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技術 回転切削工具

出願人 株式会社アライドマテリアル
発明者 城健太郎
出願日 2018年9月11日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-169561
公開日 2020年3月19日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-040170
状態 未査定
技術分野 バイト、中ぐり工具、ホルダ及びタレット ダイヤモンド又は金属化合物を含有する合金 フライス加工
主要キーワード 複合関数 寿命判定基準 給油条件 エネルギ分散型 チップユニット 円周軌道 フィティング 三次元測定装置
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月19日)のものです。
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図面 (10)

課題

解決手段

台金は、金属で構成され、軸方向に延在する。チップは、台金に取り付けられ、逃げ面、すくい面およびこれらの間に形成された切刃を有する。チップは、単結晶ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンドから形成されている。上記多結晶ダイヤモンドは、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である。逃げ面に、上記単結晶ダイヤモンドまたは上記多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層110gが設けられている。

概要

背景

ダイヤモンドを含むチップを有する切削工具を開示した先行文献として、特開2005−88178号公報(特許文献1)、特開2006−281386号公報(特許文献2)、および、特開2012−66324号公報(特許文献3)がある。

概要

回転切削工具長寿命化する。台金は、金属で構成され、軸方向に延在する。チップは、台金に取り付けられ、逃げ面、すくい面およびこれらの間に形成された切刃を有する。チップは、単結晶ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンドから形成されている。上記多結晶ダイヤモンドは、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である。逃げ面に、上記単結晶ダイヤモンドまたは上記多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層110gが設けられている。

目的

本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、長寿命化された回転切削工具を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

金属で構成され、軸方向に延在する台金と、前記台金に取り付けられ、逃げ面、すくい面およびこれらの間に形成された切刃を有するチップとを備え、前記チップは、単結晶ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンドから形成されており、前記多結晶ダイヤモンドは、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下であり、前記逃げ面に、前記単結晶ダイヤモンドまたは前記多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている、回転切削工具

請求項2

前記逃げ面のラマンスペクトルにおいて、ダイヤモンドのピーク強度をId、グラファイトのピーク強度をIgとすると、ダイヤモンドのピーク強度Idに対するグラファイトのピーク強度Igの割合を示すピーク強度比(Ig/Id)が、0.01以上1.0以下である、請求項1に記載の回転切削工具。

請求項3

前記すくい面に、前記単結晶ダイヤモンドまたは前記多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている、請求項1または請求項2に記載の回転切削工具。

請求項4

前記すくい面のラマンスペクトルにおいて、ダイヤモンドのピーク強度をId、グラファイトのピーク強度をIgとすると、ダイヤモンドのピーク強度Idに対するグラファイトのピーク強度Igの割合を示すピーク強度比(Ig/Id)が、0.01以上1.0以下である、請求項3に記載の回転切削工具。

技術分野

0001

本発明は、回転切削工具に関する。

背景技術

0002

ダイヤモンドを含むチップを有する切削工具を開示した先行文献として、特開2005−88178号公報(特許文献1)、特開2006−281386号公報(特許文献2)、および、特開2012−66324号公報(特許文献3)がある。

先行技術

0003

特開2005−88178号公報
特開2006−281386号公報
特開2012−66324号公報

発明が解決しようとする課題

0004

アルミニウム合金または銅合金などの非鉄金属切削加工において切削抵抗が大きい場合、切削熱が高くなり、溶着またはチッピングなどによって切刃欠けまたは摩耗が発生し、回転切削工具の寿命が短くなる。

0005

本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、長寿命化された回転切削工具を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明に基づく回転切削工具は、台金とチップとを備える。台金は、金属で構成され、軸方向に延在する。チップは、台金に取り付けられ、逃げ面、すくい面およびこれらの間に形成された切刃を有する。チップは、単結晶ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンドから形成されている。上記多結晶ダイヤモンドは、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である。逃げ面に、上記単結晶ダイヤモンドまたは上記多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている。

