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技術 低圧タービン

出願人 株式会社IHI国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
発明者 北川潤一北條正弘
出願日 2018年9月6日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-167008
公開日 2020年3月19日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-041434
状態 未査定
技術分野 タービンの制御 ジエット推進設備
主要キーワード 外側接触 内側接触 径方向応力 セラミック基複合材料 上流段 下流段 下流端面 上流端面
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

動翼CMC等の脆性材料から成る場合にも低圧シャフト破断時の過回転を防止し得る構造を備えた低圧タービンを提供する。

解決手段

低圧タービンは、複数の動翼を備える上流段と複数の静翼を備える下流段を含み、各動翼は、動翼翼部と、チップシュラウドと、プラットフォームとを備え、動翼翼部とプラットフォームはフィレット部を介して結合されており、各静翼は、静翼翼部と、インナーバンドと、を備え、インナーバンドの上流部はその径方向外面と内面タービンの軸を含む断面において鋭角を成して先細りに形成されており、タービンの運転状態において、静翼翼部の前縁部とチップシュラウドの下流端面の間の軸方向距離と、インナーバンドの上流端面と動翼翼部の後縁部の間の軸方向距離は、同一に設定されており、かつ、インナーバンドの上流端面の径方向位置は、動翼のフィレット部の径方向外端部の径方向位置と一致している。

概要

背景

ターボファンエンジンTFは、図1に示すように、最前部に配置されたファンFと、ファンFの後方にこれと同軸に配置されたコアエンジンCEと、から構成されている。

2軸のターボファンエンジンTFの場合、コアエンジンCEは、前部(上流側)から後部(下流側)へ向かって順に、低圧圧縮機LC、高圧圧縮機HC、燃焼器CB、高圧タービンHT及び低圧タービンLTを備えている。そして、高圧タービンHTのロータ高圧タービンロータ)HTrは高圧シャフトHSを介して高圧圧縮機HCのロータ(高圧圧縮機ロータ)HCrと、低圧タービンLTのロータ(低圧タービンロータ)LTrは低圧シャフトLSを介してファンFのロータ(ファンロータ)Fr及び低圧圧縮機LCのロータ(低圧圧縮機ロータ)LCrと、それぞれ連結されている。

ターボファンエンジンTFの運転中、ファンFにより吸い込まれ圧縮された空気の一部はコアエンジンCEに流入し、残部はコアエンジンCEをバイパスして後方へ排出され、推力の大部分の発生に寄与する。

コアエンジンCEに流入した空気は、低圧圧縮機LC及び高圧圧縮機HCにおいて順次圧縮された後、燃焼器CBに流入する。燃焼器CBにおいて、流入する空気中に噴射された燃料燃焼によって生じた燃焼ガスは、高圧タービンHT及び低圧タービンLTにおいて順次膨張した後、ターボファンエンジンTFの後方へ排出される。

燃焼ガスが高圧タービンHTで膨張する際にした仕事により発生するトルクは、高圧タービンロータHTrから高圧シャフトHSを経て高圧圧縮機ロータHCrに伝達される。同様に、燃焼ガスが低圧タービンLTで膨張する際にした仕事により発生するトルクは、低圧タービンロータLTrから低圧シャフトLSを経てファンロータFr及び低圧圧縮機ロータLCrに伝達される。

ところで、ターボファンエンジンTFの運転中、何らかの原因で低圧シャフトLSが破断すると、低圧タービンLTで発生したトルクが、上述したように低圧タービンロータLTrからファンロータFr及び低圧圧縮機ロータLCrに伝達されなくなる。このため、当該トルクは、低圧タービンロータLTrのみを回転させるために消費されることとなり、結果的に、低圧タービンロータLTrの回転数が急激に上昇する。回転数の過剰な上昇(過回転)は、低圧タービンロータLTrの構造健全性に悪影響を及ぼす過大な応力の発生を招くため、回避されなければならない。

そのため、低圧シャフトが破断した場合に、低圧タービンの動翼静翼との接触を通じて意図的に破壊し、回転数の上昇を招くトルクが発生しないようにする設計(いわゆるタングリング設計)が、従来から採用されてきた。

