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課題

分化細胞分化転換する方法を提供する。

解決手段

少なくとも1種類の要素(i)および少なくとも1種類の要素(ii)と分化細胞を接触させる。(i)(a)BH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメイン又はBH4ドメインを含むポリペプチド;(b)Bcl−2ファミリーメンバー野生型アミノ酸配列を含むポリペプチド;(c)Bcl−2ファミリーのメンバーの野生型のアミノ酸配列を含み、1つ以上の点突然変異を含む前記ポリペプチド;(d)Bcl−2ファミリーのメンバーの野生型と少なくとも30%の配列同一性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチド、から選択され、(ii)前記細胞を分化転換することが可能である転写因子、前記転写因子をコードする核酸、ならびに前記細胞において前記転写因子の量および/または活性を増加させるための手段から選択される。

概要

背景

幹細胞研究によって細胞および組織再生に対する様々なアプローチが産み出されている。幹細胞はそれらの多能性のため、それ自体が好ましい再生用出発物質である。しかしながら、それらの利用可能性は、特に自己起源のものの利用可能性は一般に限定的である。より最近のアプローチでは出発物質として分化細胞を使用することに関心が集まっている。脱分化と呼ばれる過程は充分に分化した細胞における多能性の回復を含む。一旦、多能性状態に達すると、得られた人工多能性細胞を次に後続の所望の細胞種への人工分化ステップの出発物質として使用することができる。細胞が多能性状態を経験することがこのアプローチのホールマークである。さらにより最近の、且つ、成績と収量の点で概して不満足である分化転換が記載されている。この用語は基本的に分化細胞を別の分化細胞に転換する過程であって、その分化転換過程の間に細胞が多能性状態を経験しない過程を示す。専門用語についても扱っている最近の総説はJopling et al. (Nature Reviews, Molecular Cell Biology, 11, 79-89 (2011))である。

異なる系統への体細胞の直接的分化転換によって他の方法では簡単に利用できない特定の細胞種を作製することができる。これはインビトロで増殖させることができず、したが
って成体のヒトからの単離と増殖が不可能である神経細胞などの分裂終了細胞に特に当てはまる。したがって、様々な細胞種の完全機能性神経細胞への直接的分化転換(例えば、Berninger et al., Journal of Neuroscience, 27, 8654-8664, (2007)、Heinrich et al.,PLoS biology, 8, e1000373 (2010)、Vierbuchen et al., Nature, 463, 1035-1041 (2011)を参照されたい)は様々な種および細胞起源に由来する神経細胞を調査するために有用なアプローチである。しかしながら、そのような人工神経細胞(iN)の作製効率と純度満足できるものではなく、このダイレクトリプログラミング援助する基本原理解明されずにいる。我々は分化転換が時には「ダイレクトリプログラミング」と呼ばれることを特記する。

ある特定の神経原性転写因子が知られているが、しかしながらそれらが機能する様式の基本原理は未だに解明されずにいる。例えば、分化転換の背景活性化される直接的下流エフェクターはまだ分かっていない。したがって、iNの作製のために異なる器官に由来する細胞に異なる転写因子がどの程度まで必要であるのかも、様々な細胞種における発現が神経細胞の作製を促進する「神経マスター遺伝子」が存在するのかも明らかではない。一方では、星状細胞を神経細胞に分化転換するが線維芽細胞ではあまり効率的ではないように見えるNeurog2(Heinrich et al. (上掲)、 Vierbuchen et al. (上掲))や線維芽細胞では効率的であるが星状細胞ではそうではないMyt1lのように様々な細胞種でかなり異なる因子が機能することが示されている。反対に、Ascl1および/またはSox2などの他の転写因子が様々な細胞起源、例えば、星状細胞(Berninger et al.
(上掲)、 Heinrich et al. (上掲))、線維芽細胞(Vierbuchen et al. (上掲))および周皮細胞(Karow et al, Cell stem cell, 11, 471-476 (2012))に由来する神経細胞の作製に有用であることが示された。また、神経原性転写因子の効率はマウスおよびヒトなどの様々な種に由来する細胞でかなり異なるように見えることが多い(例えば、Vierbuchen et al. (上掲)を参照されたい)。同じ神経原性転写因子が細胞および種の背景に応じてNeuroDまたはSox11またはMyt1lなどの追加神経原性転写因子の個別の組合せを必要とすることが多い。したがって、どの程度まで共通または異なる機構がこれらの異なる出発細胞で機能しているのかは未だに理解しにくいままである。

Bcl−2ファミリー抗アポトーシスメンバーであるBcl−2は脱分化過程に関係があるとされている。一般に、その抗アポトーシス特性は細胞運命の変更を含む過程における生存上昇に関与すると見られている。例えば、Kawamuraら(Nature 460, 1140-1144 (2009))は多能性幹細胞誘導する体細胞のリプログラミングについて記載している。著者らはBcl−2の過剰発現がアポトーシスを抑制し、且つ、多能性マーカーであるNanogを発現する細胞の頻度の上昇を観察した。Liuら(Stem Cells, 29, 2077-2089 (2011))は脱分化間葉系幹細胞においてBcl−2が過剰発現することを発見した。この出版物においてもBcl−2の抗アポトーシス特性が関連すると考えられている。その分野の先行技術の追加のホールマークは、1つより多くの転写因子、時には転写因子の複合混合物を使用して細胞運命の変更を達成することである。

神経再生におけるBcl−2の関与および可能性のある役割はあまり明確ではなく、議論が定まっていない。例えば、BernierとParent(The Journal of Neurosciene, 18, 2486-2497 (1998))は神経未成熟のマーカーとしてのBcl−2について記載しており、切断されたアクソンの再生がこのタンパク質によって促進されることが示されていることをさらに特記している。それと正反対に、Inoueら(The Journal of Neuroscience, 22, 4468-4477 (2002))はBcl−2の過剰発現によってインビボでアクソンの再生が促進されないことを報告した。

概要

分化細胞を分化転換する方法を提供する。少なくとも1種類の要素(i)および少なくとも1種類の要素(ii)と分化細胞を接触させる。(i)(a)BH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメイン又はBH4ドメインを含むポリペプチド;(b)Bcl−2ファミリーのメンバー野生型アミノ酸配列を含むポリペプチド;(c)Bcl−2ファミリーのメンバーの野生型のアミノ酸配列を含み、1つ以上の点突然変異を含む前記ポリペプチド;(d)Bcl−2ファミリーのメンバーの野生型と少なくとも30%の配列同一性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチド、から選択され、(ii)前記細胞を分化転換することが可能である転写因子、前記転写因子をコードする核酸、ならびに前記細胞において前記転写因子の量および/または活性を増加させるための手段から選択される。A

目的

その分野の先行技術の追加のホールマークは、1つより多くの転写因子、時には転写因子の複合混合物を使用して細胞運命の変更を達成することである

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

分化細胞分化転換する方法であって、少なくとも1種類の要素(i)および少なくとも1種類の要素(ii)と前記細胞を接触させることを含む方法であり、前記要素(i)が(a)BH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインからなる群より選択される少なくとも1つのドメインを含むポリペプチド、(b)Bcl−2ファミリーメンバー野生型またはその断片のアミノ酸配列を含む、または前記アミノ酸配列からなるポリペプチド、(c)Bcl−2ファミリーのメンバーの野生型またはその断片のアミノ酸配列を含む、または前記アミノ酸配列からなるポリペプチドであって、前記野生型またはその断片と比較すると1つ以上の点突然変異を含む前記ポリペプチド、(d)Bcl−2ファミリーのメンバーの野生型であって、ヒトBcl−2(配列番号1または5)、ヒトBcl−XL(配列番号6)、ヒトBcl−w(配列番号7)、ヒトMcl1(配列番号8)、ヒトBfI1(配列番号9または10)、ヒトNrh(配列番号11)、ヒトBcl2L1(配列番号12)、ヒトDIVA(配列番号13)、ヒト骨髄細胞白血病配列1アイソフォーム1(配列番号14)、およびヒトBcl−xβ(配列番号15)からなる群より選択されることが好ましいBcl−2ファミリーのメンバーの前記野生型と少なくとも30%の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む、または前記アミノ酸配列からなるポリペプチド、前記野生型は、抗アポトーシス活性を有し、前記ポリペプチドをコードする核酸、および前記細胞において前記ポリペプチドの量および/または活性を増加させるための手段から選択され、前記要素(i)が無いときと比較すると前記要素(i)によって分化転換細胞収率が少なくとも30%向上し、且つ、前記要素(ii)が前記細胞を分化転換することが可能である転写因子、前記転写因子をコードする核酸、ならびに前記細胞において前記転写因子の量および/または活性を増加させるための手段から選択され、ヒトまたは動物の身体を治療処置するあらゆる方法が除外される前記方法。

請求項2

分化細胞を分化転換する方法であって、少なくとも1種類の要素(iii)および少なくとも1種類の要素(ii)と前記細胞を接触させることを含む方法であり、前記要素(iii)によって脂質過酸化が減少し、前記要素(iii)が(a)ビタミンD受容体、その機能ホモログ、および前記受容体またはその前記機能ホモログをコードする核酸、(b)ステロイド性抗酸化剤、好ましくはカルシトリオール、(c)フェノール性抗酸化剤、好ましくはα−トコフェロールまたはα−トコトリエノール、および(d)キニン、好ましくはコエンザイムQから選択されることが好ましく、且つ、前記要素(ii)が前記細胞を分化転換することが可能である転写因子、前記転写因子をコードする核酸、ならびに前記細胞において前記転写因子の量および/または活性を増加させるための手段から選択され、ヒトまたは動物の身体を治療処置するあらゆる方法が除外される前記方法。

請求項3

請求項2において規定される少なくとも1種類の要素(iii)と前記細胞を接触させることをさらに含む請求項1に記載の方法。

請求項4

(a)請求項1において規定される少なくとも1種類の要素(i)と請求項1において規定される少なくとも1種類の要素(ii)、(b)請求項2において規定される少なくとも1種類の要素(iii)と請求項2において規定される少なくとも1種類の要素(ii)、または(c)請求項3において規定される少なくとも1種類の要素(i)、請求項3において規定される少なくとも1種類の要素(ii)、および請求項3において規定される少なくとも1種類の要素(iii)を含む、またはそれらからなる配合物

請求項5

機能性神経細胞消失および/または機能性筋細胞の消失を特徴とする神経障害または筋障害治療または予防する方法に使用するための請求項4において規定される配合物であって、前記1つ以上の転写因子が神経原性転写因子および筋原性転写因子から選択され、好ましくは分化細胞を分化転換することによって前記治療または予防が達成される前記配合物。

請求項6

前記ポリペプチドが(a)アミノ酸配列が配列番号1に示されているヒトBcl−2と比較すると低下した抗アポトーシス機能を有しているか、またはその抗アポトーシス機能を失っており、および/または(b)ヒトBcl−2よりも高い程度にまで分化転換細胞の収率を向上させる、請求項1または3に記載の方法、請求項4に記載の配合物、または請求項5に記載の使用のための配合物。

請求項7

前記ポリペプチドがBH4ドメインと所望によりBH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインからなる群より選択される1つ、2つ、3つ、またはそれより多くのドメインを含み、前記ポリペプチドがただ1つのBH1ドメイン、ただ1つのBH2ドメイン、ただ1つのBH3ドメインおよびただ1つのBH4ドメインを含むことが好ましい、請求項1、3または6に記載の方法、請求項4または6に記載の配合物、または請求項5または6に記載の使用のための配合物。

請求項8

前記ポリペプチドが、(a)可動性ループドメイン中の1つ以上のリン酸化可能残基がリン酸化不能残基によって置き換えられているか、または欠失している点で野生型Bcl−2と異なるBcl−2突然変異体、例えば、(i)ヒトBcl−2のS70A突然変異体、(ii)ヒトBcl−2のT69A/S70A二重突然変異体、(iii)ヒトBcl−2のS87A突然変異体、(iv)ヒトBcl−2のT69A/S70A二重突然変異体、(v)ヒトBcl−2のT69A/S87A二重突然変異体、(vi)ヒトBcl−2のS70A/S87A二重突然変異体、(vii)ヒトBcl−2のT69A/S70A/S87A三重突然変異体、(viii)ヒトBcl−2のT69、S70およびS87のうちの1つ、2つ、または3つの欠失から選択される欠失突然変異体、および(ix)ヒトBcl−2のaa69〜87の欠失突然変異体、または(b)膜貫通領域が欠失しているか、または非機能的になったヒトBcl−2の突然変異体であるBcl−2突然変異体から選択される、請求項1、3、6または7のいずれか一項に記載の方法、請求項4、6または7のいずれか一項に記載の配合物、または請求項5から7のいずれか一項に記載の使用のための配合物。

請求項9

(a)前記細胞が(i)体細胞、好ましくは線維芽細胞星状細胞、および周皮細胞から選択される体細胞であり、(ii)脊椎動物細胞、好ましくは哺乳類細胞、より好ましくはマウス起源またはヒト起源の細胞であり、および/または(iii)由来または出生後段階、好ましくは成体段階に由来する細胞であり、および/または(b)前記要素(ii)が神経原性転写因子、好ましくはAscl1、Neurog2、Brn2、Dlx2、MYT1L、Sox11およびSox2、ならびに筋原性転写因子、好ましくはMyoD、Gata4m、Mef2c、Tbx5、Hand2、T−box5、ミオカルディン、miR−1およびMiR−133から選択される、請求項1、3または6から8のいずれか一項に記載の方法、請求項4または6から8のいずれか一項に記載の配合物、または請求項5から8のいずれか一項に記載の使用のための配合物。

請求項10

前記細胞が線維芽細胞であり、前記要素(ii)が1つの転写因子である、請求項9に記載の方法、配合物、または使用のための配合物。

請求項11

前記転写因子が神経原性転写因子、好ましくはAscl1、Neurog2およびDlx2から選択される神経原性転写因子であり、前記方法によってGABA作動性神経細胞、グルタミン酸作動性神経細胞、および運動神経細胞から選択される1つ以上の分化転換細胞が産出される、請求項10に記載の方法、配合物、または使用のための配合物。

請求項12

前記転写因子が筋原性転写因子、好ましくはMyoDであり、前記方法によって筋細胞が産出される、請求項10に記載の方法、配合物、または使用のための配合物。

請求項13

機能性神経細胞の消失および/または機能性筋細胞の消失を特徴とする神経障害および/または筋障害のモデルを作製する方法であって、請求項11および/または12に記載の方法を含む方法であり、前記神経障害および/または筋障害の素因を有する個体または前記神経障害および/または筋障害を患う患者から前記線維芽細胞を入手している前記方法。

請求項14

機能性神経細胞の消失および/または機能性筋細胞の消失を特徴とする神経障害および/または筋障害を診断する方法であって、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法を含む方法であり、前記神経障害および/または筋障害を有することが疑われる個体または前記神経障害および/または筋障害の素因を有することが疑われる個体から前記分化細胞を入手しており、好ましくは前記分化細胞が線維芽細胞であり、分化転換により獲得され、且つ、疾患表現型を有する神経細胞および/または筋細胞が前記神経障害および/または筋障害を示す前記方法。

請求項15

分化転換細胞を含む組成物を作製する方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を含む前記方法。

請求項16

分化転換の促進因子としての請求項1または6から8のいずれか一項において規定されるポリペプチドまたは前記ポリペプチドをコードする核酸の使用であって、ヒトまたは動物の治療処置方法におけるあらゆる使用が除外される前記使用。

請求項17

前記配合物がキットとして提供され、前記配合物の要素(i)および(ii)が異なる容器に収められており、前記キットが請求項1から3または6から15のいずれか一項に記載の方法を実施するための指示を有するマニュアルを含んでもよい、請求項4に記載の配合物。

技術分野

0001

本発明は、分化細胞分化転換する方法であって、少なくとも1種類の要素(i)および少なくとも1種類の要素(ii)と前記細胞を接触させることを含む方法であり、前記要素(i)が(a)BH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインからなる群より選択される少なくとも1つのドメインを含むポリペプチド;(b)Bcl−2ファミリーメンバー野生型またはその断片のアミノ酸配列を含む、または前記アミノ酸配列からなるポリペプチド;(c)Bcl−2ファミリーのメンバーの野生型またはその断片のアミノ酸配列を含む、または前記アミノ酸配列からなるポリペプチドであって、前記野生型またはその断片と比較すると1つ以上の点突然変異を含む前記ポリペプチド;(d)Bcl−2ファミリーのメンバーの野生型であって、ヒトBcl−2(配列番号1または5)、ヒトBcl−XL(配列番号6)、ヒトBcl−w(配列番号7)、ヒトMcl1(配列番号8)、ヒトBfI1(配列番号9または10)、ヒトNrh(配列番号11)、ヒトBcl2L1(配列番号12)、ヒトDIVA(配列番号13)、ヒト骨髄細胞白血病配列1アイソフォーム1(配列番号14)、およびヒトBcl−xβ(配列番号15)からなる群より選択されることが好ましいBcl−2ファミリーのメンバーの前記野生型と少なくとも30%の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む、または前記アミノ酸配列からなるポリペプチド;前記野生型は、抗アポトーシス活性を有し;前記ポリペプチドをコードする核酸、および前記細胞において前記ポリペプチドの量および/または活性を増加させるための手段から選択され、前記要素(i)が無いときと比較すると前記要素(i)によって分化転換細胞収率が少なくとも30%向上し、且つ、前記要素(ii)が前記細胞を分化転換することが可能である転写因子、前記転写因子をコードする核酸、ならびに前記細胞において前記転写因子の量および/または活性を増加させるための手段から選択され、ヒトまたは動物の身体を治療処置するあらゆる方法が除外される前記方法に関する。

