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技術 車両用パッシブエントリー装置および車両用パッシブエントリー装置における測距方法

出願人 株式会社デンソー
発明者 前原宏明服部貴幸吉田達仁
出願日 2018年9月11日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-169861
公開日 2020年3月19日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-041923
状態 未査定
技術分野 錠;そのための付属具 無線による位置決定 送受信機 レーダ方式及びその細部 車両用盗難防止
主要キーワード ディジタルバンド キーアクチュエータ 各正弦波 パッシブエントリーシステム ディスクリート回路 解析信号 パッシブエントリ アンテナフィルタ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

サンプリングレートを上げることなく、高い精度で距離測定を実現すること。

解決手段

車両50に用いられるパッシブエントリー装置10が提供される。パッシブエントリー装置10は、送信データ信号により変調された第1の周波数帯域送信信号を出力する送信部13と、送信信号に同期してキー装置から出力される第2の周波数帯域の信号を受信信号として受信する受信部14と、送信データ信号と受信信号を復調して得られる受信データ信号とを正弦波信号に整形し、正弦波信号に整形された送信データ信号と受信データ信号とを用いて第1の解析信号と第2の解析信号をそれぞれ生成し、第1の解析信号と第2の解析信号とを用いて位相差を算出して、キー装置と車両との間の距離を測定する制御部12とを備える。

概要

背景

車両に搭載されているパッシブエントリー装置においては、パッシブエントリー装置から送信された送信信号キー装置から受信した受信信号との間の遅延時間を用いて車両とキー装置との間の距離が測定されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。

概要

サンプリングレートを上げることなく、高い精度で距離測定を実現すること。車両50に用いられるパッシブエントリー装置10が提供される。パッシブエントリー装置10は、送信データ信号により変調された第1の周波数帯域の送信信号を出力する送信部13と、送信信号に同期してキー装置から出力される第2の周波数帯域の信号を受信信号として受信する受信部14と、送信データ信号と受信信号を復調して得られる受信データ信号とを正弦波信号に整形し、正弦波信号に整形された送信データ信号と受信データ信号とを用いて第1の解析信号と第2の解析信号をそれぞれ生成し、第1の解析信号と第2の解析信号とを用いて位相差を算出して、キー装置と車両との間の距離を測定する制御部12とを備える。

目的

したがって、サンプリングレートを上げることなく、高い精度で距離測定を実現することが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

車両(50)に用いられるパッシブエントリー装置(10)であって、送信データ信号により変調された第1の周波数帯域送信信号を出力する送信部(13)と、前記送信信号に同期してキー装置(20)から出力される第2の周波数帯域の信号を受信信号として受信する受信部(14)と、前記送信データ信号と前記受信信号を復調して得られる受信データ信号とを正弦波信号に整形し、正弦波信号に整形された前記送信データ信号と前記受信データ信号とを用いて第1の解析信号と第2の解析信号をそれぞれ生成し、前記第1の解析信号と前記第2の解析信号とを用いて位相差を算出して、前記キー装置と前記車両との間の距離を測定する制御部(12)と、を備える車両に用いられるパッシブエントリー装置。

請求項2

請求項1記載の車両に用いられるパッシブエントリー装置において、前記制御部は、前記第1の解析信号と前記第2の解析信号とを用いて相関行列の累積期待値を前記位相差として算出する、車両に用いられるパッシブエントリー装置。

請求項3

請求項1または2に記載の車両に用いられるパッシブエントリー装置において、前記第1および第2の解析信号は、直交復調によって生成される、車両に用いられるパッシブエントリー装置。

請求項4

請求項3に記載の車両に用いられるパッシブエントリー装置において、前記直交復調における局発信号には矩形波信号が用いられる、車両に用いられるパッシブエントリー装置。

請求項5

請求項3または4に記載の車両に用いられるパッシブエントリー装置において、前記直交復調における局発信号の周波数は、前記送信データ信号の周波数と同一である、車両に用いられるパッシブエントリー装置。

請求項6

請求項5に記載の車両に用いられるパッシブエントリー装置において、前記送信データ信号の生成、前記局発信号の生成および前記受信データ信号のデジタルサンプリングには同一のクロック源が用いられる、車両に用いられるパッシブエントリー装置。

