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技術 アルミニウム合金及びその製造方法

出願人 トヨタ自動車株式会社株式会社豊田中央研究所
発明者 上田貴康牧野浩毛利敏洋前嶋貴士原昌司増谷隆志佐藤晴輝
出願日 2018年9月5日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-166353
公開日 2020年3月12日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-037730
状態 未査定
技術分野 非鉄金属または合金の熱処理
主要キーワード ダミーサンプル 鉄系部材 レーザー条件 改質合金 ウォータージェット加工 原料金属粉末 金属成形体 評価部位
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重要な関連分野

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図面 (4)

課題

常温及び高温において高強度であるアルミニウム合金及びその製造方法を提供する。

解決手段

本発明は、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)及びマンガン(Mn)からなるa群から選択される一種以上の金属と、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなるb群から選択される一種以上の金属とを、それぞれ一定量含むアルミニウム合金及びその製造方法に関する。

概要

背景

部材、装置、さらには車両等の軽量化を図るために、従来の鉄系部材を、Al系合金Mg系合金等の軽金属部材代替するための研究が行われている。この傾向は、単なるケースハウジングに留まらず、耐摩耗性摺動性が要求される機能部材にまで及んでおり、例えば、自動車用部材でいえば、内燃機関レシプロエンジン)のシリンダライナー等が挙げられる。

例えば、特許文献1には、全体を100%としたときに、鉄(Fe):3〜6%、ジルコニウム(Zr):0.66〜1.5%、チタン(Ti):0.6〜1%、Tiに対するZrの質量比(Zr/Ti):1.1〜1.5、残部:アルミニウム(Al)と不可避不純物及び/又は改質元素となる合金組成を有することを特徴とする耐熱高強度アルミニウム合金が記載されている。さらに、特許文献1には、当該耐熱高強度アルミニウム合金は、アトマイズ粉末又は薄片急冷凝固合金原料として熱間塑性加工により製造され、アルミニウム母相(Al母相)と、高温強度を担うAl−Fe系金属間化合物第一化合物相)及び第一化合物相の粗大化を抑制し得るL12型構造のAl−(Zr、Ti)系金属間化合物第二化合物相)とからなる組織を有し、高温強度に優れることが記載されている。

特許文献2には、主金属元素添加元素とを含み、添加元素の原子半径aの主金属元素の原子半径bに対する比率100(a−b)/bが−30%ないし+30%である合金からなる金属成形体であって、原料金属粉末積層工法により積層して製造されたことを特徴とする金属成形体が記載されている。さらに、特許文献2には、当該金属成形体は、積層工法によって急冷凝固し、主金属元素に添加元素を添加することにより製造され、固溶強化分散強化析出強化)によって強化された強度を有することが記載されている。

概要

常温及び高温において高強度であるアルミニウム合金及びその製造方法を提供する。本発明は、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)及びマンガン(Mn)からなるa群から選択される一種以上の金属と、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなるb群から選択される一種以上の金属とを、それぞれ一定量含むアルミニウム合金及びその製造方法に関する。

目的

本発明は、常温及び高温において高強度であるアルミニウム合金及びその製造方法を提供する

効果

実績

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請求項1

マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)及びマンガン(Mn)からなるa群から選択される一種以上の金属(a金属)と、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなるb群から選択される一種以上の金属(b金属)とを含む熱処理用アルミニウム合金であって、a金属の含有量が、金属として、熱処理用アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上であり、b金属の含有量が、金属として、熱処理用アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上であり、常温でのビッカース硬さが、150HV以上である熱処理用アルミニウム合金。

請求項2

アルミニウム合金を製造する方法であって、(i)アルミニウム(Al)と、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)及びマンガン(Mn)からなるa群から選択される一種以上の金属(a金属)と、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなるb群から選択される一種以上の金属(b金属)とを混合して、合金溶湯を調製するステップであって、a金属の添加量が、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上であり、b金属の添加量が、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上であるステップと、(ii)(i)のステップで調製した合金溶湯を、1,000K/秒以上の冷却速度急冷凝固して、熱処理用アルミニウム合金を調製するステップと、(iii)(ii)のステップで調製した熱処理用アルミニウム合金を熱処理してアルミニウム合金を製造するステップであって、以下の式HP=T×(20+logt)[式中、HPは、ホロモン・ジャッフェ・パラメーターであり、Tは、熱処理温度(単位:K)であり、tは、熱処理時間(単位:時間)である]により表されるHPが、7800〜14000を満たす熱処理温度Tと熱処理時間tで熱処理を行うステップと、を含む方法。

請求項3

(i)のステップにおいて、a金属の添加量が、b金属の添加量よりも多く、(iii)のステップにおいて、HPが、7800〜9500を満たす熱処理温度Tと熱処理時間tで熱処理を行う、請求項2に記載の方法。

請求項4

(i)のステップにおいて、b金属の添加量が、a金属の添加量よりも多く、(iii)のステップにおいて、HPが、9500〜14000を満たす熱処理温度Tと熱処理時間tで熱処理を行う、請求項2に記載の方法。

