図面 (/)

技術 セメント硬化体の衝撃弾性波測定方法

出願人 株式会社太平洋コンサルタント
発明者 小川彰一大塚裕太高橋英孝
出願日 2018年9月10日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-168688
公開日 2020年3月19日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-041879
状態 未査定
技術分野 超音波による材料の調査、分析 機械的応力負荷による材料の強さの調査
主要キーワード センサー電圧 チタン球 実験水準 センサーアンプ 基礎資材 継時変化 試験水準 主ピーク強度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月19日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

比較的厚い、例えば厚さ0.6m以上のセメント硬化体に対して、自己相関等の解析手法を用いなくとも、フーリエ変換処理のみで弾性波伝播速度を安定かつ効率的に測定する衝撃弾性波測定方法を得ることを目的とする。

解決手段

セメント硬化体の衝撃弾性波測定方法であって、半径Rが1.5cmを超え20cmより小さく、0.1kgを越え100kg以下の質量の球状打撃面を有する振り子を用いて、前記セメント硬化体に打撃速度0.1m/s以上1.4m/s以下の所定速度で弾性波を入力し、前記セメント硬化体内を往復する弾性波を受信して周波数解析によりセメント硬化体内部の弾性波伝播速度、またはセメント硬化体の厚さを推定することを特徴とするセメント硬化体の衝撃弾性波測定方法を提供する。

概要

背景

コンクリート等のセメント硬化体は、構造物建設基礎資材として、あるいは、焼却飛灰放射性廃棄物などの廃棄物類と混合固化あるいはこれら廃棄物に充填して長期間にわたって安定した硬化体として、利用されている。しかしながら、セメントによる固化は化学反応であり長期渡り強度が増進する一方、コンクリートとして用いる骨材などの材料、含まれる成分、または廃棄物含有成分によって、あるいは、硬化体が置かれる環境によっては、溶脱凍結融解アルカリ骨材反応鉄筋腐食乾燥収縮セメント成分などの結晶化、析出物生成等により、ひび割れの発生、硬化体の強度低下、スケーリングなどの劣化を生じることがある。

これら劣化の進行は通常は数年〜数十年といった長期に渡って徐々に進行し、目視検査等で劣化の進行が明らかとなってからでは、補修などの対策が困難となる場合がある。このような問題に対して、外観による目視検査ではなく、内部の劣化状態を把握できる非破壊検査を用いたモニタリングが期待されている。

音波などの弾性波伝播速度は、コンクリート強度との相関が高く、また、ひび割れ、膨張などの劣化が生じた場合に弾性波伝播速度が低下することが知られている。しかしながら、弾性波伝播速度の正確な測定には、以下の課題がある。

超音波を利用した弾性波伝播速度は、エネルギーが小さいために減衰が大きく、厚コンクリートや廃棄体などドラム缶鋼板接着したコンクリートなどの硬化体では測定が困難となる。

超音波伝播速度は、通常は硬化体を挟んで測定するため、裏面にアクセスできない場合に測定が困難となる。また、測定面に発信子および受信子を設置して底面反射を利用して弾性波伝播速度を測定する方法もあるが、底面反射であるため伝播距離が2倍となることから減衰が大きくなる。さらに、発信子および受信子を表面に設置して、内部を伝播する弾性波を捉える試みも行われているが、コンクリートの深い内部までの情報は得られない。

超音波による伝播速度測定では、用いる装置、あるいは解析手法によって測定される伝播速度に差異が生じ、同じ装置を用いないと誤差が生じ、長期間にわたるモニタリングには適さない。

エネルギーの大きい衝撃弾性波を用いた測定法もある(非特許文献1)。例えば0.6m程度までのコンクリートでは明確に測定できるが、2m以上とセメント硬化体が厚くなると弾性波の硬化体内での反射散乱が生じて、測定が困難となり、相互相関関数を用いたフーリエ変換による解析手法を用いても1.2m以上となると、明確なピークが得られず、測定が困難であるとされる。また、従来の衝撃弾性波で入力される周波数は安定せず、また、手入力ハンマーを用いた打撃では入力エネルギーが安定せず、継続的にデータを取得しても劣化状態の詳細な変化を把握することは難しい。このように、セメント硬化体に対して長期間安定して過去のデータと比較し劣化の進行を容易に把握できるような非破壊検査手法が求められる。

