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技術 一酸化炭素および有害ガスを分解する触媒およびその担持方法

出願人 門上洋一グローバルコミュニケーションズ株式会社株式会社バイオ・イノベーション
発明者 門上洋一
出願日 2018年9月7日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-182854
公開日 2020年3月19日 (8ヶ月経過) 公開番号 2020-040057
状態 未査定
技術分野 触媒
主要キーワード 個体成分 マスク状 燃焼むら 除去パターン 金属ナノコロイド 塩酸溶解 通過装置 密閉袋
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

一酸化炭素および窒素酸化物アンモニアアルデヒド類カルボン酸などを常温で分解し除去するための触媒、およびその担持方法を提供することである。

解決手段

塩化パラジウムおよび硫酸銅よりなる溶液に、多孔質素材を浸漬し、焼成によりパラジウムおよび銅を担持することで製造することを特徴とする触媒。

概要

背景

有機化合物大気中で燃焼すると、炭素(C)は酸素(O2)と結合して二酸化炭素(CO2)となり、排出されるが、酸素が不足している時には、不完全燃焼して、一酸化炭素(CO)も発生する。この現象は、物が燃焼する際には部分的に酸素が不足する場合があるので、COは経常的に発生するのが普通である。
例えば、喫煙時に煙草が燃焼する場合には、煙草の燃焼むらが生じるために、COが常に発生している。高等生物にとっては、COが一定の濃度以上に存在すると、通常の酸素分圧下では酸素を結合できず窒息する危険がある。これは血液中赤血球に34%も含まれるヘモグロビンHb)の働きによる。
代謝によって有機物が分解され、CO2はその産物として生成される。ヘモグロビンは、酸素分圧が低い組織中で酸素を解離し、一方CO2はヘモグロビンの他の部位に結合し、今度はにおいて排出される。
しかし、大気中にCOがあると、十分な酸素があるにも拘わらず、ヘモグロビンが優先的にCOと結合するため、酸素を利用することが出来なくなる。一定濃度以上のCOがあると酸欠状態となるのはヘモグロビンのこのような働きのためである。平衡定数は酸素の325倍であることが知られている。このCOが大気中に0.01%以上あると極めて危険な状態となり、重篤なCO中毒症状を示すか、死に至る。
COの有害性はこのような呼吸阻害から虚血性心疾患末梢動脈疾患慢性呼吸器疾患、さらに妊娠時の胎児への影響が考えられる。また、突然死老化痴呆などの症状にも大きく関係していると言われている。

一酸化炭素や窒素酸化物を分解する触媒として、排気ガス処理に用いられる三元触媒がある。プラチナパラジウム、およびロジウムからなる触媒であるが、常温ではほとんど効果がない。通常、触媒反応は適正温度帯があり、本法の対象とする有害ガスのひとつ(一酸化炭素)には数百℃程度の加温が必要である。常温での触媒作用が実現出来ればさらに汎用性が広まる。
多孔質素材などに担持した触媒は、カラム(一定の通過装置内に触媒を充填するもの)の形式を採らざるを得ず、この場合にはガスの通過速度、濃度、圧損などが触媒能力の大きな要素となる。効果的なガス分解には、通過速度を下げ、ゆっくり反応させる必要がある。しかし、実用上は処理時間を短縮する必要があり、ガスの通過速度を上げると、活性炭細孔まで拡散されにくく、担持した活性炭の表面に局在する触媒のみが優先的に働く傾向があるため、触媒効率は著しく低くなってしまう。これを解決するため、従来は触媒を金属表面に添着し、ハニカム構造となし、通過速度を上げて処理効率の良くする工夫がなされて来た。しかしこの構造では装置が大きくならざるを得ず、汎用性が小さいという欠点があった。

これらの問題点を解決するため、近年はナノテクノロジー進展が著しく、担持が容易な溶液として、貴金属触媒ナノコロイド溶液が開発されている。常温で反応性が良く、かつ何にでも担持できるナノコロイド溶液はこれまでの担持方法と比べ、利点が大きい。しかし、製造も含め、工程が多く、かつ高価である。特別な用途には最適であっても、一般的なフィルターとして用いるには価格の点で汎用性が薄い。光触媒も同様の傾向があり、一般に高価である。

