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技術 細胞の製造方法、キット

出願人 AGC株式会社
発明者 中西智亮下坂鷹典
出願日 2017年1月20日 (3年9ヶ月経過) 出願番号 2017-008590
公開日 2020年3月26日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-043765
状態 未査定
技術分野 微生物・酵素関連装置 微生物、その培養処理
主要キーワード トリデカフルオロオクタン ノナフルオロヘキサン ペルフルオロシクロペンテン アサヒクリン 温調設備 モノフルオロベンゼン 特定溶媒 ペルフルオロトリブチルアミン
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月26日)のものです。
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図面 (9)

課題

より簡便に細胞培養基材上で培養された細胞回収し得る、細胞の製造方法を提供する。

解決手段

基材本体と基材本体上に配置された撥水層とを有する細胞培養基材の撥水層上で細胞の培養を行う工程1と、撥水層と、水以外の溶媒とを接触させて、撥水層上から細胞を剥離して回収する工程2とを有し、以下の溶解度測定方法によって算出される撥水層の溶解度が1mg/g以上である、細胞の製造方法。溶解度測定方法:撥水層を、工程2で使用される水以外の溶媒に24時間浸漬し、水以外の溶媒中に溶解した撥水層を構成する成分の量を撥水層の溶解度とする。

概要

背景

従来、細胞の培養は、ガラス基材などの細胞培養基材の表面上にて行われていた。細胞培養基材上で培養した細胞を回収するためには、細胞を細胞培養基材表面から剥離する必要がある。この目的のために、細胞と細胞培養基材との間の結合を破壊する作用を有する物質(例えば、トリプシンのようなタンパク質分解酵素化学薬品)が用いられる。しかしながら、酵素処理化学薬品処理は煩雑であるだけでなく、不純物混入の可能性が高くなること、および、細胞自体が変性し本来の機能が損なわれる場合があること等の欠点が指摘されている。

これらの欠点を解消するために、酵素処理や化学薬品処理を行うことなく、水に対する上限臨界溶解温度(以後、UCSTと省略することがある)または下限臨界溶解温度(以後、LCSTと省略することがある)が0〜80℃である温度応答性ポリマー基材被覆してなる細胞培養基材を用い、温度変化によって細胞を剥離する技術が提案されている(特許文献1)。

概要

より簡便に細胞培養基材上で培養された細胞を回収し得る、細胞の製造方法を提供する。基材本体と基材本体上に配置された撥水層とを有する細胞培養基材の撥水層上で細胞の培養を行う工程1と、撥水層と、水以外の溶媒とを接触させて、撥水層上から細胞を剥離して回収する工程2とを有し、以下の溶解度測定方法によって算出される撥水層の溶解度が1mg/g以上である、細胞の製造方法。溶解度測定方法:撥水層を、工程2で使用される水以外の溶媒に24時間浸漬し、水以外の溶媒中に溶解した撥水層を構成する成分の量を撥水層の溶解度とする。

目的

本発明は、上記実情を鑑みて、より簡便に細胞培養基材上で培養された細胞を回収し得る、細胞の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基材本体と前記基材本体上に配置された撥水層とを有する細胞培養基材の前記撥水層上で細胞の培養を行う工程1と、前記撥水層と、水以外の溶媒とを接触させて、前記撥水層上から前記細胞を剥離して回収する工程2とを有し、以下の溶解度測定方法によって算出される前記撥水層の溶解度が1mg/g以上である、細胞の製造方法。溶解度測定方法:前記撥水層を、前記工程2で使用される前記水以外の溶媒に24時間浸漬し、前記水以外の溶媒中に溶解した前記撥水層を構成する成分の量を前記撥水層の溶解度とする。

請求項2

前記基材本体が、基板で構成され、前記工程1が、液体培地が収容された容器の底面上に前記細胞培養基材を配置して、前記撥水層上で細胞の培養を行う工程である、請求項1に記載の細胞の製造方法。

請求項3

前記基材本体が、容器の底部の少なくとも一部を構成し、前記工程1が、液体培地が収容された前記容器内に配置される前記撥水層上で細胞の培養を行う工程である、請求項1に記載の細胞の製造方法。

請求項4

前記工程2が、前記液体培地が収容された前記容器内に、比重が1.0超である前記水以外の溶媒を添加して、前記撥水層と前記水以外の溶媒とを接触させて、前記撥水層上から前記細胞を剥離して回収する工程である、請求項2または3に記載の細胞の製造方法。

請求項5

前記水以外の溶媒が、含フッ素溶媒炭化水素溶媒、および、シリコーン溶媒からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞の製造方法。

請求項6

前記撥水層が、含フッ素樹脂、(メタアクリル樹脂、および、シリコーン樹脂からなる群から選択される樹脂を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の細胞の製造方法。

