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技術 生体試料中の亜鉛測定試薬及び測定方法

出願人 日東紡績株式会社
発明者 江川泰然佐藤七月野田健太石原英幹
出願日 2019年10月30日 (1年0ヶ月経過) 出願番号 2019-196852
公開日 2020年3月26日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-043857
状態 未査定
技術分野 化学反応による材料の光学的調査・分析 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード 亜鉛添加量 影響率 混合容量比 前腕外側 復元液 キレート発色剤 サンプルポート EC番号
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

生体試料中に存在する亜鉛濃度を、キレート剤を用いることなく測定する方法、及び、該方法のための試薬を含むキットの提供。

解決手段

(1)生体採取試料に該生体採取試料内に存在しない亜鉛要求性酵素を加えるステップ、(2)さらに該亜鉛要求性酵素の基質を加え、該亜鉛要求性酵素を反応させるステップ、(3)該酵素反応物を検出定量するステップ、及び、(4)得られた結果から、該生体試料中の亜鉛濃度を決定するステップを含み、前記亜鉛要求性酵素が、N−アシル−D−アミノ酸デアシラーゼ(EC3.5.1.81)である、生体試料中の亜鉛濃度測定方法[(1)及び(2)は同時または連続してでもよい]。

概要

背景

地球上の生物はその重量の95%以上を主要元素である酸素(O)、炭素(C)、水素(H)、窒素(N)の4元素で構成しており、残りの5%未満が準主要元素であるナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、塩素(Cl)、リン(P)及び硫黄(S)で構成されている。それ以外の元素は全部合わせても生体重量の0.02%を占めるにすぎず、微量元素(TraceElemements)と呼ばれている。これらの微量元素のうち生体に必須の元素として鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、セレン(Se)、ヨウ素(I)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)が確認されている。これらは生体内生命維持に必要な酵素あるいはタンパク質の構成成分であることが確認されている(非特許文献1〜3)。

従って、微量であるとはいえ、これらの生体内の存在量の過不足は生体に様々な症状疾患を引き起こす。鉄(Fe)であれば、不足していれば貧血を引き起こし、過剰であればフェントン反応を通じて、ヒドロキシラジカルのような活性酸素を発生させ、発生した活性酸素を通じて間接的に細胞のタンパク質やDNAを損傷させる。活性酸素が各臓器攻撃し、肝臓には肝炎肝硬変肝臓がんを、膵臓には糖尿病膵臓癌を、心臓には心不全等を引き起こす。

亜鉛も200種以上の金属酵素(亜鉛要求性酵素)が活性を有するために必須の微量元素であり、不足した場合は食欲不振発育障害、皮膚異常、性成熟障害免疫不全味覚異常脱毛などを引き起こし、逆に亜鉛は消化管からの吸収において銅と競合するため、亜鉛を長期に渡って摂りすぎると銅欠乏を生じさせる。

従ってこれらの微量元素の生体試料内の濃度を測定することは、医療現場において不可欠な診断方法の一助である。

これらの微量元素は生体内で大半がカチオンイオンの形で存在するため、各々の微量元素特異的なキレート剤を用いた比色定量法が用いられている。鉄の場合は、2−ニトロソ−5−(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノフェノール(Nitroso−PSAP)、亜鉛の場合は2−(5−ブロモ−2−ピリジラゾ)−5−(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノ)フェノール(5−Br−PAPS)などが多用されているが、これらの比色定量法が正確に微量元素を測定するためには、除タンパク処理や、他のイオンの反応系からマスキングを前処理として必要とする。

鉄はその貯蔵タンパク質として生体内でアポフェリチンと結合して、フェリチン(ferritin)を形成している。また血清中輸送される際は、トランスフェリン(Transferrin)と特異的に結合している。これらのタンパク質との複合体の量は生体内の鉄存在量と極めて高い相関関係を有しているので、これらの複合体を測定することにより、間接的に生体内の鉄を計測することが可能である。

それに対して、亜鉛は鉄のように貯蔵や輸送を特異的に行うために機能する生体内のタンパク質は存在しておらず、アルブミンやα2−マクログロブリンと非特異的に結合して存在している。一方、生体中には活性を保つのに亜鉛イオンを必要とする、亜鉛要求性酵素が存在している。カルボキシペプチターゼ、アミノペプチターゼ、アルコール脱水素酵素アルコールホスファターゼスーパーオキシドジムスターゼ、アンジオテンシン変換酵素DNAポリメラーゼRNAポリメラーゼコラゲナーゼデルタアミノレブリン酸脱水酵素プロテインキナーゼCホスホリパーゼCアスパラギン酸トランスカルバミラーゼ、ヌクレオチドホスホリラーゼなどが亜鉛要求性酵素として知られている。
それら内在性の酵素の活性は、亜鉛欠乏時には低下することが知られており、内在性のアルカリフォスファターゼやアンジオテンシン変換酵素(ACE)の活性を計測することにより間接的に亜鉛濃度を計測する方法も模索されている(非特許文献4及び5)。しかしながら、この方法は試料中の対象(患者)依存的な元々の酵素の発現存在量、及び採取後の試料内での酵素の自然分解の影響を受け、客観的な基準を決めるのは難しい。

概要

生体試料中に存在する亜鉛濃度を、キレート剤を用いることなく測定する方法、及び、該方法のための試薬を含むキットの提供。(1)生体採取試料に該生体採取試料内に存在しない亜鉛要求性酵素を加えるステップ、(2)さらに該亜鉛要求性酵素の基質を加え、該亜鉛要求性酵素を反応させるステップ、(3)該酵素反応物を検出定量するステップ、及び、(4)得られた結果から、該生体試料中の亜鉛濃度を決定するステップを含み、前記亜鉛要求性酵素が、N−アシル−D−アミノ酸デアシラーゼ(EC3.5.1.81)である、生体試料中の亜鉛濃度測定方法[(1)及び(2)は同時または連続してでもよい]。なし

目的

Zinc homeostasis in humans. KingJC.J Nutr.2000
Essential trace metals and brain function. Takeda A. Yakugaku Zasshi.2004
The genetics of essential metal homeostasis during development. Kambe T. Genesis.2008
Am J Clin Nutr 41:1214−9,1985
Clin Chem.Apr;31(4):581−4,1985






本願発明は採取試料の亜鉛濃度を、キレート剤を用いることなく、決定することにある

効果

実績

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請求項1

(1)生体採取試料に該生体採取試料内に存在しない亜鉛要求性酵素を加えるステップ、(2)さらに該亜鉛要求性酵素の基質を加え、該亜鉛要求性酵素を反応させるステップ、(3)該酵素反応物を検出定量するステップ及び(4)得られた結果から、該生体試料中亜鉛濃度を決定するステップを含む、生体試料中の亜鉛濃度測定方法[ここでステップ(1)及び(2)は同時または連続してでもよい]。

請求項2

生体採取試料が血清又は血漿である、請求項1に記載の測定方法。

請求項3

前記亜鉛要求性酵素がアミノアシラーゼである請求項1又は2に記載の測定方法。

請求項4

前記アミノアシラーゼがD−アミノアシラーゼ(DAA)である請求項3に記載の方法。

請求項5

前記基質がN−アシルD−アミノ酸である、請求項4に記載の測定方法。

請求項6

前記N−アシルD−アミノ酸がアセチルD−アミノ酸である、請求項5に記載の測定方法。

請求項7

前記アセチルD−アミノ酸が、アセチルD−フェニルアラニン(Ac—D−Phe)、アセチルD−メチオニン(Ac—D−Met)、アセチルD−ロイシン(Ac—D−Leu)、及びアセチルD−バリン(Ac—D−Val)からなる群から選択されるアセチルD−アミノ酸である、請求項6に記載の測定方法。

