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技術 砥粒付工具、砥粒付工具の製造方法及び砥粒固着方法

出願人 石川県学校法人金沢工業大学株式会社村谷機械製作所
発明者 舟田義則諏訪部仁能和功左今佑牧野嶋和貴
出願日 2018年9月7日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-167864
公開日 2020年3月19日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-040138
状態 未査定
技術分野 穴あけ工具 研磨体及び研磨工具 フライス加工 バイト、中ぐり工具、ホルダ及びタレット
主要キーワード ニッケル鍍金層 溶融箇所 固着箇所 電動カッター 溶融位置 ステンレス鋼素材 ニッケルコーティング 滑り止めシート
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図面 (20)

課題

ニッケルメッキ等の第3の材料を追加することなく台金砥粒を確実に固着し、さらに粒度や種類の異なる砥粒を様々な配置構成砥粒面に配置可能な砥粒付工具、砥粒付工具の製造方法および砥粒固着方法を提供すること。

解決手段

台金1の表面に砥粒2が固着された砥粒付工具100において、前記台金1の表面に接着剤、ニッケルメッキ、鉄粉またはガラス質等からなる結合材を介さずに前記砥粒2が埋め込まれていることを特徴とする。また前記砥粒2は、前記台金1の表面の溶融した箇所Tに一部埋め込まれていることを特徴とする。

概要

背景

従来、ダイヤモンドやCBN等の硬質砥粒を用いた工具は、砥粒や砥粒を含む砥粒層を金属製の台金に固着することで形成される。その際に台金と砥粒および砥粒層との固着手段として、電着法焼結法接着剤を用いた接着法またはろう付け法などが用いられている。

電着法とは、砥粒を混合分散したニッケルメッキ液中に台金を浸漬し、台金表面電圧印加することで台金表面に砥粒を付着し、膜を形成する技術である。
また焼結法とは、砥粒とフェノール樹脂ニッケルを主成分とした結合材を混合し、金型に台金と結合材を充填して所定の温度で焼成することで、台金の表面に砥粒を固着する技術である。
そして接着法とは、台金に接着剤を塗布して砥粒を塗布する技術であり、ろう付け法とは、合金等を主成分とするろう材をその融点以上に加熱することでろう材を溶融させて砥粒を固着する技術である。

また砥粒付工具は様々な分野で利用されており、現在は頭蓋骨等の骨を切断するための医療用鋸として使用されることや、歯を削るための切削器具として使用される等、体内において使用されることが多くなってきた。

特許文献1は、切削工具に関するものであり、台金の砥面となる表面にニッケルコーティング層が蒸着法により形成され、ニッケルコーティング層2の上には、従来の電着法で形成されるニッケル鍍金層3により超硬砥粒としてのCBN砥粒4が付着され、砥粒層5が形成されている技術が開示されている(第2頁左下欄第12行目〜第20行目)。

特許文献2は、切断用砥石に関するものであり、台金の外周縁部に超砥粒セグメントチップ超砥粒層)を有する。外周縁部に超砥粒セグメントチップを設ける方法としては特に制限はなく、例えば、超砥粒と結合材の混合物を金型を用いて台金の外周縁部に圧縮して仮成形し、さらに焼結炉を用いて加熱することにより超砥粒セグメントチップを形成する方法が開示されている(段落0008)。

特許文献3は、金属基材上にダイヤモンドを結合する方法に関するものであり、結合材を使用して金属基板表面にダイヤモンド結晶とろう付け用合金の粒子を付着させて組立てたものを造る工程と、該組合せを加熱してろう付け用合金を溶融する工程と、該組合せを冷却して該ろう付け用合金を固化させダイヤモンドを基板に結合する工程よりなり、該ろう付け用合金はニッケルおよびコバルトより成る群からえらんだ一種または二種以上の金属を含有していることが開示されている(請求項2)。

特許文献4は、歯科用切削器具に関するものであり、ハンドピース12と、これに差し込まれて使用される切削用切削端を含むバー(ダイヤモンドポイント)14とから構成され、バー14はその先端(切削端)の刃部の表面に、ダイヤモンドの砥粒がコーティングされており、硬い歯を削ることができる技術が開示されている(段落0010−0012)。

特許文献5は、医療用鋸に関するものであり、線条体11と、この線条体11の中間に形成された切削部12と、切削部12の両側の補助切削部13,13とから構成され、切削部12は、砥粒を固着した部分12aと固着しない部分12bとが交互に設けられた構成となっている。砥粒としては、特に限定されないが、ダイヤモンドやCBN砥粒などの硬いものが望ましく、実施例では、ステンレス鋼素材の線条体11の表面に、一般医用具で使用されているニッケル溶着を用いてダイヤモンドの砥粒が固着されていることが開示されている(段落0013−0017)。

概要

ニッケルメッキ等の第3の材料を追加することなく台金に砥粒を確実に固着し、さらに粒度や種類の異なる砥粒を様々な配置構成砥粒面に配置可能な砥粒付工具、砥粒付工具の製造方法および砥粒固着方法を提供すること。 台金1の表面に砥粒2が固着された砥粒付工具100において、前記台金1の表面に接着剤、ニッケルメッキ、鉄粉またはガラス質等からなる結合材を介さずに前記砥粒2が埋め込まれていることを特徴とする。また前記砥粒2は、前記台金1の表面の溶融した箇所Tに一部埋め込まれていることを特徴とする。

目的

そこで本発明はこれらの課題を鑑み、人体に安全でかつ耐摩耗性が高い砥粒付工具、砥粒付工具の製造方法及び砥粒固着方法を提供するものである。
また本発明は、自由かつ簡単に砥粒面に配置する砥粒の種類および砥粒の配置を変更することが可能な砥粒付工具の製造方法および砥粒固着方法を提供するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

台金の表面に砥粒が固着された砥粒付工具において、前記台金の表面に接着剤ニッケルメッキ鉄粉またはガラス質等からなる結合材を介さずに前記砥粒が埋め込まれていることを特徴とする砥粒付工具。