発明の効果

0007

本発明によれば、回転切削工具を長寿命化することができる。

図面の簡単な説明

0008

本発明の一実施形態に係る回転切削工具の斜視図である。
図1の回転切削工具を矢印II方向から見た正面図である。
図1の回転切削工具を矢印III方向から見た平面図である。
図1の回転切削工具を矢印IV方向から見た底面図である。
図1の回転切削工具を矢印V方向から見た側面図である。
図1中のVI部を拡大して示す斜視図である。
図3中のVII部を拡大して示す平面図である。
図5中のVIII部を拡大して示す側面図である。
本発明の一実施形態に係る回転切削工具が備えるチップの逃げ面およびすくい面の各々の厚さ方向の組成分布を模式的に示す図である。

実施例

0009

[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。

0010

本発明の一態様に係る回転切削工具は、台金とチップとを備える。台金は、金属で構成され、軸方向に延在する。チップは、台金に取り付けられ、逃げ面、すくい面およびこれらの間に形成された切刃を有する。チップは、単結晶ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンドから形成されている。上記多結晶ダイヤモンドは、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である。逃げ面に、上記単結晶ダイヤモンドまたは上記多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている。

0011

本発明の一態様に係る回転切削工具においては、硬く、かつ、熱伝導率が高い、単結晶ダイヤモンドまたは実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドから、チップが形成されているため、切削熱を効率よく放熱し、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠け若しくは摩耗が生じることを抑制することができる。また、逃げ面に、上記単結晶ダイヤモンドまたは上記多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられているため、逃げ面に潤滑性を付与して、逃げ面に切り屑が溶着することを抑制するとともに切削抵抗を低減することができる。これにより、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠けまたは摩耗の発生を抑制して、回転切削工具を長寿命化することができる。

0012

好ましくは、逃げ面のラマンスペクトルにおいて、ダイヤモンドのピーク強度をId、グラファイトのピーク強度をIgとすると、ダイヤモンドのピーク強度Idに対するグラファイトのピーク強度Igの割合を示すピーク強度比(Ig/Id)が、0.01以上1.0以下である。逃げ面のラマンスペクトルにおけるピーク強度比(Ig/Id)が、0.01未満である場合、グラファイト層によって逃げ面に付与できる潤滑性が不十分となり、1.0を超える場合、グラファイト層が厚くなりすぎて逃げ面が摩耗しやすくなる。

0013

好ましくは、すくい面に、上記単結晶ダイヤモンドまたは上記多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている。これにより、すくい面に潤滑性を付与して切り屑の排出性を向上できるため、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠けまたは摩耗が生じることを抑制することができる。

0014

好ましくは、すくい面のラマンスペクトルにおいて、ダイヤモンドのピーク強度をId、グラファイトのピーク強度をIgとすると、ダイヤモンドのピーク強度Idに対するグラファイトのピーク強度Igの割合を示すピーク強度比(Ig/Id)が、0.01以上1.0以下である。すくい面のラマンスペクトルにおけるピーク強度比(Ig/Id)が、0.01未満である場合、グラファイト層によってすくい面に付与できる潤滑性が不十分となり、1.0を超える場合、グラファイト層が厚くなりすぎてすくい面が摩耗しやすくなる。

0015

(一実施形態)
以下、本発明の一実施形態に係る回転切削工具について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。

0016

図1は、本発明の一実施形態に係る回転切削工具の斜視図である。図2は、図1の回転切削工具を矢印II方向から見た正面図である。図3は、図1の回転切削工具を矢印III方向から見た平面図である。図4は、図1の回転切削工具を矢印IV方向から見た底面図である。図5は、図1の回転切削工具を矢印V方向から見た側面図である。図6は、図1中のVI部を拡大して示す斜視図である。図7は、図3中のVII部を拡大して示す平面図である。図8は、図5中のVIII部を拡大して示す側面図である。

0017

図1図8に示すように、本発明の一実施形態に係る回転切削工具1は、リーマである。回転切削工具1は、台金10とチップ110とを備える。台金10は、軸方向に延在している。台金10は、略円柱状の外形を有している。

0018

台金10の先端側には、台金10の軸方向に延びる溝11が設けられている。溝11は、互いに直交する第1壁面11aおよび第2壁面11bを含んでいる。溝11の第1壁面11aは、溝11の第2壁面11bに対して、台金10の回転方向前方側に位置している。