タングリング設計を採用した低圧タービンにおいては、特定の段の静翼の翼部が、前方へ突出した部位を有する前縁を備えている。

ターボファンエンジンの運転中に低圧シャフトが破断すると、燃焼ガスの流れに起因して低圧タービンの動翼に作用する後向きの荷重によって、低圧タービンロータは全体として後方へ移動する。このとき、上述した段の一つ前の段に属する動翼(すなわち、上述した静翼の直上流に配置された動翼)の翼部の後部が、(前縁が前方へ突出した部位を中心として)上述した静翼の翼部の前部と接触する(より具体的には、動翼の回転運動によって、動翼の翼部の後部と静翼の翼部の前部との周方向衝突が繰り返される)。その結果、当該動翼の翼部は、静翼との接触部を起点として変形を開始し、最終的には、大部分が破断し飛散するに至る。

このようにして、実質的に全ての動翼の翼部が失われると、当該動翼が属する段においては、もはやトルクは発生しなくなる。また、飛散した動翼の翼部は、後方に配置された静翼と衝突してこれを破損させ、あるいは、当該静翼の翼間通路閉塞させたり、さらに後方に配置された動翼と衝突してこれを破損させ、あるいは、当該動翼の回転を阻害したりする可能性が高い。これらの事象を通じて低圧タービンの空力的な機能は大きく損なわれ、発生するトルクは大幅に低下し、あるいは、完全に失われる。その結果、低圧タービンロータの過回転は回避される。

概要

動翼がCMC等の脆性材料から成る場合にも低圧シャフト破断時の過回転を防止し得る構造を備えた低圧タービンを提供する。低圧タービンは、複数の動翼を備える上流段と複数の静翼を備える下流段を含み、各動翼は、動翼翼部と、チップシュラウドと、プラットフォームとを備え、動翼翼部とプラットフォームはフィレット部を介して結合されており、各静翼は、静翼翼部と、インナーバンドと、を備え、インナーバンドの上流部はその径方向外面と内面タービンの軸を含む断面において鋭角を成して先細りに形成されており、タービンの運転状態において、静翼翼部の前縁部とチップシュラウドの下流端面の間の軸方向距離と、インナーバンドの上流端面と動翼翼部の後縁部の間の軸方向距離は、同一に設定されており、かつ、インナーバンドの上流端面の径方向位置は、動翼のフィレット部の径方向外端部の径方向位置と一致している。

目的

本開示は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであって、動翼の材料としてCMCのような脆性材料を適用した場合であっても、低圧シャフトの破断時における過回転を防止し得る構造を備えた低圧タービンを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ターボファンエンジンの構成要素である低圧タービンであって、前記低圧タービンは、作動流体の流れ方向において隣接して配置された上流段及び下流段を含み、前記上流段及び前記下流段は、それぞれ複数の動翼及び複数の静翼を備え、前記上流段の前記複数の動翼のそれぞれは、動翼翼部と、前記動翼翼部の径方向外端に結合されたチップシュラウドと、前記動翼翼部の径方向内端フィレット部を介して結合されたプラットフォームと、を備え、前記下流段の前記複数の静翼のそれぞれは、少なくとも1つの静翼翼部と、前記静翼翼部の径方向内端に結合されたインナーバンドと、を備え、前記インナーバンドの上流部は先細りに形成され、かつ、その径方向外面と径方向内面が前記低圧タービンの軸を含む断面において鋭角を成しており、前記低圧タービンの運転状態において、前記静翼翼部の前縁部と前記チップシュラウドの下流端面の間の軸方向距離と、前記インナーバンドの上流端面と前記動翼翼部の後縁部の間の軸方向距離は、同一に設定されており、かつ、前記インナーバンドの前記上流端面の径方向位置は、前記動翼の前記フィレット部の径方向外端部の径方向位置と一致している、低圧タービン。

請求項2

前記低圧タービンの運転状態において、前記静翼翼部の前記前縁部のうち、前記チップシュラウドの前記下流端面と軸方向に対向する部位は、前記低圧タービンの軸を含む平面において、前記チップシュラウドの前記下流端面と平行に形成されている、請求項1に記載の低圧タービン。

請求項3

前記動翼はCMC製であり、前記静翼は金属製である、請求項1または2に記載の低圧タービン。

技術分野

0001

本開示は、ターボファンエンジンの構成要素である低圧タービン、特に、低圧タービンによって回転駆動されるファン及び圧縮機と当該低圧タービンとを連結するシャフトが何らかの原因で破断した場合であっても、回転数が過剰に上昇すること(過回転)を防止し得る構造を備えた低圧タービンに関する。

