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技術 超音波観測装置、超音波観測装置の作動方法および超音波観測装置の作動プログラム

出願人 オリンパス株式会社
発明者 川島知直
出願日 2018年9月14日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-172998
公開日 2020年3月26日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-043928
状態 未査定
技術分野 超音波診断装置
主要キーワード 応答周波数帯域 推定移動量 周波数特徴量 積分記号 ラジアル振動 減衰率ζ 単回帰分析 差分スペクトル
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

課題

時相が異なる複数の画像情報を取得する際に、再現性の高い画像情報を取得することができる超音波観測装置、超音波観測装置の作動方法および超音波観測装置の作動プログラムを提供すること。

解決手段

検体後方散乱された超音波を受信する超音波プローブが取得した超音波信号を受信する超音波観測装置において、第1の超音波信号、および該第1の超音波信号とは取得時刻の異なる第2の超音波信号のそれぞれについて周波数スペクトルデータを生成する周波数解析部と、第1の超音波信号に基づく第1の周波数スペクトルデータ、および第2の超音波信号に基づく第2の周波数スペクトルデータをもとに、第1および第2の周波数スペクトルデータの特徴量の差を表現する差分特徴量を算出する差分特徴量算出部と、差分特徴量に応じて色情報を付与した解析画像データを生成する解析画像データ生成部と、を備える。

概要

背景

従来、超音波を用いた生体組織等、被検体画像化技術として、被検体で後方散乱された超音波エコー超音波振動子で受信して超音波信号へ変換し、変換された超音波信号に基づいて画像化する技術が知られている。なお、音波の散乱とは、音波が媒体中で粒子衝突したりして力を及ぼしあうこと(これを相互作用という)によって、音波がその進行方向を変えられる物理現象である。さらに、後方散乱とは、散乱のうち音源の方向に戻ってくる成分のことである。この現象は一般に反射とも言われるが、本願では以下、後方散乱の語を用いる。このときの音源は超音波振動子である。医師等の術者は、表示装置に表示された、超音波信号に基づく超音波画像を見ることによって被検体を観察または診断する。

ところで、上述した超音波振動子を備えた超音波プローブを用いて、被検体の処置を行うことがある。例えば、超音波プローブを用いて被検体を観察しながら、焼灼針を被検体に穿刺して焼灼を行うことがある。この際に、治療モニタリングや、治療効果の確認のため、治療前と、治療中または治療後との差分情報視覚化する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1では、治療前の画像情報と、治療後の画像情報とを用いて差分情報を生成し、表示している。特許文献1における画像情報として、超音波振動子により得られる情報や、X線CT(Computed Tomography)装置により得られる情報、MRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像)装置により得られる情報などが挙げられる。

概要

時相が異なる複数の画像情報を取得する際に、再現性の高い画像情報を取得することができる超音波観測装置、超音波観測装置の作動方法および超音波観測装置の作動プログラムを提供すること。被検体で後方散乱された超音波を受信する超音波プローブが取得した超音波信号を受信する超音波観測装置において、第1の超音波信号、および該第1の超音波信号とは取得時刻の異なる第2の超音波信号のそれぞれについて周波数スペクトルデータを生成する周波数解析部と、第1の超音波信号に基づく第1の周波数スペクトルデータ、および第2の超音波信号に基づく第2の周波数スペクトルデータをもとに、第1および第2の周波数スペクトルデータの特徴量の差を表現する差分特徴量を算出する差分特徴量算出部と、差分特徴量に応じて色情報を付与した解析画像データを生成する解析画像データ生成部と、を備える。

目的

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、時相が異なる複数の画像情報を取得する際に、再現性の高い画像情報を取得することができる超音波観測装置、超音波観測装置の作動方法および超音波観測装置の作動プログラムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

検体へ超音波を送信し、該被検体で後方散乱された超音波を受信する超音波プローブが取得した超音波信号を受信する超音波観測装置において、第1の超音波信号、および該第1の超音波信号とは取得時刻の異なる第2の超音波信号のそれぞれについて周波数スペクトルデータを生成する周波数解析部と、前記第1の超音波信号に基づく第1の周波数スペクトルデータ、および前記第2の超音波信号に基づく第2の周波数スペクトルデータをもとに、前記第1の周波数スペクトルデータと前記第2の周波数スペクトルデータとの特徴量の差を表現する差分特徴量を算出する差分特徴量算出部と、前記差分特徴量に応じて色情報を付与した解析画像データを生成する解析画像データ生成部と、を備えることを特徴とする超音波観測装置。

請求項2

前記差分特徴量算出部は、前記第1の周波数スペクトルデータと、前記第2の周波数スペクトルデータとの差を表現する差分スペクトルデータを算出する差分スペクトル算出部と、前記差分スペクトルデータの回帰分析を行って差分特徴量を算出する回帰分析部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波観測装置。

請求項3

前記差分特徴量算出部は、前記第1の周波数スペクトルデータの回帰分析を行って第1の特徴量を算出するとともに、前記第2の周波数スペクトルデータの回帰分析を行って第2の特徴量を算出する回帰分析部と、前記第1の特徴量と第2の特徴量とを減算処理して差分特徴量を算出する減算部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波観測装置。

請求項4

前記回帰分析部は、前記周波数スペクトルデータにおける所定の周波数帯域一次式近似し、前記一次式の切片および傾き、ならびに前記周波数帯域の中間周波数における前記一次式の値であるミッドバンドフィットのうちのいずれかを前記差分特徴量として算出することを特徴とする請求項2に記載の超音波観測装置。

請求項5

前記第1の超音波信号に基づいて第1の超音波画像データを生成し、前記第2の超音波信号に基づいて第2の超音波画像データを生成する超音波画像データ生成部と、前記第2の超音波画像データに描出される被検体に対する前記第1の超音波画像データに描出される前記被検体の、位置および/または回転角の変化量の少なくとも一方を含む移動量を推定する移動量推定部と、前記移動量推定部が推定した該移動量に応じて前記第1の周波数スペクトルデータの補正を行う補正部と、前記第2の超音波画像データに前記解析画像データを重畳する重畳部と、をさらに備え、前記差分特徴量算出部は、前記補正部による補正後の第1の周波数スペクトルデータと、前記第2の周波数スペクトルデータとを用いて前記差分特徴量を補正することを特徴とする請求項1に記載の超音波観測装置。

請求項6

前記第2の超音波画像データに前記解析画像データを重畳した重畳画像データを生成する重畳部と、前記重畳画像データを表示装置表示方式に応じて処理を施して表示画像データを生成する表示画像データ生成部と、をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の超音波観測装置。

請求項7

被検体へ超音波を送信し、該被検体で後方散乱された超音波を受信する超音波プローブが取得した超音波信号を受信する超音波観測装置の作動方法であって、周波数解析部が、第1の超音波信号、および該第1の超音波信号とは取得時刻の異なる第2の超音波信号のそれぞれについて周波数スペクトルデータを生成する周波数解析ステップと、差分特徴量算出部が、前記第1の超音波信号に基づく第1の周波数スペクトルデータ、および前記第2の超音波信号に基づく第2の周波数スペクトルデータをもとに、前記第1の周波数スペクトルデータと前記第2の周波数スペクトルデータとの特徴量の差を表現する差分特徴量を算出する差分特徴量算出ステップと、解析画像データ生成部が、前記差分特徴量に応じて色情報を付与した解析画像データを生成する解析画像データ生成ステップと、を含むことを特徴とする超音波観測装置の作動方法。

請求項8

被検体へ超音波を送信し、該被検体で後方散乱された超音波を受信する超音波プローブが取得した超音波信号を受信する超音波観測装置の作動プログラムであって、周波数解析部が、第1の超音波信号、および該第1の超音波信号とは取得時刻の異なる第2の超音波信号のそれぞれについて周波数スペクトルデータを生成する周波数解析手順と、差分特徴量算出部が、前記第1の超音波信号に基づく第1の周波数スペクトルデータ、および前記第2の超音波信号に基づく第2の周波数スペクトルデータをもとに、前記第1の周波数スペクトルデータと前記第2の周波数スペクトルデータとの特徴量の差を表現する差分特徴量を算出する差分特徴量算出手順と、解析画像データ生成部が、前記差分特徴量に応じて色情報を付与した解析画像データを生成する解析画像データ生成手順と、を前記超音波観測装置に実行させることを特徴とする超音波観測装置の作動プログラム。