0002

本明細書において特許願書および製造業者マニュアルをはじめとする多数の文書引用される。これらの文書の開示は本発明の特許性に関連するとは考えられないが、これによりその開示の全体を参照して援用する。より具体的には、引用した全ての文書が、それぞれ個々の文書が参照により援用されると具体的および個別に表明された場合と同程度にまで参照により援用される。

背景技術

0003

幹細胞研究によって細胞および組織再生に対する様々なアプローチが産み出されている。幹細胞はそれらの多能性のため、それ自体が好ましい再生用出発物質である。しかしながら、それらの利用可能性は、特に自己起源のものの利用可能性は一般に限定的である。より最近のアプローチでは出発物質として分化細胞を使用することに関心が集まっている。脱分化と呼ばれる過程は充分に分化した細胞における多能性の回復を含む。一旦、多能性状態に達すると、得られた人工多能性細胞を次に後続の所望の細胞種への人工分化ステップの出発物質として使用することができる。細胞が多能性状態を経験することがこのアプローチのホールマークである。さらにより最近の、且つ、成績と収量の点で概して不満足である分化転換が記載されている。この用語は基本的に分化細胞を別の分化細胞に転換する過程であって、その分化転換過程の間に細胞が多能性状態を経験しない過程を示す。専門用語についても扱っている最近の総説はJopling et al. (Nature Reviews, Molecular Cell Biology, 11, 79-89 (2011))である。

0004

異なる系統への体細胞の直接的分化転換によって他の方法では簡単に利用できない特定の細胞種を作製することができる。これはインビトロで増殖させることができず、したが
って成体のヒトからの単離と増殖が不可能である神経細胞などの分裂終了細胞に特に当てはまる。したがって、様々な細胞種の完全機能性神経細胞への直接的分化転換(例えば、Berninger et al., Journal of Neuroscience, 27, 8654-8664, (2007)、Heinrich et al.,PLoS biology, 8, e1000373 (2010)、Vierbuchen et al., Nature, 463, 1035-1041 (2011)を参照されたい)は様々な種および細胞起源に由来する神経細胞を調査するために有用なアプローチである。しかしながら、そのような人工神経細胞(iN)の作製効率と純度満足できるものではなく、このダイレクトリプログラミング援助する基本原理解明されずにいる。我々は分化転換が時には「ダイレクトリプログラミング」と呼ばれることを特記する。

0005

ある特定の神経原性転写因子が知られているが、しかしながらそれらが機能する様式の基本原理は未だに解明されずにいる。例えば、分化転換の背景で活性化される直接的下流エフェクターはまだ分かっていない。したがって、iNの作製のために異なる器官に由来する細胞に異なる転写因子がどの程度まで必要であるのかも、様々な細胞種における発現が神経細胞の作製を促進する「神経マスター遺伝子」が存在するのかも明らかではない。一方では、星状細胞を神経細胞に分化転換するが線維芽細胞ではあまり効率的ではないように見えるNeurog2(Heinrich et al. (上掲)、 Vierbuchen et al. (上掲))や線維芽細胞では効率的であるが星状細胞ではそうではないMyt1lのように様々な細胞種でかなり異なる因子が機能することが示されている。反対に、Ascl1および/またはSox2などの他の転写因子が様々な細胞起源、例えば、星状細胞(Berninger et al.
(上掲)、 Heinrich et al. (上掲))、線維芽細胞(Vierbuchen et al. (上掲))および周皮細胞(Karow et al, Cell stem cell, 11, 471-476 (2012))に由来する神経細胞の作製に有用であることが示された。また、神経原性転写因子の効率はマウスおよびヒトなどの様々な種に由来する細胞でかなり異なるように見えることが多い(例えば、Vierbuchen et al. (上掲)を参照されたい)。同じ神経原性転写因子が細胞および種の背景に応じてNeuroDまたはSox11またはMyt1lなどの追加神経原性転写因子の個別の組合せを必要とすることが多い。したがって、どの程度まで共通または異なる機構がこれらの異なる出発細胞で機能しているのかは未だに理解しにくいままである。

0006

Bcl−2ファミリー抗アポトーシスメンバーであるBcl−2は脱分化過程に関係があるとされている。一般に、その抗アポトーシス特性は細胞運命の変更を含む過程における生存上昇に関与すると見られている。例えば、Kawamuraら(Nature 460, 1140-1144 (2009))は多能性幹細胞誘導する体細胞のリプログラミングについて記載している。著者らはBcl−2の過剰発現がアポトーシスを抑制し、且つ、多能性マーカーであるNanogを発現する細胞の頻度の上昇を観察した。Liuら(Stem Cells, 29, 2077-2089 (2011))は脱分化間葉系幹細胞においてBcl−2が過剰発現することを発見した。この出版物においてもBcl−2の抗アポトーシス特性が関連すると考えられている。その分野の先行技術の追加のホールマークは、1つより多くの転写因子、時には転写因子の複合混合物を使用して細胞運命の変更を達成することである。

0007

神経再生におけるBcl−2の関与および可能性のある役割はあまり明確ではなく、議論が定まっていない。例えば、BernierとParent(The Journal of Neurosciene, 18, 2486-2497 (1998))は神経未成熟のマーカーとしてのBcl−2について記載しており、切断されたアクソンの再生がこのタンパク質によって促進されることが示されていることをさらに特記している。それと正反対に、Inoueら(The Journal of Neuroscience, 22, 4468-4477 (2002))はBcl−2の過剰発現によってインビボでアクソンの再生が促進されないことを報告した。

0008

先行技術を鑑みて、分化細胞を分化転換するための代替的な、または改善された手段お
よび方法を提供することの中に本発明の根底にある技術的課題を見ることができる。この課題は添付されている特許請求の範囲によって解決された。

0009

上より、第1の態様において本発明は、分化細胞を分化転換する方法であって、少なくとも1種類の要素(i)および少なくとも1種類の要素(ii)と前記細胞を接触させることを含む方法であり、前記要素(i)が(a)BH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインからなる群より選択される少なくとも1つのドメインを含むポリペプチド;(b)Bcl−2ファミリーのメンバーの野生型またはその断片のアミノ酸配列を含む、または前記アミノ酸配列からなるポリペプチド;(c)Bcl−2ファミリーのメンバーの野生型またはその断片のアミノ酸配列を含む、または前記アミノ酸配列からなるポリペプチドであって、前記野生型またはその断片と比較すると1つ以上の点突然変異を含む前記ポリペプチド;(d)Bcl−2ファミリーのメンバーの野生型であって、ヒトBcl−2(配列番号1または5)、ヒトBcl−XL(配列番号6)、ヒトBcl−w(配列番号7)、ヒトMcl1(配列番号8)、ヒトBfI1(配列番号9または10)、ヒトNrh(配列番号11)、ヒトBcl2L1(配列番号12)、ヒトDIVA(配列番号13)、ヒト骨髄細胞白血病配列1アイソフォーム1(配列番号14)、およびヒトBcl−xβ(配列番号15)からなる群より選択されることが好ましいBcl−2ファミリーのメンバーの前記野生型と少なくとも30%の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む、または前記アミノ酸配列からなるポリペプチド;前記野生型は、抗アポトーシス活性を有し;前記ポリペプチドをコードする核酸、および、前記細胞において前記ポリペプチドの量および/または活性を増加させるための手段から選択され、前記要素(i)が無いときと比較すると前記要素(i)によって分化転換細胞の収率が少なくとも30%向上し、且つ、前記要素(ii)が前記細胞を分化転換することが可能である転写因子、前記転写因子をコードする核酸、ならびに前記細胞において前記転写因子の量および/または活性を増加させるための手段から選択され、ヒトまたは動物の身体を治療処置するあらゆる方法が除外される前記方法に関する。

0010

これに関して本発明は、分化細胞を分化転換する方法であって、(i)BH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインからなる群より選択される少なくとも1つのドメインを含むポリペプチド、前記ポリペプチドをコードする核酸、および/または前記細胞において前記ポリペプチドの量または活性を増加させるための手段であって、それぞれ前記ポリペプチド、前記ポリペプチドをコードする核酸、または前記細胞において前記ポリペプチドの量または活性を増加させるための手段が無いときと比較すると分化転換細胞の収率を少なくとも50%増加させる前記ポリペプチド、前記ポリペプチドをコードする前記核酸、または前記細胞において前記ポリペプチドの量または活性を増加させるための前記手段、ならびに(ii)前記細胞を分化転換することが可能である1つ以上の転写因子、前記1つ以上の転写因子をコードする1つ以上の核酸、および/または前記細胞において前記1つ以上の転写因子の量を増加させるための手段と前記細胞を接触させることを含む方法であり、ヒトまたは動物の身体を治療処置するあらゆる方法が除外される前記方法を提供する。

0011

「分化転換する」という用語は当技術分野において確立された意味を有する。特に、その用語は1種類の分化細胞を第2の別の種類の分化細胞に転換することを指す。脱分化とその後の分化と異なり分化転換は本質的に多能的である中間状態を伴わない。本発明に準ずる分化転換は分裂細胞または非分裂細胞を用いて実施され得る。さらに、本発明に準ずる分化転換は増殖性細胞および非増殖性細胞を用いて実施され得る。

0012

多能性状態の回避には明白な利点がある。例えば、多能性細胞は腫瘍原性である可能性があると一般に理解されている。したがって、分化細胞を調製する代替的経路であって、多能性状態を介して進行する代替的経路と比較すると高い程度の安全性が多能性状態の回
避によって与えられる。さらに、直接的分化転換によって最初の脱分化ステップが回避され、したがって所望の細胞種を得るために必要な時間が短くなる。

0013

「分化細胞」という用語は当技術分野において確立された意味を有する。分化細胞は特殊化細胞である。そのような特殊化細胞種の例は筋細胞と神経細胞である。多数の例において分化細胞は成熟した生物のある特定の組織に限定される。通常の状況下では分化細胞は脱分化も細胞運命の他の変更もできない。実施例において示されているように、本発明の方法は出発細胞種(上文では「分化細胞」とも呼ばれている)と無関係に機能する。外胚葉起源の分化細胞に限定されることは特にない。むしろ、本方法は様々な胚葉に由来する分化細胞に対して効率的に機能する。また、本方法は異なる種を起源とする細胞について機能する。このことは全て本明細書に添付されている実施例によって証明される。

0014

特定の理論に捉われることを望むものではないが、分化転換過程は標的分化細胞(出発細胞種)の遺伝子発現パターンの変化を伴うと考えられている。したがって、本発明の第1の態様の要素(i)および(ii)はそれらの作用を及ぼすために好ましくは標的分化細胞の細胞膜を通過しなくてはならないことが理解される。言い換えると、そのような細胞膜の通過を可能にする条件下で前記接触が達成されることが好ましい。当業者は適切な方法を知っている。特定の理論に捉われることを望むものではないが、転写因子がそれらの作用を及ぼすにはそれらの転写因子が細胞核中に存在する必要があるとさらに考えられている。第1の態様の要素(i)に準ずるポリペプチドに関しても前記ポリペプチドが細胞核の中に存在するときにその作用を及ぼすと指摘されている。細胞核内での存在は、細胞核への送達、または細胞膜の通過が分化転換の達成にとって概ね充分であるような標的分化細胞内に存在する輸送機構のどちらかによって達成され得る。

0015

第1の態様の要素(i)および(ii)に準ずる作用剤が核酸である限り、形質導入および形質移入が細胞を前記作用剤と接触させる好ましい手段である。細胞への核酸の送達を支援する目的で様々な化学物質が記載されており、そのような化学物質にはリン酸カルシウムリポソーム形成可能な両親媒性分子、およびポリエチレンイミンなどのカチオン性重合体が含まれる。一般的に使用される形質移入用の試薬キット、特に初代線維芽細胞の形質移入用のものはNucleofactorTキット(Lonza)とFuGENE(登録商標)6形質移入試薬(プロメガ、ロッシュ・アプライド・サイエンス)である。物理的方法には電気穿孔法遺伝子銃の使用が含まれる。その他の代替法ではウイルスベクターとして使用され得る。

0016

細胞へのペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の送達にも物理的方法および化学的方法が採用されている。多数の例において、送達されるポリペプチドに短鎖ペプチドを融合することにより、細胞膜を通過するタンパク質画分を増やすことができる。これらの短鎖ペプチドは当技術分野において細胞透過性ペプチドCPP)またはタンパク質形質導入ドメイン(PTD)として知られている。

0017

ポリペプチドまたは前記ポリペプチドをコードする核酸の送達が好ましく、核酸の送達が特に好ましいが、本発明の実施を目的とするその他の選択肢が想定される。この点に関し、第1の態様に準ずるポリペプチドの野生型は分化転換される分化細胞に存在するゲノムDNAによってコードされることが理解される。同様に、第1の態様に準ずる前記転写因子の野生型も前記分化細胞の内在性DNAによってコードされる。前記内在性因子が使用される限り、対応する翻訳産物、すなわち、前記ポリペプチドまたは前記転写因子の量および/または活性を増加させることが可能であるあらゆる手段が本発明の実施にとって適切である。例を挙げると、前記ポリペプチドの発現、例えば、ヒトBcl−2の発現を上昇させる転写因子が適切な手段である。前記ポリペプチドの発現および/または活性を増加させるためのその他の手段は本明細書において「Fk」とも示されるホルスコリン
ある。細胞によって内在的にコードされていない要素(i)および(ii)に対しても上記の考慮事項が必要な変更を加えて適用される。その場合にも核酸またはポリペプチドを提供する代わりに、またはそれに加えて発現および/または活性を増加させるための手段が提供され得る。後者の場合でもホルスコリンは好ましい手段である。

0018

「ポリペプチド」という用語が当技術分野において知られており、且つ、アミノ酸重縮合体を指す。前記ポリペプチドにおけるアミノ酸の最小数は第1の態様において提供される前記ポリペプチドの定義に準ずる要件のいずれかによって規定される。前記ポリペプチドは少なくとも10個のアミノ酸を含むことが完全を期すために特記される。構成要素に関しては20種類のタンパク質構成性アミノ酸が優先される。それらのアミノ酸は例えばグリコシル化アセチル化リン酸化および当技術分野においてよく知られているその他の修飾によって修飾されてよい。末端は保護されてよく、例えば、アミノ末端がアセチル化されてよく、および/またはカルボキシ末端アミド化されてよい。20種類のタンパク質構成性アミノ酸に加えて他のアミノ酸がそれら構成要素の最大で10%、最大で20%、最大で30%、最大で40%または最大で50%までを構成してよい。そのような他のアミノ酸にはα−アミノ酸であるセレノシステインピロリシンヒドロキシプロリンおよびセレノメチオニンが含まれるが、あまり好ましくない実施形態ではβ−アミノ酸も含まれる。それらの構成要素間の結合に関して所与のアミノ酸のカルボキシル基と後続のアミノ酸のアミノ基との間のペプチド結合が優先される。とはいえ、最大で10%、最大で20%、最大で30%、最大で40%または最大で50%までのイソペプチド結合、すなわち、側鎖カルボキシレートおよび/またはアミンが関与するペプチド結合の存在が想定される。構成要素の最大で10%、20%、30%、40%または50%までが乳酸などのα−ヒドロキシ酸であり得、その結果、隣接する構成要素を接続する官能基の対応する部分がエステル基である。エステル結合の割合が上で列挙された値を超えない限り、デプシペプチド、すなわち、隣接する構成要素がペプチド結合またはエステル結合によって接続されている化合物は「ポリペプチド」という用語に包含される。ペプチド模倣体の使用も想定される。ペプチド模倣体は、1個以上のアミノ酸、ポリペプチドの部分配列、またはポリペプチド全体が置換される前記アミノ酸、前記部分配列または前記ポリペプチドの構造を模倣する部分によって置換されている点で前記ポリペプチドと異なる化合物である。

0019

とはいえ、構成要素が専らペプチド結合によって接続され、および/または専ら20種類のタンパク質構成性アミノ酸によって構成されるポリペプチドが特に優先される。

0020

当技術分野において確立されているように、「核酸」という用語は少なくとも30ヌクレオチドを含むことが好ましいヌクレオチドの重縮合体を指す。前記ヌクレオチドに含まれる塩基アデニングアニンシトシンチミン、およびウラシルから選択されることが好ましい。2’−O−メチル修飾などの当技術分野において確立された修飾が存在してよい。その用語にはcDNAおよびゲノムDNAなどのDNA、ならびにRNAが含まれる。好ましいRNAはmRNAである。