請求項7

細胞を製造するためのキットであって、基板および前記基板上に配置された撥水層を有する細胞培養基材と、水以外の溶媒とを有するキットであって、以下の溶解度測定方法によって算出される前記撥水層の溶解度が1mg/g以上である、キット。溶解度測定方法:前記撥水層を、前記水以外の溶媒に24時間浸漬し、前記水以外の溶媒中に溶解した前記撥水層を構成する成分の量を前記撥水層の溶解度とする。

技術分野

0001

本発明は、細胞の製造方法、および、キットに関する。

背景技術

0002

従来、細胞の培養は、ガラス基材などの細胞培養基材の表面上にて行われていた。細胞培養基材上で培養した細胞を回収するためには、細胞を細胞培養基材表面から剥離する必要がある。この目的のために、細胞と細胞培養基材との間の結合を破壊する作用を有する物質(例えば、トリプシンのようなタンパク質分解酵素化学薬品)が用いられる。しかしながら、酵素処理化学薬品処理は煩雑であるだけでなく、不純物混入の可能性が高くなること、および、細胞自体が変性し本来の機能が損なわれる場合があること等の欠点が指摘されている。

0003

これらの欠点を解消するために、酵素処理や化学薬品処理を行うことなく、水に対する上限臨界溶解温度(以後、UCSTと省略することがある)または下限臨界溶解温度(以後、LCSTと省略することがある)が0〜80℃である温度応答性ポリマー基材被覆してなる細胞培養基材を用い、温度変化によって細胞を剥離する技術が提案されている(特許文献1)。

先行技術

0004

特開平2−211865号公報

発明が解決しようとする課題

0005

一方、特許文献1に記載の細胞培養基材を用いる方法においては、温度変化を実現するための温調設備が必要となり、簡便性という点では必ずしも満足できるものではなかった。

0006

本発明は、上記実情を鑑みて、より簡便に細胞培養基材上で培養された細胞を回収し得る、細胞の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記製造方法にて使用されるキットを提供することも課題とする。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
(1)基材本体と基材本体上に配置された撥水層とを有する細胞培養基材の撥水層上で細胞の培養を行う工程1と、
撥水層と、水以外の溶媒とを接触させて、撥水層上から細胞を剥離して回収する工程2とを有し、
後述する溶解度測定方法によって算出される撥水層の溶解度が1mg/g以上である、細胞の製造方法。
(2) 基材本体が、基板で構成され、
工程1が、液体培地が収容された容器の底面上に細胞培養基材を配置して、撥水層上で細胞の培養を行う工程である、(1)に記載の細胞の製造方法。
(3) 基材本体が、容器の底部の少なくとも一部を構成し、
工程1が、液体培地が収容された容器内に配置される撥水層上で細胞の培養を行う工程である、(1)に記載の細胞の製造方法。
(4) 工程2が、液体培地が収容された容器内に、比重が1.0超である水以外の溶媒を添加して、撥水層と水以外の溶媒とを接触させて、撥水層上から細胞を剥離して回収する工程である、(2)または(3)に記載の細胞の製造方法。
(5) 水以外の溶媒が、含フッ素溶媒炭化水素溶媒、および、シリコーン溶媒からなる群から選択される、(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞の製造方法。
(6) 撥水層が、含フッ素樹脂、(メタアクリル樹脂、および、シリコーン樹脂からなる群から選択される樹脂を含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の細胞の製造方法。
(7) 細胞を製造するためのキットであって、基板および基板上に配置された撥水層を有する細胞培養基材と、水以外の溶媒とを有するキットであって、
後述する溶解度測定方法によって算出される撥水層の溶解度が1mg/g以上である、キット。

発明の効果

0008

本発明によれば、より簡便に細胞培養基材上で培養された細胞を回収し得る、細胞の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、上記製造方法にて使用されるキットを提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

本発明の細胞の製造方法の第1実施形態の工程A1を説明するための図である。
撥水層から細胞が剥離する機構を説明するための図であり、(A)は撥水層と水以外の溶媒とを接触させる前の撥水層の一部拡大図であり、(B)は撥水層と水以外の溶媒とを接触させた後の撥水層の一部拡大図である。
撥水層と水以外の溶媒とを接触させる方法の一形態の手順を示す図である。
撥水層と水以外の溶媒とを接触させた状態の図である。
撥水層と水以外の溶媒とを接触させる方法の他形態の手順を示す図である。
撥水層と水以外の溶媒とを接触させた状態の図である。
水と、水以外の溶媒とを用いて2相状態とした図である。
本発明の細胞の製造方法の第2実施形態の工程B1を説明するための図である。

0010

以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、以下の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
なお、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。

0011

<<第1実施形態>>
本発明の細胞の製造方法の第1実施形態は、以下の工程A1および工程2を有する。
工程A1:液体培地が収容された容器の底面上に、基板と基板上に配置された撥水層とを有する細胞培養基材を配置して、撥水層上で細胞の培養を行う工程
工程2:撥水層と、水以外の溶媒とを接触させて、撥水層上から細胞を剥離して回収する工程
以下、本実施形態の手順について、図面を参照しながら、説明する。

