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技術 血液凝固系解析装置、血液凝固系解析方法及び血液凝固系解析プログラム

出願人 ソニー株式会社
発明者 林義人イスンミン渕上彩町田賢三
出願日 2018年9月7日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-168346
公開日 2020年3月19日 (8ヶ月経過) 公開番号 2020-041867
状態 未査定
技術分野 生物学的材料の調査,分析 電気的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 多角筒体 多角錐体 周波数アナライザ 誘電コア 発生気泡 誘電測定 マトリックス型二次元コード 定時間制御
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月19日)のものです。
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図面 (14)

課題

血液凝固動態を精度高く評価することができる血液凝固系解析装置を提供すること。

解決手段

一対の電極と、前記一対の電極に対して交番電圧を所定の時間間隔印加する印加部と、前記一対の電極間に配される血液試料複素誘電率を測定する測定部と、少なくとも2種以上の血液凝固関連アッセイを用い、前記血液試料に働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、凝固因子活性及び凝固阻害因子の活性を解析する解析部と、を有する、血液凝固系解析装置などを提供する。

概要

背景

従来、臨床的に行われる血液状態解析方法として、血液凝固検査がある。一般的な血液凝固検査としては、プロトロンビン時間国際標準化比(PT−INR)、活性化部分トロンボプラスチン時間APTT)に代表される、血液凝固検査が知られている。これらの方法は、血液試料遠心分離して得られる血漿中に含まれ、凝固反応関与するタンパク質による凝固反応性を分析する方法である。

前述の検査方法は、外因凝固能及び内因系凝固能の機能検査を評価するために用いられる。これらの検査では、外因系凝固反応と内因系凝固反応とを惹起する物質を大過剰に添加し、短時間で検査結果が得られるようにしている。これらの検査は、血液試料を遠心分離して得られる血漿を用いて行われるが、生体内血液凝固反応において重要な役割を果たす血小板赤血球等の細胞成分が遠心分離により除去されてしまうため、検査結果と実際の臨床的病態とで齟齬が生じる場合も多い。

ここで、別の機能検査として、トロンボエラストグラフィーやトロンエラストメトリーがあり、これらはそれぞれTEG登録商標)やROTEM(登録商標)として製品化されているが、(1)測定が自動化されておらず、検査結果が測定者手技に依存する、(2)振動の影響を受けやすい、(3)品質管理QC)手順が煩雑で、QC用試薬が高価である、(4)出力信号(トロンボエラストグラム)の解釈熟練を要する等の理由があり、十分に普及していない。また、外因系や内因系の各凝固因子欠乏阻害効果に対して、それほど高い感度を示さないことから、医療現場ニーズ満足できない可能性がある。

また、上述した既存の機能検査では、検査試薬として凝固開始剤を生体内での反応よりも大過剰に用いるのが通常である。そのため、これらの検査は、著しい凝固能の低下、すなわち出血傾向を評価するのに好適であるが、著しい凝固能の亢進、すなわち血栓傾向、或いは血液凝固能の微妙な変化を評価するのには適していない。なお、トロンボエラストメトリーでは、外因系凝固経路や内因系凝固経路を人為的に活性化させる凝固開始剤を用いずにカルシウム再加のみによって測定を行うアッセイも存在するが、当該アッセイでは凝固反応初期に形成されるフィブリンゲルが、測定の際に加えられる回転変位のために破壊されて正しい計測ができず、特に、フィブリノーゲンや血小板が低値検体では測定の再現性が期待できないという問題があった。

ここで、近年、血液凝固測定を簡便かつ正確に評価することができる別の手法として、血液凝固過程誘電測定を行う方法も考案されている(例えば、特許文献1及び2)。この手法では、1組の電極対などからなるコンデンサー状の試料部に血液試料を充填し、それに交流電場印加して血液試料の凝固過程に伴う複素誘電率の変化を測定する方法である。非特許文献1には、この手法を用いることで、簡便に凝固及び線溶反応のプロセスをモニタリングできることが示されている。また、非特許文献2には、当該手法であれば、他の手法では評価が困難であった血液凝固能の亢進についても高い感度で評価可能であることが示されている。しかし、当該手法であっても、複雑な血液凝固動態について正しく評価することは極めて困難であるという問題があった。

概要

血液凝固動態を精度高く評価することができる血液凝固系解析装置を提供すること。一対の電極と、前記一対の電極に対して交番電圧を所定の時間間隔で印加する印加部と、前記一対の電極間に配される血液試料の複素誘電率を測定する測定部と、少なくとも2種以上の血液凝固関連アッセイを用い、前記血液試料に働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、凝固因子の活性及び凝固阻害因子の活性を解析する解析部と、を有する、血液凝固系解析装置などを提供する。

目的

そこで、本技術では、血液凝固動態を精度高く評価することができる血液凝固系解析装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

一対の電極と、前記一対の電極に対して交番電圧を所定の時間間隔印加する印加部と、前記一対の電極間に配される血液試料複素誘電率を測定する測定部と、少なくとも2種以上の血液凝固関連アッセイを用い、前記血液試料に働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、凝固因子活性及び凝固阻害因子の活性を解析する解析部と、を有する、血液凝固系解析装置

請求項2

前記2種以上の血液凝固関連アッセイは、血液凝固反応惹起を行わないアッセイ、内因系凝固経路惹起アッセイ、前記内因系凝固経路惹起アッセイよりも弱く内因系凝固経路を惹起するアッセイ、外因凝固経路惹起アッセイ、及び前記外因系凝固経路惹起アッセイよりも弱く外因系凝固経路を惹起するアッセイからなる群より選ばれるいずれか2種以上のアッセイである、請求項1に記載の血液凝固系解析装置。

請求項3

前記解析部の解析結果に基づいて、血栓リスク及び/又は出血リスクの程度を出力する出力部を更に含む、請求項1に記載の血液凝固系解析装置。

請求項4

前記出力部は、前記解析部の解析結果に基づいて、前記血栓リスク及び/又は出血リスクの原因を更に出力する、請求項3に記載の血液凝固系解析装置。

請求項5

前記血栓リスクの原因は、組織因子の血液試料への暴露アンチトロンビン量又はアンチトロンビン反応速度の低下、及び内因系凝固経路の亢進からなる群より選ばれるいずれか1つ以上によるものである、請求項4に記載の血液凝固系解析装置。

請求項6

前記出血リスクの原因は、外因系凝固因子欠乏及び/又は内因系凝固因子欠乏によるものである、請求項4に記載の血液凝固系解析装置。

請求項7

前記凝固因子は、内因系凝固因子である、請求項1に記載の血液凝固系解析装置。

請求項8

前記凝固阻害因子は、アンチトロンビンである、請求項1に記載の血液凝固系解析装置。

請求項9

前記解析の際に、前記特定の周波数の複素誘電率スペクトルから抽出される特徴点を用いる、請求項1に記載の血液凝固系解析装置。

請求項10

前記特徴量は、前記特定の周波数の複素誘電率スペクトルから抽出される時間特徴量及び/又は勾配特徴量である、請求項9に記載の血液凝固系解析装置。

請求項11

前記勾配特徴量は、前記特定の周波数の複素誘電率スペクトルから抽出される時間特徴量に基づいて抽出される、請求項10に記載の血液凝固系解析装置。

請求項12

前記特徴量は、100kHz以上3MHz未満低周波数で複素誘電率の極大値を与える時間CT0、低周波数で最大勾配を与える時間CT1、低周波数での最大勾配CFR、CT1以降で傾きの絶対値がCFRの所定割合になった際の時間CT4、3〜30MHzの高周波数で複素誘電率の極小値を与える時間CT、高周波数で最大勾配を与える時間CT3、高周波数での最大勾配CFR2、CT以降CT3以前でCT3からCFR2の傾きで直線を引いた時に複素誘電率の最小値を与える時間CT2、及びCT3以降で傾きの絶対値がCFR2の所定割合になった際の時間CT5からなる群より選ばれるいずれか1つ以上である、請求項9に記載の血液凝固系解析装置。

請求項13

前記2種以上の血液凝固関連アッセイを含む複数の電気的測定用容器、を更に有する、請求項1に記載の血液凝固系解析装置。

請求項14

一対の電極に対して交番電圧を所定の時間間隔で印加する印加ステップと、前記一対の電極間に配される血液試料の複素誘電率を測定する測定ステップと、少なくとも2種以上の血液凝固関連アッセイを用い、前記血液試料に働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、凝固因子の活性及び凝固阻害因子の活性を解析する解析ステップと、を有する、血液凝固系解析方法

請求項15

交番電圧を印加する印加部に対して、一対の電極に時間間隔で交番電圧を印加させること、複素誘電率を測定する測定部に対して、前記一対の電極間に配される血液試料の複素誘電率を測定させること、血液凝固系を解析する解析部に対して、少なくとも2種以上の血液凝固関連アッセイを用い、前記血液試料に働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、凝固因子の活性及び凝固阻害因子の活性を解析させること、を実行させる、血液凝固系解析プログラム

技術分野

背景技術

0002

従来、臨床的に行われる血液状態解析方法として、血液凝固検査がある。一般的な血液凝固検査としては、プロトロンビン時間国際標準化比(PT−INR)、活性化部分トロンボプラスチン時間APTT)に代表される、血液凝固検査が知られている。これらの方法は、血液試料遠心分離して得られる血漿中に含まれ、凝固反応関与するタンパク質による凝固反応性を分析する方法である。

0003

前述の検査方法は、外因凝固能及び内因系凝固能の機能検査を評価するために用いられる。これらの検査では、外因系凝固反応と内因系凝固反応とを惹起する物質を大過剰に添加し、短時間で検査結果が得られるようにしている。これらの検査は、血液試料を遠心分離して得られる血漿を用いて行われるが、生体内血液凝固反応において重要な役割を果たす血小板赤血球等の細胞成分が遠心分離により除去されてしまうため、検査結果と実際の臨床的病態とで齟齬が生じる場合も多い。