請求項5

(ii)のステップで製造した熱処理用アルミニウム合金の常温でのビッカース硬さが、150HV超である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

アルミニウム合金を製造する方法であって、(i)アルミニウムと、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)及びマンガン(Mn)からなるa群から選択される一種以上の金属(a金属)と、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなるb群から選択される一種以上の金属(b金属)とを混合して、合金溶湯を調製するステップであって、a金属の添加量が、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上であり、b金属の添加量が、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上であり、a金属の添加量が、b金属の添加量よりも多いステップと、(ii)(i)のステップで調製した合金溶湯を、1,000K/秒以上の冷却速度で急冷凝固して、アルミニウム合金を製造するステップと、を含む方法。

請求項7

(ii)のステップで製造したアルミニウム合金の常温でのビッカース硬さが、160HV以上である、請求項6に記載の方法。

請求項8

(ii)のステップにおいて、冷却速度が、100,000K/秒以上である、請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、アルミニウム合金及びその製造方法、より詳細には、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)及びマンガン(Mn)からなるa群から選択される一種以上の金属と、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなるb群から選択される一種以上の金属とを、それぞれ一定量含むアルミニウム合金及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

部材、装置、さらには車両等の軽量化を図るために、従来の鉄系部材を、Al系合金Mg系合金等の軽金属部材代替するための研究が行われている。この傾向は、単なるケースハウジングに留まらず、耐摩耗性摺動性が要求される機能部材にまで及んでおり、例えば、自動車用部材でいえば、内燃機関レシプロエンジン)のシリンダライナー等が挙げられる。

0003

例えば、特許文献1には、全体を100%としたときに、鉄(Fe):3〜6%、ジルコニウム(Zr):0.66〜1.5%、チタン(Ti):0.6〜1%、Tiに対するZrの質量比(Zr/Ti):1.1〜1.5、残部:アルミニウム(Al)と不可避不純物及び/又は改質元素となる合金組成を有することを特徴とする耐熱高強度アルミニウム合金が記載されている。さらに、特許文献1には、当該耐熱高強度アルミニウム合金は、アトマイズ粉末又は薄片急冷凝固合金原料として熱間塑性加工により製造され、アルミニウム母相(Al母相)と、高温強度を担うAl−Fe系金属間化合物第一化合物相)及び第一化合物相の粗大化を抑制し得るL12型構造のAl−(Zr、Ti)系金属間化合物第二化合物相)とからなる組織を有し、高温強度に優れることが記載されている。

0004

特許文献2には、主金属元素添加元素とを含み、添加元素の原子半径aの主金属元素の原子半径bに対する比率100(a−b)/bが−30%ないし+30%である合金からなる金属成形体であって、原料金属粉末積層工法により積層して製造されたことを特徴とする金属成形体が記載されている。さらに、特許文献2には、当該金属成形体は、積層工法によって急冷凝固し、主金属元素に添加元素を添加することにより製造され、固溶強化分散強化析出強化)によって強化された強度を有することが記載されている。

先行技術

0005

特開2012−207283号公報
特開2016−53198号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、従来の金属を急冷凝固させる方法では、金属組成によって熱処理における強度の変化の仕方が異なるにもかかわらず、金属組成ごとの熱処理の最適条件は特定されていない。

0007

例えば、特許文献1では、高強度を発現する組織の状態と、その組織を得るための、急冷凝固のメカニズム並びに熱間加工等によって加えられる熱エネルギー及び/又は塑性加工等によって加えられる歪みエネルギーとの相関定量化されていない。特に、強度を担保するための第一化合物の粒子径や、熱間加工での加熱時間については言及されていない。

0008

特許文献2では、常温において高強度を発現するために、原子半径及びAl母相への固溶量に基づいて合金中元素が選択されているが、Al母相中において拡散係数が大きい元素が選択されると、高温環境下において析出物が粗大化し、強度が著しく低下する場合がある。また、強度に寄与する粒子径が1nm〜1000nmの微細粒子析出させるための熱処理条件として、熱処理時間が言及されておらず、記載されている100℃〜220℃でも、仮に十分に長い時間熱処理を施した場合、拡散により析出した粒子が粗大化し、強度が低下する可能性がある。

0009

したがって、本発明は、常温及び高温において高強度であるアルミニウム合金及びその製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0010

アルミニウム金属に他元素(合金元素)を添加し、急冷凝固させることにより製造されるアルミニウム合金では、合金元素がAl母相中に過飽和固溶し、Al母相が強化されている(固溶強化)。さらに、このようなアルミニウム合金を熱処理することによって、合金元素は、Al母相中に単体粒子又は化合物粒子として微細に析出し、アルミニウム合金の強度はさらに高くなる(析出強化)。

