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課題

標的組織に起因する疾患の治療に有用な医薬組成物、その有効成分、前記医薬組成物並びに前記有効成分のスクリーニング方法、及び、製造方法の提供。

解決手段

標的組織特異的な化合物の濃度に依存して抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含む抗原結合分子特定配列定常領域に含まれるFc領域に含まれるもので、天然型ヒトIgGのFc領域のFcγレセプター結合性よりも、Fcγレセプターに対する結合活性の高いFcγR結合改変Fc領域を含む抗原結合分子。前記抗原結合分子を用いることにより、標的組織に起因する各種疾患を標的組織特異的に治療することが可能となる。

概要

背景

抗体は血漿中での安定性が高く、副作用も少ないことから医薬品として注目されている。中でもIgG型の抗体医薬は多数上市されており、現在も数多くの抗体医薬が開発されている(非特許文献1、および非特許文献2)。

抗体医薬を用いた癌治療薬として、これまでのCD20抗原に対するリツキサン、EGFR抗原に対するセツキシマブHER2抗原に対するハーセプチン等が承認されている(非特許文献3)。これらの抗体分子は、癌細胞発現している抗原に対して結合し、ADCC等によって癌細胞に対する傷害活性を発揮する。こうしたADCC等による細胞傷害活性は、治療用抗体標的細胞に発現する抗原の数に依存することが知られている(非特許文献4)ため、標的となる抗原の発現量が高いことが治療用抗体の効果の観点からは好ましい。しかし、抗原の発現量が高くても、正常組織に抗原が発現していると、正常細胞に対してADCC等の傷害活性を発揮してしまうため、副作用が大きな問題となる。そのため、癌治療薬として治療用抗体が標的とする抗原は、癌細胞に特異的に発現していることが好ましい。例えば、癌抗原として知られているEpCAM抗原に対する抗体分子は、癌治療薬として有望と考えられていたが、EpCAM抗原は膵臓にも発現していることが知られており、実際、臨床試験において、抗EpCAM抗体投与することによって、膵臓に対する細胞傷害活性により膵炎の副作用がみられることが報告されている(非特許文献5)。

ADCC活性による細胞傷害活性を発揮する抗体医薬の成功を受けて、天然型ヒトIgG1のFc領域N型糖鎖フコースを除去することによるADCC活性の増強(非特許文献6)、天然型ヒトIgG1のFc領域のアミノ酸置換によりFcγRIIIaへの結合を増強することによるADCC活性の増強(非特許文献7)等によって強力な細胞傷害活性を発揮する第二世代の改良抗体分子が報告されている。上述のNK細胞が介在するADCC活性以外のメカニズムで癌細胞に傷害活性を発揮する抗体医薬として、強力な細胞傷害活性のある薬物を抗体とコンジュゲートしたAntibody Drug Conjugate(ADC)(非特許文献8)、および、T細胞を癌細胞にリクルートすることによって癌細胞に対する傷害活性を発揮する低分子抗体(非特許文献9)等のより強力な細胞傷害活性を発揮する改良抗体分子も報告されている。

こうしたより強力な細胞傷害活性を発揮する抗体分子は、抗原の発現が多くはない癌細胞に対しても細胞傷害活性を発揮することが出来る一方で、抗原の発現が少ない正常組織に対しても同様に細胞傷害活性を発揮してしまう。実際、EGFR抗原に対する天然型ヒトIgG1であるセツキシマブと比較して、CD3とEGFRに対する二重特異性抗体であるEGFR-BiTEはT細胞を癌細胞にリクルートすることによって癌細胞に対して強力な細胞傷害活性を発揮し抗腫瘍効果を発揮することができる。その一方で、EGFRは正常組織においても発現しているため、EGFR-BiTEをカニクイザルに投与した際に深刻な副作用が現れることも認められている(非特許文献10)。また、癌細胞で高発現しているCD44v6に対する抗体にmertansineを結合させたADCであるbivatuzumab mertansineは、CD44v6が正常組織においても発現していることから、臨床において重篤な皮膚毒性&肝毒性が認められている(非特許文献11)。

このように抗原の発現が少ないような癌細胞に対しても強力な細胞傷害活性を発揮することが出来る抗体を用いた場合、標的抗原が極めて癌特異的に発現している必要があるが、ハーセプチンの標的抗原であるHER2やセツキシマブの標的抗原であるEGFRは正常組織にも発現しているように、極度に癌特異的に発現している癌抗原の数は限られていると考えられる。そのため、癌に対する細胞傷害活性を強化することはできるものの、正常組織に対する細胞傷害作用による副作用が問題となり得る。

また、最近、癌における免疫抑制に寄与しているCTLA4を阻害することによって腫瘍免疫を増強するイプリムマブが転移性メラノーマに対してOverall survivalを延長させることが示された(非特許文献12)。しかしながら、イプリムマブはCTLA4を全身的に阻害するため、腫瘍免疫が増強される一方で、全身的に免疫が活性化されることによる自己免疫疾患様の重篤な副作用を示すことが問題となっている(非特許文献13)。

一方、癌以外の疾患に対する抗体医薬として、炎症性・自己免疫疾患において炎症サイトカインを阻害することで治療効果を発揮する抗体医薬が知られている(非特許文献14)。例えばTNFを標的とするレミケードヒュミラ、および、IL-6Rを標的とするアクムラは、関節リウマチに対して高い治療効果を発揮するが、一方、これらのサイトカインを全身的に中和することにより感染症の副作用が見られることも知られている(非特許文献15)。

第二世代の抗体医薬に適用可能な技術として様々な技術が開発されており、エフェクター機能抗原結合能薬物動態、安定性を向上させる、あるいは、免疫原性リスクを低減させる技術等が報告されているが(非特許文献16)、上記のような副作用を解決するための、抗体医薬を標的組織に特異的に作用可能とする技術はほとんど報告されていない。例えば、癌組織や炎症性組織のような病変部位については、これらの標的組織におけるpHが酸性条件であることを利用したpH依存性抗体が報告されている(特許文献1、および2)。しかしながら、癌組織や炎症性組織における正常組織と比較したpHの低下(すなわち水素イオン濃度の上昇)は僅かであり、分子量が極めて小さい水素イオン濃度の僅かな上昇を検知して作用する抗体を作製することは困難であると同時に、破骨細胞骨吸収領域等正常組織や対象とする病変以外の組織でもpHが酸性条件である場合もあり、pHの条件が病変部位に特異的な環境因子として利用するにはなお多くの課題があると考えられた。一方、癌組織や炎症性組織のような病変部位で発現するプロテアーゼで切断されることによって、初めて抗原結合活性を発揮する抗体を作製する方法が報告されている(特許文献3)。しかし、プロテアーゼによる抗体の切断は不可逆的であるため、当該病変部位で切断された抗体が、正常組織に血流に乗って戻ることで正常組織でも抗原に結合できてしまうことが課題であると考えられた。また、そのようなプロテアーゼの癌特異性にも課題があると考えられた。そのため、副作用を回避しつつ薬効を発揮するために、正常組織や血液中において全身的に作用せず、病変部位である癌や炎症部位において可逆的に作用するような技術は知られていない。

概要

標的組織に起因する疾患の治療に有用な医薬組成物、その有効成分、前記医薬組成物並びに前記有効成分のスクリーニング方法、及び、製造方法の提供。標的組織特異的な化合物の濃度に依存して抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含む抗原結合分子特定配列定常領域に含まれるFc領域に含まれるもので、天然型ヒトIgGのFc領域のFcγレセプター結合性よりも、Fcγレセプターに対する結合活性の高いFcγR結合改変Fc領域を含む抗原結合分子。前記抗原結合分子を用いることにより、標的組織に起因する各種疾患を標的組織特異的に治療することが可能となる。なし

目的

本発明は、標的組織特異的な化合物の濃度に応じて抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含む抗原結合分子、当該抗原結合分子の製造方法およびスクリーニング方法、ならびに当該抗原結合分子を含む医薬組成物を提供する

効果

実績

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請求項1

標的組織特異的な化合物の濃度に応じてペプチドまたはポリペプチドである抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含む抗原結合分子であって、該抗原結合ドメインは抗体の重鎖および軽鎖可変領域を含む抗原結合ドメインであり、該化合物が、プリン環構造を有するヌクレオシドである、抗原結合分子。

請求項2

標的組織が癌組織である請求項1に記載の抗原結合分子。

請求項3

前記癌組織特異的な化合物が、癌細胞特異的代謝産物、癌組織に浸潤している免疫細胞特異的代謝産物、癌組織のストローマ細胞特異的代謝産物である請求項2に記載の抗原結合分子。

請求項4

標的組織が炎症性組織である請求項1に記載の抗原結合分子。

請求項5

前記炎症組織特異的な化合物が、炎症性組織に浸潤している免疫細胞特異的代謝産物、炎症組織において傷害を受けている正常細胞特異的代謝産物である請求項4に記載の抗原結合分子。

請求項6

前記化合物が、アデノシン、アデノシン3リン酸、アデノシン2リン酸、アデノシン1リン酸、イノシンから選択される少なくとも一つの化合物である請求項1に記載の抗原結合分子。

請求項7

抗原が膜型分子である請求項1から6のいずれかに記載の抗原結合分子。

請求項8

中和活性を有する抗原結合分子である請求項1から7のいずれかに記載の抗原結合分子。

請求項9

細胞傷害活性を有する抗原結合分子である請求項1から8のいずれかに記載の抗原結合分子。

請求項10

Fc領域を含む請求項1から9のいずれかに記載の抗原結合分子。

請求項11

前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域である請求項10に記載の抗原結合分子。

請求項12

前記Fc領域が、天然型ヒトIgGのFc領域のFcγレセプターに対する結合活性よりもFcγレセプターに対する結合活性が高いFcγR結合改変Fc領域を含む請求項10に記載の抗原結合分子。

請求項13

前記FcγR結合改変Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される221位、222位、223位、224位、225位、227位、228位、230位、231位、232位、233位、234位、235位、236位、237位、238位、239位、240位、241位、243位、244位、245位、246位、247位、249位、250位、251位、254位、255位、256位、258位、260位、262位、263位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、270位、271位、272位、273位、274位、275位、276位、278位、279位、280位、281位、282位、283位、284位、285位、286位、288位、290位、291位、292位、293位、294位、295位、296位、297位、298位、299位、300位、301位、302位、303位、304位、305位、311位、313位、315位、317位、318位、320位、322位、323位、324位、325位、326位、327位、328位、329位、330位、331位、332位、333位、334位、335位、336位、337位、339位、376位、377位、378位、379位、380位、382位、385位、392位、396位、421位、427位、428位、429位、434位、436位または440位のアミノ酸の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が天然型ヒトIgGのFc領域のアミノ酸と異なるアミノ酸を含む請求項12に記載の抗原結合分子。

請求項14

前記FcγR結合改変Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;221位のアミノ酸がLysまたはTyrのいずれか、222位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはTyrのいずれか、223位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはLysのいずれか、224位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはTyrのいずれか、225位のアミノ酸がGlu、LysまたはTrpのいずれか、227位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、228位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、230位のアミノ酸がAla、Glu、GlyまたはTyrのいずれか、231位のアミノ酸がGlu、Gly、Lys、ProまたはTyrのいずれか、232位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、233位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、234位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、235位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、236位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、237位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、238位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、239位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、240位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、241位のアミノ酸がAsp、Glu、Leu、Arg、TrpまたはTyrのいずれか、243位のアミノ酸がLeu、Glu、Leu、Gln、Arg、TrpまたはTyrのいずれか、244位のアミノ酸がHis、245位のアミノ酸がAla、246位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、247位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Thr、ValまたはTyrのいずれか、249位のアミノ酸がGlu、His、GlnまたはTyrのいずれか、250位のアミノ酸がGluまたはGlnのいずれか、251位のアミノ酸がPhe、254位のアミノ酸がPhe、MetまたはTyrのいずれか、255位のアミノ酸がGlu、LeuまたはTyrのいずれか、256位のアミノ酸がAla、MetまたはProのいずれか、258位のアミノ酸がAsp、Glu、His、SerまたはTyrのいずれか、260位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、262位のアミノ酸がAla、Glu、Phe、IleまたはThrのいずれか、263位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、264位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、265位のアミノ酸がAla、Leu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、266位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、267位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、268位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Thr、ValまたはTrpのいずれか、269位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、270位のアミノ酸がGlu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、271位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、272位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、273位のアミノ酸がPheまたはIleのいずれか、274位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、275位のアミノ酸がLeuまたはTrpのいずれか、276位のアミノ酸が、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、278位のアミノ酸がAsp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、ValまたはTrpのいずれか、279位のアミノ酸がAla、280位のアミノ酸がAla、Gly、His、Lys、Leu、Pro、Gln、TrpまたはTyrのいずれか、281位のアミノ酸がAsp、Lys、ProまたはTyrのいずれか、282位のアミノ酸がGlu、Gly、Lys、ProまたはTyrのいずれか、283位のアミノ酸がAla、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、ArgまたはTyrのいずれか、284位のアミノ酸がAsp、Glu、Leu、Asn、ThrまたはTyrのいずれか、285位のアミノ酸がAsp、Glu、Lys、Gln、TrpまたはTyrのいずれか、286位のアミノ酸がGlu、Gly、ProまたはTyrのいずれか、288位のアミノ酸がAsn、Asp、GluまたはTyrのいずれか、290位のアミノ酸がAsp、Gly、His、Leu、Asn、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、291位のアミノ酸がAsp、Glu、Gly、His、Ile、GlnまたはThrのいずれか、292位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Pro、ThrまたはTyrのいずれか、293位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、294位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、295位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、296位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、ThrまたはValのいずれか、297位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、298位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Met、Asn、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、299位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Val、TrpまたはTyrのいずれか、300位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、ValまたはTrpのいずれか、301位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、302位のアミノ酸がIle、303位のアミノ酸がAsp、GlyまたはTyrのいずれか、304位のアミノ酸がAsp、His、Leu、AsnまたはThrのいずれか、305位のアミノ酸がGlu、Ile、ThrまたはTyrのいずれか、311位のアミノ酸がAla、Asp、Asn、Thr、ValまたはTyrのいずれか、313位のアミノ酸がPhe、315位のアミノ酸がLeu、317位のアミノ酸がGluまたはGln、318位のアミノ酸がHis、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、ValまたはTyrのいずれか、320位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Asn、Pro、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、322位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Pro、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、323位のアミノ酸がIle、324位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、325位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、326位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、327位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、328位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、329位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、330位のアミノ酸がCys、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、331位のアミノ酸がAsp、Phe、His、Ile、Leu、Met、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、332位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、333位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Ser、Thr、ValまたはTyrのいずれか、334位のアミノ酸がAla、Glu、Phe、Ile、Leu、ProまたはThrのいずれか、335位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Val、TrpまたはTyrのいずれか、336位のアミノ酸がGlu、LysまたはTyrのいずれか、337位のアミノ酸がGlu、HisまたはAsnのいずれか、339位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、Ile、Lys、Met、Asn、Gln、Arg、SerまたはThrのいずれか、376位のアミノ酸がAlaまたはValのいずれか、377位のアミノ酸がGlyまたはLysのいずれか、378位のアミノ酸がAsp、379位のアミノ酸がAsn、380位のアミノ酸がAla、AsnまたはSerのいずれか、382位のアミノ酸がAlaまたはIleのいずれか、385位のアミノ酸がGlu、392位のアミノ酸がThr、396位のアミノ酸がLeu、421位のアミノ酸がLys、427位のアミノ酸がAsn、428位のアミノ酸がPheまたはLeuのいずれか、429位のアミノ酸がMet、434位のアミノ酸がTrp、436位のアミノ酸がIle、もしくは440位のアミノ酸がGly、His、Ile、LeuまたはTyrのいずれか、の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸を含む請求項13に記載の抗原結合分子。

請求項15

前記Fc領域が、Fc領域のEUナンバリング297位に結合した糖鎖組成フコース欠損糖鎖を結合したFc領域の割合が高くなるように、またはバイクティングN-アセチルグルコサミンが付加したFc領域の割合が高くなるように修飾されたFc領域である請求項10に記載の抗原結合分子。

請求項16

前記Fc領域のpH酸性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:5、6、7、または8のいずれかで表されるFc領域のFcRnに対する結合活性より増強されているFc領域である、請求項10、または12から15のいずれかに記載の抗原結合分子。

請求項17

前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される238位、244位、245位、249位、250位、251位、252位、253位、254位、255位、256位、257位、258位、260位、262位、265位、270位、272位、279位、283位、285位、286位、288位、293位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、316位、317位、318位、332位、339位、340位、341位、343位、356位、360位、362位、375位、376位、377位、378位、380位、382位、385位、386位、387位、388位、389位、400位、413位、415位、423位、424位、427位、428位、430位、431位、433位、434位、435位、436位、438位、439位、440位、442位または447位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である請求項16に記載の抗原結合分子。

請求項18

前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;238位のアミノ酸がLeu、244位のアミノ酸がLeu、245位のアミノ酸がArg、249位のアミノ酸がPro、250位のアミノ酸がGlnまたはGluのいずれか、もしくは251位のアミノ酸がArg、Asp、Glu、またはLeuのいずれか、252位のアミノ酸がPhe、Ser、Thr、またはTyrのいずれか、254位のアミノ酸がSerまたはThrのいずれか、255位のアミノ酸がArg、Gly、Ile、またはLeuのいずれか、256位のアミノ酸がAla、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Pro、またはThrのいずれか、257位のアミノ酸がAla、Ile、Met、Asn、Ser、またはValのいずれか、258位のアミノ酸がAsp、260位のアミノ酸がSer、262位のアミノ酸がLeu、270位のアミノ酸がLys、272位のアミノ酸がLeu、またはArgのいずれか、279位のアミノ酸がAla、Asp、Gly、His、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、283位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、285位のアミノ酸がAsn、286位のアミノ酸がPhe、288位のアミノ酸がAsn、またはProのいずれか、293位のアミノ酸がVal、307位のアミノ酸がAla、Glu、Gln、またはMetのいずれか、311位のアミノ酸がAla、Glu、Ile、Lys、Leu、Met、Ser 、Val、またはTrpのいずれか、309位のアミノ酸がPro、312位のアミノ酸がAla、Asp、またはProのいずれか、314位のアミノ酸がAlaまたはLeuのいずれか、316位のアミノ酸がLys、317位のアミノ酸がPro、318位のアミノ酸がAsn、またはThrのいずれか、332位のアミノ酸がPhe、His、Lys、Leu、Met、Arg、Ser、またはTrpのいずれか、339位のアミノ酸がAsn、Thr、またはTrpのいずれか、341位のアミノ酸がPro、343位のアミノ酸がGlu、His、Lys、Gln、Arg、Thr、またはTyrのいずれか、375位のアミノ酸がArg、376位のアミノ酸がGly、Ile、Met、Pro、Thr、またはValのいずれか、377位のアミノ酸がLys、378位のアミノ酸がAsp、Asn、またはValのいずれか、380位のアミノ酸がAla、Asn、Ser、またはThrのいずれか382位のアミノ酸がPhe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、385位のアミノ酸がAla、Arg、Asp、Gly、His、Lys、Ser、またはThrのいずれか、386位のアミノ酸がArg、Asp、Ile、Lys、Met、Pro、Ser、またはThrのいずれか、387位のアミノ酸がAla、Arg、His、Pro、Ser、またはThrのいずれか、389位のアミノ酸がAsn、Pro、またはSerのいずれか、423位のアミノ酸がAsn、427位のアミノ酸がAsn、428位のアミノ酸がLeu、Met、Phe、Ser、またはThrのいずれか430位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、またはTyrのいずれか、431位のアミノ酸がHis、またはAsnのいずれか、433位のアミノ酸がArg、Gln、His、Ile、Lys、Pro、またはSerのいずれか、434位のアミノ酸がAla、Gly、His、Phe、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、436位のアミノ酸がArg、Asn、His、Ile、Leu、Lys、Met、またはThrのいずれか、438位のアミノ酸がLys、Leu、Thr、またはTrpのいずれか、440位のアミノ酸がLys、もしくは、442位のアミノ酸がLys、308位のアミノ酸がIle、Pro、またはThrのいずれか、の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸である、請求項17に記載の抗原結合分子。

請求項19

前記抗原結合ドメインが多重特異性または多重パラトピックな抗原結合ドメインである請求項1から18のいずれかに記載の抗原結合分子。

請求項20

前記抗原結合ドメインのうち、少なくとも一つの抗原結合ドメインが結合する抗原が癌細胞細胞膜発現する膜型分子、および少なくとも一つの抗原結合ドメインが結合する抗原がエフェクター細胞の細胞膜に発現する膜型分子である請求項19に記載の抗原結合分子。

請求項21

前記エフェクター細胞がNK細胞マクロファージ、またはT細胞である請求項20に記載の抗原結合分子。

請求項22

前記エフェクター細胞の細胞膜に発現する膜型分子がTCRを構成するポリペプチド、CD2、CD3、CD28、CD44、CD16、CD32、CD64、またはNKG2Dである請求項20または21に記載の抗原結合分子。

請求項23

前記抗原結合ドメインのうち、少なくとも一つの抗原結合ドメインが結合する抗原が癌細胞の細胞膜に発現する膜型分子、および少なくとも一つの抗原結合ドメインが結合する抗原が細胞傷害性物質である請求項19に記載の抗原結合分子。

請求項24

前記抗原結合分子が抗体断片である請求項19から23のいずれかに記載の抗原結合分子。

請求項25

前記抗原結合分子が抗体である請求項1から23のいずれかに記載の抗原結合分子。

請求項26

抗原が可溶型分子である請求項1から6のいずれかに記載の抗原結合分子。

請求項27

中和活性を有する抗原結合分子である請求項26に記載の抗原結合分子。

請求項28

Fc領域を含む請求項26または27に記載の抗原結合分子。

請求項29

前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域である請求項28に記載の抗原結合分子。

請求項30

前記Fc領域のpH酸性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のFcRnに対する結合活性より増強されているFc領域である、請求項28に記載の抗原結合分子。

請求項31

前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される238位、244位、245位、249位、250位、251位、252位、253位、254位、255位、256位、257位、258位、260位、262位、265位、270位、272位、279位、283位、285位、286位、288位、293位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、316位、317位、318位、332位、339位、340位、341位、343位、356位、360位、362位、375位、376位、377位、378位、380位、382位、385位、386位、387位、388位、389位、400位、413位、415位、423位、424位、427位、428位、430位、431位、433位、434位、435位、436位、438位、439位、440位、442位または447位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である請求項30に記載の抗原結合分子。