請求項7

車両(50)に用いられるパッシブエントリーシステム(100)であって、請求項1から6のいずれか一項に記載のパッシブエントリー装置(10)と、前記キー装置(20)とを備え、前記キー装置は、前記パッシブエントリー装置から受信した前記送信信号を前記第2の周波数帯域の信号として出力する、パッシブエントリーシステム。

請求項8

車両に用いられるパッシブエントリー装置における測距方法であって、送信データ信号により変調された第1の周波数帯域の送信信号を出力し、前記送信信号に同期してキー装置から出力される第2の周波数帯域の信号を受信信号として受信し、前記送信データ信号と前記受信信号を復調して得られる受信データ信号とを正弦波信号に整形し、正弦波信号に整形された前記送信データ信号と前記受信データ信号とを用いて第1の解析信号と第2の解析信号をそれぞれ生成し、前記第1の解析信号と前記第2の解析信号とを用いて位相差を算出して前記キー装置と前記車両との間の距離を測定する、ことを備える、車両に用いられるパッシブエントリー装置における測距方法。

技術分野

0001

本開示は車両に用いられるパッシブエントリー装置およびパッシブエントリー装置における測距方法に関する。

背景技術

0002

車両に搭載されているパッシブエントリー装置においては、パッシブエントリー装置から送信された送信信号キー装置から受信した受信信号との間の遅延時間を用いて車両とキー装置との間の距離が測定されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。

0003

特開2006−121226号公報
特開2017−220692号公報

先行技術

0004

しかしながら、上記技術においては、送信信号の送信タイミングから受信信号の受信タイミングまでの遅延時間はタイマーを用いて計測されている。タイマーを用いて遅延時間を計測する場合、送信タイミングおよび受信タイミングに対する計測開始および計測終了の精度は低く、距離の測定精度が低いという問題がある。タイマーを用いて所望の測定精度を実現するためには高速サンプリングレートが求められるという問題がある。

発明が解決しようとする課題

0005

したがって、サンプリングレートを上げることなく、高い精度で距離測定を実現することが望まれている。

課題を解決するための手段

0006

本開示は、以下の態様として実現することが可能である。

0007

第1の態様は、車両に用いられるパッシブエントリー装置を提供する。第1の態様に係る車両に用いられるパッシブエントリー装置は、送信データ信号により変調された第1の周波数帯域の送信信号を出力する送信部と、前記送信信号に同期してキー装置から出力される第2の周波数帯域の信号を受信信号として受信する受信部と、前記送信データ信号と前記受信信号を復調して得られる受信データ信号とを正弦波信号に整形し、正弦波信号に整形された前記送信データ信号と前記受信データ信号とを用いて第1の解析信号と第2の解析信号をそれぞれ生成し、前記第1の解析信号と前記第2の解析信号とを用いて位相差を算出して、前記キー装置と前記車両との間の距離を測定する制御部と、を備える。

0008

第1の態様に係る車両に用いられるパッシブエントリー装置によれば、サンプリングレートを上げることなく、高い精度で距離測定を実現することができる。

0009

第2の態様は、車両に用いられるパッシブエントリー装置における測距方法を提供する。第2の態様に係る車両に用いられるパッシブエントリー装置における測距方法は、送信データ信号により変調された第1の周波数帯域の送信信号を出力し、前記第1の信号に同期してキー装置から送信される第2の周波数帯域の信号を受信信号として受信し、前記送信データ信号と前記受信信号を復調して得られる受信データ信号とを正弦波信号に整形し、正弦波信号に整形された前記送信データ信号と前記受信データ信号とを用いて第1の解析信号と第2の解析信号をそれぞれ生成し、前記第1の解析信号と前記第2の解析信号とを用いて位相差を算出して前記キー装置と前記車両との間の距離を測定する、ことを備える。

0010

第2の態様に係る車両に用いられるパッシブエントリー装置における測距方法によれば、サンプリングレートを上げることなく、高い精度で距離測定を実現することができる。なお、本開示は、車両に用いられるパッシブエントリー装置における測距プログラムまたは当該プログラムを記録するコンピュータ読み取り能記媒体としても実現可能である。