0012

<工程A1>
工程A1は、液体培地が収容された容器の底面上に細胞培養基材を配置して、細胞培養基材中の撥水層上で細胞の培養を行う工程である。より具体的には、図1に示すように、液体培地Lが収容された容器10の底面上に、基板12と撥水層14とを有する細胞培養基材16を配置して、撥水層14上で細胞Cを培養する工程である。本実施形態では、基板が、基材本体に該当する。
以下では、まず、本工程で使用される部材および材料について詳述し、その後、工程の手順について詳述する。

0013

(細胞培養基材)
細胞培養基材は、基板と、基板上に配置された撥水層とを有し、撥水層上にて細胞の培養が行われる。
基板の種類は特に制限されず、ガラス基板樹脂基板金属基板などが挙げられる。基板としては、取り扱い性の点から、ガラス基板が好ましい。
基板の厚みは特に制限されず、例えば、0.01〜20mmである。

0014

撥水層を構成する材料は特に制限されないが、例えば、公知の樹脂が挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂エポキシ樹脂オレフィン樹脂スチレン樹脂、含フッ素樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。なかでも、細胞の剥離性がより優れる点で、含フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、または、シリコーン樹脂が好ましく、含フッ素樹脂がより好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂としては、アルキル基を有する(メタ)アクリレート由来繰り返し単位を含む樹脂が好ましく、アルキル基の炭素数は1〜10が好ましい。
なお、(メタ)アクリルとは、アクリルおよびメタクリルを含む概念である。(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートを含む概念である。

0015

また、含フッ素樹脂とは、フッ素原子が含まれる樹脂である。例えば、フッ素原子が含まれる(メタ)アクリル樹脂は、含フッ素樹脂に含まれる。
含フッ素樹脂の好適態様の一つとしては、フッ素原子を含むアルキル基を有する(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位を含む樹脂が挙げられる。
フッ素原子を含むアルキル基中の炭素数は、3以上が好ましく、5以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、10以下の場合が多い。フッ素原子を含むアルキル基中においては、フッ素原子が少なくとも1個以上含まれていればよいが、いわゆるパーフルオロペルフルオロ)アルキル基(アルキル基中の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基)が好ましい。

0016

撥水層は、基板上に固定されていることが好ましい。固定の形態としては、例えば、撥水層が物理的に固定されている形態が挙げられる。このような物理的に固定される形態としては、より具体的には、撥水層を構成する材料(例えば、樹脂)と基板とが非共有結合を介して結合している形態が挙げられる。非共有結合としては、静電相互作用、π−π相互作用などが挙げられる。

0017

撥水層の形成方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。例えば、撥水層を構成する材料(例えば、樹脂)を含む撥水層形成用組成物を基板上に接触させ、必要に応じて硬化処理を施して、撥水層を形成する方法が挙げられる。

0018

撥水層の厚みは特に制限されないが、細胞の剥離性の点から、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、1000μm以下の場合が多い。

0019

なお、必要に応じて、基板と撥水層との間には他の層が配置されていてもよい。例えば、両者の密着性を高めるためのプライマー層などが配置されていてもよい。

0020

(液体培地)
液体培地は、通常用いられる細胞培養培地から、培養する細胞、目的等に応じて適宜選択できる。通常の細胞培養培地としては、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地DMEM)、MEM−α、RPMI1640などが挙げられる。
また、これらの液体培地に対しては、必要に応じて、血清、各種ビタミン、各種抗生物質等、通常の細胞培養に適用可能な各種添加剤を添加してもよい。これらの添加剤の濃度は通常用いられる濃度であればよく、例えば、血清は培地量の5〜10容量%とすることができる。
なお、液体培地には、水が含まれる場合が多い。一般的に、液体培地は、栄養分を水に溶解させて得られる。

0021

(細胞)
撥水層上で培養される細胞の種類は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択できる。細胞としては、例えば、ヒトを含む哺乳動物の細胞が挙げられ、具体的には、体細胞、その前駆細胞、およびそれらの混合細胞が挙げられる。細胞の具体例としては、内皮細胞間葉系幹細胞脂肪由来幹細胞臍帯血由来幹細胞歯髄幹細胞心筋細胞心臓壁細胞、肝細胞線維芽細胞骨芽細胞血管内皮細胞肝前駆細胞間葉系細胞膵島細胞軟骨細胞上皮細胞などが挙げられ、これらからなる群から選択される少なくとも1種の細胞が好ましい。
なお、細胞は、付着性細胞であることが好ましい。ここで付着性細胞とは、非浮遊性の細胞であり、細胞増殖に際して培養器面に対する接着依存性を示す細胞である。