請求項32

前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;238位のアミノ酸がLeu、244位のアミノ酸がLeu、245位のアミノ酸がArg、249位のアミノ酸がPro、250位のアミノ酸がGlnまたはGluのいずれか、もしくは251位のアミノ酸がArg、Asp、Glu、またはLeuのいずれか、252位のアミノ酸がPhe、Ser、Thr、またはTyrのいずれか、254位のアミノ酸がSerまたはThrのいずれか、255位のアミノ酸がArg、Gly、Ile、またはLeuのいずれか、256位のアミノ酸がAla、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Pro、またはThrのいずれか、257位のアミノ酸がAla、Ile、Met、Asn、Ser、またはValのいずれか、258位のアミノ酸がAsp、260位のアミノ酸がSer、262位のアミノ酸がLeu、270位のアミノ酸がLys、272位のアミノ酸がLeu、またはArgのいずれか、279位のアミノ酸がAla、Asp、Gly、His、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、283位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、285位のアミノ酸がAsn、286位のアミノ酸がPhe、288位のアミノ酸がAsn、またはProのいずれか、293位のアミノ酸がVal、307位のアミノ酸がAla、Glu、Gln、またはMetのいずれか、311位のアミノ酸がAla、Glu、Ile、Lys、Leu、Met、Ser 、Val、またはTrpのいずれか、309位のアミノ酸がPro、312位のアミノ酸がAla、Asp、またはProのいずれか、314位のアミノ酸がAlaまたはLeuのいずれか、316位のアミノ酸がLys、317位のアミノ酸がPro、318位のアミノ酸がAsn、またはThrのいずれか、332位のアミノ酸がPhe、His、Lys、Leu、Met、Arg、Ser、またはTrpのいずれか、339位のアミノ酸がAsn、Thr、またはTrpのいずれか、341位のアミノ酸がPro、343位のアミノ酸がGlu、His、Lys、Gln、Arg、Thr、またはTyrのいずれか、375位のアミノ酸がArg、376位のアミノ酸がGly、Ile、Met、Pro、Thr、またはValのいずれか、377位のアミノ酸がLys、378位のアミノ酸がAsp、Asn、またはValのいずれか、380位のアミノ酸がAla、Asn、Ser、またはThrのいずれか382位のアミノ酸がPhe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、385位のアミノ酸がAla、Arg、Asp、Gly、His、Lys、Ser、またはThrのいずれか、386位のアミノ酸がArg、Asp、Ile、Lys、Met、Pro、Ser、またはThrのいずれか、387位のアミノ酸がAla、Arg、His、Pro、Ser、またはThrのいずれか、389位のアミノ酸がAsn、Pro、またはSerのいずれか、423位のアミノ酸がAsn、427位のアミノ酸がAsn、428位のアミノ酸がLeu、Met、Phe、Ser、またはThrのいずれか430位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、またはTyrのいずれか、431位のアミノ酸がHis、またはAsnのいずれか、433位のアミノ酸がArg、Gln、His、Ile、Lys、Pro、またはSerのいずれか、434位のアミノ酸がAla、Gly、His、Phe、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、436位のアミノ酸がArg、Asn、His、Ile、Leu、Lys、Met、またはThrのいずれか、438位のアミノ酸がLys、Leu、Thr、またはTrpのいずれか、440位のアミノ酸がLys、もしくは、442位のアミノ酸がLys、308位のアミノ酸がIle、Pro、またはThrのいずれか、の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸である、請求項31に記載の抗原結合分子。

請求項33

前記Fc領域のpH中性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のFcRnに対する結合活性より増強されているFc領域である、請求項28に記載の抗原結合分子。

請求項34

前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される237位、248位、250位、252位、254位、255位、256位、257位、258位、265位、286位、289位、297位、298位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、315位、317位、332位、334位、360位、376位、380位、382位、384位、385位、386位、387位、389位、424位、428位、433位、434位または436位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である請求項33に記載の抗原結合分子。

請求項35

前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8のいずれかで表されるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;237位のアミノ酸がMet、248位のアミノ酸がIle、250位のアミノ酸がAla、Phe、Ile、Met、Gln、Ser、Val、Trp、またはTyrのいずれか、252位のアミノ酸がPhe、Trp、またはTyrのいずれか、254位のアミノ酸がThr、255位のアミノ酸がGlu、256位のアミノ酸がAsp、Asn、Glu、またはGlnのいずれか、257位のアミノ酸がAla、Gly、Ile、Leu、Met、Asn、Ser、Thr、またはValのいずれか、258位のアミノ酸がHis、265位のアミノ酸がAla、286位のアミノ酸がAlaまたはGluのいずれか、289位のアミノ酸がHis、297位のアミノ酸がAla、303位のアミノ酸がAla、305位のアミノ酸がAla、307位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Val、Trp、またはTyrのいずれか、308位のアミノ酸がAla、Phe、Ile、Leu、Met、Pro、Gln、またはThrのいずれか、309位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Pro、またはArgのいずれか、311位のアミノ酸がAla、His、またはIleのいずれか、312位のアミノ酸がAlaまたはHisのいずれか、314位のアミノ酸がLysまたはArgのいずれか、315位のアミノ酸がAla、AspまたはHisのいずれか、317位のアミノ酸がAla、332位のアミノ酸がVal、334位のアミノ酸がLeu、360位のアミノ酸がHis、376位のアミノ酸がAla、380位のアミノ酸がAla、382位のアミノ酸がAla、384位のアミノ酸がAla、385位のアミノ酸がAspまたはHisのいずれか、386位のアミノ酸がPro、387位のアミノ酸がGlu、389位のアミノ酸がAlaまたはSerのいずれか、424位のアミノ酸がAla、428位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、433位のアミノ酸がLys、434位のアミノ酸がAla、Phe、His、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、もしくは436位のアミノ酸がHis 、Ile、Leu、Phe、Thr、またはVal、の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸である、請求項34に記載の抗原結合分子。

請求項36

前記Fc領域が、活性型Fcγレセプターに対する結合活性よりも抑制型Fcγレセプターに対する結合活性が高いFc領域である、請求項28または30から35のいずれかに記載の抗原結合分子。

請求項37

前記抑制型FcγレセプターがヒトFcγRIIbである、請求項36に記載の抗原結合分子。

請求項38

前記活性型FcγレセプターがヒトFcγRIa、ヒトFcγRIIa(R)、ヒトFcγRIIa(H)、ヒトFcγRIIIa(V)またはヒトFcγRIIIa(F)である、請求項36または37に記載の抗原結合分子。

請求項39

前記Fc領域のEUナンバリングで表される238位または328位のアミノ酸が天然型ヒトIgGのFc領域のアミノ酸と異なるアミノ酸を含む、請求項36から38のいずれかに記載の抗原結合分子。

請求項40

前記Fc領域のEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、または328位のアミノ酸がGluである、請求項39に記載の抗原結合分子。

請求項41

前記Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;233位のアミノ酸がAsp、234位のアミノ酸がTrp、またはTyrのいずれか、237位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Leu、Met、Phe、TrpまたはTyrのいずれか、239位のアミノ酸がAsp、267位のアミノ酸がAla、GlnまたはValのいずれか、268位のアミノ酸がAsn、Asp、またはGluのいずれか、271位のアミノ酸がGly、326位のアミノ酸がAla、Asn、Asp、Gln、Glu、Leu、Met、SerまたはThrのいずれか、330位のアミノ酸がArg、Lys、またはMetのいずれか、323位のアミノ酸がIle、Leu、またはMetのいずれか、もしくは296位のアミノ酸がAsp、の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸である、請求項39または40に記載の抗原結合分子。

請求項42

前記抗原結合分子が抗体である請求項26から41のいずれかに記載の抗原結合分子。

請求項43

標的組織特異的な化合物の濃度に応じて抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを選択することを含む、請求項1から42のいずれかに記載の抗原結合分子のスクリーニング方法

請求項44

請求項1から42のいずれかに記載の抗原結合分子を含む医薬組成物

技術分野

0001

本発明は、標的組織特異的な化合物の濃度に応じて抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含む抗原結合分子、当該抗原結合分子の製造方法およびスクリーニング方法、ならびに当該抗原結合分子を含む医薬組成物を提供する。

背景技術

0002

抗体は血漿中での安定性が高く、副作用も少ないことから医薬品として注目されている。中でもIgG型の抗体医薬は多数上市されており、現在も数多くの抗体医薬が開発されている(非特許文献1、および非特許文献2)。

0003

抗体医薬を用いた癌治療薬として、これまでのCD20抗原に対するリツキサン、EGFR抗原に対するセツキシマブHER2抗原に対するハーセプチン等が承認されている(非特許文献3)。これらの抗体分子は、癌細胞発現している抗原に対して結合し、ADCC等によって癌細胞に対する傷害活性を発揮する。こうしたADCC等による細胞傷害活性は、治療用抗体標的細胞に発現する抗原の数に依存することが知られている(非特許文献4)ため、標的となる抗原の発現量が高いことが治療用抗体の効果の観点からは好ましい。しかし、抗原の発現量が高くても、正常組織に抗原が発現していると、正常細胞に対してADCC等の傷害活性を発揮してしまうため、副作用が大きな問題となる。そのため、癌治療薬として治療用抗体が標的とする抗原は、癌細胞に特異的に発現していることが好ましい。例えば、癌抗原として知られているEpCAM抗原に対する抗体分子は、癌治療薬として有望と考えられていたが、EpCAM抗原は膵臓にも発現していることが知られており、実際、臨床試験において、抗EpCAM抗体投与することによって、膵臓に対する細胞傷害活性により膵炎の副作用がみられることが報告されている(非特許文献5)。

0004

ADCC活性による細胞傷害活性を発揮する抗体医薬の成功を受けて、天然型ヒトIgG1のFc領域N型糖鎖フコースを除去することによるADCC活性の増強(非特許文献6)、天然型ヒトIgG1のFc領域のアミノ酸置換によりFcγRIIIaへの結合を増強することによるADCC活性の増強(非特許文献7)等によって強力な細胞傷害活性を発揮する第二世代の改良抗体分子が報告されている。上述のNK細胞が介在するADCC活性以外のメカニズムで癌細胞に傷害活性を発揮する抗体医薬として、強力な細胞傷害活性のある薬物を抗体とコンジュゲートしたAntibody Drug Conjugate(ADC)(非特許文献8)、および、T細胞を癌細胞にリクルートすることによって癌細胞に対する傷害活性を発揮する低分子抗体(非特許文献9)等のより強力な細胞傷害活性を発揮する改良抗体分子も報告されている。

0005

こうしたより強力な細胞傷害活性を発揮する抗体分子は、抗原の発現が多くはない癌細胞に対しても細胞傷害活性を発揮することが出来る一方で、抗原の発現が少ない正常組織に対しても同様に細胞傷害活性を発揮してしまう。実際、EGFR抗原に対する天然型ヒトIgG1であるセツキシマブと比較して、CD3とEGFRに対する二重特異性抗体であるEGFR-BiTEはT細胞を癌細胞にリクルートすることによって癌細胞に対して強力な細胞傷害活性を発揮し抗腫瘍効果を発揮することができる。その一方で、EGFRは正常組織においても発現しているため、EGFR-BiTEをカニクイザルに投与した際に深刻な副作用が現れることも認められている(非特許文献10)。また、癌細胞で高発現しているCD44v6に対する抗体にmertansineを結合させたADCであるbivatuzumab mertansineは、CD44v6が正常組織においても発現していることから、臨床において重篤な皮膚毒性&肝毒性が認められている(非特許文献11)。

0006

このように抗原の発現が少ないような癌細胞に対しても強力な細胞傷害活性を発揮することが出来る抗体を用いた場合、標的抗原が極めて癌特異的に発現している必要があるが、ハーセプチンの標的抗原であるHER2やセツキシマブの標的抗原であるEGFRは正常組織にも発現しているように、極度に癌特異的に発現している癌抗原の数は限られていると考えられる。そのため、癌に対する細胞傷害活性を強化することはできるものの、正常組織に対する細胞傷害作用による副作用が問題となり得る。

0007

また、最近、癌における免疫抑制に寄与しているCTLA4を阻害することによって腫瘍免疫を増強するイプリムマブが転移性メラノーマに対してOverall survivalを延長させることが示された(非特許文献12)。しかしながら、イプリムマブはCTLA4を全身的に阻害するため、腫瘍免疫が増強される一方で、全身的に免疫が活性化されることによる自己免疫疾患様の重篤な副作用を示すことが問題となっている(非特許文献13)。

0008

一方、癌以外の疾患に対する抗体医薬として、炎症性・自己免疫疾患において炎症サイトカインを阻害することで治療効果を発揮する抗体医薬が知られている(非特許文献14)。例えばTNFを標的とするレミケードヒュミラ、および、IL-6Rを標的とするアクムラは、関節リウマチに対して高い治療効果を発揮するが、一方、これらのサイトカインを全身的に中和することにより感染症の副作用が見られることも知られている(非特許文献15)。

0009

第二世代の抗体医薬に適用可能な技術として様々な技術が開発されており、エフェクター機能抗原結合能薬物動態、安定性を向上させる、あるいは、免疫原性リスクを低減させる技術等が報告されているが(非特許文献16)、上記のような副作用を解決するための、抗体医薬を標的組織に特異的に作用可能とする技術はほとんど報告されていない。例えば、癌組織や炎症性組織のような病変部位については、これらの標的組織におけるpHが酸性条件であることを利用したpH依存性抗体が報告されている(特許文献1、および2)。しかしながら、癌組織や炎症性組織における正常組織と比較したpHの低下(すなわち水素イオン濃度の上昇)は僅かであり、分子量が極めて小さい水素イオン濃度の僅かな上昇を検知して作用する抗体を作製することは困難であると同時に、破骨細胞骨吸収領域等正常組織や対象とする病変以外の組織でもpHが酸性条件である場合もあり、pHの条件が病変部位に特異的な環境因子として利用するにはなお多くの課題があると考えられた。一方、癌組織や炎症性組織のような病変部位で発現するプロテアーゼで切断されることによって、初めて抗原結合活性を発揮する抗体を作製する方法が報告されている(特許文献3)。しかし、プロテアーゼによる抗体の切断は不可逆的であるため、当該病変部位で切断された抗体が、正常組織に血流に乗って戻ることで正常組織でも抗原に結合できてしまうことが課題であると考えられた。また、そのようなプロテアーゼの癌特異性にも課題があると考えられた。そのため、副作用を回避しつつ薬効を発揮するために、正常組織や血液中において全身的に作用せず、病変部位である癌や炎症部位において可逆的に作用するような技術は知られていない。

0010

国際公開第WO2003/105757号
国際公開第WO2012/033953号
国際公開第WO2010/081173号

先行技術

0011

Monoclonal antibody successes in the clinic. Janice M Reichert, Clark J Rosensweig, Laura B Faden & Matthew C Dewitz, Nat. Biotechnol. (2005) 23, 1073 - 1078
The therapeutic antibodies market to 2008. Pavlou AK, Belsey MJ., Eur. J. Pharm. Biopharm. (2005) 59 (3), 389-396
Monoclonal antibodies: versatile platforms for cancer immunotherapy. Weiner LM, Surana R, Wang S., Nat. Rev. Immunol. (2010) 10 (5), 317-327
Differential responses of human tumor cell lines to anti-p185HER2 monoclonal antibodies. LewisGD, Figari I, Fendly B, Wong WL, Carter P, Gorman C, Shepard HM, Cancer Immunol. Immunotherapy (1993) 37, 255-263
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発明が解決しようとする課題

0012

本発明は、このような情況に鑑みて為されたものであり、その目的は、標的組織に起因する疾患の治療に有用な医薬組成物、およびその有効成分を提供することにある。また、併せて、当該医薬組成物および当該有効成分のスクリーニング方法ならびに製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を進めたところ、標的組織特異的な化合物の濃度に応じて抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含む抗原結合分子を創作した。また、本発明者らは、当該抗原結合分子または当該抗原結合分子を含む医薬組成物が、標的組織に起因する疾患の治療に有用であることを見出すとともに、当該抗原結合分子を投与することを含む標的組織に起因する疾患の治療に有用であること、および標的組織に起因する疾患の治療のための医薬の製造において当該抗原結合分子が有用であることを見出した。また、本発明者らは、当該抗原結合分子のスクリーニング方法および製造方法を創作して本発明を完成させた。

