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技術 高強度鋼帯の製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 山下孝子川崎由康田路勇樹奥城賢士奥田金晴
出願日 2018年11月21日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2018-218597
公開日 2020年3月19日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-041212
状態 特許登録済
技術分野 薄鋼板の熱処理
主要キーワード 厚み領域 異相界面 バッチ式加熱炉 下地組 穴直径 合金化溶融亜鉛めっき鋼帯 オーステンパー処理 外巻き
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

コイル全長にわたって、TS≧980MPa、YR≧68%、TS×EL≧22000MPa・%の成形性に優れた高強度鋼帯を安定して製造することができる方法を提供する。

解決手段

高強度鋼帯の製造に際し、熱延板コイルの加熱を、バッチ式加熱炉を用いて、熱延板コイルの外巻部を(Ac1変態点+20℃)以上、(Ac1変態点+120℃)以下の所定温度で、21600s超129600s以下保持する条件で行う。これにより、コイル全長にわたって鋼組織均質化を図り、製造される高強度鋼帯の長手方向に関して、熱延焼鈍板コイル内巻部であった部位を第1部位、熱延焼鈍板コイルの外巻部であった部位を第2部位として、第1部位のポリゴナルフェライト面積率/第2部位のポリゴナルフェライトの面積率:1.00〜1.50、第1部位の残留オーステナイト体積率/第2部位の残留オーステナイトの体積率:0.75〜1.00、第1部位のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径/第2部位のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径:1.00〜1.50とする。

概要

背景

近年、地球環境保全見地から、自動車燃費向上が重要な課題となっている。このため、車体材料高強度化により薄肉化を図り、車体そのものを軽量化しようとする動き活発となってきている。

しかしながら、一般に、鋼板の高強度化は成形性の低下を招くことから、高強度化を図ると鋼板の成形性が低下して、成形時の割れなどの問題を生じる。そのため、単純には鋼板の薄肉化が図れない。

そこで、高強度と高成形性を併せ持つ材料の開発が望まれている。さらに、引張強度(TS)が980MPa以上の鋼板には、特に、この高成形性に加え、衝突吸収エネルギーが大きいという特性が求められている。衝突吸収エネルギーを向上させるためには、降伏比(YR)を高めることが有効である。降伏比が高いと、低い変形量で、鋼板に効率よく衝突エネルギーを吸収させることができるからである。

例えば、特許文献1には、引張強度が1000MPa以上で全伸び(EL)が30%以上の、残留オーステナイト加工誘起変態を利用した極めて高い延性を有する高強度鋼板が提案されている。

また、特許文献2には、高Mn鋼を用いて、フェライトオーステナイト2相域での熱処理を行うことにより、強度と延性のバランスに優れた高強度鋼板を製造することが提案されている。

概要

コイル全長にわたって、TS≧980MPa、YR≧68%、TS×EL≧22000MPa・%の成形性に優れた高強度鋼帯を安定して製造することができる方法を提供する。高強度鋼帯の製造に際し、熱延板コイルの加熱を、バッチ式加熱炉を用いて、熱延板コイルの外巻部を(Ac1変態点+20℃)以上、(Ac1変態点+120℃)以下の所定温度で、21600s超129600s以下保持する条件で行う。これにより、コイル全長にわたって鋼組織均質化をり、製造される高強度鋼帯の長手方向に関して、熱延焼鈍板コイル内巻部であった部位を第1部位、熱延焼鈍板コイルの外巻部であった部位を第2部位として、第1部位のポリゴナルフェライト面積率/第2部位のポリゴナルフェライトの面積率:1.00〜1.50、第1部位の残留オーステナイトの体積率/第2部位の残留オーステナイトの体積率:0.75〜1.00、第1部位のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径/第2部位のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径:1.00〜1.50とする。なし

目的

本発明は、上掲した特許文献2に記載の発明の改良に係るもので、熱延板コイルをバッチ式加熱炉を用いて加熱する場合であっても、コイル全長にわたって、TS≧980MPa、YR≧68%、TS×EL≧22000MPa・%の成形性に優れた高強度鋼帯を安定して製造することができる方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

質量%で、C:0.030%以上0.250%以下、Si:0.01%以上3.00%以下、Mn:4.20%超6.00%以下、P:0.001%以上0.100%以下、S:0.0001%以上0.0200%以下、N:0.0005%以上0.0100%以下、Al:0.010%以上2.000%以下およびTi:0.005%以上0.200%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを、1100℃以上1300℃以下に加熱する工程と、前記鋼スラブを、仕上げ圧延出側温度750℃以上1000℃以下で熱間圧延して熱延板を得る工程と、前記熱延板を、巻き取り温度300℃以上750℃以下で巻き取って熱延板コイルとする工程と、次いで、前記熱延板コイルの熱延板に酸洗を施してスケールを除去する工程と、前記熱延板コイルをバッチ式加熱炉加熱処理して、熱延焼鈍板コイルとする熱延板焼鈍工程と、その後、前記熱延焼鈍板コイルの熱延焼鈍板を圧下率50%以下で冷間圧延して冷延板を得る工程と、その後、前記冷延板を、Ac1変態点以上、(Ac1変態点+100℃)以下の所定温度で20s以上900s以下保持して、その後冷却する冷延板焼鈍を行って高強度鋼帯を得る工程と、を有する高強度鋼帯の製造方法において、前記熱延板焼鈍工程は、前記熱延板コイルの外巻部を(Ac1変態点+20℃)以上、(Ac1変態点+120℃)以下の所定温度で21600s超129600s以下保持する条件で行い、前記高強度鋼帯の長手方向に関して、前記熱延焼鈍板コイルの内巻部であった部位を第1部位、前記熱延焼鈍板コイルの外巻部であった部位を第2部位、前記熱延焼鈍板コイルの中央部であった部位を第3部位として、前記第3部位の鋼組織は、面積率で、ポリゴナルフェライト:15%以上55%以下、未再結晶フェライト:8%以上、マルテンサイト:15%以上30%以下、体積率で、残留オーステナイト:12%以上を含有し、かつ、前記第1部位のポリゴナルフェライトの面積率/前記第2部位のポリゴナルフェライトの面積率が1.00〜1.50、前記第1部位の残留オーステナイトの体積率/前記第2部位の残留オーステナイトの体積率が0.75〜1.00であり、また、前記第3部位は、ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径:4.0μm以下、マルテンサイトの平均結晶粒径:2.0μm以下、残留オーステナイトの平均結晶粒径:2.0μm以下であって、かつ、前記第1部位のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径/前記第2部位のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が1.00〜1.50であり、さらに、前記第3部位において、残留オーステナイト中のMn量(質量%)をポリゴナルフェライト中のMn量(質量%)で除した値が2.00以上であることを特徴とする、高強度鋼帯の製造方法。

