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技術 抗微生物壁紙

出願人 イビデン株式会社
発明者 堀野克年
出願日 2018年11月16日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2018-215698
公開日 2020年3月19日 (8ヶ月経過) 公開番号 2020-041247
状態 未登録
技術分野 積層体(2) 合成皮革、内装材、柔軟なシート材料
主要キーワード チタン含有組成物 塗布距離 表層樹脂層 無加工試験片 固着形成 ノロウィルス 防カビ成分 エアロゾル法
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月19日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

抗微生物活性が高く、繊維質以外の壁紙にも適用することができ、折り曲げたり、搬送のためにロール状に巻き取ってもクラック等が発生するおそれのない抗微生物壁紙を提供する。

解決手段

可撓性シートの一方の面に、意匠が施された意匠表示面を有する壁紙であって、前記意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているか、もしくは基材表面に前記バインダ硬化物が形成された領域と前記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなることを特徴とする抗微生物壁紙。

概要

背景

従来、壁紙の構造は、少なくとも基材樹脂層柄印刷層をこの順に有するものが主流であった。近年、この壁紙に様々な付加価値を付与することが要求されており、例えば、樹脂層と柄印刷層との間に、所望の付加機能を有する層を設けた壁紙が知られている。

また、近年、病原体である種々の微生物を媒介とした感染症が短時間で急激に広がる、いわゆる「パンデミック」が問題になっており、SARS(重症急性呼吸器症候群)や、ノロウィルス鳥インフルエンザ等のウィルス感染による死者報告されている。

そこで、各種のウィルス不活性化する機能が壁紙にも求められている。
特許文献1には、スチレン類またはα−オレフィンと、(メタアクリル酸との共重合体成分とを含む高分子であり、前記高分子に銅、銀、亜鉛ニッケルから選ばれる金属のイオン担持された繊維を紡糸することにより構成された抗ウィルス性の壁紙が開示されている。

また、特許文献2には、プラスチック基材と、前記プラスチック基材の少なくとも一つの面上に積層された硬化型樹脂層とを含む抗菌性透明フィルムであって、前記硬化型樹脂層が0.5〜100nmの平均粒子径を有する抗菌剤を含む抗菌フィルムが開示されている。

概要

抗微生物活性が高く、繊維質以外の壁紙にも適用することができ、折り曲げたり、搬送のためにロール状に巻き取ってもクラック等が発生するおそれのない抗微生物壁紙を提供する。可撓性シートの一方の面に、意匠が施された意匠表示面を有する壁紙であって、前記意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているか、もしくは基材表面に前記バインダ硬化物が形成された領域と前記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなることを特徴とする抗微生物壁紙。

目的

本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、抗微生物活性が高く、繊維質以外の壁紙にも適用することができ、折り曲げたり、搬送のためにロール状に巻き取ってもクラック等が発生するおそれのない抗微生物壁紙を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

可撓性シートの一方の面に、意匠が施された意匠表示面を有する壁紙であって、前記意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているか、もしくは基材表面に前記バインダ硬化物が形成された領域と前記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなることを特徴とする抗微生物壁紙。

請求項2

前記バインダ硬化物は、前記意匠表示面の10〜95%を被覆している請求項1に記載の抗微生物壁紙。

請求項3

前記バインダ硬化物は、前記抗微生物成分として、無機抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の抗微生物壁紙。

請求項4

前記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛白金亜鉛化合物銀化合物銅化合物、金属もしくは金属酸化物担持された金属酸化物触媒金属イオンイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の抗微生物壁紙。

請求項5

前記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂スルホン酸系界面活性剤、銅の錯体、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の抗微生物壁紙。

請求項6

前記バインダ硬化物は、有機バインダ無機バインダおよび有機・無機ハイブリッドバインダから選ばれる少なくとも1種以上の硬化物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗微生物壁紙。

請求項7

前記有機バインダは、熱硬化性樹脂電磁硬化型樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載の抗微生物壁紙。

請求項8

前記無機バインダは、シリカゾルアルミナゾルチタニアゾルジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載の抗微生物壁紙。

請求項9

前記抗微生物壁紙は、抗ウィルス性壁紙である請求項1〜8のいずれか1項に記載の抗微生物壁紙。

技術分野

0001

本発明は、抗微生物壁紙に関する。

背景技術

0002

従来、壁紙の構造は、少なくとも基材樹脂層柄印刷層をこの順に有するものが主流であった。近年、この壁紙に様々な付加価値を付与することが要求されており、例えば、樹脂層と柄印刷層との間に、所望の付加機能を有する層を設けた壁紙が知られている。

0003

また、近年、病原体である種々の微生物を媒介とした感染症が短時間で急激に広がる、いわゆる「パンデミック」が問題になっており、SARS(重症急性呼吸器症候群)や、ノロウィルス鳥インフルエンザ等のウィルス感染による死者報告されている。

0004

そこで、各種のウィルス不活性化する機能が壁紙にも求められている。
特許文献1には、スチレン類またはα−オレフィンと、(メタアクリル酸との共重合体成分とを含む高分子であり、前記高分子に銅、銀、亜鉛ニッケルから選ばれる金属のイオン担持された繊維を紡糸することにより構成された抗ウィルス性の壁紙が開示されている。

0005

また、特許文献2には、プラスチック基材と、前記プラスチック基材の少なくとも一つの面上に積層された硬化型樹脂層とを含む抗菌性透明フィルムであって、前記硬化型樹脂層が0.5〜100nmの平均粒子径を有する抗菌剤を含む抗菌フィルムが開示されている。

先行技術

0006

特開2011−42615号公報
特許第5804206号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、特許文献1に記載されたような壁紙では、上記繊維に抗微生物機能を持たせているので、壁紙の種類が繊維により織られた布状の壁紙に限定されてしまうという問題があった。

0008

また、特許文献2に記載されたような抗菌性の硬化性樹脂塩化ビニル製の壁紙にコートした場合は、壁紙が剛直化してしまい、壁紙を折り曲げたり、搬送のために壁紙をロール状に巻き取ると、塗布した硬化性樹脂層クラックが発生して割れてしまうという問題が見られた。

0009

本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、抗微生物活性が高く、繊維質以外の壁紙にも適用することができ、折り曲げたり、搬送のためにロール状に巻き取ってもクラック等が発生するおそれのない抗微生物壁紙を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明の抗微生物壁紙は、可撓性シートの一方の面に、意匠が施された意匠表示面を有する壁紙であって、上記意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているか、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなることを特徴とする。

0011

本発明の抗微生物壁紙における、抗微生物とは、抗ウィルス、抗菌、抗カビ防カビを含む概念である。従って、抗微生物成分とは、抗ウィルス成分抗菌成分抗カビ成分防カビ成分を含む概念であり、抗微生物剤とは、抗ウィルス剤、抗菌剤、抗カビ剤防カビ剤を含む概念であり、抗微生物組成物とは、抗ウィルス組成物抗菌組成物抗カビ組成物防カビ組成物を含む概念である。