0019

図1に示すように、台金10の先端面10aに、センター穴14が設けられている。台金10の後端側に、台金10の後端面から台金10の軸方向の先端側に延びる油供給孔12が設けられている。油供給孔12は、台金10の溝11の第1壁面11aの先端側の位置に設けられた開口13と繋がっている。台金10の溝11の第2壁面11bの先端側には、凹部11cが形成されている。台金10の先端側の外周部に、台金10の回転方向に互いに間隔をあけて拡径した3つのガイドパッド部15が設けられている。台金10は、超硬合金などの金属で構成されている。

0020

台金10の軸方向における先端部に、チップ110が取り付けられている。チップ110は、略直方体状の外形を有している。本実施形態においては、チップ110は、台座120を介して台金10に取り付けられている。チップ110がロウ付けにより台座120に固定されることにより、チップユニット100が構成されている。台座120は、超硬合金などの金属で構成されている。

0021

チップユニット100は、溝11の第2壁面11bの凹部11c内に配置される。台座120が、ロウ付けまたはボルト締結により台金10に固定されることにより、チップユニット100が台金10に取り付けられる。なお、台座120は必ずしも設けられなくてもよく、チップ110が台金10に直接取り付けられていてもよい。台金10に取り付けられたチップ110の後述するすくい面111は、台金10の溝11の第2壁面11bと略面一に位置している。

0022

本実施形態においては、1つのチップ110が台金10に取り付けられているが、複数のチップ110が台金10の回転方向に互いに間隔をあけて台金10に取り付けられていてもよい。この場合、複数のチップ110は、同一の円周軌道上に位置するように設けられる。

0023

図5図8に示すように、チップ110は、外周切刃115、外周切刃115に連なる食付き切刃117、および、食付き切刃117に連なる前切刃113を含む。食付き切刃117は、外周切刃115および前切刃113の各々に対して斜めに接している。なお、食付き切刃117は必ずしも設けられていなくてもよく、外周切刃115と前切刃113とが互いに直交するように接していてもよい。

0024

チップ110には、外周切刃115に対して台金10の回転方向の前方にすくい面111が設けられている。すくい面111は、外周切刃115、食付き切刃117および前切刃113の各々と接している。

0025

図7に示すように、前切刃113および食付き切刃117の各々は、台金10の先端面10aから突出している。なお、前切刃113および食付き切刃117の各々は,先端面10aから突出していなくてもよい。

0026

図8に示すように、チップ110には、台金10の回転方向における外周切刃115の後方マージン116が設けられている。マージン116は、外周切刃115に沿って延在している。マージン116は、台金10の外周側に凸状の曲面形状を有している。マージン116の台金10の回転方向の幅Wは、0.03mm以上0.6mm以下である。マージン116の表面粗さRaは、0.2μm以下である。

0027

マージン116は、JIS B 0173の2050により定義され、マージン116の幅Wは、JIS B 0173の2072で定義される。マージン116の表面粗さRaは、たとえば、三鷹光器製の非接触式全周三次元測定装置により測定可能である。

0028

チップ110には、台金10の回転方向におけるマージン116の後端から台金10の回転方向の後方に延在する逃げ面112が設けられている。マージン116は、被削物の加工部位と接触する部分である。逃げ面112は、被削物の加工部位と接触しない部分である。

0029

図5および図6に示すように、チップ110には、台金10の回転方向における前切刃113の後端から台金10の回転方向の後方に延在する逃げ面114が設けられている。チップ110には、台金10の回転方向における食付き切刃117の後端から台金10の回転方向の後方に延在する逃げ面118が設けられている。逃げ面114および逃げ面118の各々は、被削物の加工部位と接触しない部分である。

0030

上記のように、チップ110は、逃げ面112、すくい面111およびこれらの間に形成された外周切刃115を有する。チップ110は、逃げ面114、すくい面111およびこれらの間に形成された前切刃113を有する。チップ110は、逃げ面118、すくい面111およびこれらの間に形成された食付き切刃117を有する。

0031

外周切刃115、食付き切刃117および前切刃113の各々と、すくい面111とのなす角である刃物角が、70°以上である場合、外周切刃115、食付き切刃117および前切刃113の各々の強度を大きくすることができるため好ましい。

