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技術 抗微生物部材

出願人 イビデン株式会社
発明者 伊藤和紘大塚康平横田晃章
出願日 2018年11月16日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2018-215696
公開日 2020年3月19日 (8ヶ月経過) 公開番号 2020-040934
状態 未査定
技術分野 農薬・動植物の保存 重合方法(一般) 積層体(2)
主要キーワード 算術平均面 部材表 チタン含有組成物 塗布距離 表層樹脂層 無加工試験片 固着形成 乾燥固化物
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物部材を提供する。

解決手段

基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物固着形成されてなり、かつ、前記バインダ硬化物を含む基材表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)は、0.1〜4μmであることを特徴とする抗微生物部材。

概要

背景

近年、病原体である種々の微生物を媒介とした感染症が短時間で急激に広がる、いわゆる「パンデミック」が問題になっており、SARS(重症急性呼吸器症候群)や、ノロウィルス鳥インフルエンザ等のウィルス感染による死者報告されている。

そこで、様々のウィルスに対して抗ウィルス活性を発揮する抗ウィルス剤の開発が活発に行われており、実際に様々な部材に抗ウィルス活性を有するPd等の金属や有機化合物からなる抗ウィルス剤を含む樹脂等を塗布したり、抗ウィルス剤が担持された材料を含む部材を製造することが行われている。

特許文献1には、基材表面に複数の抗菌金属アイランドを形成することにより抗菌活性を付与した抗菌性基材が開示されている。

特許文献2には、プラスチック基材と、前記プラスチック基材の少なくとも一つの面上に積層された硬化型樹脂層とを含む、抗菌性透明フィルムであって、前記硬化型樹脂層が抗菌剤を含み、前記抗菌剤が0.5〜100nmの平均粒子径を有し、前記硬化型樹脂層表面のJIS B 0601−1982に準拠して測定した算術平均粗さ(Ra)が0.1μm未満である、抗菌性透明フィルムが開示されている。

概要

単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物部材を提供する。基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物固着形成されてなり、かつ、前記バインダ硬化物を含む基材表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)は、0.1〜4μmであることを特徴とする抗微生物部材。

目的

本発明の抗微生物部材では、単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物部材を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物固着形成されてなり、かつ、前記バインダ硬化物を含む基材表面のJISB0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)は、0.1〜4μmであることを特徴とする抗微生物部材。

請求項2

前記バインダ硬化物は、島状に分散して基材表面に固着されてなるか、もしくは基材表面に前記バインダ硬化物が形成された領域と前記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなる請求項1に記載の抗微生物部材。

請求項3

前記バインダ硬化物は、前記抗微生物成分として、無機抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の抗微生物部材。

請求項4

前記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛白金亜鉛化合物銀化合物銅化合物、金属もしくは金属酸化物担持された金属酸化物触媒金属イオンイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の抗微生物部材。

請求項5

前記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の抗微生物部材。

請求項6

前記バインダ硬化物は、有機バインダ無機バインダおよび有機・無機ハイブリッドバインダから選ばれる少なくとも1種以上のバインダ硬化物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗微生物部材。

請求項7

前記有機バインダは、熱硬化性樹脂電磁硬化型樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載の抗微生物部材。

請求項8

前記無機バインダは、シリカゾルアルミナゾルチタニアゾルジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載の抗微生物部材。

請求項9

前記バインダ硬化物が膜状に形成され、当該バインダ硬化物の膜が形成された領域内に前記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられた状態である請求項1〜8のいずれか1項に記載の抗微生物部材。

請求項10

前記抗微生物部材は、抗ウィルス性部材である請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗微生物部材。

請求項11

前記抗微生物部材は、抗カビ部材である請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗微生物部材。

請求項12

基材表面に抗微生物成分を含む電磁波硬化型樹脂の硬化物が固着されてなり、かつ、前記電磁波硬化型樹脂の硬化物を含む基材表面のJISB0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)は、0.1〜4μmであることを特徴とする抗微生物部材。

請求項13

前記電磁波硬化型樹脂の硬化物は、基材表面に島状に散在してなるか、又は、抗微生物成分を含む電磁波硬化型樹脂の硬化物が形成された領域と電磁波硬化型樹脂の硬化物が形成されていない領域が混在した状態となっている請求項12に記載の抗微生物部材。

請求項14

前記電磁波硬化型樹脂の硬化物は、前記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項12又は13に記載の抗微生物部材。

請求項15

前記抗微生物成分は、銅化合物であって、前記銅化合物は、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することでCu(I)とCu(II)の共存が確認される請求項12〜14のいずれか1項に記載の抗微生物部材。

請求項16

前記抗微生物成分は、銅化合物であって、前記銅化合物は、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、前記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオン個数比率(Cu(I)/Cu(II))が0.4〜50である請求項12〜15のいずれか1項に記載の抗微生物部材。

請求項17

前記抗微生物成分は、ビス型第四級アンモニウム塩である請求項12〜16のいずれか1項に記載の抗微生物部材。

請求項18

前記電磁波硬化型樹脂の硬化物は、さらに重合開始剤を含む請求項12〜17のいずれか1項に記載の抗微生物部材。

請求項19

前記重合開始剤は、アルキルフェノン系の重合開始剤およびベンゾフェノン系の重合開始剤を含み、アルキルフェノン系の重合開始剤とベンゾフェノン系の重合開始剤の比率は、重量比でアルキルフェノン系の重合開始剤/ベンゾフェノン系の重合開始剤=1/1〜4/1である請求項18に記載の抗微生物部材。

請求項20

前記抗微生物部材は、抗ウィルス性部材である請求項12〜19のいずれか1項に記載の抗微生物部材。

請求項21

前記抗微生物部材は、抗カビ部材である請求項12〜19のいずれか1項に記載の抗微生物部材。

技術分野

0001

本発明は、抗微生物部材に関する。

背景技術

0002

近年、病原体である種々の微生物を媒介とした感染症が短時間で急激に広がる、いわゆる「パンデミック」が問題になっており、SARS(重症急性呼吸器症候群)や、ノロウィルス鳥インフルエンザ等のウィルス感染による死者報告されている。

0003

そこで、様々のウィルスに対して抗ウィルス活性を発揮する抗ウィルス剤の開発が活発に行われており、実際に様々な部材に抗ウィルス活性を有するPd等の金属や有機化合物からなる抗ウィルス剤を含む樹脂等を塗布したり、抗ウィルス剤が担持された材料を含む部材を製造することが行われている。

0004

特許文献1には、基材表面に複数の抗菌金属アイランドを形成することにより抗菌活性を付与した抗菌性基材が開示されている。

0005

特許文献2には、プラスチック基材と、前記プラスチック基材の少なくとも一つの面上に積層された硬化型樹脂層とを含む、抗菌性透明フィルムであって、前記硬化型樹脂層が抗菌剤を含み、前記抗菌剤が0.5〜100nmの平均粒子径を有し、前記硬化型樹脂層表面のJIS B 0601−1982に準拠して測定した算術平均粗さ(Ra)が0.1μm未満である、抗菌性透明フィルムが開示されている。

先行技術

0006

公表2008−47810号
特許第5804206号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、特許文献1に記載された抗菌性基材では、平均直径が5〜500nmの抗菌金属アイランドが基材表面に固定されていることが開示されているが、抗菌金属の固定量に見合う充分な抗菌、抗ウィルス活性が得られていないという問題があった。

0008

また、特許文献2に記載された抗菌性透明フィルムでも、抗菌剤の固定量に見合う充分な抗ウィルス活性が得られないという問題があった。

0009

そこで、上記抗菌性透明フィルムにおいて、抗菌、抗ウィルス活性が抗菌剤の固定量に対して低い理由に関し、本発明者らが鋭意研究した結果、抗ウィルス成分が担持されている表面の面粗さが小さすぎるため、抗ウィルス成分とウィルスとの接触確率が低く、また、ウィルスをトラップするための空間が存在しないため、抗ウィルス性能が充分に発現しないことを知見し、上記知見に基づき、本発明を完成させたものである。

課題を解決するための手段

0010

本発明の抗微生物部材は、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物固着形成されてなり、かつ、上記バインダ硬化物を含む基材表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)は、0.1〜4μmであることを特徴とする。

0011

本発明の抗微生物部材における、抗微生物とは、抗ウィルス、抗菌、抗カビ防カビを含む概念である。従って、抗微生物成分とは、抗ウィルス成分、抗菌成分抗カビ成分防カビ成分を含む概念であり、抗微生物剤とは、抗ウィルス剤、抗菌剤、抗カビ剤防カビ剤を含む概念であり、抗微生物組成物とは、抗ウィルス組成物抗菌組成物抗カビ組成物防カビ組成物を含む概念である。

0012

本明細書において、上記抗微生物部材は、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビのうちいずれか1種の活性を示す部材であってもよく、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビのうち、いずれか2種類の活性を示す部材であってもよく、いずれか3種類の活性を示す部材であってもよく、4種類全ての活性を示す部材であってもよい。
本発明の抗微生物部材における抗微生物特性の中で、特に抗ウィルス、抗カビに有効であり、抗ウィルスが最も高い活性を持つ。

0013

本発明の抗微生物部材は、表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が基材の表面に固着しており、上記バインダ硬化物を含む表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)が、0.1〜4μmであるので、上記バインダ硬化物を含む基材表面の表面積及び凹凸が適切な範囲となり、ウィルス等の微生物と抗微生物成分が接触する確率が高くなり、また、表面の凹凸の谷間に、ウィルス等の微生物がトラップされ易くなり、その結果、ウィルス等の微生物を失活させ易くなる。それ故、本発明の抗微生物部材では、単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物部材を提供することができる。このため、必要最小限の抗微生物組成物の量で、充分な抗微生物活性が得られるのである。