0004

ここで、別の機能検査として、トロンボエラストグラフィーやトロンエラストメトリーがあり、これらはそれぞれTEG登録商標)やROTEM(登録商標)として製品化されているが、(1)測定が自動化されておらず、検査結果が測定者手技に依存する、(2)振動の影響を受けやすい、(3)品質管理QC)手順が煩雑で、QC用試薬が高価である、(4)出力信号(トロンボエラストグラム)の解釈熟練を要する等の理由があり、十分に普及していない。また、外因系や内因系の各凝固因子欠乏阻害効果に対して、それほど高い感度を示さないことから、医療現場ニーズ満足できない可能性がある。

0005

また、上述した既存の機能検査では、検査試薬として凝固開始剤を生体内での反応よりも大過剰に用いるのが通常である。そのため、これらの検査は、著しい凝固能の低下、すなわち出血傾向を評価するのに好適であるが、著しい凝固能の亢進、すなわち血栓傾向、或いは血液凝固能の微妙な変化を評価するのには適していない。なお、トロンボエラストメトリーでは、外因系凝固経路や内因系凝固経路を人為的に活性化させる凝固開始剤を用いずにカルシウム再加のみによって測定を行うアッセイも存在するが、当該アッセイでは凝固反応初期に形成されるフィブリンゲルが、測定の際に加えられる回転変位のために破壊されて正しい計測ができず、特に、フィブリノーゲンや血小板が低値検体では測定の再現性が期待できないという問題があった。

0006

ここで、近年、血液凝固測定を簡便かつ正確に評価することができる別の手法として、血液凝固過程誘電測定を行う方法も考案されている(例えば、特許文献1及び2)。この手法では、1組の電極対などからなるコンデンサー状の試料部に血液試料を充填し、それに交流電場印加して血液試料の凝固過程に伴う複素誘電率の変化を測定する方法である。非特許文献1には、この手法を用いることで、簡便に凝固及び線溶反応のプロセスをモニタリングできることが示されている。また、非特許文献2には、当該手法であれば、他の手法では評価が困難であった血液凝固能の亢進についても高い感度で評価可能であることが示されている。しかし、当該手法であっても、複雑な血液凝固動態について正しく評価することは極めて困難であるという問題があった。

0007

特開2010−181400号公報
特開2012−194087号公報

先行技術

0008

Y. Hayashi et al., Analytical Chemistry 87(19), 10072-10079 (2015)
I. Uchimura et al., Biorheology 53, 209-219 (2016)

発明が解決しようとする課題

0009

前述の通り、従来の手法では、複雑な血液凝固動態について正しく評価することは極めて困難であった。

0010

そこで、本技術では、血液凝固動態を精度高く評価することができる血液凝固系解析装置を提供することを主目的とする。

課題を解決するための手段

0011

まず、本技術では、一対の電極と、前記一対の電極に対して交番電圧を所定の時間間隔で印加する印加部と、前記一対の電極間に配される血液試料の複素誘電率を測定する測定部と、少なくとも2種以上の血液凝固関連アッセイを用い、前記血液試料に働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、凝固因子の活性及び凝固阻害因子の活性を解析する解析部と、を有する、血液凝固系解析装置を提供する。
本技術では、前記2種以上の血液凝固関連アッセイは、血液凝固反応の惹起を行わないアッセイ、内因系凝固経路惹起アッセイ、前記内因系凝固経路惹起アッセイよりも弱く内因系凝固経路を惹起するアッセイ、外因系凝固経路惹起アッセイ、及び前記外因系凝固経路惹起アッセイよりも弱く外因系凝固経路を惹起するアッセイからなる群より選ばれるいずれか2種以上のアッセイであってもよい。
また、本技術に係る血液凝固系解析装置は、前記解析部の解析結果に基づいて、血栓リスク及び/又は出血リスクの程度を出力する出力部を更に含むものとすることができる。この場合、前記出力部は、前記解析部の解析結果に基づいて、前記血栓リスク及び/又は出血リスクの原因を更に出力してもよい。また、この場合、前記血栓リスクの原因は、組織因子の血液試料への暴露アンチトロンビン量又はアンチトロンビン反応速度の低下、及び内因系凝固経路の亢進からなる群より選ばれるいずれか1つ以上によるものであるものとすることができる。更に、この場合、前記出血リスクの原因は、外因系凝固因子欠乏及び/又は内因系凝固因子欠乏によるものであるものとすることができる。
更に、本技術では、前記凝固因子は、内因系凝固因子であってもよく、前記凝固阻害因子は、アンチトロンビンであってもよい。
加えて、本技術では、前記解析の際に、前記特定の周波数の複素誘電率スペクトルから抽出される特徴点を用いてもよい。この場合、前記特徴量は、前記特定の周波数の複素誘電率スペクトルから抽出される時間特徴量及び/又は勾配特徴量であるものとすることができる。この場合、前記勾配特徴量は、前記特定の周波数の複素誘電率スペクトルから抽出される時間特徴量に基づいて抽出されるものとすることができる。また、この場合、前記特徴量は、100kHz以上3MHz未満低周波数で複素誘電率の極大値を与える時間CT0、低周波数で最大勾配を与える時間CT1、低周波数での最大勾配CFR、CT1以降で傾きの絶対値がCFRの所定割合になった際の時間CT4、3〜30MHzの高周波数で複素誘電率の極小値を与える時間CT、高周波数で最大勾配を与える時間CT3、高周波数での最大勾配CFR2、CT以降CT3以前でCT3からCFR2の傾きで直線を引いた時に複素誘電率の最小値を与える時間CT2、及びCT3以降で傾きの絶対値がCFR2の所定割合になった際の時間CT5からなる群より選ばれるいずれか1つ以上であるものとすることができる。
また、本技術では、前記2種以上の血液凝固関連アッセイを含む電気的測定用容器、を更に有していてもよい。

0012

また、本技術では、一対の電極に対して交番電圧を所定の時間間隔で印加する印加ステップと、前記一対の電極間に配される血液試料の複素誘電率を測定する測定ステップと、少なくとも2種以上の血液凝固関連アッセイを用い、前記血液試料に働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、凝固因子の活性及び凝固阻害因子の活性を解析する解析ステップと、を有する、血液凝固系解析方法も提供する。

0013

更に、本技術では、交番電圧を印加する印加部に対して、一対の電極に時間間隔で交番電圧を印加させること、複素誘電率を測定する測定部に対して、前記一対の電極間に配される血液試料の複素誘電率を測定させること、血液凝固系を解析する解析部に対して、少なくとも2種以上の血液凝固関連アッセイを用い、前記血液試料に働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、凝固因子の活性及び凝固阻害因子の活性を解析させること、を実行させる、血液凝固系解析プログラムも提供する。

0014

本技術において、「複素誘電率」の用語は、複素誘電率に等価な電気量をも包含する。複素誘電率に等価な電気量としては、複素インピーダンス複素アドミッタンス複素キャパシタンス、複素コンダクタンスなどがあり、これらは単純な電気量変換によって相互に変換可能である。また、「複素誘電率」の測定には、実数部のみ、或いは虚数部のみの測定も含まれる。また、本技術において、「血液試料」とは、赤血球と血漿等の液体成分とを含む試料であればよく、血液自体に限定されるものではない。より具体的には、例えば、全血、血漿、又はこれらの希釈液及び/又は薬剤添加物等の血液成分を含有する液体試料等が挙げられる。

図面の簡単な説明

0015

本技術に係る血液凝固系解析装置100の概念の一例を模式的に示す模式概念図である。
電気的測定用容器101の実施形態の一例を模式的に示す断面図である。
複素誘電率スペクトル(三次元)の測定例を説明する図面代用グラフである。
複素誘電率スペクトル(二次元)の測定例を説明する図面代用グラフである。
複素誘電率スペクトルから抽出される特徴量の例を説明する図面代用グラフである。
(a)〜(d)は、スクリーニング凝固検査及び凝固線溶因子の採血イミングに伴う変化を示す図面代用グラフである。
(e)〜(h)は、スクリーニング凝固検査及び凝固線溶因子の採血タイミングに伴う変化を示す図面代用グラフである。
(a)及び(b)は、ROTEM測定結果の採血タイミングに伴う変化を示す図面代用グラフである。
(c)〜(e)は、ROTEM測定結果の採血タイミングに伴う変化を示す図面代用グラフである。
(a)〜(d)は、DBCM測定解析結果の採血タイミングに伴う変化を示す図面代用グラフである。
(e)〜(h)は、DBCM測定解析結果の採血タイミングに伴う変化を示す図面代用グラフである。
血栓リスクをもれなく発見することを念頭に置いた血液凝固解析方法の一例を示すブロック図である。
外因系弱惹起アッセイと内因系弱惹起アッセイを用いて出血リスクを判定する血液凝固解析方法の一例を示すブロック図である。

0016

以下、本技術を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。
以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。

1.血液凝固系解析装置100
(1)一対の電極1a,1b
(1−1)電気的測定用容器101
(1−2)接続部102
(1—3)容器保持部103
(2)印加部2
(3)測定部3
(4)解析部4
(5)出力部5
(6)表示部6
(7)記憶部7
(8)測定条件制御部8
(9)温度制御部9
(10)血液試料供給部10
(11)薬剤供給部11
(12)精度管理部12
(13)駆動機構13
(14)サンプ待機部14
(15)撹拌機構15
(16)ユーザーインターフェース16
(17)サーバ17
(18)その他