概要

一酸化炭素および窒素酸化物、アンモニアアルデヒド類カルボン酸などを常温で分解し除去するための触媒、およびその担持方法を提供することである。塩化パラジウムおよび硫酸銅よりなる溶液に、多孔質素材を浸漬し、焼成によりパラジウムおよび銅を担持することで製造することを特徴とする触媒。

目的

本発明の目的は、低コスト入手でき、常温で有害ガスを除去する、汎用性の高い触媒を提供することである。有害ガスの対象は、一酸化炭素(CO)、酸化窒素(NOおよびNO2)、アルデヒド類、カルボン酸(酢酸など)、アンモニアなどである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

多孔質素材に、パラジウムおよび銅を担持させた素材であって、一酸化炭素窒素酸化物アンモニアアルデヒド類、およびカルボン酸の除去を、常温で行なうことを特徴とする触媒

請求項2

パラジウムおよび銅が重量比で1:0.6〜1.0、好ましくは1:0.65であることを特徴とする、請求項1に記載の触媒、

請求項3

多孔質素材が活性炭あるいは活性炭素繊維、あるいはゼオライトシリカゲルなどであり、これらにパラジウム塩および銅塩水溶液を3〜12時間含浸させ、脱水し、無酸素雰囲気中、400〜600℃で加熱する手順で製造することを特徴とする、請求項1および2のそれぞれに記載の触媒の製造方法、

技術分野

0001

本発明は、室温で一酸化炭素および窒素酸化物アンモニアアルデヒド類カルボン酸などを分解し除去するための触媒およびその担持方法に関する。

背景技術

0002

有機化合物大気中で燃焼すると、炭素(C)は酸素(O2)と結合して二酸化炭素(CO2)となり、排出されるが、酸素が不足している時には、不完全燃焼して、一酸化炭素(CO)も発生する。この現象は、物が燃焼する際には部分的に酸素が不足する場合があるので、COは経常的に発生するのが普通である。
例えば、喫煙時に煙草が燃焼する場合には、煙草の燃焼むらが生じるために、COが常に発生している。高等生物にとっては、COが一定の濃度以上に存在すると、通常の酸素分圧下では酸素を結合できず窒息する危険がある。これは血液中赤血球に34%も含まれるヘモグロビンHb)の働きによる。
代謝によって有機物が分解され、CO2はその産物として生成される。ヘモグロビンは、酸素分圧が低い組織中で酸素を解離し、一方CO2はヘモグロビンの他の部位に結合し、今度はにおいて排出される。
しかし、大気中にCOがあると、十分な酸素があるにも拘わらず、ヘモグロビンが優先的にCOと結合するため、酸素を利用することが出来なくなる。一定濃度以上のCOがあると酸欠状態となるのはヘモグロビンのこのような働きのためである。平衡定数は酸素の325倍であることが知られている。このCOが大気中に0.01%以上あると極めて危険な状態となり、重篤なCO中毒症状を示すか、死に至る。
COの有害性はこのような呼吸阻害から虚血性心疾患末梢動脈疾患慢性呼吸器疾患、さらに妊娠時の胎児への影響が考えられる。また、突然死老化痴呆などの症状にも大きく関係していると言われている。

0003

一酸化炭素や窒素酸化物を分解する触媒として、排気ガス処理に用いられる三元触媒がある。プラチナパラジウム、およびロジウムからなる触媒であるが、常温ではほとんど効果がない。通常、触媒反応は適正温度帯があり、本法の対象とする有害ガスのひとつ(一酸化炭素)には数百℃程度の加温が必要である。常温での触媒作用が実現出来ればさらに汎用性が広まる。
多孔質素材などに担持した触媒は、カラム(一定の通過装置内に触媒を充填するもの)の形式を採らざるを得ず、この場合にはガスの通過速度、濃度、圧損などが触媒能力の大きな要素となる。効果的なガス分解には、通過速度を下げ、ゆっくり反応させる必要がある。しかし、実用上は処理時間を短縮する必要があり、ガスの通過速度を上げると、活性炭細孔まで拡散されにくく、担持した活性炭の表面に局在する触媒のみが優先的に働く傾向があるため、触媒効率は著しく低くなってしまう。これを解決するため、従来は触媒を金属表面に添着し、ハニカム構造となし、通過速度を上げて処理効率の良くする工夫がなされて来た。しかしこの構造では装置が大きくならざるを得ず、汎用性が小さいという欠点があった。

