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技術 任意の数の下級財を表現できるトラクタブルな効用関数または生産関数,および,それに対応した需要関数群の発明,および,それら関数群を観察データから生成するシステマティックな方法の発明

出願人 高橋秀司
発明者 高橋秀司
出願日 2019年4月14日 (1年8ヶ月経過) 出願番号 2019-076726
公開日 2020年3月12日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-038607
状態 未査定
技術分野
  • -
主要キーワード 数値計算プログラム 限界効用 総当たり法 標本番号 勤労者 数値部分 反対語 回帰関数
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

1.任意の数の下級財を表現できる数値計算が可能な効用関数により,多数の財の需要量の変化をただ1本の効用関数に集約する。2.その効用関数をもとに需要関数を生成して,予算mや価格の変化に対して,需要量xの数列が自然に変化するような関数を実現する。3.観察データから効用関数や需要関数のパラメータ推計して,それらを生成する。

解決手段

1.効用関数を足し算構造を基本とする陰関数としつつ,陰関数の値は計算機では確実に計算できるような式を採用する。2.関数のパラメータを少なくして,操作しやすくすることで回帰成功率を高める。3.多変数非線形重回帰を,n回の非線形の単回帰に分解する方法により,回帰の成功率を高める。

概要

背景

予算が200円のときはドリンクのMサイズのみを購入するが,予算が600円に増えると,フードを購入するが,ドリンクはSサイズに減少する。このときドリンクが下級財である。下級財は,予算が増えると購入量が減少する財をいう。一方,フードのように予算が増えると購入量が増加する財は上級財である。

統計データを解釈する上では「予算」の語は,「所得」,「総支出」と同じようなものである。日本の「家計調査」では,毎月の総支出と数百品目の財の購入額が統計として見られる。当然のことであるが,所得が増加すると,購入できる財は,種類・量ともに拡大することから,全体としてみると,多くの財は上級財となる傾向を必然として持つ。それでも,単身世帯では,所得が増えると米は外食に負けて減少している。他にも,詳細なデータでは穀類デンプン製品魚類などの中に下級財がみられる。

以下,予算をm,財の需要量をx,あるいは,複数の財を区別するときには財番号を付してxi(i=1,2,…,)と表す。また,価格はp,複数の財の価格を区別するときには財番号を付してpi(i=1,2,…,)と表す。

その人の予算mと財の需要量xの関係を(m,x)平面にグラフに表したものをエンゲル曲線という。(図1)は,典型的なエンゲル曲線を連続な曲線として描いたものである。理論上,m=0ならば,必ずx=0なので,必ず原点(0,0)からエンゲル曲線は発するが,下級財の場合には,(図1)のA図のように,m=0から急速に上昇したのち,m=1.5あたりからのように減少に転じる。この減少の傾向の部分が下級財を顕著に表し,(0001)のドリンクの削減などを表現する。

(図1)のBやCは上級財のエンゲル曲線の形である。上級財の場合,必ず原点(0,0)からエンゲル曲線は発し,mが増えるとxは増加し続ける曲線となる。これは(0001)のフードなどがこのような図で表される。

エンゲル曲線でなくても,総支出額をmとし商品の購入量をxとして,連続な線ではなく,実データをプロットして折れ線グラフを描いた図は,会議用の資料などでも使えそうな図である。なお,経済学では(x,m)平面を使うエンゲル曲線のほかに,(x1,x2)平面を使う所得消費曲線という作図法もあり,これを使うと2つの財のエンゲル曲線を1枚の図にまとめて示すことができる。

第i財の通常需要関数とは,予算mと需要量xiの関係を表す関数であり,xi(m)と表せる(注:学術的に厳密にはxi(p,m)と価格も含めて定義し表す。)。(0001)に見た通り,明らかに各財への需要量は予算に応じて変化するからxi(m)とmの関数で表すのである。この関数を第i財の通常需要関数なのである。数学上は,下級財はdxi(m)/dm<0となる部分を持つ財である。

効用関数とは,財の消費から得る効用(=満足度でuで表す)を表す関数であり,u=f(x1,…,xと表される。効用関数は,その人の財への価値観を表現する関数であり,心理的なものであるが,経済理論では,明確に数式で定義される。そして,通常需要関数は,x1(m)からxn(m)までn財分あるが,これらn個の関数は,すべて,ただ1つの効用関数u=f(x1,…,xn)から導かれる。よって,無数の財の購入量が,ただ1本の効用関数に集約されるという理論上の面白い特徴がある。(注:専門的に言えば,n個の通常需要関数は,効用関数を目的関数,予算制約式m=p1x1+…+pnxnを制約条件として,効用を最大化するようにx1,…,xnを求める効用最大化問題を解くことで導出される。)

第i財の補償需要関数とは,実現しようとする効用水準uと需要量xiの関係を表す学術概念上の関数であり,xi(u)と表せる(注:学術的に厳密にはxi(p,u)と価格も含めて定義し表す。)。(0001)を広く解釈すると,低い効用を実現しようとする人はドリンクMのみを注文し200円で済ます。しかし,高い効用を実現しようとする人はフードとドリンクSを注文し600円を費やすと考えられる。このように,明らかに各財への需要量は,実現しようとする効用水準に応じて変化するからxi(u)とuの関数で表すのである。この関数が第i財の補償需要関数である。数学上は,下級財は,効用ベースで定義して,dxi(u)/du<0となる部分を持つ財とできる。

(0009)で論じた効用関数があるとき,補償需要関数は,x1(u)からxn(u)までn財分あるが,これらn個の補償需要関数についても,ただ1つの効用関数u=f(x1,…,xn)から導かれる。よって,無数の財の補償需要関数が,ただ1本の効用関数に集約されるという理論上の面白い特徴がある。(注:専門的に言えば,n個の補償需要関数は,総支出額p1x1+…+pnxnを目的関数,目標のuを定数u0とした制約条件u0=f(x1,…,xn)として,総支出額を最小化するようなx1,…,xnを求める支出最小化問題を解くことでから導かれる。)

なお,通常需要関数などは単体で使われることが多く,効用関数は必須の概念ではない。例えば,学校の教科書にある「所得に占める食費の割合は,所得と共に低下する」というエンゲルの主張は効用関数を前提せず書かれている。また,顧客の支出額を階層別にして,階層ごとに購入する品目を分析することは,会社のプレゼン資料でも行われている。効用関数に集約する考え方は,アプローチの1つにすぎないのである。

しかし,n個の財の通常需要関数を,互いに関連のない別個の数式とした場合には,各財の消費量がバラバラに決定されるため,n個の財の予測値を合算したときに,予算に過不足が生じるなど,辻褄が合わないことも予想される。これに対して,1本の効用関数をもつ方法では,n個の財の需要量はすべて,予算だけでなく,n個の財の価格の変化も含めて,すべて整合的に変化する。このような多数財においても細部に至るまで原理一貫性がある。よって,長所もあると考えられる。

実際の統計解析数値シミュレーションにおいてはu=f(x1,x2)のような一般的な定義では値が計算できない。そこでu=x10.5+x20.5のように数式を特定化する。このように効用関数を特定化すれば,(x1,x2)=(1,1)はu=1を与えるが,(1,4)はu=3となることから,(1,4)の方が(1,1)よりuが高いと判断できるのである。

しかしながら,公知のコブ=ダグラス型やCES型の効用関数からは,下級財となる需要量の数列が生成できない。これらの効用関数は,扱いやすい需要関数を与えるが,それは必ず上級財の需要量の数列を生成し,下級財の需要量の数列は生成されない。(0001)のドリンクのような需要量の数列を生成することができないのである。

