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図面 (1)

課題

耐溶剤性に優れ、駆動電圧の低減、及び発光寿命の向上を図ることができる電荷輸送性ポリマー薄膜を製造可能な製造方法を提供する。

解決手段

電荷輸送性ポリマーを含む組成物重合硬化してなり、表面積率が、式(1)及び式(2)を共に満たす表面積率Sbとなるように電荷輸送性ポリマー薄膜を製造する電荷輸送性ポリマー薄膜の製造方法である。加熱温度Ta、Tb、Tc(Ta<Tb<Tc)それぞれで重合した電荷輸送性ポリマー薄膜Pa、Pb、Pcの表面積率をSa、Sb、Scとしたとき、 Sb/Sa×100<99.95 ・・・式(1) Sb/Sc×100<99.95 ・・・式(2) ただし、Pa、Pb及びPcの残膜率はすべて95%以上である。

概要

背景

有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、柔軟性といった特長を発揮できると期待され、従来のシリコン主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。

有機エレクトロニクス素子の一例として、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう)、有機光電変換素子有機トランジスタなどが挙げられる。

有機エレクトロニクス素子の中でも、有機EL素子は、例えば、白熱ランプガス充填ランプ代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイFPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。

有機EL素子は、使用される有機材料から、低分子型有機EL素子及び高分子型有機EL素子の2つに大別される。高分子型有機EL素子では、有機材料として高分子材料が用いられ、低分子型有機EL素子では、低分子材料が用いられる。高分子型有機EL素子は、主に真空系成膜が行われる低分子型有機EL素子と比較して、印刷インクジェットなどの湿式プロセスによる簡易成膜が可能なため、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な素子として期待されている。一方、高分子型有機EL素子は印刷やインクジェットといった湿式プロセスを用いて製膜を行うため、上層を塗布する際に下層が溶解してしまうという課題が生じる。そのため、高分子型有機EL素子の多層化は低分子型有機EL素子に比べ困難であり、発光効率の向上、寿命改善効果を得ることができなかった。

この問題に対処するために、これまでにいくつかの方法が提案されている。一つは、溶解度の差を用いる方法である。例えば、水溶性であるポリチオフェンポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)を含む正孔注入層トルエン等の芳香族系有機溶媒を用いて製膜された発光層の2層構造を持つ素子である。この場合、PEDOT:PSS層はトルエン等芳香族溶媒に溶解しないため、2層構造を作製することが可能となっている。

非特許文献1には、溶解度の大きく異なる化合物を利用した3層構造の素子が提唱されている。

特許文献1には、PEDOT:PSS上にインターレイヤー層と呼ばれる層を導入した3層構造の素子が開示されている。

非特許文献2〜4、特許文献2には、シロキサン化合物オキセタン基ビニル基などの重合反応を利用して化合物の溶解度を変化させ、電荷輸送性ポリマー薄膜有機層)を溶剤に対して不溶化する方法が開示されている。

一方、湿式プロセスによって成膜した有機層の導電性を向上するには、分子構造を変える、成膜プロセスを変える、といった方法がある。分子構造や成膜プロセスを変えることで、有機層のモルフォロジーが変化し、モルフォロジーの変化によって導電性が変化するとの報告がある。モルフォロジーの観察には、接触式の表面粗さ測定機や、非接触式光学粗さ測定機などが用いられ、表面形状は平均表面粗さRaや、最大粗さRz、二乗平均面粗さrms、表面積率Sなどで表現される。

非特許文献5には、融点以上で加熱しポリマー再配列が起こることで二乗平均面粗さrmsが増加すること、加熱温度により駆動電圧が変わることが報告されている。しかし、重合開始温度を超える温度範囲では、加熱温度と二乗平均面粗さrms及び駆動電圧の関係は検討されていない。
また、非特許文献6では、構造が異なるポリマーから作製した薄膜の二乗平均面粗さrmsを調べている。この文献では、二乗平均面粗さrmsが小さいポリマーを発光層材料として用いたときに、その有機EL素子の駆動電圧が小さくなったことを報告しているが、ここで報告されたポリマーは重合反応を伴わない。

概要

耐溶剤性に優れ、駆動電圧の低減、及び発光寿命の向上をることができる電荷輸送性ポリマー薄膜を製造可能な製造方法を提供する。電荷輸送性ポリマーを含む組成物重合硬化してなり、表面積率が、式(1)及び式(2)を共に満たす表面積率Sbとなるように電荷輸送性ポリマー薄膜を製造する電荷輸送性ポリマー薄膜の製造方法である。加熱温度Ta、Tb、Tc(Ta<Tb<Tc)それぞれで重合した電荷輸送性ポリマー薄膜Pa、Pb、Pcの表面積率をSa、Sb、Scとしたとき、 Sb/Sa×100<99.95 ・・・式(1) Sb/Sc×100<99.95 ・・・式(2) ただし、Pa、Pb及びPcの残膜率はすべて95%以上である。なし

目的

本発明の目的は、耐溶剤性に優れ、かつ、駆動電圧の低減を図ることができる電荷輸送性ポリマー薄膜を製造可能な製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

電荷輸送性ポリマーを含む組成物重合硬化してなる電荷輸送性ポリマー薄膜の製造方法であって、表面積率が、下記式(1)及び下記式(2)を共に満たす表面積率Sbとなるように電荷輸送性ポリマー薄膜を製造する電荷輸送性ポリマー薄膜の製造方法。加熱温度Ta、Tb及びTcが、Ta<Tb<Tcであり、加熱温度Taで重合した電荷輸送性ポリマー薄膜Paの表面積率をSa、加熱温度Tbで重合した電荷輸送性ポリマー薄膜Pbの表面積率をSb、加熱温度Tcで重合した電荷輸送性ポリマー薄膜Pcの表面積率をScとしたとき、Sb/Sa×100<99.95(%)・・・式(1)Sb/Sc×100<99.95(%)・・・式(2)ただし、前記電荷輸送性ポリマー薄膜Pa、Pb及びPcの以下の条件で測定した、下記式(3)で示される残膜率がすべて95%以上である。前記電荷輸送性ポリマー薄膜を形成した基板溶剤に1分間浸漬して洗浄し、洗浄前後のUV−visスペクトルにおける吸収極大(λmax)の吸光度(Abs)の比を残膜率(%)とする。残膜率(%)=洗浄後Abs/洗浄前Abs×100・・・式(3)

請求項2

前記加熱温度Taから前記加熱温度Tcの範囲内の温度で重合した電荷輸送性ポリマー薄膜の表面積率のうち、最小の表面積率が前記表面積率Sbとなるように前記加熱温度Tbを設定する請求項1に記載の電荷輸送性ポリマー薄膜の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、有機エレクトロニクス素子有機エレクトロルミネセンス素子等に使用し得る電荷輸送性ポリマー薄膜の製造方法に関する。

背景技術

0002

有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、柔軟性といった特長を発揮できると期待され、従来のシリコン主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。

0003

有機エレクトロニクス素子の一例として、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう)、有機光電変換素子有機トランジスタなどが挙げられる。

0004

有機エレクトロニクス素子の中でも、有機EL素子は、例えば、白熱ランプガス充填ランプ代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイFPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。

