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技術 免震用鋼材ダンパー

出願人 国立大学法人大阪大学JFEシビル株式会社
発明者 桑原進畑中祐紀戸張涼太吉永光寿塩田啓介宮川和明
出願日 2019年5月17日 (1年7ヶ月経過) 出願番号 2019-093631
公開日 2020年3月19日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-041691
状態 未査定
技術分野 異常な外部の影響に耐えるための建築物 振動減衰装置 防振装置
主要キーワード 非線形構造 変位図 結果写真 ミーゼス 塑性変形域 弾性歪 変形曲線 変位線図
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月19日)のものです。
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図面 (16)

課題

せん断方向変形によってもエネルギを吸収することができる免震用鋼材ダンパーを提供する。

解決手段

免震用鋼材ダンパー100は、十字方向に配置された同じ構成の免震板10a等を有し、免震板10(添え字「a、b、c、d」を省略)は矩形状の鋼板曲げ加工して形成されたものであって、上基板20に設置される上水平部分1と、上水平部分1に上端部12においてつながって上水平部分1から離れる程下方になる上傾斜部分2と、下基板30に設置される下水平部分7と、下水平部分7に下端部13においてつながって下水平部分7から離れる程上方になる下傾斜部分6と、上傾斜部分2に上円弧部分3を介しておよび下傾斜部分6に下円弧部分5を介して滑らかにつながり中心軸21に平行な鉛直部分4とを有し、上傾斜部分2と下傾斜部分6とは中心軸21から離れる程互いに近接している。

概要

背景

従来、建築構造物土木構造物地震から保護する免震ダンパーとして、高さを低く抑え、大変形を繰り返しても形状が変化せず、容易・安価に製造する発明が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。

概要

せん断方向変形によってもエネルギを吸収することができる免震用鋼材ダンパーを提供する。免震用鋼材ダンパー100は、十字方向に配置された同じ構成の免震板10a等を有し、免震板10(添え字「a、b、c、d」を省略)は矩形状の鋼板曲げ加工して形成されたものであって、上基板20に設置される上水平部分1と、上水平部分1に上端部12においてつながって上水平部分1から離れる程下方になる上傾斜部分2と、下基板30に設置される下水平部分7と、下水平部分7に下端部13においてつながって下水平部分7から離れる程上方になる下傾斜部分6と、上傾斜部分2に上円弧部分3を介しておよび下傾斜部分6に下円弧部分5を介して滑らかにつながり中心軸21に平行な鉛直部分4とを有し、上傾斜部分2と下傾斜部分6とは中心軸21から離れる程互いに近接している。

目的

本発明は、このような問題を解消するものであり、せん断方向変形によってもエネルギを吸収することができる免震用鋼材ダンパーを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

一対の基板と前記一対の基板の間に設置された免震板とを有し、前記免震板は、前記基板のそれぞれに固定された互いに平行な一対の水平部分と、前記水平部分のそれぞれにつながって、前記水平部分から離れる程互いに近接する一対の傾斜部分と、前記傾斜部分のそれぞれに滑らかにつながった鉛直部分とを具備することを特徴とする免震用鋼材ダンパー

請求項2

一対の基板と前記一対の基板の間に設置された免震板とを有し、前記免震板は、前記基板のそれぞれに固定された互いに平行な一対の水平部分と、前記水平部分のそれぞれにつながって、前記水平部分から離れる程互いに近接する一対の傾斜部分と、前記傾斜部分のそれぞれをつなぐ略円弧部分とを具備することを特徴とする免震用鋼材ダンパー。

請求項3

前記免震板は、曲げ加工された鋼板であることを特徴とする請求項1または2記載の免震用鋼材ダンパー。

請求項4

前記免震板は、十字状に設置されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の免震用鋼材ダンパー。

請求項5

前記免震板の幅が、端部に向かって減少し、隣接する免震板との重なり幅b1と板幅bの間に、b1<bの関係をもつ、請求項1ないし4の何れか1項に記載の免震用鋼材ダンパー。