0014

本発明では、算術平均面粗さ(Ra)は、触針式の表面粗さ計で測定でき、具体的には東京精密製の接触式表面粗さ測定機であるHANDYSURFを用い、8mmの測定長さで測定することにより得ることができる。
また、測定にあたっては、表面に導管模様などの凹溝や、リブなどの凸状体が形成されている場合にはその凹溝部分や凸状体部分を除外して測定する。

0015

本発明の抗微生物部材においては、算術平均面粗さ(Ra)は、0.11〜3μmが好適である。抗微生物成分を含むバインダ硬化物の単位担持量当たりの抗微生物活性が最も高くなるからである。

0016

本発明の抗微生物部材は、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が固着形成されてなり、上記バインダ硬化物は、島状に分散して基材表面に固着されてなるか、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなることが望ましい。表面に凹凸を形成しやすいからである。もちろん、抗微生物成分を含むバインダ硬化物が膜状であってもよい。

0017

本発明の抗微生物部材では、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が固着形成されてなり、上記バインダ硬化物は、島状に分散して基材表面に固着されてなるか、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなるため、基材表面に抗微生物成分からなるバインダ硬化物で構成される凹凸が形成されている。このため、バインダ硬化物を膜状に形成した場合に比べて、抗微生物成分を含むバインダ硬化物の総表面積が大きくなることから、ウィルス等の微生物との接触確率が高くなり、またウィルス等の微生物をバインダ硬化物間にトラップできるため、高い抗微生物活性が得られるのである。また、抗微生物成分がバインダ硬化物中に含まれているため、基材との密着性にも優れ、ふき取り清掃による脱落も防止できる。

0018

本明細書において、バインダ硬化物は、基材表面の10%以上、95%以下を覆っていることが望ましく、バインダ硬化物が形成されたバインダ硬化物形成領域と、バインダ硬化物が形成されていないバインダ硬化物非形成領域と、が混在した状態であればよい。すなわち、バインダ硬化物は、基材表面の一部を露出するように、基材表面に固着形成されているのである。バインダ硬化物は島状に形成されていてもよく、また、上記バインダ硬化物が膜状に形成され、当該バインダ硬化物の膜が形成された領域内に硬化物が形成されていない領域が混在して設けられた状態であってもよい。

0019

上記島状とは、基材表面のバインダ硬化物が他のバインダ硬化物と接触しない孤立した状態で存在していることをいう。島状に散在しているバインダ硬化物の形状は特に限定されず、その輪郭を平面視した際、円形楕円形等の曲線から構成される形状であってもよく、多角形等の形状であってもよく、円形、楕円形等が細い部分を介して繋がり合ったような形状であってもよく、アメーバ状のようなものでもよい。また、島同士が互いに入り組んで接触することなく隣接していてもよい。
また、上記バインダ硬化物は、膜状に形成され、その膜状のバインダ硬化物の形成領域内に硬化物が形成されていない領域が混在して設けられた状態のバインダ硬化物と、島状に形成されたバインダ硬化物が混在していてもよい。

0020

本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物は、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。

0021

本発明の抗微生物部材において、上記バインダ硬化物が、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいると、確実に高い抗微生物活性を有する抗微生物部材を実現することができる。

0022

本発明の抗微生物部材では、また、無機系抗微生物剤としては、銀、銅、亜鉛チタンタングステン等から選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属酸化物あるいは金属水和物粒子を用いることもできる。無機系抗微生物剤の具体例としては、例えば、酸化銅(I)(亜酸化銅)、酸化銅(II)、炭酸銅(II)、水酸化銅(II)、塩化銅(II)、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたアルミナ、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたシリカ、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持された酸化亜鉛、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持された酸化チタン、もしくは酸化タングステン、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたリン酸カルシウム等の無機粒子が挙げられる。銀イオン及び銅イオンの少なくとも一方で交換されたゼオライトは、さらに亜鉛イオン等の他の金属イオンで交換されていてもよい。また、本発明の無機系抗微生物剤としては、銅の錯体であることが望ましい。

0023

本発明の抗微生物部材では、上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金亜鉛化合物銀化合物銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0024

本発明の抗微生物部材では、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0025

本発明の抗微生物部材において、上記有機系抗微生物剤が、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であると、有機系抗微生物剤はバインダ硬化物の全体に広がり易く、高い抗微生物活性を有する抗微生物部材となる。

0026

本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物は、有機バインダ無機バインダおよび有機・無機ハイブリッドバインダから選ばれる少なくとも1種以上のバインダ硬化物を含むことが望ましい。

0027

上記有機バインダは、熱硬化性樹脂電磁硬化型樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0028

本発明の抗微生物部材では、上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂ポリイミド樹脂メラミン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが望ましい。上記電磁波硬化型樹脂は、アクリル樹脂ウレタンアクリレート樹脂ポリエーテル樹脂ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0029

本発明の抗微生物部材において、上記電磁波硬化型樹脂が、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であると、バインダ硬化物は、透明性を有するとともに、基材に対する密着性にも優れる。

0030

本発明の抗微生物部材では、上記無機バインダは、シリカゾルアルミナゾルチタニアゾルジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0031

本発明の抗微生物部材において、上記無機バインダが、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種であると、抗微生物成分の種類に応じて水を分散媒としたゾル等や有機溶媒を分散媒としたゾルを使い分けることができ、抗微生物成分が良好に分散したバインダ硬化物を形成することができる。
本発明の抗微生物部材において、上記有機・無機ハイブリッドのバインダは、シロキサン結合を形成するためのアルコキシシランを用いることができる。

0032

本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅は、0.1〜500μmであり、その厚さの平均値は、0.1〜20μmであることが望ましい。

0033

本発明の抗微生物部材において、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅を0.1〜500μmとすることにより、基材の表面がバインダ硬化物により被覆されていない部分の割合を適切に保つことができ、基材表面に所定パターン意匠等が形成されている場合でも、意匠等の外観美観が損なわれてしまうのを防止することができる。

0034

本発明の抗微生物部材においては、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅が0.1μm未満のバインダ硬化物を形成することは技術的に困難であり、バインダ硬化物の基材表面の被覆率も低くなってしまい、抗微生物活性が低下してしまう。一方、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅が500μmを超えると、1個のバインダ硬化物の大きさが大きくなりすぎ、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、バインダ硬化物が邪魔して意匠等が見にくくなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。

0035

本発明の抗微生物部材において、バインダ硬化物の厚さの平均値が0.1〜20μmであると、バインダ硬化物の厚さが薄いので、バインダ硬化物の連続層となりにくく、バインダ硬化物が島状に散在、もしくは、上記バインダ硬化物が膜状に形成され、当該バインダ硬化物の膜が形成された領域内に硬化物が形成されていない領域が混在して設けられた状態にさせ易くなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができ、高い抗微生物活性を得ることができる。

0036

本発明の抗微生物部材において、その厚さの平均値が0.1μm未満のバインダ硬化物を形成するのは技術的に難しく、バインダ硬化物の基材表面の被覆率も低くなってしまい、抗微生物活性が低下してしまう。一方、バインダ硬化物の厚さの平均値が20μmを超えると、バインダ硬化物が厚すぎるので、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、バインダ硬化物が邪魔して意匠等が見にくくなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。

0037

本発明の抗微生物部材では、バインダ硬化物が島状に散在している場合は、上記島状のバインダ硬化物は、基材の表面1平方メートル当たり0.05×108〜30×108個存在することが望ましい。

0038

本発明の抗微生物部材おいて、上記バインダ硬化物が島状に散在している場合、上記島状のバインダ硬化物が、基材の表面1平方メートル当たり0.05×108〜30×108個存在すると、バインダ硬化物の大きさが適切に設定されていることとなり、基材表面に形成された意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができ、単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物部材となる。

0039

本発明の抗微生物部材は、基材表面に抗微生物成分を含む電磁波硬化型樹脂の硬化物が固着されてなり、かつ、上記電磁波硬化型樹脂の硬化物を含む基材表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)は、0.1〜4μmであることを特徴とする抗微生物部材であることが望ましい。

0040

電磁波硬化型樹脂は、壁やトイレなど、既存の建築物等を構成する基材の表面に抗微生物性を有する未硬化の電磁波硬化型樹脂からなる抗微生物組成物を付着させて、電磁波で硬化させるだけで、抗微生物性を有する硬化物を基材表面に固着させることができるからである。

0041

本発明の抗微生物部材においては、上記電磁波硬化型樹脂の硬化物含む基材の表面粗さを基材表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)で0.1〜4μmに調整しているため、抗微生物活性を示す電磁波硬化型樹脂の硬化物の総表面積が大きくなり、ウィルス等の微生物との接触確率が高くなり、また、抗微生物活性を示す電磁波硬化型樹脂の硬化物の表面の凸部と凸部間に形成される凹部にウィルス等の微生物がトラップされて、ウィルス等の微生物を失活させやすくなる。

0042

また、本発明の抗微生物部材においては、抗微生物性活性を有する電磁波硬化型樹脂の硬化物が島状に散在してなるか、又は、抗微生物成分を含む電磁波硬化型樹脂の硬化物が形成された領域と電磁波硬化型樹脂の硬化物が形成されていない領域が混在した状態となっていることが望ましい。
電磁波硬化型樹脂の硬化物が形成されている領域を凸部、形成されていない領域を凹部として、基材表面に凹凸を形成し易くなり、電磁波硬化型樹脂の硬化物含む基材表面粗さを基材表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)で0.1〜4μmに調整し易くなるからである。
なお、電磁波硬化型樹脂の硬化物は膜状(層状)に形成されていてもよい。この場合は、膜表面をサンドブラスト物理化学エッチング研磨などを用いて粗化または平滑化することにより面粗さを調整する。また、膜の中に粒子状物質を添加して面粗さを調整してもよい。

