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技術 シンチレータプレート、放射線検出装置および放射線検出システム

出願人 キヤノン株式会社
発明者 尾島徹則
出願日 2018年9月6日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-167214
公開日 2020年3月19日 (8ヶ月経過) 公開番号 2020-041820
状態 特許登録済
技術分野 X線可視像変換
主要キーワード 光導波性 潮解現象 半金属アルコキシド 空間周波数域 目的性能 ジパラキシリレン 放射線崩壊 針状構造
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

シンチレータの特性の劣化の抑制と、空間分解能の低下の抑制とを両立するのに有利な技術を提供する。

解決手段

基板と、基板の上に配された複数の柱状結晶を有するシンチレータと、第1保護膜と、第2保護膜と、を含むシンチレータプレートであって、第1保護膜は、複数の柱状結晶との界面において複数の柱状結晶と化学結合し、シンチレータおよび第1保護膜は、基板および第2保護膜によって封止されている。

概要

背景

放射線を光に変換するシンチレータを備えるシンチレータプレートと、シンチレータによって変換された光を検出する光電変換素子と、を組み合わせた放射線検出装置が広く用いられている。放射線から変換された光を効率よく光電変換素子に伝搬させるために、柱状構造を有するシンチレータを用い、柱状の結晶内で光を伝搬させることが知られている。柱状構造を有するシンチレータとして、CsIなどのアルカリハライドが用いられるが、アルカリハライドは潮解性を示し、大気暴露をすると大気に含まれる水蒸気によって潮解変質してしまう。特許文献1には、シンチレータをポリパラキシリレン膜で覆い、潮解を抑制することが示されている。

概要

シンチレータの特性の劣化の抑制と、空間分解能の低下の抑制とを両立するのに有利な技術を提供する。基板と、基板の上に配された複数の柱状結晶を有するシンチレータと、第1保護膜と、第2保護膜と、を含むシンチレータプレートであって、第1保護膜は、複数の柱状結晶との界面において複数の柱状結晶と化学結合し、シンチレータおよび第1保護膜は、基板および第2保護膜によって封止されている。

目的

本発明は、シンチレータの特性の劣化の抑制と、空間分解能の低下の抑制とを両立するのに有利な技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

基板と、前記基板の上に配された複数の柱状結晶を有するシンチレータと、第1保護膜と、第2保護膜と、を含むシンチレータプレートであって、前記第1保護膜は、前記複数の柱状結晶との界面において前記複数の柱状結晶と化学結合し、前記シンチレータおよび前記第1保護膜は、前記基板および前記第2保護膜によって封止されていることを特徴とするシンチレータプレート。

請求項2

前記第1保護膜が、シリコンチタンアルミニウムおよびジルコニウムからなるグループから選ばれる少なくとも1種の元素酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載のシンチレータプレート。

請求項3

前記第1保護膜と前記複数の柱状結晶との界面において、前記元素が酸素を介して前記複数の柱状結晶と化学結合をしていることを特徴とする請求項2に記載のシンチレータプレート。

請求項4

前記第1保護膜が、前記元素と結合したメトキシ基エトキシ基プロポキシ基、イソプロキシ基、ブトキシ基アセトキシ基塩素臭素およびヨウ素からなるグループから選ばれる少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項2または3に記載のシンチレータプレート。

請求項5

前記第1保護膜は、前記シンチレータの少なくとも前記基板とは反対の側の端部を覆っており、前記第2保護膜は、前記第1保護膜および前記シンチレータを覆っており、前記複数の柱状結晶の前記基板に接しない表面のうち20%以上が、前記第1保護膜と化学結合していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のシンチレータプレート。

請求項6

前記複数の柱状結晶は、前記基板の表面に対する正射影において前記シンチレータの外縁に配された外縁部結晶を含み、前記外縁部結晶のうち前記複数の柱状結晶の何れかと対向しない部分の全体が、前記第1保護膜によって覆われていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のシンチレータプレート。

請求項7

前記第1保護膜の膜厚が、100nm以下であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のシンチレータプレート。

請求項8

前記複数の柱状結晶のうち互いに隣接する柱状結晶のそれぞれ前記第1保護膜に覆われた側面と側面との間に空隙を含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のシンチレータプレート。

請求項9

前記第2保護膜の40℃90%RHにおける水蒸気透過率が、1g/m2・day以上かつ10g/m2・day以下であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のシンチレータプレート。

請求項10

前記第2保護膜が、ポリパラキシリレンポリ塩化ビニリデン酸化シリコンおよび酸化アルミニウムのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載のシンチレータプレート。

請求項11

前記シンチレータプレートは、前記基板と前記シンチレータとの間に、第3保護膜をさらに含み、前記第3保護膜が、前記第2保護膜と同じ材料によって構成される膜を含むことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載のシンチレータプレート。

請求項12

前記第2保護膜が、前記基板のうち前記シンチレータおよび前記第1保護膜に覆われていない部分全体を覆うことを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載のシンチレータプレート。

請求項13

前記複数の柱状結晶のうち互いに隣接する柱状結晶の側面と側面との間隔が、200nm以上かつ1μm以下であることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載のシンチレータプレート。

請求項14

前記複数の柱状結晶のそれぞれの太さが、0.1μm以上かつ50μm以下であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載のシンチレータプレート。

請求項15

前記複数の柱状結晶が、ハライド化合物を含むことを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載のシンチレータプレート。