図面の簡単な説明

0011

第1の実施形態に係るパッシブエントリー装置が搭載された車両の一例を示す説明図。
第1の実施形態に係るパッシブエントリー装置の機能的構成を示すブロック図。
第1の実施形態におけるキー装置の機能的構成を示すブロック図。
第1の実施形態における各信号波形を模式的に示す説明図。
第1の実施形態におけるパッシブエントリー装置によって実行される測距処理処理フローを示すフローチャート
第2の実施形態におけるキー装置の機能的構成を示すブロック図。

実施例

0012

本開示に係る車両に用いられるパッシブエントリー装置および車両に用いられるパッシブエントリー装置における測距方法について、いくつかの実施形態に基づいて以下説明する。

0013

第1の実施形態:
図1に示すように、第1の実施形態に係るパッシブエントリー装置10は、車両50に搭載されて用いられる。パッシブエントリー装置10は、パッシブエントリー用の車載装置であり、キー装置20とパッシブエントリーシステム100を構成する。パッシブエントリー装置10は、車両50の車両制御装置40と通信可能に接続されている。パッシブエントリー装置10は、車両50、すなわち、パッシブエントリー装置10とキー装置20との間の距離を測定する。パッシブエントリー装置10は、さらに、ウェルカム処理やウォークアウェイ処理、例えば、測定により得られた距離や距離の時間変化に応じた解錠施錠、車内照明および車外照明の点灯、点滅または消灯を制御するための制御信号を生成し、車両制御装置40に送信しても良く、あるいは、直接、キーアクチュエータ照明制御部に送信しても良い。あるいは、パッシブエントリー装置10は、測定した距離を車両制御装置40に送信するだけでも良い。

0014

図2に示すように、第1の実施形態に係るパッシブエントリー装置10は、パッシブエントリー装置10における主マイクロコントローラであるメインMCU11と、距離測定用マイクロコントローラである測距MCU12と、第1の周波数帯域の送信信号である長波(Low Frequency)帯の無線信号を送信する送信部としてのLF送信器13と、第2の周波数帯域の受信信号である極超短波(Ultra High Frequency)帯の無線信号を受信する受信部としてのUHF受信器14とを備えている。メインMCU11は、測距MCU12、LF送信器13およびUHF受信器14と信号線を介して接続されている。メインMCU11はさらに、車両制御装置40と通信線を介して接続され。例えば、CAN(Car Area Network)LIN(Local Interconnect Network)、イーサネット登録商標)といった通信プロトコルを用いて通信が実現される。なお、LFに代えて、VLF(Very Low Frequency)が用いられても良い。

0015

メインMCU11は、CPU、メモリおよび入出力インタフェースを備えている1チップのマイクロコントローラである。メモリには各種送信データ信号を生成するためのプログラムが格納されている。CPUは実行対象となるプログラムをメモリ上に展開して送信データ信号を生成する。生成された送信データ信号は入出力インタフェースを介して第1信号Sg1としてLF送信器13に入力される。本実施形態においては、予め定められたビットレートにて、矩形波で表される測距のための送信データ信号が生成される。メインMCU11には、UHF受信器14から出力される第8信号Sg8が受信データ信号として入力される。第1信号Sg1および第8信号Sg8は、測距MCU12に対しても入力される。

0016

測距MCU12は、CPU、メモリおよび入出力インタフェースを備えている1チップのマイクロコントローラである。メモリには第1信号Sg1および第8信号Sg8を用いて距離を測定するための測距プログラムが格納されている。CPUは測距プログラムをメモリ上に展開して第1信号Sg1と第8信号Sg8との位相差を算出して距離を測定する。測距MCU12において、測定された距離は、メインMCU11に入力される。測距MCU12は、送信データ信号と受信データ信号とを用いて第1の解析信号と第2の解析信号をそれぞれ生成し、第1の解析信号と第2の解析信号とを用いて位相差を算出して、キー装置20と車両50との間の距離を測定する制御部として機能する。