0004

これらの問題点を解決するため、近年はナノテクノロジー進展が著しく、担持が容易な溶液として、貴金属触媒ナノコロイド溶液が開発されている。常温で反応性が良く、かつ何にでも担持できるナノコロイド溶液はこれまでの担持方法と比べ、利点が大きい。しかし、製造も含め、工程が多く、かつ高価である。特別な用途には最適であっても、一般的なフィルターとして用いるには価格の点で汎用性が薄い。光触媒も同様の傾向があり、一般に高価である。

発明が解決しようとする課題

0005

本発明の目的は、低コスト入手でき、常温で有害ガスを除去する、汎用性の高い触媒を提供することである。有害ガスの対象は、一酸化炭素(CO)、酸化窒素(NOおよびNO2)、アルデヒド類、カルボン酸(酢酸など)、アンモニアなどである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、活性炭もしくは活性炭素繊維にパラジウムと銅を担持することにより、上記の問題を解決できるとの知見を得た。
これは、歯科で用いられている歯冠を、硝酸で溶解させた液に活性炭を浸漬して製造した触媒が、有毒ガスに常温で効果的に分解することを見出したことに起因する。歯冠の成分は金、パラジウム、銀、および銅から成り、それぞれ12〜15%、20〜15%、51〜35%、14.5〜18%の重量比である。このうち金は硝酸で溶解しないため、パラジウム、銀、および銅が硝酸で溶解した液中に存在し、これらが触媒成分であった。これらから実際に有効だったのは、パラジウムおよび銅成分であった。
本発明は、この知見に基づいて、
1.多孔質素材に、パラジウムおよび銅を担持させた素材であって、一酸化炭素、窒素酸化物、アンモニア、アルデヒド類、およびカルボン酸の除去を、常温で行なうことを特徴とする触媒、
2.パラジウムおよび銅が重量比で1:0.6〜1.0、好ましくは1:0.65であることを特徴とする、1に記載の触媒、
3.多孔質素材が活性炭あるいは活性炭素繊維、あるいはゼオライトシリカゲルなどであり、これらにパラジウム塩および銅塩水溶液を3〜12時間含浸させ、脱水し、無酸素雰囲気中、400〜600℃で加熱する手順で製造することを特徴とする、1および2のそれぞれに記載の触媒の製造方法、
を提供するものである。

0007

本発明は、次の点で従来技法とは異なる特徴を持つ。
1.繰り返し使用が可能である(触媒の被毒が無い事が前提である。つまり、ガス中沈着する粒子混入していないこと。)。吸着剤とは異なり、触媒を用いていることである。
2.貴金属系触媒の場合、高温で高能力が普通であるが(排気ガスの三元触媒など)、本 法では常温で同程度の活性があることである。
3.金属ナノコロイド(金、白金、パラジウム、銀など)と比べても遜色ない活性があること。
4.貴金属触媒、すなわちパラジウムの使用量が少なく、経済的であること。
5.加工が簡単である(触媒担持の工程が簡単である)こと。

0008

次に、本発明の実施例及び比較例について説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に基づく、他の例又は変形は、当然本発明に包含されるものである。