0011

ここで、十分な強度を得るためには、急冷凝固に起因する強化メカニズムに応じた合金元素の適切な選択と、熱処理の適切な管理とが重要である。

0012

そこで、本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、常温及び高温での安定した強化を得るために、アルミニウム合金を、(i)アルミニウムと、一定量の固溶強化を得るためのAl母相への固溶限が大きい元素と、一定量の析出強化を得るためのAl母相への固溶限及び拡散係数が小さい元素とを混合して、合金溶湯を調製し、(ii)得られた合金溶湯を急冷凝固して、熱処理用アルミニウム合金又はアルミニウム合金を調製し、その後、合金組成に基づいて、場合により、(iii)得られた熱処理用アルミニウム合金を、ホロモン・ジャッフェ・パラメーター(Hollomon−Jaffe parameter)(以下、「HP」ともいう)が一定の範囲になるような条件下で熱処理をして製造したところ、得られたアルミニウム合金の常温及び高温における強度が向上することを見出し、本発明を完成した。

0013

すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)及びマンガン(Mn)からなるa群から選択される一種以上の金属(a金属)と、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなるb群から選択される一種以上の金属(b金属)とを含む熱処理用アルミニウム合金であって、
a金属の含有量が、金属として、熱処理用アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上であり、
b金属の含有量が、金属として、熱処理用アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上であり、
常温でのビッカース硬さが、150HV以上である
熱処理用アルミニウム合金。
(2)アルミニウム合金を製造する方法であって、
(i)アルミニウム(Al)と、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)及びマンガン(Mn)からなるa群から選択される一種以上の金属(a金属)と、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなるb群から選択される一種以上の金属(b金属)とを混合して、合金溶湯を調製するステップであって、
a金属の添加量が、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上であり、
b金属の添加量が、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上であるステップと、
(ii)(i)のステップで調製した合金溶湯を、1,000K/秒以上の冷却速度で急冷凝固して、熱処理用アルミニウム合金を調製するステップと、
(iii)(ii)のステップで調製した熱処理用アルミニウム合金を熱処理してアルミニウム合金を製造するステップであって、
以下の式
HP=T×(20+logt)
[式中、HPは、ホロモン・ジャッフェ・パラメーターであり、Tは、熱処理温度(単位:K)であり、tは、熱処理時間(単位:時間)である]
により表されるHPが、7800〜14000を満たす熱処理温度Tと熱処理時間tで熱処理を行うステップと、
を含む方法。
(3)(i)のステップにおいて、a金属の添加量が、b金属の添加量よりも多く(a金属>b金属)、(iii)のステップにおいて、HPが、7800〜9500を満たす熱処理温度Tと熱処理時間tで熱処理を行う、(2)に記載の方法。
(4)(i)のステップにおいて、b金属の添加量が、a金属の添加量よりも多く(a金属<b金属)、(iii)のステップにおいて、HPが、9500〜14000を満たす熱処理温度Tと熱処理時間tで熱処理を行う、(2)に記載の方法。
(5)(ii)のステップで製造した熱処理用アルミニウム合金の常温でのビッカース硬さが、150HV超である、(2)〜(4)のいずれか1つに記載の方法。
(6)アルミニウム合金を製造する方法であって、
(i)アルミニウムと、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)及びマンガン(Mn)からなるa群から選択される一種以上の金属(a金属)と、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなるb群から選択される一種以上の金属(b金属)とを混合して、合金溶湯を調製するステップであって、
a金属の添加量が、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上であり、
b金属の添加量が、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上であり、
a金属の添加量が、b金属の添加量よりも多い(a金属>b金属)ステップと、
(ii)(i)のステップで調製した合金溶湯を、1,000K/秒以上の冷却速度で急冷凝固して、アルミニウム合金を製造するステップと、
を含む方法。
(7)(ii)のステップで製造したアルミニウム合金の常温でのビッカース硬さが、160HV以上である、(6)に記載の方法。
(8)(ii)のステップにおいて、冷却速度が、100,000K/秒以上である、(2)〜(7)のいずれか1つに記載の方法。

発明の効果

0014

本発明により、常温及び高温において高強度であるアルミニウム合金及びその製造方法が提供される。

図面の簡単な説明

0015

実施例及び比較例の、熱処理におけるホロモン・ジャッフェ・パラメーターと、常温ビッカース硬さとの関係を示す図である。
実施例11、22及び36並びに比較例8、9及び11の、試験温度と、高温ビッカース硬さとの関係を示す図である。
実施例9における、Al母相中に析出した微細な粒子のTEM写真である。

0016

以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明のアルミニウム合金及びその製造方法は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者がおこない得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。

0017

本発明のアルミニウム合金は、Al母相への固溶限が大きい、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)及びマンガン(Mn)からなるa群から選択される一種以上の金属(a金属)を含む。

0018

a金属の含有量は、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上、好ましくは5質量%〜30質量%、より好ましくは10質量%〜30質量%である。

0019

a金属中のMgの含有量は、a金属の含有量が前記範囲に含まれる限り限定されないが、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常1質量%〜10質量%、より好ましくは5質量%〜10質量%である。
ここで、Mgの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。