請求項2

前記砥粒は、前記台金の表面の溶融した箇所に一部が埋め込まれていることを特徴とする請求項1記載の砥粒付工具。

請求項3

前記砥粒は、前記台金の表面にパターン状に配列されて一部が埋め込まれていることを特徴とする請求項1または2記載の砥粒付工具。

請求項4

前記砥粒は、前記台金の角部に固着され、前記台金の角部を形成する二つの平面から突出して設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の砥粒付工具。

請求項5

前記台金の表面には、粒径の異なる前記砥粒が埋め込まれていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の砥粒付工具。

請求項6

前記台金は、金属または合成樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の砥粒付工具。

請求項7

前記砥粒は、ダイヤモンドアルミナまたはCBNから形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の砥粒付工具。

請求項8

前記砥粒付工具は、研磨工具切削工具刃先交換型チップまたは滑り止め部材として使用されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の砥粒付工具。

請求項9

台金の表面に砥粒が固着された砥粒付工具の製造方法において、高エネルギー線照射して前記台金を溶融する溶融工程と、前記台金の溶融した箇所に前記砥粒を落下もしくは噴射することにより前記砥粒を前記台金の表面に埋め込む固着工程を備えることを特徴とする砥粒付工具の製造方法。

請求項10

前記溶融工程は、前記高エネルギー線をパルス状に照射することにより前記台金の表面をパターン状に溶融することを特徴とする請求項9記載の砥粒付工具の製造方法。

請求項11

前記溶融工程において前記高エネルギー線の波形矩形波三角波または台形波とすることを特徴とする請求項9または10記載の砥粒付工具の製造方法。

請求項12

前記固着工程は、粒径の異なる前記砥粒を噴射することにより前記台金の表面に粒径の異なる前記砥粒を埋め込むことを特徴する請求項9から11のいずれか一項記載の砥粒付工具の製造方法。

請求項13

台金の表面に砥粒を固着する砥粒固着方法において、高エネルギー線を照射して前記台金を溶融する溶融工程と、前記台金の溶融した箇所に前記砥粒を落下もしくは噴射することにより前記砥粒を前記台金の表面に埋め込む固着工程を備えることを特徴とする砥粒固着方法。

技術分野

0001

本発明は、台金の表面に砥粒が固着された砥粒付工具、砥粒付工具の製造方法及び砥粒固着方法に関する。

背景技術

0002

従来、ダイヤモンドやCBN等の硬質の砥粒を用いた工具は、砥粒や砥粒を含む砥粒層を金属製の台金に固着することで形成される。その際に台金と砥粒および砥粒層との固着手段として、電着法焼結法接着剤を用いた接着法またはろう付け法などが用いられている。

0003

電着法とは、砥粒を混合分散したニッケルメッキ液中に台金を浸漬し、台金表面電圧印加することで台金表面に砥粒を付着し、膜を形成する技術である。
また焼結法とは、砥粒とフェノール樹脂ニッケルを主成分とした結合材を混合し、金型に台金と結合材を充填して所定の温度で焼成することで、台金の表面に砥粒を固着する技術である。
そして接着法とは、台金に接着剤を塗布して砥粒を塗布する技術であり、ろう付け法とは、合金等を主成分とするろう材をその融点以上に加熱することでろう材を溶融させて砥粒を固着する技術である。

0004

また砥粒付工具は様々な分野で利用されており、現在は頭蓋骨等の骨を切断するための医療用鋸として使用されることや、歯を削るための切削器具として使用される等、体内において使用されることが多くなってきた。

0005

特許文献1は、切削工具に関するものであり、台金の砥面となる表面にニッケルコーティング層が蒸着法により形成され、ニッケルコーティング層2の上には、従来の電着法で形成されるニッケル鍍金層3により超硬砥粒としてのCBN砥粒4が付着され、砥粒層5が形成されている技術が開示されている(第2頁左下欄第12行目〜第20行目)。

0006

特許文献2は、切断用砥石に関するものであり、台金の外周縁部に超砥粒セグメントチップ超砥粒層)を有する。外周縁部に超砥粒セグメントチップを設ける方法としては特に制限はなく、例えば、超砥粒と結合材の混合物を金型を用いて台金の外周縁部に圧縮して仮成形し、さらに焼結炉を用いて加熱することにより超砥粒セグメントチップを形成する方法が開示されている(段落0008)。

0007

特許文献3は、金属基材上にダイヤモンドを結合する方法に関するものであり、結合材を使用して金属基板表面にダイヤモンド結晶とろう付け用合金の粒子を付着させて組立てたものを造る工程と、該組合せを加熱してろう付け用合金を溶融する工程と、該組合せを冷却して該ろう付け用合金を固化させダイヤモンドを基板に結合する工程よりなり、該ろう付け用合金はニッケルおよびコバルトより成る群からえらんだ一種または二種以上の金属を含有していることが開示されている(請求項2)。

0008

特許文献4は、歯科用切削器具に関するものであり、ハンドピース12と、これに差し込まれて使用される切削用切削端を含むバー(ダイヤモンドポイント)14とから構成され、バー14はその先端(切削端)の刃部の表面に、ダイヤモンドの砥粒がコーティングされており、硬い歯を削ることができる技術が開示されている(段落0010−0012)。

0009

特許文献5は、医療用鋸に関するものであり、線条体11と、この線条体11の中間に形成された切削部12と、切削部12の両側の補助切削部13,13とから構成され、切削部12は、砥粒を固着した部分12aと固着しない部分12bとが交互に設けられた構成となっている。砥粒としては、特に限定されないが、ダイヤモンドやCBN砥粒などの硬いものが望ましく、実施例では、ステンレス鋼素材の線条体11の表面に、一般医用具で使用されているニッケル溶着を用いてダイヤモンドの砥粒が固着されていることが開示されている(段落0013−0017)。

先行技術

0010

特開昭63−139670号公報
特開2001−212768号公報
特開昭50−039661号公報
特開2009−160324号公報
特開2006−314367号公報

発明が解決しようとする課題

0011

従来技術で行われていた台金と砥粒との固着方法は主に(1)体内に使用した場合の安全面の問題、(2)台金と砥粒の固着力の問題、(3)砥粒の配置の自由度の低さ、という3つの課題が存在する。