0017

LF送信器13は、送信データ信号を用いて搬送波であるLFに対して振幅変調を行い、第2信号Sg2としてアンテナ13aを介して無線出力する。LF送信器13から送信される無線信号は、第1の周波数帯域の送信信号に該当する。なお、変調の用語は、広義には、送信のために送信データ信号を搬送波に重畳させること、すなわち、搬送波を用いて送信データ信号を変化させることを意味し得る。

0018

UHF受信器14は、アンテナ14aを介してキー装置20から第7信号Sg7を受信し、周波数復調を行って受信データ信号を得て、第8信号Sg8として出力する。後述するように、キー装置20においては、搬送波であるUHFに対して周波数変調が行われる。UHF受信器14によって受信される無線信号は、第2の周波数帯域の受信信号に該当する。

0019

図3に示すように、第1の実施形態におけるキー装置20は、マイクロコントローラであるMCU21と、第1の周波数帯域の第1の信号であるLF帯の無線信号を受信するLF受信器22と、第2の周波数帯域の第2の信号であるUHF帯の無線信号を送信するUHF送信器23とを備えている。MCU21は、LF受信器22およびUHF送信器23と信号線を介して接続されている。

0020

MCU21は、CPU、メモリおよび入出力インタフェースを備えている1チップのマイクロコントローラである。MCU21には、パッシブエントリー装置10からの第1の信号、すなわち、第2信号Sg2の受信を受けてLF受信器22から出力される第4信号Sg4が入力される。MCU21のメモリには、パッシブエントリー装置10において生成される矩形波で表される測距のための送信データ信号と同一の送信データ信号を生成し、送信信号と同期して出力するためのプログラムが格納されている。CPUは実行対象となるプログラムをメモリ上に展開して、送信データ信号を生成する。生成された送信データ信号は、入出力インタフェースを介して第5信号Sg5としてUHF送信器23に入力される。

0021

LF受信器22は、アンテナ22aを介してパッシブエントリー装置10から送信信号、すなわち、第3信号Sg3を受信する。LF受信器22は、第3信号Sg3に対して振幅復調を行い、受信データ信号を抽出し、割込要求(IRQ)と共に、第4信号Sg4としてMCU21に対して出力する。

0022

UHF送信器23は、MCU21によって生成された送信データ信号を用いて搬送波であるUHFに対して周波数変調を行い、第6信号Sg6としてアンテナ23aを介して無線出力する。UHF送信器23から送信される無線信号は、第2の周波数帯域の受信信号に該当し、送信信号と同期して出力される。

0023

第1信号Sg1〜第8信号Sg8は、例えば、図4に示す信号波形を有している。図4にいて横軸は時間(ns)、縦軸は各信号の振幅を示している。なお、各送信器13、23から出力される変調信号は、各送信データ信号によって搬送波が変調されることによって得られるが、以下では、説明を簡単にするために、単に対象信号の変調という表現を用いる。同様に、各受信器14、22から出力される受信データ信号は、受信信号が復調されることによって得られるが、以下では、説明を簡単にするために、単に対象信号の復調という表現を用いる。さらに、第2信号Sg2および第3信号Sg3においては波形を省略して概略ブロックとして示し、第6信号Sg6および第7信号Sg7においては波形の粗密斜線密度によって代替的に示している。

0024

第1信号Sg1は、測距のためにパッシブエントリー装置10のメインMCU11によって生成された矩形波の送信データ信号である。LF送信器13において、第1信号Sg1は振幅変調され、第2信号Sg2としてアンテナ13aから出力される。キー装置20において、LF受信器22によって受信された第3信号Sg3は、第1信号Sg1に対して遅延時間を有している。第3信号Sg3はLF受信器22によって復調され、第4信号Sg4として矩形波の受信データ信号が得られる。第4信号Sg4は、第1信号Sg1に対して第1遅延時間DL1を有している。第1遅延時間DL1は、伝播時間およびアンテナフィルタ効果に起因する復調遅延時間によりもたらされる。