技術分野

0001

本発明は、超音波を用いて患者動物等の組織を被検体として観測する超音波観測装置、超音波観測装置の作動方法および超音波観測装置の作動プログラムに関する。

背景技術

0002

従来、超音波を用いた生体組織等、被検体の画像化技術として、被検体で後方散乱された超音波エコー超音波振動子で受信して超音波信号へ変換し、変換された超音波信号に基づいて画像化する技術が知られている。なお、音波の散乱とは、音波が媒体中で粒子衝突したりして力を及ぼしあうこと(これを相互作用という)によって、音波がその進行方向を変えられる物理現象である。さらに、後方散乱とは、散乱のうち音源の方向に戻ってくる成分のことである。この現象は一般に反射とも言われるが、本願では以下、後方散乱の語を用いる。このときの音源は超音波振動子である。医師等の術者は、表示装置に表示された、超音波信号に基づく超音波画像を見ることによって被検体を観察または診断する。

0003

ところで、上述した超音波振動子を備えた超音波プローブを用いて、被検体の処置を行うことがある。例えば、超音波プローブを用いて被検体を観察しながら、焼灼針を被検体に穿刺して焼灼を行うことがある。この際に、治療モニタリングや、治療効果の確認のため、治療前と、治療中または治療後との差分情報視覚化する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1では、治療前の画像情報と、治療後の画像情報とを用いて差分情報を生成し、表示している。特許文献1における画像情報として、超音波振動子により得られる情報や、X線CT(Computed Tomography)装置により得られる情報、MRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像)装置により得られる情報などが挙げられる。

先行技術

0004

特開2013−128731号公報

発明が解決しようとする課題

0005

X線CT装置を用いて差分情報を生成する場合、軟部組織撮像には造影が必要である。しかしながら、そもそも正常組織を繰り返し造影することを想定し、造影剤注入後に全く同じ時相で撮像しても、造影剤拡散状態を全く同じに揃えることは難しい。まして、異なる時相で造影する場合には、CT画像再現性が乏しく、互いに比較しても客観的相違は得られない。さらに、同じ軟部組織の差を観察する必要があるが、異なる時相において、撮像装置に対する被検体の姿勢が同じ配置にならない場合がある。このため、CT画像は再現性が乏しく、異なる時相の画像を比較しても客観的な相違を得られない。そして、術中、都度、撮像配置に注意を払いながら、煩雑な操作を実施して造影CT画像を撮像することは、手術時間の延長を招き患者や術者に負担を増加させる。

0006

MRI装置を用いて差分情報を生成する場合、X線CT装置で述べた課題を伴うことは同じである。さらに、MRI装置は、1セットの画像を撮像するのに時間を要し、手術時間の延長を招いて患者や術者に負担を増加させる。MRI装置も術中のモニタリングには適さないことは自明である。

0007

超音波振動子を用いて差分情報を生成する場合、例えばBモード画像では、超音波の伝播経路に伴って異なる減衰分布音速分布の影響を受けるため、Bモード画像は再現性が乏しく、互いに比較しても客観的な相違を得られない。まして、治療の異なる時相で造影する場合には、治療に伴って伝播経路の減衰分布や音速分布の変化が生じるため、この課題が顕著に現れる。

0008

また、超音波信号から得られる弾性画像を用いて差分情報を生成する場合、術者が超音波プローブを操作して、超音波振動子により被検体を加圧する必要がある。実際には、超音波振動子の開口面を被検体の表面に当接した上で、超音波プローブへ力を加えることで被検体を加圧することが通例である。しかし、術者による超音波プローブの操作によって毎回同じ力で被検体を加圧することは難しく、再現性が低いため、差分情報の生成には適していない。

0009

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、時相が異なる複数の画像情報を取得する際に、再現性の高い画像情報を取得することができる超音波観測装置、超音波観測装置の作動方法および超音波観測装置の作動プログラムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る超音波観測装置は、被検体へ超音波を送信し、該被検体で後方散乱された超音波を受信する超音波プローブが取得した超音波信号を受信する超音波観測装置において、第1の超音波信号、および該第1の超音波信号とは取得時刻の異なる第2の超音波信号のそれぞれについて周波数スペクトルデータを生成する周波数解析部と、前記第1の超音波信号に基づく第1の周波数スペクトルデータ、および前記第2の超音波信号に基づく第2の周波数スペクトルデータをもとに、前記第1の周波数スペクトルデータと前記第2の周波数スペクトルデータとの特徴量の差を表現する差分特徴量を算出する差分特徴量算出部と、前記差分特徴量に応じて色情報を付与した解析画像データを生成する解析画像データ生成部と、を備えることを特徴とする。

0011

本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記差分特徴量算出部は、前記第1の周波数スペクトルデータと、前記第2の周波数スペクトルデータとの差を表現する差分スペクトルデータを算出する差分スペクトル算出部と、前記差分スペクトルデータの回帰分析を行って差分特徴量を算出する回帰分析部と、を有することを特徴とする。

0012

本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記差分特徴量算出部は、前記第1の周波数スペクトルデータの回帰分析を行って第1の特徴量を算出するとともに、前記第2の周波数スペクトルデータの回帰分析を行って第2の特徴量を算出する回帰分析部と、前記第1の特徴量と第2の特徴量とを減算処理して差分特徴量を算出する減算部と、を有することを特徴とする。

0013

本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記回帰分析部は、前記周波数スペクトルデータにおける所定の周波数帯域一次式近似し、前記一次式の切片および傾き、ならびに前記周波数帯域の中間周波数における前記一次式の値であるミッドバンドフィットのうちのいずれかを前記差分特徴量として算出することを特徴とする。

0014

本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記第1の超音波信号に基づいて第1の超音波画像データを生成し、前記第2の超音波信号に基づいて第2の超音波画像データを生成する超音波画像データ生成部と、前記第2の超音波画像データに描出される被検体に対する前記第1の超音波画像データに描出される前記被検体の、位置および/または回転角の変化量の少なくとも一方を含む移動量を推定する移動量推定部と、前記移動量推定部が推定した該移動量に応じて前記第1の周波数スペクトルデータの補正を行う補正部と、前記第2の超音波画像データに前記解析画像データを重畳する重畳部と、をさらに備え、前記差分特徴量算出部は、前記補正部による補正後の第1の周波数スペクトルデータと、前記第2の周波数スペクトルデータとを用いて前記差分特徴量を補正することを特徴とする。

0015

本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記第2の超音波画像データに前記解析画像データを重畳した重畳画像データを生成する重畳部と、前記重畳画像データを表示装置の表示方式に応じて処理を施して表示画像データを生成する表示画像データ生成部と、をさらに備えることを特徴とする。

0016

本発明に係る超音波観測装置の作動方法は、被検体へ超音波を送信し、該被検体で後方散乱された超音波を受信する超音波プローブが取得した超音波信号を受信する超音波観測装置の作動方法であって、周波数解析部が、第1の超音波信号、および該第1の超音波信号とは取得時刻の異なる第2の超音波信号のそれぞれについて周波数スペクトルデータを生成する周波数解析ステップと、差分特徴量算出部が、前記第1の超音波信号に基づく第1の周波数スペクトルデータ、および前記第2の超音波信号に基づく第2の周波数スペクトルデータをもとに、前記第1の周波数スペクトルデータと前記第2の周波数スペクトルデータとの特徴量の差を表現する差分特徴量を算出する差分特徴量算出ステップと、解析画像データ生成部が、前記差分特徴量に応じて色情報を付与した解析画像データを生成する解析画像データ生成ステップと、を含むことを特徴とする。

0017

本発明に係る超音波観測装置の作動プログラムは、被検体へ超音波を送信し、該被検体で後方散乱された超音波を受信する超音波プローブが取得した超音波信号を受信する超音波観測装置の作動プログラムであって、周波数解析部が、第1の超音波信号、および該第1の超音波信号とは取得時刻の異なる第2の超音波信号のそれぞれについて周波数スペクトルデータを生成する周波数解析手順と、差分特徴量算出部が、前記第1の超音波信号に基づく第1の周波数スペクトルデータ、および前記第2の超音波信号に基づく第2の周波数スペクトルデータをもとに、前記第1の周波数スペクトルデータと前記第2の周波数スペクトルデータとの特徴量の差を表現する差分特徴量を算出する差分特徴量算出手順と、解析画像データ生成部が、前記差分特徴量に応じて色情報を付与した解析画像データを生成する解析画像データ生成手順と、を前記超音波観測装置に実行させることを特徴とする。

発明の効果

0018

本発明によれば、時相が異なる複数の画像情報を取得する際に、再現性の高い画像情報を取得することができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0019

