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技術 硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの製造方法

出願人 株式会社KRI
発明者 林蓮貞堀正典丸田彩子
出願日 2019年11月26日 (1年0ヶ月経過) 出願番号 2019-213130
公開日 2020年3月19日 (8ヶ月経過) 公開番号 2020-041255
状態 特許登録済
技術分野 化粧料 繊維製品への有機化合物の付着処理 多糖類及びその誘導体 繊維製品の化学的、物理的処理
主要キーワード 硬質体 可視光範囲内 繊維状ゲル オーバル型 チキソトロピーインデックス クロロスルフォン酸 リグニン含有率 物理作用
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月19日)のものです。
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図面 (20)

課題

本発明は物理粉砕を必要としない省エネルギー、かつ、反応条件マイルド化学方法で、ナノサイズで結晶化度が高く、アスペクト比が大きいセルロースナノファイバーの製造方法を提供する。さらに、このセルロースナノファイバーの表面をエステル化またはウレタン化修飾した修飾セルロースナノファイバーの製造方法を提供する。

解決手段

本発明のセルロースナノファイバーの製造方法は、ジメチルスルホキシド無水酢酸およびプロピオン酸無水物から選択される少なくとも1つのカルボン酸無水物、ならびに、硫酸を含む解繊溶液セルロース浸透させてセルロースを解繊することを含む。

概要

背景

セルロース繊維細胞壁単位)は、セルロースナノファイバーミクロフィブリル)の集合体である。セルロースナノファイバーは鋼鉄匹敵する機械特性を持ち、直径約5nm〜20nmのナノ構造を持つため補強材として社会的に熱く注目されている。セルロースナノファイバーは、その繊維間が水素結合により結束されている。そのため、セルロースナノファイバーを取り出すためには、水素結合を切断してミクロフィブリルを分離すること(以下、解繊ともいう)が必要である。解繊方法としては、セルロースに激しい物理力を加える機械解繊法、および、化学的作用により水素結合を解除する化学解繊法が知られている。

機械解繊法としては、セルロース粉末を水で膨潤させ、柔らかくした状態で高圧ホモジナイザーまたはウォータージェット等の強力な機械せん断によりナノ化する方法が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2)。この方法では、セルロースパルプ粉末まで粉砕する前処理が必要であるため、生産性が低いという問題があり、さらにセルロースナノファイバーにもダメージを与え得る。また、セルロースのナノ化が不十分であり、得られるナノファイバー間が完全にほぐされていない網状の構造となる場合もある。

また、セルロースの分散液を高圧噴射し、衝突用硬質体衝突させることで、バイオナノファイバーを製造する方法が知られている(特許文献3)。この方法は高いエネルギーが必要であり、スケールアップに伴う生産効率製造コストが課題となる。さらに、強力な機械粉砕法では、固体状態特有メカノケミカル反応が起こり、得られるセルロースナノファイバーの結晶化度が低くなるという問題や、セルロースナノファイバーの収率が低くなるという問題がある。

化学解繊法としては、セルロースに酸加水分解等の化学的処理を施すことでセルロースナノクリスタルCNC)を調製する方法が知られている(例えば、非特許文献1)。この方法では酸濃度が高いため、セルロースが激しく加水分解され、ナノ化されたセルロースの幅は20nmであるものの、長さが200nm−500nm程度しかない。また、アスペクト比(繊維の長さと幅の比)が小さいため、補強効果をほとんど発現できず、このセルロースナノクリスタルから得られる自立膜はもろいという問題がある。また、加水分解を行うため、収率も低くなる。

また、セルロースナノファイバーの表面を任意の官能基で修飾した表面修飾セルロースナノファイバーは、高分子材料との親和性が高く各種高分子複合材料原料として有用である。例えば、熱伝導性無機粒子とセルロースナノファイバーの複合材からなる放熱材にも利用されている(特許文献4)。具体的には、表面をエステル化したセルロースナノファイバーの製造方法として、イオン液体有機溶媒とを含有する混合溶媒を用いてセルロース系物質を膨潤および/または部分溶解させた後、エステル化する方法がある(特許文献5、特許文献6)。しかし、イオン液体と有機溶媒とを含有する混合溶媒を用いる場合、イオン液体の回収や再利用に関するコストが高くなる。

また、硫酸エステル化された修飾セルロース医療材料界面活性剤などの用途に用いられる。硫酸エステル化セルロースの製造方法としては、三硫化硫黄/N,N−ジメチルホルムアミド合成法クロロスルフォン酸ピリジン法、硫酸アンモニウム法などが挙げられる。いずれも合成反応条件が厳しく、置換度の制御が困難であり、分子量が低下するなどの問題がある。また、無水硫酸とジメチルホルムアミドの混合溶液にセルロースを加えて、氷浴で温度を制御しながらセルロース粒子の表面を硫酸エステル化修飾する方法が知られている(特許文献7)。この硫酸エステル化方法により調製した硫酸エステル化セルロースは、セルロースナノファイバーではなく、天然セルロース固有I型結晶構造およびミクロフィブリルが破壊されたセルロース誘導体である。

近年、非プロトン性極性溶媒と、塩基触媒および酸触媒と、カルボン酸無水物とを含む解繊溶液を用いる修飾セルロースの製造方法が提案されている(特許文献8および特許文献9)。特に、特許文献8では触媒として硫酸が挙げられている。しかしながら、本件発明者による実験では、ジメチルスルホキシドを解繊溶媒として硫酸を触媒としてそれぞれ用いる場合、セルロースのアセチル化修飾ができないという知見が得られている。

概要

本発明は物理粉砕を必要としない省エネルギー、かつ、反応条件マイルドな化学方法で、ナノサイズで結晶化度が高く、アスペクト比が大きいセルロースナノファイバーの製造方法を提供する。さらに、このセルロースナノファイバーの表面をエステル化またはウレタン化修飾した修飾セルロースナノファイバーの製造方法を提供する。本発明のセルロースナノファイバーの製造方法は、ジメチルスルホキシド、無水酢酸およびプロピオン酸無水物から選択される少なくとも1つのカルボン酸無水物、ならびに、硫酸を含む解繊溶液をセルロースに浸透させてセルロースを解繊することを含む。

目的

本発明は、平均繊維径が1nm〜500nmであり、かつ、セルロースナノファイバー表面の水酸基が硫酸エステル化されている新規のセルロースナノファイバーを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ジメチルスルホキシド無水酢酸およびプロピオン酸無水物から選択される少なくとも1つのカルボン酸無水物、ならびに、硫酸を含む解繊溶液セルロース浸透させてセルロースを解繊することを含む、セルロースナノファイバーの製造方法。

請求項2

前記セルロースと前記解繊溶液との重量割合が前者/後者=0.5/99.5〜50/50である、請求項1に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。

請求項3

得られるセルロースナノファイバーがセルロースナノファイバーの表面の水酸基硫酸エステル化修飾されたセルロースナノファイバーである、請求項1または2に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。

請求項4

前記解繊溶液における硫酸の濃度が0.05重量%〜15重量%である、請求項1から3のいずれかに記載のセルロースナノファイバーの製造方法。

請求項5

前記解繊溶液におけるカルボン酸無水物の濃度が0.5重量%〜90重量%である、請求項1から4のいずれかに記載のセルロースナノファイバーの製造方法。

請求項6

請求項1から5のいずれかに記載の方法によりセルロースナノファイバーを製造する工程と、得られたセルロースナノファイバーをエステル化修飾化剤またはウレタン化修飾化剤とさらに反応させてセルロースナノファイバーの表面を修飾する工程とを含む、修飾セルロースナノファイバーの製造方法。

請求項7

前記セルロースナノファイバーを製造する工程で用いる解繊溶液における硫酸の濃度が0.05重量%〜5重量%である、請求項6に記載の修飾セルロースナノファイバーの製造方法。

請求項8

前記エステル化修飾化剤がカルボン酸無水物、カルボン酸ビニルカルボン酸ハロゲン化物およびカルボン酸から選択される少なくとも1種である、請求項6または7に記載の修飾セルロースナノファイバーの製造方法。

請求項9

前記ウレタン化修飾化剤がイソシアネートである、請求項6または7に記載の修飾セルロースナノファイバーの製造方法。

技術分野

背景技術

0002

セルロース繊維細胞壁単位)は、セルロースナノファイバー(ミクロフィブリル)の集合体である。セルロースナノファイバーは鋼鉄匹敵する機械特性を持ち、直径約5nm〜20nmのナノ構造を持つため補強材として社会的に熱く注目されている。セルロースナノファイバーは、その繊維間が水素結合により結束されている。そのため、セルロースナノファイバーを取り出すためには、水素結合を切断してミクロフィブリルを分離すること(以下、解繊ともいう)が必要である。解繊方法としては、セルロースに激しい物理力を加える機械解繊法、および、化学的作用により水素結合を解除する化学解繊法が知られている。

0003

機械解繊法としては、セルロース粉末を水で膨潤させ、柔らかくした状態で高圧ホモジナイザーまたはウォータージェット等の強力な機械せん断によりナノ化する方法が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2)。この方法では、セルロースパルプ粉末まで粉砕する前処理が必要であるため、生産性が低いという問題があり、さらにセルロースナノファイバーにもダメージを与え得る。また、セルロースのナノ化が不十分であり、得られるナノファイバー間が完全にほぐされていない網状の構造となる場合もある。

0004

また、セルロースの分散液を高圧噴射し、衝突用硬質体衝突させることで、バイオナノファイバーを製造する方法が知られている(特許文献3)。この方法は高いエネルギーが必要であり、スケールアップに伴う生産効率製造コストが課題となる。さらに、強力な機械粉砕法では、固体状態特有メカノケミカル反応が起こり、得られるセルロースナノファイバーの結晶化度が低くなるという問題や、セルロースナノファイバーの収率が低くなるという問題がある。

0005

化学解繊法としては、セルロースに酸加水分解等の化学的処理を施すことでセルロースナノクリスタルCNC)を調製する方法が知られている(例えば、非特許文献1)。この方法では酸濃度が高いため、セルロースが激しく加水分解され、ナノ化されたセルロースの幅は20nmであるものの、長さが200nm−500nm程度しかない。また、アスペクト比(繊維の長さと幅の比)が小さいため、補強効果をほとんど発現できず、このセルロースナノクリスタルから得られる自立膜はもろいという問題がある。また、加水分解を行うため、収率も低くなる。

0006

また、セルロースナノファイバーの表面を任意の官能基で修飾した表面修飾セルロースナノファイバーは、高分子材料との親和性が高く各種高分子複合材料原料として有用である。例えば、熱伝導性無機粒子とセルロースナノファイバーの複合材からなる放熱材にも利用されている(特許文献4)。具体的には、表面をエステル化したセルロースナノファイバーの製造方法として、イオン液体有機溶媒とを含有する混合溶媒を用いてセルロース系物質を膨潤および/または部分溶解させた後、エステル化する方法がある(特許文献5、特許文献6)。しかし、イオン液体と有機溶媒とを含有する混合溶媒を用いる場合、イオン液体の回収や再利用に関するコストが高くなる。

0007

また、硫酸エステル化された修飾セルロース医療材料界面活性剤などの用途に用いられる。硫酸エステル化セルロースの製造方法としては、三硫化硫黄/N,N−ジメチルホルムアミド合成法クロロスルフォン酸ピリジン法、硫酸アンモニウム法などが挙げられる。いずれも合成反応条件が厳しく、置換度の制御が困難であり、分子量が低下するなどの問題がある。また、無水硫酸とジメチルホルムアミドの混合溶液にセルロースを加えて、氷浴で温度を制御しながらセルロース粒子の表面を硫酸エステル化修飾する方法が知られている(特許文献7)。この硫酸エステル化方法により調製した硫酸エステル化セルロースは、セルロースナノファイバーではなく、天然セルロース固有I型結晶構造およびミクロフィブリルが破壊されたセルロース誘導体である。

0008

近年、非プロトン性極性溶媒と、塩基触媒および酸触媒と、カルボン酸無水物とを含む解繊溶液を用いる修飾セルロースの製造方法が提案されている(特許文献8および特許文献9)。特に、特許文献8では触媒として硫酸が挙げられている。しかしながら、本件発明者による実験では、ジメチルスルホキシドを解繊溶媒として硫酸を触媒としてそれぞれ用いる場合、セルロースのアセチル化修飾ができないという知見が得られている。

0009

特開2005−270891号公報
特開2007−185117号公報
特開2011−056456号公報
特開2016−79202号公報
特開2010−104768号公報
特開2013−44076号公報
特開2007−92034号公報
特開2017−82188号公報
国際公開第2017/073700号