請求項16

前記ハライド化合物が、アルカリハライドを含むことを特徴とする請求項15に記載のシンチレータプレート。

請求項17

前記アルカリハライドが、以下の一般式(1)で表され、M1X1・αM2X2・βM3X3:γA1・・・(1)ここで、M1は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、および、セシウム(Cs)からなるグループから選ばれる少なくとも1種であり、M2は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、銅(Cu)、および、ニッケル(Ni)からなるグループから選ばれる少なくとも1種であり、M3は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、および、インジウム(In)からなるグループから選ばれる少なくとも1種であり、X1、X2、および、X3は、それぞれ独立にフッ素(F)、塩素、(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)からなるグループから選ばれる少なくとも1種であり、A1は、Eu、Tb、In、ビスマス(Bi)、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、タリウム(Tl)、Na、銀(Ag)、Cu、および、Mgからなるグループから選ばれる少なくとも1種であり、α、β、γは、それぞれ、0≦α<0.5、0≦β<0.5、0<γ≦0.2であることを特徴とする請求項16に記載のシンチレータプレート。

請求項18

請求項1乃至17の何れか1項に記載のシンチレータプレートと、前記シンチレータで放射線から変換された光を検出するための光電変換素子と、を含むことを特徴とする放射線検出装置

請求項19

請求項18に記載の放射線検出装置と、前記放射線検出装置からの信号を処理する信号処理部と、を備えることを特徴とする放射線検出システム

技術分野

背景技術

0002

放射線を光に変換するシンチレータを備えるシンチレータプレートと、シンチレータによって変換された光を検出する光電変換素子と、を組み合わせた放射線検出装置が広く用いられている。放射線から変換された光を効率よく光電変換素子に伝搬させるために、柱状構造を有するシンチレータを用い、柱状の結晶内で光を伝搬させることが知られている。柱状構造を有するシンチレータとして、CsIなどのアルカリハライドが用いられるが、アルカリハライドは潮解性を示し、大気暴露をすると大気に含まれる水蒸気によって潮解変質してしまう。特許文献1には、シンチレータをポリパラキシリレン膜で覆い、潮解を抑制することが示されている。

先行技術

0003

特開2000−9845号公報

発明が解決しようとする課題

0004

大気中の水蒸気からシンチレータを保護するための保護膜として、特許文献1に示されるように厚いポリパラキシリレン膜を用いた場合、シンチレータの潮解を抑制する効果は向上する。一方、保護膜を厚くすると、シンチレータで変換された光が保護膜中拡散し、放射線検出装置の空間分解能が低下する可能性がある。しかしながら、ポリパラキシリレン膜を用いた保護膜を薄くするとシンチレータの潮解を抑制する効果が低下する。

0005

本発明は、シンチレータの特性の劣化の抑制と、空間分解能の低下の抑制とを両立するのに有利な技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係るシンチレータプレートは、基板と、基板の上に配された複数の柱状結晶を有するシンチレータと、第1保護膜と、第2保護膜と、を含むシンチレータプレートであって、第1保護膜は、複数の柱状結晶との界面において複数の柱状結晶と化学結合し、シンチレータおよび第1保護膜は、基板および第2保護膜によって封止されていることを特徴とする。

発明の効果

0007

上記手段によって、シンチレータの特性の劣化の抑制と、空間分解能の低下の抑制とを両立するのに有利な技術を提供する。

図面の簡単な説明

0008

本発明の実施形態に係るシンチレータプレートの構成例を示す断面図。
図1のシンチレータプレートの変形例を示す断面図。
図1のシンチレータプレートを用いた放射線検出装置の構成例を示す断面図。
図3の放射線検出装置を用いた放射線検出システムの構成例を示す図。

実施例

0009

以下、本発明に係る放射線撮像装置の具体的な実施形態を、添付図面を参照して説明する。以下の説明及び図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。また、本発明における放射線には、放射線崩壊によって放出される粒子光子を含む)の作るビームであるα線β線γ線などの他に、同程度以上のエネルギを有するビーム、例えばX線粒子線宇宙線なども含みうる。

0010

図1〜3を参照して、本発明の実施形態によるシンチレータプレートの構成について説明する。図1は、本実施形態におけるシンチレータプレート100の構成例を示す断面図である。シンチレータプレート100は、基板112と、基板112の上に配された複数の柱状結晶111を有するシンチレータ110と、保護膜113(第1保護膜)と、保護膜114(第2保護膜)と、を含む。以下、本実施形態のシンチレータプレート100のそれぞれの構成について具体的に説明を行い、さらに、シンチレータプレート100を用いた放射線検出装置について説明する。

0011

(シンチレータ110)
本実施形態において、シンチレータ110は、基板112の上に形成される。シンチレータ110は、基板112の表面から突出する複数の柱状構造の結晶(柱状結晶111)によって構成され、放射線の照射によって蛍光燐光などの光を発する。即ち、シンチレータ110は、入射した放射線のエネルギを吸収し、波長が300nm〜800nmの範囲内の光、所謂、可視光を中心に紫外光から赤外光の光を発する蛍光体燐光体でありうる。柱状結晶111の長軸は、基板112と垂直に交わっていてもよい。しかしながら、柱状結晶111の長軸と基板112の表面との間の角度は、厳密に垂直である必要はなく、傾いていてもよい。柱状結晶111の長軸と基板112の表面との間の角度が厳密に垂直でない場合であっても、以下に説明する本実施形態の効果に対する影響は小さい。

