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技術 内燃機関の排気浄化装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 梅本寿丈
出願日 2018年9月6日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-166988
公開日 2020年3月19日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-041431
状態 未査定
技術分野 内燃機関に供給する空気・燃料の電気的制御 内燃機関の複合的制御 排気の後処理
主要キーワード FCフラグ 劣化メカニズム 総燃料供給量 燃料カット実行条件 一定時間間隔毎 シャット弁 単位表面積 劣化要因
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

貴金属局所的に発熱することを抑制して貴金属の劣化を抑制する。

解決手段

内燃機関1の排気浄化装置は、貴金属を担持すると共に酸素吸蔵可能な排気浄化触媒20と、燃焼室10への燃料供給量を制御する制御装置31と、を備える。制御装置は、所定の燃料カット実行条件成立したときには、排気浄化触媒に流入する排気ガス空燃比理論空燃比よりもリッチリッチ空燃比になるように燃焼室へ燃料を一時的に供給する燃料供給制御を実行した後に、内燃機関が作動した状態で燃焼室への燃料の供給を停止する燃料カット制御を開始する。

概要

背景

従来から、内燃機関を搭載した車両の減速時等に、内燃機関が作動した状態で燃焼室への燃料の供給を停止する燃料カット制御を実行可能な内燃機関が知られている。加えて、内燃機関の排気通路内パラジウム等の貴金属担持した排気浄化触媒が設けられた、内燃機関の排気浄化触媒も知られている。斯かる排気浄化触媒では、排気浄化触媒の温度が高い状態で燃料カット制御が実行されると、排気浄化触媒に担持された貴金属が劣化する虞があることが知られている(例えば、特許文献1)。

そこで、特許文献1に記載の排気浄化装置では、内燃機関の排気通路内に排気シャット弁が設けられると共に、排気通路内を流れる排気ガスの一部を吸気通路へ戻すEGR機構が設けられている。そして、排気浄化触媒の温度が高いときには、スロットル弁閉弁すると共にシャット弁を閉弁し且つEGR機構により排気ガスの一部が吸気通路内に流入するようにしている。これにより、燃料カット中であっても機関本体にはEGRガスのみが流入することになるため排気ガス中の酸素濃度を低く抑えることができ、よって排気浄化触媒に担持された貴金属の劣化を抑制することができるとされている。加えて、シャット弁を閉弁することによりポンピングロスが大きくなり、よってドライバ減速感を得ることができるとされている。

概要

貴金属が局所的に発熱することを抑制して貴金属の劣化を抑制する。内燃機関1の排気浄化装置は、貴金属を担持すると共に酸素吸蔵可能な排気浄化触媒20と、燃焼室10への燃料供給量を制御する制御装置31と、を備える。制御装置は、所定の燃料カット実行条件成立したときには、排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比理論空燃比よりもリッチリッチ空燃比になるように燃焼室へ燃料を一時的に供給する燃料供給制御を実行した後に、内燃機関が作動した状態で燃焼室への燃料の供給を停止する燃料カット制御を開始する。

目的

一方、本願発明者らの研究により、貴金属の劣化の一因は、貴金属上に吸着しているHCと燃料カット制御中に排気浄化触媒に流入する酸素とが貴金属上で反応し、貴金属が局所的に発熱することにある

効果

実績

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請求項1

貴金属担持すると共に酸素吸蔵可能な排気浄化触媒と、燃焼室への燃料供給量を制御する制御装置と、を備える、内燃機関排気浄化装置であって、前記制御装置は、所定の燃料カット実行条件成立したときには、前記排気浄化触媒に流入する排気ガス空燃比理論空燃比よりもリッチリッチ空燃比になるように前記燃焼室へ燃料を一時的に供給する燃料供給制御を実行した後に、内燃機関が作動した状態で前記燃焼室への燃料の供給を停止する燃料カット制御を開始する、内燃機関の排気浄化装置。

請求項2

前記制御装置は、前記燃料カット実行条件が成立したときの前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が相対的に多い場合には、相対的に少ない場合に比べて、前記燃料供給制御中の総燃料供給量が多くなるように前記燃焼室への燃料供給量を制御する、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。

請求項3

前記制御装置は、前記燃料カット実行条件が成立したときの前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が相対的に多い場合には、相対的に少ない場合に比べて、前記燃料供給制御中に前記排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比のリッチ度合いが大きくなるように前記燃焼室への燃料供給量を制御する、請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。

請求項4

前記制御装置は、前記燃料カット実行条件が成立したときの前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が、前記排気浄化触媒の最大吸蔵可能酸素量よりも少なく且つゼロよりも多い所定の基準酸素吸蔵量よりも少ない場合には、前記燃料カット実行条件が成立しても、前記燃料供給制御を実行せずにせずに前記燃料カット制御を実行する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。

請求項5

前記制御装置は、前記燃料カット実行条件が成立したときの前記排気浄化触媒の劣化度合いが相対的に大きいときには、相対的に小さいときに比べて、前記燃料供給制御中の総燃料供給量が少なくなるように前記燃焼室への燃料供給量を制御する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。

請求項6

前記制御装置は、前記燃料カット実行条件が成立したときの前記排気浄化触媒への炭化水素吸着量が予め定められた基準吸着量以上である場合には、前記燃料供給制御を実行せずに前記燃料カット制御を実行する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。

請求項7

前記制御装置は、前記燃料カット実行条件が成立したときの前記排気浄化触媒への炭化水素の吸着量が前記基準吸着量未満である場合には、前記排気浄化触媒への炭化水素の吸着量が多いほど前記燃料供給制御中に前記排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比のリッチ度合いが小さくなるように前記燃焼室への燃料供給量を制御する、請求項6に記載の内燃機関の排気浄化装置。

技術分野

0001

本発明は、内燃機関排気浄化装置に関する。

背景技術

0002

従来から、内燃機関を搭載した車両の減速時等に、内燃機関が作動した状態で燃焼室への燃料の供給を停止する燃料カット制御を実行可能な内燃機関が知られている。加えて、内燃機関の排気通路内パラジウム等の貴金属担持した排気浄化触媒が設けられた、内燃機関の排気浄化触媒も知られている。斯かる排気浄化触媒では、排気浄化触媒の温度が高い状態で燃料カット制御が実行されると、排気浄化触媒に担持された貴金属が劣化する虞があることが知られている(例えば、特許文献1)。