0009

歯冠を溶解した液を用いた触媒の製造
パラジウムは単独でも、他の貴金属あるいは卑金属との組み合せでも、様々なガスを分解する機能を持つ触媒として知られており、幅広く利用されて来た。本発明者は歯科医から入手した歯冠中に含まれるパラジウムを利用して、有毒ガスを分解可能な触媒を形成出来るかを検討した。歯冠にはパラジウム15%、銀35%、銅18%、金15%が含まれている。
歯冠1.84gをビーカーに入れ、1NのNaOHで約30分処理し、除タンパク質を行なった。洗浄後、濃硝酸を50mL入れ、歯冠が溶解するまで攪拌した(約一夜)。
溶液は赤色になり、パラジウムが溶解していることが推測された。パラジウムはヨウ化カリウムで検出できるので、10%ヨウ化カリウム溶液200μLに歯冠を溶解した硝酸溶液10μLを添加すると赤く発色し、パラジウムが存在することが確認できた。さらに、25%アンモニア溶液100μLに歯冠を溶解した硝酸溶液10μL添加すると、青く発色し、銅が存在することが判った。
歯冠を溶解した硝酸溶液100μLに濃塩酸100μLを添加し、遠心後、沈殿に25%アンモニア溶液100μLを添加したところ、沈殿は溶解し、銀であることが判った。歯冠を溶解した硝酸溶液中の銀は、塩酸で沈殿しAgCl2となり、これはアンモニアで溶解するからである。以上から、硝酸で溶解した画分には、パラジウム、銀、および銅が含まれていることが判明した。
一方、硝酸で溶けずに残留しているものがあったが、これは金であると思われた。
次に、歯冠を濃塩酸で溶解を試みた。歯冠1.8153gに濃塩酸50mLを添加し、一夜撹拌した。溶液は黄色に変色した。この遠心上清にはパラジウムと銅が含まれおり、銀は含まれていないことが判った。硝酸で溶解した時と同様、沈殿には金が含まれており、金および銀は沈殿画分にあることが判った。
活性炭30gを硝酸溶解画分(パラジウム、銀、銅)および、同量の活性炭を塩酸溶解画分に浸漬し、それぞれ一夜放置した。これをろ過し、活性炭を回収し、石英容器に移した。容器に蓋をし、マッフル炉で、嫌気的条件下450℃で6時間焼成した。

0010

硝酸および塩酸による歯冠溶解液のCO分解活性
歯冠を硝酸または塩酸で溶解した液で製造したそれぞれの触媒(実施例1)について、タバコ煙に含まれるCOを測定し、触媒活性があるかどうかを検討した。
COは煙草煙に含まれるものを測定したが、煙草煙中には高濃度のCOが含まれるからである。煙草煙は、紙巻き煙草に火を点け、使い捨て注射器(50mL)で吸いとり、別な密閉袋数度に分けて回収した。注射器内部には脱脂綿が詰めてあり、煙草の個体成分であるタール分はこの脱脂綿に吸着され、密閉袋に移す際にガス成分だけが袋に回収される。タール分の含む煙草煙をそのまま用いると触媒表面を被ってしまい、触媒活性が阻害される恐れがあるため、除去する必要があったからである。

0011

活性測定方法として、密閉されたガラス製のデシケーター(1.67L)にフィルターとガスを封入し、内部に設置した小型ファンを回転して、ガスを継続的に撹拌し、一定時間毎ガス検知管によって、ガス濃度を測定することで行なった。デシケーターには本体と蓋に穴が開いているが、本体の穴は小型ファンの電源コードを通したシリコン栓で閉じ、微細な隙間はシリコン製の接着剤で埋めた。蓋の穴もコックの付いたガラス管を通したシリコン栓で閉じた。ガス封入、および採取は蓋のコックの開閉で行なった。密閉度は、蓋から出ているシリコンチューブ真空ポンプに接続し、吸引した時の内部の圧力が50ミリトル(mTorr)以下になることで確認した。
タールを除いた煙草煙の入った密閉袋を、減圧したデシケーターに接続し、煙草煙をデシケーター内に封入した。1気圧に満たない場合には空気を入れて1気圧とした。触媒は活性炭で製造したものを不織布の袋に入れ、デシケーター内に設置した。ファンを回し、煙草煙が触媒に触れるよう循環し、一定時間毎に検知管でガスを吸引し、一酸化炭素濃度を測定した。結果は図1に示した。
触媒のいずれも、COの初期濃度が820mg/Lであったものが、急激に低下し、4分後には200mg/Lとなり、約60分後には0mg/Lとなった。硝酸溶解および塩酸溶解で調製した塩溶液のいずれにも差は見られなかったことから、塩酸で溶解された銅とパラジウムのみでCO分解が達成されることが判明した。
図1