0012

シンチレータ110のそれぞれの柱状結晶111が発する光は、柱状結晶111内を伝搬しながら、放射線画像を生成するための光電変換素子が配された光電変換パネル受光面に導波される必要がある。そのため、シンチレータ110のそれぞれの柱状結晶111の長軸と基板112の表面の垂線との間の角度が45°以下であってもよい。また、それぞれの柱状結晶111の基板112の表面に対する傾きは、一様でなくてもよい。このため、シンチレータ110を構成する複数の柱状結晶111は、基板112の表面の垂線に対する角度が45°以下の光学界面を多数含みうる。

0013

シンチレータ110の柱状結晶111のそれぞれは、上述のように柱状構造を有しうる。柱状結晶111の柱状構造は、円柱状であってもよいし、多角柱状であってもよい。また、それぞれの柱状結晶111の柱状構造が一様である必要はなく、シンチレータ110において、円柱状の柱状結晶と多角柱状の柱状結晶とが含まれていてもよい。また、それぞれの柱状結晶111の太さが一様である必要はなく、シンチレータ110において、太さが異なる柱状結晶が含まれていてもよい。それぞれの柱状結晶111の太さは、例えば、0.1μm以上かつ50μm以下であってもよい。さらに、それぞれの柱状結晶111の太さは、0.1μm以上かつ15μm以下であってもよい。シンチレータ110の柱状結晶111の太さが0.1μm未満の場合、シンチレータ110の柱状結晶111内で発生する光の波長と比較して、柱状結晶111の太さが小さくなる。このため、幾何学的光回折光学散乱を起こし難くなり、光が受光面に向かって導波され難くなりうる。結果として、光が柱状結晶111の外へ拡散してしまい、このようなシンチレータプレート100を用いた放射線検出器における空間分解能を下げ要因になりうる。一方、理論上、シンチレータプレート100は、シンチレータ110のそれぞれの柱状結晶111の太さよりも小さいものを解像することは困難である。従って、シンチレータ110のそれぞれの柱状結晶の太さが50μmより大きい場合、例えば、10LP/mmのような高空間周波数域だけではなく、1LP/mmのような低空間周波数域における空間分解能も低下させる要因となりうる。

0014

また、シンチレータ110のそれぞれの柱状結晶111において、柱状結晶111内での太さは一様である必要はなく、一方の端から他方の端までの太さの変化が、例えば、50μm以下であってもよい。ただし、本実施形態において、柱状結晶111とは、基板112の側が太く、基板112から離れるにつれて先の細くなった針状構造を含む。シンチレータ110の柱状結晶111が針状構造を有する場合、柱状結晶111の先端(基板112に接する側とは反対の側の端部)が、柱状結晶111の基板112に接する部分などの他の部分よりも50μm以上細くなっていてもよい。また、柱状結晶111の断面の形状も、一方の端から他方の端まで一様でなくてもよく、例えば、基板112との距離が近い部分では多角柱状だった結晶が、基板112との距離が遠くなるにつれて円柱状に変化してもよい。

0015

シンチレータ110の高さは、それぞれの柱状結晶111の長軸の長さであり、シンチレータ110のそれぞれの柱状結晶111の長さのばらつきがより小さい方が適している。それぞれの柱状結晶111の長軸の長さが一様であってもよい。ただし、必ずしも長さが一様である必要はなく、シンチレータ110において、長さの長い柱状結晶111と短い柱状結晶111とを有していてもよい。短い柱状結晶111の端から光が漏れ出た場合であっても、その光は、近接する柱状結晶111の中に入り、そのまま受光面に向かってそのシンチレータ110の柱状結晶111内を伝播しうる。従って、長短の柱状結晶111が混在するシンチレータ110であっても、光の拡散を抑制することができるため、光導波性を有する。

0016

シンチレータ110のそれぞれの柱状結晶111の長軸の長さは、本実施形態の効果に大きな影響を与えるものではなく、柱状結晶111の長さが短くても長くても本実施形態の効果を奏する。従って、シンチレータ110のそれぞれの長軸の長さは特に制限されないが、現実的な作製プロセスを考慮した場合、100nm以上かつ10cm以下であってもよい。さらに、シンチレータ110の長さは、1μm以上かつ1cm以下であってもよい。

0017

シンチレータ110の互いに隣接する柱状結晶111は、互いの側面と側面との間隔が200nm以上かつ1μm以下の、それぞれ独立した柱状構造であってもよい。しかしながら、柱状結晶が互いに完全には分離しておらず、シンチレータ110は、基板112の表面に対して交差する方向に光学界面が断続的に存在してもよい。光学界面が断続的に存在する場合であっても、シンチレータ110は光導波性を有しうる。また、シンチレータ110の柱状結晶111内に空隙または光散乱体が複数存在していても良い。空隙または光散乱体によって光は散乱するが、その散乱光は、シンチレータ110内の近隣の柱状結晶111の中に入り受光面に向かって伝播できる。このため、シンチレータ110は、柱状結晶111に空隙または散乱体を複数内在させていても、光導波性を有しうる。また、シンチレータ110は、柱状結晶111のそれぞれの先端が、図1に示されるように、錐形状になっていてもよい。また、柱状結晶111のそれぞれの先端が、平坦化されていてもよい。柱状結晶111の先端が平坦化されている場合、受光面との凹凸が小さくなり、効率的に光が、光電変換パネルの受光面に受光されることが期待できる。