0003

そこで、特許文献1に記載の排気浄化装置では、内燃機関の排気通路内に排気シャット弁が設けられると共に、排気通路内を流れる排気ガスの一部を吸気通路へ戻すEGR機構が設けられている。そして、排気浄化触媒の温度が高いときには、スロットル弁閉弁すると共にシャット弁を閉弁し且つEGR機構により排気ガスの一部が吸気通路内に流入するようにしている。これにより、燃料カット中であっても機関本体にはEGRガスのみが流入することになるため排気ガス中の酸素濃度を低く抑えることができ、よって排気浄化触媒に担持された貴金属の劣化を抑制することができるとされている。加えて、シャット弁を閉弁することによりポンピングロスが大きくなり、よってドライバ減速感を得ることができるとされている。

先行技術

0004

特開2018−009535号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、特許文献1に記載された排気浄化装置では、燃料カット中に高濃度のEGRガスが燃焼室内に供給されることになる。このため、燃料カット終了後に通常運転復帰する際にも燃焼室内はEGRガスで充満されており、燃焼室内に燃料を供給してもすぐには燃焼を開始させることができない。したがって、特許文献1に記載された排気浄化装置では、燃料カット後に通常運転に復帰するのに時間がかかる。加えて、特許文献1に記載された排気浄化装置では、排気通路内に排気シャット弁を設けることが必要になり、製造コストが増大する。したがって、特許文献1に記載された排気浄化触媒には改善の余地がある。

0006

一方、本願発明者らの研究により、貴金属の劣化の一因は、貴金属上に吸着しているHCと燃料カット制御中に排気浄化触媒に流入する酸素とが貴金属上で反応し、貴金属が局所的に発熱することにあることが判明した。

0007

上記課題に鑑みて、本開示の目的は、貴金属が局所的に発熱することを抑制して貴金属の劣化を抑制することができる排気浄化触媒を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本開示の要旨は以下のとおりである。

0009

(1)貴金属を担持すると共に酸素を吸蔵可能な排気浄化触媒と、燃焼室への燃料供給量を制御する制御装置と、を備える、内燃機関の排気浄化装置であって、
前記制御装置は、所定の燃料カット実行条件成立したときには、前記排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比理論空燃比よりもリッチリッチ空燃比になるように前記燃焼室へ燃料を一時的に供給する燃料供給制御を実行した後に、内燃機関が作動した状態で前記燃焼室への燃料の供給を停止する燃料カット制御を開始する、内燃機関の排気浄化装置。

0010

(2)前記制御装置は、前記燃料カット実行条件が成立したときの前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が相対的に多い場合には、相対的に少ない場合に比べて、前記燃料供給制御中の総燃料供給量が多くなるように前記燃焼室への燃料供給量を制御する、上記(1)に記載の内燃機関の排気浄化装置。

0011

(3)前記制御装置は、前記燃料カット実行条件が成立したときの前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が相対的に多い場合には、相対的に少ない場合に比べて、前記燃料供給制御中に前記排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比のリッチ度合いが大きくなるように前記燃焼室への燃料供給量を制御する、上記(2)に記載の内燃機関の排気浄化装置。

0012

(4)前記制御装置は、前記燃料カット実行条件が成立したときの前記排気浄化触媒の酸素吸蔵量が、前記排気浄化触媒の最大吸蔵可能酸素量よりも少なく且つゼロよりも多い所定の基準酸素吸蔵量よりも少ない場合には、前記燃料カット実行条件が成立しても、前記燃料供給制御を実行せずにせずに前記燃料カット制御を実行する、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。

0013

(5)前記制御装置は、前記燃料カット実行条件が成立したときの前記排気浄化触媒の劣化度合いが相対的に大きいときには、相対的に小さいときに比べて、前記燃料供給制御中の総燃料供給量が少なくなるように前記燃焼室への燃料供給量を制御する、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。

0014

(6)前記制御装置は、前記燃料カット実行条件が成立したときの前記排気浄化触媒への炭化水素の吸着量が予め定められた基準吸着量以上である場合には、前記燃料供給制御を実行せずに前記燃料カット制御を実行する、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。

0015

(7)前記制御装置は、前記燃料カット実行条件が成立したときの前記排気浄化触媒への炭化水素の吸着量が前記基準吸着量未満である場合には、前記排気浄化触媒への炭化水素の吸着量が多いほど前記燃料供給制御中に前記排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比のリッチ度合いが小さくなるように前記燃焼室への燃料供給量を制御する、上記(6)に記載の内燃機関の排気浄化装置。

発明の効果

0016

本開示によれば、貴金属が局所的に発熱することを抑制して貴金属の劣化を抑制することができる排気浄化触媒が提供される。

図面の簡単な説明

0017

図1は、一つの実施形態に係る排気浄化装置が用いられている内燃機関を概略的に示す図である。
図2は、排気浄化触媒の担体の表面を模式的に示す概略的な断面図である。
図3は、排気浄化触媒の担体の表面を模式的に示す、図2と同様な概略的な断面図である。
図4は、燃料カット制御が行われる際の、FCフラグ、内燃機関の出力、排気ガスの空燃比及び排気浄化触媒の酸素吸蔵量のタイムチャートである。
図5は、FCフラグを設定するフラグ設定処理制御ルーチンを示すフローチャートである。
図6は、燃料カット制御を実行するための燃料カット処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図7は、排気浄化触媒の酸素吸蔵量と、排気ガスの空燃比のリッチ度合いとの関係を示す図である。
図8は、排気浄化触媒の酸素吸蔵量と、燃料供給制御の実行時間との関係を示す図である。
図9は、燃料カット制御を実行するための燃料カット処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図10は、排気浄化触媒の劣化度合いと、排気ガスの空燃比のリッチ度合いとの関係を示す図である。
図11は、排気浄化触媒への未燃HCの吸着量と、排気ガスの空燃比のリッチ度合いとの関係を示す図である。
図12は、燃料カット処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。