0014

すなわち、本発明は以下;
(1)標的組織特異的な化合物の濃度に応じて抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含む抗原結合分子、
(2)標的組織が癌組織である(1)に記載の抗原結合分子、
(3)前記癌組織特異的な化合物が、癌細胞特異的代謝産物、癌組織に浸潤している免疫細胞特異的代謝産物、癌組織のストローマ細胞特異的代謝産物である(2)に記載の抗原結合分子、
(4)標的組織が炎症性組織である(1)に記載の抗原結合分子、
(5)前記炎症組織特異的な化合物が、炎症性組織に浸潤している免疫細胞特異的代謝産物、炎症組織において傷害を受けている正常細胞特異的代謝産物である(4)に記載の抗原結合分子、
(6)前記標的組織特異的代謝産物が、プリン環構造を有するヌクレオシドアミノ酸とその代謝産物、脂質とその代謝産物、糖代謝一次代謝産物ニコチンアミドとその代謝産物から選択される少なくとも一つの化合物である(1)に記載の抗原結合分子、
(7)前記標的組織特異的代謝産物が、アデノシン、アデノシン3リン酸イノシンアラニングルタミン酸アスパラギン酸キヌレニンプロスタグランジンE2、コハク酸クエン酸、または1-メチルニコチンアミドから選択される少なくとも一つの化合物である(6)に記載の抗原結合分子、
(8)抗原が膜型分子である(1)から(7)のいずれかに記載の抗原結合分子。
(9)中和活性を有する抗原結合分子である(1)から(8)のいずれかに記載の抗原結合分子、
(10)細胞傷害活性を有する抗原結合分子である(1)から(9)のいずれかに記載の抗原結合分子、
(11)Fc領域を含む(1)から(10)のいずれかに記載の抗原結合分子、
(12)前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域である(11)に記載の抗原結合分子、
(13)前記Fc領域が、天然型ヒトIgGのFc領域のFcγレセプターに対する結合活性よりもFcγレセプターに対する結合活性が高いFcγR結合改変Fc領域を含む(11)に記載の抗原結合分子、
(14)前記FcγR結合改変Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される221位、222位、223位、224位、225位、227位、228位、230位、231位、232位、233位、234位、235位、236位、237位、238位、239位、240位、241位、243位、244位、245位、246位、247位、249位、250位、251位、254位、255位、256位、258位、260位、262位、263位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、270位、271位、272位、273位、274位、275位、276位、278位、279位、280位、281位、282位、283位、284位、285位、286位、288位、290位、291位、292位、293位、294位、295位、296位、297位、298位、299位、300位、301位、302位、303位、304位、305位、311位、313位、315位、317位、318位、320位、322位、323位、324位、325位、326位、327位、328位、329位、330位、331位、332位、333位、334位、335位、336位、337位、339位、376位、377位、378位、379位、380位、382位、385位、392位、396位、421位、427位、428位、429位、434位、436位または440位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が天然型ヒトIgGのFc領域のアミノ酸と異なるアミノ酸を含む(13)に記載の抗原結合分子、
(15)前記FcγR結合改変Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
221位のアミノ酸がLysまたはTyrのいずれか、
222位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはTyrのいずれか、
223位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはLysのいずれか、
224位のアミノ酸がPhe、Trp、GluまたはTyrのいずれか、
225位のアミノ酸がGlu、LysまたはTrpのいずれか、
227位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、
228位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、
230位のアミノ酸がAla、Glu、GlyまたはTyrのいずれか、
231位のアミノ酸がGlu、Gly、Lys、ProまたはTyrのいずれか、
232位のアミノ酸がGlu、Gly、LysまたはTyrのいずれか、
233位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
234位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
235位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
236位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
237位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
238位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
239位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
240位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、
241位のアミノ酸がAsp、Glu、Leu、Arg、TrpまたはTyrのいずれか、
243位のアミノ酸がLeu、Glu、Leu、Gln、Arg、TrpまたはTyrのいずれか、
244位のアミノ酸がHis、
245位のアミノ酸がAla、
246位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、
247位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
249位のアミノ酸がGlu、His、GlnまたはTyrのいずれか、
250位のアミノ酸がGluまたはGlnのいずれか、
251位のアミノ酸がPhe、
254位のアミノ酸がPhe、MetまたはTyrのいずれか、
255位のアミノ酸がGlu、LeuまたはTyrのいずれか、
256位のアミノ酸がAla、MetまたはProのいずれか、
258位のアミノ酸がAsp、Glu、His、SerまたはTyrのいずれか、
260位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、
262位のアミノ酸がAla、Glu、Phe、IleまたはThrのいずれか、
263位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、
264位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、
265位のアミノ酸がAla、Leu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
266位のアミノ酸がAla、Ile、MetまたはThrのいずれか、
267位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
268位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Thr、ValまたはTrpのいずれか、
269位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
270位のアミノ酸がGlu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、
271位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
272位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
273位のアミノ酸がPheまたはIleのいずれか、
274位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
275位のアミノ酸がLeuまたはTrpのいずれか、
276位のアミノ酸が、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
278位のアミノ酸がAsp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、ValまたはTrpのいずれか、
279位のアミノ酸がAla、
280位のアミノ酸がAla、Gly、His、Lys、Leu、Pro、Gln、TrpまたはTyrのいずれか、
281位のアミノ酸がAsp、Lys、ProまたはTyrのいずれか、
282位のアミノ酸がGlu、Gly、Lys、ProまたはTyrのいずれか、
283位のアミノ酸がAla、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、ArgまたはTyrのいずれか、
284位のアミノ酸がAsp、Glu、Leu、Asn、ThrまたはTyrのいずれか、
285位のアミノ酸がAsp、Glu、Lys、Gln、TrpまたはTyrのいずれか、
286位のアミノ酸がGlu、Gly、ProまたはTyrのいずれか、
288位のアミノ酸がAsn、Asp、GluまたはTyrのいずれか、
290位のアミノ酸がAsp、Gly、His、Leu、Asn、Ser、Thr、TrpまたはTyrのいずれか、
291位のアミノ酸がAsp、Glu、Gly、His、Ile、GlnまたはThrのいずれか、
292位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Pro、ThrまたはTyrのいずれか、
293位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
294位のアミノ酸がPhe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
295位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
296位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、ThrまたはValのいずれか、
297位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
298位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、Met、Asn、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
299位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
300位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、ValまたはTrpのいずれか、
301位のアミノ酸がAsp、Glu、HisまたはTyrのいずれか、
302位のアミノ酸がIle、
303位のアミノ酸がAsp、GlyまたはTyrのいずれか、
304位のアミノ酸がAsp、His、Leu、AsnまたはThrのいずれか、
305位のアミノ酸がGlu、Ile、ThrまたはTyrのいずれか、
311位のアミノ酸がAla、Asp、Asn、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
313位のアミノ酸がPhe、
315位のアミノ酸がLeu、
317位のアミノ酸がGluまたはGln、
318位のアミノ酸がHis、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
320位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Asn、Pro、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
322位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Pro、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
323位のアミノ酸がIle、
324位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
325位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
326位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Gly、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
327位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
328位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
329位のアミノ酸がAsp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
330位のアミノ酸がCys、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
331位のアミノ酸がAsp、Phe、His、Ile、Leu、Met、Gln、Arg、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
332位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
333位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Pro、Ser、Thr、ValまたはTyrのいずれか、
334位のアミノ酸がAla、Glu、Phe、Ile、Leu、ProまたはThrのいずれか、
335位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Val、TrpまたはTyrのいずれか、
336位のアミノ酸がGlu、LysまたはTyrのいずれか、
337位のアミノ酸がGlu、HisまたはAsnのいずれか、
339位のアミノ酸がAsp、Phe、Gly、Ile、Lys、Met、Asn、Gln、Arg、SerまたはThrのいずれか、
376位のアミノ酸がAlaまたはValのいずれか、
377位のアミノ酸がGlyまたはLysのいずれか、
378位のアミノ酸がAsp、
379位のアミノ酸がAsn、
380位のアミノ酸がAla、AsnまたはSerのいずれか、
382位のアミノ酸がAlaまたはIleのいずれか、
385位のアミノ酸がGlu、
392位のアミノ酸がThr、
396位のアミノ酸がLeu、
421位のアミノ酸がLys、
427位のアミノ酸がAsn、
428位のアミノ酸がPheまたはLeuのいずれか、
429位のアミノ酸がMet、
434位のアミノ酸がTrp、
436位のアミノ酸がIle、もしくは
440位のアミノ酸がGly、His、Ile、LeuまたはTyrのいずれか、
の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸を含む(14)に記載の抗原結合分子、
(16)前記Fc領域が、Fc領域のEUナンバリング297位に結合した糖鎖の組成がフコース欠損糖鎖を結合したFc領域の割合が高くなるように、またはバイクティングN-アセチルグルコサミンが付加したFc領域の割合が高くなるように修飾されたFc領域である(11)に記載の抗原結合分子、
(17)前記Fc領域のpH酸性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:5、6、7、または8のいずれかで表されるFc領域の結合活性より増強されているFc領域である、(11)、(13)から(16)のいずれかに記載の抗原結合分子、
(18)前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される238位、244位、245位、249位、250位、251位、252位、253位、254位、255位、256位、257位、258位、260位、262位、265位、270位、272位、279位、283位、285位、286位、288位、293位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、316位、317位、318位、332位、339位、340位、341位、343位、356位、360位、362位、375位、376位、377位、378位、380位、382位、385位、386位、387位、388位、389位、400位、413位、415位、423位、424位、427位、428位、430位、431位、433位、434位、435位、436位、438位、439位、440位、442位または447位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である(17)に記載の抗原結合分子、
(19)前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
238位のアミノ酸がLeu、
244位のアミノ酸がLeu、
245位のアミノ酸がArg、
249位のアミノ酸がPro、
250位のアミノ酸がGlnまたはGluのいずれか、もしくは
251位のアミノ酸がArg、Asp、Glu、またはLeuのいずれか、
252位のアミノ酸がPhe、Ser、Thr、またはTyrのいずれか、
254位のアミノ酸がSerまたはThrのいずれか、
255位のアミノ酸がArg、Gly、Ile、またはLeuのいずれか、
256位のアミノ酸がAla、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Pro、またはThrのいずれか、
257位のアミノ酸がAla、Ile、Met、Asn、Ser、またはValのいずれか、
258位のアミノ酸がAsp、
260位のアミノ酸がSer、
262位のアミノ酸がLeu、
270位のアミノ酸がLys、
272位のアミノ酸がLeu、またはArgのいずれか、
279位のアミノ酸がAla、Asp、Gly、His、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
283位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
285位のアミノ酸がAsn、
286位のアミノ酸がPhe、
288位のアミノ酸がAsn、またはProのいずれか、
293位のアミノ酸がVal、
307位のアミノ酸がAla、Glu、Gln、またはMetのいずれか、
311位のアミノ酸がAla、Glu、Ile、Lys、Leu、Met、Ser 、Val、またはTrpのいずれか、
309位のアミノ酸がPro、
312位のアミノ酸がAla、Asp、またはProのいずれか、
314位のアミノ酸がAlaまたはLeuのいずれか、
316位のアミノ酸がLys、
317位のアミノ酸がPro、
318位のアミノ酸がAsn、またはThrのいずれか、
332位のアミノ酸がPhe、His、Lys、Leu、Met、Arg、Ser、またはTrpのいずれか、
339位のアミノ酸がAsn、Thr、またはTrpのいずれか、
341位のアミノ酸がPro、
343位のアミノ酸がGlu、His、Lys、Gln、Arg、Thr、またはTyrのいずれか、
375位のアミノ酸がArg、
376位のアミノ酸がGly、Ile、Met、Pro、Thr、またはValのいずれか、
377位のアミノ酸がLys、
378位のアミノ酸がAsp、Asn、またはValのいずれか、
380位のアミノ酸がAla、Asn、Ser、またはThrのいずれか
382位のアミノ酸がPhe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
385位のアミノ酸がAla、Arg、Asp、Gly、His、Lys、Ser、またはThrのいずれか、
386位のアミノ酸がArg、Asp、Ile、Lys、Met、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
387位のアミノ酸がAla、Arg、His、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
389位のアミノ酸がAsn、Pro、またはSerのいずれか、
423位のアミノ酸がAsn、
427位のアミノ酸がAsn、
428位のアミノ酸がLeu、Met、Phe、Ser、またはThrのいずれか
430位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、またはTyrのいずれか、
431位のアミノ酸がHis、またはAsnのいずれか、
433位のアミノ酸がArg、Gln、His、Ile、Lys、Pro、またはSerのいずれか、
434位のアミノ酸がAla、Gly、His、Phe、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、
436位のアミノ酸がArg、Asn、His、Ile、Leu、Lys、Met、またはThrのいずれか、
438位のアミノ酸がLys、Leu、Thr、またはTrpのいずれか、
440位のアミノ酸がLys、もしくは、
442位のアミノ酸がLys、308位のアミノ酸がIle、Pro、またはThrのいずれか、
の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸である、(18)に記載の抗原結合分子、
(20)前記抗原結合ドメインが多重特異性または多重パラトピックな抗原結合ドメインである(1)から(19)のいずれかに記載の抗原結合分子、
(21)前記抗原結合ドメインのうち、少なくとも一つの抗原結合ドメインが結合する抗原が癌細胞の細胞膜に発現する膜型分子、および少なくとも一つの抗原結合ドメインが結合する抗原がエフェクター細胞の細胞膜に発現する膜型分子である(20)に記載の抗原結合分子、
(22)前記エフェクター細胞がNK細胞、マクロファージ、またはT細胞である(21)に記載の抗原結合分子、
(23)前記エフェクター細胞の細胞膜に発現する膜型分子がTCRを構成するポリペプチド、CD2、CD3、CD28、CD44、CD16、CD32、CD64、またはNKG2Dである(21)または(22)に記載の抗原結合分子、
(24)前記抗原結合ドメインのうち、少なくとも一つの抗原結合ドメインが結合する抗原が癌細胞の細胞膜に発現する膜型分子、および少なくとも一つの抗原結合ドメインが結合する抗原が細胞傷害性物質である(20)に記載の抗原結合分子、
(25)前記抗原結合分子が抗体断片である(20)から(24)のいずれかに記載の抗原結合分子、
(26)前記抗原結合分子が抗体である(1)から(24)のいずれかに記載の意抗原結合分子、
(27)抗原が可溶型分子である(1)から(7)のいずれかに記載の抗原結合分子、
(28)中和活性を有する抗原結合分子である(27)に記載の抗原結合分子、
(29)Fc領域を含む(27)または(28)に記載の抗原結合分子、
(30)前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域である(29)に記載の抗原結合分子、
(31) 前記Fc領域のpH酸性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のFcRnに対する結合活性より増強されているFc領域である、(29)に記載の抗原結合分子、
(32) 前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される238位、244位、245位、249位、250位、251位、252位、253位、254位、255位、256位、257位、258位、260位、262位、265位、270位、272位、279位、283位、285位、286位、288位、293位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、316位、317位、318位、332位、339位、340位、341位、343位、356位、360位、362位、375位、376位、377位、378位、380位、382位、385位、386位、387位、388位、389位、400位、413位、415位、423位、424位、427位、428位、430位、431位、433位、434位、435位、436位、438位、439位、440位、442位または447位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である(31)に記載の抗原結合分子、
(33)前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
238位のアミノ酸がLeu、
244位のアミノ酸がLeu、
245位のアミノ酸がArg、
249位のアミノ酸がPro、
250位のアミノ酸がGlnまたはGluのいずれか、もしくは
251位のアミノ酸がArg、Asp、Glu、またはLeuのいずれか、
252位のアミノ酸がPhe、Ser、Thr、またはTyrのいずれか、
254位のアミノ酸がSerまたはThrのいずれか、
255位のアミノ酸がArg、Gly、Ile、またはLeuのいずれか、
256位のアミノ酸がAla、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Pro、またはThrのいずれか、
257位のアミノ酸がAla、Ile、Met、Asn、Ser、またはValのいずれか、
258位のアミノ酸がAsp、
260位のアミノ酸がSer、
262位のアミノ酸がLeu、
270位のアミノ酸がLys、
272位のアミノ酸がLeu、またはArgのいずれか、
279位のアミノ酸がAla、Asp、Gly、His、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
283位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Trp、またはTyrのいずれか、
285位のアミノ酸がAsn、
286位のアミノ酸がPhe、
288位のアミノ酸がAsn、またはProのいずれか、
293位のアミノ酸がVal、
307位のアミノ酸がAla、Glu、Gln、またはMetのいずれか、
311位のアミノ酸がAla、Glu、Ile、Lys、Leu、Met、Ser 、Val、またはTrpのいずれか、
309位のアミノ酸がPro、
312位のアミノ酸がAla、Asp、またはProのいずれか、
314位のアミノ酸がAlaまたはLeuのいずれか、
316位のアミノ酸がLys、
317位のアミノ酸がPro、
318位のアミノ酸がAsn、またはThrのいずれか、
332位のアミノ酸がPhe、His、Lys、Leu、Met、Arg、Ser、またはTrpのいずれか、
339位のアミノ酸がAsn、Thr、またはTrpのいずれか、
341位のアミノ酸がPro、
343位のアミノ酸がGlu、His、Lys、Gln、Arg、Thr、またはTyrのいずれか、
375位のアミノ酸がArg、
376位のアミノ酸がGly、Ile、Met、Pro、Thr、またはValのいずれか、
377位のアミノ酸がLys、
378位のアミノ酸がAsp、Asn、またはValのいずれか、
380位のアミノ酸がAla、Asn、Ser、またはThrのいずれか
382位のアミノ酸がPhe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
385位のアミノ酸がAla、Arg、Asp、Gly、His、Lys、Ser、またはThrのいずれか、
386位のアミノ酸がArg、Asp、Ile、Lys、Met、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
387位のアミノ酸がAla、Arg、His、Pro、Ser、またはThrのいずれか、
389位のアミノ酸がAsn、Pro、またはSerのいずれか、
423位のアミノ酸がAsn、
427位のアミノ酸がAsn、
428位のアミノ酸がLeu、Met、Phe、Ser、またはThrのいずれか
430位のアミノ酸がAla、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、またはTyrのいずれか、
431位のアミノ酸がHis、またはAsnのいずれか、
433位のアミノ酸がArg、Gln、His、Ile、Lys、Pro、またはSerのいずれか、
434位のアミノ酸がAla、Gly、His、Phe、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、
436位のアミノ酸がArg、Asn、His、Ile、Leu、Lys、Met、またはThrのいずれか、
438位のアミノ酸がLys、Leu、Thr、またはTrpのいずれか、
440位のアミノ酸がLys、もしくは、
442位のアミノ酸がLys、308位のアミノ酸がIle、Pro、またはThrのいずれか、
の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸である、(32)に記載の抗原結合分子、
(34)前記Fc領域のpH中性域の条件下でのFcRnに対する結合活性が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のFcRnに対する結合活性より増強されているFc領域である、(29)に記載の抗原結合分子、
(35)前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される237位、248位、250位、252位、254位、255位、256位、257位、258位、265位、286位、289位、297位、298位、303位、305位、307位、308位、309位、311位、312位、314位、315位、317位、332位、334位、360位、376位、380位、382位、384位、385位、386位、387位、389位、424位、428位、433位、434位または436位の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸が置換されているFc領域である(34)に記載の抗原結合分子、
(36)前記Fc領域が、配列番号:5、6、7、または8に記載の定常領域に含まれるFc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
237位のアミノ酸がMet、
248位のアミノ酸がIle、
250位のアミノ酸がAla、Phe、Ile、Met、Gln、Ser、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
252位のアミノ酸がPhe、Trp、またはTyrのいずれか、
254位のアミノ酸がThr、
255位のアミノ酸がGlu、
256位のアミノ酸がAsp、Asn、Glu、またはGlnのいずれか、
257位のアミノ酸がAla、Gly、Ile、Leu、Met、Asn、Ser、Thr、またはValのいずれか、
258位のアミノ酸がHis、
265位のアミノ酸がAla、
286位のアミノ酸がAlaまたはGluのいずれか、
289位のアミノ酸がHis、
297位のアミノ酸がAla、
303位のアミノ酸がAla、
305位のアミノ酸がAla、
307位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
308位のアミノ酸がAla、Phe、Ile、Leu、Met、Pro、Gln、またはThrのいずれか、
309位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Pro、またはArgのいずれか、
311位のアミノ酸がAla、His、またはIleのいずれか、
312位のアミノ酸がAlaまたはHisのいずれか、
314位のアミノ酸がLysまたはArgのいずれか、
315位のアミノ酸がAla、AspまたはHisのいずれか、
317位のアミノ酸がAla、
332位のアミノ酸がVal、
334位のアミノ酸がLeu、
360位のアミノ酸がHis、
376位のアミノ酸がAla、
380位のアミノ酸がAla、
382位のアミノ酸がAla、
384位のアミノ酸がAla、
385位のアミノ酸がAspまたはHisのいずれか、
386位のアミノ酸がPro、
387位のアミノ酸がGlu、
389位のアミノ酸がAlaまたはSerのいずれか、
424位のアミノ酸がAla、
428位のアミノ酸がAla、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Asn、Pro、Gln、Ser、Thr、Val、Trp、またはTyrのいずれか、
433位のアミノ酸がLys、
434位のアミノ酸がAla、Phe、His、Ser、Trp、またはTyrのいずれか、もしくは
436位のアミノ酸がHis 、Ile、Leu、Phe、Thr、またはVal、
の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸である、(35)に記載の抗原結合分子、
(37)前記Fc領域が、活性型Fcγレセプターに対する結合活性よりも抑制型Fcγレセプターに対する結合活性が高いFc領域である、(29)または(31)から(36)のいずれかに記載の抗原結合分子、
(38)前記抑制型FcγレセプターがヒトFcγRIIbである、(37)に記載の抗原結合分子、
(39)前記活性型FcγレセプターがヒトFcγRIa、ヒトFcγRIIa(R)、ヒトFcγRIIa(H)、ヒトFcγRIIIa(V)またはヒトFcγRIIIa(F)である、(37)または(38)に記載の抗原結合分子、
(40)前記Fc領域のEUナンバリングで表される238位または328位のアミノ酸が天然型ヒトIgGのFc領域のアミノ酸と異なるアミノ酸を含む、(37)から(39)のいずれかに記載の抗原結合分子、
(41)前記Fc領域のEUナンバリングで表される238位のアミノ酸がAsp、または328位のアミノ酸がGluである、(40)に記載の抗原結合分子、
(42)前記Fc領域のアミノ酸配列のうち、EUナンバリングで表される;
233位のアミノ酸がAsp、
234位のアミノ酸がTrp、またはTyrのいずれか、
237位のアミノ酸がAla、Asp、Glu、Leu、Met、Phe、TrpまたはTyrのいずれか、
239位のアミノ酸がAsp、
267位のアミノ酸がAla、GlnまたはValのいずれか、
268位のアミノ酸がAsn、Asp、またはGluのいずれか、
271位のアミノ酸がGly、
326位のアミノ酸がAla、Asn、Asp、Gln、Glu、Leu、Met、SerまたはThrのいずれか、
330位のアミノ酸がArg、Lys、またはMetのいずれか、
323位のアミノ酸がIle、Leu、またはMetのいずれか、もしくは
296位のアミノ酸がAsp、
の群から選択される少なくとも一つ以上のアミノ酸である、(40)または(41)に記載の抗原結合分子、
(43)前記抗原結合分子が抗体である(27)から(42)のいずれかに記載の抗原結合分子、
(44)標的組織特異的な化合物の濃度に応じて抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを選択することを含む、(1)から(43)のいずれかに記載の抗原結合分子の製造方法、
(45)標的組織特異的な化合物の濃度に応じて抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを選択することを含む、(1)から(43)のいずれかに記載の抗原結合分子のスクリーニング方法、
(46)(1)から(43)のいずれかに記載の抗原結合分子を含む医薬組成物、
を提供するものである。