0032

本実施形態においては、図7に示すように、外周切刃115は、台金10の先端側に行くにしたがって、台金10の軸から離れるように傾斜しているバックテーパが設けられている。図7に示す寸法Aおよび寸法Bを用いると、バックテーパの大きさは、B/Aで表される。寸法Aは、台金10の軸方向における外周切刃115の長さ成分の寸法である。寸法Bは、台金10の軸方向に直交する方向における外周切刃115の長さ成分の寸法である。バックテーパの大きさは、0.01/100以上、0.3/100以下である。これにより、加工後に回転切削工具を引き抜く際に、加工面を傷づけることを防止できる。ただし、外周切刃115が、台金10の軸方向と平行に延在していてもよい。

0033

外周切刃115と食付き切刃117との接点である切刃角部119は、外周切刃115および食付き切刃117の各々において、台金10の軸方向に直交する方向におけるチップ110の最も外側に位置する部分である。切刃角部119は、台金10に対して0.5μm以上10μm以下突出している。すなわち、台金10の軸方向に直交する方向における台金10の外周面と切刃角部119との間隔Dが、0.5μm以上10μm以下である。

0034

台金10の先端部のガイドパッド部15以外の部分の外周面の回転半径はたとえば4.9mmであり、ガイドパッド部15の外周面の回転半径はたとえば5.0mmであり、切刃角部119の回転半径はたとえば5.0025mmである。

0035

すくい面111とマージン116との境界部の稜線の丸みは、0.1μm以上10μm以下である。すなわち、外周切刃115の稜線の丸みが、0.1μm以上10μm以下である。外周切刃115の稜線の丸みを測定するには、三鷹光器製の非接触式全周三次元測定装置にてマージン116からすくい面111にかけて外周切刃115の輪郭を測定し、外周切刃115の丸みと近似する円を想定し、その円の半径を外周切刃115の丸みの半径とする。

0036

チップ110は、実質的にダイヤモンドのみからなり、最大粒径が1000nm以下、かつ、平均粒径が100nm以下である、多結晶ダイヤモンドで構成されている。好ましくは、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドは、最大粒径が300nm以下、かつ、平均粒径が50nm以下である。なお、チップ110は、単結晶ダイヤモンドで構成されていてもよい。

0037

ダイヤモンド粒子の平均粒径を測定するには、多結晶ダイヤモンドの表面または任意の断面を鏡面研磨し、真空焼結炉を用いて、圧力が3.0×10-3Pa以上6.3×10-3Pa以下、温度が1000℃以上1200℃以下、かつ、保持時間が30分以上60分以下である、条件にて熱食刻を行なう。走査型電子顕微鏡により、熱食刻された研磨面を2μm×2μmの範囲で、任意の10ヶ所の反射電子像写真撮影する。写真撮影された画像から、個々のダイヤモンド粒子を抽出し、抽出したダイヤモンド粒子を2値化処理して各ダイヤモンド粒子の面積を算出する。そして、各ダイヤモンド粒子と同じ面積を持つ円を想定し、この円の直径をダイヤモンド粒子の粒径とする。各ダイヤモンド粒子径の算術平均値を平均粒径とする。ダイヤモンド粒子の最大粒径は、上記の方法により抽出されたダイヤモンド粒子のうちの最も粒径が大きいダイヤモンド粒子の粒径とする。

0038

好ましくは、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドにおけるダイヤモンド以外の不純物成分含有率が1質量%以下である。より好ましくは、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドにおける不純物成分の含有率は、0.5質量%以下である。不純物成分は、Co、Fe、Ni、Ti、W、Ta、CrおよびVなどの、多結晶ダイヤモンドのバインダとして機能する元素の少なくとも1種を含んでいてもよい。また、不純物成分は、上記のバインダとして機能する元素および炭素以外の、たとえば、希土類元素アルカリ土類金属窒素酸素ホウ素および水素などの元素のうちの少なくともいずれか1種を含んでいてもよい。なお、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドにおける不純物成分の含有率は、0質量%であってもよい。

0039

不純物成分の含有率を測定するには、以下のように行なう。エネルギ分散型X線分析(EDX:Energy dispersive X-ray spectrometry)または波長分散型X線分析(WDS:Wavelength Dispersive x-ray Spectroscopy)により、多結晶ダイヤモンドの特性X線を測定し、横軸エネルギ値縦軸に強度を示したスペクトルを得る。次に、スペクトル分析を行ない、C原子の質量%を求め、100−(C原子の質量%)を計算することにより、不純物成分の含有率を算出する。C原子の質量%は、解析ソフトウェアによって以下のように求められる。三次式近似を用いてスペクトルのバックグラウンド除去を行ない、プロファイルフィティングを行なうことにより、各エネルギのピーク強度が求められる。次に、各ピーク積分値が求められ、C原子のピーク強度の割合が算出され、ピーク強度の積分値からC原子の質量%が導出される。