請求項2

前記成分組成が、さらに、質量%で、Nb:0.005%以上0.200%以下、B:0.0003%以上0.0050%以下、Ni:0.005%以上1.000%以下、Cr:0.005%以上1.000%以下、V:0.005%以上0.500%以下、Mo:0.005%以上1.000%以下、Cu:0.005%以上1.000%以下、Sn:0.002%以上0.200%以下、Sb:0.002%以上0.200%以下、Ta:0.001%以上0.010%以下、Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下およびREM:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度鋼帯の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、高強度鋼帯の製造方法に関し、特に、自動車電気機器等の産業分野で使用される部材としての用途に供して好適な、成形性に優れ、かつ高い降伏比を有する鋼帯を安定して得ようとするものである。

背景技術

0002

近年、地球環境保全見地から、自動車の燃費向上が重要な課題となっている。このため、車体材料高強度化により薄肉化を図り、車体そのものを軽量化しようとする動き活発となってきている。

0003

しかしながら、一般に、鋼板の高強度化は成形性の低下を招くことから、高強度化を図ると鋼板の成形性が低下して、成形時の割れなどの問題を生じる。そのため、単純には鋼板の薄肉化が図れない。

0004

そこで、高強度と高成形性を併せ持つ材料の開発が望まれている。さらに、引張強度(TS)が980MPa以上の鋼板には、特に、この高成形性に加え、衝突吸収エネルギーが大きいという特性が求められている。衝突吸収エネルギーを向上させるためには、降伏比(YR)を高めることが有効である。降伏比が高いと、低い変形量で、鋼板に効率よく衝突エネルギーを吸収させることができるからである。

0005

例えば、特許文献1には、引張強度が1000MPa以上で全伸び(EL)が30%以上の、残留オーステナイト加工誘起変態を利用した極めて高い延性を有する高強度鋼板が提案されている。

0006

また、特許文献2には、高Mn鋼を用いて、フェライトオーステナイト2相域での熱処理を行うことにより、強度と延性のバランスに優れた高強度鋼板を製造することが提案されている。

先行技術

0007

特開昭61−157625号公報
WO2016/067626A1号公報

発明が解決しようとする課題

0008

特許文献1に記載された鋼板は、C、SiおよびMnを基本成分とする鋼板をオーステナイト化した後に、ベイナイト変態温度域焼入れ等温保持する、いわゆるオーステンパー処理を行うことにより製造される。そして、このオーステンパー処理を施す際に、オーステナイトへのCの濃化によって残留オーステナイトが生成される。しかしながら、多量の残留オーステナイトを得るためには、0.3%を超える多量のCが必要となるが、0.3%を超えるようなC濃度では、スポット溶接性の低下が顕著であり、自動車用鋼板としては実用化が困難である。

0009

また、特許文献2は、2相域焼鈍によりフェライトおよびオーステナイトの相分率粒径、さらにはオーステナイト相中のCおよびMn量コントロールすることによって歪誘起変態に効果的な残留オーステナイト相を形成することに成功した画期的な発明である。しかしながら、実際に製造現場で特許文献2の鋼板を製造しようとした場合、特にバッチ式加熱炉を用いて熱延板コイルを指定の温度に加熱する場合、コイル中心近傍の温度が上がりにくく指定の温度に達することができないため、バッチ式加熱後の熱延焼鈍板コイル内巻部で、目的の組織を得ることができず、コイルの長手方向に特性がばらついて歩留りが悪くなるという問題が生じていた。

0010

本発明は、上掲した特許文献2に記載の発明の改良に係るもので、熱延板コイルをバッチ式加熱炉を用いて加熱する場合であっても、コイル全長にわたって、TS≧980MPa、YR≧68%、TS×EL≧22000MPa・%の成形性に優れた高強度鋼帯を安定して製造することができる方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

さて、発明者らは、上記した課題を達成し、成形性に優れ、かつ高い降伏比と引張強度を有する高強度鋼帯をコイル全長にわたり安定して製造するために、鋼板の製造方法とくにバッチ式加熱炉における加熱条件について鋭意検討を重ねた。その結果、バッチ式加熱炉での熱延板焼鈍工程を、熱延コイルの外巻部を(Ac1変態点+20℃)以上、(Ac1変態点+120℃)以下の所定温度で21600s超129600s以下の時間保持する条件で行うことにより、所期した目的が有利に達成されることの知見を得た。本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。

0012

すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
[1]質量%で、C:0.030%以上0.250%以下、Si:0.01%以上3.00%以下、Mn:4.20%超6.00%以下、P:0.001%以上0.100%以下、S:0.0001%以上0.0200%以下、N:0.0005%以上0.0100%以下、Al:0.010%以上2.000%以下およびTi:0.005%以上0.200%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを、1100℃以上1300℃以下に加熱する工程と、
前記鋼スラブを、仕上げ圧延出側温度750℃以上1000℃以下で熱間圧延して熱延板を得る工程と、
前記熱延板を、巻き取り温度300℃以上750℃以下で巻き取って熱延板コイルとする工程と、
次いで、前記熱延板コイルの熱延板に酸洗を施してスケールを除去する工程と、
前記熱延板コイルを、バッチ式加熱炉で加熱処理して、熱延焼鈍板コイルとする熱延板焼鈍工程と、
その後、前記熱延焼鈍板コイルの熱延焼鈍板を圧下率50%以下で冷間圧延して冷延板を得る工程と、
その後、前記冷延板を、Ac1変態点以上、(Ac1変態点+100℃)以下の所定温度で20s以上900s以下保持して、その後冷却する冷延板焼鈍を行って高強度鋼帯を得る工程と、
を有する高強度鋼帯の製造方法において、
前記バッチ式加熱炉での熱延板焼鈍工程は、前記熱延板コイルの外巻部を(Ac1変態点+20℃)以上、(Ac1変態点+120℃)以下の所定温度で21600s超129600s以下保持する条件で行い、
前記高強度鋼帯の長手方向に関して、前記熱延焼鈍板コイルの内巻部であった部位を第1部位、前記熱延焼鈍板コイルの外巻部であった部位を第2部位、前記熱延焼鈍板コイルの中央部であった部位を第3部位として、
前記第3部位の鋼組織は、面積率で、ポリゴナルフェライト:15%以上55%以下、未再結晶フェライト:8%以上、マルテンサイト:15%以上30%以下、体積率で、残留オーステナイト:12%以上を含有し、
かつ、前記第1部位のポリゴナルフェライトの面積率/前記第2部位のポリゴナルフェライトの面積率が1.00〜1.50、前記第1部位の残留オーステナイトの体積率/前記第2部位の残留オーステナイトの体積率が0.75〜1.00であり、
また、前記第3部位は、ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径:4.0μm以下、マルテンサイトの平均結晶粒径:2.0μm以下、残留オーステナイトの平均結晶粒径:2.0μm以下であって、
かつ、前記第1部位のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径/前記第2部位のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径が1.00〜1.50であり、
さらに、前記第3部位において、残留オーステナイト中のMn量(質量%)をポリゴナルフェライト中のMn量(質量%)で除した値が2.00以上であることを特徴とする、高強度鋼帯の製造方法。