0012

本明細書において、上記抗微生物壁紙は、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビのうちいずれか1種の活性を示す壁紙であってもよく、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビのうち、いずれか2種類の活性を示す壁紙であってもよく、いずれか3種類の活性を示す壁紙であってもよく、4種類全ての活性を示す壁紙であってもよい。
本発明の抗微生物壁紙における抗微生物特性の中で、特に抗ウィルス、抗カビに有効であり、抗ウィルスが最も高い活性を持つ。

0013

本明細書において、島状とは、意匠表示面のバインダ硬化物が他のバインダ硬化物と接触しない孤立した状態で存在していることをいう。島状に散在しているバインダ硬化物の形状は特に限定されず、その輪郭を平面視した際、円形楕円形等の曲線から構成される形状であってもよく、多角形等の形状であってもよく、円形、楕円形等が細い部分を介して繋がり合ったような形状であってもよい。

0014

本発明の抗微生物壁紙では、可撓性シートの一方の面に、意匠が施された意匠表示面を有する壁紙であって、上記意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているので、バインダ硬化物により被覆されていない部分の面積が相当量存在し、意匠表示面に所定パターンの意匠等が形成されている場合であっても、意匠等の外観美観を損ねることがない。

0015

また、上記抗微生物壁紙では、意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しており、バインダ硬化物は層状の連続した層ではないため、上記抗微生物壁紙を折り曲げたり、搬送のためにロール状に巻き取ってもクラック等が発生するおそれがない。

0016

また、可撓性シートを用いているので、繊維質以外の壁紙であっても抗微生物壁紙とすることができる。また、繊維により織られた紙であっても、可撓性シートであれば、本発明の壁紙として使用することができる。

0017

また、上記意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているか、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられているので、バインダ硬化物が厚くなることがなく、広い表面積を確保することができ、単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物壁紙を提供することができる。

0018

さらに、本発明の抗微生物壁紙では、抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているか、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられているので、上記バインダ硬化物の意匠表示面との接触面積を小さくすることができ、バインダ硬化物の残留応力冷熱サイクル時に発生する応力を抑制することが可能となり、意匠表示面と高い密着性を有し、意匠表示面から剥がれにくいバインダ硬化物となる。

0019

本発明の抗微生物壁紙では、上記バインダ硬化物は、上記意匠表示面の10〜95%を被覆していることが望ましい。

0020

本発明の抗微生物壁紙において、上記バインダ硬化物が、上記意匠表示面の10〜95%を被覆していると、バインダ硬化物により被覆されていない部分の面積が適切な割合で存在するので、意匠表示面に所定パターンの意匠等が形成されている場合でも、意匠等の外観や美観を損ねることがない。

0021

本発明の抗微生物壁紙において、上記バインダ硬化物の意匠表示面に対する被覆率が10%未満であると、被覆率が低すぎるため、抗微生物活性が低下してしまう。一方、上記バインダ硬化物の意匠表示面に対する被覆率が95%を超えると、バインダ硬化物を島状に散在させることが難しくなり、また、バインダ硬化物の被覆率が高くなりすぎるので、意匠表示面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、意匠等の外観や美観を損ねてしまう。

0022

本発明の抗微生物壁紙では、上記バインダ硬化物は、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。

0023

本発明の抗微生物壁紙において、上記バインダ硬化物が、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいると、確実に抗微生物活性を有する抗微生物壁紙を実現することができる。

0024

本発明の抗微生物壁紙では、上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金亜鉛化合物銀化合物銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒金属イオンイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0025

本発明の抗微生物壁紙において、上記無機系抗微生物剤が、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であると、抗微生物剤を粒子状とすることができ、該無機系抗微生物剤がバインダ硬化物から露出し易く、より高い抗微生物活性を有する抗微生物壁紙となる。

0026

本発明の抗微生物壁紙では、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂スルホン酸系界面活性剤、銅の錯体、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0027

本発明の抗微生物壁紙において、上記有機系抗微生物剤が、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅の錯体、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であると、有機系抗微生物剤は島状のバインダ硬化物の全体に広がり易く、高い抗微生物活性を有する抗微生物壁紙となる。

0028

本発明の抗微生物壁紙では、上記バインダ硬化物は、有機バインダ無機バインダおよび有機・無機ハイブリッドバインダから選ばれる少なくとも1種以上の硬化物を含むことが望ましい。
上記有機バインダは、熱硬化性樹脂電磁硬化型樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0029

本発明の抗微生物壁紙では、上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂ポリイミド樹脂メラミン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが望ましい。上記電磁波硬化型樹脂は、アクリル樹脂ウレタンアクリレート樹脂ポリエーテル樹脂ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0030

本発明の抗微生物壁紙において、上記電磁波硬化型樹脂が、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であると、バインダ硬化物は、透明性を有するとともに、基材に対する密着性にも優れる。

0031

本発明の抗微生物壁紙では、上記無機バインダは、シリカゾルアルミナゾルチタニアゾルジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0032

本発明の抗微生物壁紙において、上記無機バインダが、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種であると、抗微生物成分の種類に応じて水を分散媒としたゾル等や有機溶媒を分散媒としたゾルを使い分けることができ、抗微生物成分が良好に分散したバインダ硬化物を形成することができる。

0033

本発明の抗微生物壁紙では、上記バインダ硬化物が島状に散在して固着形成されている場合は、バインダ硬化物の島の意匠表示面に平行な方向の最大幅は、0.1〜500μmであり、その厚さの平均値は、0.1〜20μmであることが望ましい。

0034

本発明の抗微生物壁紙において、上記バインダ硬化物の上記意匠表示面に平行な方向の最大幅を0.1〜500μmとすることにより、意匠表示面がバインダ硬化物により被覆されていない部分の割合を適切に保つことができ、意匠表示面に所定パターンの意匠等が形成されている場合でも、意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができる。

0035

本発明の抗微生物壁紙において、バインダ硬化物の厚さの平均値が0.1〜20μmであると、バインダ硬化物の厚さが薄いので、バインダ硬化物の連続層となりにくく、バインダ硬化物が島状に散在し易くなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができ、高い抗微生物活性を得ることができる。

0036

本発明の抗微生物壁紙において、その厚さの平均値が0.1μm未満のバインダ硬化物を形成するのは技術的に難しく、バインダ硬化物の意匠表示面の被覆率も低くなってしまい、抗微生物活性が低下してしまう。一方、バインダ硬化物の厚さの平均値が20μmを超えると、バインダ硬化物が厚すぎるので、意匠表示面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、バインダ硬化物が邪魔して意匠等が見にくくなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。

0037

本発明の抗微生物壁紙では、上記抗微生物壁紙は、抗ウィルス性壁紙であることが望ましい。
本発明の抗微生物壁紙は、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビの特性を有するが、特に抗ウィルスが最も高い活性を有するからである。

図面の簡単な説明

0038

図1(a)は、本発明の抗微生物壁紙の一実施形態を模式的に示す断面図であり、図1(b)は、図1(a)に示した抗微生物壁紙の平面図である。
図2は、本発明の抗微生物壁紙の他の一実施形態を示す光学顕微鏡写真である。
図3は、実施例1で得られた抗ウィルス性壁紙を示す光学顕微鏡写真である。

0039

(発明の詳細な説明)
以下、本発明の抗微生物壁紙について詳細に説明する。
本発明の抗微生物壁紙は、可撓性シートの一方の面に、意匠が施された意匠表示面を有する壁紙であって、上記意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているか、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなることを特徴とする。

