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図面 (10)

課題

溶液中に供給された原料液中の金属塩を安定して反応させることができる反応装置を提供する。

解決手段

本発明に係る反応装置は、溶液の中に金属塩を含む原料液を供給しながら、金属を含む粒子析出させる反応装置であって、前記溶液を収容する反応槽と、前記原料液を前記溶液の中に添加する原料液供給管と、前記反応槽の内周面から突出する邪魔板と、前記反応槽内の前記溶液の温度を調整する温度調整部と、を有し、前記原料液供給管の少なくとも一部は、上方視で、前記邪魔板の径方向内側端よりも径方向外側に設けられ、前記原料液供給管は、前記原料液の温度が前記溶液の温度と同じかその近傍になるまで前記原料液が前記溶液と熱交換可能な長さを備える。

概要

背景

非水系電解質二次電池等のリチウムイオン二次電池正極材料として用いられる正極活物質は、層状又はスピネル型リチウム金属複合酸化物等を用いて製造できる。リチウム金属複合酸化物は、その前駆体である金属複合水酸化物リチウム化合物と混合して焼成することで製造される。

金属複合水酸化物の製造には、例えば、金属塩を含む原料液原料液供給管添加口から反応槽内の溶液中に供給して、溶液中の添加口付近で金属塩を晶析反応させることで、金属複合水酸化物の粒子を生成する反応装置が用いられる。

このような反応装置として、例えば、溶液を収容する撹拌槽と、溶液を撹拌する撹拌翼とを有し、溶液の中に原料液を吐出する吐出部を複数有し、溶液の中に原料液を供給しながら、溶液の中で粒子を析出させる化学反応装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。

概要

溶液中に供給された原料液中の金属塩を安定して反応させることができる反応装置を提供する。本発明に係る反応装置は、溶液の中に金属塩を含む原料液を供給しながら、金属を含む粒子を析出させる反応装置であって、前記溶液を収容する反応槽と、前記原料液を前記溶液の中に添加する原料液供給管と、前記反応槽の内周面から突出する邪魔板と、前記反応槽内の前記溶液の温度を調整する温度調整部と、を有し、前記原料液供給管の少なくとも一部は、上方視で、前記邪魔板の径方向内側端よりも径方向外側に設けられ、前記原料液供給管は、前記原料液の温度が前記溶液の温度と同じかその近傍になるまで前記原料液が前記溶液と熱交換可能な長さを備える。

目的

本発明の一態様は、溶液中に供給された原料液中の金属塩を安定して反応させることができる反応装置を提供する

効果

実績

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請求項1

溶液の中に金属塩を含む原料液を供給しながら、金属を含む粒子析出させる反応装置であって、前記溶液を収容する反応槽と、前記原料液を前記溶液の中に添加する原料液供給管と、前記反応槽の内周面から突出する邪魔板と、前記反応槽内の前記溶液の温度を調整する温度調整部と、を有し、前記原料液供給管の少なくとも一部は、上方視で、前記邪魔板の径方向内側端よりも径方向外側に設けられ、前記原料液供給管は、前記原料液の温度が前記溶液の温度と同じかその近傍になるまで前記原料液が前記溶液と熱交換可能な長さを備える反応装置。

請求項2

前記原料液供給管は、前記内周面に沿って前記反応槽の高さ方向又は周方向にU字状に少なくとも1回折り返すように形成された蛇行部を有する請求項1に記載の反応装置。

請求項3

前記原料液供給管は、前記蛇行部に連結された吐出部をさらに有し、前記蛇行部は、前記反応槽の高さ方向に平行な直線部と、前記直線部の上端部同士又は下端部同士を連結する折返し部と、を備え、前記吐出部は、前記直線部の下端に連結されている請求項2に記載の反応装置。

請求項4

前記原料液供給管は、前記蛇行部に連結された吐出部をさらに有し、前記蛇行部は、前記反応槽の内周面に沿って水平に設けられた湾曲部と、前記湾曲部の上流端部同士又は下流端部同士を連結する折返し部と、を備え、前記吐出部は、前記湾曲部の上流端部又は下流端部に連結されている請求項2に記載の反応装置。

請求項5

前記原料液供給管は、前記原料液の温度と前記溶液の温度との差が±1℃以下になるまで前記原料液が前記溶液と熱交換可能な長さを有する請求項1〜4の何れか1項に記載の反応装置。

請求項6

前記原料液供給管は、前記反応槽内に前記邪魔板を貫通して設けられる請求項1〜5の何れか1項に記載の反応装置。

請求項7

前記粒子が、金属複合水酸化物の粒子である請求項1〜6の何れか1項に記載の反応装置。

請求項8

前記粒子が、リチウムイオン二次電池正極活物質の前駆体として用いられる請求項1〜7の何れか1項に記載の反応装置。

請求項9

反応装置を用いて、溶液の中に金属塩を含む原料液を供給しながら、金属を含む粒子を析出させる粒子の製造方法であって、前記反応装置は、前記溶液を収容する反応槽と、前記原料液を前記溶液の中に添加する原料液供給管と、前記反応槽の内周面から突出する邪魔板と、前記反応槽の前記溶液の温度を調整する温度調整部と、を有し、前記原料液供給管の少なくとも一部は、上方視で、前記邪魔板の径方向内側端よりも径方向外側に設けられ、前記原料液供給管は、前記原料液の温度が前記溶液の温度と同じかその近傍になるまで前記原料液が前記溶液と熱交換可能な長さを備え、前記原料液の温度を前記溶液の温度と同じかその近傍とした状態で前記原料液を前記溶液の中に供給する粒子の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、反応装置及び粒子の製造方法に関する。

背景技術

0002

非水系電解質二次電池等のリチウムイオン二次電池正極材料として用いられる正極活物質は、層状又はスピネル型リチウム金属複合酸化物等を用いて製造できる。リチウム金属複合酸化物は、その前駆体である金属複合水酸化物リチウム化合物と混合して焼成することで製造される。