0005

有機EL素子は、使用される有機材料から、低分子型有機EL素子及び高分子型有機EL素子の2つに大別される。高分子型有機EL素子では、有機材料として高分子材料が用いられ、低分子型有機EL素子では、低分子材料が用いられる。高分子型有機EL素子は、主に真空系成膜が行われる低分子型有機EL素子と比較して、印刷インクジェットなどの湿式プロセスによる簡易成膜が可能なため、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な素子として期待されている。一方、高分子型有機EL素子は印刷やインクジェットといった湿式プロセスを用いて製膜を行うため、上層を塗布する際に下層が溶解してしまうという課題が生じる。そのため、高分子型有機EL素子の多層化は低分子型有機EL素子に比べ困難であり、発光効率の向上、寿命改善効果を得ることができなかった。

0006

この問題に対処するために、これまでにいくつかの方法が提案されている。一つは、溶解度の差を用いる方法である。例えば、水溶性であるポリチオフェンポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)を含む正孔注入層トルエン等の芳香族系有機溶媒を用いて製膜された発光層の2層構造を持つ素子である。この場合、PEDOT:PSS層はトルエン等芳香族溶媒に溶解しないため、2層構造を作製することが可能となっている。

0007

非特許文献1には、溶解度の大きく異なる化合物を利用した3層構造の素子が提唱されている。

0008

特許文献1には、PEDOT:PSS上にインターレイヤー層と呼ばれる層を導入した3層構造の素子が開示されている。

0009

非特許文献2〜4、特許文献2には、シロキサン化合物オキセタン基ビニル基などの重合反応を利用して化合物の溶解度を変化させ、電荷輸送性ポリマー薄膜(有機層)を溶剤に対して不溶化する方法が開示されている。

0010

一方、湿式プロセスによって成膜した有機層の導電性を向上するには、分子構造を変える、成膜プロセスを変える、といった方法がある。分子構造や成膜プロセスを変えることで、有機層のモルフォロジーが変化し、モルフォロジーの変化によって導電性が変化するとの報告がある。モルフォロジーの観察には、接触式の表面粗さ測定機や、非接触式光学粗さ測定機などが用いられ、表面形状は平均表面粗さRaや、最大粗さRz、二乗平均面粗さrms、表面積率Sなどで表現される。

0011

非特許文献5には、融点以上で加熱しポリマー再配列が起こることで二乗平均面粗さrmsが増加すること、加熱温度により駆動電圧が変わることが報告されている。しかし、重合開始温度を超える温度範囲では、加熱温度と二乗平均面粗さrms及び駆動電圧の関係は検討されていない。
また、非特許文献6では、構造が異なるポリマーから作製した薄膜の二乗平均面粗さrmsを調べている。この文献では、二乗平均面粗さrmsが小さいポリマーを発光層材料として用いたときに、その有機EL素子の駆動電圧が小さくなったことを報告しているが、ここで報告されたポリマーは重合反応を伴わない。

0012

特開2007−119763号公報
国際公開第2008/010487号

先行技術

0013

Y. Goto, T. Hayashida, M. Noto, IDW‘04 Proceedings of The 11th International Display Workshop, 1343-1346(2004)
H. Yan, P. Lee, N. R. Armstrong, A. Graham, G. A. Evemenko, P. Dutta, T. J. Marks, J. Am. Chem. Soc., 127, 3172-4183(2005)
E. Bacher, M.Bayerl, P. Rudati, N. Reckfuss, C. David, K. Meerholz, O. Nuyken, Macromolecules, 38, 1640(2005)
M. S. Liu, Y. H. Niu, J. W. Ka, H. L. Yip, F. Huang, J. Luo, T. D. Wong, A. K. Y. Jen, Macromolecules, 41, 9570(2008)
Selin Piravadili Mucur, Rifat Kacar, Cagla Meric, Sermet Koyuncu, Organic Electronics, 50, 55-62(2017)
Huan-Chi Yeh, et al, Macromolecules, 41, 3801-3807(2008)

発明が解決しようとする課題

0014

有機EL素子の高効率化長寿命化のためには、有機層を多層化し、各々の層の機能を分離することが望ましい。そして、大面積でも製膜が容易な湿式プロセスを用いて有機層を多層化するためには、上述のように、下層が上層製膜時に溶解しないよう、重合反応を利用する必要がある。また、有機層形成時に高温で加熱すると、重合反応により耐溶剤性を付与できる一方で、ポリマーの分解による駆動電圧の上昇が懸念される。従って、多層化に利用可能な電荷輸送性ポリマー薄膜は、耐溶剤性と駆動電圧の低減との両立が求められる。

0015

本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものである。すなわち、本発明の目的は、耐溶剤性に優れ、かつ、駆動電圧の低減を図ることができる電荷輸送性ポリマー薄膜を製造可能な製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0016

前記課題を解決する手段は以下の通りである。
[1]電荷輸送性ポリマーを含む組成物重合硬化してなる電荷輸送性ポリマー薄膜の製造方法であって、
表面積率が、下記式(1)及び下記式(2)を共に満たす表面積率Sbとなるように電荷輸送性ポリマー薄膜を製造する電荷輸送性ポリマー薄膜の製造方法。
加熱温度Ta、Tb及びTcが、Ta<Tb<Tcであり、
加熱温度Taで重合した電荷輸送性ポリマー薄膜Paの表面積率をSa、
加熱温度Tbで重合した電荷輸送性ポリマー薄膜Pbの表面積率をSb、
加熱温度Tcで重合した電荷輸送性ポリマー薄膜Pcの表面積率をScとしたとき、
Sb/Sa×100<99.95(%) ・・・式(1)
Sb/Sc×100<99.95(%) ・・・式(2)
ただし、前記電荷輸送性ポリマー薄膜Pa、Pb及びPcの以下の条件で測定した、下記式(3)で示される残膜率がすべて95%以上である。
前記電荷輸送性ポリマー薄膜を形成した基板を溶剤に1分間浸漬して洗浄し、洗浄前後のUV−visスペクトルにおける吸収極大(λmax)の吸光度(Abs)の比を残膜率(%)とする。
残膜率(%)=洗浄後Abs/洗浄前Abs×100 ・・・式(3)

0017

[2]前記加熱温度Taから前記加熱温度Tcの範囲内の温度で重合した電荷輸送性ポリマー薄膜の表面積率のうち、最小の表面積率が前記表面積率Sbとなるように前記加熱温度Tbを設定する前記[1]に記載の電荷輸送性ポリマー薄膜の製造方法。

発明の効果

0018

本発明によれば、耐溶剤性に優れ、かつ、駆動電圧の低減を図ることができる電荷輸送性ポリマー薄膜を製造可能な製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0019

