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技術 加速器、およびそれを備えた粒子線治療システム

出願人 株式会社日立製作所
発明者 羽江隆光青木孝道関孝義
出願日 2018年9月4日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-165482
公開日 2020年3月12日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-038797
状態 未査定
技術分野 放射線治療装置 粒子加速器
主要キーワード 同心領域 可変エネルギー カソードバイアス 下流側コイル 軌道形状 上流側コイル 偏心領域 離散領域
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題

小型で、かつ可変エネルギービーム取出しが可能な加速器とそれを備えた粒子線治療システムを提供する。

解決手段

周波数変調が可能であり、ビームを加速する加速高周波印加する加速高周波印加装置と、加速高周波とは周波数が異なり、ビームを取出すための取出し高周波を印加する高周波キッカ70と、2極以上の極数磁場成分を含み、少なくとも4極磁場成分を含む高次磁場よりなる擾乱磁場領域を形成するピーラ磁場領域44、リジェネレータ磁場領域45と、磁性体のシム、および内周セプタムコイル導体、外周側セプタムコイル導体、コイル導体接続部、コイル口出し部を有するセプタム電磁石43と、を備えている。

概要

背景

特許文献1には、ビーム周回軌道を挟んで一対に設けられ、周方向に交互に配列された複数の凸部と複数の凹部とをそれぞれが有し、凸部同士で挟まれたヒル領域と凹部同士で挟まれたバレー領域とを周回軌道に沿って形成する一対の磁極と、バレー領域に設けられたディー電極と、ディー電極が設けられたバレー領域以外の少なくとも1つのバレー領域においてビームの周回軌道の径方向における外周側に配置され、ビームを加速させるための高周波電場を発生させる高周波発生部と、を備えるサイクロトロンが記載されている。

また、特許文献2には、エネルギーが異なるイオンビームを効率良く出射できる加速器として、リターンヨーク真空容器を有し、入射電極が、真空容器の中心軸よりも、リターンヨーク内のビーム出射経路の入口側に配置され、磁極が、リターンヨーク内で入射用電極の周囲において入射用電極から放射状に配置され、凹部が、リターンヨークの周方向で磁極と交互に配置され、真空容器内において、入射用電極を中心とする複数のビーム周回軌道が存在する軌道同心領域、及びこの領域の周囲に、入射用電極から偏心した複数のビーム周回軌道が存在する軌道偏心領域が形成され、軌道偏心領域では、入射用電極とビーム出射経路の入口の間でビーム周回軌道が密になり、入射用電極を基点にしてビーム出射経路の入口の180°反対側でビーム周回軌道相互間の間隔が広くなる加速器が記載されている。

概要

小型で、かつ可変エネルギーのビームの取出しが可能な加速器とそれを備えた粒子線治療システムを提供する。周波数変調が可能であり、ビームを加速する加速高周波を印加する加速高周波印加装置と、加速高周波とは周波数が異なり、ビームを取出すための取出し高周波を印加する高周波キッカ70と、2極以上の極数磁場成分を含み、少なくとも4極磁場成分を含む高次磁場よりなる擾乱磁場領域を形成するピーラ磁場領域44、リジェネレータ磁場領域45と、磁性体のシム、および内周セプタムコイル導体、外周側セプタムコイル導体、コイル導体接続部、コイル口出し部を有するセプタム電磁石43と、を備えている。

目的

本発明は、小型で、かつ可変エネルギーのビームの取出しが可能な加速器とそれを備えた粒子線治療システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

主磁場、および周波数変調した高周波電場によりビーム加速する周回軌道加速器であって、周波数変調が可能であり、前記ビームを加速する加速高周波印加する加速高周波印加装置と、前記加速高周波とは周波数が異なり、ビームを取出すための取出し高周波を印加する取出し高周波印加装置と、2極以上の極数磁場成分を含み、少なくとも4極磁場成分を含む高次磁場よりなる擾乱磁場領域を形成する擾乱磁場領域形成部と、磁性体のシム、およびセプタムコイルを有するセプタム電磁石と、を備えたことを特徴とする加速器。

請求項2

請求項1に記載の加速器において、前記セプタム電磁石は、前記セプタムコイルに両極性通電する両極性電源を更に有していることを特徴とする加速器。

請求項3

請求項2に記載の加速器において、前記シムは、前記セプタムコイルよりビーム周回軌道外周側に配置された外周側シムにより構成されることを特徴とする加速器。

請求項4

請求項2に記載の加速器において、前記シムは、前記セプタムコイルよりビーム周回軌道の内周側に配置された内周側シム、および前記セプタムコイルよりビーム周回軌道の外周側に配置された外周側シムにより構成されることを特徴とする加速器。

請求項5

請求項4に記載の加速器において、前記内周側シムは、前記ビームのうち、最大エネルギーのビームの周回軌道に干渉しない楔形の形状であることを特徴とする加速器。

請求項6

請求項4に記載の加速器において、前記内周側シムおよび前記外周側シムは、互いに接続されることなく独立して配置されていることを特徴とする加速器。

請求項7

請求項4に記載の加速器において、前記ビーム周回軌道に対して鉛直方向上方側に配置された上側シム、および前記ビーム周回軌道に対して鉛直方向下方側に配置された下側シムを更に有し、前記内周側シムと前記外周側シムのうち少なくともいずれか一方は前記上側シム、前記下側シムと接続されていることを特徴とする加速器。

請求項8

請求項1に記載の加速器において、前記シムは、積層鋼板コアであり、前記セプタムコイルは、10ターン以下のコイルより構成されることを特徴とする加速器。

請求項9

請求項1に記載の加速器において、加速するビームの入射点が前記加速器の中心より出射側にずれるように前記主磁場により形成される磁場分布を形成し、前記擾乱磁場領域形成部を、加速中のビーム周回軌道からは外周側に離れた場所に少なくとも2箇所以上配置することを特徴とする加速器。

請求項10

請求項9に記載の加速器において、前記擾乱磁場領域形成部を2箇所配置し、一方の擾乱磁場領域形成部は、前記主磁場が径方向外周側に向けて弱まる磁場勾配を有する第1擾乱磁場領域とし、もう一方の擾乱磁場領域形成部は、前記主磁場が径方向外周側に向けて強まる磁場勾配を有する第2擾乱磁場領域とすることを特徴とする加速器。

請求項11

請求項10に記載の加速器において、前記擾乱磁場領域形成部は、磁性体よりなる磁極片、擾乱磁場形成用コイル、前記磁極片と前記擾乱磁場形成用コイルの双方、のいずれかからなることを特徴とする加速器。