請求項6

一対の前記免震板と、隣接する他の一対の前記免震板との重なり部分平面視略矩形をなし、該重なり部分の隅部に位置する前記免振板同士は互いに縁が切れている、請求項1ないし5の何れか1項に記載の免震用鋼材ダンパー。

請求項7

一対の前記免震板と、隣接する他の一対の前記免震板との重なり部分が平面視略矩形をなし、前記免振板の一方は、前記重なり部分の隅部近傍が、他方の前記免震板から離間するように折り曲げられている、請求項1ないし5の何れか1項に記載の免震用鋼材ダンパー。

請求項8

前記免震板の側面部の幅が他の部分に比べて小さい、請求項1ないし7の何れか1項に記載の免震用鋼材ダンパー。

請求項9

前記免震板の側面部の幅が他の部分に比べて大きい、請求項1ないし7の何れか1項に記載の免震用鋼材ダンパー。

請求項10

前記免震板の側面部に孔が開けられている、請求項1ないし9の何れか1項に記載の免震用鋼材ダンパー。

請求項11

前記免震板の側面部が増厚されている、請求項1ないし9の何れか1項に記載の免震用鋼材ダンパー。

技術分野

0001

本発明は免震用鋼材ダンパー、特に、建築構造物土木構造物に設置されて地震や風等の外力によるエネルギを吸収する免震用鋼材ダンパーに関する。

背景技術

0002

従来、建築構造物や土木構造物を地震から保護する免震ダンパーとして、高さを低く抑え、大変形を繰り返しても形状が変化せず、容易・安価に製造する発明が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0003

特開2003−206987号公報(第3−4頁、図2

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1に開示された発明(免震用ダンパー)は、一対のベースプレートの間に、U字状のダンパー本体を放射方向に複数配置したものである。すなわち、ダンパー本体は、一対の互いに平行な水平部分と、水平部分を連結する略円弧部分とを具備している。このため、地震力によってベースプレートの間に相対変位が生じた際、略円弧部分の一方の水平部分寄りの範囲が曲げられ、略円弧部分の他方の水平部部寄りの範囲が曲げ戻されるため、曲げ方向変形によってエネルギを吸収していた。
このとき、相対変位の方向に対して垂直方向に配置されたダンパー本体は、せん断方向変形するものの、せん断方向変形によるエネルギの吸収量が少ないという問題を発明者等は解析によって明らかにした。

0005

本発明は、このような問題を解消するものであり、せん断方向変形によってもエネルギを吸収することができる免震用鋼材ダンパーを提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明に係る免震用鋼材ダンパーは、一対の基板と前記一対の基板の間に設置された免震板とを有し、前記免震板は、前記基板のそれぞれに固定された互いに平行な一対の水平部分と、前記水平部分のそれぞれにつながって、前記水平部分から離れる程互いに近接する一対の傾斜部分と、前記傾斜部分のそれぞれに滑らかにつながった鉛直部分とを具備することを特徴とする。
また、本発明に係る免震用鋼材ダンパーは、一対の基板と前記一対の基板の間に設置された免震板とを有し、前記免震板は、前記基板のそれぞれに固定された互いに平行な一対の水平部分と、前記水平部分のそれぞれにつながって、前記水平部分から離れる程互いに近接する一対の傾斜部分と、前記傾斜部分のそれぞれをつなぐ略円弧部分とを具備することを特徴とする。
さらに、前記免震板は、曲げ加工された鋼板であることを特徴とする。
さらに、前記免震板は、十字状に設置されていることを特徴とする。
さらに、免震板の幅が、端部に向かって減少し、隣接する免震板との重なり幅b1と板幅bの間に b1<bの関係をもつこともできる。
さらに、一対の前記免震板と、隣接する他の一対の前記免震板との重なり部分平面視略矩形をなし、該重なり部分の隅部に位置する前記免振板同士は互いに縁を切ることもできる。
さらに、一対の前記免震板と、隣接する他の一対の前記免震板との重なり部分が平面視略矩形をなし、前記免振板の一方は、前記重なり部分の隅部近傍が、他方の前記免震板から離間するように折り曲げることもできる。
さらに、前記免震板の側面部の幅が他の部分に比べて小さくすることもできる。
さらに、前記免震板の側面部の幅が他の部分に比べて大きくすることもできる。
さらに、前記免震板の側面部に孔を開けることもできる。
さらに、前記免震板の側面部を増厚することもできる。

