好ましくは800〜5000h−1の空間速度で流入させることができる。

0039

なお、上述の炭化水素ガスは、低濃度の無機ハロゲン化合物(例えば塩化水素)を含む炭化水素ガス、例えば公知の無機ハロゲン化合物吸収剤での処理によって予め無機ハロゲン化合物(例えば塩化水素)を除去し、その濃度を減少させた炭化水素ガスであってもよい。好ましくは、上記炭化水素ガスとして、例えば塩化水素濃度が0.1mg−Cl/Nm3以下の炭化水素ガスを使用することができる。

0040

また、本発明の有機ハロゲン化合物吸収剤は単独で使用することも可能であるが、他のハロゲン化合物吸収剤、好ましくは有機ハロゲン化合物を吸収する能力よりも無機ハロゲン化合物を吸収する能力が高い吸収剤(本明細書では、「無機ハロゲン化合物吸収剤」ともいう)と組み合わせて使用することもできる。例えば上述の石油留分処理プロセスや石油精製プロセスでは塩化水素等の無機ハロゲン化合物を生じ得るが、両吸収剤を組み合わせて使用することにより、無機ハロゲン化合物および有機ハロゲン化合物を炭化水素ガスから効率的に除去することが可能である。

0041

本発明の有機ハロゲン化合物吸収剤は、無機ハロゲン化合物吸収剤、例えば酸化亜鉛および/または酸化カルシウムなどを含む吸収剤と組み合わせて、典型的には連結させて使用することが好ましい。上記の無機ハロゲン化合物吸収剤は、例えば、吸収剤の全重量を基準として、10〜95重量%、好ましくは20〜90重量%の酸化亜鉛、および/または5重量%以上、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜50重量%の酸化カルシウムを含有することができる。また、上記無機ハロゲン化合物吸収剤は、例えば、ベントナイトを含むことができ、好ましくは吸収剤の全重量を基準として5〜50重量の量で含むことができる。また、上記無機ハロゲン化合物吸収剤は、例えば、シリカマグネシア複合酸化物を含むことができ、好ましくは吸収剤の全重量を基準として10〜80重量の量で含むことができる。そのような酸化亜鉛および/または酸化カルシウムなどを含む吸収剤は、無機ハロゲン化合物、例えば塩化水素などのハロゲン化水素ガスと、有機ハロゲン化合物、例えば塩化炭化水素などの有機ハロゲン化物ガスの両方を吸収できるが、特に前者の吸収能力が高い。無機ハロゲン化合物吸収剤は、塩化水素等の無機ハロゲン化合物を吸収することができる吸収剤、好ましくは有機ハロゲン化合物よりも無機ハロゲン化合物を選択的および/または優先的に吸収できる吸収剤であれば、特に限定はされない。そのような吸収剤は公知であり、例えば特許文献1、3、4のいずれかに記載されている吸収剤、もしくは例えばクラリアント触媒(株)からActisorb(登録商標) Cl 10の製品名で販売されている吸収剤が使用可能である。

0042

本発明のアタパルジャイトを含む吸収剤(以下、「吸収剤A」とも呼ぶ)は、無機ハロゲン化合物の吸収能力の高い吸収剤(「吸収剤B」とも呼ぶ)と組み合わせることにより、無機ハロゲン化物と有機ハロゲン化物の両方を効率よく吸収、除去できる。ここで吸収剤Bとしては、前述した吸収剤が好適に使用できる。

0043

吸収剤Aは吸収剤Bと直列で接続できるが、吸収剤Aを吸収剤Bの下流側、例えば後段に配置することが好ましい。その様子を示したのが図1で、図中の3.はハロゲン化合物吸収装置、1.は、その無機ハロゲン化合物の吸収剤Bであり、2.はアタパルジャイト吸収剤Aである。Aを下流側、例えば後段に配置する理由は、塩化水素と有機ハロゲン化合物の混合物から、先ず吸収剤Bにより塩化水素等のハロゲン化水素を除去しておくことにより、ハロゲン化水素によるアタパルジャイト(吸収剤A)の構造崩壊を防ぐことができるためである。

