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技術 無線列車制御システムおよび走行制御方法

出願人 公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明者 関根俊
出願日 2018年9月13日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-171228
公開日 2020年3月19日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-040601
状態 未査定
技術分野 鉄道交通の監視、制御、保安
主要キーワード 信号場 停止位置目標 抑止設定 操車場 到達所要 抑止制御 指定タイミング 停車駅間
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図面 (12)

課題

移動閉そく方式無線列車制御システムにおいて、列車の発遅延によって生じる列車間の進行支障を防止すること。

解決手段

先行列車20aが出発するまでの間、駅構内進入側外方(場外)の所定位置進入抑止点5を設定し、後続列車20bの駅構内への進入を抑止する。先行列車20aの駅の発車によって進入抑止点5の設定を開放して、後続列車20bの進入抑止点5を越えて駅構内への進入を可能とする。

概要

背景

地上・車上間の通信無線通信として実現する無線列車制御システム前提とした移動閉そく方式の研究・実用化が進められている(例えば、特許文献1参照)。移動閉そく方式とは、後続列車先行列車衝突しないよう、各列車の位置や速度に応じて列車間隔を制御する方式である。

概要

移動閉そく方式の無線列車制御システムにおいて、列車の発遅延によって生じる列車間の進行支障を防止すること。先行列車20aが出発するまでの間、駅構内進入側外方(場外)の所定位置進入抑止点5を設定し、後続列車20bの駅構内への進入を抑止する。先行列車20aの駅の発車によって進入抑止点5の設定を開放して、後続列車20bの進入抑止点5を越えて駅構内への進入を可能とする。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

列車走行位置に基づいて、移動閉そく方式による各列車の走行制御を行う無線列車制御システムであって、対象列車停車場出発するまでの間、当該対象列車の出発待ちによる当該停車場内での列車間の進行支障を抑止するための抑止点を設定し、当該対象列車の出発に応じて当該設定を開放する抑止点制御手段と、前記対象列車以外の列車について、前記抑止点の内方へ進入を抑止させる制御を行う進入抑止制御手段と、を備えた無線列車制御システム。

請求項2

前記抑止点制御手段は、前記抑止点として、前記対象列車の後続列車の前記停車場内への進入を抑止するために、前記停車場の進入側外方の所定位置に第1の抑止点を設定し、前記対象列車の出発に応じて当該設定を開放する第1の抑止点制御手段、を有する、請求項1に記載の無線列車制御システム。

請求項3

前記抑止点制御手段は、前記抑止点として、前記対象列車の次に前記停車場を出発する劣後列車出発点に第2の抑止点を設定し、前記対象列車の出発に応じて当該設定を開放する第2の抑止点制御手段、を有する、請求項1又は2に記載の無線列車制御システム。

請求項4

前記第2の抑止点制御手段は、前記対象列車の出発後の進路と前記劣後列車の出発後の進路とが競合するか否かを判定し、競合しない場合には前記第2の抑止点を設定せず、競合する場合に前記第2の抑止点を設定する、請求項3に記載の無線列車制御システム。

請求項5

各列車の走行位置に基づいて、移動閉そく方式による各列車の走行制御を行う無線列車制御システムにおける走行制御方法であって、対象列車が停車場を出発するまでの間、当該対象列車の出発待ちによる当該停車場内での列車間の進行支障を抑止するための抑止点を設定し、前記対象列車の出発に応じて前記抑止点の設定を開放することと、前記対象列車以外の列車について、前記抑止点の内方への進入を抑止させる制御を行うことと、を含む走行制御方法。

技術分野

0001

本発明は、移動閉そく方式列車走行制御を行う無線列車制御システム等に関する。

背景技術

0002

地上・車上間の通信無線通信として実現する無線列車制御システムを前提とした移動閉そく方式の研究・実用化が進められている(例えば、特許文献1参照)。移動閉そく方式とは、後続列車先行列車衝突しないよう、各列車の位置や速度に応じて列車間隔を制御する方式である。

先行技術

0003

特開2013−75644号公報

発明が解決しようとする課題

0004

移動閉そく方式では、安全が確保される範囲で列車間隔を詰めることができる。そのため、停車場の1つである停車中の先行列車に発遅延が生じたとしても、固定閉そく方式と比較して、極めて近くに接近するまで後続列車の進行が許可されるため、後続列車への遅延伝播を抑制して遅延の早期回復を図ることが可能である。特に、都心部など運行本数が多い過密区間では有効である。

0005

その一方で、駅構内には多数の列車が在線しこれらの進路競合することも多いため、発遅延が生じた列車が他の列車の進行を支障して更なる遅延を引き起こしてしまう事態が生じ得る。例えば、駅停車中の先行列車に発遅延が生じた場合、先行列車の後方に接近して停止した後続列車は、先行列車が発車しないと、これ以上進行することができず停止したままである。先行列車の発遅延が長引くほど、先行列車の発車待ちによる後続列車の停止も長引くことになる。後続列車の停車位置によっては、進路が競合する他の列車の進行を支障するような場合もあり得るが、短時間の発遅延ならば、先行列車が発車することでそのような運行支障は速やかに解消される。しかし、先行列車の発遅延が長引くことで後続列車の停止が長引くと、後続列車による他の列車の進行の支障は解消されず、更なる列車遅延を引き起こす要因となる。