2.血液凝固解析方法
(1)印加ステップ
(2)測定ステップ
(3)解析ステップ

0017

1.血液凝固系解析装置100
血液凝固系解析装置100は、一対の電極1a,1bと、印加部2と、測定部3と、解析部4と、を少なくとも有する。また、血液凝固系解析装置100は、必要に応じて、出力部5、表示部6、記憶部7、測定条件制御部8、温度制御部9、血液試料供給部10、薬剤供給部11、精度管理部12、駆動機構13、サンプル待機部14、撹拌機構15、ユーザーインターフェース16、サーバ17等の他の部を備えていてもよい。以下、各部について詳細に説明する。

0018

(1)一対の電極1a,1b
一対の電極1a,1bは、測定時に血液試料Bと接触し、血液試料Bに必要な電圧を印加する。

0019

一対の電極1a,1bの配置や形態などは特に限定されず、血液試料Bに必要な電圧を印加することができれば適宜自由に設計することができるが、本技術では、一対の電極1a,1bは、後述する電気的測定用容器101に一体成形されていることが好ましい。

0020

電極1a,1bを構成する素材についても特に限定されず、解析対象である血液試料Bの状態等に影響がない範囲で、公知の電気伝導性素材を1種又は2種以上適宜自由に選択して用いることができる。具体的には、例えば、チタンアルミニウムステンレス白金、金、銅、黒鉛等が挙げられる。

0021

本技術では、これらの中でも特に、チタンを含む電気伝導性素材で電極1a,1bを形成することが好ましい。チタンは、血液試料に対して低凝固活性であるという性質を有するため、血液試料Bの測定に好適である。

0022

(1−1)電気的測定用容器101
図2は、電気的測定用容器101の実施形態の一例を模式的に示す断面図である。電気的測定用容器101には、解析対象である血液試料Bが保持される。本技術に係る血液凝固系解析装置100において、この電気的測定用容器101の個数は特に限定されず、解析対象である血液試料Bの量、種類等に応じて、一又は複数の電気的測定用容器101を適宜自由に配置することができる。

0023

本技術に係る血液凝固系解析装置100では、電気的測定用容器101に血液試料Bを保持した状態で、複素誘電率の測定が行われる。そのため、電気的測定用容器101は、血液試料Bを保持した状態で密封可能な構成であることが好ましい。ただし、複素誘電率を測定するのに要する時間停滞可能であって、測定に影響がなければ、気密な構成でなくてもよい。

0024

電気的測定用容器101への血液試料Bの具体的な導入及び密閉方法は特に限定されず、電気的測定用容器101の形態等に応じて、適宜自由な方法で導入することができる。例えば、電気的測定用容器101に蓋部を設け、ピペット等を用いて血液試料Bを導入した後に蓋部を閉じて密閉する方法等が挙げられる。

0025

電気的測定用容器101の形態は、解析対象である血液試料Bを装置内に保持することができれば特に限定されず、適宜自由に設計することができる。また、電気的測定用容器101は、一又は複数の容器からなるものとすることができる。

0026

電気的測定用容器101の具体的な形態は特に限定されず、解析対象である血液試料Bを保持可能であれば、円筒体、断面が多角(三角四角或いはそれ以上)の多角筒体円錐体、断面が多角(三角、四角或いはそれ以上)の多角錐体、或いはこれらを1種又は2種以上組み合わせた形態など、血液試料Bの状態等に応じて、適宜自由に設計することができる。

0027

また、容器101を構成する素材についても特に限定されず、解析対象である血液試料Bの状態等に影響のない範囲で、適宜自由に選択することができる。本技術では特に、加工成形のし易さなどの観点から、容器101が樹脂により構成されていることが好ましい。本技術において、用いることができる樹脂の種類等も特に限定されず、血液試料Bの保持に適用可能な樹脂を、1種又は2種以上適宜自由に選択して用いることができる。例えば、ポリプロピレンポリメチルメタクリレートポリスチレンアクリルポリサルホンポリテトラフルオロエチレンなどの疎水性かつ絶縁性ポリマーコポリマーブレンドポリマー等が挙げられる。

0028

本技術では、これらの中でも特に、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、及びポリサルホンから選ばれる一種以上の樹脂で電気的測定用容器101を形成することが好ましい。これらの樹脂は、血液試料に対して低凝固活性であるという性質を有するため、血液試料の測定に好適である。

0029

なお、本技術では、電気的測定用容器101として、公知の使い捨てカートリッジタイプのものを用いることもできる。

0030

本技術では、後述する2種以上の血液凝固関連アッセイを含む複数の電気的測定用容器101を備えていることが好ましい。これにより、後述する解析部4での血栓リスクの程度の解析を効率的に行うことができる。また、本技術において、2種以上の血液凝固関連アッセイを構成する試薬は、予めアッセイ毎に複数の電気的測定用容器101にそれぞれ封入されていることが好ましい。

0031

本技術では、このように、薬剤を用いる場合、電気的測定用容器101には、予め所定の薬剤を、固体化して、或いは液体のまま収容しておくことも可能である。例えば、抗凝固剤、凝固開始剤、内因系凝固経路開始剤、外因系凝固経路開始剤、カルシウム塩等を予め容器101に入れておくことができる。このように、容器101に予め薬剤を収容しておくことで、後述する薬剤供給部11や薬剤を保持する部位が不要となり、装置の小型化やコストの低減が可能である。また、ユーザーの薬剤交換等の手間が不要となり、薬剤供給部11や薬剤を保持する部位等の装置メンテナンスも不要となるためにユーザビリティを向上させることもできる。

0032

(1−2)接続部102
接続部102は、後述する印加部2と電極1a,1bとを、電気的に接続する。接続部102の具体的な形態は特に限定されず、印加部3と電極1a,1bとを電気的に接続することが可能であれば、適宜自由に設計することができる。

0033

(1−3)容器保持部103
容器保持部103は、電気的測定用容器101を保持する。容器保持部103の具体的な形態は特に限定されず、解析対象である血液試料Bが収容された容器101を保持可能であれば、適宜自由に設計することができる。

0034

容器保持部103を構成する素材についても特に限定されず、電気的測定用容器101の形態等に応じて、適宜自由に選択することができる。

0035

また、本技術では、容器保持部103は、電気的測定用容器101に備えられた情報記録媒体から、容器101に関する情報を、自動的に読み取る機能(バーコードリーターなど)を備えていてもよい。前記情報記憶媒体とは、例えば、ICカードICタグ、バーコードやマトリックス型二次元コードを備えるカード、バーコードやマトリックス型二次元コードを印字した紙又はシール等が挙げられる。

0036

(2)印加部2
印加部2は、一対の電極1a,1bに対して交番電圧を所定の時間間隔で印加する。より具体的には、例えば、印加部2は、測定を開始すべき命令を受けた時点又は装置100の電源投入された時点を開始時点として、一対の電極1a,1bに交番電圧を印加する。より具体的には、印加部2は、設定された測定間隔又は後述する測定条件制御部8において制御された測定間隔ごとに、一対の電極1a,1bに対して、設定された周波数又は後述する測定条件制御部8において制御された周波数の交番電圧を印加する。

0037

(3)測定部3
測定部3は、一対の電極1a,1b間に配される血液試料の複素誘電率を測定する。測定部3の構成は、血液試料Bに対して測定目的である複素誘電率が測定可能となるように構成されていれば、適宜自由に設計することができる。具体的には、例えば、測定部3として、インピーダンスアナライザーネットワークアナライザー等を採用できる。

0038

より具体的には、例えば、印加部2により血液試料Bに交番電圧が印加されることによって得られる血液試料Bのインピーダンスを経時的に測定するように構成され、測定を開始すべき命令を受けた時点又は装置100の電源が投入された時点を開始時点として、電極1a,1b間における血液試料Bのインピーダンスを経時的に測定するような構成を採用できる。そして、測定したインピーダンスから、複素誘電率を導出する。この複素誘電率の導出には、インピーダンスと誘電率との関係を示す既知関数関係式を用いることができる。

0039

測定部3による測定結果は、周波数、時間、及び誘電率を各座標軸とする三次元の複素誘電率スペクトル(図3)、或いは、周波数、時間、及び誘電率から選択される2つを各座標軸とする二次元の複素誘電スペクトル図4)として得ることができる。図3中のZ軸は、各時間及び各周波数における複素誘電率の実数部を示す。

0040

図4は、図3に示す三次元スペクトルを周波数760kHzで切り出した二次元スペクトルに対応する。図4中の符号(A)は赤血球の連銭形成に伴うピークであり、符号(B)は血液試料凝固過程に伴うピークである。本願発明者らは、上記特許文献1において、血液試料の誘電率の時間的変化が血液試料の凝固過程を反映することを明らかにしている。したがって、測定部3で得られる複素誘電率スペクトルは、血液試料の凝固能を定量的に示す指標となるものであり、その変化に基づけば、血液凝固時間、血液凝固速度、血液凝固強度等の血液試料の凝固能に関する情報を得ることが可能である。

0041

(4)解析部4
解析部4は、少なくとも2種以上の血液凝固関連アッセイを用い、血液試料Bに働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、凝固因子の活性及び凝固阻害因子の活性を解析する。なお、本明細書では、「活性」の概念には、反応速度の低下を含む生理的活性も含まれる。

0042

前述の通り、従来の手法では、複雑な血液凝固動態について正しく評価することは極めて困難であることが、本技術について検討する過程で明らかとなった。すなわち、後述する実施例1に示すように、従来の手法では、(i)一部凝固因子の欠乏により凝固能が低下しているが、同時に他の因子等に関連して凝固亢進が見られるような場合や、(ii)凝固亢進の原因が凝固阻害因子(特に、アンチトロンビン)の生理的条件での実行的活性低下によるものである場合などにおいて、血栓リスクを正しく解析できないことが判明した。