0040

図1(a)は、本発明の抗微生物壁紙の一実施形態を模式的に示す断面図であり、図1(b)は、図1(a)に示した抗微生物壁紙の平面図である。

0041

図1に示すように、本発明の抗微生物壁紙10では、壁紙11の意匠表示面11aに、抗微生物成分を含むバインダ硬化物12が島状に散在している。

0042

図2は、本発明の抗微生物壁紙の他の一実施形態を示す光学顕微鏡写真である。
図2に示す抗微生物壁紙では、基材表面が、バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在した状態になるように被覆されている。
バインダ硬化物は基材表面の84%を被覆している。

0043

本発明の抗微生物壁紙では、可撓性シートの一方の面に、意匠が施された意匠表示面を有する壁紙であって、上記意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているか、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなるので、バインダ硬化物により被覆されていない部分が相当量存在し、意匠表示面に所定パターンの意匠等が形成されている場合であっても、意匠等の外観や美観を損ねることがない。

0044

また、抗微生物壁紙では、意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているか、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなり、バインダ硬化物は層状の連続した層ではないため、上記抗微生物壁紙を折り曲げたり、搬送のためにロール状に巻き取ってもクラック等が発生するおそれがない。

0045

また、可撓性シートを用いているので、繊維質以外の壁紙であっても抗微生物壁紙とすることができる。繊維により織られた紙であっても、可撓性シートであれば、本発明の壁紙として使用することができる。

0046

また、上記意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているか、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなるので、バインダ硬化物が厚くなることがなく、広い表面積を確保することができ、単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物壁紙を提供することができる。

0047

さらに、本発明の抗微生物壁紙では、抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているか、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなるので、上記バインダ硬化物の意匠表示面との接触面積を小さくすることができ、バインダ硬化物の残留応力や冷熱サイクル時に発生する応力を抑制することが可能となり、意匠表示面と高い密着性を有し、意匠表示面から剥がれにくいバインダ硬化物となる。

0048

本発明の抗微生物壁紙の種類は、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材壁材ドア等に用いられる壁紙あってもよく、事務機器家具等に用いられる壁紙であってもよく、その他の種々の用途に用いられる壁紙であってもよい。

0049

本発明の抗微生物壁紙において、バインダ硬化物を固定させるための壁紙は、可撓性シートの一方の面に、意匠が施された意匠表示面を有する。
上記壁紙を構成する基材としては、例えば、普通パルプ紙、難燃パルプ紙、炭酸カルシウム紙、水酸化アルミニウム紙フリース紙、不織布、織布、網布等が挙げられる。本発明の抗微生物壁紙では、上記した基材上に表面樹脂層が積層されていてもよい。

0050

上記壁紙を構成する表層樹脂層に用いることができる可撓性の樹脂としては、ウレタン樹脂塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、可撓性エポキシ樹脂、フェノール樹脂ポリアミド樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。

0051

上記表層樹脂層は、模様色彩やこれらの組み合わせからなる意匠が印刷された印刷紙に樹脂が含浸された化粧層であり、填料の量が15%以下で樹脂を含浸した場合には透光性となるオーバーレイ紙に樹脂が含浸されたオーバーレイ層でもよい。表層樹脂層がオーバーレイ層である場合には、化粧層はオーバーレイ層の下に設けられる。
なお、填料とは紙に添加して、白色度平滑度を調整するための無機粒子フィラー)であり、炭酸カルシウム、タルククレーおよびカオリンから選ばれる少なくとも1種以上が望ましい。填料は無機粒子であるため、填料の含有量は紙の重量と紙を強熱して残存する灰分の重量から計算することができる。

0052

このように、上記した基材とその上に設けられた意匠が印刷された表面樹脂層により、基本的に壁紙が構成されており、場合によっては表面樹脂層上にさらにその上にオーバーレイ層が設けられていてもよい。そして、この壁紙と、該壁紙の意匠表示面に設けられたバインダ硬化物とにより、本発明の抗微生物壁紙が構成されていることが望ましい。基材の一方の面に意匠が印刷されたものであってもよい。
上記した壁紙は、可撓性であり、折り曲げたり、搬送のためにロール状に巻き取ってもクラック等が発生するおそれがない。

0053

上記した構成からなる本発明の抗微生物壁紙は、上記した可撓性シートを用いており、可撓性を有し、上記壁紙の意匠表示面には、抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられており、バインダ硬化物は層状の連続した層ではないため、折り曲げたり、搬送のためにロール状に巻き取ってもクラック等が発生するおそれがない。

0054

また、上記意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなるので、バインダ硬化物が厚くなることがなく、広い表面積を確保することができ、単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物壁紙を提供することができる。

0055

本発明の抗微生物壁紙では、上記バインダ硬化物は、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいることが望ましい。
上記バインダ硬化物中には、上記した無機系抗微生物剤が1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上の無機系抗微生物剤が含まれていてもよく、上記した有機系抗微生物剤が1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上の有機系抗微生物剤が含まれていてもよい。さらに、上記バインダ硬化物中には、上記無機系抗微生物剤と上記無機系抗微生物剤とが2種類以上含まれていてもよい。

0056

また、本発明の抗微生物壁紙において、上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0057

上記バインダ硬化物中に含まれている無機系抗微生物剤として、例えば、銀、銅、亜鉛及び白金の少なくとも1種からなる金属が挙げられる。
バインダ硬化物中には、銀、銅、亜鉛及び白金の粒子が単独で含まれていてもよく、銀、銅、亜鉛及び白金のうち、2種類以上の金属粒子が含まれていてもよく、例えば、銀、銅、亜鉛及び白金のうち、少なくとも2種を含む合金の金属粒子が固定されていてもよい。

0058

上記バインダ硬化物中に含まれている無機系抗微生物剤として、例えば、銅のカルボン酸塩、銅の錯体、銅の水溶性無機塩等の銅化合物等が挙げられる。
上記銅のカルボン酸塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、酢酸銅安息香酸銅、フタル酸銅等が挙げられる。
上記銅の水溶性無機塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、例えば、硝酸銅硫酸銅等が挙げられる。
その他の銅化合物としては、例えば、銅(メトキシド)、銅エトキシド、銅プロポキシド、銅ブトキシドなどが挙げられ、銅の共有結合性化合物としては銅の酸化物、銅の水酸化物などが挙げられる。銅のカルボン酸塩、銅の水酸化物は、有機バインダ、無機バインダとの親和性が高く、水により溶出しないため、耐水性に優れる。
上記銅のカルボン酸塩としては、酢酸銅(II)、酢酸銅(I)、シュウ酸銅(I)、安息香酸銅(II)、フタル酸銅(II)等が挙げられる。
上記銅の錯体としては、例えば、アセチルアセトンと銅との錯体、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン等のβジケトンと銅との錯体、銅(I)(1−ブタンチオレート)、銅(I)(へキサフルオロペンタンジオネートシクロオクタジエン)等が挙げられる。
上記銅の水溶性無機塩としては、例えば、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)等が挙げられる。その他の銅化合物としては、例えば、銅(II)(メトキシド)、銅(II)エトキシド、銅(II)プロポキシド、銅(II)ブトキシド等が挙げられる。