先行技術

0010

Biomacromolecules 2005,6,1048−1054

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、平均繊維径が1nm〜500nmであり、かつ、セルロースナノファイバー表面の水酸基が硫酸エステル化されている新規のセルロースナノファイバーを提供する。さらに、本発明は、物理粉砕を必要としない省エネルギー、かつ、反応条件マイルドな化学方法で、ナノサイズで結晶化度が高く、アスペクト比が大きいセルロースナノファイバーの製造方法を提供する。また、このセルロースナノファイバーの表面をエステル化、ウレタン化等により修飾した修飾セルロースナノファイバーの製造方法を提供する。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、ジメチルスルホキシド、無水酢酸またはプロピオン酸から選択される少なくとも1つのカルボン酸無水物、ならびに、硫酸を含む解繊溶液をセルロースに浸透させて、セルロースを解繊することにより、繊維径がナノサイズで結晶化度が高く、繊維形状の損傷が少ないセルロースナノファイバーの製造方法を見出した。さらに、この方法を用いることにより、セルロースナノファイバー表面の水酸基が硫酸エステル化された新規のセルロースナノファイバーが得られることを見出した。

0013

本発明の1つの実施形態においては、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーが提供される。この硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは、平均繊維径が1nm〜500nmであり、かつ、セルロースナノファイバー表面の水酸基が硫酸エステル化修飾されている。
1つの実施形態においては、セルロースナノファイバーの硫黄含有率は0.01重量%〜35重量%である。
1つの実施形態においては、セルロースナノファイバーはI型結晶構造を有する。
本発明の別の局面においてはセルロースナノファイバーの製造方法が提供される。この製造方法は、ジメチルスルホキシド、無水酢酸およびプロピオン酸無水物から選択される少なくとも1つのカルボン酸無水物、ならびに、硫酸を含む解繊溶液をセルロースに浸透させてセルロースを解繊することを含む。
1つの実施形態においては、上記セルロースと上記解繊溶液との重量割合が前者/後者=0.5/99.5〜50/50である。
1つの実施形態においては、この製造方法により得られるセルロースナノファイバーはセルロースナノファイバー表面の水酸基が硫酸エステル化修飾されたセルロースナノファイバーである。
1つの実施形態においては、上記解繊溶液における硫酸の濃度は0.05重量%〜15重量%である。
1つの実施形態においては、上記解繊溶液におけるカルボン酸無水物の濃度は0.5重量%〜90重量%である。
本発明のさらに別の局面においては、修飾セルロースナノファイバーの製造方法が提供される。この製造方法は、上記の方法によりセルロースナノファイバーを製造する工程と、得られたセルロースナノファイバーをエステル化修飾化剤またはウレタン化修飾化剤とさらに反応させてセルロースナノファイバーの表面を修飾する工程とを含む。
1つの実施形態においては、上記セルロースナノファイバーを製造する工程で用いる解繊溶液における硫酸の濃度は0.05重量%〜5重量%である。
1つの実施形態においては、上記エステル化修飾化剤はカルボン酸無水物、カルボン酸ビニルカルボン酸ハロゲン化物およびカルボン酸から選択される少なくとも1種である。
1つの実施形態においては、上記ウレタン化修飾化剤はイソシアネートである。

発明の効果

0014

本発明のセルロースナノファイバーは、平均繊維径が1nm〜500nmであり、かつ、セルロースナノファイバー表面の水酸基が硫酸エステル化されている。本発明のセルロースナノファイバー表面の水酸基が硫酸エステル化されているセルロースナノファイバー(以下、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーともいう)は、これまで知られていない新規の修飾セルロースナノファイバーである。さらに、本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは、天然セルロース固有のI型結晶構造が破壊されず、維持され得る。本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは高い機械強度を有し、高い粘度とチキソトロピー性とを有する。この硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは、乾燥しても水に容易に再分散することができる。

0015

本発明で用いる解繊溶液は、ジメチルスルホキシド、無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物、および、硫酸を含む。この解繊溶液は、セルロース繊維のミクロフィブリルまたはエレメンタリーミクロフィブリルの間まで浸透し、化学反応または物理作用により、フィブリル間の水素結合を効率よく切断することができる。そのため、本発明によれば、省エネルギーで、かつ、高い解繊速度でセルロースナノファイバーを製造することができる。また、本発明によれば、セルロースナノファイバーの繊維径を容易に制御でき、繊維径が数ナノメートル数百ナノメートルまでのセルロースナノファイバーを簡単に調製することができる。さらに、解繊溶液に用いる薬剤入手が容易であり、解繊溶液の安全性が高い。さらに、解繊溶液中の酸濃度も低いため、セルロースに与えるダメージが低い。

図面の簡単な説明

0016

実施例1、4および6で得られたセルロースナノファイバーの水分散液固形分濃度:0.25重量%)の写真である。
実施例1で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真である。
実施例1で得られたセルロースナノファイバーのFT−IRスペクトルである。
実施例1で得られたセルロースナノファイバーのXRDパターンである。
実施例1で得られたセルロースナノファイバーの0.3重量%水分散液の分光光度計分析の結果である。
実施例2で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真である。
実施例3で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真である。
実施例4で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真(図8(a))およびIRスペクトル(図8(b))である。
実施例9〜12で得られたセルロースナノファイバーの水分散液(固形分濃度:0.3重量%)の写真である。
実施例9〜12で得られたセルロースナノファイバーのIRスペクトルである。
実施例9で得られたセルロースナノファイバーのXRDパターンである。
実施例9で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真である。
実施例10で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真である。
実施例12で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真である。
実施例13で得られたセルロースナノファイバーの水分散液(固形分濃度:0.3重量%)の写真である。
実施例13、14および15で得られたセルロースナノファイバーのIRスペクトルである。
実施例14および15で得られたセルロースナノファイバーの水分散液(固形分濃度:0.3重量%)の写真である。
実施例16、17および18で得られたセルロースナノファイバーのIRスペクトルである。
実施例19で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真である。
実施例21で得られた硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーから作製したフィルムの写真である。
実施例25の解繊工程で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真(右)とこのセルロースナノファイバーの水分散液の写真である(左)。
実施例25の解繊工程で得られたセルロースナノファイバーのIRスペクトルである。
実施例25の解繊工程で得られたセルロースナノファイバーのXRDパターンである。
実施例25で得られたアセチル化修飾セルロースナノファイバーのIRスペクトルである。
実施例26の解繊工程で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真(右)とこのセルロースナノファイバーの水分散液の写真である(左)。
実施例26の解繊工程で得られたセルロースナノファイバーのIRスペクトルである。
実施例26の解繊工程で得られたセルロースナノファイバーのXRDパターンである。
実施例27の解繊工程で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真である。
実施例27の解繊工程で得られたセルロースナノファイバーのIRスペクトルである。
実施例30の解繊工程で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真である。
実施例30で得られた解繊工程後のセルロースナノファイバー(下)およびアセチル化修飾セルロースナノファイバー(上)のIRスペクトルである。
比較例6で得られたアセチル化修飾セルロース繊維のSEM写真である。

0017

<A.硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバー>
本発明のセルロースナノファイバーは、平均繊維径が1nm〜500nmであり、かつ、セルロースナノファイバー表面の水酸基が硫酸エステル化されている。このセルロースナノファイバーは、セルロースナノファイバー表面の水酸基の全てが硫酸エステル化修飾されていてもよく、一部のみが硫酸エステル化修飾されていてもよい。これまで、硫酸エステル化されたセルロースとして、硫酸エステル化修飾されたセルロース誘導体が知られている。しかしながら、硫酸エステル化修飾されたセルロースナノファイバーは知られていない。本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは、天然セルロース固有のI型結晶構造を有する。そのため、セルロースの有する優れた特性が好適に維持され得る。さらに、このセルロースナノファイバーは親水性が高く、保水性および保湿性に優れる。また、本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは、カチオン、金属、および、無機粒子等の吸着性にも優れる。さらに、本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは抗ウイルス性も有する。なお、後述するように、本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは硫酸エステル化修飾率を所望の範囲に調整することができる。そのため、硫酸エステル化修飾率が高い硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーとし、任意の適切な用途にそのまま用いることができる。また、硫酸エステル化修飾率が低い硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーとし、任意の修飾反応化剤でさらに修飾した修飾セルロースナノファイバーとして用いることもできる。なお、本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは、アセチル基またはプロピオン基等の他の官能基を有していてもよい。

0018

本発明で得られる硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの硫酸エステル化修飾率は、用途等に応じて任意の適切な値に設定することができる。硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの硫酸エステル化修飾率は、セルロースナノファイバー中の硫黄含有率(重量%)で表すことができる。硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバー中の硫黄含有率(重量%)は、好ましくは0.01重量%〜35重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜28重量%であり、さらに好ましくは0.5重量%〜20重量%である。硫黄含有率が35重量%より高くなると結晶化度および耐熱性が低下するおそれがある。硫黄含有率が0.01重量%未満となると硫酸エステル官能基の特性が十分に得られないおそれがあり、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーとしての所望の特性が発揮できないおそれがある。なお、硫黄含有率が0.01重量%未満の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーであっても、後述する修飾反応化剤による修飾工程には好適に用いることができる。

0019

セルロースナノファイバー中の硫黄含有率(重量%)は、燃焼吸収—イオンクロマトグラフィー(IC)法により求めることができる。また、赤外分光法(IR)で確認することもできる。本明細書においては、以下の方法で測定した硫黄含有率を硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの硫黄含有率とする。
測定方法:燃焼吸収—IC
測定装置:日本ダイオネクス社製のICS−1500
測定条件磁性ボード試料量し、酸素雰囲気下(流量:1.5L/分)環状炉(1350℃)で燃焼させ、発生したガス成分を3%過酸化水素水(20ml)に吸収させて吸収液を得た。得られた吸収液を純水で100mlにメスアップし、希釈液をイオンクロマトグラフィーに供した。測定結果からセルロースナノファイバーに対する硫酸イオン濃度を算出した。さらに、下記式により硫酸イオン濃度から硫黄含有率を換算した。なお、この方法によるセルロースをベースとした硫酸イオン濃度の検出限界値は0.01重量%である。そのため、硫酸イオン濃度から換算した硫黄含有率の定量下限値は0.01重量%である。そのため、硫黄含有率が0.01重量%未満である硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは無修飾(すなわち、硫酸エステル化修飾されていない)セルロースナノファイバーであり得る。
硫黄含有率(重量%)=硫酸イオン濃度×32/96

0020

本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの平均繊維径は、1nm〜500nmの範囲である。セルロースナノファイバーの平均繊維径は、好ましくは2nm〜100nmであり、より好ましくは3nm〜50nmであり、さらに好ましくは5nm〜20nmである。平均繊維径が1nm未満であるとナノファイバーの強度等の性能面も低下するおそれがある。平均繊維径が500nmを超えると、繊維径が大きいためナノファイバーとしての性能が発揮されにくい傾向がある。なお、平均繊維径は、SEM写真の画像からランダムに50個の繊維を選択し、加算平均した値をいう。

0021

本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは、高アスペクト比を有する。セルロースナノファイバーの繊維長さおよびアスペクト比は多くの用途においては重要である。本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの長さは、非常に長いため、SEM等の直接観察手法による長さの測定は困難である。そのため、繊維長さやアスペクト比を測定して定義することが困難である。したがって、本明細書では、間接法としてセルロースナノファイバーの水分散液の粘度とチキソロトピーインデックスTI値)を用いて繊維長さおよびアスペクト比の指標とした。

0022

本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの水分散液の粘度(0.3重量%のセルロースナノファイバー水分散液測定温度:25℃、回転数2.6rpm)は、例えば、500mPa・S以上であり、好ましくは500mPa・S〜25000mPa・Sであり、より好ましくは800mPa・S〜20000mPa・Sであり、さらに好ましくは1000mPa・S〜18000mPa・sであり、特に好ましくは1500mPa・S〜15000mPa・Sである。

0023

また、本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの0.3重量%の水分散液の25℃におけるTI値(2.6rpm/26rpm)は、例えば、3〜30であり、好ましくは4〜25、より好ましくは5〜20である。粘度の値とTI値はこのような範囲内に入ると、セルロースナノファイバーの平均繊維径が500nm以下、アスペクト比が100以上であることを確保できる。

0024

粘度とTI値が大きい程、繊維径が小さく、繊維長が長くなるため好ましい。さらに粘度とTI値が大きくなるとセルロースナノファイバーは増粘剤チキソトロピー性付与剤としての応用ができるためさらに好ましい。

0025

なお、TI値は下記方法(JIS K 6833準拠)により粘度を測定して求めた。
TI値=ηa/ηb(ηa:回転数a(rpm)の粘度、ηb:で回転数b(rpm)の粘度、回転数bは回転数aの10倍)
この実施形態においては、E型回転粘度計を使用して、25℃で回転数2.6rpmおよび26rpmにおける粘度を測定し(3回ずつ測定し、その平均値を採用)、下記式からTI(チキソトロピーインデックス)値を算出した。
TI値=(25℃、2.6rpmにおける粘度)/(25℃、26rpmにおける粘度)