概要

比較的厚い、例えば厚さ0.6m以上のセメント硬化体に対して、自己相関等の解析手法を用いなくとも、フーリエ変換処理のみで弾性波伝播速度を安定かつ効率的に測定する衝撃弾性波測定方法を得ることを目的とする。セメント硬化体の衝撃弾性波測定方法であって、半径Rが1.5cmを超え20cmより小さく、0.1kgを越え100kg以下の質量の球状打撃面を有する振り子を用いて、前記セメント硬化体に打撃速度0.1m/s以上1.4m/s以下の所定速度で弾性波を入力し、前記セメント硬化体内を往復する弾性波を受信して周波数解析によりセメント硬化体内部の弾性波伝播速度、またはセメント硬化体の厚さを推定することを特徴とするセメント硬化体の衝撃弾性波測定方法を提供する。

目的

そこで、比較的厚い、例えば厚さ0.6m以上のセメント硬化体に対して、自己相関等の解析手法を用いなくとも、フーリエ変換処理のみで弾性波伝播速度を安定かつ効率的に測定する衝撃弾性波測定方法を得ることを課題とした。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

セメント硬化体衝撃弾性波測定方法であって、半径Rが1.5cmを超え20cmより小さく、0.1kgを越え100kg以下の質量の球状打撃面を有する振り子を用いて、前記セメント硬化体に打撃速度0.1m/s以上1.4m/s以下の所定速度で弾性波を入力し、前記セメント硬化体内を往復する弾性波を受信して周波数解析によりセメント硬化体内部の弾性波伝播速度、またはセメント硬化体の厚さを推定することを特徴とするセメント硬化体の衝撃弾性波測定方法。

請求項2

前記弾性波を受信するセンサーを前記弾性波の入力するセメント硬化体打撃面上の位置に取り付けることを特徴とする請求項1記載のセメント硬化体の衝撃弾性波測定方法。

請求項3

前記振り子の質量が1kg以上100kg以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のセメント硬化体の衝撃弾性波測定方法。

請求項4

前記振り子の質量が1kgを超え100kg以下である打撃体懸垂に、摩擦シートを付着した懸垂板を用いて、前記摩擦シートを介してセメント硬化体の表面に前記懸垂板を押しつけて、前記摩擦シートの摩擦力で振り子の支点を確保することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のセメント硬化体の衝撃弾性波測定方法。

請求項5

前記振り子の質量が0.1kgを超え10kg以下である打撃体の、摩擦シートを付着した懸垂板を用いて、前記摩擦シートを介してセメント硬化体の打撃面に前記懸垂板を押しつけて、前記摩擦シートの摩擦力で振り子の支点を確保し、記弾性波を入力するセメント硬化体面を0.02mm以上で2mm未満厚みの樹脂シート被覆する方法により、弾性波を入力することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のセメント硬化体の衝撃弾性波測定方法。

技術分野

0001

この発明は、コンクリート等のセメント硬化体衝撃弾性波測定方法に関する。

背景技術

0002

コンクリート等のセメント硬化体は、構造物建設基礎資材として、あるいは、焼却飛灰放射性廃棄物などの廃棄物類と混合固化あるいはこれら廃棄物に充填して長期間にわたって安定した硬化体として、利用されている。しかしながら、セメントによる固化は化学反応であり長期渡り強度が増進する一方、コンクリートとして用いる骨材などの材料、含まれる成分、または廃棄物含有成分によって、あるいは、硬化体が置かれる環境によっては、溶脱凍結融解アルカリ骨材反応鉄筋腐食乾燥収縮セメント成分などの結晶化、析出物生成等により、ひび割れの発生、硬化体の強度低下、スケーリングなどの劣化を生じることがある。

0003

これら劣化の進行は通常は数年〜数十年といった長期に渡って徐々に進行し、目視検査等で劣化の進行が明らかとなってからでは、補修などの対策が困難となる場合がある。このような問題に対して、外観による目視検査ではなく、内部の劣化状態を把握できる非破壊検査を用いたモニタリングが期待されている。

0004

音波などの弾性波伝播速度は、コンクリート強度との相関が高く、また、ひび割れ、膨張などの劣化が生じた場合に弾性波伝播速度が低下することが知られている。しかしながら、弾性波伝播速度の正確な測定には、以下の課題がある。