「効用関数」と「生産関数」は,学術上は異なる関数であるが,数学的な性質に注目する限りは,両者の区別は,あまり重要ではない。したがって,以下では,すべてを「効用関数」として記述する。

概要

1.任意の数の下級財を表現できる数値計算が可能な効用関数により,多数の財の需要量の変化をただ1本の効用関数に集約する。2.その効用関数をもとに需要関数を生成して,予算mや価格の変化に対して,需要量xの数列が自然に変化するような関数を実現する。3.観察データから効用関数や需要関数のパラメータ推計して,それらを生成する。 1.効用関数を足し算構造を基本とする陰関数としつつ,陰関数の値は計算機では確実に計算できるような式を採用する。2.関数のパラメータを少なくして,操作しやすくすることで回帰成功率を高める。3.多変数非線形重回帰を,n回の非線形の単回帰に分解する方法により,回帰の成功率を高める。

目的

第2の課題は,効用関数等の生成を成功させるために,総当たりを極力避けた,別の良い方法を考案することである

効果

実績

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牽制数
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請求項1

財の量x1,…,xnの値を決めた上で,その財の量から得られる効用の値uについて,下記のU(u,x1,…,xn)=0,(数17)の数値解をもちいて,uの数を生成する計算装置,または,計算プログラムkは財のインデックスで,1番からn番までの範囲の値。nは財の種類の総数。xkは財の数量。uは効用水準。また,パラメータの範囲は,0≦ak≦1,0≦bk,0≦ck,0≦dk。なお,以下のすべての請求項について,k,n,ak,bk,ck,dkの変数の意味や範囲は同じとする。

請求項2

第i財の補償需要量xi(補償需要量とは,支出額をΣk=1npkxkとして,自身が望むuの値を与えた(数17)において,最小の支出額で実現できるx1,…,xnのことであり,いわゆる経済学における補償需要関数で算出される需要量)について,下記のF(xi,u)=0(数18)の数値解をもちいて,その数を生成する計算装置,または,計算プログラムiは財のインデックスであり,1番からn番の財のうち実施者が補償需要量を計算したい財のインデックス。xiは第i財の補償需要量。また,パラメータの範囲は,0≦ai≦1,0≦bi,0≦ci,0≦di。なお,以下のすべての請求項について,i,n,ai,bi,ci,diの変数の範囲は同じとする。また,pkは第k財の価格を表し,pk>0である。以下の請求項もpkの意味と範囲は同じ。

請求項3

第i財の通常需要量xi(通常需要量xiとは,予算制約式をm=Σk=1npkxkとして,(数17)から計算される効用uを最大にするような需要量であり,いわゆる経済学における通常需要関数で算出される需要量)について,下記の(数19)と(数20)の2つの方程式F(xi,u)=0,G(xi,u,m)=0の数値解を用いて,その数量を生成する計算装置,または,計算プログラム。 iは財のインデックスであり,1番からn番の財のうち実施者が通常需要量を計算したい財のインデックス。xiは第i財の通常需要量。mは予算。uは最大化された効用。 なお,数学的に(数19)は(数18)と完全に同一の数式である。

請求項4

(数17),(数18),(数19),(数20)の1つ以上の式を用いて,これら数式中の変数について実施者が用意したデータと整合的なak,bk,ck,dk(k=1,…,n)の値を算出し,算出された値を(数17),(数18),(数19),(数20)の1つ以上の式に代入して推計式をつくり,作った推計式もとに,xk,m,uの数を生成する計算装置,または計算プログラム又は,そのようなxk,m,uの推計方法

請求項5

(数17),(数18),(数19),(数20)におけるbk/(uck+dk)の項を数学的に似たような数を生成する関数,たとえば,bk/(u0.0001+uck+dk)などに置換した数式。

請求項6

財の量x1,…,xnの値を決めた上で,その財の量から得られる効用の値uについて,下記のU(u,x1,…,xn)=0,(数21)の数値解をもちいて,uの数を生成する計算装置,または,計算プログラムkは財のインデックスで,1番からn番までの範囲の値。nは財の種類の総数。xkは財の数量。uは効用水準。また,gk(u)は,分析に使用するuの上限と下限の範囲内のuの値について,gk(u)>0かつgk′(u)≦0となりえる関数。gk(u)の例としては,(数17)でも使われているgk(u)=bk/(uck+dk)や,gk(u)=1/(α4ku4+α3ku3+α2ku2+α1ku1+α0k)がある。以下のすべての請求項について,gk(u)の定義は同じとする。

請求項7

第i財の補償需要量xi(補償需要量とは,支出額をΣk=1npkxkとして,自身が望むuの値を与えた(数21)を満たしつつ,支出額が最小となるx1,…,xnのことであり,いわゆる経済学における補償需要関数で算出される需要量)について,下記のF(xi,u)=0,(数22)の数値解をもちいて,その数を生成する計算装置,または,計算プログラムiは財のインデックスであり,1番からn番の財のうち実施者が補償需要量を計算したい財のインデックス。

請求項8

第1財から第n財までの財の量x1,…,xnの値をT組(T≧1)用意して,「ある1組のx1,…,xnと,自身が決めたuの値を(数23)に代入して,g1E,…,gnEの値を算出し,使用したuの値も記録しておく」,続いて,「」で囲んだ処理を,T組のすべてのx1,…,xnの値と自分で決めたuについても行う。これでT組のg1E,…,gnEの値,および,T個の自分で決めたuの値が作られている。そして,『(数21)と(数22)で使われるgk(u)をT個あるgkEの値をT個あるuの値に回帰することで決定する』。『』で囲んだ処理をk=1からk=nまで繰り返して,g1(u)からgn(u)までの関数を推計する。このような方法で,(請求項6)や(請求項7)で用いる関数gk(u)を生成するプログラム,または,そのような関数gk(u)の推計方法。なお,(数23)のa1,…,an,および,p1,…,pnは,(請求項6)および(請求項7)で用いるa1,…,an,および,p1,…,pnと同じものである。

技術分野

0001

数理計画法,OR,経済学,玩具

背景技術

0002

予算が200円のときはドリンクのMサイズのみを購入するが,予算が600円に増えると,フードを購入するが,ドリンクはSサイズに減少する。このときドリンクが下級財である。下級財は,予算が増えると購入量が減少する財をいう。一方,フードのように予算が増えると購入量が増加する財は上級財である。

0003

統計データを解釈する上では「予算」の語は,「所得」,「総支出」と同じようなものである。日本の「家計調査」では,毎月の総支出と数百品目の財の購入額が統計として見られる。当然のことであるが,所得が増加すると,購入できる財は,種類・量ともに拡大することから,全体としてみると,多くの財は上級財となる傾向を必然として持つ。それでも,単身世帯では,所得が増えると米は外食に負けて減少している。他にも,詳細なデータでは穀類デンプン製品魚類などの中に下級財がみられる。

0004

以下,予算をm,財の需要量をx,あるいは,複数の財を区別するときには財番号を付してxi(i=1,2,…,)と表す。また,価格はp,複数の財の価格を区別するときには財番号を付してpi(i=1,2,…,)と表す。

0005

その人の予算mと財の需要量xの関係を(m,x)平面にグラフに表したものをエンゲル曲線という。(図1)は,典型的なエンゲル曲線を連続な曲線として描いたものである。理論上,m=0ならば,必ずx=0なので,必ず原点(0,0)からエンゲル曲線は発するが,下級財の場合には,(図1)のA図のように,m=0から急速に上昇したのち,m=1.5あたりからのように減少に転じる。この減少の傾向の部分が下級財を顕著に表し,(0001)のドリンクの削減などを表現する。