0012

試薬による触媒の製造と活性
実施例2で明らかなようにCO分解触媒の構成成分はパラジウムと銅で十分なことが判明したので、それぞれの試薬を溶解して触媒液を製造した。
触媒溶液は、1gの塩化パラジウム(II)に濃塩酸100mLと、純水400mLを加え、湯煎して完全に溶解した。これを冷却した後に、硫酸銅水和物1gを加え、撹拌溶解し、純水で1Lとした。
この溶液に活性炭を浸漬し、実施例2と同様にして触媒を製造した。
活性は実施例2と同様にして行なった。結果は図2に示した。図1と比べ、活性はより高く、歯冠溶解液中には微量の未知の金属成分が含まれているため、それらがパラジウムと銅の活性を引き下げた可能性がある。
図2
なお、活性炭素繊維で作られたフェルトを用いて、同様に担持した結果、この触媒にも活性炭とほぼ同等の結果が得られた。

0013

触媒の構成の検討
次に、パラジウムと銅との最適な量比を検討した。用いたガスはタバコ煙に含まれる一酸化炭素である。実施例3で示したように、塩化パラジウム1gに量を変化させた硫酸銅7水和物の溶液を溶かし、それぞれを活性炭に担持し、触媒を調製した。ガスの測定は実施例2と同様にして行なった。結果は表1に示している。分解率測定開始から1時間後のCO残量を、開始時の値から引き、それを開始時の量で除して表わした。表から明らかなように、一酸化炭素の除去には(塩化パラジウム):(硫酸銅7水和物)が重量比で1:0.65の時に最も高い除去率を示した。

0014

種ガス除去効果
パラジウムと銅を担持した触媒が、様々なガスの除去にも有効であるかどうかを次に検討した。触媒の構成は実施例4で示した(塩化パラジウム):(硫酸銅7水和物)の重量比が1:0.65を用い、実施例1に記載の方法で活性炭に担持し、実施例2によって測定を行なった。

0015

一酸化窒素(NO)および二酸化窒素(NO2)]
一酸化窒素(NO)は窒素酸化物のひとつで、高温下で窒素酸化されて生成される。発生源エンジン焼却炉ストーブなど高温になる装置からである。オキシダント酸化物)生成の引き金になるため、一連化学反応の結果、光化学スモッグの原因となる。一方、生体内ではガス状神経伝達物質として機能することが知られている。狭心症発作を抑えるニトログリセリン体内でNOを発生して血管を拡張させ、発作を抑える。男性精力維持に使われるバイアグラも同様な機作で作用する。
二酸化窒素(NO2)は燃焼過程で発生する窒素の酸化物である。NOがさらに酸化されたものである。生物由来のもの(タンパク質など窒素を含むもの)が燃焼することで発生する。呼吸器系への影響がある。0.04〜0.06ppmが基準値である。
これら二種のガスは排気ガス中に多く含まれるため、ガソリン乗用車の排気ガスを密閉袋に集め、これを用いた。デシケーター(1.47L)を真空ポンプで脱気し、これに排気ガスを密閉袋から使い捨て注射器(50mL)で100mL採り封入し、残りは空気を導入して大気圧に戻した。経時的にNOとNO2の濃度を検知管で測定した。結果は図3に示してある。
いずれも1時間で0mg/Lになっており、窒素酸化物は触媒によって完全分解出来ることが示された。すなわち、燃焼酸化物のうち、CO、NO、NO2が除去できることから、ほとんどの燃焼ガス浄化に用いることが可能であることが示された。
図3