請求項8

前記酵素反応物がD−アミノ酸である、請求項5又は6に記載の方法。

請求項9

前記酵素反応物がD−Phe、D−Met、D−Leu及びD−Valからなる群から選択されるD−アミノ酸である、請求項7に記載の測定方法。

請求項10

前記ステップ(3)が、さらに(3−1)D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)を加え、D−アミノ酸を脱アミノ化し、α—ケト酸アンモニア、及び過酸化水素を得るステップ;ならびに(3−2)得られた過酸化水素の量から前記酵素反応物を検出定量するステップを含む、請求項8又は9に記載の測定方法。

請求項11

前記ステップ(3−2)がペルオキシダーゼペルオキシダーゼ発色基質色原体)を用いて、生成する色素の発色の検出を含む、請求項10に記載の測定方法。

請求項12

前記ペルオキシダーゼ発色基質(色原体)が、4−アミノアンチピリン(4−AAP)と3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸HTIB)とからなる発色基質(色原体)である請求項11に記載の測定方法。

請求項13

色素の発色の検出を測定波長546nm〜700nmの吸光度にて行う請求項12に記載の測定方法。

請求項14

前記ステップ(3)が、さらに(3−1)D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)を加え、D−アミノ酸を脱アミノ化し、α—ケト酸とアンモニア、及び過酸化水素を得るステップ;ならびに(3−2)得られたα—ケト酸の量から前記酵素反応物を検出定量するステップを含む、請求項8または9に記載の測定方法。

請求項15

前記ステップ(3)が、さらに(3−1)D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)を加え、D−アミノ酸を脱アミノ化し、α—ケト酸とアンモニア、及び過酸化水素を得るステップ;ならびに(3−2)得られたアンモニアの量から前記酵素反応物を検出定量するステップを含む、請求項8または9に記載の測定方法。

請求項16

請求項1から15のいずれか一項に記載の測定方法に使用するためのキットであって、亜鉛要求性酵素とその基質を含むキット。

請求項17

請求項10から15のいずれか一項に記載の測定方法に使用するためのキットであって、亜鉛要求性酵素であるD−アミノアシラーゼ、その基質であるN−アシルD−アミノ酸、ならびにD−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)を含むキット。

請求項18

請求項11に記載の測定方法に使用するためのキットであって、亜鉛要求性酵素であるD−アミノアシラーゼ、その基質であるN−アシルD−アミノ酸、D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)ならびにペルオキシダーゼとペルオキシダーゼ発色基質を含むキット。

請求項19

請求項12又は13に記載の測定方法に使用するためのキットであって、亜鉛要求性酵素であるD−アミノアシラーゼ、その基質であるN−アシルD−アミノ酸、D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)ならびにペルオキシダーゼと、4−アミノアンチピリン(4−AAP)と3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸(HTIB)とからなる発色基質(色原体)であるペルオキシダーゼ発色基質を含むキット。

技術分野

0001

本発明は、生体試料中亜鉛イオン(Zn2+)の酵素的定量方法及びそのための試薬に関する。更に、本発明には、該測定方法より得られた値を用いた、対象の診断方法も含まれる。

背景技術

0002

地球上の生物はその重量の95%以上を主要元素である酸素(O)、炭素(C)、水素(H)、窒素(N)の4元素で構成しており、残りの5%未満が準主要元素であるナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、塩素(Cl)、リン(P)及び硫黄(S)で構成されている。それ以外の元素は全部合わせても生体重量の0.02%を占めるにすぎず、微量元素(TraceElemements)と呼ばれている。これらの微量元素のうち生体に必須の元素として鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、セレン(Se)、ヨウ素(I)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)が確認されている。これらは生体内生命維持に必要な酵素あるいはタンパク質の構成成分であることが確認されている(非特許文献1〜3)。

0003

従って、微量であるとはいえ、これらの生体内の存在量の過不足は生体に様々な症状疾患を引き起こす。鉄(Fe)であれば、不足していれば貧血を引き起こし、過剰であればフェントン反応を通じて、ヒドロキシラジカルのような活性酸素を発生させ、発生した活性酸素を通じて間接的に細胞のタンパク質やDNAを損傷させる。活性酸素が各臓器攻撃し、肝臓には肝炎肝硬変肝臓がんを、膵臓には糖尿病膵臓癌を、心臓には心不全等を引き起こす。

0004

亜鉛も200種以上の金属酵素(亜鉛要求性酵素)が活性を有するために必須の微量元素であり、不足した場合は食欲不振発育障害、皮膚異常、性成熟障害免疫不全味覚異常脱毛などを引き起こし、逆に亜鉛は消化管からの吸収において銅と競合するため、亜鉛を長期に渡って摂りすぎると銅欠乏を生じさせる。

0005

従ってこれらの微量元素の生体試料内の濃度を測定することは、医療現場において不可欠な診断方法の一助である。

0006

これらの微量元素は生体内で大半がカチオンイオンの形で存在するため、各々の微量元素特異的なキレート剤を用いた比色定量法が用いられている。鉄の場合は、2−ニトロソ−5−(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノフェノール(Nitroso−PSAP)、亜鉛の場合は2−(5−ブロモ−2−ピリジラゾ)−5−(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノ)フェノール(5−Br−PAPS)などが多用されているが、これらの比色定量法が正確に微量元素を測定するためには、除タンパク処理や、他のイオンの反応系からマスキングを前処理として必要とする。

0007

鉄はその貯蔵タンパク質として生体内でアポフェリチンと結合して、フェリチン(ferritin)を形成している。また血清中輸送される際は、トランスフェリン(Transferrin)と特異的に結合している。これらのタンパク質との複合体の量は生体内の鉄存在量と極めて高い相関関係を有しているので、これらの複合体を測定することにより、間接的に生体内の鉄を計測することが可能である。

0008

それに対して、亜鉛は鉄のように貯蔵や輸送を特異的に行うために機能する生体内のタンパク質は存在しておらず、アルブミンやα2−マクログロブリンと非特異的に結合して存在している。一方、生体中には活性を保つのに亜鉛イオンを必要とする、亜鉛要求性酵素が存在している。カルボキシペプチターゼ、アミノペプチターゼ、アルコール脱水素酵素アルコールホスファターゼスーパーオキシドジムスターゼ、アンジオテンシン変換酵素DNAポリメラーゼRNAポリメラーゼコラゲナーゼデルタアミノレブリン酸脱水酵素プロテインキナーゼCホスホリパーゼCアスパラギン酸トランスカルバミラーゼ、ヌクレオチドホスホリラーゼなどが亜鉛要求性酵素として知られている。
それら内在性の酵素の活性は、亜鉛欠乏時には低下することが知られており、内在性のアルカリフォスファターゼやアンジオテンシン変換酵素(ACE)の活性を計測することにより間接的に亜鉛濃度を計測する方法も模索されている(非特許文献4及び5)。しかしながら、この方法は試料中の対象(患者)依存的な元々の酵素の発現存在量、及び採取後の試料内での酵素の自然分解の影響を受け、客観的な基準を決めるのは難しい。

先行技術

0009

Zinc homeostasis in humans. KingJC.J Nutr.2000
Essential trace metals and brain function. Takeda A. Yakugaku Zasshi.2004
The genetics of essential metal homeostasis during development. Kambe T. Genesis.2008
Am J Clin Nutr 41:1214−9,1985
Clin Chem.Apr;31(4):581−4,1985

発明が解決しようとする課題

0010

本願発明採取試料の亜鉛濃度を、キレート剤を用いることなく、決定することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究した結果、外部より特定の亜鉛要求性酵素を加え、その酵素活性を計測することにより定量的に試料内の亜鉛濃度を決定できることを新たに見出し、本発明を完成させるに至った。

0012

即ち、本発明の構成は以下の[1]から[19]の通りである。
[1](1)生体採取試料に該生体採取試料内に存在しない亜鉛要求性酵素を加えるステップ
(2)さらに該亜鉛要求性酵素の基質を加え、該亜鉛要求性酵素を反応させるステップ、
(3)該酵素反応物を検出定量するステップ及び
(4)得られた結果から、該生体試料中の亜鉛濃度を決定するステップ
を含む、生体試料中の亜鉛濃度測定方法
<ここでステップ(1)及び(2)は同時または連続してでもよい>;
[2]生体採取試料が血清又は血漿である、上記[1]に記載の測定方法。