0043

上記電磁波硬化型樹脂の硬化物は、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。

0044

上記電磁波硬化型樹脂の硬化物に含まれる上記抗微生物成分は、銅化合物であって、上記銅化合物は、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することでCu(I)とCu(II)の共存が確認されることが望ましい。Cu(I)およびCu(II)が共存していた方が、それぞれ単独に存在している場合に比べて、抗微生物活性が高いからである。

0045

上記電磁波硬化型樹脂の硬化物に含まれる上記抗微生物成分は、銅化合物であって、上記銅化合物は、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオン個数比率(Cu(I)/Cu(II))が0.4〜50であることが望ましい。

0046

上記電磁波硬化型樹脂の硬化物に含まれる上記抗微生物成分は、ビス型第四級アンモニウム塩であることが望ましい。高い抗微生物性能を有しているからである。

0047

本発明の抗微生物部材では、上記電磁波硬化型樹脂の硬化物は、さらに重合開始剤を含むことが望ましい。重合反応架橋反応を進行させるとともに、銅(II)を抗微生物性能の高い銅(I)に還元する働きを有するからである。

0048

本発明の抗微生物部材においては、上記重合開始剤は、アルキルフェノン系の重合開始剤およびベンゾフェノン系の重合開始剤を含み、アルキルフェノン系の重合開始剤とベンゾフェノン系の重合開始剤の比率は、重量比でアルキルフェノン系の重合開始剤/ベンゾフェノン系の重合開始剤=1/1〜4/1であることが望ましい。電磁波硬化型樹脂の硬化物の架橋密度が高くなり、拭き取り清掃の際に発生する応力摩耗に対する耐久性が向上する。

0049

なお、煮沸したトルエンに電磁波硬化型樹脂の硬化物を8時間浸漬して乾燥、(浸漬後の硬化物の重量/浸漬前の硬化物の重量)×100%で架橋密度を測定すると、実施例1、4の抗ウィルス性部材の架橋密度は、いずれも97%である。一方、実施例1、4と同様の樹脂を用い、アルキルフェノン系の重合開始剤/ベンゾフェノン系の重合開始剤の比率が0.5/1、5/1となると、架橋密度は、それぞれ91%まで低下する。つまり、重量比でアルキルフェノン系の重合開始剤/ベンゾフェノン系の重合開始剤=1/1〜4/1(架橋密度95%以上)であることが最適である。

0050

本発明の抗微生物部材では、上記抗微生物部材は、抗ウィルス性部材又は抗カビ部材であることが望ましい。
本発明の抗微生物部材は、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビの特性を有するが、抗ウィルス活性、抗カビ活性優れ、特に抗ウィルスが最も高い活性を有するからである。

図面の簡単な説明

0051

図1は、本発明の抗微生物部材の一実施形態を模式的に示す平面図である。
図2(a)は、本発明の抗微生物部材の他の一実施形態を模式的に示す断面図であり、図2(b)は、図2(a)に示した抗微生物部材の断面図である。
図3は、実施例3で得られた抗ウィルス性部材を示す光学顕微鏡写真である。
図4は、実施例2で得られた抗ウィルス性部材を示す光学顕微鏡写真である。
図5は、横軸が抗ウィルス性部材の表面の算術平均粗さRa、縦軸が抗ウィルス性のバインダ硬化物の単位担持量(単位面積)当たりの抗ウィルス活性値を示したグラフであり、実施例1〜3及び比較例1〜2の結果を示している。
図6は、横軸が抗ウィルス性部材の表面の算術平均粗さRa、縦軸が抗ウィルス性のバインダ硬化物の抗ウィルス活性値を示したグラフであり、実施例1〜3及び比較例1〜2の結果を示している。

0052

(発明の詳細な説明)
以下、本発明の抗微生物部材について詳細に説明する。
本発明の抗微生物部材は、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が固着形成されてなり、上記バインダ硬化物を含む表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)が、0.1〜4μmであることを特徴とする。
上記バインダ硬化物は、島状に分散して基材表面に固着されてなるか、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられており、抗微生物部材表面に凹凸が形成されている。本発明においては、バインダ硬化物は、基材表面の10%以上、95%以下を覆っていることが望ましい。
また、抗微生物性のバインダ硬化物を膜状に形成して、膜表面に凹凸を形成してもよい。

0053

本発明では、抗微生物部材の表面にRa=0.1μm以上の凹凸を設けており、抗微生物性のバインダ硬化物の総表面積を大きくして、抗微生物性のバインダ硬化物とウィルス等の微生物との接触確率を高くするとともに、ウィルス等の微生物を凹凸の谷部分にトラップすることで確実にウィルス等の微生物を失活させることで、高い抗微生物性能を発揮でき、抗微生物性のバインダ硬化物の単位担持量あたりの抗微生物性能を高くできるため、最小限の抗微生物組成物で充分な抗微生物性能が得られるのである。また、Ra=4μm以下にすることで、ウィルス等の微生物と接触しない抗ウィルス硬化物の量を減らすことができ、抗微生物性のバインダ硬化物の単位担持量(単位面積)あたりの抗微生物性能を高くできるのである。

0054

Ra=4μmを超えると、ウィルス等の微生物の直径に対して極端に大きな抗微生物性のバインダ硬化物の凸部が形成されてしまい、抗微生物組成物(硬化物)の担持量に対する抗微生物機能の発現が十分ではない。つまり、Ra=0.1〜4μmに調整することで、抗微生物性のバインダ硬化物の単位担持量あたりの抗微生物性能を高くできるため、最小限の抗微生物組成物で充分な抗微生物性能が得られるのである。

0055

図1は、本発明の抗微生物部材の一実施形態を模式的に示す平面図である。

0056

図1に示すように、本発明の抗微生物部材10では、基材11の表面に、抗微生物性のバインダ硬化物が膜状に形成された膜形成領域12の中にバインダ硬化物が設けられていない膜非形成領域13が混在した状態となっている。

0057

図2(a)は、本発明の抗微生物部材の他の一実施形態を模式的に示す断面図であり、図2(b)は、図2(a)に示した抗微生物部材の断面図である。
図2(a)及び(b)に示す本発明の抗微生物部材20では、基材21の表面に、抗微生物性のバインダ硬化物22が島状に形成されている。

0058

本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物が基材表面の全体には存在せず、バインダ硬化物が形成されたバインダ硬化物形成領域とバインダ硬化物が形成されていないバインダ硬化物非形成領域が混在しているため、バインダ硬化物の残留応力冷熱サイクル時に発生する応力を抑制することが可能となり、基材と高い密着性を有し、基材から剥がれにくいバインダ硬化物となる。また、スパッタなどで形成した抗菌金属からなるアイランドにように、ふき取り清掃などで剥離することもない。

0059

本発明の抗微生物部材を構成する基材の材料は、特に限定されるものでなく、例えば、金属、ガラス等のセラミック、樹脂、繊維織物、木材等が挙げられる。
また、本発明の抗微生物部材を構成する基材となる部材も、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材壁材窓ガラスドア等であってもよい、事務機器家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる化粧板等であってもよい。

0060

上記化粧板は、基板と基板の表面上に積層された表面樹脂層を有する。
上記化粧板に使用する基板は、特に限定されるものではなく、一般的に化粧板に使用されるコア紙マグネシアセメント等の不燃板等を使用することができる。コア紙は単独でもよく複数枚のコア紙を積層した積層体としてもよい。コア紙の枚数は特に限定されないが、1〜20枚とすることができる。コア紙としては、例えば、水酸化アルミニウム抄造紙を使用することができる。コア紙には、フェノール樹脂含浸させることができる。また、コア紙とマグネシアセメント不燃板を積層させて基板とすることもできる。

0061

マグネシアセメント不燃板は、単独で使用することにより、又は、コア紙の中心部に積層して配置させることにより基板を構成することができる。マグネシアセメント不燃板は、酸化マグネシウム(MgO)と塩化マグネシウム(MgCl2)を混合し、さらに骨材と水を加えて混練し、板状に成形することにより製造されるものである。骨材としては、ロックウールグラスウール等の無機質繊維ウッドチップパルプ等の有機質繊維を用いることができる。また、マグネシアセメント不燃板の強度を高めるため、中間層として網目状等に形成されたガラス繊維層を設けることができる。

0062

また、上記化粧板を構成する表層樹脂層に用いることができる樹脂としては、メラミン樹脂、ジアリルフタレート(DAP)樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂フッ素樹脂グアナミン樹脂などが挙げられる。これらの中では、メラミン樹脂を用いることが望ましい。

0063

メラミン樹脂は、透光性などの光学的、視覚的特性を損なうことなく、寸法安定性靭性を改善した樹脂である。メラミン樹脂としては、メラミン及びその誘導体モノマーとする樹脂であれば公知のものを採用することができる。また、メラミン樹脂は、単一のモノマーからなる樹脂であってもよく、複数のモノマーからなる共重合体であってもよい。メラミンの誘導体としては、例えば、イミノ基メチロール基メトキシメチル基、ブトキシメチル基等のアルコキシメチル基などの官能基を有する誘導体が挙げられる。また、メチロール基を有するメラミン誘導体低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物をモノマーとして用いることができる。モノメチロールメラミンジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロール基を有する誘導体(以下、「メチロール化メラミン」という。)を架橋剤としてメラミンと共重合させてなるメラミン樹脂を用いることができる。