実施例

0018

以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。

0019

<第一実施形態>
≪内燃機関全体の説明≫
図1は、第一実施形態に係る排気浄化装置が用いられる内燃機関を概略的に示す図である。図1に示したように、内燃機関1は、機関本体2、シリンダブロック3、シリンダブロック3内で往復動するピストン4、シリンダブロック3上に固定されたシリンダヘッド5、吸気弁6、吸気ポート7、排気弁8、排気ポート9を備える。ピストン4とシリンダヘッド5との間には燃焼室10が形成される。吸気弁6は吸気ポート7を開閉し、排気弁8は排気ポート9を開閉する。また、機関本体2には、吸気弁6のバルブタイミングを制御する可変バルブタイミング機構28が設けられる。なお、機関本体2には、排気弁8のバルブタイミングを制御する可変バルブタイミング機構が設けられてもよい。

0020

図1に示したようにシリンダヘッド5の内壁面の中央部には点火プラグ11が配置され、シリンダヘッド5の内壁面周辺部には燃料噴射弁12が配置される。点火プラグ11は、点火信号に応じて火花を発生させるように構成される。また、燃料噴射弁12は、噴射信号に応じて、所定量の燃料を燃焼室10内に噴射する。なお、燃料噴射弁12は、燃焼室10内に燃料を供給することができれば、吸気ポート7内に燃料を噴射するように配置されてもよい。

0021

気筒の吸気ポート7はそれぞれ対応する吸気枝管13を介してサージタンク14に連結され、サージタンク14は吸気管15を介してエアクリーナ16に連結される。吸気ポート7、吸気枝管13、サージタンク14、吸気管15は吸気通路を形成する。また、吸気管15内にはスロットル弁駆動アクチュエータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置される。

0022

一方、各気筒の排気ポート9は排気マニホルド19に連結され、排気マニホルド19は排気浄化触媒20を内蔵したケーシング21に連結される。ケーシング21は排気管22に連結される。排気ポート9、排気マニホルド19、ケーシング21及び排気管22は、排気通路を形成する。

0023

また、内燃機関1は、電子制御ユニット(ECU)31を備える。ECU31は、デジタルコンピュータからなり、双方向性バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36及び出力ポート37を具備する。

0024

吸気管15には、吸気管15内を流れる空気流量を検出するためのエアフロメータ39が設けられ、スロットル弁18には、スロットル弁18の開度を検出するスロットル開度センサ40が設けられる。加えて、排気浄化触媒20の排気流れ方向上流側の排気マニホルド19には、排気マニホルド19内を流れる排気ガス(すなわち、排気浄化触媒20に流入する排気ガス)の空燃比を検出する上流側空燃比センサ41が設けられる。また、排気浄化触媒20の排気流れ方向下流側の排気管22には、排気管22内を流れる排気ガス(すなわち、排気浄化触媒20から流出した排気ガス)の空燃比を検出する下流側空燃比センサ42が設けられる。これらエアフロメータ39、スロットル開度センサ40、上流側空燃比センサ41及び下流側空燃比センサ42の出力は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。

0025

また、アクセルペダル43にはアクセルペダル43の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ44が接続され、負荷センサ44の出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。クランク角センサ45は例えばクランクシャフトが15度回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート36に入力される。CPU35ではこのクランク角センサ45の出力パルスから機関回転速度が計算される。

0026

一方、出力ポート37は対応する駆動回路46を介して点火プラグ11、燃料噴射弁12、スロットル弁駆動アクチュエータ17及び可変バルブタイミング機構28に接続される。したがって、ECU31は、点火プラグ11による点火時期、燃料噴射弁12からの燃料噴射時期燃料噴射量、スロットル弁18の開度、吸気弁6のバルブタイミング等を制御する制御装置として機能する。

0027

本実施形態では、制御装置は、燃料噴射弁12からの燃料噴射量を調整することにより、機関本体2から排出される排気ガスの空燃比、すなわち排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比を制御している。機関本体2から排出される排気ガスの空燃比をリッチ側に変化させるときには燃料噴射弁12からの燃料噴射量が増大され、機関本体2から排出される排気ガスの空燃比をリーン側に変化させるときには燃料噴射弁12からの燃料噴射量が減少される。

0028

≪排気浄化触媒の説明≫
排気浄化触媒20は、酸素吸蔵能力を有する三元触媒である。具体的には、排気浄化触媒20は、セラミックから成る担体に、触媒作用を有する貴金属(例えば、パラジウム(Pd))及び酸素吸蔵能力を有する物質(例えば、セリア(CeO2))を担持させた三元触媒である。三元触媒は、三元触媒に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比に維持されていると、未燃HC、CO及びNOxを同時に浄化する機能を有する。加えて、排気浄化触媒20に或る程度の酸素が吸蔵されている場合には、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比に対してリッチ側或いはリーン側に若干ずれたとしても未燃HC、CO及びNOxとが同時に浄化される。

0029

すなわち、排気浄化触媒20が酸素吸蔵能力を有していると、すなわち排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が最大吸蔵可能酸素量よりも少ないと、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりも若干リーンになったときには、排気ガス中に含まれる過剰な酸素が排気浄化触媒20内に吸蔵される。このため、排気浄化触媒20の表面上が理論空燃比に維持される。その結果、排気浄化触媒20の表面上において未燃HC、CO及びNOxが同時に浄化され、このとき排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比は理論空燃比となる。

0030

一方、排気浄化触媒20が酸素を放出することができる状態にあると、すなわち排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が0よりも多いと、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりも若干リッチになったときには、排気ガス中に含まれている未燃HC、COを還元させるのに不足している酸素が排気浄化触媒20から放出される。このため、この場合にも排気浄化触媒20の表面上が理論空燃比に維持される。その結果、排気浄化触媒20の表面上において未燃HC、CO及びNOxが同時に浄化され、このとき排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比は理論空燃比となる。

0031

このように、排気浄化触媒20に或る程度の酸素が吸蔵されている場合には、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比に対してリッチ側或いはリーン側に若干ずれたとしても未燃HC、CO及びNOxが同時に浄化され、排気浄化触媒20から流出する排気ガスの空燃比は理論空燃比となる。

