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技術 ローレンツ起電力で電荷搬送体を充電する電界駆動型静電発電機

出願人 酒井捷夫
発明者 酒井捷夫
出願日 2018年9月2日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-164094
公開日 2020年3月12日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-039188
状態 未査定
技術分野 特殊な電動機、発電機
主要キーワード 保持円板 バット状 左右非対称形状 円柱状導体 メッシュ図 電気接触端子 垂直平板 円柱導体
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

課題

電界方向に前後非対称形状を有する導体電荷搬送体)に電荷注入し、該導体に作用する前後非対称静電力で、該注入電荷高電位迄搬送する電界駆動型静電発電機では、搬送電荷量が少なく、その出力が小さかった。

解決手段

各電荷搬送体自体をコンデンサーとし、後行する電荷搬送体が磁界を移動中、その両端に発生するローレンツ起電力正負電荷)を、先行する電荷搬送体に加えて、該先行するコンデンサーを正負等量に充電し、先行する電荷搬送体を、それに作用する非対称分静電気力によって電荷回収領域迄搬送する。

概要

背景

広く知られているように、発電機は、磁界中に置かれたコイルを回転させるタービン構造をしている。回転することにより、コイルを貫く磁力線の数が変化し、起電力が生ずる。コイルを回転させる機械力として、19世紀後半以降は、水力)を使用していたが、近年は、石炭石油液化ガス、並びに原子力高圧水蒸気を発生させ、使用している。風力で回転させることも盛んになってきた。

出願人は、従来のバンデンベルクの発電機で採用された機械力に代えて、その断面が、電界におけるその移動方向に直角な中心線に対し左右に非対称な形状を有する無帯電導体に作用する、いわゆる非対称分静電力で、当該導体を駆動しコイルを回転移動させる発電機を提案している(下記特許文献[1])。

即ち、従来より、収束する電界中に置かれた物体には、電界の収束する方向に静電気力が働くことが知られている(グラディエント力)。
例えば、図7の(A)のように、大円電極(1)と小円電極(2)が形成する収束電界中に置かれた無帯電の円柱状導体(3)には、右方向に静電気力が働く。
この時、収束電界を、両電極(1)(2)の中心線より放射状に広げて、平行電界とする(同図(B))。同時に、円柱状導体(3)も、電界を広げるのと同一割合で広げる。よって、導体(3)はバット状左右非対称形状になる(同図(C))。
この形状では、導体(3)に働く静電気力をシミュレーションできないので、大中小3枚の円板積層体に置き換え(同図(D))、これに働く静電気力を後段で詳述する二次元差分法でシミュレーションしたところ、やはり右方向に働き、その大きさも、上記グラディエント力と略同じであった(非特許文献[7])。
詰り、この力は、同図(C)(D)の該導体(3)が、電界方向に前後非対称形状であることにより、該導体(3)に生じる正負分極電荷分布も、当該電界方向で非対称になることが原因であると言える。そこで、この静電気力を非対称分極静電力と定義している。尚、その後の実験でも、この非対称分極静電力は確認されている(非特許文献[8])。

図8において、該非対称分極静電力で、磁界中に置かれたコイルを回転させて発電する公知の方法を示す。
参照番号1は高電位エレクトレットを、参照番号2は対向接地電極を、参照番号7a, 7bは、コイル18の左右両端につけられた樋型導体を、参照番号16A、16Bは、左右に置かれた磁石を示している。
エレクトレット1と接地電極2の形成する電界により、無帯電の樋型導体7aと7bには、非対称分極静電力が働き、コイル18は矢印方向に回転する。詰り、エレクトレットと磁石さえあれば、エネルギーロスが無ければ半永久的に発電し続ける。
出願人は、又、電界中で帯電した前後非対称形状の導体に働く静電力(前後非対称静電力)を、電荷搬送体機械的な搬送力、及び搬送電荷を電気的により高い電位に持ち上げる電気力として使用する電界駆動型静電発電機も既に提案しており、ベンチモデルでの連続発電成功している(下記特許文献[2]乃至 [4]、非特許文献[1]乃至[2])。
前後非対称静電力とは、前後非対称形状を有する帯電した導体に作用する静電力(F)の強さ(絶対値)が、電界(E)の方向が正逆反転した時に大きく変わる現象である。

詰り、従来、電界中に置かれた電荷(q)に作用する静電力は、全て図1に示すクーロンの法則(F = DE)を用いて計算されている。
同図において、参照番号1は高圧電極、参照番号2は第一対向電極接地)、参照番号3は点電荷、参照番号4は点電荷に作用する静電力の向きと大きさ、参照番号5は電界(電気力線)、及び参照番号6は第二対向電極(接地)を示している。
図1の左側において、例えば、電界の強さが106 V/mで、点電荷の電荷量が10-7Cの時、作用する静電力は0.100Nになる。一方、図1の右側のように、電界の方向が反転した時、静電力の方向も反転するが、その絶対値は0.100Nであり、変わらない。
クーロンの法則は、点電荷又は点電荷とみなせる球形の帯電体にしか適用できないが(非特許文献[3])、点電荷とみなせる帯電した粉体を使用する電子写真静電塗装分野では有効に適用されている。

これに対して、出願人は、非球形の帯電した導体に作用する静電力を求める際、クーロンの法則ではその計算ができないので、(後段で詳述する)二次元差分法を使って、電界の方向が反転する前後の静電力を求めてみた。
具体的には、図2に示すように、参照番号7で示す帯電した導体の形状を横向きの樋型とし、その帯電量と電界の強さは図1と同じとした。
その結果、電界が反転すると、静電力の絶対値は、0.083Nから0.038Nへと大きく変わった。つまり、前後非対称静電力の存在を発見した。その際、相対的に静電力が大きくなる図2の左側部分の電界を「順電界」、静電力が小さくなる右側部分の電界を「逆電界」と定義した。