0003

金属複合水酸化物の製造には、例えば、金属塩を含む原料液原料液供給管添加口から反応槽内の溶液中に供給して、溶液中の添加口付近で金属塩を晶析反応させることで、金属複合水酸化物の粒子を生成する反応装置が用いられる。

0004

このような反応装置として、例えば、溶液を収容する撹拌槽と、溶液を撹拌する撹拌翼とを有し、溶液の中に原料液を吐出する吐出部を複数有し、溶液の中に原料液を供給しながら、溶液の中で粒子を析出させる化学反応装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0005

国際公開第2017/217371

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、金属塩の晶析反応は、原料液の添加口付近で局所的に生じている。そのため、添加口付近における溶液の温度をできるかぎり一定に維持して原料液中の金属塩を安定して反応させ、生成する金属複合水酸化物の粒子の粒子径分布(ばらつき)を小さくすることが重要である。添加口から溶液中に供給される原料液の温度が反応槽内の溶液の温度と異なる場合、添加口から供給される原料液の温度の影響で、添加口付近における溶液の温度が変動し易くなる。添加口付近の溶液の温度が変動すると、晶析反応の速度が変化するため、金属複合水酸化物の析出が不安定になり、生成する金属複合水酸化物の粒子のばらつきが大きくなる可能性がある。

0007

本発明の一態様は、溶液中に供給された原料液中の金属塩を安定して反応させることができる反応装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の一態様に係る反応装置は、溶液の中に金属塩を含む原料液を供給しながら、金属を含む粒子を析出させる反応装置であって、前記溶液を収容する反応槽と、前記原料液を前記溶液の中に添加する原料液供給管と、前記反応槽の内周面から突出する邪魔板と、前記反応槽内の前記溶液の温度を調整する温度調整部と、を有し、前記原料液供給管の少なくとも一部は、上方視で、前記邪魔板の径方向内側端よりも径方向外側に設けられ、前記原料液供給管は、前記原料液の温度が前記溶液の温度と同じかその近傍になるまで前記原料液が前記溶液と熱交換可能な長さを備える。

発明の効果

0009

本発明の一態様に係る反応装置は、溶液中に供給された原料液中の金属塩を安定して反応させることができる。

図面の簡単な説明

0010

一実施形態による反応装置の構成を示す部分切欠き斜視図である。
図1のA−A方向から見た平面図である。
原料液供給管の一例を示す斜視図である。
一実施形態による反応装置を用いたニッケル含有水酸化物の製造方法のフローチャートである。
粒子成長工程の前半で形成される凝集体模式化した断面図である。
粒子成長工程の後半で形成される外殻を模式化した断面図である。
原料液供給管の他の構成の一例を示す図である。
反応装置の他の構成を示す部分切欠き斜視図である。
原料液供給管の他の構成の一例を示す図である。

実施例

0011

以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。

0012

[反応装置]
一実施形態による反応装置について説明する。本実施形態では、晶析反応により金属複合水酸化物の粒子を製造する場合について説明する。なお、反応装置の用途は、晶析反応により金属複合水酸化物の粒子を製造する場合に限定されない。

0013

図1は、一実施形態による反応装置の構成を示す部分切欠き斜視図であり、図2は、図1のA−A方向から見た平面図である。なお、図1では、反応装置の高さ方向を鉛直方向とし、幅方向を水平方向とする。図1及び図2に示すように、反応装置10は、撹拌槽(反応槽)20、撹拌軸30、撹拌翼40、バッフル(邪魔板)50、原料液供給管60、中和剤供給管70、錯化剤供給管80及び温度調整用ジャケット(温度調整部)90を有する。撹拌槽20内には、中和剤、錯化剤及び水を含む水溶液貯留されているものとする。以下、反応装置10の各構成について説明する。

0014

撹拌槽20は、図1及び図2に示すように、円筒状に形成された底を有する容器であり、内部に水溶液が収容可能な空間を有する。撹拌槽20の容量は、適宜設計可能であり、例えば、数リットル〜数十リットルとすることができる。

0015

撹拌槽20を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、SUS304LやSUS316L等の低炭素ステンレス鋼等を用いることができる。

0016

撹拌槽20には、撹拌槽20内の水溶液の温度を測定する、不図示の温度検出器が設けられる。温度検出器としては、公知の温度計等を用いることができる。

0017

撹拌軸30は、図1に示すように、高さ方向を長手方向とする棒状部材であり、撹拌槽20の上部から撹拌槽20内に挿入されている。なお、撹拌槽20の上部に不図示の蓋部が設けられている場合、不図示の蓋部に撹拌軸30を挿通して撹拌槽20内に挿入される。

0018

撹拌軸30の上端は、撹拌槽20の上方に設けられたモータ駆動装置)31に回転可能に支持されている。撹拌軸30の下端は、撹拌槽20内の底面近くに位置している。

0019

撹拌軸30の直径及び長さは、撹拌槽20の大きさ等に応じて適宜設計可能である。

0020

撹拌翼40は、図1に示すように、撹拌軸30の下端部に取付けられている。撹拌軸30が軸周りに回転することにより、撹拌翼40は撹拌軸30の軸周りに回転する。

0021

撹拌翼40は、複数(図1では6枚)のディスクに装着したディスクタービン型の撹拌翼である。なお、撹拌翼40は、プロペラ型ピッチドパドル型、ピッチド型又は鋸歯型等の他の形状の撹拌翼でもよい。

0022

撹拌翼40は、撹拌軸30に一体に形成されていてもよいし、撹拌軸30に着脱可能に構成されていてもよい。

0023

撹拌槽20の中心線、撹拌軸30の中心線及び撹拌翼40の中心線は、一致していてよいし、鉛直でもよい。

0024

バッフル50は、図1及び図2に示すように、高さ方向を長手方向とする長尺板部材である。バッフル50は、撹拌槽20の内周面20aに周方向に複数(図1では、4つ)設けられている。バッフル50は、撹拌槽20の径方向内側に突出している。バッフル50は、撹拌翼40により撹拌される撹拌槽20内の水溶液の流動阻害する機能を有する。