発明の効果

0007

本発明に係る免震用鋼材ダンパーは、水平部分から離れる程互いに近接する一対の傾斜部分を具備するから、せん断方向変形によるエネルギの吸収量が多い(これについては、別途詳細に説明する)。また、免震板は曲げ加工された鋼板であるから、製造コストを抑えることができる。さらに、免震板は十字状に設置されているから、何れの方向に地震力が作用しても、せん断方向変形と曲げ方向変形との両方によってエネルギを吸収することができる。

図面の簡単な説明

0008

本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明するものであって、図1の(a)は全体を示す斜視図、図1の(b)は部材を離して示す斜視図である。
本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明する解析モデルを示す側面図である。
本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明するものであって、図3の(a)は解析に用い鋼材材料特性を示す真応力−真塑性歪関係を示す線図、図3の(b)は解析における全塑性耐力の定義を説明する荷重変位線図である。
本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明するものであって、図4の(a)はモデルA1を載荷した際の荷重−変形曲線図4の(b)はモデルB0を載荷した際の荷重−変形曲線、図4の(c)はモデルA1およびモデルB0のせん断方向耐力Rsおよび曲げ方向耐力Rmを比較した耐力−幅厚比曲線である。
本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明する相当塑性歪分布を示すものであって、図5の(a)はモデルA1をせん断方向に載荷した際の分布図、図5の(b)はモデルA1を曲げ方向に載荷した際の分布図、図5の(c)はモデルB0をせん断方向に載荷した際の分布図、図5の(d)はモデルB0を曲げ方向に載荷した際の分布図である。
本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明する傾斜角の効果を示すせん断方向変形した際の相当塑性歪の分布を示す分布図であって、図6の(a)はモデルB1(θ=0°)、図6の(b)はモデルC1(θ=7.1°)、図6の(c)はモデルA1(θ=14.0°)、図6の(d)はモデルC2(θ=20.6°)である。
本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明する傾斜角の効果を示すものであって、図7の(a)はせん断方向変形した際の中央線11における相当塑性歪の分布を示す分布図、図7の(b)はせん断方向変形した際の荷重−変形曲線、図7の(c)は全塑性耐力−傾斜角の関係を示す関係図、図7の(d)相当塑性歪と傾斜角との関係を示す関係図である。
本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明する鉛直部分の長さの効果を示すせん断方向変形した際の相当塑性歪の分布を示す分布図であって、図8の(a)はモデルA0(f=0mm)、図8の(b)はモデルA1(f=150mm)、図8の(c)はモデルA2(f=250mm)、図8の(d)はモデルB0(f=0mm)、図8の(e)はモデルB1(f=150mm)、図8の(f)はモデルB2(f=250mm)である。
本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明する鉛直部分の長さの効果を示すものであって、図9の(a)はせん断方向変形した際の中央線11における相当塑性歪の分布を示す分布図、図9の(b)はせん断方向変形した際の荷重−変形曲線、図9の(c)は全塑性耐力−傾斜角の関係を示す関係図、図9の(d)相当塑性歪と傾斜角との関係を示す関係図である。
本発明の変形例に係る免震用鋼材ダンパーの平面図である。
本発明の変形例に係る免震用鋼材ダンパーの、上段から部分平面図、ヒステリシスループ図及び実験写真である。
本発明のその他の変形例に係る免震用鋼材ダンパーの平面図である。
図12に示す免震用鋼材ダンパーの斜視分解図である。
本発明のその他の変形例に係る免震用鋼材ダンパーの側面図及び荷重-変位図である。
本発明のその他の変形例に係る免震用鋼材ダンパーの側面図及び荷重-変位図である。