0006

図1)のBやCは上級財のエンゲル曲線の形である。上級財の場合,必ず原点(0,0)からエンゲル曲線は発し,mが増えるとxは増加し続ける曲線となる。これは(0001)のフードなどがこのような図で表される。

0007

エンゲル曲線でなくても,総支出額をmとし商品の購入量をxとして,連続な線ではなく,実データをプロットして折れ線グラフを描いた図は,会議用の資料などでも使えそうな図である。なお,経済学では(x,m)平面を使うエンゲル曲線のほかに,(x1,x2)平面を使う所得消費曲線という作図法もあり,これを使うと2つの財のエンゲル曲線を1枚の図にまとめて示すことができる。

0008

第i財の通常需要関数とは,予算mと需要量xiの関係を表す関数であり,xi(m)と表せる(注:学術的に厳密にはxi(p,m)と価格も含めて定義し表す。)。(0001)に見た通り,明らかに各財への需要量は予算に応じて変化するからxi(m)とmの関数で表すのである。この関数を第i財の通常需要関数なのである。数学上は,下級財はdxi(m)/dm<0となる部分を持つ財である。

0009

効用関数とは,財の消費から得る効用(=満足度でuで表す)を表す関数であり,u=f(x1,…,xと表される。効用関数は,その人の財への価値観を表現する関数であり,心理的なものであるが,経済理論では,明確に数式で定義される。そして,通常需要関数は,x1(m)からxn(m)までn財分あるが,これらn個の関数は,すべて,ただ1つの効用関数u=f(x1,…,xn)から導かれる。よって,無数の財の購入量が,ただ1本の効用関数に集約されるという理論上の面白い特徴がある。(注:専門的に言えば,n個の通常需要関数は,効用関数を目的関数,予算制約式m=p1x1+…+pnxnを制約条件として,効用を最大化するようにx1,…,xnを求める効用最大化問題を解くことで導出される。)

0010

第i財の補償需要関数とは,実現しようとする効用水準uと需要量xiの関係を表す学術概念上の関数であり,xi(u)と表せる(注:学術的に厳密にはxi(p,u)と価格も含めて定義し表す。)。(0001)を広く解釈すると,低い効用を実現しようとする人はドリンクMのみを注文し200円で済ます。しかし,高い効用を実現しようとする人はフードとドリンクSを注文し600円を費やすと考えられる。このように,明らかに各財への需要量は,実現しようとする効用水準に応じて変化するからxi(u)とuの関数で表すのである。この関数が第i財の補償需要関数である。数学上は,下級財は,効用ベースで定義して,dxi(u)/du<0となる部分を持つ財とできる。

0011

(0009)で論じた効用関数があるとき,補償需要関数は,x1(u)からxn(u)までn財分あるが,これらn個の補償需要関数についても,ただ1つの効用関数u=f(x1,…,xn)から導かれる。よって,無数の財の補償需要関数が,ただ1本の効用関数に集約されるという理論上の面白い特徴がある。(注:専門的に言えば,n個の補償需要関数は,総支出額p1x1+…+pnxnを目的関数,目標のuを定数u0とした制約条件u0=f(x1,…,xn)として,総支出額を最小化するようなx1,…,xnを求める支出最小化問題を解くことでから導かれる。)

0012

なお,通常需要関数などは単体で使われることが多く,効用関数は必須の概念ではない。例えば,学校の教科書にある「所得に占める食費の割合は,所得と共に低下する」というエンゲルの主張は効用関数を前提せず書かれている。また,顧客の支出額を階層別にして,階層ごとに購入する品目を分析することは,会社のプレゼン資料でも行われている。効用関数に集約する考え方は,アプローチの1つにすぎないのである。

0013

しかし,n個の財の通常需要関数を,互いに関連のない別個の数式とした場合には,各財の消費量がバラバラに決定されるため,n個の財の予測値を合算したときに,予算に過不足が生じるなど,辻褄が合わないことも予想される。これに対して,1本の効用関数をもつ方法では,n個の財の需要量はすべて,予算だけでなく,n個の財の価格の変化も含めて,すべて整合的に変化する。このような多数財においても細部に至るまで原理一貫性がある。よって,長所もあると考えられる。

0014

実際の統計解析数値シミュレーションにおいてはu=f(x1,x2)のような一般的な定義では値が計算できない。そこでu=x10.5+x20.5のように数式を特定化する。このように効用関数を特定化すれば,(x1,x2)=(1,1)はu=1を与えるが,(1,4)はu=3となることから,(1,4)の方が(1,1)よりuが高いと判断できるのである。

0015

しかしながら,公知のコブ=ダグラス型やCES型の効用関数からは,下級財となる需要量の数列が生成できない。これらの効用関数は,扱いやすい需要関数を与えるが,それは必ず上級財の需要量の数列を生成し,下級財の需要量の数列は生成されない。(0001)のドリンクのような需要量の数列を生成することができないのである。

0016

「効用関数」と「生産関数」は,学術上は異なる関数であるが,数学的な性質に注目する限りは,両者の区別は,あまり重要ではない。したがって,以下では,すべてを「効用関数」として記述する。

0017

特開2019−003592

先行技術

0018

Epstein, G. S. and Spiegel, U. (2000). ‘A production function with an inferior input’, The Manchester School, Vol. 68, pp. 503-515
J. Doi, K.Iwasa, and K. Shinomura (2006), 'A utility function can generate Giffen behavior', discussion paper cirulated in internet.
Moffatt, P.G. (2002). “Is Giffen behavior compatible with the axioms of consumer theory?”, Journal of Mathematical Economics, Vol. 37, pp.259-267.
S. Takahashi (2019). “Demand Functions with Inferior Goods: Implicit Function Approach”, Hitotsubashi Journal of Economics, forthcoming.

0019

本発明は,任意の数の下級財を表現できる拡張性の高い数値計算可能な効用関数の発明である。この効用関数からは,下級財を表現できる補償需要関数x1(u)や通常需要関数x1(m)などを導くことができる。なお,下級財だけでなく,必需品,奢侈品なども表現できるため,観察データに近い需要量の数列や,エンゲル曲線,所得消費曲線などを生成できる。請求項1から5,実施例1から3がこれにあたる。

0020

更に,(0019)の実施を補助する中で,観察された消費量のデータから中間的な数列を生成して,その中間的な数列に単回帰をおこなうことで効用関数や需要関数を生成するシステマティックな方法も発明した。この方法を使うと,観察データから各関数の構成要素の1部を特定できる。これにより作業が楽になる上に,回帰成功する率も向上する。しかも,(図5)のAのような波形のエンゲル曲線を生成する関数など,試行錯誤では関数の概形すら思いつけない関数が観察データと整合的に生成できる。請求項6から8,実施例4,5,6に示され,前の発明を実現する方法として優先権を使って(0019)に付加した。

発明が解決しようとする課題

0021

最も根本的な課題は,とにかく,任意の数の下級財を表現できる効用関数をつくることである。コブ=ダグラス型などの効用関数は,そもそも下級財を扱えない。また,非特許文献1から非特許文献3に挙げた下級財を扱える効用関数は2財に限られており,任意の数の財を扱うことができない。数式構造がとても複雑であり,人間の手作業によっても変数の付加や変更が困難であり,コンピュータによる関数の自動生成なども全く不可能である。