図1は、本発明の実施の形態1に係る超音波観測装置を備えた超音波診断システムの構成を示すブロック図である。
図2は、送受信部が行う増幅処理における受信深度増幅率との関係を示す図である。
図3は、超音波振動子の走査領域と音線データとを模式的に示す図である。
図4は、超音波信号の1つの音線上のRFデータにおけるデータ配列を模式的に示す図である。
図5は、焼灼針による焼灼前のBモード画像の一例を示す図である。
図6は、焼灼針による焼灼中のBモード画像の一例を示す図である。
図7は、Bモード画像を説明する図である。
図8は、図6に示す焼灼中のBモード画像と、図7に示す座標変換後の焼灼前のBモード画像における血管および腫瘍の配置を説明する図である。
図9は、周波数解析部により算出された焼灼前の周波数スペクトルと焼灼中の周波数スペクトルとの一例を示す図である。
図10は、焼灼前のRFデータから算出される周波数スペクトルと、焼灼中のRFデータから算出される周波数スペクトルとの差分スペクトルを示す図である。
図11は、本発明の実施の形態1に係る回帰分析部が行う差分特徴量の算出を説明するための図である。
図12は、本発明の実施の形態1に係る超音波観測装置が行う処理の概要を示すフローチャートである。
図13は、本発明の実施の形態1に係る超音波観測装置の周波数解析部が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
図14は、本発明の実施の形態1に係る超音波観測装置の表示装置における重畳画像の表示例を模式的に示す図である。
図15は、本発明の実施の形態2に係る超音波観測装置を備えた超音波診断システムの構成を示すブロック図である。
図16は、焼灼前の周波数スペクトルを用いた周波数特徴量の算出を説明するための図である。
図17は、本発明の実施の形態2に係る差分特徴量算出部が行う差分特徴量の算出を説明するための図である。

実施例

0020

以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。

0021

(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る超音波観測装置3を備えた超音波診断システム1の構成を示すブロック図である。同図に示す超音波診断システム1は、被検体へ超音波を送信し、該被検体で後方散乱された超音波を受信する超音波内視鏡2と、接続された超音波内視鏡2が取得した超音波信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測装置3と、超音波観測装置3が生成した超音波画像を表示する表示装置4と、を備える。本実施の形態では、超音波内視鏡2が、超音波プローブとして作用する。なお、以下に示すブロック図では、実線の矢印が画像にかかる電気信号伝送を示し、一点鎖線の矢印がスペクトルデータまたは特徴量の伝送を示し、破線の矢印が制御やその他にかかる電気信号やデータの伝送を示している。

0022

超音波内視鏡2は、その先端部に、超音波観測装置3から受信した電気的なパルス信号超音波パルス音響パルス)に変換して被検体へ照射するとともに、被検体で後方散乱された超音波エコーを電圧変化で表現する電気的なエコー信号に変換する超音波振動子21を有する。

0023

超音波内視鏡2は、被検体への長尺の挿入部を有している。挿入部は、通常はその先端部に、さらに、撮像光学系および撮像素子を有しており、被検体が人体内部の組織である場合には、消化管食道十二指腸大腸)、または呼吸器気管気管支)へ挿入され、消化管や呼吸器、その周囲臓器膵臓胆嚢胆管胆道リンパ節縦隔臓器、血管等)を撮像することが可能である。また、挿入部は、通常、撮像時に被検体を照射する照明光を導く長尺のライトガイドを内蔵する。このライトガイドは、その先端部が挿入部の先端まで達している一方、基端部が照明光を発生する光源装置に接続されている。

0024

超音波観測装置3は、送受信部301、Bモード画像データ生成部302、周波数解析部303、第1切替部304、第2切替部305、移動量推定部306、読出部307、差分特徴量算出部308、解析画像データ生成部309、重畳部310、表示画像データ生成部311、入力部312、制御部313、および記憶部314を備える。

0025

送受信部301は、超音波内視鏡2と電気的に接続され、所定の波形および送信タイミングに基づいて高電圧パルスからなる送信信号(パルス信号)を超音波振動子21へ送信するとともに、超音波振動子21から電気的な高周波(RF:Radio Frequency)信号であるエコー信号を受信し、エコー信号に後述のA/D変換処理を施してデジタルデータ(以下、RFデータという)を生成、出力する。

0026

具体的には、送受信部301は、受信したエコー信号を増幅する。送受信部301は、増幅したエコー信号に対してフィルタリング等の処理を施した後、適当なサンプリング周波数(例えば50MHz)でサンプリングして離散化(いわゆるA/D変換処理)する。こうして、送受信部301は、増幅後のエコー信号から離散化されたRFデータを生成し、Bモード画像データ生成部302および周波数解析部303へ出力する。なお、超音波内視鏡2が複数の素子アレイ状に設けた超音波振動子21を電子的に走査させる構成を有する場合、送受信部301は、複数の素子に対応したビーム合成用の多チャンネル回路を有する。

0027

送受信部301が送信するパルス信号の周波数帯域は、超音波振動子21がパルス信号を超音波パルスへ電気音響変換をする際の、超音波振動子21の線型応答周波数帯域をほぼカバーする広帯域にする。また、送受信部301におけるエコー信号の各種処理周波数帯域は、超音波振動子21が超音波エコーをエコー信号へ音響電気変換する際の、超音波振動子21の線型応答周波数帯域をほぼカバーする広帯域にする。これらにより、後述する周波数スペクトルの近似処理を実行する際、精度のよい近似を行うことが可能となる。

0028

Bモード画像データ生成部302は、送受信部301から受信したRFデータをもとにBモード画像データを生成する。具体的には、Bモード画像データ生成部302は、受信深度が大きいRFデータほど高い増幅率で増幅するSTC(Sensitivity Time Control)補正を行う。図2は、送受信部301が行う増幅処理における受信深度と増幅率との関係を示す図である。図2は、横軸を受信深度zに、縦軸増幅率β常用対数をとった対数グラフである。縦軸の単位はdB(デシベル)である。図2に示す受信深度zは、超音波の受信開始時点からの経過時間に基づいて算出される量である。図2に示す対数グラフ上では、増幅率βは、受信深度zが閾値zthより小さい場合、受信深度zの増加に伴ってβ0からβth(>β0)へ線型に増加する。また、増幅率βは、受信深度zが閾値zth以上である場合、一定値βthをとる。閾値zthの値は、被検体から受信する超音波信号がほとんど減衰してしまい、ノイズが支配的になるような値である。なお、図2に示す関係は、予め記憶部314に記憶されている。

0029

さらに、Bモード画像データ生成部302は、RFデータに対してバンドパスフィルタ包絡線検波を施し、エコー信号の振幅または強度を表すデータを生成する。次に、Bモード画像データ生成部302は、このデータに対数変換など公知の処理を施し、デジタルの音線データを生成する。対数変換では、エコー信号の振幅または強度を表すデータを、基準電圧と呼ばれる特定の電圧Vcで除し、さらにその常用対数をとることで変換する。変換後のデータはデシベル値で表現される。この音線データは、超音波パルスの後方散乱の強さを示すエコー信号の振幅または強度を10進数で表現した桁に比例する値が、超音波パルスの送受信方向(深度方向)に沿って並んだデータである。

0030

図3は、超音波振動子21の走査領域(以下、単に走査領域ということもある)と音線データとを模式的に示す図である。図3に示す走査領域Sは扇形をなしている。なお、図3では、超音波振動子21が、超音波が往復する経路(音線)を直線で、音線データを各音線上に並んだ点で表現している。図3では、後の説明の都合上、各音線に、走査開始図3右)から順に、1、2、3・・・と番号を付し、1番目の音線をSR1、2番目の音線をSR2、3番目の音線をSR3、・・・、k番目の音線をSRkと定義する。図3は、超音波振動子21がコンベックス振動子である場合に相当している。また、図3では、音線データの受信深度をzとして記載している。超音波振動子21の表面から照射された超音波パルスが受信深度zにある物体内で後方散乱し、超音波エコーとして超音波振動子21へ戻ってきた場合、その往復距離Lと受信深度zとの間には、z=L/2の関係がある。

0031

さらに、Bモード画像データ生成部302は、音線データに対してゲイン処理コントラスト処理等の公知の技術を用いた信号処理を行う。

0032

Bモード画像データ生成部302は、生成した音線データが走査範囲を空間的に正しく表現できるよう、音線データを並べ直す座標変換を施した後、音線データ間の補間処理を施すことによって音線データ間の空隙を埋め、Bモード画像データを生成する。Bモード画像は、色空間としてRGB表色系を採用した場合の変数であるR(赤)、G(緑)、B(青)の値を一致させたグレースケール画像である。Bモード画像データ生成部302は、生成したBモード画像データを第1切替部304へ出力する。

0033

周波数解析部303は、送受信部301が生成したRFデータに高速フーリエ変換FFT:Fast Fourier Transform)を施して周波数解析を行うことによりスペクトルデータを算出する。具体的には、周波数解析部303は、送受信部301が生成した各音線のRFデータ(ラインデータ)を比較的短い所定の時間間隔で複数に区切り、区切った各部分のRFデータ(以下、「RFデータストリング」と呼ぶ)にFFT処理を施すことにより、音線の各部分における周波数スペクトルを算出する。ここでいう「周波数スペクトル」とは、RFデータストリングにFFT処理を施すことによって得られた「ある受信深度z(すなわち、或る往復距離L)から得られるエコー信号の強度や電圧振幅周波数分布」を意味する。