0032

≪燃料カット制御中の触媒劣化
ところで、本実施形態に係る内燃機関1では、内燃機関1を搭載した車両が減速しているときに、内燃機関1が作動した状態で燃料噴射弁12からの燃料噴射を停止する燃料カット制御が行われる。斯かる燃料カット制御が行われると、燃焼室10に流入した空気がそのまま燃焼室10から流出するため、排気浄化触媒20には空気が流入することになる。

0033

このように排気浄化触媒20に空気が流入すると、排気浄化触媒20が劣化する。斯かる排気浄化触媒20の劣化が生じる要因の一つが解明されたため、以下、図2を参照して劣化要因について説明する。

0034

図2は、排気浄化触媒20の担体の表面を模式的に示す概略的な断面図である。図2に示した例では、アルミナ(Al2O3)を含む担体に、貴金属のパラジウム(Pd)と酸素吸蔵剤として機能するセリア(CeO2)とが担持されている。

0035

上述したように、機関本体2から排出されて排気浄化触媒20に流入する排気ガス中には、未燃HC、CO及びNOxが含まれている。このうち、未燃HCは、排気浄化触媒20の温度が低いときには、貴金属上に吸着される。

0036

このように貴金属上に未燃HCが吸着された状態で、燃料カット制御が実行されて排気浄化触媒20に多量の酸素が流入すると、流入した酸素の一部は貴金属上に吸着されている未燃HCと反応し、この反応により二酸化炭素と水が生成される。斯かる反応は発熱反応であるため、貴金属は局所的に加熱される。

0037

このときの反応熱のほとんどは貴金属の加熱に用いられることになるため、貴金属の温度は非常に高くなり、この結果、貴金属にシンタリングが生じる。貴金属にシンタリングが生じると、貴金属の総表面積が小さくなり、その結果、貴金属による触媒作用が低下し、すなわち、排気浄化触媒20が劣化することになる。

0038

≪触媒劣化の抑制≫
斯かる排気浄化触媒20の劣化メカニズムを考慮すると、燃料カット制御中における排気浄化触媒20の劣化を抑制するためには、燃料カット制御中に、貴金属に吸着された未燃HCと酸素とが急速に反応するのを抑制することが考えられる。以下では、図3を参照して、燃料カット中の排気浄化触媒20の劣化を抑制するためのメカニズムについて説明する。

0039

図3は、排気浄化触媒20の担体の表面を模式的に示す、図2と同様な概略的な断面図である。図3(A)は、排気浄化触媒20に理論空燃比よりもリッチな空燃比(以下、「リッチ空燃比」ともいう)の排気ガスが流入しているときの担体表面の様子を表し、図3(B)は、燃料カット制御により排気浄化触媒20に空気が流入しているときの担体表面の様子を表している。

0040

図3(A)に示したように、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比をリッチ空燃比にすると、排気ガス中の酸素分圧が低いため、排気浄化触媒20の酸素吸蔵剤に吸蔵されている酸素が排気ガス中に放出される。排気ガス中に放出された酸素は、排気ガス中の未燃HCやCOと反応し、排気ガス中の酸素分圧は低いままとなる。この結果、酸素吸蔵剤の酸素吸蔵量が減少し、酸素吸蔵剤が吸蔵可能な酸素量が増大する。

0041

このように、酸素吸蔵剤が吸蔵可能な酸素量を増大させた状態で燃料カット制御が開始されると、図3(B)に示したように、排気浄化触媒20に流入した酸素の一部が酸素吸蔵剤に吸蔵される。この結果、貴金属に吸着された未燃HCと反応する酸素の量が少なくなり、よって貴金属が過剰に昇温されることがなくなる。このため、貴金属のシンタリングが抑制され、排気浄化触媒20の劣化が抑制される。

0042

≪燃料カット時の制御≫
そこで、本実施形態では、制御装置は、所定の燃料カット実行条件が成立したときには、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリッチ空燃比になるように燃焼室10へ燃料を一時的に供給する燃料供給制御を実行した後に、燃料カット制御を開始する。また、本実施形態では、制御装置は、燃料カット実行条件が成立したときの排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が、最大吸蔵可能酸素量(排気浄化触媒20が吸蔵可能な酸素の最大値)よりも少なく且つゼロよりも多い所定の基準酸素吸蔵量よりも少ない場合には、燃料カット実行条件が成立しても、燃料供給制御を実行せずにせずに燃料カット制御を実行する。以下では、斯かる制御について具体的に説明する。

0043

図4は、燃料カット制御が行われる際の、FCフラグ、内燃機関1の出力、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比及び排気浄化触媒20の酸素吸蔵量のタイムチャートである。FCフラグは燃料カット制御の開始条件が成立するとONに設定され、燃料カット制御の終了条件が成立するとOFFに設定されるフラグである。図示した例では排気ガスの理論空燃比は14.6である。

0044

図4に示した例では、時刻t2前には、通常の空燃比制御が行われている。本実施形態の空燃比制御では、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAが最大吸蔵可能酸素量よりも少なく且つゼロよりも多い所定の酸素吸蔵量近傍に維持されるように、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が制御される。本実施形態では、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比は、理論空燃比よりも僅かにリッチな空燃比(時刻t0〜t1)と、理論空燃比よりも僅かにリーンな空燃比(時刻t1〜t2)との間で交互に変化するように制御される。

0045

なお、図4に示した通常の空燃比制御は一例であり、通常の空燃比制御として他の態様の空燃比制御が行われてもよい。具体的には、例えば、通常の空燃比制御において、制御装置は、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比を常に理論空燃比になるように制御してもよい。或いは、制御装置は、通常の空燃比制御において、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比を、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量がほぼゼロになったときにリーン空燃比からリッチ空燃比に切り替え、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量がほぼ最大可能吸蔵量になったときにリッチ空燃比からリーン空燃比に切り替えるように制御してもよい。