該前後非対称静電力を電荷搬送体の駆動力とする電界駆動型静電発電機では、電位0Vで、静電誘導によって帯電させた非対称形状を有する導電性電荷搬送体を、先ず、順電界中において強い静電力で十分加速させたのち、逆電界に入れる。
該逆電界中では、電荷搬送体に働く(進行逆方向の)静電力は弱く、且つ当該逆電界中において、電荷搬送体の電位がプラス電位から0Vに戻ったとき、余剰運動エネルギーが残っている。その結果、当該電荷搬送体は更に高い電位迄上ることができる。

図3は、横向き樋型の導電性電荷搬送体を用い、前後非対称静電力を利用する電界駆動型静電発電機の基本ユニットの正面図である。
図中、参照番号8は電荷注入電極を、参照番号9は高圧電極(例えば、エレクトレット、より高電位が必要な場合は、強誘電体及び電極と高圧電極を組み合わせたもの)を、参照番号11は電荷搬送体を、参照番号10は電荷回収電極を、参照番号12は電荷回収電極10に接続された回収部コンデンサーを、参照番号13は、これら両電極8及び10並びにエレクトレット9を支持する絶縁性支持体上下一対)を示している。
尚、参照番号4及び5は、図1及び図2と同じく、電荷搬送体11に加わる静電力と電界(電気力線)を示している。
エレクトレット9は、例えば、0.1mC/m2 の表面電荷密度を有し、その電位は、例えば、+2000Vである。一方、電荷注入電極8の電位は0Vで、電荷回収電極10の電位は、例えば、-200Vである。
この結果、電荷注入電極8とエレクトレット9の間には、負極性に帯電される非対称形状の電荷搬送体11に対して、順電界が形成される。一方、エレクトレット9と回収電界10の間には、同電荷搬送体11に対して逆電界が形成される。

電荷搬送体11は、横向きにした樋型であるから、その縦断面横方向中央における、電界の方向又は電荷搬送体11の移動方向に直角な垂線に対し、左右非対称形であり、よって、移動方向に前後非対称形状を有する。
該電荷搬送体11は、軽い導体、例えばアルミで形成されていて、例えば、図4に示す絶縁性の電荷搬送体支持円板14に支持されている。その結果、電気的にフロートである。
該電荷搬送体11は、前後非対称な静電力4で駆動されて、図3中、左から右に移動して、電荷注入電極8、エレクトレット9、及び電荷回収電極10を順次通り抜ける。
該電荷搬送体11が上下一対の電荷注入電極8を抜ける時、即ち、電荷注入電極8に設けられた図5で示すアルミフォイル又は導電糸等の材料からなる導電性端子23が、電荷搬送体11に接触して離れる時、静電誘導によって、該電荷搬送体11に、例えば負極性の電荷が注入される。
又、該電荷搬送体11が(上下一対の)電荷回収電極10に奥深く入ったとき、該電荷回収電極10に設けられた図5で示す搬送電荷回収用の導電性端子24が接触して、該電荷搬送体11が有する前記注入電荷は回収される。

該電荷搬送体11が受ける静電力の強さは、順電界では大きく、逆電界では小さい。そこで、電界駆動型静電発電機では、これら静電力の差を、該電荷搬送体11の駆動力として使用する。
即ち、順電界中においては、強い静電力によって電荷搬送体11を加速運動させ、電荷搬送体11が逆電界に入り減速運動になっても、それが受ける逆方向の力は弱い静電力なので、十分な速度を持って電荷回収電極10に到達する。

前後非対称静電力を利用した電界駆動型静電発電機全体のベンチモデルを、正面図たる図4、及び平面図たる図5に基づきその概略を示す。
参照番号14は、電荷搬送体11を支持する電荷搬送体支持円板、参照番号23は注入用端子、及び参照番号24は回収用端子である。参照番号17は、電荷搬送体保持円板14のセンターに固定され、固定軸周りを回転するベアリングである。固定軸17の周りであって、その中心から半径方向に二つの位置で、円周方向に各間欠的に所定間隔を以って配置された、内外一対円弧注入電極8、高圧電極9、及び回収電極10が、当該発電機本体に固定されている。 電荷搬送体11は、内外一対の注入電極8、高圧電極9、及び回収電極10に間挿して配置され、前記軸回りに回転して、内外一対の注入電極8、高圧電極9、及び回収電極10を、順次通り抜けるように構成されている。
該ベンチモデルにおいて、高圧電極9に+7kVを印加したところ、電荷搬送体11を支持する電荷搬送体支持円板14は自動的に回転を始め、注入電荷が運ばれ、回収され、回収電極コンデンサー12の表面電位上がり始めた。この表面電位の時間変化から回収電流を求めたところ、回収電位100Vのとき、-15.4nAであった(非特許文献「2」)。

概要

電界方向に前後非対称形状を有する導体(電荷搬送体)に電荷を注入し、該導体に作用する前後非対称静電力で、該注入電荷を高電位迄搬送する電界駆動型静電発電機では、搬送電荷量が少なく、その出力が小さかった。各電荷搬送体自体をコンデンサーとし、後行する電荷搬送体が磁界を移動中、その両端に発生するローレンツ起電力(正負電荷)を、先行する電荷搬送体に加えて、該先行するコンデンサーを正負等量に充電し、先行する電荷搬送体を、それに作用する非対称分極静電気力によって電荷回収領域迄搬送する。