0034

本実施の形態1では、周波数スペクトルとしてエコー信号の電圧振幅の周波数分布を採用した場合で説明する。周波数解析部303は、電圧振幅の周波数成分V(f,L)をもとに周波数スペクトルのデータ(以下、スペクトルデータともいう)を生成する場合を例として説明する。fは、周波数である。周波数解析部303は、RFデータの振幅(事実上、エコー信号の電圧振幅)の周波数成分V(f,L)を基準電圧Vcで除し、常用対数(log)をとってデシベル単位で表現する対数変換処理を施した後、適当な正の定数αを乗ずることにより、次式(1)で与えられる被検体のスペクトルデータS(f,L)を生成する。
S(f,L)=α・log{V(f,L)/Vc} ・・・(1)

0035

以下、具体的に、周波数解析部303での周波数解析により電圧振幅の周波数成分V(f,L)を求める方法について説明する。一般に、エコー信号の周波数スペクトルは、被検体が人体組織である場合、超音波が走査された人体組織の性状によって異なる傾向を示す。これは、周波数スペクトルが、超音波を散乱する散乱体の大きさ、数密度音響インピーダンス等と相関を有しているためである。ここでいう「人体組織の性状」とは、例えば悪性腫瘍(癌)、良性腫瘍内分泌腫瘍粘液性腫瘍、正常組織、嚢胞脈管など、組織の特徴のことである。

0036

図4は、超音波信号の1つの音線SRk上のRFデータにおけるデータ配列を模式的に示す図である。音線SRkにおける白抜きまたは黒塗りで示す長方形は、1つのサンプル点におけるデータを意味している。また、音線SRk上のRFデータにおいて、右側に位置するデータほど、超音波振動子21から音線SRkに沿って計った場合の深い箇所からのRFデータである(図4の矢印を参照)。音線SRk上のRFデータは、前述の通り、送受信部301でのA/D変換処理によりエコー信号からサンプリングされ、離散化されたRFデータである。図4では、番号kの音線SRk上のRFデータの8番目のデータ位置を受信深度zの方向の初期値Z(k)0として設定した場合を示しているが、初期値の位置は任意に設定することができる。周波数解析部303による算出結果は複素数で得られ、記憶部314に格納される。

0037

図4に示すRFデータストリングFj(j=1、2、・・・、K)は、RFデータのうち、FFT処理の対象となる部分、である。一般に、FFT処理を行うためには、RFデータストリングが2のべき乗のデータ数を有している必要がある。この意味で、FK以外のRFデータストリングFj(j=1、2、・・・、K−1)はデータ数が16(=24)で正常なRFデータストリングである。一方、RFデータストリングFKは、データ数が12であるため異常なRFデータストリングである。異常なRFデータストリングに対してFFT処理を行う際には、不足分だけゼロデータを挿入することにより、正常なRFデータストリングを生成する処理を行う。この点については、周波数解析部303の処理を説明する際に詳述する(図13を参照)。この後、周波数解析部303は、前述の通り、FFT処理を実行し、電圧振幅の周波数成分V(f,L)を算出し、前述の式(1)に基づいてスペクトルデータS(f,L)を算出する。周波数解析部303は、さらに、図3に示した全ての音線に対してこの作用を繰り返すことで、全方位に渡ってスペクトルデータS(f,L)を算出し、第2切替部305へ出力する(以下、『方位』を、図3の全走査方向に渡り、各音線データが向く方向として説明する)。

0038

第1切替部304は、制御部313の制御のもと、Bモード画像データ生成部302が生成したBモード画像データの伝送経路切り替えを行う。具体的には、第1切替部304は、Bモード画像データを、移動量推定部306および重畳部310か、または、重畳部310および記憶部314(後述する画像データ記憶部314a)に切り替えて出力する。

0039

第2切替部305は、制御部313の制御のもと、周波数解析部303が生成したスペクトルデータの伝送経路の切り替えを行う。具体的には、第2切替部305は、スペクトルデータを、差分特徴量算出部308に出力するか、または、記憶部314(後述するスペクトルデータ記憶部314b)に切り替えて出力する。

0040

移動量推定部306は、同一被検体から異なる時刻に取得した二つのBモード画像データを用いて、画像内に描出される被検体、もしくはその少なくとも一部を推定する。例えば、被検体もしくはその一部として、血管や腫瘍の移動量を推定する。移動量推定部306は、同一被検体であって時刻の異なる、例えば、焼灼前と焼灼中との間における被検体の移動量を推定する。移動量推定部306が推定する移動量には、Bモード画像の横方向および縦方向移動距離と、画像の回転角度とを含む。なお、本実施の形態では、焼灼前の画像やスペクトルデータと、焼灼中の各種画像や各種データを用いて例示するが、焼灼前の時点より後であれば、焼灼中ではなく焼灼後でも構わない。

0041

図5は、焼灼針による焼灼前のBモード画像の一例を示す図である。図6は、焼灼針による焼灼中のBモード画像の一例を示す図である。図5に示すBモード画像W10には、血管(血管像BV10)および腫瘍(腫瘍像TU10)が描出されている。また、図6に示すBモード画像W20には、血管(血管像BV20)、腫瘍(腫瘍像TU20)および焼灼針(焼灼針像NE)が描出されている。以下、Bモード画像の横方向をx方向(見目様:座標小文字統一します。)、縦方向をy方向、画像中心Oを原点、画像中心Oを回転中心とする回転角をθとする座標系を用いて説明する。なお、図5には、この座標系O−xyを仮想的にBモード画像W10に重畳して示した。

0042

移動量推定部306は、焼灼中のBモード画像W20の血管像BV20および腫瘍像TU20(図6参照)に対して、焼灼前のBモード画像W10の血管像BV10および腫瘍像TU10(図5参照)がどのように移動しているかを推定する。具体的には、移動量推定部306は、焼灼前のBモード画像W10に、x方向への移動、y方向への移動、および/または原点を中心にした回転の少なくともいずれか一つを含む座標変換を行いながら、座標変換後のBモード画像W10(正確には後述するBモード画像W11)と、Bモード画像W20との相関値を算出する。以下、Bモード画像W10の、x方向の位置変化Δx、y方向の位置変化Δy、回転角θ角度変化Δθの少なくともいずれか一つを単に、『移動量』として説明する。移動量推定部306が推定に用いる移動量は、予め設定された幅で変化していく種々の移動量や、予め設定されたパターンの移動量を用いてもよいし、キーボード5を経由した術者の入力により設定された移動量を用いてもよい。

0043

移動量推定部306は、図5に示す焼灼前のBモード画像W10を回転角Δθで回転した後、横方向にΔx、縦方向にΔyだけ移動する座標変換を行い、Bモード画像W11を得る。図7は、Bモード画像W11を説明する図である。図7には説明の都合上、この座標系O’−x’y’を仮想的に重畳して示した。図5のBモード画像W10の任意点(x,y)の輝度を2変数関数P1(x,y)、図7のBモード画像W11の任意点(x’,y’)の輝度を2変数関数P1’(x’,y’)で表現する。このとき、下式(2)、下式(3)が成り立つ。
P1’(x’,y’)=P1(x,y)・・・(2)

0044

図8は、図6に示す焼灼中のBモード画像W20と、図7に示す座標変換後の焼灼前のBモード画像W11における血管および腫瘍の配置を説明する図である。移動量推定部306は、この座標変換した焼灼前のBモード画像W11と、焼灼中のBモード画像W20との相関値を算出する。なお、移動量(Δx,Δy,Δθ)(座標変換の順番は回転角Δθによる回転が先)には、すべてがゼロの場合、すなわち移動させない場合も含む。

0045

図8のBモード画像W20の任意点(x’,y’)の輝度を2変数関数P2(x’,y’)で表現する。移動量推定部306において、移動量(Δx,Δy,Δθ)で座標変換を行ったBモード画像W11の値P1’(x’,y’)と、Bモード画像W20の値P2(x’,y’)との相関値CV(Δx,Δy,Δθ)は、下式(4)により定義される。
CV(Δx,Δy,Δθ)=∬P1’(x’,y’)・P2(x’,y’)dx’dy’ ・・・(4)
式(4)に式(2)を代入して、下式(5)を得る。ここで、xとyはどちらもx’とy’との2変数関数x(x’,y’)、y(x’,y’)と表現される。
CV(Δx,Δy,Δθ)=∬P1(x(x’,y’),y(x’,y’))
・P2(x’,y’)dx’dy’・・・(5)
ここで、式(3)をx(x’,y’)、y(x’,y’)について逆算して、下式(6)を得る。