0013

[2]前記成分組成が、さらに、質量%で、Nb:0.005%以上0.200%以下、B:0.0003%以上0.0050%以下、Ni:0.005%以上1.000%以下、Cr:0.005%以上1.000%以下、V:0.005%以上0.500%以下、Mo:0.005%以上1.000%以下、Cu:0.005%以上1.000%以下、Sn:0.002%以上0.200%以下、Sb:0.002%以上0.200%以下、Ta:0.001%以上0.010%以下、Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下およびREM:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする、前記[1]に記載の高強度鋼帯の製造方法。

発明の効果

0014

本発明によれば、コイル全長にわたって、TS≧980MPa、YR≧68%、TS×EL≧22000MPa・%の成形性に優れた高強度鋼帯を安定して得ることができる。従って、本発明により製造される高強度鋼帯を、例えば、自動車構造部材に適用することによって車体の軽量化による燃費改善を図ることができ、産業上の利用価値は極めて大きい。

0015

(成分組成)
まず、本発明において、鋼帯の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、鋼やスラブの成分組成にかかる%表示は質量%を意味する。また、鋼帯の成分組成の残部は、Feおよび不可避的不純物である。

0016

C:0.030%以上0.250%以下
Cは、マルテンサイトなどの低温変態相を生成させて、強度を上昇させるために必要な元素である。また、残留オーステナイトの安定性を向上させ、鋼の延性を向上させるのに有効な元素でもある。ここに、C量が0.030%未満では所望のマルテンサイト量を確保することが難しく、所望の強度が得られない。また、十分な残留オーステナイト量を確保することが難しく、良好な延性が得られない。一方、Cを、0.250%を超えて過剰に添加すると、硬質なマルテンサイト量が過大となって、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加し、曲げ試験および穴広げ試験時に亀裂の伝播が進行しやすくなって、曲げ性伸びフランジ性が低下する。また、Cの過剰な添加は、溶接部および熱影響部硬化を著しくし、溶接部の機械的特性を低下させるため、スポット溶接性、アーク溶接性などが劣化する。これらの観点からC量は0.030%以上0.250%以下の範囲とする。好ましくは、0.080%以上0.200%以下の範囲である。

0017

Si:0.01%以上3.00%以下
Siは、フェライトの加工硬化能を向上させるので、良好な延性を確保するのに有効な元素である。Si量が0.01%に満たないとその添加効果が乏しくなるため、下限を0.01%とする。一方、3.00%を超えるSiの過剰な添加は、鋼の脆化を引き起こすばかりか、赤スケールなどの発生による表面性状の劣化を引き起こす。このため、Si量は0.01%以上3.00%以下の範囲とする。好ましくは、0.20%以上2.00%以下の範囲である。

0018

Mn:4.20%超6.00%以下
Mnは、本発明において極めて重要な元素である。Mnは、残留オーステナイトを安定化させる元素であって、良好な延性の確保に有効である。さらに、Mnは、固溶強化によって鋼の強度を上昇させることができる元素でもある。また、残留オーステナイト中のMn濃化により、hcp構造を有するε相を2%以上確保することができ、さらには、残留オーステナイトを体積率で12%以上と、多量に確保することが可能となる。このような効果は、鋼中のMn量が4.20%超となって初めて認められる。一方、Mn量が6.00%を超える過剰な添加は、コストアップ要因になる。こうした観点から、Mn量は4.20%超6.00%以下の範囲とする。好ましくは、4.80%以上6.00%以下の範囲である。

0019

P:0.001%以上0.100%以下
Pは、固溶強化に有効であり、所望の強度に応じて添加できる元素である。また、フェライト変態を促進し、鋼板の複合組織化にも有効な元素でもある。こうした効果を得るためには、鋼板中のP量を0.001%以上にする必要がある。一方、P量が0.100%を超えると、溶接性の劣化を招くとともに、亜鉛めっきを合金化処理する場合には合金化速度を低下させ、亜鉛めっきの品質を損なう。したがって、P量は0.001%以上0.100%以下、好ましくは0.005%以上0.050%以下の範囲とする。

0020

S:0.0001%以上0.0200%以下
Sは、粒界偏析して熱間加工時に鋼を脆化させるとともに、硫化物として存在して、鋼板の局部変形能を低下させる。そのため、S量は0.0200%以下、好ましくは0.0100%以下、より好ましくは0.0050%以下とする。しかし、生産技術上の制約から、S量は0.0001%以上にする。したがって、S量は、0.0001%以上0.0200%以下の範囲とする。好ましくは0.0001%以上0.0100%以下、より好ましくは0.0001%以上0.0050%以下の範囲である。

0021

N:0.0005%以上0.0100%以下
Nは、鋼の耐時効性を劣化させる元素である。特に、N量が0.0100%を超えると、耐時効性の劣化が顕著となる。従って、N量は少ないほど好ましいが、生産技術上の制約から、N量は0.0005%以上にする。このため、N量は0.0005%以上0.0100%以下、好ましくは0.0010%以上0.0070%以下の範囲とする。

0022

Al:0.010%以上2.000%以下
Alは、フェライトとオーステナイトの二相域を拡大させ、焼鈍温度依存性の低減、すなわち、材質安定性の向上に有効な元素である。また、Alは、脱酸剤として作用し、鋼の清浄度維持に有効な元素でもある。しかしながら、Al量が0.010%に満たないとその添加効果に乏しいので、下限を0.010%とする。一方、2.000%を超える多量の添加は、連続鋳造時鋼片割れ発生の危険性が高まり、製造性を低下させる。こうした観点から、添加する場合のAl量は、0.010%以上2.000%以下の範囲とする。好ましくは、0.200%以上1.200%以下の範囲である。

0023

Ti:0.005%以上0.200%以下
Tiは、本発明において重要な添加元素である。Tiは、鋼の析出強化に有効なだけでなく、所望の未再結晶フェライト量を確保して、鋼板の高降伏比化に有効に寄与する。加えて、比較的硬質な未再結晶フェライトを活用することにより、硬質第2相(マルテンサイトもしくは残留オーステナイト)との硬度差を低減することができ、伸びフランジ性の向上にも寄与する。そして、これらの効果は、Ti量が0.005%以上の添加で得られる。一方、鋼板中のTi量が0.200%を超えると、硬質なマルテンサイト量が過大となって、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加し、曲げ試験および穴広げ試験時に亀裂の伝播が進行しやすくなって、鋼板の曲げ性や伸びフランジ性が低下する。従って、Tiの添加量は、0.005%以上0.200%以下の範囲とする。好ましくは、0.010%以上0.100%以下の範囲である。

0024

以上、必須成分について説明したが、本発明では、その他にも、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。