0025

バッフル50は、撹拌槽20の内周面20aに一体に形成されていてもよいし、撹拌槽20の内周面20aに着脱可能に構成されていてもよい。

0026

原料液供給管60は、原料液を撹拌槽20内に供給する。原料液供給管60は、図1及び図2に示すように、撹拌槽20内に4つ設けられている。それぞれの原料液供給管60は、異なるバッフル50同士の間に設けられている。なお、原料液供給管60の数は、変更可能であり、1つ以上3つ以下でもよいし、5つ以上でもよい。

0027

原料液は、金属塩を含有する。金属塩としては、Ni、Co、Al、Mn、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta又はW等を含む塩を用いることができる。金属塩は、これら各種金属の、硫酸塩、硝酸塩又は塩酸塩等を用いることができる。金属塩は、上記の各種金属を含む塩を1種単独で用いてもよいし、2種以上用いてもよい。中でも、金属塩としては、リチウム金属複合酸化物の前駆体として、リチウムイオン二次電池をより高容量化できるニッケル含有水酸化物を得る点から、Niを含む塩(Ni塩)を用いることが好ましい。

0028

図3は、原料液供給管60の一例を示す斜視図である。図3に示すように、原料液供給管60は、蛇行部61Aと、吐出部62とを有する。

0029

蛇行部61Aは、図1及び図3に示すように、直線部611と、折返し部612とを有し、原料液供給管60内を流れる原料液が蛇行して流れる流路を形成する。

0030

直線部611は、図1及び図3に示すように、撹拌槽20の高さ方向(鉛直方向)に平行に設けられる。直線部611は、図1及び図2に示すように、撹拌槽20の内周面20aに沿って、周方向に間隔をおいて複数配設される。複数の直線部611は、略U字状に形成された折返し部612で連結される。

0031

折返し部612は、図3に示すように、隣り合う直線部611の上端部同士又は下端部同士を連結する。折返し部612の数は、複数であるが、1つでもよいし、添加口62aにおいて原料液の温度が水溶液の温度と同一となればよい。

0032

蛇行部61Aは、図1及び図3に示すように、直線部611と折返し部612とで、反応槽21の高さ方向にU字状に複数回(図3では、10回)折り返すように形成されている。蛇行部61Aは、図1及び図2に示すように、バッフル50の径方向内側端50aよりも径方向外側に設けられ、撹拌槽20の内周面20aに沿うように湾曲して配置されている。蛇行部61Aは、内周面20aと離れた状態で設けられているが、内周面20aに接触した状態で設けられていてもよい。

0033

吐出部62は、図1及び図3に示すように、折返し部612の下端に連結され、図1及び図2に示すように、撹拌槽20の径方向内側に向かって延びている。吐出部62は、バッフル50の径方向内側端50aよりも径方向内側に突出している。吐出部62は、図1図3に示すように、先端に撹拌槽20内の水溶液中に原料液を吐出する添加口62aを備える。添加口62aより、原料液は、撹拌翼40の近傍に添加される。撹拌翼40の近傍は、水溶液が撹拌翼40による撹拌の影響が大きいため、原料液を水溶液中に最も効率良く分散させられる。

0034

原料液供給管60は、原料液供給管60に供給された原料液の温度が撹拌槽20内の水溶液の温度と同じかその近傍になるまで原料液が水溶液と熱交換可能な長さを有する。原料液供給管60の供給口611aに供給された原料液は、添加口62aから撹拌槽20内の水溶液中に添加されるまでの間に撹拌槽20内の水溶液と熱交換されて、原料液の温度は原料液供給管60内で撹拌槽20内の水溶液の温度と同じかその近傍になる。

0035

原料液の温度が水溶液の温度と同じかその近傍とは、原料液の温度が撹拌槽20内の水溶液の温度とほぼ同じ温度であることを意味し、原料液の温度と水溶液の温度との差が、±1℃以下であることが好ましく、±0.5℃以下であることがより好ましく、同じ温度であることが最も好ましい。

0036

原料液供給管60の長さは、撹拌槽20の大きさやバッフル50同士の間隔等に応じて、蛇行部61Aの折り返しの回数や蛇行部61Aの形状等を設計することで、調整可能である。

0037

中和剤供給管70は、添加口70aから撹拌槽20内に中和剤を供給する管であり、棒状に形成されている。中和剤供給管70は、撹拌槽20の上部から撹拌槽20内に挿入されている。

0038

中和剤は、金属塩又は金属塩から生成される錯体と反応して金属水酸化物を生成するものである。また、中和剤は、水溶液のpHを調整するpH調整剤としても用いられる。中和剤としては、水酸化ナトリウム水酸化カリウム等を含むアルカリ水溶液が用いられる。

0039

錯化剤供給管80は、添加口80aから撹拌槽20内に錯化剤を供給する管であり、棒状に形成されている。錯化剤供給管80は、撹拌槽20の上部から撹拌槽20内に挿入されている。

0040

錯化剤は、撹拌槽20内の水溶液中で金属イオンと結合して錯体を形成するアンモニウムイオン供給体を含む水溶液を用いることができる。錯化剤としては、アンモニウムイオン供給体としてアンモニアを含む水溶液(アンモニア水)等を用いることができる。

0041

温度調整用ジャケット90は、撹拌槽20の外周面20bを覆うように略円筒状に形成されている。温度調整用ジャケット90は、撹拌槽20の外周面20bに設けられ、撹拌槽20の側壁を加熱又は冷却する。撹拌槽20の側壁が加熱又は冷却されることで、撹拌槽20の側壁を介して撹拌槽20内の水溶液が加熱又は冷却され、水溶液の温度が調整される。

0042

温度調整用ジャケット90は、熱交換媒体が供給される供給口91と、熱交換媒体が排出される排出口92とを有する。温度調整用ジャケット90は、その内周面90aに螺旋状に形成された仕切り板93を有する。仕切り板93によって、撹拌槽20の外周面20bと温度調整用ジャケット90の内周面90aとの間には、温度調整用ジャケット90内に供給される熱交換媒体が通過するための流路が形成される。