0040

チップ110における逃げ面112,114,118およびすくい面111の各々は、レーザ加工によって形成されている。レーザ加工された際に、逃げ面112,114,118およびすくい面111の各々には、多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている。なお、チップ110が単結晶ダイヤモンドで構成されている場合には、レーザ加工された際に、逃げ面112,114,118およびすくい面111の各々には、単結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている。マージン116は、表面を研磨加工されており、グラファイト層が除去されている。

0041

図9は、本発明の一実施形態に係る回転切削工具が備えるチップの逃げ面およびすくい面の各々の厚さ方向の組成分布を模式的に示す図である。図9に示すように、チップ110における逃げ面112,114,118およびすくい面111の各々において、表層にグラファイト層110gが設けられている。グラファイト層110gにおいては、表層から離れるにしたがって、グラファイト成分が減少している。グラファイト層110gの下側に、ダイヤモンドで構成されているダイヤモンド部110dが位置している。

0042

逃げ面112,114,118のラマンスペクトルにおいて、ダイヤモンドのピーク強度をId、グラファイトのピーク強度をIgとすると、ダイヤモンドのピーク強度Idに対するグラファイトのピーク強度Igの割合を示すピーク強度比(Ig/Id)が、0.01以上1.0以下である。

0043

すくい面111のラマンスペクトルにおいて、ダイヤモンドのピーク強度をId、グラファイトのピーク強度をIgとすると、ダイヤモンドのピーク強度Idに対するグラファイトのピーク強度Igの割合を示すピーク強度比(Ig/Id)が、0.01以上1.0以下である。

0044

ピーク強度比(Ig/Id)を測定するには、以下のように行なう。各試料について、波長532nmのレーザ励起光として、室温でラマン分光分析を行なう。0.25cm-1以下の波数分解能を持つ分光器を用いてスペクトル解析を行なって得られたフォノンピークに、ローレンツ関数ガウス関数との複合関数最小二乗法フィッティングし、ピーク強度を求める。具体的には、1333cm-1付近のダイヤモンドピークおよび1590cm-1付近のグラファイトピークのピーク強度を測定し、そのピーク強度比(Ig/Id)を求めた。逃げ面およびすくい面の各々において、任意の5箇所についてピーク強度比(Ig/Id)を測定し、その平均値を逃げ面およびすくい面の各々のピーク強度比(Ig/Id)とする。

0045

(実験例)
ここで、本発明の一実施形態に係る回転切削工具による効果を検証した実験例について説明する。

0046

本実験例においては、試料番号1〜18の回転切削工具を用いて孔加工を行ない、相対工具寿命(%)、溶着の程度、切り屑の排出状況、および、切刃の状況の4つの評価項目に基づいて検証した。

0047

試料1〜8の回転切削工具のチップは、単結晶ダイヤモンドで構成されている。試料9および10の回転切削工具のチップは、バインダを10体積%含む多結晶ダイヤモンドで構成されている。試料11〜18の回転切削工具のチップは、不純物成分の含有率が0.5質量%以下の実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドで構成されている。

0048

試料番号1〜18の回転切削工具のチップの諸条件および評価結果は、下記の表1に示す通りである。

0049

0050

孔加工の加工条件は、下記の通りである。
被削物は、アルミダイキャストとした。取り代は、直径で0.2mmとした。工具径は、直径で6mmとした。切削速度は、150m/minとした。工具送り速度は、0.06mm/revとした。給油条件は、ポンプ圧を1.5MPaとして、油供給孔12を通じて強制潤滑した。クーラントとして、10%に希釈した水溶性エマルジョンを用いた。

0051

工具の寿命判定基準として、切刃にチッピングが発生して加工精度が悪化した場合は、チッピングが発生した時点で寿命に達したと判定する。加工精度は、加工孔真円度および加工孔の表面粗さから判定した。切刃にチッピングが発生する前に、加工孔の孔径が工具径より10μm小さくなった場合は、その時点で寿命に達したと判定する。工具が寿命に達するまで、繰り返し孔加工を行なった。溶着の程度、切り屑の排出状況、および、切刃の状況の各々は、孔加工を30回行なった時点、または、孔加工を30回行なう前に工具が寿命に達した場合は、工具が寿命に達した時点での評価結果である。