0025

Nb:0.005%以上0.200%以下
Nbは、鋼の析出強化に有効で、その添加効果は0.005%以上で得られる。また、Ti添加の効果と同様に、所望の未再結晶フェライト量を確保して、鋼板の高降伏比化に寄与する。加えて、比較的硬質な未再結晶フェライトを活用することによって、硬質第2相(マルテンサイトもしくは残留オーステナイト)との硬度差を低減することができ、伸びフランジ性の向上にも寄与する。一方、Nb量が0.200%を超えると、硬質なマルテンサイト量が過大となって、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加し、曲げ試験時および穴広げ試験時に亀裂の伝播が進行しやすくなる。その結果、鋼板の曲げ性や伸びフランジ性が低下する。また、コストアップの要因にもなる。従って、Nbを添加する場合には、0.005%以上0.200%以下の範囲とする。好ましくは、0.010%以上0.100%以下の範囲である。

0026

B:0.0003%以上0.0050%以下
Bは、オーステナイト粒界からのフェライトの生成および成長を抑制する作用を有し、臨機応変組織制御を可能にするため、必要に応じて添加することができる。その添加効果は、0.0003%以上で得られる。一方で、B量が0.0050%を超えると、鋼板の成形性が低下する。従って、Bを添加する場合は0.0003%以上0.0050%以下の範囲とする。好ましくは、0.0005%以上0.0030%以下の範囲である。

0027

Ni:0.005%以上1.000%以下
Niは、残留オーステナイトを安定化させる元素で、良好な延性の確保に有効であり、さらに、固溶強化により鋼の強度を上昇させる元素である。その添加効果は、0.005%以上で得られる。一方、1.000%を超えて添加すると、硬質なマルテンサイト量が過大となって、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加し、曲げ試験および穴広げ試験時に亀裂の伝播が進行しやすくなる。その結果、鋼板の曲げ性や伸びフランジ性が低下する。また、コストアップの要因にもなる。従って、Niを添加する場合には、0.005%以上1.000%以下の範囲とする。

0028

Cr:0.005%以上1.000%以下、V:0.005%以上0.500%以下、Mo:0.005%以上1.000%以下
Cr、VおよびMoは、強度と延性のバランスを向上させる作用を有するので、必要に応じて添加することができる元素である。その添加効果は、Cr:0.005%以上、V:0.005%以上およびMo:0.005%以上で得られる。一方、それぞれ、Cr:1.000%、V:0.500%およびMo:1.000%を超えて過剰に添加すると、硬質なマルテンサイト量が過大となって、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加し、曲げ試験および穴広げ試験時に亀裂の伝播が進行しやすくなる。その結果、鋼板の曲げ性や伸びフランジ性が低下する。また、コストアップの要因にもなる。従って、これらの元素を添加する場合には、それぞれCr:0.005%以上1.000%以下、V:0.005%以上0.500%以下およびMo:0.005%以上1.000%以下の範囲とする。

0029

Cu:0.005%以上1.000%以下
Cuは、鋼の強化に有効な元素である。その添加効果は、0.005%以上で得られる。一方、1.000%を超えて添加すると、硬質なマルテンサイト量が過大となって、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加し、曲げ試験および穴広げ試験時に亀裂の伝播が進行しやすくなる。その結果、鋼板の曲げ性や伸びフランジ性が低下する。従って、Cuを添加する場合には、0.005%以上1.000%以下の範囲とする。

0030

Sn:0.002%以上0.200%以下、Sb:0.002%以上0.200%以下
SnおよびSbは、鋼板表面の窒化や酸化によって生じる鋼板表層の数十μm程度の厚み領域脱炭を抑制する観点から、必要に応じて添加する。このように、窒化や酸化を抑制することで、鋼板表面におけるマルテンサイト量が減少するのを防止し、TSや材質安定性を確保するのに有効である。この効果を得るためには、それぞれ0.002%以上の添加が必要である。一方で、0.200%を超えて過剰に添加すると靭性の低下を招く。従って、Sn、Sbを添加する場合には、それぞれ、0.002%以上0.200%以下の範囲とする。

0031

Ta:0.001%以上0.010%以下
Taは、TiやNbと同様に、合金炭化物合金炭窒化物を生成して鋼の高強度化に寄与する。加えて、Nb炭化物Nb炭窒化物に一部固溶し、(Nb,Ta)(C,N)のような複合析出物を生成することで析出物の粗大化を抑制し、析出強化による鋼板の強度向上への寄与を安定化させる効果があると考えられる。ここで、Taの添加効果は、Taの含有量を0.001%以上とすることで得られる。一方で、Taを過剰に添加しても、その添加効果は飽和する上、合金コストも増加する。従って、Taを添加する場合には、0.001%以上0.010%以下の範囲とする。

0032

Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下、REM:0.0005%以上0.0050%以下
Ca、MgおよびREMは、硫化物の形状を球状化し、穴広げ性(伸びフランジ性)への硫化物の悪影響を改善するために有効な元素である。この効果を得るためには、それぞれ0.0005%以上の添加が必要である。一方、それぞれ0.0050%を超える過剰な添加は、介在物等の増加を引き起こし、鋼板の表面および内部欠陥などを引き起こす。従って、Ca、MgおよびREMを添加する場合は、それぞれ0.0005%以上0.0050%以下の範囲とする。

0033

(鋼組織)
本発明では、バッチ式加熱炉における加熱条件を適切に制御することによって、従来、問題とされた、コイルの長手方向にわたる組織及び特性のばらつきを改善する。ここで、本明細書において、製造される高強度鋼帯の長手方向に関して、熱延焼鈍板コイルの内巻部であった部位を第1部位、熱延焼鈍板コイルの外巻部であった部位を第2部位、熱延焼鈍板コイルの中央部であった部位を第3部位と称する。ここで、「熱延焼鈍板コイルの内巻部」とは、熱延焼鈍板コイルの内側の端部から長手方向に150mまでの範囲をいう。「熱延焼鈍板コイルの外巻部」とは、熱延焼鈍板コイルの外側の端部から長手方向に150mまでの範囲をいう。「熱延焼鈍板コイルの中央部」とは、熱延焼鈍板コイルの内巻部および外巻き部以外の部位をいう。

0034

本発明では、組織のばらつきの指標として、(A)第1部位のポリゴナルフェライトの面積率/第2部位のポリゴナルフェライトの面積率、(B)第1部位の残留オーステナイトの体積率/第2部位の残留オーステナイトの体積率、および(C)第1部位のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径/第2部位のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径、の3つを採用し、これらを所定の範囲に定める。これらの比を以下に述べる範囲に制御することによって、従来懸念されたコイル長手方向における特性のばらつき、とくに熱延焼鈍板コイル内巻部における特性の劣化を改善して、コイル全長にわたってばらつきのない優れた特性を得るのである。