0064

上記表層樹脂層は、模様色彩印刷された印刷紙に樹脂が含浸された化粧層であってもよく、填料の量が15%以下で樹脂を含浸した場合には透光性となるオーバーレイ紙に樹脂が含浸されたオーバーレイ層でもよい。表層樹脂層がオーバーレイ層である場合には、化粧層はオーバーレイ層の下に設けられる。
なお、填料とは紙に添加して、白色度平滑度を調整するための無機粒子(フィラー)であり、炭酸カルシウムタルククレーおよびカオリンから選ばれる少なくとも1種以上が望ましい。填料は無機粒子であるため、填料の含有量は紙の重量と紙を強熱して残存する灰分の重量から計算することができる。

0065

本発明の抗微生物部材において、上記バインダ硬化物は、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいることが望ましい。
上記バインダ硬化物中には、上記した無機系抗微生物剤が1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上の無機系抗微生物剤が含まれていてもよく、上記した有機系抗微生物剤が1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上の有機系抗微生物剤が含まれていてもよい。さらに、上記バインダ硬化物中には、上記無機系抗微生物剤と上記無機系抗微生物剤とが2種類以上含まれていてもよい。

0066

また、本発明の抗微生物部材において、上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0067

上記バインダ硬化物中に含まれている無機系抗微生物剤として、例えば、銀、銅、亜鉛及び白金の少なくとも1種からなる金属が挙げられる。
バインダ硬化物中には、銀、銅、亜鉛及び白金の粒子が単独で含まれていてもよく、銀、銅、亜鉛及び白金のうち、2種類以上の金属粒子が含まれていてもよく、例えば、銀、銅、亜鉛及び白金のうち、少なくとも2種を含む合金の金属粒子が固定されていてもよい。

0068

上記バインダ硬化物中に含まれている無機系抗微生物剤として、例えば、銅のカルボン酸塩、銅の錯体、銅の水溶性無機塩等の銅化合物等が挙げられる。
上記銅のカルボン酸塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、酢酸銅安息香酸銅、フタル酸銅等が挙げられる。
上記銅の水溶性無機塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、例えば、硝酸銅硫酸銅等が挙げられる。
その他の銅化合物としては、例えば、銅(メトキシド)、銅エトキシド、銅プロポキシド、銅ブトキシドなどが挙げられ、銅の共有結合性化合物としては銅の酸化物、銅の水酸化物などが挙げられる。銅のカルボン酸塩、銅の水酸化物は、有機バインダ、無機バインダとの親和性が高く、水により溶出しないため、耐水性に優れる。
また、上記銅のカルボン酸塩としては、酢酸銅(II)、酢酸銅(I)、シュウ酸銅(I)、安息香酸銅(II)、フタル酸銅(II)等が挙げられる。
上記銅の錯体としては、例えば、アセチルアセトンと銅との錯体、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン等のβジケトンと銅との錯体、銅(I)(1−ブタンチオレート)、銅(I)(へキサフルオロペンタンジオネートシクロオクタジエン)等が挙げられる。
上記銅の水溶性無機塩としては、例えば、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)等が挙げられる。その他の銅化合物としては、例えば、銅(II)(メトキシド)、銅(II)エトキシド、銅(II)プロポキシド、銅(II)ブトキシド等が挙げられる。

0069

上記バインダ硬化物中に含まれている金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒として、例えば、酸化チタン等に白金、パラジウムロジウムルテニウムなどの白金族、銀、銅などを担持させたものなどが挙げられる。金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒として、具体的には、例えば、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、銀担持チタニア触媒、白金担持窒素ドープチタニア触媒、白金担持硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、銅担持酸化タングステン触媒、銀担持酸化タングステン触媒等の可視光応答型光触媒が挙げられ、上記銅担持チタニア触媒としては、例えば、特開2006−232729号公報に記載されたCuO/TiO2(重量%比)=1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタン、特開2012−210557号公報に記載された亜酸化銅(酸化銅(I):Cu2O)と酸化チタンとが複合化した光触媒組成物、特開2013−166705号公報に記載された一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した酸化チタン、並びに、国際公開第2013/094573号に記載された結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する銅及びチタン含有組成物などが挙げられる。

0070

また、無機系抗微生物剤としては、銀、銅、亜鉛、チタン、タングステン等から選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属酸化物あるいは金属水和物の粒子を用いることもできる。無機系抗微生物剤の具体例としては、例えば、酸化銅(I)(亜酸化銅)、酸化銅(II)、炭酸銅(II)、水酸化銅(II)、塩化銅(II)、銀イオン及び銅イオンの少なくとも一方で交換されたゼオライト、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたアルミナ、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたシリカ、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持された酸化亜鉛、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持された酸化チタン、もしくは酸化タングステン、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたリン酸カルシウム等の無機粒子が挙げられる。銀イオン及び銅イオンの少なくとも一方で交換されたゼオライトは、さらに亜鉛イオン等の他の金属イオンで交換されていてもよい。また、本発明の無機系抗微生物剤としては、銅の錯体であることが望ましい。

0071

本発明の抗微生物部材では、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0073

本発明の抗微生物部材において、抗微生物樹脂は、酸性官能基樹脂基体とからなる。酸性官能基としては、例えば、スルホン酸基リン酸基カルボキシル基水酸基ニトロ基などが挙げられる。これらのなかでは、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基が好ましい。

0074

上記樹脂基体は、ビニル基を有するモノマーの重合体であることが望ましい。
ビニル基を有するモノマーの重合体は、付加重合で合成されるので水などの副生成物がなく、透明度の高い抗微生物樹脂を得ることができる。このため、基材の意匠性に与える影響を小さくすることができる。

0075

上記ビニル基を有するモノマーは、スチレンメタクリル酸メタクリル酸エステルジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンから選択される1種以上のモノマーであることが望ましい。
スチレン、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンは、特に透明度の高い抗微生物樹脂を得ることができる。また、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンは、モノマーに添加することによって架橋し、三次元網目構造を形成することができる。三次元網目構造を形成することによって、分解しにくくなり、耐久性を高くすることができる。

0076

本発明の抗微生物部材において、酸性官能基と樹脂基体とからなる抗微生物樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、陽イオン交換樹脂をそのままあるいは粉砕などして微細化して使用することができる。陽イオン交換樹脂は、同様に樹脂基体に酸性官能基を有する構成であり、本発明の抗微生物樹脂として利用することができる。

0077

上記ビス型第四級アンモニウム塩としては、例えば、下記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩、ビス型キノリニウム塩、ビス型チアゾリウム塩、下記一般式(2)で表される化合物等が望ましい。

0078

(上記一般式(1)中、R1及びR2は、同一または異なっていてもよいアルキル基、R3はエーテル結合を含んでもよい有機基であり、X−は、ハロゲン陰イオンを示す。)

0079

(上記一般式(2)中、R4は、官能基を有してもよいアルキル基を表し、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、アルキル基を表す。)

0080

まず、上記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩について説明する。
上記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩において、X−としては、例えば、Cl−、Br−、I−等が挙げられる。
R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、上記アルキル基は、側鎖を有していてもよい。
上記一般式(1)中、R3で表される有機基は、−CO−O−(CH2)6−O−CO−、−CONH−(CH2)6−CO−、−NH−CO−(CH2)4−CO−NH−、−S−Ph−S−、−CONH−Ph−NHCO−、—NHCO−Ph−CONH−、−O−(CH2)6−O−または−CH2−O−(CH2)4−O−CH2−(但し、Phは、フェニレン基を表す。)で表されるものであることが望ましい。

0081

具体的には、ビス型ピリジニウム塩として、下記の一般式(3)〜一般式(10)で示されるものが挙げられる。



上記一般式(3)中、R11は、CnH2n+1で表されるアルキル基であり、nは、8、10、12、14、16または18が望ましい。また、mは、3、4、6、8、10が望ましい。以下に示す化合物の置換基R11についても、同様である。

0082

0083

0084

0085

0086

0087

0088

また、上記ビス型ピリジニウム塩としては、下記の一般式(11)で表される1,1′−ジデシル−3,3′−[ブタン−1,4−ジイルビスオキシメチレン)]ジピリジニウムジブロミドが特に望ましい。

0089

次に、上記ビス型チアゾリウム塩について説明する。
また、上記ビス型チアゾリウム塩としては、下記の一般式(12)で示されるビス型チアゾリウム塩が挙げられる。

0090

次に、ビス型キノリニウム塩について説明する。
上記ビス型キノリニウム塩としては、一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩を構成する下記の一般式(13)に表されるピリジニウム基を、一般式(14)に示すキノリウム基に置換した化学構造を有するビス型キノリニウム塩が挙げられる。上記ビス型キノリニウム塩において、他の置換基等は、一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩と同様である。

0091

0092

0093

さらに、本発明で使用される一般式(2)で表される化合物について説明する。



上記一般式(2)中、R4は、官能基を有してもよいアルキル基を示す。アルキル基は、側鎖を有してもよく、その炭素数は、1〜20が望ましい。上記官能基としては、ヒドロキシル基アルデヒド基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、エーテル基等が挙げられる。また、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、アルキル基を表し、上記アルキル基は、側鎖を有してもよく、その炭素数は、1〜20が望ましい。

0094

上記一般式(2)で表される化合物としては、2,3−ビスヘキサデシルジメチルアンモニウムブロマイド)−1−プロパノール等が挙げられる。

0095

本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物は、有機バインダ、無機バインダ、有機・無機ハイブリッドバインダ及び/又は電磁波硬化型樹脂のバインダ硬化物を含むことが望ましい。上記有機・無機ハイブリッドのバインダとしては有機金属化合物を使用することができる。
本発明の抗微生物部材では、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種と、バインダである有機バインダ、無機バインダ、有機・無機ハイブリッドのバインダ及び電磁波硬化型樹脂の少なくとも1種と、を混合したものを硬化させることにより、バインダ硬化物を得ることができる。