実施例

0009

以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図は模式的に描かれたものであって、本発明は図示された形態(部位の形状や個数等)に限定されるものではない。また、図面が煩雑になるのを避けるため、一部の部材や一部の符号の記載を省略する場合がある。

0010

[実施の形態1]
(免震用鋼材ダンパー)
図1は本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明するものであって、図1の(a)は全体を示す斜視図、図1の(b)は部材を離して示す斜視図である。
図1の(a)および(b)において、免震用鋼材ダンパー100は面対称であって、建築構造物や土木構造物等の上部構造物(図示しない)側に固定される上基板20と地盤に設置された下部構造物(図示しない)側に固定される下基板30と、上基板20と下基板30との間に配置された免震板10a、10b、10c、10dとを有している。
上基板20および下基板30は円形板であって、荷重(変形)を受ける前は、上基板20の中心軸21と下基板30の中心軸31とは一致している。また、中心軸21の方向を「Z軸」または「Z方向」と称し、上基板20の方向を「上」または「上方」と、下基板30の方向を「下」または「下方」と称す。
免震板10a、10b、10c、10dは十字方向に配置され、何れも同じ構成であるから、以下、共通する内容の説明においては、符号に付した添え字「a、b、c、d」の記載を省略する。

0011

(免震板)
免震板10(免震板10a等を総称している)は、所定の幅(b)である矩形状の鋼板を曲げ加工して形成されたものであって、Z軸に垂直な仮想面(以下「対称面」と称す)に対して面対称になっている。すなわち、上基板20に設置される上水平部分1と、上水平部分1に上端部12においてつながって上水平部1分から離れる程下方になる上傾斜部分2と、下基板30に設置される下水平部分7と、下水平部分7に下端部13においてつながって下水平部分7から離れる程上方になる下傾斜部分6と、上傾斜部分2に上円弧部分3を介しておよび下傾斜部分6に下円弧部分5を介して滑らかにつながり、Z軸に平行な鉛直部分4とを有している。すなわち、上傾斜部分2と下傾斜部分6とはZ軸から離れる程互いに近接している。そして、鉛直部分4の上下方向の中央、すなわち鉛直部分4と対称面とが交差する仮想線(一点鎖線にて示す)を「中央線11」とする。

0012

以下の説明の便宜上、免震板10aについて、鉛直部分4aに垂直な方向を「X軸」または「X方向」と、X軸およびZ軸に垂直な方向を「Y軸」または「Y方向」と称すと、免震板10aにおける中央線11a、上端部12aおよび下端部13aは何れもY軸に平行で、鉛直部分4aは「Y−Z面」に位置している。このとき、免震板10bについては、鉛直部分4bが「X−Z面」に位置し、中央線11bがX方向である。
なお、本発明は、鋼板の幅(b)、上傾斜部分2と下傾斜部分6とがなす角度(2θ、図2参照)、鉛直部分4の長さ(f)、上円弧部分3および下円弧部分5の大きさを限定するものではなく、鉛直部分4については長さが0(ゼロ)であって、上円弧部分3および下円弧部分5によって大きな略円弧部分が形成されてもよい。