0025

キー装置20のMCU21は、第4信号Sg4を受信すると、第4信号Sg4に同期して返信用の矩形波の送信データ信号を生成して第5信号Sg5としてUHF送信器23に出力する。第5信号Sg5は第4信号Sg4に対して第2遅延時間DL2を有している。第2遅延時間DL2は、キー装置処理時間、すなわち、MCU12における信号処理に要する時間によりもたらされる。UHF送信器23において、第5信号Sg5は周波数変調され、第6信号Sg6としてアンテナ23aから出力される。パッシブエントリー装置10において、UHF受信器14によって受信された第7信号Sg7は、第6信号Sg6に対して第3遅延時間DL3を有している。第3遅延時間DL3は、伝播時間によりもたらされる。

0026

UHF受信器14は、例えば、16MS/sのサンプリングレートでサンプリングを行って第7信号Sg7を復調し、第8信号Sg8として矩形波の受信データ信号が得られる。第1信号Sg1および第8信号Sg8は、測距MCU12に入力され、測距MCU12は、第1信号Sg1に対する第8信号Sg8の第4遅延時間DL4を計測することができる。アンテナフィルタ効果による復調遅延およびキー装置処理時間は、ほぼ一定であり、予め計測することが可能である。したがって、これらの要素に起因する遅延時間を第4遅延時間DL4から差し引くことによって、パッシブエントリー装置10からキー装置20への伝播時間とキー装置20からパッシブエントリー装置10への伝播時間の合計時間を得ることができる。

0027

測距MCU12において実行される測距処理について図5を用いて説明する。図5に示すフローチャートは、車両50におけるメインスイッチのオンオフにかかわらず予め定められた時間間隔で繰り返し実行されても良く、車両50におけるメインスイッチがオフである場合に予め定められた時間間隔で繰り返し実行されても良い。すなわち、車両50とキー装置20との距離を要する条件下において予め定められた時間間隔で繰り返し実行され得る。

0028

測距MCU12は、送信データ信号と受信データ信号とを取得する(ステップS100)。受信データ信号は、メインMCU11によって生成された測距のための送信データ信号であり、受信データ信号はキー装置20から受信した受信信号を復調することによって得られた受信データ信号である。送信データ信号と受信データ信号とは、測距に用いられるデータ信号であり、位相相違を除いて同一の矩形波信号である。測距MCU12は、送信データ信号および受信データ信号に対して、これら信号の信号周期に応じたディジタルバンドパスフィルタ処理を実行し(ステップS102)、正弦波信号を得る。測距MCU12は、得られた各正弦波信号に対して解析信号生成処理を実行する(ステップS104)。本実施形態においては、解析信号の生成は、変調処理前の送信データ信号である第1信号Sg1と復調処理後の受信データ信号である第8信号Sg8のそれぞれに対して直交復調処理を実行することによって実現される。直交復調処理は、以下の演算処理によって実行される。

0029

ステップS102にて得られた2つの正弦波信号xS1(t)、xS2(t)を以下の2つの式(1)の通り定義する。



ここで、τ1、τ2は各正弦波信号の遅延時間であり、τ2−τ1が2つの正弦波信号の時間差となる。ωsは各正弦波信号を整形する際の信号周期を周波数で表した角周波数であり、送信データ信号の信号周期を周波数で表した角周波数と一致されている。θ0は初期位相である。このとき、ωs(τ2−τ1)が2つの正弦波信号の位相差となる。局発信号を用いてxS1(t)を直交復調すると、以下の2つの式(2)が得られる。

0030

ここで、ωLは局発信号の角周波数であり、xS1ib(t)は実数部を示し、xS1qb(t)は虚数部を示す。2つの式(2)に対して、ハイパスフィルタまたは高周波側の周波数を中心周波数とするバンドパスフィルタを適用した後に、積和公式を適用して、以下の2つの式(3)が得られる。なお、一般的には、直交復調においてはローパスフィルタを用いて低周波側信号から解析信号を生成するが、本実施形態における対象信号の信号周期はサンプリング周期に対して相当に低速なので、ハイパスフィルタまたは高周波側の周波数を中心周波数とするバンドパスフィルタの方がフィルタの構成上都合が良い。

0031

0032

得られた2つの式(3)をオイラーの公式で纏めると、第1の解析信号を表す式として、以下の式(4)が得られる。xS2(t)についても同様に直交復調すると第2の解析信号を表す式として、以下の式(5)が得られる。この結果、送信データ信号および受信データ信号に対応する第1および第2の解析信号がそれぞれ生成される。