請求項12

請求項1に記載の加速器において、前記取出し高周波印加装置は、前記加速高周波として、取出したいエネルギーのビームの軌道面内、かつ前記ビームの軌道と直交する方向のベータトロン振動振幅を増大させる高周波を印加し、前記取出し高周波の電場振幅位相、周波数、印加時間のうち少なくともいずれか一つ以上を制御して、取出されるビームパルス電荷量、および前記ビームパルスの時間構造を制御することを特徴とする加速器。

請求項13

請求項1に記載の加速器において、前記加速高周波印加装置による前記加速高周波の印加タイミング、前記取出し高周波印加装置による前記取出し高周波の印加タイミングを制御する演算装置を更に備え、前記演算装置は、ビームを所望のエネルギーまで加速したのちに前記加速高周波の遮断を開始し、その後前記取出し高周波の印加を開始し、前記ビームの取出しが始まる前に前記セプタム電磁石の前記セプタムコイルに励磁電流を通電し、前記取出し高周波の印加を終えた後に前記セプタムコイルの励磁電流を遮断することを特徴とする加速器。

請求項14

請求項13に記載の加速器において、前記演算装置は、更に、前記取出し高周波の印加開始後、かつ前記ビームが前記擾乱磁場領域に到達する前に、前記取出し高周波の電場を弱めることを特徴とする加速器。

請求項15

請求項1乃至14の何れか1項に記載の加速器と、前記加速器から取出された特定エネルギーのビームを照射する照射装置と、を備えたことを特徴とする粒子線治療システム

技術分野

0001

本発明は、加速器と、それを備えた粒子線治療システムに関する。

背景技術

0002

特許文献1には、ビーム周回軌道を挟んで一対に設けられ、周方向に交互に配列された複数の凸部と複数の凹部とをそれぞれが有し、凸部同士で挟まれたヒル領域と凹部同士で挟まれたバレー領域とを周回軌道に沿って形成する一対の磁極と、バレー領域に設けられたディー電極と、ディー電極が設けられたバレー領域以外の少なくとも1つのバレー領域においてビームの周回軌道の径方向における外周側に配置され、ビームを加速させるための高周波電場を発生させる高周波発生部と、を備えるサイクロトロンが記載されている。

0003

また、特許文献2には、エネルギーが異なるイオンビームを効率良く出射できる加速器として、リターンヨーク真空容器を有し、入射電極が、真空容器の中心軸よりも、リターンヨーク内のビーム出射経路の入口側に配置され、磁極が、リターンヨーク内で入射用電極の周囲において入射用電極から放射状に配置され、凹部が、リターンヨークの周方向で磁極と交互に配置され、真空容器内において、入射用電極を中心とする複数のビーム周回軌道が存在する軌道同心領域、及びこの領域の周囲に、入射用電極から偏心した複数のビーム周回軌道が存在する軌道偏心領域が形成され、軌道偏心領域では、入射用電極とビーム出射経路の入口の間でビーム周回軌道が密になり、入射用電極を基点にしてビーム出射経路の入口の180°反対側でビーム周回軌道相互間の間隔が広くなる加速器が記載されている。

先行技術

0004

特開2014−160613号公報
国際公開第2016/092621号

発明が解決しようとする課題

0005

粒子線治療物理実験などで使用する高エネルギー原子核ビームは、加速器を用いて生成される。

0006

核子当たりの運動エネルギーが200MeV前後のビームを得る加速器には種類がいくつかある。例えば、上述の特許文献1に記載されたようなサイクロトロンや、シンクロトロンシンクロサイクロトロン、上述の特許文献2に記載されたような可変エネルギー加速器が挙げられる。

0007

サイクロトロンおよびシンクロサイクロトロンの特徴は静磁場中を周回するビームを高周波電場で加速する点である。ビームは、加速されるにつれてその軌道の曲率半径増し、外側の軌道に移動し、最高エネルギーまで到達した後に取出される。そのため、取出すビームのエネルギーは基本的には固定である。

0008

シンクロトロンはビームを偏向する電磁石の磁場と加速する高周波電場の周波数を時間的に変化させることでビームは一定の軌道を周回する。そのため、設計上の最大エネルギーに到達する前にビームを取出すことも可能であり、取出しエネルギーが可変である。

0009

可変エネルギー加速器は、サイクロトロンと同様に、磁場中を周回するビームを高周波電場で加速しながらも、ビーム軌道が加速に伴い一方向に偏心していくことが特徴である。

0010

特許文献1に記載のサイクロトロンや特許文献2に記載の可変エネルギー加速器は主磁場中を周回するビームを高周波電場で加速する類型の加速器である。軌道上の平均磁場をビームの相対論的γファクターに比例させることで、周回の時間をエネルギーに依らず一定としている。この性質を持つ主磁場分布等時性磁場と呼ぶ。さて、等時性磁場下では軌道に沿って磁場を変調させることで軌道面内と軌道面に垂直な方向のビーム安定性を確保している。

0011

上述の等時性とビームの安定性を両立するために、主磁場分布には極大部(Hill)と極小部(Valley)が必要である。この分布のついた非一様な磁場は、主電磁石の対向する磁極間の距離(ギャップ)をHill領域では狭く、Valley領域では広くとることで形成することができる。

0012

しかしながら、Hill磁場とValley磁場との差は、実用上は強磁性体である磁極材料飽和磁束密度程度が限界である。すなわち、Hill磁場とValley磁場の差は2T程度に制限される。

0013

一方、等時性磁場を用いる加速器を小型化する場合、主磁場を高めて、ビーム軌道の偏向半径を小さくすることが必要である。しかし、主磁場と前述のHill磁場とValley磁場の差は比例関係にあり、前述の限界が加速器の現実的な大きさを決める要因となっている。よって上述した特許文献1に記載されたようなサイクロトロンや特許文献2に記載されたような可変エネルギー加速器には小型化が困難であるという課題が有った。

0014

本発明は、小型で、かつ可変エネルギーのビームの取出しが可能な加速器とそれを備えた粒子線治療システムを提供する。

課題を解決するための手段

0015

本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、主磁場、および周波数変調した高周波電場によりビームを加速する加速器であって、周波数変調が可能であり、前記ビームを加速する加速高周波を印加する加速高周波印加装置と、前記加速高周波とは周波数が異なり、ビームを取出すための取出し高周波を印加する取出し高周波印加装置と、2極以上の極数磁場成分を含み、少なくとも4極磁場成分を含む高次磁場よりなる擾乱磁場領域を形成する擾乱磁場領域形成部と、磁性体のシム、およびセプタムコイルを有するセプタム電磁石と、を備えたことを特徴とする。