0020

a金属中のCuの含有量は、a金属の含有量が前記範囲に含まれる限り限定されないが、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.01質量%〜1質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量%である。
ここで、Cuの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。

0021

a金属中のSiの含有量は、a金属の含有量が前記範囲に含まれる限り限定されないが、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.1質量%〜15質量%、より好ましくは4質量%〜12質量%である。
ここで、Siの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。

0022

a金属中のTiの含有量は、a金属の含有量が前記範囲に含まれる限り限定されないが、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.05質量%〜1質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量%である。
ここで、Tiの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。

0023

a金属中のMnの含有量は、a金属の含有量が前記範囲に含まれる限り限定されないが、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.01質量%〜1質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量%である。
ここで、Mnの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。

0024

本発明のアルミニウム合金において、Al母相への固溶限が大きいa金属が前記範囲の含有量で存在することによって、アルミニウム合金は、優れた固溶強化を有することができる。なお、本発明のアルミニウム合金において、a金属が粒径1μm以下の金属単体又は金属間化合物の微細な粒子として存在しても、アルミニウム合金の強化は損なわれない。

0025

本発明のアルミニウム合金は、Al母相への固溶限及び拡散係数が小さい、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなるb群から選択される一種以上の金属(b金属)を含む。

0026

b金属の含有量は、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上、好ましくは5質量%〜30質量%、より好ましくは10質量%〜30質量%である。

0027

b金属中のFeの含有量は、b金属の含有量が前記範囲に含まれる限り限定されないが、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.1質量%〜10質量%、より好ましくは1質量%〜10質量%である。
ここで、Feの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。

0028

b金属中のNiの含有量は、b金属の含有量が前記範囲に含まれる限り限定されないが、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.1質量%〜10質量%、より好ましくは1質量%〜10質量%である。
ここで、Niの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。

0029

b金属中のZrの含有量は、b金属の含有量が前記範囲に含まれる限り限定されないが、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.01質量%〜5質量%、より好ましくは0.1質量%〜5質量%である。
ここで、Zrの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。

0030

b金属中のCoの含有量は、b金属の含有量が前記範囲に含まれる限り限定されないが、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.1質量%〜10質量%、より好ましくは0.5質量%〜10質量%である。
ここで、Coの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。

0031

b金属中のMoの含有量は、b金属の含有量が前記範囲に含まれる限り限定されないが、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.1質量%〜10質量%、より好ましくは0.5質量%〜10質量%である。
ここで、Moの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。

0032

b金属中のWの含有量は、b金属の含有量が前記範囲に含まれる限り限定されないが、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.1質量%〜10質量%、より好ましくは0.5質量%〜10質量%である。
ここで、Wの含有量は、ICP発光分光分析法により測定することができる。

0033

Al母相中に析出した粒子は、熱によってオストワルド成長する。オストワルド成長のしやすさは、I.M.Lifshitz及びV.V.Slyozov:J.Phys.Chem.Solids、19(1961)、35、並びにC.Wagner:Z.Elektrochem.、65(1961)、581により、各合金元素の固溶限と拡散係数の積に比例することが知られている。本発明のアルミニウム合金において、Al母相への固溶限及び拡散係数が小さいb金属の含有量が前記範囲で存在することによって、本発明のアルミニウム合金は、Al母相中に析出した粒子の熱によるオストワルド成長が抑制された、優れた析出強化を有することができる。なお、本発明のアルミニウム合金において、b金属が固溶状態で存在しても、アルミニウム合金の強化は損なわれない。

0034

本発明のアルミニウム合金では、a金属とb金属を合わせた含有量は、アルミニウム合金の全質量に基づいて、2質量%以上、好ましくは6質量%〜50質量%、より好ましくは15質量%〜50質量%である。

0035

本発明のアルミニウム合金は、さらに、その他の改質合金元素、例えば亜鉛(Zn)、リチウム(Li)、銀(Ag)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、スカンジウム(Sc)、ストロンチウム(Sr)、インジウム(In)、バナジウム(V)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、タンタル(Ta)、金(Au)、ベリリウム(Be)、クロム(Cr)、ヒ素(As)、セレン(Se)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、水銀(Hg)、ビスマス(Bi)、及びトリウム(Th)からなるc群から選択される一種以上の金属(c金属)を適宜含んでもよい。

0036

c金属の含有量は、限定されないが、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.01質量%〜1質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量%である。なお、c金属の含有量は、当該技術分野において公知の方法により測定することができ、合金元素により異なるが、例えばICP発光分光分析法により測定することができる。

0037

本発明のアルミニウム合金におけるa金属、b金属、及びc金属以外の残部は、アルミニウム(Al)及び不可避的不純物からなる。

0038

ここで、不可避的不純物としては、リン(P)、硫黄(S)が挙げられる。リン(P)、硫黄(S)の含有量は、限定されないが、アルミニウム合金の全質量に基づいて、通常0.01質量%以下である。なお、リン(P)、硫黄(S)の含有量は、当該技術分野において公知の方法により測定することができ、測定する元素により異なるが、例えばICP発光分光分析法により測定することができる。