0022

(0021)という最も根本的な課題については,(特許文献1)において,ある程度,解決した。また,(非特許文献4)に論文としてエッセンスを公刊した。しかし,(特許文献1)の関数群は,観察データへの回帰をするときには不十分な点があった。第1の問題点は,(0023)から(0028)に述べてある。第2の問題点は,優先権で付加したもので(0029)から(0033)に述べてある。いずれも回帰に関する問題点である。

0023

(特許文献1)のポイントはu=b1x1a1+b2x2a2のような単純な項の合計ではなく,(数1)のように,xiaiの各項の前に,左辺と同じuについての減少関数ui−ciを挿入して,uの高低に応じて各項が調整されるように数式を構成した点にあった。
(数1)u=b1u−c1x1a1+b2u−c2x2a2(0≦ai≦1,0≦bi,0≦ci)

0024

結果として,(数1)の効用関数は,両辺にuを持つ式となり,uについて代数的には解くことができない陰関数となる。しかしながら,計算機を使う限りは,(数1)のuは,ほぼ確実に計算に成功するような数式となっているために,計算機を使う限りでは効用関数としては使用できる。

0025

(特許文献1)の関数群はbiu−ciという項を含んでいる。このbiu−ciという定式化は,ある条件のもとでは要素需要関数x(u)のuに対する弾力性が一定となり数学的に扱いやすいという長所があった。

0026

しかし,短所として,biu−ciの値は,数学的にuの増加がci乗されて減少するため,特にciの値が大きい場合,あるいは,uの値が大きい場合には,僅かなuの値の変化に対して,u−ciの値は,極めて大きく敏感に反応する。たとえば,uが10から100に高まった時に,u−2は0.01から0.0001へと元の値の100分の1に減少する。このため全体の値が小さすぎて,数値計算ソフトによってはエラーを出力して計算に失敗したり,例外処理プログラムを挿入する等の煩雑な処理が必要なことがあった。係数のbiの値を使ってbiu−ciを調整するのであるが,この調整は,なかなか面倒であった。

0027

回帰分析を手作業で行うときに,実施者は,さまざまなai,bi,ciなどの定数の値を総当たり的に与えて,プログラムでxiの値を算出する。そして,算出したxiと,実際のxiの観察値との差が小さくなるように,ai,bi,ciなどの値を繰返し増減させて,最もあてはまりの良いai,bi,ciの値を探し出す。この時(0026)で述べたように,uの値にu−ciの項が敏感に反応することに起因して,例えば,ai,bi,ciの値を0.8から0.800001へと変更するといった,小数点以下第6位を1増すような煩雑な作業が繰り返し生じる。このような小さな値での変更は手作業のみならず,プログラムで自動化したときにも,実際上は処理を煩雑にする。理想としては,ai=0.8からai=0.85への変更のような簡素な作業が望ましい。

0028

この減少関数u−ciの値の反応が敏感であるという性質を緩和することで,特に「総当たり」的な回帰による手法で効用関数等を生成するときの成功率を向上させたい。ただし,(特許文献1)が有していた長所は,なるべく失うこと無くである。以上が第1の課題である。

0029

第2の課題は「スパゲティ化」である。スパゲティ化として2つの例を以下に示す。

0030

(特許文献1)や,それを改善した本出願の請求項1の(数)の効用関数からは,横軸を所得m,縦軸に消費量xとしたエンゲル曲線としては,詳細な形状は数値に依存するが,概ね(図1)に示したA,B,Cの3タイプの曲線が生成可能である。A,B,Cは,経済学における3大類型である「下級財」,「必需品」,「奢侈品」のエンゲル曲線に対応する。A,B,Cの中で,発明の最も優れた点は,Aの曲線であり,公知技術では,特に,3財以上のものは全く生成不可能だったものである。

0031

しかし,(図1)のAの曲線に成功しても,なお,課題は残っている。家計調査などの実際のデータでは,米や穀物などには,Aの曲線が首尾よくフィットするのであるが,しかし,実際には,年収1500万円を超えるような超高所得では,米の消費量が増加に転じることがある。Aのような下級財のエンゲル曲線は,超高所得層を含めた場合には,右の端の方では,右上がりになることがある。こうなると,エンゲル曲線は,右上がり,右下がりを繰り返えす波形になる。このような波形のエンゲル曲線を生成する為には,関数形を複雑にする必要がある。しかし,関数形を複雑にすると,パラメータの数が増加して,どのパラメータを調整したら良いのか見当がつかなくなってしまう。つまり,「パラメータ数の増加によるスパゲティ化」がおこる。

0032

また,「総当たり法」は10財の関数あたりから限界見えてきた。10財の場合,様々なai,bi,ci,di(i=1,2,…,10)という40個のパラメータを総当たりで計算する。先願の発明では,関数形が工夫されているために,aとdの値は比較的ルーズでも良い結果が得られる傾向があり,総当たりする変数はbとcに集中する傾向があった。しかし,そのような長所をもってしても,c1の値を変更すると,それに連動して,x1からx10までの10財のエンゲル曲線が一斉に変化するために,40個のパラメータのどの値を上げて,どの値を下げるかの判断が困難となる。これが「多変数化によるスパゲティ化」である。

0033

「スパゲティ化」への解決策として,「総当たり」を減らす方法を発明するべきであるという第2の課題も存在していた。この課題には,bi,ci,diの値を決定する支援ツールなどが必要だという事である。

0034

総括すると,第1の課題は,効用関数等の生成を成功させるために,計算の成功率を高めること。特に,総当たりがしやすいレベルまでに扱いやすい関数にすること。第2の課題は,効用関数等の生成を成功させるために,総当たりを極力避けた,別の良い方法を考案することである。

0035

この2つの課題は,共に使い易い関数を作ることにある。「使い易い関数」を開発するのが第1の課題とすれば,第2の課題は,「「複雑な関数」も作れる使い易い支援的な関数」を開発するということである。

課題を解決するための手段

0036

まず,(特許文献1)の関数を扱いやすくして,「総当たり法」を容易にするアプローチを(0037)から(0039)に述べる。第2の課題を解決する手段は,「総当たり法」の反対語を使って,「システマティックな方法」とよぶ。「システマティックな方法」とはいえ,実際上は,関数の開発支援ツールのようなものである。

0037

(特許文献1)で使用していたuの減少関数「bi/uci」を「bi/(uci+di)」に変更する。なお,di≧0である。定数diが付加されたことで,uの増加に対して,bi/(uci+di)の値の変化は小さくなる。また,uciの値が計算機上で0となってもbi/(0+di)となり,分母定数項diがあるために,ゼロ除算が生じない。

0038

この変更により,新しい効用関数は(数2)のようになる。この変更により(0026)や(0027)のような課題が解決され,従来よりも更に扱いやすい関数とする。
(数2)u=(b1/(uc1+d1))x1a1+(b2/(uc2+d2))x2a2+…+(bn/(ucn+dn))xnan,(ただし,0≦ai≦1,0≦bi,ci,di)

0039

(特許文献1)の(数1)の関数は,uの減少関数が,u−ciという指数をもちいたシンプルな関数としてあり,請求項もそのように書かれている。わたしはこの関数部分については広く減少関数を指すものとして,均等論を希望している。とはいえ,改良の内容次第では,元の発明が持っていた性質が失われる等,実際には,すべての改良が成功するわけでもないので出願はした方がよいだろう。