0044

従って、本発明の1つの実施態様において、本発明は、酸化亜鉛および/または酸化カルシウムを含む無機ハロゲン化合物吸収剤で予め処理された炭化水素ガスから有機ハロゲン化合物を除去するための、上記有機ハロゲン化合物吸収剤に関する。すなわち、この実施態様では、無機ハロゲン化合物吸収剤での処理により、炭化水素ガスから無機ハロゲン化合物、例えば塩化水素を除去し、その濃度を、有機ハロゲン化合物吸収剤での処理の前に、好ましくは0.1mg−Cl/Nm3以下に、予め低下させておく。

0045

また、本発明のさらなる実施態様において、本発明は、酸化亜鉛および/または酸化カルシウムを含む無機ハロゲン化合物吸収剤で予め処理された炭化水素ガスから有機ハロゲン化合物を除去するための、上記有機ハロゲン化合物吸収剤の使用に関する。

0046

さらに、本発明の1つの実施態様において、本発明は、有機ハロゲン化合物および無機ハロゲン化合物を含む炭化水素ガスから有機ハロゲン化合物および無機ハロゲン化合物を除去する方法であって、
a) 上記炭化水素ガスを無機ハロゲン化合物吸収剤と接触させるステップ、および
b) ステップa)の下流で、ステップa)の後に得られた炭化水素ガスを上記有機ハロゲン化合物吸収剤と接触させるステップ、
を含む方法に関する。ここで、上記ステップa)は、例えば0〜200℃、好ましくは20〜140℃の温度でおよび/または0.2〜6.0MPa、好ましくは1.0〜4.0MPaの圧力で、上記炭化水素ガスを上記無機ハロゲン化合物吸収剤中に流入させることにより行うことができる。また、ステップb)は、例えば0〜200℃、好ましくは20〜140℃の温度でおよび/または0.2〜6.0MPa、好ましくは1.0〜4.0MPaの圧力で、ステップa)で無機ハロゲン化合物(例えば塩化水素)を除去してその濃度を減少させた(好ましくは0.1mg−Cl/Nm3以下に減少させた)炭化水素ガスを上記有機ハロゲン化合物吸収剤中に流入させることにより行うことができる。全吸着剤(無機ハロゲン化合物吸収剤と有機ハロゲン化合物吸収剤)体積に対する上記炭化水素ガスは、例えば200〜6000h−1、好ましくは800〜5000h−1の空間速度で流入させることができる。このような方法により、無機ハロゲン化合物(好ましくは塩化水素)と有機ハロゲン化合物(好ましくは塩化炭化水素)の両方を炭化水素ガスから効率よく除去することができる。

0047

なお、本発明による吸収剤やそれを用いる方法によって処理される上記炭化水素ガスは、例えば上述のような接触改質工程からまたはそのために使用される接触改質装置から発生/留出する炭化水素を含有するガス(例えば上述のような副生ガス)であることができる。当該ガスは、通常、これらの工程等で発生した無機ハロゲン化合物や有機ハロゲン化合物を含む。従って、本発明の1つの実施態様において、本発明は、接触改質工程から留出した炭化水素ガスであって、無機ハロゲン化合物吸収剤で、好ましくは酸化亜鉛および/または酸化カルシウムを含む無機ハロゲン化合物吸収剤で予め処理された炭化水素ガスから有機ハロゲン化合物を除去するための、上記有機ハロゲン化合物吸収剤の使用に関する。さらに、本発明の1つの実施態様において、本発明は、以下のステップ:
1) 接触改質工程から留出した炭化水素ガスを、無機ハロゲン化合物吸収剤、好ましくは酸化亜鉛および/または酸化カルシウムを含む無機ハロゲン化合物吸収剤と接触させるステップ、
2) ステップ1)の下流で、ステップ1)の後に得られた炭化水素ガスを上記有機ハロゲン化合物吸収剤と接触させるステップ、
を含む、
接触改質工程から留出した炭化水素ガス(無機ハロゲン化合物および有機ハロゲン化合物を含む)から、無機ハロゲン化合物濃度(典型的には塩化水素濃度)および有機ハロゲン化合物濃度(典型的には塩化炭化水素濃度)が低められた炭化水素ガスを製造する方法に関する。

0048

ここで、上記ステップ1)および2)では、それぞれステップa)およびb)に関して記載した上記のような温度、圧力、空間速度の条件を使用することができる。このような方法により、接触改質工程で留出した炭化水素ガスから、無機ハロゲン化合物(好ましくは塩化水素)と有機ハロゲン化合物(好ましくは塩化炭化水素)の両方を効率よく除去することができ、その結果として、無機ハロゲン化合物濃度(典型的には塩化水素濃度)および有機ハロゲン化合物濃度(典型的には塩化炭化水素濃度)が低められた炭化水素ガス、例えば塩化水素濃度が0.1mg−Cl/Nm3以下であり、塩化炭化水素濃度が0.3mg−Cl/Nm3以下である炭化水素ガスが得られる。