0096

次に、本発明の抗微生物部材における電磁波硬化型樹脂の硬化物について説明する。
未硬化の電磁波硬化型樹脂であるモノマー又はオリゴマーと重合開始剤と各種添加剤と抗微生物成分とを含んだ抗微生物組成物を用いて基材表面に液滴を形成した後、電磁波を照射することにより、重合開始剤は、開裂反応水素引き抜き反応、電子移動等の反応を起こし、これにより生成した光ラジカル分子、光カチオン分子、光アニオン分子等が上記モノマーや上記オリゴマーを攻撃してモノマーやオリゴマーの重合反応や架橋反応が進行し、抗微生物成分を含むバインダ硬化物が形成される。このような反応により生成する本発明のバインダ硬化物を構成する樹脂を電磁波硬化型樹脂という。
本発明においては、重合開始剤は、銅に対する還元剤として使用することができる。このため、バインダ中に存在する銅(II)を銅(I)に還元できる。銅(I)の方が銅(II)よりも抗微生物性能が高いため、重合開始剤により、抗微生物組成物の抗微生物性能を高くすることができるのである。
また、電磁波硬化型樹脂に限らず、無機バインダ、銅化合物および分散媒からなる抗微生物組成物に重合開始剤を添加してもよい。

0097

このような電磁波硬化型樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種が望ましい。

0098

上記アクリル樹脂としては、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂(ウレタン変性アクリレート樹脂)、シリコン変性アクリレート樹脂等が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。

0099

上記エポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂脂環式エポキシ樹脂やグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂グリシジルエーテル型のエポキシ樹脂とオキセタン樹脂を組みわせたもの等が挙げられる。
アルキッド樹脂としては、ポリエステルアルキッド樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は、透明性を有するとともに、基材に対する密着性にも優れる。

0100

次に、本発明の抗微生物部材における無機バインダの硬化物について説明する。
無機バインダと抗微生物成分と必要により各種添加剤や分散媒とを混合して抗微生物組成物を用いて基材表面に液滴を形成した後、乾燥させることにより、抗微生物成分を含むバインダ硬化物(無機バインダの硬化物)が形成される。

0101

液滴は、孤立して基材表面に付着するとバインダ硬化物は島状となり、液滴が基材表面に重畳して付着すると、バインダ硬化物は膜状となり、そのバインダ硬化物は、バインダ硬化物の形成領域とバインダ硬化物が形成されていない非形成領域が混在した形態となる。これは、上記した電磁波硬化型樹脂においても同様である。

0102

上記無機バインダとしては、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。上記無機バインダにおけるシリカ等の無機酸化物含有割合は、固形分換算で2〜80重量%が好ましい。
上記無機バインダは、分散媒として、水を用いたものと有機溶媒を用いたものが存在するので、添加する抗微生物成分の種類を考慮して、無機バインダを選択することができ、抗微生物成分が均一に分散した上記抗微生物組成物を得ることができる。

0103

本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅は、0.1〜500μmであり、その厚さの平均値は、0.1〜20μmであることが望ましい。

0104

本発明の抗微生物部材において、バインダ硬化物の厚さの平均値が0.1〜20μmであると、バインダ硬化物の厚さが薄いので、バインダ硬化物の連続層となりにくく、バインダ硬化物が島状に散在、もしくは、上記バインダ硬化物が膜状に形成され、当該バインダ硬化物の膜が形成された領域内に硬化物が形成されていない領域が混在して設けられた状態にさせ易くなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができ、高い抗微生物活性を得ることができる。

0105

本発明の抗微生物部材において、その厚さの平均値が0.1μm未満のバインダ硬化物を形成するのは技術的に難しく、バインダ硬化物の基材表面の被覆率も低くなってしまい、抗微生物活性が低下してしまう。一方、バインダ硬化物の厚さの平均値が20μmを超えると、バインダ硬化物が厚すぎるので、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、バインダ硬化物が邪魔して意匠等が見にくくなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。

0106

また、本発明の抗微生物部材において、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅を0.1〜500μmとすることにより、基材の表面がバインダ硬化物により被覆されていない部分の割合を適切に保つことができ、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合でも、意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができる。

0107

本発明の抗微生物部材においては、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅が0.1μm未満のバインダ硬化物を形成することは技術的に困難であり、バインダ硬化物の基材表面の被覆率も低くなってしまい、抗微生物活性が低下してしまう。一方、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅が500μmを超えると、1個のバインダ硬化物の大きさが大きくなりすぎ、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、バインダ硬化物が邪魔して意匠等が見にくくなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。

0108

上記バインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅やその厚さの平均値は、走査型顕微鏡レーザー顕微鏡を用いることにより、測定することができる。
具体的には、画像解析画像計測ソフトウェアを備えた走査型顕微鏡やレーザー顕微鏡を用いることにより、又は、走査型顕微鏡、レーザー顕微鏡で得られた画像を画像解析・画像計測ソフトウェアを用いて画像解析等を行うことにより、上記したバインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅やその厚さの平均値を求めることができる。

0109

本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物が島状に散在している場合、上記島状のバインダ硬化物は、基材の表面1平方メートル当たり0.05×108〜30×108個存在することが望ましい。

0110

本発明の抗微生物部材おいて、上記バインダ硬化物が島状に散在している場合、上記島状のバインダ硬化物が、基材の表面1平方メートル当たり0.05×108〜30×108個存在すると、バインダ硬化物の大きさが適切に設定されていることとなり、基材表面に形成された意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができ、単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物部材となる。

0111

本発明の抗微生物部材によれば、例えば、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア、台所用品等や、事務機器や家具等や、種々の用途に用いられる化粧板等に、表面に形成されたパターン、色彩、意匠、色調等を変えることなく、抗微生物機能を付加することができる。

0112

次に、上記した抗微生物部材の製造方法について説明する。
上記抗微生物部材を製造する際には、まず、基材の表面に、抗微生物成分と未硬化のバインダと分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を散布する散布工程を行い、続いて必要に応じて、上記散布工程により散布された上記抗微生物組成物を乾燥させて上記分散媒を除去する乾燥工程を行い、最後に上記乾燥工程で分散媒を除去した上記抗微生物組成物中の上記未硬化のバインダを硬化させる硬化工程を行い、基材の表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が基材表面に固着し、バインダ硬化物が基材表面の一部が露出するように被覆している抗微生物部材を得ることができる。バインダの硬化は、乾燥と同時でもよい。面粗さは、抗微生物組成物を基材表面に散布する条件を変えることで調整する。

0113

(1)散布工程
本発明の抗微生物部材を製造する際には、まず、散布工程として、基材の表面に、抗微生物成分と未硬化のバインダと分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を散布する。

0114

散布の対象となる基材の材料は、特に限定されるものでなく、例えば、金属、ガラス等のセラミック、樹脂、繊維織物、木材等が挙げられる。
また、基材となる部材も、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる化粧板等であってもよい。

0115

上記抗微生物成分としては、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましく、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0116

上記バインダは、有機バインダ、無機バインダおよび有機・無機ハイブリッドバインダから選ばれる少なくとも1種以上からなり、上記有機バインダは、熱硬化性樹脂、電磁波硬化型樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0117

上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが望ましい。上記電磁波硬化型樹脂は、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0118

上記無機バインダは、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。

0119

上記分散媒の種類は特に限定されるものではないが、安定性を考慮した場合にはアルコール類や水を使用する事が好ましい。アルコール類としては、粘性下げる事を考慮して、例えば、メチルアルコールエチルアルコールn−プロピルアルコールイソプロピルアルコールn−ブチルアルコールイソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール等のアルコール類が挙げられる。これらのアルコールのなかでは、粘度が高くなりにくいメチルアルコール、エチルアルコールが好ましく、アルコールと水との混合液が望ましい。

0120

上記重合開始剤は、具体的にはアルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、分子内水素引き抜き型、及び、オキシムエステル系からなる群から選択される少なくとも1種が望ましい。上記重合開始剤は、銅化合物を還元するために用いられる。バインダとして電磁波硬化型樹脂を使用した場合は、モノマーやオリゴマーを重合させる機能を持つ。

0121

上記アルキルフェノン系の重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル-プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。

0122

アシルフォスフィンオキサイド系の重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。

0123

分子内水素引き抜き型の重合開始剤としては、例えば、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステルオキシフェニルサクサン、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシエチルエステルトオキシフェニル酢酸と2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルとの混合物等が挙げられる。

0124

オキシムエステル系の重合開始剤としては、例えば、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0-アセチルオキシム)等が挙げられる。

0125

本発明の抗微生物部材では、上記重合開始剤は、アルキルフェノン系の重合開始剤およびベンゾフェノン系の重合開始剤を含み、アルキルフェノン系の重合開始剤とベンゾフェノン系の重合開始剤の比率は、重量比でアルキルフェノン系の重合開始剤/ベンゾフェノン系の重合開始剤=1/1〜4/1であることが望ましい。電磁波硬化型樹脂を用いた場合、電磁波硬化型樹脂の硬化物の架橋密度が高くなり、拭き取り清掃の際に発生する応力や摩耗に対する耐久性が向上するからである。

0126

上記抗微生物組成物中の抗微生物成分の含有割合は、2〜30重量%が望ましく、未硬化のバインダの含有割合は、15〜60重量%が望ましく、分散媒の含有割合は、30〜80重量%が望ましい。この場合、上記抗微生物組成物中のシリカ等の無機酸化物の含有割合は、5〜20重量%となる。