背景技術

0002

ターボファンエンジンTFは、図1に示すように、最前部に配置されたファンFと、ファンFの後方にこれと同軸に配置されたコアエンジンCEと、から構成されている。

0003

2軸のターボファンエンジンTFの場合、コアエンジンCEは、前部(上流側)から後部(下流側)へ向かって順に、低圧圧縮機LC、高圧圧縮機HC、燃焼器CB、高圧タービンHT及び低圧タービンLTを備えている。そして、高圧タービンHTのロータ高圧タービンロータ)HTrは高圧シャフトHSを介して高圧圧縮機HCのロータ(高圧圧縮機ロータ)HCrと、低圧タービンLTのロータ(低圧タービンロータ)LTrは低圧シャフトLSを介してファンFのロータ(ファンロータ)Fr及び低圧圧縮機LCのロータ(低圧圧縮機ロータ)LCrと、それぞれ連結されている。

0004

ターボファンエンジンTFの運転中、ファンFにより吸い込まれ圧縮された空気の一部はコアエンジンCEに流入し、残部はコアエンジンCEをバイパスして後方へ排出され、推力の大部分の発生に寄与する。

0005

コアエンジンCEに流入した空気は、低圧圧縮機LC及び高圧圧縮機HCにおいて順次圧縮された後、燃焼器CBに流入する。燃焼器CBにおいて、流入する空気中に噴射された燃料燃焼によって生じた燃焼ガスは、高圧タービンHT及び低圧タービンLTにおいて順次膨張した後、ターボファンエンジンTFの後方へ排出される。

0006

燃焼ガスが高圧タービンHTで膨張する際にした仕事により発生するトルクは、高圧タービンロータHTrから高圧シャフトHSを経て高圧圧縮機ロータHCrに伝達される。同様に、燃焼ガスが低圧タービンLTで膨張する際にした仕事により発生するトルクは、低圧タービンロータLTrから低圧シャフトLSを経てファンロータFr及び低圧圧縮機ロータLCrに伝達される。

0007

ところで、ターボファンエンジンTFの運転中、何らかの原因で低圧シャフトLSが破断すると、低圧タービンLTで発生したトルクが、上述したように低圧タービンロータLTrからファンロータFr及び低圧圧縮機ロータLCrに伝達されなくなる。このため、当該トルクは、低圧タービンロータLTrのみを回転させるために消費されることとなり、結果的に、低圧タービンロータLTrの回転数が急激に上昇する。回転数の過剰な上昇(過回転)は、低圧タービンロータLTrの構造健全性に悪影響を及ぼす過大な応力の発生を招くため、回避されなければならない。

0008

そのため、低圧シャフトが破断した場合に、低圧タービンの動翼静翼との接触を通じて意図的に破壊し、回転数の上昇を招くトルクが発生しないようにする設計(いわゆるタングリング設計)が、従来から採用されてきた。

0009

タングリング設計を採用した低圧タービンにおいては、特定の段の静翼の翼部が、前方へ突出した部位を有する前縁を備えている。

0010

ターボファンエンジンの運転中に低圧シャフトが破断すると、燃焼ガスの流れに起因して低圧タービンの動翼に作用する後向きの荷重によって、低圧タービンロータは全体として後方へ移動する。このとき、上述した段の一つ前の段に属する動翼(すなわち、上述した静翼の直上流に配置された動翼)の翼部の後部が、(前縁が前方へ突出した部位を中心として)上述した静翼の翼部の前部と接触する(より具体的には、動翼の回転運動によって、動翼の翼部の後部と静翼の翼部の前部との周方向衝突が繰り返される)。その結果、当該動翼の翼部は、静翼との接触部を起点として変形を開始し、最終的には、大部分が破断し飛散するに至る。

0011

このようにして、実質的に全ての動翼の翼部が失われると、当該動翼が属する段においては、もはやトルクは発生しなくなる。また、飛散した動翼の翼部は、後方に配置された静翼と衝突してこれを破損させ、あるいは、当該静翼の翼間通路閉塞させたり、さらに後方に配置された動翼と衝突してこれを破損させ、あるいは、当該動翼の回転を阻害したりする可能性が高い。これらの事象を通じて低圧タービンの空力的な機能は大きく損なわれ、発生するトルクは大幅に低下し、あるいは、完全に失われる。その結果、低圧タービンロータの過回転は回避される。