0006

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、移動閉そく方式の無線列車制御システムにおいて、列車の発遅延によって生じる列車間の進行支障を防止すること、である。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するための第1の発明は、
各列車の走行位置に基づいて、移動閉そく方式による各列車の走行制御を行う無線列車制御システムであって、
対象列車が停車場を出発するまでの間、当該対象列車の出発待ちによる当該停車場内での列車間の進行支障を抑止するための抑止点(例えば、図3進入抑止点5、図5の出発抑止点7)を設定し、当該対象列車の出発に応じて当該設定を開放する抑止点制御手段(例えば、図7抑止設定部212、抑止開放部214)と、
前記対象列車以外の列車について、前記抑止点の内方への進入を抑止させる制御を行う進入抑止制御手段(例えば、図7の進路占有鎖錠部208)と、
を備えた無線列車制御システムである。

0008

他の発明として、
各列車の走行位置に基づいて、移動閉そく方式による各列車の走行制御を行う無線列車制御システムにおける走行制御方法であって、
対象列車が停車場を出発するまでの間、当該対象列車の出発待ちによる当該停車場内での列車間の進行支障を抑止するための抑止点を設定し、前記対象列車の出発に応じて前記抑止点の設定を開放することと、
前記対象列車以外の列車について、前記抑止点の内方への進入を抑止させる制御を行うことと、
を含む走行制御方法を構成しても良い。

0009

第1の発明等によれば、対象列車が停車場を出発するまでの間、抑止点を設定して対象列車以外の他の列車の抑止点の内方への進入を抑止することで、対象列車の出発待ちによる列車間の進行支障を抑止することができる。移動閉そく方式では、列車間隔を可能な限り詰めることができるが、列車間隔を詰めることを無秩序許容すると次のような問題が生じ得る。すなわち、対象列車に発遅延が生じると、進路が競合する他の列車がこれ以上進行できずに停止することになり、更なる他の列車の進行を支障してしまうといった、対象列車の出発待ちによる列車間の進行支障が生じる場合がある。このため、対象列車が出発するまで対象列車以外の列車を抑止することで、対象列車の発遅延が生じた場合に生じ得る列車間の運行支障を回避することができる。

0010

第2の発明は、第1の発明において、
前記抑止点制御手段は、
前記抑止点として、前記対象列車の後続列車の前記停車場内への進入を抑止するために、前記停車場の進入側外方の所定位置に第1の抑止点(例えば、図3の進入抑止点5)を設定し、前記対象列車の出発に応じて当該設定を開放する第1の抑止点制御手段、
を有する、
無線列車制御システムである。

0011

第2の発明によれば、対象列車が停車場を出発するまでの間、対象列車の後続列車による停車場内への進入を抑止することができる。これにより、例えば、対象列車の発遅延が生じた場合に、後続列車が停車場に進入するが所与の停止位置に到達できずに対象列車の直近後方に停止してしまい、他の列車の進路を支障する、といったことを回避できる。

0012

第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記抑止点制御手段は、
前記抑止点として、前記対象列車の次に前記停車場を出発する劣後列車出発点に第2の抑止点(例えば、図5の出発抑止点7)を設定し、前記対象列車の出発に応じて当該設定を開放する第2の抑止点制御手段、
を有する、
無線列車制御システムである。

0013

第3の発明によれば、対象列車が停車場を出発するまでの間、対象列車の次に停車場を発車する劣後列車の出発を抑止することができる、これにより、例えば、対象列車の発遅延が生じた場合に、対象列車が出発する前に劣後列車が発時刻となって出発はしたが、対象列車と競合する進路部分に進入できずにその手前で停止してしまい、他の列車の進路を支障する事態になる、といったことを回避できる。

0014

第4の発明は、第3の発明において、
前記第2の抑止点制御手段は、前記対象列車の出発後の進路と前記劣後列車の出発後の進路とが競合するか否かを判定し、競合しない場合には前記第2の抑止点を設定せず、競合する場合に前記第2の抑止点を設定する、
無線列車制御システムである。

0015

第4の発明によれば、対象列車と劣後列車との進路が競合する場合に、第2の抑止点が設定されて劣後列車の出発が抑止される。対象列車と劣後列車との進路が競合する場合、対象列車の発遅延が生じると、劣後列車が出発はしたが対象列車との進路の競合部分を鎖錠できずにその手前で停止してしまい、他の列車の進行を支障するといった事態が生じ得るが、対象列車と劣後列車との進路が競合しないならば、少なくとも、このような対象列車の発遅延を要因とした劣後列車による他の列車の進行支障は生じないので、劣後列車を抑止する必要は無い。

図面の簡単な説明

0016

無線列車制御システムの構成図。
発遅延によって生じる列車間の進行支障の一例。
進入抑止点の説明図。
進入抑止点の設定位置の説明図。
出発抑止点の説明図。
進路制御の手順の説明図。
地上装置機能構成図。
列車情報の一例。
抑止点情報の一例。
線路ノード情報の一例。
列車制御処理のフローチャート