0026

上記の通り、硫黄含有率が0.01重量%未満である硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは無修飾(すなわち、硫酸エステル化修飾されていない)セルロースナノファイバーであり得る。硫黄含有率が0.01重量%未満である硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの粘度は任意の適切な値に設定され得る。硫黄含有率が0.01重量%未満である硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは、0.3重量%の水分散液の25℃における粘度(回転数5rpmにおける粘度)が、例えば、200mPa・S〜15000mPa・S、好ましくは300mPa・S〜10000mPa・S、より好ましくは500mPa・S〜8000mPa・Sであり、さらに好ましくは800mPa・S〜5000mPa・Sである。

0027

硫黄含有率が0.01重量%未満であるセルロースナノファイバーの25℃におけるTI値は、例えば3〜25、好ましくは4〜20、より好ましくは5〜15である。粘度の値とTI値はこのような範囲内に入ると、セルロースナノファイバーの平均繊維径が500nm以下、アスペクト比が100以上であることを確保できる。粘度とTI値が大きい程、繊維径が小さく、繊維長が大きくなるため好ましい。さらに粘度とTI値が大きくなるとセルロースナノファイバーは増粘剤やチキソトロピー性付与剤としての応用ができるためさらに好ましい。TI値の測定方法は測定する回転数を25℃で回転数10rpmおよび100rpmとした以外は上記の通りである。

0028

本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバー(硫黄含有率が0.01重量%未満であり、無修飾セルロースナノファイバーである場合を含む)の結晶化度は、用いる原料セルロースに依存し得る。例えば、綿類セルロースは本来の結晶化度が木材類セルロースと比べ高くなり得る。すなわち、セルロースナノファイバーの結晶化度は用いる原料セルロースにより異なる。しかしながら、セルロースナノファイバーの結晶化度はその耐熱性、増粘効果、補強効果等セルロースナノファイバーの性能を左右するため、好ましくは20%〜99%であり、より好ましくは30%〜95%、さらに好ましくは40%〜90%、特に好ましくは50%〜85%である。結晶化度が20%より低くなるとセルロースナノファイバーの耐熱性や剛直性が低下するおそれがある。一方、99%を超えると解繊条件の制御や原料の選定が厳しくなり得る。

0029

硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは任意の適切な用途に用いることができる。本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは、粘度とチキソロトピー性が大きく、その分散液またはそれを用いて成形したフィルムの透明性と機械強度が高い。さらに、乾燥しても水に再分散することができる。そのため、増強材料機能性材料マトリックス材料、増粘剤、保湿剤、界面活性剤、固体触媒などが挙げられる。特に、電子光学、材料、製薬医療、化学、食品化粧品など多くの分野への応用が期待できる。例えば、フィルム、シート材樹脂無機材料の補強材、接着剤塗料インキ等液状材料の増粘剤またはチキソトロピー付与剤等が挙げられる。さらに、硫酸エステル化修飾セルロースは抗ウイルス性を有する。そのため、医療分野にも好適に用いることができる。

0030

本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーからは、フィルムを成形することができる。さらに、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーに、他の有機材料または無機材料をさらに混合して複合化フィルムを成形することもできる。硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーからフィルムを成形する方法は乾式法であってもよく、湿式法であってもよい。

0031

湿式法により成形する場合、例えば、解繊後、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを含む解繊溶液を基板上に流涎または塗布して、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを凝固またはゲル化できる溶媒に浸漬させて凝固させる。次いで、洗浄し、乾燥することによりフィルムが得られる。凝固またはゲル化できる溶媒(以下、凝固溶媒ともいう)としては任意の適切な溶媒を用いることができる。凝固溶媒としては、多価アルカリ物質水溶液アルコール類が好ましい。

0032

乾式法により成形する場合、洗浄した硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを水またはアルコールに分散させた分散液を基板上に流涎または塗布し、溶媒を揮発させることによりフィルムを成形する。乾式法で用いる硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの分散液の分散溶媒は、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーが分散できる溶媒であればよく、任意の適切な溶媒を用いることができる。例えば、水、アルコール類、アミド類溶媒およびこれらの混合溶媒が好ましい。特に好ましくは水または水を含む混合溶媒である。

0033

フィルム成形の際に、溶媒を揮発させるために加熱してもよい。加熱する場合、温度は任意の適切な温度に設定され得る。例えば、水を溶媒とする場合、成形温度は好ましくは20℃〜100℃であり、より好ましくは30℃〜90℃である。成形温度が用いる溶媒の沸点より大幅に低くなると揮発速度が遅いため好ましくない。成形温度が溶媒の沸点より高すぎると溶剤の揮発により気泡が発生しフィルムの透明性が低下するおそれがある。

0034

硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーと樹脂との複合化フィルムを成形する場合、水、アルコール、ケトンおよびアミド系溶媒に溶解できる樹脂が好ましい。例えば、ポリビニルアルコールヒドロキシプロピルセルロースカルボキシメチルセルロースポリビニルブチラール等が挙げられる。

0035

硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーと樹脂との複合化フィルムを成形する方法としては、任意の適切な方法が用いられる。例えば、樹脂を溶解した溶液と硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの分散液とを混合し、混合溶液を調製した後、上記硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーフィルムと同様にフィルム化することができる。

0036

さらに、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーと無機粒子との複合化フィルムを成形する場合、無機粒子を硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの分散液に分散した後、上記のフィルム成形方法と同様に成形すれば複合化フィルムを得られる。

0037

<B.セルロースナノファイバーの製造方法>
本発明のセルロースナノファイバーの製造方法は、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOともいう)、無水酢酸およびプロピオン酸無水物から選択される少なくとも1つのカルボン酸無水物、ならびに、硫酸を含む解繊溶液をセルロースに浸透させてセルロースを解繊させること(以下、解繊工程ともいう)を含む。本発明のセルロースナノファイバーの製造方法は、セルロースを機械的破砕等の前処理することを必要とせず、直接、上記解繊溶液をセルロースに浸透させて、セルロースを解繊し、ナノ化することを特徴とする。

0038

詳細には、上記解繊溶液をセルロース繊維のミクロフィブリルまたはエレメンタリーミクロフィブリルの間に浸透させて化学反応または物理作用により水素結合を効率よく切断する。これにより、ミクロフィブリルが自ら解してセルロースナノファイバー(ミクロフィブリルまたはエレメンタリーミクロフィブリル)を得ることができる。硫酸と上記カルボン酸無水物の添加量や処理時間、撹拌速度およびせん断力を制御することによりセルロースナノファイバーの平均繊維径を数nm〜数百nmまで容易に制御することができる。

0039

硫酸エステル化修飾率は解繊溶液における硫酸濃度、無水酢酸またはプロピオン酸無水物の濃度、攪拌時間および攪拌のせん断力に影響され得る。例えば、解繊溶液における硫酸濃度、および、無水酢酸またはプロピオン酸無水物の濃度を高くした場合、よりマイルドな撹拌方法を用いたとしても硫酸エステル化修飾率の高い硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーが得られ得る。具体的には、解繊溶液における無水酢酸またはプロピオン酸無水物の濃度を8重量%以上、硫酸濃度を0.5重量%以上とした場合、磁性スターラーまたはフラスコの様なマイルドな撹拌方法を用いて解繊溶液とセルロースを撹拌したとしても、0.5時間以上撹拌処理することにより、平均繊維径1nm〜10nmであり、硫酸エステル化修飾率が硫黄含有率で0.01重量%以上の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーが得られる。

0040

他方、解繊溶液における硫酸濃度、および、無水酢酸またはプロピオン酸無水物の濃度を低くした場合であっても、より強力な撹拌手段を用いることにより硫酸エステル化修飾率の高い硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーが得られ得る。具体的には、解繊溶液における無水酢酸またはプロピオン酸無水物の濃度を0.5重量%から8重量%、硫酸濃度を0.05重量%から0.5重量%とした場合、ビーズミルペイントシェーカーまたはホモジナイザー等の強力な攪拌手段を用いることにより、適宜な時間で処理しても平均繊維径1nm〜10nmであり、硫酸エステル化修飾率が硫黄含有率で0.01重量%以上の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーが得られる。

0041

また、原料セルロースの含水率または反応系統内の含水率も修飾率に影響し得る。含水率が大きいほど、セルロースの硫酸エステル化反応率が低下し、得られたセルロースナノファイバーの修飾率が低くなり得る。さらに、硫酸と上記カルボン酸無水物の添加量および反応条件を適宜設定することにより、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの硫酸エステル化修飾率を所望の値に設定することができる。したがって、所望の硫酸エステル化修飾率となるように、これらの条件を適宜調整すればよい。例えば、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーとして好適な特性を発揮し得る硫酸エステル化修飾率を有するセルロースナノファイバーが得られる。また、硫酸エステル化修飾率を抑えて、実質的に無修飾セルロースナノファイバーと同様の特性を有するセルロースナノファイバーを得ることもできる。なお、上記の通り、硫酸エステル化修飾率が検出限界値以下である場合、得られるセルロースナノファイバーは無修飾セルロースナノファイバーであり得る。

0042

また、硫酸エステル化修飾率が低い(例えば、硫黄含有率で0.01重量%未満である)セルロースナノファイバーを調製する場合、例えば、解繊溶液における無水酢酸またはプロピオン酸無水物濃度を0.5重量%から10重量%、硫酸濃度を0.05重量%〜5重量%とし、撹拌のせん断力の強さと時間を制御することにより平均繊維径が5nm〜500nmであって、硫酸エステル化修飾率が低いセルロースナノファイバーが得られる。また、解繊溶液における硫酸濃度を0.05重量%〜1重量%とした場合、スターラーやフラスコの様なマイルド撹拌法を用いて、1時間〜3時間処理することにより硫酸エステル化修飾率が低いセルロースナノファイバーが得られる。また、ビーズミル、ペイントシェーカーまたはホモジナイザー等の強力撹拌手段を用いる場合、撹拌時間を2時間以下に抑えればよい。また、硫酸エステル化修飾率が低い硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーとするためには、解繊溶液における硫酸濃度を1重量%〜5重量%とする場合、撹拌の強さに関わらず、処理時間を2時間以下抑えることが好ましい。

0043

ジメチルスルホキシド、無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物ならびに硫酸を含む解繊溶液におけるセルロースの解繊メカニズムは、明らかではない。しかしながら、セルロースの硫酸エステル化反応に対してジメチルスルホキシドと無水酢酸またはプロピオン酸無水物は不可欠な反応助剤であり、セルロースの硫酸エステル化反応において硫酸エステル化反応を促進すると推測される。すなわち、本発明の製造方法におけるセルロースナノファイバーの硫酸エステル化修飾反応は、ジメチルスルホキシドと無水酢酸またはプロピオン酸無水物を介して行われると考えられる。

0044

B−1.原料セルロース
セルロースナノファイバーの原料となるセルロースは、リンターパルプ木材パルプ竹パルプ等のパルプ、綿などセルロース単独の形態であってもよく、木材、、古紙、藁などリグニンおよびヘミセルロースなどの非セルロース成分を含む混合形態であってもよい。原料セルロースとしては、セルロースI型の結晶構造を含むセルロース物質が好ましい。セルロースI型の結晶構造を含むセルロース物質としては、例えば、木材由来セルロースパルプ、リンターパルプ、綿、セルロースパウダー、木材、竹を含む物質等が挙げられる。

0045

原料セルロースのリグニン含有率は好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以下である。リグニンの含有率が多くなりすぎると解繊速度が遅くなるおそれがある。また、原料セルロースに含まれるセルロースのうちI型結晶構造を含むセルロースの含有割合は、好ましくは20重量%以上であり、より好ましくは30重量%以上であり、さらに好ましくは40重量%以上であり、特に好ましくは50重量%以上である。

0046

原料セルロースの含水率は、特に制限はなく、任意の適切な値に設定され得る。原料セルロースの含水率は、好ましくは0重量%〜50重量%であり、より好ましくは2重量%〜20重量%であり、さらに好ましくは3重量%〜15重量%であり、特に好ましくは5重量%〜10重量%である。また、硫酸エステル化修飾率が高い硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを製造する場合、原料セルロースの含水率は、好ましくは0重量%〜50重量%であり、より好ましくは0.5重量%〜20重量%であり、さらに好ましくは1重量%〜15重量%であり、特に好ましくは1.5重量%〜10重量%である。原料セルロースが水分を含むことにより、解繊溶液のミクロフィブリルの間への浸透を容易にすることができる(すなわち、解繊溶液の浸透速度が速くなる)。一方、原料セルロースの含水率が50重量%を超えると、解繊速度が低下する傾向がある。さらに、硫酸エステル化修飾率も低下するおそれがある。

0047

原料セルロースの形状について特に制限はなく、解繊溶液の浸透および解繊処理時の撹拌に適するよう、任意の適切な形状の原料セルロースが選択される。好ましい例としては、例えば、セルロースパルプを用いる場合、解繊反応装置のサイズに応じて数mm〜数十cmにパルプを切断すればよい。なお、本発明で用いる解繊溶液は浸透性が高いため、粉末状に過剰粉砕する必要はない。また、木材、竹、農業残渣等のリグニンが多く含まれる原料セルロースを用いる場合、チップ状、繊維状または粒状にしてセルロースをリグニン等の非セルロース物質から出来るだけ露出させることが好ましい。