目的

本発明の目的は、電界駆動型静電発電機の電荷搬送体の搬送電荷量を増やして、その出力を大幅に改善することにある

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

コンデンサーを構成し、電界を電界方向に移動し、移動方向前後に非対称な形状を有する少なくとも一の電荷搬送体と、ローレンツ力によって磁界中を移動する導体の両端に正負電荷を夫々集め、その端部間にローレンツ起電力を生成するローレンツ起電力生成手段と、当該ローレンツ起電力で前記コンデンサーたる電荷搬送体を充電する充電手段とを有し、前記電界において前記電荷搬送体が分極することによって生じた移動方向前後に非対称な非対称分静電気力を利用して、充電後の前記コンデンサーたる電荷搬送体を電荷回収領域迄搬送し、前記コンデンサー内の充電電荷を当該電荷回収領域で回収し、発電する電界駆動型静電発電機

請求項2

請求項1において、前記磁界中を移動する導体は、前記電界を電界方向に移動し、移動方向前後に非対称な形状を有する他の一のコンデンサーたる電荷搬送体であることを特徴とする電界駆動型静電発電機。

請求項3

請求項2において、前記他の一のコンデンサーたる電荷搬送体は、より前方で移動する前記少なくとも一の電荷搬送体たるコンデンサーを、前記ローレンツ起電力で充電することを特徴とする電界駆動型静電発電機。

技術分野

0001

本発明は、従来採用した前後非対称静電力替え、非対称分極静電力を駆動力とし、且つ静電誘導による電荷搬送体への電荷注入に替えて、コンデンサー型にした電荷搬送体をローレンツ起電力充電する電界駆動型静電発電機に関するものである。

背景技術

0002

広く知られているように、発電機は、磁界中に置かれたコイルを回転させるタービン構造をしている。回転することにより、コイルを貫く磁力線の数が変化し、起電力が生ずる。コイルを回転させる機械力として、19世紀後半以降は、水力)を使用していたが、近年は、石炭石油液化ガス、並びに原子力高圧水蒸気を発生させ、使用している。風力で回転させることも盛んになってきた。

0003

出願人は、従来のバンデンベルクの発電機で採用された機械力に代えて、その断面が、電界におけるその移動方向に直角な中心線に対し左右に非対称な形状を有する無帯電導体に作用する、いわゆる非対称分極静電力で、当該導体を駆動しコイルを回転移動させる発電機を提案している(下記特許文献[1])。

0004

即ち、従来より、収束する電界中に置かれた物体には、電界の収束する方向に静電気力が働くことが知られている(グラディエント力)。
例えば、図7の(A)のように、大円電極(1)と小円電極(2)が形成する収束電界中に置かれた無帯電の円柱状導体(3)には、右方向に静電気力が働く。
この時、収束電界を、両電極(1)(2)の中心線より放射状に広げて、平行電界とする(同図(B))。同時に、円柱状導体(3)も、電界を広げるのと同一割合で広げる。よって、導体(3)はバット状左右非対称形状になる(同図(C))。
この形状では、導体(3)に働く静電気力をシミュレーションできないので、大中小3枚の円板積層体に置き換え(同図(D))、これに働く静電気力を後段で詳述する二次元差分法でシミュレーションしたところ、やはり右方向に働き、その大きさも、上記グラディエント力と略同じであった(非特許文献[7])。
詰り、この力は、同図(C)(D)の該導体(3)が、電界方向に前後非対称形状であることにより、該導体(3)に生じる正負分極電荷分布も、当該電界方向で非対称になることが原因であると言える。そこで、この静電気力を非対称分極静電力と定義している。尚、その後の実験でも、この非対称分極静電力は確認されている(非特許文献[8])。

0005

図8において、該非対称分極静電力で、磁界中に置かれたコイルを回転させて発電する公知の方法を示す。
参照番号1は高電位エレクトレットを、参照番号2は対向接地電極を、参照番号7a, 7bは、コイル18の左右両端につけられた樋型導体を、参照番号16A、16Bは、左右に置かれた磁石を示している。
エレクトレット1と接地電極2の形成する電界により、無帯電の樋型導体7aと7bには、非対称分極静電力が働き、コイル18は矢印方向に回転する。詰り、エレクトレットと磁石さえあれば、エネルギーロスが無ければ半永久的に発電し続ける。
出願人は、又、電界中で帯電した前後非対称形状の導体に働く静電力(前後非対称静電力)を、電荷搬送体の機械的な搬送力、及び搬送電荷を電気的により高い電位に持ち上げる電気力として使用する電界駆動型静電発電機も既に提案しており、ベンチモデルでの連続発電成功している(下記特許文献[2]乃至 [4]、非特許文献[1]乃至[2])。
前後非対称静電力とは、前後非対称形状を有する帯電した導体に作用する静電力(F)の強さ(絶対値)が、電界(E)の方向が正逆反転した時に大きく変わる現象である。

0006

詰り、従来、電界中に置かれた電荷(q)に作用する静電力は、全て図1に示すクーロンの法則(F = DE)を用いて計算されている。
同図において、参照番号1は高圧電極、参照番号2は第一対向電極接地)、参照番号3は点電荷、参照番号4は点電荷に作用する静電力の向きと大きさ、参照番号5は電界(電気力線)、及び参照番号6は第二対向電極(接地)を示している。
図1の左側において、例えば、電界の強さが106 V/mで、点電荷の電荷量が10-7Cの時、作用する静電力は0.100Nになる。一方、図1の右側のように、電界の方向が反転した時、静電力の方向も反転するが、その絶対値は0.100Nであり、変わらない。
クーロンの法則は、点電荷又は点電荷とみなせる球形の帯電体にしか適用できないが(非特許文献[3])、点電荷とみなせる帯電した粉体を使用する電子写真静電塗装分野では有効に適用されている。