0012

(1)体内に使用した場合の安全面の問題
電着法に使用されるニッケルメッキ液、焼結法で用いられる結合材、ろう付け法で使用されるろう材および接着法にて用いられる接着剤には一般的にニッケルが使用されている(特許文献1−3)。
重金属類に属するニッケルは、従来から金属光沢展性延性、高い電気および熱伝導性、錆びにくい等の優位な特性から電解メッキ試薬金属表面処理剤、各種触媒原料窯業顔料、うわ薬などに広く使用されてきた。
しかしながらニッケルは人体に悪影響を及ぼす有害性のある物質であり、人体に取り込まれると発がん皮膚炎遺伝子障害等様々な健康被害を引き起こしてしまう。
よって体内で使用する医療用鋸や歯の切削器具の材質は、ニッケル等の重金属が使用されていないものを使うことが大変重要である。

0013

しかしながら、一般的な電着法や焼結法等により医療用工具に砥粒を固定した場合、ニッケルが含有されている結合材等を使用して砥粒を固着するため、医療用工具の人体に接触する切削面にニッケルが使用されてしまう(特許文献5)。このような工具を使用して体内の骨や歯の切削を行うと、切削の衝撃により研磨面のニッケルが剥がれ、体内に有害物質が取り込まれてしまうという問題が発生した。

0014

(2)台金と砥粒の固着力の問題
ろう材や接着剤等の結合材を使用して台金に砥粒を固着する方法では、砥粒を台金に固着する際に第3の材料である結合材を介して固定するため、台金と砥粒の結合力が結合材の強度に依存する。
結合材の種類によっては砥粒と台金の固着力が弱くなってしまい、工具を使用している間に砥粒が脱落したり結合材が台金から剥がれ落ちてしまうという問題が発生した。

0015

(2)砥粒の配置の自由度の低さ
従来、電着法、焼結法、接着剤を用いた接着法またはろう付け法等の砥粒の固着方法は、砥粒面に同じ種類の砥粒を分散して付着することは可能であるが、砥粒の種類を変更することや砥粒の配置に特徴をもたせることは大変困難であった。
例えば電着法においては、砥粒を混合したニッケルメッキ液中に台金を浸漬し台金に砥粒の膜を形成する方法であるため、砥粒面に砥粒を分散して配置することは可能であるものの、砥粒を規則的に配置することや砥粒の種類によって配置箇所を変更する等、様々な砥粒を自由に砥粒面に配置することは不可能である。
しかしながら、従来から切削工具等の砥粒付工具を使用して切削等の加工作業を行うと、切削によって発生した切り屑が砥粒と砥粒の間に詰まってしまい目詰まりを起こすといった問題が発生している。このような問題を解決するために、砥粒と砥粒の間隔を広くすることで目詰まりを解消する等、砥粒の配置を目的によって自由に変更したいという要望があった。

0016

そこで本発明はこれらの課題を鑑み、人体に安全でかつ耐摩耗性が高い砥粒付工具、砥粒付工具の製造方法及び砥粒固着方法を提供するものである。
また本発明は、自由かつ簡単に砥粒面に配置する砥粒の種類および砥粒の配置を変更することが可能な砥粒付工具の製造方法および砥粒固着方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

0017

本発明は台金の表面に砥粒が固着された砥粒付工具において、前記台金の表面に接着剤、ニッケルメッキ鉄粉またはガラス質等からなる結合材を介さずに前記砥粒が埋め込まれていることを特徴とする。
また本発明の砥粒付工具は、前記砥粒が前記台金の表面の溶融した箇所に一部が埋め込まれていることを特徴とする。
ここで結合材とは、台金と砥粒を結合・接着する材料でかつ台金および砥粒とは異なる第3の材料をさす。結合材としては、合成樹脂やガラス質、金属(鉄粉を含む)等の材料が用いられ、具体的には電着法で使用するニッケルメッキ液や焼結法で使用されるフェノール樹脂等の結合材料、ろう材や接着剤等が含まれる。
本発明の砥粒付工具の砥粒面は、レーザー光等の高エネルギー線照射することで台金が溶融され、溶融箇所に砥粒が配されることにより砥粒面に砥粒が一部埋め込まれた状態で台金が固化される。このように結合材を使用せずに砥粒が台金に強固に固着されているため、結合材の固着力の弱さから砥粒が脱落したり結合材が剥がれ落ちる等の問題を解消することが可能で、砥粒面の耐摩耗性が向上した砥粒付工具を提供することが可能となる。
また結合材を介さずに砥粒が台金に埋め込まれているため、例えば体内の骨や歯を切削する目的で砥粒付工具を使用する場合であっても、有害性の物質を体内に取り込む等の健康上の問題を最小限に抑えることが可能となる。

0018

本発明は台金の表面に砥粒が固着された砥粒付工具の製造方法において、高エネルギー線を照射して前記台金を溶融する溶融工程と、前記台金の溶融した箇所に前記砥粒を落下もしくは噴射することにより前記砥粒を前記台金の表面に埋め込む固着工程を備えることを特徴とする。
また本発明は台金の表面に砥粒を固着する砥粒固着方法において、高エネルギー線を照射して前記台金を溶融する溶融工程と、前記台金の溶融した箇所に前記砥粒を落下もしくは噴射することにより前記砥粒を前記台金の表面に埋め込む固着工程を備えることを特徴とする。
ここで、高エネルギー線とは、台金に照射することにより台金を溶融可能な高いエネルギーをもつ線であり、例えば電子ビームやレーザー光、アークプラズマ等を含むことができる。
本発明の砥粒付工具の製造方法および砥粒固着方法においては、高エネルギー線を照射することで台金が溶融され、溶融箇所に砥粒が配されることにより砥粒面に砥粒が一部埋め込まれた状態で台金が固化される。高エネルギー線の照射位置を変更することで砥粒面のうち台金に固着する砥粒の位置を変更可能で、また高エネルギー線の照射サイズを変更することでひとつの溶融箇所に対して配置する砥粒の数を変更することも可能である。さらに粒度が大きい砥粒に対しては確実に台金に固着するために焦点深度を深くすることや、粒度が小さい砥粒に対しては砥粒の突き出し量をなるべく大きくするために焦点深度を浅くすることができる。
このように砥粒付工具の用途や目的によって高エネルギー線の照射条件を変更し、砥粒の配置デザインや砥粒の突き出し量、ひとつの溶融箇所に対する砥粒の量や固着した際の砥粒のつき方等を自由に調整することが可能で、自由度の高い砥粒付工具の製造方法および砥粒固着方法を提供することが可能となる。