発明の効果

0016

本発明によれば、小型であり、かつ可変エネルギーのビームの取出しが可能な加速器を提供することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。

図面の簡単な説明

0017

本発明の実施例の円形加速器外観を示す図である。
実施例の円形加速器の断面構造を示す図である。
実施例の円形加速器の軌道面内における各エネルギーのビーム軌道を示す図である。
実施例の円形加速器が備える高周波キッカの断面構造を示す図である。
図4に示す矢印Bから見たときの高周波キッカの鳥瞰図である。
図2のA−A’線上における断面の一例を示す図である。
図6の直線r上における磁場分布図である。
図2のA−A’線上における断面の他の一例を示す図である。
実施例の円形加速器が備えるセプタム電磁石の断面構造を示す図である。
実施例の円形加速器が備えるセプタム電磁石を構成するセプタムコイルの励磁電流と取出しビームエネルギーとの関係を示すグラフである。
図2のA−A’線上における断面の他の一例を示す図である。
図2のA−A’線上における断面他の一例を示す図である。
実施例の円形加速器の運転パターンを示す図である。
実施例の円形加速器における加速高周波電源、高周波キッカ電源およびセプタムコイル励磁電源の制御系ブロック図である。
本発明の実施例の粒子線治療システムの全体構成を示す図である。

実施例

0018

以下、図面を用いて本発明の加速器、およびそれを備えた粒子線治療システムの実施例を説明する。尚、下記はあくまでも実施例に過ぎず、発明の内容を下記具体的態様に限定する趣旨ではない。発明自体は、下記実施例以外にも種々の形態に変形させることが可能である。

0019

最初に、本発明の好適な一実施例の円形加速器の構造について図1乃至図14を用いて説明する。

0020

本実施例の円形加速器39は、一定強度の主磁場2(図9参照)中を時間的に周波数変調した高周波電場によって陽子を加速するものであり、その取出しビームのエネルギーは、70[MeV]−235[MeV]と可変となっている。

0021

なお、加速する粒子は陽子に限られず、炭素ヘリウム等の重粒子イオン電子を加速することができる。

0022

円形加速器39の外観を図1に、断面構成図2に示す。

0023

図1に示すように、円形加速器39は、上下に分割可能な主電磁石40によってその外殻が形成されており、ビーム加速領域となる内部側は真空引きされている。

0024

円形加速器39の外周部側には、入力カプラ20と、回転コンデンサ30とが設けられている。円形加速器39は、この回転コンデンサ30を用いて、高周波加速電圧を周波数変調する。

0025

主電磁石40の上部にはイオン源53が設置されており、低エネルギービーム輸送系54を通してビームが円形加速器39内部に入射される。イオン源53としては、マイクロ波イオン源ECRイオン源などを適用できる。なお、イオン源は、主電磁石40内部の真空引きされたビーム加速領域内部に配置しても良く、その場合はPIG型イオン源などが適用できる。

0026

主電磁石40は、主磁極38(図6等参照)、リターンヨーク41、主コイル42等から構成される。

0027

リターンヨーク41には貫通口が複数あり、そのうち加速されたビームを取出すビーム用貫通口46、内部のコイル導体を外部に引き出すためのコイル用貫通口48、真空引き用貫通口49、高周波加速空胴のための高周波系用貫通口50が上下の主電磁石40の接続面上に設けられている。

0028

高周波加速空胴はλ/2共振型空胴であり、ディー電極12、ダミーディー電極13、外導体15、入力カプラ20、回転コンデンサ30などより成る。

0029

回転コンデンサ30は、高周波加速空胴の共振周波数を変調するための機器であり、内導体14に連なる固定電極32、外導体15に連なる回転電極33、モータ31等を有している。回転コンデンサ30をモータ31にて駆動することで固定電極32と回転電極33の対向部面積が変わるために静電容量が変化し、高周波加速空胴の共振周波数を変えることができる。これにより、周波数変調された加速電圧をディー電極12とダミーディー電極13との間の加速間隙11に発生させることでビームを加速する加速高周波を生成する。

0030

図2に示した加速間隙11の形状は、ハーモニクス数1の場合を示しており、ビームの軌道形状に応じて形成される。また、回転電極33あるいは固定電極32の先端形状を変化させることで、ビーム加速に適した共振周波数の変調パターンが得られる。

0031

図2に示すように、円形加速器39の内部には、円環状の主コイル42がリターンヨーク41の内壁に沿って設置されている。主コイル42は、コイル周囲にクライオスタットを設置して超伝導コイルとするが、常伝導コイルも用いることができる。主コイル42の内側には主磁極38が設置されており、主磁極38の表面に設置されるトリムコイル(図示省略)と共にビーム周回や取出しに適した磁場分布を形成する。

0032

加速するビームの入射点52は、円形加速器39の中心付近に配置することもできるが、本実施例では、入射点52を円形加速器39の中心より出射側にずらし、ビーム軌道をコイル用貫通口48側に偏心させた場合の構成を示している。

0033

このような偏芯軌道の実現方法を説明する。

0034

各エネルギーの軌道を図3に示す。図3では周回軌道は最大エネルギー235[MeV]から磁気剛性率0.04[Tm]おきに50種類のエネルギーの軌道を実線で示している。点線は各軌道の同一の周回位相を結んだ線であり、等周回位相線と呼ぶ。等周回位相線は集約領域から周回位相π/20ごとにプロットしている。

0035

ディー電極12とそれに対向するダミーディー電極13との間に形成される加速間隙11は、等周回位相線に沿って設置する。

0036

図3において、低エネルギー領域ではサイクロトロンと同様にイオンの入射点52付近を中心とする軌道をとなる。

0037

より加速されると、高エネルギーの軌道は取出しに用いるセプタム電磁石43の付近で密に集まっており、逆に内導体14が設置されている付近では各軌道が互いに離れた位置関係にある。この軌道が密に集まっている点を集約領域、離散した領域を離散領域と呼ぶこととする。このような軌道配置とし、集約領域付近からビームを取り出すことで、ビームを取り出す際に必要なビームキック量を少なくできるため、エネルギー可変のビーム取出しを容易に行うことができる。

0038

上記のような軌道構成と軌道周辺での安定な振動を生じさせるために、本実施例の円形加速器39においては設計軌道半径方向外周側に行くにつれて磁場の値が小さくなる主磁場分布を用いている。また、設計軌道に沿って磁場は一定である。よって、設計軌道は円形となり、ビームエネルギーが高まるにつれその軌道半径・周回時間は増大する。