実施例

0017

以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。

0018

システム構成
図1は、本実施形態の無線列車制御システム1の構成図である。無線列車制御システム1は、地上装置10と、軌道Rを走行する列車20に搭載されて地上装置10と所定の無線通信網を介した無線通信が可能な車上装置30と、を備えて構成され、移動閉そく方式により各列車の走行制御を行うシステムである。無線通信網は、通信エリアが連続して軌道Rを含むように複数の無線基地局40を設置して構成しても良いし、軌道Rに沿ってループアンテナやLCX(同軸漏洩ケーブル)を敷設して構成しても良い。

0019

車上装置30は、自列車の識別情報である列車ID(IDentification)や走行位置、走行速度を含む車上情報を、随時、地上装置10へ送信する。走行位置や走行速度は、例えば速度発電機が検出する車軸回転数計測値をもとに算出することができる。そして、車上装置30は、地上装置10から受信した制御情報に従った自列車の速度制御を行う。

0020

地上装置10は、例えば中央司令所に設置され、各車上装置30から取得した車上情報をもとに、各列車20の走行位置および走行速度を管理する在線管理や、各列車20の進路設定や占有・鎖錠・解錠を含む進路制御、転てつ器50の転換制御、踏切道に設けられた踏切警報機60の鳴動制御、等を行う。

0021

[特徴]
本実施形態の無線列車制御システム1では、列車20の発遅延を想定した予防的対策として、対象列車の出発待ちによる停車場内での列車間の進行支障を抑止する抑止点を設定し、対象列車の出発に応じて抑止点の設定を開放することを特徴としている。移動閉そく方式では、列車間隔を可能な限り詰めて列車20を走行させることができるが、列車20の発遅延が生じると、その遅延列車と進路が競合する他の列車20が進行できずに停止した状態となり、更なる他の列車20の進行を妨げる、といった不都合が生じ得る。

0022

図2は、発遅延によって生じる列車間の進行支障の一例である。図2は、停車場の一例として、上り線および下り線の各プラットホームに本線に加えて副本線が設けられているとともに、上り方向側および下り方向側それぞれに交差渡り線(両渡り線)が設けられている駅の例を示している。

0023

この駅では、上り線のプラットホームの本線に、上り方向に向かう先行列車20aが停車している。この先行列車20aには、上り線に進出する進路が設定されている。また、先行列車20aの後続列車20bが上り線を駅に向かって進行している。この後続列車20bは、先行列車20aと同じく、上り線のプラットホームの本線に停車する進路が設定されている。また、上り線のプラットホームの副本線には、下り方向に向かう逆向列車20cが停車している。この逆向列車20cは、下り方向側の交差渡り線を経由して下り線に進出する進路が設定されている。また、下り線のプラットホームの副本線には、先行列車20aと同じく上り方向に向かう列車であって、駅ダイヤにて定められる駅からの出発順序が先行列車20aの次である後発列車20dが停車している。この後発列車20dは、上り方向側の交差渡り線を経由して上り線に進出する進路が設定されている。また、対向列車20eが下り線を駅に向かって進行している。この対向列車20eは、下り線のプラットホームの本線に停車する進路が設定されている。

0024

このような状況において、停車中の先行列車20aの発遅延が生じると、逆向列車20cおよび対向列車20eの進行が支障する可能性がある。つまり、後続列車20bは、先行列車20aが出発するまでプラットホームに進入することができず、先行列車20aの後方(図2では、転てつ器50aの手前(下り方向側))で停止することになる。また、後続列車20bは逆向列車20cとも進路が競合しており、その競合部分である転てつ器50aの手前で後続列車20bが停止してしまうと、後続列車20bが逆向列車20cの進路を支障する状態となり、逆向列車20cは、定められた発時刻となっても出発できないことになる。

0025

一方、先行列車20aが発遅延で停車中の場合に、後発列車20dは、定められた発時刻になると出発するが、先行列車20aと競合する転てつ器50bを鎖錠できず、その手前で停止することになる。同一駅を発車して同一方向に進行する二列車の進路の競合部分の優先関係は、当該駅の発時刻が早いほうの列車を優先とする。つまり、先行列車20aと後発列車20dとが競合する転てつ器50bの優先関係は、先行列車20aが優先であるため、後発列車20dは、先行列車20aが通過して鎖錠が解錠されるまで転てつ器50bを鎖錠できない。また、後発列車20dは対向列車20eとも進路が競合しており、その競合部分である転てつ器50bの手前で後発列車20dが停止してしまうことから、後発列車20dが対向列車20eの進路を支障している状態となり、対向列車20eは、転てつ器50bの手前(上り方向側)で停止してしまうことになる。

0026

このような列車間の進行支障を抑止するための抑止点として、列車の駅構内への進入を抑止する第1の抑止点である進入抑止点、および、駅からの列車の出発を抑止する第2の抑止点である出発抑止点を設定する。

0027

図3は、進入抑止点を説明する図である。図3は、図2における駅の下り方向側の一部分を示している。つまり、上り線および下り線の各プラットホームに本線に加えて副本線が設けられているとともに、下り方向側に交差渡り線(両渡り線)が設けられている駅である。