0005

超音波を利用した弾性波伝播速度は、エネルギーが小さいために減衰が大きく、厚コンクリートや廃棄体などドラム缶鋼板接着したコンクリートなどの硬化体では測定が困難となる。

0006

超音波伝播速度は、通常は硬化体を挟んで測定するため、裏面にアクセスできない場合に測定が困難となる。また、測定面に発信子および受信子を設置して底面反射を利用して弾性波伝播速度を測定する方法もあるが、底面反射であるため伝播距離が2倍となることから減衰が大きくなる。さらに、発信子および受信子を表面に設置して、内部を伝播する弾性波を捉える試みも行われているが、コンクリートの深い内部までの情報は得られない。

0007

超音波による伝播速度測定では、用いる装置、あるいは解析手法によって測定される伝播速度に差異が生じ、同じ装置を用いないと誤差が生じ、長期間にわたるモニタリングには適さない。

0008

エネルギーの大きい衝撃弾性波を用いた測定法もある(非特許文献1)。例えば0.6m程度までのコンクリートでは明確に測定できるが、2m以上とセメント硬化体が厚くなると弾性波の硬化体内での反射散乱が生じて、測定が困難となり、相互相関関数を用いたフーリエ変換による解析手法を用いても1.2m以上となると、明確なピークが得られず、測定が困難であるとされる。また、従来の衝撃弾性波で入力される周波数は安定せず、また、手入力ハンマーを用いた打撃では入力エネルギーが安定せず、継続的にデータを取得しても劣化状態の詳細な変化を把握することは難しい。このように、セメント硬化体に対して長期間安定して過去のデータと比較し劣化の進行を容易に把握できるような非破壊検査手法が求められる。

先行技術

0009

岩野ら衝撃弾性波法によるコンクリート構造物厚さ測定コンクリート工学年次論文集Vol.23 No.1 2001 547−552

発明が解決しようとする課題

0010

そこで、比較的厚い、例えば厚さ0.6m以上のセメント硬化体に対して、自己相関等の解析手法を用いなくとも、フーリエ変換処理のみで弾性波伝播速度を安定かつ効率的に測定する衝撃弾性波測定方法を得ることを課題とした。

0011

本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、コンクリート等のセメント硬化体の衝撃弾性波測定方法、を提供するものである。

課題を解決するための手段

0012

前記課題を解決するため、本発明の衝撃弾性波測定方法は、
[1]セメント硬化体の衝撃弾性波測定方法であって、半径Rが1.5cmを超え20cmより小さく、0.1kgを越え100kg以下の質量の球状打撃面を有する振り子を用いて、前記セメント硬化体に打撃速度0.1m/s以上1.4m/s以下の所定速度で弾性波を入力し、前記セメント硬化体内を往復する弾性波を受信して周波数解析によりセメント硬化体内部の弾性波伝播速度、またはセメント硬化体の厚さを推定することを特徴とするセメント硬化体の衝撃弾性波測定方法、を提供する。

0013

[2]前記弾性波を受信するセンサーを前記弾性波の入力するセメント硬化体打撃面上の位置に取り付けることを特徴とする[1]のセメント硬化体の衝撃弾性波測定方法、を提供する。

0014

[3]前記振り子の質量が1kg以上100kg以下であることを特徴とする[1]又は[2]のセメント硬化体の衝撃弾性波測定方法、を提供する。

0015

[4]前記振り子の質量が1kgを超え100kg以下である打撃体懸垂に、摩擦シートを付着した懸垂板を用いて、前記摩擦シートを介してセメント硬化体の表面に前記懸垂板を押しつけて、前記摩擦シートの摩擦力で振り子の支点を確保することを特徴とする[1]〜[3]のセメント硬化体の衝撃弾性波測定方法、を提供する。

0016

[5]前記振り子の質量が0.1kgを超え10kg以下である打撃体の、摩擦シートを付着した懸垂板を用いて、前記摩擦シートを介してセメント硬化体の打撃面に前記懸垂板を押しつけて、前記摩擦シートの摩擦力で振り子の支点を確保し、記弾性波の入力するセメント硬化体面を0.02mm以上で2mm未満厚みの樹脂シート被覆する方法により、弾性波を入力することを特徴とする[1]〜[4]のセメント硬化体の衝撃弾性波測定方法、を提供する。