0021

「から選択される」という語句は、後ほど数を数えられる要素のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多くを使用してよいことを表している。例として、要素(i)に関して定義された前記ポリペプチドをコードする核酸および前記手段を要素(i)として使用することにより第1の態様に従う方法を作成することができる。前記核酸(だけ)を使用することが特に好ましい。

0022

本発明の第1の態様の要素(a)に従うポリペプチドは少なくとも1つの保存ドメインを含み、前記保存ドメインはBH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインからなる群より選択される。これらの4つのドメインはアポトーシス制御に
関与する特定のクラスのタンパク質の特色となる特徴である。驚くべきことに本発明者らはそれら前述のドメインのうちの少なくとも1つを含むポリペプチドが前述のアポトーシスへの関与に加えてその他の機能を特徴とする可能性がかなり高いことを発見した。このその他の機能は分化細胞の分化転換の強化である。(i)BH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインからなる群より選択される少なくとも1つのドメインの存在と分化細胞の分化転換を強化する可能性との間の関係を確立する本発明の教示、(ii)前述のドメインの当技術分野において確立された定義(詳細については下記参照)、および(iii)分化転換の強化を定量するためのアッセイ(詳細については下記参照)が提供されると、第1の態様の要素(i)の要件に合致するポリペプチドを直接的に特定することができ、且つ、本発明を首尾よく実施することができる。

0023

次のポリペプチド、すなわち、BH1ドメインを含むが、BH2ドメイン、BH3ドメイン、およびBH4ドメインを含まないポリペプチド;BH2ドメインを含むが、BH1ドメイン、BH3ドメイン、およびBH4ドメインを含まないポリペプチド;BH4ドメインを含むが、BH1ドメイン、BH2ドメイン、およびBH3ドメインを含まないポリペプチドも本発明に準ずるポリペプチドであることが理解される。BH3ドメインだけを含むポリペプチドは、特にそのようなポリペプチドがアポトーシス促進作用を有している限りあまり好ましくない。本発明に準ずるその他のポリペプチドはBH1ドメインとBH2ドメインを含むが、BH3ドメインとBH4ドメインを含まないポリペプチド;BH1ドメインとBH3ドメインを含むが、BH2ドメインとBH4ドメインを含まないポリペプチド;BH1ドメインとBH4ドメインを含むが、他のBHドメインのいずれも含まないポリペプチド;BH2ドメインとBH4ドメインを含むが、他のBHドメインのいずれも含まないポリペプチド;BH3ドメインとBH4ドメインを含むが、他のBHドメインのいずれも含まないポリペプチド;BH2ドメインとBH3ドメインを含むが、他のBHドメインのいずれも含まないポリペプチドである。3つのBHドメインを含み、BHドメインをそれ以上含まないポリペプチドも包含され、前記3つのBHドメインは(i)BH1ドメイン、BH2ドメインおよびBH3ドメイン;BH1ドメイン、BH2ドメインおよびBH4ドメイン;BH1ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメイン;またはBH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインである。最後に、且つ、特に、BH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインを含むポリペプチドが好ましい。これらのポリペプチドの全てで膜貫通ドメイン(そのような膜貫通ドメインは例えばヒト野生型Bcl−2に存在する)は存在していても存在していなくてもよく、後者の選択肢が好ましい。

0024

第1の態様の要素(b)、(c)および(d)は本発明に準ずるポリペプチドの特徴を明らかにする代替的手段である。

0025

要素(b)に準ずる「断片」という用語はその最も広い形態で第1の態様に準ずる要件によって限定される他には特に限定されない。好ましい実施形態ではその断片はBcl−2ファミリーのメンバーの野生型のアミノ酸配列の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%からなり、前記野生型は抗アポトーシス活性を有し、且つ、好ましくは第1の態様の要素(d)に準じて規定されるBcl−2ファミリーメンバーから選択される。

0026

同様に、要素(c)に準ずる点突然変異の数は第1の態様に準ずる要件によって限定される他には特に限定されない。好ましい実施形態では「より多くの点突然変異」は2か所、3か所、4か所、5か所、6か所、7か所、8か所、9か所、または10か所の点突然変異である。

0027

第1の態様の要素(d)はヒトBcl−2、ヒトBcl−XL、ヒトBcl−w等の1
つ1つを中心とするポリペプチドのクラスを規定する。配列同一性の程度は少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%であることが好ましい。配列同一性の決定方法が当技術分野において知られている。当技術分野において知られている適切なコンピュータプログラムを使用して2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を電子的に整列させることができる。そのようなプログラムBLAST(Altschul et al., J. Mol. Biol. 215, 403-410 (1990))、WU−BLAST(Altschul & Gish, MethodsEnzymol. 266, 460-480 (1996))のようなその改変型FASTA(Pearson & Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 2444-2448 (1988))またはSmith−Watermanアルゴリズムの処理系(SSEARCH、 Smith
& Waterman, J. Mol. Biol. 147, 195-197 (1981))を含む。これらのプログラムはペアワイズ配列アラインメントを提供することに加えて配列同一性レベル(通常はパーセント同一性)とそのアラインメント偶然に生じる確率(P値)も報告する。CLUSTALW(Higgins et al., Nucleic Acids Res. 22, 4673-4680 (1994))のようなプログラムを使用して2つより多くの配列を整列させることができる。それぞれのコンピュータプログラムの公開された通りの初期設定を使用することが好ましい。好ましいアラインメントプログラムはBLAST(上掲)である。

0028

本発明の文脈の中でヒトBcl−2、ヒトBcl−XL、ヒトBcl−w等である所与の基準配列の上で規定された配列同一性レベルのいずれかの範囲内にあるあらゆる突然変異体を前記基準配列に「由来」する突然変異体として使用することが好ましい。多数の例において、且つ、下でこのことをさらに詳細に説明するが、抗アポトーシス機能を低下させる、または無効にするには、および/または分化転換能を増強するには野生型配列のわずかな変更で充分である。

0029

要素(d)に準ずるタンパク質のいずれかが1種類より多くのスプライシング変異体として天然で生じる限り、そのようなスプライシング変異体のどれもが本発明によって包含され、配列同一性に関して規定されるホモログを定義するための基準としてさらに役に立つ(下記参照)。Bcl−2−βアイソフォームとして知られるヒトBcl−2の変異体が本明細書により配列番号5として含まれる。配列番号1の配列を有する形態のヒトBcl−2が優先される。

0030

ヒトBcl−XLの配列が本明細書により配列番号6として含まれる。ヒトBcl−wの配列が配列番号7として含まれる。ヒトMcl1の配列が配列番号8として含まれる。ヒトBfl1のアイソフォーム1および2の配列がそれぞれ配列番号9および10として含まれる。ヒトNrhの配列が配列番号11に提供される。ヒトBcl2L1の配列が配列番号12に提供される。ヒトDIVAの配列が配列番号13に提供される。ヒト骨髄細胞白血病配列1アイソフォーム1の配列が配列番号14に提供される。ヒトBcl−xβの配列が配列番号15に提供される。

0031

上記の要素(a)および要素(d)に準ずる要件の組合せも好ましい。

0032

「Bcl−2ファミリー」という用語が当技術分野において確立されている(Chao and
Korsmeyer, Annu. Rev. Immunol. 16, 395-419 (1998))。「Bcl−2」という用語は野生型で抗アポトーシス活性を有するこのファミリーのメンバーを示す。「Bcl−2」はそれが起源とする生物または種に限定されない。

0033

分化転換の強化の程度を決定するための適切なアッセイは次のとおりである。神経原性転写因子Ascl1をコードする核酸と分化細胞、好ましくはヒト成体線維芽細胞を接触させる。候補ポリペプチドが存在しているときとそれが存在していないときに前記接触を
行う。その後、分化転換細胞、このアッセイでは神経細胞の数量を計測する。候補ポリペプチドの存在下で得られた神経細胞の数がその不在下で得られた神経細胞の数を少なくとも30%超える場合、前記候補ポリペプチドが本発明の第1の態様に準ずるポリペプチドである。神経細胞の数を定量するためのアッセイは、専ら神経細胞において発現するタンパク質、例えば、βIIIチューブリンニューロフィラメントダブルコルチンまたはMAP−2などを認識する特異的抗体を使用する免疫細胞化学によって通常実施される。好ましくは、βIIIチューブリン免疫染色が用いられる。例えば、リン酸緩衝生理食塩水PBS)中の4%パラホルムアルデヒド(PFA)の中で培養物を室温で10分間にわたって固定し、PBS中で洗浄し、PBS中の0.5%トリトンX−100の中で30分間にわたって前処理し、続いてPBS中の2%BSAと0.5%トリトンX−100の中で30分間にわたってインキュベートする。一次βIIIチューブリン抗体(マウスIgG2b、Sigma、T8660)と一次RFP抗体(ウサギ、1:500、Chemicon、AB3216、または1:2000、Rockland、600−401−379)をPBS中の2%BSA(1:500)、0.5%トリトンX−100の中で標本に対して4℃で一晩インキュベートする。PBS中での洗浄の後にそれぞれCy(商標)2およびCy(商標)3が複合体化した二次抗マウス抗体および二次抗ウサギ抗体(1:500、Jackson ImmunoResearch)と細胞をインキュベートする。その後で落射蛍光顕微鏡法により二重陽性細胞(βIIIチューブリン+およびRFP+)の数を分析することができる。

0034

好ましい実施形態では分化転換の強化の程度は少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、少なくとも10倍、20倍、50倍または少なくとも100倍である。

0035

4つの上述のBcl−2相同ドメインが当技術分野において知られており、例えばペアワイズ配列アラインメント、マルチプル配列アラインメント、または保存モチーフもしくは保存ドメインのデータベースを使用する配列分析であって好ましいデータベースがPfam(Punta et al., Nucleic acid research database issue 40: D290-D301 (2012))である配列分析によってそれらのドメインの存在を決定することができる。前述のドメインの存在を決定することを目的として、初期設定を使用して2013年3月のバージョン27.0のPfamデータベースおよびアルゴリズムを使用することが好ましい。例示目的で我々は、BH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインが強調されている配列アラインメントをそれぞれ表示しているInoharaら(The Journal of Biological Chemistry, Issue of December 4, 273, 32479-32486 (1998))およびInoharaら(The Journal of Biological Chemistry, Issue of April 10, 273,
8705-8710 (1998))をさらに参照する。BH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインに(この順序で)対応する残基範囲は次のとおりである:ヒトBcl−2(配列が配列番号1として本明細書に添付されている)中の136〜155、187〜202、97〜105、および7〜30;マウスBcl−2(配列番号3)中の133〜151、184〜198、94〜102、および7〜30。

0036

「BH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインからなる群より選択される少なくとも1つのドメインを含むポリペプチド」という用語は野生型(上記要素(b)を参照されたい)と人為型の両方を含み、前記人為型は天然の同一な対応物を有しない(それが断片、要素(c)および(d)に関する限り、上記要素(b)を参照されたい)。前記人為型の範囲内で野生型に由来する突然変異体が優先され、所与の突然変異体が野生型に由来するという事実は配列同一性の観点で表現される。上記要素(d)を参照されたい。野生型ポリペプチドを使用する限り、前記野生型が抗アポトーシス活性を有していることが好ましい。本発明者らはBH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ド
メインおよびBH4ドメインから選択される少なくとも1つのドメインを含むポリペプチド群の中に分化転換能を特徴とする可能性が高く、抗アポトーシス活性を特徴とする亜群が存在することを発見した。第1の態様の要素(a)において定義された(前述のドメインのうちの少なくとも1つの存在で定義された)ポリペプチド群の野生型メンバーについて、それらのメンバーが抗アポトーシス活性を有しているかどうかが一般に知られている。特許請求項の文言(ドメインの存在;抗アポトーシス活性)に一致する野生型ポリペプチドの例はBcl−2、Bcl−XL、Bcl−w、Mcl1、Bfl1、Nrh、Bcl2L1、DIVA、骨髄細胞白血病配列1アイソフォーム1、およびBcl−xβである。アポトーシスの存在、不在および程度は、例えば、ビデオタイムラプストラッキングによって(添付されている実施例も参照されたい)、特定のアポトーシス事象カスパーゼ−3切断、Nicholson, D. W. et al. (1995) Nature 376, 37-43.)の免疫染色によって、または市販のキット(例えばAPO LOGIX(商標)カルボキシフルオレセインカスパーゼ検出キットとして知られるCell Technologyのカスパーゼ/アポトーシス検出キット)を使用して決定され得る。

0037

第1の態様の要素(ii)は転写因子に関する。1つ以上の転写因子を使用してよい。「転写因子」という用語は当技術分野において確立された意味を有する。その用語は1つ以上の遺伝子の発現レベル改変するポリペプチドまたはタンパク質(「タンパク質」という用語はポリペプチドならびに非共有結合または共有結合により相互に結合した1つより多くのポリペプチドを含む組成物を含む)を指し、前記1つ以上の遺伝子はその転写因子の標的遺伝子とも呼ばれる。転写因子はその作用を及ぼすために概して核の中に入らなくてはならない。転写因子が1つ以上の標的遺伝子のプロモーター領域および/またはエンハンサー領域に結合することが好ましい。前記1つ以上の転写因子は前記細胞を分化転換することが可能である。したがって、前記1つ以上の転写因子は細胞運命が変化するように標的とされた分化細胞の遺伝子発現プロファイルを改変する。幾つかの例では転写因子、または典型的には1つより多くの転写因子の混合物によって分化転換が引き起こされ得るが、得られる細胞の収量ならびに純度は一般的に低い。上文の先行技術文献の考察を参照されたい。さらに、ある特定の種類の細胞を分化転換過程の最後に得るためにどの転写因子が有用であるについて確立された知見が存在する。したがって、公知の転写因子がそれらの投与時に得ることができる細胞の種類に準じてグループ化されている。そのようなグループには筋原性転写因子と神経原性転写因子が含まれる。

0038

「転写因子」という用語は野生型転写因子ならびにそれらの機能性断片の両方を包含することが理解される。転写因子の機能性断片に関する「機能性」という用語は細胞を分化転換することが可能である断片であって、より好ましくは対応する野生型転写因子を使用すると達成可能である分化転換の程度の少なくとも50%を達成する断片を定義する。転写因子の断片が本発明に準ずる機能性断片であるか決定するために次のアッセイが実施され得る。第1アッセイにおいて分化細胞、好ましくは成体線維芽細胞を所与の転写因子と接触させてよく、第2アッセイにおいてその転写因子の断片と接触させてよい。その接触の後に分化転換細胞の数を決定する。例えば、前記転写因子がNeurog2である場合に前記分化転換過程によって得られる細胞は神経細胞である。第1アッセイで得られた神経細胞の数量の少なくとも50%が第2アッセイによってもたらされる場合、前記転写因子の前記断片は本発明に準ずる機能性断片である。

0039

要素(i)と同様に、1つ以上の転写因子をコードする1つ以上の核酸を使用することが好ましい。その他の代替法として、前記細胞において前記1つ以上の転写因子の量および/または活性を増加させる手段を使用してよい。

0040

本方法は転写因子と無関係に機能する。このことは実施例において示されている。また、先行技術の方法は転写因子の混合物を日常的に使用しているが、本発明の方法は、前記
ポリペプチドによって付与される分化転換の強化に少なくとも部分的に起因して、たった1つの転写因子しか存在しないときでも効率的に機能する。「1つの転写因子」という用語は1種類の転写因子を指し、前記種類は特定のアミノ酸配列に関して規定される。1つの転写因子を使用して本発明が実施される限り、他の転写因子が存在しないことが理解される。「1つの転写因子」という用語は、少なくとも必ずしも一分子を意味しない。

0041

本明細書に添付されている実施例によって証明されるように、本発明に従う方法は著しく高率の分化転換(最大で100%)を特徴とする。効率が高いだけでなく、分化転換時に得られる分化細胞の純度の程度も高い。特定の理論に捉われることはないが、その高い程度の純度は少なくとも2つの特徴に起因し得る。第1に、多能性状態または多能性出発物質の回避。第2に、およびこれは下で詳細に説明される好ましい実施形態の主題であるが、本発明の方法はたった1つの転写因子しか使用されない実施例においても素晴らしい働きをする。得られた細胞の純度を保証するその他の手段は、たった1つの転写因子しか使用しないことである。

0042

本発明者らは分化転換のチェックポイント酸化ストレスに依存することをさらに発見した。好ましくは、前記酸化ストレスは脂質の過酸化反応である。Drummenおよび共同研究者によって記載される方法(Drummen et al., 2002)の中に脂質過酸化の判定例を見出すことができる。「チェックポイント」という用語は当技術分野において確立された意味を有する。特に、その用語は細胞運命を決定する細胞機構を指す。分化転換の背景ではチェックポイントは細胞が分化転換の経路を進むのか、または細胞がアポトーシスまたはフェロトーシスであることが典型的である異なる運命を経験するのか決定する。フェロトーシスはイオン依存型の非アポトーシス性細胞死である(Dixon and Stockwell, 2014)。酸化ストレス、特に脂質過酸化は分化転換に対する阻害効果を有し、我々は分化転換中の細胞において要素(i)によって脂質過酸化とフェロトーシスが減少することを観察した。