0028

進入抑止点5は、駅に停車する先行列車20aを対象列車とし、この先行列車20aの後続列車20bの駅への進入を抑止するために、駅構内(停車場内)への進入側外方(図3では、下り方向側)の所定位置に設定される。ここで、先行列車20aは駅に停車する列車であるが、後続列車20bは、駅に停車する列車であるか通過する列車であるかは問わない。進入抑止点5が設定されると、後続列車20bは、この進入抑止点5で進行が抑止されて駅構内へ進入できない。そして、先行列車20aが駅を出発することで進入抑止点5が開放され、後続列車20bは進入抑止点5を越えて駅構内に進入することができる。

0029

進入抑止点5によって、先行列車20aの発遅延が生じた場合に、後続列車20bが他の列車の進路を支障してしまうことを回避することができる。つまり、図3では、上り方向の後続列車20bの進路と、下り方向の逆向列車20cの進路とが、駅構内で一部競合しているが、先行列車20aが発車するまで後続列車20bが進入抑止点5の位置で抑止されることで、先行列車20aの発遅延が生じたとしても、後続列車20bが駅構内に進入してプラットホームの手前(下り方向側)、つまり後続列車20bと逆向列車20cとの進路の競合部分で停止してしまうといった事態は起こらないため、後続列車20bが逆向列車20cの進路を支障してしまうことが回避される。先行列車20aの発車後は、後続列車20bはプラットホームまで進行して停車することができるので、一時的に後続列車20bが逆向列車20cの進路を支障した状態となったとしても、時間経過によって解消される。

0030

進入抑止点5の具体的な設定位置について、一例を挙げて説明する。進入抑止点5は、駅構内の進入側外方(場外)であって、抑止される後続列車20bの走行を妨げないような位置に設定されることが望ましい。図4は、進入抑止点5の設定位置の一例を説明する図である。図4では、右方向を列車の進行方向として、駅に停車する先行列車20aと、それに続いて駅に進入する後続列車20bとの位置関係の一例を示している。なお、先行列車20aおよび後続列車20bは、常用最大加速度加速し、常用最大ブレーキ減速し、駅間最高速度で走行するものとする。また、以下に挙げる数値は一例である。

0031

先行列車20aは、駅に定められた停止位置目標に停止するために、所定の減速開始地点から減速を開始する。減速開始から停止までに要する時間(減速時間)は、例えば約50秒、である。また、先行列車20aの駅における規定の停車時分を、例えば20秒、とする。従って、先行列車20aが減速を開始してから駅に停車した後、駅を発車するまでに要する時間は、約70秒、である。

0032

この先行列車20aが駅を発車する時点において、後続列車20bが位置する後続地点は、先行列車20aの位置(つまり、駅の停止位置目標に停止している位置)から、時間に換算して約100秒後方の位置とする。この100秒の列車間隔は、先行列車20aおよび後続列車20bがともに最高速度で駅間を走行する場合の適切な列車間隔であって、移動閉そく方式において想定される列車間隔の一例である。詳細には、後続列車20bが、先行列車20aと同一番線に停車する場合、異なる番線に停車する場合、駅を通過する場合、のそれぞれで最適な列車間隔は異なるが、これらの場合を総合して最適な列車間隔とすることができる。

0033

後続地点は減速開始地点の後方であり、後続列車20bは、後続地点から減速開始地点まで、時間換算で30秒(=100秒−70秒)の間、減速せずに走行することができる。この余裕時間(30秒)に後続列車20bが走行することができる距離(余裕距離)は、最高速度で走行する場合、約800m、となる。なお、後続列車20bは、減速開始地点に到達すると、駅に停車するならば減速を開始し、駅を通過するならば、そのままあるいは制限速度への減速を開始する。

0034

ここで、先行列車20aの駅の発車時点に着目するのは、進入抑止点5は、先行列車20aが駅を発車するまでの間、継続的に設定され、先行列車20aの発車によって開放されるからである。先行列車20aの発遅延が生じていない場合、つまり、先行列車20aの駅での停車時間が規定の停車時分(20秒)を経過するまでは、進入抑止点5によって後続列車20bの進行が抑止されることは望ましくない。そして、先行列車20aの発遅延が生じた場合、つまり、先行列車20aの駅での停車時間が規定の20秒を超えた後に、後続列車20bが、進入抑止点5に停止するための減速を開始することが望ましい。従って、後続地点から後続列車20bの防護距離だけ内方の地点である防護地点の更に内方に、進入抑止点5を設定することが望ましい。後続列車20bの防護距離は、最高速度で走行している後続列車20bが最大減速度で停止するために必要な距離であり、例えば約600m、である。

0035

図4の例では、後続地点から減速開始地点までの余裕距離は約800mであり、後続列車20bの防護距離より長い。また、プラットホームの後端(進入側の端部)から減速開始地点までの距離は、約400mである。つまり、防護地点からプラットホームの後端までの距離は、約600m、となる。従って、駅構内への進入側に設けられる転てつ器50の外方であって、防護地点の内方となる範囲として数百m程度を確保でき、この範囲に進入抑止点5を設定するようにすれば良い。