0022

(容器)
容器は、その内部に液体培地を収容でき、かつ、その底面上に細胞培養基材が載置できるものであれば、その種類は特に制限されない。通常、容器は、少なくとも底面部と、底面部の周囲からのびる壁部とを少なくとも有する。

0023

(手順)
本工程の手順は、撥水層上で細胞が培養されれば特に制限されないが、代表例としては、まず、容器内の所定の位置に細胞培養基材を配置する。次に、所定の種類の細胞を所定数となるように容器内に播種し、さらに液体培地を容器内に加え、培養を行う。なお、液体培地を先に容器内に加えて、その後、細胞を播種してもよい。

0024

細胞の培養条件は、細胞の種類、目的などに応じて適宜最適な条件を選択できる。例えば、培養温度は、通常、約30〜40℃程度の場合が多く、約37℃が好ましい。培養は、例えば、CO2含有空気の雰囲気下で行われ、CO2濃度は、例えば2〜5%である。培養時間は、例えば、1〜10日間である。
なお、気体を供給しながら、細胞培養を行ってもよい。供給される気体は、目的等に応じて適宜選択でき、例えば、酸素窒素一酸化窒素二酸化窒素一酸化炭素二酸化炭素水素硫化水素などが挙げられる。

0025

<工程2>
工程2は、撥水層と、水以外の溶媒(以後、「特定溶媒」とも称する)とを接触させて、撥水層上から細胞を剥離して回収する工程である。
撥水層と、特定溶媒とを接触させることにより、撥水層が溶解し、結果として撥水層表面上から細胞が剥離され、細胞を容易に回収できる。
以下、図面を参照して、細胞が剥離する機構について説明する。
図2(A)に示すように、撥水層14が工程2で使用される特定溶媒と接触する前は、細胞Cが撥水層14上に接着している状態である。
次に、撥水層と特定溶媒とを接触させると、撥水層の一部が特定溶媒中に溶解する。特に、図2(B)に示すように、特定溶媒と接触する撥水層14の表面から溶解が進行するため、撥水層14の厚みが薄くなる。それに伴い、撥水層14上から細胞Cが離れる。言い換えると、撥水層上にあった細胞を剥離させることができる。
つまり、後述する溶解度測定方法にて測定される溶解度は、特定溶媒への撥水層を構成する材料の溶解性を表し、この値が所定値以上であると、細胞が撥水層上から剥離する程度まで、撥水層が特定溶媒に溶解することを表している。

0026

従って、本実施形態においては、溶解度測定方法により得られる溶解度を満たすような、撥水層と特定溶媒とを選択することにより、撥水層上から簡便に細胞を剥離・回収できる。
なお、上記のような、撥水層と特定溶媒との組み合わせとしては、例えば、撥水層に含フッ素樹脂が含まれ、特定溶媒として含フッ素溶媒を用いる態様が挙げられる。

0027

上述したように、本実施形態によれば、単に特定溶媒と撥水層とを接触させることにより、細胞培養基材から細胞を容易に剥離できる。つまり、従来技術のような温調設備のような特殊な設備を用意する必要がなく、簡便に、細胞を剥離・回収できる。

0028

以下、溶解度測定方法について詳述する。
まず、基板上に厚み300μm程度の撥水層(2cmφの円)が配置された細胞培養基材を用意する。次に、室温下(約23℃)にて、工程2で使用される特定溶媒(10g)中に上記細胞培養基材を24時間浸漬する。24時間経過後、細胞培養基材を特定溶媒から取り出し、乾燥後、電子天秤による重量測定により、特定溶媒中に溶解(溶出)した撥水層を構成する成分の量(撥水層由来の成分の量)を測定し、撥水層の溶解度とする。
なお、基板が特定溶媒に溶解する場合は、上記と同様の浸漬条件にて、基板のみを特定溶媒中に浸漬させて、特定溶媒中に溶解した基板を構成する成分の量を予め測定し、上記方法で得られた値から基板から溶解した成分の量を除することにより、撥水層から溶解した成分の量を算出することもできる。

0029

なお、上記溶解度は、1mg/g以上であり、細胞の剥離性がより優れる点で、10mg/g以上が好ましく、20mg/g以上がより好ましい。
なお、上限値は特に制限されないが、溶媒との親和性の点で、1000mg/g以下の場合が多く、500mg/g以下が好ましい。

0030

特定溶媒の種類は後段で詳述するが、上記要件を満たす撥水層と特定溶媒との好適な組み合わせとしては、含フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、および、シリコーン樹脂からなる群から選択される樹脂を含む撥水層と、含フッ素溶媒、炭化水素溶媒、および、シリコーン溶媒からなる群から選択される特定溶媒との組み合わせが挙げられ、含フッ素樹脂を含む撥水層と含フッ素溶媒との組み合わせがより好ましい。