図面の簡単な説明

0015

低分子が存在しない正常の環境においては低分子スイッチ抗体(Small molecule switch antibody)が抗原に結合せず、低分子が高濃度で存在する標的組織では抗原に結合することを示す図である。
低分子抗体と抗原の複合体に挟まれることによって、低分子がスイッチ機能を果たすことを示す図である。低分子が存在しなければ抗体と抗原の相互作用が不十分となり抗体は抗原に結合することができないが、低分子が存在すれば抗体と抗原の間に挟まることによって、抗体は抗原に結合することが可能となる。
抗体のヒトIL-6に対する結合ELISAの結果を示す図である。縦軸は各低分子の有無により各抗体のヒトIL-6への結合活性を評価した吸光度の値である。
100μmol/L kynurenine存在下、非存在下におけるA11と4μmol/LヒトIL-6との相互作用のセンサーグラムである。
1μmol/LのIL-6をアナライトとして60秒間相互作用させた際の、センサーチップCM5上に固定化したA11に対する結合のレスポンスの変化を評価したグラフである。縦軸はIL-6相互作用前後でのレスポンスの変化(RU)、横軸はその時の溶液中に含まれるkynurenine濃度(μmol/L)を表す。
1μmol/LのIL-6をアナライトとして60秒間相互作用させた際の、センサーチップCM5上に固定化したH01に対するレスポンスを評価したグラフである。縦軸はIL-6相互作用前後でのレスポンスの変化(RU)、横軸はその時の溶液中に含まれるkynurenine濃度(μmol/L)を表す。
0.1μmol/LのA11をアナライトとして60秒間相互作用させ、センサーチップCM5上に固定化したIL-6に対するレスポンスを評価したグラフである。縦軸はA11相互作用前後でのレスポンスの変化(RU)、横軸は溶液中に含まれるkynurenine濃度(μmol/L)を表す。
センサーチップCM5に固定化したIL-6に対して、100μmol/L kynurenine存在下でA11を相互作用させ、その後100μmol/L kynurenineを含むバッファーまたはkynurenineを含まないバッファー条件下におけるA11のIL6からの解離を観察したグラフである。図の縦軸は100μmol/L kynurenine存在下でのA11の結合量を100としてnormalizeした値を、横軸は相互作用開始後からの経過時間(秒)を表す。
センサーチップ上に固定化したIL-6に対して、800, 400, 200, 100, 50, 25 nmol/Lのkynurenineを相互作用させた際に得られたセンサーグラムである。縦軸はkynurenineのIL-6に対する結合量の変化(RU)を表し(相互作用実験開始時のレスポンスを0とした)、横軸は相互作用実験開始時からの経過時間を表す。
ウサギへの免疫に使用したアデノシンアナログである2'-Adenosine-PEG- peptideの構造を示す図である。
ウサギへの免疫に使用したアデノシンアナログである5'-Adenosine-PEG- peptideの構造を示す図である。
ウサギへの免疫に使用したアデノシンアナログのペプチド部分ビオチンに置換した2'-Adenosine-PEG-biotinの構造を示す図である。
ウサギへの免疫に使用したアデノシンアナログのペプチド部分をビオチンに置換した5'-Adenosine-PEG-biotinの構造を示す図である。
各抗体を2'-Adenosine-PEG-Biotinと相互作用させた際の結合量を各抗体のキャプチャー量(RU)で割った値(N_binding_100)を縦軸に、2'-Adenosine-PEG-Biotinの相互作用後に各抗体から2'-Adenosine-PEG-Biotinが解離した60秒後の値を各抗体のキャプチャー量(RU)で割った値(N_stability_100)を横軸に表す図である。
クローンSMB0002がアデノシンに結合すること(相互作用)を示す表面プラズモン共鳴分析のセンサーグラムである。センサーグラムは下から順に7.81、31.3、125、500 nMの抗原とSMB0002との相互作用を表している。
クローンSMB0002がATPに結合すること(相互作用)を示す表面プラズモン共鳴分析のセンサーグラムである。センサーグラムは下から順に78.1、313、1250、5000 nMの抗原とSMB0002との相互作用を表している。
クローンSMB0089がアデノシンに結合すること(相互作用)を示す表面プラズモン共鳴分析のセンサーグラムである。センサーグラムは下から順に7.81、31.3、125、500 nMの抗原とSMB0089との相互作用を表している。
クローンSMB0089がATPに結合すること(相互作用)を示す表面プラズモン共鳴分析のセンサーグラムである。センサーグラムは下から順に78.1、313、1250、5000 nMの抗原とSMB00089との相互作用を表している。
クローンSMB0104がアデノシンに結合すること(相互作用)を示す表面プラズモン共鳴分析のセンサーグラムである。センサーグラムは下から順に7.81、31.3、500 nMの抗原とSMB0104との相互作用を表している。
クローンSMB0104がATPに結合すること(相互作用)を示す表面プラズモン共鳴分析のセンサーグラムである。センサーグラムは下から順に78.1、313、1250、5000 nMの抗原とSMB0104との相互作用を表している。
クローンSMB0171がATPに結合すること(相互作用)を示す表面プラズモン共鳴分析のセンサーグラムである。センサーグラムは下から順に5、50 μMの抗原とSMB0171との相互作用を表している。
クローンSMB0002がアデノシンおよびATPに結合することを示す競合ELISAの結果を示す図である。
ATNLSA1-4_D12のビオチン標識抗原(5'-Adenosine-PEG-biotin, ATP-PEG-biotinの混合)結合に対するATPによる阻害能を評価した図である。
アデノシンあるいはATPが抗体と抗原の間に挟まり、抗原と接する抗体可変領域部分をライブラリ化することで、任意の抗原に対してアデノシン/ATPスイッチ抗体を取得できるラショナルデザイン抗体ライブラリコンセプトを示す図である。
アデノシンあるいはATPが抗体と抗原の間に挟まり、任意の抗原に対してアデノシン/ATPスイッチ抗体を取得できるアデノシン免疫ウサギ抗体ライブラリのコンセプトを示す図である。
抗体のヒトIL-6に対する結合ELISAの結果を示す図である。縦軸は450nm波長の吸光度の値で表される、アミノ酸およびアミノ酸代謝物(キヌレニン、トリプトファンフェニルアラニンアントラニル酸、および3-ヒドロキシキヌレニンキヌレン酸)の有無による各抗体のヒトIL-6に対する結合活性を示す。
抗体のヒトIL-6に対する結合ELISAの結果を示す図である。縦軸は450nm波長の吸光度から算出された比活性の値で表される、各低分子(ATP、アデノシン、イノシン、PGE2、コハク酸、乳酸、キヌレニン、低分子カクテル)の有無によるI6NMSC1-3_#03抗体のヒトIL-6に対する結合活性を示す。
抗体のヒトIL-6に対する結合ELISAの結果を示す図である。縦軸は450nm波長の吸光度から算出された比活性の値で表される、各低分子(ATP、アデノシン、イノシン、PGE2、コハク酸、乳酸、キヌレニン、低分子カクテル)の有無によるI6NMSC1-3_#17抗体のヒトIL-6に対する結合活性を示す。
抗体のHSAに対する結合ELISAの結果を示す図である。縦軸は450nm波長の吸光度の値で表される、各低分子(ATP、アデノシン、イノシン、PGE2、コハク酸、乳酸、キヌレニン、低分子カクテル)の有無によるHSNMSC1-4_#22抗体のHSAに対する結合活性を示す。
ラショナルデザイン抗体ライブラリより得られたクローンI6DL2C5-4_076のヒトIL-6に対するATPおよび/またはAdenosine 1 mMの存在/非存在下におけるELISAの結果を示す図である。縦軸は抗体のヒトIL-6への結合活性を評価した吸光度の値である。陰性対照(Negative Control)は、M13KO7 Helper Phageを使用したときの結果を表す。
ラショナルデザイン抗体ライブラリより得られたクローンHSDL3C5-4_015のHuman Serum Albuminに対するATPおよび/またはAdenosine 1 mMの存在/非存在下におけるELISAの結果を示す図である。縦軸は抗体のHuman Serum Albuminへの結合活性を評価した吸光度の値である。陰性対照(Negative Control)は、M13KO7 Helper Phageを使用したときの結果を表す。
ラショナルデザイン抗体ライブラリより得られたクローン6RAD2C1-4_011、および6RAD2C1-4_076のヒトIL-6 Receptorに対するATP及び/またはAdenosine(ADOと記載されている) 1 mMの存在または非存在下、ならび低分子カクテル(SC)の存在または非存在下におけるELISAの結果を示す図である。縦軸は抗体のヒトIL-6 Receptorへの結合活性を評価した吸光度の値である。陰性対照(Negative Control)は、M13KO7 Helper Phageを使用したときの結果を表す。
クローン6RNMSC1-2_F02のヒトIL-6Rに対する結合ELISAの結果を示す図である。縦軸は各低分子の有無により抗体のヒトIL-6Rへの結合活性を評価した吸光度の値である。
クローン6RNMSC1-3_G02のヒトIL-6Rに対する結合ELISAの結果を示す図である。縦軸は各低分子の有無により抗体のヒトIL-6Rへの結合活性を評価した吸光度の値である。
抗体のヒトIL-6Rに対する結合ELISAの結果を示す図である。縦軸は各アミノ酸もしくはアミノ酸代謝物の有無により抗体のヒトIL-6Rへの結合活性を評価した吸光度の値である。
100μmol/L kynurenine存在下、10 mmol/L ATP存在下、kynurenine、ATP非存在下における6RNMSC1-2_F02と1μmol/L IL-6Rとの相互作用のセンサーグラムである。実線はkynurenine存在下の相互作用、点線はATP存在下の相互作用、および破線はこれらの非存在下の相互作用を示す。
センサーチップCM5に固定化したIL-6Rに対して、100μmol/L kynurenine存在下で6RNMSC1-2_F02を相互作用させ、その後100μmol/L kynurenineを含むバッファーまたはkynurenineを含まないバッファー条件下における6RNMSC1-2_F02のIL-6Rからの解離を観察したグラフである。図の縦軸は100 μmol/L kynurenine存在下での6RNMSC1-2_F02の結合量を100としてnormalizeした値を、横軸は相互作用開始後からの経過時間(秒)を表す。実線はkynurenine存在下における6RNMSC1-2_F02のIL-6Rからの解離、点線はkynurenine非存在下における6RNMSC1-2_F02のIL-6Rからの解離を表す。
5μg/Lの6RNMSC1-2_F02をアナライトとして180秒間相互作用させ、センサーチップCM5上に固定化したIL-6Rに対するレスポンスを評価したグラフである。縦軸は6RNMSC1-2_F02を相互作用させた前後でのレスポンスの変化(RU)、横軸は溶液中に含まれるkynurenine濃度(μmol/L)を表す。
抗体の膜型ヒトIL-6Rに対する結合をFCMで評価した図である。上段はKynurenine存在下、下段はKynurenine非存在下での結果である。横軸は蛍光強度を、縦軸は細胞数を示している。
低分子存在下で抗原に結合する抗体による抗原を発現する細胞に対するADCC活性を示す図である。kynurenine存在下でhIL-6Rに結合するクローン6RNMSC1-2_F02によるkynurenine存在下(三角)または非存在下(丸)でのhIL-6Rを発現するBaF細胞に対するADCC活性を示す図である。白が個別の測定値、黒が平均値を表す。
低分子存在下で抗原に結合する抗体による抗原を発現する細胞に対するADCC活性を示す図である。kynurenineの有無によらずhIL-6Rに結合するMRAによるkynurenine存在下(三角)または非存在下(丸)でのhIL-6Rを発現するBaF細胞に対するADCC活性を示す図である。白が個別の測定値、黒が平均値を表す。
低分子存在下で抗原に結合する抗体による抗原を発現する細胞に対するADCC活性を示す図である。kynurenine存在下でhIL-6Rに結合するクローン6RNMSC1-2_F02の存在下(三角)または非存在下(丸)でのhIL-6Rを発現するBaF細胞に対するクローン6RNMSC1-2_F02によるADCC活性を示す図である。横軸はキヌレニン濃度を表し、縦軸はADCC活性(%)を表す。ADCC活性は平均値と標準偏差を表す。
クローン6RNMSC1-2_F02のマウス血清中における、ヒトIL-6Rに対する結合ELISAの結果を示す図である。縦軸はKynurenineの有無により抗体のヒトIL-6Rへの結合活性を評価した吸光度の値である。
ラショナルデザイン抗体ライブラリより得られたクローンI6RLSA1-6_011のヒトIL-6に対するATPおよびAdenosine 10 mMの存在または非存在下におけるELISAの結果を示す図である。縦軸は抗体のヒトIL-6への結合活性を評価した吸光度の値である。陽性対照(Positive Control)はラショナルデザイン抗体ライブラリより得られた、低分子の有無に関わらずヒトIL-6に結合活性を示すクローンを使用したときの結果を表す。陰性対照(Negative Control)は、M13KO7 Helper Phageを使用したときの結果を表す。
ラショナルデザイン抗体ライブラリより得られたクローン6RRLSA1-6_037、6RRLSA1-6_045のヒトIL-6 Receptorに対するATPおよびAdenosine 10 mMの存在または非存在下におけるELISAの結果を示す図である。縦軸は抗体のヒトIL-6 Receptorへの結合活性を評価した吸光度の値である。陰性対照(Negative Control)は、M13KO7 Helper Phageを使用したときの結果を表す。
ラショナルデザイン抗体ライブラリについて、ヒトIgA-Fcに対して抗体多価提示ファージディスプレイによるパンニングを4回実施して得られた96クローンのELISAの結果を示す図である。縦軸はATPおよびアデノシン非存在下、横軸は存在下での抗体のヒト IgA-Fcへの結合活性を評価した吸光度の値である。
ラショナルデザイン抗体ライブラリについて、ヒトIgA-Fcに対して抗体一価提示ファージディスプレイによるパンニングを4回実施して得られた96クローンのELISAの結果を示す図である。縦軸はATPおよびアデノシン非存在下、横軸は存在下での抗体のヒト IgA-Fcへの結合活性を評価した吸光度の値である。
ラショナルデザイン抗体ライブラリより得られたクローンIADL3C5-4_048のヒトIgA-Fcに対するATPおよびAdenosine 1 mMの存在または非存在下におけるELISAの結果を示す図である。縦軸は抗体のヒトIgA-Fcへの結合活性を評価した吸光度の値である。陽性対照(Positive Control)はラショナルデザイン抗体ライブラリより得られた、低分子の有無に関わらずヒトIgA-Fcに結合活性を示すクローンを使用したときの結果を表す。陰性対照(Negative Control)は、M13KO7 Helper Phageを使用したときの結果を表す。
センサーチップCM5上に固定化したIL-6Rに対する、各低分子1 mM存在下・非存在下で各クローン1 μMを120秒間相互作用させた時の結合量(Binding response(RU))を示すグラフである。
低分子存在下で抗原に結合する抗体による抗原を発現する細胞に対するADCC活性を示す図である。ATP存在下でhIL-6Rに結合するクローン6RAD2C1-4_030によるATP存在下(三角)または非存在下(丸)でのhIL-6Rを発現するCHO細胞に対するADCC活性を示す図である。白が個別の測定値、黒が平均値を表す。
低分子存在下で抗原に結合する抗体による抗原を発現する細胞に対するADCC活性を示す図である。ATP存在下でhIL-6Rに結合するクローン6RAD2C1-4_011によるATP存在下(三角)または非存在下(丸)でのhIL-6Rを発現するCHO細胞に対するADCC活性を示す図である。白が個別の測定値、黒が平均値を表す。
低分子存在下で抗原に結合する抗体による抗原を発現する細胞に対するADCC活性を示す図である。ATPの有無によらずhIL-6Rに結合するMRAによるATP存在下(三角)または非存在下(丸)でのhIL-6Rを発現するCHO細胞に対するADCC活性を示す図である。白が個別の測定値、黒が平均値を表す。
ラショナルデザイン抗体ライブラリより得られたクローンHSADSA1-6_020のHSAに対するATPおよびAdenosine 10 mMの存在または非存在下におけるELISAの結果を示す図である。縦軸は抗体のHSAへの結合活性を評価した吸光度の値である。陽性対照(Positive Control)はラショナルデザイン抗体ライブラリより得られた、低分子の有無に関わらずHSAに結合活性を示すクローンを使用したときの結果を表す。陰性対照(Negative Control)は、M13KO7 Helper Phageを使用したときの結果を表す。

0016

以下の定義および詳細な説明は、本明細書において説明する本発明の理解を容易にするために提供される。
アミノ酸
本明細書において、たとえば、Ala/A、Leu/L、Arg/R、Lys/K、Asn/N、Met/M、Asp/D、Phe/F、Cys/C、Pro/P、Gln/Q、Ser/S、Glu/E、Thr/T、Gly/G、Trp/W、His/H、Tyr/Y、Ile/I、Val/Vと表されるように、アミノ酸は1文字コードまたは3文字コード、またはその両方で表記されている。

0017

アミノ酸の改変
抗原結合分子のアミノ酸配列中のアミノ酸の改変のためには、部位特異的変異誘発法(Kunkelら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1985) 82, 488-492))やOverlap extensionPCR等の公知の方法が適宜採用され得る。また、天然のアミノ酸以外のアミノ酸に置換するアミノ酸の改変方法として、複数の公知の方法もまた採用され得る(Annu. Rev. Biophys. Biomol. Struct. (2006) 35, 225-249、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (2003) 100 (11), 6353-6357)。例えば、終止コドンの1つであるUAGコドンアンバーコドン)の相補的アンバーサプレッサーtRNA非天然アミノ酸が結合されたtRNAが含まれる無細胞翻訳系ステム(Clover Direct(Protein Express))等も好適に用いられる。

0018

本明細書において、アミノ酸の改変部位を表す際に用いられる「および/または」の用語の意義は、「および」と「または」が適宜組み合わされたあらゆる組合せを含む。具体的には、例えば「33位、55位、および/または96位のアミノ酸が置換されている」とは以下のアミノ酸の改変のバリエーションが含まれる;
(a) 33位、(b)55位、(c)96位、(d)33位および55位、(e)33位および96位、(f)55位および96位、(g)33位および55位および96位。

0019

本明細書において、また、アミノ酸の改変を表す表現として、特定の位置を表す数字の前後に改変前と改変後のアミノ酸の1文字コードまたは3文字コードを併記した表現が適宜使用され得る。例えば、抗体可変領域に含まれるアミノ酸の置換を加える際に用いられるN100bLまたはAsn100bLeuという改変は、Kabatナンバリングで表される100b位のAsnのLeuへの置換を表す。すなわち、数字はKabatナンバリングで表されるアミノ酸の位置を表し、その前に記載されるアミノ酸の1文字コード又は3文字コードは置換前のアミノ酸、そのあとに記載されるアミノ酸の1文字コードまたは3文字コードは置換後のアミノ酸を表す。同様に、抗体定常領域に含まれるFc領域にアミノ酸の置換を加える際に用いられるP238DまたはPro238Aspという改変は、EUナンバリングで表される238位のProのAspへの置換を表す。すなわち、数字はEUナンバリングで表されるアミノ酸の位置を表し、その前に記載されるアミノ酸の1文字コードまたは3文字コードは置換前のアミノ酸、そのあとに記載されるアミノ酸の1文字コードまたは3文字コードは置換後のアミノ酸を表す。

0020

抗原
本明細書において「抗原」は抗原結合ドメインが結合するエピトープを含む限りその構造は特定の構造に限定されない。別の意味では、抗原は無機物でもあり得るし有機物でもあり得る。抗原としては下記のような分子;17-IA、4-1BB、4Dc、6-ケト-PGF1a、8-イソ-PGF2a、8-オキソ-dG、A1アデノシン受容体、A33、ACE、ACE-2、アクチビン、アクチビンA、アクチビンAB、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンRIA、アクチビンRIA ALK-2、アクチビンRIB ALK-4、アクチビンRIIA、アクチビンRIIB、ADAM、ADAM10、ADAM12、ADAM15、ADAM17/TACE、ADAM8、ADAM9、ADAMTS、ADAMTS4、ADAMTS5、アドレシン、aFGF、ALCAM、ALK、ALK-1、ALK-7、アルファ-1-アンチトリプシン、アルファ−V/ベータ-1アンタゴニスト、ANG、Ang、APAF-1、APE、APJ、APP、APRIL、AR、ARC、ARTアルテミン、抗Id、ASPARTIC、心房性ナトリウム利尿因子、av/b3インテグリン、Axl、b2M、B7-1、B7-2、B7-H、B-リンパ球刺激因子(BlyS)、BACE、BACE-1、Bad、BAFF、BAFF-R、Bag-1、BAK、Bax、BCA-1、BCAM、Bcl、BCMA、BDNF、b-ECGF、bFGF、BID、Bik、BIM、BLC、BL-CAM、BLK、BMP、BMP-2 BMP-2a、BMP-3オステオゲニン(Osteogenin)、BMP-4 BMP-2b、BMP-5、BMP-6 Vgr-1、BMP-7(OP-1)、BMP-8(BMP-8a、OP-2)、BMPR、BMPR-IA(ALK-3)、BMPR-IB(ALK-6)、BRK-2、RPK-1、BMPR-II(BRK-3)、BMP、b-NGF、BOK、ボンベシン、骨由来神経栄養因子、BPDE、BPDE-DNA、BTC補体因子3(C3)、C3a、C4、C5、C5a、C10、CA125、CAD-8、カルシトニンcAMP癌胎児性抗原CEA)、癌関連抗原カテプシンA、カテプシンBカテプシンC/DPPI、カテプシンDカテプシンE、カテプシンH、カテプシンL、カテプシンO、カテプシンS、カテプシンV、カテプシンX/Z/P、CBL、CCI、CCK2、CCL、CCL1、CCL11、CCL12、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL2、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL4、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9/10、CCR、CCR1、CCR10、CCR10、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CD1、CD2、CD3、CD3E、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD10、CD11a、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD27L、CD28、CD29、CD30、CD30L、CD32、CD33(p67タンパク質)、CD34、CD38、CD40、CD40L、CD44、CD45、CD46、CD49a、CD52、CD54、CD55、CD56、CD61、CD64、CD66e、CD74、CD80(B7-1)、CD89、CD95、CD123、CD137、CD138、CD140a、CD146、CD147、CD148、CD152、CD164、CEACAM5、CFTR、cGMP、CINCボツリヌス菌毒素ウェルシュ菌毒素、CKb8-1、CLC、CMV、CMV UL、CNTF、CNTN-1、COX、C-Ret、CRG-2、CT-1、CTACK、CTGF、CTLA-4、PD1、PDL1、LAG3、TIM3、galectin-9、CX3CL1、CX3CR1、CXCL、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCR、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、サイトケラチン腫瘍関連抗原、DAN、DCC、DcR3、DC-SIGN、補体制御因子(Decay accelerating factor)、des(1-3)-IGF-I(脳IGF-1)、Dhh、ジゴキシン、DNAM-1、Dnase、Dpp、DPPIV/CD26、Dtk、ECAD、EDA、EDA-A1、EDA-A2、EDAR、EGF、EGFR(ErbB-1)、EMA、EMMPRIN、ENA、エンドセリン受容体エンケファリナーゼ、eNOS、Eot、エオタキシン1、EpCAM、エフリンB2/EphB4、EPO、ERCC、E-セレクチン、ET-1、ファクターIIa、ファクターVII、ファクターVIIIc、ファクターIX、線維芽細胞活性化タンパク質FAP)、Fas、FcR1、FEN-1、フェリチン、FGF、FGF-19、FGF-2、FGF3、FGF-8、FGFR、FGFR-3、フィブリンFL、FLIP、Flt-3、Flt-4、卵胞刺激ホルモンフラクタルカイン、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、FZD10、G250、Gas6、GCP-2、GCSF、GD2、GD3、GDF、GDF-1、GDF-3(Vgr-2)、GDF-5(BMP-14、CDMP-1)、GDF-6(BMP-13、CDMP-2)、GDF-7(BMP-12、CDMP-3)、GDF-8(ミオスタチン)、GDF-9、GDF-15(MIC-1)、GDNF、GDNF、GFAP、GFRa-1、GFR-アルファ1、GFR-アルファ2、GFR-アルファ3、GITR、グルカゴン、Glut4、糖タンパク質IIb/IIIa(GPIIb/IIIa)、GM-CSF、gp130、gp72、GRO、成長ホルモン放出因子ハプテン(NP-capまたはNIP-cap)、HB-EGF、HCC、HCMV gBエンベロープ糖タンパク質、HCMV gHエンベロープ糖タンパク質、HCMV UL、造血成長因子HGF)、Hep B gp120、ヘパラナーゼ、Her2、Her2/neu(ErbB-2)、Her3(ErbB-3)、Her4(ErbB-4)、単純ヘルペスウイルス(HSV) gB糖タンパク質、HSV gD糖タンパク質、HGFA、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、HIVgp120、HIV IIIB gp 120 V3ループHLA、HLA-DR、HM1.24、HMFG PEM、HRG、Hrk、ヒト心臓ミオシンヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、ヒト成長ホルモン(HGH)、HVEM、I-309、IAP、ICAM、ICAM-1、ICAM-3、ICE、ICOS、IFNg、Ig、IgA受容体IgE、IGF、IGF結合タンパク質、IGF-1R、IGFBP、IGF-I、IGF-II、IL、IL-1、IL-1R、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-4R、IL-5、IL-5R、IL-6、IL-6R、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-18、IL-18R、IL-21、IL-23、IL-27、インターフェロンINF)-アルファ、INF-ベータ、INF-ガンマインヒビン、iNOS、インスリンA鎖、インスリンB鎖インスリン様増殖因子1、インテグリンアルファ2、インテグリンアルファ3、インテグリンアルファ4、インテグリンアルファ4/ベータ1、インテグリンアルファ4/ベータ7、インテグリンアルファ5(アルファV)、インテグリンアルファ5/ベータ1、インテグリンアルファ5/ベータ3、インテグリンアルファ6、インテグリンベータ1、インテグリンベータ2、インターフェロンガンマ、IP-10、I-TAC、JE、カリクレイン2、カリクレイン5、カリクレイン6、カリクレイン11、カリクレイン12、カリクレイン14、カリクレイン15、カリクレインL1、カリクレインL2、カリクレインL3、カリクレインL4、KC、KDR、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、ラミニン5、LAMPLAP、LAP(TGF-1)、潜在的TGF-1、潜在的TGF-1 bp1、LBP、LDGF、LECT2、レフティルイス−Y抗原、ルイス−Y関連抗原、LFA-1、LFA-3、Lfo、LIF、LIGHT、リポタンパク質、LIX、LKN、Lptn、L-セレクチン、LT-a、LT-b、LTB4、LTBP-1、表面、黄体形成ホルモンリンホトキシンベータ受容体、Mac-1、MAdCAM、MAG、MAP2、MARC、MCAM、MCAM、MCK-2、MCP、M-CSF、MDC、Mer、METALLOPROTEASES、MGDF受容体、MGMT、MHC(HLA-DR)、MIFMIG、MIP、MIP-1-アルファ、MK、MMAC1、MMP、MMP-1、MMP-10、MMP-11、MMP-12、MMP-13、MMP-14、MMP-15、MMP-2、MMP-24、MMP-3、MMP-7、MMP-8、MMP-9、MPIF、Mpo、MSK、MSP、ムチン(Muc1)、MUC18、ミュラー管抑制物質、Mug、MuSK、NAIP、NAP、NCAD、N-Cアドヘリン、NCA 90、NCAM、NCAM、ネプリライシンニューロトロフィン-3、-4、または-6、ニュールツリン神経成長因子(NGF)、NGFR、NGF−ベータ、nNOS、NO、NOS、Npn、NRG-3、NT、NTN、OB、OGG1、OPG、OPN、OSM、OX40L、OX40R、p150、p95、PADPr、副甲状腺ホルモン、PARC、PARP、PBR、PBSF、PCAD、P-カドヘリン、PCNA、PDGF、PDGF、PDK-1、PECAM、PEM、PF4、PGE、PGF、PGI2、PGJ2、PIN、PLA2、胎盤アルカリホスファターゼ(PLAP)、PlGF、PLP、PP14、プロインスリン、プロレラキシンプロテインC、PS、PSA、PSCA前立腺特異的膜抗原(PSMA)、PTEN、PTHrp、Ptk、PTN、R51、RANK、RANKL、RANTES、RANTES、レラキシンA鎖、レラキシンB鎖レニン呼吸器多核体ウイルス(RSV)F、RSV Fgp、Ret、リウマイド因子、RLIP76、RPA2、RSK、S100、SCF/KL、SDF-1、SERINE、血清アルブミン、sFRP-3、Shh、SIGIRR、SK-1、SLAM、SLPI、SMAC、SMDF、SMOH、SOD、SPARC、Stat、STEAP、STEAP-II、TACE、TACI、TAG-72(腫瘍関連糖タンパク質−72)、TARC、TCA-3、T細胞受容体(例えば、T細胞受容体アルファ/ベータ)、TdT、TECK、TEM1、TEM5、TEM7、TEM8、TERT、睾丸PLAP様アルカリホスファターゼ、TfR、TGF、TGF-アルファ、TGF-ベータ、TGF-ベータ Pan Specific、TGF-ベータRI(ALK-5)、TGF-ベータRII、TGF-ベータRIIb、TGF-ベータRIII、TGF-ベータ1、TGF-ベータ2、TGF-ベータ3、TGF-ベータ4、TGF-ベータ5、トロンビン胸腺Ck-1、甲状腺刺激ホルモン、Tie、TIMP、TIQ組織因子、TMEFF2、Tmpo、TMPRSS2、TNF、TNF-アルファ、TNF-アルファベータ、TNF-ベータ2、TNFc、TNF-RI、TNF-RII、TNFRSF10A(TRAIL R1 Apo-2、DR4)、TNFRSF10B(TRAIL R2 DR5、KILLER、TRICK-2A、TRICK-B)、TNFRSF10C(TRAIL R3 DcR1、LIT、TRID)、TNFRSF10D(TRAIL R4 DcR2、TRUNDD)、TNFRSF11A(RANK ODF R、TRANCE R)、TNFRSF11B(OPG OCIF、TR1)、TNFRSF12(TWEAK R FN14)、TNFRSF13B(TACI)、TNFRSF13C(BAFF R)、TNFRSF14(HVEM ATAR、HveA、LIGHT R、TR2)、TNFRSF16(NGFR p75NTR)、TNFRSF17(BCMA)、TNFRSF18(GITR AITR)、TNFRSF19(TROY TAJ、TRADE)、TNFRSF19L(RELT)、TNFRSF1A(TNF RI CD120a、p55-60)、TNFRSF1B(TNF RII CD120b、p75-80)、TNFRSF26(TNFRH3)、TNFRSF3(LTbR TNF RIII、TNFC R)、TNFRSF4(OX40 ACT35、TXGP1 R)、TNFRSF5(CD40 p50)、TNFRSF6(Fas Apo-1、APT1、CD95)、TNFRSF6B(DcR3 M68、TR6)、TNFRSF7(CD27)、TNFRSF8(CD30)、TNFRSF9(4-1BB CD137、ILA)、TNFRSF21(DR6)、TNFRSF22(DcTRAIL R2 TNFRH2)、TNFRST23(DcTRAIL R1 TNFRH1)、TNFRSF25(DR3 Apo-3、LARD、TR-3、TRAMP、WSL-1)、TNFSF10(TRAIL Apo-2リガンド、TL2)、TNFSF11(TRANCE/RANKリガンド ODF、OPGリガンド)、TNFSF12(TWEAK Apo-3リガンド、DR3リガンド)、TNFSF13(APRIL TALL2)、TNFSF13B(BAFF BLYS、TALL1、THANK、TNFSF20)、TNFSF14(LIGHT HVEMリガンド、LTg)、TNFSF15(TL1A/VEGI)、TNFSF18(GITRリガンド AITRリガンド、TL6)、TNFSF1A(TNF-aコネクチン(Conectin)、DIF、TNFSF2)、TNFSF1B(TNF-b LTa、TNFSF1)、TNFSF3(LTb TNFC、p33)、TNFSF4(OX40リガンド gp34、TXGP1)、TNFSF5(CD40リガンド CD154、gp39、HIGM1、IMD3、TRAP)、TNFSF6(Fasリガンド Apo-1リガンド、APT1リガンド)、TNFSF7(CD27リガンド CD70)、TNFSF8(CD30リガンド CD153)、TNFSF9(4-1BBリガンド CD137リガンド)、TP-1、t-PA、Tpo、TRAIL、TRAIL R、TRAIL-R1、TRAIL-R2、TRANCE、トランスフェリン受容体、TRF、Trk、TROP-2、TLR(Toll-like receptor)1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TSG、TSLP、腫瘍関連抗原CA125、腫瘍関連抗原発現ルイスY関連炭水化物、TWEAK、TXB2、Ung、uPAR、uPAR-1、ウロキナーゼVCAM、VCAM-1、VECAD、VE-Cadherin、VE-cadherin-2、VEFGR-1(flt-1)、VEGF、VEGFR、VEGFR-3(flt-4)、VEGI、VIM、ウイルス抗原、VLA、VLA-1、VLA-4、VNRインテグリン、フォン・ヴィレブランド因子、WIF-1、WNT1、WNT2、WNT2B/13、WNT3、WNT3A、WNT4、WNT5A、WNT5B、WNT6、WNT7A、WNT7B、WNT8A、WNT8B、WNT9A、WNT9A、WNT9B、WNT10A、WNT10B、WNT11、WNT16、XCL1、XCL2、XCR1、XCR1、XEDAR、XIAP、XPD、HMGB1、IgA、Aβ、CD81, CD97, CD98, DDR1, DKK1, EREG、Hsp90, IL-17/IL-17R、IL-20/IL-20R、酸化LDL,PCSK9, prekallikrein , RON, TMEM16F、SOD1, Chromogranin A, Chromogranin B、tau, VAP1、高分子キニノーゲン、IL-31、IL-31R、Nav1.1、Nav1.2、Nav1.3、Nav1.4、Nav1.5、Nav1.6、Nav1.7、Nav1.8、Nav1.9、EPCR、C1, C1q, C1r, C1s, C2, C2a, C2b, C3, C3a, C3b, C4, C4a, C4b, C5, C5a, C5b, C6, C7, C8, C9, factor B, factor D, factor H, properdin、sclerostin、fibrinogen, fibrin, prothrombin, thrombin, 組織因子, factor V, factor Va, factor VII, factor VIIa, factor VIII, factor VIIIa, factor IX, factor IXa, factor X, factor Xa, factor XI, factor XIa, factor XII, factor XIIa, factor XIII, factor XIIIa, TFPI, antithrombin III, EPCR,トロンボモデュリン、TAPI, tPA, plasminogen, plasmin, PAI-1, PAI-2、GPC3、Syndecan-1、Syndecan-2、Syndecan-3、Syndecan-4、LPA、S1Pならびにホルモンおよび成長因子のための受容体が例示され得る。抗原としては癌組織または炎症性組織における癌細胞・免疫細胞・ストローマ細胞等に発現する抗原が好ましい。