0039

本実施例の円形加速器39の設計軌道について式(1)に基づき以下説明する。

0040

0041

ここで、ρは設計軌道の偏向半径、Bは磁場強度、δB/δrは半径方向の磁場勾配を表す。

0042

式(1)にて定義される規格化された磁場勾配nが0より大かつ1未満となるようにすることで、設計軌道から半径方向に微小にずれた粒子は設計軌道に戻すような復元力を受けると同時に軌道面に対して鉛直な方向にずれた粒子も軌道面に戻す方向に主磁場2から復元力を受ける。

0043

すなわち、ビームのエネルギーに対して適切に磁場を小さくしていけば、常に設計軌道からずれた粒子は設計軌道に戻そうとする向きに復元力が働き、設計軌道の近傍を振動する。これにより、安定にビームを周回・加速させることが可能である。また、全エネルギーのビームで、軌道面内に平行な方向のベータトロン振動数(水平チューン)は1より小さく、かつ1に近い値に設定される。

0044

上述の主磁場分布は、前述の通り、主コイル42およびトリムコイルに所定の励磁電流を流すことにより励起される。主磁極38の形状は軌道面に対して対称な形状であり、軌道面上においては軌道面に垂直な方向の磁場成分のみを持つ。

0045

本実施例の円形加速器39は、主磁場2が弱収束磁場である。このため、等時性磁場のAVF(Azimuthally Varing Field)サイクロトロンにおけるHill磁場およびValley磁場に由来する制約を受けることなく主磁場2を高めることができるので、ビーム軌道の偏向半径を小さくすることが可能である。

0046

なお、AVFサイクロトロンとは、磁場の強さを半径が大きくなるほど強くすることにより、粒子の周回軌道長を短くし、回転周期を短縮する方法により加速粒子回転周波数加速周波数を同期させる方式のサイクロトロンである。

0047

次にビームの取出し方法につき説明する。本実施例の円形加速器39では、ビームの取出しには、高周波キッカ70、ピーラ磁場領域44、リジェネレータ磁場領域45、セプタム電磁石43、上流側コイル34、下流側コイル35および高エネルギービーム輸送系47を用いる。

0048

高周波キッカ70の断面構成を図4に示す。また、図4中Bの方向より高周波キッカ70を見た鳥瞰図を図5に示す。

0049

高周波キッカ70は、ビームを取出すための取出し高周波を印加する装置であり、接地電極71と高圧電極72等を備えている。取出し高周波は、加速高周波とは周波数が異なる。

0050

図4に示すように、接地電極71と高圧電極72とは、最大出射エネルギー軌道80や最小出射エネルギー軌道81を挟むように対向して設置されており、かつ軌道面内で軌道と直交する方向に高周波電場が作用するように形状が定められている。

0051

また、図4および図5に示すように、接地電極71には金属製の突起部73が取り付けられており、接地電極71と高圧電極72との間に生じる高周波電場の集中を高めるように構成されている。

0052

高周波電圧が印加される高圧電極72は接地電極71に対して絶縁支持する。絶縁支持の方法は特に限定されず、絶縁支持体(図示省略)等によって支持する方法が考えられる。また、接地電極71と高圧電極72は、高周波通電による発熱に対する冷却機構(図示省略)を有する。

0053

接地電極71、高圧電極72は、共にビームが通過する軌道面付近に通過口71A、72Aをそれぞれ有している。これら通過口71A、72Aは、ビームの軌道面に対し垂直な方向のベータトロン振動による拡がりを考慮してビーム衝突が起きない程度の広さとする。

0054

なお、本実施例の高周波キッカ70は、図4に示すようにビームの入口側や出口側の端面が開いた形状であるが、ビーム通過口71Aを除いて端面を接地電極71で閉塞し、空胴共振器構造とすることもできる。

0055

高周波キッカ70は、最小出射エネルギー軌道81と最大出射エネルギー軌道80との双方に電場が作用するよう配置すればよい。ただし、好適には図2に示すようにビーム出射経路入口82の近辺に配置することが望ましい。

0056

図2戻り、ピーラ磁場領域44やリジェネレータ磁場領域45は、ビームに作用する多重極磁場(擾乱磁場)が存在する領域である。この多重極磁場は2極以上の極数の磁場成分を含み、少なくとも4極磁場成分を含む高次磁場よりなる。なお、4極以上の多極磁場、あるいは2極磁場が含まれていてもよい。

0057

ピーラ磁場領域44は、径方向外周側に向かって主磁場2を弱める方向の磁場勾配となっている。これに対し、リジェネレータ磁場領域45は、逆に径方向外周側に向かって主磁場2を強める方向の磁場勾配となっている。なお、ピーラ磁場領域44としては、磁極端部の主磁場2が減少する領域を利用することもできる。

0058

ピーラ磁場領域44と、リジェネレータ磁場領域45は、最大出射エネルギー軌道80の外周側に、ビーム出射経路入口82を挟んである方位角領域にそれぞれ配置する。ただし、ビーム進行方向に対して上流側にピーラ磁場領域44を、下流側にリジェネレータ磁場領域45を配置する。

0059

ピーラ磁場領域44およびリジェネレータ磁場領域45には、磁性体製の複数の磁極片かコイル、あるいはその両者を非磁性材にて主磁極38に対して固定配置することで形成する。

0060

磁極片とコイルを併用する場合は、磁極片を配置するピーラ磁場領域44とリジェネレータ磁場領域45とは異なる空間にコイルを配置してもよい。図2は、そのような配置の例を示している。つまり、磁極片をそれぞれピーラ磁場領域44やリジェネレータ磁場領域45の中やその周囲に配置する。例えば、上流側コイル34と下流側コイル35を図2に示すように配置する。

0061

いずれの場所に配置するにしても、上流側コイル34は主磁場2を弱める向きの磁場を発生させ、下流側コイル35は主磁場2を強める向きの磁場を発生させることに変わりはない。

0062

図2のA−A’矢視図である図6に、上流側コイルや下流側コイルを用いない場合のリジェネレータ磁場領域45の磁極片配置例を示す。また、図7図6の直線r上における磁場分布図を示す。

0063

図6に示すように、磁極片としては、リジェネレータ磁場領域45に磁場勾配を発生させる磁場勾配用シム36と、磁場勾配用シム36が最大出射エネルギー軌道80の内周側に発生させる不要な漏洩磁場打ち消すための磁場補正用シム37を用いる。図6中r軸上の主磁場2は、図7に示すような分布となり、最大出射エネルギー軌道までビームは安定に周回する。