0059

上記バインダ硬化物中に含まれている金属イオンが担持された金属酸化物として、例えば、酸化チタン等に白金、パラジウムロジウムルテニウムなどの白金族、鉄、銅などを担持させたものなどが挙げられる。金属イオンが担持された金属酸化物触媒として、具体的には、例えば、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、酸化タングステンランタノイド系ペロブスカイト複合酸化物等の可視光応答型光触媒が挙げられ、上記銅担持チタニア触媒としては、例えば、特開2006−232729号公報に記載されたCuO/TiO2(重量%比)=1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタン、特開2012−210557号公報に記載された亜酸化銅酸化銅(I):Cu2O)と酸化チタンとが複合化した光触媒組成物、特開2013−166705号公報に記載された一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した酸化チタン、並びに、国際公開第2013/094573号に記載された結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する銅及びチタン含有組成物などが挙げられる。

0060

さらに、金属イオンが担持された金属酸化物として、上記可視光応答型光触媒とアモルファス型過酸化チタンとの混合物が望ましく、光触媒が酸化チタンである場合、酸化チタンとアモルファス型過酸化チタンとの合計量に対して、酸化チタンが20〜80重量%含まれることが望ましい。

0061

また、無機系抗微生物剤としては、銀、銅、亜鉛、チタン等から選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属酸化物あるいは金属水和物の粒子を用いることもできる。無機系抗微生物剤の具体例としては、例えば、酸化銅(I)(亜酸化銅)、酸化銅(II)、炭酸銅(II)、水酸化銅(II)、塩化銅(II)、銀イオン及び銅イオンの少なくとも一方で交換されたゼオライト、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたアルミナ、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたシリカ、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持された酸化亜鉛、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持された酸化チタン、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたリン酸カルシウム等の無機粒子が挙げられる。銀イオン及び銅イオンの少なくとも一方で交換されたゼオライトは、さらに亜鉛イオン等の他の金属イオンで交換されていてもよい。

0062

本発明の抗微生物壁紙では、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅の錯体、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0064

本発明の抗微生物壁紙において、抗微生物樹脂は、酸性官能基樹脂基体とからなる。酸性官能基としては、例えば、スルホン酸基リン酸基カルボキシル基水酸基ニトロ基などが挙げられる。これらのなかでは、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基が好ましい。

0065

上記樹脂基体は、ビニル基を有するモノマー重合体であることが望ましい。
ビニル基を有するモノマーの重合体は、付加重合で合成されるので水などの副生成物がなく、透明度の高い抗微生物樹脂を得ることができる。このため、基材の意匠性に与える影響を小さくすることができる。

0066

上記ビニル基を有するモノマーは、スチレンメタクリル酸メタクリル酸エステルジビニルベンゼントリビニルベンゼンから選択される1種以上のモノマーであることが望ましい。
スチレン、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンは、特に透明度の高い抗微生物樹脂を得ることができる。また、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンは、モノマーに添加することによって架橋し、三次元網目構造を形成することができる。三次元網目構造を形成することによって、分解しにくくなり、耐久性を高くすることができる。

0067

本発明の抗微生物壁紙において、酸性官能基と樹脂基体とからなる抗微生物樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、陽イオン交換樹脂をそのままあるいは粉砕などして微細化して使用することができる。陽イオン交換樹脂は、同様に樹脂基体に酸性官能基を有する構成であり、本発明の抗微生物樹脂として利用することができる。

0068

上記ビス型第四級アンモニウム塩としては、例えば、下記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩、ビス型キノリニウム塩、ビス型チアゾリウム塩、下記一般式(2)で表される化合物等が望ましい。

0069

(上記一般式(1)中、R1及びR2は、同一または異なっていてもよいアルキル基、R3はエーテル結合を含んでもよい有機基であり、X−は、ハロゲン陰イオンを示す。)

0070

(上記一般式(2)中、R4は、官能基を有してもよいアルキル基を表し、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、アルキル基を表す。)

0071

まず、上記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩について説明する。
上記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩において、X−としては、例えば、Cl−、Br−、I−等が挙げられる。
R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、上記アルキル基は、側鎖を有していてもよい。
上記一般式(1)中、R3で表される有機基は、−CO−O−(CH2)6−O−CO−、−CONH−(CH2)6−CO−、−NH−CO−(CH2)4−CO−NH−、−S−Ph−S−、−CONH−Ph−NHCO−、—NHCO−Ph−CONH−、−O−(CH2)6−O−または−CH2−O−(CH2)4−O−CH2−(但し、Phは、フェニレン基を表す。)で表されるものであることが望ましい。

0072

具体的には、ビス型ピリジニウム塩として、下記の一般式(3)〜一般式(10)で示されるものが挙げられる。



上記一般式(3)中、R11は、CnH2n+1で表されるアルキル基であり、nは、8、10、12、14、16または18が望ましい。また、mは、3、4、6、8、10が望ましい。以下に示す化合物の置換基R11についても、同様である。

0073

0074

0075

0076

0077

0078

0079

また、上記ビス型ピリジニウム塩としては、下記の化学式(11)で表される1,1′−ジデシル−3,3′−[ブタン−1,4−ジイルビスオキシメチレン)]ジピリジニウムジブロミドが特に望ましい。

0080

次に、上記ビス型チアゾリウム塩について説明する。
また、上記ビス型チアゾリウム塩としては、下記の一般式(12)で示されるビス型チアゾリウム塩が挙げられる。

0081

次に、ビス型キノリニウム塩について説明する。
上記ビス型キノリニウム塩としては、一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩を構成する下記の化学式(13)に表されるピリジニウム基を、化学式(14)に示すキノリウム基に置換した化学構造を有するビス型キノリニウム塩が挙げられる。上記ビス型キノリニウム塩において、他の置換基等は、一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩と同様である。

0082

0083

0084

さらに、本発明で使用される一般式(2)で表される化合物について説明する。



上記一般式(2)中、R4は、官能基を有してもよいアルキル基を示す。アルキル基は、側鎖を有してもよく、その炭素数は、1〜20が望ましい。上記官能基としては、ヒドロキシル基アルデヒド基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、エーテル基等が挙げられる。また、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、アルキル基を表し、上記アルキル基は、側鎖を有してもよく、その炭素数は、1〜20が望ましい。

0085

上記一般式(2)で表される化合物としては、2,3−ビスヘキサデシルジメチルアンモニウムブロマイド)−1−プロパノール等が挙げられる。

0086

本発明の抗微生物壁紙では、上記バインダ硬化物は、有機バインダ、無機バインダ、有機・無機ハイブリッドのバインダ及び/又は電磁波硬化型樹脂の硬化物であることが望ましい。上記有機・無機ハイブリッドのバインダとしては有機金属化合物を使用することができる。
本発明の抗微生物壁紙では、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種と、バインダである有機バインダ、無機バインダ、有機・無機ハイブリッドのバインダ及び電磁波硬化型樹脂の少なくとも1種とを混合したものを硬化させることにより、バインダ硬化物を得ることができる。有機・無機ハイブリッドのバインダとしては、シロキサン結合を形成するアルコキシランを使用できる。