移動量推定部306は、移動量(Δx,Δy,Δθ)として種々の値を式(6)の右辺へ代入し、演算結果x(x’,y’)、y(x’,y’)を、さらに式(5)の右辺へ代入することで、相関値CV(Δx,Δy,Δθ)の種々の値を算出する。一般に、式(5)の演算は相互相関と呼ばれ、Bモード画像W11とBモード画像W20との位置や向きが一致した場合に相関値CVが最大になる。なお、式(5)と式(4)には積分記号∫を用いたが、実際には、移動量推定部306は、離散的画素輝度値積和を求める演算を実行する。

0046

移動量推定部306は、算出した種々の相関値CV(Δx,Δy,Δθ)のうち、その最大値maxCVを与える移動量(Δx0,Δy0、Δθ0)を特定する。そして、移動量推定部306は、この移動量(Δx0,Δy0、Δθ0)を、焼灼前(血管像BV10および腫瘍像TU10)から焼灼中(血管像BV20および腫瘍像TU20)までの被検体の推定移動量として、読出部307へ出力する。なお、焼灼前と焼灼中とのBモード画像において被検体に動きがなければ、推定移動量はゼロとなる。

0047

記憶部314(スペクトルデータ記憶部314b)は焼灼前に取得した全方位、全深度z(=L/2)で算出されたスペクトルデータS(f,L)を記憶しておく。
読出部307は、焼灼前に取得したこのスペクトルデータS(f,L)の全方位と全深度分を記憶部314(スペクトルデータ記憶部314b)から読み出して、S(f,L)の方位と深度で定義される直交座標x、yに関し、移動量推定部306が推定した移動量で座標変換を行う。読出部307は、座標変換後のスペクトルデータを、差分特徴量算出部308に出力する。読出部307は、焼灼前のスペクトルデータを、焼灼中のスペクトルデータに合わせて補正する補正部として機能する。

0048

差分特徴量算出部308は、周波数解析部303が算出した焼灼中のスペクトルデータと、読出部307から取得し、座標変換した焼灼前のスペクトルデータとに基づいて、差分特徴量を算出する。差分特徴量算出部308は、差分スペクトル算出部308aおよび回帰分析部308bを有する。

0049

差分スペクトル算出部308aは、焼灼中のスペクトルデータから、焼灼前かつ座標変換後のスペクトルデータを、互いに方位・深度またはそれらで定義される直交座標や、周波数を一致させて減算する。そして、差分スペクトル算出部308aは、このように差をとった差分スペクトルデータを算出する。図9は、周波数解析部308により算出された焼灼前の周波数スペクトルと焼灼中の周波数スペクトルとの一例を示す図である。差分スペクトル算出部308aは、各周波数について、例えば、焼灼中に得られたスペクトルデータSP2と、焼灼前に得られたスペクトルデータSP1との差分を算出することによって、差分スペクトルデータを算出する。

0050

図10は、焼灼前のRFデータから算出される周波数スペクトルSP1と、焼灼中のRFデータから算出される周波数スペクトルSP2との差分スペクトルSP_Dを示す図である。差分スペクトル算出部308aは、焼灼中のスペクトルデータSP2と、焼灼前のスペクトルデータSP1との差分を算出することによって、図10に示す差分スペクトルデータSP_Dを生成する。差分スペクトル算出部308aは、全方位と全深度ごとに差分スペクトルデータを算出する。

0051

回帰分析部308bは、差分スペクトル算出部308aから出力された複数の差分スペクトルデータを直線で近似し、その直線を用いて差分スペクトルデータの特徴量(以下、差分特徴量という)を算出し、差分特徴量を解析画像データ生成部309へ出力する。

0052

具体的には、回帰分析部308bは、所定周波数帯域におけるスペクトルデータの単回帰分析を行ってスペクトルデータを一次式(回帰直線)で近似することにより、この近似した一次式を特徴付ける差分特徴量を算出する。単回帰分析とは、独立変数が1種類のみの場合の回帰分析である。本実施の形態での単回帰分析の独立変数は周波数fにあたる。

0053

図11は、本発明の実施の形態1に係る回帰分析部308bが行う差分特徴量の算出を説明するための図である。例えば、回帰分析部308bは、周波数帯域Uで単回帰分析を行い差分スペクトルデータSP_Dの回帰直線LDを得る。次に、回帰分析部308bは、回帰直線LDの傾きa1、切片b1、および周波数帯域Uの中心周波数(すなわち、「ミッドバンド」)fM=(fL+fH)/2の回帰直線上の値であるミッドバンドフィット(Mid-band fit)c1=a1fM+b1を差分特徴量として算出する。このように回帰直線LDを特徴付ける一次式のパラメータ(傾きa1、切片b1、ミッドバンドフィットc1)で差分スペクトルデータSP_Dを表現することで、差分スペクトルデータSP_Dを一次式に近似したことになる。

0054

スペクトルデータから算出される3つの差分特徴量のうち、傾きa1、切片b1は、超音波を散乱する散乱体の大きさ、散乱体の散乱強度、散乱体の数密度(濃度)等と相関を有していると考えられる。ミッドバンドフィットc1は、有効な周波数帯域内の中心におけるエコー信号の電圧振幅や強度を与える。このため、ミッドバンドフィットc1は、散乱体の大きさ、散乱体の散乱強度、散乱体の数密度に加えて、Bモード画像の輝度とある程度の相関を有していると考えられる。なお、回帰分析部308bは、回帰分析によって二次以上の多項式でスペクトルデータを近似するようにしてもよい。

0055

図1戻り、解析画像データ生成部309は、差分特徴量算出部308が算出した差分特徴量に応じて視覚情報を付与した解析画像データを生成する。具体的には、解析画像データ生成部309は、回帰分析部308bが算出した差分特徴量に関連する視覚情報をBモード画像データにおける画像の各画素に対応して割り当てた解析画像データを生成する。視覚情報としては、例えば色相彩度明度、輝度値、R(赤)、G(緑)、B(青)などの所定の表色系を構成する色空間の変数を挙げることができる。次に、解析画像データ生成部309は、例えば図4に示す1つのRFデータストリングFj(j=1、2、・・・、K)のデータ量に比例する深度長と、図3に示す音線間の方位間隔とで定義される画素領域に対し、そのRFデータストリングFjから算出される差分特徴量に関連する視覚情報を割り当てる。

0056

ここで、周波数解析部303、差分特徴量算出部308、解析画像データ生成部309は、解析範囲を、図3に示す走査領域Sのうち、特定の深度幅および方位幅(すなわち、走査方向の幅)などで区切られる関心領域(Region of Interest:ROI)に限定して、上記の各処理を行ってもよい。関心領域を必要な領域に限定すれば、演算量を減らすことができ、表示するための速度を向上することができる。

0057

重畳部310は、Bモード画像データ生成部302が生成したBモード画像データ上に、解析画像データ生成部309が生成した解析画像データを合成して、重畳画像データを生成する。

0058

表示画像データ生成部311は、重畳部310が生成した重畳画像データまたはBモード画像データに対して、表示装置4における画像の表示レンジに応じたデータの間引きや、階調処理などの所定の処理を施した後、表示装置4に表示させる。

0059

入力部312は、キーボード5からの操作信号に応じて、何のキー、何のメニューが選択入力されたのかの情報を含む選択信号を生成し、制御部313へ出力する。

0060

ここで、キーボード5は、各種の情報を入力可能な複数のボタンを用いて構成され、術者からの入力を受け付ける。また、キーボード5には、表示画面を備えたタッチパネル5aが設けられている。タッチパネル5aは、例えば術者の指の接触位置に応じた入力を受け付ける。その後、キーボード5は、タッチパネル5a上で表示画面に表示される操作アイコンに従って術者がタッチ(接触)した位置(座標)や、入力があったボタンを識別するボタン番号等を含む操作信号を入力部312へ出力する。なお、タッチパネル5aは、超音波画像や各種情報を表示することで、グラフィカルユーザインターフェースGUI)として機能する。タッチパネルとしては、抵抗膜方式静電容量方式および光学方式等があり、いずれの方式のタッチパネルであっても適用可能である。

0061

制御部313は、記憶部314が記憶、格納する作動プログラム等の情報や各処理の演算パラメータやデータ等を記憶部314から読み出し、超音波観測装置3の作動方法に関連した各種演算処理を実行することによって超音波観測装置3を統括して制御する。

0062

上述した送受信部301、Bモード画像データ生成部302、周波数解析部303、第1切替部304、第2切替部305、移動量推定部306、読出部307、差分特徴量算出部308、解析画像データ生成部309、重畳部310、表示画像データ生成部311、入力部312および制御部313は、演算および制御機能を有するCPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサ、またはASIC(Application Specific IntegratedCircuit)もしくはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の特定の機能を実行する専用の集積回路等を用いて実現される。なお、制御部313、Bモード画像データ生成部302をはじめ、上記のうち少なくとも一部を含む複数の部を共通の汎用プロセッサまたは専用の集積回路等を用いて構成することも可能である。