0013

[3]前記亜鉛要求性酵素がアミノアシラーゼである上記[1]又は[2]に記載の測定方法;
[4]前記アミノアシラーゼがD−アミノアシラーゼ(DAA)である上記[3]に記載の方法。

0014

[5]前記基質がN−アシルD−アミノ酸である、上記[4]に記載の測定方法;
[6]前記N−アシルD−アミノ酸がアセチルD−アミノ酸である、上記[5]に記載の測定方法;
[7]前記アセチルD−アミノ酸が、アセチルD−フェニルアラニン(Ac—D−Phe)、アセチルD−メチオニン(Ac—D−Met)、アセチルD−ロイシン(Ac—D−Leu)、及びアセチルD−バリン(Ac—D−Val)からなる群から選択されるアセチルD−アミノ酸である、上記[6]に記載の測定方法。

0015

[8]前記酵素反応物がD−アミノ酸である、上記[5]又は[6]に記載の方法;
[9]前記酵素反応物がD−Phe、D−Met、D−Leu及びD−Valからなる群から選択されるD−アミノ酸である、上記[7]に記載の測定方法。

0016

[10]前記ステップ(3)が、さらに
(3−1)D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)を加え、D−アミノ酸を脱アミノ化し、α—ケト酸アンモニア、及び過酸化水素を得るステップ;ならびに
(3−2)得られた過酸化水素の量から前記酵素反応物を検出定量するステップを含む、上記[8]または[9]に記載の測定方法;
[11]前記ステップ(3−2)がペルオキシダーゼペルオキシダーゼ発色基質色原体)を用いて、生成する色素の発色の検出を含む、上記[10]に記載の測定方法;
[12]前記ペルオキシダーゼ発色基質(色原体)が、4−アミノアンチピリン(4−AAP)と3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸HTIB)とからなる発色基質(色原体)である上記[11]に記載の測定方法;
[13]色素の発色の検出を測定波長545nm〜700nmの吸光度にて行う上記[12]に記載の測定方法。

0017

[14]前記ステップ(3)が、さらに
(3−1)D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)を加え、D−アミノ酸を脱アミノ化し、α—ケト酸とアンモニア、及び過酸化水素を得るステップ;ならびに
(3−2)得られたα—ケト酸の量から前記酵素反応物を検出定量するステップを含む、上記[8]または[9]に記載の測定方法;
[15]前記ステップ(3)が、さらに
(3−1)D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)を加え、D−アミノ酸を脱アミノ化し、α—ケト酸とアンモニア、及び過酸化水素を得るステップ;ならびに
(3−2)得られたアンモニアの量から前記酵素反応物を検出定量するステップを含む、上記[8]または[9]に記載の測定方法。

0018

[16]上記[1]から[15]のいずれか一項に記載の測定方法に使用するためのキットであって、亜鉛要求性酵素とその基質を含むキット;
[17]上記[10]から[15]のいずれか一項に記載の測定方法に使用するためのキットであって、亜鉛要求性酵素であるD−アミノアシラーゼ、その基質であるN−アシルD−アミノ酸、ならびにD−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)を含むキット;
[18]上記[12]に記載の測定方法に使用するためのキットであって、亜鉛要求性酵素であるD−アミノアシラーゼ、その基質であるN−アシルD−アミノ酸、D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)ならびにペルオキシダーゼとペルオキシダーゼ発色基質を含むキット;
[19]上記[13]又は[14]に記載の測定方法に使用するためのキットであって、亜鉛要求性酵素であるD−アミノアシラーゼ、その基質であるN−アシルD−アミノ酸、D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)ならびにペルオキシダーゼと、4−アミノアンチピリン(4−AAP)と3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸(HTIB)とからなる発色基質(色原体)であるペルオキシダーゼ発色基質を含むキット。

発明の効果

0019

本発明の測定方法によれば、生体試料中の他の微量元素をマスクすることなく、亜鉛濃度を定量的に検出することが可能になる。
かかる方法で得られた亜鉛濃度を用いて、患者の症状の重篤度の診断及び治療効果の診断を手助けすることが可能である。

図面の簡単な説明

0020

亜鉛水溶液中の希釈直線性の確認
ヒト血清中の亜鉛測定
ヒト血清中の亜鉛測定における界面活性剤の影響(界面活性剤なし)
ヒト血清中の亜鉛測定における界面活性剤の影響(界面活性剤あり)
炭酸脱水素酵素を用いた場合の亜鉛水溶液中の希釈直線性の確認(参考例)
炭酸脱水素酵素を用いたヒト血清中の亜鉛測定(参考例)
ヒト血清中の亜鉛測定におけるBSAの影響
DAA2を用いた亜鉛水溶液中の希釈直線性の確認
DAA2を用いたヒト血清中の亜鉛測定(基質:馬尿酸
DAA2を用いたヒト血清中の亜鉛測定(基質:NアセチルD−Trp)

0021

本発明は、生体採取試料中の亜鉛濃度を外部から亜鉛要求性酵素を添加して、内在性の亜鉛イオンと外部から添加した亜鉛要求性酵素の複合体を形成させ、該酵素の活性を測定することにより、生体採取試料中の亜鉛濃度を間接的に測定する方法である。

0022

本発明の方法が適用される生体採取試料とは末梢血、その血漿(blood plasma)ないし血清(blood serum)、髄液、尿、精液、または月経血などがある。
末梢血とは採血した状態の血球を分離していない血液であり、採血用の採血管等に含まれるヘパリンフッ化ナトリウムクエン酸ナトリウムモノヨード酢酸等の抗凝固剤解糖阻止剤等を含んでいてもよい。保存した血液の場合には、エチレンジアミン四酢酸・2カリウム塩EDTA・2K)、エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム塩(EDTA・2Na)などのキレート剤は含まない方がよい。
又、採血管等を使用せずに、自己血糖測定等に用いられる穿刺器具等により採血した血液でもよい。穿刺による採血部位は、指先の他、前腕外側腹壁又は上腕外側等特に制限はない。その採血量は、例えば、200μL以下、好ましくは0.1μLから50μL程度、より好ましくは2μLから20μL程度である。
採血した血液を遠心分離して細胞成分(赤血球白血球血小板)を除いたものが血漿 (plasma)であり、血液(全血)を凝固させ血小板や凝固因子を除いたものが血清 (serum)である。

0023

亜鉛要求性酵素とはその活性を維持するために補酵素として亜鉛イオンを必要とする酵素のことを示す。たとえば、Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology (NC−IUBMB) (http://www.chem.qmul.ac.uk/iubmb/enzyme/)においてZinc proteinと明記されているものが挙げられる。具体的な例としては、カルボキシペプチターゼ、アミノペプチターゼ、アルコール脱水素酵素、アルコールホスファターゼ、スーパーオキシドジムスターゼ、アンジオテンシン変換酵素、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、コラゲナーゼ、デルタアミノレブリン酸脱水酵素、プロテインキナーゼC、ホスホリパーゼC、アスパラギン酸トランスカルバミラーゼ、ヌクレオチドホスホリラーゼなどが挙げられるがこれに限定されない。

0024

亜鉛要求性酵素の基質とは、上記で定義される亜鉛要求性酵素により分解修飾等される分子のことを示す。たとえば、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.1)であれば、上記NC−IUBMBウェブサイトにおいて、アルコールがそれにあたることが明示されている。