0043

温度調整用ジャケット90は、撹拌槽20の外周面20bに外側から熱交換媒体を接触させる。温度調整用ジャケット90は、撹拌槽20の外周面20bを伝熱面として、熱交換媒体と撹拌槽20内の水溶液とを熱交換させることにより、撹拌槽20内の水溶液を加熱または冷却し、水溶液の温度を調整する。

0044

熱交換媒体としては、水等の流体を用いることができる。

0045

温度調整用ジャケット90に供給される熱交換媒体は、貯留タンク95に貯留される。

0046

貯留タンク95は、熱交換媒体を貯留して、熱交換媒体の温度を調整する。貯留タンク95は、温度調整された熱交換媒体を温度調整用ジャケット90に供給すると共に、温度調整用ジャケット90で使用された熱交換媒体を回収する。熱交換媒体は、温度調整用ジャケット90と貯留タンク95との間を循環している。熱交換媒体は、貯留タンク95で所定の温度に調整された後、温度調整用ジャケット90の供給口91に供給される。温度調整用ジャケット90の排出口92から排出された熱交換媒体は、貯留タンク95に送られ、貯留タンク95に貯留される。熱交換媒体は、貯留タンク95で所定の温度に調整される。なお、貯留タンク95には、外部から新たに未使用の熱交換媒体が供給されてもよい。

0047

貯留タンク95は、有線通信又は無線通信を介して制御部96と制御可能に接続されている。なお、貯留タンク95は、有線通信又は無線通信を介してLANやインターネット等のネットワークを介して制御部96と接続されてもよい。

0048

制御部96は、例えばコンピュータで構成され、制御プログラムや各種記憶情報を格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて動作する演算手段と、入力インターフェースと、出力インターフェースとを有する。記憶手段には、RAM、ROM等がある。記憶手段は、貯留タンク95に貯留される熱交換媒体の設定温度等を記憶する。演算手段には、CPUなどがある。制御部96は、演算手段が記憶手段に格納されている制御プログラム等を読み出して実行することにより、貯留タンク95等の各種の制御を行う。また、制御部96は、入力インターフェースで外部からの信号を受信し、出力インターフェースで外部に信号を送信する。

0049

制御部96は、撹拌槽20に設けた不図示の温度検出器と連結されており、不図示の温度検出器で測定された温度(測定温度)の信号が制御部96に送られる。制御部96は、送られた測定温度と、制御部96の記憶手段に記憶されている設置温度とを比較して、貯留タンク95内に貯留されている熱交換媒体の温度を調整する信号を貯留タンク95に送る。

0050

温度調整用ジャケット90は、その外周面90bに、温度調整用ジャケット90を保温する断熱材(保温材)97が設けられている。断熱材としては、グラスウール等を用いることができる。なお、保温材97は、必要に応じて設ければよく、設けなくてもよい。

0051

なお、温度調整用ジャケット90の構成は、上記構成に限定されず、撹拌槽20の側壁から撹拌槽20内の水溶液を加熱または冷却して、水溶液の温度を調整できる構成であればよい。

0052

次に、反応装置10の動作について説明する。反応装置10では、モータ31を駆動して撹拌軸30が回転することで、撹拌翼40が回転し、撹拌槽20内の水溶液が撹拌翼40により撹拌される。撹拌槽20内の水溶液が撹拌翼40により撹拌される際、バッフル50により撹拌槽20内の水溶液の回転流が阻害されることで、撹拌槽20内には水溶液の上昇流下降流が生じ、水溶液の撹拌効率が向上する。

0053

撹拌槽20内の水溶液には、原料液供給管60の添加口62aから原料液が供給される。また、中和剤供給管70の添加口70aから中和剤が供給されてもよいし、錯化剤供給管80の添加口80aから錯化剤が供給されてもよい。原料液が撹拌槽20内の水溶液中に供給されると、添加口62a付近で原料液中の金属塩と中和剤及び錯化剤とが晶析反応して、金属複合水酸化物の溶質成分が生成される。生成された金属複合水酸化物の溶質成分が析出することで、金属複合水酸化物の粒子が生成される。

0054

原料液供給管60に供給された原料液は、原料液供給管60の蛇行部61Aを通る間に水溶液と十分に熱交換される。原料液が添加口62aから水溶液中に供給されるまでには、原料液は水溶液の温度近くまで加熱又は冷却されて、水溶液中に供給される。

0055

また、蛇行部61Aは、撹拌槽20の内周面20aに沿うように設けられているため、バッフル50の径方向内側端50aよりも径方向外側に生じる水溶液の回転流を阻害しない。

0056

温度調整用ジャケット90に貯留タンク95から熱交換媒体が供給されることで、撹拌槽20内の水溶液の温度は所定の温度に調整される。温度調整用ジャケット90に供給される熱交換媒体の温度は、撹拌槽20内の水溶液の温度に応じて調整される。熱交換媒体が外部から供給口91を通って、温度調整用ジャケット90内に供給される。温度調整用ジャケット90内に供給された熱交換媒体は、撹拌槽20の外周面20bと温度調整用ジャケット90の内周面90aとの間に仕切り板93により仕切られることで形成された螺旋状の流路を通り、排出口92に向かって流れる。熱交換媒体は、流路を通りながら撹拌槽20の側壁を加温又は冷却する。撹拌槽20の側壁が加温又は冷却されることで、側壁を介して撹拌槽20内の水溶液が加温又は冷却され、水溶液の温度が調整される。