0035

第3部位(中央部)におけるポリゴナルフェライトの面積率:15%以上55%以下
十分な延性を確保するために、本発明では、第3部位のポリゴナルフェライトの面積率を15%以上にする必要がある。一方、980MPa以上の強度を確保するためには、第3部位のポリゴナルフェライトの面積率を55%以下に抑制する必要がある。好ましくは、面積率で20%以上50%以下の範囲である。なお、本発明では、第3部位のみならず、第1部位(内巻部)及び第2部位(外巻部)のポリゴナルフェライトの面積率も、15%以上55%以下であることが好ましく、20%以上50%以下であることがより好ましい。なお、本発明におけるポリゴナルフェライトとは、比較的軟質で延性に富むフェライトのことである。

0036

組織ばらつきの指標(A)
ポリゴナルフェライトの面積率比(内巻部/外巻部):1.00〜1.50
そして、このポリゴナルフェライトの面積率について、第1部位(内巻部)/第2部位(外巻部)の比を1.00から1.50の間とすることにより、コイル全長にわたって特性のばらつきのない、歩留りの高い鋼帯を得ることができる。好ましくは1.00から1.20の範囲である。

0037

第3部位(中央部)における未再結晶フェライトの面積率:8%以上
未再結晶フェライトの面積率が8%以上であることは、本発明において重要である。ここで、未再結晶フェライトは、一般的に鋼板の強度上昇に有効であるものの、鋼板の著しい延性の低下を招くため低減させることが多い。しかし、本発明では、ポリゴナルフェライトと残留オーステナイトによって、良好な延性を確保し、さらに比較的硬質な未再結晶フェライトを積極的に活用することで、例えば、面積率で30%を超えるような多量のマルテンサイトを要することなく、所期した鋼板のTSの確保が可能となり、さらにはポリゴナルフェライトとマルテンサイトの異相界面量を低減しているので、鋼板の降伏強度(YP)や降伏比(YR)を高めることが可能となるのである。以上の効果を得るためには、未再結晶フェライトの面積率を8%以上にする必要がある。好ましくは、10%以上である。なお、本発明における未再結晶フェライトとは、粒内に結晶方位差15°未満のひずみを含むフェライトであって、上記した延性に富むポリゴナルフェライトより硬質なフェライトのことである。なお、本発明において、未再結晶フェライトの面積率の上限は、特に制限されないが、20%程度とすることが好ましい。

0038

第3部位(中央部)におけるマルテンサイトの面積率:15%以上30%以下
980MPa以上のTSを達成するためには、第3部位のマルテンサイトの面積率を15%以上にする必要がある。一方、良好な延性の確保のためには、第3部位のマルテンサイトの面積率を30%以下に制限する必要がある。

0039

また、このマルテンサイトの面積率については、第1部位(内巻部)/第2部位(外巻部)の比で1.00〜1.30とすることが好ましく、これにより、コイル全長にわたって特性のばらつきのない、歩留りの高い鋼帯を得ることができる。

0040

ここで、マルテンサイトの面積率の算出は、以下のようにして行うことができる。すなわち、第3部位(中央部)を代表して、圧延方向に関しては鋼帯の先端部と尾端部の中間位置、板幅方向に関しては板幅中心部からサンプルを採取し、当該サンプルの圧延方向に平行な板厚断面(L断面)を研磨後、3vol.%ナイタールで腐食し、板厚1/4位置(鋼板表面から深さ方向で板厚の1/4に相当する位置)について、SEM走査型電子顕微鏡)を用いて2000倍の倍率で50μm×40μmの視野を10視野程度観察し、組織画像を得る。この組織画像において、フェライト(ポリゴナルフェライトと未再結晶フェライト)は灰色の組織(下地組織)を呈しており、マルテンサイトは白色の組織を呈していることから、両者を識別することができる。この得られた組織画像に基づいて、Media Cybernetics社のImage−Proを用いてマルテンサイトの面積率を、10視野分算出し、それらの面積率を平均して求める。

0041

また、ポリゴナルフェライトと未再結晶フェライトの面積率は、以下のようにして求めることができる。すなわち、後述の所定位置からサンプルを採取し、当該サンプルの圧延方向に平行な板厚断面(L断面)の板厚1/4位置を以下のEBSD観察に供する。EBSD(Electron BackScatter Diffraction;電子線後方散乱回折法)を用いて、結晶方位差が2°から15°未満の低角粒界、結晶方位差が15°以上の大角粒界を識別する。そして、低角粒界を粒内に含むフェライトを未再結晶フェライトとして、IQMapを作成する。次に、作成したIQ Mapから50μm×40μmの視野で10視野分を抽出した後、低角粒界と大角粒界の面積をそれぞれ求めることで、ポリゴナルフェライトと未再結晶フェライトの面積をそれぞれ算出し、10視野分のポリゴナルフェライトと未再結晶フェライトの面積率を求める。そして、それらの面積率を平均して、上記ポリゴナルフェライトと未再結晶フェライトの面積率を求める。第3部位(中央部)のポリゴナルフェライトと未再結晶フェライトの面積率を求める際には、中央部を代表して、圧延方向に関しては鋼帯の先端部と尾端部の中間位置、板幅方向に関しては板幅中心部から前記サンプルを採取する。第1部位(内巻部)および第2部位(外巻部)のポリゴナルフェライトと未再結晶フェライトの面積率を求める際には、各部位を代表して、圧延方向に関しては、鋼帯の第1部位側の端部および第2部位側の端部から各々100mの位置、板幅方向に関しては板幅中心部から、前記サンプルを採取する。

0042

第3部位(中央部)における残留オーステナイトの体積率:12%以上
本発明では、十分な延性を確保するために、第3部位の残留オーステナイトの体積率を12%以上にする必要がある。好ましくは14%以上である。なお、本発明において、第3部位の残留オーステナイトの体積率の上限は、特に制限されないが、延性向上への効果が小さいCやMnなどの、成分濃化が希薄で不安定な残留オーステナイトが増加するため、50%程度とするのが好ましい。

0043

組織ばらつきの指標(B)
残留オーステナイトの体積率比(内巻部/外巻部):0.75〜1.00
さらに、残留オーステナイトの体積率について、第1部位(内巻部)/第2部位(外巻部)の比は0.75から1.00の間に制御することが肝要であり、これにより、コイル全長にわたって特性のばらつきのない、歩留りの高い鋼帯を得ることができる。

0044

ここに、残留オーステナイトの体積率は、後述の所定位置から採取したサンプルを板厚方向の1/4面(鋼板表面から深さ方向で板厚の1/4に相当する面)まで研磨し、この板厚1/4面の回折X線強度を測定することにより求める。入射X線にはMoKα線を使用し、残留オーステナイトの{111}、{200}、{220}、{311}面のピーク積分強度の、フェライトの{110}、{200}、{211}面のピークの積分強度に対する、12通り全ての組み合わせの強度比を求め、これらの平均値を残留オーステナイトの体積率とする。第3部位(中央部)の残留オーステナイトの体積率を求める際には、中央部を代表して、圧延方向に関しては鋼帯の先端部と尾端部の中間位置、板幅方向に関しては板幅中心部から前記サンプルを採取する。第1部位(内巻部)および第2部位(外巻部)の残留オーステナイトの体積率を求める際には、各部位を代表して、圧延方向に関しては、鋼帯の第1部位側の端部および第2部位側の端部から各々100mの位置、板幅方向に関しては板幅中心部から、前記サンプルを採取する。