0016

[アンモニア]
アンモニア(NH3)はタンパク質に含まれる窒素分が、微生物の働きなどにより還元され生じる。強い刺激臭があり、粘膜に作用し、0.1%以上の濃度で危険状態となる。特定悪臭物質のひとつに指定されている。発生源は主に生物の糞尿集積されているような場所である。水洗でない便所や、放置されたおむつなど、介護の領域での発生が近年指摘されている。
アンモニアは、25%アンモニア水を100μL密閉袋(4L)に入れ、エアポンプで空気を3L入れて膨らまし、常温で気化させたものを用いた。袋をNOおよびNO2と同様に陰圧にしたデシケーターに封入し、時間を追って濃度の測定を行なった。結果は図4に示した。
アンモニアの初期濃度は約35mg/Lであったが、2分後には3.5mg/Lまで低下し、4分後以降にはほぼ0まで低下した。アンモニアに対しても効果的に触媒が機能したことが判明した。
図4

0017

[アルデヒド類]
−CHO(アルデヒド基)を持つ有機化合物の総称であるが、多くの生物に有害である。生物の構成成分であるアミノ酸アミノ基と結合し、架橋反応するためタンパク質を凝固させてしまう。従って多くの反応を引き起こし、有害さが多様である。アセトアルデヒド悪臭成分のひとつであり、人体内ではアルコール摂取で生じ、肝臓にあるアセトアルデヒド脱水酵素の活性が弱い場合には、強い中毒症状を引き起こす場合がある。また低級アルデヒドには強い刺激臭がある。
除去実験にはアセトアルデヒドを用いて行なった。アセトアルデヒドを密閉袋(4L)に100μL採り、室温で完全に気化させた。このガスを使い捨て注射器で100mL採り、脱気したデシケーターに入れ、さらに空気を導入して大気圧に戻した。デシケーターには触媒フィルターを設置し、ファンでガスを循環させ、経時的にアセトアルデヒドの濃度を検知管で測定した。結果は図5に示してある。
ガスのデシケーターからの漏れは無く、この条件下でアセトアルデヒドは1時間で7%まで低下した。その後放置しておくと、12時間後には全く検出されなくなった。触媒フィルターのアセトアルデヒドへの効果が確認された。
図5

0018

同様の実験をホルムアルデヒドについても行なった。
ホルムアルデヒドもアンモニアと同様、100μLのホルムアルデヒド溶液(37%)を密閉袋に入れ、エアポンプで空気を4L入れて膨らまし、常温で気化させたものを用いた。袋をNOおよびNO2と同様に陰圧にしたデシケーターに封入し、時間を追って濃度の測定を行なった。結果は図6に示した。
アンモニアとは異なり、濃度の低下速度はやや遅かったが、1時間後には最初の1.7%まで低下した。ホルムアルデヒドに対しても、効果的に触媒が機能したことが判明した。ホルムアルデヒドは建材の接着剤として用いられて来たため、シックハウス症候群の原因であると言われている。健康被害が出る濃度はこの実験で用いた量と比べ、遥かに薄いので、実用的にフィルターをこの除去に用いることが可能であると示された。
また、有害な他の多くのアルデヒドについても、構造的作用機作を考えると有効であると思われる。
図6

0019

メチルメルカプタン
メチルメルカプタンすなわちメタンチオール化学式CH3SHで表わせるチオール一種であり、腐ったキャベツの臭いがする無色の気体である。天然には、ある種の種子やチーズなどにも検出され、ヒトや動物の血液、脳およびその他の組織に含まれ、に放出される。このため、口臭や屁の悪臭成分となっている。
メチルメルカプタンは、100μLのメチルメルカプタンナトリウム溶液(15%)を密閉袋に入れ、エアポンプで空気を4L入れて膨らまし、常温で気化させたものを用いた。袋をNOおよびNO2と同様に陰圧にしたデシケーターに封入し、時間を追って濃度の測定を行なった。結果は図7に示した。
除去パターンはCO、アンモニアとは異なり、直線に近い低下を示した。初期濃度62mg/Lが一時間で6mg/Lとなり、90%が除去された。従って、メチルメルカプタンにも効果的に触媒が機能したことが示された。
図7