0013

組み立て構造
そして、互いに対向する免震板10aの上水平部分1aの端部と免震板10cの上水平部分1cの端部とが突き当てられ、互いに対向する免震板10bの上水平部分1b(図示しない)の端部と免震板10dの上水平部分1d(図示しない)の端部とが突き当てられ、前者の突き当て部と後者の突き当て部とは十字状になっている。そして、上水平部分1aは上水平部分1bの一部および上水平部分1dの一部に重なって、高力ボルト90によって上基板20に接合されている。また、上水平部分1cは上水平部分1bの一部および上水平部分1dの一部に重なって、高力ボルト90によって上基板20に接合されている。
同様に、下水平部分7a、下水平部分7b(図示しない)、下水平部分7cおよび下水平部分7d(図示しない)も高力ボルト90によって下基板30に接合されている。

0014

(解析モデル)
図2および図3は本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明するものであって、図2は解析モデルを示す側面図、図3の(a)は解析に用い鋼材の材料特性を示す真応力−真塑性歪関係を示す線図、図3の(b)は解析における全塑性耐力の定義を説明する荷重−変位線図である。
図2に示す免震板10の解析モデルについて免震用鋼材ダンパー100の作用効果を、解析ソフトとして汎用非線形構造解析プログラムMSC.Marc2016」を使用して確認した。すなわち、免震板10を示すモデルは、モデルA0、モデルA1およびモデルA2(以下「グループA」と称す)と、モデルC1およびモデルC2であり、比較材を示すモデルは、モデルB0、モデルB1およびモデルB2(以下「グループB」と称す)である。
このとき、上傾斜部分2(下傾斜部分6)の傾斜角度(θ)が、モデルC1は7.1°、グループA(モデルA0、モデルA1およびモデルA2)は14.0°、モデルC2は20.6°であり、一方、比較材であるグループB(モデルB0、モデルB1およびモデルB2)の傾斜角度(θ)は0°、すなわち上傾斜部分2と下傾斜部分6とが平行になっている。また、モデルB0は鉛直部分4の長さ(f)が0mmで、上円弧部分3と下円弧部分5とがつながって大円弧部分8(図5の(d)参照)を形成している。

0015

(材料特性および全塑性耐力)
図3の(a)において、鋼板としてSN490を使用した。材料特性は弾塑性体であって、弾性域ヤング係数205KN/mm2,ポアソン比03)を過ぎると降伏域を示した後、加工硬化するとしている。なお、横軸は解析モデルに設定した真「塑性」歪であるため,弾性歪も別途考慮している。
図3の(b)において、荷重と変位の関係を示す曲線における接線の傾きを「剛性」と称すると、変形が進み塑性変形域が拡大するに伴って剛性は低下する。このとき、変形当初の剛性(以下「初期剛性K」と称す)に対して、剛性が初期剛性Kの10%にまで低下した際の荷重(「aQp」にて示す)を「全塑性耐力」と定義する。

0016

(載荷方法)
載荷方法は、免震板10aについて、下水平部分7a(下基板30a)を完全固定して、上水平部分1a(上基板20a)をY方向に移動させて免震板10aを変形させ、このときの変形および全塑性耐力をそれぞれ「せん断方向変形」および「せん断方向耐力」と定義し、一方、X方向に移動させて免震板10aを変形させ、このときの変形および全塑性耐力をそれぞれ「曲げ方向変形」および「曲げ方向耐力」と定義する。

0017

(せん断方向耐力および曲げ方向耐力)
図4は本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明するものであって、図4の(a)はモデルA1(b=300mm)を載荷した際の荷重−変形曲線、図4の(b)はモデルB0(b=300mm)を載荷した際の荷重−変形曲線、図4の(c)はモデルA1およびモデルB0のせん断方向耐力Rsおよび曲げ方向耐力Rmを比較した耐力−幅厚比曲線である。