発明が解決しようとする課題

0012

ところで、航空機に搭載されるターボファンエンジンにおいては、徹底した軽量化が求められる。そのため、低圧タービンにおいては、従来は主流であった金属製の動翼に代えて、CMC(Ceramic Matrix Composite;セラミック基複合材料)製の動翼を採用する試みがなされている。

0013

CMCは、従来用いられていた金属と比較して、同等(またはそれ以上)の耐熱性及び強度を有していながら、密度が小さい。したがって、特に回転部材である動翼に適用した場合には、動翼自体の重量軽減に加えて、当該動翼を支持するディスクの重量軽減にも寄与するため、全体として大幅な軽量化が可能となる。

0014

しかしながら、CMC製の動翼を採用した低圧タービンに上述したタングリング設計を採用した場合、低圧シャフト破断時の動翼の破壊が、低圧タービンロータの回転数の上昇を抑制するのに十分な程度には行われないことが判明した。

0015

すなわち、金属製の動翼においては、その翼部の後部が静翼の翼部の前部と接触すると、当該接触部を起点として開始された変形が、金属の延性に起因して翼部全体に伝播してゆく。その結果、動翼の翼部は、上述したように、最終的に大部分が破断し飛散する。

0016

一方、CMC製の動翼においては、その翼部の後部が静翼の翼部の前部と接触しても、翼部の破壊は当該接触部のみが欠損するような態様に留まる。これは、CMCが脆性材料であることに起因する。そのため、金属製の動翼のように、接触部を起点とする変形が翼部全体に伝播し、翼部の大部分が破断し飛散することは期待できない。そして、上述したような翼部の部分的な破壊のみによっては、発生するトルクを低圧タービンロータの回転数の上昇を抑制するのに十分な程度にまで低下させることは不可能である。

0017

本開示は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであって、動翼の材料としてCMCのような脆性材料を適用した場合であっても、低圧シャフトの破断時における過回転を防止し得る構造を備えた低圧タービンを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0018

上記課題を解決するために、本開示の低圧タービンは、ターボファンエンジンの構成要素であって、作動流体の流れ方向において隣接して配置された上流段及び下流段を含み、前記上流段及び前記下流段は、それぞれ複数の動翼及び複数の静翼を備え、前記上流段の前記複数の動翼のそれぞれは、動翼翼部と、前記動翼翼部の径方向外端に結合されたチップシュラウドと、前記動翼翼部の径方向内端フィレット部を介して結合されたプラットフォームと、を備え、前記下流段の前記複数の静翼のそれぞれは、少なくとも1つの静翼翼部と、前記静翼翼部の径方向内端に結合されたインナーバンドと、を備え、前記インナーバンドの上流部は先細りに形成され、かつ、その径方向外面と径方向内面が前記低圧タービンの軸を含む断面において鋭角を成しており、前記低圧タービンの運転状態において、前記静翼翼部の前縁部と前記チップシュラウドの下流端面の間の軸方向距離と、前記インナーバンドの上流端面と前記動翼翼部の後縁部の間の軸方向距離は、同一に設定されており、かつ、前記インナーバンドの前記上流端面の径方向位置は、前記動翼の前記フィレット部の径方向外端部の径方向位置と一致している。

発明の効果

0019

本開示の低圧タービンによれば、動翼の材料としてCMCのような脆性材料を適用した場合であっても、低圧シャフトの破断時における過回転を防止することができるという、優れた効果を得ることができる。

図面の簡単な説明

0020

本開示の低圧タービンを構成要素として含む2軸のターボファンエンジンの概略側断面図である。
本開示の低圧タービンのうち、低圧シャフトの破断時における過回転を防止するための構造を備えた動翼及び静翼の形状、並びに、運転状態における両翼の相対的な位置関係を示す概略説明図である。
低圧シャフト破断後における図2の動翼及び静翼の状況を示す概略説明図である。