0031

以下では、本工程で使用される材料について詳述し、その後、工程の手順について詳述する。

0032

(水以外の溶媒)
本工程で使用される溶媒としては水以外の溶媒が挙げられ、上記要件を満たすように、撥水層の種類に応じて適宜最適な溶媒が選択される。
水以外の溶媒としては、疎水性溶媒および親水性溶媒のいずれでもよく、上記要件を満たしやすい点から、疎水性溶媒が好ましい。なお、疎水性溶媒は液体培地と相分離しやすい。
なかでも、水以外の溶媒としては、含フッ素溶媒、炭化水素溶媒、または、シリコーン溶媒がより好ましく、含フッ素溶媒がさらに好ましい。なお、上記含フッ素溶媒、炭化水素溶媒、およびシリコーン溶媒は、疎水性溶媒に該当することが好ましい。
なお、上記疎水性溶媒とは、水との親和性が小さな溶媒であり、25℃における水に対する溶解度が50g/L以下の溶媒を意図する。また、上記親水性溶媒とは、水との親和性が大きな溶媒であり、25℃における水に対する溶解度が50g/L超の溶媒を意図する。
水以外の溶媒は、水と相分離する溶媒であることが好ましい。
また、水以外の溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を合わせて用いてもよい。

0033

上記水以外の溶媒の比重は特に制限されないが、比重1.0超の溶媒であってもよいし、比重1.0未満の溶媒であってもよい。
後段で詳述するように、水以外の溶媒の比重によって、適宜最適な撥水層との接触方法が選択される。

0034

含フッ素溶媒は、フッ素原子を含む溶媒であり、例えば、含フッ素アルカン含フッ素オレフィン含フッ素アルキルエーテル含フッ素アルキルアミン含フッ素芳香族化合物などが挙げられる。
液体培地との相分離の点から、含フッ素溶媒中のフッ素原子の総含有率であるフッ素含量は、15質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。上限としては、例えば、85質量%以下であり、80質量%以下が好ましい。

0035

含フッ素溶媒の25℃における水に対する溶解度は、液体培地との相分離の点から、50g/L以下が好ましく、10g/L以下がより好ましく、5g/L以下がさらに好ましい。水に対する溶解度の下限値は、例えば、0g/Lである。

0036

含フッ素溶媒の粘度は特に制限されず、例えば、25℃において、0.4mPa・s以上が好ましく、0.44mPa・s以上がより好ましい。上限値としては、例えば、2000mPa・s以下であり、50mPa・s以下が好ましい。

0037

含フッ素溶媒の密度は特に制限されず、例えば、25℃において、1.0g/mL超が好ましく、1.1g/mL以上がより好ましく、細胞より十分に重いことが好ましいことから、1.2g/mLがさらに好ましい。上限値としては、例えば、3.0g/mL以下であり、2.1g/mL以下が好ましい。

0038

含フッ素溶媒の表面張力は特に制限されず、例えば、25℃において、9mN/m以上が好ましく、12mN/m以上がより好ましい。上限値としては、例えば、80mN/m以下であり、100mN/m以下が好ましい。

0039

含フッ素アルカンは、直鎖状分岐鎖状および環状のいずれであってもよい。含フッ素アルカンの炭素数は、5〜20が好ましく、6〜10がより好ましい。含フッ素アルカンはアルカンの水素原子のすべてがフッ素原子に置き換わったペルフルオロアルカンでもよいし、水素原子の一部がフッ素原子に置き換わったハイドロフルオロアルカンでもよい。
含フッ素アルカンとしては、例えば、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロノナン、ペルフルオロデカン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、ペルフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)、ペルフルオロデカリン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、3M社製のFC−87、FC−84、FC−77、ペルフルオロケロセンなどが挙げられる。

0040

含フッ素オレフィンは、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれであってもよいが、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。含フッ素オレフィンの炭素数は、5〜20が好ましく、6〜10がより好ましい。含フッ素オレフィンに含まれる不飽和結合数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。含フッ素オレフィンはオレフィンの水素原子のすべてがフッ素原子に置き換わったペルフルオロオレフィンでもよいし、水素原子の一部がフッ素原子に置き換わったハイドロフルオロオレフィンでもよい。
含フッ素オレフィンとしては、例えば、ペルフルオロシクロペンテン、ペルフルオロシクロヘキセン、ペルフルオロシクロヘプテン、ペルフルオロシクロオクテン、ペルフルオロシクロノネン、ペルフルオロシクロデセン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,2,2,3,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロ−4−メトキシ−3−ヘプテンなどが挙げられる。