0036

図5は、出発抑止点を説明する図である。図5は、図2における駅の上り方向側の一部分を示している。つまり、上り線および下り線の各プラットホームに本線に加えて副本線が設けられているとともに、上り方向側に交差渡り線(両渡り線)が設けられている駅である。

0037

出発抑止点は、同一駅の別番線から同一線路に進出する出発列車のうち、発時刻が早いほうの優先列車図2の先行列車20aに相当するため、以下、優先列車20aともいう)を対象列車とし、発時刻が遅いほうの劣後列車(図2の後発列車20dに相当するため、以下、劣後列車20dともいう)の出発を抑止するために、劣後列車20dの出発点(駅の停止位置ともいえる)に設定される。出発抑止点7が設定されると、劣後列車20dは、この出発抑止点7で進行が抑止されて駅を発車できない。そして、優先列車20aが駅を出発することで出発抑止点7が開放され、劣後列車20dは駅を出発することができる。

0038

つまり、図5では、ともに上り方向の先行列車20aの進路と後発列車20dの進路とが一部競合している。しかし、先行列車20aが発車するまで後発列車20dが出発抑止点7の位置で抑止される。この結果、先行列車20aの発遅延が生じたとしても、後発列車20dが出発して転てつ器50bの手前(下り方向側)、つまり対向列車20eとの進路の競合部分で停止してしまうといった事態は起こらない。そのため、後発列車20dが対向列車20eの進路を支障してしまうことが回避される。先行列車20aの発車後は、所定時間の経過後に、後発列車20dは転てつ器50bを通過して進行することができるので、一時的に後発列車20dが対向列車20eの進路を支障した状態となったとしても、時間経過によって解消される。

0039

[進路制御の手順]
図6は、地上装置10が行う進路制御の手順を説明する図である。列車20に対する進路制御は、(1)進路設定、(2)進路占有、(3)進路鎖錠、の順に行う。

0040

進路設定は、列車20が駅を出発する前に、当該列車20の停車位置(詳細には、先頭位置)を発点とし、次の停車駅の停車番線を着点として、線路に沿って発点から着点に至る経路予定進路として設定する。つまり、予定進路は、停車駅間を単位として設定される。なお、図6では、次駅が次の停車駅である例を示しているが、途中駅を通過する場合には、予定進路にその通過駅を含むことになる。

0041

次いで、進路占有は、予定進路上の線路ノード(転てつ器50や踏切道62)について、発点から近い順に占有可能か否かを判断し、占有可能なノードまでを当該列車で占有する。なお、この“占有”は物理的に占有する意味ではなく、論理的な占有を意味する。

0042

続いて、進路鎖錠は、占有した線路ノードを鎖錠する。線路ノードのうちの転てつ器50については、予定進路に沿った方向(開通方向)に転換させて鎖錠が完了すると、“鎖錠”として扱う。また、踏切道62については、列車20が到着すると予測される時点での踏切警報機の鳴動時分が所定の基準鳴動時分に達すると見込まれた時点で、“鎖錠”として扱う。

0043

線路ノードの占有は、予定進路の設定後に直ちに行うのではなく、列車20が線路ノードに接近した時点、具体的には、列車が減速することなく通過できるタイミング、で行う。具体的には、転てつ器50については、物理的な転換・鎖錠に要する時間を考慮し、列車20が到達すると予測される時刻から転てつ器50の転換・鎖錠に要する転換余裕時分だけ以前の時刻となったタイミングで、占有・鎖錠を行う。また、踏切道62については、列車20が到達すると予測される時点における踏切警報機の継続鳴動時分が所定の基準鳴動時分以上となるタイミングで、占有・鎖錠する。

0044

そして、予定進路のうち、鎖錠した線路ノードまでを、列車が進行可能な進行可能区間とする。詳細には、鎖錠した線路ノードと次の未鎖錠の線路ノードとの間に先行列車が存在しなければ、次の未鎖錠の線路ノードの手前に定められた所定の停止位置までが進行許可区間となり、先行列車が存在するならば、先行列車から所定距離だけ手前の位置までが進行許可区間となる。

0045

本実施形態の特徴として、予定進路上に抑止点が設定されている場合には、この抑止点までを進行許可区間とし、抑止点を越える進路部分については進行許可区間とすることはできない。つまり、進行許可区間を抑止点までの区間とすることで、抑止点を越えて進行しないように列車20を抑止することができる。

0046

抑止点は、予定進路の設定時に、当該予定進路上に設定することとする。つまり、進入抑止点5は、先行列車20aが駅を出発するまでの間、後続列車20bの当該駅への進入を抑止するために、当該駅の進入側外方に設定される(図3参照)。後続列車20bからみれば、先行列車20aが次駅に停車する場合に、先行列車20aが次駅を発車するまでの間(先行列車20aが次駅に到着するまでの間も含まれる)、次駅への進入を抑止する進入抑止点5が設定されることになる。また、出発抑止点7は、優先列車20aと劣後列車20dとの進路が競合する場合に、優先列車20aが駅を出発するまでの間(優先列車20aが次駅に到着するまでの間も含まれる)、劣後列車20dの出発を抑止するために、当該駅の劣後列車20dの出発点に設定される(図5参照)。劣後列車20dからみれば、停車駅において優先列車20aと進路が競合する場合に、優先列車20aが当該停車駅を出発するまでの間、当該停車駅からの出発を抑止する出発抑止点7が設定されることになる。