0043

上記(i)については、人工心肺を用いた手術後の回復期間にみられ、通常の検査では分からない血栓リスクである。また、上記(ii)については、血栓症予防のために一般的に処方されるビタミンK拮抗阻害剤ワルファリンなど)を用いると、凝固阻害因子であるアンチトロンビン等も減少してしまう。この場合でもPT−INR検査等の凝固検査では、その検査の特徴からアンチトロンビンの減少を反映することができず、凝固延長の検査結果となり、血栓リスクは低減されたと誤判定されてしまうことになる。しかし、実際には、凝固能も生理的条件下での凝固抑制能(主にアンチトロンビンによる)も両方低下しており、血栓リスクは両者のバランスが重要であるので、必ずしも血栓リスクが低減されたとは言えない。このような齟齬を防ぐためには、凝固検査単独ではなく、アンチトロンビン活性測定も行わなければならない。

0044

しかしながら、アンチトロンビン活性測定を行っても、次のような場合には対応できない。すなわち、アンチトロンビンの量(濃度)は減少していないが、その生理的な(動的な)活性が低下している病態が問題である場合である。言い換えれば、アンチトロンビンの量は変化していないが、アンチトロンビンの反応速度が低下しているケースである。既存のアンチトロンビン活性試験や定量試験では、アンチトロンビンの反応速度の微妙な変化を反映することはできない。一方で、生体内で血栓ができるかどうかが問題である場合には、トロンビン生成加速していく凝固因子活性化反応と、トロンビン阻害していく反応との競争であり、アンチトロンビンの量だけでなくその反応速度が重要であると言える。これまで、このようなアンチトロンビンの反応速度に関連した血栓リスクは一般的に認識されていなかった。

0045

これに対して、本技術に係る血液凝固系解析装置は、特に、上述したような血栓リスクを有する検体であっても、もれなく発見することができる。すなわち、これまで認識することができなかった血栓リスクをも評価可能となり、血液凝固動態を精度高く評価することができる。その結果、術後の血栓止血管理や凝固異常が問題となる疾患全般にわたって、患者凝固状態に見合うテーラーイド治療が可能となる。

0046

また、凝固因子の低下と凝固阻害因子の活性低下が共存するような病態において、従来の手法では両方のリスクを推定するために、凝固検査だけでなく血液凝固因子等の測定を行う必要があったが、本技術により、これらの両方のリスクを簡単に評価することが可能となり、リスク判定結果に基づいた治療方針の決定が可能となる。更には、本技術を一般的な健康診断等に適応することで、血栓症脳出血等が起こる前にそのリスクを知ることができる。

0047

本技術において、前記2種以上の血液凝固関連アッセイとしては、血液凝固反応の惹起を行わないアッセイ、内因系凝固経路惹起アッセイ(以下、「内因系強惹起アッセイ」とも称する)、前記内因系凝固経路惹起アッセイよりも弱く内因系凝固経路を惹起するアッセイ(以下、「内因系弱惹起アッセイ」とも称する)、外因系凝固経路惹起アッセイ(以下、「外因系強惹起アッセイ」とも称する)、及び前記外因系凝固経路惹起アッセイよりも弱く外因系凝固経路を惹起するアッセイ(以下、「外因系弱惹起アッセイ」とも称する)からなる群より選ばれるいずれか2種以上のアッセイであることが好ましい。

0048

また、本技術においては、前記2種以上の血液凝固関連アッセイに、内因系弱惹起アッセイ及び/又は外因系弱惹起アッセイが含まれることがより好ましい。

0049

前記内因系強惹起アッセイは、例えば、クエン酸による抗凝固作用を解くためのカルシウム塩と内因系を強く惹起する濃度の内因系凝固経路開始剤によって構成される。前記内因系凝固経路開始剤としては、例えば、エラグ酸が挙げられ、この場合、例えば、一般的なAPTT検査用試薬の中でエラグ酸を凝固活性化剤として用いているもの(アクチンSFLなど)を用いることができ、エラグ酸の終濃度は、好ましくは血液試料:APTT検査用試薬の比が18:1〜200:1であり、より好ましくは50:1〜150:1であり、最適な終濃度は90:1である。

0050

前記内因系弱惹起アッセイは、例えば、クエン酸による抗凝固作用を解くためのカルシウム塩と内因系を弱く惹起する濃度の内因系凝固経路開始剤によって構成される。前記内因系凝固経路開始剤としては、例えば、エラグ酸が挙げられ、この場合、エラグ酸の終濃度は、好ましくは血液試料:APTT検査用試薬の比が230:1〜2300:1であり、より好ましくは450:1〜1800:1あり、最適な終濃度は900:1である。

0051

前記外因系強惹起アッセイは、例えば、クエン酸による抗凝固作用を解くためのカルシウム塩と外因系を強く惹起する濃度の外因系凝固経路開始剤によって構成される。前記外因系凝固経路開始剤としては、例えば、組織因子(TF:tissuefactor)が挙げられ、この場合、組織因子の終濃度は、好ましくは5pMよりも高濃度であり、より好ましくは10pM以上であり、最適な終濃度は50pMである。

0052

前記外因系弱惹起アッセイは、例えば、クエン酸による抗凝固作用を解くためのカルシウム塩と外因系を弱く惹起する濃度の外因系凝固経路開始剤によって構成される。前記外因系凝固経路開始剤としては、例えば、組織因子が挙げられ、この場合、組織因子の終濃度は、好ましくは5pM以下であり、より好ましくは0.2〜2.0pMであり、最適な終濃度は0.6〜0.7pMである。

0053

本技術では、解析部4にて活性を解析する凝固因子は特に限定されないが、後述する実施例2に示す通り、特に、内因系凝固因子とすることができる。また、解析部4にて活性を解析する凝固阻害因子も特に限定されないが、後述する実施例2に示す通り、特に、アンチトロンビンとすることができる。

0054

解析部4では、より具体的には、あるアッセイを用いて測定した前記特定の周波数における複素誘電率のスペクトルにおいて特徴量を抽出し、当該特徴量が、例えば、一定数健常者及び/又は患者による測定結果に基づいて、予め定められた判定基準を超えるか否かについて判定する。前記判定基準としては、例えば、単に閾値を設定することができるが、好ましくは、強惹起アッセイを用いて測定した血液凝固時間(s)と弱惹起アッセイを用いて測定した血液凝固時間(w)との関数に基づいて定められた値である。

0055

同様に、あるアッセイとは異なる他のアッセイを用いて測定した前記特定の周波数における前記複素誘電率のスペクトルにおいて特徴量を抽出し、当該特徴量について、前記判定基準を用いて判定する。

0056

そして、あるアッセイを用いて得られた判定結果と、他のアッセイを用いて得られた判定結果とを比較し、判定結果による場合分けを行って各検体(各血液試料)の状態、すなわち、凝固因子の活性及び凝固阻害因子の活性が正常であるか低下しているかを最終的に判定する。

0057

ここで、前記特徴量としては、血液試料凝固反応に関連する時間的な指標や、該反応の速度に関連する指標等を採用することができる。また、本技術では、あるアッセイにおける特徴量と他のアッセイにおける特徴量とを組み合わせることで新たな特徴量や値を算出し、これを予め定められた判定基準と比較してもよい。

0058

図5は、複素誘電率スペクトルから抽出される特徴量の例を説明する図面代用グラフである。図5において、縦軸は誘電率、横軸は時間を示し、上側のグラフは周波数1MHz付近(100kHz以上3MHz未満)での測定結果に基づくものであり、下側のグラフは周波数10MHz付近(3〜30MHz)での測定結果に基づくものである。

0059

本技術において、前記特徴量は、前記特定の周波数の複素誘電率スペクトルから抽出される時間特徴量及び/又は勾配特徴量を用いることができる。また、前記勾配特徴量は、前記特定の周波数の複素誘電率スペクトルから抽出される時間特徴量に基づいて抽出されるものとすることができる。より具体的には、前記特徴量としては、例えば、100kHz以上3MHz未満の低周波数で複素誘電率の極大値を与える時間CT0、低周波数で最大勾配を与える時間CT1(不図示)、低周波数での最大勾配CFR、CT1以降で傾きの絶対値がCFRの所定割合(好ましくは、50%)になった際の時間CT4(不図示)、3〜30MHzの高周波数で複素誘電率の極小値を与える時間CT、高周波数で最大勾配を与える時間CT3、高周波数での最大勾配CFR2、CT以降CT3以前でCT3からCFR2の傾きで直線を引いた時に複素誘電率の最小値を与える時間CT2、及びCT3以降で傾きの絶対値がCFR2の所定割合(好ましくは、50%)になった際の時間CT5(不図示)からなる群より選ばれるいずれか1つ以上を用いることができる。また、これらの特徴量同士の演算値や、測定された複素誘電率等との演算値を用いることもできる。

0060

(5)出力部5
出力部5は、解析部4での解析結果を出力する。本技術において、出力部5の構成は特に限定されず、例えば、測定中に異常な解析結果が得られた場合にのみ、特定の時点で通知信号を発生し、その結果をリアルタイムでユーザーに通知する構成とすることができる。これにより、異常な解析結果が確定された特定の時点でのみユーザーに解析結果が通知されるため、ユーザビリティが向上する。

0061

また、ユーザーへの通知方法も特に限定されず、例えば、後述する表示部6、ディスプレイプリンタスピーカー照明等を介して通知することができる。また、例えば、出力部5には、携帯電話スマートフォン等のモバイル機器へ向け、通知信号が発生したことを知らせるための電子メール等を送信するための通信機能を備える装置も併用することもできる。

0062

また、本技術において、出力部5は、例えば、血栓リスクの程度の解析を行うことが予め装置100に入力されているにも関わらず、前述した前記2種以上の血液凝固関連アッセイを含む複数の電気的測定用容器101が装置100にセットされていない場合には、ユーザーに対して警告等を通知し、該容器101をセットするように促す機能を備えることもできる。

0063

また、本技術では、出力部5は、解析部4の解析結果に基づいて、血栓リスク及び/又は出血リスクの程度を出力してもよい。これにより、血栓リスク及び出血リスクの両方のリスクを有する検体(血液試料)であっても、本技術の血液凝固系解析装置を用いることにより、もれなく発見でき、早期治療に繋がる。