0007

これに対して、出願人は、非球形の帯電した導体に作用する静電力を求める際、クーロンの法則ではその計算ができないので、(後段で詳述する)二次元差分法を使って、電界の方向が反転する前後の静電力を求めてみた。
具体的には、図2に示すように、参照番号7で示す帯電した導体の形状を横向きの樋型とし、その帯電量と電界の強さは図1と同じとした。
その結果、電界が反転すると、静電力の絶対値は、0.083Nから0.038Nへと大きく変わった。つまり、前後非対称静電力の存在を発見した。その際、相対的に静電力が大きくなる図2の左側部分の電界を「順電界」、静電力が小さくなる右側部分の電界を「逆電界」と定義した。

0008

該前後非対称静電力を電荷搬送体の駆動力とする電界駆動型静電発電機では、電位0Vで、静電誘導によって帯電させた非対称形状を有する導電性電荷搬送体を、先ず、順電界中において強い静電力で十分加速させたのち、逆電界に入れる。
該逆電界中では、電荷搬送体に働く(進行逆方向の)静電力は弱く、且つ当該逆電界中において、電荷搬送体の電位がプラス電位から0Vに戻ったとき、余剰運動エネルギーが残っている。その結果、当該電荷搬送体は更に高い電位迄上ることができる。

0009

図3は、横向き樋型の導電性電荷搬送体を用い、前後非対称静電力を利用する電界駆動型静電発電機の基本ユニットの正面図である。
図中、参照番号8は電荷注入電極を、参照番号9は高圧電極(例えば、エレクトレット、より高電位が必要な場合は、強誘電体及び電極と高圧電極を組み合わせたもの)を、参照番号11は電荷搬送体を、参照番号10は電荷回収電極を、参照番号12は電荷回収電極10に接続された回収部コンデンサーを、参照番号13は、これら両電極8及び10並びにエレクトレット9を支持する絶縁性支持体上下一対)を示している。
尚、参照番号4及び5は、図1及び図2と同じく、電荷搬送体11に加わる静電力と電界(電気力線)を示している。
エレクトレット9は、例えば、0.1mC/m2 の表面電荷密度を有し、その電位は、例えば、+2000Vである。一方、電荷注入電極8の電位は0Vで、電荷回収電極10の電位は、例えば、-200Vである。
この結果、電荷注入電極8とエレクトレット9の間には、負極性に帯電される非対称形状の電荷搬送体11に対して、順電界が形成される。一方、エレクトレット9と回収電界10の間には、同電荷搬送体11に対して逆電界が形成される。

0010

電荷搬送体11は、横向きにした樋型であるから、その縦断面横方向中央における、電界の方向又は電荷搬送体11の移動方向に直角な垂線に対し、左右非対称形であり、よって、移動方向に前後非対称形状を有する。
該電荷搬送体11は、軽い導体、例えばアルミで形成されていて、例えば、図4に示す絶縁性の電荷搬送体支持円板14に支持されている。その結果、電気的にフロートである。
該電荷搬送体11は、前後非対称な静電力4で駆動されて、図3中、左から右に移動して、電荷注入電極8、エレクトレット9、及び電荷回収電極10を順次通り抜ける。
該電荷搬送体11が上下一対の電荷注入電極8を抜ける時、即ち、電荷注入電極8に設けられた図5で示すアルミフォイル又は導電糸等の材料からなる導電性端子23が、電荷搬送体11に接触して離れる時、静電誘導によって、該電荷搬送体11に、例えば負極性の電荷が注入される。
又、該電荷搬送体11が(上下一対の)電荷回収電極10に奥深く入ったとき、該電荷回収電極10に設けられた図5で示す搬送電荷回収用の導電性端子24が接触して、該電荷搬送体11が有する前記注入電荷は回収される。

0011

該電荷搬送体11が受ける静電力の強さは、順電界では大きく、逆電界では小さい。そこで、電界駆動型静電発電機では、これら静電力の差を、該電荷搬送体11の駆動力として使用する。
即ち、順電界中においては、強い静電力によって電荷搬送体11を加速運動させ、電荷搬送体11が逆電界に入り減速運動になっても、それが受ける逆方向の力は弱い静電力なので、十分な速度を持って電荷回収電極10に到達する。

0012

前後非対称静電力を利用した電界駆動型静電発電機全体のベンチモデルを、正面図たる図4、及び平面図たる図5に基づきその概略を示す。
参照番号14は、電荷搬送体11を支持する電荷搬送体支持円板、参照番号23は注入用端子、及び参照番号24は回収用端子である。参照番号17は、電荷搬送体保持円板14のセンターに固定され、固定軸周りを回転するベアリングである。固定軸17の周りであって、その中心から半径方向に二つの位置で、円周方向に各間欠的に所定間隔を以って配置された、内外一対円弧注入電極8、高圧電極9、及び回収電極10が、当該発電機本体に固定されている。 電荷搬送体11は、内外一対の注入電極8、高圧電極9、及び回収電極10に間挿して配置され、前記軸回りに回転して、内外一対の注入電極8、高圧電極9、及び回収電極10を、順次通り抜けるように構成されている。
該ベンチモデルにおいて、高圧電極9に+7kVを印加したところ、電荷搬送体11を支持する電荷搬送体支持円板14は自動的に回転を始め、注入電荷が運ばれ、回収され、回収電極コンデンサー12の表面電位上がり始めた。この表面電位の時間変化から回収電流を求めたところ、回収電位100Vのとき、-15.4nAであった(非特許文献「2」)。