0057

このように、一実施形態による反応装置10は、原料液供給管60の蛇行部61AをU字状に複数回折り返して構成し、折返し部612で原料液供給管60に供給された原料液が水溶液内を通る時間を長くして、原料液と水溶液とを熱交換させるのに十分な伝熱面積を確保している。これにより、原料液供給管60は、原料液の温度が撹拌槽20内の水溶液の温度と同じかその近傍になるまで原料液を水溶液と熱交換可能な長さとしている。そのため、反応装置10は、原料液供給管60で添加口62aから原料液を容器中の水溶液に供給する前に予め原料液の温度を水溶液の温度と同じかその近傍に調整できる。添加口62aから原料液を水溶液の温度と同じ温度かその近傍の温度で水溶液中に供給できるため、添加口62a付近の水溶液の温度変化を抑制できる。添加口62a付近の水溶液の温度変化を抑制することで、添加口62a付近で生じる原料液中の金属塩の晶析反応の速度をほぼ一定にでき、原料液中の金属塩を安定して反応させることができる。これにより、金属塩が中和剤及び錯化剤と反応することで生じる金属複合水酸化物の析出を安定させることができるため、生成される金属複合水酸化物の粒子のばらつきを小さくできる。

0058

ここで、原料液の温度を水溶液の温度と同じかその近傍に調整する利点について詳細に説明する。原料液が撹拌槽20に供給されると、その直後に中和剤と析出反応を起こす。すなわち、原料液供給管60の添加口62aのすぐ近傍に、原料液中の金属塩と中和剤及び錯化剤とが反応して金属複合水酸化物の溶質成分を生成する析出反応場が形成される。この析出反応場における局所の温度は、供給される原料液の温度に影響を受けて変化する。一方、撹拌槽20内の水溶液の温度は、撹拌槽20に設置した、不図示の温度検出器により計測される。その計測値目標温度になるよう、熱交換器等により撹拌槽20内の水溶液は加熱又は冷却されて、撹拌槽20内の水溶液の温度は目標値に近い温度に維持される。そのため、原料液の温度が撹拌槽20内の水溶液の温度と一致しない場合は、撹拌槽20内の水溶液の温度と、析出反応場における局所の温度が一致しないことになる。析出反応場の温度が変わると、生成される金属複合水酸化物の溶質成分の飽和溶解度が変わる。飽和溶解度が変化すると、後述するように、中和晶析によってニッケル含有水酸化物の粒子を製造する際に、生成されるニッケル含有水酸化物の粒子の粒度分布に影響を与える可能性がある。金属複合水酸化物の溶質成分の飽和溶解度が変化することで、ニッケル含有水酸化物からなる核(核粒子)を発生する割合と、核粒子が成長して種晶粒子を形成する割合とが変化して、生成されるニッケル含有水酸化物の粒子数粒径成長速度が変化する。これにより、生成されるニッケル含有水酸化物の粒子の粒径分布が変化して、ニッケル含有水酸化物の粒子の粒径分布が急峻になったりなだらかになったりする。

0059

また、析出反応場における温度が変わると、析出反応場における原料液の無機酸(金属塩の金属を水素置換したものであり、例えば、金属塩が硫酸塩の場合は、硫酸塩の無機酸は硫酸である。)の電離度が変わるので、析出反応場における原料液のpHが変わる。原料液のpHが変わると、析出反応場において析出する核粒子を構成する結晶子結晶方位ごとの成長速度が変わり、核粒子の密度が変わる。

0060

よって、原料液の温度が水溶液の温度と同じかその近傍に制御することで、原料液供給管60の添加口62aのすぐ近傍に形成される析出反応場の温度の変動及びそれに伴うpHの変動を抑えることができるため、所定の粒径分布及び密度を有するニッケル含有水酸化物の粒子が安定して得られる。

0061

反応装置10は、原料液供給管60の添加口62aから供給される原料液の温度を水溶液の温度と同じかその近傍に調整できるため、通年で季節の変動による温度変化を受けるのを抑制しながら水溶液中に供給された原料液中の金属塩を安定して反応させることができる。原料液供給管60に供給される原料液の温度は、夏場は高い状態で撹拌槽20に供給され、冬場は低い状態で撹拌槽20に供給され易い。そのため、撹拌槽20に供給される原料液の温度が季節によって変動すると、生成される金属複合水酸化物の粒子のばらつきが生じやすくなる。反応装置10は、原料液を撹拌槽20内の水溶液に供給する前に予め原料液の温度を水溶液の温度と同じかその近傍に調整できるので、季節によって生じる外部の温度変化の影響を受けることを低減しつつ、撹拌槽20内で金属塩を安定して反応させることができる。

0062

反応装置10は、生成される金属複合水酸化物の粒子のばらつきを抑えることができるため、金属複合水酸化物の粒子を生成した後、金属複合水酸化物の粒子の大きさに応じて振るい分ける分級操作を行う必要がない。そのため、分級設備設置費用やその運転費用等を軽減できる。

0063

反応装置10は、原料液供給管60を、原料液の温度が撹拌槽20内の水溶液の温度と同じかその近傍になるまで原料液を水溶液と熱交換可能な長さとしているため、原料液を貯留する容器に原料液を所定の温度に調整するための温度調整設備を設ける必要がない。そのため、反応装置10は、撹拌槽20の外側に原料液の温度調整設備を設ける設置費用や設備の運転費用を削減できる。

0064

反応装置10は、原料液供給管60の蛇行部61Aを撹拌槽20の内周面20aに沿うように設けているため、バッフル50の径方向内側端50aよりも径方向外側に生じる水溶液の回転流が蛇行部61Aで阻害されるのを軽減できる。また、バッフル50に水溶液が衝突することで生じる、水溶液の上昇流や下降流が蛇行部61Aで阻害されるのを軽減できる。これにより、水溶液の撹拌効率の低下を抑制できる。

0065

反応装置10は、温度調整用ジャケット90を撹拌槽20の外周面20bに設けているため、撹拌槽20内の水溶液の流れを阻害することなく、撹拌槽20内の水溶液の温度を調整できる。また、蛇行部61Aを撹拌槽20の内周面20aに沿うように設けているため、温度調整用ジャケット90内を流れる熱交換媒体と蛇行部61A内を流れる原料液との熱交換を効率良く行うことができる。そのため、より効果的に原料液の温度を調整できる。