0018

シンチレータ110のそれぞれの柱状結晶111を構成する材料として、種々の公知のシンチレータ材料を使用することができる。本実施形態において、シンチレータ110が保護膜113、114で覆われることによって水分子の影響を受け難くなるため、水分子と接触して劣化する材料をシンチレータ110に用いることができる。具体的には、シンチレータ110として、潮解性を有する化合物が挙げられ、中でも、金属ハライドなどのハロゲン化物が用いられうる。金属ハライドは、大気に暴露されると潮解し、構造が変化してしまう。潮解し構造が変化すると、シンチレータ110の柱状結晶111内を伝播する光が、柱状結晶111外に拡散し、放射線検出器における空間分解能を低下させうる。ここで、本実施形態は、潮解性に限らず、水分子と接触することで劣化し、放射線検出器における空間分解能を低下させうる材料を用いたシンチレータ110に対して適用されうる。

0019

シンチレータ110の柱状結晶111の潮解反応は、柱状結晶111と水分とが接触することによる加水分解反応と、それによって生じたシンチレータ材料の水溶液水和による吸水によって起こる。この潮解反応を抑制する方法として、シンチレータ110が存在する空間を水蒸気透過率が低い層で覆うことによって、シンチレータ110と水分とを接触させない方法がある。また、別の潮解反応を抑制する方法として、シンチレータ110の柱状結晶111が加水分解反応を起こさないように、柱状結晶111の表面を別の安定した分子置換する方法である。この方法は多量の水蒸気が存在する空間においては、安定した分子に置換された柱状結晶111の表面の層を透過し、水分子が柱状結晶111内部を加水分解し、潮解現象を引き起こしてしまう可能性がある。そこで、本実施形態において、後述するように、2層の保護膜113、114を用いてシンチレータ110の特性劣化を抑制する。

0020

金属ハライドの中で代表的な材料として、ヨウ化セシウム(CsI)などのアルカリハライドがある。CsIは、放射線のうちX線の可視光への変換効率が高い。また、CsIは、蒸着によって容易に柱状結晶111を有するシンチレータ110を形成でき、また、シンチレータ110の柱状結晶111の長さを長くすることが可能である。CsIは、単独では発光効率が十分でないために、賦活剤が添加される。例えばインジウム(In)、タリウム(Tl)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などが、賦活剤として用いられる。

0021

例えば、Tlを含有するCsIシンチレータを形成するための原材料として、1種類以上のTl化合物を含む添加剤とCsIとを用いて、シンチレータ110を形成することができる。CsI:Tlは400nmから750nmまでの広い発光波長を有する。1種類以上のTl化合物を含有するTl化合物としては、一価三価酸化数の化合物を用いることができる。例えば、ヨウ化タリウム(TlI)、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、フッ化タリウム(TlF、TlF3)などが用いられうる。賦活剤の含有量は、目的性能に応じて、適宜調整すればよく、例えば、CsIに対して0.01モル%以上かつ20モル%以下にしてもよい。

0022

シンチレータ110に用いるアルカリハライドに、以下の一般式(1)で表されるアルカリハライドを用いてもよい。

0023

M1X1・αM2X2・βM3X3:γA1 ・・・ (1)
ここで、M1は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、および、セシウム(Cs)からなるグループから選ばれる少なくとも1種である。M2は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、銅(Cu)、および、ニッケル(Ni)からなるグループから選ばれる少なくとも1種である。M3は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、および、インジウム(In)からなるグループから選ばれる少なくとも1種である。X1、X2、および、X3は、それぞれ独立にフッ素(F)、塩素、(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)からなるグループから選ばれる少なくとも1種である。A1は、Eu、Tb、In、ビスマス(Bi)、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、タリウム(Tl)、Na、銀(Ag)、Cu、および、Mgからなるグループから選ばれる少なくとも1種である。α、β、γは、それぞれ、0≦α<0.5、0≦β<0.5、0<γ≦0.2の範囲の数値を表す。

0024

また、本実施形態において、上述のハライド化合物以外の化合物をシンチレータ110に用いてもよい。具体的には、LnTaO4:(Nb,Gd)系、Ln2SiO5:Ce系、LnOX:Tm系(Lnは、希土類元素を表す)、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr、Ce、ZnWO4、LuAlO3:Ce、Gd3Ga5O12:Cr、HfO2などがある。

0025

(基板112)
本実施形態において、基板112は、シンチレータ110を保持できる固体でありうる。金属及びその酸化物半導体及びその酸化物、ガラス樹脂などの材料で構成された基板や、これらの基板の上に光を検出するための光電変換素子などが形成されたセンサパネルを基板112として用いることができる。基板112として、水蒸気透過率が低い材料が適している。しかしながら、基板112に水蒸気透過率が高い材料を用いてもよく、この場合、水蒸気透過率が低い材料を用いた層が、基板112の表面や裏面などに形成されうる。

0026

(保護膜113)
シンチレータ110の柱状結晶111の潮解は、上述のように、柱状結晶111と水との加水分解反応と、加水分解反応によって生じたシンチレータ材料の水溶液の水和反応との2段階で起こる。本実施形態において、保護膜113は、複数の柱状結晶111のそれぞれとの界面において複数の柱状結晶111のそれぞれと化学結合することによって、シンチレータ110の柱状結晶111の表面において、加水分解反応を起き難くする。これは、シンチレータ110のそれぞれの柱状結晶111の表面と保護膜113との間に水に対して安定な化学結合を形成することによって、柱状結晶111の表面において加水分解反応がほぼ起きなくなるためである。結果として、水和反応も起こらずに、シンチレータ110の柱状結晶111は、柱状構造を維持することができる。例えば、シンチレータ110の柱状結晶111がCsIの場合、CsまたはIの何れかと保護膜113を構成する元素の何れかとが、水分に対して安定な化学結合を形成していればよい。