0013

[特許文献1] 特開2013−236530号公報
[特許文献2] 特許第6136050号公報
[特許文献3] 特許第6286767号公報
[特許文献4] 特開2018−029425号公報

先行技術

0014

[非特許文献1][Asymmetric Electrostatic Forces and a New Electrostatic Generator], Nova Science Publishers, New York, 2010
[非特許文献2]2017年米国静電気学年次大会予稿集A-3
[非特許文献3]「物理学基礎電磁気学」、ハリディレスニックウォーカー共著、野崎光昭監訳、培風
[非特許文献4][Asymmetric Electrostatic Force], K. Sakai, Journal of Electromagnetic Analysis and Applications, Scientific Research
[非特許文献5] 「「場」とはなんだろう」、内薫、講談社
[非特許文献6] [The Electric Field Energy of an Electret], K. Sakai、Global Journal of Science Frontier Research A, Global Journals Inc.
[非特許文献7][An overlooked electrostatic force that acts on a non-charged asymmetric conductor in a symmetric (parallel) electric field], K. Sakai, Journal of ELECTROSTATICS 2009, Vol.67 pp.67
[非特許文献8]2008年米国静電気学会年次大会予稿集 D-3

発明が解決しようとする課題

0015

しかしながら、非対称分極静電力で駆動する前者の場合、無帯電の非対称形状の導体に作用する静電力でコイルを回転させるためには、エレクトレットの電位として100万ボルトが必要であり、その実現は事実上困難であった。
又、後者の、非対称形状の帯電した電荷搬送体を前後非対称静電力で駆動する電界駆動型静電発電機は、1回に搬送できる電荷量が非常に少なく、得られる電位も高くはないため、その高出力化が難しい。この場合、内外一対の空間を真空にすることで、電荷搬送体支持円板14の回転速度を上げ、回収電流を10倍乃至100倍にすることも可能であるが、尚、一般的な用途としは少なすぎる。

0016

本発明の目的は、電界駆動型静電発電機の電荷搬送体の搬送電荷量を増やして、その出力を大幅に改善することにある。

課題を解決する為の手段

0017

上記本発明の目的は、電荷搬送体を非対称形状のコンデンサーとし、ローレンツ起電力(ローレンツ力で導体の両端に生じた電位差)により該コンデンサーを充電すると共に、該電荷搬送体に作用する非対称分極静電力により、該電荷搬送体を回収領域迄搬送することで達成できる。

発明の効果

0018

本発明の実施例によれば、電荷搬送体のコンデンサーに蓄えられる電荷量は、静電誘導で注入される電荷量より桁違い大きいため、搬送電荷量は格段に増大する。
又、非対称分極静電力は、電界の向きに拘わらず、常に、横向き樋型等、非対称形状の電荷搬送体の移動方向前面の垂直平板に加わるため、該電荷搬送体は、各電極の配置空間(距離)が許せば、どんな電位迄でも搬送可能である。

図面の簡単な説明

0019

図1は、クーロンの法則を説明する模式図である。
図2は、横向き樋型導体を用いた前後非対称静電力を説明する模式図である。
図3は、電界駆動型静電発電機の基本ユニットの縦断面図である。
図4は、電界駆動型静電発電実験機のベンチモデルの正面図である。
図5は、電界駆動型静電発電実験機のベンチモデルの平面図である。
図6は、電荷搬送体の充電電荷量と該電荷搬送体に作用する静電力の関係を示すグラフである。
図7は、非対称分極静電力の発生原理を示す模式図であって、収束電界中の円柱導体に働く静電力と、平行電界中のバット型(又は置き換えた円板積層体)に働く静電力が等しくなることを示す模式図である。
図8は、コイルの両端夫々に固設した樋型導体に作用する非対称分極静電力で当該コイルを回転させる電界駆動型発電機の正面図である。
図9は、ローレンツ起電力の発生原理を示す模式図である。
図10は、ローレンツ起電力で充電する電界駆動型静電発電機の基本ユニットを示す正面図と平面図である。
図11は、ローレンツ起電力で充電する電界駆動型静電発電機の電荷搬送体の構造を示す縦断面図である。
図12は、ローレンツ起電力で充電する電界駆動型静電発電の基本ユニットを円周上に並べた発電機の斜視図である。
図13は、上固定電極円板、電荷搬送体支持円板、下固定電極円板からなる一組を複数積層し、その上下に磁石を置いた高出力電界駆動型静電発電機の縦断面図である。
図14は、充電された電荷搬送体たるコンデンサー上の電荷分布を示すグラフである。
図15は、充電された電荷搬送体たるコンデンサー上の、特にその空気層に対する面の電荷分布を示すグラフである。
図16は、順電界及び逆電界において、充電されたコンデンサー上の、特にその空気層に対する面の電荷分布を示すグラフである。
図17は、二次元差分法によるシミュレーションで、電荷搬送体の電位を求める際に使用するメッシュ図である。

発明を実施する為の形態

0020

0021

先ず、本発明で使用されるローレンツ起電力について説明する。
図9において、参照番号11は、細長い導体(図示された樋型に限らない)を、19は磁力線を、20は電子を、21は正孔を示している。
Y方向の磁界中を、導体がX方向に移動するとき、導体中の自由電子には、Z方向にローレンツ力が働き、該自由電子は導体の図中右端面に集まり、逆の端面には正孔が残る。
ここで、磁界の強さを、B[T]、導体の移動速度をv[m/s]、導体の長さをl[m]とすると、導体の両端の電位差、詰り、ローレンツ起電力Vは次式で求められる。