0045

第3部位(中央部)におけるポリゴナルフェライトの平均結晶粒径:4.0μm以下
ポリゴナルフェライトの結晶粒微細化は、YPやTSの向上に寄与する。そのため、高いYPおよび高いYRと、所望のTSを確保するためには、第3部位のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径を4.0μm以下にする必要がある。好ましくは、3.0μm以下とする。なお、本発明において、第3部位のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径の下限は、特に制限されないが、工業的には、0.2μm程度とするのが好ましい。なお、本発明では、第3部位のみならず、第1部位(内巻部)及び第2部位(外巻部)のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径も、4.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましく、0.2μm程度以上であることがより好ましい。

0046

組織ばらつきの指標(C)
ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径比(内巻部/外巻部):1.00〜1.50
また、ポリゴナルフェライトの平均結晶粒径について、第1部位(内巻部)/第2部位(外巻部)の比は、1.00から1.50の間に制御する必要があり、これにより、コイル全長にわたって特性のばらつきのない、歩留りの高い鋼帯を得ることができる。

0047

第3部位(中央部)におけるマルテンサイトの平均結晶粒径:2.0μm以下
マルテンサイトの結晶粒の微細化は、曲げ性と伸びフランジ性(穴広げ性)の向上に寄与する。そのため、高曲げ性、高伸びフランジ性(高穴広げ性)を確保するために、第3部位のマルテンサイトの平均結晶粒径を2.0μm以下に抑制する必要がある。好ましくは、1.5μm以下である。なお、本発明において、第3部位のマルテンサイトの平均結晶粒径の下限は、特に制限されないが、工業的には、0.05μm程度とするのが好ましい。

0048

第3部位(中央部)における残留オーステナイトの平均結晶粒径:2.0μm以下
残留オーステナイトの結晶粒の微細化は、延性の向上や曲げ性と伸びフランジ性(穴広げ性)の向上に寄与する。そのため、良好な延性、曲げ性、伸びフランジ性(穴広げ性)を確保するためには、第3部位の残留オーステナイトの平均結晶粒径を2.0μm以下にする必要がある。好ましくは、1.5μm以下である。なお、本発明において、第3部位の残留オーステナイトの平均結晶粒径の下限は、特に制限されないが、工業的には、0.05μm程度とするのが好ましい。

0049

また、ポリゴナルフェライト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの平均結晶粒径は、以下のようにして求めることができる。すなわち、後述の所定位置からサンプルを採取し、当該サンプルの圧延方向に平行な板厚断面(L断面)の板厚1/4位置を以下の観察に供する。上述のImage−Proを用いて、50μm×40μmの1視野で、ポリゴナルフェライト粒、マルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の各々の面積を求め、円相当直径を算出し、当該視野内の各粒子の粒径を平均して求める。なお、マルテンサイトと残留オーステナイトは、EBSDのPhase Mapで識別する。なお、本発明において、上記平均結晶粒径を求める場合には、いずれも0.01μm以上の粒径のものを測定する。0.01μm未満のものは、本発明に影響を与えないためである。第3部位(中央部)の各相の平均結晶粒径を求める際には、中央部を代表して、圧延方向に関しては鋼帯の先端部と尾端部の中間位置、板幅方向に関しては板幅中心部から前記サンプルを採取する。第1部位(内巻部)および第2部位(外巻部)のポリゴナルフェライトの平均結晶粒径を求める際には、各部位を代表して、圧延方向に関しては、鋼帯の第1部位側の端部および第2部位側の端部から各々100mの位置、板幅方向に関しては板幅中心部から、前記サンプルを採取する。

0050

第3部位(中央部)における、残留オーステナイト中のMn量(質量%)をポリゴナルフェライト中のMn量(質量%)で除した値:2.00以上
第3部位において、残留オーステナイト中のMn量(質量%)をポリゴナルフェライト中のMn量(質量%)で除した値を2.00以上とすることは、本発明において極めて重要である。というのは、良好な延性を確保するためには、Mnが濃化した安定な残留オーステナイトを多くする必要があるからである。なお、本発明において、残留オーステナイト中のMn量(質量%)をポリゴナルフェライト中のMn量(質量%)で除した値の上限は、制限されないが、伸びフランジ性を確保する観点から、16.0程度とするのが好ましい。

0051

残留オーステナイト中のMn量(質量%)とポリゴナルフェライト中のMn量(質量%)は、以下のようにして、求めることができる。すなわち、第3部位(中央部)を代表して、圧延方向に関しては鋼帯の先端部と尾端部の中間位置、板幅方向に関しては板幅中心部からサンプルを採取し、当該サンプルをEPMA(Electron Probe Micro Analyzer;電子プローブマイクロアナライザ)の観察に供し、板厚1/4位置における圧延方向断面の各相へのMnの分布状態定量化する。ついで、30個の残留オーステナイト粒と30個のフェライト粒のMn量を分析する。そしてその分析の結果から求められるMn量を平均して求めることができる。

0052

ここで、本発明のミクロ組織には、上述した、ポリゴナルフェライトやマルテンサイト等以外に、グラニュラーフェライト、アシキュラーフェライトベイニティックフェライト焼戻しマルテンサイトパーライトおよびセメンタイト等の鉄鋼板に通常認められる炭化物(パーライト中のセメンタイトを除く)がある。これらの組織が、面積率で10%以下の範囲であれば、含まれていても本発明の効果が損なわれることはない。

0053

また、本発明では、hcp構造を有するε相が面積率で2%以上含まれることが好ましい。ここで、hcp構造を有するε相を多量に含む鋼には脆化の危険性がある。しかしながら、本発明のように、適量のhcp構造を有するε相をフェライトおよび未再結晶フェライトの粒界および粒内に微細分散させると、良好な強度と延性のバランスを確保しつつ、優れた制振性能を示す。

0054

なお、hcp構造を有するε相とマルテンサイトと残留オーステナイトは、EBSDのPhase Mapを用いて識別することができる。また、本発明において、ε相の面積率の上限は、制限されないが、脆化の懸念があるため、35%程度とするのが好ましい。上記した要件満足することによって、延性向上の主要因である加工誘起変態(TRIP)現象を、鋼板の加工終盤まで断続的に発現させることができ、いわゆる安定な残留オーステナイトの生成を達成することができる。