0039

本発明のアルミニウム合金の常温でのビッカース硬さ(常温ビッカース硬さ)は、限定されないが、通常150HV以上、好ましくは150HV超、より好ましくは155HV以上、さらにより好ましくは160HV以上、特に好ましくは250HV以上である。

0040

本発明のアルミニウム合金の100℃でのビッカース硬さは、限定されないが、通常140HV以上、好ましくは200HV以上である。

0041

本発明のアルミニウム合金の300℃でのビッカース硬さは、限定されないが、通常60HV以上、好ましくは100HV以上である。

0042

ここで、本発明のアルミニウム合金のビッカース硬さは、ビッカース硬さ試験により測定することができる。

0043

本発明のアルミニウム合金における析出微細粒子の粒径は、強度向上に寄与する1μm以下であり、その値は透過型電子顕微鏡TEM)の視野における画像解析にて測定することができる。

0044

本発明のアルミニウム合金は、合金元素、すなわち、a金属及びb金属の含有量を、(1)Al母相中への固溶量、及び(2)Al母相中での拡散係数、に基づいて定めているため、常温環境下だけでなく、高温環境下でも、固溶強化及び/又は析出強化によって、十分に安定した強度を有する。

0045

本発明のアルミニウム合金は、熱処理されていないアルミニウム合金、熱処理に用いるためのアルミニウム合金(熱処理用アルミニウム合金)、熱処理されているアルミニウム合金(熱処理アルミニウム合金)を含む。本発明のアルミニウム合金は、熱処理用アルミニウム合金が好ましい。

0046

本発明のアルミニウム合金が熱処理用アルミニウム合金である場合、熱処理用アルミニウム合金に施す熱処理の条件は限定されず、当該技術分野において公知の熱処理の条件を使用することができる。本発明の熱処理用アルミニウム合金は、例えば、以下に示す本発明のアルミニウム合金の製造方法における熱処理の条件を使用することが好ましい。

0047

本発明のアルミニウム合金の製造方法は、(i)アルミニウムと、一定量の固溶強化を得るためのAl母相への固溶限が大きい元素と、一定量の析出強化を得るためのAl母相への固溶限及び拡散係数が小さい元素とを混合して、合金溶湯を調製するステップと、(ii)得られた合金溶湯を急冷凝固して、熱処理用アルミニウム合金又はアルミニウム合金を調製するステップと、合金組成に基づいて、場合により、(iii)得られた熱処理用アルミニウム合金を、ホロモン・ジャッフェ・パラメーターが一定の範囲になるような条件下で熱処理をするステップと、を含む。

0048

以下に(i)〜(iii)の各ステップについて説明する。
(i)アルミニウムと、一定量の固溶強化を得るためのAl母相への固溶限が大きい元素と、一定量の析出強化を得るためのAl母相への固溶限及び拡散係数が小さい元素とを混合して、合金溶湯を調製するステップ

0049

本発明の(i)のステップでは、アルミニウムと、固溶強化を得るためのAl母相への固溶限が大きい元素である、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)及びマンガン(Mn)からなるa群から選択される一種以上の金属(a金属)と、析出強化を得るためのAl母相への固溶限及び拡散係数が小さい元素である、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなるb群から選択される一種以上の金属(b金属)とを混合して、合金溶湯を調製する。

0050

ここで、アルミニウムは、アルミニウム溶湯であってもよく、アルミニウム溶湯は、アルミニウム金属を、溶解炉、例えばアーク溶解炉において、液相の生じる温度、通常680℃〜1200℃、好ましくは1000℃〜1200℃に加熱することにより調製することができる。

0051

a金属の添加量は、前記した本発明のアルミニウム合金におけるa金属の含有量と同じにすることができ(すなわち、a金属の添加量は、最終的に得られるアルミニウム合金のa金属の含有量と等しくなる)、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上、好ましくは5質量%〜30質量%、より好ましくは10質量%〜30質量%である。

0052

添加されるa金属の原料は、当該技術分野で公知の原料を使用することができる。例えば、Mgとしては純Mg金属、Cuとしては純Cu金属、Siとしては純Si金属、Tiとしては純Ti金属、Mnとしては純Mn金属を、a金属の原料として前記a金属の添加量になるように調整して添加することができる。なお、基本的に融点の高い金属は、他の添加元素との母合金で添加することができ、融点の低い金属は、純金属で添加することができる。

0053

a金属として添加されるMg、Cu、Si、Ti、及びMnの添加量は、前記した本発明のアルミニウム合金における各金属の含有量と同じにすることができる(すなわち、a金属として添加される各金属の添加量は、最終的に得られるアルミニウム合金のa金属としての各金属の含有量と等しくなる)。

0054

b金属の添加量は、前記した本発明のアルミニウム合金におけるb金属の含有量と同じにすることができ(すなわち、b金属の添加量は、最終的に得られるアルミニウム合金のb金属の含有量と等しくなる)、金属として、アルミニウム合金の全質量に基づいて、1質量%以上、好ましくは5質量%〜30質量%、より好ましくは10質量%〜30質量%である。