0048

上記解繊工程において、セルロースと上記解繊溶液との重量割合は、好ましくは前者/後者=0.5/99.5〜50/50であり、より好ましくは前者/後者=1/99〜30/70であり、さらに好ましくは前者/後者=1.5/98.5〜20/80であり、特に好ましくは前者/後者=2/98〜15/85である。セルロースの重量割合が低すぎると、セルロースナノファイバーの生産効率が低くなるおそれがある。また、セルロースの重量割合が高すぎると、反応時間が長くなるため、生産性が低下し、得られるナノファイバーのサイズ均一性が低下するおそれがある。

0049

本発明の製造方法で得られるセルロースナノファイバーの平均繊維径は、特に制限はなく、例えば、1nm〜500nmの範囲である。セルロースナノファイバーの平均繊維径は、好ましくは2nm〜100nmであり、より好ましくは3nm〜50nmであり、さらに好ましくは5nm〜20nmである。平均繊維径が1nm未満であると収率が低くなる傾向があり、ナノファイバーの強度等の性能面も低下するおそれがある。平均繊維径が500nmを超えると、繊維径が大きいためナノファイバーとしての性能が発揮されにくい傾向がある。なお、平均繊維径は、SEM写真の画像からランダムに50個の繊維を選択し、加算平均した値をいう。

0050

上記の通り、本発明のセルロースナノファイバーの製造方法は、解繊溶液における無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物、ならびに、硫酸の含有量、ならびに、解繊条件等を適宜設定することにより、セルロースナノファイバーの硫酸エステル化修飾率を所望の値に設定することができる。なお、セルロースの硫黄含有率(硫酸エステル化修飾率)が検出限界値以下である場合、得られたセルロースナノファイバーは無修飾セルロースナノファイバーであり得る。

0051

本発明の製造方法により得られるセルロースナノファイバーはセルロースナノファイバーの表面の水酸基が硫酸エステル化された修飾セルロースナノファイバーであり得る。また、修飾率を抑えることにより、実質的に無修飾セルロースナノファイバーとして用いることができるセルロースナノファイバーが得られ得る。上記の通り、硫酸エステル化修飾率が抑えられたセルロースナノファイバーは無修飾セルロースナノファイバーであり得る。上記の通り、本発明に用いられる解繊溶液は、DMSO、硫酸、ならびに、無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物を含む。この実施形態において、DMSOと無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物は、セルロースの硫酸エステル化反応に対しては不可欠な反応助剤であり、セルロースの硫酸エステル化反応を促進すると推測される。

0052

DMSOはセルロースに対して優れた浸透性を持つ溶媒である。硫酸はDMSOと上記無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物を介してセルロースの水酸基と反応することにより、硫酸エステル化修飾反応速度と解繊速度を促進する。したがって、上記解繊溶液中にセルロースを加えて撹拌することにより硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを製造することができる。硫酸エステル化修飾率は、硫酸ならびに無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物の添加量、撹拌時間およびせん断力により広範囲で制御できる。

0053

この実施形態では、上記解繊溶液をセルロース繊維のミクロフィブリルまたはエレメンタリーミクロフィブリルの間に浸透させてミクロフィブリルの表面の水酸基を硫酸エステル化修飾することにより、水素結合を効率よく切断し、セルロースナノファイバー(ミクロフィブリルまたはエレメンタリーミクロフィブリル)(実質的に、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバー)が得られる。本発明のようなマイルドな反応条件でセルロースが硫酸エステル化修飾される反応機構についてはっきり分かっていない。DMSOと酢酸および/またはプロピオン酸無水物は硫酸エステル化反応に対しては不可欠な反応助剤であり、それらの作用により硫酸が容易にセルロースの水酸基とエステル化反応すると推測する。無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物ならびに硫酸の添加量および反応条件(例えば、撹拌速度またはせん断力および時間)の制御により、得られるセルロースナノファイバーの硫酸エステル化修飾率および繊維径を容易に制御することができる。例えば、解繊溶液における硫酸濃度が低い場合、硫酸エステル化修飾率が低くなり、得られるナノファイバーの繊維径も大きくなる傾向がある。この場合、ペイントシェーカーやビーズミル等の強力撹拌装置を併用することにより、硫酸エステル化修飾率が低く、繊維径が小さいセルロースナノファイバーを調製することができる。

0054

B−2.解繊溶液
B−2−1.ジメチルスルホキシド
解繊溶液に含まれるDMSOは、浸透性溶媒と解繊および修飾反応助剤として機能すると推測する。解繊溶液は、必要に応じて、DMSO以外の溶媒を含んでいてもよい。例えば、DMSO以外のスルホキシド系溶媒ジメチルアセトアミドDMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルアセトアミドホルムアミド、N−メチルホルムアミド等のアミド系溶媒;エチレングリコールプロピレングリコール等のグリコール系溶媒メタノールエタノールイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒アセトニトリル等が挙げられる。DMSO以外の溶媒を含む場合、DMSO以外の溶媒の含有割合は好ましくは解繊溶液の50重量%以下であり、より好ましくは30重量%以下である。DMSO以外の溶媒の含有割合が高すぎる場合、硫酸エステル化反応速度が低下するおそれがある。

0055

解繊溶液におけるDMSOの含有量は任意の適切な値に設定され得る。具体的には、解繊溶液に含まれる硫酸ならびに無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物の濃度が所望の濃度となるように用いられる。

0056

B−2−2.硫酸
解繊溶液における硫酸濃度は解繊速度と得られる硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの繊維径および硫酸エステル化修飾率に影響を与える。解繊溶液に含まれる硫酸は、硫酸エステル化反応化剤でありながら、解繊速度を促進する役割を有し、解繊効率を向上させる。

0057

解繊溶液における硫酸の濃度は、好ましくは0.05重量%〜15重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜10重量%であり、さらに好ましくは0.3重量%〜8重量%である。硫酸の濃度が0.05重量%未満であると反応が遅くなり、解繊効率が低くなり得る。硫酸の濃度が15重量%を超えると、硫酸エステル化反応は行われているものの、セルロースの加水分解および/または酸化反応やDMSOの酸化等の副反応が生じるおそれがある。また、中和のための薬品使用量や洗浄のため洗浄剤の使用量の増加にも繋がる。さらに、硫酸の濃度が高すぎると解繊溶液のセルロースへの浸透性が低下するため、解繊速度や解繊度合が低下するおそれがある。

0058

また、後述するエステル化修飾化反応またはウレタン化反応に好適なセルロースナノファイバー(例えば、硫黄含有率が0.01重量%未満であるセルロースナノファイバー)を製造する場合、解繊溶液における硫酸の濃度は、任意の適切な量に設定され得る。解繊溶液における硫酸の濃度は、好ましくは0.05重量%〜5重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜2重量%であり、さらに好ましくは0.2重量%〜1.5重量%であり、特に好ましくは0.3重量%〜1.0重量%である。硫酸濃度が0.05重量%未満であると解繊速度が遅くなるため好ましくない。一方、5重量%を超えると硫酸エステル化反応が起こりやすくなり、硫酸エステル化修飾率が高くなりすぎるおそれがあり、他の解繊条件の制御や、解繊溶液における他の成分の調整が困難となるおそれがある。上記の通り、解繊溶液における硫酸濃度を上記の範囲とすることにより得られる硫黄含有率が0.01重量%未満であるセルロースナノファイバーは無修飾セルロースナノファイバーであり得る。

0059

硫酸の含水率は任意の適切な範囲に設定され得る。用いる硫酸の含水率が高い場合、得られるセルロースナノファイバーの硫酸エステル化修飾率が低下するおそれや、得られるセルロースナノファイバーの繊維径が大きくなるおそれがある。そのため、これらの不具合を避けるという観点からは、硫酸の含水率が低いことが好ましい。硫酸の含水率は、例えば、80重量%以下であり、好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下である。

0060

B−2−3.無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物
解繊溶液における無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物の役割は、セルロースの水酸基とエステル化反応するのではなく、DMSOと共にセルロースミクロフィブリルまたはエレメンタリーフィブリルの間に浸透し、セルロースの硫酸エステル化反応と解繊に関与し、これらを促進するものと推測される。解繊溶液における無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物の濃度は硫酸エステル化修飾率と解繊度合に大きな影響を与え得る。なお、これらのカルボン酸無水物以外にも、以下に記載する一塩基カルボン酸(モノカルボン酸無水物(式:R1CO−O−OCR2)を用いてもよい。好ましい一塩基カルボン酸無水物としては、飽和脂肪族モノカルボン酸無水物が挙げられる。具体的には、無水酪酸無水イソ酪酸、無水吉草酸エタン酸プロピオン酸無水物などを用いることができる。なお、これらの一塩基カルボン酸無水物は無水酢酸と併用して用いてもよい。

0061

この実施形態の解繊溶液における無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物の濃度は、好ましくは0.5重量%〜90重量%であり、より好ましくは3重量%〜80重量%である。上記の通り、解繊溶液における無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物の濃度は、所望のエステル化修飾率により適宜設定され得る。

0062

例えば、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーとして好適な特性を有するセルロースナノファイバー(例えば、硫黄含有率が0.01重量%以上である硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバー)を製造する場合、無水酢酸またはプロピオン酸無水物の好ましい濃度は3重量%〜80重量%であり、さらに好ましくは5重量%〜65重量%である。濃度が3重量%未満になると硫酸エステル化修飾反応速度が遅くなるおそれがある。また、濃度が80重量%を超えると、解繊溶液のセルロースへの浸透性が低下して解繊度合が低下したり、硫酸エステル化反応が進まなくなるおそれがある。さらに、無水酢酸またはプロピオン酸無水物と水酸基との反応によるアシル化修飾反応が優先的に起こるおそれがある。

0063

また、硫酸エステル化修飾率が低い(例えば、硫黄含有率が0.01重量%未満である)セルロースナノファイバーを調製する場合、解繊溶液における無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物の濃度は、好ましくは0.5重量%〜20重量%であり、より好ましくは1重量%〜15重量%であり、さらに好ましくは3重量%〜10重量%である。無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物の添加量が0.5重量%未満になると、解繊速度が遅くなり、得られるセルロースナノファイバーが太くなるおそれがある。また、無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物の濃度が20重量%を超えると、硫酸エステル化反応が生じやすくなるため攪拌速度およびせん断力や攪拌時間を制御しても硫酸エステル化修飾率が高くなりすぎるおそれがある。

0064

B−3.解繊工程
本発明のセルロースナノファイバーの製造方法では、上記解繊溶液と原料セルロースとを混合し、解繊溶液をセルロースに浸透させる。これにより、セルロースの水素結合を効率よく切断することができセルロースナノファイバー(硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを含む)が得られる。

0065

解繊工程では、解繊溶液の各成分を添加・混合し、解繊溶液を調製した後、原料セルロースと混合することが好ましい。なお、解繊溶液の各成分は液体であるため、解繊溶液の成分を予め混合せずに、解繊溶液の各成分と原料セルロースとを解繊容器に同時に加えてもよい。また、原料セルロースに解繊溶液の各成分を順不同に加えてもよい。

0066

上記解繊溶液とセルロースとを混合した後、解繊混合液(解繊溶液およびセルロースを含む溶液)の成分および温度の均一性を保つように適度な機械撹拌または超音波等の通常化学反応に用いられる物理撹拌をすることが好ましい。なお、セルロースの機械的解繊法に通常用いられるような高圧ホモジナイザーまたはウォータージェット等の解繊装置による高いせん断力の撹拌は行わなくてもよい。解繊の促進および/または解繊の均一性を高めるために、ペイントシェーカー、ビーズミル、ホモジナイザー、ニーダーグラインダー等の強力な撹拌装置を併用してもよい。解繊溶液中のセルロースの割合が大きい場合、押し出し機およびニーダー等の高粘度に対応できる撹拌装置を用いることにより、均一に効率よく解繊することができる。

0067

また、別の方法としては、撹拌せずに原料セルロースを上記解繊溶液に後述する温度下で一定時間まで浸漬する。次いで、水およびアルコール等の希釈溶媒を加えて均一分散するまで撹拌する。その後、濾過または遠心分離によりセルロースナノファイバーを回収することも可能である。

0068

解繊は、任意の適切な温度で行うことができる。例えば、室温で行ってもよく、解繊を促進するために加温してもよい。解繊溶液の温度は、好ましくは5℃〜100℃であり、より好ましくは15℃〜80℃、さらに好ましくは20℃〜60℃である。解繊温度が5℃未満になると粘度の上昇により解繊速度が低下するおそれや、解繊されたセルロースナノファイバーの硫酸エステル化反応が進まなくなるおそれがある。一方、温度が100℃を超えると、セルロースが分解するおそれや、他の副反応が起こるおそれがある。