0027

ここで、化学結合とは、共有結合イオン結合配位結合水素結合金属結合などを含む。化学結合が存在することは、例えば、X線光電子分光(XPS)法と飛行時間型2次イオン質量分析(TOF−SIMS)法との分析を組み合わせることによって確認することができる。XPS法によって、保護膜113と柱状結晶111との界面に存在する元素を確認することができる。また、その元素が、どのような結合を形成しているかを推定できる場合もある。TOF−SIMS法を用いると、結合している元素が一緒に検出される。即ち、保護膜113とシンチレータ110の柱状結晶111との間で化学結合を形成している場合、保護膜113と柱状結晶111とを構成するそれぞれの元素が結合した状態の分子量が検出される。これら2つの分析を組み合わせることによって、シンチレータ110の柱状結晶111と保護膜113との間に化学結合が形成されているかを確認することができる。また、結合の種類によってフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)法を用いることによって、シンチレータ110の柱状結晶111と保護膜113との間の化学結合の存在が確認できる。

0028

保護膜113とそれぞれの柱状結晶111の表面とが化学結合する割合が高いほど、柱状結晶111の潮解を抑制することができる。保護膜113は、シンチレータ110の少なくとも基板112とは反対の側の端部を覆う。さらに、保護膜113は、複数の柱状結晶111のそれぞれの少なくとも基板112とは反対の側の端部を覆っていてもよい。ここで、端部とは、柱状結晶111の基板112とは反対側の先端から、柱状結晶の長軸の長さの1/5の範囲のことを指してもよい。また、端部とは、柱状結晶111の基板112とは反対側の先端から、柱状結晶の長軸の長さの1/4の範囲のことを指してもよいし、さらに、1/2の範囲のことを指してもよい。また、複数の柱状結晶111の基板に接しない表面のうち20%以上が、保護膜113と化学結合していてもよい。さらに、複数の柱状結晶111の基板に接しない表面のうち50%以上が、保護膜113と化学結合していてもよい。また、柱状結晶111の保護膜113に接する部分が、すべて化学結合を形成していなくてもよい。柱状結晶111が、保護膜113によって覆われることによって、水分と接触する可能性が抑制される。

0029

また、図1に示されるように、それぞれの柱状結晶111の表面の全体が、保護膜113または基板112の何れかに接していてもよい。また、図1には示されていないが、それぞれ隣り合う柱状結晶111の間の基板112の上に保護膜113が配されていてもよい。この場合、隣り合う柱状結晶111の間に配された保護膜113と基板112とは接していてもよいし、柱状結晶111の基板112に隣接する部分が保護膜113によって覆われず、基板112と保護膜113との間に空隙があってもよい。また、シンチレータ110の隣り合う柱状結晶111同士が接触または近接している部分は、保護膜113に覆われていなくてもよい。スプレー法によって柱状結晶111の基板112とは反対の側の端部のみに保護膜113を形成した場合、端部においては、柱状結晶111が潮解せずに柱状構造を保つことができる。しかし、基板112付近では柱状結晶111が潮解してしまい、このシンチレータプレートの空間分解能が低下してしまう。このため、保護膜113のシンチレータ110の柱状結晶111に対する表面の被覆率が高くなるように保護膜113は形成されうる。例えば、保護膜113と基板112とで、シンチレータ110のそれぞれの柱状結晶111が外気に触れないように、隙間なく包まれていてもよい。また、複数の柱状結晶111は、基板112の表面に対する正射影においてシンチレータの外縁に配された外縁部結晶111aを含む。この外縁部結晶111aは、柱状結晶111のうち、シンチレータ110の中央付近かつ基板112に近い領域の配された部分よりも大気中の水分に曝されやすい可能性がある。このため、外縁部結晶111aのうち複数の柱状結晶111の何れかと対向しない部分115の全体が、保護膜113によって覆われていてもよい。

0030

保護膜113の膜厚は、薄くても十分な潮解抑制効果を得ることができる。一方、保護膜113は、膜厚を厚くした場合であっても、柱状結晶111の潮解を抑制する効果がほとんど変わらない場合がある。結果として、光路長が長くなることや光の分散などによって、シンチレータプレート100の空間分解能が低下することがありうる。このため、保護膜113の膜厚は、例えば、200nm以下であってもよい。さらに、保護膜113の膜厚は、100nm以下であってもよいし、50nm以下であってもよい。また、図1に示されるように、複数の柱状結晶111のうち互いに隣接する柱状結晶111のそれぞれ保護膜113に覆われた側面と側面との間に空隙を含んでいてもよい。保護膜113に覆われた柱状結晶111の間に空隙があることによって、柱状結晶111内を進む光が隣接する柱状結晶111に漏れ出ることを抑制し、シンチレータプレート100の空間分解能の低下を抑制することができる。