0019

本発明の砥粒付工具は、前記砥粒が前記台金の表面にパターン状に配列されて一部が埋め込まれていることを特徴とする。
また本発明の砥粒付工具の製造方法において、前記溶融工程は前記高エネルギー線をパルス状に照射することにより前記台金の表面をパターン状に溶融することを特徴とする。
さらに本発明の砥粒付工具は、前記台金の表面に粒径の異なる前記砥粒が埋め込まれていることを特徴とする。
そして本発明の砥粒付工具の製造方法は、前記固着工程が粒径の異なる前記砥粒を噴射することにより前記台金の表面に粒径の異なる前記砥粒を埋め込むことを特徴する。
ここでパターン状とは、規則的な配置のことであり、例えば格子状、ブロック状、ストライプ状、波状、面状等、一定の配置が繰り返されていることをいう。
本発明によれば、高エネルギー線の照射条件を変更することで砥粒面に砥粒を例えば格子状、ブロック状、ストライプ状、波状、面状等のパターン状に配置することが可能であるため、例えば砥粒と砥粒の間を広くすることで砥粒と砥粒の間を切粉や切り屑の排出路として使用することが可能であるし、砥粒を面状に配置し砥粒が固着された領域と砥粒が固着されていない領域を設けることで、加工する領域と切り屑を排出する領域を設けることができる。このように目詰まりの発生を最小限にすることが可能となる。
さらに本発明によれば、粒径の異なる砥粒を埋め込むことが可能であるため、例えば最初に被加工面に接触する先端側には粒度の大きい砥粒を配置して切削効率を上げ、その後被加工面に接触する砥粒面には粒度の小さい砥粒を配置して綺麗な仕上げ面を形成する等、砥粒面の位置によって粒度の異なる砥粒を配置することで、適切な切り口を形成することができる。

0020

本発明の砥粒付工具は、前記砥粒が前記台金の角部に固着され、前記台金の角部を形成する二つの平面から突出して設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、高エネルギー線の照射位置を台金の角部にすることで、砥粒を角部に固着することが可能である。
例えば円筒状の台金である場合、台金の角部に砥粒を固着すると、角部を形成する二つの平面である正面と側面両方に突出して砥粒が固着される。このように二つの平面に突出して設けられた砥粒は、被加工物穿孔する場合、最初に被加工面に接触する台金の正面で切削を行い穿孔が進むと側面でも切削することが可能であるため、切削効率を大幅に向上することが可能となる。

0021

本発明の砥粒付工具は、前記台金が金属または合成樹脂から形成されていることを特徴とする。
また本発明の砥粒付工具は、前記砥粒がダイヤモンド、アルミナまたはCBNから形成されていることを特徴とする。
台金の材質は、高エネルギー線で溶接できるものであれば特に限定はされないが、重金属類のうち有害性のあるニッケル等の物質に関しては、砥粒付工具が歯科用治療機器やダイヤモンドティーソー等の体内に使用される工具である場合には使用しない。
また砥粒の材質であるが、被加工物よりも硬度が高いものであれば特に限定はされず被加工物の種類によって適宜選択されるが、例えばダイヤモンドやCBN(立方晶窒化ホウ素)の超砥粒や炭化ケイ素酸化クロム酸化鉄酸化セリウムジルコニアシリカ、アルミナ等の一般砥粒が選択できる。体内の骨や歯を切削する用途として砥粒付工具を使用する場合はダイヤモンドやCBNが好ましい。

0022

本発明の砥粒付工具は、研磨工具、切削工具、刃先交換型チップまたは滑り止め部材として使用されることを特徴とする。
本発明によれば、砥粒を用いた工具、例えば研磨工具、切削工具、刃先交換型チップまたは滑り止め部材として好適に砥粒付工具を使用することが可能であり、用途や目的によって使用する砥粒の種類や砥粒面の砥粒の配置を変更して適宜使用することが可能である。
砥粒付工具はフライス加工用刃先交換型チップ、旋削用刃交換型チップ、歯科用治療機器等で用いられる高速切削工具の刃先交換型チップ等の電動工具の一部品として使用されるものであってもよいし、ドリルエンドミルメタルソー、ダイヤモンドティーソー、歯科用治療機器等で用いられる高速切削工具、骨を切除するための電動カッター等の手術用器具グラインダーや金属やすり等の研磨工具、滑り止めシート等の工具として使用されるものであってもよい。

0023

本発明の砥粒付工具の製造方法は、前記溶融工程において前記高エネルギー線の波形矩形波三角波または台形波とすることを特徴とする。
本発明によれば、照射条件である高エネルギー線の出力波形を調整することで、熱による砥粒の破損や結晶構造の変化を防ぐことが可能となり、さらに台金を適切に溶融し、台金の溶融時間を調整することが可能となる。
具体的には、波形を矩形波にすると台金を十分に加熱溶融することが可能となり、また波形を三角波や台形波とすると、パルスの先端部または/および後端部の傾斜により砥粒の急激な加熱を防ぎ、砥粒の破損や黒鉛化を防ぐこと可能となる。

発明の効果

0024

本発明によれば、砥粒付工具は結合材を使用せずに砥粒が台金に強固に固着されているため、砥粒と台金の固着力が大きく、耐摩耗性が向上した砥粒付工具を提供することが可能となる。
また本発明によれば、結合材を介さずに砥粒が台金に埋め込まれているため、例えば体内の骨や歯を切削する目的で砥粒付工具を使用する場合であっても、有害性の物質を体内に取り込む等の健康上の問題を最小限に抑えることが可能となる。
さらに本発明によれば、砥粒付工具の用途や目的によって高エネルギー線の照射条件を変更し、砥粒の配置デザインや砥粒の突き出し量、ひとつの溶融箇所に対する砥粒の量や固着した際の砥粒のつき方等を自由に調整することが可能であり、自由度の高い砥粒付工具の製造方法および砥粒固着方法を提供することが可能となる。