0020

イソ吉草酸
CH3(CH2)3COOHで示されるカルボン酸である。足の裏の臭い、蒸れた下からの刺激臭である。また、口臭の原因となる。バクテリアによる腐敗過程で発生する。人体へは腐食性がある。
イソ吉草酸を密閉袋(4L)に100μL採り、完全に気化させた。このガスを使い捨て注射器(50mL)で100mL採り、脱気したデシケーターに入れ、残りに空気を導入して大気圧に戻した。デシケーターには触媒フィルターを設置し、ファンでガスを循環させ、経時的にイソ吉草酸の濃度を検知管で測定した。結果は図8に示してある。
イソ吉草酸の低下パターンはメチルメルカプタンと同様であったが、低下速度はやや遅く、初期濃度38mg/Lが2mg/Lになるのに約2時間掛かった。しかし、触媒は効果的に機能することが示された。
図8

実施例

0021

[酢酸]
アルコール発酵すると酢酸(CH3COOH)が生じる。食酢として利用されているが刺激性が強い。発生源は有機物の発酵するようなところ、生ゴミの他、煙草煙にも含まれる。
酢酸を密閉袋(4L)に100μL採り、完全に蒸発させた。このガスをシリンジで100mL採り、脱気したデシケーターに入れ、残りに空気を導入して大気圧に戻した。デシケーターには触媒フィルターを設置し、ファンでガスを循環させ、経時的に酢酸の濃度を検知管で測定した。結果は図9に示してある。
2時間で始めの13%となり、4時間で6%まで低下した。24時間放置すると測定不能、すなわち0mg/Lとなった。触媒フィルターはケト酸にも効果的であることが判明した。
図9

発明の効果

0022

本発明の触媒は、室温で様々な有害ガスあるいは悪臭ガス分解除去することが出来る。また活性炭素繊維は可塑性に富み、あらゆる形状のフィルターとして加工が容易であり、広い用途に適用が可能である。例えば、活性炭素繊維を用いてマスク状に製造すると、防災マスクとして利用出来る。また、少ない量の貴金属を利用するため、安価であり、さらに汎用性を高める。

図面の簡単な説明

0023

歯冠を硝酸と塩酸で溶解させた液から製造した触媒の一酸化炭素への効果 2種類の方法で製造した触媒の一酸化炭素に対する効果を比較した結果を示す図である。試薬で調製した触媒の一酸化炭素に対する効果塩化パラジウムおよび硫酸銅で製造した触媒の一酸化炭素に対する効果を示した図である。酸化窒素への効果 触媒の酸化窒素(NO、NO2)に対する効果を測定した結果を示す図である。アンモニアへの効果 触媒のアンモニア(NH3)に対する効果を測定した結果を示す図である。アセトアルデヒドへの効果 触媒のアセトアルデヒドに対する効果を測定した結果を示す図である。ホルムアルデヒドへの効果 触媒のホルムアルデヒドに対する効果を測定した結果を示す図である。メチルメルカプタンへの効果 触媒のメチルメルカプタンに対する効果を測定した結果を示す図である。イソ吉草酸触媒のイソ吉草酸に対する効果を測定した結果を示す図である。酢酸への効果 触媒の酢酸に対する効果を測定した結果を示す図である。

表1

パラジウムと銅の量比変化と一酸化炭素への活性パラジウムと銅の量比を変化させた時の触媒の活性をCOの除去率で調べた結果である。

符合の説明

図1

横軸は時間(分)を、縦軸は一酸化炭素濃度(mg/L)を表わし、

させて製造した触媒をそれぞれ表わす。

図2

横軸は時間(分)を、縦軸は一酸化炭素濃度(mg/L)を表わす。

図5

横軸は時間(分)を、縦軸はアンモニア濃度(mg/L)を示す。

図6

横軸は時間(分)を、縦軸はアセトアルデヒド濃度(mg/L)を示す。

図7

横軸は時間(分)を、縦軸はホルムアルデヒド濃度(mg/L)を示す。

図8

横軸は時間(分)を、縦軸はメチルメルカプタン濃度(mg/L)を示す。

図9

横軸は時間(時)を、縦軸はイソ吉草酸濃度(mg/L)を示す。

図10

横軸は時間(時)を、縦軸は酢酸濃度(mg/L)を示す。

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