0066

以上の通り、一実施形態による反応装置10を用いて製造される金属複合水酸化物の粒子は、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いられるリチウム金属複合酸化物の前駆体として用いることができる。前駆体を用いて製造した正極活物質は、正極の製造に用いることができる。得られた正極は、リチウムイオン二次電池に有効に用いることができる。

0067

リチウムイオン二次電池は、携帯電話スマートフォンタブレットPC若しくはノート型PC等の携帯情報端末携帯音楽プレーヤデジタルカメラ医療機器HEV、又はEV若しくはPHEV等のクリーンエネルギー自動車等の充放電可能な電池として好適に用いることができる。

0068

[粒子の製造方法]
一実施形態による反応装置を用いた粒子の製造方法について説明する。なお、粒子として金属複合水酸化物の一つであるニッケル含有水酸化物の粒子を製造する方法を例に挙げて説明するが、反応装置10が製造する粒子の種類は、ニッケル含有水酸化物には限定されず、他の金属複合水酸化物の粒子でもよい。

0069

粒子の製造方法は、中和晶析によりニッケル含有水酸化物の粒子を得る方法である。図4は、一実施形態による反応装置を用いたニッケル含有水酸化物の製造方法のフローチャートである。図4に示すように、ニッケル含有水酸化物の製造方法は、ニッケル含有水酸化物の粒子の核を生成させる核生成工程S11と、核を成長させる粒子成長工程S12とを含む。

0070

本実施形態では、撹拌槽20は、核生成工程S11及び粒子成長工程S12のいずれにおいても、バッチ式を用いる。核生成工程S11及び粒子成長工程S12は、撹拌槽20内の雰囲気を制御することで分けて実施できる。以下、各工程について説明する。

0071

(核生成工程)
核生成工程S11について説明する。撹拌槽20内に、錯化剤、中和剤及び水を供給して、これらを混合する。これらを混合した水溶液を、以下、「反応前水溶液」と呼ぶ。

0072

反応前水溶液の温度は、好ましくは20〜60℃、より好ましくは35〜60℃の範囲内に調節する。なお、反応前水溶液の温度は、公知の温度計により測定できる。

0073

反応前水溶液のpH値は、液温25℃基準で、12.0〜14.0に調整することが好ましく、12.3〜13.5に調整することがより好ましく、12.6〜13.1に調整することがさらに好ましい。なお、反応前水溶液のpH値は、公知のpH計により測定できる。

0074

撹拌槽20内の反応前水溶液のpH値の調節後、反応前水溶液を撹拌しながらNi塩を含む原料液を撹拌槽20内に供給する。これにより、撹拌槽20内には、反応前水溶液と原料液とが混合した反応水溶液が形成される。

0075

反応水溶液中で原料液と錯化剤及び中和剤とを反応させると、中和晶析により、反応水溶液中にはニッケル含有水酸化物の溶質成分(分子)が生成される。

0076

核生成工程S11では、中和晶析によって生成されたニッケル含有水酸化物の溶質成分が反応水溶液中に固体成分として析出する際には、ニッケル含有水酸化物からなる核(核粒子)として発生する。

0077

反応水溶液のpH値は、反応前水溶液のpH値と同じ範囲内に維持されるように調整する。

0078

核生成工程S11において、反応水溶液のpH値が12.0以上であれば、核生成が粒子成長よりも支配的になる。また、核生成工程S11において、反応水溶液のpH値が14.0以下であれば、核粒子が微細化し過ぎることを防止でき、反応水溶液のゲル化を防止できる。核生成工程S11において、反応水溶液のpH値の変動幅最大値最小値の幅)は、好ましくは0.4以下である。

0079

核生成工程S11において、反応水溶液の温度が20℃以上であれば、ニッケル含有水酸化物の溶解度が大きいため、核発生が緩やかに生じ、核発生の制御が容易である。一方、反応水溶液の温度が60℃以下であれば、アンモニアの揮発が抑制できるため、アンモニア水の使用量が削減でき、製造コストが低減できる。

0080

核生成工程S11では、反応水溶液のpH値や温度が上記範囲内に維持されるように、撹拌槽20内に、原料液の他に、錯化剤又は中和剤を供給してもよい。これにより、反応水溶液のpH値や温度は上記範囲内に維持されるため、反応水溶液中には核粒子が継続して生成される。

0081

核生成工程S11における撹拌槽20内の雰囲気は、酸化性雰囲気とする。酸化性雰囲気の酸素濃度は、1容量%以上であり、2容量%以上が好ましく、10容量%以上がより好ましい。酸化性雰囲気は、制御が容易な大気雰囲気(酸素濃度:21容量%)であってよい。酸化性雰囲気の酸素濃度の上限は、特に限定されるものではないが、30容量%以下である。撹拌槽20内の酸化性雰囲気の酸素濃度は、酸素ガスや空気等を反応水溶液中に供給することにより制御する。

0082

核生成工程S11は、所定の量の核粒子が生成されたら終了する。所定量の核粒子が生成したか否かは、金属塩の供給量によって推定できる。

0083

(粒子成長工程)
粒子成長工程S12では、撹拌槽20内の反応水溶液のpH値は、核生成工程S11におけるpH値よりも低く調整する。反応水溶液のpH値の調整は、撹拌槽20内への錯化剤又は中和剤の供給を停止すること、又は金属塩の金属を水素と置換した無機酸(例えば、硫酸塩の場合、硫酸)を撹拌槽20内へ供給すること等で行うことができる。

0084

反応水溶液のpH値の調節後、反応水溶液を撹拌しながら原料液を撹拌槽20内に供給する。これにより、中和晶析によって核粒子の成長(粒子成長)が始まる。

0085

撹拌槽20内の反応水溶液のpH値は、液温25℃基準で、10.5〜12.0に調整することが好ましく、11.0〜11.5に調整することがより好ましい。

0086

粒子成長工程S12において、反応水溶液のpH値が12.0以下であり、核生成工程S11における反応水溶液のpH値よりも低ければ、新たな核粒子はほとんど生成せず、核生成よりも粒子成長の方が優先して生じる。一方、反応水溶液のpH値が10.5以上であれば、ニッケル塩と錯化剤とが反応して生成されるニッケルアンミン錯体安定度が低いため、ニッケル含有水酸化物が生成されずに液中に残る金属イオンが減り、生産効率が向上する。