0049

さらに、本発明の別の実施態様において、本発明は、上記無機ハロゲン化合物吸収剤を備えた無機ハロゲン化合物吸収領域と、上記有機ハロゲン化合物吸収剤を備え、上記無機ハロゲン化合物吸収領域の後段に(好ましくは直列に)配置された有機ハロゲン化合物吸収領域とを有する、ハロゲン化合物吸収装置に関する(図1参照)。当該装置では、炭化水素ガス中の有機ハロゲン化合物(例えばハロゲン化炭化水素、好ましくは塩化炭化水素)と無機ハロゲン化合物(例えば塩化水素)の濃度比に応じて、無機ハロゲン化合物吸収剤と有機ハロゲン化合物吸収剤の充填量を調整することが可能である。なお、図1に示した装置では、同一装置内に無機ハロゲン化合物吸収領域と有機ハロゲン化合物吸収領域が別々に配置され、相互に連結されているが、無機ハロゲン化合物吸収領域を有する装置()の下流に有機ハロゲン化合物吸収領域を有する別の装置(塔)を連結して、ハロゲンガス除去システムを構築することも可能である。

0050

また、本発明のさらなる実施態様では、本発明は、接触改質工程で発生するハロゲン化合物を吸収するための、上記装置に関する。さらに別の本発明の実施態様では、本発明は、接触改質工程で発生するハロゲン化合物を吸収するための、上記装置の使用に関する。

0051

ここでアタパルジャイトの構造とは、アタパルジャイト特有中空針状の結晶構造を指し、その表面積が非常に大きいため塩化炭化水素の吸着能を大きくしていると推定される。無機塩水素高濃度で含有する流体を、アタパルジャイトに直接流入させると、その中空針状構造が崩壊し、目的とする塩化炭化水素の吸着能が低下するが、その塩化水素を除去して、低濃度にしてから流入させると、その結晶構造が維持される。そのように配置された吸収剤が高い塩化炭化水素吸収能を示すことを、以下の実施例で説明する。

0052

以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の例によって何ら限定されるものではない。

0053

以下の実施例、比較例で使用された吸収剤の性能評価は以下の方法によった。

0054

塩化炭化水素および塩化水素吸収性能評価:塩化物吸収剤内容積150mlの円筒形吸着塔に充填し、GHSV(空間速度)が4500h−1、温度35℃、圧力3.4MPaの条件で試験ガスを通気した。試験ガスは、重質ナフサを接触改質装置により改質した炭化水素油から、気液分離を行ったガスを使用した。試験ガスに含有される平均塩化水素濃度は10mg−Cl/Nm3程度であり、また、平均塩化炭化水素濃度は3mg−Cl/Nm3程度であった。ここで、塩化水素濃度10mg−Cl/Nm3とは、大気圧(0.1MPa)、0℃、1m3中に含まれる塩素の質量が10mgであることを示している。

0055

試験では被処理ガス中の有機塩化物の濃度が0.3mg−Cl/Nm3に達するまでの時間(以下、「塩化炭化水素吸収処理時間」と記載する)を測定した。また、被処理ガス中の有機塩化物の濃度が0.3mg−Cl/Nm3に達した時の塩化水素濃度(以下、「塩化炭化水素破過時塩化水素濃度」と記載する)を調べた。

0056

実施例1、比較例1、比較例2、参考例1の吸収剤を別々の吸収塔に充填し、並列に配置して試験ガスを通過させて、同時に評価した。試験に用いたガス中の塩素濃度は変動するが、同時に評価した吸着塔については、変動の履歴も同じになるため、比較可能なデータが得られる。

0057

被処理ガス中の塩化水素および塩化炭化水素濃度の測定は以下のように行った。被処理ガスをイオン交換水キシレンに逐次流通させて、イオン交換水に吸収された塩化物を塩化水素とし、キシレンに吸収された塩化物を塩化炭化水素とした。イオン交換水に吸収された塩化物を、サプレッサ方式の陰イオンクロマトグラフ((株)島津製作所LC−20Aイオンクロマトシステム)を用いて調べ、被処理試験ガス中の塩化水素濃度を定量した。また、キシレンに吸収された塩化物を、微量塩素分析装置((株)三菱ケミカルアナリテック製TS−300型、ASTMD5808に準拠)を用いて調べ、被処理試験ガス中の塩化炭化水素濃度を定量した。分析は24時間おきに行った。