0021

上記の抗原の例示には受容体も記載されるが、これらの受容体が生体液中に可溶型で存在する場合にも、本発明の標的組織特異的な化合物の濃度に応じて抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含む抗原結合分子が結合する抗原として使用され得る。そのような可溶型受容体の非限定な一態様として、例えば、Mullbergら(J. Immunol. (1994) 152 (10), 4958-4968)によって記載されているような可溶型IL-6Rである、配列番号:1で表されるIL-6Rポリペプチド配列のうち、1から357番目のアミノ酸からなるタンパク質が例示され得る。

0022

上記の抗原の例示には、細胞膜に発現する膜型分子、および細胞から細胞外分泌される可溶型分子が含まれる。本発明の標的組織特異的な化合物の濃度に応じて抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含む抗原結合分子が、細胞から分泌された可溶型分子に結合する場合、当該抗原結合分子としては、後述されるように中和活性を有していることが好適である。

0023

可溶型分子が存在する溶液に限定はなく生体液、すなわち生体内脈管又は組織・細胞の間を満たす全ての液体に本可溶型分子は存在し得る。非限定な一態様では、本発明の抗原結合分子が結合する可溶型分子は、細胞外液に存在することができる。細胞外液とは、脊椎動物では血漿、組織間液リンパ液、密な結合組織脳脊髄液髄液穿刺液、または関節液等の骨および軟骨中の成分、肺胞液(気管支肺胞洗浄液)、腹水胸水心嚢水、嚢胞液、または眼房水房水)等の細胞透過液(細胞の能動輸送・分泌活動の結果生じた各種腺腔内の液、および消化管腔その他の体腔内液)の総称をいう。

0024

本発明の標的組織特異的な化合物の濃度に応じて抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含む抗原結合分子が、細胞膜に発現する膜型分子に結合する場合、当該抗原結合分子の好適な例として、後述されるように細胞傷害活性を有している、もしくは細胞傷害性物質を結合するまたは結合する能力を有している抗原結合分子が好適に挙げられる。また、細胞傷害活性を有している、もしくは細胞傷害性物質を結合するまたは結合する能力を有しているという性質に代えて、または当該性質に加えて、中和活性を有している抗原結合分子もまた非限定な一態様として好適に挙げられる。

0025

エピトープ
抗原中に存在する抗原決定基を意味するエピトープは、本明細書において開示される抗原結合分子中の抗原結合ドメインが結合する抗原上の部位を意味する。よって、例えば、エピトープは、その構造によって定義され得る。また、当該エピトープを認識する抗原結合分子中の抗原に対する結合活性によっても当該エピトープが定義され得る。抗原がペプチド又はポリペプチドである場合には、エピトープを構成するアミノ酸残基によってエピトープを特定することも可能である。また、エピトープが糖鎖である場合には、特定の糖鎖構造によってエピトープを特定することも可能である。

0026

直線状エピトープは、アミノ酸一次配列が認識されたエピトープを含むエピトープである。直線状エピトープは、典型的には、少なくとも3つ、および最も普通には少なくとも5つ、例えば約8ないし約10個、6ないし20個のアミノ酸が固有の配列において含まれる。

0027

立体構造エピトープは、直線状エピトープとは対照的に、エピトープを含むアミノ酸の一次配列が、認識されたエピトープの単一の規定成分ではないエピトープ(例えば、アミノ酸の一次配列が、必ずしもエピトープを規定する抗体により認識されないエピトープ)である。立体構造エピトープは、直線状エピトープに対して増大した数のアミノ酸を包含するかもしれない。立体構造エピトープの認識に関して、抗体は、ペプチドまたはタンパク質の三次元構造を認識する。例えば、タンパク質分子が折り畳まれて三次元構造を形成する場合には、立体構造エピトープを形成するあるアミノ酸および/またはポリペプチド主鎖は、並列となり、抗体がエピトープを認識するのを可能にする。エピトープの立体構造を決定する方法には、例えばX線結晶学、二次元核磁気共鳴分光学並びに部位特異的なスピン標識および電磁常磁性共鳴分光学が含まれるが、これらには限定されない。例えば、Epitope MappingProtocols in Methodsin Molecular Biology (1996)、第66巻、Morris(編)を参照。

0028

エピトープに結合する抗原結合ドメインの構造はパラトープと呼ばれる。エピトープとパラトープの間に作用する、水素結合静電気力ファンデルワールス力疎水結合等によりエピトープとパラトープは安定して結合する。このエピトープとパラトープの間の結合力アフィニティー(affinity)と呼ばれる。複数の抗原と複数の抗原結合分子が結合するときの結合力の総和はアビディティ(avidity)と呼ばれる。複数の抗原結合ドメインを含む(すなわち多価の)抗体等が複数のエピトープに結合する際には、結合力(affinity)が相乗的に働くため、アビディティはアフィニティーよりも高くなる。

0029

結合活性
下記にIL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子によるエピトープへの結合の確認方法が例示されるが、IL-6R以外の抗原に対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子によるエピトープへの結合の確認方法も下記の例示に準じて適宜実施され得る。

0030

例えば、IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子が、IL-6R分子中に存在する線状エピトープを認識することは、たとえば次のようにして確認することができる。上記の目的のためにIL-6Rの細胞外ドメインを構成するアミノ酸配列からなる線状のペプチドが合成される。当該ペプチドは、化学的に合成され得る。あるいは、IL-6RのcDNA中の、細胞外ドメインに相当するアミノ酸配列をコードする領域を利用して、遺伝子工学的手法により得られる。次に、細胞外ドメインを構成するアミノ酸配列からなる線状ペプチドと、IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子との結合活性が評価される。たとえば、固定化された線状ペプチドを抗原とするELISAによって、当該ペプチドに対する当該抗原結合分子の結合活性が評価され得る。あるいは、IL-6R発現細胞に対する当該抗原結合分子の結合における、線状ペプチドによる阻害のレベルに基づいて、線状ペプチドに対する結合活性が明らかにされ得る。これらの試験によって、線状ペプチドに対する当該抗原結合分子の結合活性が明らかにされ得る。

0031

また、IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子が立体構造エピトープを認識することは、次のようにして確認され得る。上記の目的のために、IL-6Rを発現する細胞が調製される。IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子がIL-6R発現細胞に接触した際に当該細胞に強く結合する一方で、当該抗原結合分子が固定化されたIL-6Rの細胞外ドメインを構成するアミノ酸配列からなる線状ペプチドに対して実質的に結合しないとき等が挙げられる。ここで、実質的に結合しないとは、ヒトIL-6R発現細胞に対する結合活性の80%以下、通常50%以下、好ましくは30%以下、特に好ましくは15%以下の結合活性をいう。

0032

IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子のIL-6R発現細胞に対する結合活性を測定する方法としては、例えば、Antibodies A Laboratory Manual記載の方法(Ed Harlow, David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory (1988) 359-420)が挙げられる。即ちIL-6R発現細胞を抗原とするELISAやFACS(fluorescence activated cell sorting)の原理によって評価され得る。

0033

ELISAフォーマットにおいて、IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子のIL-6R発現細胞に対する結合活性は、酵素反応によって生成するシグナルレベルを比較することによって定量的に評価される。すなわち、IL-6R発現細胞を固定化したELISAプレートに被験ポリペプチド会合体を加え、細胞に結合した被験抗原結合分子が、被験抗原結合分子を認識する酵素標識抗体を利用して検出される。あるいはFACSにおいては、被験抗原結合分子の希釈系列を作成し、IL-6R発現細胞に対する抗体結合力価(titer)を決定することにより、IL-6R発現細胞に対する被験抗原結合分子の結合活性が比較され得る。

0034

緩衝液等に懸濁した細胞表面上に発現している抗原に対する被験抗原結合分子の結合は、フローサイトメーターによって検出することができる。フローサイトメーターとしては、例えば、次のような装置が知られている。
FACSCantoTM II
FACSAriaTM
FACSArrayTM
FACSVantageTM SE
FACSCaliburTM (いずれもBD Biosciences社の商品名)
EPICSALTRA HyPerSort
Cytomics FC 500
EPICS XL-MCLADCEPICS XL ADC
Cell Lab Quanta / Cell Lab Quanta SC(いずれもBeckman Coulter社の商品名)

0035

例えば、IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子の抗原に対する結合活性の好適な測定方法の一例として、次の方法が挙げられる。まず、IL-6Rを発現する細胞と反応させた被験抗原結合分子を認識するFITC標識した二次抗体で染色する。被験抗原結合分子を適宜好適な緩衝液によって希釈することによって、当該抗原結合分子が所望の濃度に調製して用いられる。例えば、10μg/mlから10 ng/mlまでの間のいずれかの濃度で使用され得る。次に、FACSCalibur(BD社)により蛍光強度と細胞数が測定される。当該細胞に対する抗体の結合量は、CELLQUEST Software(BD社)を用いて解析することにより得られた蛍光強度、すなわちGeometric Meanの値に反映される。すなわち、当該Geometric Meanの値を得ることにより、被験抗原結合分子の結合量によって表される被験抗原結合分子の結合活性が測定され得る。

0036

IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子が、ある抗原結合分子とエピトープを共有することは、両者の同じエピトープに対する競合によって確認され得る。抗原結合分子間の競合は、交叉ブロッキングアッセイなどによって検出される。例えば競合ELISAアッセイは、好ましい交叉ブロッキングアッセイである。

0037

具体的には、交叉ブロッキングアッセイにおいては、マイクロタイタープレートウェル上にコートしたIL-6Rタンパク質が、候補となる競合抗原結合分子の存在下、または非存在下でプレインキュベートされた後に、被験抗原結合分子が添加される。ウェル中のIL-6Rタンパク質に結合した被験抗原結合分子の量は、同じエピトープへの結合に対して競合する候補となる競合抗原結合分子の結合能間接的に相関している。すなわち同一エピトープに対する競合抗原結合分子の親和性が大きくなればなる程、被験抗原結合分子のIL-6Rタンパク質をコートしたウェルへの結合活性は低下する。

0038

IL-6Rタンパク質を介してウェルに結合した被験抗原結合分子の量は、予め抗原結合分子を標識しておくことによって、容易に測定され得る。たとえば、ビオチン標識された抗原結合分子は、アビジンペルオキシダーゼコンジュゲートと適切な基質を使用することにより測定される。ペルオキシダーゼなどの酵素標識を利用した交叉ブロッキングアッセイは、特に競合ELISAアッセイといわれる。抗原結合分子は、検出あるいは測定が可能な他の標識物質で標識され得る。具体的には、放射標識あるいは蛍光標識などが公知である。

0039

候補の競合抗原結合分子会合体の非存在下で実施されるコントロール試験において得られる結合活性と比較して、競合抗原結合分子が、IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子の結合を少なくとも20%、好ましくは少なくとも20-50%、さらに好ましくは少なくとも50%ブロックできるならば、当該被験抗原結合分子は競合抗原結合分子と実質的に同じエピトープに結合するか、又は同じエピトープへの結合に対して競合する抗原結合分子である。

0040

IL-6Rに対する抗原結合ドメインを含む被験抗原結合分子が結合するエピトープの構造が同定されている場合には、被験抗原結合分子と対照抗原結合分子とがエピトープを共有することは、当該エピトープを構成するペプチドにアミノ酸変異を導入したペプチドに対する両者の抗原結合分子の結合活性を比較することによって評価され得る。

0041

こうした結合活性を測定する方法としては、例えば、前記のELISAフォーマットにおいて変異を導入した線状のペプチドに対する被験抗原結合分子及び対照抗原結合分子の結合活性を比較することによって測定され得る。ELISA以外の方法としては、カラムに結合した当該変異ペプチドに対する結合活性を、当該カラムに被検抗原結合分子と対照抗原結合分子を流下させた後に溶出液中に溶出される抗原結合分子を定量することによっても測定され得る。変異ペプチドを例えばGSTとの融合ペプチドとしてカラムに吸着させる方法は公知である。

0042

また、同定されたエピトープが立体エピトープの場合には、被験抗原結合分子と対照抗原結合分子とがエピトープを共有することは、次の方法で評価され得る。まず、IL-6Rを発現する細胞とエピトープに変異が導入されたIL-6Rを発現する細胞が調製される。これらの細胞がPBS等の適切な緩衝液に懸濁された細胞懸濁液に対して被験抗原結合分子と対照抗原結合分子が添加される。次いで、適宜緩衝液で洗浄された細胞懸濁液に対して、被験抗原結合分子と対照抗原結合分子を認識することができるFITC標識された抗体が添加される。標識抗体によって染色された細胞の蛍光強度と細胞数がFACSCalibur(BD社)によって測定される。被験抗原結合分子と対照抗原結合分子の濃度は好適な緩衝液によって適宜希釈することによって所望の濃度に調製して用いられる。例えば、10μg/mlから10 ng/mlまでの間のいずれかの濃度で使用される。当該細胞に対する標識抗体の結合量は、CELLQUEST Software(BD社)を用いて解析することにより得られた蛍光強度、すなわちGeometric Meanの値に反映される。すなわち、当該Geometric Meanの値を得ることにより、標識抗体の結合量によって表される被験抗原結合分子と対照抗原結合分子の結合活性を測定することができる。

0043

本方法において、例えば「変異IL-6R発現細胞に実質的に結合しない」ことは、以下の方法によって判断することができる。まず、変異IL-6Rを発現する細胞に対して結合した被験抗原結合分子と対照抗原結合分子が、標識抗体で染色される。次いで細胞の蛍光強度が検出される。蛍光検出フローサイトメトリーとしてFACSCaliburを用いた場合、得られた蛍光強度はCELLQUEST Softwareを用いて解析され得る。ポリペプチド会合体存在下および非存在下でのGeometric Meanの値から、この比較値(ΔGeo-Mean)を下記の式1に基づいて算出することにより、抗原結合分子の結合による蛍光強度の増加割合を求めることができる。

0044

(式1)
ΔGeo-Mean=Geo-Mean(ポリペプチド会合体存在下)/Geo-Mean(ポリペプチド会合体非存在下)

0045

解析によって得られる被験抗原結合分子の変異IL-6R発現細胞に対する結合量が反映されたGeometric Mean比較値(変異IL-6R分子ΔGeo-Mean値)を、被験抗原結合分子のIL-6R発現細胞に対する結合量が反映されたΔGeo-Mean比較値と比較する。この場合において、変異IL-6R発現細胞及びIL-6R発現細胞に対するΔGeo-Mean比較値を求める際に使用する被験抗原結合分子の濃度は互いに同一又は実質的に同一の濃度で調製されることが特に好ましい。予めIL-6R中のエピトープを認識していることが確認された抗原結合分子が、対照抗原結合分子として利用される。