0063

記憶部314は、各処理の演算パラメータやデータ等を記憶する。記憶部314は、Bモード画像データ生成部302が生成したBモード画像データを記憶する画像データ記憶部314aと、周波数解析部303が算出したスペクトルデータを記憶する前述のスペクトルデータ記憶部314bとを有する。記憶部314は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)を用いて構成される。

0064

さらに、記憶部314は、上記以外にも、例えば増幅処理に必要な情報(図2に示す増幅率と受信深度との関係)、対数変換処理に必要な情報(式(1)参照、例えばα、Vcの値)、周波数解析処理に必要な窓関数(Hamming、Hanning、Blackman等)の情報等を記憶する。

0065

また、記憶部314は、追加のメモリとして、超音波観測装置3の作動方法を実行するための作動プログラムを予めインストールした図示しないROM(Read Only Memory)を設けている。作動プログラムは、携帯型ハードディスクフラッシュメモリCD−ROM、DVD−ROM、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して広く流通させることも可能である。なお、上述した各種プログラムは、通信ネットワークを介してダウンロードすることによって取得することも可能である。ここでいう通信ネットワークは、例えば既存の公衆回線網、LAN、WANなどによって実現されるものであり、有線無線を問わない。

0066

図12は、以上の構成を有する超音波観測装置3が行う処理の概要を示すフローチャートである。以下、制御部313の制御のもと、各部が動作するものとして説明する。なお、第1切替部304と第2切替部305とは、それぞれの出力先図1に示すそれぞれの右下側の端子に接触するよう、初期設定されている。すなわち、超音波観測装置3の初期設定として、第1切替部304がBモード画像データを重畳部310および記憶部314(画像データ記憶部314a)に出力し、第2切替部305がスペクトルデータを記憶部314(スペクトルデータ記憶部314b)に出力するようになっている。

0067

ステップS1において、人体内部の組織等、被検体に対する観測が始まると、超音波振動子21は被検体を走査し、被検体から受信したエコーを電気的なエコー信号へ変換する。送受信部301は、超音波内視鏡2を経由してエコー信号を受信する。送受信部301は、そのエコー信号の増幅を行う。次に、送受信部301は、適当なサンプリング周波数(例えば50MHz)で増幅されたエコー信号をサンプリングして離散化してRFデータを生成し、Bモード画像データ生成部302および周波数解析部303へ出力する。

0068

ステップS2において、Bモード画像データ生成部302は、例えば図2に示す増幅率と受信深度との関係に基づいてRFデータの増幅(STC補正)を行う。Bモード画像データ生成部302は、送受信部301から出力されたRFデータを用いてBモード画像データを生成する。

0069

ステップS3において、周波数解析部303は、ステップS2で生成されたRFデータから、スペクトルデータを算出する(周波数解析ステップ)。周波数解析部303は、各音線のRFデータ(ラインデータ)を比較的短い所定の時間間隔で複数に区切り、区切った各部分のRFデータにFFT演算による周波数解析を行うことによって全てのRFデータストリングに対するスペクトルデータを算出する。

0070

図13は、ステップS3において周波数解析部303が実行する処理の概要を示すフローチャートである。以下、図13に示すフローチャートを参照して、周波数解析処理を詳細に説明する。

0071

ステップS21において、周波数解析部303は、解析対象の音線を識別するカウンタkをk0とする。この初期値k0は、図3中、解析範囲の最右の音線の番号である。

0072

ステップS22において、周波数解析部303は、FFT演算用に取得する一連のRFデータストリングを代表するデータ位置(受信深度に対応)Z(k)の初期値Z(k)0を設定する。例えば、図4では、上述したように、音線SRkの8番目のデータ位置を初期値Z(k)0として設定した場合を示している。この初期値Z(k)0は、音線SRk上での解析範囲の最浅のRFデータストリングを代表するデータ位置である。

0073

その後、周波数解析部303は、RFデータストリングを取得し(ステップS23)、取得したRFデータストリングに対し、記憶部314が記憶する窓関数を作用させる(ステップS24)。このようにRFデータストリングに対して窓関数を作用させることにより、RFデータストリングが境界で不連続になることを回避し、アーチファクトが発生するのを防止することができる。

0074

続いて、周波数解析部303は、データ位置Z(k)のRFデータストリングが正常なRFデータストリングであるか否かを判定する(ステップS25)。図4を参照した際に説明したように、RFデータストリングは、2のべき乗のデータ数を有している必要がある。以下、正常なRFデータストリングのデータ数を2n(nは正の整数)とする。本実施の形態では、データ位置Z(k)が、できるだけZ(k)が属するRFデータストリングの中心になるよう設定される。具体的には、RFデータストリングのデータ数は2nであるので、Z(k)はそのRFデータストリングの中心に近い2n/2(=2n-1)番目の位置に設定される。この場合、RFデータストリングが正常であるとは、データ位置Z(k)より浅い側に2n-1−1(=Nとする)個のデータがあり、データ位置Z(k)より深い側に2n-1(=Mとする)個のデータがあることを意味する。図4に示す場合、RFデータストリングF1、F2、F3、・・・、FK-1はともに正常である。なお、図4ではn=4(N=7,M=8)の場合を例示している。

0075

ステップS25における判定の結果、データ位置Z(k)のRFデータストリングが正常である場合(ステップS25:Yes)、周波数解析部303は、後述するステップS27へ移行する。

0076

ステップS25における判定の結果、データ位置Z(k)のRFデータストリングが正常でない場合(ステップS25:No)、周波数解析部303は、不足分だけゼロデータを挿入することによって正常なRFデータストリングを生成する(ステップS26)。ステップS25において正常でないと判定されたRFデータストリング(例えば図5のRFデータストリングFK)は、ゼロデータを追加する前に窓関数が作用されている。このため、RFデータストリングにゼロデータを挿入してもデータの不連続は生じない。ステップS26の後、周波数解析部303は、後述するステップS27へ移行する。

0077

ステップS27において、周波数解析部303は、RFデータストリングにFFT演算を施すことにより、エコー信号の電圧振幅の周波数分布に相当するV(f,L)を算出する。その後、周波数解析部303は、V(f,L)に対数変換処理を施して、スペクトルデータS(f,L)を得る(ステップS27)。

0078

ステップS28において、周波数解析部303は、データ位置Z(k)をステップ幅Dで変化させる。ステップ幅Dについて、キーボード5を経由した術者の入力値を記憶部314が予め記憶しているものとする。図4では、D=15の場合を例示している。

0079

その後、周波数解析部303は、データ位置Z(k)が音線SRkにおける最大値Z(k)maxより大きいか否かを判定する(ステップS29)。この最大値Z(k)maxは、音線SRk上での解析範囲の最深のRFデータストリングを代表するデータ位置である。データ位置Z(k)が最大値Z(k)maxより大きい場合(ステップS29:Yes)、周波数解析部303はカウンタkを1増加させる(ステップS30)。これは、処理をとなりの音線へ移すことを意味する。一方、データ位置Z(k)が最大値Z(k)max以下である場合(ステップS29:No)、周波数解析部303はステップS23へ戻る。

0080

ステップS30の後、周波数解析部303は、カウンタkが最大値kmaxより大きいか否かを判定する(ステップS31)。カウンタkがkmaxより大きい場合(ステップS31:Yes)、周波数解析部303は一連の周波数解析処理を終了する。一方、カウンタkがkmax以下である場合(ステップS31:No)、周波数解析部303はステップS22に戻る。この最大値kmaxは、図3中、解析範囲の最左の音線の番号である。

0081

このようにして、周波数解析部303は、解析対象領域内の(kmax−k0+1)本の音線の各々について深度別に複数回のFFT演算を行う。FFT演算の結果は、受信深度および受信方向とともに記憶部314(スペクトルデータ記憶部314b)に格納される。

0082

なお、これら4種の値k0、kmax、Z(k)0、Z(k)maxについては、図3全走査範囲を含むようなデフォルト値が記憶部314にあらかじめ記憶されており、周波数解析部303は適宜これらの値を読み取って、図13の処理を行う。デフォルト値を読み取った場合、周波数解析部303は全走査範囲に対して周波数解析処理を行う。しかし、この4種の値k0、kmax、Z(k)0、Z(k)maxは、キーボード5を経由した術者による関心領域の指示入力によって変更可能である。変更されていた場合、周波数解析部303は指示入力された関心領域においてのみ周波数解析処理を行う。

0083

再び、図12を参照して説明する。ステップS2とステップS3とは、順序が逆であってもよいし、並行して行うようにしてもよい。

0084

ステップS4において、制御部313は、超音波内視鏡2またはキーボード5の図示しないボタンもしくはメニューを介して、術者から焼灼針による焼灼指示が入力されているのか確認する。制御部313は、焼灼指示が入力されている場合(ステップS4:Yes)、ステップS5に移行する。一方、制御部313は、キーボード5から焼灼指示が入力されていない場合(ステップS4:No)、ステップS13に移行する。