0025

亜鉛要求性酵素とその基質を反応させるステップにおいて、界面活性剤の濃度としては、0.01重量%から10重量%程度、好ましくは0.1重量%から3重量%程度加えてもよい。
界面活性剤としては、亜鉛濃度の測定に影響しなければ特に限定されず、陰イオン性界面活性剤陽イオン性界面活性剤両性界面活性剤非イオン性界面活性剤等の界面活性剤が挙げられるが、中でも、両性イオン性界面活性剤が好ましい。両面界面活性剤としては、ベタイン型ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインジメチルアルキルラウリル、ベタインアルキルカルボキシベタインなど)、スルホベタイン型(ラウロアン酢酸ナトリウムなど)、アミンオキシド型(ジメチルラウリルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキサイドなど)が挙げられる。

0026

アミノアシラーゼとは、N−アシルアミノ酸有機酸とアミノ酸に加水分解する酵素を指し、光学異性体を認識するL−アシル体選択的アミノアシラーゼやD−アシル体選択的アミノアシラーゼなどが含まれる。
L−アミノアシラーゼ(LAA)(N-acyl-L-amino-acid deacylase)とは、以下の化学式の反応によりNアシルLアミノ酸を加水分解する活性を有する酵素をいう:
R’CONH・CH(R)・COOH+H2O
→ NH2・CH(R)・COOH+R’COOH
[ここでNH2・CH(R)・COOHはL−アミノ酸であり、R’CO-はアシル基である]。
D−アミノアシラーゼ(DAA)(N-acyl-D-amino-acid deacylase)とは、以下の化学式の反応によりNアシルDアミノ酸を加水分解する活性を有する酵素をいう:
R’CONH・CH(R)・COOH+H2O
→ NH2・CH(R)・COOH+R’COOH
[ここでNH2・CH(R)・COOHはD−アミノ酸であり、R’CO-はアシル基である]。
EC番号酵素番号:Enzyme Commission numbers)は酵素を整理すべく反応形式に従ってECに続く4組の数字で表したものであり、国際生化学連合(現在のNC−IUBMB)の酵素委員会によって規定されたものである。D−アミノアシラーゼ1(DAA1)(EC3.5.1.81)は下記のウェブページの記載で規定される:
http://www.chem.qmul.ac.uk/iubmb/enzyme/EC3/5/1/81.html
特に好ましくは、Alcaligenes denitrificans subsp.xylosoxydans及びAlcaligenes xylosoxydans subsp.Xylosoxydans由来のD−アミノアシラーゼである。
本願におけるD−アミノアシラーゼ(DAA)には、上記N-acyl-D-amino-acid deacylase(EC3.5.1.81)、N-acyl-D-glutamate deacylase(EC3.5.1.82)やN-acyl-D-aspartate deacylase(EC3.5.1.83)が含まれるが、これに限定されない。亜鉛要求性であり、NアシルDアミノ酸を加水分解する活性を有する酵素であれば、他にいかなる活性(たとえばNアシルLアミノ酸を加水分解する活性)を有していてもよい。

0027

添加する酵素量としては生体採取試料1μLあたり0.01Uから10U程度、好ましくは0.2Uから2U程度である。なお、N−Acetyl−D−phenylalanineを基質にして37℃で1分間に1μmolのD−phenylalanineを産生する酵素量を1Uとする。

0028

N−アシル−D−アミノ酸とはD−アミノ酸がアシル化された分子である(R’CONH・CH(R)・COOH)。Nアシル基はオキソ酸からヒドロキシル基を取り除いた形の官能基を意味し、より好ましくは、アルカノイル基(R−CO−)を指す。
Dアミノ酸とはLアミノ酸の光学異性体であり、D−Ala(アラニン)、D−Arg(アルギニン)、D−Asn(アスパラギン)、D−Asp(アスパラギン酸)、D−Cys(システイン)、D−Gln(グルタミン)、D−Glu(グルタミン酸)、D−His(ヒスチジン)、D−Ile(イソロイシン)、D−Leu(ロイシン)、D−Lys(リジン)、D−Met(メチオニン)、D−Phe(フェニルアラニン)、D−Pro(プロリン)、D−Ser(セリン)、D−Thr(トレオニン)、D−Trp(トリプトファン),D−Tyr(チロシン),D−Val(バリン)などが挙げられる。
従ってアセチルD−アミノ酸とはアセチルD−Ala、アセチルD−Arg、アセチルD−Asn、アセチルD−Asp、アセチルD−Cys、アセチルD−Gln、アセチルD−Glu、アセチルD−His、アセチルD−Ile、アセチルD−Leu、アセチルD−Lys、アセチルD−Met、アセチルD−Phe、アセチルD−Pro、アセチルD−Ser、アセチルD−Thr、アセチルD−Trp,アセチルD−Tyr,アセチルD−Valなどが挙げられる。

0029

添加するN−アシルD−アミノ酸の量は、最終濃度で1mM〜500mM、より好ましくは20mM〜100mMであり、添加する酵素1Uあたり0.05μmol〜5000μmol、好ましくは0.5μmol〜2500μmolである。反応時間は37度で5分以上が好ましい。

0030

D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)とその補酵素であるフラビンアデニンジヌクレオチドFAD)はペルオキシソーム酵素(EC 1.4.3.3)である(http://www.chem.qmul.ac.uk/iubmb/enzyme/EC1/4/3/3.html)。D−アミノ酸を相当するイミノ酸(α—ケト酸)に変換し、同時にアンモニアと過酸化水素を合成する。
添加するD−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)の量は、最終濃度で約0.1KU/L〜約100KU/L、より好ましくは約1KU/L〜約10KU/Lである。場合により、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を反応系に加えてもよい。
反応時間は37度で5分以上が好ましい。

0031

本発明の測定方法において、得られたα−ケト酸の量から前記酵素反応物を検出定量する工程としては、α−ケト酸脱水素酵素NADHを用いて、以下の反応:
α−ケト酸 + NADH → α−ヒドロキシ酸+ NAD
を行い、NADの吸光度変化量からα−ケト酸の量を換算し、その量から前記酵素反応物を検出定量する方法があげられる。
あるいは、α−ケト酸還元酵素とβ-NADPHを用いて、以下の反応:
α−ケト酸 + β-NADPH → α−ヒドロキシ酸 + β-NADP
を行い、β-NADPの吸光度変化量からα−ケト酸の量を換算し、その量から前記酵素反応物を定量する方法があげられる。

0032

本発明の測定方法において、得られたアンモニアの量から前記酵素反応物を検出定量する工程としては、α-ケトグルタル酸とβ-NADPHを用いて、以下の反応:
NH3 + α-ケトグルタル酸 + β-NADPH →グルタミン酸+ β-NADP
を行い、β-NADPの吸光度変化量からアンモニア量を換算し、その量から前記酵素反応物を定量する方法があげられる。

0033

本発明の測定方法において、得られた過酸化水素の量から前記酵素反応物を検出定量する工程としては、ペルオキシダーゼと色原体を用い、色原体から生成する色素の発色の検出を含む工程が好ましい。色原体から生成する色素の吸収波長が500nmから900nmである色原体が好ましく、500nmから900nm(より好ましくは546nm〜700nm)におけるどこかの波長において分子吸光度変化数が10000以上である色素を生成する色原体が更に好ましい。
該色原体としては酸化発色型色原体又は酸化カップリング発色型色原体が挙げられるが、酸化カップリング発色型色原体が好ましい。

0034

該酸化発色型色原体としては、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビスジメチルアミノジフェニルアミン・ナトリウム塩(DA64)、10−カルボキシメチルアミノカルボニル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンナトリウム塩(DA67)、ビス[3−ビス(4−クロロフェニルメチル−4−ジメチルアミノフェニルアミン(BCMA)、ビス[3−ビス(4−クロロフェニル)メチル−4−カルボキシエチルアミノフェニル]アミン、10−N−メチルカルバモイル−3,7−ジメチルアミノ−10H−フェノチアジン(MCDP)、10−N−カルボキシメチルカルバモイル−3,7−ジメチルアミノ−10H−フェノチアジン(CCAP)、3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン(TMBZ)、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン・ヘキサナトリウム塩(TPM−PS)等が挙げられる。