0055

製造条件
本発明の高強度鋼帯の製造方法は、上記成分組成を有する鋼スラブを加熱する工程と、前記鋼スラブを熱間圧延して熱延板を得る工程と、前記熱延板を巻き取って熱延板コイルとする工程と、次いで、前記熱延板コイルの熱延板に酸洗を施してスケールを除去する工程と、前記熱延板コイルをバッチ式加熱炉で加熱処理して、熱延焼鈍板コイルとする熱延板焼鈍工程と、その後、前記熱延焼鈍板コイルの熱延焼鈍板を冷間圧延して冷延板を得る工程と、その後、前記冷延板に冷延板焼鈍を施して高強度鋼帯を得る工程と、を有する。以下、製造条件とその限定理由について説明する。

0056

鋼スラブの加熱温度:1100℃以上1300℃以下
鋼スラブ(または単にスラブという)の加熱段階で存在している析出物は、最終的に得られる鋼板内では粗大な析出物として存在し、強度に寄与しない。このため、鋳造時に析出したTi、Nb系析出物は、再溶解させる必要がある。ここで、鋼スラブの加熱温度が1100℃未満では、炭化物の十分な固溶が困難なだけでなく、圧延荷重の増大による熱間圧延時のトラブル発生の危険が増大するなどの問題が生じる。そのため、鋼スラブの加熱温度は1100℃以上にする必要がある。また、スラブ表層気泡、偏析などの欠陥スケールオフし、鋼板表面の亀裂や凹凸を減少して平滑な鋼板表面を達成する観点からも、鋼スラブの加熱温度は1100℃以上にする必要がある。一方、鋼スラブの加熱温度が1300℃超では、酸化量の増加に伴ってスケールロスが増大する。そのため、鋼スラブの加熱温度は1300℃以下にする必要がある。従って、スラブの加熱温度は1100℃以上1300℃以下にする必要がある。好ましくは、1150℃以上1250℃以下の範囲である。

0057

鋼スラブは、マクロ偏析を防止するため、連続鋳造法で製造するのが好ましいが、造塊法や薄スラブ鋳造法などにより製造することも可能である。また、本発明では、鋼スラブを製造した後、一旦室温まで冷却し、その後、再度加熱する従来法を用いることができる。さらに、本発明では、室温まで冷却しないで、温片のままで加熱炉装入する、あるいはわずかの保熱を行った後に直ちに圧延する直送圧延・直接圧延などの省エネルギープロセスも問題なく適用することができる。なお、鋼スラブは、通常の条件で粗圧延によりシートバーとされるが、加熱温度を低目にした場合は、熱間圧延時のトラブルを防止する観点から、仕上げ圧延前バーヒーターなどを用いてシートバーをさらに加熱することが好ましい。

0058

熱間圧延の仕上げ圧延出側温度:750℃以上1000℃以下
加熱後の鋼スラブは、粗圧延および仕上げ圧延によって熱間圧延され熱延板となる。このとき、仕上げ温度が1000℃を超えると、酸化物(スケール)の生成量が急激に増大し、地鉄と酸化物の界面が荒れて、酸洗、冷間圧延を施した後の、鋼板の表面品質が劣化する傾向にある。また、酸洗後熱延スケールの取れ残りなどが一部に存在すると、鋼板の延性や伸びフランジ性に悪影響を及ぼす。さらには、結晶粒径過度に粗大となって、加工時にプレス品表面荒れを生じる場合がある。一方、仕上げ温度が750℃未満では、圧延荷重が増大し、オーステナイトが未再結晶状態での圧下率が高くなる。その結果、鋼板に異常な集合組織発達し、最終製品における面内異方性が顕著となって、材質の均一性(材質安定性)が損なわれるだけでなく、鋼板の延性そのものも低下する。従って、本発明は、熱間圧延の仕上げ圧延出側温度を、750℃以上1000℃以下にする必要がある。好ましくは800℃以上950℃以下の範囲である。

0059

巻き取り温度:300℃以上750℃以下
巻き取り温度とは、熱間圧延後の熱間圧延コイル全長の巻き取り温度の平均値である。熱間圧延後の巻き取り温度が750℃を超えると、熱延板組織のフェライトの結晶粒径が大きくなって、所望の強度確保が困難となる。一方、熱間圧延後の巻き取り温度が300℃未満では、熱延板強度が上昇して、冷間圧延における圧延負荷が増大したり、板形状の不良が発生したりするため、生産性が低下する。従って、熱間圧延後の巻き取り温度は300℃以上750℃以下にする必要がある。好ましくは400℃以上650℃以下の範囲である。

0060

なお、本発明では、熱延時に、粗圧延板同士を接合して連続的に仕上げ圧延を行っても良い。また、粗圧延板を一旦巻き取っても構わない。さらに、熱間圧延時の圧延荷重を低減するために仕上げ圧延の一部または全部を潤滑圧延としてもよい。潤滑圧延を行うことは、鋼板形状の均一化、材質の均一化の観点からも有効である。なお、潤滑圧延時の摩擦係数は、0.10以上0.25以下とすることが好ましい。

0061

かかる工程を経て製造した熱延板コイルの熱延板に、酸洗を行う。酸洗は、鋼板表面の酸化物の除去が可能であることから、最終製品の高強度鋼板の良好な化成処理性やめっき品質の確保のために重要である。また、酸洗は、一回で行っても良いし、複数回に分けて行っても良い。

0062

熱延板焼鈍:熱延板コイルの外巻部を(Ac1変態点+20℃)以上(Ac1変態点+120℃)以下の所定温度で、21600s超129600s以下保持
本発明では、熱延板コイルの焼鈍をバッチ式加熱炉を用いて行うが、その際、熱延板コイルの外巻部を(Ac1変態点+20℃)以上(Ac1変態点+120℃)以下の所定温度で、21600s超129600s以下の時間保持することは、本発明において、極めて重要である。熱延板焼鈍の焼鈍温度が、(Ac1変態点+20℃)未満や、(Ac1変態点+120℃)超えの場合、また保持時間が21600s未満の場合には、いずれも鋼帯の特に先端部においてオーステナイト中へのMnの濃化が進行せずに、最終焼鈍後に十分な残留オーステナイトの体積率の確保が困難となって、延性が低下する。一方、129600sを超えて保持すると、オーステナイト中へのMnの濃化が飽和して組織が粗大化してしまうだけでなく、コストアップの要因にもなる。したがって、熱延板コイルの焼鈍は、熱延板コイルの外巻部を(Ac1変態点+20℃)以上(Ac1変態点+120℃)以下の所定温度で、21600s超129600s以下の時間保持するものとする。保持時間は、好ましくは25000s以上である。

0063

なお、上記の熱処理後、室温まで冷却する。その際の冷却方法および冷却速度は特に規定されないが、バッチ焼鈍における炉冷または空冷とすることが好ましい。

0064

冷間圧延の圧下率:50%以下
本発明の冷間圧延では、圧下率を50%以下とする。50%を超える圧下率で冷間圧延を施すと、熱処理時に粗大なポリゴナルフェライトが生成する。その結果、鋼板中に軟質相が得られ、強度−延性バランスが低下する。また、鋼板の曲げ性と伸びフランジ性(穴広げ性)も低下する。なお、冷間圧延における圧下率は30%以上とすることが好ましい。