0041

含フッ素アルキルエーテルは、酸素原子に結合する2つのアルキル基のうち少なくとも一方にフッ素原子が1以上置換していればよい。含フッ素アルキルエーテルを構成するフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基部分は、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれであってもよいが、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。含フッ素アルキルエーテルに含まれるアルキル基部分の炭素数は、5〜20が好ましく、6〜10がより好ましい。含フッ素アルキルエーテルに含まれるフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基部分は同一であっても、異なっていてもよい。含フッ素アルキルエーテルはアルキルエーテルの水素原子のすべてがフッ素原子に置き換わったペルフルオロアルキルエーテルでもよいし、水素原子の一部がフッ素原子に置き換わったハイドロフルオロアルキルエーテルでもよい。
含フッ素アルキルエーテルとしては、例えば、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、1−メトキシ−1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1−エトキシ−1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン、3−メトキシ−1,1,1,2,2,3,4,4,5,5,6,6,6−トリデカフルオロヘキサン、1−メトキシ−1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−トリデカフルオロヘキサン、メチルノナフルオロイソブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、1、1、1、2、2、3、4、5、5、5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチルペンタン、SOLVEY社製のGALDENHT55、GALDEN HT70、GALDEN HT90、GALDEN ZT150、GALDEN HT170、GALDEN ZT180、GALDEN HT200、FOMBLINE Yなどが挙げられる。

0042

含フッ素アルキルアミンは、一級アミン二級アミンおよび三級アミンのいずれでもよく、なかでも三級アミンが好ましい。含フッ素アルキルアミンは、窒素原子に結合するアルキル基のうちの少なくとも1つにフッ素原子が1以上置換していればよい。含フッ素アルキルアミンを構成するフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基部分は、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれであってもよいが、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。含フッ素アルキルアミンに含まれる1つのアルキル基部分の炭素数は、3〜50が好ましく、9〜30がより好ましい。含フッ素アルキルアミンに含まれるフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基部分が2以上ある場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。含フッ素アルキルアミンはアルキルアミンの水素原子のすべてがフッ素原子に置き換わったペルフルオロアルキルアミンでもよいし、水素原子の一部がフッ素原子に置き換わったハイドロフルオロアルキルアミンでもよい。
含フッ素アルキルアミンとしては、例えば、ペルフルオロトリプロピルアミンペルフルオロトリブチルアミン、ペルフルオロトリペンチルアミン、ペルフルオロトリヘキシルアミン、ペルフルオロトリヘプチルアミン、ペルフルオロトリオクチルアミン、ペルフルオロトリノニルアミン、ペルフルオロトリデシルアミンなどが挙げられる。

0043

含フッ素芳香族化合物は、芳香族化合物に少なくとも1以上のフッ素原子が置換している化合物である。含フッ素芳香族化合物の炭素数は、5〜30が好ましく、6〜10がより好ましい。含フッ素芳香族化合物は芳香族化合物中の水素原子のすべてがフッ素原子に置き換わった化合物でもよいし、水素原子の一部がフッ素原子に置き換わった化合物でもよい。
含フッ素芳香族化合物としては、例えば、モノフルオロベンゼンジフルオロベンゼントリフルオロベンゼンテトラフルオロベンゼンペンタフルオロベンゼンヘキサフルオロベンゼンなどが挙げられる。

0044

炭化水素溶媒は、炭素原子と水素原子とからなる溶媒であって、例えば、トルエンキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒が挙げられる。

0046

なお、上述した親水性溶媒の種類は特に制限されないが、例えば、プロピレングリコール1−モノメチルエーテルなどのエーテル溶媒乳酸エチルなどのエステル溶媒が挙げられる。

0047

(手順)
撥水層と特定溶媒とを接触させる方法は特に制限されないが、例えば、図3に示すように、液体培地Lが収容された容器10内に特定溶媒Sを添加する方法が挙げられる。この方法においては、図4に示すように、特定溶媒S中に細胞培養基材16が浸漬するようなるまで、特定溶媒Sを容器10内に添加する。上述したように、撥水層14と特定溶媒Sとが接触すると、撥水層14が特定溶媒S中に溶解し、撥水層14上で培養された細胞Cが撥水層14上から剥離し、細胞を容易に回収できる。
なお、この方法で使用される特定溶媒Sとしては、液体培地Lよりも比重の大きい溶媒が選択される。より具体的には、特定溶媒Sとしては、比重が1.0超である特定溶媒が好ましい。このような特定溶媒Sが液体培地Lに加えられると、特定溶媒Sが液体培地Lよりも下層側に移動する。なお、上記比重は、1.2以上がより好ましい。比重の上限値は特に制限されないが、2.1以下の場合が多い。
この方法であれば、単に液体培地Lを含む容器中に特定溶媒Sを滴下するのみで、細胞を剥離することができ、非常に簡便な方法といえる。