0017

適用対象物
本発明のセメント硬化体は、建設に用いられるセメントペーストモルタル、コンクリートのほか、セメントペーストやモルタルを空隙に充填した充填セメント硬化体である。充填セメント硬化体としては、例えば、廃棄物をドラム缶などに入れてその周囲をセメントペーストやモルタルなどで充填した硬化体、焼却飛灰などをセメント系材料ジオポリマー等で固化させた硬化体などがある。また、セメント硬化体表面に鋼板等が接着された状態や、ドラム缶充填セメント硬化体にも適用可能である。セメント硬化体の厚さは30cm以上で数m程度、好ましくは厚さ0.6m以上、特に2m以上のセメント硬化体に適用可能である。

0018

打撃体
打撃体としては、打撃面が球状を有するものであるが、全体の形状は問わない。打撃面は球状が好ましいが卵形などの楕円径でも良く、また、鋼球などの金属球を用いてもよい。

0019

打撃面
打撃体の打撃面に用いる材料は、好ましくは密度4g/cm3以上、ビッカース硬さ50Hv以上の金属が好ましく、鉄、ステンレスインコネルタングステンニッケルチタンモリブデンや、その他の合金が好ましい。鋼球、ステンレス球チタン球など、密度が7 g/cm3以上10g/cm3以下の金属の球、あるいは、セメント硬化体を打撃する際の打撃面が、これら金属であることが特に好ましい。
これら。密度が4g/cm3より小さいアルミニウムなどの金属では必要な質量を確保するための半径Rが大きくなり、コンクリートとの接触面積が広くなるため弾性波が効率よく硬化体に入力できず、また、ビッカース硬さが50Hvより小さい金、銀は打撃時に打撃体の変形を生じる可能性がある。

0020

打撃面のR
打撃面の半径Rは1.5cmを超え、20cm以下が好ましい。より好ましくは2.0cm以上10cm以下である。これは、半径Rが小さいと弾性波の往復応答を生じるような入力ができず、また、半径Rが大きいと、コンクリートとの接触面積が広くなるため弾性波が効率よく硬化体に入力できない。

0021

打撃体質量
打撃体質量は、0.1kgを越え100kg以下が好ましい。セメント硬化体中の弾性波が減衰しても測定可能なエネルギーを入力するために最低な質量があり、質量が0.1kgを越え100kg以下である。質量が0.1kg以下であると弾性波が発生し比較的厚いセメント硬化体を伝播するエネルギーが不足し、100kgを超えると打撃時においてセメント硬化体に損傷を与える可能性がある。また、安定的に打撃を与える際の取扱いが困難となる。

0022

打撃体の質量を制御する方法として、鋼球等の金属球を用いる場合は、その大きさや密度を変えることによって、また、金属球では質量が不足する場合は、例えば、硬化コンクリートの一部に半球状、あるいは球状の金属球を金属球の表面の一部を出して埋め込む方法や、鋼材と半球状あるいは球状の金属球とを溶接などで接合させて打撃体として用いる方法がある。

0023

弾性波入力方法
弾性波の入力の打撃は、球状表面がセメント硬化体の表面に対して打撃体の重心が垂直となるように打撃する。セメント硬化体表面が水平の場合は、打撃体の自由落下により打撃することもできる。この場合、セメント硬化体打撃面と打撃体表面との距離を設定することで、打撃時の打撃体の速度を任意に設定可能であり、しかも安定した弾性波の入力が可能である。さらに、水平の場合は、自由落下による打撃後のコンクリートによる反発が不足することがあるので、打撃体上部に、つるまきばねを取り付けてコンクリート面からの任意の高さに固定し、打撃直後の打撃体のコンクリート面からの跳躍距離を自由落下よりも大きく確保する方法もある。自由落下の場合、空気抵抗を無視すると、打撃速度は打撃物の質量に依存せずに、打撃速度をv、セメント硬化体打撃面と打撃体表面との距離をh、重力加速度をgとすると、数式1で求めることができる。

0024

0025

また、垂直面に対しては、図1で例示するセメント硬化体に支点12を儲け、で吊るした打撃体11を振子のようにして打撃する方法を用いることができる。

0026

この場合、打撃速度vを求めるのに必要な前式hは、紐長さRと、セメント硬化体打撃面と打撃体との距離aとから数式2で求めることができる。

0027

この方式は垂直面だけでなく、別途、打撃速度の計算は必要であるが、傾斜面に対しても適用可能である。その他、レール等を用いて金属球を転がしてセメント硬化体に衝突させる方法、ハンマーの形状として打撃面を球状にする方法などがある。