0055

添加されるb金属の原料は、当該技術分野で公知の原料を使用することができる。例えば、Feとしては純Fe金属、Niとしては純Ni金属、Zrとしては純Zr金属、Coとしては純Co金属、Moとしては純Mo金属、Wとしては純W金属を、b金属の原料として前記b金属の添加量になるように調整して添加することができる。なお、基本的に融点の高い金属は、他の添加元素との母合金で添加することができ、融点の低い金属は、純金属で添加することができる。

0056

b金属として添加されるFe、Ni、Zr、Co、Mo、及びWの添加量は、前記した本発明のアルミニウム合金における各金属の含有量と同じにすることができる(すなわち、b金属として添加される各金属の添加量は、最終的に得られるアルミニウム合金のb金属としての各金属の含有量と等しくなる)。

0057

なお、本発明の(i)のステップでは、前記した本発明のアルミニウム合金におけるc金属を添加してもよい。

0058

本発明の(i)のステップにおいて、アルミニウム、a金属、b金属、場合によりc金属の添加順序添加方法、添加温度、添加時間、混合方法等は、限定されない。本発明の(i)のステップでは、合金溶湯は、各金属が均一になるように調製される。

0059

例えば、本発明の(i)のステップでは、アルミニウムを680℃に加熱して調製したアルミニウム溶湯に、a金属、b金属、場合によりc金属を添加し、その後、溶湯温度を合金系が溶融する温度、例えば1000℃まで上昇させて合金溶湯を調製する。本発明の(i)のステップの他の実施形態では、アルミニウム、a金属、b金属、場合によりc金属を混合し、その後、合金系が溶融する温度、例えば1000℃まで加熱することにより、合金溶湯を調製する。

0060

本発明の(i)のステップにおいて、a金属及びb金属の添加量は、(1)Al母相中への固溶量、及び(2)Al母相中での拡散係数、に基づいて適切に定められているため、最終的に得られるアルミニウム合金は、常温環境下だけでなく、高温環境下でも、固溶強化及び/又は析出強化によって、十分に安定した強度を有する。

0061

(ii)得られた合金溶湯を急冷凝固して、熱処理用アルミニウム合金又はアルミニウム合金を調製するステップ

0062

本発明の(ii)のステップでは、(i)のステップで調製した合金溶湯を、1,000K/秒以上の冷却速度で急冷凝固して、熱処理用アルミニウム合金又はアルミニウム合金を調製する。

0063

ここで、合金溶湯の温度は、合金溶湯が液状である限り限定されないが、通常680℃〜1200℃、好ましくは1000℃〜1200℃である。

0064

(i)のステップで調製した合金溶湯の冷却速度は、100,000(105)K/秒以上が好ましい。なお、冷却速度の上限は、限定されるものではなく、大きい方が好ましい。

0065

本発明の(ii)のステップにおいて、(i)のステップで調製した合金溶湯を急冷凝固させる方法としては、当該技術分野で公知の方法を使用することができ、例えば、粉末積層造形法バルク材へのレーザー照射等が挙げられる。粉末積層造形法では、105K/秒以上の冷却速度を実現することができる。

0066

本発明の(ii)のステップにおいて、合金溶湯を前記範囲の冷却速度で急冷凝固させることによって、得られる熱処理用アルミニウム合金又はアルミニウム合金は、Al母相中に、合金元素が強制的に過飽和固溶された状態になって固溶強化を得ることができ、常温及び高温において高強度が得られる。また、合金溶湯の冷却速度が大きくなるほど、Al母相中への合金元素の固溶量が大きくなるため、冷却速度を大きくすることで、さらなる固溶強化、加えて、以下に説明する本発明の(iii)のステップにおけるさらなる析出強化を図ることができる。なお、本発明の(ii)のステップ及び/又は以下に説明する(iii)のステップにおいて、Al母相中に、a金属が粒径1μm以下の金属単体又は金属間化合物の微細粒子として析出しても、最終的に得られるアルミニウム合金の強化は損なわれない。

0067

特に、本発明の(i)のステップにおいて、a金属の添加量を、b金属の添加量よりも多くした場合(a金属>b金属)には、本発明の(ii)のステップにおいて得られた熱処理用アルミニウム合金又はアルミニウム合金は、固溶強化が特に優れており、以下に説明する(iii)のステップを実施しなくても、常温及び高温においてさらなる高強度を得ることができる。

0068

本発明の(ii)のステップにおいて得られた熱処理用アルミニウム合金の常温でのビッカース硬さは、通常150HV以上、好ましくは150HV超である。

0069

本発明の(ii)のステップにおいて得られた熱処理用アルミニウム合金の常温でのビッカース硬さが前記範囲であることは、合金元素が多量に固溶(過飽和固溶)していることを示すと考えられる。合金元素の過飽和固溶量が多いと、熱処理により合金元素からなる金属間化合物の析出が微細かつ分散した状態で得られるため、硬さが向上する。