0040

第2の課題の解決策を(0041)から(0046)に述べる。

0041

第2の課題を解決する方法は,(数2)を改良することから始まる。波打つ形のエンゲル曲線を出すためには,(数2)の(bi/(uci+di))の部分の式を変更する必要がある。たとえば,(bi/(uei+uci+di)),(ただしei≠ci)というように項を追加するといった方法が考えられる。しかし,こうしたバリエーションを考えてゆくと,代替的な式は,いくらでも思いつくことができるが,パラメータの数が増加して,トラクタブルな関数でなくなる。

0042

そこで,数学的な考察に基づいて,(数2)を可能なかぎ一般化して(数3)のようにする。
(数3)u=g1(u)x1a1+…+gn(u)xnan
gi(u)は正値のuの非増加関数とする。もはや,gi(u)の式の詳細は実施者が決めてよい。もしも(数2)と同じにするならば, gi(u)=(bi/(uci+di))であるが,代替案としては,(数4)のようにuの2次式逆数でも正値の非増加関数になりえるので使うことができる。
(数4)gi(u)=1/(biu2+ciu+di)

0043

システマティックな方法では,観察されたx1,…,xnと整合性のとれるgi(u)の理論値を先に計算する。つまり,関数gi(u)の中身ブラックボックスにしておいて,関数がとるべき値を理論的に最初に求めるのである。そして,この理論値に対して,この理論値と整合的な関数gi(u)を非線形回帰などの手法で探索してgi(u)の内部を特定化するのである。このgiの特定に使う回帰は,非線形であるが,gi(u)からuへの単回帰となり,重回帰のようなスパゲティ化がなく,何よりも成功率が格段に高い。

0044

また,関数gi(u)は自分で決められるので,1/(biu2+ciu+di)のような多項式の逆数であれば,octaveのような数学ソフトではpolyfitコマンドなど回帰用の機能が標準装備であり,近年では表計算ソフトでも装備されているので手軽である。このほか市販の数学ソフトには非線形の回帰モデルは単回帰ならば多く組込みこまれている模様である。これらが利用可能になるので,利用者は,難解な数学やデータ解析勉強する手間が減少して,データの分析に集中できる。

0045

このような単回帰を,財1から財nまでn回実施して,g1からgnのn個の関数をすべて決定する。本発明では,総当たり法で顕著な40変数のような巨大な重回帰を廃し,g1(u)からgn(u)までのn個の単回帰に分解する方法で解決するのである。

0046

gi(u)は正の非増加関数という単純で表現力の乏しい関数であるが,請求項7を見れば分かるように,補償需要を計算する式(数22)においては,gk(u)/gi(u)を含むgk,giの概ね比をとった項の複雑な和として使われるので,全体としては増加関数にも減少関数のいずれにもなって,きわめて多彩な数列を生成する。これを原理として,波打つエンゲル曲線が実現する。

発明の効果

0047

第1の課題が解決されて,総当たり的な回帰の成功率が高まり,観察データからパラメータを推計できるようになった。また,第2の課題が解決されて,回帰により,波形のエンゲル曲線など,より複雑なエンゲル曲線を生成できるほどに,精密で,成功率が高い回帰ができる。しかも,市販の数学ソフトなどの関数群と互換性があるなど,使い易さも向上した。

0048

しかも,特許文献1が備えていた長所———uの値は必ず1意の実数であり,経済理論とも完全に整合であり,計算機を使えば比較的失敗することなく計算でき,xiの値は,uやpの変化に対して連続的に変化し,決して,xが複素数や+∞にならず,異常値検査補正のための作業やプログラムを省くことができる———といった(特許文献1)の関数群が備えていた数々の長所は,依然として保持できることが判明している。たとえば,(0038)に示したu=(b1/(uc1+d1))x1a1+(b2/(uc2+d2))x2a2+…+(bn/(ucn+dn))xnanという関数は,左辺と左辺の両方にuを含む式であり,しかも,代数的にuについて解くことが困難であり,解けたとしても数メートルにも達する遠大で複雑な式となる。しかし,文字配列をみると,(b1/(uc1+d1))x1a1,(b2/(uc2+d2))x2a2,…,(bn/(ucn+dn))xnanという財ごとに独立なn個の項が足し算で結ばれる単純な足し算構造となっている。このように右辺が単純な足し算構造であるため,例えば,新規の商品やサービスが追加されたときには,n+1番目の商品やサービスを示す項として(bn+1/(ucn+1+dn+1))xn+1an+1を元の式に追加して,u=(b1/(uc1+d1))x1a1+(b2/(uc2+d2))x2a2+…+(bn/(ucn+dn))xnan+(bn+1/(ucn+1+dn+1))xn+1an+1とするだけでよい。よって,プログラムにより商品の追加削除に対応した関数を簡単に生成することができる。

0049

このとき,(0048)に示したu=(b1/(uc1+d1))x1a1+(b2/(uc2+d2))x2a2+…+(bn/(ucn+dn))xnanという式は,代数的にuについて解けないという欠点,あるいは,解けたとしても遠大で複雑な数式となるという欠点がある。しかし,この式のa1,…,an,c1,…,cnなどのu以外のすべての変数を数値で与えたときには,uについてのべき乗を含む式ではあるが,u=0を初期値として逐次計算することで,コンピュータではエラーで失敗することなく,ほぼ確実にuの数値解を算出できる。よって,代数的にはuについて解けないという理論的な短所は,コンピュータによる数値計算に特化する限りでは,数値計算が容易であるという性質によって克服でき,単純な足し算構造を生かして関数を自動生成できるなどの長所のみを享受できる。さらに,本発明の補償需要関数や通常需要関数は,複素数や負値を含んだ数列を生成しない。このため,piやmのデータの値がどのような値であっても実施ができる。

0050

すなわち,本発明は,下級財の効用関数として,代数的にはuについて解くことができない,あるいは解けたとしても複雑で遠大な式となる陰関数でありながら,文字の配列としては規則的で単純な構造をした式を採用することで,多変数化を実現しつつ,代数的に解けないところも数値計算ができるので,扱いやすく自動生成にも適した下級財の効用関数となっている。

0051

そして,今回の発明により関数にdiの項を追加したことで,操作性がさらに改善する上に,計算機がエラーを出すことが更に減少し,特に,総当たり法で回帰をする成功率が向上し,実用性がかなり向上している。 請求項1から請求項5が該当

0052

更に,「システマティックな方法」の発明により,複雑で成功率の低い非線形の重回帰分析を回避して,n回の単回帰に分解する工夫により,回帰の成功率が向上し,効用関数や需要関数群を生成できる。これにより,扱いやすさが向上した結果,(図5)のAのような波形のエンゲル曲線を生成する効用関数など,より自然で観察データに適合しやすい効用関数などが生成できるようになった。請求項6から請求項8が該当。

0053

以下,本発明のいう効用関数や需要関数群は,厳密には関数ではなく陰関数となるが,本出願においては関数と陰関数の区別はせずに,すべて関数あるいは数式と表現する。さらに,本発明のいう通常需要関数は,1本の式ではなく,mを定数としたxiとuを未知数とする連立方程式F(xi,u)=0,G(xi,u,m)=0の解のxiの方で与えられる。この意味では,本発明の言う通常需要関数は,数学における陰関数でもないと思うが,コンピュータのプログラムでは関数として書けるので,関数とよぶ。

実施例

0054

本発明の実施は,単純な数値例であれば手計算や家庭用電卓でも可能であるが,指数の計算など計算量が膨大であることや,作業が複雑であることから現実的でない。よって,コンピュータでの実施のみを実施とみなす。部分的に手作業も入るが,もっぱらコンピュータ上にプログラムし,人間,あるいは通信により得たデータをもとに,x1やmなどの値を関数に代入して数列を生成する。