0022

次に、図10において、本発明の、ローレンツ起電力充電型の電界駆動静電発電機の基本ユニットを示す。上側がその正面図で、下側がその平面図である。
参照番号11は、電荷搬送体を示している。その構造は、図11に示されるように、横置き樋型のコンデンサーで、参照番号111の外面薄層電極を、112の高誘電層を、113の内面薄層電極からなる。
又、図示するように、参照番号に添えられたアルファベット大文字A、B、Cは、各薄層電極111、113が空気層に接する面を示し、アルファベットの小文字a、b、cは、各薄層電極111、113の高誘電層112に接する面を示し、A、aは各薄層電極111、113の上部、Bbはその横向き側部、Ccはその下部を示している。
図10の上の図において、16a、16bは上下対向配置された磁石で、上下方向に磁界を形成している。22aは奥側のローレンツ電荷回収電極、同22bは手前側の各ローレンツ電荷回収電極である。電気接触子26aが外面薄層電極111の奥側、電気接触子26bがその手前側、電気接触子27aが内面薄層電極113の奥側、及び電気接触子27bがその手前側に付けられている。
以下、ローレンツ起電力充電による電界駆動型発電機の基本原理を説明する。
図10の下の図において、電荷搬送体支持板14に乗った電荷搬送体111が、左から該磁界中に入ってくると、ローレンツ力により、電子が奥側(下の図で上側)へ、正孔が手前側(下の図で下側)に移動し、電気接触子26a、26b、27a、27bを通って、ローレンツ電荷回収電極22a、22bに流れる。
この時、先行する電荷搬送体112は、図のように、ローレンツ電荷注入電極25aと25bの間にいる。ここで、奥側の電荷回収電極22aと奥側の電荷注入電極25a、及び、手前側の電荷回収電極22bと手前側の電荷注入電極25bは、夫々電気的につながっている。
よって、外面薄層電極111につながる電気接触子26aが奥側注入電極25aに、内面薄層電極113につながる電気接触子27bが手前側注入電極25bに電気的につながることにより、外面薄層電極111には電子が、内面薄層電極113には正孔が注入される。即ち、電荷搬送体112たるコンデンサーが充電される。
尚、各電気接触子は、各電極又は電荷搬送体11(各薄層電極)に適宜取り付けられている。又、電荷搬送体111でローレンツ起電力を発生させる代わりに、別途、専用の導体を、電界の無い装置内で用意し、ローレンツ起電力を発生させて利用することもできる。

0023

ローレンツ起電力で充電されたコンデンサーたる電荷搬送体11は、更に右に進み、対向接地電極8と高電位エレクトレット9、及び高電位エレクトレット9と回収電位設定エレクトレット101の各間で形成されている静電界から受ける静電力で加速され、充電電荷回収電極10a、10bに至る。
尚、図面では、横にずらして表示したが、該充電電荷回収電極10a、10bは、実際には回収電位設定エレクトレット101内に置かれている。
ここで、外面薄層電極111の電機接触子26a(図示省略)が、充電電荷回収電極10aに電気的に接触すると、充電されていた電子が、抵抗28aを通り、これを発熱又は発光させる。又、内面薄層電極113の電機接触子27b(図示省略)が、充電電荷回収電極10bに電気的に接触すると、充電されていた正孔が、抵抗28bを通り、同様にこれを発熱又は発光させる。
尚、抵抗を通して放電させる代わりに、コンデンサーに充電することも可能である。

0024

以上の基本ユニットを連結することで、大きな電力を得ることができる。その一例を図12に示す。
上下固定電極円板13、15の間を、電荷搬送体11を載せた電荷搬送体支持円板14が軸周り高速で回転する。上固定電極円板13には、N極磁石16aが、下固定電極5にはS極磁石16bが図示のように配置されていて、この領域で、ローレンツ起電力によりコンデンサーたる電荷搬送体11を充電する。
その隣接領域には、図示のように、上固定電極13の下面と、下固定電極15の上面に、同一位置で対向して、接地電極8、高電位エレクトレット9、回収電極10が配置されていて、電荷搬送体11を加速し、最後に、搬送された電荷を回収する。尚、ローレンツ電荷回収電極22a、22b等の細かい部品は省略して表示した。
又、図13に示すように、上固定電極円板13、電荷搬送体支持円板14、下固定電荷区円板15からなる組を積層し、その上下に、磁石16a、16bを置くことで、更に大きな出力を得ることができる。

0025

ここで、非対称分極静電力を使う上記ローレンツ起電力充電による電界駆動型静電発電機で、充電される電荷量と回収電位をシミュレーションで求めてみる。
先ず、図11に示すコンデンサーたる電荷搬送体11の外面薄層電極111と内面薄層電極113の厚さを、各金メッキで形成するとして夫々1μmとする。
高誘電体層112の厚さは100μm、その比誘電率は1000とする。
又、電荷搬送体11の、縦を5.0mm、横を5.0mm、奥行を50.0mmとする。この結果、該コンデンサーの電気容量は0.0664[μF]となる。
一方、磁界の強度Bを1.0[T]、電荷搬送体の移動速度vを10[m/s]とすると、電荷搬送体の長さ(奥行)lは0.05[m]なので、ローレンツ起電力Vは、上記式より、0.5[V]となる。
電圧が該コンデンサーに加わるので、充電される電荷量は、外面薄層電極に-33.2[nC]、内面薄層電極に+33.2[nC]となる。
前記した前後非対称静電力を使う電界駆動型静電発電機の静電誘導による注入電荷量が、シミュレーションでも、実験でも、1乃至2[nC]だったことと比較すると、かなり大幅に増えたことが分かる。