0028

打撃速度は、0.1m/s以上1.4m/s以下が好ましく、より好ましくは0.2m/s以上0.9m/s以下である。0.2m/sより遅いと測定毎の入力打撃力にばらつきが大きくなり、0.1m/sより遅いと必要な弾性波入力エネルギーが不足する。また、1.0m/sより早いとセメント硬化体に打撃面損傷を生じる可能性が高くなり、1.4m/sより早いと衝撃力によりセメント硬化体に二次振動を起こすなど、弾性波伝播によらない振動が生じて安定な測定ができない。

0029

支点では、後施工アンカー等、構造物に削孔して打撃体を吊ることもできるが、構造物の一部破壊を伴うこと、削孔に時間を要する。打撃体の質量が0.1kgを超え10kg程度以下であれば、図2に例示するように、大きさは特に問わないが、20cm x 20cm程度の四角あるいは直径10cm程度の木製の懸垂板12等に摩擦シートとしてゴムシート14等を取り付け、コンクリート打撃面などの構造物に対して押しつけて、その摩擦力で支点12を確保する方法により、非破壊かつ効率的な測定ができて好ましい。

0030

樹脂シートの使用
打撃体による弾性波の入力では、その質量が大きい、打撃速度が速い、あるいは半径Rが小さい場合には、セメント硬化体の打撃面に傷や損傷を与えることがある。このとき、セメント硬化体と打撃物との間に樹脂シートを設置する。樹脂シートの素材は、ポリエチレンポリプロピレンなどのビニールウレタンゴムシリコンゴムブチルゴムフッ素ゴムクロロプレンゴム、NBR、EPDMなどのゴム類などが例示され、発泡性のものも使用できる。樹脂シートの厚さは0.02mm以上で2mmより薄いものが好ましい。0.02mmより薄いと保護効果が無く、また樹脂シート自体の損傷が大きい。また2mmより厚いと樹脂シートの反発力によって打撃体による弾性波に入力を阻害する。

0031

計測方法
入力された弾性波の伝播は、Aの方法:セメント硬化体の打撃面の裏面にセンサーを配して収録、あるいは、Bの方法:セメント硬化体の打撃面上に配した圧電素子等を用いた加速度センサーを用いて収録、Cの方法:打撃位置近くとセメント硬化体内部を通して測定したい任意の位置のセンサーを配して収録することで測定することが考えられる。

0032

Aの方法およびBの方法の場合は、セメント硬化体内部を往復伝播する弾性波を捉えてフーリエ変換処理等によって応答周波数を算出し、セメント硬化体の厚さが既知であれば伝播速度が、また、伝播速度が既知であればセメント硬化体厚さが求まる。また、劣化状態の変化を把握するのであれば、応答周波数の継時的な変化のみを測定しても良い。

0033

一方、Cの方法の場合は、打撃時間を0として、任意の点に弾性波が到達した時間(s)をセンサーで検知し、打撃位置と任意の点との直線距離から伝播速度を算出する。Cの方法では、時間(s)は、打撃体、打撃方法によっても、また、センサー感度等の測定条件によっても差異を生じる可能性があり、長期の継時変化を評価するモニタリングとするには、これらの測定条件を統一しておく必要がある。

0034

しかしAの方法、Bの方法は打撃体、打撃方法やセンサー感度等による差異は小さく長期モニタリングとして好適であり、特にBの方法の場合は打撃面上の計測となるためセメント硬化体裏面にアクセスする必要は無く、セメント硬化体の裏面に設置が困難な構造物で効率的な計測が可能で有利である。本発明ではBの方法の場合を基本とする。そして、センサー位置打撃点に対して5〜30cmの範囲にすることが好ましい。5cm以内であると打撃時の衝撃がセンサーに伝わりノイズ等となって計測が上手くできないことがあり、30cm以上離れると測定電圧が低くなり好ましくない。

発明の効果

0035

弾性波入力時に垂直面や水平面に対して安定した速度で打撃体を衝突させるので、簡便で、打撃体の衝突条件再現性に優れ、長期に亘る劣化状態の変化を把握でき、セメント硬化体強度や劣化状態を非破壊で検査し、また、継時的な推移をモニタリングし、その健全性を評価できる。