0046

図示した例では、時刻t2において、燃料カット制御の実行条件が成立する。このとき、図示した例では、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量は、基準酸素吸蔵量OSAucよりも少ない。したがって、この状態で燃料カット制御が開始されても、排気浄化触媒20に流入した酸素の一部は排気浄化触媒20の酸素吸蔵剤に吸蔵される。その結果、排気浄化触媒20の貴金属上に吸着している未燃HCと酸素との反応速度は遅く、よって貴金属が過剰に昇温される可能性は低い。

0047

このため、時刻t2において燃料カット制御の実行条件が成立すると、燃料供給制御を実行せずに、すぐに燃料カット制御が開始される。この結果、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比は極めて高くなり、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量は急速に増大し、すぐに最大吸蔵可能酸素量Cmaxに到達する。排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が最大吸蔵可能酸素量Cmaxに到達すると、排気浄化触媒20はそれ以上酸素を吸蔵することができなくなる。

0048

その後、時刻t3において、燃料カット制御の終了条件が成立すると、燃料カット制御が終了せしめられる。したがって、時刻t3以降は燃料噴射弁12からの燃料噴射が再開され、機関出力がゼロから増大せしめられる。

0049

燃料カット制御が実行されると排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が最大吸蔵可能酸素量に到達することから、燃料カット制御の終了後には排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリッチ空燃比になるように制御される。この結果、図示した例では、時刻t3以降、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が徐々に減少する。

0050

図示した例では、時刻t4において、再び燃料カット制御の実行条件が成立する。このとき、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量は、基準酸素吸蔵量OSAuc以上となっている。したがって、この状態で燃料カット制御が開始されると、排気浄化触媒20に流入した酸素の多くが排気浄化触媒20の貴金属上に吸着している未燃HCと反応する。したがって未燃HCと酸素との反応速度は速く、よって貴金属が過剰に昇温されて貴金属のシンタリングを招いてしまう可能性が高い。

0051

このため、時刻t4において燃料カット制御の実行条件が成立すると、燃料カット制御が開始される前に、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリッチ空燃比になるように燃焼室10へ燃料を一時的に供給する燃料供給制御が実行される。特に、本実施形態では、燃料供給制御の実行中に排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比は、通常の空燃比制御が行われているときに取り得るリッチ空燃比よりもリッチな予め定められた一定の空燃比とされる。このため、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比は、燃料供給制御が開始された時刻t4以降の方が、通常の空燃比制御が行われる時刻t4以前よりもリッチ度合い(理論空燃比からのリッチ方向偏差)が大きくなるように制御されている。

0052

時刻t4において、燃料供給制御が開始されると、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量は減少する。本実施形態では、燃料供給制御の開始から所定の時間が経過した(または、内燃機関が所定のサイクル駆動された)時刻t5において、燃料供給制御が終了せしめられる。燃料供給制御の実行時間(または実行クランク角)は、燃料供給制御開始時の酸素吸蔵量に関わらず、酸素吸蔵量が少なくとも基準酸素吸蔵量OSAuc未満になるような予め定められた一定の時間(又はクランク角)とされる。

0053

時刻t5において燃料供給制御が終了されるのと同時に、燃料カット制御が開始される。この結果、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量は急速に増大し、すぐに最大吸蔵可能酸素量Cmaxに到達する。その後、時刻t6において、燃料カット制御の終了条件が成立すると、燃料カット制御が終了せしめられる。したがって、時刻t6以降は燃料噴射弁12からの燃料噴射が再開され、機関出力がゼロから増大せしめられる。

0054

本実施形態では、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が多いときには、燃料供給制御を実行して酸素吸蔵量を一旦減少させてから燃料カット制御が開始される。このため、燃料カット制御が開始されても、排気浄化触媒20に流入した酸素の一部が酸素吸蔵剤に吸蔵される。この結果、貴金属に吸着された未燃HCと反応する酸素の量を少なく維持することができ、よって排気浄化触媒20の劣化を抑制することができる。

0055

一方、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が少ないときには、燃料供給制御を実行せずに燃料カット制御が開始される。このときには、燃料供給制御を実行しなくても、燃料カット制御が開始されると排気浄化触媒20に流入した酸素の一部が酸素吸蔵剤に吸蔵されるため、排気浄化触媒20の劣化を抑制することができる。加えて、燃料供給制御を実行しないことにより、燃料カット実行条件が成立するとすぐに燃料カット制御を開始することができるため、車両操作応答性を高いものとすることができる。

0056

≪具体的な制御≫
図5は、FCフラグを設定するフラグ設定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは制御装置において一定の時間間隔毎に実行される。

0057

まず、ステップS11では、FCフラグがONになっているか否かが判定される。ステップS11においてFCフラグがONになっていないと判定されたときには、ステップS12へと進む。

0058

ステップS12では、燃料カット制御の実行条件が成立しているか否かが判定される。燃料カット制御の実行条件の成否は、例えば、機関負荷や機関回転速度に基づいて判断される。具体的には、例えば、アクセルペダル43の踏込み量がゼロであって負荷センサ44によって検出される機関負荷がゼロであり、クランク角センサ45の出力に基づいて算出された機関回転速度が所定の第1回転速度以上であり且つ内燃機関1を搭載した車両の速度が所定の速度以上である場合に実行条件が成立する。

0059

ステップS12において燃料カット制御の実行条件が成立していないと判定された場合には、ステップS13へと進む。ステップS13では、FCフラグがOFFにセットされ、制御ルーチンが終了せしめられる。一方、ステップS12において燃料カット制御の実行条件が成立していると判定された場合には、ステップS14へと進む。ステップS14では、FCフラグがONにセットされ、制御ルーチンが終了せしめられる。

0060

FCフラグがONにセットされると、次の制御ルーチンではステップS11からステップS15へと進む。ステップS15では、燃料カット制御の終了条件が成立しているか否かが判定される。燃料カット制御の終了条件の成否も、例えば、機関負荷や機関回転速度に基づいて判断される。具体的には、負荷センサ44によって検出される機関負荷がゼロよりも大きい値になった場合、及びクランク角センサ45の出力に基づいて算出された機関回転速度が所定の第2回転速度(第1回転速度よりも低い速度)以下である場合等に終了条件が成立する。