0033

測距MCU12は、得られた解析信号を用いて相関行列積算処理を実行する(ステップS106)。ここで、各解析信号を用いて行列式X(t)を以下の式(6)の通り定義する。

0034

相関行列Rxxは、以下の式(7)として定義され、行列式X(t)を代入すると、式(8)が得られる。なお、E[・]は期待値を求める操作を示し、通常は時間平均にて得られる。

0035

0036

式(4)、(5)を式(8)に代入すると以下の式(9)が得られ、式(9)の1行2列成分に送信データ信号と受信データ信号に対応する2つの正弦波信号の位相差が得られる。τ21=τ2−τ1とすると、式(8)の1行2列成分から、以下の式(10)が得られる。

0037

0038

式(10)からcos−1またはsin−1によってτ21を算出することは可能であるが、Rxxの期待値を求める際に、時間平均値でなく累積値としたいので、以下の式(11)を用いてtan−1でτ21を求める。

0039

0040

測距MCU12は、式(12)を用いて送信データ信号と受信データ信号に対応する2つの正弦波信号の時間差または遅延時間を求め(ステップS108)、位相差から車両50とキー装置20との距離を算出して(ステップS110)、本処理ルーチンを終了する。距離の算出に際しては、信号速度を光速として既知の手法により距離が算出される。

0041

以上説明した第1の実施形態に係るパッシブエントリー装置10によれば、正弦波信号に整形された送信データ信号と受信データ信号とを用いて解析信号を生成し、解析信号を用いて位相差を算出するので、サンプリングレートを上げることなく、高い精度で距離測定を実現することができる。すなわち、第1の実施形態に係るパッシブエントリー装置10では、矩形波信号である送信データ信号および受信データ信号を正弦波信号に整形して解析信号を生成し、解析信号を用いた演算によって信号の位相差、すなわち時間差を直接算出することが可能となり、送信信号の送信タイミングと受信信号の受信タイミングをタイマーやカウンターで計測することなく遅延時間を算出できる。したがって、送信タイミングまたは受信タイミングを高い計測精度で検出することなく、距離を測定するための位相差を精度良く得ることができる。例えば、タイマーによって遅延時間を測定する際には、サンプリングレートは30MS/sでも分解能は5mに過ぎず、実用に際しては3m以上の分解能、すなわち、50MS/s以上のサンプリングレートが要求される。これに対して、第1の実施形態に係るパッシブエントリー装置10では、以下の通り、16MS/sでも十分な測定精度を得ることができる。

0042

第1の実施形態に係るパッシブエントリー装置10では、相関行列の積算値を用いて位相差を算出しているので、所望のサンプリング時間が確保され繰り返し計測を実行できれば、サンプリングレートが低くても高い精度を確保することができる。なお、これに限定されることなく、相関行列の平均値を用いて位相差が算出されても良いことは言うまでもない。

0043

第1の実施形態に係るパッシブエントリー装置10を用い、サンプリングレート16MS/s、サンプリング時間9ms、データスピード350us/chipの条件の下、0〜10mで10cm間隔の101点について距離計測シミュレーションを行った。結果として、各距離に対して、10回の試行、すなわち、90ms+αの時間で、±3m程度のずれに収まる精度を確保できることが確認された。約90msの時間は、パッシブエントリーシステムにおいて実行される各種処理の実行に際して、十分に許容される時間である。

0044

第1の実施形態に係るパッシブエントリー装置10によれば、新たなシステムを導入することなく測距が可能となり、距離に応じた車両における各種処理、例えば、ウェルカム処理やウォークアウェイ処理を簡易に実現することができる。

0045

第2の実施形態:
第2の実施形態におけるキー装置20aについて説明する。第2の実施形態におけるキー装置20aは、キー装置処理時間を短縮するためにスイッチ24を備えている点を除いて、第1の実施形態におけるキー装置20と同様の構成を備えており、第1の実施形態におけるキー装置20と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。キー装置20aは、UHF送信器23を、LF受信器22またはMCU21と選択的に接続するためのスイッチ24を備えている。スイッチ24は、MCU21からの制御信号によって、MCU21を介することなく、LF受信器22とUHF送信器23とを接続する第1の切替位置と、MCU21を介して、LF受信器22とUHF送信器23とを接続する第2の切替位置とを備えている。