0026

次に、充電された電荷搬送体11が、接地電極8と高電位エレクトレット9の間で受ける静電力を、後段でその詳細を示す二次元差分法でシミュレーションする。
注入電極8の幅を9.6mm、高電位エレクトレットの幅を9.6mm、回収電極10の幅を19.7mmとする。ここでは、計算の簡略化のため、回収電位設定エレクトレット101は入れない。
接地電極8と高電位エレクトレット9間と、高電位エレクトレット9と回収電極10間の間隔を夫々32.5mmとする。上固定電極板13と下固定電極板15の間隔を7.0mmとする。接地電極8と回収電極10の電位を、夫々0Vとする。高電位エレクトレット9の電位は電荷搬送体11の位置により多少変動するが、ここでは+10kVで一定とする。
該電荷搬送体11に働く静電力は、電荷搬送体11の位置により変わるが、ここでは、代表して、接地電極8と高電位エレクトレット9の中間、及び高電位エレクトレット9と回収電極10で計算する。

0027

充電電荷量を、±0、±0.3、±1.0、±3.0、±10.0、及び±30.0[nC]と変えて、作用する静電気力をシミュレーションした結果を図6に示す。
充電電荷量が0.0[nC]でも、作用する静電力が存在するが、これは、無帯電でも、電界方向に非対称形状の導体に作用する前記非対称分極静電力である。
従来の、前後非対称静電力を利用する電界駆動型静電発電機においては、作用する静電力は、電荷搬送体に注入された電荷量に比例していたが、本実施例に於いては、図示する通り、充電電荷量が二桁も違っても、作用する静電力は、ほとんど変わらないのである。
詰り、充電電荷量が、約±10[nC]を越えると、順電界での静電力は少し弱くなるが、逆に、逆電界では少し強くなるので、トータルでは同じになる。
又、従来は、逆電界では、逆方向への静電力が働いていたのに、本実施例に於いては、逆電界でも、順電界と同じ方向に静電力が働くのである。

0028

充電電荷量が二桁も違っても、作用する静電力は、ほとんど変わらない前者の現象を解析するために、先ず、充電電荷量が0.0[nC]と、±10.0[nC]の場合で、電荷搬送体上の電荷分布を比較する。その結果を図14に示す。
同図の横軸は、コンデンサーたる電荷搬送体11上の位置を図11記号で示している。
同図から、外面薄層電極111に注入された-10[nC]の電荷と、内面薄層電極113に注入された+10.0[nC]の電荷の大部分(93%)は、それぞれの電極の3つの裏面(高誘電層112と接する面、111a、b、cと113a、b、c)に向き合っていることが分かる。
又、内外面薄層電極111、113の表面の電荷分布のみ抜き出した図15からは、内外面薄層電極111、113の表面(空気層と接する面、111A、B、Cと113A、B、C)の電荷分布は、充電電荷量が、0.0[nC]でも、±10.0[nC]でも略変わらないことが分かる。
この結果は、コンデンサーたる電荷搬送体11の電気容量が大きければ、内外面薄層電極111、113に充電されたローレンツ正負電荷は、内外面薄層電極111、113の互いの裏面で(高誘電層112内で)向き合っていて、夫々の表面には表れないことを意味している。
その結果、該夫々の表面に現れる電荷は静電分極電荷のみとなり、よって、電荷搬送体11に作用する非対称分極静電力は、充電電荷量によらず、略一定になる。詰り、この結果は、充電電荷量を更に増やしても問題ないことを示唆するものでもある。
充電電荷量の増加は、コンデンサーの電気容量を増やすことと、及び又はローレンツ起電力を高くすることで達成できる。
例えば、高誘電層112の厚さを、100μmから3.3μmとし、比誘電率を1000から3000にすることでその電気容量は100倍になる。又、電荷搬送体11の移動速度を、10m/sから100m/sにすることで、ローレンツ起電力は10倍になる。従い、両方合わせると1000倍の電荷、即ち、±33.2[μC]を充電できることになる。

0029

次に、後者、即ち、電界の方向が反転しても、該電荷搬送体11に作用する静電気力の向きが変わらない現象を解析するため、±10.0[nC]に充電された電荷搬送体11の表面電荷分布を、順電界と逆電界でシミュレーションする。
内外面薄層電極111、113の各裏面の電荷分布は、静電力には影響しないので、内外面薄層電極111、113の表面のみの電荷分布を図16に示す。
同図より、順電界と逆電界では、電荷の極性が逆になるが、電荷量の絶対値の分布は略同じであることが分かる。
又、コンデンサーたる電荷搬送体11において、電界方向(X方向)に働く静電力は、外面薄層電極113の右向き表面(111B)と、内面薄層電極111の左向き表面(113B)の電荷量の差で決まるところ、極性は逆になるが、順電界でも逆電界でも、外面薄層電極右側表面(111B)の電荷量が内面薄層電極左側表面(113B)の電荷量より遥かに大きい。
よって、順電界でも逆電界でも、横向き樋型コンデンサーの電荷搬送体には、同じ強さで、右向きの静電力が作用することになる。
この結果、該電荷搬送体は、充電電荷量及び電界の向きに拘わらず、電界さえあれば、前方向(右向き)の静電力を受け、各電極の配置可能な範囲なら、どんな高電位迄でも到達できることを意味している。
尚、該非対称分極静電力の大きさは、電界の強さに比例し、内外面薄層電極111、113の材料や厚みによって変わる。
例えば0.1mmのアルミ板で内外面薄層電極111、113を作成するより、本実施例のように、金メッキを採用し、厚さを1μmとしたため、後ろ方向(左方向)の静電力がより弱く、比較的大きな力となった。