0087

次に、本発明の抗微生物壁紙においてバインダ硬化物を構成する電磁波硬化型樹脂の硬化物について説明する。
未硬化の電磁波硬化型樹脂であるモノマー又はオリゴマー光重合開始剤と各種添加剤と抗微生物成分とを含んだ抗微生物組成物を用いて意匠表示面に島状の液滴を形成した後、電磁波を照射することにより、光重合開始剤は、開裂反応水素引き抜き反応、電子移動等の反応を起こし、これにより生成した光ラジカル分子、光カチオン分子、光アニオン分子等が上記モノマーや上記オリゴマーを攻撃してモノマーやオリゴマーの重合反応架橋反応が進行し、抗微生物成分を含む島状のバインダ硬化物が形成される。このような反応により生成する本発明のバインダ硬化物を構成する樹脂を電磁波硬化型樹脂という。
本発明においては、重合開始剤は、銅に対する還元剤として使用することができる。重合開始剤により、銅(II)を銅(I)に還元することができる。銅(I)の方が銅(II)よりも抗微生物性能が高い。重合開始剤としては、光重合開始剤であることが望ましい。

0088

このような電磁波硬化型樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種が望ましい。

0089

上記アクリル樹脂としては、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂(ウレタン変性アクリレート樹脂)、シリコーン変性アクリレート樹脂等が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。

0090

上記エポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂やグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、グリシジルエーテル型のエポキシ樹脂とオキセタン樹脂を組み合わせたもの等が挙げられる。
アルキッド樹脂としては、ポリエステルアルキッド樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は、透明性を有するとともに、基材に対する密着性にも優れる。

0091

次に、本発明の抗微生物壁紙における無機バインダの硬化物について説明する。
無機バインダと抗微生物成分と必要により各種添加剤や分散媒とを混合して抗微生物組成物を用いて意匠表示面に島状の液滴を形成した後、乾燥させることにより、抗微生物成分を含む島状のバインダ硬化物(無機バインダの硬化物)が形成される。

0092

上記無機バインダとしては、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。上記無機バインダにおけるシリカ等の無機酸化物含有割合は、固形分換算で2〜80重量%が好ましい。

0093

上記無機バインダは、分散媒として、水を用いたものと有機溶媒を用いたものが存在するので、添加する抗微生物成分の種類を考慮して、無機バインダを選択することができ、抗微生物成分が均一に分散した上記抗微生物組成物を得ることができる。

0094

本発明の抗微生物壁紙では、上記バインダ硬化物が島状に散在して形成されている場合は、バインダ硬化物の島の上記意匠表示面に平行な方向の最大幅は、0.1〜500μmであり、その厚さの平均値は、0.1〜20μmであることが望ましい。

0095

本発明の抗微生物壁紙において、バインダ硬化物の厚さの平均値が0.1〜20μmであると、バインダ硬化物の厚さが薄いので、バインダ硬化物の連続層となりにくく、バインダ硬化物が島状に散在し易くなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができ、高い抗微生物活性を得ることができる。

0096

また、上記バインダ硬化物の意匠表示面に平行な方向の最大幅を0.1〜500μmとすることにより、意匠表示面がバインダ硬化物により被覆されていない部分の割合を適切に保つことができ、意匠表示面に所定パターンの意匠等が形成されている場合でも、意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができる。

0097

上記バインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅やその厚さの平均値は、走査型顕微鏡レーザー顕微鏡を用いることにより、測定することができる。
具体的には、画像解析画像計測ソフトウェアを備えた走査型顕微鏡やレーザー顕微鏡を用いることにより、又は、走査型顕微鏡、レーザー顕微鏡で得られた画像を画像解析・画像計測ソフトウェアを用いて画像解析等を行うことにより、上記したバインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅やその厚さの平均値を求めることができる。

0098

本発明の抗微生物壁紙において、その厚さの平均値が0.1μm未満のバインダ硬化物を形成するのは技術的に難しく、バインダ硬化物の意匠表示面の被覆率も低くなってしまい、単位担持量当たり抗微生物活性が低下してしまう。一方、バインダ硬化物の厚さの平均値が20μmを超えると、バインダ硬化物が厚すぎるので、意匠表示面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、バインダ硬化物が邪魔して意匠等が見にくくなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。

0099

本発明の抗微生物壁紙では、上記島状のバインダ硬化物は、意匠表示面の10〜95%を被覆していることが望ましい。

0100

本発明の抗微生物壁紙において、上記バインダ硬化物が、意匠表示面の10〜95%を被覆していると、バインダ硬化物が厚くなることがなく、広い表面積を確保することができ、単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物壁紙を提供することができる。

0101

また、本発明の抗微生物壁紙において、上記バインダ硬化物が、意匠表示面の10〜95%を被覆していると、バインダ硬化物により被覆されていない部分の面積が相当量存在するので、意匠表示面に所定パターンの意匠等が形成されている場合には、意匠等の外観や美観を損ねることがない。

0102

本発明の抗微生物壁紙によれば、例えば、建築物内部の内装材、壁材、ドア、台所用品等や、事務機器や家具等に用いられる壁紙や、種々の用途に用いられる壁紙に、表面に形成されたパターン、色彩、意匠、色調等を変えることなく、抗微生物活性を付与することができる。

0103

次に、上記した抗微生物壁紙の製造方法について説明する。
まず、バインダとして電磁波硬化型樹脂を用いた場合について説明する。
上記抗微生物壁紙を製造する際には、まず、壁紙の意匠表示面に、抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を散布する散布工程を行い、続いて上記散布工程により散布された上記抗微生物組成物を乾燥させて上記分散媒を除去する乾燥工程を行い、最後に上記乾燥工程で分散媒を除去した上記抗微生物組成物中の上記未硬化の電磁波硬化型樹脂に電磁波を照射して上記電磁波硬化型樹脂を硬化させる硬化工程を行い、意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が固着した抗微生物壁紙を得ることができる。

0104

(1)散布工程
本発明の抗微生物壁紙を製造する際には、まず、散布工程として、壁紙の意匠表示面に、抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を散布する。

0105

散布の対象となる基材の材料は、特に限定されるものでなく、例えば、金属、ガラス等のセラミック、樹脂、繊維織物、木材等が挙げられる。
また、基材となる部材も、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる化粧板等であってもよい。

0106

上記抗微生物成分としては、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましく、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0107

上記電磁波硬化型樹脂は、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0108

上記分散媒の種類は特に限定されるものではないが、安定性を考慮した場合にはアルコール類や水を使用する事が好ましい。アルコール類としては、粘性下げる事を考慮して、例えば、メチルアルコールエチルアルコールn−プロピルアルコールイソプロピルアルコールn−ブチルアルコールイソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール等のアルコール類が挙げられる。これらのアルコールのなかでは、粘度が高くなりにくいメチルアルコール、エチルアルコールが好ましく、アルコールと水との混合液が望ましい。

0109

上記重合開始剤は、アルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、分子内水素引き抜き型、 及び、オキシムエステル系からなる群から選択される少なくとも1種が望ましい。

0110

上記アルキルフェノン系の重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル-プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。