0061

ステップS15において、燃料カット制御の終了条件が成立していないと判定された場合には、ステップS16へと進む。ステップS16では、FCフラグがONにセットされたまま維持され、制御ルーチンが終了せしめられる。一方、ステップS15において、燃料カット制御の終了条件が成立していると判定された場合には、ステップS13へと進み、FCフラグがOFFにセットされる。

0062

図6は、燃料カット制御を実行するための燃料カット処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは制御装置において一定の時間間隔毎に実行される。

0063

まず、ステップS21では、燃料カット制御の実行中であるか否かが判定される。燃料カット制御の実行中でないときには、ステップS22へと進む。ステップS22では、図5に示したフラグ設定処理により設定されたFCフラグがONになっているか否かが判定される。ステップS22において、FCフラグがONになっていないと判定された場合には、制御ルーチンが終了せしめられる。一方、ステップS22においてFCフラグがONになっていると判定された場合には、ステップS23へと進む。ステップS23では、現在、燃料供給制御の実行中であるか否かが判定される。燃料供給制御の実行中でないと判定された場合には、ステップS24へと進む。

0064

ステップS24では、現在の排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAが基準酸素吸蔵量OSAucよりも少ないか否かが判定される。現在の酸素吸蔵量OSAは、例えば、エアフロメータ39の出力に基づいて算出された排気浄化触媒20へ流入する排気ガスの流量と、上流側空燃比センサ41によって検出された排気ガスの空燃比(以下、「出力空燃比」ともいう)とに基づいて算出される。ステップS24において、酸素吸蔵量OSAが基準酸素吸蔵量OSAucよりも少ないと判定された場合には、ステップS26へと進み、燃料カット制御が開始される。一方、ステップS24において、酸素吸蔵量OSAが基準酸素吸蔵量OSAuc以上であると判定された場合には、ステップS25へと進み、燃料供給制御が実行される。

0065

燃料供給制御が開始されると、次の制御ルーチンでは、ステップS23からステップS27へと進む。ステップS27では、燃料供給制御を開始してからの実行時間tiが予め定められた基準時間tref以上であるか否かが判定される。ステップS27において、実行時間tiが基準時間tref未満であると判定された場合には、ステップS25へと進み、燃料供給制御が継続される。一方、ステップS27において、実行時間tiが基準時間tref以上であると判定された場合には、ステップS28へと進み、燃料カット制御が開始される。

0066

ステップS26やステップS28において燃料カット制御が開始されると、次の制御ルーチンでは、ステップS21からステップS29へと進む。ステップS29では、FCフラグがONであるか否かが判定される。ステップS29において、FCフラグがONであると判定された場合には、引き続き燃料カット制御が継続される。一方、ステップS29において、FCフラグがONではないと判定された場合にはステップS31へと進み、燃料カット制御が終了せしめられる。

0067

≪変形例≫
上記実施形態では、燃料供給制御は、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比が予め定められた一定のリッチ空燃比である状態を予め定められた一定の時間(一定のクランク角)継続することによって行われる。しかしながら、燃料供給制御における排気ガスの空燃比のリッチ度合いや燃料供給制御の実行時間は必ずしも一定である必要はない。

0068

図7を参照して、上記実施形態の第一変形例について説明する。第一変形例では、燃料カット実行条件が成立したときの排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAが相対的に多い場合には、相対的に少ない場合に比べて、燃料供給制御中に前記排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比のリッチ度合いが大きくなるように燃焼室10への燃料供給量が制御される。

0069

図7は、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量と、燃料供給制御において排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比のリッチ度合いとの関係を示す図である。具体的には、本変形例では、図7に示したように、酸素吸蔵量OSAが基準酸素吸蔵量OSAucを超えて増大すると、酸素吸蔵量OSAが多くなるほど燃料供給制御におけるリッチ度合いが大きくなるように燃料噴射量が制御される。本変形例では、燃料供給制御の実行時間は、予め定められた一定の時間とされることから、酸素吸蔵量OSAが多くなるほど、燃料供給制御において燃料カット制御を開始するまでの総燃料供給量が多くなるといえる。換言すると、本変形例では、酸素吸蔵量OSAが多くなるほど、燃料供給制御において、単位時間当たりの排気浄化触媒20への排気ガスの流入量にそのときの排気ガスの空燃比のリッチ度合いを乗算した値を燃料供給制御の実行時間に亘って積算した値が大きくなるといえる。

0070

図8を参照して、上記実施形態の第二変形例について説明する。第二変形例では、燃料カット実行条件が成立したときの排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAが相対的に多い場合には、相対的に少ない場合に比べて、燃料供給制御の実行時間が長くされる。

0071

図8は、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量と、燃料供給制御の実行時間との関係を示す図である。具体的には、本変形例では、図8に示したように、酸素吸蔵量OSAが基準酸素吸蔵量OSAucを超えて増大すると、酸素吸蔵量OSAが多くなるほど燃料供給制御の実行時間(実行クランク角)が長くされる。本変形例では、燃料供給制御における排気ガスの空燃比のリッチ度合いは、予め定められた一定の値とされることから、酸素吸蔵量OSAが多くなるほど、燃料供給制御において燃料カット制御を開始するまでの総燃料供給量が多くなるといえる。換言すると、本変形例では、酸素吸蔵量OSAが多くなるほど、燃料供給制御において、単位時間当たりの排気浄化触媒20への排気ガスの流入量にそのときの排気ガスの空燃比のリッチ度合いを乗算した値を燃料供給制御の実行時間に亘って積算した値が大きくなるといる。

0072

上述した第一変形例及び第二変形例をまとめると、これら変形例では、燃料カット実行条件が成立したときの排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAが相対的に多い場合には、相対的に少ない場合に比べて、燃料供給制御において燃料カット制御を開始するまでの総燃料供給量が多くなるように燃料供給量が制御されている。換言すると、これら変形例では、燃料カット実行条件が成立したときの排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAが相対的に多い場合には、相対的に少ない場合に比べて、燃料供給制御において、単位時間当たりの排気浄化触媒20への排気ガスの流入量にそのときの排気ガスの空燃比のリッチ度合いを乗算した値を燃料供給制御の実行時間に亘って積算した値が大きくなるように燃料供給量が制御されている。