0035

該酸化カップリング発色型色原体とは、過酸化水素及びペルオキシダーゼの存在下で酸化的にカップリングし色素を生成する2種の化合物であり、2種の化合物の組み合わせとしてはカプラーアニリン類トリンダー試薬)との組み合わせ、カプラーとフェノール類との組み合わせ等が挙げられる。
該カプラーとしては、例えば、4−アミノアンチピリン(4AAP)、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾンMBTH)、2−ヒドラゾノ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−6−ベンゾチアゾールスルホン酸SMBTH)、N−メチル−3−メトキシ—4’−アミノ−ジフェニルアミン(NCP−06)、N−メチル−4−アミノ—ジフェニルアミン(NCP−04)等がある。
カプラーと酸化縮合する該アニリン類(トリンダー試薬)又は該フェノール類としては、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−サクシニルエチレンジアミンEMSE)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(TOOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(DAPS)、N−スルホプロピルアニリン(HALPS)、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニシジンADPS)、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン(ALPS)、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(HDAPS)、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン(ALPS)、N−スルホプロピル−3,5−ジメチルアニリンMAPS)、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸(HTIB)等が挙げられる。

0036

中でも好ましい色原体としての酸化カップリング発色型色原体としては、カプラーとしての4AAP、カプラーと縮合する該フェノール類としてのHTIBが挙げられる。

0037

本発明の測定方法において色原体の測定時の使用濃度は0.1mMから100mM、好ましくは1mMから50mMである。測定時のpHは5.5から9.5、好ましくは6.0から8.0である。

0038

本発明の測定方法において、前記色原体から生成する色素の発色を吸光度を用いて検出する場合、分光光度計で測定してもよい。その測定波長としては、500nmから900nmである色原体が好ましく、500nmから900nmにおけるどこかの波長において分子吸光度変化数が10000以上である色素を生成する色原体が更に好ましい。
該色原体としては酸化発色型色原体又は酸化カップリング発色型色原体などが挙げられるが、酸化カップリング発色型色原体が好ましい。

0039

本発明の測定方法の一例として、実際の生化学検査に使用される汎用自動分析装置を用いる測定について説明する。
汎用の自動分析装置としては、例えば、(株)日立製の7020形、7070形、7170形、7180形、7700形、9000形、LABOSPECT003形、LABOSPECT 006形、LABOSPECT 008形;(株)日本電子製のJCA−BM6010形、JCA−BM6050形、JCA−BM6070形、JCA−BM9130形、JCA−BM8000G形;(株)東製のTBA−120FR、TBA−c8000、TBA−2000FR、TBA−c16000;(株)ベックマンコールター製のAU480、AU640、AU680、AU5800;(株)古野電気製のCA−270、CA−400などの自動分析装置がある。
汎用の自動分析装置のサンプルポートに測定する生体採取試料をセットし、第一試薬として亜鉛要求性酵素を含む溶液をセットし、第二試薬として該酵素反応物を検出定量するために使用する試薬を含む溶液をセットし、生体採取試料、第一試薬及び第二試薬の分注量、反応時間、反応温度、測定波長を入力し測定を行う。

0040

亜鉛要求性酵素としてDAAを用い、Dアミノ酸を検出するためにD−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)とその補酵素であるフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を用いる場合には、第一試薬、第二試薬のどちらにDAAO、FADならびにN−アシルD−アミノ酸を添加してもよい。
又、第一試薬、第二試薬はpH6.5からpH9.5が好ましく、緩衝剤としてMES、Bis−Tris、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHES等を用いるのが好ましい。
更に、再現性向上のための試薬(たとえば非イオン性界面活性剤のBriji−35、両性イオン性界面活性剤のアンヒトール20BS)や防腐剤アジ化ナトリウム)、あるいは酵素安定性のための試薬(たとえば(血清)アルブミンなど)を加えてもよい。

0041

上記DAA及びDAAOを用いた態様において、生成される過酸化水素を検出するために、ペルオキシダーゼと酸化カップリング発色型色原体を用いる場合、第一試薬と第二試薬にカプラー試薬とカプラーと酸化縮合するアニリン類(トリンダー試薬)又はフェノール類を含む試薬が別々に含まれていることが好ましい。

0042

検体量は1μLから40μL程度、好ましくは2μLから20μL程度でよい。この程度の検体量の場合、第一試薬は10μLから500μL程度、好ましくは30μLから300μL程度、第二試薬は10μLから500μL程度、好ましくは30μLから300μL程度使用する。検体量と第一試薬の混合容量比は、1:10〜1:500、好ましくは、1:20〜1:200、更に好ましくは、1:20〜1:150である。反応時間は、検体と第一試薬の反応が5分間、その反応終了後に第二試薬を加えて更に5分間が好ましい。
反応温度としては20℃から45℃、好ましくは37℃である。

0043

本発明の測定方法の他の実施態様としては、生体採取試料と亜鉛要求性酵素及びその基質を含む溶液、該酵素反応物を検出定量するための試薬溶液を順次、分光光度計のキュベット内で混合しその吸光度を測定する方法がある。
更に、他の実施態様としては、LabonChipの形態で、生体採取試料を、亜鉛要求性酵素及びその基質を含む乾燥試薬の上通過反応させた後、該酵素反応物を検出定量するための乾燥試薬の上を通過させ、最終的な試料体積を増加させることなく、亜鉛濃度を計測する方法がある。

0044

本発明には前記の測定方法に使用し、亜鉛要求性酵素及びその基質を含む試薬と該酵素反応物を検出定量するための試薬を含有する亜鉛濃度の測定用キットも含まれる。測定用キットでは、亜鉛要求性酵素を含む第一試薬及び該酵素反応物を検出定量するための第二試薬の両方が乾燥試薬と復元液の組み合わせでもよい。又、どちらかが乾燥試薬と復元液で、他方が液状試薬でもよい。
本発明の測定用キットの各試薬の構成は2以上に分かれていてもよい。

0045

更に、本発明の亜鉛の測定用キットには濃度の決まった亜鉛の標準液を含有していてもよく、該標準液は測定すべき生体採取試料の種類によって異なってよい。

0046

本発明には前記標準液を用いて検量線を作成し、生体採取試料から得られる測定値から、生体採取試料中の亜鉛濃度を算出する方法も含まれる。

0047

以下の実施例および参考例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の第一試薬,第二試薬に示す各構成成分については、各試薬中における各構成成分の濃度にて記載する。又、酵素量1Uは文献公知の方法により求められ、例えばD−amino acid oxidaseの場合、D−alanineを基質にして1分間に1μmolの過酸化水素とピルビン酸を産生する酵素量を1Uとし;D−aminoacylase1の場合、N−Acetyl−D−phenylalanineを基質にして1分間に1μmolのD−phenylalanineを産生する酵素量を1Uとし;Peroxidaseの場合、ピロガロールを基質にして20秒間に1.0mgのPurpurogallinを産生する酵素量を1Uとする。

0048

<実施例1>
亜鉛存在下での種々のアセチル−D−アミノ酸に対する反応性確認
1.方法
水溶液中に含まれる亜鉛をアセチル−D−アミノ酸を基質として用いた場合に測定できるか検討した。試料および試薬は以下の通りである。
試料
生理食塩水および亜鉛を1000μg/dL含む生理食塩水
第一試薬
N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid [TAPS] pH9.0(同仁化学
100mM
HTIB(同仁化学) 1mM
Briji−35(ナカライテスク) 0.1%
Flavin adenine dinucleotide(ロシュダイアグスティクス) 0.5mM
Catalase(キッコーマン) 200KU/L
D−amino acid oxidase 1KU/L
シグマアルドリッチ
D−aminoacylase1(耐熱性酵素研究所) 5KU/L
Acetyl−D−amino acid (渡辺化学) 100mM
第二試薬
N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid [TAPS] pH9.0(同仁化学)
100mM
4−aminoantipyrine(埼京化成) 4mM
Potassium ferrocyanide(和光純薬) 1mM
BPSH−25(日光ケミカルス) 2%
Sodium azide(ナカライテスク) 0.09%
Peroxidase(東洋紡) 10KU/L