0111

アシルフォスフィンオキサイド系の重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。

0112

分子内水素引き抜き型の重合開始剤としては、例えば、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステルオキシフェニルサクサン、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシエチルエステルトオキシフェニル酢酸と2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルとの混合物等が挙げられる。

0113

オキシムエステル系の重合開始剤としては、例えば、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0-アセチルオキシム)等が挙げられる。

0114

上記抗微生物組成物中の抗微生物成分の含有割合は、2.0〜30.0重量%が望ましく、未硬化の電磁波硬化型樹脂(モノマー又はオリゴマー)の含有割合は、15〜40重量%が望ましく、分散媒の含有割合は、30〜80重量%が望ましい。

0115

上記抗微生物組成物中には、必要に応じて、紫外線吸収剤酸化防止剤光安定剤接着促進剤レオロジー調整剤レベリング剤消泡剤等が配合されていてもよい。

0116

上記抗微生物組成物を調製する際には、分散媒に抗微生物成分とモノマー若しくはオリゴマーと重合開始剤を添加した後、ミキサー等で充分に攪拌し、抗微生物成分、未硬化の電磁波硬化型樹脂等、重合開始剤が均一な濃度で分散する組成物とした後、散布することが望ましい。

0117

本明細書において、散布とは、上記抗微生物組成物を、分割された状態で意匠表示面に付着させることをいう。
上記散布方法としては、例えば、スプレー法二流体スプレー法、静電スプレー法エアロゾル法等が挙げられる。

0118

本発明において、スプレー法とは、高圧の空気などのガス機械的な運動(指やピエゾ素子など)用いて抗微生物組成物を霧の状態で噴霧し、意匠表示面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、二流体スプレー法とは、スプレー法の一種であり、高圧の空気などのガスと抗微生物組成物とを混合した後、ノズルから霧の状態で噴霧し、意匠表示面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、静電スプレー法とは、帯電した抗微生物組成物を利用する散布方法であり、上記したスプレー法により抗微生物組成物を霧の状態で噴霧するが、上記抗微生物組成物を霧状にするための方式には、上記抗微生物組成物を噴霧器で噴霧するガン型と、帯電した抗微生物組成物の反発を利用した静電霧化方式があり、さらに、ガン型には帯電した抗微生物組成物を噴霧する方式と、噴霧した霧状の抗微生物組成物に外部電極からコロナ放電電荷を付与する方式とがある。霧状の液滴は、帯電しているため、意匠表示面に付着し易く、良好に上記抗微生物組成物を、細かく分割された状態で意匠表示面に付着させることができる。
本発明において、エアロゾル法とは、金属の化合物を含む抗微生物組成物を物理的及び化学的に生成した霧状のものを対象物に吹き付ける手法である。

0119

上記散布工程により、抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物が意匠表示面に固着した状態となる。

0120

(2)乾燥工程
上記散布工程により意匠表示面に散布された抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を乾燥させ、分散媒を蒸発、除去し、抗微生物成分を含むバインダ硬化物を意匠表示面に仮固定させるとともに、バインダ硬化物の収縮により、抗微生物成分をバインダ硬化物の表面から露出させることができる。乾燥条件としては、60〜100℃、0.5〜5.0分が望ましい。

0121

(3)硬化工程
上記抗微生物壁紙を製造する際には、硬化工程として、上記乾燥工程で分散媒を除去した抗微生物組成物中の上記未硬化の電磁波硬化型樹脂であるモノマーやオリゴマーに電磁波を照射して上記電磁波硬化型樹脂を硬化させ、バインダ硬化物とする。
本発明の抗微生物壁紙の製造方法において、未硬化の電磁波硬化型樹脂に照射する電磁波としては、特に限定されず、例えば、紫外線(UV)、赤外線可視光線マイクロ波電子線(Electron Beam:EB)等が挙げられるが、これらのなかでは、紫外線(UV)が望ましい。
また、上記電磁波は、光重合開始剤を励起して、銅化合物を還元する働きをもつ。このため、銅(II)を還元して銅(I)の量を増やして抗微生物活性を高くすることができる。
本発明の抗微生物壁紙では、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数比率(Cu(I)/Cu(II))は、0.5〜50であることが望ましい。
また、Cu(I)の銅は、Cu(II)の銅と比較して抗微生物性により優れているため、第1の本発明の抗微生物壁紙において、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))が1.0〜4.0であると、より抗微生物性に優れた抗微生物壁紙となる。

0122

これらの工程により、意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなる本発明の抗微生物壁紙を製造することができる。

0123

上記抗微生物組成物中には、上記した重合開始剤が添加されているので、電磁波を照射することにより未硬化の電磁波硬化型樹脂であるモノマーやオリゴマーの重合反応や架橋反応等が進行し、銅化合物を含むバインダ硬化物が形成される。

0124

上記バインダ硬化物の意匠表示面への被覆率は、抗微生物組成物中の分散媒の濃度、重合開始剤の濃度、抗微生物成分の濃度等や散布の圧力、散布時間等を操作することにより、調整することができる。バインダ硬化物が意匠表示面の10〜95%を被覆するように、抗微生物壁紙を製造することにより、バインダ硬化物が厚くなることがなく、広い表面積を確保することができ、単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物壁紙を提供することができる。

0125

次に、バインダとして、無機バインダを用いた場合の抗微生物壁紙の製造方法について説明する。
上記抗微生物壁紙を製造する際には、まず、壁紙の意匠表示面に、抗微生物成分、無機バインダおよび分散媒と、必要に応じて重合開始剤を含む抗微生物組成物を散布する散布工程を行い、続いて上記散布工程により散布された上記抗微生物組成物を乾燥させて上記分散媒を除去するとともに、抗微生物組成物を硬化させる乾燥・硬化工程を行い、意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物がその表面に固着した抗微生物壁紙を得ることができる。
本発明においては、重合開始剤は、銅に対する還元剤として使用することができる。このため、無機バインダ、銅化合物および分散媒からなる抗微生物組成物に重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、光重合開始剤であることが望ましい。重合開始剤により、銅(II)を銅(I)に還元することができる。銅(I)の方が銅(II)よりも抗微生物性能が高い。

0126

(1)散布工程
本発明の抗微生物壁紙を製造する際には、まず、散布工程として、壁紙の意匠表示面に、抗微生物成分と無機バインダと分散媒と、必要に応じて重合開始剤を含む抗微生物組成物を散布する。

0127

散布の対象となる基材の材料は、特に限定されるものでなく、例えば、金属、ガラス等のセラミック、樹脂、繊維織物、木材等が挙げられる。
また、基材となる部材も、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる化粧板等であってもよい。

0128

上記抗微生物成分としては、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましく、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0129

上記無機バインダは、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0130

上記分散媒の種類は特に限定されるものではないが、アルコール類や水を使用する事が好ましい。アルコール類としては、粘性を下げる事を考慮して、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール等のアルコール類が挙げられる。