実施例

0021

以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。

0022

図1は、本開示の低圧タービンLTを構成要素として含む2軸のターボファンエンジンTFの概略側断面図である。

0023

低圧タービンLTは、そのロータ(低圧タービンロータ)LTrが、低圧シャフトLSを介してファンFのロータ(ファンロータ)Fr及び低圧圧縮機LCのロータ(低圧圧縮機ロータ)LCrと連結されている。

0024

図2は、本開示の低圧タービンLTのうち、低圧シャフトLSの破断時における過回転を防止するための構造(以下、「過回転防止構造」と称する。)を備えた動翼及び静翼の形状、並びに、運転状態における両翼の相対的な位置関係を示す図である。また、図3は、低圧シャフトLSの破断後における図2の動翼及び静翼の状況を示す概略説明図である。なお、両図における上下方向、左右方向は、それぞれ低圧タービンLTの径方向R、軸方向Zである(図2中の矢印参照)。また、以下において「外」及び「内」は、特に断らない限り径方向Rにおける「外」及び「内」を示すものとする。

0025

低圧タービンLTは、過回転防止構造を備えた動翼10及び静翼20がそれぞれ属する上流段SU及び下流段SDを含む複数の段を有している。なお、上流段SUは、複数の動翼10と、当該動翼10の上流側(前側)に配置された複数の静翼SVとから構成されており、下流段SDは、複数の静翼20と、当該静翼20の下流側(後側)に配置された複数の動翼RBとから構成されている。また、上流段SUと下流段SDは、作動流体である燃焼ガスの流れ方向において隣接して配置されている。

0026

動翼10は、CMC製であって、翼部(動翼翼部)10Aと、当該翼部10Aの外端及び内端にそれぞれ結合されたチップシュラウド10T及びプラットフォーム10Pと、を備えている。動翼10は、さらに、プラットフォーム10Pの内側に、外側から順にシャンク10S及びダブテール10Dを備えている。

0027

翼部10Aは、主流流路(作動流体である燃焼ガスの流路)を横断して延びる部位であり、翼型の断面形状を有している。翼部10Aは、上流側に配置された静翼SVから流出する燃焼ガスを転向させることにより、燃焼ガスから周方向の反力を受け、この反力によるトルクが低圧タービンロータLTrを回転させる。

0028

チップシュラウド10Tは、翼部10Aの外端(チップ部)に結合された板状の部位であって、その外面にはシールフィン10TSが設けられている。

0029

チップシュラウド10Tは、全ての動翼10が低圧タービンLTに組み付けられた状態において、全体としてリングを形成するような形状を有しており、このとき、チップシュラウド10Tの内面は主流流路の外壁を形成する。

0030

また、隣り合う動翼10のチップシュラウド10Tは、低圧タービンLTの運転状態において、遠心力による翼部10Aの捩り変形に伴って、その周方向の所定の端面同士が接触するように構成されている。これにより、隣り合う動翼10はその外端において互いに拘束された状態となり、互いに接触した端面における摩擦力減衰力として作用することにより、翼部10Aの過大な振動が抑制される。

0031

さらに、チップシュラウド10Tの外面に設けられたシールフィン10TSも、全ての動翼10が低圧タービンLTに組み付けられた状態において、全体としてリングを形成するような形状を有しており、当該リングはラビリンスシールフィンとして作用する。これにより、チップシュラウド10Tの外側を迂回して(すなわち、翼部10Aによって構成される翼列を通過することなく)動翼10の上流側から下流側へ漏れる燃焼ガスの量が低減される。

0032

プラットフォーム10Pは、翼部10Aの内端(ハブ部)に結合された板状の部位である。プラットフォーム10Pは、全ての動翼10が低圧タービンLTに組み付けられた状態において、全体としてリングを形成するような形状を有しており、このとき、プラットフォーム10Pの外面は主流流路の内壁を形成する。

0033

プラットフォーム10Pと翼部10Aとは、応力集中を緩和するために、凹状の曲面として形成されたフィレット部10Fを介して結合されている。

0034

ダブテール10Dは、動翼10の内端の部位であり、シャンク10Sによってプラットフォーム10Pと結合されている。ダブテール(dovetail)10Dは、通常、鳩(dove)の尾(tail)状、または、樅の木(またはクリスマスツリー)状の断面形状を有している。一方、低圧タービンロータLTrを構成するディスク(図示省略)の外周面に設けられたスロットも、ダブテール10Dと同様の断面形状を有しており、両断面形状は、互いに相補的なものとされている。動翼10は、ディスクのダブテールスロットにダブテール10Dが嵌め込まれることにより、ディスクに取り付けられる。