0055

また,営業データなどをもとに,財を1つ,2つ,3つと任意に加えて,a,b,c,dの各パラメータを適切に設定するなどして効用関数・需要関数群を自動生成し,自動生成した関数に値を代入して数列を生成することで実施する。

図面の簡単な説明

0056

本発明が生成するエンゲル曲線の3大類型
観察データの所得消費曲線(実線)(実施例1)
発明により生成した所得消費曲線(点線)(実施例1)
外挿を付加した所得消費曲線(点線下部)(実施例1)
システマティックな方法で生成した波形エンゲル曲線,S字型の所得消費曲線(実施例4)

0057

(請求項3)の実施例として,x1が下級財,x2を上級財とする2財の実施例を示す。(表1)のような,x1とx2,mについての7つのデータを用意する。x1は米,x2は一般消費(米以外),mは予算である。データの数値は,単身世帯のうち勤労者世帯の年間収入階級別の1世帯当たり1か月間の米,米以外,および,所得のデータ(単位:百円)である。出典は,平成28年度,家計調査,詳細結果表,第5表である。ただし,mの数値は,家計調査の年収の値ではなく,消費支出総額の値を使用した。これにより,m=x1+x2となり,理論的な前提である予算制約式と整合させる。

0058

(表1)を(x1,x2)平面に,予算の低い順にプロットし線で結んだ図が,(図2)である。折れ線は所得消費曲線であるが,全体としては,左上がりであることから,x1は下級財である。

0059

上記のようなx1,x2,mについてのデータを用意した上で,発明を実施する例を以下に示す。

0060

i=1の変数については,a1=0.8,b1=51,c1=0.51,d1=50と値を定める。i=2の変数については,a2=0.9,b2=20,c2=0.1,d2=20と値を定める。なお,c1=0.51という値は,c2=0.1よりも約5倍も大きい。第i財を下級財とするときはciは大きく,奢侈品とするときはciを小さくする。

0061

なお,実際には,(0060)に示したようなai,bi,ci,diの値が最初から分かっているはずはない。100通りくらいの,ai,bi,ci,diの値の組み合わせについて,順次,下記の(0062)から(0058)の手順で繰り返し需要量x1を計算する。そして,(表1)のx1との残差をとり,その残差平方和が最も小さいai,bi,ci,diの値を採択する。つまり,いわゆる,最小二乗法などを使って,もっとも当てはまりの良いai,bi,ci,diを探索するべきである。このような探索をすれば,機械的な処理により,実際のデータから下級財を検出,あるいは学習することもできる。

0062

(0060)のa,b,c,dの値を請求項3の(数19)と(数20)に代入して,F(x1,u)=0と,G(x1,u,m)=0を作ると,(数5)と(数6)となる。

0063

(表1)の所得階級1番のm=1164.3を読み取り,(数6)のmに代入する。すなわち,G(x1,u,1164.3)=0の式を作る。

0064

そして,F(x1,u)=0とG(x1,u,1164.3)=0というx1とuを未知数とする2本の連立方程式とし,この連立方程式の数値解を算出する。

0065

コンピュータで計算すると,数値解として,x1=4.46792,u=526.025をえる。この2つ数値解のうち,x1=4.46792の方の値は,m=1164.3のときのx1への通常需要量(つまり,所与のmのもとでuを最大にするx1の需要量)が4.46792である。

0066

なお,残差は,3.82−4.46792≒−0.647である。このような残差の平方和は,なるべく小さい方が望ましい。

0067

なお,蛇足だが,もう一方の変数の数値解であるu=526.025という値は,m=1164.3のときの,最大化された効用の値を表し,経済学における間接効用に該当する。つまり,F(x1,u)=0とG(x1,u,1164.3)=0という請求項3の連立方程式は,経済学における通常需要関数x1(m)と間接効用関数u(m)の2つを兼ねた式に該当する。

0068

(0063)から(0065)の処理を,(表1)の所得階級の2番から7番についても行う。すると,(表2)をえる。なお,(表2)のx2の値は,x2=m−x1で求めた。

0069

さらに,(表2)を(x1,x2)平面にプロットして線で結ぶと,(図3)の点線のような所得消費曲線が生成できる。

0070

(表2)で示された推計は,m=1164.3よりも小さいmについてはデータがないので,(図3)の下方部分は空白である。しかし,1164.3以下のmについても外挿によって,x1の数列を生成できる。

0071

m=1からm=1000までの様々なmの値について,(0063)から(0065)の処理を,繰り返すことで,x1の数列を生成すると(図4)のような所得消費曲線を完成させることもできる。

0072

直線にも見えた(図3)の所得消費曲線であったが,本発明が生成するx1とx2の数列は,(図4)のように,原点から発した大きく湾曲した所得消費曲線を生成する。

0073

以下,概ね,縦軸のx2は定義により,所得mと概ね等しい値であることから,縦軸のx2を「月間所得」と読み換える。そして,利用者は(図4)を解釈することで,月間所得(m)が0から4万円に増えていくときに,米(x1)は上級財であり,概ね500円に向かって,急速に米の購入を増加させる。そして,月間所得が4万円を超えたあたりから,緩やかに米の購入量を減らしてゆくことが読み取れる。本発明は,米は所得が低いときには,上級財であり,一定の所得水準を超えたところから下級財に転化するような数列を生成している。この数列は自然でもっともらしい。米は,一般には下級財であるといわれるが,低所得者を含む全所得階層において下級財になることはあり得ないからである。

0074

また,このx1の数列は,価格p1,p2の変化についても,経済学でいう「需要法則」に一切矛盾することなく値が調整されることが保証されている。

0075

また,(表2)のx1の数列が,(表1)の実際のx1の数列と十分に似ている事から,c1=0.51というc2=0.1に比べて5倍も大きいという特徴もデータから正しいと判断できる。このc1が大きいという事から,x1は下級財であるという事を機械でも判定することができる。

0076

つぎに,請求項2の実施例を示す。請求項2をつかって,補償需要量の数列を生成する。

0077

補償需要の計算では,効用uの値を用意する必要がある。効用uの値は,アンケート調査でのスコアでもよい。しかし,ここでは,実施例1の(0065)において,所得mから本発明に沿って計算した効用であるu=526.025を使用する。さらに,a,b,c,dの各定数群も用意する必要があるが,これらは(0060)と同じとする。

0078

いま,消費税が2%引き上げになったとする。しかし,米は非課税となった。このような価格変化は,p1=1,p2=1.02と表すことができる。

0079

(0060)に示されたai,bi,ci,diを請求項2の(数18)に代入する。ただし,(0060)の時とは異なり,p1=1.0,p2=1.02を代入する。具体的には,(数7)を作る。

0080

次に,(数7)に示されたF(x1,u)=0に,所得階級1の効用であるu=526.025を適用して,F(x1,526.025)=0とし,この1変数の方程式の数値解を求めると,x1=4.93197を得る。これは,(表2)の所得階級1に示されたx1=4.467よりも,約47円(≒4.9317−4.467)だけ増大している。米に対する需要量は1か月あたり47円だけ増加させれば,課税後の生活水準を維持することができる。

0081

一般に,uの水準は観察できない。しかし,実施例1の方法で,観察データのみからuの値を求めてしまえば,そのuを転用して,観察不能なuを用いた補償需要量も生成可能となる。本例のuの値の転用にみられるような利便性は,本発明において,請求項1から請求項3に示された計算方法が,互いに,整合的であり,各変数の値が(数18)を満たす場合には,(数17)も必ず満たすことに起因する。