0043

結果として、上で規定された要素(i)の代わりに代替的な要素(iii)を使用してよいことが発見された。下記参照。同時に我々はBCl−2と本明細書において開示されるその誘導体をそれらの細胞機能の観点から抗酸化剤として見ることもできることを特記する。

0044

以上より、本発明の第1の態様は分化細胞を分化転換する代替的方法にまで拡大する。より具体的には、分化細胞を分化転換する方法であって、少なくとも1種類の要素(iii)および少なくとも1種類の要素(ii)と前記細胞を接触させることを含む方法であり、前記要素(iii)によって脂質過酸化が減少し、前記要素(iii)が(a)ビタミンD受容体、その機能ホモログ、および前記受容体またはその前記機能ホモログをコードする核酸、(b)ステロイド性抗酸化剤、好ましくはカルシトリオール、(c)フェノール性抗酸化剤、好ましくはトコフェロールまたはトコトリエノール、および(d)キノン、好ましくはコエンザイムQから選択されることが好ましく、且つ、前記要素(ii)が前記細胞を分化転換することが可能である転写因子、前記転写因子をコードする核酸、ならびに前記細胞において前記転写因子の量および/または活性を増加させるための手段から選択され、ヒトまたは動物の身体を治療処置するあらゆる方法が除外される前記方法が提供される。

0045

一般的に言って、脂質過酸化を減少することが可能であるあらゆる作用剤または化合物が適切な要素(iii)である。この点で好ましい作用剤は要素(a)、(b)、(c)および(d)の作用剤である。

0046

前記ビタミンD受容体がヒトまたはマウスのビタミンD受容体(それぞれ配列番号16
および17)であることが好ましい。前記ビタミンD受容体の前記ホモログは前記ビタミンD受容体の配列に対してアミノ酸レベルで80%、90%、95%または98%の配列同一性を示すことが好ましい。機能ホモログはビタミンD受容体依存性経路の抗酸化剤機能を保存するホモログである。

0047

上で特記したように、要素(b)に準ずる好ましいステロイド性抗酸化剤は1α,25(OH)2−コレカルシフェロールまたは1α,25(OH)2−ビタミンD3としても知られるカルシトリオールである。別の好ましいステロイド性抗酸化剤はビタミンD3である。

0048

多数の天然フェノール類が抗酸化剤としてよく知られている。好ましいサブクラスビタミンEとして知られている。同様にビタミンEは一群の化合物を指定する。抗酸化特性を有するビタミンEファミリーのメンバーだけが本発明の関心である。これらには前述のトコフェロールとトコトリエノールが含まれる。α−トコフェロールが特に好ましい。

0049

キノンもよく知られたビタミン抗酸化分子である。好ましいキノンはコエンザイムQである。

0050

「少なくとも1種類の要素」と記述されるときはいつでも1種類の要素が優先される。他方、「少なくとも1種類の」という用語は上文で規定された要素(i)、要素(ii)または要素(iii)である2種類の、3種類の、4種類の、5種類の、またはそれより多くの要素も包含すると理解される。

0051

好ましい実施形態では第1の態様の方法はインビトロまたはエクスビボで実施される。

0052

「インビトロ」という用語は本方法の全体がヒトまたは動物の身体の外側で実施されることを必要とする。「インビトロ」という用語はその他のあらゆる制限を意味しない。分化転換される分化細胞が1種類の生物または種に由来し、且つ、分化転換過程の結果として得られた細胞が異なる生物または種に投与されることが考えられる。それらの実際の獲得ステップと投与ステップは上で規定された第1の態様の文言に含まれていない。

0053

「エクスビボ」という用語は、分化転換される分化細胞が1種類の生物から採取され、且つ、分化転換過程の結果として得られた細胞が同じ生物または異なる生物に再導入される実施例を包含する。とはいえ、分化細胞の獲得過程も分化転換細胞の再導入過程も本発明の第1の態様の文言に含まれていないことが理解される。

0054

完全を期すために、本発明は第1の態様に準じて規定される方法であって、ヒトまたは動物から分化細胞を得るステップ、および/または本方法によって得られた分化転換細胞を同じ生物または異なる生物に導入する(エクスビボ用途の場合は再導入する)ステップが前記接触の前に来る方法も企図していることが特記される。前記異なる生物は同じ種または異なる種の生物であり得る。好ましい種は哺乳類動物、特にヒトである。後者の場合、前記方法が分化転換細胞の導入ステップを含む限り前記方法は治療用途を包含する、または治療用途に限定される。治療を受けることができる適応症は下でさらに詳細に説明される。

0055

第2の態様において、本発明は、(a)少なくとも1種類の要素(i)および少なくとも1種類の要素(ii)、(b)少なくとも1種類の要素(iii)および少なくとも1種類の要素(ii)、または(c)少なくとも1種類の要素(i)、少なくとも1種類の要素(ii)、および少なくとも1種類の要素(iii)を含む、またはそれらからなる配合物を提供し、前記要素の各々は上で規定されたとおりである。要素(i)、要素(i
i)および要素(iii)(a)には核酸が好ましい。

0056

前記配合物は単一の組成物として提供されてよく、その場合に前記組成物は混合物である。あるいは、前記要素およびさらには、複数のいずれかの要素が使用される限り、個々の要素の各々が別々に、例えば、別々のバイアル瓶の中に提供され得る。それに関して、本発明は下でさらに詳細に説明されるキットも提供する。インビトロ用途用にキットを設計してよいが、それらのキットは診断用途に有用であってもよい(これも下でさらに詳細に説明される)。

0057

また、前記配合物は治療用途も有する。したがって、本発明は前記配合物と所望により薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む、またはそれらからなる医薬組成物も提供する。さらに、本発明に従う配合物または医薬組成物の中に不特定の治療薬が含まれていてもよい。それでも、活性薬剤として明示的に列挙されている成分だけを含む医薬組成物が好ましい。

0058

適切な医薬担体、賦形剤および/または希釈剤の例が当技術分野においてよく知られており、それらの例にはリン酸緩衝生理食塩水、水、水中油型乳液のような乳液、様々な種類の湿潤剤無菌溶液等が含まれる。そのような担体を含む組成物はよく知られている従来法によって製剤化され得る。これらの医薬組成物は適切な用量で対象に投与され得る。それらの適切な組成物の投与は様々な方法で、例えば、静脈内投与髄腔内投与、眼内投与、腹腔内投与皮下投与筋肉内投与局所投与、皮内投与、鼻腔内投与または気管支内投与によって達成され得る。前記投与が注射によって行われることが特に好ましい。それらの組成物は標的部位へ直接的に、例えば、筋肉または脳のような外部標的部位または内部標的部位への微粒子銃による送達またはウイルスベクターによる送達によって投与されてもよい。主治医および臨床学的因子によって投与計画が決定される。医療分野においてよく知られているように、どの1人の患者についてもその投与量は、患者の体格体表面積年齢、投与される特定の化合物、性別、投与時間と投与経路、一般健康状態、および所望により同時に投与されている他の薬品をはじめとする多くの因子に依存する。タンパク質性薬学的活性物質は1用量当たり1kgの体重に対して1ngと10mgの間の量で存在してよい。しかしながら、この例となる範囲より下または上の用量が特に前述の因子を考慮して想定される。投与法が連続点滴である場合、その投与法も1分当たり1キログラムの体重に対して1ng単位から10mg単位の範囲にあるほうがよい。

0059

1つ以上の転写因子が使用されるかどうかに応じて次に再生目的で使用され得る様々な種類の分化転換細胞が得られる。また、前記分化転換細胞は治療目的でその場で作製され得る。したがって、第4の態様において本発明は、機能性神経細胞の消失および/または機能性筋細胞の消失を特徴とする神経障害または筋障害を治療または予防する方法に使用するための上で規定された配合物であって、前記1つ以上の転写因子が神経原性転写因子および筋原性転写因子から選択され、好ましくは分化細胞を分化転換することによって前記治療または予防が達成される前記配合物を提供する。

0060

これに関して、本発明は、機能性神経細胞の消失を特徴とする神経障害を治療または予防する方法に使用するための上で規定された配合物であって、前記1つ以上の転写因子が神経原性転写因子から選択され、好ましくは分化細胞を分化転換することによって前記治療または予防が達成される前記配合物を提供する。

0061

これに関して、本発明は、機能性筋細胞の消失を特徴とする筋障害を治療または予防する方法に使用するための上で規定された配合物であって、前記1つ以上の転写因子が筋原性転写因子から選択され、好ましくは分化細胞を分化転換することによって前記治療または予防が達成される前記配合物を提供する。

0062

前述の機能性神経細胞の消失または機能性筋細胞の消失は部分的消失または完全消失であり得る。「消失」という用語はそれぞれの細胞それ自体が例えばアポトーシスまたはネクローシスの結果として失われるシナリオを包含し、前記神経細胞または筋細胞の機能が失われるシナリオもさらに包含する。神経細胞の機能には情報の伝達が含まれる。筋細胞の機能には収縮性が含まれる。

0063

好ましい実施形態では(a)前記神経障害はアルツハイマー病レビー小体型認知症パーキンソン病てんかん、および中枢神経系の外傷性損傷または虚血性損傷をはじめとする神経変性障害から選択される。

0064

さらに好ましい実施形態では(b)前記筋障害は慢性コンパートメント症候群アイザック症候群横紋筋融解筋ジストロフィー重症筋無力症筋萎縮性側索硬化症ALS)、多発性硬化症(MS)、フリードリッヒ運動失調症ランバート・イートン症候群、およびケネディー病から選択される。

0065

第2の態様に従う配合物、第3の態様に従う医薬組成物、および第4の態様に従う使用のための配合物の好ましい実施形態では前記配合物または組成物はそれぞれ分化転換を受けることができるインビトロ細胞をさらに含む。分化転換を受けることができる好ましい細胞はヒト成体線維芽細胞をはじめとする線維芽細胞である。分化転換を受けることができる前記細胞が自家細胞であることも好ましい。

0066

この好ましい実施形態は、本発明に従う配合物が送達される予定の部位における分化転換を受けることができる細胞の存在に依存しない。代わりに、分化転換を受けることができる細胞が前記配合物または組成物のそれぞれの中の第3の要素として含まれる。成熟線維芽細胞をはじめとする線維芽細胞は簡単に入手できるので好ましい。

0067

本発明者らはBcl−2相同ドメインを含むタンパク質の機能を調査し、一方ではアポトーシス関連機能であって、他方では分化転換関連機能である2つの異なる機能を初めて明確に解明した。したがって、幾つかの好ましい実施形態がこれまでに開示された本発明の様々な態様のポリペプチド(要素(i))の好ましい態様に関連する。

0068

好ましい実施形態では前記ポリペプチドは、(a)アミノ酸配列が配列番号1に示されているヒトBcl−2と比較すると低下した抗アポトーシス機能を有しているか、またはその抗アポトーシス機能を失っており、および/または(b)ヒトBcl−2よりも高い程度にまで分化転換細胞の収率を向上させる。

0069

この好ましい実施形態の態様(a)は、抗アポトーシス機能は候補ポリペプチドの特定にとって有用な基準であるが、実際には無くてもよいという本発明者らの驚くべき発見に関する。Bcl−2ファミリーメンバーの抗アポトーシス特性が分化過程におけるBcl−2の推定上の役割に重要であるという理解が先行技術において優勢であることを考慮するとこの発見は驚くべきものである。

0070

抗アポトーシス機能を例えばTUNELアッセイ、DePsipherアッセイ(R&Dシステムズ)ならびにヨウ化プロピジウムおよびカスパーゼ−3の染色のような標準的方法によってアッセイすることができ、あるいは細胞死をタイムラプスビデオ顕微鏡法(実施例において提供される方法も参照されたい)によって分析することができる。タイムラプスビデオ顕微鏡法によってアポトーシス細胞を検出し、適格とすることが好ましい。これにより細胞死の直接的観察が可能になる。詳細は実施例の方法の節に提供される。抗アポトーシス機能の低下を決定するための基準として配列番号1の配列からなるヒトBc
l−2を使用することができる。好ましくは、抗アポトーシス機能の低下はヒトBcl−2と比較すると少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%または少なくとも50%である。「その抗アポトーシス機能を失っている」という用語は、上で記載されたような抗アポトーシス機能のアッセイを用いると測定可能な抗アポトーシス機能を全く働かせない突然変異体に適用される。上で特記したように、抗アポトーシス機能の低下はアポトーシスの増加を測定することによっても決定され得る。言い換えると、ヒトBcl−2と比較すると低下した抗アポトーシス機能を同時に有する上で規定されたポリペプチドはヒトBcl−2の代わりに使用されるとアポトーシスの増加をもたらす。アポトーシスがヒトBcl−2と比較すると少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%増加することが好ましい。アポトーシスの存在と程度は上文で開示されたアポトーシスのアッセイによって決定され得る。

0071

とはいえ、前記ポリペプチドの抗アポトーシス機能の保持も想定される。その場合、前記ポリペプチドは分化転換を強化する一方で分化転換の最中に生存も促進する。細胞運命を変更している細胞の一部が分化転換の最中にアポトーシスを経験する可能性があるので、そのような生存促進によって本発明の分化転換過程の全体的収率がさらに向上し得る。

0072

あるいは、または加えて、前記ポリペプチドはヒトBcl−2よりも分化転換細胞の収率を高い程度にまで上昇させる。この実施形態は本発明者らの別の驚くべき発見に関する。より具体的には、前記ポリペプチドの前記抗アポトーシス機能は無くてよいばかりではない。その抗アポトーシス機能が低下していることで、または完全に無いことで、本発明によって包含されているが、抗アポトーシス機能もなお働かせるポリペプチドと比較すると増強された分化細胞を分化転換する能力が提供される。そのようなそれでもさらに増強された分化転換能の具体的な例は本明細書に添付されている実施例においてさらに詳細に説明される「A Bcl−2」と名付けられた突然変異体である。ヒトBcl−2の使用と比較した分化転換細胞の収率の増加は次のように決定され得る。神経原性転写因子Ascl1をコードする核酸と分化細胞、好ましくはヒト成体線維芽細胞を接触させる。ヒトBcl−2が存在しているとき、または候補ポリペプチドが存在しているときに前記接触を行う。その後、分化転換細胞、この事例では神経細胞の数量を計測する。候補ポリペプチドの存在下で得られた神経細胞の数がヒトBcl−2の存在下で得られた神経細胞の数を超える場合、前記候補ポリペプチドがBcl−2よりも分化転換細胞の収率を高い程度にまで上昇させるポリペプチドである。好ましくは、ヒトBcl−2は配列番号1のアミノ酸配列からなる。好ましくは、この好ましい実施形態に準じるポリペプチドを使用して得られる分化転換細胞の数はヒトBcl−2を使用するときの分化転換細胞の数よりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%または少なくとも50%多い。

0073

これまでに開示された本発明の4つの態様のうちのいずれかのさらに好ましい実施形態では前記ポリペプチドはBcl−2、Bcl−XL、Bcl−w、Mcl1、BfI1、Nr13/Nrh(NrhはNr13のヒトオルソログである)、Bcl2L1、DIVA、骨髄細胞白血病配列1アイソフォーム1、およびBcl−xβから選択され、それぞれヒトのポリペプチドであることが好ましい。それらの列挙されたタンパク質は十分に特徴づけられたドメイン構造を有する十分に認識された抗アポトーシスタンパク質である。特に、それらのタンパク質はBH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインから選択される少なくとも1つのドメインを含む。幾つかの例において、それらのタンパク質はただ1つのBH1ドメイン、ただ1つのBH2ドメイン、ただ1つのBH3ドメイン、およびただ1つのBH4ドメインを含む。後者のドメイン構造が特に好ましい。前記タンパク質はあらゆる種に由来してよく、哺乳類の種に由来することが好ましく、ヒトに由来することが特に好ましい。上で特記したように、ヒトBcl−2(αア
イソフォーム)のアミノ酸配列は配列番号1として本明細書に添付されている。そのマウスの対応物が配列番号3に示されている。Inoharaらによる前述の刊行物は前述のタンパク質の大半の配列とドメイン構造を示している。

0074

さらに好ましい実施形態では前記ポリペプチドがBH4ドメインと所望によりBH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメインおよびBH4ドメインからなる群より選択される1つ、2つ、3つ、またはそれより多くのドメインを含み、前記ポリペプチドがただ1つのBH1ドメイン、ただ1つのBH2ドメイン、ただ1つのBH3ドメインおよびただ1つのBH4ドメインを含むことが好ましい。

0075

この好ましい実施形態はポリペプチドをそれらのポリペプチドのドメイン構造の観点から規定し、「構造」という用語はポリペプチド内にあるドメインのリストを指し、好ましい実施形態では前記ポリペプチド内のドメインの順序も指す。この点に関し、BH1ドメイン、BH2ドメイン、BH3ドメイン、およびBH4ドメインのうちのいずれか1つの存在がポリペプチドを候補ポリペプチドとして適格とする(本発明のポリペプチドであるには上で規定された分化転換試験を通過する必要がある)上で充分であり、本発明者らは、あらゆる特定の理論に捉われることはないが、分化転換の構造的決定因子が存在する可能性がBH4ドメインの存在によってさらに高められると考えていることを我々は特記する。