本実施形態の有機EL素子の一実施形態を示す模式的断面図である。

0020

以下、本実施形態について説明するが、本実施形態は以下の説明に限定されることはない。

0021

<電荷輸送性ポリマー薄膜の製造方法>
本実施形態の電荷輸送性ポリマー薄膜の製造方法は、電荷輸送性ポリマーを含む組成物を重合硬化してなる電荷輸送性ポリマー薄膜の製造方法であって、表面積率が、下記式(1)及び下記式(2)を共に満たす表面積率Sbとなるように電荷輸送性ポリマー薄膜を製造することを特徴としている。
加熱温度Ta、Tb及びTcが、Ta<Tb<Tcであり、
加熱温度Taで重合した電荷輸送性ポリマー薄膜Paの表面積率をSa、
加熱温度Tbで重合した電荷輸送性ポリマー薄膜Pbの表面積率をSb、
加熱温度Tcで重合した電荷輸送性ポリマー薄膜Pcの表面積率をScとしたとき、
Sb/Sa×100<99.95(%) ・・・式(1)
Sb/Sc×100<99.95(%) ・・・式(2)
ただし、前記電荷輸送性ポリマー薄膜Pa、Pb及びPcの以下の条件で測定した、下記式(3)で示される残膜率がすべて95%以上である。
前記電荷輸送性ポリマー薄膜を形成した基板を溶剤に1分間浸漬して洗浄し、洗浄前後のUV−visスペクトルにおける吸収極大(λmax)の吸光度(Abs)の比を残膜率(%)とする。
残膜率(%)=洗浄後Abs/洗浄前Abs×100 ・・・式(3)

0022

本実施形態において、表面積率とは、表面形状を測定した面が完全にフラットであると仮定したときの面積S0に対する実際の表面積Sの比率である。表面積率Sは接触式の表面粗さ測定機や、非接触式の光学粗さ測定機などを用いて測定することができる。

0023

本実施形態の製造方法においては、製造しようとする所望の電荷輸送性ポリマー薄膜の表面積率が式(1)及び式(2)を共に満たす表面積率Sbであって、かつ、残膜率が95%以上となるように設定する。そのように設定するには、まず、電荷輸送性ポリマー薄膜の残膜率が95%以上となる加熱温度範囲内において、形成される薄膜の表面積率が式(1)及び式(2)を共に満たす3つの加熱温度Ta、Tb及びTcを決定する。そして、その温度を決定した後は、電荷輸送性ポリマーを含む組成物を加熱温度Tbで重合硬化することにより、式(1)及び式(2)を共に満たす表面積率Sbの電荷輸送性ポリマー薄膜を形成することができる。ひいては、駆動電圧の低減と発光効率の向上とのを図ることができる電荷輸送性ポリマー薄膜を得ることができる。また、当該電荷輸送性ポリマー薄膜の残膜率は95%以上であるから耐溶剤性に優れる。

0024

上記のように決定される加熱温度Ta、Tb及びTcは、形成される電荷輸送性ポリマー薄膜の残膜率が95%となる温度である。また、Ta<Tb<Tcであるが、それぞれの差は、5〜60℃とすることが好ましく、5〜35℃とすることがより好ましい。

0025

電荷輸送性ポリマー薄膜の表面積率が小さいほど駆動電圧が小さくなるため、当該表面積率は小さいほどよい。従って、加熱温度Taから加熱温度Tcの範囲内の温度で重合した電荷輸送性ポリマー薄膜の表面積率のうち、最小の表面積率が表面積率Sbとなるように加熱温度Tbを設定することが好ましい。換言すると、加熱温度Tbは、式(1)及び式(2)を満たしつつ、表面積率SaとScとの間において表面積率Sbが最小となる温度となるように設定することが好ましい。

0026

一方、式(1)の上限は99.95%であるが、99.90%であることが好ましく、99.85%であることがより好ましい。また、下限は80%であることが好ましい。
同様に、式(2)の上限は99.95%であるが、99.90%であることが好ましく、99.85%であることがより好ましい。また、下限は80%であることが好ましい。

0027

一方、残膜率の測定に当たり、電荷輸送性ポリマー薄膜を形成した基板を溶剤に1分間浸漬して洗浄する。そして、洗浄前後における、UV−visスペクトルにおける吸収極大(λmax)の吸光度(Abs)を測定し、上記式(3)から残膜率を求める。ここで、電荷輸送性ポリマー薄膜の浸漬に用いる溶剤は、重合硬化前の電荷輸送性ポリマーに対する溶解度が大きいものを用いる。一つの目安として、電化輸送性ポリマー疎水性であれば疎水性溶剤を用い、電荷輸送性ポリマーが親水性であれば親水性溶剤を用いることができる。すなわち、電荷輸送性ポリマーは、疎水性であれば疎水性溶剤に、親水性であれば親水性溶剤にそれぞれ溶解しやすく、また、そもそも疎水性のものは親水性溶剤に、親水性のものは疎水性溶剤に溶解し難い傾向にある。従って、電荷輸送性ポリマーの残膜率が95%以上であることでいずれの溶剤にも溶解し難いことを示す。
なお、重合硬化前の電荷輸送性ポリマーの溶剤に対する「溶解度が大きい」とは、23℃の溶剤100gに対する溶解度が3g以上であることをいう。

0028

本実施形態において、電荷輸送性ポリマー薄膜としては、後述の有機層を使用することができ、形成方法も後述する方法と同様である。当該有機層の膜厚は特に限定されず、表面形状を測定しやすい厚さで作製してもよく、素子の短絡が生じにくい厚さで作製してもよい。以下において、電荷輸送性ポリマー薄膜を、単に「有機層」という場合がある。

0029

以下、本実施形態において用いる電荷輸送性ポリマー及びそれを含む組成物について説明する。なお、本実施形態に係る電荷輸送性ポリマー薄膜は、電荷輸送する能力を有する。

0030

[電荷輸送性ポリマー]
(構造)
電荷輸送性ポリマーに含まれる部分構造の例として、以下が挙げられる。電荷輸送性ポリマーは、以下の部分構造を有するものに限定されない。部分構造中、「L」は構造単位Lを、「T」は構造単位Tを、「B」は構造単位Bを表す。本明細書において式中の「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。以下の部分構造中、複数のLは、互いに同一の構造単位であっても、互いに異なる構造単位であってもよい。T及びBについても、同様である。

0031

鎖状の電荷輸送性ポリマー

0032

分岐構造を有する電荷輸送性ポリマー

0033

0034

各構造単位の例)
(構造単位L)
構造単位Lは、2価の構造単位であり、好ましくは電荷輸送性を有する。電荷輸送性を有する構造単位Lは、電荷を輸送する能力を有する原子団を含んでいればよく、特に限定されない。例えば、構造単位Lは、置換又は非置換の、芳香族アミン構造カルバゾール構造チオフェン構造フルオレン構造ベンゼン構造、ビフェニレン構造、ターフェニレン構造、ナフタレン構造アントラセン構造テトラセン構造、フェナントレン構造ジヒドロフェナントレン構造、ピリジン構造、ピラジン構造キノリン構造、イソキノリン構造、キノキサリン構造アクリジン構造、ジアザフェナントレン構造、フラン構造ピロール構造オキサゾール構造オキサジアゾール構造、チアゾール構造、チアジアゾール構造トリアゾール構造ベンゾチオフェン構造、ジベンゾチオフェン構造、ベンゾオキサゾール構造ベンゾオキサジアゾール構造、ベンゾチアゾール構造、ベンゾチアジアゾール構造ベンゾトリアゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。芳香族アミン構造は、好ましくはトリアリールアミン構造であり、より好ましくはトリフェニルアミン構造である。

0035

一実施形態において、構造単位Lは、優れた正孔輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ピロール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましく、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることがより好ましい。他の実施形態において、構造単位Lは、優れた電子輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、フルオレン構造、ベンゼン構造、フェナントレン構造、ピリジン構造、キノリン構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましい。