0064

更に、本技術では、出力部5は、解析部4の解析結果に基づいて、前記血栓リスク及び/又は出血リスクの原因を更に出力してもよい。これにより、各リスクの判定のみならず、その原因まで知ることができ、素早さを求められる医療現場のニーズに応えることができる。

0065

ここで、血栓リスクの原因としては、例えば、組織因子の血液試料への暴露、アンチトロンビン量又はアンチトロンビン反応速度の低下、及び内因系凝固経路の亢進からなる群より選ばれるいずれか1つ以上によるものであるとすることができる。また、出血リスクの原因としては、例えば、外因系凝固因子欠乏及び/又は内因系凝固因子欠乏によるものであるとすることができる。すなわち、本技術では、血栓リスクや出血リスクの原因は、複数であってもよいし、一つであってもよい。

0066

(6)表示部6
表示部6は、解析部4での解析結果、測定部3で測定された複素誘電率のデータ、出力部5からの通知結果等を表示する。表示部6の構成は特に限定されず、例えば、表示部6として、ディスプレイ、プリンタ等を採用できる。また、本技術において、表示部6は必須ではなく、外部の表示装置を接続することでもよい。

0067

(7)記憶部7
記憶部7は、解析部4での解析結果、測定部3で測定された複素誘電率のデータ、出力部5からの通知結果等を記憶する。記憶部7の構成は特に限定されず、例えば、記憶部7として、例えば、ハードディスク(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリSSD(Solid State Drive)等を採用することができる。また、本技術において、記憶部7は必須ではなく、外部の記憶装置を接続することでもよい。

0068

更に、本技術では、血液凝固系解析装置100の動作プログラム等が記憶部7に保存されていてもよい。

0069

(8)測定条件制御部8
測定条件制御部8は、測定部3における測定時間及び/又は測定周波数等を制御する。測定時間制御の具体的な方法としては、目的の解析に必要なデータ量等に応じて測定間隔の制御を行ったり、測定値がほぼ横ばいになった場合等に測定終了のタイミングの制御を行ったりすることができる。

0070

また、測定対象である血液試料Bの種類や目的の解析に必要な測定値等に応じて、測定周波数の制御を行うことも可能である。測定周波数の制御としては、電極1a,1b間に印加する交流電圧の周波数を変化させたり、複数の周波数を重畳させて、複数の周波数でのインピーダンス測定を行ったりする方法等が挙げられる。その具体的な方法としては、複数の単周波数アナライザーを並設する方法、周波数をスイープする方法、周波数を重畳させてフィルターで各周波数の情報を抽出する方法、インパルスに対するレスポンスで測定する方法等が挙げられる。

0071

(9)温度制御部9
温度制御部9は、電気的測定用容器101における温度を制御する。本技術に係る血液凝固系解析装置100において、この温度制御部9は必須ではないが、解析対象である血液試料Bを測定に最適な状態に保つためには、備えることが好ましい。

0072

また、後述するように、サンプル待機部14を設ける場合、温度制御部9は、サンプル待機部14における温度を制御することも可能である。更に、測定時又は測定前に、血液試料Bに薬剤を入れる場合、薬剤の温度を制御するために、温度制御部9を備えていてもよい。この場合、温度制御部9は、電気的測定用容器101における温度制御、サンプル待機部14における温度制御、及び薬剤の温度制御のためにそれぞれ設けることもできるし、一つの温度制御部9が全ての温度制御を行ってもよい。

0073

温度制御の具体的な方法は特に限定されないが、例えば、容器保持部103に、温度調整機能を持たせることで、容器保持部103を温度制御部9として機能させてもよい。

0074

(10)血液試料供給部10
血液試料供給部10は、電気的測定用容器101に血液試料Bを自動的に供給する。本技術に係る血液凝固系解析装置100において、この血液試料供給部10は必須ではないが、血液試料供給部8を備えることで、血液凝固系解析の各工程をオートマチックに行うことができる。

0075

血液試料Bの具体的な供給方法は特に限定されないが、例えば、ピペッターとその先端に装着するチップを用いて、電気的測定用容器101に血液試料Bを自動的に供給することができる。この場合、測定誤差等を防止するためにも、前記チップは使い捨てにすることが好ましい。また、血液試料Bの貯蔵庫から、ポンプ等を用いて電気的測定用容器101に血液試料Bを自動的に供給することもできる。更に、常設ノズル等を用いて電気的測定用容器101に血液試料Bを自動的に供給することも可能である。この場合、ノズルには、測定誤差等を防止するためにも、洗浄機能を付与することが好ましい。

0076

また、本技術では、血液試料供給部10に、検体である血液試料Bの種類等を識別し、自動的に読み取る機能(バーコードリーダーなど)等を備えることも可能である。

0077

(11)薬剤供給部11
薬剤供給部11は、電気的測定用容器101に1種又は2種以上の薬剤を自動的に供給する。本技術に係る血液凝固系解析装置100において、この薬剤供給部11は必須ではないが、薬剤供給部11を備えることで、血液凝固系解析の各工程をオートマチックに行うことができる。

0078

薬剤の具体的な供給方法は特に限定されず、前述した血液試料供給部10と同様の方法を用いて行うことができる。特に、薬剤の供給は、電気的測定用容器101に接触することなく、一定量の薬剤を供給できる方法が好ましい。例えば、液体状の薬剤であれば、吐出による供給を行うことができる。より具体的には、例えば、予め薬液吐出管内へ導入しておき、これに接続される管路を介して、別途接続される加圧空気を短時間管路へ吹き込むことにより、容器101へ薬液を吐出供給することができる。この際、空気圧バルブ開閉時間を調整することにより、薬液の吐出量を調整可能とすることもできる。

0079

また、空気を吹き込む以外に、加熱により薬液自体、或いはそれに溶存する空気の気化を利用して、容器101へ薬液を吐出供給することもできる。この際、発熱素子等を設置した気化室への印加電圧と時間を調整することにより、発生気泡容積を調整し、薬液の吐出量を調整することもできる。

0080

更に、空気を使わず、圧電素子ピエゾ素子)等を用いて、管路内に設けられた可動部を駆動し、可動部容積で定まる量の薬液を送出することにより、容器101へ薬液を供給することもできる。また、例えば、薬液を微滴化し、所望の容器101へ直接吹き付ける、所謂、インクジェット方式を用いることにより、薬剤を供給することも可能である。

0081

また、本技術では、薬剤供給部11に、撹拌機能温度制御機能、薬剤の種類等を識別し、自動的に読み取る機能(バーコードリーダーなど)等を備えることも可能である。

0082

(12)精度管理部12
精度管理部12は、測定部3の精度管理を行う。本技術に係る血液凝固系解析装置100において、この精度管理部12は必須ではないが、精度管理部12を備えることで、測定部3での測定精度の向上や、ユーザビリティの向上を図ることができる。

0083

具体的な精度管理方法は特に限定されず、公知の精度管理方法を適宜自由に用いることができる。例えば、装置100内に、ショート用の金属板等を設置しておき、測定開始前に電極と金属板とをショートさせることで測定部3のキャリブレーションを行う方法、キャリブレーション用のジグ等と電極とを接触させる方法、血液試料Bを入れる容器101と同一の形態の容器に金属板等を設置しておき、測定開始前に電極と金属板とをショートさせることで測定部3のキャリブレーションを行う方法等の測定部3のキャリブレーションを行うことにより、測定部3の精度管理を行う方法等が挙げられる。

0084

また、前述した方法に限らず、実際の測定前に測定部3の状態をチェックし、異常があった時のみ、前述したキャリブレーション等を行って測定部3を校正することで、測定部3の精度管理を行う方法など、適宜自由な方法を選択して用いることができる。

0085

(13)駆動機構13
駆動機構13は、様々な目的に応じて、測定部3中の電気的測定用容器101を動かすために用いられる。例えば、容器101に保持された血液試料Bにかかる重力の方向を変化させる方向へ該容器101を動かすことで、血液試料B中の沈降成分の沈降により、測定値に影響が生じるのを防ぐことができる。

0086

また、例えば、非測定時には、印加部2と電極1a、1bとを非接続状態とし、測定時には、印加部2と電極1a、1bとを電気的に接続可能となるように、電気的測定用容器101を駆動させることもできる。

0087

更に、例えば、複数の電気的測定用容器101を備える場合には、容器101を動かすことができるように構成しておけば、容器101を必要な部位に移動させることで、測定、血液試料供給、薬剤供給などを行うことができる。即ち、測定部3、血液試料供給部10、薬剤供給部11等を目的の電気的測定用容器101に移動させる必要がないため、各部を動かすための駆動部などを設ける必要がなく、装置の小型化やコストの低減が可能である。

0088

(14)サンプル待機部14
サンプル待機部14は、分取した血液試料Bを測定前に待機させる。本技術に係る血液凝固系解析装置100において、このサンプル待機部12は必須ではないが、サンプル待機部14を備えることで、誘電率の測定を円滑に行うことができる。

0089

本技術では、サンプル待機部14に、撹拌機能、温度制御機能、電気的測定用容器101への移動機構、血液試料Bの種類等を識別し、自動的に読み取る機能(バーコードリーダーなど)や、自動開栓機能等を備えることも可能である。

0090

(15)撹拌機構15
撹拌機構15は、血液試料Bの撹拌、血液試料Bと薬剤との撹拌を行う。本技術に係る血液凝固系解析装置100において、この撹拌機構13は必須ではないが、例えば、血液試料Bに沈降性成分が含まれる場合や、測定時に血液試料Bに薬剤を添加する場合などには、撹拌機構15を備えることが好ましい。