0058

性能評価には、クラリアント触媒(株)から製造販売されている塩素吸収剤ActiSorb(登録商標) Cl 10と、以下の手順で調製した塩化炭化水素吸収剤を用いた。ActiSorb(登録商標) Cl 10は酸化亜鉛とシリカマグネシア複合酸化物からなり、直径4.8mmの円柱状押出成型体を使用した。

0059

<実施例1>
実施例1
アタパルジャイト粉末2.0kgをニーダーで10分間乾式混合した。乾式混合に続いて、水を添加しながら混合することにより混練ケーキを得た。得られた混練ケーキを、直径2.5mmの円柱状ペレットに押出し成型し、270℃で3時間乾燥した。得られた成型体を吸収剤Aとする。ActiSorb(登録商標) Cl 10(以下、吸収剤Bと称する)を吸着塔のガス入口側の80体積%に充填し、吸収剤Aをガス出口側の20体積%に充填した。その後、塩化炭化水素および塩化水素の吸収性能評価を行った。

0060

<比較例1>
ベントナイト粉末2.0kgをニーダーで10分間乾式混合した。乾式混合に続いて、水を添加しながら混合することにより混練ケーキを得た。得られた混練ケーキを、直径2.5mmの円柱状ペレットに押出し成型し、270℃で3時間乾燥した。得られた成型体を吸収剤Cとする。

0061

吸収剤B(ActiSorb(登録商標) Cl 10)を吸着塔のガス入口側の80体積%に充填し、吸収剤Cをガス出口側の20体積%に充填した。その後、塩化炭化水素および塩化水素の吸収性能評価を行った。

0062

<比較例2>
吸収剤B(ActiSorb(登録商標) Cl 10)を吸着塔に100体積%に充填した。その後、塩化炭化水素および塩化水素の吸収性能評価を行った。

0063

<参考例1>
吸収剤B(ActiSorb(登録商標) Cl 10)を吸着塔の70体積%に充填した。残りの30体積%は空隙であり何も充填していない。また、他の実施例・比較例と同じ流速で評価している。その後、塩化炭化水素および塩化水素の吸収性能評価を行った。この吸収塔に関しては、塩化炭化水素吸収処理時間を調べたほか、同時に行った試験の中で最も塩化炭化水素吸収処理時間が長かった実施例1において被処理ガス中の塩化炭化水素の濃度が0.3mg−Cl/Nm3に達した時の塩化水素濃度を調べた。

0064

上記実施例1、比較例1〜2、参考例1の測定結果を表1に示した。

0065

0066

参考例1から、リーク時間216時間を吸収剤体積占有率70%で除することにより、吸収剤Bの1%体積率当たりの保持時間は3.1時間となる。比較例2からもほぼ同じ保持時間が得られることから、吸収剤Bのリーク時間はその体積%に比例することがわかる。

0067

実施例1において、吸収剤Bは80%体積を占めるので、上流側のBのみよる塩化炭化水素の保持時間は248時間となり、直列接続した際の実施例1の480時間との差232時間が、吸収剤Aの20%の寄与による。吸収剤Bの20%体積による吸収能は、62時間(20×3.1)となるため、吸収剤Aの塩化炭化水素吸収能は、吸収剤Bの約3.7倍(232÷62)となる。また比較例1から計算すると、ベントナイト吸収剤Cに比べ実施例1の吸収剤Aは、232/(312−248)約3.6倍の吸収能力があることが示された。

実施例

0068

以上の結果から、本発明における塩化炭化水素の処理能力は、従来の亜鉛を含むハロゲン吸収剤に比べ、著しく有機ハロゲン化炭化水素吸収能力が高い。そのことにより、ハロゲン吸収剤全体容積中の20%程度の容積に充填するだけで、塩化水素と塩化炭化水素ガスの両方が含まれる炭化水素ガスの処理能力を2倍程度に高めることが可能となった。

0069

1.無機ハロゲン化合物吸収剤B
2.有機ハロゲン化合物吸収剤A
3.ハロゲン化合物吸収装置

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