0131

散布方法としては、例えば、スプレー法、二流体スプレー法、静電スプレー法、エアロゾル法等が挙げられる。

0132

本発明において、スプレー法とは、高圧の空気などのガスや機械的な運動(指やピエゾ素子など)用いて抗微生物組成物を霧の状態で噴霧し、意匠表示面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、二流体スプレー法とは、スプレー法の一種であり、高圧の空気などのガスと抗微生物組成物とを混合した後、ノズルから霧の状態で噴霧し、意匠表示面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、静電スプレー法とは、帯電した抗微生物組成物を利用する散布方法であり、上記したスプレー法により抗微生物組成物を霧の状態で噴霧するが、上記抗微生物組成物を霧状にするための方式には、上記抗微生物組成物を噴霧器で噴霧するガン型と、帯電した抗微生物組成物の反発を利用した静電霧化方式があり、さらに、ガン型には帯電した抗微生物組成物を噴霧する方式と、噴霧した霧状の抗微生物組成物に外部電極からコロナ放電で電荷を付与する方式とがある。霧状の液滴は、帯電しているため、意匠表示面に付着し易く、良好に上記抗微生物組成物を、細かく分割された状態で意匠表示面に付着させることができる。
本発明において、エアロゾル法とは、金属の化合物を含む抗微生物組成物を物理的及び化学的に生成した霧状のものを対象物に吹き付ける手法である。

0133

上記抗微生物組成物中の抗微生物成分の含有割合は、2〜30重量%が望ましく、無機バインダの含有割合は、15〜60重量%が望ましく、分散媒の含有割合は、30〜80重量%が望ましい。この場合、上記抗微生物組成物中のシリカ等の無機酸化物の含有割合は、5〜20重量%となる。

0134

上記抗微生物組成物中には、必要に応じて、pH調整剤、接着促進剤、レオロジー調整剤、レベリング剤、消泡剤等が配合されていてもよい。
上記抗微生物組成物を調製する際には、分散媒に抗微生物成分、無機バインダ等を添加した後、ミキサー等で充分に攪拌し、抗微生物成分、無機バインダ等が均一な濃度で分散する組成物とした後、直ちに散布することが望ましい。

0135

上記散布工程により、抗微生物成分と無機バインダと分散媒と必要に応じて重合開始剤を含む抗微生物組成物が意匠表示面に付着した状態となる。

0136

(2)乾燥・硬化工程
上記散布工程により散布された抗微生物成分と無機バインダと分散媒とを含む抗微生物組成物を乾燥させ、分散媒を蒸発、除去することにより硬化させ、抗微生物成分を含むバインダ硬化物を意匠表示面に固定させる。乾燥条件としては、25〜100℃、0.1〜60分が望ましい。
なお、乾燥前後で、抗微生物性組成物もしくは硬化物に電磁波を照射して、光重合開始剤を励起してもよい。電磁波としては、特に限定されず、例えば、紫外線(UV)、赤外線、可視光線、マイクロ波、電子線(Electron Beam:EB)等が挙げられるが、これらのなかでは、紫外線(UV)が望ましい。
上記電磁波は、光重合開始剤を励起して、銅化合物を還元する働きをもつ。このため、銅(II)を還元して銅(I)の量を増やして抗微生物活性を高くすることができる。

0137

本発明の抗微生物壁紙では、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))は、0.5〜50であることが望ましい。
また、Cu(I)の銅は、Cu(II)の銅と比較して抗微生物性により優れているため、第1の本発明の抗微生物壁紙において、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))が1.0〜4.0であると、より抗微生物性に優れた抗微生物壁紙となる。

0138

上記バインダ硬化物の基材表面への被覆率は、抗微生物組成物中の抗微生物成分の濃度、分散媒の濃度等や散布の圧力、塗液噴出速度、塗工時間等を操作することにより、調整することができる。
スプレーガンを用いて噴射する場合は、スプレーガンのエアー圧力スプレー塗布幅、スプレーガンの移動速度、塗液の噴出速度、塗布距離を変化させることにより、バインダ硬化物の被覆率を調整することができる。

0139

(実施例1)
(1)まず、80重量部のサスペンジョン塩化ビニル系樹脂、20重量部のペースト用塩化ビニル樹脂、65重量部の可塑剤、3重量部の安定剤、7重量部の発泡剤、及び、50重量部の充填剤からなる塩化ビニル組成配合物を用い、カレンダー成形法によりシート状物を作製する。
具体的には、上記得られた塩化ビニル組成配合物をヘンシェルミキサーで均一に混合し、バンバリーミキサー配合物の温度が130℃になるまで混練して、融体状のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を調製する。これを、160℃に調整された逆L型形の4本ロールのカレンダー成形機を用いて圧延し、圧延されたシート状の生地カレンダーロールから剥離した直後に、そのシート状物を基材層である普通パルプ紙に積層させてエンボス加工することで、ポリ塩化ビニル系樹脂層と普通パルプ紙を密着性よく積層させ、壁紙のベースを得る。その後、この壁紙のベースを210℃で発泡させつつメカニカルエンボス加工を施して壁紙とする。

0140

(2)酢酸銅の濃度が6wt%になるように、酢酸銅(II)・一水和物粉末(富士フイルム和光純薬社製)を純水に溶解させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して酢酸銅水溶液を調製する。紫外線硬化樹脂液は、光ラジカル重合アクリレート樹脂(ダイセルオルクス社製 UCECOAT7200)と光重合開始剤(IGM社製 Omnirad500)を重量比98:2で混合し、ホモジナイザーを用い、8000rpmで30分間撹拌して紫外線硬化樹脂液を調製する。上記酢酸銅水溶液と紫外線硬化樹脂液を重量比1.9:1.0で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス組成物を調製する。なお、IGM社製のOmnirad500は、BASF社のIRGACURE500と同じもので、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンとの混合物である。この光重合開始剤は、水に不溶であり、紫外線により還元力発現する。

0141

(3)ついで、(1)で説明した300mm×300mmの大きさの黒壁紙上に、分散媒を含んだ状態で23g/m2に相当する抗ウィルス組成物をスプレーガン(明治機械製作所製 FINERSPOT G12)を用いて霧状に散布し、抗ウィルス組成物の液滴をメラミン板表面に島状に散在させる。

0142

(4)この後、乾燥機(アズワンDOV−450)を用い、空気中、50℃で16時間乾燥させ、溶媒分等を揮発させることにより、一価銅粒子を含有する抗ウィルス性壁紙を得る。

0143

(比較例1)
(1)多官能(メタ)アクリルモノマーとして63.6重量部の6官能アクリレート商品DPHA、ダイセル・サイテック社製)、27重量部のジエチレングリコールジアクリレート(商品名SR230、サートマー社製)、5重量部の光重合開始剤(商品名IRGACURE184、BASF社製)、4重量部の光安定化剤(商品名TINUVIN152、BASF社製)重量部、及び、0.4重量部の市販の抗菌剤粒子(株式会社シナネンゼオミック製 商品名ゼオミック)を、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノンを1:1で混合した希釈溶剤固形分が40質量%となるように混合してハードコート層形成用組成物(A)を調製する。

0144

(2)壁紙を構成する基材として、実施例1で製造した壁紙を用い、上記壁紙上に(1)で得たハードコート層形成用組成物(A)をバー塗工した。その後、80℃で60秒間加熱乾燥し、高圧水銀ランプ紫外線照射機アイグラフィックス社製)を用いて、160W/cm、ランプ高さ13cm、ベルトスピード10m/分、2passの条件で窒素雰囲気下にて紫外線を照射し、硬化型樹脂層として厚み4μmのハードコート層が壁紙上に硬化形成された、抗菌性壁紙を得る。