0069

解繊に要する時間は、解繊溶液中の無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物、ならびに、硫酸の濃度、製造するセルロースナノファイバーの繊維径および硫酸エステル化修飾率、撹拌手法により変わり得る。解繊に要する時間は、好ましくは10分〜10時間であり、より好ましくは15分〜8時間、さらに好ましくは25分〜6時間である。反応時間がこの範囲より短くなると、硫酸エステル化修飾が出来なくなるおそれや、解繊度合が低くなるおそれがある。一方、解繊時間が10時間を超えると硫酸エステル化修飾率が高くなりすぎるおそれや、得られるセルロースナノファイバーの結晶化度が低くなるおそれがある。さらに、解繊時間が長すぎるとDMSOと無水酢酸および/またはプロピオン酸によるセルロースの酸化反応(アルブライドコールドマンの酸化反応)が起こり、DMSOが悪臭のメチルサルファイドに変換するおそれがある。

0070

硫黄含有率が0.01重量%未満の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを製造する場合、解繊工程は、例えば、室温で行ってもよく、解繊を促進するために加温してもよい。解繊溶液の温度は、好ましくは10℃〜150℃であり、より好ましくは15℃〜80℃、さらに好ましくは20℃〜70℃である。解繊温度が10℃未満になると粘度の上昇により解繊速度が低下するおそれや、解繊されたセルロースナノファイバーの繊維径の均一性が低くなるおそれがある。一方、温度が150℃を超えると、セルロースが分解するおそれや、無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物が揮発するおそれがあり、さらに他の副反応が起こるおそれもある。

0071

また、解繊に要する時間は、解繊溶液中の無水酢酸および/またはプロピオン酸無水物、ならびに、硫酸の濃度、製造するナノファイバーの繊維径、および、撹拌手法により変わり得る。解繊に要する時間は、好ましくは10分〜10時間であり、より好ましくは20分〜8時間、さらに好ましくは30分〜5時間である。

0072

B−4.洗浄(中和)工程
解繊の後、解繊溶液にDMSO、硫酸ならびに無水酢酸および/またはプロピオン酸を溶解する溶媒(以下、洗浄用溶媒ともいう)を加えて硫酸エステル化修飾反応と解繊とを停止させるとともに、洗浄してセルロースナノファイバーを回収する。なお、解繊溶液を再利用することを考慮する場合、解繊の後、濾過又は圧搾等の方法で解繊溶液とセルロース成分とを分離した後、セルロース成分を洗浄用溶媒で洗浄することが好ましい。

0073

洗浄用溶媒は、セルロースナノファイバーが分散でき、かつ、DMSO、硫酸ならびに無水酢酸および/またはプロピオン酸が溶ける溶媒であればよく、任意の適切な溶媒が用いられる。例えば、水、メタノールおよびエタノール等のアルコール類、ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド類が挙げられる。好ましくは水およびアルコール類である。なお、洗浄した後、得られる硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの硫酸官能基は酸型(−O−SO3H)である。

0074

また、硫酸官能基を硫酸塩型に変換する場合、アルカリ性物質を含む洗浄用溶媒を加え、一定時間撹拌した後濾過し、アルカリ性物質を含まない洗浄用溶媒でさらに洗浄することにより、硫酸塩型の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーが得られる。

0075

アルカリ性物質としては、任意の適切なアルカリ物質を用いることができる。具体的には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物酸化物炭酸塩炭酸水素塩および酢酸塩等の無機アルカリ性物質、ならびに、アミン等が挙げられる。アルカリ性物質は、得られる硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの用途等により、任意の適切なアルカリ性物質を選択することができる。例えば、得られる硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの水分散性を求める場合、カリウムナトリウムリチウム等のアルカリ金属を含む無機アルカリ性物質が好ましい。一方、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーのアルコール等の有機溶媒への分散性を求める場合、三級アミンまたは第四級アンモニウム化合物を用いることが好ましい。なお、これらのアルカリ性物質は後述するエステル化修飾反応またはウレタン化修飾反応に用いられる塩基触媒と同じものであってもよい。

0076

中和するための撹拌または混合時間は用いるアルカリ性物質に応じて、任意の適切な値に設定され得る。好ましくは1分〜180分であり、より好ましくは3分〜120分であり、さらに好ましくは5分〜60分である。

0077

セルロースナノファイバーを洗浄、回収する方法としては、一般工業用減圧濾過法、加圧濾過法、遠心分離等が挙げられる。未解繊または解繊不完全の大きなセルロース繊維または粒子が残存している場合、デカンテーション、遠心分離、濾過などの手法によりこれらを取り除くことができる。

0078

また、上記洗浄の際または洗浄後にセルロースナノファイバーを水に再分散させてミキサーまたはホモジナイザーでさらに処理することが、解繊度合と得られるセルロースナノファイバーの繊維径の均一性がさらに向上するため好ましい。

0079

解繊後は上記の方法により、セルロースナノファイバーを洗浄・回収してもよく、解繊後の分散液(セルロースナノファイバーを含む解繊溶液)をそのまま、または、必要な調整を加えた後、後述する修飾セルロースナノファイバーの製造工程に供してもよい。また、洗浄工程において、アミド類のような非プロトン性極性溶媒を用いた場合、この溶媒にセルロースナノファイバーを分散させて用いてもよい。洗浄工程において、水またはアルコールを用いた場合、後述する修飾工程で用いる非プロトン性極性溶媒を用いて水またはアルコール等のプロトン性溶媒置換した後、修飾工程に進んでもよい。

0080

解繊および硫酸エステル化反応後は上記の方法により、セルロースナノファイバーを洗浄・回収してもよく、解繊後の分散液(セルロースナノファイバーを含む解繊溶液)をそのまま、または、必要な調整を加えた後、フィルム化や繊維化してもよい。例えば、解繊後得られたスラリー状の分散液を基板上に塗布し、多価アルカリ性物質を含む水溶液またはアルコールに通すことによりセルロースナノファイバーのフィルム状ゲルが得られる。フィルム状ゲルをさらに水またはアルコールで洗浄し、乾燥することによりセルロースナノファイバーフィルムが得られる。

0081

繊維化する場合、解繊後得られたスラリー状の分散液をノズルから押出し、繊維状にして、上記と同様に、アルコールに通し、繊維状ゲルにした後、洗浄、乾燥することによりセルロースナノファイバーを含む繊維が得られる。解繊後の分散液の粘度が高い場合、水、アルコール等の溶媒を加えて成形可能な粘度まで希釈した後、成形してもよい。

0082

上記の方法により得られるセルロースナノファイバーが、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーであることは、精製したセルロースナノファイバーの元素分析およびIRスペクトルから確認することができる。解繊条件および/または反応条件により一部の水酸基がアシル化修飾される場合がある。

0083

<C.疎水化修飾セルロースナノファイバーの製造方法>
上記の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバー(無修飾セルロースナノファイバーを含み得る)は、親水性セルロースナノファイバーである。これらの親水性セルロースナノファイバーの疎水性を向上させるため、親水性セルロースナノファイバーをエステル化反応化剤又はウレタン化反応化剤と反応させて疎水化し、疎水化修飾セルロースナノファイバーとすることができる。本発明の疎水化修飾セルロースナノファイバー(以下、修飾セルロースナノファイバーともいう)の製造方法は、上記セルロースナノファイバーの製造方法で得られたセルロースナノファイバーをカルボン酸無水物またはカルボン酸ビニル等のエステル化修飾化剤またはイソシアネート等のウレタン化修飾化剤とさらに反応させて、セルロースナノファイバーの表面を修飾する工程を含む。

0084

上記修飾工程に供されるセルロースナノファイバーとしては、硫黄含有率が6重量%未満のものが好ましい。上記の通り、このセルロースナノファイバーは、表面水酸基が無修飾のセルロースナノファイバーであってもよく、表面水酸基の一部が硫酸エステル化していてもよい。上記の通り、硫酸エステル化修飾率が低いセルロースナノファイバー(例えば、硫黄含有率で6重量%未満、または、平均置換度が0.3以下)であれば、疎水化修飾セルロースナノファイバーの製造工程に好適に用いることができる。なお、セルロースナノファイバーの一部が硫酸エステル化修飾されている場合は、硫酸官能基をアルカリによって硫酸塩基に変換することが好ましい。硫酸塩基への変換方法としては、上記の方法を用いることができる。

0085

セルロースナノファイバーのエステル化修飾反応またはウレタン化修飾反応は、任意の適切な方法により行うことができる。例えば、エステル化反応化剤またはウレタン化反応化剤とセルロースナノファイバーとを脱水反応することにより、エステル化修飾またはウレタン化修飾セルロースナノファイバーを得ることができる。詳細について次に述べる。

0086

エステル化修飾反応またはウレタン化修飾反応は、溶媒中に上記で得られたセルロースナノファイバーを分散させて、エステル化修飾化剤またはウレタン化修飾化剤を加えて、反応させることにより行う。反応に際しては、エステル化反応触媒またはウレタン化反応触媒を用いてもよい。また、解繊後、解繊混合液から濾過または圧搾により解繊溶液を除いてから、後述する修飾反応溶媒とエステル化修飾化剤またはウレタン化修飾化剤を加えて任意の温度で任意の時間まで攪拌してもよい。さらに別の方法としては、後述する反応溶媒中に上記で洗浄をして得られたセルロースナノファイバーを分散させて、エステル化修飾化剤またはウレタン化修飾化剤を加えて、反応させてもよい。反応に際しては、上記の通り、エステル化反応触媒またはウレタン化反応触媒を用いてもよい。さらに、解繊後、解繊溶媒を除かずに、直接にアルカリ性物質と反応化剤を加えて任意の温度で任意の時間まで反応させてもよい。なお、アルカリ性物質は反応系に含まれる硫酸を中和するとともに塩基触媒として作用する。

0087

反応溶媒としては任意の適切な溶媒を用いることができる。例えば、ピリジン、ジメチルアセトアミド、ホルムアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、ケトン、トルエン等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。反応溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。塩基触媒としても機能するという点からは、ピリジンが好ましい。上記工程で得られたセルロースナノファイバーが分散しやすく、修飾反応を均一に行うことができるという点からは、アミド系溶媒が好ましい。修飾反応後除去しやすく、精製コストに優れるという点からはケトンおよびトルエン等の低沸点溶媒が好ましい。このように、それぞれの利点を考慮し、目的に応じて適切な溶媒を用いればよい。

0088

C−1.エステル化修飾反応
エステル化修飾化剤としては、任意の適切な化合物を用いることができる。例えば、エステル化修飾化剤は、カルボン酸無水物、カルボン酸ビニル、カルボン酸ハロゲン化物およびカルボン酸から選択される少なくとも1種である。カルボン酸無水物およびカルボン酸ビニルが好ましい。

0089

カルボン酸無水物としては、例えば、無水酢酸、プロピオン無水物、無水酪酸、無水安息香酸等が挙げられる。

0091

カルボン酸ハロゲン化物としては、例えば、塩化アセチル塩化プロピオニル、塩化ブチリル塩化オクタノイル塩化ステアロイル塩化ベンゾイルパラトルエンスルホン酸クロライド等が挙げられる。なお、カルボン酸ハロゲン化物は反応速度が速く反応が激しい傾向がある。セルロースナノファイバー(CNF)に大きいダメージを与える可能性があるため、反応速度を制御し、修飾反応がセルロースナノファイバーの表面に留まるようにすることが好ましい。

0092

カルボン酸としては、沸点150℃以上の脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸が好ましい。例えば、酪酸ピバル酸メタクリル酸ラウリン酸、桂皮酸、クロトン酸安息香酸等が挙げられる。なお、カルボン酸は常圧下では反応速度が低いため、減圧反応を行うことが好ましい。

0093

エステル化修飾化剤の添加量は任意の適切な値に設定され得る。エステル化修飾化剤の添加量は、セルロースナノファイバーの無水グルカンモル当たり好ましくは0.05モル〜15モルであり、より好ましくは0.1モル〜10モル、さらに好ましくは0.3モル〜9モル、特に好ましくは0.5モル〜8モルである。添加量が少なすぎると反応速度が遅くなる場合や、修飾率が低くなりすぎる場合がある。一方、エステル化修飾化剤の添加量が多すぎると過修飾によりセルロースナノファイバーの結晶化度が低下するおそれや、コストが高くなるおそれがある。

0094

カルボン酸無水物またはカルボン酸ビニルを用いる場合、反応速度が上昇するため、塩基触媒をさらに添加することが好ましい。塩基触媒としては、任意の適切な触媒を用いることができる。例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、カルボン酸塩、もしくはピリジン類イミダゾール類アミン類等が挙げられる。これらの塩基触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。

0095

カルボン酸ハロゲン化物を用いる場合、反応が激しいため触媒を用いなくても反応が進行するが、触媒を添加してもよい。添加する触媒は、好ましくは上記塩基触媒であり、より好ましくはアミン類等の弱塩基性の塩基触媒である。

0096

カルボン酸を用いる場合、塩基触媒を用いてもよく、酸触媒を用いてもよい。好ましくは酸触媒を用いる。酸触媒としては、例えば、硫酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。