0052

相対工具寿命(%)について、単結晶ダイヤモンドから形成されている試料1〜8の回転切削工具のチップにおいては、試料4の回転切削工具のチップに対する相対工具寿命(%)であり、多結晶ダイヤモンドから形成されている試料9〜18の回転切削工具のチップにおいては、試料14の回転切削工具のチップに対する相対工具寿命(%)である。

0053

本実験例では、逃げ面およびすくい面の各々のグラファイト層をレーザ加工にて同様に形成しており、逃げ面およびすくい面のピーク強度比(Ig/Id)は互いに略同一であるため、表1においては、逃げ面およびすくい面の各々のピーク強度比(Ig/Id)を共通の欄で記載している。

0054

まず、試料4,10,14の評価結果について説明する。
表1に示すように、試料14に対する試料10の相対工具寿命は50%であった。なお、試料10の工具寿命は、試料4の工具寿命より短かった。

0055

上記の試料4,10,14の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
ダイヤモンド焼結体のような、バインダを含む多結晶ダイヤモンドで構成されたチップは、バインダを含むため、硬さが低下するとともに、熱伝導率が低下する。また、バインダを含む多結晶ダイヤモンドで構成されたチップにおいては、バインダが摩耗してダイヤモンド粒子が脱落することにより、切刃に欠けが発生することがある。

0056

一方、単結晶ダイヤモンドおよび実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドの各々は、バインダを含んでいないため、切刃の欠けが発生しにくい。単結晶ダイヤモンドおよび実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドの各々は、バインダを含む多結晶ダイヤモンドより硬いため、単結晶ダイヤモンドおよび実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドのいずれか一方で構成されたチップは、摩耗しにくい。

0057

また、単結晶ダイヤモンドおよび実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドの各々は、バインダを含む多結晶ダイヤモンドと比較して、熱伝導率が高いため、加工部位で発生した切削熱を効率よく放熱することができる。単結晶ダイヤモンドおよび実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドのいずれか一方で構成されたチップは、切削熱を効率よく放熱することにより、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠け若しくは摩耗が生じることを抑制することができる。

0058

上記のように、単結晶ダイヤモンドおよび実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドのいずれか一方で構成されたチップは、バインダを含む多結晶ダイヤモンドで構成されたチップに比較して、工具寿命を長くすることができる。

0059

次に、試料1〜4の評価結果について説明する。
表1に示すように、逃げ面にグラファイト層が設けられている試料1,2においては、逃げ面に切り屑の溶着は認められず、切刃は正常摩耗していた。一方、逃げ面にグラファイト層が設けられていない試料3,4においては、逃げ面の大きな部分に切り屑の溶着が認められ、切刃にチッピングが発生していた。

0060

すくい面にグラファイト層が設けられている試料1,3においては、切り屑の排出状況が良好であった。一方、すくい面にグラファイト層が設けられていない試料2,4においては、台金の溝に切り屑の詰まりが認められた。

0061

相対工具寿命は、逃げ面およびすくい面の両方にグラファイト層が設けられていない試料4、すくい面にグラファイト層が設けられている試料3、逃げ面にグラファイト層が設けられている試料2、逃げ面およびすくい面の各々にグラファイト層が設けられている試料1、の順に長くなっていた。

0062

上記の試料1〜4の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
逃げ面に、単結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている場合、逃げ面に潤滑性を付与して、逃げ面に切り屑が溶着することを抑制するとともに切削抵抗を低減することができる。これにより、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠けまたは摩耗の発生を抑制して、回転切削工具を長寿命化することができる。すくい面に、単結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている場合、すくい面に潤滑性を付与して切り屑の排出性を向上できるため、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠けまたは摩耗が生じることを抑制することができる。

0063

次に、試料11〜14の評価結果について説明する。
表1に示すように、逃げ面にグラファイト層が設けられている試料11,12においては、逃げ面に切り屑の溶着は認められず、切刃は正常摩耗していた。一方、逃げ面にグラファイト層が設けられていない試料13,14においては、逃げ面の大きな部分に切り屑の溶着が認められ、切刃にチッピングが発生していた。