0085

ステップS5において、制御部313は、第1切替部304および第2切替部305の出力先を切り替える。具体的には、ステップS5の切り替え処理によって、第1切替部304と第2切替部305とは、図1に示すそれぞれの出力先が右上側の端子に接触するよう、切り替える。すなわち、第1切替部304は、重畳部310および記憶部314(画像データ記憶部314a)に出力する伝送経路から、移動量推定部306および重畳部310に出力する伝送経路に切り替える。また、第2切替部305は、記憶部314(スペクトルデータ記憶部314b)に出力する伝送経路から、差分特徴量算出部308に出力する伝送経路に切り替える(図1参照)。

0086

ステップS6において、Bモード画像データ生成部302は、焼灼指示入力後に送受信部301が受信したRFデータの増幅(STC補正)を行い、Bモード画像データを生成する。ここで得られるRFデータは、焼灼中におけるRFデータである。

0087

ステップS7において、周波数解析部303は、ステップS6で生成されたRFデータから、スペクトルデータを算出する。周波数解析部303は、上述したステップS3と同様にして、各音線のRFデータ(ラインデータ)を比較的短い所定の時間間隔で複数に区切り、区切った各部分のRFデータにFFT演算による周波数解析を行うことによって全てのRFデータストリングに対するスペクトルデータを算出する。なお、ステップS6とステップS7とは、順序が逆であってもよいし、並行して行うようにしてもよい。

0088

ステップS8において、移動量推定部306は、焼灼前のBモード画像と、焼灼中のBモード画像とから、焼灼前のBモード画像に描出されていた被検体もしくはその一部(血管や腫瘍)が、焼灼中のBモード画像においてどれだけ移動したかを推定する。そして、読出部307は、焼灼前に取得したスペクトルデータを記憶部314(スペクトルデータ記憶部314b)から読み出して、移動量推定部306が推定した移動量で座標変換を行う。読出部307は、座標変換後のスペクトルデータを、差分特徴量算出部308に出力する。

0089

ステップS9において、差分スペクトル算出部308aは、焼灼中に得られたスペクトルデータから、焼灼前かつ座標変換後に得られたスペクトルデータを、互いに方位・深度またはそれらで定義される直交座標や、周波数を一致させて減算する。差分スペクトル算出部308aは、このように各周波数について、スペクトルデータの差分を算出することによって、差分スペクトルデータを算出する(図10参照)。

0090

ステップS10において、回帰分析部308bは、差分スペクトル算出部308aから出力された複数の差分スペクトルデータを直線で近似することによって差分スペクトルデータの差分特徴量を算出することによって差分特徴量を取得する(図11参照)。以上ステップS9およびステップS10が、差分特徴量算出ステップに相当する。

0091

ステップS11において、解析画像データ生成部309は、回帰分析部308bが算出した差分特徴量に関連する視覚情報をBモード画像データにおける画像の各画素に対応して割り当てた解析画像データを生成する(解析画像データ生成ステップ)。

0092

ステップS12において、重畳部310は、ステップS6においてBモード画像データ生成部302が生成したBモード画像データと、ステップS11において解析画像データ生成部309が生成した解析画像データとを合成して、差分特徴量に関連する視覚情報をBモード画像データにおける画像の各画素に対して重畳した重畳画像データを生成し、表示画像データ生成部311へ出力する。制御部313は、生成した重畳画像データを表示画像データ生成部311へ出力後、ステップS14に移行する。

0093

ここで、ステップS4において、重畳部310は、焼灼指示がなく、Bモード画像データのみが入力された場合には(ステップS4:No)、解析画像データの重畳は行わずに、そのまま、表示画像データ生成部311へ出力する(ステップS13)。制御部313は、Bモード画像データを表示画像データ生成部311へ出力後、ステップS14に移行する。

0094

ステップS14において、表示画像データ生成部311は、重畳部310が生成した重畳画像データまたはBモード画像データに対して、表示装置4における画像の表示レンジに応じたデータの間引きや、階調処理などの所定の処理を施して表示画像データを生成する。

0095

その後、制御部313は、表示画像データに応じた画像を表示装置4に表示させる(ステップS15)。図14に、重畳画像データに対応する画像(重畳画像という)の表示例示す。表示装置4の表示画面には、差分特徴量に基づいて生成された焼灼領域RCが、焼灼中に取得されたBモード画像に重畳された重畳画像W30が表示される。上述した処理を行うことによって、リアルタイムに焼灼領域を表現した重畳画像を表示装置4に表示することができる。

0096

ステップS16において、制御部313は、送受信部301が、超音波内視鏡2から新たなエコー信号を受信したか否かを判断する。制御部313は、送受信部301が新たなエコー信号を受信したと判断した場合(ステップS16:Yes)、ステップS4に移行して、上述した処理を繰り返す。これに対し、制御部313は、新たなエコー信号を受信していない、例えば、前回エコー信号を取得した時間から所定の時間経過してもエコー信号の受信がない場合(ステップS16:No)、処理を終了する。

0097

本実施の形態1では、焼灼前の画像やスペクトルデータと、焼灼中の各種画像や各種データを用いて例示したが、焼灼前の時点より後であれば、焼灼中ではなく焼灼後でも構わない。この点は上述した通りである。

0098

以上説明した本発明の実施の形態1では、周波数解析部303により算出された焼灼前スペクトルデータと焼灼中/焼灼後のスペクトルデータとから、差分スペクトルデータを算出し、この差分スペクトルデータから差分特徴量を求めるようにした。この際、焼灼前のスペクトルデータは、焼灼前のBモード画像データと、焼灼中/焼灼後のBモード画像データとから推定される被検体もしくはその一部(血管や腫瘍)の移動量に基づいて座標変換が施されており、焼灼中/焼灼後のスペクトルデータとの位置は対応付いている。このように、本発明の実施の形態1では、時相が異なる複数の画像情報を取得する際に、再現性の高い画像情報を取得することができる。これにより、本実施の形態1によれば、焼灼中/焼灼後のBモード画像上に、焼灼前との差分情報である焼灼領域を正確に表示することが可能となる。

0099

また、本発明の実施の形態1によれば、時相の異なるエコー信号を取得するのみで重畳画像を取得することができるため、治療前後の比較画像を生成する際に、手術時間の増大を抑制し、かつ患者への負担を軽減することが可能となる。

0100

また、本発明の実施の形態1によれば、同じ被検体から取得した周波数スペクトルの差分特徴量を算出するようにしたので、エコー信号の減衰の影響を排除し、異なる時相間において再現性のある、客観的な相違を表現した画像データを取得することが可能となる。特に、差分特徴量として差分特徴量b(切片)を用いれば、0MHzでの周波数スペクトルを観測することとなり、一層減衰の影響を排除した画像データを取得することができる。

0101

また、本発明の実施の形態1によれば、焼灼前と、焼灼中/焼灼後とで同じ超音波プローブを用いてエコー信号を取得し、周波数スペクトルを算出しているため、超音波プローブの感度差等の機体差の影響を排除した再現性のある画像データを取得することが可能となる。

0102

また、本発明の実施の形態1において、スペクトルデータの差分が減少していること、または、一度大きく変化した差分に変化がなくなったことを検知することによって、治療の完了を判断できる。この検知処理により、術者は、治療の完了を把握することが可能となる。

0103

(実施の形態2)
続いて、本発明の実施の形態2について説明する。図15は、本発明の実施の形態2に係る超音波観測装置3Aを備えた超音波診断システム1Aの構成を示すブロック図である。上述した実施の形態1では、差分特徴量算出部308が差分スペクトルデータを算出してこの差分スペクトルデータから差分特徴量を算出するものとして説明したが、本実施の形態2では、差分特徴量算出部308Aが焼灼前のスペクトルデータ、および焼灼中/焼灼後のスペクトルデータから特徴量をそれぞれ算出し、焼灼前の特徴量と、焼灼中/焼灼後の特徴量とを用いて差分特徴量を算出する。なお、本実施の形態でも、焼灼前の時点より後であれば、焼灼中ではなく焼灼後でも構わないため、以下、両者を区別せず、焼灼中/焼灼後と説明する。

0104

本実施の形態2に係る超音波診断システム1Aは、上述した実施の形態1に係る超音波診断システム1の構成に対し、超音波観測装置3に代えて超音波観測装置3Aを備える。超音波観測装置3Aは、上述した差分特徴量算出部308に代えて差分特徴量算出部308Aを有している。超音波観測装置3Aにおいて、差分特徴量算出部308A以外の構成は、上述した超音波観測装置3の構成と同じである。