0036

構造単位Lの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Lは、以下に限定されない。

0037

0038

Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。好ましくは、Rは、それぞれ独立に、−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5、−SiR6R7R8、−NR9R10、ハロゲン原子、及び、後述する重合性官能基を含む基からなる群から選択される。R1〜R10は、それぞれ独立に、水素原子;炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基;又は、炭素数2〜30個のアリール基又はヘテロアリール基を表す。アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。ヘテロアリール基は、芳香族複素環から水素原子1個を除いた原子団である。アルキル基は、更に、炭素数2〜20個のアリール基又はヘテロアリール基により置換されていてもよく、アリール基又はヘテロアリール基は、更に、炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基により置換されていてもよい。Rは、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基である。Arは、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Arは、好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。ヘテロアリーレン基は、芳香族複素環から水素原子2個を除いた原子団である。

0039

アリールアミン構造単位)
本実施形態においては、構造単位Lが、炭素数8〜16の置換基を有するアリールアミン構造単位(以下、これを「構造単位L1」とも記す。)を含むことが好ましい。アリールアミン構造単位とは、アミン窒素原子にアリール基が置換した芳香族アミン構造の単位を意味している。芳香族アミン構造としては、ジアリールアミン構造又はトリアリールアミン構造が好ましく、アリール基としてはフェニル基が好ましく、なかでも、トリフェニルアミン構造であることが最も好ましい。

0040

トリフェニルアミン構造単位としては、例えば、次のいずれか1以上を含むことが好ましい。各構造式中、R1は、例えば、炭素数8〜16の置換基を示す。アリール基への置換基の位置は、いずれであってもよいが、駆動電圧の低下効果の観点から、窒素原子への結合位置を基準としてパラ位メタ位オルト位であること(順に下記式(a1)、(a2)、(a3))が、この順に好ましい。式(a1)と(a2)の組み合わせ等、置換基の置換位置が異なる2以上のアリールアミンを組み合わせることも可能である。

0041

0042

置換基R1の炭素数が16である場合、駆動電圧の増加を抑えることができる傾向が見られることから、炭素数は16以下であることが好ましく、14以下であることがより好ましく、12以下であることが一層好ましい。また、置換基R1は極性を持つ置換基であってもよく、ハロゲン原子であってもよく、炭素数16以下のハロゲン化アルキルであってもよく、炭素数16以下のハロアルカンであってもよい。この場合、置換基R1はフッ素を含むことがより好ましく、炭素数12以下のフッ素を含むハロアルカンであることが更に好ましい。置換基R1はエーテル構造エステル構造などを有してもよい。置換基R1は窒素を含む置換基であってもよく、フェニル構造を含んでもよい。置換基R1以外に、置換基R1が結合しているベンゼン環に置換基が存在してもよい。

0043

(構造単位B)
構造単位Bは、電荷輸送性ポリマーが分岐構造を有する場合に、分岐部を構成する3価以上の構造単位である。構造単位Bは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、好ましくは6価以下であり、より好ましくは3価又は4価である。構造単位Bは、電荷輸送性を有する単位であることが好ましい。例えば、構造単位Bは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、縮合多環式芳香族炭化水素構造、及び、これらの1種又は2種以上を含有する構造から選択される。構造単位Bは、構造単位Lと同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよく、また、構造単位Tと同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよい。

0044

構造単位Bの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Bは、以下に限定されない。

0045

0046

Wは、3価の連結基を表し、例えば、炭素数2〜30個のアレーントリイル基又はヘテロアレーントリイル基を表す。上述のとおり、アレーントリイル基は、芳香族炭化水素から水素原子3個を除いた原子団である。ヘテロアレーントリイル基は、芳香族複素環から水素原子3個を除いた原子団である。Arは、それぞれ独立に2価の連結基を表し、例えば、それぞれ独立に、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Arは、好ましくはアリーレン基、より好ましくはフェニレン基である。Yは、2価の連結基を表し、例えば、構造単位LにおけるR(ただし、重合性官能基を含む基を除く。)のうち水素原子を1個以上有する基から、更に1個の水素原子を除いた2価の基が挙げられる。Zは、炭素原子ケイ素原子、又はリン原子のいずれかを表す。構造単位中、ベンゼン環及びArは、置換基を有していてもよく、置換基の例として、構造単位LにおけるRが挙げられる。

0047

(構造単位T)
構造単位Tは、電荷輸送性ポリマーの末端部を構成する1価の構造単位である。構造単位Tは、特に限定されず、例えば、置換又は非置換の、芳香族炭化水素構造芳香族複素環構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。構造単位Tが構造単位Lと同じ構造を有していてもよい。一実施形態において、構造単位Tは、電荷の輸送性を低下させずに耐久性を付与するという観点から、置換又は非置換の芳香族炭化水素構造であることが好ましく、置換又は非置換のベンゼン構造であることがより好ましい。また、他の実施形態において、後述するように、電荷輸送性ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、構造単位Tは重合可能な構造(例えば、ピロールイル基等の重合性官能基)であってもよい。価数以外に関し、構造単位Tは、構造単位Lと同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよく、また、構造単位Bと同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよい。

0048

構造単位Tの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Tは、以下に限定されない。

0049

0050

Rは、構造単位LにおけるR1と同様である。電荷輸送性ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、構造単位Tは、重合性官能基を有することが好ましい。すなわち、上記式のRのいずれか少なくとも1つが、重合性官能基を含む基であることが好ましい。

0051

(重合性官能基)
電荷輸送性ポリマーは、重合反応により硬化させ、溶剤への溶解度を変化させる観点から、重合可能な置換基(重合性官能基)を有する。「重合性官能基」とは、熱及び/又は光を加えることにより、互いに結合を形成し得る官能基をいう。

0052

重合性官能基としては、炭素炭素多重結合を有する基(例えば、ビニル基、アリル基ブテニル基エチニル基アクリロイル基アクリロイルオキシ基アクリロイルアミノ基メタクリロイル基メタクリロイルオキシ基メタクリロイルアミノ基、ビニルオキシ基ビニルアミノ基等)、小員環を有する基(例えば、シクロプロピル基シクロブチル基等の環状アルキル基エポキシ基オキシラニル基)、オキセタン基(オキセタニル基)等の環状エーテル基ジケテン基;エピスルフィド基ラクトン基ラクタム基等)、複素環基(例えば、フラン−イル基、ピロール−イル基、チオフェン−イル基、シロール−イル基)などが挙げられる。重合性官能基としては、特に、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、及びオキセタン基が好ましく、反応性及び有機エレクトロニクス素子の特性の観点から、ビニル基、オキセタン基、又はエポキシ基がより好ましい。

0053

重合性官能基の自由度を上げ、重合反応を生じさせやすくする観点からは、電荷輸送性ポリマーの主骨格と重合性官能基とが、例えば炭素数1〜8の直鎖状のアルキレン鎖で連結されていることが好ましい。また、例えば、電極上に有機層を形成する場合、ITO等の親水性電極との親和性を向上させる観点からは、エチレングリコール鎖ジエチレングリコール鎖等の親水性の鎖で連結されていることが好ましい。さらに、重合性官能基を導入するために用いられるモノマーの調製が容易になる観点からは、電荷輸送性ポリマーは、アルキレン鎖及び/又は親水性の鎖の末端部、すなわち、これらの鎖と重合性官能基との連結部、及び/又は、これらの鎖と電荷輸送性ポリマーの骨格との連結部に、エーテル結合又はエステル結合を有していてもよい。前述の「重合性官能基を含む基」とは、重合性官能基それ自体、又は、重合性官能基とアルキレン鎖等とを合わせた基を意味する。重合性官能基を含む基として、例えば、国際公開第2010/140553号に例示された基を好適に用いることができる。