0064

また、図8に上流側コイルや下流側コイルを用いる場合を示す。この図8に示すように、リジェネレータ磁場領域45内に下流側コイル35を配置する場合は、磁極片である磁場勾配用シム36の周囲に下流側コイル35を巻回する。なお、ピーラ磁場領域44については、磁場勾配用シム(図示省略)の周囲に上流側コイル34を巻回する。

0065

セプタム電磁石43は、図9に示すように、磁性体の内周側シム3と、磁性体の外周側シム4と、両極性通電するセプタムコイルと、両極性電源10を備えている。セプタムコイルは、内周側セプタムコイル導体5と外周側セプタムコイル導体6およびコイル導体接続部7およびコイル口出し部8で構成される。

0066

セプタム電磁石43は、ビーム出射経路入口82の下流側に配置される。図9巻き数ターンでセプタムコイルを構成した場合を示している。つまり、内周側セプタムコイル導体5と外周側セプタムコイル導体6とが、コイル導体接続部7によって電気的に接続され、コイル口出し部8でコイル励磁のための両極性電源10と電気的に接続されている。

0067

なお、コイル導体接続部7とコイル口出し部8とは逆に設けられていてもよく、ビーム出射経路入口82に近い側にコイル口出し部8を設けてコイル導体接続部7をその反対側に設けてもよい。更には、図8に示すようにコイル口出し部8は内周側セプタムコイル導体5や外周側セプタムコイル導体6の端部に設ける必要はなく、内周側セプタムコイル導体5や外周側セプタムコイル導体6の一部を削ってビーム取出し方向の中間部分に設けてもよい。

0068

両極性電源10によってセプタムコイルに励磁電流を流すことで、セプタム電磁石43内部に2極磁場を形成することができる。内周側セプタムコイル導体5、外周側セプタムコイル導体6、コイル導体接続部7およびコイル口出し部8は、それぞれ発熱に対する冷却手段を有すると共に、励磁電流による電磁応力による変形が許容範囲内となるようサポート(図示省略)によって支持する。

0069

内周側シム3および外周側シム4は、磁性体性であって、例えば積層鋼板からなる。

0070

内周側シム3は、図9に示すように、ビームがビーム出射経路入口82に到達する直前であるラスト1ターンの軌道1と干渉しないように楔形をしている。外周側シム4は、ビームの通過領域を挟んで内周側シム3と対向するように設置されていればよく、その形状は特に限定されない。

0071

ここで、取出しエネルギー帯のうち、最大出射エネルギーのBρ積をBρmax、最小出射エネルギーのBρ積をBρminとし、(Bρmax+Bρmin)/2と等しいBρ積に相当するビームエネルギーを中間エネルギーと定義する。そして、内周側シム3および外周側シム4のみで、中間エネルギーのビームが取出される磁場となるよう、それぞれのシムの厚みや形状を設定する。

0072

このように設計したセプタム電磁石43において、中間エネルギーと異なるエネルギーのビームを取出す場合は、セプタムコイルに適切な励磁電流を通電する。図10にセプタムコイルの励磁電流と取出しビームエネルギーの関係を示す。

0073

図10に示すように、中間エネルギーよりも低いエネルギーのビームを取出す場合は、高いエネルギーのビームを取出す場合と逆極性の励磁電流をセプタムコイルに流すことで対応する。

0074

本実施例の円形加速器39はパルス出射であるから、セプタムコイルの励磁電源である両極性電源10は、直流励磁ではなくパルス励磁として電源の消費電力を低減することもできる。この場合はセプタムコイルの巻き数は、インダクタンスを抑制するために、10ターン以下であることが望ましい。

0075

なお、両極性電源10の換わりに単極性の電源を用いることができる。この場合、図10に示すように、内周側シム3や外周側シム4の厚さは、内周側シム3および外周側シム4のみで最大エネルギーのビームが取出される磁場となるよう、それぞれのシムの厚みや形状を設定することが望ましい。その上で、最大エネルギー以外のビームは、セプタムコイルに対して通電することで取り出すことが望ましい。

0076

図9のA−A’矢視断面(図2のA−A’矢視断面と同じ)を図6図8図11図12に示す。

0077

図6図8に示すように、内周側シム3と外周側シム4とは、互いに接続することなく独立して置くことができる。

0078

また、図11に示すように、内周側シム3と外周側シム4とを、ビームの軌道面に対して鉛直方向上方側に配置された上側シム100により上面側で接続するとともに、ビームの軌道面に対して鉛直方向下方側に配置された下側シム101により下面側で接続した構造のセプタム電磁石43Aを用いることができる。

0079

さらに、図12に示すように、ビーム軌道との干渉を避けるために、内周側シム3を省略した構造のセプタム電磁石43Bを用いることもできる。なお、図12では上側シム100や下側シム101を配置する場合について示しているが、図6等のように上側シム100や下側シム101を適宜省略することも可能である。

0080

また、軌道面付近で内周側シム3を分割し、ビーム軌道と干渉することをより確実に抑制する構造とすることができる。内周側シム3を分割構造とする場合においても、磁性体からなるシムを上側シム100や下側シム101と同様の位置に適宜配置することができる。

0081

次に、図13を用いてビームの取出し手順について説明する。

0082

1加速周期は、加速高周波の立ち上げ、すなわち高周波加速空胴の共振周波数fcavがある所定値になったタイミングで加速電圧Vaccの印加を開始する時点より始まる。

0083

Vaccが立ち上がった後に、ビームがイオン源53から主磁極38内部の真空空間に入射され、時間t1経過後にビームの高周波捕獲が終了する。

0084

捕獲されたビームが加速されて所望の取出しエネルギーに達したら、加速高周波の遮断制御信号を出す。

0085

それから時間t2が経過すると加速高周波がOFF状態となる。それと同時に、高周波キッカ70に対して高周波電圧Vextの印加を開始する。高周波キッカ70が共振器構造でなく、静電容量が適切な値となるように設計されていれば、高周波キッカ70の高周波電圧は数μs以下の応答で素早く立ち上がる。

0086

取出し用の高周波電圧Vextの周波数fextは、周回しているビームの水平方向チューンνrの小数部Δνrと、周回周波数frevとの積Δνr×frevと等しくなるようにしておく。その結果として、水平方向ベータトロン振動の振幅持続的に増大し続ける。