0047

列車20の予定進路は、出発前に、停車中の駅から次の停車駅までの経路として設定される。従って、列車20の予定進路の設定後に、続けて、設定した予定進路上に、進入抑止点5、および、出発抑止点7を設定するかを判断することができる。つまり、予定進路の着点となる列車の次の停車駅が先行列車の停車駅でもある場合には、次の停車駅への進入側外方に進入抑止点5を設定する。また、予定進路の発点となる列車の現在の停車駅における優先列車と進路が競合する場合には、現在の停車駅における列車20の出発点に出発抑止点7を設定する。

0048

その後、線路ノードの占有を行う際に、予定進路上に抑止点が設定されているならば、設定されている抑止点までの線路ノードを対象として占有するか否かを判断し、抑止点以降の線路ノードについては占有しないようにする。進入抑止点5は、先行列車の発車によって開放され、出発抑止点7は、優先列車の発車によって開放される。このため、抑止点(進入抑止点5および出発抑止点7)が開放された後は、開放された抑止点以降の線路ノードについて、順次、占有・鎖錠を行って、列車20の進行許可区間を更新すれば良い。

0049

地上装置10は、列車20について設定・更新した進行許可区間の情報を、当該列車20の車上装置30への制御情報に含めて送信する。

0050

そして、列車が線路ノードを通過すると、当該列車による当該線路ノードの鎖錠が解除(解錠)され、続いて、占有が解除される。つまり、予定進路全体を一度に占有・鎖錠するのではなく、列車の走行に応じて、順次線路ノードを占有・鎖錠してゆき、列車の通過に応じて、順次、占有・鎖錠を解除してゆくことになる。

0051

[機能構成]
図7は、地上装置10の機能構成図である。図7によれば、地上装置10は、入力部102と、表示部104と、時計部106と、無線通信部108と、有線通信部110と、処理部200と、記憶部300とを備えて構成される一種コンピュータシステムである。

0052

入力部102は、例えばキーボードマウスタッチパネル、各種スイッチ等の入力装置で実現され、操作入力に応じた操作信号を処理部200に出力する。表示部104は、例えば液晶ディスプレイやタッチパネル等の表示装置で実現され、処理部200からの表示信号に基づく各種表示を行う。時計部106は、水晶発振器等を有する発振回路によって構成され、現在時刻や、指定タイミングからの経過時間を計時する。無線通信部108は、例えば無線通信モジュール等の無線通信装置で実現され、車上装置30等の外部装置と無線通信網を介した無線通信を行う。有線通信部110は、転てつ器50や踏切警報機60等の外部機器通信ケーブル等を介した有線通信を行う。

0053

処理部200は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の演算装置演算回路で実現されるプロセッサーであり、記憶部300に記憶されたプログラムやデータ、入力部102や無線通信部108、有線通信部110からの入力データ等に基づいて、地上装置10の全体制御を行う。また、処理部200は、機能的な処理ブロックとして、在線管理部202と、進路設定部204と、走行予測部206と、進路占有鎖錠部208と、進路解除部210と、抑止設定部212と、抑止開放部214と、を有する。処理部200が有するこれらの各機能部は、処理部200がプログラムを実行することでソフトウェア的に実現することも、専用の演算回路で実現することも可能である。本実施形態では、前者のソフトウェア的に実現することとして説明する。

0054

在線管理部202は、車上装置30から受信した車上情報をもとに、各列車20の走行位置および走行速度を管理する。走行位置および走行速度は、列車情報340において管理される。

0055

図8は、列車情報340の一例である。図8に示すように、列車情報340は、地上装置10の管理対象となる列車20それぞれについて、識別情報である列車ID341と、性能データ342と、走行位置343と、走行速度344と、抑止設定情報345と、予定進路データ346と、を対応付けて格納している。

0056

性能データ342は、当該列車20の走行性能に関するデータであり、列車長や最高速度、最大加速度、最大減速度等を含んでいる。走行位置343は、当該列車20の先頭位置である。抑止設定情報345は、当該列車20に設定された抑止に関するデータである。列車20の予定進路は駅間を単位として設定されるので、設定され得る抑止点は、予定進路の発点となる駅の出発点に設定される出発抑止点7、着点となる次の停車駅の進入側外方の所定位置に設定される進入抑止点5、通過駅を含む場合にはその通過駅の進入側外方の所定位置に設定される進入抑止点5、である。予定進路データ346は、設定された予定進路に関するデータであり、進路の発点および着点となる駅名や番線のほか、予定進路上の各線路ノードについて、占有しているか否かである占有状態、および、鎖錠しているか否かである鎖錠状態を含んでいる。