0145

(抗ウィルス性壁紙の形状及びバインダ硬化物の分散状態の評価)
得られた抗ウィルス性壁紙について、光学顕微鏡キーエンス社製マイクロスコープ)で写真撮影する。図3は、実施例1で得られた抗ウィルス性壁紙を示す光学顕微鏡写真である。壁紙の表面にバインダ硬化物が島状に散在していることが分かる。

0146

バクテリオファージを用いた抗ウィルス性評価)
実施例1で得られた抗ウィルス性壁紙の抗ウィルス活性を評価するために、JIS R1756可視光応答光触媒材料の抗ウィルス性試験方法改変した手法でウィルス不活性度を測定した。すなわち、得られた抗ウィルス性壁紙を1辺50±2mm角カットし、バクテリオファージ液を試料滴下してフィルムで被覆し、4時間放置してウィルスを不活性化させた。その後、バクテリオファージを大腸菌に感染させ一晩放置することで、感染能力を保持しているウィルス数を測定した。
測定結果は、大腸菌に対して不活性化されたウィルス濃度を、ウィルス不活性度として表示する。ここで、ウィルス濃度の指標として、大腸菌に対して不活性化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用し、このウィルス不活度に基づいてウィルス不活性度を算出する。

0147

ウィルス不活度とは、バクテリオファージを用いた抗ウィルス性試験で、ファージウィルスQβ濃度:830万個/ミリリットルを用いて、大腸菌に感染することができるウィルスの濃度を測定することにより、大腸菌に対して不活性化されたウィルスの濃度を算出した結果である。すなわち、ウィルス不活度は、ファージウィルスQβ濃度に対して、大腸菌に感染することができない濃度の度合いであり、[(ファージウィルスQβ濃度−大腸菌に感染することができるウィルスの濃度)/(ファージウィルスQβ濃度)]×100で算出することができる。

0148

このウィルス不活度からウィルス不活性度を計算する。
ウィルス不活性度とは、元のウィルスの量を1とし、ウィルス失活処理後に失活したウィルスの相対量をXとした場合に、常用対数log(1−X)で示される数値(負の値で示される)であり、絶対値が大きい程ウィルスを不活性化する能力が高い。例えば、元のウィルスの99.9%が失活した場合、ウィルス不活性度は、log(1−0.999)=−3.00で表記される。なお、ウィルス失活処理前の全ウィルス量に対するウィルス失活処理後に失活したウィルス量の割合を%で表したもの(上記の場合、99.9%)をウィルス不活度という。上記のようにして、ウィルス不活度からウィルス不活性度を求めた。その結果、実施例1では、ウィルス不活性度は、−5であり、ウィルス活性が充分に高い。

0149

黄色ブドウ球菌を用いた抗菌性評価
黄色ブドウ球菌を用いた抗菌性評価を、以下のように実施した。
(1)実施例1で得られた抗ウィルス性壁紙を、50mm角の正方形切り出した試験試料滅菌プラスチックシャーレに置き、試験菌液菌数2.5×105〜10×105/mL)を0.4mL接種する。
試験菌液は、培養器中で温度35±1℃で16〜24時間前培養した培養菌を、さらに斜面培地移植して、培養器中で温度35±1℃で16〜20時間前培養したものを、1/500NB培地により適宜調整したものを使用する。
(2)対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様に試験菌液を接種する。
(3)接種した試験菌液の上から40mm角のポリエチレンフイルムを被せ、試験菌液を均等に接種させた後、温度35±1℃で8±1時間反応させる。
(4)接種直後または反応後、SCDLP培地10mLを加え、試験菌液を洗い出す。
(5)洗い出し液を適宜希釈し、標準寒天培地と混合して生菌数測定用シャーレを作成し、温度35±1℃で40〜48時間培養した後、集落数を測定する。
(6)生菌数の計算
以下の計算式を用いて生菌数を求める。
N=C×D×V
N:生菌数
C:集落数
D:希釈倍率
V:洗い出しに用いたSCDLP培地の液量(mL)
(7) 以下の計算式を用いて抗菌活性値を算出する。
R=(Ut−U0)−(At−U0)=Ut−At
R:抗菌活性値
U0:無加工試験片の接種直後の生菌数の対数値の平均値
Ut:無加工試験片の24 時間後の生菌数の対数値の平均値
At:抗菌加工試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値
参考規格JIS Z 2801
試験菌はStaphylococcus aureus NBRC12732を使用した。
実施例1の壁紙の抗菌性は、>3.7であり、抗菌性の壁紙として機能する。

0150

クロコウジカビを用いた抗カビ性評価)
クロコウジカビを用いた抗カビ性評価を、以下のように実施した。
(1)実施例1で得られた抗ウィルス性壁紙を、50mm角の正方形に切り出した試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、胞子懸濁液胞子濃度>2x105個/ml)を0.4mL接種する。
(2)対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様に胞子懸濁液を接種する。
(3)接種した胞子懸濁液の上から40mm角のポリエチレンフイルムを被せ、胞子懸濁液を均等に接種させた後、温度26℃で約900LUXの光を照射しながら42時間反応させる。
(4)接種直後または反応後、JIS L 1921 13発光量の測定に従い、ATP量を測定する。
(5)以下の計算式を用いて抗カビ活性値を算出する。
Aa=(LogCt−LogC0)−(LogTt−LogT0)
Aa:抗カビ活性値
LogC0:接種直後の対照試料3検体のATP量の算術平均常用対数値
LogCt:培養後の対照試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogT0:接種直後の試験試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogTt:培養後の試験試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
参考規格JIS Z 2801、JIS L 1921
試験カビはAspergillus niger NBRC105649を使用した。
実施例1の壁紙の抗カビ性は、3.1であり、抗カビ性の壁紙として機能する。

0151

(折り曲げ試験
実施例1と比較例1で製造した抗ウィルス性壁紙と抗菌性壁紙を90°に折り曲げたところ、比較例1の抗菌性壁紙では、折り曲げ部分のハードコート層にクラックが発生するが、実施例1の抗ウィルス性壁紙の折り曲げ部分にはクラックは発生しない。

0152

上記した実施例1及び比較例1によれば、実施例1で得た抗ウィルス性壁紙は、可撓性シートの一方の面に、意匠が施された意匠表示面を有する壁紙であって、上記意匠表示面に抗ウィルス成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しており、バインダ硬化物は層状の連続した層ではないため、高い抗ウィルス活性を示すとともに、上記抗ウィルス性壁紙を折り曲げたり、搬送のためにロール状に巻き取ってもクラック等が発生するおそれがないことが判明した。

0153

一方、比較例1に係る抗菌性壁紙は、抗菌剤を含むハードコート層が層状に形成されているため、折り曲げるとクラックが発生することがわかる。
また、実施例1の抗ウィルス性壁紙は、優れた抗菌性、抗カビ性を示し、本実施例の壁紙は、広く抗微生物壁紙として使用できることが立証された。

0154

10抗微生物壁紙
11 壁紙
11a意匠表示面
12バインダ硬化物

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