0087

なお、接地電極71と高圧電極72とは、軌道面内で軌道と直交する方向(水平方向)に高周波電場が作用するように形状が定められているため、この高周波電場によりビームがキックされることで、水平方向のベータトロン振動の振幅を効率的に増大させることができる。ただし、高周波キッカ70のみでは、ビームを取り出すのに十分なターンセパレーションを得ることはできない。そこで、ピーラ磁場領域44とリジェネレータ磁場領域45が必要となる。

0088

ビームは、高周波キッカ70の作用で、やがてピーラ磁場領域44とリジェネレータ磁場領域45に到達する。ビームは、ピーラ磁場領域44を通過すると外周側にキックされ、またリジェネレータ磁場領域45を通過すると逆に内周側にキックされる。このとき、水平チューン≒1であり、ピーラ磁場領域44およびリジェネレータ磁場領域45は共に径方向に適切な磁場勾配を有するので、複数回ビームが周回するうちに、キック量が次第に増えていき、ターンセパレーションが増大する。つまり、2νr=2のベータトロン振動の共鳴条件を利用することで、ターンセパレーションを指数関数的に増大させることができる。

0089

ビーム出射経路入口82にはセプタム電磁石43を設置しているため、やがて内周側シム3と内周側セプタムコイル導体5を合計した厚みを大きく超えるターンセパレーションが得られるようになると、ビームはセプタム電磁石43内部へと導かれる。

0090

このとき、セプタムコイルの励磁電流がビームエネルギーに応じた適切な値であれば、ビームは十分な偏向を受けて、後段の高エネルギービーム輸送系47へ導かれ、ビーム出射が開始される。図13には、セプタムコイルをパルス励磁した場合の例を記載している。

0091

ビームの取出しが始まる前にセプタム電磁石43の励磁電流の通電を開始する。取出し高周波の印加を終えた後は、ビームの取出しを行わないため、セプタムコイルの励磁電流を遮断することが望ましいが、次のビーム取出しまでの時間間隔が短い場合は、セプタムコイルの励磁を継続してもよい。

0092

なお、図13に示したように、高周波キッカ70へ高周波電圧印加を開始した直後は、可能な限り大きな高周波電圧(Vext)を印加しておき、ビームがピーラ磁場領域44とリジェネレータ磁場領域45に到達する直前にVextの振幅を低下させることができる。これにより、ビーム出射開始までの時間を短縮でき、線量率を向上できる。

0093

ビームがピーラ磁場領域44とリジェネレータ磁場領域45に到達したとき以降にVextの振幅を制御することで、ビーム出射電流を調整することができる。つまり、Vextの振幅が大きくなるほど、ビーム出射電流も大きくなる。また、Vextの印加を任意のタイミングで停止することでビーム出射を停めることができる。従って、スキャニング照射で要求されるスポット線量を1回の出射パルスビームで過不足なく照射することができ、線量率が向上する。

0094

また、Vextの振幅を制御するかわりに、Vextの周波数をスイープするか位相を変えることの何れか一つ以上の制御によっても、ビーム出射電流を調整することができる。

0095

また、出射後に加速器内に周回電荷が残存していれば、Vextを再び印加することでビーム出射を再開できるため、次のスポット照射に用いることができる。このため、イオン源53より入射された電荷を無駄なく使用でき、線量率がさらに向上する。なお、加速器内に残存する周回電荷量があるレベル以下となると1加速周期が終了する。このような加速周期を繰り返すことで、ビームを取り出す。

0096

以上の取出し方法を実現する高周波電源と制御系のブロック図を図14に示す。図14は加速高周波電源25、高周波キッカ電源86とのいずれも三極管24A、24Bを用いた場合の構成であるが、そのほかに四極管半導体増幅器を用いることができる。

0097

ビームの加速系統として、入力カプラ20と、ピックアップループ21と、カソード抵抗22、プレートDC電源23、および三極管24Aを有する加速高周波電源25と、回転コンデンサ30と、角度検出機構90と、ディー電極12と、外導体15とを用いる。

0098

加速高周波電源25は自励発振式とし、ピックアップループ21にて加速高周波の一部をカソード回路帰還させる方式とする。高周波加速電圧は、プレートDC電源23の出力電圧高速に変調することで制御する。カソードバイアス電位は、図14に示したようにカソード抵抗22でプレート電位分圧する形で与えるか、あるいはカソード電源を用いて与える構成としている。なお、加速高周波電源25を他励発振式とし、ピックアップループ21を省略して、プレプログラミング式の原発振器出力を前段増幅したものを三極管24Aの入力としてもよい。

0099

ビームの取出し系統には、両極性電源10と、セプタム電磁石43と、上流側コイル34と、下流側コイル35と、上流側コイル電源87と、下流側コイル電源88と、三極管24Bと、プレートDC電源26と、グリッドバイアス電源89と、原発振器92と、スイッチ93、と前段増幅器94と、高周波キッカ電源86と、高周波キッカ70とを用いる。

0100

原発振器92は、高周波キッカ70用に、ある周波数帯域の信号を生成する。その信号には、ビームのチューンスプレッド分と、高周波キッカ70への高周波電圧Vext印加中に水平方向チューンが変動することを考慮し、必要な周波数帯成分が含まれるものとする。この信号はスイッチ93を経て前段増幅器94にて増幅される。増幅後は、三極管24Bで更に増幅され、高周波キッカ70に供給される。高周波キッカ70の高周波電圧Vextの振幅は、前段増幅器94の利得を変えるか、あるいはプレートDC電源26の出力電圧を高速に変調することで制御する。

0101

加速系統における加速高周波fcavの印加タイミングや、ビーム取出し系統における取出し高周波fextの印加タイミングなどを制御するのが演算装置91である。

0102

演算装置91は、回転コンデンサ30の角度検出機構90か、あるいは加速高周波のピックアップ信号から検出する加速高周波fcavの周波数変調パターンや、制御装置191(図15参照)からの各スポット照射許可や各スポットへの要求線量の情報の入力を受けて、加速高周波電源25に対して加速高周波fcavのON/OFFタイミングと電圧振幅指令信号を出力する。

0103

また、演算装置91は、上記情報の入力に基づいて、セプタム電磁石43のON/OFFタイミングと励磁電流の指令信号を両極性電源10に対して出力する。

0104

更に、演算装置91は、高周波キッカ70のON/OFFタイミングと電圧Vextの振幅の指令信号を高周波キッカ電源86に対して出力する。

0105

また、演算装置91は、下流側コイル電源88へ、すなわち下流側コイル35に対してon/offタイミングや励磁電流の指令信号を、上流側コイル電源87へ、すなわち上流側コイル34に対してon/offタイミングや励磁電流の指令信号を出力する。