0057

本実施形態では、抑止点の設定位置は固定であり、設定され得る抑止点に関しては抑止点情報330として記憶されている。

0058

図9は、抑止点情報330の一例である。図9によれば、抑止点情報330は、駅331毎に、当該駅331に関して設定され得る全ての抑止点それぞれについて、識別情報である抑止点ID332と、抑止種別333と、設定位置334と、を対応付けて格納している。抑止種別333は、進入抑止点5であるのか出発抑止点7であるのかの種別である。設定位置334は、例えばキロ程で表される線路上の絶対位置であり、出発抑止点7ならば番線も含む。本実施形態では、停車場を駅として説明しているが、信号場操車場を停車場に含める場合には、それらの停車場についても同様に抑止点情報330が定められる。

0059

進路設定部204は、列車20の予定進路を設定する。具体的には、駅ダイヤ情報310を参照し、ある列車20のある駅の出発時刻所定時間前となると、当該列車20の予定進路として、当該駅から次の停車駅までの進路を設定する。駅ダイヤ情報310は、駅毎に、当該駅を着発する全ての列車について、着発番線や着時刻、発時刻等を対応つけて格納している。また、予定進路の設定には、線路ノード情報320を参照して、進路上の線路ノードを判断する。

0060

図10は、線路ノード情報の一例である。図10に示すように、線路ノード情報320は、線区に設けられている全ての線路ノードそれぞれについて、識別情報である線路ノードID321と、ノード種別322と、設置位置323と、進路状態データ324と、を対応付けて格納している。ノード種別322は、転てつ器や踏切道といった線路ノードの種別である。設置位置323は、例えばキロ程で表される線路上の絶対位置である。進路状態データ324は、線路ノードに対する列車の予定進路の設定状態であり、当該線路ノードを予定進路に含む列車毎に、当該列車に占有されているか否かの占有状態と、鎖錠されているか否かの鎖錠状態と、を対応付けて含んでいる。

0061

走行予測部206は、列車20が予定進路を最短時間で走行したときの走行位置と走行速度との関係を表す走行予測方程式を作成する。具体的には、列車20に設定された予定進路上の線路ノードのうち、他の列車20に占有されている線路ノード、および、競合関係が他の列車の優先となっている線路ノードについて、その手前の所定位置で停止するための防護パターンを設定する。また、予定進路上に設定されている抑止点(あるいは、その手前の所定位置としても良い)に停止するための防護パターンを設定する。そして、線区に定められた制限速度を守りつつ、設定した防護パターンに従って、加速時には最大加速度で、減速時には最大減速度で走行するような、列車20の走行予測方程式を作成する。

0062

進路占有鎖錠部208は、線路ノードに対する占有および鎖錠を行う。具体的には、線路ノードそれぞれについて、列車20についての走行予測方程式から求められる占有開始時刻になると、当該線路ノードを当該列車20で占有する。次いで、線路ノードが転てつ器ならば、当該占有した列車20の開通方向へ転換させて鎖錠する。また、線路ノードが踏切道ならば、踏切警報機60の鳴動を開始させ、走行予測方程式から予測される当該列車20の踏切道への到達所要時分と、踏切警報機60の継続鳴動時分との合計が、基準鳴動時分に達した時点で、当該踏切道を鎖錠する。

0063

線路ノードの占有開始時刻は、列車20が減速することなく当該線路ノードを通過できる時刻として定められる。すなわち、転てつ器については、走行予測方程式から予測される列車20の当該転てつ器の到達時刻から、所定の転換余裕時分だけ以前の時刻が、占有開始時刻となる。また、踏切道については、走行予測方程式から予測される列車20の当該踏切道への到達時刻から、所定の基準鳴動時分だけ以前の時刻が、占有開始時刻となる。

0064

進路解除部210は、線路ノードに対する占有・鎖錠の解除を行う。具体的には、線路ノードそれぞれについて、当該線路ノードの設置位置を、当該線路ノードを占有している列車20が通過すると、占有および鎖錠を解除する。

0065

抑止設定部212は、対象列車が停車場を出発するまでの間、対象列車の出発待ちによる停車場内での列車間の進行支障を抑止するための抑止点を設定する。具体的には、ある列車20に対する抑止点として、当該列車20の次の停車駅が、対象列車である先行列車の停車駅でもある場合に、当該次の停車駅の進入側外方の所定位置に進入抑止点5を設定する。また、当該列車20の停車駅において、対象列車である優先列車20aと進路が競合する場合に、当該停車駅の当該列車20の出発点に出発抑止点7を設定する。この抑止点の設定は、例えば、進路設定部204による列車20の予定進路の設定後に、当該列車20に対して行う。

0066

抑止開放部214は、抑止設定部212により設定された抑止点を開放する。具体的には、対象列車である先行列車が停車駅を出発すると、後続列車に対して設定された進入抑止点5を開放する。また、出発抑止点7については、対象列車である優先列車が停車駅を出発すると、劣後列車に対して設定された出発抑止点7を開放する。

0067

記憶部300は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のIC(IntegratedCircuit)メモリハードディスク等の記憶装置で実現され、処理部200が地上装置10を統合的に制御するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が実行した演算結果や、入力部102や無線通信部108、有線通信部110からの入力データ等が一時的に格納される。本実施形態では、記憶部300には、列車制御プログラム302と、駅ダイヤ情報310と、線路ノード情報320と、抑止点情報330と、列車情報340と、が記憶される。