0035

静翼20は、耐熱合金等の金属製であって、少なくとも1つの翼部(静翼翼部)20Aと、当該翼部20Aの外端及び内端にそれぞれ結合されたアウターバンド20E及びインナーバンド20Iと、から成っている。

0036

翼部20Aは、主流流路を横断して延びる部位であり、翼型の断面形状を有している。翼部20Aは、上流側に配置された動翼10から流出する燃焼ガスを転向させつつ膨張させ、下流側に配置された動翼RBに向けて送り出す機能を有している。

0037

アウターバンド20E及びインナーバンド20Iは、それぞれ翼部20Aの外端及び内端に結合された板状の部位である。アウターバンド20E及びインナーバンド20Iは、いずれも、全ての静翼20が低圧タービンLTに組み付けられた状態において、全体としてリングを形成するような形状を有している。そして、この状態においてアウターバンド20Eの内面及びインナーバンド20Iの外面は、それぞれ主流流路の外壁及び内壁を形成する。

0038

アウターバンド20Eは、一実施例において、その外面にフック20EHを備えており、当該フック20EHを介してケーシング(図示省略)に取り付けられる。

0039

インナーバンド20Iの上流部は、先細りに形成されており、かつ、その径方向外面20IEと径方向内面20IIが低圧タービンLTの中心軸を含む断面(図2に示された断面)において鋭角θ(0°<θ<90°)を成している。このように上流部が鋭く形成されたインナーバンド20Iは、後述するように、低圧タービンLTの運転中にその前端面20IFが動翼10の翼部10Aと接触した際、当該翼部10Aに切欠きを生ぜしめる作用を有している。

0040

本開示の低圧タービンLTの動翼10及び静翼20は上述したような形状を有しているが、当該低圧タービンLTが、低圧シャフトLSの破断時に過回転を防止する作用(以下、「過回転防止作用」と称する。)を発揮するためには、動翼10と静翼20が低圧タービンLTの運転状態において所定の相対的な位置関係を満たすことが必要である。これについて、以下で詳述する。

0041

動翼10は、低圧タービンLTの運転中、主流流路を流れる高温の燃焼ガスからの伝熱に起因する熱膨張及び遠心力によってディスクが変形するのに伴い、軸方向及び径方向に変位する。また、静翼20も、低圧タービンLTの運転中、主流流路を流れる高温の燃焼ガスからの伝熱に起因する熱膨張によってケーシングが変形するのに伴い、軸方向及び径方向に変位する。このように、動翼10と静翼20の軸方向及び径方向における相対的な位置関係は、低圧タービンLTの運転状態に応じて変化する。

0042

したがって、本開示の低圧タービンLTが過回転防止作用を発揮するために動翼10と静翼20が満たすべき相対的な位置関係は、低圧タービンLTの特定の運転状態において規定される必要がある。

0043

この特定の運転状態(以下、「設計点状態」と称する。)は、例えば、ターボファンエンジンTFの最大離陸レーティングに対応する運転状態とすることができる。これは、当該レーティングにおいては低圧タービンロータLTrの回転数が非常に高く、過回転防止作用の必要性が高いからである。ただし、設計点状態を、例えば、最大上昇レーティング、最大巡航レーティング、最大連続レーティングなど、ターボファンエンジンTFの他のレーティングに対応する運転状態としてもよい。

0044

動翼10と静翼20が、設計点状態において満たすべき相対的な位置関係は、以下の(1)及び(2)である。
(1)静翼20の翼部20Aの前縁部20LEと動翼10のチップシュラウド10Tの後端面(下流端面)10TRの間の軸方向距離Dtが、静翼20のインナーバンド20Iの前端面(上流端面)20IFと動翼10の翼部10Aの後縁部10TEの間の軸方向距離Dhと等しい。
(2)静翼20のインナーバンド20Iの前端面20IFの径方向Rにおける位置が、動翼10のフィレット部10Fの径方向外端部10FEの径方向Rにおける位置と一致している。