図面の簡単な説明

0036

セメント硬化体に支点を儲け、紐で吊るした打撃体を振子のようにして打撃する本発明方法を例示する模式図である。
摩擦シートを取り付けた懸垂板をコンクリート打撃面上に押しつけて、その摩擦力で支点を確保する本発明方法を例示する模式図である。
実験例17における打撃面上に設置したセンサーで収録された波形(左図)および裏面に設置したセンサーで収録された波形(右図)を示す。
実験例34における打撃面上に設置したセンサーで収録された波形(左図)および裏面に設置したセンサーで収録された波形(右図)を示す。
実験例17における打撃面上に設置したセンサーで収録された波形のフーリエ変換結果(左図)および裏面に設置したセンサーで収録された波形のフーリエ変換結果(右図)を示す。
実験例34における打撃面上に設置したセンサーで収録された波形のフーリエ変換結果(左図)および裏面に設置したセンサーで収録された波形のフーリエ変換結果(右図)を示す。

0037

11:打撃体(振り子)
12:振り子の支点
13:懸垂板
14:摩擦シート

発明を実施するための最良の形態

0038

つぎに、本発明の最良の実施を含む実験の形態に関して図面を参照して以下に説明する。
セメント硬化体として、1m x 1m x 1.2mのコンクリートブロックを使用し、1m x 1m面の中央付近を振り子打撃体で打撃することで弾性波を入力し、打撃位置から10cmの位置(打撃面)、および打撃面に対向する面(裏面)の中央にセンサーを配し、試験を行った。実験水準を表1に示す。

0039

打撃体は、実験例1から実験例20および実験例33から実験例38までは鋼球を用い、実験例21は10cm x 10cm x 40cmの角柱状コンクリートの片方の10cm x 10cm面に半径5.0cmの鋼球を取り付けて鋼球面をコンクリートブロックに打撃した例、実験例22から実験例25までおよび実験例39は同様にして角柱状コンクリートに代えて鋼材(H型鋼)を取り付けて打撃した例、実験例26から実験例29までは、同様にして半径20cm x 高さ40cmの円柱状コンクリートを取り付けた例、実験例30から実験例32まではボーリング球を用い、実験例40は打撃面が球状ではなく半径20cmの円柱状のコンクリートを用いて、その側面を、直接コンクリートブロックに打撃した。

0040

打撃方法は何れも振子方式とした。紐の長さは実験例1から実験例20および実験例33から実験例38までは50cmとし、その他は150cmとし、所定の打撃速度となるようにコンクリート面と打撃体の球状部分の距離とを調整することで制御した。また、一部の試験水準には樹脂シートを用いた水準を設定し、樹脂シートとして厚さ0.1mmのポリエチレン製シートあるいは厚さ2mmの天然ゴムシートを用いた。

0041

センサーは小野測器製NP3201を、センサーアンプおよびデータレコーダーは、それぞれHIOKI8947および8835を用いた、収録データは20μs間隔とし、打撃から1.7msは打撃時の衝撃による乱れがあるために排除し、その後の4096数のデータをフーリエ変換して応答周波数を求めた。

0042

結果を表1に合わせて示す。各試験において、試料表面性状は、それぞれ3回の打撃において若干の打撃面損傷が認められた水準を△、コンクリートブロックの打撃面剥離が一部認められたものを×、打撃面剥離が著しいものを××、変化が認められなかったものを−として示した。

0043

主ピーク強度欄は、打撃面センサーのフーリエ変換において、×印はコンクリートブロック厚さ1.2mに対応した1.58kHzが認められないものを、その他の数字が記載された水準は、主ピークが1.58kHzであり、フーリエ変換によって得られた主ピークの強度で、この数字が大きいほど弾性波の往復伝播が大きく生じていることを示す。

0044

他ピークとの強度比は、打撃面センサーのフーリエ変換において、主ピークを1とした場合に、その他現れるピークの強度を示しており、この値が大きいと往復伝播する弾性波の応答周波数が判別できにくく、また、コンクリート厚さに応じた往復伝播が生じていないことを示す。

0045

総合評価は、主ピーク強度が高いものほど、他ピークとの強度比が小さいものほど、および打撃面損傷の程度が小さいものほど○印の数を多くした。但し、主ピーク強度が認められないか極めて弱い水準、または、1.58kHz以外が最も大きいピークとなった水準は×印とした。