0046

被験抗原結合分子の変異IL-6R発現細胞に対するΔGeo-Mean比較値が、被験抗原結合分子のIL-6R発現細胞に対するΔGeo-Mean比較値の、少なくとも80%、好ましくは50%、更に好ましくは30%、特に好ましくは15%より小さければ、「変異IL-6R発現細胞に実質的に結合しない」ものとする。Geo-Mean値(Geometric Mean)を求める計算式は、CELLQUEST Software User's Guide(BD biosciences社)に記載されている。比較値を比較することによってそれが実質的に同視し得る程度であれば、被験抗原結合分子と対照抗原結合分子のエピトープは同一であると評価され得る。

0047

標的組織
明細書中で用いられる、用語「標的組織」とは、本発明の抗原結合分子が化合物依存的に結合する抗原が存在する細胞を含む組織であって、当該抗原結合分子の当該細胞に発現している膜型分子に対する結合、あるいは、当該組織に存在する可溶型分子に対する結合が当該組織を含む生体にとって正の薬理作用をもたらす組織をいう。この場合において、「正の薬理作用」とは、標的組織を含む病的部位が当該組織を含む生体に対してもたらす症状の軽減、緩和寛解、または治癒をもたらす作用をいう。そうした薬理作用をもたらす非限定なメカニズムの一態様として、例えば、癌等の悪性腫瘍がもたらす症状の場合には、癌細胞に対する細胞傷害活性および増殖抑制および癌組織における免疫活性化等が例示される。こうした非限定なメカニズムの一態様として、例えば、炎症性疾患の場合には炎症組織における炎症性サイトカインの作用の遮断活性や免疫抑制等が例示される。

0048

癌組織特異的化合物
本明細書中で用いられる、用語「癌組織特異的な化合物(癌組織特異的化合物)」とは、非癌組織と比較して癌組織中に差示的に存在する化合物をいう。本明細書において、「癌」という用語は、一般に、悪性新生物を表すために用いられ、それは、転移性または非転移性であってよい。例えば、消化管や皮膚等の上皮組織から発生した癌腫の非限定な例として、脳腫瘍皮膚癌頭部癌、食道癌肺癌胃癌十二指腸癌、乳癌前立腺癌子宮頸癌子宮体癌膵臓癌肝臓癌大腸癌結腸癌膀胱癌、および卵巣癌等が例示される。また、筋肉等の非上皮性組織(間質)から発生した肉腫の非限定な例として、骨肉腫軟骨肉腫横紋筋肉腫平滑筋肉腫脂肪肉腫、および血管肉腫等が例示される。さらに、造血器由来の血液がんの非限定な例として、ホジキンリンパ腫(Hodgkin's lymphoma)および非ホジキンリンパ腫(non Hodgkin's lymphoma)を含む悪性リンパ腫急性(acute myelocytic leukemia)または慢性骨髄性白血病(chronic myelocytic leukemia)、および急性(acute lymphatic leukemia)または慢性リンパ性白血病(chronic lymphatic leukemia)を含む白血病、ならびに多発性骨髄腫(multiple myeloma)が例示される。本明細書で広く用いられる「新生物」という用語は、新たに生じたいかなる病的組織腫瘍をも意味する。本発明においては、新生物は腫瘍の形成を生じ、それは部分的に血管形成を特徴とする。新生物は、例えば、血管腫神経膠腫奇形腫等の良性、あるいは、例えば、癌腫、肉腫、膠細胞腫、星状膠細胞腫神経芽細胞腫網膜芽腫等の悪性でありうる。

0049

用語「癌組織」とは、少なくとも一つの癌細胞を含む組織を意味する。したがって、例えば癌組織が癌細胞と血管を含んでいるように、癌細胞および内皮細胞を含む腫瘤(tumor mass)の形成に寄与するすべての細胞型をいう。本明細書において、腫瘤とは腫瘍組織(a foci of tumor tissue)をいう。「腫瘍」という用語は、一般に、良性新生物または悪性新生物を意味するために用いられる。

0050

例えば、いくつかの実施形態では、癌組織特異的化合物は、癌組織に存在するが非癌組織には存在しない、または癌組織には存在しないが非癌組織には存在している等の定性的な癌組織特異性で規定される化合物であり得る。別の実施形態では、癌組織特的化合物は、非癌組織と比較して異なる濃度(例えば、高濃度または低濃度)で癌組織に存在している等の定量的な癌組織特異性で規定される化合物であり得る。例えば、癌組織特異的化合物は任意の濃度で差示的に存在する。しかし、一般に癌組織特異的化合物は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも103倍、少なくとも104倍、少なくとも105倍、少なくとも106倍、またはそれ以上であって、無限大(すなわち非癌組織に不存在である場合)までの増加する濃度で、存在することが可能であり、あるいは一般に、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%(すなわち、不存在を表す)まで減少する濃度で、存在することが可能である。癌組織特異的化合物は、統計的に有意である濃度(すなわち、ウェルチt検定またはウィルコクソン順位和検定のいずれかを用いて決定されるように、p値は0.05未満および/またはq値は0.10未満)で、好ましくは差示的に存在する。癌組織特異的化合物の非限定な一態様としては、以下のような癌組織に含まれる癌細胞、免疫細胞、ストローマ細胞に特有代謝活性によって産生された癌組織特異的な代謝産物(癌組織特異的代謝産物;癌細胞特異的代謝産物、癌組織に浸潤している免疫細胞特異的な代謝産物、癌ストローマ細胞特異的代謝産物)である化合物が例示され得る。

0051

癌組織特異的代謝産物
用語「代謝」は、生物の組織内で生ずる化学変化のことをいい、「同化」および「異化」が含まれる。同化とは、分子の生合成または蓄積のことをいい、異化は分子の分解のことをいう。「代謝産物」は、物質代謝に起因する中間体または生成物である。「一次代謝産物」とは、細胞または生物の成長もしくは繁殖過程に直接関わる代謝産物を指し、「二次代謝産物」とはそれらの成長もしくは繁殖の過程には直接関わらず、細胞または生物に共通の生命現象に直接関与しない物質を生合成する代謝の結果生じる抗生物質色素等の生産物をいう。代謝産物は、「生体高分子」の代謝産物でもあり得るし、「低分子」の代謝産物でもあり得る。「生体高分子」は、一種類以上の反復単位からなる高分子である。生体高分子は、一般に生物系で見出され、生物を組織する細胞およびそれに付着する細胞間マトリックス組織間マトリックス等の構造物を形成する分子量がおよそ5000以上の分子、特に多糖類(炭水化物等)およびペプチド(この用語はポリペプチドおよびタンパク質を含むようにして用いられる)およびポリヌクレオチド、同様にそれらの類似体、例えばアミノ酸類似体もしくは非アミノ酸基から構成もしくは含むそれらの化合物が挙げられる。「低分子」は、生体に存在する「生体高分子」以外の天然の化学物質をいう。本明細書に記載される非限定な一態様の癌組織特異的代謝産物として、癌細胞特異的な低分子代謝産物が好適に挙げられ(Eva Gottfried, Katrin Peter and Marina P. Kreutz, From Molecular to Modular Tumor Therapy (2010) 3 (2), 111-132)。さらには、癌組織に浸潤する免疫細胞が高く産生する代謝産物や癌細胞の生存および/または成長をサポートするストローマ細胞(癌ストローマ細胞または癌間質線維芽細胞(CAF))が高く産生する代謝産物も含まれる。浸潤する免疫細胞としては、樹状細胞抑制性樹状細胞、抑制性T細胞、疲弊T細胞(exhausted T cell)、骨髄系由来抑制細胞(myeloma derived suppressor cell、MDSC)等が例示される。また、本発明における代謝産物には、癌組織に存在する細胞(癌細胞、免疫細胞、ストローマ細胞)が、アポトーシスネクローシス等によって細胞死した際に、細胞内から細胞外に放出される化合物も含まれる。

0052

癌細胞特異的代謝産物を同定するため、トランスクリプトーム・レベルでの解析、(例えば、Dhanasekaranら(Nature (2001) 412, 822-826)、Lapointeら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (2004) 101, 811-816またはPerouら(Nature (2000) 406, 747-752等が例示される)もしくはプロテオーム・レベルでの解析(例えば、Ahramら(Mol. Carcinog. (2002) 33, 9-15、Hoodら(Mol. Cell. Proteomics (2005) 4, 1741-1753)のほか、代謝学的プロファイリングを中心とする代謝学(メタボロミックス)解析が、適宜使用される。すなわち、被験試料中の代謝産物を同定するために高圧液体クロトグラフィ(HPLC)、核磁気共鳴(NMR)(Brindleら(J. Mol. Recognit. (1997) 10, 182-187)、質量分析法(GatesおよびSweeley(Clin. Chem. (1978) 24, 1663-1673)(GC/MSおよび LC/MS))およびELISA等を単独でおよび/または組み合わせて用いる代謝学的プロファイリングが適宜使用され得る。

0053

これらの研究によって、癌細胞が低い酸素圧条件下で成育することを可能にする代謝産物(例えばブドウ糖または酸素)および生長因子濃度勾配を変えることによって構成された腫瘍内の異質性が明らかにされた(DangおよびSemenza(TrendsBiochem. Sci. (1999) 24, 68-72))。これらの研究においては、腫瘍の悪性度の異なる程度によるエネルギー利用経路の変化を理解するために細胞株モデルも使用されている(Vizanら(Cancer Res. (2005) 65, 5512-5515)。代謝学プラットフォーム技術的構成要素の非限定な一態様として、Lawtonら(Pharmacogenomics (2008) 9, 383)に記載された、試料抽出、分離、検出、分光分析、データ正規化クラス特異的代謝産物の描写、経路マッピング、確認、および候補代謝産物の機能的特徴付けが例示される。これらの方法によって所望の癌組織における癌細胞特異的代謝産物を同定することが可能である。

0054

本発明で使用される癌組織特異的化合物、または癌組織特異的代謝産物の非限定な一態様として以下の化合物から選択される少なくとも一つの化合物が好適に挙げられる。少なくとも一つの化合物とは、後述する同一の抗原結合ドメインによる抗原に対する結合活性が、一種の癌組織特異的化合物、または癌組織特異的代謝産物に依存的であるほか、複数の種類の癌組織特異的化合物、または癌組織特異的代謝産物に依存的である場合を含むことを意味する。

0055

(1)乳酸、コハク酸、クエン酸等の解糖系、またはクレブス回路の一次代謝産物
本発明で使用される癌組織特異的化合物、とくに癌細胞特異的代謝産物の非限定な一態様として、乳酸、コハク酸、クエン酸等の周囲に存在する非癌部組織よりも癌組織において高濃度に存在するグルコース代謝の結果生成される一次代謝産物が好適に挙げられる。ピルビン酸キナーゼヘキソキナーゼ、および乳酸脱水素酵素LDH)等の解糖系(Embden-Myerhof経路)酵素上方調節アップレギュレーション)として特徴付けられる解糖系表現型は、Warburg効果として固形腫瘍の特徴であることが従来から知られている。

0056

すなわち、腫瘍細胞ではM1アイソ型ではなく嫌気条件下での解糖(erobic glycolysis)に必要なM2アイソ型のピルビン酸キナーゼが高発現していることが、生体内における腫瘍細胞の生育に有利に働いていると考えられている(Christofkら(Nature (2008) 452, 230-233)。ピルビン酸キナーゼによって生成されたピルビン酸は、嫌気条件下における乳酸脱水素酵素(LDH)による平衡反応の結果生成される、乳酸によってフィードバック阻害を受ける。当該フィードバック阻害によってミトコンドリアにおける呼吸(クレブス回路)の促進、および細胞増殖抑制が生じるため、LDH、ヘキソキナーゼ、およびグルコーストランスポーター(GLUT)の上方調節が腫瘍細胞の増殖に重要な役割を果たすといわれている(Fantinら(Cancer Cell (2006) 9, 425-434))。グルコースは解糖系で代謝され、その最終代謝産物である乳酸が腫瘍の周囲にプロトンとともに共輸送される結果、腫瘍の周辺組織のpHは酸性条件に変化するといわれている。解糖系の最終産物である乳酸、ミトコンドリアにおける呼吸の促進によって生成されるコハク酸およびクエン酸が、癌組織において蓄積していることが知られている(Teresaら(Mol. Cancer (2009) 8, 41-59))。本発明で使用される癌組織特異的化合物、とくに癌細胞特異的代謝産物の非限定な一態様として、こうした解糖系の代謝によって生成される一次代謝産物である、乳酸、コハク酸、クエン酸等が好適に挙げられる。また、細胞死により細胞内に高濃度で存在するコハク酸が細胞外に漏出することが知られている(Nature Immunology, (2008) 9, 1261-1269)。そのため、細胞死が頻繁に起こっている癌組織においてコハク酸の濃度が上昇していると考えられる。

0057

(2)アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸
上述されたグルコース代謝以外にも、嫌気条件下における生体高分子の生合成に必要な必須アミノ酸および非必須アミノ酸連続供給が必要な腫瘍細胞ではアミノ酸代謝も変化していることが知られている。グルタミンはその側鎖に二つの窒素を含む窒素運搬体として作用する、生体においてもっとも広範に分布するアミノ酸である。グルタミンの細胞内への取込み速度が上昇している腫瘍細胞はグルタミントラップ(glutamine trap)として機能しているといわれている。こうしたグルタミンの取込みとグルタミン酸および乳酸へ変換される活性の上昇は「グルタミン分解(glutaminolysis)」と呼ばれ、形質転換された(腫瘍)細胞の特徴であると思われている(MazurekおよびEigenbrodt(Anticancer Res. (2003) 23, 1149-1154、ならびにMazurekら(J. Cell. Physiol. (1999) 181, 136-146))。その結果、癌患者は血漿中のグルタミンのレベルの減少の一方でグルタミン酸濃度の増大を示す(Drogeら(Immunobiology (1987) 174, 473-479)。そして、肺癌組織の13C放射標識されたグルコースの代謝研究によって13C標識コハク酸、 13C 標識アラニン、13C 標識グルタミン酸、および13C 標識クエン酸の濃度間で相関が観察された。本発明で使用される癌組織特異的化合物の非限定な一態様として、こうしたグルタミン分解等によって癌組織において高濃度に蓄積する、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸等が好適に挙げられる。

0058

(3)キヌレニン(kynurenine)等のアミノ酸の代謝産物
インドールアミン2, 3-ジオキシゲナーゼ(IDO)はメラノーマ、結腸癌、および腎臓癌等の多くの癌で高発現しているトリプトファン代謝酵素であり(Uyttenhoveら(Nat. Med. (2003) 9, 1269-127)、二つのアイソフォームが存在することが知られている(Lobら(CancerImmunol. Immunother. (2009) 58, 153-157))。IDOはトリプトファンのキヌレニン(化1で表される)への変換を触媒しニコチンアミドヌクレオチドNAD)の新生経路の最初の酵素である。また、IDOを発現しないグリオーマでは肝臓のトリプトファン2, 3-ジオキシゲナーゼ(TDO)によって、トリプトファンからキヌレニンが生成する(Opitzら(Nature (2011) 478, 7368, 197-203))。またIDOは癌組織に浸潤している樹状細胞にも発現しており、樹状細胞もキヌレニンを産生する(J. Immunol. (2008) 181, 5396-5404)。またIDOは癌組織の骨髄系由来抑制細胞(MDSC)にも発現しており、MDSCもキヌレニンを産生する(Yuら(J. Immunol. (2013) 190, 3783-3797))。

0059

0060

キヌレニンは同種T細胞応答を抑制することが知られており(Frumentoら(J. Exp. Med. (2002) 196, 459-468)、こうした抑制を通じて腫瘍細胞が抗腫瘍免疫応答潜り抜けるとともに、グリオーマに発現するアリ炭化水素受容体の内因性リガンドとしてキヌレニンが作用するオートクライン増殖機構を通じて、グリオーマ細胞の増殖が促進されるメカニズムが提唱されている(Opitzら(上掲))。キヌレニンはキヌレニダーゼによってアントラニル酸([化2]で表される)に、およびキヌレニン3-ヒドロキシラーゼによって3-ヒドロキシキヌレニン([化3]で表される)に変換される。アントラニル酸、および3-ヒドロキシキヌレニンはともにNADの前駆体となる3-ヒドロキシアントラニル酸に変換される。

0061

0062

0063

キヌレニンはキヌレニンアミノトランスフェラーゼによってキヌレン酸([化4]で表される)に変換される。本発明で使用される癌組織特異的化合物、とくに癌細胞特異的代謝産物の非限定な一態様として、こうしたキヌレニン、およびその代謝産物である、アントラニル酸、3-ヒドロキシキヌレニン、およびキヌレン酸等のアミノ酸の代謝産物が好適に挙げられる。

0064

0065

(4)プロスタグランジンE2(Prostaglandin E2)等のアラキドン酸の代謝産物
プロスタグランジンE2(PGE2)([化5])は、シクロオキシゲナーゼ(COX)-1/2によって合成されるプロスタグランジンおよびトロンボキサンを含むプラストノイドと呼ばれるアラキドン酸の代謝物である(WarnerおよびMitchell(FASEB J. (2004) 18, 790-804))。PGE2結腸癌細胞の増殖を促進し、そのアポトーシスを抑制する(Shengら(Cancer Res. (1998) 58, 362-366))。 多くの癌細胞ではシクロオキシゲナーゼの発現が変化していることが知られている。すなわち、COX-1はほぼすべての組織において構成的に発現しているのに対して、COX-2は腫瘍においてある種の炎症性サイトカインおよび癌遺伝子によって誘導されることが主に見出されている(WarnerおよびMitchell(前掲))。COX-2の過剰発現は乳癌の予後の悪さ(Denkertら(Clin. Breast Cancer (2004) 4, 428-433)、および卵巣癌の急速な疾患の進行(Denkerら(Mod. Pathol. (2006) 19, 1261-1269)と関連性があることも報告されている。また癌組織に浸潤している抑制性T細胞もプロスタグランジンE2を産生している(Curr. Med. Chem. (2011) 18, 5217-5223)。アラキドン酸の代謝物のプロスタグランジン、ロイコトリエン等の低分子が癌のオートクライン、および/またはパラクラインな増殖を制御する刺激因子として作用していることが知られている(Nat. Rev. Cancer (2012) 12 (11) 782-792)。本発明で使用される癌組織特異的化合物、とくに癌細胞特異的代謝産物や癌組織に浸潤している免疫細胞特異的代謝物の非限定な一態様として、こうしたプロスタグランジンE2等のアラキドン酸の代謝産物が好適に挙げられる。プロスタグランジンE2以外にも、トロンボキサンA2 (TXA2)が大腸癌等の癌組織で産生が亢進しており(J. Lab. Clin. Med. (1993) 122, 518-523)、本発明のアラキドン酸の代謝産物の非限定な一態様として好適に挙げられる。

0066

0067

(5)アデノシン、アデノシン3リン酸(ATP)、アデノシン2リン酸(ADP)、アデノシン1リン酸(AMP)等のプリン環構造を有するヌクレオシド
癌細胞が細胞死すると細胞内の大量のATPが細胞外に漏出することが知られている。そのため、癌組織におけるATP濃度は正常組織と比較して著しく高い(PLoS One. (2008) 3, e2599)。複数の型の細胞がATP、ADPおよびAMPの型のアデニンヌクレオチド遊離する。細胞外-5'-ヌクレオチダーゼ(eco-5'-nucleotidase)(CD73)のような細胞表面の細胞外酵素によって代謝される(RestaおよびThompson(Immunol. Rev. (1998) 161, 95-109)ならびにSadejら(Melanoma Res. (2006) 16, 213-222)。アデノシンは低濃度で細胞外環境に構成的に存在するプリンヌクレオシドであるが、固形癌で見出される低酸素組織では細胞外アデノシン濃度の顕著な増加が報告されている(BlayおよびHoskin(Cancer Res. (1997) 57, 2602-2605)。CD73は腫瘍および免疫細胞の表面に発現しており(Kobieら(J. Immunol. (2006) 177, 6780-6786)、乳癌(Canbolatら(Breast Cancer Res. Treat. (1996) 37, 189-193)、胃癌(Durakら(Cancer Lett. (1994) 84, 199-202)、膵臓癌(FlockeおよびMannherz(Biochim. Biophys. Acta (1991) 1076, 273-281)およびグリオブラストーマ(Bardotら(Br. J. Cancer (1994) 70, 212-218))において活性の上昇が見出されている。癌組織におけるアデノシンの蓄積は、細胞質の5'-ヌクレオチダーゼによるAMPの脱リン酸によって細胞内アデノシン生成が増加することに起因している可能性が提唱されている(HeadrickおよびWillis(Biochem. J. (1989) 261, 541-550)。さらに癌組織に浸潤している抑制性T細胞等もATP分解酵素を発現しており、アデノシンを産生している(Proc. Natl. Acad. Sci. (2006) 103 (35), 13132-13137、Curr. Med. Chem. (2011) 18, 5217-5223)。産生されたアデノシンは、A2Aレセプター等のアデノシンレセプターを介して癌組織を免疫抑制的な環境にしていると考えられている(Curr. Med. Chem. (2011),18,5217-23)。本発明で使用される癌組織特異的化合物の非限定な一態様として、こうしたATP等のプリンヌクレオチドの代謝によって癌組織において高濃度に蓄積する、ATP、ADP、AMP、またはアデノシン等が好適に挙げられる。さらにアデノシンは、adenosine deaminaseによってイノシンに分解されるため、イノシンが高濃度に蓄積する。

0068

(6)尿酸
尿酸は生体内におけるプリンヌクレオシドの代謝経路の産物であり、血液または間質腔等の細胞外に遊離される。また、近年では、癌組織等の病変部位に存在する死細胞から遊離されることが明らかとなっている(Nat. Med. (2007) 13, 851-856)。本発明で使用される癌組織特異的化合物の非限定な一態様として、こうしたATP等のプリンヌクレオチドの代謝によって癌組織において高濃度に蓄積する尿酸も好適に挙げられる。

0069

(7)1-メチルニコチンアミド
複数のヒト癌組織において酵素ニコンチンアミドN-メチルトランスフェラーゼが高発現していることが知られている。本酵素がニコチンアミドから安定的な代謝物である1-メチルニコチンアミドを産生する際、メチル供与体となるS-アデノシルメチオニン(SAM)のメチル基消費するために、癌細胞におけるSAM濃度の減少に伴ったDNAのメチル化能を損ねる機構を通じて、ニコンチンアミドN-メチルトランスフェラーゼの高発現が腫瘍化(tumorigenesis)に寄与していることが提唱されている(Ulanovskayaら(Nat. Chem. Biol. (2013) 9 (5) 300-306))。本酵素の安定的な代謝産物である1-メチルニコチンアミドは、癌細胞の細胞外に分泌することが知られており(Yamadaら(J. Nutr. Sci. Vitaminol. (2010) 56, 83-86))、本発明で使用される癌組織特異的化合物の非限定な一態様として、こうしたニコチンアミドの代謝によって癌組織において高濃度に蓄積する1-メチルニコチンアミド等も好適に挙げられる。