0082

つぎに,請求項1の実施例を示す。請求項1は,効用関数U(u,x1,…,xn)=0を用いてuの値を導出するものである。uの値は,つぎの(0083)から(0085)の手順で実施して計算する。

0083

まず,自身が希望するa,b,c,dの値を用意する。以下では,これらは(0060)と同じとする。更に,自身がuの値を知りたいと思う財の量x1,…,xnの値を用意する。以下の例では,(0065)で得たx1=4.467,および,x2=1159.8と同じとする。そして,請求項1の(数17)にa,b,c,dの各値を代入して(数8)を作る。

0084

次に,用意したx1=4.467とx2=1159.8を(数8)に代入して,U(4.467,1159.8,u)=0を作る。具体的には,(数9)となる。

0085

(数9)をuを未知数とする方程式とみる。そして,uの数値解を計算することで,u=526.025を得る。

0086

請求項1は(0083)から(0085)のような方法でuの数を生成することに用いるが,請求項3の方法が計算に失敗したときの例外処理としても使える。予算制約式を満たすx1とx2の組合せを,例えば10をきざみとして生成する。つまり,(x1,x2)のベクトルで表して,(0,1165),(10,1155),…,(1155,10),(1165,0)のような117個の配列をつくる。そして,117個の(x1,x2)の各値について,(0083)から(0085)で示した計算を行い,総当たりで117個のuの値を得る。その117個のuの値の中で最も大きいuを与える(x1,x2)のベクトルは,m=1165のときのx1とx2の通常需要量に該当する。

0087

請求項3の(数18)と(数19)を使っても,x1の通常需要量の計算はできる。しかし,この計算は,べき乗を含んだ複雑な非線形の連立方程式であることに起因して,数値計算プログラムがエラーを出力して,計算に失敗することが少なからずある。エラーを検出したときには,乱数をもちいて初期値を変更するなどの例外処理を行うことになるが,この例外処理の最後の手段として,(0086)のような総当たり法が使えるのである。

0088

(0086)と(0087)で述べた例外処理ができるのは,本発明において,請求項1から請求項3に示された計算方法が,互いに,整合的であり,各変数の値が(数19),(数20)を満たす場合には,(数17)も必ず満たすことに起因する。本発明の(数17)から(数20)の数学的な整合性を生かして,特に,コンピュータによる自動化において,様々な数が矛盾なく連動することで,恣意的な数値補正や,例外処理,計算エラーを減らすことが可能になる。

0089

請求項8の実施例を示す。請求項8は,gi(u)の生成方法の発明である。実施例4ではgi(u)を観察データから生成する実施例をしめす。このgi(u)は,実施例5以降で,補償需要関数や効用関数に組込まれて使用される。

0090

以下,第1財の消費量と価格をx1とp1,第2財の消費量と価格をx2とp2とする。総支出をmとし,m≡p1x1+p2x2である。また,価格はp1=p2=1とする。また,a1=a2=0.9と自身で想定する。

0091

(表3)のような観察データを用意する。x1とx2の購入量についての1番から4番までの4組の標本を用意し,標本を,効用水準uの低い順に左から並べて表にする。とはいえ,各標本が与える効用水準uは観察できない変数であり,知ることができないことが多い。しかし,このシステマティックな方法を実施するためには,各標本におけるuの値は未知であっても良いが,各標本の与えるuの大小関係は,事前に分かっている,あるいは自分で想定する必要がある。この条件は,実施例1では必要とされない条件であるが,実施例4では必要である。

0092

本実施例4では,価格pがすべての標本で共通の値であるために,支出額mが大きい標本は,uも大きいことになる。このため,本実施例4に限っては,uの大小関係は,支出額mの大小関係と同じになる。

0093

そこで,4組の標本を総支出額mが小さい順に左から並べる。これにより4組の標本が効用uが小さい順に左から並んだことになる。これが(表3)のようになっていたとする。

0094

(表3)の標本番号の1番から4番までが観察されたx1とx2の購入量を表し,総支出額mが小さい順に並んでいることを確認する。標本番号0番と5番は,回帰を整えるためのダミーで,0番は1番を0.2倍した値(例:0.4=0.2×2),5番は4番を1.2倍した値(例:4.8=4×1.2)である。

0095

図5)のAの黒丸は,(表3)のx1とmを(m,x1)平面上にプロットしたものであり,Aの折れ線は観察されたエンゲル曲線である。この折れ線は,x1が,2,4,2,4と上下していることが確認できる。これは(0031)で課題として指摘した超高所得層で上級財に転化するタイプの下級財のエンゲル曲線に該当し,是非とも,発明により生成したい曲線である。

0096

実施例4においては,(図5)のAのようなエンゲル曲線が波をうつような数列を生成する関数を(表3)にある観察データから導出する。なお,Bは,x2のエンゲル曲線を参考までに示した。

0097

まず,請求項8を標本1番に実施する。請求項8の(数23)の中のuは未知なので定数u1としておき,x1=2,x2=1,p1=p2=1,a1=a2=0.9を(数23)に代入すると(数10)となる。

0098

(0097)と同様の計算を標本番号0番,および,2番から5番についても,g1Eとg2Eを計算して縦に並べる。すると,標本0番から5番までのg1E,g2Eの値が(表4)のように示される。なお,u1,…,u5で標本1番から5番までのuの値を表す。

0099

次に(表4)の数値を検査する。g1Eの列を縦に見て,数値部分だけを上から下に見て,単調増加数列になっていることを確認する。g1Eの数値部分は,1.5207,0.3572,…,0.0749となり,単調非増加数列であることが確認できる。同様に,g2Eの数値部分の数列は,1.4189,0.3333,…,0.0813であり単調非増加数列であることが確認できる。

0100

なお,本実施例では,g1E,g2Eが単調非増加数列であることが確認できたが,もしも,増加的になる部分があった場合には,(数23)のakやajの値を調整するとか,その標本を取り除くとかして,何らかの方法で単調非増加数列に整える。なお,単調非増加数列でない場合については,現段階では,何がおこるか等は不明であり,もしかしたら用途が見つかるかもしれない。

0101

次に,(表4)のu0,…,u5に自身で値を割りあてる。

0102

(0103)と(0104)の2つの条件を満たす範囲で,u0,…,u5は自由に決めてよい。ここでは,uには相対所得の平方根を使うことにする。すなわち,uには,標本番号をtとして,(数11)を使ってuを決めた。結果,uは(表5)の「u」の列に示された1から4.177の値とした。
(数11)ut=(標本番号tの所得/標本番号0の所得)0.5

0103

uの決め方の第1の条件は,効用が高いはずの標本にはuの値を大きく,効用が低いはずの標本にはuの値を小さくしなければならない。また,財の消費量x1とx2が等しい2つの標本は,等しいuを割り当てるべきである。本実施例では,等号がないので,u0<u1<u2<u3<u4<u5が必要である。

0104

uの決め方の第2の条件は,u0,…,u5の値を決めた後においても,(表4)におけるg1E,g2Eは,依然として単調非増加数列となることである。

0105

条件2を満たさない例としては,u0=1とu1=10000がある。u0<u1であるが,両者のg1Eを計算すると,1.5207と,3572となり,標本番号0番から1番にかけて増加数列ができてしまうので,条件2は満たさない。

0106

(0102)から(0104)に従って,u0,…,u5を決めた後に,(表4)の各u0,…,u5を代入して,各標本g1E,g2Eを数値として確定させると(表5)が完成する。