図面の簡単な説明

0025

本発明を適用した実施形態の砥粒付工具100の表面10を拡大して示す断面図である。
本発明の砥粒付工具100を製造するために使用するレーザー照射装置30と砥粒噴射装置20を示す模式図である。
本発明の砥粒付工具100を製造するために使用するレーザー照射装置30と砥粒噴射装置20を示す模式図(その他の例)である。
上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法を示すフロー図である。
上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における台金溶融工程と砥粒固着工程を示す模式図である。
上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における移動工程を示す模式図である。
上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における移動工程後の台金溶融工程と砥粒固着工程を示す模式図である。
上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における台金溶融工程と砥粒固着工程を示す模式図(砥粒を落下する場合)である。
上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における台金溶融工程と砥粒固着工程を示す模式図(ひとつの溶融箇所に複数の砥粒を固着する場合)である。
上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における台金溶融工程と砥粒固着工程を示す模式図(角部に砥粒を固着する場合)である。
上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における台金溶融工程と砥粒固着工程を示す模式図(事前に砥粒を散布した場合)である。
本発明を適用した実施形態の砥粒付工具100の一例である刃先交換型チップ(円筒型)を示す模式図である。
上記実施形態の砥粒付工具100のA拡大図である。
上記実施形態の砥粒付工具100のA拡大図(その他の例1)である。
上記実施形態の砥粒付工具100のA拡大図(その他の例2)である。
上記実施形態の砥粒付工具100のA拡大図(その他の例3)である。
上記実施形態の砥粒付工具100のA拡大図(その他の例4)である。
上記実施形態の砥粒付工具100の一例である刃先交換型チップ(ドリル型)を示す模式図である。
上記実施形態の砥粒付工具100のB拡大図である。
実験例1で製造した砥粒付工具を示す写真である。
実験例1の砥粒付工具を使用して加工したガラス板を示す写真である。
実験例1の砥粒付工具の砥粒面を拡大した写真である。
実験例1の砥粒付工具の砥粒面を拡大した写真(溶融箇所に複数の砥粒が付着した態様)である。
上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法を示すフロー図(その他の例)である。
レーザー光の出力波形の具体例1を示すグラフである。
レーザー光の出力波形の具体例2を示すグラフである。
レーザー光の出力波形の具体例3を示すグラフである。

0026

以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。

0027

(砥粒付工具100)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態の砥粒付工具100の表面10を拡大して示す断面図であり、図12は、本発明を適用した第1の実施形態の砥粒付工具100の一例である刃先交換型チップ(円筒型)を示す模式図である。図18は、上記実施形態の砥粒付工具100の一例である刃先交換型チップ(ドリル型)を示す模式図である。
本実施形態の砥粒付工具100は、金属等の台金の表面に砥粒を強固に固着して製造された工具であり、台金1と、台金1の砥粒面10に固着された砥粒2から形成される。
砥粒付工具100は、フライス加工用刃先交換型チップ、旋削用刃先交換型チップ、歯科用治療機器等で用いられる高速切削工具の刃先交換型チップ等の電動工具の一部品として使用されるものであってもよいし、ドリル、エンドミル、メタルソー、ダイヤモンドティーソー、歯科用治療機器等で用いられる高速切削工具、骨を切除するための電動カッター等の手術用器具、グラインダーや金属やすり等の研磨工具、滑り止めシート等の工具として使用されるものであってもよい。

0028

台金1は、砥粒20が固着されるための台金として用いられるものであって、金属、アルミ合金プラスチックセラミックまたは炭素繊維等から形成されている。台金1の材質は、高エネルギー線で溶接できるものであれば特に限定はされないが、重金属類のうち有害性のあるニッケル等の物質に関しては、砥粒付工具100が歯科用治療機器やダイヤモンドティーソー等の体内に使用される工具である場合には使用しない。
台金1の形状は適用する砥粒付工具100により適宜選択可能で、例えば砥粒付工具100が刃先交換型チップである場合は、一端の砥粒面10の断面が円筒状で他端には工具の回転軸に取り付けるための取付部が備えられている形状(図12)や砥粒面10に複数の刃が螺旋状に設けられた形状(図18)が選択でき、さらにワイヤー状、円筒状、棒状、板状、円盤状等が使用できる。台金1は溝がある形状でも構わない。

0029

図13は、上記実施形態の砥粒付工具100のA拡大図であり、図14は、上記実施形態の砥粒付工具100のA拡大図(その他の例1)である。図15は、上記実施形態の砥粒付工具100のA拡大図(その他の例2)であり、図19は、上記実施形態の砥粒付工具100のB拡大図である。図16は、上記実施形態の砥粒付工具100のA拡大図(その他の例3)であり、図17は、上記実施形態の砥粒付工具100のA拡大図(その他の例4)である。
砥粒面10は砥粒付工具100を使用して加工作業を行う際に被加工物に接触させる面であり、砥粒2が固着されている。高エネルギー線を台金1の砥粒面10に照射することで台金1を溶融し、台金1の溶融した箇所に砥粒2を噴射することにより砥粒2を砥粒面10の表面に埋め込んで固着する。

0030

また砥粒面10には、砥粒2がパターン状に配列されて埋め込まれている(図13図14図17)。
砥粒付工具100を使用して被加工物を切削すると、被加工物の切粉が発生し砥粒面10に付着する。この切粉は砥粒2と砥粒2の間の隙間に詰まって切削能力を著しく低下させる。よって切粉が隙間に詰まらないように砥粒2の間隔を広くする必要があるが、間隔が広すぎると砥粒面10に固着された砥粒2の量が少なくなるため切削能力が落ちてしまう。このように、砥粒2の配置は切削能力を決定する大切な要素であり、砥粒面10に砥粒2をパターン状に配列することによって砥粒面10上に切削する箇所11と切粉を逃がす箇所12ができ、隙間に詰まることなく適切に切粉を外部に排出することができる。