0046

第2の実施形態において、パッシブエントリー装置10から信号が受信されると、MCU21は、測距用の信号であるか否かを判定し、測距用の信号である場合には、スイッチ24を第2の切替位置から第1の切替位置に切り替える。この結果、MCU21における信号処理に要する時間を排除することが可能となり、既述の第2遅延時間DL2における、キー装置処理時間を削除または低減することが可能となり、パッシブエントリーシステム100における測距誤差を低減することができる。

0047

その他の実施形態:
(1)上記実施形態において、直交復調に用いられる局発信号は、矩形波信号であっても良い。この場合には、sin波やcos波を生成することなく、解析信号を算出することが可能となり、演算量を低減して高速に解析信号を生成することができる。

0048

(2)上記実施形態において、直交復調に用いられる局発信号の周波数を、送信データ信号の周波数、すなわち、送信データ信号生成時におけるビットレートと同一の周波数にしても良い。この場合には、これら周波数の2倍にディジタルバンドパスフィルタの周波数を設定することで、イメージ周波数、本実施形態においては、低周波側を、直流信号とすることが可能となり、ハイパスフィルタまたはバンドパスフィルタ処理におけるイメージ抑圧が容易になる。

0049

(3)上記実施形態において、送信データ信号の生成、局発信号の生成および受信データ信号のデジタルサンプリングには同一のクロック源が用いられても良い。この場合には、ディジタルバンドパスフィルタの帯域のずれが防止され、ディジタルバンドパスフィルタの係数を無調整化することができる。このようにしない場合、送信データ信号の周波数を実際に測定して、ディジタルバンドパスフィルタの帯域を調整し、また、局発信号の矩形波周波数を調整しなければならない。

0050

(4)上記実施形態において、LFの受信信号強度RSSI)を併用し、回路の遅延やばらつきといった経年変化に起因する誤差補正されても良い。

0051

(5)上記実施形態においては、測距MCU21がプログラムを実行することによって、ソフトウェア的に測距処理を実行する制御部が実現されているが、予めプログラムされた集積回路またはディスクリート回路によってハードウェア的に実現されても良い。

0052

以上、実施形態、変形例に基づき本開示について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本開示を限定するものではない。本開示は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本開示にはその等価物が含まれる。たとえば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。例えば、上記第1の態様に係る車両に用いられるパッシブエントリー装置を適用例1とし、
適用例2:適用例1記載の車両に用いられるパッシブエントリー装置において、
前記制御部は、前記第1の解析信号と前記第2の解析信号と変数とする相関行列の累積期待値を前記位相差として算出する、車両に用いられるパッシブエントリー装置。
適用例3:適用例1または2に記載の車両に用いられるパッシブエントリー装置において、
前記第1および第2の解析信号は、直交復調によって生成される、車両に用いられるパッシブエントリー装置。
適用例4:適用例3に記載の車両に用いられるパッシブエントリー装置において、
前記直交復調における局発信号には矩形波信号が用いられる、車両に用いられるパッシブエントリー装置。
適用例5:適用例3または4に記載の車両に用いられるパッシブエントリー装置において、
前記直交復調における局発信号の周波数は、前記送信データ信号の周波数と同一である、車両に用いられるパッシブエントリー装置。
適用例6:適用例5に記載の車両に用いられるパッシブエントリー装置において、
前記送信データ信号の生成、前記局発信号の生成および前記受信データ信号のデジタルサンプリングには同一のクロック源が用いられる、車両に用いられるパッシブエントリー装置。
適用例7:車両に用いられるパッシブエントリーシステムであって、
適用例1から6のいずれか一項に記載のパッシブエントリー装置と、
前記キー装置とを備え、
前記キー装置は、前記パッシブエントリー装置から受信した前記送信信号を前記第2の周波数帯域の信号として出力する、パッシブエントリーシステム。
とすることができる。

0053

10…パッシブエントリー装置、20…キー装置、13…LF送信器、14…UHF受信器、12…測距MCU、50…車両、100…パッシブエントリーシステム。

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