0073

図9を参照して、上記実施形態の第三変形例について説明する。第三変形例では、燃料供給制御中にも排気浄化触媒20の酸素吸蔵量OSAが推定されると共に、推定された酸素吸蔵量OSAが予め定められた下限酸素吸蔵量OSAlc(図4参照)に到達するまで燃料供給制御が実行される。ここで、下限酸素吸蔵量OSAlcは、ゼロ以上であって基準酸素吸蔵量OSAucよりも少ない値とされる。

0074

図9は、第三変形例に係る燃料カット処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは制御装置において一定時間間隔毎に実行される。なお、図9のステップS41〜S46及びS48〜S51は、それぞれ図6のステップS21〜S26及びS28〜S31と同様であるため説明を省略する。

0075

ステップS43において、現在、燃料供給制御の実行中であると判定された場合にはステップS47へと進む。ステップS47では、現在の酸素吸蔵量OSAが下限酸素吸蔵量OSAlc以下であるか否かが判定される。現在の酸素吸蔵量OSAは、図6のステップS24と同様に、例えば、排気浄化触媒20へ流入する排気ガスの流量と、排気ガスの空燃比とに基づいて算出される。現在の酸素吸蔵量OSAが下限酸素吸蔵量OSAlcよりも多いと判定された場合には、ステップS45へと進み、燃料供給制御が継続される。一方、ステップS47において、現在の酸素吸蔵量OSAが下限酸素吸蔵量OSAlc以下であると判定された場合には、ステップS48へと進み、燃料カット制御が開始される。

0076

<第二実施形態>
次に、図10を参照して、第二実施形態に係る排気浄化装置について説明する。第二実施形態に係る排気浄化装置の構成及び制御は、基本的に第一実施形態に係る排気浄化装置の構成及び制御と同様である。以下では、第一実施形態と異なる部分を中心に第二実施形態に係る排気浄化装置について説明する。

0077

上述したように排気浄化触媒20の劣化が進行すると、貴金属のシンタリングにより貴金属の総表面積が小さくなる。このように貴金属の総表面積が小さくなると、これに伴って貴金属の表面に吸着される未燃HCの量も減少する。したがって、排気浄化触媒20の劣化が進行しているときには、排気浄化触媒20が劣化していないときに比べて燃料供給制御における総燃料供給量を少なくしても、十分に排気浄化触媒20の更なる劣化を抑制することができる。

0078

また、排気浄化触媒20の劣化が進行すると、酸素吸蔵剤の酸素吸蔵能力が低下する。したがって、排気浄化触媒20の劣化が進行すると、排気浄化触媒20の最大吸蔵可能酸素量が低下する。このため、排気浄化触媒20の劣化が進行したときにも、排気浄化触媒20が劣化していないときと同様に燃料供給制御を行うと、総燃料供給量が多すぎて排気浄化触媒20の酸素吸蔵量がゼロに到達し、燃料供給制御によって排気浄化触媒20に供給された未燃HCの一部が排気浄化触媒20から流出する可能性がある。

0079

そこで、本実施形態では、燃料カット実行条件が成立したときの排気浄化触媒20の劣化度合いが相対的に高いときには、相対的に低いときに比べて、燃料供給制御中の総燃料供給量が少なくされる。換言すると、本実施形態では、燃料カット実行条件が成立したときの排気浄化触媒20の劣化度合いが相対的に高いときには、相対的に低いときに比べて、単位時間当たりの排気浄化触媒20への排気ガスの流入量にそのときの排気ガスの空燃比のリッチ度合いを乗算した値を燃料供給制御の実行時間に亘って積算した値が小さくされる。

0080

図10は、排気浄化触媒20の劣化度合いと、燃料供給制御において排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比のリッチ度合いとの関係を示す図である。図10からわかるように、本実施形態では、排気浄化触媒20の劣化度合いが大きくなるほど、燃料供給制御におけるリッチ度合いが小さくなるように燃料噴射量が制御される。本実施形態では、燃料供給制御の実行時間は、予め定められた一定の時間とされることから、排気浄化触媒20の劣化度合いが大きくなるほど、燃料供給制御において燃料カット制御を開始するまでの総燃料供給量が少なくなる。換言すると、本実施形態では、排気浄化触媒20の劣化度合いが大きくなるほど、燃料供給制御において、単位時間当たりの排気浄化触媒20への排気ガスの流入量にそのときの排気ガスの空燃比のリッチ度合いを乗算した値を燃料供給制御の実行時間に亘って積算した値が小さくなる。

0081

また、排気浄化触媒20の劣化度合いは公知の方法で検出される。具体的には、例えば、以下のようは方法で検出される。まず、下流側空燃比センサ42の出力空燃比がリッチ空燃比である状態で排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリーン空燃比に変更され、そのまま下流側空燃比センサ42の出力空燃比がリーン空燃比になるまで維持される。そして、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリーン空燃比に変更されてから下流側空燃比センサ42の出力空燃比がリーン空燃比になるまでの間に、排気浄化触媒20に流入した過剰な酸素の総量(或いは、単位時間当たりの排気浄化触媒20への排気ガスの流入量にそのときの排気ガスのリーン度合いを乗算した値を積算した値)に基づいて排気浄化触媒20の劣化度合いが推定される。このときの過剰な酸素の総量が少ないほど排気浄化触媒の20の劣化度合いが高いと推定される。

0082

或いは、下流側空燃比センサ42の出力空燃比がリーン空燃比である状態で排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリッチ空燃比に変更され、そのまま下流側空燃比センサ42の出力空燃比がリッチ空燃比になるまで維持される。そして、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリッチ空燃比に変更されてから下流側空燃比センサ42の出力空燃比がリッチ空燃比になるまでの間に、排気浄化触媒20に流入した過剰な未燃HCやCOの総量(或いは、単位時間当たりの排気浄化触媒20への排気ガスの流入量にそのときの排気ガスの空燃比のリッチ度合いを乗算した値を積算した値)に基づいて排気浄化触媒20の劣化度合いが推定される。このときの過剰な酸素の総量が少ないほど排気浄化触媒の20の劣化度合いが高いと推定される。