0031

また異なる粒度の砥粒2を砥粒面10に固着してもよい(図14図19)。粒度(粒径)の大きい砥粒を使用すると砥粒面から砥粒が突き出る量が大きく砥粒一粒当たりの切込量が大きくなり、バリ取りキズ取り、切断、穿孔等の切削作業に向いているが、チッピングが出やすく、被加工面の状態が粗くなってしまう。一方、粒度(粒径)の小さい砥粒を使用すると、砥粒の突き出し量が小さく砥粒一粒当たりの切込量が小さいため、寸法精度や仕上げ面粗さが要求される研削作業に向いており、チッピングが出にくい傾向にある。
例えば外科手術の際に頭蓋骨を穿孔する場合、穿孔して外科手術を施した後に、穿孔した孔を塞ぐ必要がある。穿孔時に切り離した頭蓋骨の一部を蓋をするように再度孔にはめ込み、骨用の接着剤等で固定する。このような場合、頭蓋骨の切り口の状態が粗かったり、切り離した頭蓋骨の一部が破損していると、適切に孔を塞ぐことができない。
よって、砥粒面10のうち、最初に被加工面に接触する先端側には粒度の大きい砥粒21を配置して切削効率を上げ、その後被加工面に接触する砥粒面10には粒度の小さい砥粒22を配置して綺麗な仕上げ面を形成する等、砥粒面10の位置によって粒度の異なる砥粒2を配置することで、適切な切り口を形成することができる。

0032

また、先端側には砥粒2を粗く配置し、その後の被加工面に接触する砥粒面10には砥粒2を密に配置してもよく(図16)、さらに砥粒面10に砥粒2を面状に配置する箇所10bと配置しない箇所10aを設けてもよい(図17)。

0033

砥粒2の種類は、被加工物よりも硬度が高いものであれば特に限定はされず被加工物の種類によって適宜選択される。例えばダイヤモンドやCBN(立方晶窒化ホウ素)の超砥粒や炭化ケイ素、酸化クロム、酸化鉄、酸化セリウム、ジルコニア、シリカ、アルミナ等の一般砥粒が選択できる。体内の骨や歯を切削する用途として砥粒付工具100を使用する場合はダイヤモンドやCBNが好ましい。
また砥粒2の粒度は、粒度が細かいほど砥粒2の寿命が長いが切削能力が落ち、逆に粒度が粗いほど切削能力が上がるが寿命が短くなる。よって被加工物の種類や切削効率、作業内容によって適宜選択する。

0034

(砥粒付工具100の製造方法の装置構成
図2は、本発明の砥粒付工具100を製造するために使用するレーザー照射装置30と砥粒噴射装置20を示す模式図であり、図3は、本発明の砥粒付工具100を製造するために使用するレーザー照射装置30と砥粒噴射装置20を示す模式図(その他の例)である。
本実施形態の砥粒付工具100の製造方法においては、レーザー照射装置30と砥粒噴射装置20を用いて台金1を溶融し砥粒2を溶融箇所Tに噴射することで砥粒面10に砥粒を固着し砥粒付工具100を製造するものである。本実施形態では高エネルギー線のうちレーザー光を使用して台金を溶融する具体例に関して説明を行う。

0035

レーザー照射装置30は、台金1を溶融させる程度のエネルギーをもつレーザー光を照射可能な装置であればよく既知のレーザー照射装置を使用することができる。以下にレーザー照射装置30の一例を示す。
レーザー照射装置30は、光源11とレーザー光線を砥粒面10に集光する照射光学系12とステージ13と制御部14と操作部15を主に備える。
レーザー照射装置30は台金1の真上からレーザー光を照射してもよいし(図2)、台金1の斜め上方から照射してもよい(図3)。
光源11は、レーザー光線を出射するものであり、光源1の種類としては特に限定されるものではなく、例えば半導体レーザーファイバーレーザー等が挙げられる。
光源11のレーザー光線の発振手段としては、パルス発振を採用することが好ましい。パルス発振とすることで、高いピークパワーを有するレーザーパルスを得ることができ、台金1の溶融する箇所以外に対する熱の影響を最小限にすることが可能で、より効率的な溶融が可能となる。
光源11はレーザー光をパルス状に照射してもよいし連続的に照射してもよい。

0036

照射光学系12は、光源11から出射されるレーザー光線を砥粒面10に導光するものであり、この照射光学系12は、波長板ミラーレンズ等の既知のものが使用可能である。

0037

ステージ13は、照射光学系12に対する砥粒面10の位置を変更する載置台である。ステージ13に台金1を載置しステージ13を照射光学系12の光軸方向に移動することで台金1の溶融位置の焦点深度を調整することができ、またステージ13を照射光学系12の光軸方向と垂直な面に水平に移動させることで、台金1に複数の溶融箇所を形成することができる。
例えば、粒度が大きい砥粒2に対しては確実に台金1に固着するために焦点深度を深くすることや、粒度が小さい砥粒2に対しては砥粒2の突き出し量をなるべく大きくするために焦点深度を浅くすることができる。
ここで、照射光学系12を固定しステージ13を移動することにより、照射光学系12に対する砥粒面10の位置を変更していたが、ステージ13を固定し照射光学系12を移動することにより照射位置を変更してもよいし、ステージ13と照射光学系12をともに移動してもよい。
ステージ13には台金1が溶融しやすいように事前に台金1を予熱する予熱装置が設けられていてもよい。

0038

制御部14は、照射条件によりレーザー光の照射制御およびステージ13の移動制御を行う。

0039

操作部15は、照射条件(レーザー光の波形、レーザー光の光強度、照射時間、照射サイズ、焦点深度、照射位置等)をレーザー照射装置30に対して設定するものである。

0040

砥粒噴射装置20は、台金1の溶融箇所Tに対して砥粒2を噴射する装置であって、砥粒2を所望の位置へ噴射できる装置であれは既知のものを使用できる。以下に砥粒噴射装置20の一例を示す。
砥粒噴射装置20は、砥粒供給装置22と供給ノズル21と操作部23から構成される。
砥粒供給装置22は供給ノズル21に砥粒2を供給する装置であり、砥粒を格納する格納容器と、砥粒の噴射タイミング、噴射量、噴射スピード等を制御するための制御部等を備える。
供給ノズル21は、砥粒供給装置22から送られた砥粒2を内部から砥粒面10の溶融箇所Tに噴射するものである。
操作部23は、砥粒の噴射タイミング等の砥粒2を噴射するために必要な噴射条件の設定を行うものである。

0041

砥粒噴射装置20は上述のように供給ノズル21から砥粒2を噴射する構成のもの(図2)だけでなく、供給ノズルから砥粒2を単に落下させるもの(図3)が利用できる。その場合は、砥粒の噴射タイミング、噴射スピード等の制御は不要である。