0127

上記抗微生物組成物中には、必要に応じて、紫外線吸収剤酸化防止剤光安定剤接着促進剤レオロジー調整剤レベリング剤消泡剤等が配合されていてもよい。

0128

上記抗微生物組成物を調製する際には、分散媒に抗微生物成分とモノマー若しくはオリゴマーと重合開始剤を添加した後、ミキサー等で充分に攪拌し、抗微生物成分、未硬化のバインダ等、重合開始剤が均一な濃度で分散する組成物とした後、散布することが望ましい。

0129

本明細書において、散布とは、上記抗微生物組成物を、分割された状態で基材表面に付着させることをいう。
上記散布方法としては、例えば、スプレー法二流体スプレー法、静電スプレー法エアロゾル法等が挙げられる。また、塗布用バーコーターアプリケーター等の塗布冶具を用いて抗微生物組成物を膜状に塗布してもよい。

0130

本発明において、スプレー法とは、高圧の空気などのガス機械的な運動(指やピエゾ素子など)用いて抗微生物組成物を霧の状態で噴霧し、基材表面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、二流体スプレー法とは、スプレー法の一種であり、高圧の空気などのガスと抗微生物組成物とを混合した後、ノズルから霧の状態で噴霧し、基材表面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、静電スプレー法とは、帯電した抗微生物組成物を利用する散布方法であり、上記したスプレー法により抗微生物組成物を霧の状態で噴霧するが、上記抗微生物組成物を霧状にするための方式には、上記抗微生物組成物を噴霧器で噴霧するガン型と、帯電した抗微生物組成物の反発を利用した静電霧化方式があり、さらに、ガン型には帯電した抗微生物組成物を噴霧する方式と、噴霧した霧状の抗微生物組成物に外部電極からコロナ放電電荷を付与する方式とがある。霧状の液滴は、帯電しているため、基材表面に付着し易く、良好に上記抗微生物組成物を、細かく分割された状態で基材表面に付着させることができる。
本発明において、エアロゾル法とは、金属の化合物を含む抗微生物組成物を物理的及び化学的に生成した霧状のものを対象物に吹き付ける手法である。

0131

上記散布工程により、抗微生物成分と未硬化のバインダと分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物が基材表面に孤立して、もしくは基材表面の一部を露出した状態で重畳して付着した状態となる。

0132

(2)乾燥工程
上記散布工程により基材の表面に散布された抗微生物成分と未硬化のバインダと分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を乾燥させ、分散媒を蒸発、除去し、抗微生物成分を含むバインダ硬化物を基材表面に仮固定させるとともに、バインダ硬化物の収縮により、抗微生物成分をバインダ硬化物の表面から露出させることができる。乾燥条件としては、60〜100℃、0.5〜5.0分が望ましい。未硬化の無機バインダおよび分散媒と必要に応じて重合開始剤からなる抗微生物組成物の場合は、この乾燥工程において分散媒を除去することで無機バインダの硬化が進行する。乾燥工程と硬化工程が同時である。

0133

(3)硬化工程
上記の抗微生物部材を製造する際には、硬化工程として、上記乾燥工程で分散媒を除去した抗微生物組成物中の上記未硬化の電磁波硬化型樹脂であるモノマーやオリゴマーに電磁波を照射して上記未硬化のバインダを硬化させ、バインダ硬化物とする。
本発明の抗微生物部材の製造方法において、未硬化のバインダが電磁波硬化型樹脂である場合は、硬化のために照射する電磁波としては、特に限定されず、例えば、紫外線(UV)、赤外線可視光線マイクロ波電子線(Electron Beam:EB)等が挙げられるが、これらのなかでは、紫外線(UV)が望ましい。
これらの工程により、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が基材表面に固着し、かつ、上記バインダ硬化物は、基材表面の一部を露出するように被覆している本発明の抗微生物部材を製造することができる。

0134

また、上記電磁波は、光重合開始剤励起して、銅化合物を還元する働きをもつ。このため、銅(II)を還元して銅(I)の量を増やして抗微生物活性を高くすることができる。
本発明の抗微生物部材では、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで上記銅化合物中にCu(I)とCu(II)の共存が確認されることが望ましい。Cu(I)とはCu(II)は共存した方がそれぞれ単独の場合よりも抗微生物活性が高いからである。
本発明の抗微生物部材では、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))は、0.4〜50であることが望ましい。
また、Cu(I)の銅は、Cu(II)の銅と比較して抗微生物性により優れているため、第1の本発明の抗微生物部材において、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))が1.0〜4.0であると、より抗微生物性に優れた抗微生物部材となる。

0135

なお、バインダが無機バンダである場合にも、乾燥前後で、抗微生物性組成物もしくは硬化物に電磁波を照射して、光重合開始剤を励起してもよい。電磁波としては、特に限定されず、例えば、紫外線(UV)、赤外線、可視光線、マイクロ波、電子線(Electron Beam:EB)等が挙げられるが、これらのなかでは、紫外線(UV)が望ましい。
上記電磁波は、光重合開始剤を励起して、銅化合物を還元する働きをもつ。このため、銅(II)を還元して銅(I)の量を増やして抗微生物活性を高くすることができる。

0136

上記抗微生物部材の表面粗さは、抗微生物組成物中の抗微生物成分の濃度、分散媒の濃度等や散布の圧力、塗液噴出速度、散布時間等を操作することにより、調整することができる。スプレーガンを用いて噴射する場合は、スプレーガンのエアー圧力スプレー塗布幅、スプレーガンの移動速度、塗液の噴出速度、塗布距離を変化させることにより、抗微生物部材の表面粗さを調整できる。

0137

(実施例1)
(1)酢酸銅の濃度が6.0wt%になるように、酢酸銅(II)・一水和物粉末(富士フィルム和光純薬社製)を純水に溶解させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して酢酸銅水溶液を調製した。紫外線硬化樹脂液は、光ラジカル重合型アクリレート樹脂(ダイセルオルクス社製 UCECOAT7200)と光重合開始剤(IGM社製 Omnirad500)を重量比98:2で混合し、ホモジナイザーを用い、8000rpmで30分間撹拌して調製した。上記6wt%酢酸銅水溶液と紫外線硬化樹脂液を重量比1.0:1.7で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス組成物を調製した。
なお、IGM社製のOmnirad500は、BASF社のIRGACURE500と同じもので、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(アルキルフェノン)とベンゾフェノンとの重量比1:1の混合物である。すなわち、アルキルフェノン系重合開始剤とベンゾフェノン系重合開始剤は、重量比1:1で存在している。この光重合開始剤は、水に不溶であり、紫外線により還元力を発現する。

0138

(2)ついで、500mm×500mmの大きさの黒色光沢メラミン板上に、7.5g/分の噴出速度で分散媒を含んだ状態で4g/m2に相当する抗ウィルス組成物をスプレーガン(明治機械製作所製 FINERSPOT G12)を用い、0.1MPaのエアー圧力、30cm/secのストローク速度で霧状に散布し、抗ウィルス組成物の液滴を黒色光沢メラミン板表面に島状に散在させた。

0139

(3)この後、黒色光沢メラミン板を80℃で3分間乾燥させ、さらに紫外線照射装置(COATTEC社製 MP02)を用い、30mW/cm2の照射強度で80秒間紫外線を照射することにより、基材である黒色光沢メラミン板表面に銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得た。

0140

(実施例2)
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を6g/m2に変更したほかは、実施例1と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得た。

0141

(実施例3)
(1)酢酸銅の濃度が0.7wt%になるように、酢酸銅(II)・一水和物粉末(富士フィルム和光純薬社製)を純水に溶解させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して酢酸銅水溶液を調製した。紫外線硬化樹脂液は、光ラジカル重合型アクリレート樹脂(ダイセル・オルネクス社製 UCECOAT7200)と光重合開始剤(IGM社製 Omnirad500)を重量比98:2で混合し、ホモジナイザーを用い、8000rpmで30分間撹拌して調製した。上記0.7wt%酢酸銅水溶液と紫外線硬化樹脂液及びコロイダルシリカ(日産化学社製メタノールシリカゾル固形分30%)を重量比4.5:2.4:1.0で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス組成物を調製した。なお、IGM社製のOmnirad500は、BASF社のIRGACURE500と同じもので、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(アルキルフェノン)とベンゾフェノンとの重量比1:1の混合物である。すなわち、アルキルフェノン系重合開始剤とベンゾフェノン系重合開始剤は、重量比1:1で存在している。この光重合開始剤は、水に不溶であり、紫外線により還元力を発現する。

0142

(2)ついで、300mm×300mmの大きさの黒色光沢メラミン板上に、12.5g/分の噴出速度で分散媒を含んだ状態で140g/m2に相当する抗ウィルス組成物をスプレーガン(明治機械製作所製 FINERSPOT G12)を用い、0.3MPaのエアー圧力で30cm/secのストローク速度で霧状に散布し、抗ウィルス組成物の液滴を黒色光沢メラミン板表面に島状に散在させた。

0143

(比較例1)
実施例1の黒色光沢メラミン板に抗ウィルス組成物を固着させなかったものを比較例1とした。

0144

(比較例2)
(1)酢酸銅の濃度が0.7wt%になるように、酢酸銅(II)・一水和物粉末(富士フィルム和光純薬社製)を純水に溶解させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して酢酸銅水溶液を調製した。紫外線硬化樹脂液は、光ラジカル重合型アクリレート樹脂(ダイセル・オルネクス社製 UCECOAT7200)と光重合開始剤(IGM社製 Omnirad500)を重量比98:2で混合し、ホモジナイザーを用い、8000rpmで30分間撹拌して調製した。上記0.7wt%酢酸銅水溶液と紫外線硬化樹脂液とコロイダルシリカ(日産化学社製 MA−ST−M固形分40%)及びD50が1.8〜2.2μmの大きさになるように粉砕したアルミナ微粒子を重量比4.8:2.5:1.0:0.3で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス組成物を調製した。なお、IGM社製のOmnirad500は、BASF社のIRGACURE500と同じもので、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(アルキルフェノン)とベンゾフェノンとの重量比1:1の混合物である。すなわち、アルキルフェノン系重合開始剤とベンゾフェノン系重合開始剤は、重量比1:1で存在している。この光重合開始剤は、水に不溶であり、紫外線により還元力を発現する。