0106

また、すべての出射エネルギー帯のビームに対し、加速器内部に残存する周回電荷量を静電的あるいは磁気的に計測するビームモニタ95をビーム軌道上の何れか任意の箇所に設置する。そして、周回電荷量があるレベル以下に減少したら、演算装置91は再度、加速電圧の印加を開始し、捕獲・加速・取出しのプロセスを繰り返す。

0107

次に、上述した本実施例の円形加速器39を粒子線治療などに用いる粒子線治療システムに適用した場合の全体構成について図15を用いて説明する。図15は本実施例の粒子線治療システムの全体構成を示す図である。

0108

図15において、粒子線治療システム300は、円形加速器39、高エネルギービーム輸送系47、回転ガントリ190、照射装置192、治療台201、および制御装置191を備えている。

0109

円形加速器39から出射された特定エネルギーのイオンビームは、高エネルギービーム輸送系47および回転ガントリ190により照射装置192まで輸送される。輸送された特定エネルギーのイオンビームは照射装置192で患部形状合致するように整形され、治療台201に横になった患者200の患部標的に対して所定量照射される。

0110

これら円形加速器39、高エネルギービーム輸送系47、回転ガントリ190、照射装置192、治療台201の動作は制御装置191によって実行される。

0111

制御装置191はコンピュータ等で構成されている。これらを構成するコンピュータは、CPUやメモリインターフェース等を備えており、各機器の動作の制御や後述する各種演算処理等が様々なプログラムに基づいて実行される。これらのプログラムは各構成内内部記録媒体外部記録媒体データサーバに格納されており、CPUによって読み出され、実行される。

0112

なお、動作の制御処理は、1つのプログラムにまとめられていても、それぞれが複数のプログラムに別れていてもよく、それらの組み合わせでもよい。また、プログラムの一部または全ては専用ハードウェアで実現してもよく、モジュール化されていても良い。更には、各種プログラムは、プログラム配布サーバ内部記憶媒体や外部記録媒体から各装置にインストールされてもよい。

0113

このとき、本発明の円形加速器39は、上述の通り、小型化が可能であり、かつビームロスが低減されるため、線量率が向上して照射時間が短くなり、患者スループットを増加させることができる。

0114

なお、円形加速器39から照射装置192に直接ビームを取出すことができる。また、照射装置192を複数設けることができる。更に、照射装置192は回転することなく固定されていてもよい。また、照射装置192で用いられる照射方法についても特に限定されず、ビームを走査するスキャニング方式散乱体を用いるワブラ—方式のいずれでも良い。

0115

次に、本実施例の効果について説明する。

0116

上述した本実施例の粒子線治療システム300は、主磁場2、および周波数変調した高周波電場によりビームを加速する円形加速器39と、円形加速器39から取出された特定エネルギーのビームを照射する照射装置192と、を備えている。このうち円形加速器39は、周波数変調が可能であり、ビームを加速する加速高周波を印加する加速高周波印加装置と、加速高周波とは周波数が異なり、ビームを取出すための取出し高周波を印加する高周波キッカ70と、2極以上の極数の磁場成分を含み、少なくとも4極磁場成分を含む高次磁場よりなる擾乱磁場領域を形成するピーラ磁場領域44、リジェネレータ磁場領域45と、磁性体のシム、および内周側セプタムコイル導体5、外周側セプタムコイル導体6を有するセプタム電磁石43、あるいは43A、あるいは43Bと、を備えている。

0117

以上のような構成とすることで、主磁場2を高めて小型化を図る円形の加速器において、小型で、かつ可変エネルギーのビーム取出しを可能とすることができる。また、散乱体を用いることなくエネルギー可変ビームを取出せるので、取出し時に失われるビーム電流値を最小限に留めることができ、高い照射線量率を実現することができる。更に、電気的に取出しエネルギーを変更できるため、散乱体を機械的に移動する方式よりもエネルギー切替えに要する時間が短い、という利点も有する。

0118

このような円形加速器39は、粒子線治療システムの患者スループットを向上させることに大きく寄与する。

0119

また、セプタム電磁石43、43A、43Bは、セプタムコイルに両極性通電する両極性電源10を更に有しているため、両極性通電しない場合と比較して、励磁電流振幅をおおよそ半分にすることができ、セプタムコイルの熱負荷を1/4程度までに低減することができる。従って、セプタム電磁石43の構造を簡易化することができるため、小型化および低コスト化を図ることができる。

0120

更に、シムは、外周側セプタムコイル導体6よりビーム周回軌道外周側に配置された外周側シム4により構成されることで、セプタムコイルが発生すべき磁場を低減することができ、セプタムコイルの熱負荷および電磁応力を抑制することができる。

0121

また、シムは、内周側セプタムコイル導体5よりビーム周回軌道内周側に配置された内周側シム3、および外周側セプタムコイル導体6よりビーム周回軌道外周側に配置された外周側シム4により構成されることによっても、セプタムコイルが発生すべき磁場を低減することができ、セプタムコイルの熱負荷および電磁応力を抑制することができる。

0122

更に、内周側シム3は、ビームの周回軌道に干渉しない楔形の形状であることで、円形加速器39内でのビーム損失を抑制し、より高い照射線量率を実現することができる。

0123

また、内周側シム3および外周側シム4は、互いに接続されることなく独立して配置されていることにより、簡易な構造でセプタム電磁石43を構成することができ、更なる小型化や低コスト化を図ることができる。

0124

更に、ビームの軌道面に対して鉛直方向上方側に配置された上側シム100、およびビームの軌道面に対して鉛直方向下方側に配置された下側シム101を更に有し、内周側シム3と外周側シム4のうち少なくともいずれか一方は上側シム100および下側シム101と接続されていることで、セプタム電磁石43A、43Bによって生成する高エネルギービーム輸送系47にビームを導くための磁場が主電磁石40によって形成される主磁場2の端部漏れ磁場をより効率的に遮蔽することができ、セプタムコイルの励磁電流を低減することができる。

0125

また、シムは、積層鋼板コアであり、内周側セプタムコイル導体5、外周側セプタムコイル導体6よりなるコイル巻き線を10ターン以下で構成することにより、パルス励磁が可能となり、励磁電源の消費電力を抑制できる。

0126

更に、ビームの入射点52が、円形加速器39の中心より出射側にずれるように主磁場2の分布を形成することで、ビーム出射経路入口82に近い側にビーム周回軌道が密になる集約領域を形成することができる。このため、可変エネルギーのビーム出射をする際に要求される高周波キッカ70のビームキック量は、ビームの入射点52を円形加速器39の中心に置き、この中心に対し同心円軌道となるよう主磁場分布を形成した場合に比べて小さくなるため、高周波キッカに要求される高周波電力を低く抑えることができる。