0076

上で特記したように、Bcl−2に見られるドメイン構造の種類、すなわち、ただ1つのBH1、ただ1つのBH2ドメイン、ただ1つのBH3ドメインおよびただ1つのBH4ドメインの存在が特に好ましい。

0077

低下した抗アポトーシス機能または無効になった抗アポトーシス機能を有するという上で規定された構造的要件は、タンパク質間相互作用に関する構造的相互関係を有する。より具体的には、野生型Bcl−2はその抗アポトーシス機能を発揮させるためにBaxと相互作用する。本発明の上で規定された態様のいずれかの好ましい実施形態では前記ポリペプチドはBaxと相互作用しないか、またはBaxと前記ポリペプチドの相互作用はヒトBaxとヒトBcl−2の相互作用と比較すると低下しており、ヒトBaxのアミノ酸配列は配列番号2において示されている。

0078

あるいは、所与のポリペプチドがこの好ましい実施形態の文言に合致するか決定するためにマウスBaxを使用してよい。マウスBax(アミノ酸配列)は配列番号4として提供される。第1の態様の要素(i)のポリペプチドと同じ種に由来するBaxを使用することが好ましい。このことは前記ポリペプチドが野生型から派生した突然変異体である場合にも当てはまる。本発明に準ずるBaxとの低下した相互作用は、ヒトBcl−2とヒトBaxの間の相互作用と比較するとその結合状態の10%、好ましくは少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%またはそれより多くの割合の低下を必要とする。相互作用はBiacoreアッセイによって決定されることが好ましい。Bcl−2とBaxの間の相互作用を定量する別の好ましい手段はDengら(Molecular and cellular biology 26, 4421-4434 (2006))によって記載される共免疫沈降アッセイである。

0079

上で開示された本発明の態様のいずれかのさらに好ましい実施形態では前記ポリペプチドは、(a)可動性ループドメイン中の1つ以上のリン酸化可能残基がリン酸化不能残基によって置き換えられているか、または欠失している点で野生型Bcl−2と異なるBcl−2突然変異体、例えば、(i)ヒトBcl−2のS70A突然変異体、(ii)ヒトBcl−2のT69A/S70A二重突然変異体、(iii)ヒトBcl−2のS87A突然変異体、(iv)ヒトBcl−2のT69A/S70A二重突然変異体、(v)ヒト
Bcl−2のT69A/S87A二重突然変異体、(vi)ヒトBcl−2のS70A/S87A二重突然変異体、(vii)ヒトBcl−2のT69A/S70A/S87A三重突然変異体、(viii)ヒトBcl−2のT69、S70およびS87のうちの1つ、2つ、または3つの欠失から選択される欠失突然変異体、および(ix)ヒトBcl−2のaa69〜87の欠失突然変異体、または(b)膜貫通領域が欠失しているか、または非機能的になったヒトBcl−2の突然変異体であるBcl−2突然変異体から選択される。その膜貫通領域の不在または非機能性によってBcl−2の膜結合が無くなる。所与の突然変異体が膜結合性であるかそうでないかは当技術分野において確立された方法、例えば、(例えば、フルオロフォアによる)候補突然変異体の標識、および細胞内でのその局在の決定によって決定され得る。

0080

部分要素(i)から(vii)は置換突然変異体である。ヒトBcl−2のS70A突然変異体は本明細書において「A−Bcl−2」とも呼ばれ、添付される実施例においてさらに特徴解析される突然変異体である。それらの置換突然変異体の残りのものは、可動性ループドメイン内に位置し、且つ、リン酸化を受けることができる1つ以上の残基がリン酸化不能残基によって置き換えられるというパラダイムをこの特定の突然変異体と共に共有する。リン酸化不能残基による置換の代わりに前記位置のうちの1つ以上を完全に欠失してよい。上記の部分要素(viii)を参照されたい。ヒトBcl−2の可動性ループドメイン全体、好ましくはアミノ酸残基69〜87を欠失してよい。また、前記可動性ループドメインのあらゆる部分領域の欠失が、そのような欠失によって位置69、位置70および位置87のリン酸化可能残基のうちの少なくとも1つが影響を受ける限り想定される。「可動性ループドメイン」という用語が当技術分野において確立されており(Deng
et al., Mol. Cell. Biol. 26, 4421 (2006)を参照されたい)、ヒトBcl−2を参照すると残基69から残基87まで(マウスBcl−2では残基69〜84)の残基範囲によって規定される。代替的アプローチではBcl−2野生型の特徴的な特色である膜貫通領域(ヒトでは残基212〜233、マウスでは残基215〜235)を、例えば、その1つ以上の残基に突然変異を入れるか、または1つ以上の残基を欠失することによって欠失するか、または非機能的にしてよい。特定の理論に捉われることを望むものではないが、分化転換の最中にBcl−2が核に局在するという本発明者らの観察結果は膜貫通領域の除去によって本発明に従うポリペプチドの分化転換能がさらに増強され得ることを表していると本発明者らは考えている。

0081

他の生物に由来するBcl−2配列が対応する突然変異体の設計に使用される予定である限り、対応するアミノ酸の位置は例えばペアワイズ配列アラインメントまたはマルチプル配列アラインメントによってすんなりと決定され得る。完全を期すために我々はヒトBcl−2の位置69、位置70および位置87がそれらの対応物をマウスBcl−2の位置69、位置70および位置84において有することを特記する。

0082

上で開示された本発明の態様のいずれかのさらに好ましい実施形態では前記細胞は(i)体細胞、好ましくは線維芽細胞、星状細胞、および周皮細胞から選択される体細胞であり、(ii)脊椎動物細胞、好ましくは哺乳類細胞、より好ましくはマウス起源またはヒト起源の細胞であり、および/または(iii)由来または出生後段階、好ましくは成体段階に由来する細胞である。

0083

別の好ましい実施形態では前記1つ以上の転写因子(要素(ii))は神経原性転写因子、好ましくはAscl1、Neurog2、Dlx2(Heinrich et al., 2010)、Brn2、MYT1L(Vierbuchen et al. (2010)、上掲)、Sox11(Liu et al., Nature communications 4, 2183 (2013))およびSox2(Karow et al. (2012)、上掲)、ならびに筋原性転写因子、好ましくはMyoD(Choi et al., 1990)(Choi et al., 1990)(Choi et al., 1990)(Choi et al., 1990)(Choi et al., 1990)(Choi et al., 1990)(
Choi et al., 1990)(Choi et al., 1990)(Choi et al., 1990)(Choi et al., 1990)(Choi et al., 1990)(Choi et al., 1990)(Choi et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 87, 7988-7992 (1990))、Gata4m、Mef2cおよびTbx5(Ieda et al., Cell 142, 375-386 (2010))、Hand2、T−box5、ミオカルディン、およびマイクロRNA miR−1およびmiR−133(Nam et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 110, 5588-5593 (2013))から選択される。

0084

さらに好ましい実施形態では前記細胞は線維芽細胞であり、前記1つ以上の転写因子(すなわち、要素(ii))はただ1つの転写因子である。

0085

線維芽細胞は先行技術の方法(典型的には多能性状態を経て進行し、典型的には転写因子の複合混合物を使用する)が用いられるとわずかな量しか分化転換細胞を産出しないが、本発明に準じて線維芽細胞を使用することができる。簡単に入手できることを考慮すると線維芽細胞には利点が有る。

0086

さらに好ましい実施形態では前記転写因子は神経原性転写因子、好ましくはAscl1、Neurog2およびDlx2から選択される神経原性転写因子であり、前記方法によってGABA作動性神経細胞、グルタミン酸作動性神経細胞、および運動神経細胞から選択される1つ以上の分化転換細胞が産出される。Neurog2は例えば星状細胞からグルタミン酸作動性神経細胞を誘導し、Ascl1とDlx2は(単体で、または組み合わせて使用されると)星状細胞からGABA作動性神経細胞を誘導し、Ascl1とNeurog2は(単体で、または組み合わせて使用されると)例えば線維芽細胞から運動神経細胞を誘導する。

0087

別の好ましい実施形態では前記転写因子は筋原性転写因子、好ましくはMyoDであり、前記方法によって筋細胞が産出される。

0088

前述の2つの好ましい実施形態を組み合わせてもよく、それによって本発明の方法の別の好ましい実施形態が生じる。その実施形態では前記細胞は線維芽細胞であり、前記方法は別々に実施される次のステップ、すなわち、(a)(i)前記ポリペプチドまたは前記ポリペプチドをコードする核酸、および(ii)ただ1つの神経原性転写因子、好ましくはAscl1、Neurog2およびDlx2から選択される神経原性転写因子、またはただ1つの筋原性転写因子、好ましくはMyoDと前記線維芽細胞を接触させるステップ、(b)ステップ(a)において神経原性転写因子が使用された場合にはただ1つの筋原性転写因子、好ましくはMyoDと、ステップ(a)において筋原性転写因子が使用された場合にはただ1つの神経原性転写因子、好ましくはAscl1またはNeurog2のどちらかとステップ(a)の結果物を前記ポリペプチドまたは前記ポリペプチドをコードする核酸の存在下で接触させるステップを含む。

0089

分化転換の最中に前記細胞が多能性状態を経験しないことが特に好ましい。上で特記したように、多能性状態の回避は分化転換の固有の特徴として見られている。所望の細胞の作製中に潜在的に腫瘍原性である細胞が回避されるという点で多能性状態の回避は明白な利点をもたらす。

0090

別の特に好ましい実施形態では1つ以上のベクターに前記核酸のうちの1つ、それより多く、または全てが含まれる。1つ以上の転写因子ならびに第1の態様の要素(i)のポリペプチドの両方を核酸の形で提供することが特に好ましい。これらの核酸は単一のベクターに組み込まれもよく、またはそれらの核酸の各々が別々のベクターに組み込まれてもよい。単一のベクターにコード配列が含まれる複数の転写因子を提供し、本発明の第1の
態様の要素(i)のポリペプチドをコードする核酸を別のベクター上に提供することも想定されていることが理解される。MLVベースレトロウイルスベクターレンチウイルスベクターおよびアデノウイルスベースベクターなどの当技術分野において確立されたベクターを使用してよい。

0091

第5の態様において、本発明は、機能性神経細胞の消失および/または機能性筋細胞の消失を特徴とする神経障害および/または筋障害のモデルを作製する方法であって、分化細胞の分化転換方法を含み、上で規定されたように神経原性および/または筋原性転写因子を使用し、前記神経障害および/または筋障害の素因を有する個体または前記神経障害および/または筋障害を患う患者から前記線維芽細胞を入手している前記方法を提供する。

0092

この実施形態は分化転換される細胞が上で規定された障害を患っているか、またはそのような障害を発症する素因を有している個体から獲得されることを必要とする。結果として、線維芽細胞の分化転換によってそのような障害に特徴的な表現型を示す神経細胞および/または筋細胞が産出される。

0093

第6の態様において、本発明は、機能性神経細胞の消失および/または機能性筋細胞の消失を特徴とする神経障害および/または筋障害を診断する方法であって、前記細胞および/または前記1つ以上の転写因子が上文のようにさらに規定される限りにおいて第1の態様に従う分化細胞の分化転換方法を含み、前記神経障害および/または筋障害を有することが疑われる個体または前記神経障害および/または筋障害の素因を有することが疑われる個体から前記分化細胞を入手しており、好ましくは前記分化細胞が線維芽細胞であり、分化転換により獲得され、且つ、疾患表現型を有する神経細胞および/または筋細胞が前記神経障害および/または筋障害を示す前記方法を提供する。

0094

本発明の第1の態様の方法の高い効率を特に考慮すると、そのような診断方法は当技術分野において確立された神経障害および/または筋障害の診断方法よりも迅速および/または好適であり得る。インビトロで観察され得る疾患表現型の一例は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者から得られた線維芽細胞由来筋線維における異常なジストロフィン発現である。ジストロフィンタンパク質の発現はPCRウエスタンブロット、または免疫細胞化学アッセイなどの標準的方法によって分析され得る。

0095

第7の態様において、本発明は、分化転換細胞を含む組成物を作製する方法であって、上で開示された分化細胞の分化転換方法を含む前記方法を提供する。

0096

好ましい実施形態では分化転換細胞の濃縮も精製も実施されない。この好ましい実施形態は、本発明に従う方法を適用すると特に高い程度の分化転換ならびに実に優れた純度の分化転換細胞が得られるという本発明者らの驚くべき観察結果を考慮している。

0097

第9の態様において、本発明は、分化転換の促進因子としての本発明に準じて規定されるポリペプチドまたは前記ポリペプチドをコードする核酸の使用であって、ヒトまたは動物の治療処置方法におけるあらゆる使用が除外される前記使用を提供する。

0098

本発明の第2の態様に準ずる配合物の好ましい実施形態では前記配合物はキットとして提供され、前記配合物の要素(i)および(ii)が異なる容器に収められており、前記キットは本発明の第1の態様の方法を実施するための指示を有するマニュアルを含んでもよい。1つより多くの転写因子が使用される限り、各転写因子(または所与の転写因子をコードする核酸を担持するベクター)を別々の容器の中に提供してよい。

0099

この明細書において特徴づけられる実施形態、特に特許請求の範囲において特徴づけられる実施形態について、従属請求項で述べられる各実施形態は前記従属請求項が従属する各(独立または従属)請求項の各実施形態と組み合わされることが考えられている。例えば、3つの選択肢A、BおよびCを記載する独立請求項1、3つの選択肢D、EおよびFを記載する従属請求項2、ならびに請求項1および2に従属し、且つ、3つの選択肢G、HおよびIを記載する請求項3の場合では、別途具体的に述べられない限り、組合せA、D、G;A、D、H;A、D、I;A、E、G;A、E、H;A、E、I;A、F、G;A、F、H;A、F、I;B、D、G;B、D、H;B、D、I;B、E、G;B、E、H;B、E、I;B、F、G;B、F、H;B、F、I;C、D、G;C、D、H;C、D、I;C、E、G;C、E、H;C、E、I;C、F、G;C、F、H;C、F、Iに対応する実施形態をその明細書が明確に開示していると理解されるべきである。

0100

同様に、且つ、独立請求項および/または従属請求項が選択肢を記載しない場合でも、従属請求項が複数の先行請求項を参照する場合にはそれによって包含される内容のあらゆる組合せが明白に開示されると考えられていることが理解される。例えば、独立請求項1、請求項1を参照する従属請求項2、および請求項2および1の両方を参照する従属請求項3の場合では請求項3、2および1の内容の組合せが明白および明確に開示されているように請求項3および1の内容の組合せが明白および明確に開示されていることになる。請求項1から3のいずれか1つを参照する追加の従属請求項4が存在する場合では請求項4および1の内容の組合せ、請求項4、2および1の内容の組合せ、請求項4、3および1の内容の組合せ、ならびに請求項4、3、2および1の内容の組合せが明白および明確に開示されていることになる。