0091

具体的な撹拌方法は特に限定されず、公知の撹拌方法を適宜自由に用いることができる。例えば、ピペッティングによる撹拌、撹拌棒又は撹拌子等を用いた撹拌、血液試料Bや薬剤の入った容器を上下逆転させることによる撹拌等を挙げることができる。

0092

(16)ユーザーインターフェース16
ユーザーインターフェース16は、ユーザーが操作するための部位である。ユーザーは、ユーザーインターフェース16を通じて、血液凝固系解析装置100の各部にアクセスすることができる。

0093

(17)サーバ17
サーバ17は、測定部3でのデータ及び/又は解析部4での解析結果を記憶する記憶部を少なくとも備え、ネットワークを介して、少なくとも測定部3及び/又は解析部4と接続されている。

0094

また、サーバ17では、血液凝固系解析装置100の各部からアップロードされた各種データの管理や、ユーザーからの指示により表示部6等に各種データを出力することも可能である。

0095

(18)その他
なお、本技術に係る血液凝固系解析装置100の各部で行われる機能を、パーソナルコンピュータや、CPU等を含む制御部及び記録媒体不揮発性メモリUSBメモリ等)、HDD、CD等)などを備えるハードウェア資源プログラムとして格納し、パーソナルコンピュータや制御部によって機能させることも可能である。

0096

2.血液凝固系解析方法
血液凝固系解析方法は、印加ステップと、測定ステップと、解析ステップと、を少なくとも有する。また、必要に応じて、他のステップを有していてもよい。以下、各ステップについて詳細に説明する。

0097

(1)印加ステップ
印加ステップでは、一対の電極に対して交番電圧を所定の時間間隔で印加する。詳細な方法は、前述した印加部2で行われる方法と同様であるため、ここでは説明を割愛する。

0098

(2)測定ステップ
測定ステップでは、前記一対の電極間に配される血液試料の複素誘電率を測定する。詳細な方法は、前述した測定部3で行われる方法と同様であるため、ここでは説明を割愛する。

0099

(3)解析ステップ
解析ステップでは、少なくとも2種以上の血液凝固関連アッセイを用い、前記血液試料に働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、凝固因子の活性及び凝固阻害因子の活性を解析する。詳細な方法は、前述した解析部4で行われる方法と同様であるため、ここでは説明を割愛する。

0100

なお、より具体的な解析方法については、後述する実施例3の図12、或いは実施例4の図13に示す。

0101

以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。
なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。

0102

<<実施例1>>
人工心肺を用いる心臓血管手術を受ける成人患者24名の血液による測定を実施した。

0103

<検体>
採血のタイミングは、下記の通りであり、クエン酸を抗凝固剤として含む採血管に採血した。
(A)麻酔導入後手開始前
(B)人工心肺終了後・プロタミンによるヘパリン中和の終了時
(C)手術終了ICU入室
(D)手術1週間後
(E)手術1ヶ月後

0104

<測定>
DBCM(dielectric blood coagulometry)測定の他、トロンボエラストメトリー、スクリーニング血液凝固検査及び凝固因子の定量検査トロンビン生成試験などを実施した。

0105

DBCM測定には、誘電コアグロメーター実験用プロトタイプ機(ソニー株式会社製)を使用した。測定システムは、自動血液分注部、37℃(+0,−1℃以内)にコントロールされた4連カートリッジホルダーディスポーザブルカートリッジと接続されるインピーダンスアナラーザーボード(周波数域:100Hz〜40MHz)、及びPCからなる。カートリッジは、ポリプロピレン製で、一対のチタン製電極対がインサートされており、平衡平板コンデンサーとして機能することで血液の複素誘電率を測定することができる。また、血沈の影響を受けにくくなるように電極は配置されている。サンプルカートリッジホルダーに対し、予め試薬が封入されたカートリッジをセットする。なお、今回使用した誘電コアグロメーター実験用プロトタイプ機は、4連サンプルカートリッジホルダーを有しており、4通りの異なる試薬を用いた測定を同時に実施することができる。

0106

本実施例1で用いた試薬とそれに対応するアッセイ名を、以下に示す。すなわち、組織因子によって外因系凝固経路を活性化させるEX、エラグ酸によって内因系凝固経路を活性化させるIN、サイトカラシンDによって血小板凝集を阻害した状態で組織因子によって外因系凝固経路を活性化させるPI、及びアプロチニンによって線溶系を阻害した状態で組織因子によって外因系凝固経路を活性化させるLIアッセイである。なお、これらの試薬に加え、クエン酸による抗凝固作用を解くために塩化カルシウムも共通して加えた。また、検体は特別な処理は行わずに、全血のまま測定に用いた。

0107

トロンボエラストメトリー測定は、ROTEMdelta(TEM社製)を用いて、メーカー指定の操作に従って実施した。測定したアッセイは、DBCM測定と対応するように次のように選択した。すなわち、組織因子によって外因系凝固経路を活性化させるEXTEM、エラグ酸によって内因系凝固経路を活性化させるINTEM、サイトカラシンDによって血小板凝集を阻害した状態で組織因子によって外因系凝固経路を活性化させるFIBTEM、及びアプロチニンによって線溶系を阻害した状態で組織因子によって外因系凝固経路を活性化させるAPTEMアッセイである。なお、検体は特別な処理は行わずに、全血のまま測定に用いられた。

0108

スクリーニング血液凝固検査及び凝固因子の定量検査は、血液凝固線溶測定装置(ACLTOP 300CTSIL社製)により実施した。測定には、血球成分を除いた血漿を用いる必要がある。そのため、検体血液を3000rpm×10min(at20℃)で遠心分離し、上澄みを回収して、その上澄みを3000rpm×10min(at20℃)で遠心分離して得られた上澄みを用いた。このようにして得られた血漿は、血小板もほぼ除かれたものであり、乏血小板血漿(PPP)とみなせるものである。測定はメーカー指定の手順と専用試薬を用いて実施した。測定項目は、下記表1の通りとした。

0109

0110

<結果及び考察>
外因系の凝固検査であるPT−INR(図6の(a))とROTEMEXTEM(図8の(a))では、手術直前の麻酔導入時と比較し、人工心肺終了後は血液凝固時間が延長しているが、手術終了後ICU入室時には延長傾向が緩和されていた。特に注目すべき点は、術後1週間及び1ヶ月後の血液凝固時間は手術開始直前と比べて延長したことである。この理由として、術後1週間及び1ヶ月後に外因系凝固経路の上流に位置するFVIIがかなり減少していることが挙げられる(図6の(d))。

0111

各凝固因子の変動を見ると、人工心肺終了後に低値となるものが多く(図6の(c),(d),図7の(e))、輸液による血液希釈も一因である。術後1週間及び1ヶ月後については、測定項目によって傾向が異なった。例えば、フィブリノーゲンは手術後の炎症のため、特に、術後1週間後は高値となっていた。一方で、他の因子の変動傾向と比較してFVIIはかなり低値となったと言える(図6の(d))。線溶指標であるDD(図7の(f))やFDP図7の(g))は人工心肺終了後高値となり、術後1ヶ月後でも手術直前よりも高い傾向が続いた。また、AT(図7の(h))は手術に伴い低下するが、手術後1週間後には回復した。

0112

一方で、DBCMでは、10MHzの誘電率変化の特徴点として、極小値を与える時間をCT,血液凝固に伴う誘電率増加の傾きが最大になる(最大勾配を与える)時間をCT3として、アッセイ及び採血タイミング毎に解析しまとめた結果が、図10及び11の(a)〜(h)である。人工心肺終了後及びICU入室時には手術開始直前と比較して総じて延長傾向を示した。こうした変化は、先に示したPT−INRやROTEMEXTEMの結果と一致する。

0113

しかし、それ以降(術後1週間、出後1ヶ月)では、外因系の凝固経路を惹起するアッセイ(EX,LI,PI)のCTは手術開始直前のレベルまで戻っており、検体によってはむしろ短縮しているものもあった。このことから、PT−INRやROTEMEXTEMでは分からなかった血栓リスク(凝固亢進)を評価できたことが分かった。

0114

一方で、CT3は、外因系の凝固経路を惹起するアッセイ(EX,LI,PI)では、手術開始直前よりも術後1週間や術後1ヶ月では延長傾向が見られたので、PT−INRやROTEMEXTEMの結果と一致するものであった。つまり、FVII低下に伴う出血リスクを捉えていると言える。

0115

すなわち、術後1週間や術後1ヶ月では、血栓リスクと出血リスクの両方が存在しているという、これまでの通常の検査では認識することができなかった知見が得られた。通常の検査(PT−INRやEXTEMなど)では凝固時間が延長しているので、血栓リスクは見落とされることになるが、実際には、血液が微量な組織因子に暴露されることによる潜在的な血栓リスクが高まっていると考えられる。

0116

ここで、FVIIが低下しているため、凝固反応が加速していくスピードは緩やかであると考えられるが、凝固反応が進行するには十分なFVIIが残っている。健常者では組織因子の暴露はほとんど無いので健康な血管内で凝固反応が進むリスクはほとんど無いことと比較すると、術後1週間及び1ヶ月後の測定結果は高い血栓リスクを示していると言える。一方で、ひとたび血管が開裂して出血が生じた場合には、FVIIの低下により止血に時間を要することになる。最終的には止血に至るとしても、迅速な凝固反応とはならないため、致命的である可能性がある。出血時には、血液は血管外発現している過剰な量の組織因子に暴露されるので、健常者(FVII低下が無い場合)には、速やかに凝固反応が進行するが、今回の術後1週間及び1ヶ月後の測定結果に対応する検体では、FVII低下により過剰な量の組織因子に暴露があっても、止血に時間を要することになる。

0117

更に、内因系のアッセイINを行うことで内因系に異常が無いことを確認できれば、上述した血栓リスクと出血リスクの両方が外因系、すなわち、微量の組織因子の血液への暴露とそれによるFVIIの低下、によることが裏付けられる。また、後述する実施例2で述べるアンチトロンビンの活性低下による血栓リスクとも切り分けることができる。