0107

(表5)を検査して,uを割振った後のg1Eが依然として単調非増加数列であることを確認する。同様に,g2Eについても依然として単調非増加数列であることを確認する。この(表5)は,回帰用のデータ群であり決定的に重要な表である。

0108

効用関数,需要関数で使うg1(u)として適切な関数を自分で決める。請求項6にある通りg1(u)は,1≦u≦4.177の範囲のuについて正値の非増加関数となりえる関数を自分で決める。ここでは,uの4次式の逆数(数12)とする。
(数12)g1(u)=1/(α4u4+α3u3+α2u2+α1u+α0)

0109

(数12)を回帰式として(表5)のg1Eの列の6つの値を,(表5)のuの列の6つの値に回帰させて,α0,…,α4の値を数学ソフトの組込みの回帰関数で推計すると,(数13)をえる。
(数13)g1(u)=1/(−0.085u4+0.816u3−2.662u2+4.171u−1.580)

0110

なお,(0109)の回帰の計算においては,逆数を使うのが楽である。(数12)の逆数をとると,1/g1(u)=α4u4+α3u3+α2u2+α1u+α0となる。そして,(表5)のg1Eも逆数をとって,1/1.5207,…,1/0.3132とする。そして,このg1Eの逆数に回帰させるのである。こうすると,回帰式はα4u4+α3u3+α2u2+α1u+α0という4次の多項式となる。多項式による非線形回帰は表計算ソフトでもコマンドが装備されているので,誰でも利用可能である。なお,本特許はGNUのoctaveのpolyfitコマンドを使っている。

0111

g2(u)についても,(0108)から(0110)と同じようにして,(表5)のg2E列の6つの値をuの列の6つの値に回帰すると(数14)をえる。
(数14)g2(u)=1/(0*u4−0.0001u3+0*u2+0.705u+0)

0112

請求項7を実施する。補償需要の数列を生成する。また,波形のエンゲル曲線を描く。なお,g1(u)とg2(u)は,実施例4のツールで生成した(数13)と(数14)を使った例を示すことにする。

0113

請求項7の(数22)の補償需要関数に(数13)と(数14)を代入して,さらに,他のパラメータも代入すれば,(数15)に示された2本の補償需要関数ができる。

0114

標本番号1番の効用はu=2.063である。(数15)にu=2.063を代入して,F(x1,2.063)=0とF(x2,2.063)=0を満たすx1とx2をそれぞれ計算すると,x1=2.0956,x2=0.85928をえる。

0115

(0114)と同様の計算を標本番号2番から4番についても実行して,x1とx2の数列を生成したものが(表6)ある。なお,総支出mの列はx1+x2=mで求めた。




(表6)と(表3)のx1とx2の値と比べると,まぁまぁ近い値になっていることが確認できる。そして,(表6)のx1の数列に注目すると,2.096→3.251→3.018→3.237と推移しており,アップダウンを繰り返しているのが確認できる。

0116

図5)は完成図ともいえる。(図5)は,1≦u≦4.177までの全てのuについて,(数15)を使ってx1とx2の数列を生成してグラフにしたものである。(図5)のAの実線がx1のエンゲル曲線,Bの実線はx2のエンゲル曲線である。黒丸と折れ線は観測データのエンゲル曲線である。

0117

図5)のAにおける実線をみると,x1は所得mが5から9にかけて右下がりであるが,所得mが9から右上がりになっており,波形のエンゲル曲線の生成に成功していることが分かる。

0118

図5)のCは,所得消費曲線である。(図4)の所得消費曲線と比べると,いずれもx1は下級財となる部分をもつが,(図5)のCでは,所得消費曲線の右上の部分で再び上級財に転化しており,美しいS字型をなしているのが分かる。

0119

なお,回帰式gk(u)は,u>0のすべての区間で正値の非増加関数である必要がない点を強調したい。(A013)で割当てたuの範囲で,正値の非増加関数となりえればよい。つまり,1≦u≦4.177の範囲でgk(u)が正値の非増加関数となりえればよいのである。しかも,このuの上限と下限は,自分で決めることができる。よって,gk(u)として使える関数は,かなり豊富になった。指数関数三角関数などを組み合わせて実施することも現実味を帯びてきた。

0120

この回帰は,非線形だが,重回帰ではなく,単回帰である点も強調すべきである。本発明では,財がn個あれば,g1(u)からgn(u)までの,n個の非線形回帰を成功させる必要があるが,この回帰は,すべて単回帰である。n個,あるいはn個以上の変数をもつ重回帰よりも,n回の単回帰を行う方が計算の成功率が格段に高く,しかも,繰返しなので簡単である。

0121

(0119)と(0120)の理由から,システマティックな方法の発明成功により,4次関数の逆数でも回帰に成功するなど,先願の段階では,扱いにくい,計算が滅多に成功しない等の理由で実施が現実的でなかった関数についても,実施ができる状況になってきた。数学ソフトに非線形単回帰のコマンドが装備されれば,そのコマンドを試すことができてしまう。このため,請求項の(数17)と(数18)の上位概念である(数21)と(数22)を優先権で付加したいのである。

0122

ただし,本実施例4で用いたgi(u)=1/(α4u4+α3u3+α2u2+α1u+α0)は,先願の請求項5に該当する関数であり,新たに付加した上位概念の請求項のみに該当する関数ではないと断っておく。

0123

そして,(表5)をもとに,例えば,顧客にお勧めするx1とx2の量は,予算が,m=6.248から8.835に上昇したときには,x1は,3.251から3.018へと減少させてゆくが,代わりに,x2の量は2.996から5.817へと大きく増加させることが示唆される。ところが,顧客の予算が更に増加して,m=8.835から13.123へと増えていくときには,顧客にお勧めするx1の量は3.018から3.237へと,再度,増加に転じてよいことが,(表5)の推計から示唆される。このような下級財の量について,微妙な判断ができるようになるのである。

0124

次に,請求項6を実施する。実施例4で生成したg1(u),g2(u)を使うことにする。

0125

(表5)の標本番号3の行を見ると,m=8.835のときには,(x1,x2)=(3.018,5.817)が需要量であり,以下,E点と呼ぶ。E点にはu=3.242が割当てられていた。

0126

E点からx1だけを0.5単位増加させた点(x1,x2)=(3.518,5.817)のuの値を試算する。

0127

請求項6(数21)に(数13)と(数14)と(x1,x2)=(3.518,5.817)を代入し,(数16)を構成する。

0128

(数16)を満たすuを計算機で計算すると,u≒3.3163となる。これはE点に割当てたu=3.242よりも大きいことから,x1を増加させると効用は上がると結論できる。この効用の上昇は当然のことである。x1は下級財であるが限界効用は正なので,x2を一定としてx1だけを増加させれば,効用は高くなるのである。

0129

サービス業では,広告を含めて,さまざまな下級サービスが使われることから,下級サービスを含め,奢侈品,必需品についての供給量を満足度を一定としつつ調整することで,費用の最小化ができる。顧客の感じる満足度を指標化したり,どのような財のベクトルが顧客を高く満足させるか推定することできる。また,下級サービスの供給量をコンピュータで推計により学習し,自動制御する手法としても使える。自身の購入履歴をもとに学習し,まるで自身が購入するかのように買い物をするプログラムがつくれる。本発明は,汎用性が高いので,用途はいくらでも見つかる。

0130

本発明は,たとえば,図3のような所得消費曲線を職場で暇なときに描いて会議のプレゼンに添える等,真面目な用途というよりは,ビジネスシーンにおける余興や暇つぶしを含む,一種の「ビジネス玩具」が最も適している。「おもちゃ」のような物を目指すのである。

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