0083

本実施形態によれば、排気浄化触媒20の劣化が進行しているときには、排気浄化触媒20が劣化していないときに比べて、燃料供給制御中の総燃料供給量が少なくされるため、排気浄化触媒20の劣化を抑制しつつ燃料供給量を低減することができる。このため、燃費の悪化を抑制することができる。加えて、未燃HCが排気浄化触媒20から流出することを抑制することができる。

0084

なお、本実施形態では、排気浄化触媒20の劣化度合いのみに基づいて燃料供給制御の総燃料供給量が制御されている。しかしながら、上記第一実施形態の変形例を考慮して、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量等に基づいて変更されてもよい。この場合、例えば、排気浄化触媒20の劣化度合いが大きいほど且つ排気浄化触媒20の酸素吸蔵量が少ないほど、燃料供給制御中の総燃料供給量が少なくなるように燃料供給量が制御される。

0085

<第三実施形態>
次に、図11及び図12を参照して、第二実施形態に係る排気浄化装置について説明する。第二実施形態に係る排気浄化装置の構成及び制御は、基本的に第一実施形態に係る排気浄化装置の構成及び制御と同様である。以下では、第一実施形態と異なる部分を中心に第二実施形態に係る排気浄化装置について説明する。

0086

ところで、排気浄化触媒20の貴金属の単位表面積当たりにおける未燃HCの吸着量が多くなると、貴金属による触媒作用が低下する。このような状態で、燃料供給制御によって排気浄化触媒20に多くの未燃HCが流入すると、流入した未燃HCの一部は排気浄化触媒20にて浄化されることなく、そのまま排気浄化触媒20から流出する可能性がある。

0087

そこで、本実施形態では、燃料カット実行条件が成立したときの排気浄化触媒20への炭化水素の吸着量が予め定められた基準吸着量以上である場合には、燃料供給制御が実行されることなく燃料カット制御が実行される。加えて、本実施形態では、燃料カット実行条件が成立したときの排気浄化触媒20への炭化水素の吸着量が基準吸着量未満である場合には、排気浄化触媒20への炭化水素の吸着量が多いほど燃料供給制御において単位時間当たりの燃料供給量が少なくなるように燃焼室10への燃料供給量が制御される。

0088

図11は、排気浄化触媒20への未燃HCの吸着量と、燃料供給制御において排気浄化触媒20に流入する排気ガスの空燃比のリッチ度合いとの関係を示す図である。図11からわかるように、本実施形態では、未燃HCの吸着量が基準吸着量Qhcref以上である場合には、燃料供給制御が実行されず、よってリッチ度合いもゼロとされている。

0089

一方、排気浄化触媒20への未燃HCの吸着量が基準吸着量Qhcrefよりも少ない場合には、図11に示したように、未燃HCの吸着量が多いほど、燃料供給制御におけるリッチ度合いが小さくなるように燃焼室10への燃料噴射量が制御される。

0090

本実施形態によれば、排気浄化触媒20への未燃HCの吸着量が多いとき、すなわち貴金属の単位表面積当たりの未燃HCの吸着量が多いときには、燃料供給制御が実行されない。このため、未燃HCが排気浄化触媒20から流出することが抑制される。また、排気浄化触媒20への未燃HCの吸着量が多いほど貴金属の触媒作用が小さくなるところ、本実施形態では未燃HCの吸着量が多いほどリッチ度合いが小さくされるため、触媒作用が小さくても十分に未燃HCを浄化することができる。このことよっても未燃HCが排気浄化触媒20から流出することが抑制される。

0091

なお、本実施形態では、排気浄化触媒20への未燃HCの吸着量に基づいて燃料供給制御におけるリッチ度合いが制御されている。しかしながら、斯かる制御に加えて、第一実施形態及び第二実施形態を考慮して、排気浄化触媒20の酸素吸蔵量等に基づいて燃料供給制御中の排気浄化触媒20への総燃料供給量を制御するようにしてもよい。

0092

≪具体的な制御≫
図12は、第三実施形態に係る燃料カット処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは制御装置において一定時間間隔毎に実行される。なお、図12のステップS61〜S64及びS66〜S72は、それぞれ図6のステップS21〜S24及びS25〜S31と同様であるため説明を省略する。

0093

ステップS64において、酸素吸蔵量OSAが基準酸素吸蔵量OSAuc以上であると判定された場合には、ステップS65へと進む。ステップS65では、排気浄化触媒20への未燃HCの吸着量が基準吸着量Qhcref以上であるか否かが判定される。

0094

排気浄化触媒20への未燃HCの吸着量は、例えば、排気浄化触媒20に流入する未燃HCの流量と、排気浄化触媒20の温度とに基づいて推定される。排気浄化触媒20に流入する未燃HCの流量は、例えば、排気浄化触媒20に流入する排気ガスの流量(例えば、エアフロメータ39の出力に基づいて推定)と、下流側空燃比センサ42の出力空燃比とに基づいて算出される。排気浄化触媒20の温度は、例えば、排気浄化触媒20の温度を検出する温度センサ(図示せず)によって検出される。

0095

具体的には、排気浄化触媒20に流入する未燃HCの流量が多いほど、排気浄化触媒20への未燃HCの吸着量が多くなるものとして吸着量が算出される。また、排気浄化触媒20の温度が低いほど、排気浄化触媒20への未燃HCの吸着量が多くなるものとして吸着量が算出される。

0096

ステップS65において、排気浄化触媒20への未燃HCの吸着量が基準吸着量Qhcref以上であると判定された場合には、ステップS67へと進んで、燃料カット制御が開始される。一方、ステップS65において、排気浄化触媒20への未燃HCの吸着量が基準吸着量Qhcrefよりも少ないと判定された場合には、ステップS66へと進んで、燃料供給制御が実行される。このとき排気浄化触媒20へ流入する排気ガスの空燃比のリッチ度合いは、未燃HCの吸着量に基づいて、図11に示したようなマップを用いて設定される。

0097

1内燃機関
2機関本体
10燃焼室
12燃料噴射弁
20排気浄化触媒
31電子制御ユニット(ECU)
41上流側空燃比センサ
42 下流側空燃比センサ

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