0031

保護膜113としては、水や酸素などに対して安定であることが必要である。このため、保護膜113が、シリコンチタン、アルミニウムおよびジルコニウムからなるグループから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含んでいてもよい。例えば、保護膜113は、酸化シリコン酸化チタニウム酸化アルミニウム酸化ジルコニウムなどの金属酸化物または半金属酸化物であってもよい。保護膜113と柱状結晶111との界面において、上述の金属または半金属の元素(シリコン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム)が、酸素を介してシンチレータ110の柱状結晶111を構成する元素と安定な化学結合を形成することができる。シンチレータ110がCsI、保護膜113が酸化シリコンで形成されている場合、CsとSiとが、Oを介して化学結合を形成することによって、シンチレータ110の柱状結晶111を安定化することができる。このように、保護膜113とシンチレータ110の柱状結晶111との間で化学結合を形成することによって、柱状結晶111の表面を安定化することができる。

0032

また、保護膜113を形成する際に、金属または半金属アルコキシド原料として保護膜113を形成してもよい。このとき、保護膜113に金属または半金属アルコキシドの一部が未反応のまま残っていてもよい。つまり、保護膜113が、シリコン、チタン、アルミニウムおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の元素と、これらの元素と結合したメトキシ基エトキシ基プロポキシ基、イソプロキシ基、ブトキシ基アセトキシ基からなるグループから選ばれる少なくとも1種と、を含んでいてもよい。この場合、保護膜113を形成するモノマー単位体積が小さい方が適している。モノマー単位の体積が大きい材料を用いると、柱状結晶111の表面の被覆率を高くできず、十分な潮解抑制効果がでない場合がある。金属または半金属アルコキシドを原料とした場合であっても、シリコン、チタン、アルミニウムおよびジルコニウムなどの金属または半金属と柱状結晶111とは、酸素を介して化学結合を形成しうる。また、金属または半金属アルコキシドとして、金属や半金属に、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲンアミノ基およびその水素原子が置換された誘導体、または、アセチレンが結合したものを用いてもよい。

0033

保護膜113は、シンチレータ110の柱状結晶111と保護膜113の原料とを接触させることによって成膜することができる。保護膜113の原料は、シンチレータ110の柱状結晶111またはその加水分解物と化学結合を形成する活性基を有している必要がある。活性基としては金属または半金属に結合した、アルコキシ基ハロゲン基、アセトキシ基、水酸基などを用いることができる。この活性基をシンチレータ110の柱状結晶111と接触させる、または、熱、プラズマ化学反応など用いて活性化させることによって、保護膜113の原料と柱状結晶111との界面において化学結合を形成することができる。また、活性化しやすい活性基を用いた場合、熱、プラズマ、化学反応など用いなくても、保護膜113と柱状結晶111との界面に化学結合を形成することができる。また、保護膜113を形成する際、原料同士の化学結合を形成する速度が速すぎる場合、柱状結晶111の表面を覆う前に、互いに隣接する柱状結晶111の間の隙間を埋めてしまう場合がある。このため、保護膜113の原料間の化学結合を形成する速度は、適当な速度になるように、熱、プラズマ、化学反応などを用いた活性化方法を調整してもよい。

0034

(保護膜114)
次いで、保護膜114について説明する。本実施形態において、保護膜114は、保護膜113よりも水蒸気透過率の低い膜が用いられる。シンチレータ110および保護膜113が、基板112および保護膜114によって外気から封止される。これによって、シンチレータ110への水分子の接触がさらに阻害され、シンチレータ110の潮解が抑制される。

0035

保護膜114の水蒸気透過率は、膜厚が厚くなるほど低くなり、シンチレータ110の潮解を抑制する効果が高くなる。しかしながら、保護膜114の膜厚が厚くなると、シンチレータ110で放射線から変換された光が、光電変換素子が配された光電変換パネルの受光面に到達するまでの光路長が長くなり、シンチレータプレート100の空間分解能が低下する。このため、保護膜114は、柱状結晶111の潮解を抑制する効果を保ちつつ、薄くする必要がある。保護膜114は、膜として隙間ができないように形成する必要があり、例えば、1μm以上の膜厚を有していてもよい。したがって、保護膜114の膜厚は、保護膜113の膜厚よりも厚い。

0036

本実施形態において、シンチレータプレート100は、加水分解反応を抑制する保護膜113と水蒸気透過率が低い保護膜114とを組み合わせることによって、高い潮解抑制効果および薄い保護膜113、114による空間分解能の低下の抑制を実現している。保護膜113と保護膜114との組み合わせによる潮解抑制効果を保護膜114のみで実現する場合、より厚い保護膜114が必要となり、シンチレータプレートの空間分解能が低下する。本実施形態において、保護膜113と組み合わせて用いられる保護膜114の膜厚は、10μm以下であってもよいし、5μm以下であってもよいし、さらに2μm以下であってもよい。保護膜114の厚さを薄くすることによって、シンチレータプレート100の空間分解能の低下を抑制できる。

0037

保護膜113は、上述のように柱状結晶111の潮解を抑制する効果を有する。このため、保護膜113と保護膜114とを組み合わせて用いた場合、保護膜114の水蒸気透過率は、保護膜113を設けない場合と比較して高くても問題ない。保護膜113の柱状結晶111の潮解を抑制する効果によっても変動するが、保護膜114の水蒸気透過率は、40℃90%RHにおいて、10g/m2・day以下であってもよい。保護膜113を形成せずに、保護膜114が単独で用いられる場合、水蒸気透過率は、例えば、1g/m2・day(40℃90%RH)未満の値が求められ、結果として、厚い保護膜114が必要となる。一方、本実施形態において、保護膜114の水蒸気透過率は、1g/m2・day(40℃90%RH)以上であってもよいし、さらに、5g/m2・day(40℃90%RH)以上であってもよい。結果として、本実施形態のシンチレータプレート100は、保護膜113と保護膜114とを組み合わせることによって、高いシンチレータ110の潮解抑制能と高い空間分解能とを両立することができる。