0097

エステル化修飾反応の反応温度は、エステル化修飾化剤の種類および触媒により任意の適切な値に調整される。例えば、カルボン酸無水物またはカルボン酸ビニルを用いる場合、好ましくは室温から150℃であり、より好ましくは室温から120℃であり、さらに好ましくは25℃〜100℃であり、特に好ましくは30℃〜90℃である。反応温度が低すぎると反応速度が遅くなるおそれがある。反応温度が高すぎるとセルロースナノファイバーにダメージを与えるおそれがある。

0098

反応時間は、反応温度、触媒の種類と添加量により任意の適切な値に調整すればよい。反応時間は例えば、20分〜240分である。反応時間が短すぎると修飾率が低くなるおそれがある。反応時間が長すぎると過修飾によりセルロースの結晶化度や収率が低下するおそれがある。

0099

C−2.ウレタン化修飾化反応
ウレタン化修飾化剤としては、任意の適切な化合物を用いることができ、好ましくはイソシアネート類である。イソシアネート類としては、例えば、イソシアン酸メチル、2−イソシアナトエチルアクリラート、2−イソシアナトエチルメタクリレート等の単官能基のイソシアネート;ジフェニルメタンジイソシアネートヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネー等のジイアソシアネート多官能基イソシアネート等が挙げられる。

0100

イソシアネート類の添加量は任意の適切な値に設定される。好ましくは、上記エステル化修飾化剤と同じ範囲の添加量で用いられる。

0101

ウレタン化修飾反応触媒としては、上記エステル化修飾反応で用いられる塩基触媒が好ましい。なかでも、アミン系の有機塩基性触媒が好ましい。また、ジブチル錫ジラウレートおよびジルコニウムテトラアセトアセテート等の金属触媒も好適に用いることができる。触媒の添加量は、ウレタン化修飾反応化剤の種類および添加量、反応温度に応じて任意の適切な量を加えればよい。

0102

ウレタン化修飾反応の反応温度は、通常のウレタン合成と同様に、イソシアネート類の反応性、触媒の種類および添加量により任意の適切な温度に調製される。例えば、室温〜120℃であり、好ましくは25℃〜100℃、より好ましくは30℃〜95℃、さらに好ましくは35℃〜80℃である。反応温度が低すぎると反応速度が低くなり、反応温度が高すぎるとセルロースナノファイバーにダメージを与えるおそれがある。

0103

反応時間は反応温度、触媒の種類および添加量により任意の適切な時間に調整され得る。反応時間は、例えば、20分〜240分である。反応時間が短すぎると修飾率が低くなり、長すぎると過修飾によりセルロースの結晶化度や収率が低下するおそれがある。

0104

以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
用いた原料および装置の詳細は以下の通りである。

0105

(用いたセルロース、無水酢酸、プロピオン酸無水物、硫酸およびDMSO)
原料セルロースとして、セルロースパルプを用いた。セルロースパルプは市販木材パルプ(Georgia Pacific社製、商品名:フラッフパルプARC48000GP、含水率:9重量%)である。
原料セルロースは、解繊前にサンプル瓶に入るサイズ(1cm〜3cm角程度)まで千切った。
無水酢酸、プロピオン酸無水物、硫酸およびDMSOはナカライテスク(株)から購入した。

0106

(スターラー)
スターラーは小池精密機器製作所製のマイティ・スターラー(モデルHE−20G)を用いた。なお、オーバル型の強力撹拌子を用いた。

0107

(フラスコ反応容器
撹拌羽を備えた200ml三口フラスコを用いた。

0108

(ペイントシェーカー)
ペイントシェーカーは米国RED DEVIL社製の1410—00—IVF型シングルを用いた。

0109

(ミキサー)
セルロースナノファイバーを分散するため、パナソニック社製のミキサー(商品番号:MX−X701)を用いた。

0110

クレアミクス
有機溶媒を用いて解繊度合を改良する場合、ミキサーに代えて、M TECHNIQUE社製のクレアミックス(製品名:CLM−0.8s、回転速度:18000rpm)を用いた。

0111

遠心分離機
洗浄には日立工機(株)社製の遠心分離機(製品名:CR22G)を用いた。なお、遠心分離速度は12000rpm、遠心時間が30分であった。

0112

得られたセルロースナノファイバーについて以下の評価を行った。
(セルロースナノファイバーの形状観察)
セルロースナノファイバーの形状はFE−SEM(日本電子(株)製、製品名:「JSM−6700F」、測定条件:20mA、60秒)を用いて観察した。なお、平均繊維径は、SEM写真の画像からランダムに50個の繊維を選択し、加算平均して算出した。

0113

(結晶化度)
得られたセルロースナノファイバーの結晶化度は、参考文献(Textile Res. J. 29:786−794(1959))の記載に基づき、XRD分析法(Segal法)により測定し、下記式により算出した。
結晶化度(%)=[(I200−IAM)/I200]×100%
[式中、I200はX線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、IAMはアモルファス部(002面と110面間の最低部、回折角2θ=18.5°)の回折強度である]。

0114

(IRスペクトル)
一部のサンプルをフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で分析し、セルロースナノファイバーの変性の有無を確認した。なお、測定は、NICOLETiS50 FT—IR Spectrometerを用い、反射モードで分析した。

0115

(セルロースナノファイバーの水分散液の透明性観察)
調製したセルロースナノファイバーを蒸留水に分散して、実施例1〜8では0.5重量%の水分散液を、実施例9〜27では0.3重量%の水分散液をそれぞれ調製し、目視で透明性を観察した。分散液の透明性はセルロースナノファイバーの繊維径を反映する。すなわち、セルロースナノファイバーの繊維径が小さくなるほど、分散液の透明性が高くなる。

0116

(セルロースナノファイバーの水分散液の粘度測定
セルロースナノファイバーの0.5重量%の水分散液(実施例1〜8)または0.3重量%水溶液(実施例9〜30)の粘度は下記方法(JIS Z880準拠)でBROOKFIELD社製DV−III RHEOMETERスピンドルCPE−42I)を用いて測定した。実施例1〜8で得られたセルロースナノファイバーは、水に分散させて濃度0.5重量%の水分散液を調製し、25℃の温度下で回転数5rpmにおける粘度を測定した。また、実施例9〜30で得られたセルロースナノファイバーは、水に分散させて濃度0.3重量%の水分散液を調製し、25℃の温度下で回転数2.6rpmにおける粘度を測定した。

0117

(セルロースナノファイバーの水分散液のTI値測定)
TI値は下記方法(JIS K 6833準拠)で粘度を測定して求めた。実施例1〜8で得られたセルロースナノファイアバーは、BROOKFIELD社製DV−III RHEOMETER(スピンドルCPE−42I)を使用して、25℃で回転数10rpmおよび100rpmにおける粘度(3回ずつ測定し、その平均値を採用)を測定し、下記式からTI(チキソトロピーインデックス)値を算出した。なお、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの濃度は0.3重量%である。
TI値=(25℃、10rpmにおける粘度)/(25℃、100rpmにおける粘度)

同様に、実施例9〜30で得られたセルロースナノファイバーは、回転数を2.6rpmおよび26rpmに変更した以外は上記と同様にして粘度(3回ずつ測定し、その平均値を採用)を測定し、下記式からTI(チキソトロピーインデックス)値を算出した。なお、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの濃度は0.3重量%である。
TI値=(25℃、2.6rpmにおける粘度)/(25℃、26rpmにおける粘度)

0118

(セルロースナノファイバーの収率)
セルロースナノファイバーの水分散液3gを採取し、ポリプロピレン(PP)ケースキャストして105℃の送風乾燥機内で5時間乾燥した。乾燥後の重さを秤量し、分散液中のセルロースナノファイバー濃度を算出した。分散液中のセルロースナノファイバー濃度と分散液の重さに基づきセルロースナノファイバーの収量を算出した。セルロースナノファイバーの収量と用いたセルロースパルプの重さからセルロースナノファイバーの収率を算出した。

0119

(硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの硫黄含有率の定量)
燃焼吸収—IC法を用いて硫黄含有率を定量した。すなわち、磁性ボードに乾燥した硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバー(0.01g)を入れ、酸素雰囲気(流量:1.5L/分)環状炉(1350℃)にて燃焼させ、発生したガス成分を3%過酸化水素水(20ml)に吸収させた。得られた吸収液を純水で100mlにメスアップし、希釈液のイオンクロマトグラフィー測定結果から硫酸イオン濃度(重量%)を算出した。下記式により硫酸イオン濃度から硫黄含有率を換算した。分析には、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、イオンクロマトグラフICS−1500型を用いた。
硫黄含有率(重量%)=硫酸イオン濃度×32/96

0120

さらに、乾燥したセルロースナノファイバーをFT−IR(ATRモード)で分析し、周波数1250cm−1および820cm−1の硫酸エステル基に由来吸収バンドの有無により硫酸エステル化修飾有無の確認、および、平均置換度の相対比較を行った。測定は、NICOLET社製「NICOLET MAGNA−IR760 Spectrometer」を用い、反射モードで分析した。

0121

(エステル化またはウレタン化修飾されたセルロースナノファイバーの平均置換度)
セルロースナノファイバーの表面修飾率は、平均置換度で示し、固体MRにより測定した。測定モ−ドとして、固体13C−CP/MAS法と固体DP/MAS法の2法を併用した。なお、平均置換度とは、セルロースの繰り返し単位個当たりの修飾された水酸基の数(置換基の数)の平均値(平均置換度)である。
さらに、乾燥した修飾セルロースナノファイバーをFT−IR(ATRモード)で分析し、周波数1730cm−1のカルボニル基に由来する吸収バンドの有無により修飾有無の確認、および、平均置換度の相対比較を行った。なお、測定は、NICOLET社製「NICOLET MAGNA−IR760 Spectrometer」を用い、反射モードで分析した。

0122

[実施例1]
DMSO9g、無水酢酸1.5g(解繊溶液における濃度:14重量%)および硫酸0.2g(解繊溶液における濃度:1.87重量%)を20mlのサンプル瓶に入れ、23℃の室温下で磁性スターラーを用いて約30秒撹拌し、解繊溶液を調製した。
次いで、セルロースパルプ0.3gを加え、同じ室温でさらに60分撹拌した。撹拌後、0.2重量%の炭酸水素ナトリウム水溶液160mlの中にセルロースを含む解繊溶液を添加・混合し、硫酸を中和した。その後、遠心分離により上澄みを除いた。さらに蒸留水80mlとエタノール80mlを加えて均一分散するまで撹拌した後、同じ遠心条件で遠心分離して上澄みを除いた。同じ手順を繰り返し3回洗浄した。なお、遠心分離の速度は12000rpm、遠心分離時間は50分であった。遠心分離により洗浄した後に蒸留水を加え、全体の重さが50gになるまで希釈した。次に、ミキサーを用いて3分撹拌することにより均一なセルロースナノファイバーの水分散液を得た。得られた水分散液は、固形分(セルロースナノファイバー)0.534重量%であり、外観は透明ゲル状の溶液であった。水分散液の外観を図1に示す。また、セルロースナノファイバーの収率は89%であった。結果を表1に示す。

0123

次に、得られたセルロースナノファイバーの水分散液1gを採取し、乾燥した後FT−IR分析でセルロースの修飾有無を分析した。また、同じ乾燥手法で乾燥した後XRD分析法で結晶化度を評価した。さらに、0.1gの水分散液を採取し、10倍の蒸留水で稀釈した後、乾燥して走査型電子顕微鏡(SEM)で形状を観察した。得られたSEMの写真を図2、FT−IRスペクトルを図3、XRDパターンを図4にそれぞれ示す。

0124

SEM観察の結果、セルロースナノファイバーの平均繊維径は10nm以下で、繊維径が20nm以上のナノファイバーまたは微細繊維が実質的に含まれていないことが分った。また、XRDパターンが天然セルロースと同様であるため、I型の結晶構造を持ち結晶化度は76%であることが確認できた。結晶化度は76%であった。FT−IRの分析により周波数1700〜1760cm−1付近エステル結合のC=Oの吸収バンドが検出されなかったため、セルロースナノファイバーは無水酢酸によりエステル化修飾されることを確認できなかった。また、周波数1600〜1650cm−1の付近にカルボン酸基アルデヒド基のC=Oの吸収バンドも検出できなかったため、DMSOによるセルロースの酸化反応がほとんど起こらないことも判明した。一方、周波数1250cm−1と820cm−1付近に硫酸エステルよる特徴である吸収バンドが検出された。燃焼吸収IC法を用いて測定した硫黄含有率は3.5重量%であった。このセルロースナノファイバーの0.3重量%水分散液の25℃における粘度は1720mPa・sであり、TI値は8.5であった。また、この硫酸エステル修飾化セルロースナノファイバーの0.3重量%水分散液を分光光度計で測定した結果を図5に示す。この水分散液の可視光範囲内光透過率は95%以上であった。