0087

なお、pH値が12.0の場合は、核生成と粒子成長の境界条件であるため、反応水溶液中に存在する核粒子の有無により、優先順位が変わる。例えば、核生成工程S11のpH値を12.0より高くして多量に核生成させた後、粒子成長工程S12でpH値を12.0とすると、反応水溶液中に多量の核粒子が存在するため、粒子成長が優先する。一方、反応水溶液中に核粒子が存在しない状態、すなわち、核生成工程S11においてpH値を12.0とした場合、成長する核粒子が存在しないため、核生成が優先する。その後、粒子成長工程S12においてpH値を12.0より小さくすれば、生成した核粒子が成長する。核生成と粒子成長を明確に分離するためには、粒子成長工程のpH値を核生成工程のpH値より0.5以上低くすることが好ましく、1.0以上低くすることがより好ましい。

0088

粒子成長工程S12では、反応水溶液のpH値や温度が上記範囲内に維持されるように、撹拌槽20内に、原料液の他に、錯化剤又は中和剤を供給する。これにより、反応水溶液中で、粒子成長が継続される。

0089

粒子成長工程S12は、撹拌槽20内の雰囲気を切り換えることで前半と後半とに分けることができる。前半の雰囲気は、核生成工程S11と同様に酸化性雰囲気とされる。酸化性雰囲気の酸素濃度は、1容量%以上、好ましくは2容量%以上、より好ましくは10容量%以上である。酸化性雰囲気は、制御が容易な大気雰囲気(酸素濃度:21容量%)であってよい。酸化性雰囲気の酸素濃度の上限は、特に限定されるものではないが、30容量%以下である。一方、後半の雰囲気は、非酸化性雰囲気とされる。非酸化性雰囲気の酸素濃度は、1容量%以下、好ましくは0.5容量%以下、より好ましくは0.3容量%以下である。非酸化性雰囲気の酸素濃度は、酸素ガスまたは大気と、不活性ガスとを混合することにより制御する。

0090

図5は、粒子成長工程の前半で形成される凝集体を模式化した断面図である。図6は、粒子成長工程の後半で形成される外殻を模式化した断面図である。

0091

粒子成長工程S12の前半では、核粒子が成長することで種晶粒子102が形成され、種晶粒子102がある程度大きくなると、種晶粒子102同士が衝突するようになり、複数の種晶粒子102からなる凝集体104が形成される。粒子成長工程S12の後半では、凝集体104の周りに緻密な外殻106が形成される。その結果、凝集体104と外殻106とで構成されるニッケル含有水酸化物の粒子100が得られる。

0092

なお、ニッケル含有水酸化物の粒子の構造は、図6に示す構造に限定されない。例えば、核生成工程S11と粒子成長工程S12とが同時に実施される場合、中和晶析の完了時に得られるニッケル含有水酸化物の粒子の構造は、図6に示す構造とは別の構造である。その構造は、例えば、種晶粒子102に相当するものと外殻106に相当するものとが混じり合い、容易にその境界が分からない一様な構造となる。

0093

ニッケル含有水酸化物の粒子が所定の粒径まで成長したら、粒子成長工程S12を終了させる。ニッケル含有水酸化物の粒子の粒径は、核生成工程S11と粒子成長工程S12のそれぞれにおける金属塩の供給量から推測できる。

0094

粒子成長工程S12の終了後、得られたニッケル含有水酸化物の粒子は、撹拌槽20の反応水溶液をオーバーフローさせるか撹拌槽20の底部から排出することで、回収される。

0095

なお、粒子成長工程S12の途中で、原料液などの供給を停止すると共に反応水溶液の撹拌を停止し、ニッケル含有水酸化物の粒子を沈降させた後、上澄み液を排出してもよい。これにより、中和晶析によって減少した反応水溶液中の金属イオン濃度を高めることができる。

0096

粒子の製造方法は、上記の反応装置10を用いることで、撹拌槽20内の反応水溶液中で原料液中のNi塩を含む金属塩を安定して反応させることができるため、生成されるニッケル含有水酸化物の粒子のばらつきを小さくできる。これにより、粒度分布の範囲が狭いニッケル含有水酸化物の粒子を安定して得ることができる。

0097

粒子の製造方法では、金属複合水酸化物の粒子を生成した後、金属複合水酸化物の粒子の大きさに応じて振るい分ける分級操作する工程が不要となるので、より早期かつ低コストで金属複合水酸化物の粒子を前駆体として正極活物質の生成に用いることができる。

0098

なお、本実施形態では、核生成工程S11と粒子成長工程S12とを、同一の撹拌槽20で行うが、異なる撹拌槽20で行ってもよい。

0099

本実施形態では、撹拌槽20はバッチ式としているが、連続式としてもよい。この場合、核生成工程S11と粒子成長工程S12とは同時に実施される。そのため、撹拌槽内の水溶液のpH値の範囲は同じになるため、撹拌槽内の水溶液のpH値は、例えば、12.0の近傍に設定する。

0100

[変形例]
反応装置10の変形例について説明する。反応装置10の原料液供給管60の他の構成について説明する。

0101

原料液供給管60の蛇行部61Aの折り返しの回数は、原料液が原料液供給管60を通る間に、原料液の温度が溶液の温度と同じかその近傍になるまで原料液が溶液と熱交換可能な長さとなる回数であればよい。図7は、原料液供給管の他の構成の一例を示す図である。図7に示すように、原料液供給管60の蛇行部61Aの折り返しの回数は、例えば、2回でもよい。

0102

原料液供給管60の蛇行部61Aの折り返す方向は、撹拌槽20の高さ方向としているが、蛇行部61Aの折り返す方向は、撹拌槽20の内周面20aに沿って、水平方向としてもよい。図8は、反応装置の他の構成を示す部分切欠き斜視図であり、図9は、原料液供給管の他の構成の一例を示す図である。図8及び図9に示すように、原料液供給管60は、蛇行部61Bと、吐出部62とを有する。