0030

図11において、該電荷搬送体11が更に右に進んで、-100Vの回収電位設定エレクトレット101の奥に入った時、その電位は-97Vになる。
この時、抵抗28aにつながった充電電荷回収電極10aと電荷搬送体11の外面薄層電極111を電気接触端子26aで接続すると、外面薄層電極111に充電されていた電荷は抵抗28aを流れ、この時、発熱又は発光が生じる。
内面薄層電極113の電荷も同様に、充電電荷回収電極10b及び抵抗28bを流れる。
尚、ここでは、電荷搬送体11は、ローレンツ起電力で充電された後、一度、正の高圧電極対たるエレクトレット9を通過してから、負電位の回収電位設定エレクトレット対101に入ったが、電荷搬送体支持円板14を高速回転させる機械力を、該エレクトレット9上流順方向電界領域で生ずる静電気力で得られるならば、高圧電極対たるエレクトレット9を取り外し、直接、回収電位設定エレクトレット対101に入れることもできる。詰り、何れかの方向の単一電界で発電できる。

0031

以下、本発明に当たり使用した、二次元差分法による計算方法を説明する。
尚、複雑なシミュレーションを簡略化すべく、左注入電極8(接地)、エレクトレット9、右回収電極10(接地)、及び単層の電荷搬送体11の構成を対象とする。
先ず、全領域を、細かいメッシュに分割する。メッシュの大きさは0.02mm X 0.02mmとした。電荷搬送体11の周辺のメッシュ図を図17に示す。
図示していないが、この左側に接地された注入電極8が、そして右側に、エレクトレット9と接地された回収電極10が配置されている。

0032

二次元差分法では、図17のように、各格子点(メッシュの交点)に通し番号を付し、各格子点の電位Vを、その左右上下の格子点の電位の平均値として計算する。
例えば、格子点105の電位V105は、その上下左右の格子点104、106、88、122の各電位V104、V106、V88、V122に基づいて次式1で計算される。



通常2000個程度ある格子点に、この式が適用され、この多元連立一次方程式解くことで全格子点の電位が求められる。
尚、左接地注入電極8と右接地回収電極10の電位は、夫々接地されているので0Vとする。
電荷搬送体11に含まれる格子点の電位は、電荷搬送体11が導体なので全て等しいとし、且つその全体に帯電量Qを与える。又、同図で示さないエレクトレット9に含まれる格子点には、1.0mC/m2 の電荷密度を与える。

0033

電荷搬送体11の表面には、数字で示される幅0.02mm、奥行50mmの30個の長方形の面(領域)がある。その第5面の表面の電界Eは、次式で計算される。同式において、hは、メッシュの高さであり、0.02mmである。



次に、第5面の表面電荷密度σ5は、次式で計算される。同式においてε0は真空の誘電率である。



次に、第5面の電荷量q5は次式で計算される。同式においてS5 は第5面の面積である。



電荷搬送体11の電荷の総量は、第1面から第30面迄の電荷量を合算して求められ、与えられた帯電量Qに一致する。

0034

次に、第5面に働く静電力F5は次式で計算される。



電荷搬送体11に右方向に作用する静電力FR は次式で求められる。



一方、電荷搬送体11に対し、左方向に作用する静電力FLは次式で求められる。



ここで、上下方向に働く静電力は、電荷搬送体11の形状が上下対称で、且つ電荷搬送体11が、左接地注入電極対8とエレクトレット対9と右接地回収電極対10の各真ん中に置かれている為上下等しく、相殺され、ゼロになる。
よって、電荷搬送体11に作用するトータルの静電力FTは次式で計算される。

0035

1:高圧電極(エレクトレット)
2: 第一対向電極
3:点電荷
4: 点電荷に作用する静電力の方向と大きさを示す矢印
5:電界の方向を示す矢印
6: 第二対向電極
7: 電界の方向に前後非対称形状(樋型)を有する帯電導体
8:電荷注入電極
9: 高圧電極(エレクトレット)
10:電荷回収電極
11: 電界の方向に前後非対称形状を有する電荷搬送体
111:後行電荷搬送体
112:先行電荷搬送体
12: 電荷回収電極に接続されたコンデンサー
13: 電荷注入電極、高圧電極、及び電荷回収電極を(放射状に)配置した上部固定電極板
14: 電荷搬送体を放射状に配置した電荷搬送体支持板
15: 電荷注入電極、高圧電極、及び電荷回収電極を(放射状に)配置した下部固定電極板
16:磁石
17:ベアリング
18:コイル
19:磁力線
20:電子
21:正孔
22:ローレンツ電荷回収電極
23:電荷注入用端子
24:電荷回収用端子
25: ローレンツ電荷注入電極
26: 電荷搬送体の外面薄層電極とローレンツ電荷回収電極を接触させる電気接触端子
27: 電荷搬送体の内面薄層電極とローレンツ電荷回収電極を接触させる電気接触端子
28:電気抵抗
101:回収電位設定エレクトレット
111:電荷搬送体の外面薄層電極。
112:電荷搬送体の高誘電層。
113:電荷搬送体の内面薄層電極。

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