0049

また、第一試薬に使用したAcetyl−D−amino acidはAcetyl−D−phenylalanine(以下Phe)、Acetyl−D−methionine(以下Met)、Acetyl−D−alanine(以下Ala)、Acetyl−D−asparagine(以下Asn)、Acetyl−D−leucine(以下Leu)、Acetyl−D−valine(以下Val)を使用した。

0050

測定法は、以下のようにして行った。日立7180形自動分析装置を用い、試料4μLと第一試薬160μLとを37℃、5分間混合した後、得られる液に、第二試薬40μLを加え同温度で5分間、発色反応させる。発色反応開始後の1分間当り吸光度変化主波長546nm、副波長700nmで測定した。

0051

2.結果
各基質に対する吸光度変化量(x10000)を表1に示す。

0052

表1の結果からAla、Asnを除く全ての基質で良好な結果を示した。

0053

<実施例2>
亜鉛水溶液中の希釈直線性の確認
1.方法
亜鉛水溶液における希釈直線性の検討を行った。
試料
酢酸亜鉛を365μg/dLになるように生理食塩水に溶解し、その溶液を生理食塩水にて7段階に希釈した。
第一試薬
N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid [TAPS] pH9.0(同仁化学)
100mM
HTIB(同仁化学) 1mM
Briji−35(ナカライテスク) 0.1%
Flavin adenine dinucleotide 0.5mM
(ロシュ・ダイアグノスティクス)
Catalase(キッコーマン) 200KU/L
D−amino acid oxidase 1KU/L
(シグマアルドリッチ)
D−aminoacylase1(耐熱性酵素研究所) 5KU/L
Acetyl−D−Phenylalanine(渡辺化学) 100mM
第二試薬
N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid [TAPS] pH9.0(同仁化学)
100mM
4−aminoantipyrine(埼京化成) 4mM
Potassium ferrocyanide(和光純薬) 1mM
BPSH−25(日光ケミカルス) 2%
Sodium azide(ナカライテスク) 0.09%
Peroxidase(東洋紡) 10KU/L

0054

測定法は実施例1と同様の方法にて測定した。

0055

2.結果
本法での希釈直線性を図1に示す。
希釈倍率をX、本法をYとして希釈直線性を確認した。図1に示したように、Y = 52.38X − 5.99、相関係数0.9996と良好な結果が得られた。このことから本法は希釈直線性が正確であるといえる。

0056

<実施例3>
生体試料での添加回収試験の確認
1.方法
生体試料中の亜鉛を正確に測定できるか確認するため添加回収試験を実施した。試料および試薬は以下の通りである。なお、比較例として亜鉛を測定する場合の一般的な方法である、キレート剤用いた直接法も検討した。
試料
下記に示す3種類の試料を作製し、添加回収試験を実施した。
生体試料(亜鉛濃度95μg/dL)と生理食塩水を9対1で混合したもの[I]
生体試料(亜鉛濃度95μg/dL)と亜鉛水溶液(亜鉛濃度1000μg/dL)を9対1で混合したもの [II]
生理食塩水と亜鉛水溶液(亜鉛濃度1000μg/dL)を9対1で混合したもの[III]
第一試薬
N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid [TAPS]pH8.5(同仁化学)
100mM
HTIB(同仁化学) 1mM
ユニセーフA−LM(日油) 1%
D−aminoacylase1(耐熱性酵素研究所) 5KU/L
第二試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH7.0(同仁化学)
250mM
4−aminoantipyrine(埼京化成) 4mM
Potassium ferrocyanide(和光純薬) 1mM
BPSH−25(日光ケミカルス) 2%
Acetyl−D−phenylalanine(渡辺化学) 400mM
D−amino acid oxidase(池田糖化工業) 50KU/L
Flavin adenine dinucleotide 1.5mM
(ロシュ・ダイアグノスティクス)
Peroxidase(東洋紡) 10KU/L

0057

測定法は実施例1と同様の方法にて測定した。

0058

添加回収率演算式は以下の通り。
添加回収率(%) = (試料[II]− 試料[III]) / 試料[I]× 100

0059

2.結果
各試料に対する本測定系の測定値と添加回収率を表2に示す。

0060

表2に示したように、添加回収試験において生体試料中の亜鉛を直接法よりも正確に測定できることが判明した。

0061

<実施例4>
共存物質を含む生体試料中の亜鉛測定
1.方法
共存物質を添加した場合に試料中の亜鉛を正確に測定できるか検討した。試料および試薬は以下の通りである。
試料
生体試料(亜鉛濃度110μg/dL)と共存物質を9対1で混合し、共存物質を目的の濃度にした。
添加した共存物質と終濃度は以下の通りである。
抱合型ビリルビン20mg/dL
非抱合型ビリルビン20mg/dL
ヘモグロビン200mg/dL
乳糜 3000FTU
イントラリピッド5%
第一試薬
N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid [TAPS]pH8.5(同仁化学)
100mM
HTIB(同仁化学) 1mM
アンヒトール20BS(花王) 1%
D−aminoacylase1(耐熱性酵素研究所) 5KU/L
第二試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH7.0(同仁化学)
250mM
4−aminoantipyrine(埼京化成) 4mM
Potassium ferrocyanide(和光純薬) 1mM
BPSH−25(日光ケミカルス) 2%
Acetyl−D−phenylalanine(渡辺化学) 400mM
D−amino acid oxidase(池田糖化工業) 50KU/L
Flavin adenine dinucleotide 1.5mM
(ロシュ・ダイアグノスティクス)
Peroxidase(東洋紡) 10KU/L

0062

測定法は実施例1と同様の方法にて測定した。

0063

2.結果
各共存物質に対する本測定系の影響率を表4に示す。

0064

表3に示したように、ビリルビン、ヘモグロビン、乳糜、イントラリピッドを含む生体試料において、ヒト生体採取試料中の亜鉛を正確に測定できることが判明した。

0065

<実施例5>
ヒト血清中の亜鉛測定
1.方法
既存法(直接法)との相関性を確認した。なお、既存法としてキレート剤を用いた、アキュラスオートZnを使用した。
試料
インフォームドコンセントの得られたヒト血清(n=10)を用いた。
第一試薬
N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid [TAPS] pH8.5(同仁化学)
100mM
HTIB(同仁化学) 1mM
ユニセーフA−LM(日油) 1%
D−aminoacylase1(耐熱性酵素研究所) 5KU/L
第二試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH7.0
250mM
4−aminoantipyrine(埼京化成) 4mM
Potassium ferrocyanide(和光純薬) 1mM
BPSH−25(日光ケミカルス) 2%
Acetyl−D−phenylalanine(渡辺化学) 400mM
D−amino acid oxidase(池田糖化工業) 50KU/L
Flavin adenine dinucleotide
(ロシュ・ダイアグノスティクス) 1.5mM
Peroxidase(東洋紡) 10KU/L

0066

測定法は実施例1と同様の方法にて測定した。

0067

2.結果
既存法との相関性を図2に示す。
既存法をX、本法をYとして相関性を確認した。図2に示したように、Y = 1.0455X − 3.7367、相関係数0.9826と良好な結果が得られた。このことから本法はヒト生体採取試料中の亜鉛を正確に測定できているといえる。

0068

<実施例6>
金属特異性の確認
1.方法
ヒト血液中に含まれる金属を測定した場合の反応性を確認した。試料および試薬は以下の通りである。
試料
生体濃度に調製した金属を含む生理食塩水。金属種添加量を表4に示す。