0045

(1)の関係が満たされることにより、低圧シャフトLSが破断し、燃焼ガスの流れに起因して各段の動翼(動翼10及び動翼RBを含む)に作用する後向きの荷重によって低圧タービンロータLTrが全体として後方へ移動した時、静翼20の翼部20Aの前縁部20LEと動翼10のチップシュラウド10Tの後端面10TR(以下、「外側接触部」と称する。)、静翼20のインナーバンド20Iの前端面20IFと動翼10の翼部10Aの後縁部10TE(以下、「内側接触部」と称する。)は、実質的に同時に接触を開始することになる。

0046

また、(2)の関係が満たされることにより、上述したように静翼20のインナーバンド20Iの前端面20IFと動翼10の翼部10Aの後縁部10TEが接触を開始した際、当該接触は、動翼10のフィレット部10Fの径方向外端部10FEにおいて生じる(図3参照)。この部位10FEは、換言すれば、翼部10Aの径方向内端部に相当し、フィレット部10Fと比較して断面積の小さい部位であるため、低圧タービンロータLTrの後方への移動が進むにつれ、静翼20のインナーバンド20Iの前端面20IFによって容易に切削され、そこに切欠きNTが生じることになる(図3参照)。

0047

このとき、(1)の関係が満たされていることにより、静翼20の翼部20Aの前縁部20LEは、低圧タービンロータの後方への移動が進むにつれて、動翼10のチップシュラウド10Tの後端面10TRに前向きの荷重Lfを作用させることになる(図3参照)。

0048

このように、動翼10の翼部10Aの後縁部10TEの径方向内端部10FEには切欠きNTが生じ、それと同時に、動翼10のチップシュラウド10Tの後端面10TRには前向きの荷重Lfが作用する。それにより、動翼10の翼部10Aの後縁部10TEの径方向内端部10FEには、翼部10A及びチップシュラウド10Tに作用する遠心力に起因する径方向応力と荷重Lfに起因する曲げ応力とが合成された応力が作用し、当該応力は上述した切欠きNTの周囲で局所的に増大する(すなわち、応力集中が発生する)。その結果、動翼10の翼部10Aは、最終的には、切欠きNTが生じた部位において破断し飛散するに至る。上述したように、切欠きNTが生じた部位は翼部10Aの径方向内端部に相当するため、当該破断及び飛散によって、実質的に翼部10Aの全てが失われることになる。

0049

このようにして、全ての動翼10の翼部10Aが失われると、上流段SUにおいては、もはやトルクは発生しなくなる。また、動翼の翼部が飛散することによって後方の翼列の空力的な機能も損なわれる可能性が高い。これによって、低圧タービンLTの空力的な機能は大きく損なわれ、発生するトルクは大幅に低下する。その結果、低圧タービンロータLTrの過回転は回避される。

0050

なお、上述したように、発生するトルクの低下は、上流段SUの動翼10の翼部10Aの破断及び飛散のみならず、翼部10Aが飛散することによって後方の翼列の空力的な機能が損なわれることによっても生じる。したがって、過回転防止構造を備えた動翼10及び静翼20がそれぞれ属する上流段SU及び下流段SDは、低圧タービンLTのなるべく上流側に配置することが望ましい。例えば、上流段SUを低圧タービンLTの第1段とすることにより、最大の過回転防止作用が得られると考えられる。

0051

また、設計点状態において上述した関係(1)を満たすよう動翼10及び静翼20を構成することにより、外側接触部と内側接触部における接触を実質的に同時に開始させるのは、低圧シャフトLSの破断から動翼10の翼部10Aの破断及び飛散に至るまでの時間が、いずれかの接触部における接触を先行して開始させる場合と比較して短いことが、数値解析によって確認されたためである。

0052

すなわち、本開示の低圧タービンLTにおいては、低圧シャフトLSの破断後、より迅速に、回転数の上昇を招くトルクの発生を停止させることができる。これにより、過回転に起因して低圧タービンロータLTrの構造健全性に悪影響を及ぼす過大な応力が発生する可能性を、より低く抑えることができる。