0038

保護膜113の表面に対する保護膜114の被覆率は、低くてもよい。保護膜114に要求される膜厚で被覆率を高くした場合、シンチレータ110の互いに隣接する柱状結晶111間の隙間を保護膜114で埋めてしまう。シンチレータ110で放射線から変換された光が柱状結晶111内で反射を繰り返し、柱状結晶111内を進むことによって、高い空間分解能が実現される。光が反射する割合は、保護膜113と保護膜114との界面の屈折率差によって決まる。柱状結晶111同士の間が保護膜114で埋まってしった場合、界面の屈折率差が小さくなりうり、反射率が低下し、結果として、シンチレータプレート100の空間分解能が低下してしまう。例えば、保護膜114の保護膜113に対する表面の被覆率は、50%以下であってもよい。図1に示されるように、保護膜114は、保護膜113によって覆われた柱状結晶111の先端部において、保護膜113と接していてもよい。また、保護膜114は、シンチレータ110の外縁に配された外縁部結晶111aの複数の柱状結晶111の何れかと対向しない部分の全体において、保護膜113と接していてもよい。また、保護膜114は、シンチレータ110の基板112の反対の側の端部の上に配される部分と、シンチレータ110の外縁に沿って配される部分とで膜厚が異なっていてもよい。例えば、シンチレータ110の端部から光を取り出す場合、この部分を覆う保護膜114は、薄い方が空間分解能の低下を抑制できる。このため、シンチレータ110の基板112の反対の側の端部の上に配された保護膜114の膜厚が、シンチレータ110の外縁に沿って配された保護膜114の膜厚よりも薄くてもよい。

0039

保護膜114は、1μm程度の膜厚が必要なため、その構成材料によっては光を吸収してしまう可能性が有る。一方、シンチレータ110で放射線から変換された光を減衰することなく、光電変換素子が配された受光面まで到達させる必要がある。このため、保護膜114には、可視域における光の透過率が高い材料を用いる必要がある。具体的には、保護膜114の光の透過率が70%以上であってもよい。

0040

保護膜114は、ポリパラキシリレンポリ塩化ビニリデン、酸化シリコンおよび酸化アルミニウムのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。しかし、これらに限られることはなく、透明かつ水蒸気透過率が低ければ、上述以外の材料を保護膜114として用いることができる。

0041

次に、保護膜114が配される位置について説明する。保護膜114は、図1に示されるように、基板112のうちシンチレータ110が配された部分を覆うように、基板112の一部を覆っていてもよい。保護膜114は、保護膜113に接して配される。また、シンチレータの外縁に配された柱状結晶111(外縁部結晶111a)が保護膜113によって覆われていない場合、保護膜114は、シンチレータ110の柱状結晶111とも接しうる。また、図1に示されるように、基板112のシンチレータ110が配される側と反対側の面が保護膜114に覆われていない場合、シンチレータ110の柱状結晶111が基板112と直接、接する。このため、基板112の厚さ方向の40℃90%RHにおける水蒸気透過率は、1g/m2・day未満であってもよい。また、図2(a)に示されるように、保護膜114が、基板112のうちシンチレータ110および保護膜113に覆われていない部分全体を覆ってもよい。この場合、基板112の40℃90%RHにおける水蒸気透過率は、1g/m2・day以上であってもよい。また、図2(b)に示されるように、保護膜114が、シンチレータ110とシンチレータ110の柱状結晶111をそれぞれ覆う保護膜113とを囲むように覆ってもよい。換言すると、シンチレータプレート100は、基板112とシンチレータ110との間に、保護膜(第3保護膜)をさらに含み、この保護膜が、保護膜114と同じ材料によって構成される膜を含んでいてもよい。例えば、基板112のシンチレータ110を形成する領域に、ポリパラキシリレンなどを用いて保護膜114のうち基板112とシンチレータ110との間の部分を形成する。次いで、シンチレータ110および保護膜113を形成する。さらに、シンチレータ110および保護膜113を覆うように保護膜114の残りの部分を形成することによって、図2(b)に示される保護膜114が形成できる。また、図2(c)に示されるように、保護膜114が、シンチレータ110とシンチレータ110の柱状結晶111をそれぞれ覆う保護膜113とを囲み、さらに、基板112のうちシンチレータ110および保護膜113に覆われていない部分全体を覆ってもよい。すなわち、保護膜114は、シンチレータ110を直接、覆う部分を有していてもよく、保護膜113を介してシンチレータ110を覆う部分を有していてもよい。

0042

保護膜114の形成方法としては、水溶液の塗布などのシンチレータ110の柱状結晶111の柱状構造を破壊するような方法や、保護膜113を破壊する方法を用いることはできない。保護膜の形成方法として可能な方法として、化学蒸着CVD)法や物理蒸着PVD)法、非極性溶媒溶液の塗布またはスプレーなどを用いることができる。また、シート状に形成された保護膜114を、シンチレータ110および保護膜113を覆うように、基板112(および保護膜113)に接着する方法を用いてもよい。