0069

第一試薬
N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid [TAPS]pH8.5(同仁化学)
50mM
HTIB(同仁化学) 1mM
アンヒトール20BS(花王) 1%
D−aminoacylase1(耐熱性酵素研究所) 5KU/L
第二試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH7.0(同仁化学)
250mM
4−aminoantipyrine(埼京化成) 4mM
Potassium ferrocyanide(和光純薬) 1mM
BPSH−25(日光ケミカルス) 2%
Acetyl−D−phenylalanine(渡辺化学) 400mM
D−amino acid oxidase(池田糖化工業) 50KU/L
Flavin adenine dinucleotide 1.5mM
(ロシュ・ダイアグノスティクス)
Peroxidase(東洋紡) 10KU/L

0070

測定法は実施例1と同様の方法にて測定した。

0071

2.結果
各金属に対する吸光度変化量(x10000)を表5に示す。

0072

表5の結果から亜鉛を添加した場合に吸光度変化が大きいことが示された。このことから本法は特異的に亜鉛を測定できているといえる。

0073

<実施例7>
ヒト血清中の亜鉛測定における界面活性剤の影響
1.方法
既存法(直接法)との相関性を確認した。なお、既存法としてキレート剤を用いた、アキュラスオートZnを使用した。
試料
インフォームドコンセントの得られたヒト血清(n=10)を用いた。
第一試薬
N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid [TAPS]pH8.5(同仁化学)
100mM
HTIB(同仁化学) 1mM
D−aminoacylase1(耐熱性酵素研究所) 5KU/L
ユニセーフA−LM(日油) 0% 又は 1%
第二試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH7.0
250mM
4−aminoantipyrine(埼京化成) 4mM
Potassium ferrocyanide(和光純薬) 1mM
Acetyl−D−phenylalanine(渡辺化学) 400mM
D−amino acid oxidase(池田糖化工業) 50KU/L
Flavin adenine dinucleotide 1.5mM
(ロシュ・ダイアグノスティクス)
Peroxidase(東洋紡) 10KU/L

0074

測定法は実施例1と同様の方法にて測定した。

0075

2.結果
キレート法との相関性を図3(界面活性剤0%)及び、図4(界面活性剤1%)に示す。
既存法をX、本法をYとして相関性を確認した。図3ではY = 1.009X + 2.831、相関係数0.9334、図4ではY = 0.884X + 6.684、相関係数0.9772と良好な結果が得られた。このことから本法はヒト生体採取試料中の亜鉛を正確に測定できているといえる。また、界面活性剤の添加による測定性能の違いは認められなかった。

0076

<参考例1>
アルコール脱水素酵素を用いた反応系の確認
1.方法
水溶液中に含まれる亜鉛をモノエタノールアミンを基質として用いた場合に測定できるか検討した。試料および試薬は以下の通りである。
試料
生理食塩水および亜鉛を500μg/dL含む生理食塩水
第一試薬
N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid [TAPS] pH8.5(同仁化学)
100mM
Monoethanol amine(和光純薬) 100mM
第二試薬
2−Morpholinoethanesulfonic acid,monohydrate [MES]pH6.0(同仁化学) 50mM
β−Nicotinamide adenine dinucleotide(オリエンタ酵母) 10mM
Potassium ferrocyanide 1mM
Alcohol dehydrogenase(オリエンタル酵母)25KU/L

0077

測定法は、以下のようにして行った。日立7180形自動分析装置を用い、試料10μLと第一試薬150μLとを37℃、5分間混合した後、得られる液に、第二試薬50μLを加え同温度で5分間、発色反応させる。発色反応開始後の1分間当りの吸光度変化を主波長405nm、副波長340nmで測定した。

0078

2.結果
亜鉛添加量に対する吸光度変化量を表6に示す。試料中に亜鉛が含まれている場合においても、吸光度変化は生じなかった。

0079

<参考例2>
炭酸脱水素酵素を用いた反応系の確認
1.方法
水溶液中に含まれる亜鉛をパラニトロフェニル酢酸を基質として用いた場合に測定できるか検討した。試料および試薬は以下の通りである。
試料
酢酸亜鉛を650μg/dLになるように生理食塩水に溶解し、その溶液を生理食塩水にて10段階に希釈した。
第一試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH7.5(同仁化学)
500mM
Carbonic anhydrase(SERVA) 0.25mg/mL(protein concentration)
第二試薬
塩化ナトリウム(和光純薬) 150mM
p−Nitrophenyl acetate 4.5mM

0080

本測定法に使用するCarbonic anhydraseは前処理によりCarbonic anhydrase中の残存亜鉛を取り除く必要がある。亜鉛除去の方法は以下のようにして行った。
Carbonic anhydraseを75mMのPyridine 2,6−dicarboxylic acid(東京化成)溶液に溶解させ、Pyridine 2,6−dicarboxylic acidに亜鉛を12時間結合させる。次いで、200mMのリン酸二水素ナトリウム溶液pH7.4(和光純薬)にて12時間透析を行う。透析を計3回行うことでCarbonic anhydrase中の亜鉛を完全に除去させる。

0081

測定法は、以下のようにして行った。日立7180形自動分析装置を用い、試料3μLと第一試薬150μLとを37℃、5分間混合した後、得られる液に、第二試薬50μLを加え同温度で5分間、発色反応させる。発色反応開始後の1分間当りの吸光度変化を主波長450nm、副波長405nmで測定した。

0082

2.結果
本法での希釈直線性を図5に示す。
希釈倍率をX、本法をYとして希釈直線性を確認した。図5に示したように、Y = 63.32X + 1.17、相関係数0.9993と良好な結果が得られた。このことから本法は希釈直線性が正確であるといえる。

0083

<参考例3>
炭酸脱水素酵素を用いたヒト血清中の亜鉛測定
1.方法
既存法(直接法)との相関性を確認した。なお、既存法としてキレート剤を用いた、アキュラスオートZnを使用した。
試料
インフォームドコンセントの得られたヒト血清(n=25)を用いた。
第一試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH7.5(同仁化学)
500mM
Carbonic anhydrase(SERVA) 0.2mg/mL(protein concentration)
第二試薬
コハク酸pH5.0(和光純薬) 50mM
塩化ナトリウム(和光純薬) 150mM
p−Nitrophenyl acetate 4.5mM

0084

Carbonic anhydraseは参考例2と同様のものを使用した。
測定法は参考例2と同様の方法にて測定した。

0085

2.結果
キレート法との相関性を図6に示す。
既存法をX、本法をYとして相関性を確認した。図6に示したように、Y = 1.2228X + 130.47、相関係数0.4037と良好な結果が得られなかった。このことから本法はヒト生体採取試料中の亜鉛を正確に測定できていないことが示された。

0086

以上により、亜鉛要求性酵素として公知の酵素の中にも、本発明に適用できないものがあることが示唆された。

0087

<実施例8>
ウシ血清アルブミン添加による亜鉛測定試薬の安定化
1.方法
亜鉛測定試薬にウシ血清アルブミンを添加することによる試薬の安定性向上について検討した。試料および試薬は以下の通りである。
試料
酢酸亜鉛を300μg/dLになるように生理食塩水に溶解し、その溶液を生理食塩水にて4段階に希釈した。
第一試薬
N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid [TAPS]pH9.0(同仁化学)
50mM
TOOS(同仁化学) 1mM
D−aminoacylase1(耐熱性酵素研究所) 5KU/L
ユニセーフA−LM(花王ケミカルス) 1%
Barium chloride (ナカライテスク) 25mM
Bovine serum albumin(Sigma−Aldrich)
0%又は3%
第二試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH7.0(同仁化学)
250mM
4−aminoantipyrine(埼京化成) 4mM
Potassium ferrocyanide(和光純薬) 1mM
Acetyl−D−phenylalanine(渡辺化学) 400mM
D−amino acid oxidase(池田糖化工業) 5KU/L
Peroxidase(東洋紡) 10KU/L
BPSH−25(日光ケミカルス) 2%
Triton X−100(Sigma−Aldrich) 0.5%
Sodium chloride(和光純薬) 150mM