0070

本発明の(ii)のステップにおいて得られた熱処理用アルミニウム合金又はアルミニウム合金は、合金組成に基づいて、場合により、以下に説明する(iii)のステップを実施する。

0071

(iii)得られた熱処理用アルミニウム合金を、合金組成に基づいて、ホロモン・ジャッフェ・パラメーターが一定の範囲になるような条件下で熱処理をするステップ

0072

本発明の(iii)のステップでは、(ii)のステップで調製した熱処理用アルミニウム合金を、以下の式
HP=T×(20+logt)
[式中、HPは、ホロモン・ジャッフェ・パラメーターであり、Tは、熱処理温度(単位:K)であり、tは、熱処理時間(単位:時間)である]
により表されるHPが、7800〜14000を満たす熱処理温度Tと熱処理時間tで熱処理して、アルミニウム合金を製造する。

0073

ここで、熱処理温度Tは、熱処理中の合金の温度を示し、±2℃以内で一定に保持される。熱処理温度Tは、熱処理の対象となる合金と共に熱処理され、熱電対が埋め込まれている、熱処理の対象となる合金のダミーサンプルにより測定される。

0074

熱処理時間tは、熱処理中の合金の温度が所定の熱処理温度Tに到達してから熱処理を実施する時間を示す。

0075

なお、HPの式中の「20」は、熱処理を施す材料ごとに異なる定数であり、通常鉄鋼において使用される定数と同じ値である。アルミニウム合金において使用される定数は、現在の当該技術分野においてまだ特定されていないため、通常鉄鋼において使用される定数が代用される。

0076

本発明の(iii)のステップにおいて、前記HPの範囲において熱処理用アルミニウム合金を熱処理することによって、(ii)のステップにおいて急冷凝固によって形成された過飽和固溶体である熱処理用アルミニウム合金は、Al母相中に、合金元素、特にb金属が微細な金属間化合物の粒子として析出することで析出強化を得ることができ、常温及び高温において高強度が得られる。なお、本発明の前記で説明した(ii)のステップ及び/又は(iii)のステップにおいて、Al母相中に、b金属が固溶状態で存在しても、アルミニウム合金の強化は損なわれない。

0077

微細な粒子の十分な拡散及び析出の駆動力を得るためには、HPは、7800以上、特に9000以上であることが好ましい。

0078

一方、熱処理の熱エネルギーが過剰になると、アルミニウム合金中で、合金元素又は微細な粒子を構成する元素は、粗大な第二相として析出する。この粗大な第二相は、アルミニウム合金の十分な強化を阻害する。したがって、HPは、14000以下、特に11000以下であることが好ましい。

0079

熱処理温度Tは、HPが前記範囲である限り限定されないが、通常455K〜673K、好ましくは573K〜673Kである。
熱処理時間tは、HPが前記範囲である限り、限定されない。

0080

特に、本発明の(i)のステップにおいて、a金属の添加量が、b金属の添加量よりも多い(a金属>b金属)場合には、前記のように(iii)のステップを実施しないか、又はHPが通常7800〜9500、好ましくは7800〜9000を満たす熱処理温度Tと熱処理時間tで熱処理する。

0081

例えば、本発明の(i)のステップにおいて、a金属の添加量が、b金属の添加量よりも多い(a金属>b金属)場合、熱処理温度Tは、HPが前記範囲である限り限定されないが、通常455K〜673K、好ましくは573K〜673Kである。熱処理時間tは、HPが前記範囲である限り、限定されない。

0082

さらに、本発明の(i)のステップにおいて、b金属の添加量が、a金属の添加量よりも多い(a金属<b金属)場合には、HPが通常9500〜14000、好ましくは10000〜11000を満たす熱処理温度Tと熱処理時間tで熱処理する。

0083

例えば、本発明の(i)のステップにおいて、b金属の添加量が、a金属の添加量よりも多い(a金属<b金属)場合、熱処理温度Tは、HPが前記範囲である限り限定されないが、通常455K〜673K、好ましくは573K〜673Kである。熱処理時間tは、HPが前記範囲である限り、限定されない。

0084

本発明の(iii)のステップでは、熱処理されることで得られたアルミニウム合金を冷却する。

0085

ここで、冷却は、当該技術分野で公知の方法により実施することができ、例えば熱処理されることで得られたアルミニウム合金を、通常80℃以下、好ましくは50℃以下に保持した恒温水槽中に入れることによって実施することができる。

0086

本発明のアルミニウム合金の製造方法では、固溶強化を得るためのAl母相への固溶限が大きい元素であるMg、Cu、Si、Ti、及びMnのみでなく、析出強化を得るためのAl母相への固溶限及び拡散係数が小さい元素Fe、Ni、Zr、Co、Mo、及びWを添加していることに加え、それらの合金元素を前記範囲の冷却速度で急冷凝固させることによって固溶強化し、且つ熱処理により合金元素を微細な粒子として析出させることによって析出強化しているので、得られるアルミニウム合金は、常温及び高温において、高強度を有する。