0145

(2)ついで、50mm×50mmの大きさのエンボス形状のメラミン板上に、市販されている霧吹きを用いて、分散媒を含んだ状態で4回噴霧して抗ウィルス組成物を霧状に散布し、抗ウィルス組成物の液滴を茶色エンボス形状のメラミン板上表面に島状に散在させた。

0146

(試験例1)
(1)塩化銅(I)の濃度が0.34wt%になるように、塩化銅(I)粉末(富士フイルム和光純薬社製)を純水に懸濁させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して塩化銅懸濁液を調製する。上記0.34wt%塩化銅(I)懸濁液とポリビニルアルコールを重量比1.9:1.0で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス組成物を調製する。
(2)ついで、300mm×300mmの大きさのガラス板を用意し、霧吹きで上記抗ウィルス組成物をこのガラス板表面に、硬化した場合に、当該抗ウィルス組成物の硬化物がガラス板の表面にJIS B 0601に準拠した算術平均粗さRa=1.1μmとなるまで吹き付ける。
(3)この後、ガラス板を室温で24時間乾燥させ、基材であるガラス板表面にその表面の一部が露出するように銅化合物を含むバインダ硬化物の膜が固着形成された抗ウィルス性部材を得る。

0147

(比較例3)
酢酸銅(II)の濃度が6.0wt%で、平均粒子径1μmのアルミナを5重量%含む酢酸銅(II)水溶液を300mm×300mmの大きさの黒色光沢メラミン板表面に、乾燥時に乾燥物のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さRa=1.1μmとなるまで、霧吹きにて吹き付けて付着させる。ついで、紫外線を照射せず、室温で48時間乾燥させる。

0148

(実施例4)
(1)光ラジカル重合型アクリレート樹脂(ダイセル・オルネクス社製UCECOAT7200)と光重合開始剤(IGM社製 Omnirad500)と光重合開始剤(IGM社製 Omnirad184)とを重量比97:2:1で混合し、ホモジナイザーを用いて、8000rpmで10分間撹拌して紫外線硬化樹脂液を調製する。なお、IGM社製 Omnirad500は、BASF社のIRGACURE500と同じもので、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(アルキルフェノン)とベンゾフェノンの1:1の混合物である。この光重合開始剤は、水に不溶性であり、紫外線を吸収することで還元力を発現する。一方、光重合開始剤(IGM社製 Omnirad184)は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(アルキルフェノン)であり、結局光重合開始剤としては、アルキルフェノンとベンゾフェノンは重量比で2:1の割合で存在している。
(2)水とビス型第四級アンモニウム塩(1,1′−ジデシル−3,3′−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミド)と紫外線硬化樹脂液を重量比19:0.51:10で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス組成物を調製する。
(3)ついで、500mm×500mmの大きさの黒色光沢メラミン板上に、9番のコートバーで抗ウィルス組成物を基材表面全体に膜状(層状)に塗布する。
(4)この後、黒色光沢メラミン板を80℃で3分間乾燥させ、さらに紫外線照射装置(COATTEC社製 MP02)を用い、30mW/cm2の照射強度で80秒間紫外線を照射することにより、膜状の抗ウィルス組成物を硬化させる。
(5)ついで、コロイダルシリカ(平均粒子径0.08μm)を用いて、抗ウィルス組成物が塗布、硬化された基材表面を研磨粗化して、その表面をJIS B 0601に準拠した算術平均粗さRa=0.1μmに調整した抗ウィルス性部材を得る。

0149

(実施例5)
実施例4と同様であるが、ダイヤモンドスラリー(平均粒子径1μm)を用いて、抗ウィルス組成物が塗布、硬化された基材表面を研磨粗化して、その表面をJIS B 0601に準拠した算術平均粗さRa=1.1μmに調整した抗ウィルス性部材を得る。

0150

(実施例6)
実施例4と同様であるが、ダイヤモンドスラリー(平均粒子径5μm)を用いて、抗ウィルス組成物が塗布、硬化された基材表面を研磨粗化して、その表面をJIS B 0601に準拠した算術平均粗さRa=4.0μmに調整した抗ウィルス性部材を得る。

0151

(比較例4)
実施例4と同様であるが、ダイヤモンドスラリー(平均粒子径9μm)を用いて、抗ウィルス組成物が塗布、硬化された基材表面を研磨粗化して、その表面をJIS B 0601に準拠した算術平均粗さRa=6.0μmに調整した抗ウィルス性部材を得る。

0152

(比較例5)
実施例4と同様であるが、研磨粗化を行わず、9番コートバーの塗布により、抗ウィルス組成物の硬化物の表面を鏡面とする。表面の面粗さは、JIS B 0601に準拠した算術平均粗さRa=0.06μmである。

0153

(比較例6)
(1)多官能メタアクリルモノマーとして63.6重量部の6官能アクリレート商品DPHA、ダイセル・サイテック社製)、27重量部のジエチレングリコールジアクリレート(商品名SR230、サートマー社製)、5重量部の光重合開始剤(商品名IRGACURE184、BASF社製)、4重量部の光安定化剤(商品名TINUVIN152、BASF社製)重量部、及び、0.4重量部の市販の抗菌剤粒子(株式会社シナネンゼオミック製 商品名ゼオミック)を、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノンを1:1で混合した希釈溶剤に固形分が40質量%となるように混合してハードコート層形成用組成物(A)を調製する。
(2)実施例1の光沢黒色メラミン基板を基材として用い、この基材表面に(1)で得たハードコート層形成用組成物(A)をバー塗工した。その後、80℃で60秒間加熱乾燥し、高圧水銀ランプ紫外線照射機アイグラフィックス社製)を用いて、160W/cm、ランプ高さ13cm、ベルトスピード10m/分、2passの条件で窒素雰囲気下にて紫外線を照射し、硬化型樹脂層として厚み4μmのハードコート層を形成する。形成されたハードコート層は、JIS B 0601に準拠した算術平均粗さRa=0.08μmである。

0154

また、以下の方法で、実施例1で得られたバインダ硬化物に含まれる銅化合物に関し、Cu(I)とCu(II)のイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))を測定した。その結果、実施例1では、Cu(I)/Cu(II)=1.9であった。実施例2も、同じ化合物、組成硬化条件であるため、Cu(I)/Cu(II)=1.9である。

0155

(Cu(I)/Cu(II)の測定試験
Cu(I)とCu(II)のイオンの個数の比率は、X線光電子分光分析法(XPS分析法)により計測した。測定条件は以下の通り。
・装置:アルバックファイ製 PHI 5000 Versa probeII
X線源:Al Kα 1486.6eV
検出角:45°
測定径:100μm
・帯電中和:有り
ワイドスキャン
・測定ステップ:0.8eV
・pass energy:187.8eV
ナロースキャン
・測定ステップ:0.1eV
・pass energy:46.9eV
測定時間は5分で、Cu(I)のピーク位置は、932.5eV ±0.3eV、Cu(II)のピーク位置は933.8eV ±0.3 eVであり、それぞれのピークの面積を積分して、その比率からCu(I)/Cu(II)を得た。

0156

(抗ウィルス性部材の形状及びバインダ硬化物の分散状態の評価)
得られた抗ウィルス性部材について、光学顕微鏡キーエンス社製マイクロスコープVHX−5000)で写真撮影した。実施例1〜3及び比較例2で得られた抗ウィルス性部材に関し、画像の2値化処理により、2410000μm2当たり(1552μm□)の基材表面に示すバインダ硬化物を3点測定し、平均表面被覆率および平均被覆面積を算出した。図3は、実施例3で得られた抗ウィルス性部材を示す光学顕微鏡写真である。基材である黒色光沢メラミン板表面にバインダ硬化物がその表面の一部を露出するように、固着形成されていることが分かる。
図4は、実施例2で得られた抗ウィルス性部材を示す光学顕微鏡写真である。

0157

(表面粗さの測定)
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた抗ウィルス性部材について、東京精密製の接触式表面粗さ測定機であるHANDYSURFを用い、8mmの測定長さでJIS B 0601に準拠した算術平均粗さRaを測定した。測定結果を表1に記載する。

0158

ネコカリシウィルスを用いた抗ウィルス性評価)
この抗ウィルス性試験は以下のように実施した。
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた抗ウィルス性部材の抗ウィルス性を評価するために、JIS Z 2801抗菌加工製品抗菌性試験方法・抗菌効果改変した手法を用いた。改変点は、「試験菌液接種」を「試験ウィルスの接種」に変更した点である。ウィルスを使用することによる変更点についてはすべてJIS L 1922繊維製品の抗ウィルス性試験方法に基づき変更した。測定結果は実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた抗ウィルス性部材についてJIS L 1922付属書Bに基づき、CRFK細胞への感染能力を失ったネコカリシウィルス濃度をネコカリシウィルス不活度として表示する。ここで、ウィルス濃度の指標として、CRFK細胞に対して不活性化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用し、このウィルス不活度に基づいて抗ウィルス活性値を算出した。

0159

以下、手順を具体的に記載する。
(1) 実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた抗ウィルス性部材を、1辺50mm角正方形切り出した試験試料滅菌プラスチックシャーレに置き、試験ウィルス液(>107PFU/mL)を0.4mL接種する。
試験ウィルス液は108PFU/mLのストック精製水で10倍希釈したものを使用する。
(2)対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様にウィルス液を接種する。