0053

なお、本開示の低圧タービンLTの設計にあたっては、当該低圧タービンLTの組み立て状態停止状態)と設計点状態との間での各部材(動翼10、静翼20、ディスク、ケーシング等)の軸方向及び径方向の変位量を予め解析等により求めておき、設計点状態において上述した関係(1)及び(2)が満たされるような上記各部材の寸法を、ノミナル値として設定すればよい。換言すれば、上述した関係(1)及び(2)は、上記各部材がノミナル寸法を有している場合に厳密に満たされるものである。

0054

なお、上述した関係(1)における軸方向距離Dtの動翼10側の基準は、厳密にはチップシュラウド10Tの後端面10TRの径方向における中間位置とすることが望ましい。

0055

また、上述した関係(1)における軸方向距離Dhの静翼20側の起点は、厳密にはインナーバンド20Iの前端面20IFの径方向における内端部とすることが望ましい。同様に、上述した関係(2)において、動翼10のフィレット部10Fの径方向外端部10FEの径方向Rにおける位置と一致すべき静翼20のインナーバンド20Iの前端面20IFの部位は、当該前端面20IFの径方向Rにおける内端部とすることが望ましい。これにより、静翼20のインナーバンド20Iの前端面20IF全体が、フィレット部10Fと比較して断面積の小さい翼部10Aに接触することとなり、切欠きNTが確実に形成される。

0056

なお、上述したように動翼10の翼部10Aを確実に破断させるためには、静翼20の翼部20Aの前縁部20LEが、動翼10のチップシュラウド10Tの後端面10TRに効率良く前向きの荷重Lfを作用させ得ることが望ましい。そのために、静翼20の翼部20Aの前縁部20LEのうち、低圧シャフトLSの破断後に動翼10のチップシュラウド10Tの後端面10TRと接触する部位(換言すれば、設計点状態において動翼10のチップシュラウド10Tの後端面10TRと軸方向に対向する部位)を、低圧タービンLTの中心軸を含む断面(図2に示された断面)において、動翼10のチップシュラウド10Tの後端面10TRと平行に形成することが望ましい。例えば、動翼10のチップシュラウド10Tの後端面10TRが径方向に対して平行に形成されている場合は、上述した部位も径方向に対して平行に形成するとよい。

0057

また、空力性能の観点から、静翼20の翼部20Aの前縁部20LEを上述したように形成することが望ましくない場合は、例えば、動翼10のチップシュラウド10Tの後端部に外側へ突出した部分を設けることにより、当該チップシュラウド10Tの後端面10TRの径方向の長さを大きくしてもよい。この場合にも、動翼10のチップシュラウド10Tは、静翼20の翼部20Aの前縁部20LEからの前向きの荷重Lfを効率よく受けることができる。

0058

なお、本開示は、動翼の材料としてCMCのような脆性材料を適用した場合に生じる問題点を解決すべくなされたものであるが、動翼の材料として耐熱合金等の金属材料を適用した場合にも、上述したものと同様の作用・効果が得られると考えられる。

0059

また、以上においては、本開示を2軸のターボファンエンジンの構成要素である低圧タービンに適用した例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、3軸のターボファンエンジンの構成要素である中圧タービンにも、本開示を適用することが可能である。

0060

10動翼
10A翼部(動翼翼部)
10Dダブテール
10Fフィレット部
10FE フィレット部の径方向外端部(翼部(動翼翼部)の径方向内端部)
10Pプラットフォーム
10Sシャンク
10Tチップシュラウド
10TE 翼部(動翼翼部)の後縁部
10TR チップシュラウドの後端面
10TSシールフィン
20静翼
20A 翼部(静翼翼部)
20Eアウターバンド
20EHフック
20Iインナーバンド
20IEインナーバンドの径方向外面
20IF インナーバンドの前端面
20II インナーバンドの径方向内面
20LE翼部(静翼翼部)の前縁部
CB燃焼器
CEコアエンジン
Dh軸方向距離
Dt 軸方向距離
Fファン
Frファンロータ
HC高圧圧縮機
HCr高圧圧縮機ロータ
HS高圧シャフト
HT高圧タービン
HTr高圧タービンロータ
LC低圧圧縮機
LCr 低圧圧縮機ロータ
Lf荷重
LS低圧シャフト
LT低圧タービン
LTr低圧タービンロータ
NT切欠き
R 径方向
RB 動翼
SD下流段
SU上流段
SV静翼
TFターボファンエンジン
Z 軸方向
θ 鋭角

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