0127

また、ピーラ磁場領域44、リジェネレータ磁場領域45をそれぞれ1箇所ずつ配置し、ピーラ磁場領域44は、主磁場2が径方向外周側に向けて弱まる磁場勾配を有する第1擾乱磁場領域とし、リジェネレータ磁場領域45は、主磁場2が径方向外周側に向けて強まる磁場勾配を有する第2擾乱磁場領域とすることにより、高周波キッカ70によるキックでこれらの擾乱磁場領域にまで到達したビームは、さらに大きくキックされてセプタム電磁石43の入口に入り、やがて加速器外へと取出される。

0128

更に、ピーラ磁場領域44、リジェネレータ磁場領域45を、磁性体よりなる磁場勾配用シム36と磁場補正用シム37のみにより形成し、上流側コイル34と下流側コイル35を省略すれば、熱負荷や電源コストを抑制することができる、との効果が得られる。また、特に磁場補正用シム37によって、ピーラ磁場領域44、リジェネレータ磁場領域45からの漏洩磁場が抑制されるため、ビームは、取出しエネルギーに達する前に軌道が乱されにくくなり、ビームをより安定に加速することができる。

0129

また、ピーラ磁場領域44、リジェネレータ磁場領域45の形成に、磁性体に加えて、上流側コイル34と下流側コイル35も用うるとすれば、ビームの効率的な取出しに向けた第1および第2擾乱磁場領域の磁場強度調整が可能となる。

0130

また、高周波キッカ70には、取出し高周波として、取出したいエネルギーのビームの軌道面内、かつビームの軌道と直交する方向のベータトロン振動振幅を増大させる高周波を印加する。取出し高周波の電圧振幅、位相、周波数、印加時間のうち少なくともいずれか一つ以上を制御して、ビーム出射電流を制御することができる。

0131

更に、加速高周波印加装置による加速高周波の印加タイミング、高周波キッカ70による取出し高周波の印加タイミングを制御する演算装置91を更に備え、演算装置91は、ビームを所望のエネルギーまで加速したのちに加速高周波の遮断を開始し、その後取出し高周波の印加を開始し、ビームの取出しが始まる前にセプタム電磁石43、43A、43Bのセプタムコイルに励磁電流を通電し、取出し高周波の印加を終えた後にセプタムコイルの励磁電流を遮断する。

0132

例えば、高周波キッカ70への取出し高周波印加を任意のタイミングで停止することで、ピーラ磁場領域44とリジェネレータ磁場領域45とにビームが到達しなくなり、ビームの円形加速器39から出射の中断ができるようになる。

0133

また、高周波キッカ70に印加を再開することで、周回電荷が残存していれば再びビームを入射・捕獲・加速することなしにビームの出射の再開もできる。

0134

また、高周波キッカ70に印加する取出し高周波の電圧振幅を適切に制御することで、ビームの安定性に影響する要因を吸収し、ビーム電流時間変動が少ない安定したビームを出射することができる。

0135

すなわち、取出し高周波により、1加速周期ごとの出射ビーム電荷を高精度に制御できるため、スキャニングに適した線量制御が可能となる。また、周回電荷を余すことなく取り出せ、かつエネルギー変更に散乱体も必要ないことから線量率が増加し、照射時間を短くでき、粒子線治療システムの患者スループットを向上させることができる。

0136

また、演算装置91は、更に、取出し高周波の印加開始後、かつビームが擾乱磁場領域に到達する前に、取出し高周波の電場を弱めることにより、ビーム出射までの時間を短縮できる。

0137

1…ラスト1ターンの軌道
2…主磁場
3…内周側シム
4…外周側シム
5…内周側セプタムコイル導体
6…外周側セプタムコイル導体
7…コイル導体接続部
8…コイル口出し部
10…両極性電源
11…加速間隙
12…ディー電極
13…ダミーディー電極
14…内導体
15…外導体
20…入力カプラ
21…ピックアップループ
22…カソード抵抗
23…プレートDC電源
24A、24B…三極管
25…加速高周波電源
26…プレートDC電源
30…回転コンデンサ
31…モータ
32…固定電極
33…回転電極
34…上流側コイル(擾乱磁場領域形成部、擾乱磁場形成用コイル
35…下流側コイル(擾乱磁場領域形成部、擾乱磁場形成用コイル)
36…磁場勾配用シム(擾乱磁場領域形成部、磁極片)
37…磁場補正用シム(擾乱磁場領域形成部、磁極片)
38…主磁極
39…円形加速器
40…主電磁石
41…リターンヨーク
42…主コイル
43、43A、43B…セプタム電磁石
44…ピーラ磁場領域(第1擾乱磁場領域)
45…リジェネレータ磁場領域(第2擾乱磁場領域)
47…高エネルギービーム輸送系
70…高周波キッカ(取出し高周波印加装置)
71…接地電極
71A、72A…ビーム通過口
72…高圧電極
73…突起部
80…最大出射エネルギー軌道
81…最小出射エネルギー軌道
82…ビーム出射経路入口
86…高周波キッカ電源
87…上流側コイル電源
88…下流側コイル電源
89…グリッドバイアス電源
90…角度検出機構
91…演算装置
92…原発振器
93…スイッチ
94…前段増幅器
95…ビームモニタ
100…上側シム
101…下側シム
190…回転ガントリ
191…制御装置
192…照射装置
200…患者
201…治療台
300…粒子線治療システム

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  • 株式会社テクノリンクの「 治療装置」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】可視光や近赤外線等の光は、衣服を透過することが可能であるため、可視光や近赤外線等を照射する光線治療装置の場合、衣服越しに光を患部に照射させることが可能である。これに対し、遠赤外線は、衣服に照射... 詳細

  • ヴェラレーズ エルエルシーの「 小型装着式レーザ治療装置」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題・解決手段】長期の時間枠の間、正確な身体配置及び治療領域の位置合せが可能である手持ち式小型レーザ装置であって、当該装置は、正確な組織位置合せが必要とされるところの組織についての長期治療及び多段階... 詳細

  • 東芝エネルギーシステムズ株式会社の「 荷電粒子加速器及びその施工方法」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】組み立て作業を簡略化することができる荷電粒子加速器及びその施工方法を提供する。【解決手段】真空ダクト接合部10において、継手部材11は雄螺子21が外周面に刻設され環状シール材12に接触する接触... 詳細

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