0070

炎症組織特異的化合物
本明細書中で用いられる、用語「炎症組織特異的な化合物(炎症組織特異的化合物)」とは、非炎症組織と比較して炎症組織中に差示的に存在する化合物をいう。本明細書において、「炎症組織」とは、
関節リウマチや変形性関節症における関節
気管支喘息COPDにおける肺(肺胞)
炎症性腸疾患クローン病潰瘍性大腸炎における消化器官
肝臓、腎臓、肺における線維化症における線維化組織
臓器移植における拒絶反応が起こっている組織
動脈硬化心不全における血管、心臓心筋
メタボリック症候群における内臓脂肪
アトピー性皮膚炎その他皮膚炎における皮膚組織
椎間板ヘルニア慢性腰痛における脊髄神経
等が好適に例示される。

0071

炎症組織特異的代謝産物
炎症組織特異的代謝産物とは、炎症性組織に浸潤にしている免疫細胞が高く産生する代謝産物、および、炎症組織において傷害を受けている正常細胞特異的が高く産生する代謝産物である。浸潤する免疫細胞としては、エフェクターT細胞、成熟樹状細胞好中球顆粒細胞肥満細胞)、好塩基球等が例示される。また、本発明における代謝産物には、炎症組織に存在する細胞(免疫細胞、正常細胞)が、アポトーシスやネクローシス等によって細胞死した際に、細胞内から細胞外に放出される化合物も含まれる。

0072

本発明で使用される炎症組織特異的化合物、または炎症組織特異的代謝産物の非限定な一態様として以下の化合物から選択される少なくとも一つの化合物が好適に挙げられる。少なくとも一つの化合物とは、後述する同一の抗原結合ドメインによる抗原に対する結合活性が、一種の炎症組織特異的化合物、または炎症組織特異的代謝産物に依存的であるほか、複数の種類の炎症組織特異的化合物、または炎症組織特異的代謝産物に依存的である場合を含むことを意味する。

0073

(1)プロスタグランジンE2(Prostaglandin E2)等のアラキドン酸の代謝産物
関節リウマチや変形性関節症においてPGE2濃度が高いことが知られている(Eur. J. Clin. Pharmacol. (1994) 46, 3-7.、Clin. Exp. Rheumatol. (1999) 17, 151-160、Am. J. Vet. Res. (2004) 65, 1269-1275.)。本発明で使用される炎症組織特異的化合物、とくに炎症細胞特異的代謝産物や炎症組織に浸潤する免疫細胞特異的代謝物の非限定な一態様として、こうしたプロスタグランジンE2等のアラキドン酸の代謝産物が好適に挙げられる。

0074

(2)アデノシン、アデノシン3リン酸(ATP)、アデノシン2リン酸(ADP)、アデノシン1リン酸(AMP)等のプリン環構造を有するヌクレオシド
気管支喘息に起因する炎症が起こっている肺胞においてATP濃度が高いことが知られている(Nat. Med. (2007) 13, 913-919)。また、COPDに起因する炎症が起こっている肺胞においてATP濃度が高いこともまた知られている(Am. J. Respir. Crit. Care Med. (2010) 181, 928-934)。また、関節リウマチ患者関節液中アデノシン濃度が高いことが観察されている(Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis (2004) 36 877-882)。さらにGVHDにより拒絶反応が起こっている組織においてATP濃度が高いことが知られている(Nat. Med. (2010) 16, 1434-1438)。また、肺、肝臓、腎臓における線維化組織においてアデノシン濃度が亢進していることも知られている(FASEB J. (2008) 22, 2263-2272、J. Immunol. (2006) 176, 4449-4458、J. Am. Soc. Nephrol. (2011) 22 (5), 890-901、PLoS ONE J. (2010) 5 (2), e9242)。また肺線維症患者の線維化組織においてATP濃度が上昇していることが観察されている(Am. J. Respir. Crit. Care Med. (2010) 182, 774-783)。本発明で使用される炎症性組織特異的化合物の非限定な一態様として、こうしたATP等のプリンヌクレオチドの代謝によって炎症組織において高濃度に蓄積する、ATP、ADP、AMP、またはアデノシン等が好適に挙げられる。さらにアデノシンは、adenosine deaminaseによってイノシンに分解されるため、イノシンが高濃度に蓄積する。

0075

(3)尿酸
尿酸は生体内におけるプリンヌクレオシドの代謝経路の産物であり、血液または間質腔等の細胞外に遊離される。また、近年では、壊死(necrosis)を進行する細胞から遊離される尿酸が炎症性応答を促進することが明らかとなっている(J. Clin. Invest. (2010) 120 (6), 1939-1949)。本発明で使用される炎症組織特異的化合物の非限定な一態様として、こうしたATP等のプリンヌクレオチドの代謝によって炎症性組織において高濃度に蓄積する尿酸も好適に挙げられる。

0076

抗原結合ドメイン
本明細書において、「抗原結合ドメイン」は目的とする抗原に結合するかぎりどのような構造のドメインも使用され得る。そのようなドメインの例として、例えば、抗体の重鎖および軽鎖可変領域、生体内に存在する細胞膜タンパクであるAvimerに含まれる35アミノ酸程度のAドメインと呼ばれるモジュール(国際公開WO2004/044011、WO2005/040229)、細胞膜に発現する糖たんぱく質であるfibronectin中のタンパク質に結合するドメインである10Fn3ドメインを含むAdnectin(国際公開WO2002/032925)、ProteinAの58アミノ酸からなる3つのヘリックスの束(bundle)を構成するIgG結合ドメインをscaffoldとするAffibody(国際公開WO1995/001937)、33アミノ酸残基を含むターンと2つの逆並行ヘリックスおよびループのサブユニットが繰り返し積み重なった構造を有するアンキリン反復(ankyrin repeat:AR)の分子表面に露出する領域であるDARPins(Designed Ankyrin Repeat proteins)(国際公開WO2002/020565)、好中球ゲラチナーゼ結合リポカリン(neutrophil gelatinase-associated lipocalin(NGAL))等のリポカリン分子において高度に保存された8つの逆並行ストランドが中央方向にねじれバレル構造の片側を支える4つのループ領域であるAnticalin等(国際公開WO2003/029462)、ヤツメウナギヌタウナギなど無顎類の獲得免疫システムとしてイムノグロブリンの構造を有さない可変性リンパ球受容体(variable lymphocyte receptor(VLR))のロイシン残基に富んだリピート(leucine-rich-repeat(LRR))モジュールが繰り返し積み重なったてい形の構造の内部の並行型シート構造くぼんだ領域(国際公開WO2008/016854)が好適に挙げられる。本発明の抗原結合ドメインの好適な例として、抗体の重鎖および軽鎖の可変領域を含む抗原結合ドメインが挙げられる。こうした抗原結合ドメインの例としては、「scFv(single chain Fv)」、「単鎖抗体(single chain antibody)」、「Fv」、「scFv2(single chain Fv 2)」、「Fab」または「F(ab')2」等が好適に挙げられる。

0077

本発明の抗原結合分子における抗原結合ドメインは、同一のエピトープに結合することができる。ここで同一のエピトープは、例えば、配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在することができる。あるいは、本発明の抗原結合分子における抗原結合ドメインは、互いに異なるエピトープに結合することができる。ここで異なるエピトープは、例えば、配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質中に存在することができる。

0078

特異的
特異的とは、特異的に結合する分子の一方の分子がその一または複数の結合する相手方の分子以外の分子に対しては実質的に結合しない状態をいう。また、抗原結合ドメインが、ある抗原中に含まれる複数のエピトープのうち特定のエピトープに対して特異的である場合にも用いられる。また、抗原結合ドメインが結合するエピトープが複数の異なる抗原に含まれる場合には、当該抗原結合ドメインを有する抗原結合分子は当該エピトープを含む様々な抗原と結合することができる。ここで、実質的に結合しないとは上記結合活性の項で記載される方法に準じて決定され、前記相手方以外の分子に対する特異的結合分子の結合活性が、前記相手方の分子に対するの結合活性の。80%以下、通常50%以下、好ましくは30%以下、特に好ましくは15%以下の結合活性を示すことをいう。

0079

細胞傷害活性
本発明の非限定な一態様では、癌組織特異的化合物の濃度に応じて抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含み、膜型分子をその細胞膜に発現する細胞に対する細胞傷害活性を有する抗原結合分子、および当該抗原結合分子を有効成分として含む医薬組成物が提供される。本発明において細胞傷害活性とは、例えば抗体依存性細胞介在性細胞傷害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity:ADCC)活性、補体依存性細胞傷害(complement-dependent cytotoxicity:CDC)活性およびT細胞による細胞傷害活性等が挙げられる。本発明において、CDC活性とは補体系による細胞傷害活性を意味する。一方ADCC活性とは、標的細胞の細胞膜に発現された膜型分子に結合する抗原結合ドメインを含む抗原結合分子のFc領域に、免疫細胞等が当該免疫細胞に発現したFcγレセプターを介して結合し、当該免疫細胞が標的細胞に傷害を与える活性を意味する。目的の抗原結合分子がADCC活性を有するか否か、又はCDC活性を有するか否かは公知の方法により測定され得る(例えば、Current protocols in Immunology, Chapter7. Immunologic studies in humans、Coliganら編(1993)等)。

0080

具体的には、まず、エフェクター細胞、補体溶液、標的細胞の調製が実施される。
(1)エフェクター細胞の調製
CBA/Nマウスなどから摘出された脾臓から、RPMI1640培地(Invitrogen)中で脾臓細胞が分離される。10%ウシ胎児血清(FBS、HyClone)を含む同培地で洗浄された当該脾臓細胞の濃度を5×106/mLに調製することによって、エフェクター細胞が調製され得る。
(2)補体溶液の調製
10% FBS含有培地(Invitrogen)によってBaby Rabbit Complement(CEDARLANE)を10倍に希釈することによって、補体溶液が調製され得る。
(3)標的細胞の調製

0081

抗原を発現する細胞を0.2 mCiの51Cr-クロム酸ナトリウムGEヘルスケアバイオサイエンス)とともに、10% FBS含有DMEM培地中で37℃にて1時間培養することにより該標的細胞が放射性標識され得る。放射性標識後、10% FBS含有RPMI1640培地にて3回洗浄された細胞の濃度を2×105/mLに調製することによって、当該標的細胞が調製され得る。

0082

ADCC活性、又はCDC活性は下記に述べる方法により測定され得る。ADCC活性の測定の場合は、96ウェルU底プレート(Becton Dickinson)に加えられた各50μlずつの標的細胞と抗原結合分子が室温にて15分間反応させられる。その後、エフェクター細胞100μlが加えられた当該プレートが、炭酸ガスインキュベーター内で4時間静置される。抗原結合分子の終濃度は例えば0または10μg/ml等の濃度が設定され得る。静置後、各ウェルから回収された100μlの上清放射活性が、ガンマカウンターCOBRAII AUTO-GAMMA、MODEL D5005、Packard Instrument Company)を用いて測定される。測定値を用いて細胞傷害活性(%)が(A-C) / (B-C) x 100の計算式に基づいて計算され得る。Aは各試料における放射活性(cpm)、Bは1% NP-40(nacalai tesque)を加えた試料における放射活性(cpm)、Cは標的細胞のみを含む試料の放射活性(cpm)を表す。

0083

一方、CDC活性の測定の場合は、96ウェル平底プレート(Becton Dickinson)に加えられた各50μlずつの標的細胞と抗原結合分子が上にて15分間反応させられる。その後、補体溶液100μlが加えられた当該プレートが、炭酸ガスインキュベーター内で4時間静置される。抗原結合分子の終濃度は例えば0または3μg/mL等の濃度が設定され得る。静置後、各ウェルから回収された100μlの上清の放射活性が、ガンマカウンターを用いて測定される。細胞傷害活性はADCC活性の測定と同様に計算され得る。

0084

また、後述される、化学療法剤、毒性ペプチド或いは放射性化学物質などの細胞傷害性物質が結合された修飾抗原結合分子修飾物も本発明の細胞傷害活性を有する抗原結合分子として好適に使用され得る。このような修飾抗原結合分子(以下、抗原結合分子薬物コンジュゲートと称する。)は、得られた抗原結合分子を化学的に修飾することによって取得され得る。なお、抗原結合分子の修飾方法として、抗体薬物コンジュゲート等の分野においてすでに確立されている方法が適宜使用され得る。また、毒性ペプチドが結合された修飾抗原結合分子は、当該毒性ペプチドをコードする遺伝子と本発明の抗原結合分子をコードする遺伝子がインフレームで連結された融合遺伝子を、適切な宿主細胞中で発現させた後に、当該細胞の培養液から単離することによって、取得され得る。

0085

中和活性
本発明の非限定な一態様では、癌組織特異的化合物の濃度に応じて抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含み、当該膜型分子に対する中和活性を有する抗原結合分子を有効成分として含む免疫応答を誘導する医薬組成物が提供される。本発明の非限定な別の一態様では、癌組織特異的化合物の濃度に応じて抗原に対する結合活性が変化する抗原結合ドメインを含み、膜型分子をその細胞膜に発現する細胞に対する細胞傷害活性に加えて、当該膜型分子に対する中和活性を有する抗原結合分子を有効成分として含む免疫応答を誘導する医薬組成物が提供される。一般的に、中和活性とは、ウイルスや毒素など、細胞に対して生物学的活性を有するリガンドの当該生物学的活性を阻害する活性をいう。即ち、中和活性を有する物質とは、当該リガンド又は当該リガンドが結合するレセプターに結合し、当該リガンドとレセプターの結合を阻害する物質をさす。中和活性によりリガンドとの結合を阻止されたレセプターは、当該レセプターを通じた生物学的活性を発揮することができなくなる。抗原結合分子が抗体である場合、このような中和活性を有する抗体は一般に中和抗体と呼ばれる。ある被検物質の中和活性は、リガンドの存在下における生物学的活性をその被検物質の存在又は非存在下の条件の間で比較することにより測定され得る。

0086

例えば、IL-6レセプターの主要なリガンドとして考えられているものは配列番号:27で表されるIL-6が好適に挙げられる。そのアミノ末端が細胞外ドメインを形成するI型膜タンパク質であるIL-6レセプターは、IL-6によって二量体化が誘導されたgp130レセプターとともにヘテロ四量体を形成する(Heinrichら(Biochem. J. (1998) 334, 297-314))。当該ヘテロ四量体の形成によって、gp130レセプターに会合しているJakが活性化される。Jakは自己リン酸化とレセプターのリン酸化を行う。受容体及びJakのリン酸化部位は、Stat3のようなSH2を持つStatファミリーに属する分子や、MAPキナーゼ、PI3/Akt、そのほかのSH2を持つタンパク質やアダプターに対して、結合部位の役割を果たす。次に、gp130レセプターに結合したStatが、Jakによってリン酸化される。リン酸化されたStatは二量体を形成して核内に移行し、標的遺伝子転写を調節する。JakまたはStatは他のクラスのレセプターを介してシグナルカスケードに関与することもできる。脱制御されたIL-6のシグナルカスケードは、自己免疫疾患の病態や炎症、多発性骨髄腫や前立腺癌などの癌で観察される。癌遺伝子として作用し得るStat3は、多くの癌において恒常的に活性化している。前立腺癌と多発性骨髄腫では、IL-6レセプターからのシグナルカスケードと、上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーメンバーからのシグナルカスケードとの間にクロストークがある(Ishikawaら(J. Clin. Exp. Hematopathol. (2006) 46 (2), 55-66))。

0087

こうした細胞内のシグナルカスケードは細胞種毎に異なるため、目的とする標的細胞毎に適宜標的分子を設定することができ、上記の因子に限定されるものではない。生体内シグナルの活性化を測定することにより、中和活性を評価することができる。また、生体内シグナルカスケードの下流に存在する標的遺伝子に対する転写誘導作用を指標として、生体内シグナルの活性化を検出することもできる。標的遺伝子の転写活性の変化は、レポーターアッセイの原理によって検出することができる。具体的には、標的遺伝子の転写因子又はプロモーター領域の下流にGFP(Green Fluorescence Protein)やルシフェラーゼなどのレポーター遺伝子を配し、そのレポーター活性を測定することにより、転写活性の変化をレポーター活性として測定することができる。生体内シグナルの活性化の測定キットは市販のものを適宜使用することができる(例えば、Mercury Pathway Profiling Luciferase System(Clontech)等)。

0088

更に、通常は細胞増殖を促進する方向に働くシグナルカスケードに作用するEGFレセプターファミリー等のレセプターリガンドの中和活性を測定する方法として、標的とする細胞の増殖活性を測定することによって、抗原結合分子の中和活性を評価することができる。例えば、例えばHB-EGF等その増殖がEGFファミリーの成長因子によって促進される細胞の増殖に対する、抗HB-EGF抗体の中和活性に基づく抑制効果を評価又は測定する方法として、以下の方法が好適に使用される。試験管内において当該細胞増殖抑制活性を評価又は測定する方法としては、培地中に添加した[3H]ラベルしたチミジン生細胞による取り込みをDNA複製能力の指標として測定する方法が用いられる。より簡便な方法としてトリパンブルー等の色素を細胞外に排除する能力を顕微鏡下で計測する色素排除法や、MTT法が用いられる。後者は、生細胞がテトラゾリウム塩であるMTT(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyl tetrazolium bromide)を青色のホルマザン産物へ転換する能力を有することを利用している。より具体的には、被検細胞の培養液にリガンドと共に被検抗体を添加して一定時間を経過した後に、MTT溶液を培養液に加えて一定時間静置することによりMTTを細胞に取り込ませる。その結果、黄色の化合物であるMTTが細胞内のミトコンドリア内のコハク酸脱水素酵素により青色の化合物に変換される。この青色生成物を溶解し呈色させた後にその吸光度を測定することにより生細胞数の指標とするものである。MTT以外に、MTS、XTT、WST-1、WST-8等の試薬も市販されており(nacalai tesqueなど)好適に使用することができる。活性の測定に際しては、対照抗体として抗HB-EGF抗体と同一のアイソタイプを有する抗体で当該細胞増殖抑制活性を有しない結合抗体を、抗HB-EGF抗体と同様に使用して、抗HB-EGF抗体が対照抗体よりも強い細胞増殖抑制活性を示すことにより活性を判定することができる。

0089

活性を評価するための細胞として、例えば、その増殖がHB-EGFによって促進される細胞である、卵巣癌細胞であるRMG-1細胞株や、ヒトEGFRの細胞外ドメインとマウスG-CSF受容体の細胞内ドメインをインフレームで融合した融合タンパク質であるhEGFR/mG-CSFRをコードする遺伝子を発現する様に結合したベクターによって形質転換されたマウスBa/F3細胞等も好適に使用され得る。このように、当業者は、活性を評価するための細胞を適宜選択することによって前記の細胞増殖活性の測定に使用することが可能である。

0090

抗体
本明細書において、抗体とは、天然のものであるかまたは部分的もしくは完全合成により製造された免疫グロブリンをいう。抗体はそれが天然に存在する血漿や血清等の天然資源や抗体を産生するハイブリドーマ細胞培養上清から単離され得るし、または遺伝子組換え等の手法を用いることによって部分的にもしくは完全に合成され得る。抗体の例としては免疫グロブリンのアイソタイプおよびそれらのアイソタイプのサブクラスが好適に挙げられる。ヒトの免疫グロブリンとして、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgMの9種類のクラス(アイソタイプ)が知られている。本発明の抗体には、これらのアイソタイプのうちIgG1、IgG2、IgG3、IgG4が含まれ得る。ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4定常領域としては、遺伝子多型による複数のアロタイプ配列がSequences of proteins of immunological interest, NIH Publication No.91-3242 に記載されているが、本発明においてはそのいずれであっても良い。特にヒトIgG1の配列としては、EUナンバリングで表される356-358位のアミノ酸配列がDELであってもEEMであってもよい。また、ヒトIgκ(Kappa)定常領域とヒトIgλ (Lambda)定常領域としては、遺伝子多型による複数のアロタイプ配列がSequences of proteins of immunological interest, NIH Publication No.91-3242に記載されているが、本発明においてはそのいずれであっても良い。

0091

所望の結合活性を有する抗体を作製する方法は当業者において公知である。以下に、IL-6Rに結合する抗体(抗IL-6R抗体)を作製する方法が例示される。IL-6R以外の抗原に結合する抗体も下記の例示に準じて適宜作製され得る。

0092

抗IL-6R抗体は、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として取得され得る。抗IL-6R抗体としては、哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好適に作製され得る。哺乳動物由来のモノクローナル抗体には、ハイブリドーマにより産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主細胞によって産生されるもの等が含まれる。なお本願発明のモノクローナル抗体には、「ヒト化抗体」や「キメラ抗体」が含まれる。

0093

モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、公知技術を使用することによって、例えば以下のように作製され得る。すなわち、IL-6Rタンパク質を感作抗原として使用して、通常の免疫方法にしたがって哺乳動物が免疫される。得られる免疫細胞が通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合される。次に、通常のスクリーニング法によって、モノクローナル抗体産生細胞スクリーニングすることによって抗IL-6R抗体を産生するハイブリドーマが選択され得る。

0094

具体的には、モノクローナル抗体の作製は例えば以下に示すように行われる。まず、配列番号:2にそのヌクレオチド配列が開示されたIL-6R遺伝子を発現することによって、抗体取得の感作抗原として使用される配列番号:1で表されるIL-6Rタンパク質が取得され得る。すなわち、IL-6Rをコードする遺伝子配列を公知の発現ベクターに挿入することによって適当な宿主細胞が形質転換される。当該宿主細胞中または培養上清中から所望のヒトIL-6Rタンパク質が公知の方法で精製される。培養上清中から可溶型のIL-6Rを取得するためには、例えば、Mullbergら(J. Immunol. (1994) 152 (10), 4958-4968)によって記載されているような可溶型IL-6Rである、配列番号:1で表されるIL-6Rポリペプチド配列のうち、1から357番目のアミノ酸からなるタンパク質が、配列番号:1で表されるIL-6Rタンパク質の代わりに発現される。また、精製した天然のIL-6Rタンパク質もまた同様に感作抗原として使用され得る。