0048

また、上記方法以外にも、図5に示すように、容器10内の液体培地Lを一旦除去した後、図6に示すように、容器10内に特定溶媒Sを添加して、特定溶媒S中に細胞培養基材16を浸漬させて、特定溶媒Sと撥水層14とを接触させる方法も挙げられる。
この方法においては、特定溶媒Sの比重は特に制限されないが、その後の細胞の回収が容易な点で、比重が1.0未満である特定溶媒を用いることが好ましい。比重が1.0未満である特定溶媒を用いる場合、図6に示す特定溶媒S中にさらに水を添加すると、図7に示すように、特定溶媒Sが上相に水Wが下相に位置する相分離構造が得られる。このような相分離構造が形成されると、通常、細胞は水相に移動する。よって、この場合、遠心分離操作などによって細胞を含む水相を容易に回収することができ、細胞の回収効率性に優れる。なお、上記比重は、0.95以下がより好ましい。比重の下限値は特に制限されないが、0.6以上の場合が多い。

0049

なお、回収された細胞の形態は特に制限されず、細胞シート(細胞がシート状に集合したもの)であっても、個々の細胞がバラバラに分離したものであってもよい。

0050

<<第2実施形態>>
本発明の細胞の製造方法の第2実施形態は、以下の工程B1および工程2を有する。
工程B1:液体培地が収容され、かつ、底面上に撥水層が配置された容器内において、撥水層上で細胞の培養を行う工程
工程2:撥水層と、水以外の溶媒とを接触させて、撥水層上から細胞を剥離して回収する工程
第1実施形態では撥水層を支持する基板が用いられていたのに対して、第2実施形態では撥水層が容器の底面上に直接配置されている点以外は、同一の手順を実施するため、同一の手順(例えば、細胞の培養手順、工程2の構成など)について説明を省略し、以下では、主に、第1実施形態との差異点について詳述する。

0051

上述したように、本実施形態においては、容器と、容器の底面上に配置された撥水層とを有する撥水層付き容器が用いられる。つまり、容器の底部の少なくとも一部が、基材本体に該当する。より具体的には、図8に示すように、容器10の底面上に撥水層14が配置されており、容器10内には液体培地Lが収容されている。
撥水層の構成は、第1実施形態と同様の構成である。
容器底面上に撥水層を形成する方法は特に制限されず、上述した第1実施形態で述べた方法が挙げられる。

0052

なお、必要に応じて、容器と撥水層との間には他の層が配置されていてもよい。例えば、両者の密着性を高めるためのプライマー層などが配置されていてもよい。
また、上記溶解度は、撥水層付き容器を用いて、上述した方法により測定できる。

0053

<<キット>>
本発明は、細胞を製造するためのキットにも関する。
キットとしては、基板および基板上に配置された撥水層を有する細胞培養基材と、水以外の溶媒(特定溶媒)とを有するキットが挙げられる。本キットは、上述した第1実施形態にて使用される。
なお、細胞培養基材中の撥水層と、上記特定溶媒とは、以下の要件を満たす。
要件:以下の溶解度測定方法によって算出される撥水層の溶解度が1mg/g以上である。
溶解度測定方法:撥水層を、特定溶媒に24時間浸漬し、水以外の溶媒中に溶解した撥水層を構成する成分の量を撥水層の溶解度とする。

0054

基板、撥水層および特定溶媒の定義は、上述の通りである。
また、溶解度測定方法の意義測定方法、および、好適範囲も、上述の通りである。

0055

また、キットの他の形態としては、容器および容器の底面上に配置された撥水層を有する撥水層付き容器と、特定溶媒とを有するキットも挙げられる。本キットは、上述した第2実施形態にて使用される。
本キットにおいても、上記と同様の要件を満たす。

0056

以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。

0057

<細胞培養基材の作製>
ポリマー準備)
(1)ポリメタクリル酸メチルPMMA
ポリメタクリル酸メチル(分子量:120,000)はSigmaAldrich社より購入してものをそのまま用いた。

0058

(2)ポリメタクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル)(PC6FMA)
活性アルミナを用いてメタクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル(C6FMA、旭硝子社製)の精製を行った後、乾燥窒素を用いて得られた精製物バブリングを20分間行った。以下では、上記手順により精製されたC6FMAを用いた。また、以下の調製および反応はすべて窒素下で行った。
C6FMA(56.87mL)、2−ブロモイソ酪酸エチル(0.596mL)、臭化銅(II)(0.574g)、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(0.693g)、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(70mL)を300mLフラスコに加え、100℃にて20.5時間にわたって混合液撹拌した。得られた溶液PTFE不織布にてろ過後、得られたろ液アサヒクリンAK−225(旭硝子社製)(125mL)を加えた。次に、得られた溶液に対して過剰量のクロロホルムおよびエタノール混合溶媒(クロロホルム:エタノール=1:1)を用いて再沈殿処理を行い、得られた沈殿物をろ過により回収し、回収物真空乾燥させて、PC6FMAを得た。

0059

(細胞培養基材1の作製)
上記PMMAをAK−225に溶解させ、PMMAの濃度が1質量%の溶液を調製した。次に、得られた溶液(1mL)をスライドガラス品番:S2111、浪硝子工業社製)上に滴下して、スピンコーティング(条件:200rpm、10秒間)を行い、細胞培養基材1を得た。