0068

[処理の流れ]
図11は、列車制御処理を説明するフローチャートである。この処理は、地上装置10において処理部200が実行する処理である。

0069

先ず、線区内の全ての駅を順に対象としたループAの繰り返し処理を行う。ループAでは、進路設定部204が、駅ダイヤ情報310を参照して、対象の駅(当該駅)における何れかの列車20の発時刻の所定時間前となったかを判断する。なったならば(ステップS1:YES)、その列車20について、当該駅から次の停車駅までの予定進路を設定する(ステップS3)。

0070

次いで、抑止設定部212が、その列車20(当該列車)に対する抑止点を設定する抑止設定処理(ステップS5〜S11)を行う。抑止設定処理では、抑止設定部212は、当該列車の先行列車の次の停車駅が、当該列車に設定した予定進路上の駅であるかを判断する。そうであるならば(ステップS5:YES)、抑止点情報330を参照してその駅(先行列車の次の停車駅)の進入側外方に、当該列車に対する進入抑止点5を設定する(ステップS7)。また、対象駅に出発順序が当該列車の直前の優先列車が存在し、且つ、対象列車とその優先列車との進路が競合するかを判断する。そうであるならば(ステップS9:YES)、対象駅における当該列車の出発点に、当該列車に対する出発抑止点7を設定する(ステップS11)。ここまでが抑止設定処理である。ループAの処理はこのように行われる。

0071

全ての駅を対象としたループAの繰り返し処理を終了すると、続いて、全ての列車20を順に対象としたループBの繰り返し処理を行う。ループBでは、抑止開放部214が、対象の列車(当該列車)に対する抑止点の設定を開放する抑止開放処理(ステップS13〜S23)を行う。抑止開放処理では、抑止開放部214は、当該列車に出発抑止点7が設定されているかを判断する。設定されているならば(ステップS13:YES)、続いて、優先列車が駅を出発したかを判断し、出発したならば(ステップS15:YES)、当該列車に対する出発抑止点7の設定を開放する(ステップS17)。また、当該列車に進入抑止点5が設定されているかを判断する。設定されているならば(ステップS19:YES)、先行列車が駅を出発したかを判断し、出発したならば(ステップS21:YES)、当該列車に対する進入抑止点5の設定を開放する(ステップS23)。ここまでが抑止開放処理である。

0072

次いで、走行予測部206が、列車走行予測処理を行って、当該列車が予定進路を最短時間で走行したときの走行位置と走行速度との関係を表す走行予測方程式を作成する。このとき、予定進路上に設定された抑止点に防護パターンを設定することで、当該列車が抑止点を越えて進行しないように予測する(ステップS25)。続いて、進路占有鎖錠部208が、進路占有鎖錠処理を行って、当該列車の予定進路上の線路ノードに対する占有および鎖錠を行う。(ステップS27)。具体的には、当該列車の走行予測方程式から求められる占有開始時刻となった線路ノードを当該列車で占有・鎖錠する。その後、進路解除部210が、進路解除処理を行って、当該列車の予定進路上の線線路ノードに対する占有・鎖錠の解除を行う(ステップS29)。具体的には、当該列車が通過した線路ノードの占有および鎖錠を解除する。ループBの処理はこのように行われる。全ての列車20を対象としたループBの処理を終了すると、ステップS1に戻り、同様の処理を繰り返す。

0073

作用効果
このように、本実施形態の無線列車制御システム1によれば、対象列車が停車場を出発するまでの間、抑止点を設定して対象列車以外の他の列車の抑止点の内方への進入を抑止することで、対象列車の出発待ちによる列車間の進行支障を抑止することができる。移動閉そく方式では、列車間隔を可能な限り詰めることができるが、対象列車に発遅延が生じると、進路が競合する他の列車がこれ以上進行できずに停止することになり、更なる他の列車の進行を支障してしまうといった、対象列車の出発待ちによる列車間の進行支障が生じる場合がある。後続列車が先行列車に可能な限り詰めて走行しても、先行列車はいずれ駅に停止するため、これに伴い後続列車も停止する。つまり、後続列車は先行列車に対して余裕距離を有して走行することができる。このため、この余裕距離を利用して対象列車が出発するまで対象列車以外の列車を抑止することで、対象列車の発遅延が生じた場合に生じ得る列車間の運行支障を回避することができる。

0074

[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。

0075

例えば、上述の実施形態では、停車場の一例である駅として説明したが、信号場や操車場といった他の停車場についても適用可能である。

0076

1…無線列車制御システム
10…地上装置
200…処理部
202…在線管理部、204…進路設定部、206…走行予測部
208…進路占有鎖錠部、210…進路解除部
212…抑止設定部、214…抑止開放部
300…記憶部
302…列車制御プログラム
310…駅ダイヤ情報、320…線路ノード情報
330…抑止点情報、340…列車情報
20…列車、30…車上装置
40…無線基地局、50…転てつ器、60…踏切警報機
5…進入抑止点、7…出発抑止点

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