0043

シンチレータ110の形成後、保護膜114を形成するまでの間、シンチレータ110が大気中の水蒸気と接触し、柱状結晶111が潮解してしまう可能性がある。しかし、本実施形態において、保護膜114を形成する前に保護膜113が形成される。これによって、シンチレータ110の形成後、保護膜114を形成するまでの間、適当な温度および湿度の環境を保持すれば、シンチレータ110の柱状結晶111の潮解を抑制することが可能である。

0044

(放射線検出装置300)
次いで、本実施形態のシンチレータプレート100を備えた放射線検出装置について説明する。図3(a)は、シンチレータプレート100を備えた放射線検出装置300の断面図である。放射線検出装置300は、上述のシンチレータプレート100と、シンチレータ110で放射線から変換された光を検出するための光電変換素子304が受光面の側に配された光電変換パネル310と、を含む。図3(a)において、シンチレータプレート100は、図1に示した基板112が、放射線検出装置300の外側に露出するように配されている。シンチレータプレート100と光電変換パネル310とは、接着剤などを用いた結合部320が設けられていてもよい。結合部320は、シンチレータプレート100と光電変換パネル310とを一体化する以外に、シンチレータプレート100を保護してもよいし、光電変換パネル310を保護してもよい。また、結合部320は、シンチレータ110と光電変換パネル310の受光面とを光学的に接続する機能を備えていてもよい。また、結合部320は、接着剤などの異なる材料を2層以上に重ねた積層構造を有していてもよい。また、基板112のシンチレータ110が配された表面に、シンチレータ110で放射線から変換された光を反射する反射層または光を吸収する吸収層が配されていてもよい。

0045

光電変換パネル310は、基板302と基板302の上に配された光電変換層303とを含む。光電変換層303には、光を電気信号に変換するための複数の光電変換素子304が配されている。光電変換層303には、光電変換素子304のほかに、光電変換素子304から電気信号を取り出すためのトランジスタなどのスイッチ素子配線パターンなどが、さらに配されうる。基板302には、ガラス基板などが用いられうる。また、光電変換層303には、シリコンなどの半導体層が用いられうる。また、シリコン基板上に複数の光電変換素子304が配されることによって、基板302と光電変換層303とが一体的に形成されていてもよい。

0046

また、図3(b)に示されるように、シンチレータ110の基板112として光電変換パネル310を用いることによっても、放射線検出装置300を実現することができる。この場合、保護膜114のシンチレータ110の側とは反対の外側に、シンチレータ110で放射線から変換された光を反射する反射層または光を吸収する吸収層が配されていてもよい。

0047

(実施例)
次いで、シンチレータプレート100の製造方法について実施例を説明する。まず、基板112として、ガラス基板を用いた。次いで、ガラス基板上に、加熱蒸着法によってシンチレータ110を形成した。シンチレータ110形成用の真空チャンバ内の加熱容器に、CsIの原料粉末充填し、加熱容器に対向する位置にある回転盤にガラス基板を据え付けた。また、真空チャンバ内にCsIの原料粉末を充填した容器とは別の加熱容器を設置し、この加熱容器にTlIの原料粉末を充填した。それぞれの加熱容器にCsIおよびTlIの原料粉末を充填し、回転盤にガラス基板を設置した後、真空チャンバ内を真空ポンプ高真空状態にした。次いで、加熱容器を加熱することによって、ガラス基板(基板112)上にCsIとTlIとを同時に蒸着し、基板112に柱状結晶111によって構成されるシンチレータ110を形成した。

0048

シンチレータ110を形成後、基板112を真空チャンバから取り出し、速やかにケイ酸エチルをシンチレータ110に接触させ、シンチレータ110の上に保護膜113を形成した。保護膜113を形成した後、基板112を保護膜114形成用の真空チャンバ内に載置した。次いで、真空チャンバ内にジパラキシリレンを加熱によって活性化したラジカルパラキシリレンを導入し、保護膜114としてポリパラキシレンを成膜し、上述のシンチレータプレート100が得られた。

0049

以上、本発明に係る実施形態および実施例を示したが、本発明はこれらの実施形態および実施例に限定されないことはいうまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態および実施例は適宜変更、組み合わせが可能である。

0050

以下、図4を参照しながら、上述のシンチレータプレート100を用いた放射線検出装置300が組み込まれた放射線検出システムを例示的に説明する。放射線検出装置300に放射線を照射するための放射線源であるX線チューブ6050で発生したX線6060は、患者又は被験者6061の胸部6062を透過し、放射線検出装置300に入射する。この入射したX線に患者又は被験者6061の体内部の情報が含まれる。放射線検出装置300において、X線6060の入射に対応してシンチレータ110が発光し、これが光電変換素子304で光電変換され、電気的情報を得る。この情報は、デジタルデータに変換され、放射線検出装置300からの信号を処理する信号処理部として機能するイメージプロセッサ6070によって画像処理され、制御室の表示部としてのディスプレイ6080で観察できる。

0051

また、この情報は、電話、LAN、インターネットなどのネットワーク6090などの伝送処理部によって遠隔地転送できる。これによって別の場所のドクタールームなどの表示部であるディスプレイ6081に表示し、遠隔地の医師診断することも可能である。また、この情報は、光ディスクなどの記録媒体に記録することができ、またフィルムプロセッサ6100によって記録媒体となるフィルム6110に記録することもできる。

0052

100:シンチレータプレート、110:シンチレータ、111:柱状結晶、112:基板、113,114:保護膜

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