0042

(レーザー光の出力波形)
図25は、レーザー光の出力波形の具体例1を示すグラフであり、図26は、レーザー光の出力波形の具体例2を示すグラフである。図27は、レーザー光の出力波形の具体例3を示すグラフである。
本発明においては、照射条件であるレーザー光の出力波形を調整することで、熱による砥粒2の破損や砥粒2の結晶構造の変化を防ぐことが可能である。
具体的には、レーザーパルス波形を矩形波(図25)にすると、台金1に対してパワーが大きいレーザー光を照射するため台金1を十分に加熱溶融することが可能である。またレーザーのパルス波形を三角波(図26)にすると、パルスの幅が長くなりかつパルスの後端部の傾きが緩やかになるため、高出力のパルスレーザーの照射によるダイヤモンドの砥粒2の黒鉛化を防ぐことが可能であり、さらにパルスの幅が長いことにより台金1が溶融している状態を長く保つことが可能で、多くの砥粒2を台金1に固着することが可能となる。
そしてレーザーのパルス波形をパルスの先端部および後端部に傾きを設けた台形波(図27)にすると、台金1に対してパワーが大きいレーザー光を照射するため台金1を十分に加熱溶融することが可能であるうえ、パルスの先端部および後端部の傾斜により砥粒2の急激な加熱を防ぎ、砥粒2が破損したり結晶構造が変化する等の問題を防ぐこと可能となる。
レーザーのパルス幅やピークパワーおよび照射時間は台金1および砥粒2の種類や砥粒2の配置方法によって適宜調整可能である。

0043

ここで、台金1を溶融するために高エネルギー線を照射する装置としてレーザー照射装置30を例に挙げたが、電子ビームを照射して溶融する電子ビーム溶融装置アーク放電により溶融するプラズマ装置を使用することが可能である。

0044

(砥粒付工具100の製造方法)
図4は、上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法を示すフロー図である。
図5は、上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における台金溶融工程と砥粒固着工程を示す模式図であり、図6は、上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における移動工程を示す模式図である。図7は、上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における移動工程後の台金溶融工程と砥粒固着工程を示す模式図である。
砥粒付工具100の製造方法は、台金1をレーザー光Pによって溶融させ、砥粒2を溶融箇所Tに落下もしくは噴射することでニッケル等の結合材を使用せずに砥粒面10に砥粒を固着させるものであり、事前準備工程と、台金溶融工程と、砥粒固着工程と、移動工程から構成される。
まず砥粒噴射装置20に所望の粒度の砥粒2を充填する。レーザー照射装置30に照射条件(レーザー光Pのパルス波形、レーザー光Pの強度、照射時間、照射サイズ、焦点深度、照射位置等)の設定を行い、砥粒噴射装置20に噴射条件(砥粒の噴射タイミング、噴射量、噴射スピード等)の設定を行う(S101:事前準備工程)。

0045

レーザー光Pの光強度や照射時間は、台金1の種類や砥粒2の種類によって変更する。それは台金1の材料に使用される金属や合金等の溶解温度が異なるためであり、またダイヤモンドの砥粒が黒鉛化してしまう等、熱により使用する砥粒2が破損したり結晶構造が変化してしまう事態を防ぐためである。台金1の種類や砥粒2の種類によって最適な光強度を選択する。
また砥粒面10の表面にレーザー光Pを当てる際の照射サイズや焦点深度は、砥粒2の粒度や台金1の厚さによって変更する。砥粒2の粒度(粒径)が大きい場合は、照射サイズを大きく焦点深度を深くする必要があり、また砥粒2の粒度(粒径)が小さい場合は、焦点サイズを小さく焦点深度を浅くする必要がある。さらに台金1が厚い場合は焦点深度を深くすることが可能であり、より沢山の砥粒2を固着することが可能である。このように砥粒2の粒度や台金1の厚さによって焦点サイズおよび焦点深度を変更することで、砥粒2を適切に砥粒面10に埋め込むことが可能となる。
焦点深度は砥粒面10からの砥粒2の突き出し量を考慮し、決定してもよい。

0046

事前準備工程終了後、レーザー照射装置30のステージ13に砥粒がついていない台金1を載置する。レーザー照射装置30の制御部14は、事前準備工程にて設定された台金1の照射位置にレーザー光Pが照射されるように照射光学系12の光軸方向と垂直な面に水平にステージ13を移動させ、設定された焦点深度となるように照射光学系12の光軸方向にステージ13を移動させる。
そして、設定された光強度、照射時間、照射サイズでレーザー光Pを台金1の砥粒面10へ照射し、台金1を溶融する(S102:台金溶融工程)。
次に砥粒噴射装置20は、噴射条件に沿って溶融箇所Pに向けて砥粒供給装置22から送られた砥粒2を溶融箇所Tに噴射する(S103:砥粒固着工程)。砥粒2は溶融した台金1に浸された状態で溶融箇所Tに配置される(図5)。
その後、溶融箇所Tは空冷による自然冷却もしくは冷風による強制冷却がされると台金1は凝固し、砥粒2と台金1は一体化して砥粒面10に強固に固着される。
そして、次の照射位置までステージ13を移動させ(図6)(S104:移動工程)、砥粒2が砥粒面10の所望の位置に配列、固着されるまで台金溶融工程、砥粒固着工程および移動工程を繰り返すことによって砥粒付工具100が完成する。

0047

ここで、レーザー照射装置30の照射条件や砥粒噴射装置20の噴射条件は1回の台金溶融工程、砥粒固着工程ごとに変更してもよいし、砥粒供給装置22に格納された砥粒を製造工程の途中で異なる砥粒に変更することも可能である。
また、ステージ13の移動制御(照射位置の制御)は、砥粒2の配置パターンCAD図面等の情報からレーザー照射装置30に取り込み、設定することも可能である。

0048

このように、レーザー照射装置30と砥粒噴射装置20を使用することでニッケルメッキ等の第3の材料を追加することなく台金1に砥粒2を確実に固着可能であるため、材料費が大幅に削減できるうえ、さらに砥粒付工具100を体内に使用する際も有害性のある物質を体内に取り込んでしまう恐れがなく安全に使用することが可能となる。
また、レーザー光の照射条件を変更するだけで、粒度や種類の異なる砥粒2を混在して砥粒面10に配置することや砥粒面10からの砥粒2の突き出し量を変更すること、さらに砥粒2を所望の位置に配置することが可能であるため、一般的に使用する研磨工具や切削工具等だけでなく、特殊な加工作業に使用する砥粒付工具も形成することが可能である。