0118

上記の知見に基づき、改めて各凝固因子の測定結果を見ると、血液が微量の組織因子に暴露されて血栓リスクが高まっているというDBCMによる評価と矛盾しないことが推察できる。すなわち、術後1週間及び1ヶ月後にFVIIはかなり減少しているが、他の因子にはほとんどそのような傾向はみられないという結果は、次の点で注目に値する。他の凝固因子と比較してFVIIの肝臓での合成のみが選択的に低下することは考えにくいため、FVIIの低下は消費性のものである可能性が無視できない点である。血栓塞栓症イベントが生じない程度に、ごく低濃度の組織因子が継続的に血液に暴露されていると考えられる。このようなごく低濃度の組織因子では、血栓症や播種性血管内凝固症候群DIC)として直ちに顕在化するほどではないが、組織因子はFVIIやFVIIaと結合し、消費性のFVII濃度低下を引き起こすと考えられる。

0119

このようなリスクがPT−INRやROTEMEXTEMアッセイで評価できない理由の1つは、検査に用いられる組織因子濃度が高いことによると考えられる。EXTEMアッセイの組織因子終濃度は、今回実施したDBCMの濃度の約30倍であると推定され、PT−INRでの終濃度は約1000倍であり、血中組織因子量と比較して大過剰の組織因子を検査試薬として投入することになる。そのため、血中組織因子による凝固亢進効果は埋もれることになり、逆に、FVII因子欠乏傾向が検査に与える影響が支配的になって凝固延長として観測されることになると考えられる。さらにROTEMにおいては、粘弾性測定の特性として、凝固反応初期に見られる柔らかいフィブリンゲルを破壊してしまいそのような初期の凝固反応を検知できないため、本来凝固開始時間は短く凝固亢進状態である検体であっても、FVIIが低くいために速やかに硬いゲル移行しない場合には、その凝固亢進状態を評価できないものと考えられる。

0120

以上のことから、血栓リスクを精度高く評価するために、以下の要件推奨されることが示唆された。

0121

装置としては、DBCMのように測定中の血液にはずり応力が加わらず初期のフィブリンゲルを破壊しないものが好ましく、逆に、トロンボエラストメトリー等のように測定に伴って初期のフィブリンゲルを破壊してしまうような手法は好ましくない。また、試薬には、外因系凝固経路をごく弱く惹起する濃度の組織因子を用いる。前記装置の解析部では、前記血液試料に働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、血栓リスク(好ましくは、血栓リスク及び出血リスク)を評価する。この解析の際には、前記特定の周波数の複素誘電率スペクトルから抽出される特徴点を用いることが好ましい。

0122

なお、上述した推定は、本技術の検討に際し、多数の項目の検査を実施してようやく推定できたことであり、本技術によらずに同様の推定をすることは極めて困難である。また、通常の臨床では、医療経済的側面を鑑みると、このような網羅的な検査とそれに基づく推定は困難である。

0123

<<実施例2>>
既存の検査では評価困難であるアンチトロンビンの生理的活性に関連し、血栓リスクや出血リスク、及び両リスクが共存する場合についての評価方法について研究を行った。実験1では健常者血液の保存に伴う変化を検証モデルとして用い、実験2では健常者血液にアンチトロンビンを加えると凝固時間が延長することを検証した。

0124

実験方法
[実験1]
クエン酸を抗凝固剤として用いた真空採血管によって健常者の静脈血液を採血した。最初の1本は破棄し、2本目と3本目に採血した血液を実験に用いた。実験に用いる2本の採血管のうち、1本目は採血後から1時間以内に実験に用いた。もう1本は室温(25℃)で未開封のまま25時間保存し、その後に実験に用いた。測定は、DBCM、PT−INR、APTT、及びアンチトロンビン活性について実施した。このうち、DBCM以外の測定は血液を遠心分離することで得た血漿を用いて測定した。また、DBCM測定で用いたアッセイは、CAアッセイ、IN2アッセイ、IN4アッセイ、及びIN20アッセイである。ここで、CAアッセイはカルシウム塩のみを試薬として用いたものである。また、IN2アッセイ、IN4アッセイ、及びIN20アッセイは、カルシウム塩と内因系凝固経路の凝固開始剤であるエラグ酸を試薬として用いた。具体的にエラグ酸はシスメックス社から購入したactinFSL(APTT測定用試薬)をPBSで6倍に希釈したものを、血液200μLに対して、それぞれ1.2、2.4、及び12μLの分量で用いた。

0125

[実験2]
実験1と同様に採血した健常者血液に、試薬として購入したアンチトロンビンを加えたものと、コントロールとして生理食塩水を加えたものとを用意して、実験を行った。測定はDBCM、APTT、及びアンチトロンビン活性について実施した。このうち、DBCMについては、CAアッセイとIN20アッセイを実施した。

0126

<結果及び考察>
[実験1]
DBCM測定で得られた応答について、例えば、CT0(1MHzで複素誘電率の極大値を与える時間)とCT(10MHzで複素誘電率の極小値を与える時間)に注目して解析したところ、下記表2のようになった。PT−INR、APTT、及びアンチトロンビン活性の測定結果も併せて下記表2にまとめた。

0127

0128

これまで、文献(Ann Clin Biochem. 2017 Jul;54(4):448-462)によると24時間程度の血液保存ではアンチトロンビンの活性には変化がないが、FVIIIはプロテインCによる阻害を受けて低下することが報告されている(文献(Feng et al., Scientific Reports, 2014, 4: 3868))。その他の凝固因子には、やや低下するものと有意に変化しないものがある。すなわち、凝固阻害系であるアンチトロンビン活性は変化せず、凝固系の因子は低下するものがあるので、全体として凝固能はやや低下するというのが、これまでの一般的な認識であった。

0129

上記表2に示した実験結果の中で、アンチトロンビン活性試験結果は血液保存後も低下しておらず、PT−INRやAPTTは保存によってやや延長しているので、上記のようなこれまでの一般的な認識と一致している。しかし、DBCMの測定結果を見ると、人為的な凝固反応の加速を行わないCAアッセイや、内因系凝固経路をごく弱く惹起するIN2アッセイ及びIN4アッセイでは血液の保存によってCTもCT0も大幅に短縮した。これは、保存に伴う凝固反応の低下よりもアンチトロンビンの反応速度の低下の方が支配的であることを意味している。生体の血管内で血栓が起こるかどうかという観点では、ごく弱い凝固反応の惹起が血栓形成までつながるかどうかが問題であり、その場合、アンチトロンビンの反応速度低下は極めて重要なファクターであると言える。しかし、このような知見はこれまで持たれていなかった。

0130

一方で、IN20アッセイ程度まで人為的な凝固活性化を強めると、アンチトロンビンの反応速度低下は見えなくなることも分かった。すなわち、凝固反応の惹起が強ければ、凝固因子の活性度が支配的になるということである。

0131

更に、アンチトロンビンの反応速度低下を定量評価するためには、複数の血液凝固惹起の条件で測定し、惹起の強さによって凝固時間にどれだけ差が出るか見ればよい。例えば、次のような解析を行うことが推奨される。IN20アッセイ、或いは、それよりも強く血液凝固反応を惹起するアッセイと、CAアッセイ、若しくは、IN2アッセイやIN4アッセイのように血液凝固反応を強く惹起しないアッセイ、の両方の測定を行う。そして、強く惹起したアッセイの凝固時間(CTなど)から、血液凝固因子の全体的な活性を評価する。これが基準よりも延長していれば、血液凝固能が低下していることが分かる。次に、弱く惹起したアッセイの凝固時間を評価し、それが強く惹起したアッセイよりも十分延長していれば、アンチトロンビンの活性低下を心配する必要は無いことが分かる。逆に、延長の程度が少ない場合には、血栓リスクの要因として3つの可能性(とそれらの組み合わせ)が考えられる。すなわち、アンチトロンビンの活性低下か、内因系凝固亢進、或いは上記実施例1で示した血液への組織因子の暴露があり、その暴露量が多いために内因系弱惹起アッセイによる反応よりも外因系経路の反応が先に進むほどの場合が考えられ、これらの中のどれか1つ又は複数が該当する場合である。

0132

図12は、血栓リスクをもれなく発見することを念頭に置いた血液凝固解析方法の一例を示すブロック図である。なお、図12中、評価基準1、評価基準2、及び評価基準3は、一定数の健常者及び患者による測定結果をもとにして予め決めることができ、また、これらは単に閾値として設定してもよいが、より好ましくは、強惹起アッセイを用いて測定した血液凝固時間(s)と弱惹起アッセイを用いて測定した血液凝固時間(w)の関数として与えることができる。

0133

図12に示すように、印加ステップと測定ステップを経た後、各アッセイについてCTを検出する。具体的には、例えば、内因系弱惹起アッセイCT(inw)、内因系強惹起アッセイCT(ins)、外因系弱惹起アッセイCT(exw)をそれぞれ検出する。その後、予め定めた評価基準を用いて判定する。具体的には、例えば、(i)CT(ins)が評価基準1よりも小さいか否か、(ii)CT(inw)からCT(ins)を引いた値が評価基準2よりも小さいか否か、(iii)CT(exw)が評価基準3よりも小さいか否かを判定する。

0134

そして、これらの判定結果を用い、上記(i)及び(ii)がYesの場合は、アンチトロンビン生理的活性低下(反応速度低下を含む)及び/又は組織因子の暴露等(血栓リスク)と判定し、上記(i)がYesかつ上記(ii)がNoの場合は、内因系及びアンチトロンビンについて異常なしと判定する。この場合において、もし、上記(iii)がYesの場合は、組織因子の暴露等による外因系凝固亢進(血栓リスク)と判定する。