0060

(細胞培養基材2の作製)
上記PMMAをAK−225(2mL)に溶解させ、PMMAの濃度が1質量%の溶液を調製した。次に、得られた溶液(1mL)をIWAKI製のディッシュ(60mm/non—treated dish型番1010−060)の底面に滴下した。窒素気流下、室温で1時間乾燥させ、ディッシュの底面に撥水層(PMMA層)が配置されてなる細胞培養基材2を得た。なお、得られた細胞培養基材2は、撥水層付き容器に該当する。

0061

(細胞培養基材3の作製)
PMMAの代わりにPC6FMAを用いた以外は(細胞培養基材2の作製)と同様の手順に従って細胞培養基材3を得た。

0062

<実施例1>
IWAKI製のディッシュ(60mm/non—treated dish型番1010−060)に、2cm角にカットした細胞培養基材1を入れて、細胞培養基材1にUVを15分間照射して、滅菌した。
次に、細胞(TIG3)を20万細胞/Dishとなるよう播種し、ディッシュに液体培地(Gibco社製MEM)を4mL添加した。次に、得られたディッシュをインキュベータ内にて、37℃で24時間置き、その後、インキュベータよりディッシュを取り出した。顕微鏡にディッシュを設置し、含フッ素溶媒(特定溶媒1)4mLをディッシュ内に滴下し、細胞培養基材1上の細胞の接着挙動経時変化を観察した。
細胞培養基材1上の接着細胞が剥離すると、接着細胞が球状に変化するか、または、流されて細胞培養基材1上から無くなる。そこで、目視により、20分後に、接着細胞が球状に変化する、または、流されて細胞培養基材1上から無くなる場合を「○」(良好)とし、変化がないものを「×」(不良)とした。

0063

<実施例2>
細胞培養基材2の撥水層上に、細胞(TIG3)を20万細胞/Dishとなるよう播種し、液体培地(Gibco社製MEM)を4mL添加した。次に、得られた細胞培養基材2をインキュベータ内にて、37℃で24時間置き、その後、インキュベータより細胞培養基材2を取り出した。顕微鏡に細胞培養基材2を設置し、含フッ素溶媒(特定溶媒1)4mLを細胞培養基材2内に滴下し、撥水層上の細胞の接着挙動の経時変化を観察した。
撥水層上の接着細胞が剥離すると、接着細胞が球状に変化するか、または、流されて撥水層上から無くなる。そこで、目視により、20分後に、接着細胞が球状に変化する、または、流されて撥水層上から無くなる場合を「○」(良好)とし、変化がないものを「×」(不良)とした。

0064

<実施例3〜4、比較例2〜3>
使用される細胞培養基材の種類、および、特定溶媒の種類を変更した以外は、実施例2と同様の手順に従って、細胞の培養を行い、上記と同様の剥離性の評価を実施した。
結果を以下の表1にまとめて示す。

0065

<比較例1>
使用される細胞培養基材の種類、および、特定溶媒の種類を変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、細胞の培養を行い、上記と同様の剥離性の評価を実施した。
結果を以下の表1にまとめて示す。

0066

なお、表1中の特定溶媒の種類は以下の通りである。また、以下の使用した「特定溶媒1」、「特定溶媒2」、および、「特定溶媒4」は、いずれも、25℃における水に対する溶解度が50g/L以下であった。また、「特定溶媒3」は、25℃における水に対する溶解度が50g/L超であった。
特定溶媒1:ジクロロペンタフルオロプロパン(3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンおよび1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンの2種の溶媒の混合液に該当)
特定溶媒2:1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン
特定溶媒3:プロピレングリコール1−モノメチルエーテル
特定溶媒4:1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン

0067

なお、比較例1においては、細胞培養基材4としてスライドガラスを用いた。
また、比較例2においては、細胞培養基材5としてIWAKI製のディッシュ(60mm/non—treated dish型番1010−060)を用いた。
また、各実施例および比較例にて得られた細胞培養基材を用いて、上述した溶解度測定方法により溶解度(mg/g)を算出した。
なお、以下表1中、「>100」とは、溶解度が100mg/g超であることを意図する。

0068

実施例

0069

表1より、撥水層の溶解度が所定値以上である場合、細胞培養基材から細胞を容易に剥離でき、細胞を容易に製造できることが確認された。
なお、実施例1〜3では特定溶媒として疎水性溶媒が、実施例4では特定溶媒として親水性溶媒が使用されている。実施例1〜3においては剥離した細胞が凝集することなく浮遊していたが、実施例4においては剥離した細胞が一部凝集しており、実施例1〜3の態様が細胞そのものの回収性という点でより優れていた。

0070

10容器
12基板
14撥水層
16 細胞培養基材

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