0088

熱安定性試験調液後0日目、及び37℃にて7日間保存した試薬を用いて実施した。
測定法は実施例1と同様の方法にて測定し、主波長を600nmに変更して測定を行った。
上記0日目、7日目の試薬を用いて測定した各亜鉛濃度の吸光度に対し、同日に測定した対応する亜鉛0μg/dLの吸光度の差を各亜鉛濃度における反応感度とし、式[(7日目感度/0日目感度)x100]によって感度維持率を算出した。

0089

2.結果
熱安定性試験におけるBSA添加の有無による感度結果を表7に示す。熱安定性試験0日目を感度100%とすると、BSA未添加では試験7日目に感度が0%となるのに対し、BSAを添加すると99%−103%に感度が維持されることが示された。このことからBSAの添加により試薬の安定性が向上したといえる。

0090

<実施例9>
ヒト血漿中の亜鉛測定
1.方法
既存法(直接法)との相関性を確認した。なお、既存法としてキレート発色剤を用いた、アキュラスオートZnを使用した。
試料
インフォームドコンセントの得られたヒト血漿(n=50)を用いた。
第一試薬
N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid [TAPS]pH8.5(同仁化学)
50mM
HTIB(同仁化学) 1mM
D−aminoacylase1(耐熱性酵素研究所) 5KU/L
ユニセーフA−LM(花王ケミカルス) 1%
Barium chloride (ナカライテスク) 25mM
Bovine serum albumin(Sigma−Aldrich)
3%
第二試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH7.0(同仁化学)
250mM
4−aminoantipyrine(埼京化成) 4mM
Potassium ferrocyanide(和光純薬) 1mM
Acetyl−D−phenylalanine(渡辺化学) 400mM
D−amino acid oxidase(池田糖化工業) 5KU/L
Peroxidase(東洋紡) 10KU/L
BPSH−25(日光ケミカルス) 2%
Triton X−100(Sigma−Aldrich) 0.5%
Sodium chloride(和光純薬) 150mM

0091

測定法は実施例1と同様の方法にて測定した。

0092

2.結果
キレート法との相関性を図7に示す。
既存法をX、本法をYとして相関性を確認した。図7に示したように、Y = 0.9136X − 7.7713、相関係数0.9912と良好な結果が得られた。このことから本法はヒト生体採取試料中の亜鉛を正確に測定できているといえる。

0093

<実施例10>
D−aminoacylase2を用いた亜鉛水溶液中の希釈直線性の確認
1.方法
亜鉛要求性酵素としてD−aminoacylase2、および対応する基質として馬尿酸を用いた亜鉛測定試薬により、亜鉛水溶液における希釈直線性の検討を行った。
試料
酢酸亜鉛を500μg/dLになるように生理食塩水に溶解し、その溶液を生理食塩水にて5段階に希釈した。
第一試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH8.0(同仁化学)
100mM
TOOS(同仁化学) 2mM
Triton X−100(Sigma−Aldrich) 0.05%
Hippuric acid(和光純薬) 100mM
Sarcosine oxidase(東洋紡) 10KU/L
S−adenosyl−L−methionine p−toluenesulfonate(Carbosynth Limited) 10mM
Glycine N−methyl transferase(耐熱性酵素研究所)
1KU/L
D−aminoacylase2(耐熱性酵素研究所) 1KU/L
第二試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH8.0(同仁化学)
100mM
4−aminoantipyrine(埼京化成) 6mM
Peroxidase(東洋紡) 10KU/L
測定法は、以下のようにして行った。日立7180型自動分析装置を用い、試料5μLと第一試薬150μLとを37℃、5分間混合した後、得られる液に、第二試薬50μLを加え同温度で5分間、発色反応させる。発色反応開始後の1分間当りの吸光度変化を主波長546nm、副波長700nmで測定した。

0094

2.結果
本法での希釈直線性を図8に示す。
希釈倍率をX、本法をYとして希釈直線性を確認した。図8に示したように、Y = 98.76X + 10.18、相関係数0.9986と良好な結果が得られた。このことから本法は希釈直線性が正確であるといえる。

0095

<実施例11>
D−aminoacylase2を用いたヒト血清中の亜鉛測定
1.方法
亜鉛要求性酵素としてD−aminoacylase2、および対応する基質として馬尿酸を用いた亜鉛測定試薬によるヒト血清中の亜鉛測定において、既存法(直接法)との相関性を確認した。なお、既存法としてキレート発色剤を用いた、アキュラスオートZnを使用した。試料および試薬は以下の通りである。

0096

試料
ヒトプール血清に酢酸亜鉛をそれぞれ250μg/dL、500μg/dL、700μg/dL添加した。また、インフォームドコンセントの得られたヒト血清(n=6)を用いた。
第一試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH8.0(同仁化学)
100mM
TOOS(同仁化学) 1mM
Triton X−100(Sigma−Aldrich) 0.1%
Hippuric acid(和光純薬) 100mM
Sarcosine oxidase(東洋紡) 10KU/L
Catalase(キッコーマンバイオケミファ) 100KU/L
S−adenosyl−L−methionine p−toluenesulfonate(Carbosynth Limited) 10mM
Glycine N−methyl transferase(耐熱性酵素研究所) 5KU/L
第二試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH8.0(同仁化学)
100mM
4−aminoantipyrine(埼京化成) 3mM
Triton X−100(Sigma−Aldrich) 0.1%
Peroxidase(東洋紡) 10KU/L
D−aminoacylase2(耐熱性酵素研究所) 5KU/L
Sodium azide(ナカライテスク) 0.09%

0097

測定法は実施例10と同様の方法にて測定した。

0098

2.結果
キレート法との相関性を図9に示す。
既存法をX、本法をYとして相関性を確認した。図9に示したように、Y = 1.0178X − 0.92、相関係数0.9985と良好な結果が得られた。このことから本法はヒト生体採取試料中の亜鉛を正確に測定できているといえる。

0099

<実施例12>
D−aminoacylase2を用いたヒト血清中の亜鉛測定
1.方法
亜鉛要求性酵素としてD−aminoacylase2を用いた亜鉛測定試薬において、対応する基質としてN−Acetyl−D−Tryptophanを用いた場合の、ヒト血清中に含まれる亜鉛測定の既存法(直接法)との相関性を確認した。なお、既存法としてキレート発色剤を用いた、アキュラスオートZnを使用した。試料および試薬は以下の通りである。
試料
インフォームドコンセントの得られたヒト血清(n=20)を用いた。
第一試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH8.0(同仁化学)
100mM
TOOS(同仁化学) 1mM
D−aminoacylase2(耐熱性酵素研究所) 0.75KU/L
第二試薬
2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid [HEPES] pH7.0(同仁化学)
100mM
4−aminoantipyrine(埼京化成) 3mM
N−Acetyl−D−Tryptophan(渡辺化学) 100mM
Triton X−100(Sigma−Aldrich) 0.1%
Peroxidase(東洋紡) 10KU/L
D−amino acid oxidase(池田糖化工業) 5KU/L

0100

測定法は、以下のようにして行った。日立7180型自動分析装置を用い、試料5μLと第一試薬160μLとを37℃、5分間混合した後、得られる液に、第二試薬40μLを加え同温度で5分間、発色反応させる。発色反応開始後の1分間当りの吸光度変化を主波長546nm、副波長700nmで測定した。

実施例

0101

2.結果
キレート法との相関性を図10に示す。
既存法をX、本法をYとして相関性を確認した。図10に示したように、Y = 0.9969X − 9.802、相関係数0.8349と良好な結果が得られた。このことから本法はヒト生体採取試料中の亜鉛を正確に測定できているといえる。

0102

本発明の測定方法によれば、生体試料中の他の微量元素の影響を受けることなく、選択的に亜鉛濃度を定量化することが可能である。かかる方法で得られた亜鉛濃度を用いて、患者の症状の重篤度及び治療効果の診断を手助けすることが可能である。

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