0135

また、上記(i)がNoかつ上記(ii)がYesの場合は、内因系凝固因子の活性低下(出血リスク)+アンチトロンビン生理的活性低下(反応速度低下を含む)及び/又は組織因子の暴露等(血栓リスク)と判定し、上記(i)及び(ii)がNoの場合は、内因系凝固因子の活性低下(出血リスク)と判定する。この場合において、もし、上記(iii)がYesの場合は、内因系凝固因子の活性低下(出血リスク)と組織因子の暴露等による外因系凝固亢進(血栓リスク)とが共存していると判定する。

0136

このように、血液保存によるアンチトロンビンの反応速度の低下をDBCMのCAアッセイや凝固反応をごく弱く惹起するアッセイで評価できることが示された。アンチトロンビンの反応速度の低下は生体内での何らかの原因によって生じることも想定される。このような原因による血栓リスクの増大は、既存の検査やそれらの組み合わせでは評価できない。

0137

[実験2]
測定結果を下記表3にまとめた。

0138

0139

上記表3に示すように、アンチトロンビンを過剰に添加すると、血液凝固時間が延長することが確認された。

0140

<<実施例3>>
これまでに述べたように、実施例1では、組織因子の暴露とそれによるFVII低下により、血栓リスクと出血リスクが両方存在する検体であっても、例えば、DBCM測定による外因系アッセイのCTとCT3の評価から、両方のリスクを評価可能であることが示された。また、実施例2では、アンチトロンビンの活性低下等による血栓リスクの評価を行う方法が示され、その判定を図12に示すように行うことができることが示された。しかし、図12では、血栓リスク及び/又は出血リスクの要因が外因系にあるのか、内因系にあるのか、ATにあるのかを完全に判定することができない。

0141

そこで、血栓リスクの原因が組織因子の暴露によるものの場合(TF+)と、アンチトロンビンの活性低下によるものの場合(AT−)とを含め、複数のケースを想定して、DBCMの検査結果がどのように変わるかを検証し、下記表4にまとめた。なお、(TF+)はFVIIの低下がそれほど顕著ではないケースも想定して、「TF+(FVII低下を伴わない)」という項目も設定している。

0142

0143

上記表4のように、複数のアッセイを用いることで、血栓リスク及び/又は出血リスクとその要因について、より詳しい分析が可能となる。

0144

<<実施例4>>
実施例3の結果から、さらに具体的なケースを想定した測定(評価)パネルを設定した。より具体的には、出血リスクが懸念される場合(周術期や、抗凝固治療中、出血を疑う所見がある時など)を想定した。

0145

この場合、外因系アッセイと内因系アッセイの両方を実施する必要がある。弱惹起アッセイと強惹起アッセイのどちらを用いてもよいが、FVII因子低下(組織因子混入に起因)による出血リスクか、外因系因子全般の低下による出血リスクかまで判別したい場合には、外因系アッセイは弱惹起を用いる方がよい。そこまで判別する必要が無く、検査結果を早く知りたい場合には、強惹起アッセイを用いることができる。この一例として、図13では、外因系弱惹起アッセイと内因系弱惹起アッセイを用いて出血リスクを判定する血液凝固解析方法について、ブロック図で示した。

0146

図13に示すように、印加ステップと測定ステップを経た後、各アッセイについて特徴量を検出する。具体的には、例えば、内因系弱惹起アッセイCT(in)、外因系弱惹起アッセイCT(ex)及びCT3(ex)をそれぞれ検出する。ここで、CT(in)は、CT3(in)やCT1(in)、又はこれに準ずるパラメーターであってもよく、CT(ex)及びCT3(ex)も、これに準ずるパラメーターであってもよい。

0147

その後、予め定めた評価基準を用いて判定する。具体的には、例えば、(i)CT(in)が評価基準B1よりも大きいか否か、(ii)CT(ex)が評価基準B2よりも大きいか否か、(iii)CT(ex)が評価基準B3よりも小さいか否か、(iv)CT3(ex)が評価基準B4よりも大きいか否かを判定する。

0148

そして、これらの判定結果を用い、上記(i)がYesの場合は、内因系凝固因子欠乏による出血リスクあり、Noの場合は、内因系凝固因子欠乏による出血リスク無し、上記(ii)がNoの場合は、外因系凝固因子欠乏による出血リスクあり、Noの場合は、外因系凝固因子欠乏による出血リスク無し、と判定する。これら2つの判定結果の組み合わせで、4通りの結論が得られる、例えば、上記(i)及び(ii)がYesの場合は、内因系凝固因子及び外因系凝固因子欠乏による出血リスクがあるという判定となる。

0149

また、上記(iii)及び(iv)がYesの場合は、組織因子の血中混入による血栓リスクと外因系凝固因子の内FVIIのみの欠乏による出血リスクとが共存していると判定する。ここで、上記(iii)がYesかつ上記(iv)がNoの場合は、外因系凝固亢進による血栓リスクありと判定する。

実施例

0150

なお、本技術では、以下の構成を取ることもできる。
(1)
一対の電極と、
前記一対の電極に対して交番電圧を所定の時間間隔で印加する印加部と、
前記一対の電極間に配される血液試料の複素誘電率を測定する測定部と、
少なくとも2種以上の血液凝固関連アッセイを用い、前記血液試料に働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、凝固因子の活性及び凝固阻害因子の活性を解析する解析部と、
を有する、血液凝固系解析装置。
(2)
前記2種以上の血液凝固関連アッセイは、血液凝固反応の惹起を行わないアッセイ、内因系凝固経路惹起アッセイ、前記内因系凝固経路惹起アッセイよりも弱く内因系凝固経路を惹起するアッセイ、外因系凝固経路惹起アッセイ、及び前記外因系凝固経路惹起アッセイよりも弱く外因系凝固経路を惹起するアッセイからなる群より選ばれるいずれか2種以上のアッセイである、(1)に記載の血液凝固系解析装置。
(3)
前記解析部の解析結果に基づいて、血栓リスク及び/又は出血リスクの程度を出力する出力部を更に含む、(1)又は(2)に記載の血液凝固系解析装置。
(4)
前記出力部は、前記解析部の解析結果に基づいて、前記血栓リスク及び/又は出血リスクの原因を更に出力する、(3)に記載の血液凝固系解析装置。
(5)
前記血栓リスクの原因は、組織因子の血液試料への暴露、アンチトロンビン量又はアンチトロンビン反応速度の低下、及び内因系凝固経路の亢進からなる群より選ばれるいずれか1つ以上によるものである、(4)に記載の血液凝固系解析装置。
(6)
前記出血リスクの原因は、外因系凝固因子欠乏及び/又は内因系凝固因子欠乏によるものである、(4)又は(5)に記載の血液凝固系解析装置。
(7)
前記凝固因子は、内因系凝固因子である、(1)から(6)のいずれかに記載の血液凝固系解析装置。
(8)
前記凝固阻害因子は、アンチトロンビンである、(1)から(7)のいずれかに記載の血液凝固系解析装置。
(9)
前記解析の際に、前記特定の周波数の複素誘電率スペクトルから抽出される特徴点を用いる、(1)から(8)のいずれかに記載の血液凝固系解析装置。
(10)
前記特徴量は、前記特定の周波数の複素誘電率スペクトルから抽出される時間特徴量及び/又は勾配特徴量である、(9)に記載の血液凝固系解析装置。
(11)
前記勾配特徴量は、前記特定の周波数の複素誘電率スペクトルから抽出される時間特徴量に基づいて抽出される、(10)に記載の血液凝固系解析装置。
(12)
前記特徴量は、100kHz以上3MHz未満の低周波数で複素誘電率の極大値を与える時間CT0、低周波数で最大勾配を与える時間CT1、低周波数での最大勾配CFR、CT1以降で傾きの絶対値がCFRの所定割合になった際の時間CT4、3〜30MHzの高周波数で複素誘電率の極小値を与える時間CT、高周波数で最大勾配を与える時間CT3、高周波数での最大勾配CFR2、CT以降CT3以前でCT3からCFR2の傾きで直線を引いた時に複素誘電率の最小値を与える時間CT2、及びCT3以降で傾きの絶対値がCFR2の所定割合になった際の時間CT5からなる群より選ばれるいずれか1つ以上である、(9)から(11)のいずれかに記載の血液凝固系解析装置。
(13)
前記2種以上の血液凝固関連アッセイを含む複数の電気的測定用容器、
を更に有する、(1)から(12)のいずれかに記載の血液凝固系解析装置。
(14)
一対の電極に対して交番電圧を所定の時間間隔で印加する印加ステップと、
前記一対の電極間に配される血液試料の複素誘電率を測定する測定ステップと、
少なくとも2種以上の血液凝固関連アッセイを用い、前記血液試料に働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、凝固因子の活性及び凝固阻害因子の活性を解析する解析ステップと、
を有する、血液凝固系解析方法。
(15)
交番電圧を印加する印加部に対して、一対の電極に時間間隔で交番電圧を印加させること、
複素誘電率を測定する測定部に対して、前記一対の電極間に配される血液試料の複素誘電率を測定させること、
血液凝固系を解析する解析部に対して、少なくとも2種以上の血液凝固関連アッセイを用い、前記血液試料に働いている抗凝固作用が解かれた以後から前記時間間隔で測定される所定期間における特定の周波数の複素誘電率に基づいて、凝固因子の活性及び凝固阻害因子の活性を解析させること、
を実行させる、血液凝固系解析プログラム。

0151

100:血液凝固系解析装置
1a,1b:一対の電極
101:電気的測定用容器
102:接続部
103:容器保持部
2:印加部
3:測定部
4:解析部
5:出力部
6:表示部
7:記憶部
8:測定条件制御部
9:温度制御部
10:血液試料供給部
11:薬剤供給部
12:精度管理部
13:駆動機構
14:サンプル待機部
15:撹拌機構
16:ユーザーインターフェース
17:サーバ

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