0018

0019

表1および図4の(c)において、モデルA1およびモデルB0について、せん断方向耐力Rsと曲げ方向耐力Rmとを比較している。このとき、本来の板幅300mmに板幅100mmおよび板幅500mmを追加し、図4の(c)における横軸を、板幅bの板厚tに対する割合(b/t、以下「幅厚比」と称す)にしている。
表1および図4の(c)より、グループAおよびグループB共、せん断方向耐力Rsの方が曲げ方向耐力Rmよりも大きく、せん断方向耐力Rsの曲げ方向耐力Rmに対する割合は、グループAの方がグループBよりも大きくなっている。また、板幅が広くなるほど、せん断方向耐力Rsおよび曲げ方向耐力Rm共増加しているが、曲げ方向耐力Rmについては、グループAおよびグループBとも同様に増加しているのに対し、せん断方向耐力Rsは、グループAの方がグループBよりも増加傾向が顕著になっている。

0020

(せん断方向および曲げ方向に載荷した際の相当塑性歪分布)
図5は本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明する相当塑性歪の分布を示すものであって、図5の(a)はモデルA1をせん断方向に載荷した際の分布図、図5の(b)はモデルA1を曲げ方向に載荷した際の分布図、図5の(c)はモデルB0をせん断方向に載荷した際の分布図、図5の(d)はモデルB0を曲げ方向に載荷した際の分布図である。そして、各地点におけるミーゼス塑性歪みを「相当塑性歪」と定義し、相当塑性歪が大きな値の地点ほど、濃い色に塗りつぶしている。

0021

図5の(a)において、モデルA1をせん断方向(Y方向)に載荷した際の相当塑性歪の分布は、相当塑性歪が広い範囲、すなわち、上傾斜部分2においては幅方向(X方向)の一方側から他方側に向かって略対角線状に、上円弧部分3においては幅方向の一方側に、鉛直部分4においては一方側から他方側に向かって略対角線状に、下円弧部分5においては幅方向の他方側に、下傾斜部分6においては幅方向の一方側から他方側に向かって略対角線状に生じている(かかる傾向は、板幅500mmにおいて顕著になるが図示しない)。
一方、モデルA1の曲げ方向を示す図5の(b)、モデルB0のせん断方向を示す図5の(c)およびモデルB0の曲げ方向を示す図5の(d)において、相当塑性歪がZ軸に近い範囲(上端部12に近い範囲および下端部13に近い範囲)に集中し、鉛直部分4および鉛直部分4に対応する円弧部分にはほとんど生じていない。
以上のように、モデルA1ではせん断方向の相当塑性歪が鉛直部分4にも分布することから、前記のように高いせん断方向耐力Rsが得られたと考えられる。

0022

(傾斜角の効果)
図6は本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明する傾斜角の効果を示すせん断方向変形した際の相当塑性歪の分布を示す分布図であって、図6の(a)はモデルB1(θ=0°)、図6の(b)はモデルC1(θ=7.1°)、図6の(c)はモデルA1(θ=14.0°)、図6の(d)はモデルC2(θ=20.6°)である。
図6の(a)〜(d)において、傾斜角θが小さい程、相当塑性歪が上端部12および下端部13に近い範囲に集中して、鉛直部分4に生じない傾向にある。反対に、傾斜角θが大きい程、相当塑性歪が上傾斜部分2および下傾斜部分6の幅方向の両側方に集中しながら広い範囲に分布して、鉛直部分4にも集中する傾向にある。

0023

図7は本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明する傾斜角の効果を示すものであって、図7の(a)はせん断方向変形した際の中央線11における相当塑性歪の分布を示す分布図、図7の(b)はせん断方向変形した際の荷重−変形曲線、図7の(c)は全塑性耐力−傾斜角の関係を示す関係図、図7の(d)相当塑性歪と傾斜角との関係を示す関係図である。
図7の(a)において、中央線11における相当塑性歪は、傾斜角θが大きくなる程大きくなり、幅方向中央への集中が顕著になっている。
図7の(b)において、傾斜角θが大きくなる程、荷重の値が大きくなっている。
図7の(c)において、全塑性耐力も傾斜角θが大きくなる程、大きくなっている。
なお、中央線11における相当塑性歪の最大値を「最大中央歪εc」とし、上端部12(下端部13に同じ)における相当塑性歪の最大値を「最大上下端歪εe」とすると、図7の(d)に示すように、最大中央歪εcおよび最大上下端歪εe共、傾斜角θが大きくなる程増加しているが、後者の方が増加の程度が顕著になっている。このことは、中央線11における相当塑性歪の増加だけでなく、上端部12および下端部13に近い範囲における相当塑性歪の増加が、荷重の増加に寄与することを示している。