0160

(3)接種したウィルスの液の上から40mm角のポリエチレンを被せ、試験ウィルス液を均等に接種させた後、25℃で所定時間反応させる。
(4) 接種直後または反応後、SCDL培地10mLを加え、ウィルス液を洗い流す。
(5) JIS L 1922付属書Bによってウィルスの感染値を求める。

0161

(6) 以下の計算式を用いて抗ウィルス活性値を算出する。
Mv=Log(Vb/Vc)
Mv:抗ウィルス活性値
Log(Vb):ポリエチレンフイルムの所定時間反応後の感染値の対数値
Log(Vc):試験試料の所定時間反応後の感染値の対数値
参考規格JIS L 1922、JIS Z 2801
測定方法は、プラーク測定法によった。
また、試験ウィルスはFeline calcivirus; Strain :F−9ATCCVR−782を用いた。
得られた抗ウィルス活性値を表1に示す。

0162

0163

表1には、任意の3点を実測した被覆率(%)とその3点の平均被覆率(%)、算術平均粗さRa(μm)、最大高さRy(μm)、十点平均粗さRz(μm)、3点を平均した算術平均粗さの平均Ra(μm)、視野内の任意の3点の塗工面積(μm2)及び3点を平均した平均塗工面積(μm2)、抗ウィルス活性値、抗ウィルス性のバインダ硬化物の単位面積あたりの抗ウィルス活性値(×10−6)を記載した。

0164

図5は、横軸が抗ウィルス性部材の表面の算術平均粗さRa、縦軸が抗ウィルス性のバインダ硬化物の単位担持量(単位面積)当たりの抗ウィルス活性値を示したグラフであり、実施例1〜3及び比較例1〜2の結果を示している。

0165

Ra=0.1〜4μmで、単位面積あたりの抗ウィルス活性値が2.8×10−6以上となっているが、この抗ウィルス活性値2.8×10−6は、3尺×6尺(いわゆるサブロクサイズ 910mm×1820mm)に換算すると、抗ウィルス活性値としては、((910×1820)/1.552×1.552)×2.8×10−6≒2であり、実用に耐える高い抗ウィルス活性値となっていることを意味している。従って、2.8×10−6以上となる表面面粗さRaの範囲、すなわちRa=0.1〜4μmが実用的な範囲と言える。
しかも、本発明では面粗さを調整することで抗ウィルス性のバインダ硬化物の単位担持量(単位面積)あたりの抗ウィルス活性値が高くなっているため、この高い抗ウィルス活性値を、最小限の抗ウィルス組成物により実現できるのである。

0166

図6は、横軸が抗ウィルス性部材の表面の算術平均粗さRa、縦軸が抗ウィルス性のバインダ硬化物の抗ウィルス活性値を示したグラフであり、実施例1〜3及び比較例1〜2の結果を示している。
図6のグラフによれば、バインダ硬化物により形成される基材表面の面粗さと抗ウィルス活性との関係から、JIS B 0601に準拠した算術平均粗さ Ra=0.1〜4μmの範囲に面粗さを調整することで、実用的な抗ウィルス活性値3以上を実現できることがわかる。

0167

上記した実施例1〜3及び比較例1〜2によれば、実施例1〜3で得た抗ウィルス性部材では、基材表面に抗ウィルス成分を含むバインダ硬化物が、島状もしくはバインダ硬化物が形成された領域と形成されていない領域が混在した状態となり、表面に凹凸が形成されている。この表面の凹凸が、Ra=0.1〜4μmに調整されることで、高い抗ウィルス活性が得られることが分かる。しかも、本発明では抗ウィルス性のバインダ硬化物の単位担持量(単位面積)当たりの抗ウィルス活性値が高いため、最小限の抗ウィルス組成物で十分な抗ウィルス活性を実現できるのである。

0168

なお、試験例1、比較例3の抗ウィルス活性値は、それぞれ3.3、1.5であったが、同程度の算術平均粗さRa(1.1μm)の実施例2に比べて抗ウィルス活性が低い結果となっている。試験例1では、樹脂硬化物中にCu(I)のみが存在しており、Cu(II)のCu(I)の酸化防止効果が働かず、比較例3では乾燥固化物中にCu(II)のみ存在しており、抗ウィルス活性が低いこと、及び、樹脂成分を含んでいないため、抗ウィルス性を示す樹脂硬化物の表面積が小さくなり、抗ウィルス活性が低くなるためではないかと推定している。

0169

実施例4〜6、比較例4〜6の抗ウィルス性部材に関し、実施例1〜3及び比較例1〜2と同様に、JIS B 0601に準拠した算術平均粗さRaを求め、ネコカリシウィルスを用いた抗ウィルス性試験により抗ウィルス活性値を得た。結果を表2に記載する。

0170

0171

実施例4〜6の抗ウィルス性部材では、JIS B 0601に準拠した算術平均粗さRaが、0.1〜4.0μmに調整されており、抗ウィルス活性として4以上を実現できているが、比較例4の部材では、抗ウィルス活性が低くなっている。この理由は明確ではないが、算術平均粗さRaが大きすると、凸部間の谷間に空気が滞留して、液中のウィルスとの接触を阻害する、もしくは、凹凸が大きすぎると、凸部間の谷間にトラップされたウィルスが失活後も流動せず滞留してしまい、活性のあるウィルスとの接触を阻害しているためではないかと推測している。また、比較例5及び比較例6の抗ウィルス性部材のように凹凸が小さすぎても十分な抗ウィルス活性が得られない。

0172

黄色ブドウ球菌を用いた抗菌性評価
黄色ブドウ球菌を用いた抗菌性評価を、以下のように実施した。
(1)実施例1〜6及び比較例1〜2、4〜6で得られた抗ウィルス性部材を、50mm角の正方形に切り出した試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、試験菌液(菌数2.5×105〜10×105/mL)を0.4mL接種する。
試験菌液は、培養器中で温度35±1℃で16〜24時間前培養した培養菌を、さらに斜面培地に移植して、培養器中で温度35±1℃で16〜20時間前培養したものを、1/500NB培地により適宜調整したものを使用する。
(2)対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様に試験菌液を接種する。
(3)接種した試験菌液の上から40mm角のポリエチレンフイルムを被せ、試験菌液を均等に接種させた後、温度35±1℃で8±1時間反応させる。
(4)接種直後または反応後、SCDLP培地10mLを加え、試験菌液を洗い出す。
(5)洗い出し液を適宜希釈し、標準寒天培地と混合して生菌数測定用シャーレを作成し、温度35±1℃で40〜48時間培養した後、集落数を測定する。
(6)生菌数の計算
以下の計算式を用いて生菌数を求める。
N=C×D×V
N:生菌数
C:集落数
D:希釈倍率
V:洗い出しに用いたSCDLP培地の液量(mL)
(7) 以下の計算式を用いて抗菌活性値を算出する。
R=(Ut−U0)—(At−U0)=Ut−At
R:抗菌活性値
U0:無加工試験片の接種直後の生菌数の対数値の平均値
Ut:無加工試験片の24 時間後の生菌数の対数値の平均値
At:抗菌加工試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値
参考規格JIS Z 2801
試験菌はStaphylococcus aureus NBRC12732を使用した。
評価結果を表3及び表4に記載する。

0173

クロコウジカビを用いた抗カビ性評価)
クロコウジカビを用いた抗カビ性評価を、以下のように実施した。
(1)実施例1〜6及び比較例1〜2、4〜6で得られた抗ウィルス性部材を、50mm角の正方形に切り出した試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、胞子懸濁液胞子濃度>2x105個/ml)を0.4mL接種する。
(2)対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様に胞子懸濁液を接種する。
(3)接種した胞子懸濁液の上から40mm角のポリエチレンフイルムを被せ、胞子懸濁液を均等に接種させた後、温度26℃で約900LUXの光を照射しながら42時間反応させる。
(4)接種直後または反応後、JIS L 1921 13発光量の測定に従い、ATP量を測定する。
(5)以下の計算式を用いて抗カビ活性値を算出する。
Aa=(LogCt—LogC0)—(LogTt—LogT0)
Aa:抗カビ活性値
LogC0:接種直後の対照試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogCt:培養後の対照試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogT0:接種直後の試験試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogTt:培養後の試験試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
参考規格JIS Z 2801、JIS L 1921
試験カビはAspergillus niger NBRC105649を使用した。
評価結果を表3及び表4に記載する。

0174

0175

0176

以上、表3、4から理解されるように、実施例1〜3、実施例4〜6の抗ウィルス性部材は、抗菌、抗カビ性を有していることも確認されており、抗カビ部材として使用することもできる。
なお、バインダ硬化物を含む抗微生物部材の表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さRaを0.1〜4μmに調整することによる抗微生物活性の改善効果は、抗ウィルス性、抗カビ性の方が、抗菌性よりも高く、本発明の効果が特に高いと言える。このように、実施例1〜6の抗ウィルス性部材は、抗菌、抗カビ部材としても使用できる。

0177

以上のように、本発明の抗微生物部材は、バインダ硬化物により凹凸が形成されているため表面積が大きく、ウィルス、カビの菌糸や胞子との接触確率が高くなり、逆に凹凸が大きすぎると、ウィルス、カビの菌糸や胞子が抗微生物バインダ硬化物の谷部分に接触しにくくなるため、適切な凹凸範囲に調整することで、抗ウィルス活性、抗カビ性が向上するものと推測される。また、抗菌性についても、同様と考えられる。このように、本発明の抗微生物部材は、優れた抗微生物活性を示すのである。

0178

10、20抗微生物部材
11、21基材
12膜形成領域
13 膜非形成領域
22バインダ硬化物

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