0049

図8は、上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における台金溶融工程と砥粒固着工程を示す模式図(砥粒を落下する場合)であり、図9は、上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における台金溶融工程と砥粒固着工程を示す模式図(ひとつの溶融箇所に複数の砥粒を固着する場合)である。図23は、実験例1の砥粒付工具の砥粒面を拡大した写真(溶融箇所に複数の砥粒が付着した態様)である。
上述の説明においては、砥粒噴射装置20により砥粒2を噴射して溶融箇所Tに砥粒2を配置していたが、砥粒2を噴射せずに重力によって落下させることにより溶融箇所Tに砥粒2を配置してもよい(図8)。この場合は、砥粒噴射装置20の噴射条件等の設定が不要となって、簡単な設備で製造することが可能となる。
またひとつの溶融箇所Tに複数の砥粒2を配置することも可能である(図9図23)。溶融箇所Tに複数の砥粒2を配置することにより、砥粒2が密に砥粒面10に配置され、また砥粒2の突き出し量が多くなるため切削能力が飛躍的に向上する。

0050

図10は、上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における台金溶融工程と砥粒固着工程を示す模式図(角部に砥粒を固着する場合)である。
砥粒2は砥粒付工具100の角部に固着することが可能である。レーザー光Pを砥粒付工具100の台金1の角部に照射して溶融することにより、砥粒付工具100の角部から突出して砥粒2を設けることができる(図10)。
例えば円筒状の台金1である場合、台金1の角部に砥粒を固着すると、角部を形成する二つの平面である正面と側面両方に突出して砥粒が固着される。このように二つの平面に突出して設けられた砥粒は、被加工物を穿孔する場合、最初に被加工面に接触する台金の正面で切削を行い穿孔が進むと側面でも切削することが可能であるため、切削効率を大幅に向上することが可能となる。

0051

図11は、上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法における台金溶融工程と砥粒固着工程を示す模式図(事前に砥粒を散布した場合)であり、図24は、上記実施形態の砥粒付工具100の製造方法を示すフロー図(その他の例)である。
上述で説明を行った砥粒付工具100の製造方法は、事前準備工程と台金溶融工程と砥粒固着工程と移動工程から構成されていたが、砥粒2をレーザー光Pを照射する前に台金1の所望の位置に事前に砥粒2を散布することも可能である。

0052

まず砥粒噴射装置20に所望の粒度の砥粒2を充填する。レーザー照射装置30に照射条件(レーザー光Pの波形、レーザー光Pの光強度、照射時間、照射サイズ、焦点深度、照射位置等)の設定を行う(S201:事前準備工程)。
次に、レーザー照射装置30のステージ13に台金1を載置し、砥粒噴射装置20により台金1上の所望の固着箇所に砥粒2を事前に散布する(S202:砥粒散布工程)。砥粒2は台金1上に台金1と固着されていない状態で配置される。
そしてレーザー照射装置30の制御部14は、事前準備工程にて設定された台金1の照射位置および事前に散布された砥粒2の配置箇所にレーザー光Pが照射されるように照射光学系12の光軸方向と垂直な面に水平にステージ13を移動させ、設定された焦点深度となるように照射光学系12の光軸方向にステージ13を移動させる。
設定された光強度、照射時間、照射サイズでレーザー光Pを台金1の砥粒面10へ照射し、砥粒2の上から台金1を溶融する(S203:台金溶融工程)。
台金1が溶融されると、溶融箇所Tに配置されている砥粒2が溶融された台金1に沈むように移動し、その後、溶融箇所Tは自然冷却もしくは強制冷却されると台金1は凝固し、砥粒2と台金1は一体化して砥粒面10に強固に固着される。
そして、次の照射位置までステージ13を移動させ(図6)(S204:移動工程)、砥粒2が砥粒面10の所望の位置に配列、固着されるまで工程を繰り返すことによって砥粒付工具100が完成する。

0053

このように台金1に固着された砥粒2は、台金1から外れた場合でも再度同じ製造工程を行うことによって固着することが可能で、簡単に砥粒付工具100の補修および再利用をすることが可能である。

0054

(実験例1)
図20は、実験例1で製造した砥粒付工具を示す写真であり、図21は、実験例1の砥粒付工具を使用して加工したガラス板を示す写真である。図22は、実験例1の砥粒付工具の砥粒面を拡大した写真であり、図23は、実験例1の砥粒付工具の砥粒面を拡大した写真(溶融箇所に複数の砥粒が付着した態様)である。
以下記載の材料および照射条件により台金Dの先端にレーザー光を照射して台金Dを溶融しダイヤモンド砥粒Uを固着することで砥粒付工具を形成した(図20)。
<台金>
金属製の中空状の台金D(外径10mm、肉厚0.5mm)
<砥粒>
平均粒径0.3mmのダイヤモンド砥粒U
<照射条件>
照射時間:10msec/1回
照射サイズ:φ0.3mm
照射強度:200W

0055

上述のごとく形成した砥粒付工具を500rpmで回転させながら板厚3.0mmのガラス板G1(図21)に0.1mm/secの速度で押し付けて、穿孔した。G2は穿孔時に切り離したガラス板の一部である。
加工されたガラス板G1および切り離したガラス板G2の切り口K1,K2はともに表面が綺麗に切削されていることが確認された。
また、砥粒付工具の砥粒面を拡大した写真(図22図23)においては、溶融した台金Dとダイヤモンド砥粒Uが強固に一体的に固着されていることが確認された。

0056

1,D台金、
2,21,22,U砥粒、
10砥粒面、
11光源、
12照射光学系、
13ステージ、
14 制御部、
15 操作部(レーザー照射装置の)
20砥粒噴射装置、
21供給ノズル、
22砥粒供給装置、
23 操作部(砥粒噴射装置の)、
30 レーザー照射装置、
Pレーザー光、
T溶融箇所、
100 砥粒付工具

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