0105

差分特徴量算出部308Aは、周波数解析部303が算出した焼灼中/焼灼後のスペクトルデータと、読出部307から取得した焼灼前のスペクトルデータとに基づいて、差分特徴量を算出する。差分特徴量算出部308Aは、回帰分析部308cおよび減算部308dを有する。

0106

具体的には、回帰分析部308cは、焼灼前のスペクトルデータ、および焼灼中/焼灼後のスペクトルデータについて、上述した回帰分析部308bと同様にして、所定周波数帯域におけるスペクトルデータの単回帰分析を行ってスペクトルデータを一次式(回帰直線)で近似することにより、この近似した一次式を特徴付ける特徴量を算出する。よって、回帰分析部308cは、焼灼前の特徴量、および焼灼中/焼灼後の特徴量を算出することになる。

0107

図16は、焼灼前の周波数スペクトルを用いた周波数特徴量の算出を説明するための図である。例えば、回帰分析部308cは、焼灼前のスペクトルデータS1(図9参照)に対し、周波数帯域Uで単回帰分析を行って、この焼灼前のスペクトルデータS1の回帰直線L10を得る(図16参照)。次に、回帰分析部308cは、回帰直線L10の傾きa10、切片b10、およびミッドバンドフィット(Mid-band fit)c10=a10fM+b10を特徴量として算出する。

0108

図17は、本発明の実施の形態2に係る差分特徴量算出部308Aが行う差分特徴量の算出を説明するための図であって、焼灼前のスペクトルデータから算出される回帰直線と、焼灼中/焼灼後のスペクトルデータから算出される回帰直線とを示す図である。図17に示すように、回帰分析部308cは、焼灼前のスペクトルデータSP1に基づいて生成される回帰直線L10から特徴量a10、b10、c10を算出するとともに、焼灼中/焼灼後のスペクトルデータSP2(図9参照)に基づいて生成される回帰直線L20から特徴量a20、b20、c20を算出する。

0109

減算部308dは、焼灼前の特徴量と、焼灼中/焼灼後の特徴量との差をとった差分特徴量を算出する。減算部308dは、例えば、特徴量としてミッドバンドフィットcを用いる場合、焼灼中に得られたスペクトルデータSP2に基づく特徴量c20と、焼灼前に得られたスペクトルデータSP1に基づく特徴量c10との差分を算出することによって差分特徴量を取得する。

0110

本実施の形態2における重畳画像の生成、表示処理は、ステップS9、S10を上述した処理に置きかえる以外は、図12に示すフローチャートと同じである。

0111

以上説明した本発明の実施の形態2では、周波数解析部303により算出された焼灼前スペクトルデータと焼灼中/焼灼後のスペクトルデータとから、特徴量をそれぞれ算出し、この特徴量から差分特徴量を求めるようにした。この際、実施の形態1と同様に、焼灼前のスペクトルデータは、焼灼前のBモード画像データと、焼灼中/焼灼後のBモード画像データとから推定される被検体もしくはその一部(血管や腫瘍)の移動量に基づいて座標変換が施されており、焼灼中/焼灼後のスペクトルデータとの位置は対応付いたものとなっている。このように、本発明の実施の形態2では、時相が異なる複数の画像情報を取得する際に、再現性の高い画像情報を取得することができる。これにより、本実施の形態2によれば、焼灼中/焼灼後のBモード画像上に、焼灼前との差分情報である焼灼領域を正確に表示することが可能となる。

0112

なお、上述した実施の形態2において、回帰分析部308cが、スペクトルデータから算出した特徴量に対して減衰補正を行ってもよい。一般に、超音波の振幅は伝播距離に対して指数的に減衰する。従って、振幅を常用対数に対数変換し、デシベル表現にした場合、振幅は往復距離Lに対して線形に減衰し、往復距離がLになるような受信深度z(=L/2)に対しても線形に減衰する。よって、この振幅のデシベル表現下において、超音波が受信深度0と受信深度zとの間を往復する間に生じる減衰量A(f,z)は、超音波が往復する前後の振幅の線形の変化(デシベル表現での差)として表現できる。この振幅の減衰量A(f,z)は、被検体が生体である場合には周波数に依存し、高周波では減衰が大きく、低周波では減衰が小さいことが知られている。特に、一様な組織内では周波数に比例することが経験的に知られており、以下の式(7)で表現される。
A(f,z)=2ζzf ・・・(7)
ここで、比例定数ζは減衰率と呼ばれる量である。また、zは超音波の受信深度であり、fは周波数である。減衰率ζの具体的な値は、被検体が生体である場合、生体の部位や組織に応じて定まる。正常肝では概ね、0.55dB/cm/MHzである。なお、減衰率ζの値は記憶部314に予め記憶されており、回帰分析部308cは適宜、記憶部314から減衰率ζの値を読み出して用いる。超音波観測装置3Aが、超音波内視鏡2による超音波の送信の前に、予め、被検体の部位名や組織名の入力を術者から受けた場合には、回帰分析部308cは、部位名や組織名に対応した減衰率ζの適当な値を読み出し、以下の減衰補正に用いる。さらに、超音波観測装置3Aが、減衰率ζの値を術者から直接受けた場合には、回帰分析部308cは、その値を以下の減衰補正に用いる。超音波観測装置3Aが、一切の入力を術者から受けなかった場合には、回帰分析部308cは、上記0.55dB/cm/MHzを以下の減衰補正に用いる。

0113

回帰分析部308cは、算出した特徴量(例えば、傾きa0、切片b0、ミッドバンドフィットc0とする)に対し、以下に示す式(8)〜(10)にしたがって減衰補正を行うことにより、補正特徴量a、b、cを算出する。
a=a0+2ζz ・・・(8)
b=b0 ・・・(9)
c=c0+A(fM,z)=c0+2ζzfM(=afM+b) ・・・(10)
式(8)、(10)からも明らかなように、回帰分析部308cは、傾きとミドバンドフィットとに対しては超音波の受信深度zが大きいほど、大きい補正を行う。また、式(9)によれば、切片に関する補正は恒等変換である。これは、切片が周波数0(Hz)に対応する周波数成分であって減衰の影響を受けないためである。

0114

この後、回帰分析部308cは、これら減衰補正された補正特徴量a、b、cを減算部308dへ出力する。減算部308dは、焼灼中/焼灼後の補正特徴量と、焼灼前の補正特徴量との差分を算出することによって、差分特徴量を取得する。

0115

ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、超音波観測装置において、各機能を有する回路同士をバスで接続することによって構成してもよいし、一部の機能が他の機能の回路構造に内蔵されるように構成してもよい。

0116

また、本実施の形態1、2では、超音波プローブとしてライトガイド等の光学系を有する超音波内視鏡2を用いて説明したが、超音波内視鏡2に限らず、撮像光学系および撮像素子を有しない超音波プローブであってもよい。さらに、超音波プローブとして、光学系のない細径超音波ミニチュアプローブを適用してもよい。超音波ミニチュアプローブは、通常、胆道、胆管、膵管、気管、気管支、尿道尿管へ挿入され、その周囲臓器(膵臓、前立腺膀胱、リンパ節等)を観察する際に用いられる。

0117

また、超音波プローブとして、被検体の体表から超音波を照射する体外式超音波プローブを適用してもよい。体外式超音波プローブは、通常、腹部臓器(肝臓、胆嚢、膀胱)、乳房(特に乳腺)、甲状腺を観察する際に体表に直接接触させて用いられる。

0118

また、超音波振動子21は、互いに機種が異なっていれば、リニア振動子でもラジアル振動子でもコンベックス振動子でも構わない。超音波振動子がリニア振動子である場合、その走査領域は矩形(長方形、正方形)をなし、超音波振動子がラジアル振動子やコンベックス振動子である場合、その走査領域は扇形や円環状をなす。また、超音波振動子21は、圧電素子が二次元的に配置されるものであってもよい。また、超音波内視鏡は、超音波振動子をメカ的に走査させるものであってもよいし、超音波振動子として複数の素子をアレイ状に設け、送受信にかかわる素子を電子的に切り替えたり、各素子の送受信に遅延をかけたりすることで、電子的に走査させるものであってもよい。

0119

また、超音波プローブと超音波観測装置とは別体で設けられているものとして説明したが、超音波プローブと超音波観測装置とを一体化した構成としてもよい。

0120

このように、本発明は、特許請求の範囲に記載した技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な実施の形態を含みうるものである。

0121

1、1A超音波診断システム
2超音波内視鏡
3、3A超音波観測装置
4表示装置
21超音波振動子
301送受信部
302Bモード画像データ生成部
303周波数解析部
304 第1切替部
305 第2切替部
306移動量推定部
307読出部
308、308A差分特徴量算出部
308a差分スペクトル算出部
308b、308c回帰分析部
308d 減算部
309解析画像データ生成部
310重畳部
311表示画像データ生成部
312 入力部
313 制御部
314 記憶部

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