0125

0126

[実施例2]
無水酢酸の添加量を1g(解繊溶液における濃度:9.9重量%)、硫酸の添加量を0.13g(解繊溶液における濃度:1.28重量%)、処理時間を110分とした以外は実施例1と同様にしてセルロースナノファイバーを得た。
得られたセルロースナノファイバーを実施例1と同様に評価した。得られた分散液の外観は実施例1とほぼ同等な透明ゲル状であり、セルロースナノファイバー濃度が0.546重量%であった。SEM写真を図6に示す。SEM観察の結果、得られた繊維の平均繊維径はほぼ10nm以下であり、繊維径が20nm以上のナノファイバーまたは微細繊維は実質的に含まれていなかった。また、このセルロースナノファイバーの0.3重量%水分散液の25℃における粘度は1690mPa・sであり、TI値は11.0であった。セルロースナノファイバーの結晶化度は78%であった。また、セルロースナノファイバーの収率は91%であった。結果を表1に示す。また、得られたセルロースナノファイバーの硫黄含有率は2.8重量%であった。

0127

[実施例3]
無水酢酸の添加量を1.2g(解繊溶液における濃度:11.7重量%)、硫酸の添加量を0.09g(解繊溶液における濃度:0.87重量%)に変更した以外は実施例2と同様にしてセルロースナノファイバーを得た。なお、硫酸を中和するため、0.1重量%の炭酸水素ナトリウム水溶液150mlを用いた。
得られたセルロースナノファイバーを実施例2と同様に評価した。得られた分散液の外観は実施例1とほぼ同等な透明ゲル状であり、セルロースナノファイバー濃度が0.540重量%の水分散液が得られた。SEM写真を図7に示す。得られた繊維の平均繊維径は10nm以下であり、繊維径が20nm以上のナノファイバーまたは微細繊維は実質的に含まれていなかった。また、このセルロースナノファイバーの0.3重量%水分散液の25℃における粘度は1801mPa・sであり、TI値は11.2であった。セルロースナノファイバーの結晶化度は80%であった。セルロースナノファイバーの収率は90%であった。結果を表1に示す。また、得られたセルロースナノファイバーの硫黄含有率は2.6重量%であった。

0128

[実施例4]
無水酢酸の添加量を0.5g(解繊溶液における濃度:5.2重量%)、硫酸の添加量を0.1g(解繊溶液における濃度:1.04重量%)に変更した以外は実施例3と同様にしてセルロースナノファイバーを得た。
得られたセルロースナノファイバーを実施例3と同様に評価した。得られた分散液の外観はやや白濁なゲル状であり(図1)、セルロースナノファイバー濃度が0.558重量%の水分散液が得られた。SEM写真を図8(a)に、IRスペクトルを図8(b)にそれぞれ示す。得られた繊維の繊維径は数nm〜100nmであった。また、このセルロースナノファイバーの0.3重量%水分散液の25℃における粘度は1294mPa・sであり、TI値は7.8であった。ナノファイバーの結晶化度は80%であった。セルロースナノファイバーの収率は93%であった。結果を表1に示す。また、得られたセルロースナノファイバーの硫黄含有率は1.5重量%であった。

0129

[実施例5]
無水酢酸の添加量を1g(解繊溶液における濃度:9.9重量%)、硫酸の添加量を0.06g(解繊溶液における濃度:0.6重量%)に変更した以外は実施例4と同様にしてセルロースナノファイバーを得た。
得られたセルロースナノファイバーの水分散液の外観、SEM写真での像は実施例4とほぼ同等であった。水分散液のセルロースナノファイバー濃度は0.552重量%であった。また、このセルロースナノファイバーの0.3重量%水分散液の25℃における粘度は1312mPa・sであり、TI値は8.8であった。ナノファイバーの結晶化度は81%であった。セルロースナノファイバーの収率は92%であった。結果を表1に示す。また、得られたセルロースナノファイバーの硫黄含有率は1.6重量%であった。

0130

[実施例6]
無水酢酸の添加量を0.5g(解繊溶液における濃度:5.2重量%)に変更した以外は実施例5と同様にしてセルロースナノファイバーを得た。
得られたセルロースナノファイバーの水分散液は白濁溶液状の分散液であり、セルロースナノファイバー濃度は0.576重量%であった(図1)。SEMの観察により、得られた繊維の繊維径は数nm〜数百nmであることが判明した。また、このセルロースナノファイバーの0.3重量%水分散液の25℃における粘度は350mPa・sであり、TI値は3.0であった。ナノファイバーの結晶化度は83%であった。セルロースナノファイバーの収率は96%であった。結果を表1に示す。また、得られたセルロースナノファイバーの硫黄含有率は1.3重量%であった。

0131

(比較例1)
解繊溶液に無水酢酸を添加しなかった以外は実施例2と同様にしてセルロースの解繊を行った。
得られた解繊物光学顕微鏡で観察した。パルプは繊維状まで解されていたが、ほとんどの繊維がミクロンオーダーであった。わずかな繊維は繊維径が20nm以下であった。得られた水分散液は室温で1時間放置すると沈殿した。そのため、粘度の測定ができなかった。結果を表1に示す。

0132

(比較例2)
解繊溶液に硫酸を添加しなかった以外は実施例2と同様にしてセルロースの解繊を行った。
得られた解繊物を分析した結果、比較例1で得られた解繊物とほぼ同等であった。結果を表1に示す。

0133

以上の実施例1〜6および比較例1〜2の評価結果より、本発明の製造方法により得られたセルロースナノファイバーは結晶化度が70%以上、収率が約89%以上であった。繊維径が100nm以下のセルロースナノファイバーの水分散液は透明性、粘度とチキソトロピー性が高かった。また、実施例1〜6で得られたセルロースナノファイバーはいずれも硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーであった。

0134

[実施例7]セルロースナノファイバーを用いたフィルムの作製
実施例2と同じ解繊条件でセルロースパルプを解繊し、スラリー状のセルロースナノファイバーを得た。得られたセルロースナノファイバーをそのままガラス基板上に塗布し、ガラス基板ごとをアセトンに浸漬した。約30分後、ゲル状のセルロースナノファイバーフィルムが得られた。得られたフィルムを85℃の送風乾燥機で水分率が50重量%になるまで乾燥した。次いで、メタノール浴に入れ、残留したジメチルスルホキシド、硫酸または酢酸を置換し、再び85℃の乾燥機で全乾まで乾燥し、セルロースナノファイバーフィルムを得た。

0135

[実施例8]セルロースナノファイバーを用いた繊維の作製
実施例2と同じ解繊条件でセルロースパルプを解繊し、スラリー状のセルロースナノファイバーを得た。得られたセルロースナノファイバーをそのまま5mlのシリンジで吸い込んだ後、アセトン浴に押し出した。約30分後、ゲル状のセルロースナノファイバーが得られた。得られた繊維を85℃の送風乾燥機で水分率が50重量%まで乾燥した。次いで、メタノール浴に入れ、残留したジメチルスルホキシド、硫酸または酢酸を置換し、再び85℃の乾燥機で全乾まで乾燥し、セルロースナノファイバー繊維を得た。

0136

[実施例9]
DMSO18g、無水酢酸2g(解繊溶液における濃度:9.9重量%)と硫酸0.15g(解繊溶液における濃度:0.74重量%)を50mlのサンプル瓶に入れ、23℃の室温下、磁性スターラーで約30秒撹拌し、解繊溶液を調製した。
次に、セルロースパルプ0.6gを加え、23℃の室温で80分撹拌した。撹拌した混合物炭酸水素ナトリウム3gと蒸留水400mlから調製した水溶液の中に加え、室温で10分間混ぜた後、遠心分離により上澄みを除いた。次いで、蒸留水400mlを加えて均一分散するまで撹拌し、上記と同じ条件で遠心分離し、上澄みを除いた。同じ手順を繰り返し、4回洗浄した。遠心分離により洗浄した後に蒸留水を加え、全体の重量が150gになるまで希釈した。次に、ミキサーを用いて3分撹拌することにより均一なセルロースナノファイバーの水分散液を得た。
得られた水分散液の外観を図9に示す。セルロースナノファイバーの水分散液は半透明なゲルであった。そのIRスペクトルを図10に、XRDパターンを図11に、SEM写真を図12にそれぞれ示す。図10のIRスペクトルからアシル化修飾に関わるカルボニル基の吸収バンド(1730cm−1)が検出されず、代わりに−O−SO3−1の吸収バンド(1250cm−1、820cm−1)が検出された。これらの吸収バンドは硫酸エステル基による特徴的なバンドであると考えられる。このことから、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーが得られたことを確認した。
図11のXRDパターンにより天然セルロースのI型結晶構造が確認できた。図12のSEM写真が示すように、50000倍拡大することにより、直径5nm以下のナノファイバーが観察できた。硫黄含有率、結晶化度、粘度とチキソトロピー指数の評価結果を表2に示す。また、分散液の粘度は2030mPa.sであり、TI値は8.6であった。

0137

0138

[実施例10]
DMSOの添加量を15gに、無水酢酸の添加量5g(解繊溶液における濃度:24.8重量%)にそれぞれ変更した以外、実施例9と同様にして硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを調製した。
得られた硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの水分散液の外観を図9に、IRスペクトルを図10に、SEM写真を図13にそれぞれ示す。硫黄含有率、結晶化度、粘度とチキソトロピー指数の評価結果を表2に示す。実施例9と同様にIRスペクトルからアシル化修飾に関わるカルボニル基の吸収バンドが確認できなかった。一方、吸収バンド(1250cm−1および820cm−1)の強度は実施例9に比べて明らかに大きくなった。硫黄含有率の分析結果も硫酸エステル化修飾率が実施例9より大きくなることを示した。分散液の透明性、粘度とチキソトロピー指数のいずれも実施例9に比べ高かった。

0139

[実施例11]
DMSOの添加量を13gに、無水酢酸の添加量を7g(解繊溶液における濃度:34.5重量%)にそれぞれ変更した以外は、実施例9と同様にして硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを調製した。
得られた硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの水分散液の外観を図9に、IRスペクトルを図10にそれぞれ示す。また、硫黄含有率、結晶化度、粘度およびTI値の評価結果を表2に示す。IRスペクトルの吸収バンド(1250cm−1および820cm−1)の強度と硫黄分析結果のいずれも硫酸エステル化修飾率が実施例10より大きくなることを示した。

0140

[実施例12]
DMSOの添加量を10gに、無水酢酸の添加量を10g(解繊溶液における濃度:49.6重量%)にそれぞれ変更した以外、実施例9と同様にして硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを調製した。
得られた硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの水分散液の外観を図9に、IRスペクトルを図10に、SEM写真を図14にそれぞれ示す。また、硫黄含有率、結晶化度、粘度、および、TI値の評価結果を表2に示す。実施例11に比べ、分散液の透明性が低下した。しかし、IRスペクトルの吸収バンド吸収バンド1250cm−1および820cm−1の強度と硫黄分析結果のいずれも硫酸エステル化修飾率が実施例11とほぼ同等であることを示した。

0141

[実施例13]
反応(撹拌)時間を150分に変更した以外、実施例9と同様にして硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを調製した。
得られた硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの水分散液の外観を図15に、IRスペクトルを図16にそれぞれ示す。また、硫黄含有率、結晶化度、粘度とチキソトロピー指数の評価結果を表2に示す。分散液の透明性は実施例9に比べ高かった。硫酸エステル化修飾率も実施例9より大きくなった。

0142

[実施例14〜17]
表2に示すDMSO、無水酢酸と硫酸の量を秤量し、50mlのサンプル瓶に入れた後、実施例9と同様に硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを調製した。得られた硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの水分散液の外観を図17(実施例14および15)に、IRスペクトルを図16(実施例14および15)および図18(実施例16および17)に示す。また、硫黄含有率、結晶化度、粘度とチキソトロピー指数の評価結果を表2に示す。
なお、各実施例で用いた解繊溶液における無水酢酸および硫酸の濃度は以下の通りである。
実施例14の解繊溶液(無水酢酸の濃度:9.8重量%、硫酸の濃度:2.4重量%)
実施例15の解繊溶液(無水酢酸の濃度:19.5重量%、硫酸の濃度:2.4重量%)
実施例16の解繊溶液(無水酢酸の濃度:10重量%、硫酸の濃度:0.5重量%)
実施例17の解繊溶液(無水酢酸の濃度:9.9重量%、硫酸の濃度:1.3重量%)

0143

[実施例18]
表2に示す量のDMSO、無水酢酸、硫酸、および、セルロースパルプを秤量し、径5mmのジルコニアビーズ250gと一緒に140mlのマヨネーズ瓶に入れ、23℃の室温下でペイントシェーカーを用いて80分処理した。次いで、実施例9と同様に中和、洗浄し、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを調製した。得られた硫酸エステル化修飾セルロースのIRスペクトルを図18に示す。また、硫黄含有率、結晶化度、粘度とチキソトロピー指数の評価結果を表2に示す。

0144

[実施例19]
DMSO18gと無水酢酸2gに代えて、DMSO16gとプロピオン酸無水物4g(解繊溶液におけるプロピオン酸無水物濃度:19.7重量%)を用いた以外実施例17と同様に硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを調製した。得られた硫酸エステル化修飾セルロースのSEM写真を図19に、評価結果を表2にそれぞれ示す。