図面の簡単な説明

0101

図1は、星状細胞から神経細胞へのリプログラミングに対するBcl−2の効果のタイムラプス分析を示す。(A)Ascl1/RFPコードベクター単体(左のパネル)で、またはBcl−2コードベクター(右のパネルおよび挿入図)と組み合わせて形質移入された星状グリア細胞培養物の落射蛍光像であって、βIIIチューブリンに対する免疫反応性が試験された(下のパネル)落射蛍光像。
(B)様々な時点の(A)に示される形質移入細胞の分析。
(C)Ascl1/RFPコードプラスミド単体(左列)で、またはBcl−2コードベクターと組み合わせて(右列)形質移入された培養物中の様々な時点での星状グリア細胞(白の矢印)、神経細胞(黒の矢印)および死細胞(矢頭)を示すビデオタイムラプスムービー静止画像例。Bcl−2発現によって神経細胞の数が増加することに留意されたい。
(D)(C)における例から追跡された単一細胞のプロジェニーツリーであって、リプログラミング中の低細胞増殖、Bcl−2発現細胞における減少した細胞死(「x」で示される)およびより速く増加した神経細胞への転換(黒線)を示すプロジェニーツリー。
(E)150時間の観察中に増殖した細胞の割合のヒストグラム。Bcl−2によってこの比率が影響を受けないことに留意されたい。
(F)Ascl1/RFPだけを、またはそれをBcl−2と共に発現する星状グリア細胞から新規に分化転換した神経細胞のヒストグラム定量。
(G)Ascl1/RFPだけを、またはそれをBcl−2と共に発現する星状グリア細胞における細胞死の定量。
(H)観察期間中に死ぬ星状グリア細胞由来神経細胞のヒストグラム。
(I)Ascl/RFP単独形移入細胞またはAscl/RFP+Bcl−2形質移入細胞の観察期間中の神経細胞転換および細胞生存の分析。神経細胞のパーセンテージは様々な時点で形質移入細胞の初期数に対して正規化されている。
(J)Ascl1介在性星状細胞神経細胞間分化転換におけるBcl−2の作用の時間分布。大半の神経細胞が観察期間の最初の半分の間に現れることに留意されたい。エラーバーは±SDを表す。*p<0.05、**p<0.01、p≧0.05は統計学有意差無し(n.s.);E、F、G、HおよびJではマンホイットニー検定;IではANOVAテューキーポスト検定。スケールバーは40μm。
図2は、神経リプログラミングに対するBcl−2の効果はBAXとの相互作用と無関係であることを示す。(A)これまでに説明されたBcl−2と幾つかの分子パートナーの相互作用を示す漫画。BAXが介在するアポトーシスは、Bcl−2の可動性ループドメインが位置S70、位置T69または位置S84(最後の位置はヒトBCL−2のS87である)のうちのいずれか1つにおいてリン酸化されると生じるBcl−2との相互作用によって妨げられる。非リン酸化Bcl−2は優先的にp53に結合し、且つ、BAXが介在するアポトーシスを妨げる能力の低下を示す(Deng et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 101, 153-158 (2004))。A−Bcl−2突然変異体およびEE−Bcl−2突然変異体はそれぞれBcl−2のリン酸化形状と非リン酸化形状を模倣する。
(B)Ascl1/RFPコードプラスミド(左のパネル)単体()で、またはBcl−2、EE−Bcl−2もしくはA−Bcl−2と組み合わせて形質移入された星状グリア細胞培養物の形質移入後4日目の顕微鏡写真。βIIIチューブリン免疫染色によって神経細胞転換を分析した(右のパネル)。
(C)Ascl1−RFPコードプラスミド単体で、またはWT−Bcl−2、EE−Bcl−2もしくはA−Bcl−2と組み合わせて形質移入された星状グリア細胞培養物の形質移入後(DPT)4日目のヒストグラム。最終時点(4DPT)での形質移入細胞(RFP+)の数を形質移入細胞の初期数(1DPT)に対して正規化して生存率(%)を計算した。神経細胞転換率(%)をβIIIチューブリン免疫染色により分析し、その実験の最後でのRFP+細胞の総数に対して正規化した。エラーバーは±SDを表す。*p<0.05、**p<0.01;ANOVAテューキー・ポスト検定。スケールバーは50μm。
図3は、アポトーシスの減少ではなくBcl−2が介在する酸化ストレス/フェロトーシスの減少によって神経細胞転換の効率が上昇することを示す。A, Ascl1−RFPで形質移入された星状グリア細胞の生存/転換効率におけるフェロトーシスの阻害剤であるα−tocとアポトーシスの阻害剤であるZVADの効果を示す5DPT(形質移入後日数)での定量。α−tocと反対にZVADは生存だけを改善し、転換効率を改善しないことに留意されたい。
B, Aの例を示す顕微鏡写真。
C, Ascl1−RFP単体で、またはEE−Bcl−2もしくはA−Bcl−2と組み合わせて形質移入された星状グリア細胞における2DPTでの酸化脂質(C11−Bodipy染色)が顕微鏡写真によって示されている。Ascl1+A−Bcl−2で共形移入された細胞(黒の矢頭)と比較してAscl1単独またはAscl1+EE−BCl−2(黒の矢印)で形質移入された細胞において高いレベルの酸化に留意されたい。Ascl1+EE−Bcl−2で共形質移入された細胞と反対にAscl1発現細胞におけるC11−Bodipy染色とDAPIの部分的共局在が高倍率の写真によって示されている(矢印を参照されたい)。
D, Cにおいて示されているのと同じ細胞のグルタチオン(GSH)検出が写真によって示されている。正常レベルまたは上昇したレベルのGSHを有する細胞がそれぞれ矢頭と矢印によって示されている。GSH染色はAscl1−RFPとEE−Bcl−2で共形質移入された細胞の主に核内(DAPIを参照されたい)にあることが高倍率の写真によって示されている。 *p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、p≧0.05;AではANOVAテューキーのポスト・ホク検定。スケールバーは40μm。
図4は、Bcl−2およびA−Bcl−2がMEFの運動神経細胞へのAscl1介在性転換を改善することを示す。(A)レトロウイルスRV−flag/myc−Ascl1−IRES−Bcl−2に感染したMEFの共焦点顕微鏡写真であって、感染から15日後の形質導入集団の中で高い割合のβIIIチューブリン免疫反応性神経細胞を示す共焦点顕微鏡写真。
(B)表示通りに名づけられたレトロウイルスRV−flag/myc−Ascl1−IRES−A−Bcl−2による感染から15日後のMEFの共焦点画像
(C)感染細胞中の神経細胞のパーセンテージのヒストグラム。MEFの神経細胞へのAscl1介在性分化転換の誘導にとってA−Bcl−2が最適であることに留意されたい。
(D)神経突起中にペリフェリン(右のパネル)とβIIIチューブリン(左のパネル)を共発現するAscl1/Bcl−2で形質導入されたMEFの顕微鏡写真。
(E)複雑な形態を示し、且つ、βIIIチューブリンとペリフェリンを共発現するAscl1/Bcl−2で20日間にわたって形質導入されたMEFであって、高密度シナプトブレビンSV陽性斑点を有するMEFの顕微鏡写真。
(F)Ascl1/Bcl−2で15日間にわたって形質導入されたMEFに由来する神経細胞であって、HB9(a)、FoxP1(d)、ペリフェリン(c、f)、βIIIチューブリン(b、e)について陽性の神経細胞の顕微鏡写真。
(G)Ascl1/RFPおよびA−Bcl−2/GFPを発現するレトロウイルスに共感染したMEF(上のパネル)は感染から15日後にChAT(下のパネル)について免疫反応性である。 エラーバーは±SDを表す。*p<0.05、**p<0.01;ANOVAテューキー・ポスト検定。スケールバーはA、Bでは30μm、Dでは20μm、Eでは25μm、Fでは40μm、Gでは30μm。
図5は、MEFの運動神経細胞への、および星状細胞のグルタミン酸作動性神経細胞へのNeurog2介在性リプログラミングがA−Bcl−2によって増進することを示す。(A)RV−flag−Neurog2−IRES−ABcl−2の感染から15日後のβIIIチューブリンについて免疫染色されたMEFの共焦点写真。
(B)AおよびC〜Eにおいて例示される感染から15日後の全てのflag+細胞の中の(βIIIチューブリンについて免疫反応性である)神経細胞の割合を示すヒストグラム。
(C〜E)HB9免疫陽性(挿入図の中の核を参照されたい)運動神経細胞にリプログラムされた高倍率のNeurog2−A−Bcl−2感染MEFを示す顕微鏡写真(C)、βIIIチューブリンおよびペリフェリンについて免疫反応性である長い突起(右の挿入図)を有するFlag免疫陽性(左の挿入図)Neurog2−A−Bcl−2形質導入神経細胞(D)、およびコリンアセチルトランスフェラーゼ(右のパネル)について免疫反応性であるNeurog2/RFPおよびA−Bcl−2/GFP(矢印によって示される)に共感染した細胞。
(C〜E)HB9免疫陽性(挿入図の中の核を参照されたい)運動神経細胞にリプログラムされた高倍率のNeurog2−A−Bcl−2感染MEFを示す顕微鏡写真(C)、βIIIチューブリンおよびペリフェリンについて免疫反応性である長い突起(右の挿入図)を有するFlag免疫陽性(左の挿入図)Neurog2−A−Bcl−2形質導入神経細胞(D)、およびコリンアセチルトランスフェラーゼ(右のパネル)について免疫反応性であるNeurog2/RFPおよびA−Bcl−2/GFP(矢印によって示される)に共感染した細胞。
(C〜E)HB9免疫陽性(挿入図の中の核を参照されたい)運動神経細胞にリプログラムされた高倍率のNeurog2−A−Bcl−2感染MEFを示す顕微鏡写真(C)、βIIIチューブリンおよびペリフェリンについて免疫反応性である長い突起(右の挿入図)を有するFlag免疫陽性(左の挿入図)Neurog2−A−Bcl−2形質導入神経細胞(D)、およびコリンアセチルトランスフェラーゼ(右のパネル)について免疫反応性であるNeurog2/RFPおよびA−Bcl−2/GFP(矢印によって示される)に共感染した細胞。
(F)Neurog2+A−Bcl−2によって誘導された星状細胞由来神経細胞がグルタミン酸作動性表現型を表すvGluT1陽性斑点によって覆われていることを示すDsRed(左のパネル)、GFP(中央のパネル)、およびvGluT1(右のパネルおよび挿入図)の三重免疫染色。 エラーバーは±SDを表す。*p<0.05;マン・ホイットニー検定。スケールバーはAとFでは40μm、Cでは15μm、DとEでは20μm。
図6は、神経細胞転換におけるビタミンDの役割を示す。A, Ascl1コードベクター単体またはAscl1+A−Bcl−2に感染した培養物における5DPIでのVdrを発現する細胞のパーセンテージ。Vdrの存在は免疫染色によって決定された(B)。神経リプログラミング時に内在性Vdrを発現する細胞の割合がBcl−2によって上昇することに留意されたい。
B, Ascl1−RFP単体(左のパネル)で、またはA−Bcl−2(右のパネル)と組み合わせて共形質移入された培養物における二重RFP+/Vdr+細胞(矢印)の割合と一重RFP+/Vdr−細胞(矢頭)の割合を示すAの実験の例。
C, Ascl1コードプラスミド単体で、またはBcl−2および/またはVdrと組み合わせて形質移入された星状グリア細胞における5DPTでカルシトリオールによる処理から4日後の、または未処理での神経細胞のパーセンテージ。
D, Cにおいて示されている実験の例。
E,組合せAscl1/Bcl−2/Vdrによって成体ヒト由来線維芽細胞(47の患者)から得られた60DPIでの神経細胞を示す共焦点写真。形質導入細胞が非常に長い突起を伸ばしていることに留意されたい。βIIIチューブリン発現が高倍率(下の小さいパネル)によってさらに詳細に示されている。 *p<0.05、**p<0.01、***p<0.001;Aではt検定;CではANOVAテューキーのポスト・ホク検定。スケールバーは40μm。
図7は、Neurog2、Bcl−2およびカルシトリオールを用いる反応性グリア細胞の神経細胞へのインビボ転換を示す。A,刺傷形成と後続のレトロウイルスベクター(Neurog2/RFPおよびBcl−2/GFP)の感染、またはカルシトリオールによる処理についての実験プロトコルであって、感染後(DPI)10日目または20日目に分析される実験プロトコル。
B, 両方のベクターに共感染した細胞が10DPIでの注入部位の共焦点写真によって示されている。白の四角(*;**)は高倍率の単一の光学的断面を示している。矢頭はNeuN+(右;白)共感染細胞を示している。
C, カルシトリオールによる処理後の注入部位(10DPI)の共焦点写真。白の四角(*;**;***)は高倍率の単一の光学的断面を示している。矢頭は二重感染細胞のNeuN+核を示している。NeuNを発現するNeurog2含有ウイルスだけに感染した細胞(RFP+、矢頭)も示されている(***)。
D, カルシトリオールが無いとき、または有るときの10DPIでのNeuN+であるRFP+細胞およびRFP+/GFP+細胞の定量。各条件(すなわち、カルシトリオールの有無)について最低3匹の動物を分析した。
E, カルシトリオールを投与した、または投与していない20DPIでの共感染細胞の例。細胞体およびNeuN+核(矢印)の単一の光学的断面が高倍率のボックス(*、左のパネル)によって示されている。右では、白のボックス(*;**)はとげ様構造を有する高倍率の2本の突起(矢頭)を示している。 *p<0.05、**p<0.01、***p<0.001;DではANOVAテューキーのポスト・ホク検定。スケールバーは20μm。
図8は、MEF由来のリプログラムされた筋細胞を神経支配するリプログラムされた運動神経細胞の共培養物を示す。(A)レトロウイルスベクターRV−myc−MyoD−IRES−GFP(左のパネル)およびRV−myc−MyoD−IRES−A−Bcl−2(右のパネル)で形質導入されたMEFの生未染色画像であって、感染から5日後にA−Bcl−2発現筋細胞のチューブ状形態の増加を示している画像。下のパネルは固定された培養物中のGFP/mycについて免疫染色され、さらにファロイジンで染色された形質導入細胞の形態を示している。(B)感染から10日後のMyoD発現対照(左のパネル)と対照的にMyoDとA−Bcl−2を共発現する筋細胞(右のパネル)の筋節組織的構造を示している高倍率共焦点画像。下のパネルのボックスで囲まれた拡大領域を参照されたい。(C)、(D)および(E)MyoD形導入細胞およびMyoD/A−Bcl−2形質導入細胞における筋細胞パラメーターを示すヒストグラム。A−Bcl−2は5DPIにおいてMEF由来筋細胞の多核細胞の割合(C)を増やし、筋管の長さ(D)を増やし、収縮能(E)を促進することに留意されたい。(F)顕微鏡写真。ニューロフィラメント陽性神経細胞(NF;周辺の灰色の細胞)に囲まれているファロイジンについて染色された2つの筋肉細胞(中央の色が濃い細胞)が免疫細胞化学によって示されている(中央のパネル)。白色のコーナー明視野画像(左のパネル)と免疫染色画像の中の同じ領域を示している。ボックスで囲まれた領域aとbはそれぞれパネルa〜a’’およびb〜b’’で拡大されており、ブンガロトキシンBTX)の染色によって証明される神経細胞(NF陽性)と筋肉(組織化された筋節が矢印によって示される)との間の連結性を示している。エラーバーは±SDを表す。*p<0.05、**p<0.01;マン・ホイットニー検定。スケールバーはAでは30μm、BおよびFでは10μm。
図9は、ダイレクトリプログラミングにおけるBcl−2の作用を要約する模式図である。文書中に詳細に説明されるように、Bcl−2の発現およびVdrなどの抗酸化ストレス応答に関与する他の分子経路が神経細胞転換効率を上昇させる。全体的には、これらの経路は神経リプログラミングにおける決定的チェックポイントを上手切り抜け、神経細胞代謝への移行を促進し、且つ、神経細胞分化転換に関連するフェロトーシスを減少させるのに役立つ。同様の経路が体細胞の筋細胞へのリプログラミングを改善することが期待される。

0102

実施例によって本発明が例示される。

0103

星状細胞からのダイレクト神経リプログラミングの連続的単一細胞ライブイメージングにより、細胞増殖ではなく細胞死の重要な役割が明らかにされる
神経リプログラミングの細胞機構を特定するため、細胞増殖と核膜崩壊遺伝子導入成功のために必要とするMLVベースレトロウイルスベクターのようなアプローチによって形質導入された細胞に加え、出生後5〜7日目のマウス大脳皮質から単離した星状グリア細胞にAscl1コードベクターを形質移入することにより非増殖細胞を標的とした。我々の形質移入プロトコル(Heinrich et al.,PLoS biology 8, e1000373 (2010)、 Heinrich et al., Nature protocols 6, 214-228 (2011))により、形質移入から24時間後に赤色蛍光タンパク質(RFP)によって標識された細胞がリプログラミングの主要段階の間(すなわち、6日間)に連続的ライブイメージングの対象となることができる。グリア細胞および神経細胞をそれらの形態によって特定した。前者は平坦な星状細胞様形態を示し、後者は丸い細胞体とその細胞体よりも少なくとも3倍長い細い突起(単極性双極性、および多極性)を有する。この形態ベースの分類撮像後の免疫染色(図1A)によって確認された。Ascl1で形質導入された細胞のうち、150時間の観察中に分裂した細胞は少なかった(15%:図1E)。したがって、この系ではダイレクト神経リプログラミングの大多数は細胞増殖が無い状態で起こる。

0104

逆に、多数の形質導入細胞が最初の100時間以内に死に、神経の形態を獲得していない事実上全ての形質移入グリア細胞が観察期間中のある時点で細胞死を起こした(94±2.4%;図1G)。このことはAscl1の高い発現レベルが少なくともこれらの培養条件下では星状細胞の生存と相容れないことを示している。興味深いことに、転換した神経細胞の約半分だけが死んだ(約48.6%±10.2:図1H)。このことはリプログ
ラミング時の細胞致死が50〜100時間の決定的ウィンドウ、すなわち、運命転換時にほぼ限られており、運命コンフリクトが神経アイデンティティーにとって有利となるように解消されると細胞致死が著しく低下することを表している。よって、生存細胞の大半が神経細胞へのリプログラミングに成功したことが分かった。しかしながら、これは形質移入星状細胞の初期数のたった12%程度である(図1F、I、J)。まとめると、ダイレクトリプログラミングというこのパラダイムでは選択的細胞増殖が果たす役割はほとんどなく、細胞死が主要な決定因子であり、細胞死は撮像中の50〜100時間の間に起こる形態学的に目に見える運命転換ステージピークを迎える(図1J)。