0054

重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの末端部(すなわち、構造単位T)に導入されていても、末端部以外の部分(すなわち、構造単位L又はB)に導入されていても、末端部と末端以外の部分の両方に導入されていてもよい。硬化性の観点からは、少なくとも末端部に導入されていることが好ましく、硬化性及び電荷輸送性の両立を図る観点からは、末端部のみに導入されていることが好ましい。また、電荷輸送性ポリマーが分岐構造を有する場合、重合性官能基は、電荷輸送性ポリマーの主鎖に導入されていても、側鎖に導入されていてもよく、主鎖と側鎖の両方に導入されていてもよい。

0055

重合性官能基は、溶解度の変化に寄与する観点からは、電荷輸送性ポリマー中に多く含まれる方が好ましい。一方、電荷輸送性を妨げない観点からは、電荷輸送性ポリマー中に含まれる量が少ない方が好ましい。重合性官能基の含有量は、これらを考慮し、適宜設定できる。

0056

例えば、電荷輸送性ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、十分な溶解度の変化を得る観点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、重合性官能基数は、電荷輸送性を保つ観点から、1,000個以下が好ましく、500個以下がより好ましい。

0057

(数平均分子量)
電荷輸送性ポリマーの数平均分子量は、溶剤への溶解性成膜性等を考慮して適宜、調整できる。数平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましい。また、数平均分子量は、溶剤への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。

0058

重量平均分子量
電荷輸送性ポリマーの重量平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。重量平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、1,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、重量平均分子量は、溶剤への良好な溶解性を保ち、インク組成物の調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、700,000以下がより好ましく、400,000以下が更に好ましく、300,000以下が最も好ましい。

0059

数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレン検量線を用いて測定することができる。

0060

(構造単位の割合)
電荷輸送性ポリマーに含まれる構造単位Lの割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、全構造単位を基準として、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Lの割合は、構造単位T及び必要に応じて導入される構造単位Bを考慮すると、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下が更に好ましい。

0061

電荷輸送性ポリマーに含まれる構造単位Bの割合は、有機エレクトロニクス素子の特性向上の観点、又は、粘度の上昇を抑え、電荷輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点から、全構造単位を基準として、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Bの割合は、粘度の上昇を抑え、電荷輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点、又は、十分な電荷輸送性を得る観点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。

0062

電荷輸送性ポリマーに含まれる構造単位Tの割合は、有機エレクトロニクス素子の特性向上の観点、又は、粘度の上昇を抑え、電荷輸送性ポリマーの合成を良好に行う観点から、全構造単位を基準として、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Tの割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。

0063

電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を含む場合、重合性官能基の割合は、電荷輸送性ポリマーを効率よく硬化させるという観点から、全構造単位を基準として、0.1モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、3モル%以上が更に好ましい。また、重合性官能基の割合は、良好な電荷輸送性を得るという観点から、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。なお、ここでの「重合性官能基の割合」とは、重合性官能基を有する構造単位の割合をいう。

0064

電荷輸送性、耐久性、生産性等のバランスを考慮すると、構造単位L及び構造単位Tの割合(モル比)は、L:T=100:1〜70が好ましく、100:3〜50がより好ましく、100:5〜30が更に好ましい。また、電荷輸送性ポリマーが構造単位Bを含む場合、構造単位L、構造単位T、及び構造単位Bの割合(モル比)は、L:T:B=100:10〜200:10〜100が好ましく、100:20〜180:20〜90がより好ましく、100:40〜160:30〜80が更に好ましい。

0065

構造単位の割合は、電荷輸送性ポリマーの1HNMRスペクトルにおける各構造単位に由来するスペクトル積分値を利用し、平均値として算出することができる。

0066

(製造方法)
電荷輸送性ポリマーは、種々の合成方法により製造でき、特に限定されない。例えば、鈴木カップリング、根カップリング、薗頭カップリング、スティルカップリング、ブッフバルト・ハートウィッグカップリング等の公知のカップリング反応を用いることができる。鈴木カップリングは、芳香族ボロン酸誘導体芳香族ハロゲン化物の間で、Pd触媒を用いたクロスカップリング反応を起こさせるものである。鈴木カップリングによれば、所望とする芳香環同士を結合させることにより、電荷輸送性ポリマーを簡便に製造できる。

0067

カップリング反応では、触媒として、例えば、Pd(0)化合物、Pd(II)化合物、Ni化合物等が用いられる。また、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等を前駆体とし、ホスフィン配位子と混合することにより発生させた触媒種を用いることもできる。電荷輸送性ポリマーの合成方法については、例えば、国際公開第2010/140553号の記載を参照できる。

0068

[電荷輸送性ポリマーを含む組成物]
以上の電荷輸送性ポリマーは、通常、他の成分と混合して組成物の状態で用いられる。以下に、当該組成物に含まれる成分について説明する。なお、以下において、電荷輸送性ポリマーを含む組成物を、電荷輸送性材料とも呼ぶ。

0069

ドーパント
電荷輸送性材料は、任意の添加剤を含むことができ、例えばドーパントを更に含有してよい、ドーパントは、電荷輸送性材料に添加することでドーピング効果発現させ、電荷の輸送性を向上させ得るものであればよく、特に制限はない。ドーピングには、p型ドーピングとn型ドーピングがあり、p型ドーピングではドーパントとして電子受容体として働く物質が用いられ、n型ドーピングではドーパントとして電子供与体として働く物質が用いられる。正孔輸送性の向上にはp型ドーピング、電子輸送性の向上にはn型ドーピングを行うことが好ましい。電荷輸送性材料に用いられるドーパントは、p型ドーピング又はn型ドーピングのいずれの効果を発現させるドーパントであってもよい。また、1種のドーパントを単独で添加しても、複数種のドーパントを混合して添加してもよい。

0070

p型ドーピングに用いられるドーパントは、電子受容性の化合物であり、例えば、ルイス酸プロトン酸遷移金属化合物イオン化合物ハロゲン化合物、π共役系化合物等が挙げられる。具体的には、ルイス酸としては、FeCl3、PF5、AsF5、SbF5、BF5、BCl3、BBr3等;プロトン酸としては、HF、HCl、HBr、HNO5、H2SO4、HClO4等の無機酸、ベンゼンスルホン酸p−トルエンスルホン酸ドデシルベンゼンスルホン酸ポリビニルスルホン酸メタンスルホン酸トリフルオロメタンスルホン酸トリフルオロ酢酸、1−ブタンスルホン酸ビニルフェニルスルホン酸、カンファスルホン酸等の有機酸;遷移金属化合物としては、FeOCl、TiCl4、ZrCl4、HfCl4、NbF5、AlCl3、NbCl5、TaCl5、MoF5;イオン化合物としては、テトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸イオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニルメチドイオンビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオンヘキサフルオロアンチモン酸イオン、AsF6−(ヘキサフルオロ砒酸イオン)、BF4−(テトラフルオロホウ酸イオン)、PF6−(ヘキサフルオロリン酸イオン)等のパーフルオロアニオンを有する塩、アニオンとして前記プロトン酸の共役塩基を有する塩など;ハロゲン化合物としては、Cl2、Br2、I2、ICl、ICl3、IBr、IF等;π共役系化合物としては、TCNE(テトラシアノエチレン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)等が挙げられる。また、特開2000−36390号公報、特開2005−75948号公報、特開2003−213002号公報等に記載の電子受容性化合物を用いることも可能である。好ましくは、ルイス酸、イオン化合物、π共役系化合物等である。