0087

また、本発明のアルミニウム合金の製造方法では、急冷凝固により得られる合金元素の過飽和固溶量、並びにホロモン・ジャッフェ・パラメーターを用いて一義的に整理した熱処理条件と当該熱処理により得られるミクロ組織及び硬さとの相関を定量化しているため、強度を最大化する条件が明確であり、製造過程において析出する微細な粒子の粗大化及び強度低下が生じるような熱処理条件を排除することができる。

0088

以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。

0089

1.サンプル調製
1−1.サンプル調製
以下の手順及び条件で、急冷凝固させたアルミニウム合金のサンプルを調製後、加工熱の影響を抑制するためにウォータージェット加工にて2mm×9.5mm×8mm、及び5mm×9.5mm×8mmの寸法に切断し、熱処理の有無のそれぞれについて、組織解析及び硬さ試験を実施した。

0090

(1)アルミニウム合金のインゴット調製
・原料:いずれも99.95質量%以上の純金属
・溶解:大亜真空社製アーク溶解炉ACM−SO11
・寸法:φ45mm×t15mmを調製後、フライス加工にてφ42mm×t8mmに仕上げ

0091

(2)(1)において調製したアルミニウム合金のインゴットへのレーザー照射
・装置:SLMSolutions社製280HL
ベースプレート予熱温度:150℃
レーザー条件:出力350W、速度1150mm/秒、ピッチ0.17mm、入熱量0.30J/mm(1.79J/mm2)
評価部位:レーザー照射による溶融及び凝固

0092

1−2.熱処理
大気炉を用いて以下の手順で実施した。各サンプルの熱処理温度と時間を表1及び2に示す。
(1)炉を所定の温度に設定し、温度を安定化した。
(2)(1)において温度が安定したら、評価用サンプル、及び熱電対を埋め込んだダミーサンプル(評価用サンプルと同形状)を投入した。
(3)(2)においてサンプルを投入したら、所定の温度まで昇温後、温度一定(±2℃以内)で所定の時間保持した。
(4)(3)において所定の時間保持した後、サンプルを取り出し、恒温槽で80℃に保持した水で水冷した。

0093

2.硬さ試験
以下の手順で硬さを測定した。結果を表1及び2に示す。
(1)サンプルのレーザー照射面(硬さ測定面)をエメリー紙研磨(#180→#500→#1000)した。
(2)(1)において研磨した後、ダイヤモンド粒子1μm及びOPUで鏡面仕上げを実施した。
(3)(2)において鏡面仕上げをした後、常温硬さを、ビッカース硬度計にて、測定荷重25gで、各サンプルの測定面をN=3で測定後、平均値を算出した。なお、溶け込み部外の一般部の硬さの影響を受けないよう、測定部位はレーザー照射による溶融部の中心に設定した。
(4)(2)において鏡面仕上げをした後、高温硬さを、高温ビッカース硬度計にて、測定荷重50gで、各サンプルの測定面をN=3で測定後、平均値を算出した。なお、高温硬さは、測定温度にて5分保持した後に測定した。測定部位は、常温硬さと同様に、溶融部の中心に設定した。

0094

0095

0096

図1に、実施例及び比較例の、熱処理におけるホロモン・ジャッフェ・パラメーター(HP)
HP=T×(20+logt)
[式中、Tは、熱処理温度(単位:K)であり、tは、熱処理時間(単位:時間)である]
と、常温ビッカース硬さとの関係を示す。また、図2に、実施例11、22及び36並びに比較例8、9及び11の、試験温度と、高温ビッカース硬さとの関係を示す。なお、HPの定数はアルミニウム合金にて一般的に用いられているものがないため、鉄鋼で使用されている20とした。

0097

図1より、a金属の添加量が、b金属の添加量よりも多い(a金属>b金属)熱処理用アルミニウム合金又はアルミニウム合金では、熱処理をしない状態で、又はHPが7800〜9500を満たす熱処理温度Tと熱処理時間tで熱処理することにより、ビッカース硬さが大きくなることが分かった。さらに、図1より、b金属の添加量が、a金属の添加量よりも多い(a金属<b金属)熱処理用アルミニウム合金では、HPが9500〜14000を満たす熱処理温度Tと熱処理時間tで熱処理することによりビッカース硬さが大きくなることが分かった。

0098

図2より、本発明によるアルミニウム合金では、高温ビッカース硬さが大きくなることが分かった。

0099

3.ミクロ組織試験
熱処理後サンプル(実施例9)について、日本電子製TEMGrand−ARM、加速電圧300kV、スポットサイズ6C、カメラ長10cm、及びJEOL製EDX JED−2300、Thermofisher Scientific製アナライザーSSを用いて、Al母相中に析出した微細な粒子を観察した。結果を図3に示す。図3中の矢印は、微細な粒子を示す。

実施例

0100

図3より、実施例9では、熱処理後に、Al母相中に、1nm〜10nm(TEMを用いた画像解析)の微細な粒子が析出していることが確認できた。

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