0095

哺乳動物に対する免疫に使用する感作抗原として当該精製IL-6Rタンパク質が使用できる。IL-6Rの部分ペプチドもまた感作抗原として使用できる。この際、当該部分ペプチドはヒトIL-6Rのアミノ酸配列より化学合成によっても取得され得る。また、IL-6R遺伝子の一部を発現ベクターに組込んで発現させることによっても取得され得る。さらにはタンパク質分解酵素を用いてIL-6Rタンパク質を分解することによっても取得され得るが、部分ペプチドとして用いるIL-6Rペプチドの領域および大きさは特に特別の態様に限定されない。好ましい領域は配列番号:1のアミノ酸配列において20-357番目のアミノ酸に相当するアミノ酸配列から任意の配列が選択され得る。感作抗原とするペプチドを構成するアミノ酸の数は少なくとも5以上、例えば6以上、或いは7以上であることが好ましい。より具体的には8〜50、好ましくは10〜30残基のペプチドが感作抗原として使用され得る。

0096

また、IL-6Rタンパク質の所望の部分ポリペプチドやペプチドを異なるポリペプチドと融合した融合タンパク質が感作抗原として利用され得る。感作抗原として使用される融合タンパク質を製造するために、例えば、抗体のFc断片ペプチドタグなどが好適に利用され得る。融合タンパク質を発現するベクターは、所望の二種類又はそれ以上のポリペプチド断片をコードする遺伝子がインフレームで融合され、当該融合遺伝子が前記のように発現ベクターに挿入されることにより作製され得る。融合タンパク質の作製方法はMolecular Cloning 2nd ed. (Sambrook, J et al., Molecular Cloning 2nd ed., 9.47-9.58(1989)Cold Spring Harbor Lab. press)に記載されている。感作抗原として用いられるIL-6Rの取得方法及びそれを用いた免疫方法は、国際公開WO2003/000883、WO2004/022754、WO2006/006693等にも具体的に記載されている。

0097

当該感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特定の動物に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましい。一般的にはげ歯類の動物、例えば、マウス、ラットハムスター、あるいはウサギ、サル等が好適に使用される。

0098

公知の方法にしたがって上記の動物が感作抗原により免疫される。例えば、一般的な方法として、感作抗原が哺乳動物の腹腔内または皮下に注射によって投与されることにより免疫が実施される。具体的には、PBS(Phosphate-Buffered Saline)や生理食塩水等で適当な希釈倍率で希釈された感作抗原が、所望により通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントと混合され、乳化された後に、該感作抗原が哺乳動物に4から21日毎に数回投与される。また、感作抗原の免疫時には適当な担体が使用され得る。特に分子量の小さい部分ペプチドが感作抗原として用いられる場合には、アルブミンキーホールリンペットヘモシアニン等の担体タンパク質と結合した該感作抗原ペプチドを免疫することが望ましい場合もある。

0099

また、所望の抗体を産生するハイブリドーマは、DNA免疫を使用し、以下のようにしても作製され得る。DNA免疫とは、免疫動物中で抗原タンパク質をコードする遺伝子が発現され得るような態様で構築されたベクターDNAが投与された当該免疫動物中で、感作抗原が当該免疫動物の生体内で発現されることによって、免疫刺激が与えられる免疫方法である。蛋白質抗原が免疫動物に投与される一般的な免疫方法と比べて、DNA免疫には、次のような優位性が期待される。
−IL-6Rのような膜蛋白質の構造を維持して免疫刺激が与えられ得る
免疫抗原を精製する必要が無い

0100

DNA免疫によって本発明のモノクローナル抗体を得るために、まず、IL-6Rタンパク質を発現するDNAが免疫動物に投与される。IL-6RをコードするDNAは、PCRなどの公知の方法によって合成され得る。得られたDNAが適当な発現ベクターに挿入され、免疫動物に投与される。発現ベクターとしては、たとえばpcDNA3.1などの市販の発現ベクターが好適に利用され得る。ベクターを生体に投与する方法として、一般的に用いられている方法が利用され得る。たとえば、発現ベクターが吸着した金粒子が、gene gunで免疫動物個体の細胞内に導入されることによってDNA免疫が行われる。さらに、IL-6Rを認識する抗体の作製は国際公開WO2003/104453に記載された方法を用いても作製され得る。

0101

このように哺乳動物が免疫され、血清中におけるIL-6Rに結合する抗体力価の上昇が確認された後に、哺乳動物から免疫細胞が採取され、細胞融合に供される。好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が使用され得る。

0102

前記免疫細胞と融合される細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞が用いられる。ミエローマ細胞は、スクリーニングのための適当な選択マーカーを備えていることが好ましい。選択マーカーとは、特定の培養条件の下で生存できる(あるいはできない)形質を指す。選択マーカーには、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損(以下HGPRT欠損と省略する)、あるいはチミジンキナーゼ欠損(以下TK欠損と省略する)などが公知である。HGPRTやTKの欠損を有する細胞は、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン感受性(以下HAT感受性と省略する)を有する。HAT感受性の細胞はHAT選択培地中でDNA合成を行うことができず死滅するが、正常な細胞と融合すると正常細胞のサルベージ回路を利用してDNAの合成を継続することができるためHAT選択培地中でも増殖するようになる。

0103

HGPRT欠損やTK欠損の細胞は、それぞれ6チオグアニン、8アザグアニン(以下8AGと省略する)、あるいは5'ブロモデオキシウリジンを含む培地で選択され得る。これらのピリミジンアナログをDNA中に取り込む正常な細胞は死滅する。他方、これらのピリミジンアナログを取り込めないこれらの酵素を欠損した細胞は、選択培地の中で生存することができる。この他G418耐性と呼ばれる選択マーカーは、ネオマイシン耐性遺伝子によって2-デオキシストレプタミン系抗生物質(ゲンタマイシン類似体)に対する耐性を与える。細胞融合に好適な種々のミエローマ細胞が公知である。

0104

このようなミエローマ細胞として、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(J. Immunol.(1979)123 (4), 1548-1550)、P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81, 1-7)、NS-1(C. Eur. J. Immunol.(1976)6 (7), 511-519)、MPC-11(Cell(1976)8 (3), 405-415)、SP2/0(Nature(1978)276 (5685), 269-270)、FO(J. Immunol. Methods(1980)35 (1-2), 1-21)、S194/5.XX0.BU.1(J. Exp. Med.(1978)148 (1), 313-323)、R210(Nature(1979)277 (5692), 131-133)等が好適に使用され得る。

0105

基本的には公知の方法、たとえば、ケーラーミルステインらの方法(MethodsEnzymol.(1981)73, 3-46)等に準じて、前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合が行われる。

0106

より具体的には、例えば細胞融合促進剤の存在下で通常の栄養培養液中で、前記細胞融合が実施され得る。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルスHVJ)等が使用され、更に融合効率を高めるために所望によりジメチルスルホキシド等の補助剤が添加されて使用される。

0107

免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は任意に設定され得る。例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1から10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用され、さらに、牛胎児血清FCS)等の血清補液が好適に添加され得る。

0108

細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温されたPEG溶液(例えば平均分子量1000から6000程度)が通常30から60%(w/v)の濃度で添加される。混合液が緩やかに混合されることによって所望の融合細胞(ハイブリドーマ)が形成される。次いで、上記に挙げた適当な培養液が逐次添加され、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等が除去され得る。

0109

このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択され得る。所望のハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、係る十分な時間は数日から数週間である)上記HAT培養液を用いた培養が継続され得る。次いで、通常の限界希釈法によって、所望の抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングが実施される。

0110

このようにして得られたハイブリドーマは、細胞融合に用いられたミエローマが有する選択マーカーに応じた選択培養液を利用することによって選択され得る。例えばHGPRTやTKの欠損を有する細胞は、HAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択され得る。すなわち、HAT感受性のミエローマ細胞を細胞融合に用いた場合、HAT培養液中で、正常細胞との細胞融合に成功した細胞が選択的に増殖し得る。所望のハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間、上記HAT培養液を用いた培養が継続される。具体的には、一般に、数日から数週間の培養によって、所望のハイブリドーマが選択され得る。次いで、通常の限界希釈法によって、所望の抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングが実施され得る。

0111

所望の抗体のスクリーニングおよび単一クローニングが、公知の抗原抗体反応に基づくスクリーニング方法によって好適に実施され得る。例えば、IL-6Rに結合するモノクローナル抗体は、細胞表面に発現したIL-6Rに結合することができる。このようなモノクローナル抗体は、たとえば、FACS(fluorescence activated cell sorting)によってスクリーニングされ得る。FACSは、蛍光抗体と接触させた細胞をレーザー光で解析し、個々の細胞が発する蛍光を測定することによって細胞表面への抗体の結合を測定することを可能にするシステムである。

0112

FACSによって本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングするためには、まずIL-6Rを発現する細胞を調製する。スクリーニングのための好ましい細胞は、IL-6Rを強制発現させた哺乳動物細胞である。宿主細胞として使用した形質転換されていない哺乳動物細胞を対照として用いることによって、細胞表面のIL-6Rに対する抗体の結合活性が選択的に検出され得る。すなわち、宿主細胞に結合せず、IL-6R強制発現細胞に結合する抗体を産生するハイブリドーマを選択することによって、IL-6Rモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが取得され得る。

0113

あるいは固定化したIL-6R発現細胞に対する抗体の結合活性がELISAの原理にもとづいて評価され得る。たとえば、ELISAプレートのウェルにIL-6R発現細胞が固定化される。ハイブリドーマの培養上清をウェル内の固定化細胞に接触させ、固定化細胞に結合する抗体が検出される。モノクローナル抗体がマウス由来の場合、細胞に結合した抗体は、抗マウスイムノグロブリン抗体によって検出され得る。これらのスクリーニングによって選択された、抗原に対する結合能を有する所望の抗体を産生するハイブリドーマは、限界希釈法等によりクローニングされ得る。

0114

このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは通常の培養液中で継代培養され得る。また、当該ハイブリドーマは液体窒素中で長期にわたって保存され得る。

0115

当該ハイブリドーマを通常の方法に従い培養し、その培養上清から所望のモノクローナル抗体が取得され得る。あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖せしめ、その腹水からモノクローナル抗体が取得され得る。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに好適なものである。

0116

当該ハイブリドーマ等の抗体産生細胞からクローニングされる抗体遺伝子によってコードされる抗体も好適に利用され得る。クローニングした抗体遺伝子を適当なベクターに組み込んで宿主に導入することによって、当該遺伝子によってコードされる抗体が発現する。抗体遺伝子の単離と、ベクターへの導入、そして宿主細胞の形質転換のための方法は例えば、Vandammeらによって既に確立されている(Eur. J. Biochem.(1990)192 (3), 767-775)。下記に述べるように組換え抗体の製造方法もまた公知である。

0117

たとえば、抗IL-6R抗体を産生するハイブリドーマ細胞から、抗IL-6R抗体の可変領域(V領域)をコードするcDNAが取得される。そのために、通常、まずハイブリドーマから全RNAが抽出される。細胞からmRNAを抽出するための方法として、たとえば次のような方法を利用することができる。
グアニジン超遠心法(Biochemistry (1979) 18 (24), 5294-5299)
−AGPC法(Anal. Biochem. (1987) 162 (1), 156-159)

0118

抽出されたmRNAは、mRNA Purification Kit (GEヘルスケアバイオサイエンス製)等を使用して精製され得る。あるいは、QuickPrep mRNA Purification Kit (GEヘルスケアバイオサイエンス製)などのように、細胞から直接全mRNAを抽出するためのキットも市販されている。このようなキットを用いて、ハイブリドーマからmRNAが取得され得る。得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V領域をコードするcDNAが合成され得る。cDNAは、AMV Reverse Transcriptase First-strand cDNA Synthesis Kit(生化学工業社製)等によって合成され得る。また、cDNAの合成および増幅のために、SMARTRACE cDNA増幅キット(Clontech製)およびPCRを用いた5'-RACE法(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1988) 85 (23), 8998-9002、Nucleic AcidsRes. (1989) 17 (8), 2919-2932)が適宜利用され得る。更にこうしたcDNAの合成の過程においてcDNAの両末端に後述する適切な制限酵素サイトが導入され得る。

0119

得られたPCR産物から目的とするcDNA断片が精製され、次いでベクターDNAと連結される。このように組換えベクターが作製され、大腸菌等に導入されコロニーが選択された後に、該コロニーを形成した大腸菌から所望の組換えベクターが調製され得る。そして、当該組換えベクターが目的とするcDNAの塩基配列を有しているか否かについて、公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法等により確認される。

0120

可変領域をコードする遺伝子を取得するためには、可変領域遺伝子増幅用のプライマーを使った5'-RACE法を利用するのが簡便である。まずハイブリドーマ細胞より抽出されたRNAを鋳型としてcDNAが合成され、5'-RACE cDNAライブラリが得られる。5'-RACE cDNAライブラリの合成にはSMARTRACE cDNA増幅キットなど市販のキットが適宜用いられる。

0121

得られた5'-RACEcDNAライブラリを鋳型として、PCR法によって抗体遺伝子が増幅される。公知の抗体遺伝子配列をもとにマウス抗体遺伝子増幅用のプライマーがデザインされ得る。これらのプライマーは、イムノグロブリンのサブクラスごとに異なる塩基配列である。したがって、サブクラスは予めIso Stripマウスモノクローナル抗体アイタイピングキット(ロシュダイアグスティックス)などの市販キットを用いて決定しておくことが望ましい。

0122

具体的には、たとえばマウスIgGをコードする遺伝子の取得を目的とするときには、重鎖としてγ1、γ2a、γ2b、γ3、軽鎖としてκ鎖λ鎖をコードする遺伝子の増幅が可能なプライマーが利用され得る。IgGの可変領域遺伝子を増幅するためには、一般に3'側のプライマーには可変領域に近い定常領域に相当する部分にアニールするプライマーが利用される。一方5'側のプライマーには、5' RACEcDNAライブラリ作製キット付属するプライマーが利用される。

0123

こうして増幅されたPCR産物を利用して、重鎖と軽鎖の組み合せからなるイムノグロブリンが再構成され得る。再構成されたイムノグロブリンの、IL-6Rに対する結合活性を指標として、所望の抗体がスクリーニングされ得る。たとえばIL-6Rに対する抗体の取得を目的とするとき、抗体のIL-6Rへの結合は、特異的であることがさらに好ましい。IL-6Rに結合する抗体は、たとえば次のようにしてスクリーニングされ得る;
(1)ハイブリドーマから得られたcDNAによってコードされるV領域を含む抗体をIL-6R発現細胞に接触させる工程、
(2)IL-6R発現細胞と抗体との結合を検出する工程、および
(3)IL-6R発現細胞に結合する抗体を選択する工程。

0124

抗体とIL-6R発現細胞との結合を検出する方法は公知である。具体的には、先に述べたFACSなどの手法によって、抗体とIL-6R発現細胞との結合が検出され得る。抗体の結合活性を評価するためにIL-6R発現細胞の固定標本が適宜利用され得る。

0125

結合活性を指標とする抗体のスクリーニング方法として、ファージベクターを利用したパニング法も好適に用いられる。ポリクローナルな抗体発現細胞群より抗体遺伝子を重鎖と軽鎖のサブクラスのライブラリとして取得した場合には、ファージベクターを利用したスクリーニング方法が有利である。重鎖と軽鎖の可変領域をコードする遺伝子は、適当なリンカー配列で連結することによってシングルチェインFv(scFv)を形成することができる。scFvをコードする遺伝子をファージベクターに挿入することにより、scFvを表面に発現するファージが取得され得る。このファージと所望の抗原との接触の後に、抗原に結合したファージを回収することによって、目的の結合活性を有するscFvをコードするDNAが回収され得る。この操作を必要に応じて繰り返すことにより、所望の結合活性を有するscFvが濃縮され得る。

0126

目的とする抗IL-6R抗体のV領域をコードするcDNAが得られた後に、当該cDNAの両末端に挿入した制限酵素サイトを認識する制限酵素によって該cDNAが消化される。好ましい制限酵素は、抗体遺伝子を構成する塩基配列に出現する頻度が低い塩基配列を認識して消化する。更に1コピー消化断片をベクターに正しい方向で挿入するためには、付着末端を与える制限酵素の挿入が好ましい。上記のように消化された抗IL-6R抗体のV領域をコードするcDNAを適当な発現ベクターに挿入することによって、抗体発現ベクターが取得され得る。このとき、抗体定常領域(C領域)をコードする遺伝子と、前記V領域をコードする遺伝子とがインフレームで融合されれば、キメラ抗体が取得される。ここで、キメラ抗体とは、定常領域と可変領域の由来が異なることをいう。したがって、マウス−ヒトなどの異種キメラ抗体に加え、ヒト−ヒト同種キメラ抗体も、本発明におけるキメラ抗体に含まれる。予め定常領域を有する発現ベクターに、前記V領域遺伝子を挿入することによって、キメラ抗体発現ベクターが構築され得る。具体的には、たとえば、所望の抗体定常領域をコードするDNAを保持した発現ベクターの5'側に、前記V領域遺伝子を消化する制限酵素の制限酵素認識配列が適宜配置され得る。同じ組み合わせの制限酵素で消化された両者がインフレームで融合されることによって、キメラ抗体発現ベクターが構築される。

0127

抗IL-6Rモノクローナル抗体を製造するために、抗体遺伝子が発現制御領域による制御の下で発現するように発現ベクターに組み込まれる。抗体を発現するための発現制御領域とは、例えば、エンハンサーやプロモーターを含む。また、発現した抗体が細胞外に分泌されるように、適切なシグナル配列がアミノ末端に付加され得る。後に記載される実施例ではシグナル配列として、アミノ酸配列MGWSCIILFLVATATGVHS(配列番号:3)を有するペプチドが使用されているが、これ以外にも適したシグナル配列が付加される。発現されたポリペプチドは上記配列のカルボキシル末端部分で切断され、切断されたポリペプチドが成熟ポリペプチドとして細胞外に分泌され得る。次いで、この発現ベクターによって適当な宿主細胞が形質転換されることによって、抗IL-6R抗体をコードするDNAを発現する組換え細胞が取得され得る。

0128

抗体遺伝子の発現のために、抗体重鎖H鎖)および軽鎖(L鎖)をコードするDNAは、それぞれ別の発現ベクターに組み込まれる。H鎖とL鎖が組み込まれたベクターによって、同じ宿主細胞に同時に形質転換(co-transfect)されることによって、H鎖とL鎖を備えた抗体分子が発現され得る。あるいはH鎖およびL鎖をコードするDNAが単一の発現ベクターに組み込まれることによって宿主細胞が形質転換され得る(国際公開WO 1994/011523を参照のこと)。

0129

単離された抗体遺伝子を適当な宿主に導入することによって抗体を作製するための宿主細胞と発現ベクターの多くの組み合わせが公知である。これらの発現系は、いずれも本発明の抗原結合ドメインを単離するのに応用され得る。真核細胞が宿主細胞として使用される場合、動物細胞植物細胞、あるいは真菌細胞が適宜使用され得る。具体的には、動物細胞としては、次のような細胞が例示され得る。
(1)哺乳類細胞、:CHO(Chinese hamster ovary cell line)、COS(Monkey kidney cell line)、ミエローマ(Sp2/0、NS0等)、BHK(baby hamster kidney cell line)、Hela、Vero、HEK293(human embryonic kidney cell line with sheared adenovirus (Ad)5 DNA)、PER.C6 cell (human embryonic retinal cell line transformed with the Adenovirus Type 5 (Ad5) E1A and E1B genes)など(Current Protocols in Protein Science (May, 2001, Unit 5.9, Table 5.9.1))
(2)両生類細胞:アフリカツメガエル卵母細胞など
(3)昆虫細胞:sf9、sf21、Tn5など

0130

あるいは植物細胞としては、ニコティアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)などのニコティアナ(Nicotiana)属由来の細胞による抗体遺伝子の発現系が公知である。植物細胞の形質転換には、カルス培養した細胞が適宜利用され得る。

0131

更に真菌細胞としては、次のような細胞を利用することができる。
酵母サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces serevisiae)などのサッカロミセス(Saccharomyces )属、メタノール資化酵母(Pichia pastoris)などのPichia属
糸状菌アススギルス・ニガー(Aspergillus niger)などのアスペルギルス(Aspergillus )属

0132

また、原核細胞を利用した抗体遺伝子の発現系も公知である。たとえば、細菌細胞を用いる場合、大腸菌(E. coli )、枯草菌などの細菌細胞が適宜利用され得る。これらの細胞中に、目的とする抗体遺伝子を含む発現ベクターが形質転換によって導入される。形質転換された細胞をin vitroで培養することにより、当該形質転換細胞培養物から所望の抗体が取得され得る。

0133

組換え抗体の産生には、上記宿主細胞に加えて、トランスジェニック動物も利用され得る。すなわち所望の抗体をコードする遺伝子が導入された動物から、当該抗体を得ることができる。例えば、抗体遺伝子は、乳汁中に固有に産生されるタンパク質をコードする遺伝子の内部にインフレームで挿入することによって融合遺伝子として構築され得る。乳汁中に分泌されるタンパク質として、たとえば、ヤギβカゼインなどを利用され得る。抗体遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA断片はヤギの注入され、当該注入された胚が雌のヤギへ導入される。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギ(またはその子孫)が産生する乳汁からは、所望の抗体が乳汁タンパク質との融合タンパク質として取得され得る。また、トランスジェニックヤギから産生される所望の抗体を含む乳汁量を増加させるために、ホルモンがトランスジェニックヤギに対して投与され得る(Bio/Technology (1994), 12 (7), 699-702)。

0134

本明細書において記載される抗原結合分子がヒトに投与される場合、当該抗原結合分子における抗原結合ドメインとして、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体由来の抗原結合ドメインが適宜採用され得る。遺伝子組換え型抗体には、例えば、ヒト化(Humanized)抗体等が含まれる。これらの改変抗体は、公知の方法を用いて適宜製造される。

0135

本明細書において記載される抗原結合分子における抗原結合ドメインを作製するために用いられる抗体の可変領域は、通常、4つのフレームワーク領域(FR)にはさまれた3つの相補性決定領域(complementarity-determining region ;CDR)で構成されている。CDRは、実質的に、抗体の結合特異性を決定している領域である。CDRのアミノ酸配列は多様性富む。一方FRを構成するアミノ酸配列は、異なる結合特異性を有する抗体の間でも、高い同一性を示すことが多い。そのため、一般に、CDRの移植によって、ある抗体の結合特異性を、他の抗体に移植することができるとされている。

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