0103

蛇行部61Bは、図8及び図9に示すように、湾曲部613と、折返し部612とを有し、原料液供給管60内を流れる原料液が蛇行して流れる流路を形成する。

0104

湾曲部613は、図8及び図9に示すように、湾曲部613と折返し部612とで、撹拌槽20の内周面20aに沿って周方向に円弧状に湾曲して形成される。湾曲部613は、水平に配置され、高さ方向(鉛直方向)に間隔をおいて複数配設される。複数の湾曲部613は、略U字状に形成された折返し部612で連結される。

0105

折返し部612は、図9に示すように、隣り合う湾曲部613の上流端部同士又は下流端部同士を連結する。なお、上流端部とは、水溶液の回転流の上流側の端部であり、下流端部とは、回転流の下流側の端部である。回転流の回転方向は、撹拌軸30の回転方向による。折返し部612の数は、複数であるが、1つでもよいし、添加口62aにおいて原料液の温度が水溶液の温度と同一となればよい。

0106

蛇行部61Aは、図8及び図9に示すように、バッフル50の径方向内側端50aよりも径方向外側に設けられ、撹拌槽20の内周面20aに沿うように湾曲して配置されている。蛇行部は、内周面20aと離れた状態で設けられているが、内周面20aに接触した状態で設けられていてもよい。

0107

吐出部62は、図8及び図9に示すように、折返し部612の下端に連結され、撹拌槽20の径方向内側に向かって延びている。吐出部62は、バッフル50の径方向内側端50aよりも径方向内側に突出させる。吐出部62の添加口62aより、原料液は、撹拌翼40の近傍で添加する。撹拌翼40の近傍は、水溶液が撹拌翼40による撹拌の影響が大きいため、原料液を水溶液中に最も効率良く分散させられる。

0108

本実施形態では、図1に示すように、原料液供給管60の蛇行部61Aは、撹拌槽20の内周面20aに沿ってU字状に複数回折り返して構成されているが、撹拌槽20の内周面20aの周方向にらせん状に形成されていてもよい。この場合、バッフル50に原料液供給管60が挿入可能な貫通孔を設け、原料液供給管60を貫通孔に通して、撹拌槽20の内周面20aの周方向にらせん状に設ける。蛇行部61Aがらせん状に形成することで、原料液が原料液供給管60を通る間に、原料液の温度が溶液の温度と同じかその近傍になるまで原料液が溶液と熱交換可能な長さにできる。これにより、原料液が水溶液内を通る時間は長くして、原料液と水溶液とを熱交換させるのに十分な伝熱面積が確保できるので、原料液はより長く反応水溶液と熱交換させられる。

0109

本実施形態では、図1及び図2に示すように、蛇行部61Aの全部が、上方視で、バッフル50の径方向内側端50aよりも径方向外側に配設されているが、蛇行部61Aの少なくとも一部が、上方視で、バッフル50の径方向内側端50aよりも径方向外側に配設されていてもよい。

0110

本実施形態では、図1及び図2に示すように、原料液供給管60は、バッフル50同士の間に設けられているが、バッフル50に原料液供給管60が挿入可能な貫通孔を設け、原料液供給管60はバッフル50を貫通して設けられていてもよい。原料液供給管60の蛇行部61Aを、撹拌槽20の内周面20aに沿ってバッフル50を貫通して設けることで、蛇行部61Aを長くできる。これにより、原料液が水溶液内を通る時間がさらに長くなり、原料液と水溶液とを熱交換させるのにさらに十分な伝熱面積が確保されるので、原料液をより長く反応水溶液と熱交換させることができる。

0111

反応装置10の原料液供給管60以外の他の構成について説明する。

0112

本実施形態では、中和剤供給管70及び錯化剤供給管80のいずれか一方又は両方も、上述の原料液供給管60と同様に、原料液供給管60の蛇行部61A及び吐出部62と同様の構成で形成されてもいてもよい。これにより、中和剤供給管70又は錯化剤供給管80から溶液中に供給される中和剤又は錯化剤も、溶液に近い温度で溶液中に供給できる。この場合、中和剤供給管70又は錯化剤供給管80も、中和剤供給管70又は錯化剤供給管80の蛇行部の折り返しの回数は、撹拌槽20の大きさ等に応じて適宜調整可能である。中和剤供給管70又は錯化剤供給管80の一部の折り返しの回数は、中和剤又は錯化剤が中和剤供給管70又は錯化剤供給管80を通る間に、中和剤又は錯化剤の温度が反応水溶液の温度近くになるまで熱交換できる回数であればよい。また、中和剤供給管70又は錯化剤供給管80は、撹拌槽20の内周面20aに沿って、撹拌槽20の内周面20aにU字状に複数回折り返すように形成されていてもよいし、撹拌槽20の内周面20aの周方向にらせん状に形成されていてもよい。

0113

本実施形態では、温度調整部は、撹拌槽20の水溶液の温度を調整できればよく、温度調整用ジャケット90に代えて、温度調整部として、熱交換媒体が通過可能な管を撹拌槽20の内部に設けてもよい。

0114

本実施形態では、反応装置10は、晶析反応により金属複合水酸化物の粒子を製造する場合に限定されず、溶液中で、例えば、固化等の物理反応、または酸化反応還元反応若しくは重合反応等の化学反応により粒子を製造する場合にも対応可能である。

0115

以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

0116

10反応装置
20撹拌槽(反応槽)
30撹拌軸
40撹拌翼
50バッフル(邪魔板)
50a径方向内側端
60原料液供給管
61A、61B蛇行部
611 直線部
612 折返し部
613湾曲部
62吐出部
70中和剤供給管
80錯化剤供給管
90温度調整用ジャケット(温度調整部)
93仕切り板
100ニッケル含有水酸化物の粒子
102種晶粒子
104凝集体
106 外殻

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