0064

すくい面にグラファイト層が設けられている試料11,13においては、切り屑の排出状況が良好であった。一方、すくい面にグラファイト層が設けられていない試料12,14においては、台金の溝に切り屑の詰まりが認められた。

0065

相対工具寿命は、逃げ面およびすくい面の両方にグラファイト層が設けられていない試料14、すくい面にグラファイト層が設けられている試料13、逃げ面にグラファイト層が設けられている試料12、逃げ面およびすくい面の各々にグラファイト層が設けられている試料11、の順に長くなっていた。

0066

上記の試料11〜14の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
逃げ面に、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている場合、逃げ面に潤滑性を付与して、逃げ面に切り屑が溶着することを抑制するとともに切削抵抗を低減することができる。これにより、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠けまたは摩耗の発生を抑制して、回転切削工具を長寿命化することができる。すくい面に、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている場合、すくい面に潤滑性を付与して切り屑の排出性を向上できるため、溶着またはチッピングなどによって切刃の欠けまたは摩耗が生じることを抑制することができる。

0067

次に、試料9,10の評価結果について説明する。
表1に示すように、逃げ面およびすくい面の各々にグラファイト層が設けられている試料9においては、切り屑の排出状況は良好であったが、逃げ面の大きな部分に切り屑の溶着が認められ、切刃にチッピングが発生していた。

0068

相対工具寿命は、逃げ面およびすくい面の各々にグラファイト層が設けられている試料9の方が、逃げ面およびすくい面の両方にグラファイト層が設けられていない試料10より長くなっていた。

0069

上記の試料9,10の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
逃げ面に、バインダを10体積%含む多結晶ダイヤモンドがグラファイト化したグラファイト層が設けられている場合、グラファイト層中にバインダの成分であるコバルトが含まれる。コバルトが溶着発生の起点となって溶着が大きく成長するため、グラファイト層によって逃げ面に潤滑性を付与することができなくなる。

0070

上記の試料5〜8,15〜18の評価結果について説明する。
表1に示すように、逃げ面およびすくい面の各々のラマンスペクトルにおけるピーク強度比(Ig/Id)が0.01以上1.0以下である試料5,6,7,15,16,17においては、逃げ面に切り屑の溶着はほとんど認められず、切刃は正常摩耗しており、切り屑の排出状況は概ね良好であった。逃げ面およびすくい面の各々のラマンスペクトルにおけるピーク強度比(Ig/Id)が0.01である試料5,15においては、逃げ面の僅かな部分に切り屑の溶着が認められたが、切刃は正常摩耗しており、切り屑の排出状況はやや良好であった。逃げ面およびすくい面の各々のラマンスペクトルにおけるピーク強度比(Ig/Id)が1.0を超える試料8,18においては、逃げ面に切り屑の溶着は認められず、切り屑の排出状況は良好であったが、逃げ面摩耗が大きくなって切刃にまで達していた。

0071

上記の試料5〜8,15〜18の評価結果は、以下の理由によると考えられる。
逃げ面およびすくい面の各々のラマンスペクトルにおけるピーク強度比(Ig/Id)が、0.01未満である場合、グラファイト層によって逃げ面およびすくい面の各々に付与できる潤滑性が不十分となり、1.0を超える場合、グラファイト層が厚くなりすぎて逃げ面およびすくい面の各々が摩耗しやすくなる。逃げ面およびすくい面の各々のラマンスペクトルにおけるピーク強度比(Ig/Id)が0.01以上1.0以下であることにより、適度な厚さのグラファイト層を設け、逃げ面およびすくい面の各々に十分な潤滑性を付与しつつ大きな逃げ面摩耗が発生することを抑制できる。

0072

今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0073

1回転切削工具、10台金、10a 先端面、11 溝、11a 第1壁面、11b 第2壁面、11c 凹部、12油供給孔、13 開口、14センター穴、15ガイドパッド部、100チップユニット、110チップ、110dダイヤモンド部、110gグラファイト層、111すくい面、112,114,118逃げ面、113 前切刃、115 外周切刃、116マージン、117 食付き切刃、119 切刃角部、120台座。

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