0071

n型ドーピングに用いられるドーパントは、電子供与性の化合物であり、例えば、Li、Cs等のアルカリ金属;Mg、Ca等のアルカリ土類金属;LiF、Cs2CO3等のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩;金属錯体電子供与性有機化合物などが挙げられる。

0072

上記のような電荷輸送性ポリマーは重合性官能基を有するので、有機層の溶解度の変化を容易にするために、ドーパントとして重合性官能基に対する重合開始剤として作用し得る化合物を用いることが好ましい。

0073

(他の任意成分)
電荷輸送性材料は、電荷輸送性低分子化合物、他のポリマー等を更に含有してもよい。

0074

(含有量)
電荷輸送性材料中の電荷輸送性ポリマーの含有量は、良好な電荷輸送性を得る観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して50質量%以上であることが好しく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。電荷輸送性ポリマーの含有量の上限は特に限定されず、100質量%とすることも可能である。ドーパント等の添加剤を含むことを考慮し、電荷輸送性ポリマーの含有量を、例えば95質量%以下、90質量%以下、等としてもよい。

0075

ドーパントを含有する場合、その含有量は、電荷輸送性材料の電荷輸送性を向上させる観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、成膜性を良好に保つ観点から、電荷輸送性材料の全質量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。

0076

<インク組成物>
上記各成分を溶媒に溶解又は分散することによりインク組成物とすることができる。インク組成物を用いることによって、塗布法といった簡便な方法によって有機層を容易に形成することができる。インク組成物には、必要に応じて重合開始剤を含んでもよい。重合開始剤を含まないインク組成物を用いる際に、その下層の有機層が重合開始剤を含む場合には、上層のインク組成物を硬化させることができるため好ましい。

0077

[溶媒]
溶媒としては、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を使用できる。有機溶媒としては、メタノールエタノールイソプロピルアルコール等のアルコールペンタンヘキサンオクタン等のアルカンシクロヘキサン等の環状アルカン;ベンゼン、トルエン、キシレンメシチレンテトラリンジフェニルメタン等の芳香族炭化水素;エチレングリコールジメチルエーテルエチレングリコールジエチルエーテルプロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソールフェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル酢酸エチル酢酸n−ブチル乳酸エチル乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル酢酸フェニルプロピオン酸フェニル安息香酸メチル安息香酸エチル安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒ジメチルスルホキシドテトラヒドロフランアセトンクロロホルム塩化メチレンなどが挙げられる。好ましくは、芳香族炭化水素、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等である。

0078

[重合開始剤]
電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、インク組成物は重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤として、公知のラジカル重合開始剤カチオン重合開始剤アニオン重合開始剤等を使用できる。インク組成物を簡便に調製できる観点から、ドーパントとしての機能と重合開始剤としての機能とを兼ねる物質を用いることが好ましい。
そのような物質として、例えば、上記イオン化合物が挙げられる。

0079

[添加剤]
インク組成物は、更に、任意成分として添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、安定剤、増粘剤ゲル化剤難燃剤酸化防止剤還元防止剤酸化剤、還元剤表面改質剤乳化剤消泡剤分散剤界面活性剤等が挙げられる。

0080

[含有量]
インク組成物における溶媒の含有量は、種々の塗布方法へ適用することを考慮して定めることができる。例えば、溶媒の含有量は、溶媒に対し電荷輸送性ポリマーの割合が、0.1質量%以上となる量が好ましく、0.2質量%以上となる量がより好ましく、0.5質量%以上となる量が更に好ましい。また、溶媒の含有量は、溶媒に対し電荷輸送性ポリマーの割合が、20質量%以下となる量が好ましく、15質量%以下となる量がより好ましく、10質量%以下となる量が更に好ましい。

0081

インク組成物が重合開始剤を含む場合、重合開始剤の含有量は、特に限定されず、電荷輸送性ポリマー中に含まれる重合性官能基の種類と量に応じて、適宜定めることができる。例えば、重合開始剤の含有量は、電荷輸送性ポリマーに対し0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。

0082

<有機層>
本実施形態に係る有機層は、上記実施形態の電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された層である。インク組成物を用いることによって、塗布法により有機層を良好に形成できる。塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法キャスト法浸漬法凸版印刷凹版印刷オフセット印刷平版印刷凸版反転オフセット印刷スクリーン印刷グラビア印刷等の有版印刷法インクジェット法等の無版印刷法などの公知の方法が挙げられる。塗布後に得られた有機層(塗布層)は、ホットプレート又はオーブンを用いて乾燥させ、溶媒を除去する。

0083

電荷輸送性ポリマーが重合性官能基を有する場合、光照射加熱処理等により電荷輸送性ポリマーの重合反応を進行させ、有機層の溶解度を変化させることができる。溶解度を変化させた有機層を積層することで、有機エレクトロニクス素子の多層化を容易に図ることが可能となる。有機層の形成方法については、例えば、国際公開第2010/140553号の記載を参照できる。

0084

乾燥後又は硬化後の有機層の厚さは、電荷輸送の効率を向上させる観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは1nm以上であり、更に好ましくは3nm以上である。また、有機層の厚さは、電気抵抗を小さくする観点から、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは200nm以下であり、更に好ましくは100nm以下である。

0085

<有機エレクトロニクス素子>
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス素子は、前記本実施形態の有機層を少なくとも一層以上有する。有機エレクトロニクス素子として、例えば、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ等が挙げられる。有機エレクトロニクス素子は、好ましくは、少なくとも一対の電極の間に有機層が配置された構造を有する。

0086

<有機EL素子>
本発明の実施形態である有機EL素子は、少なくとも本実施形態の有機層を有する。有機EL素子は、通常、発光層、陽極陰極、及び基板を備えており、必要に応じて、正孔注入層、電子注入層正孔輸送層電子輸送層等の他の機能層を備えている。各層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。有機EL素子は、好ましくは、有機層を発光層又は他の機能層として有し、より好ましくは機能層として有し、更に好ましくは正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として有する。

0087

図1は、有機EL素子の一実施形態を示す断面模式図である。図1の有機EL素子は、多層構造の素子であり、基板8、陽極2、上記実施形態の有機層を含む正孔注入層3及び正孔輸送層6、発光層1、電子輸送層7、電子注入層5、並びに陰極4をこの順に有している。以下、各層について説明する。

0088

[正孔注入層、正孔輸送層]
図1では、正孔注入層3及び正孔輸送層6が、上記電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された有機層であるが、有機EL素子はこのような構造に限らず、他の有機層が上記電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された層であってもよい。正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一方が上記電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された有機層であることが好ましく、少なくとも正孔輸送層が上記有機層であることがさらに好ましい。例えば、有機EL素子が、上記電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された有機層を正孔輸送層として有し、さらに正孔注入層を有する場合、正孔注入層には公知の材料を使用できる。また、例えば、有機EL素子が、上記電荷輸送性材料又はインク組成物を用いて形成された有機層を正孔注入層として有し、さらに正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層には公知の材料を使用できる。