0105

Bcl−2は星状細胞から神経細胞への転換を強力に改善する
我々は出生後マウス星状細胞にBcl−2をAscl1/RFPと共に共形質移入し、6日後と12日後の形質移入集団の中の全細胞数と神経細胞数を計数した(図1A、B)。Bcl−2は明らかに生存細胞の総数とリプログラムされた神経細胞の総数を増加させた(図1A、B)。我々はAscl1単独またはAscl1とBcl−2で形質導入された星状細胞の150時間のリプログラミング中に連続単一細胞イメージングを行った。予想通り、Bcl−2の共形質導入は神経細胞転換時に細胞の生存を頑強に高めたが(図1C〜D)、様々な細胞種の特異的生存率を変化させることはなかった(図1G、H)。最も顕著なことに、Bcl−2の過剰発現にもかかわらず、運命を変えることができず、且つ、グリア細胞の形態を保持する細胞の大多数がそれでも死んだ(図1G)。

0106

非転換細胞と対照的に、神経の形態の獲得に成功した細胞については細胞死の割合はかなり低く、これらの細胞のうちの約1/3だけが死んだ(図1H)。したがって、神経細胞へのリプログラミング過程を完了することができた細胞の割合がBcl−2によってトラッキングの50時間の時点でほぼ8倍に増加し(図1F、I)、トラッキング期間の最終時点では3倍を超えて増加した(図1F、IおよびJ)。転換に成功した細胞は残っているグリア細胞(10%)と比較して高率で(2/3)生存するので、Bcl−2の過剰発現によって細胞生存の全体的な増加が生じた(図1B、D、F、I、J)。トラッキング期間の初期段階(最初の50〜75時間)における神経細胞の著しい増加(図1I、J)によって示されるようにBcl−2は星状細胞から神経細胞への転換も促進した。Bcl−2はリプログラミング時に細胞増殖速度に影響しなかったので(図1E)、Bcl−2の増強作用は細胞が神経細胞へより短時間でより効率的に転換し、結果としてこれらの細胞の生存が増加することに起因するようである。

0107

アポトーシス促進性因子Baxとの相互作用に欠陥があるBcl−2の突然変異体は星状細胞およびMEFの神経細胞転換を増進する
Bcl−2が位置T69、位置S70および/または位置S87においてリン酸化され、且つ、その立体構造を変えてホスホ−Bcl−2(P−Bcl−2)がBaxに結合し、それを隔離する(図2A)と、Bcl−2がその生存作用を働かせる(Deng et al., (2006))、 Deng et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 101, 153-158 (2004))。Baxはミトコンドリア膜と相互作用し、チトクロームCの放出を誘導することでカスパーゼ介在性アポトーシスを活性化するので(Jurgensmeier et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 95, 4997-5002 (1998))、P−Bcl−2の結合によってカスパーゼカスケードのBax介在性活性化が妨げられる(図2A)。Baxとの相互作用を特異的に低下させるため、我々は低下したBaxとの相互作用能を有し、且つ、非リン酸化型のBcl−2を模倣するS70A組換えBcl−2(A−Bcl−2と名付ける図2A)(Deng et al. (2004))を使用した。我々は、グルタミン酸によるT69残基とS70残基の両方の置換により増加したBax相互作用および生存促進機能を有する構成
リン酸化型のBcl−2を模倣する型のBcl−2(本明細書でEE−Bcl−2と名付けられるT69E+S70E;図2A; Deng et al., 2004)も相補的なアプローチとして使用した。WT−Bcl−2、EE−Bcl−2またはA−Bcl−2をAscl1−RFPと共形質移入し、4日後に細胞数を評価すると、予想通りリプログラミング時の細胞生存がEE−Bcl−2によって強力に増加した(図2C)。しかしながら、特にWT−Bcl−2とは反対にEE−Bcl−2はAscl1介在性神経細胞転換の割合を著しく上昇させることができなかった(図2B、D)。これはBcl−2の調節性ドメインのリン酸化が介在する生存促進作用の増大が神経リプログラミングを増進するBcl−2の能力を妨げることを表している。さらに興味深いことに、我々がAscl1−RFPおよびBaxとの低下した相互作用を示す構成的非リン酸化型A−Bcl−2をコードするプラスミドで共形質移入された培養物を分析したとき、それらの細胞はWT−Bcl−2−またはEE−Bcl−2をコードするプラスミドで形質移入された細胞と比較して低下した生存を示すが(図2C)、形質移入星状細胞から誘導された神経細胞の割合の上昇を示す(図2B、D)ことを我々は発見した。したがって、Bcl−2は明らかにその非リン酸化型で、且つ、Baxとの相互作用およびその生存促進機能と無関係にリプログラミングに対してその作用を媒介する。また、Bcl−2は神経リプログラミングにおいて生存とは無関係の新しい役割を媒介する。

0108

Bcl−2は酸化ストレスの減少を介して神経細胞転換を誘導する
α−トコフェロール(α−toc;ビタミンE)のような幾つかの小分子はグルタチオンペルオキシダーゼ経路における連鎖的脂質過酸化反応によって誘導される酸化からの防御を提供し(Palamanda and Kehrer, 1993)、このことがフェロトーシスとして知られる特定の種類の細胞死に関連する(Dixon et al., 2014; Friedmann Angeli et al., 2014;
Palamanda and Kehrer, 1993)。我々は図3A、Bにおいてα−トコフェロールによって細胞死が減少し、リプログラミング効率が上昇することを示している。このことはリプログラミング時の代謝ストレスがリプログラミング効率の低下の原因となることを示しており、且つ、初めてフェロトーシスをリプログラミング過程に関係があるものとしている。

0109

したがって、ZVAD(図3A、B)またはEE−Bcl−2(図2)はアポトーシスを消失させ、且つ、細胞死のパーセンテージを(100%に及ばないが)著しく低下させるがこれらの細胞の大半はなお星状細胞であり、且つ、リプログラミング「チェックポイント」の克服に成功しなかった。EE−Bcl−2およびZVADはこのステップの克服に役立たないので、生き残ったそれらの余分な細胞はそれ以上リプログラミングに参加することはない。したがって、我々がその救出集団からの人工神経細胞の増加を見ることはない。

0110

なぜEE−Bcl−2は神経リプログラミングにおける作用を有さず、一方でA−Bcl−2は有しているのかという疑問がこれらの観察から生じる。この理由のため、我々はEE−Bcl−2およびA−Bcl−2が酸化ストレスによって誘導される脂質過酸化の細胞内蓄積に対して異なる効果を示すか調査した。図3C(C11−Bodipyによる染色)(Drummen et al., 2002)中のデータはEE−Bcl−2とは反対にA−Bcl−2は非常に効率的に酸化ストレスを減少していることを示している。興味深いことに我々はEE−Bcl−2が核へのグルタチオン輸送を強力に誘導する(図3D)ことも観察した。この作用はこの突然変異体ではそれまで決して観察されなかった。グルタチオンは細胞を脂質過酸化およびフェロトーシスから保護するために必要であるので(Dixon and Stockwell, 2014)、この結果によってなぜEE−Bcl−2が代謝性ROSを効率的に減少させず、したがって神経リプログラミングの増進に失敗するのかを説明することができる。したがって、我々はダイレクト神経リプログラミングにおいてA−Bcl−2が最も
強力であり、一方でEE−Bcl−2がこれを行うことができないことになる機序、すなわち、ROSの減少化を特定した。

0111

線維芽細胞に由来するAscl1/A−Bcl−2およびNeurog2/A−Bcl−2誘導型神経細胞は運動神経細胞の表現型を示す
上記の実験の全てが出生後星状細胞で実施されたので、我々は次に神経リプログラミングの他のモデルでもBax非依存的なリプログラミングに対するBcl−2の同じ効果が観察され得るかを問うた。線維芽細胞は形質移入するのがそれほど簡単ではないので、我々はFlagタグ化Ascl1とWT−Bcl−2またはA−Bcl−2をコードするレトロウイルスベクター(それぞれRV−CAG−Ascl1−IRES−WT−Bcl−2およびRV−CAG−Ascl1−IRES−A−Bcl−2と呼ぶ)を作製した。マウス胚性線維芽細胞(MEF)を上で記載されたように感染させ、14日後に神経細胞転換をβIIIチューブリン免疫染色によって分析した。図4Aに示されるように、WT−Bcl−2はMEFにおける神経細胞転換をAscl1/RFPが介在する22.3%(±2.4)からAscl1/WT−Bcl−2が介在する42.8%(±8.1)まで2倍にした(図4A、C)。星状細胞リプログラミングによって得られた結果と一致して、線維芽細胞から神経細胞へのリプログラミングの効率もA−Bcl−2によってなおさらに高めることができた(>75%、図4B、C)。この効率はWT−Bcl−2の効率を超えているので、これらの結果はミトコンドリア膜においてBaxと相互作用するWT−Bcl−2の割合がリプログラミングに必要な他のパートナーとBcl−2の相互作用に利用できない可能性があることを示唆している。Bcl−2のこの新しいBax非依存的機能は線維芽細胞または星状細胞などのむしろ多様な細胞種におけるダイレクト神経リプログラミングにおいて影響力の強い役割を果たし、且つ、Bcl−2の抗アポトーシス機能と無関係である。

0112

この文脈におけるBcl−2の全般的役割をさらに確かなものとするため、我々はA−Bcl−2を他のリプログラミング因子とも組み合わせた。まず、我々はNeurog2とA−Bcl−2をコードするレトロウイルスベクター(RV−CAG−Neurog2−IRES−A−Bcl−2)を作製した。実際に、この組合せもMEFから誘導される神経細胞の割合を6倍に増やしてその割合が全ての感染細胞の63%に達した(Neurog2/RFPが介在する10%と比較して;図5A、B)。このことはBcl−2の効果が転写因子非依存的であることを示している。

0113

我々はAscl1が特定の神経細胞サブタイプをマウスまたはヒトの線維芽細胞において誘導することもできるか調査した。実際に、Ascl1とBcl−2またはA−Bcl−2によって誘導されたMEF由来神経細胞はウイルス感染から20日後に運動神経細胞アイデンティティー(Aquilonius et al., Brain research 211, 329-340 (1981)、 Portier et al., Sciences de la vie 316, 1124-1140 (1993)、 Tanabe et al., Cell 95, 67-80 (1998))と一致してペリフェリン(図4D、E)、HB9(MNR2としても知られる;図3Fa〜c)およびChAT(図4G)に対して免疫反応性であったが、vGluT1に対しては免疫反応性ではなく、vGATに対してはほぼ免疫反応性ではなく(データは示されず)、これらのペリフェリン陽性突起はシナプス結合を表す密度が高いシナプトブレビン免疫陽性斑点によって覆われていた(図4E)。これらの人工神経細胞はFoxP1(図4Fd〜f)も均一に発現するのでこれらの人工神経細胞は外側運動神経柱(LMC)および/または節前運動神経柱の神経細胞(Rousso et al., Neuron 59, 226-240 (2008))のようである。興味深いことに、Neurog2とA−Bcl−2の組合せによって誘導されたMEF由来神経細胞もHB9、ペリフェリン(図5D)およびChAT(図5E)に対して免疫反応性であったが、特徴的なグルタミン酸作動性ホールマーク(Hevner et al., Neuroscience research 55, 223-233 (2006))であるTbr1、Tb
r2またはV−Glutに対しては免疫反応性でなかった(データは示されず)。まとめると、これらのデータは、星状細胞においてグルタミン酸作動性神経細胞アイデンティティーがNeurog2によって誘導され(図5FにおけるvGluT1発現およびHeinrich et al.,PLoS biology 8, e1000373 (2010)を参照されたい)、一方でMEFにおいて運動神経細胞がNeurog2またはAscl1の両方によって誘導されるので、細胞種の起源によって誘導される神経細胞の種類が決定されることを意味している。

0114

Bcl−2が他の種に由来する細胞においても神経細胞へのリプログラミングを効率的に増進するか決定するため、我々は45歳の女性から得た線維芽細胞であって、増殖させ、且つ、Ascl1とRFPをコードするレトロウイルスベクター単体で、またはヒトBCL−2(hBCL−2)とレポーターGFPをコードする第2ベクターと組み合わせて上で記載されたように形質導入された線維芽細胞を使用した。我々はβIIIチューブリン免疫反応性の獲得がAscl1の発現によって誘導されないことを観察した。反対に、それらの細胞がAscl1コードベクターとhBcl−2コードベクターの両方で共形質導入されたとき、我々は(RFPおよびGFPに対して免疫反応性の)それらの共感染細胞の最大で70%がβIIIチューブリン+(Ascl1/RFP発現細胞と比較して32倍の増加)であり、神経細胞形態を獲得したことを観察した。このことはBcl−2が異なる細胞種および異なる種において神経リプログラミングを増進する普遍的な作用を有することを示している。マウスの対応物の場合のように、ヒト成体線維芽細胞から誘導された神経細胞もペリフェリンおよびHB9免疫反応性運動神経細胞であった。このことは運動神経細胞の表現型は追加の神経原性転写因子を使用せずにAscl1またはNeurog2によって線維芽細胞から誘導された全ての神経細胞にとって共通であることを示唆する。

0115

Bcl−2の下流で酸化ストレスを軽減する他の分子もリプログラミング効率を上昇させる
酸化ストレスがリプログラミングにおける主要なハードルであることが我々のこれまでのデータから示されているので、我々は次に酸化ストレスを調節する既知の役割を有する他の分子の発現がBcl−2によって制御され得るか試験した。これらの分子のうちの1つはこれまでに幾つかの生物学パラダイムにおいて酸化ストレスを減少させることが示されている(Bao et al., 2008、Dong et al., 2012)ビタミンD受容体(vdr)である。まず、我々はBcl−2がvdrの発現を誘導する(図6A、B)ことを初めて示し、次に我々はVdrの過剰発現またはそのリガンドであるカルシトリオールの適用も星状細胞(図6C、D)およびヒト線維芽細胞図6E)のリプログラミング効率を上昇させ得ることを示した。これらのデータは酸化ストレスが神経細胞リプログラミングを妨害する最も重要な因子であり、Bcl−2がvdr発現を誘導する新しい経路に関与することを確証している。

0116

Bcl−2およびカルシトリオールはグリア細胞の神経リプログラミングをインビボで強力に増進する
我々の発見の妥当性を強調するため、我々は次に上で記載された方法の効率をインビボで試験した。そのため、我々はこれまでに記載されたプロトコル(Heinrich et al., 2014を参照されたい)を使用して刺傷形成とそれに続く損傷部位の隣へのNeurog2−IRES−RFPおよびBcl−2−IRES−GFPをコードするレトロウイルスベクターの注入図7A)を行った。対照感染細胞は本質的にグリア細胞性であり、ほとんどがこれまでに記載されたように(Heinrich et al., 2014)オリゴデンドロサイト系統のNG2+細胞またはS100b/GFAP+星状細胞であった。このことは神経マーカーNeuNをほぼ獲得することがない(図7B、D)一重の(Bcl−2またはNeuro
g2だけで形質導入された)GFP+細胞またはRFP+細胞についても当てはまった。逆に、多数の共形質導入細胞(GFP+/RFP+)が神経細胞転換を表す細長い神経細胞形の形態を示し、NeuNについて免疫反応性であり(図7B、D)、且つ、スパイン形成を示した(図7E、右の写真)。運命転換にとって重要であることがインビトロで観察された重要な代謝制約がインビボでも関連しているか調べるため、我々はリガンドであるカルシトリオールによるビタミンD受容体経路の活性化を試験した。Bcl−2がVdrの上方制御を可能にする時間であるウイルス注入から2日後にカルシトリオール(200ng)を経口投与した。カルシトリオール処理によってNeurog2とBcl−2の共発現により誘導されたNeuN+神経細胞の割合が上昇して全ての共形質導入細胞のほぼ90%に達し(図7CおよびD)、神経細胞の形態と成熟状態が大いに改善され、ウイルス注入から23日後に長い神経突起が生じた(図7E、左の写真)。全体的には、これらの結果は我々の発見がインビトロパラダイムとインビボパラダイムの両方における神経リプログラミングにおいて一般的価値を有することを示している。

0117

Bcl−2は筋細胞へのリプログラミングも改善し、人工神経細胞と人工筋細胞の間での神経筋接合部構築を可能にする
Bcl−2がどの程度まで非神経リプログラミングも促進することができるか決定するため、我々は筋原性コミットメントに必要なbHLH転写因子であり(Braun et al., Development 120, 3083-3092 (1994))、様々な細胞系統からの骨格筋転換を誘導する(Choi et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 87, 7988-7992 (1990))とこれまでに決定されたMyoDをコードするレトロウイルスベクターを使用した。MEFにRV−CAG−MyoD−IRES−GFPまたはRV−CAG−MyoD−IRES−A−Bcl−2を感染させるとMyoDとA−Bcl−2の両方を発現するMEFがかなり迅速に骨格筋細胞に転換された(図8A、B)。成熟筋細胞はそれらの細胞の多核性と作製された筋管の長さによって判定され、A−Bcl−2との共感染後5DPIにおいてMyoDとレポーターGFPだけを発現する対照(図8C、D)と比較して有意により多くの細胞が多核性筋管形態(図8A、CおよびD)とより好適に組織化された筋節(図8B)を獲得した。さらに、MyoDコードベクターとA−Bcl−2コードベクターで共形質導入された培養物はMyoD/GFP形質導入対照(図8E)よりも早い時期に自発的に一貫的に収縮し始めた。このことはA−Bcl−2がMEFの筋肉への転換も効率的に増進することを表している。興味深いことに、星状細胞のタイムラプス顕微鏡法によって観察されたようにBcl−2は線維芽細胞を筋線維に転換させるこの異なるリプログラミングパラダイムにおいて運命転換を促進する。