0046

実験例1〜32では、何れもコンクリートブロック厚さ1.2mに対応した1.58kHが主ピークとして認められ、他ピークとの強度比は0.85以下であった。打撃体質量が4kg以上のとき打撃面性状の変化が若干認められる場合が生じた。特に31kg以上のとき、樹脂シートでセメント硬化体打撃面の一部を被覆したり、0.128m/s程度まで打撃速度を小さくしたりすることにより、打撃面損傷の抑制が可能である。
例えば、実験例28および29は、主ピーク強度が大きいが、打撃面剥離が生ずる、しかし、この場合でも硬化体の内部は健全で非破壊検査として有効であり、さらに実験例26のように打撃速度を0.128m/sと小さくすることで打撃面損傷の抑制が可能である。

0047

樹脂シートとして0.1mmを用いた実験例は何れも高い主ピーク強度と低いピーク強度比を有していた。0.1mm樹脂シートを用いない実験例19では打撃面が若干変化したが、0.1mm樹脂シートを用いた実験例17では打撃面は変化しなかった。2.0mm樹脂シートを用いた実験例38および実験例39では、主ピーク強度が極めて弱い、あるいは主ピークが認められず、樹脂シートが厚いと衝撃エネルギーが吸収され弾性波がコンクリートブロックに入力されにくいことが分かる。

0048

図3図6に、実験例においてセンサーで収録された波形または波形をフーリエ変換した結果を示す。各図は何れも、それぞれ、左側が打撃面に設置したセンサー、右側が裏面に設置したセンサーで収録されたセンサーでの結果である。図3に実験例17における打撃面に設置したセンサーおよび裏面に設置したセンサーで収録された波形を示す。何れの図でも、コンクリートブロック内を弾性波が往復伝播し、また減衰が小さいことが分かる。また、図3左の打撃面において、打撃直後のセンサー電圧から求められた加速度(100m/s2程度)に対して、その後の往復伝播のセンサー電圧から求められた加速度(20m/s2程度)は高く、効率よく弾性波が入力されていることが分かる。実験例34対して、図4に示す。図3と比較して綺麗な往復伝播が見られず、また、図4の左の打撃面において、打撃直後のセンサー電圧から求められた加速度(30m/s2程度)に対して、その後の往復伝播のセンサー電圧から求められた加速度は数m/s2とかなり小さく、弾性波の入力効率が悪いことが分かる。

0049

図5に実験例17において測定された波形をフーリエ変換した結果を示す。打撃面、裏面ともに1.58kHzに明確な応答周波数が認められ、この値とコンクリート厚さ1.2mとから、弾性波伝播速度は3800m/sと算出できる。また、打撃面における3回測定での主ピーク強度の変動係数は13%と安定した計測が可能であった。しかしながら、図6の実験例34では、図6右の打撃時の影響が無い裏面からの測定では1.58kHz付近に応答周波数が認められるものの、その他の周波数ピークが卓越し、コンクリートブロックの弾性波伝播速度が判別できない。また、打撃面からの測定では殆どピークは認められない。以上のように、実験例17では打撃面からの測定でも明瞭な往復伝播での応答周波数が確認でき、セメント硬化体の裏面にアクセスしてセンサーを設置せずとも計測が可能であり、効率よくコンクリートなどの構造物の内部の変状をモニタリングできることが分かる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社ディスコの「 試験方法及び試験装置」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】正確な荷重を測定し、破壊試験の精度を高めることを目的とする。【解決手段】試験片の強度を測定するための試験方法であって、第1方向に所定の間隔で配置された第1支持部22aと第2支持部22bとを含む... 詳細

  • 株式会社ナベルの「 検査装置」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】従来の検査装置と異なる新しい原理で検査対象を検査する検査装置を提供する。【解決手段】検査装置10は、打撃体1と、応力発光体2と、検出部31と、入射抑制部8とを備える。入射抑制部8は、検出部31... 詳細

  • 株式会社島津製作所の「 バックグラウンドデータ測定装置、応力発光測定装置及びバックグラウンドデータ測定方法」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】バックグラウンドデータを取得する作業を簡略化することができるバックグラウンドデータ測定装置、応力発光測定装置及びバックグラウンドデータ測定方法を提供する。【解決手段】受光部5が、測定対象物から... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