0024

(鉛直部分の長さの効果)
図8は本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明する鉛直部分の長さの効果を示すせん断方向変形した際の相当塑性歪の分布を示す分布図であって、図8の(a)はモデルA0(f=0mm)、図8の(b)はモデルA1(f=150mm)、図8の(c)はモデルA2(f=250mm)、図8の(d)はモデルB0(f=0mm)、図8の(e)はモデルB1(f=150mm)、図8の(f)はモデルB2(f=250mm)である。
図8の(a)〜(f)において、モデルB0において、上端部12および下端部13に近い範囲に相当塑性歪の顕著な集中が見られ、その他のモデルには上傾斜部分2および下傾斜部分6の幅方向の側縁に相当塑性歪の集中が見られる。また、鉛直部分4については、モデルA1およびモデルA2に相当塑性歪が生じているが、モデルA0、モデルB0、モデルB1およびモデルB2には相当塑性歪が生じていない。

0025

図9は本発明の実施の形態1に係る免震用鋼材ダンパーを説明する鉛直部分の長さの効果を示すものであって、図9の(a)はせん断方向変形した際の中央線11における相当塑性歪の分布を示す分布図、図9の(b)はせん断方向変形した際の荷重−変形曲線、図9の(c)は全塑性耐力−傾斜角の関係を示す関係図、図9の(d)相当塑性歪と傾斜角との関係を示す関係図である。
図9の(a)および(b)において、モデルA0、グループAとグループBとの間に大きな相違が認められる。
図9の(c)において、鉛直部分4の長さfの大小によらず全塑性耐力は略一定の値になっている。
なお、図9の(d)において、図8からも推定されるように、最大中央歪εcはグループBでは略0(ゼロ)であり、グループAでも小さい値である。一方、最大上下端歪εeはグループBおよびグループA共、大きな値で、鉛直部分4の長さfが大きくなると減少している。
かかる傾向は、鉛直部分4の長さfの効果というよりも傾斜角θの効果と解するものと考えられる。

0026

(作用効果)
以上の解析から明らかになったように、免震用鋼材ダンパー100を構成する免震板10は、上水平部分1および下水平部分7から離れる程互いに近接する上傾斜部分2および下傾斜部分6を具備する(傾斜角θを具備する)から、せん断方向変形によるエネルギの吸収量が多い。また、免震板10は曲げ加工された鋼板であるから、製造コストを抑えることができる。さらに、免震板10は十字状に設置されているから、何れの方向に地震力が作用しても、せん断方向変形と曲げ方向変形との両方によってエネルギを吸収することができる。