0089

[発光層]
発光層に用いる材料として、低分子化合物、ポリマー、デンドリマー等の発光材料を使用できる。ポリマーは、溶媒への溶解性が高く、塗布法に適しているため好ましい。発光材料としては、蛍光材料燐光材料熱活性化遅延蛍光材料(TADF)等が挙げられる。

0090

蛍光材料として、ペリレンクマリンルブレンキナクリドンスチルベン色素レーザー色素アルミニウム錯体、これらの誘導体等の低分子化合物;ポリフルオレンポリフェニレンポリフェニレンビニレンポリビニルカルバゾールフルオレンベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、これらの誘導体等のポリマー;これらの混合物等が挙げられる。

0091

燐光材料として、Ir、Pt等の金属を含む金属錯体などを使用できる。Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)(イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジネート−N,C2]ピコリネート)、緑色発光を行うIr(ppy)3(ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)、赤色発光を行う(btp)2Ir(acac)(ビス〔2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニルピリジナート−N,C3〕イリジウム(アセチルアセトネート))、Ir(piq)3(トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム)等が挙げられる。Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行うPtOEP(2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−フォフィンプラチナ)等が挙げられる。

0092

発光層が燐光材料を含む場合、燐光材料の他に、更にホスト材料を含むことが好ましい。ホスト材料としては、低分子化合物、ポリマー、又はデンドリマーを使用できる。低分子化合物としては、例えば、CBP(4,4’−ビス(9H−カルバゾール−9−イルビフェニル)、mCP(1,3−ビス(9−カルバゾリル)ベンゼン)、CDBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル)、これらの誘導体等が、ポリマーとしては、上記実施形態の電荷輸送性材料、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレン、これらの誘導体等が挙げられる。

0093

熱活性化遅延蛍光材料としては、例えば、Adv. Mater., 21, 4802-4906 (2009);Appl.Phys. Lett., 98, 083302 (2011);Chem. Comm., 48, 9580 (2012);Appl. Phys. Lett., 101, 093306 (2012);J. Am. Chem. Soc., 134, 14706 (2012);Chem. Comm., 48, 11392 (2012);Nature, 492, 234 (2012);Adv. Mater., 25, 3319 (2013);J. Phys. Chem. A, 117,5607 (2013);Phys. Chem. Chem. Phys., 15, 15850 (2013);Chem. Comm., 49, 10385 (2013);Chem. Lett., 43, 319 (2014)等に記載の化合物が挙げられる。

0094

[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層及び電子注入層に用いる材料としては、例えば、フェナントロリン誘導体ビピリジン誘導体ニトロ置換フルオレン誘導体ジフェニルキノン誘導体チオピランジオキシド誘導体ナフタレン、ペリレンなどの縮合環テトラカルボン酸無水物カルボジイミドフルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体チアジアゾール誘導体ベンゾイミダゾール誘導体キノキサリン誘導体、アルミニウム錯体等が挙げられる。また、上記実施形態の電荷輸送性材料も使用できる。

0095

[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金が用いられる。

0096

[陽極]
陽極材料としては、例えば、金属(例えば、Au)又は導電性を有する他の材料が用いられる。他の材料として、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))が挙げられる。

0097

[基板]
基板として、ガラスプラスチック等を使用できる。基板は、透明であることが好ましく、また、フレキシブル性を有することが好ましい。石英ガラス光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。

0099

樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素窒化珪素等の無機物コーティングして用いてもよい。

0100

発光色]
有機EL素子の発光色は特に限定されるものではない。白色の有機EL素子は、家庭用照明、車内照明、時計又は液晶バックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。

0101

白色の有機EL素子を形成する方法としては、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させる方法を用いることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、青色、緑色及び赤色の3つの発光極大波長を含有する組み合わせ、青色と黄色、黄緑色と橙色等の2つの発光極大波長を含有する組み合わせが挙げられる。発光色の制御は、発光材料の種類と量の調整により行うことができる。

0102

表示素子照明装置表示装置
本実施形態である表示素子は、上記実施形態の有機EL素子を備えている。例えば、赤、緑及び青(RGB)の各画素に対応する素子として、有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。画像の形成方法には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。

0103

また、本実施形態である照明装置は、本実施形態の有機EL素子を備えている。さらに、本実施形態である表示装置は、照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えている。例えば、表示装置は、バックライトとして本発明の実施形態である照明装置を用い、表示手段として公知の液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置とできる。

0104

以下、実施例により本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。

0105

<Pd触媒の調製>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、室温下、サンプル管にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(73.2mg、80μmol)を取り、アニソール(15ml)を加え、30分間攪拌した。同様に、サンプル管にトリス(t−ブチルホスフィン(129.6mg、640μmol)を秤取り、アニソール(5ml)を加え、5分間攪拌した。これらの溶液を混合し、室温で30分間攪拌して、触媒とした。

0106

<電荷輸送性ポリマー1〜6の合成>
[合成例1:電荷輸送性ポリマー1の合成]
口丸底フラスコに、下記モノマー1(3.0mmol)、下記モノマー2(2.0mmol)、下記モノマー3(2.0mmol)、下記モノマー4(2.0mmol)、下記モノマー5(2.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、更に調製した上記Pd触媒溶液(7.5mL)を加えた。30分撹拌した後、10%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(20mL)を加えた。全ての溶媒は30分以上、窒素バブルにより脱気した後、使用した。この混合物を2時間、加熱還流した。ここまでの全ての操作は窒素気流下で行った。

0107

0108

反応終了後、有機層を水洗した。次いで、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿吸引ろ過し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。洗浄後の沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過した後、トルエンに溶解し、金属吸着剤(Triphenylphosphine, polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer(Strem Chemicals社)、沈殿物に対して200mg)を加えて、一晩撹拌した。撹拌終了後、金属吸着剤と不溶物をろ過によって取り除き、濾液ロータリーエバポレーター濃縮した。濃縮液をトルエンに溶解した後、メタノール−アセトン(8:3)から再沈殿した。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−アセトン(8:3)で洗浄した。得られた沈殿を真空乾燥し、電荷輸送性ポリマー1を得た。

0109

得られた電荷輸送性ポリマー1の数平均分子量は9,200、重量平均分子量は51,300であった。数平均分子量及び重量平均分子量は、溶離液にテトラヒドロフラン(THF)を用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定した。測定条件は以下のとおりである。

0110

液ポンプ:L−6050 株式会社日立ハイテクノロジー
UV−Vis検出器:L−3000 株式会社日立ハイテクノロジーズ
検出波長:254nm
カラム:Gelpack(登録商標) GL−A160S/GL−A150S 日立化成株式会社
溶離液:THF(HPLC用、安定剤を含まない)和光純薬工業株式会社
流速:1mL/min
カラム温度:室温(25℃)
分子量標準物質:標準ポリスチレン(PStQuick B/C/D) 東ソー株式会社