0118

最後に我々は、神経筋相互作用を研究するための容易に入手可能なインビトロモデルとしてのリプログラムされた細胞によって完全に誘導された機能回路であって、ダイレクトリプログラミングを受けた線維芽細胞に由来する機能回路をBcl−2が媒介する効率を調べた。そのために播種から4時間後にMEFにベクターRV−CAG−Ascl1−IRES−A−Bcl−2を形質導入してMEFの運動神経細胞への転換を開始した。同じ細胞内での異なるレトロウイルスベクターの望ましくない共感染を回避するため、RV−CAG−Ascl1−IRES−A−Bcl−2が分裂終了神経細胞に分化し、したがって細胞分裂時の核膜崩壊に組込みが依存しているそのRVベクターをそれ以上組み込むことができない時点である10日後に筋肉細胞の作製のために第2ベクターRV−CAG−MyoD−IRES−A−Bcl−2をそれらの培養物に形質導入した。しかしながら、残っている増殖性MEFはなお感染可能であり、7日後に筋管への転換に成功した。予想通り、我々は好適に組織化された筋節を表すファロイジン染色と神経筋接合部に特徴的なブンガロトキシン(BTX)に対する親和性を有するnAChRの凝集図8F)を後に示す収縮性筋管の例を容易に見つけ出した。まとめると、リプログラミングにおけるBcl−2の強力な作用により、ダイレクトリプログラミングを受けた細胞から完全に機能回
路を再構成するために使用することができる様々な系統へのMEFの効率的リプログラミングが可能になる。

0119

材料と方法
出生後マウス大脳皮質に由来する星状グリア細胞の細胞培養物
Heinsら(Nature Neuroscience 5, 308-315 (2002))に記載される培養方法によって星状細胞を選択した。髄膜の除去後にC57BL/6JマウスのP5〜P7の大脳皮質から灰白質組織を切り離し、機械的に解離させた。その後、細胞を5分間にわたって1000rpmで遠心分離し、再懸濁し、そしてDMEM/F12(Gibco)、3.5mMグルコース(Sigma)、10%ウシ胎児血清(Gibco)、5%ウマ血清(Gibco)、ペニシリンストレプトマイシン(Gibco)からなり、且つ、B27(Gibco)、10ng/mL上皮成長因子(EGF、Roche)および10ng/mL線維芽細胞増殖因子2(FGF2、Roche)が添加された培地に播種した。1週間の増殖の後にトリプシンEDTA(Gibco)を使用して細胞を回収し、同じ培地中にウェル当たり60000細胞の密度でそれらの細胞を24ウェルプレート(BD Biosciences)中のポリ−D−リシン(Sigma−Aldrich)被覆ガラス製カバースリップまたは直接的にタイムラプス実験用プラスチック製品に播種した。24時間後に細胞をプラスミドで形質移入するか、または細胞にレトロウイルスベクターを感染させ、さらに24時間後にGlutaMAX、ペニシリン/ストレプトマイシンおよびB27添加物(Gibco)を含むDMEM/F12高グルコースからなる分化培地に培地を変更して細胞を神経細胞分化させた。

0120

マウス胚性線維芽細胞(MEF)の細胞培養物
妊娠14日目のマウス胚からMEFを得た。頭、脊柱、および内蔵を取出し、廃棄した(Vierbuchen et al., Nature 463, 1035-1041 (2010))。0.15%のトリプシンを使用して残りの組織を解離させ、5分間にわたって1300rpmで遠心分離し、再懸濁し、そしてGlutaMAX(Gibco)、10%ウシ胎児血清(Gibco)およびペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco)を含むDMEM高グルコース(3.5mM)からなる培地中に5%CO2および標準的酸素供給条件下で播種した。最低で3回の継代の後に線維芽細胞を実験に使用した。リプログラミング実験のため、細胞を回収し、星状細胞について上で記載されたように再播種した。

0121

マウス出生後星状グリア細胞培養物の形質移入
形質移入のため、下に記載されるレトロウイルスプラスミドとリポフェクタミン2000(Invitrogen)を使用してOptimem媒体(Invitrogen)の中にDNAリポソーム複合体を調製した。400μlのOptimem媒体当たり0.5μgのDNAの濃度のDNAリポソーム複合体に星状細胞培養物を4時間にわたって曝露し、その後でそれらの培養物を上記の分化培地の中で培養した。

0122

マウス胚性線維芽細胞(MEF)の細胞培養物
妊娠14日目のマウス胚からMEFを得た。頭、脊柱、および内蔵を取出し、廃棄した(Vierbuchen et al., 2010)。0.15%のトリプシンを使用して残りの組織を解離させ、5分間にわたって1300rpmで遠心分離し、再懸濁し、そしてGlutaMAX(Gibco)、10%ウシ胎児血清(Gibco)およびペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco)を含むDMEM高グルコース(3.5mM)からなる培地中に5%CO2および標準的酸素供給条件下で播種した。最低で3回の継代の後に線維芽細胞を実験に使用した。リプログラミング実験のため、細胞を回収し、星状細胞について上で記載されたように再播種した。

0123

ヒト線維芽細胞の細胞培養物
播種前に機械的に解離される直径3mmの充分な厚さのパンチ生検試料からヒト皮膚線維芽細胞初代培養物を確立した。生検試料から生じた線維芽細胞は、10%ウシ血清(Gibco)およびペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco)を含むDMEM(Gibco)を5%CO2および標準的酸素供給条件で使用して維持および継代された。リプログラミング実験のため、星状細胞について上で記載されたように24ウェルプレート中のカバースリップ上に細胞を播種し、感染から48時間後にGlutaMAXおよび1%ウシ胎児血清、ペニシリン/ストレプトマイシンおよびB27添加物(Gibco)を含むDMEM高グルコースに培地を変更した。リプログラミング過程の間に3日毎に星状細胞馴化培地で培地を交換した。最低2日間にわたって分化培地(上の出生後マウス大脳皮質に由来する星状グリア細胞の細胞培養物を参照されたい)で星状グリア細胞培養物を培養することにより星状細胞馴化培地が得られる。その後、その培地を星状細胞から回収し、ヒト細胞のリプログラミングに使用する。

0124

動物の外科手術
バイエルン州の方針に準じて認可番号55.2−1−54−2532−171−11の下で手術を行った。これまでに記載されたように(Sirko et al. 2013、 Simon et al. 2011)、皮質白質を傷つけることなく19ゲージの厚さのランセットで片側のみの刺傷(1mmの長さ、硬膜から0.6mmの深さ)を右の新皮質に行った。3日後に微量注入器に接続したガラス毛細管(Nanoliter2000+Sys−Micro4、World Precision Instrument)を使用して0.5〜1μlのレトロウイルス懸濁液(Neurog2−IRES−RFPおよびBcl−2−IRES−GFP、1:1)をその傷害部位に30〜60nl/分の速度で注入した。注入完了から5分後に針を引き抜いた。文書中に表記されているときは、トウモロコシ油希釈した200μlのカルシトリオール(Tocris)(1ng/μlの終濃度)をレトロウイルス注入から2日後に強制経口投与した。その投薬量はこれまでの刊行物(Nashold et al. 2013)に従って決定された。

0125

プラスミドおよびDNAコンストラクト
神経原性転写因子の発現のため、我々はこれまでに記載された(Heinrich et al., 2011)ようにリボソーム内部侵入部位(IRES)によって蛍光レポーターに連結された目的遺伝子(flag/myc−Ascl1、flag−Neurog2、Bcl−2またはDlx−2)の発現を駆動するサイトメガロウイルスエンハンサーと共にアクチンプロモーターを含む自己不活化性レトロウイルスベクター(pCAG)を使用した。マウス版のBcl−2cDNAをSource BioScienceから入手し(IRAVp968H01145D、pCMV−SPORT6.1−Bcl−2)、ヒトcDNA版(h−Bcl−2)をaddgene(プラスミド番号8793;pMIG−Bcl−2−IRES−GFP)から入手してRV−pCAG−flag/myc−Ascl1−IRES−Bcl−2、RV−pCAG−flag−Neurog2−IRES−Bcl−2、またはBcl−2とレポーターGFPの両方をコードするRV−pCAG−Bcl−2−IRES−GFPを作製した。それぞれオリゴ5’−ggctgccaggacggctcctctcaggcccctcgttg−3’(および相補オリゴ)およびオリゴ5’−gggacatggctgccagggaggagcctctcaggcccctcgttgcc−3’(および相補オリゴ)を使用する部位特異的突然変異形成によりBcl−2突然変異体A−Bcl−2およびEE−Bcl−2を作製してベクターpCMV−SPORT6.1−A−Bcl−2、RV−pCAG−Ascl1−IRES−A−Bcl−2およびRV−pCAG−Neurog2−IRES−A−Bcl−2および対応するEE−Bcl−2版のベクターを作製した。シーケンシングによって突然変異を確認した。Sino Biological(MG51106−G、ベクターpGEM−T)からマウスのVdrを入手し、レトロウイルスベクターにサブクローン化してRV−pCA
G−Vdr−IRES−GFPを作製した。

0126

ウイルスベクターは106〜9のタイターシュードタイピングする水泡口内炎ウイルスを用いて作製され、上で記載されたように分割から24時間後に細胞を感染させた。16%O2および9%CO2中で細胞を分化させた。

0127

イムノブロット分析
プロテアーゼコンプリートEDTAフリー、Roche)を含むRIPA緩衝液(10mM Na2HPO4、pH7.2、150mM NaCl、1%デオキシコール酸ナトリウム、1%ノニデットP−40、0.1%SDS)の中で培養物を溶解した。InterchimのBCA試薬を使用してタンパク質濃度を決定した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動により等量のタンパク質(50μg)を分離し、ポリビニリデンジフオリド膜(Pall;Life Sciences)に転写した。

0128

標準的手法(ECLプライムウエスタンブロッティング検出試薬、Amersham)によりタンパク質の免疫検出を実施した。CREBおよびP−CREBの発現はそれぞれポリクローナル抗CREB抗体(Cell Signaling、48H2)またはポリクローナル抗P−CREB抗体(S133)(Cell Signaling、87G3)を使用して検出した。PKAリン酸化標的はポリクローナル抗PKA基質(Cell
Signaling、100G7E)を使用して検出し、Bcl−2またはα−チューブリンはポリクローナル抗BCl−2抗体(Cell Signaling、50E3)またはモノクローナル抗α−チューブリン抗体(Sigma、5168)を使用して検出した。

0129

免疫細胞化学
細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で10分間にわたって室温(RT)で固定し、PBS中で洗浄し、PBS中の0.5%トリトンX−100の中で30分間にわたって前処理し、続いてPBS中の2%BSAと0.5%トリトンX−100の中で30分間にわたってインキュベートした。一次抗体をPBS中の2%BSA、0.5%トリトンX−100の中で標本に対して4℃で一晩インキュベートした。次の一次抗体を使用した:ポリクローナル抗Bcl−2(Cell Signaling、50E3)、ポリクローナル抗P−Creb(S133)(Cell Signaling、87G3)、モノクローナル抗Myc(Cell Signaling、9B11)、ポリクローナル抗Green蛍光タンパク質(GFP、ニワトリ、1:1000、Aves Labs、GFP−1020)、ポリクローナル抗グリア線維酸性タンパク質(GFAP、ウサギ、1:4000、DakoCytomation、Z0334)、ポリクローナル抗Red蛍光タンパク質(RFP、ウサギ、1:500、Chemicon、AB3216、または1:2000、Rockland、600−401−379)、モノクローナル抗βIIIチューブリン(マウスIgG2b、1:500、Sigma、T8660)。PBS中での洗浄の後に細胞をCy(商標)2、Cy(商標)3、Cy(商標)5(1:500、Jackson ImmunoResearch)、Alexa Fluor488(1:500、Invitrogen)、FITCフルオレセインイソチオシアネート、1:500、Jackson ImmunoResearch)、TRITC(テトラメチルローダミンイソチオシアネート、1:500、Jackson ImmunoResearch)またはビオチン(1:500、Jackson ImmunoResearchまたはVector Laboratories)に複合体化した適切な種特異的またはサブクラス特異的二次抗体、またはファロイジンAlexa594(Invitrogen、A123819)またはブンガロトキシンTRITC(Molecular Probes、T−1175)と共に2時間にわたって暗所において室温でインキュベートし、続いてPBS中で広範囲に洗浄した。ビオチンに複
合体化した二次抗体を使用する処理に続いて細胞を後にAMCAストレプトアビジン(1:200、Vector Laboratories)またはAlexa Fluor647ストレプトアビジン(1:500、Invitrogen)と共に2時間にわたって室温でインキュベートし、Aqua Poly/Mount(Polysciences、ワーリントン、ペンシルニア州)によりマウントした。

0130

酸化ストレスの検出のため、我々はCellROXグリーン試薬(Life technologies、C10444)を記載されているプロトコルに従って使用し、顕微鏡により蛍光を検出した(下記参照)。

0131

免疫組織化学
動物に麻酔をかけ、1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を使用して経心的灌流を行い、続いてPBS中の4%パラホルムアルデヒド(PFA)を使用して経心的灌流を行った。脳を2時間にわたって後固定し、PBSで2回洗浄し、そして4%アガロース/水中に包埋した。最終的に振動ミクロトーム(Leica)を使用して60μm厚の冠状切片を切った。

0132

免疫組織学のため、切片を30分間にわたってブロッキング溶液(PBS中の2%ウシ血清アルブミン、0.5%トリトンX−100)中で予備インキュベートした。次の一次抗体をブロッキング溶液中に希釈し、切片と4℃で48時間にわたってインキュベートした:ニワトリ抗GFP(1:500、Aves Labs、GFP−1020)、ウサギ抗RFP(1:500、Rockland、600−401−379)、マウス抗NeuN(1:250、Chemicon、MAB377)。PBS中での洗浄の後に二次抗体をブロッキング溶液中に希釈し、室温で2時間にわたってインキュベートした。それらの二次抗体は一次抗体に応じて選択し、Alexa Fluor488またはFITC、Cy3、Alexa Fluor647に連結した。切片をマウントする前に最後にDAPI(Sigma Aldrich)で対比染色した。

0133

RNA抽出およびリアルタイム定量PCR(qRT−PCR)
ゲノムDNAの除去をはじめとする製造業者の指示に従ってRNeasyプラスミクロキット(Qiagen)を使用してRNAを抽出した。SuperScriptIIIリバーストランスクリプテースおよびランダムプライマー(Roche)を使用してRNAを逆転写した。各cDNA試料を1対5に希釈し、各定量的リアルタイム反応に1μlを使用した。製造業者の指示に従ってLightCyclerプローブマスターキット(Roche)とMonocolorハイドロリシスプローブ(UPL)プローブ(Roche)(20μlの最終体積)を使用してLightCycler480装置(Roche)上でリアルタイム定量PCR(qPCR)を実施した。各遺伝子の発現を三回の実験で分析した。データをΔΔCt法(Livak and Schmittgen, 2001)により処理した。3つの独立した試料に対して定量を行った。

0134

顕微鏡法
SM710レーザー走査共焦点顕微鏡またはAxio Observer Z1落射蛍光顕微鏡(Carl Zeiss)により免疫染色を分析した。ZENソフトウェア(Carl Zeiss)を使用してデジタル画像捕捉し、10倍の対物レンズを使用して全てのRFP/GFP免疫反応性細胞の細胞計数を実施した。

0135

ライブイメージング顕微鏡
セルオブザーバー(Zeiss)を使用して37℃の定温および8%CO2でタイムラプスビデオ顕微鏡法を実施した。10倍の位相差対物レンズ(Zeiss)、およびAxioCamHRmカメラ自分自身で書いたVBAモジュール遠隔制御Zeiss A
xioVision 4.7ソフトウェア(Rieger and Schroeder, Journal of cellular biochemistry 108, 343-352 (2009))と共に使用して位相差画像を5分毎に獲得し、蛍光写真を4〜6時間毎に6.5〜7.5日間にわたって獲得した。Image J 1.42q(国立衛生研究所、米国)ソフトウェアを使用してムービーを組み立てた。それらのムービーは秒当たりフレームの速度で再生される。

0136

統計学
マン・ホイットニー検定またはANOVAテューキー・ポスト検定を用いることによりGraphPrism4ソフトウェアを使用して統計分析を行った。少なくとも3回分の独立した実験で各実験につき3枚のカバースリップに由来する全ての形質移入細胞を計数した。少なくとも3回の独立した実験において各実験につき3つの異なるウェルの5か所の無作為に選んだ10倍の視野からレトロウイルスベクター形質導入細胞を定量した。

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