0027

(その他の変形例)
図10(a)乃至(d)に示す免震用鋼材ダンパー101乃至104のごとく、免震板の幅が、端部に向かって減少し、隣接する免震板との重なり幅b1と板幅bの間に、 b1<bの関係をもたせることもできる。免震板の上水平部分および下水平部分の端部において、板幅を減少させたものである。
斯かる変形例では、隣り合う免震板の水平部分の重なり範囲が小さくなり、繰り返し荷重に対して、水平部分の初期面外変形の影響が減少するとともに、亀裂の発生を防止でき、安定したエネルギー吸収能を発揮することができる。
図11(a)上段に示す免震用鋼材ダンパー105は、一対の免震板10eと、隣接する他の一対の免震板10fとの重なり部分が平面視略矩形をなし、この重なり部分の隅部に位置する免振板同士は互いに縁が切れている。すなわち、免震板10e,10f同士はボルト固定されていない。ボルト孔穿孔されていない。図11(b)に示す免震用鋼材ダンパー106は、免震板10g,10h同士はボルト固定されている。図11中段に各ヒステリシスループを、下段に実験結果写真を示す。
重なり部分がボルト固定されていない免震用鋼材ダンパー105では、図11(a)中段に示すように正負交番の繰り返し変位dに対して、安定した紡錘状の曲線を描き、エネルギー吸収能が高くなっている。また、1サイクル目ピーク荷重に比べて2サイクル目以降のピーク荷重が低下している。これは重なり部の面外変形の影響によるものである。これに対し、重なり部分がボルト固定された免震用鋼材ダンパー106では、図11(b)中段に示すように正負交番の繰り返し変位dに対して、初期の荷重は、ボルト固定されていない場合より大きいが、その後、急速に荷重が低下し、不安定な曲線を描き、少ない繰り返し回数耐力低下する。
重なり部分がボルト固定されていない免震用鋼材ダンパー105では、図11(a)下段に示すように、上水平部分の側部の拘束がなく、折れ曲がった形で変形している。 これに対し、重なり部分がボルト固定された免震用鋼材ダンパー106では、図11(b)中段に示すように上水平部分の側部の端部が拘束されているため、亀裂が生じ、耐力低下の要因になっている。 このように重なり範囲の拘束を減少させることが安定したエネルギー吸収能を発揮する上で有効である。
図12及び図13に示す免震用鋼材ダンパー107は、一対の免震板10i,10jと、隣接する他の一対の免震板10k,10lとの重なり部分が平面視略矩形をなし、免振板10i,10jの一方は、前記重なり部分の隅部近傍が、他方の前記免震板から離間するように折り曲げられている。 斯かる免震用鋼材ダンパー107によれば載荷途中で重なり部の拘束によって生じる、面外変形を縮小し、亀裂の進展を防止することにより、耐久性を向上することができる。
図14(b)上段に示す免震用鋼材ダンパー108は側面部の幅が他の部分に比べて小さくなっている。同中段に示す免震用鋼材ダンパー109は側面に孔が設けられている。その結果、図14(a)に示す免震用鋼材ダンパー110に比べて引張変形モードは保持しつつ、せん断変形モードの荷重を減少することができる。また、基礎建物の間に免震ゴム装置と併用して使用する場合に、変位量が極めて大きくなった場合の変位制御役割として用いる。変位量が少ない場合には、荷重増加の影響が少なく、免震ゴムによる免震効果を発揮させ、超大地震時の変形量が極めて大きくなるのを防止することができる。
図15(b)上段に示す免震用鋼材ダンパー111は側面部の幅が他の部分に比べて大きくなっている。同中段に示す免震用鋼材ダンパー112は側面の一部が増厚されている。その結果、図14(a)に示す免震用鋼材ダンパー110に比べて引張変形モードは保持しつつ、せん断変形モードの荷重を増大することができる。また、せん断変形モードによるエネルギー吸収量を増大させることができる。 以上、本発明を実施の形態1をもとに説明した。この実施の形態1は例示であり、それらの各構成要素及びその組合せにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。

0028

本発明は以上であるから、各種形態の建築構造物または土木構造物の耐震性を高めるための免震用鋼材ダンパーとして広く利用することができる。

0029

1:上水平部分
2:上傾斜部分
3:上円弧部分
4:鉛直部分
5:下円弧部分
6:下傾斜部分
7:下水平部分
8:大円弧部分
10:免震板
11:中央線
12:上端部
13:下端部
20:上基板
21:中心軸
30:下基板
31:中心軸
90:高力ボルト
100:免震用鋼材ダンパー
K :初期剛性
Rm:曲げ方向耐力
Rs:せん断方向耐力
εc:最大中央歪
εe:最大上下端歪
θ :傾斜角
b :板幅
f :鉛直部分の長さ
t :板厚

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