0111

[合成例2:電荷輸送性ポリマー2の合成]
三口丸底フラスコに、下記モノマー6(5.0mmol)、上記モノマー3(2.0mmol)、上記モノマー4(2.0mmol)、上記モノマー5(2.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、さらに別途調製したPd触媒の溶液(7.5mL)を加え、攪拌した。以降は、合成例1に記載の方法と同様にして、電荷輸送性ポリマー2を合成した。
得られた電荷輸送性ポリマー2の数平均分子量は14,300であり、重量平均分子量は138,000であった。

0112

0113

[合成例3:電荷輸送性ポリマー3の合成]
三口丸底フラスコに、上記モノマー6(5.0mmol)、上記モノマー3(2.0mmol)、上記モノマー5(4.0mmol)、及びアニソール(20mL)を加え、さらに別途調製したPd触媒の溶液(7.5mL)を加え、攪拌した。以降は、調製例1に記載の方法と同様にして、電荷輸送性ポリマー3を合成した。
得られた電荷輸送性ポリマー2の数平均分子量は22,900であり、重量平均分子量は169,000であった。

0114

<インク組成物の調製>
[インク組成物1]
電荷輸送性ポリマー1(7.0mg)、下記重合開始剤(0.07mg)、及びトルエン(2.3mL)を含有するインク組成物1を調製した。

0115

0116

[インク組成物2]
電荷輸送性ポリマー1を電荷輸送性ポリマー2に変更した以外は、インク組成物1と同様にして、インク組成物2を調製した。

0117

[インク組成物3]
電荷輸送性ポリマー1を電荷輸送性ポリマー3に変更した以外は、インク組成物1と同様にして、インク組成物3を調製した。

0118

<有機層の作製>
[有機層P1]
インク組成物1を、ITO付き基板に3,000rpmでスピンコートした後、ホットプレート上で170℃、30分間加熱して重合反応を行い、有機層P1(20nm)を作製した。

0119

[有機層P2]
有機層P1の加熱温度を190℃に変更した以外は有機層P1と同様にして、有機層P2を作製した。

0120

[有機層P3]
有機層P1の加熱温度を210℃に変更した以外は有機層P1と同様にして、有機層P3を作製した。

0121

[有機層P4]
有機層P1の加熱温度を230℃に変更した以外は有機層P1と同様にして、有機層P4を作製した。

0122

[有機層P5]
インク組成物2を、ITO付き基板に3,000rpmでスピンコートした後、ホットプレート上で190℃、30分間加熱して重合反応を行い、有機層P5(20nm)を作製した。

0123

[有機層P6]
有機層P5の加熱温度を210℃に変更した以外は有機層P5と同様にして、有機層P6を作製した。

0124

[有機層P7]
有機層P5の加熱温度を220℃に変更した以外は有機層P5と同様にして、有機層P7を作製した。

0125

[有機層P8]
有機層P5の加熱温度を230℃に変更した以外は有機層P5と同様にして、有機層P8を作製した。

0126

[有機層P9]
有機層P5の加熱温度を250℃に変更した以外は有機層P5と同様にして、有機層P9を作製した。

0127

<残膜率の測定>
電荷輸送性ポリマー薄膜を形成した基板をトルエンに1分間浸漬し、洗浄した。洗浄前後のUV−visスペクトルにおける吸収極大(λmax)の吸光度(Abs)の比を残膜率(%)とした。
残膜率(%)=洗浄後Abs/洗浄前Abs×100 ・・・式(3)

0128

<表面積率の測定>
走査型プローブ顕微鏡(ヤマト科学株式会社、SPA400)を用い、有機層P2〜P4、及びP6〜P9の表面積率を測定した。走査面積は500nm2、走査速度は500nm/sとした。各有機層につき3箇所測定し、その平均を有機層の表面積率とした。

0129

測定した有機層P1〜P9の残膜率及び表面積率を下記表1に示す。

0130

0131

有機層P1及びP5は残膜率が95%未満だった。残膜率が95%以上であった有機層P2〜P4、P6〜P9で表面積率の比を算出したところ、表2のようになった。

0132

0133

インク組成物1から作製したP2〜P4を比べる。これらの加熱温度はT2<T3<T4である。表面積率の比は、S3/S2=99.82、S3/S4=99.75であり、99.95より小さかった。よって、P3は本実施形態に係る有機層である。
インク組成物2から作製したP6、P7、P9を比べる。これらの加熱温度はT6<T7<T9である。表面積率の比は、S7/S6=98.93、S7/S9=99.58であり、99.95よりも小さかった。よって、P7は本実施形態に係る有機層である。
同様にP6、P8、P9を比べる。これらの加熱温度はT6<T8<T9である。表面積率の比は、S8/S6=98.89、S8/S9=99.54であり、99.95よりも小さかった。よって、P8は本実施形態に係る有機層である。

0134

<有機EL素子の作製>
(実施例1)
窒素雰囲気下で、ITOを1.6mm幅パターニングしたガラス基板上に、インク組成物1を、3000rpmでスピンコートした後、ホットプレート上で210℃、30分間加熱して硬化させ、正孔注入層(20nm)を形成した。

0135

次に、上記操作で得た正孔注入層の上に、インク組成物3を、3000rpmでスピンコートした後、ホットプレート上で180℃、10分間加熱して乾燥させ、正孔輸送層(40nm)を形成した。

0136

上記で得た基板を、真空蒸着機中に移し、上記正孔輸送層上にCBP:Ir(ppy)3(94:6、30nm)、BAlq(10nm)、Alq3(30nm)、LiF(0.8nm)、Al(100nm)の順に蒸着法で成膜し、封止処理を行って有機EL素子を作製した。

0137

(実施例2)
窒素雰囲気下で、ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、インク組成物2を、3000rpmでスピンコートした後、ホットプレート上で220℃、30分間加熱して硬化させ、正孔注入層(20nm)を形成した。
以降は実施例1に記載の方法と同様にして、有機EL素子を作製した。

0138

(実施例3)
正孔注入層の加熱温度を230℃に変更した以外は実施例2と同様にして、有機EL素子を作製した。

0139

(比較例1)
正孔注入層の加熱温度を190℃に変更した以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。

0140

(比較例2)
正孔注入層の加熱温度を230℃に変更した以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。

0141

(比較例3)
正孔注入層の加熱温度を210℃に変更した以外は実施例2と同様にして、有機EL素子を作製した。

0142

(比較例4)
正孔注入層の加熱温度を250℃に変更した以外は実施例2と同様にして、有機EL素子を作製した。

0143

<有機EL素子の評価>
実施例1〜3及び比較例1〜4で得た有機EL素子に電圧印加したところ、いずれも緑色発光が確認された。それぞれの素子について、発光輝度1000cd/m2時の駆動電圧及び発光効率、初期輝度3000cd/m2における発光寿命輝度半減時間)を測定した。測定結果を表3に示す。

0144

0145

表3に示したとおり、実施例1〜3の有機EL素子は、比較例1〜4よりも、駆動電圧が低く、また発光効率に優れ、長い発光寿命を示した。すなわち、正孔注入層の構成材料の観点からすれば、本実施形態の電荷輸送性ポリマー薄膜を使用することによって、駆動電圧の低減及び発光寿命の向上といった効果が得られることが分かる。

実施例

0146

以上、実施例を用いて本実施形態の効果を示した。実施例において使用した電荷輸送性ポリマー以外にも、上記で説明した表面積率となる電荷輸送性ポリマー薄膜を用いると、駆動電圧の低い有機EL素子を得ることが可能であり、同様に優れた効果を示すものである。

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