0065

冷延板焼鈍:冷延板をAc1変態点以上、(Ac1変態点+100℃)以下の所定温度で、20〜900s間保持
冷延板の焼鈍に際し、冷延板をAc1変態点以上、(Ac1変態点+100℃)以下の温度域で、20〜900s保持することは、本発明において極めて重要である。冷延板の焼鈍温度が、Ac1変態点未満や(Ac1変態点+100℃)超えの場合、また保持時間が20s未満の場合には、いずれもオーステナイト中へのMnの濃化が進行せず、十分な残留オーステナイトの体積率の確保が困難となって、延性が低下する。一方、900sを超えて保持する場合には、未再結晶フェライトの面積率が低下して、フェライトと硬質第2相(マルテンサイトおよび残留オーステナイト)の異相界面量が増加し、YPが低下すると共に、YRも低下する。

0066

表1に示す成分組成を有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼を、転炉にて溶製し、連続鋳造法にてスラブとした。得られたスラブを、表2に示す種々の条件で処理して冷延鋼帯(CR)を得た。また、一部の冷延鋼板に対しては、さらに亜鉛めっき処理を施した。なお、溶融亜鉛めっき浴として、溶融亜鉛めっき鋼帯GI)では、Al:0.19質量%含有亜鉛浴を、また合金化溶融亜鉛めっき鋼帯(GA)では、Al:0.14質量%含有亜鉛浴を使用した。いずれも、浴温は465℃、めっき付着量は片面あたり45g/m2(両面めっき)とした。さらにGAでは、めっき層中のFe濃度を9質量%以上12質量%以下になるように調整した。

0067

かくして得られた鋼帯の、第3部位(中央部)におけるミクロ組織および各相の平均結晶粒径について調べた結果を表3に、また第1部位(内巻部)および第2部位(外巻部)におけるミクロ組織および各相の平均結晶粒径について調べた結果を表4に示す。さらに、第3部位(中央部)における鋼帯の引張特性、穴広げ性について調査した結果を表5に示す。なお、表5には、鋼帯の表面性状および生産性(通板性)について調べた結果も併記する。また、第1部位(内巻部)および第2部位(外巻部)における鋼帯の引張特性と穴広げ性について調べた結果を表6に示す。

0068

なお、Ac1変態点は以下の式を用いて求めた。
Ac1変態点(℃)
=751−16×(%C)+11×(%Si)−28×(%Mn)−5.5×(%Cu)−16×(%Ni)+13×(%Cr)+3.4×(%Mo)
ここで、(%C)、(%Si)、(%Mn)、(%Ni)、(%Cu)、(%Cr)および(%Mo)は、それぞれの元素の鋼中含有量(質量%)である。

0069

引張試験は、引張方向が鋼板の圧延方向と直角方向となるようにサンプルを採取したJIS 5号試験片を用いて、JIS Z 2241(2011年)に準拠して行い、YP、YR、TSおよびELを測定した。なお、YRは、YPをTSで除して、百分率で表した値である。なお、本発明では、YR≧68%で、かつTS×EL≧22000MPa・%であり、さらに、TS:980MPa級ではEL≧26%、TS:1180MPa級ではEL≧22%、TS:1470MPa級ではEL≧18%の場合をそれぞれ良好と判断した。なお、本実施例で、TS:980MPa級は、TSが980MPa以上1180MPa未満の鋼板であり、TS:1180MPa級は、TSが1180MPa以上1470MPa未満の鋼板であり、TS:1470MPa級は、TSが1470MPa以上1760MPa未満の鋼板である。

0070

穴広げ性は、JIS Z 2256(2010年)に準拠して行った。得られた各鋼板を100mm×100mmに切断後、クリアランス12%±1%で直径10mmの穴を打ち抜いた。ついで、内径75mmのダイスを用いてしわ押さえ力9ton(88.26kN)で抑えた状態で、60°円錐ポンチを穴に押し込んで亀裂発生限界における穴直径を測定した。さらに、下記の式から、限界穴広げ率λ(%)を求めて、この限界穴広げ率の値から穴広げ性を評価した。
限界穴広げ率λ(%)={(Df−D0)/D0}×100
ただし、Dfは亀裂発生時の穴径(mm)、D0は初期穴径(mm)である。なお、本発明では、TS:980MPa級ではλ≧20%、TS:1180MPa級ではλ≧15%、TS:1470MPa級ではλ≧10%の場合をそれぞれ良好と判断した。

0071

鋼帯の評価として、熱間圧延および冷間圧延時の通板性、最終焼鈍板の表面性状、ならびに生産性について評価した。

0072

熱間圧延および冷間圧延時の通板性は、圧延荷重の増大によって、圧延時のトラブル発生の危険が増大する場合を不良と判断した。評価結果を表5に示す。

0073

最終焼鈍板の表面性状は、スラブ表層の気泡、偏析などの欠陥をスケールオフできずに、鋼板表面の亀裂、凹凸が増大し、平滑な鋼板表面が得られない場合を不良と判断した。また、最終焼鈍板の表面性状は、酸化物(スケール)の生成量が急激に増大し、地鉄と酸化物の界面が荒れ、酸洗、冷間圧延後の表面品質が劣化する場合や酸洗後に熱延スケールの取れ残りなどが一部に存在する場合も不良と判断した。評価結果を表5に示す。

0074

生産性は、(1)熱延板の形状不良が発生し、(2)次工程に進むために熱延板の形状矯正が必要であるときや、(3)焼鈍処理の保持時間が長いとき、などのリードタイムコストを評価した。そして、(1)〜(3)のいずれにも該当しない場合を「良好」、(1)〜(3)のいずれかに該当する場合を「不良」と判断した。測定結果を表5に併記する。

0075

0076

0077

0078

0079

0080

実施例

0081

以上の結果から、本発明に従うことで、コイル全長にわたって、TS≧980MPa、YR≧68%、TS×EL≧22000MPa・%の成形性に優れた高強度鋼帯が得られていることが分かる。一方、比較例では、YR、TS、ELおよびλのうち少なくとも一の特性が劣っているか、コイル先端部または尾端部での特性の劣化が見られた。

0082

本発明によれば、熱延板コイルの加熱を、バッチ式加熱炉を用いて行う場合であっても、コイル全長にわたって、TS≧980MPa、YR≧68%、かつTS×EL≧22000MPa・%の成形性に優れた高強度鋼帯を安定して製造できる。従って、本発明の高強度鋼帯を、例えば、自動車構造部材に適用することで、車体軽量化による燃費改善を図ることができ、産業上の利用価値は極めて大きい。

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