0145

[実施例20]
DMSOの添加量を7gに、無水酢酸の添加量を13g(解繊溶液における無水酢酸濃度:63重量%)にそれぞれ変更した以外、実施例9と同様にして硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを調製した。評価結果を表2に示す。

0146

[実施例21]
フラスコ攪拌法を用いた以外は実施例17と同様にして硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを調製した。すなわち、DMSO、無水酢酸と硫酸とパルプを順次200mlのフラスコに入れ、23℃の室温下、撹拌羽を供えた撹拌棒で2.5時間撹拌した以外は実施例2と同様にしてセルロースナノファイバーを得た。得られたセルロースナノファイバーを実施例17と同様に評価した。SEM観察の結果、得られたセルロースナノファイバーの繊維径は実施例17のセルロースナノファイバーとほぼ同様であり、繊維径が20nm以上のナノファイバーは実質的に含まれていなかった。

0147

[実施例22]
中和するためのアルカリ物質として、炭酸水素ナトリウム3gに代えてピリジン50gを用いた以外は実施例19と同様に硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーを得た。得られたセルロースナノファイバーは実施例21で得られたセルロースナノファイバーに比べ、エタノール等のアルコール類溶媒によく分散した。それ以外の評価結果は実施例19とほぼ同等であった。

0148

(比較例3)
無水酢酸を添加しない以外は実施例9と同様にしてセルロースの解繊を行った。得られた解繊物を光学顕微鏡で観察した。パルプは繊維状まで解されたが、ほとんどの繊維はミクロンオーダーとなった。わずかな繊維は繊維径が20nm以下であった。得られた繊維の水分散液は室温で1時間放置すると沈殿した。そのため、粘度の測定ができなかった。

0149

(比較例4)
硫酸を添加しない以外は実施例9と同様にしてセルロースの解繊を行った。得られた解繊物を分析した結果、比較例3で得られた解繊物とほぼ同等であった。

0150

[実施例23]セルロースナノファイバーを用いたフィルムの作製
実施例10で調製した硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの水分散液をポリプロピレンケースにキャスティングし、室温で放置し、水を蒸発した。得られたフィルムの外観と物性評価結果図20に示す。フィルムの可視光透過率は86%、引張弾性率は4950MPa、強度が106MPa、歪みは5.5%であった。

0151

[実施例24]セルロースナノファイバーを含む繊維の作製
実施例10で調製した硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの水分散液を50mlのシリンジで吸い込んだ後、1重量%の酢酸カルシウム水溶液に押し出した。約10分間放置することにより、透明ゲル状の糸が得られた。得られた糸を55℃の送風乾燥機で6時間乾燥することにより硫酸エステル修飾セルロースナノファイバーを含む繊維を得た。

0152

実施例9〜22の評価結果から、本発明の製造方法により得られたセルロースナノファイバーは繊維径が小さく、水分散液は透明性が高く、粘度とチキソトロピー性が高いものであった。また、実施例で得られた硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーから調製したフィルムは透明性と機械物性が優れたことを判明した。

0153

[実施例25]
ジメチルスルホキシド(DMSO)18g、無水酢酸2g(解繊溶液における濃度:9.9重量%)と硫酸0.15g(解繊溶液における濃度:0.74重量%)を50mlのサンプル瓶に入れ、23℃の室温下、磁性スターラーで約30秒間撹拌し、解繊溶液を得た。
次いで、解繊溶液にセルロースパルプ0.6gを加え、23℃の室温で80分撹拌した。次いで、圧搾法を用いて蒸留水で3回繰り返し洗浄した後、炭酸カリウム0.5gおよび蒸留水400mlから調製した水溶液の中にセルロースを含む解繊溶液を加え、室温で10分間混合した。その後、同様に圧搾法を用いて蒸留水で3回繰り返し洗浄して中性のセルロースナノファイバーを得た。
得られたセルロースナノファイバーを蒸留水に再分散して0.3重量%の水分散液を調製し、ミキサーを用いて3分間撹拌することによりセルロースナノファイバーの水分散液を得た。
得られた水分散液の外観とSEM写真を図21に示す。セルロースナノファイバーの水分散液は半透明なゲルであり、得られた繊維の平均繊維径は10nm以下であった。IRスペクトルを図22に、XRDパターンを図23にそれぞれ示す。図22のIRスペクトルからわかるように、アセチル化修飾に関わるカルボニル基の吸収バンド(1730cm−1)が検出されず、代わりに−O−SO3−1の吸収バンド(1250cm−1)が検出された。1250cm−1吸収バンドは硫酸エステル官能基由来と考える。図23のXRDパターンから、天然セルロースのI型結晶構造を確認できた。硫酸エステル基の平均置換度と結晶化度の評価結果を表3に示す。なお、得られたセルロースナノファイバーの硫黄含有率は2.1重量%(硫酸エステル基の置換度は0.12)であった。
なお、実施例25から実施例30はアセチル化修飾セルロースナノファイバーの製造方法に関する実施例であり、アセチル化修飾率として平均置換度を用いたことに伴い、硫酸エステル化修飾率も平均置換度として評価した。

0154

得られたセルロースナノファイバーと水の混合物(スラリー状、固形分0.5g)およびアセトン100mlを200mlの遠沈管に入れ、均一になるよう混合した後、遠心分離機で遠心分離(1200rpm、20分)して上澄みを除いた。沈殿物にアセトン150mlを加えて撹拌し、再び遠心分離した。同様の遠心分離操作でさらに2回洗浄した後、遠沈管の底に残ったスラリー状セルロースナノファイバー(固形分0.5g、アセトンとセルロースナノファイバーの総合重量は約15g)、ピリジン20g、無水酢酸1.8gを200mlの三口丸底フラスコに加えた。フラスコをシリコン浴につけ、オイルバス温度60℃で120分間、加熱撹拌した。フラスコをシリコン浴からはずして、メタノール60mlを加えて均一撹拌した後、遠沈管に移し、遠心分離により上澄みを除いた。同じ操作をさらに2回繰り返すことによりアセチル化修飾セルロースナノファイバーを洗浄した。
次いで、メタノールと水の混合液に、得られたアセチル化修飾セルロースナノファイバーを分散させ、溶液のpHが8.5になるまで炭酸カリウムの水溶液を加えた。次に上記と同じ条件で、遠心分離を3回繰り返し、洗浄した。得られたアセチル化修飾セルロースナノファイバーのIRスペクトルを図24に、平均置換度とXRDを測定した結果を表4に示す。図24のIRスペクトルにはアセチル化修飾に関わるカルボニル基の吸収バンド(1730cm−1)が、明確に現れていた。本実施例においては、表面水酸基の一部は硫酸エステル化、残る水酸基のほとんどがエステル化修飾(アセチル化修飾)されていると考えられた。

0155

0156

0157

[実施例26]
反応(解繊)時間を60分に変更した以外、実施例25の解繊工程と同様にしてセルロースナノファイバーを調製した。得られたセルロースナノファイバーの水分散液の外観およびSEM写真を図25に、IRスペクトルを図26に、XRDパターンを図27にそれぞれ示す。硫酸エステル基の平均置換度と結晶化度の評価結果を表3に示す。なお、この実施例で得られた硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの硫黄含有率は0.01重量%未満であった。

0158

得られたセルロースナノファイバーを用いて、実施例25と同様にしてセルロースナノファイバーのアセチル化修飾反応を行った。得られた修飾セルロースナノファイバーの平均置換度とXRDの評価結果を表4に示す。本実施例においては、表面水酸基のほとんどがエステル化修飾(アセチル化修飾)されていると考えられた。

0159

[実施例27]
無水酢酸の添加量を1g(解繊溶液における濃度:5.2重量%)に変更した以外、実施例25の解繊工程と同様にしてセルロースナノファイバーを調製した。得られたセルロースナノファイバーのSEM写真を図28に、IRスペクトルを図29にそれぞれ示す。硫酸エステル基の平均置換度と結晶化度の評価結果を表3に示す。なお、この実施例で得られた硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの硫黄含有率は0.01重量%未満であった。

0160

得られたセルロースナノファイバーを用いたこと、および、ピリジン10gとアセトン10gの混合液を反応溶媒として用いた以外は、実施例25と同様にしてセルロースナノファイバーの修飾反応を行った。得られた修飾セルロースナノファイバーの平均置換度とXRDの評価結果を表4に示す。本実施例においては、表面水酸基のほとんどがエステル化修飾(アセチル化修飾)されていると考えられる。

0161

[実施例28]
硫酸の添加量を0.1g(解繊溶液における濃度:0.5重量%)に変更したこと、反応時間を150分に変更したこと以外、実施例25と同様にしてセルロースナノファイバーを調製した。得られたセルロースナノファイバーのほとんどは繊維径が10nm以下のものであった。硫酸エステル基の平均置換度と結晶化度の評価結果を表3に示す。なお、得られた硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの硫黄含有率は2.0重量%であった。

0162

得られたセルロースナノファイバーを用いたこと、および、ピリジン10gとトルエン10gの混合液を反応溶媒として用いたこと以外は、実施例27と同様にしてセルロースナノファイバーのアセチル化修飾反応を行った。得られたアセチル化修飾セルロースナノファイバーの平均置換度とXRDの評価結果を表4に示す。本実施例においては、表面水酸基の一部は硫酸エステル化しており、残る水酸基のほとんどがエステル化修飾(アセチル化修飾)されていると考えられる。

0163

[実施例29]
硫酸の添加量を0.26g(解繊溶液における濃度:1.28重量%)に変更した以外、実施例26の解繊工程と同様にしてセルロースナノファイバーを調製した。得られたセルロースナノファイバーのほとんどは繊維径が20nm以下のものであった。硫酸エステル基の平均置換度と結晶化度の評価結果を表3に示す。

0164

得られたセルロースナノファイバーを用いたこと、反応溶媒をジメチルホルムアミド(DMF)20gにしたこと、アセチル化修飾化剤を酢酸ビニル3gに、触媒として炭酸カリウム0.6gをそれぞれ用いたこと以外は、実施例22と同様にしてセルロースナノファイバーのアセチル化修飾反応を行った。得られたアセチル化修飾セルロースナノファイバーの平均置換度とXRDの評価結果を表4に示した。本実施例においては、表面水酸基のほとんどがエステル化修飾(アセチル化修飾)されていると考えられる。

0165

[実施例30]
DMSO45g、無水酢酸2.5g(解繊溶液における濃度:5.2重量%)と硫酸0.5g(解繊溶液における濃度:1.04重量%)を250mlのアイボーイに加え、そこにφ5mmのジルコニアビーズ250gを入れてペイントシェーカー(RED DEVID)で23℃の室温下で120分シェーキィングしたこと以外は実施例25の解繊工程と同様にして、解繊、中和、洗浄をした。なお、中和用の炭酸カリウムの添加量は3gであった。得られたセルロースナノファイバーのSEM写真を図30に、IRスペクトルを図31にそれぞれ示す。硫酸エステル基の平均置換度と結晶化度の評価結果を表3に示す。

0166

得られたセルロースナノファイバーを用いたこと、および、ピリジン10gとジメチルアセトアミド10gの混合液を反応溶媒として用いた以外は、実施例24と同様にしてセルロースナノファイバーの修飾反応を行った。得られた修飾セルロースナノファイバーのIRスペクトルを図31、平均置換度とXRDの評価結果を表4に示した。本実施例においては、表面水酸基のほとんどがエステル化修飾されていると考えられる。

0167

(比較例5)
無水酢酸を添加しなかった以外、実施例25の解繊工程と同様にして解繊を行った。得られたセルロースの解繊物のSEM写真を図32、硫酸エステル基の平均置換度と結晶化度の評価結果を表3に示す。SEM写真からセルロース繊維がほとんど残ることが判明した。

実施例

0168

実施例25と同様にしてセルロース繊維を含む解繊物のエステル化(アセチル化)修飾反応を行った。得られたアセチル化修飾セルロースの平均置換度とXRDの評価結果を表4に示した。本比較例においては、表面水酸基の大部分はエステル化修飾されたが、得られたエステル化(アセチル化)修飾セルロースの繊維径はほとんど数μm〜数十μmであった。

0169

本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは、アスペクト比が高く、平均繊維径20nm以下であり、セルロースナノファイバーは、高粘度、高チキソトロピー性等の特性を持つ。そのため、本発明の硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーは、増粘剤、チキソトロピー性付与剤、界面活性剤、保湿剤・吸湿剤、製薬化剤として高く期待されている。さらに、フィルムまたはシート材補強材への応用も可能である。さらに、硫酸エステル化修飾セルロースナノファイバーの抗ウイルス性を生かして、医療材料としての用途も期待される。また、本発明の製造方法によれば、省エネルギーで、かつ、高い解繊速度でセルロースナノファイバーを製造することができる。さらに、本発明の製造方法によれば、セルロースナノファイバーの繊維径を容易に制御でき、繊維径が数ナノメートル〜数百ナノメートルまでのセルロースナノファイバーを簡単に調製することができる。

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