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技術 電力供給システムおよび電力供給方法

出願人 株式会社日立製作所
発明者 今本健二加藤哲也宮内努
出願日 2018年9月4日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-165253
公開日 2020年3月12日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-037321
状態 未査定
技術分野 電車への給配電
主要キーワード ワットアワ 電力供給範囲 電力停止 列車集中制御装置 ランカーブ 充電基準 地上設置型 各電力供給
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

電力貯蔵装置の容量を抑えた上で、平常時は回生電力の有効活用による省エネルギー化を図りつつ、電力系異常時は変電所代替として緊急走行に必要な電力量を補償する。

解決手段

電力貯蔵装置と当該電力貯蔵装置を制御する電力変換装置とで構成される電力供給システムにおいて、電力変換装置は、電力貯蔵装置の電力供給範囲であるき電範囲内をき電線から電力供給を受けて走行する1以上の列車の緊急走行に必要となる緊急用電力量を基に、電力貯蔵装置の充放電を制御する。

概要

背景

近年の環境問題エネルギー問題の深刻化により、省エネルギー化を実現する技術が重要視されている。鉄道の分野では、車両の運転に必要なエネルギーの削減策のひとつとしてブレーキ作動時に発生する回生電力の有効活用が注目されている。回生電力とは、車両に搭載されたモータ起電力によりブレーキ力を得た際に発電される電力である。回生電力を供給している車両を回生車両と呼ぶ。従来の摩擦ブレーキでは熱として捨てていた車両の運動エネルギーが、電力に変換することで利用可能となる。回生電力の活用方法は、非電化直流電化および交流電化といった動力形態で異なるが、以下の説明では、直流電化を例に取る。

直流電化のき電システムでは、電力系統から受電した交流電力ダイオードによる整流装置直流に変換して電力をき電線に供給し、車両が力行時にき電線から電力をとりこむことで当該車両は走行する。回生電力は車両からき電線に供給され、他の力行中の車両(力行車両)が消費することで活用することができる。しかしながら、力行車両不在の場合、回生電力の供給先がなく、有効に活用することができない。なお、力行車両の消費する電力を力行電力と呼ぶ。

このような問題に対し、力行中の車両が不在の場合でも、回生電力の有効活用を可能とする地上設置型回生電力貯蔵装置(以下、電力貯蔵装置)が注目されている。電力貯蔵装置は、き電線に接続され、回生電力を充電し、力行電力が発生した際に充電した電力を放電する装置である。電力貯蔵装置は、停電変電所異常等の電力系異常時において、き電線に電力を供給する変電所の代替として、蓄えられた電力を列車の緊急走行のために活用する用途としても期待される。

従来の電力貯蔵装置は、き電線に発生している負荷によって変化するき電線電圧挙動を利用して、充放電を制御している。

車両が存在せずき電線に負荷がないときや回生電力と力行車両で消費される電力が等しい場合、整流装置が出力する電流はゼロであり、き電線の電圧は負荷のない状態における無負荷電圧となる。

回生電力が力行車両で消費される電力を下回っている場合、電力系統からき電線へ整流装置の出力電流が供給され、整流装置の内部抵抗により、き電線電圧は整流装置の出力電流に比例して無負荷電圧より低下する。

回生電力が力行車両で消費される電力を上回っている場合、き電線から電力系統への電流は流れないので整流装置の出力電流はゼロであるが、き電線に電力供給源が存在することでき電線電圧は無負荷電圧より上昇する。

そこで、き電線電圧が無負荷電圧の設計値より高い所定の値(充電電圧)を上回ったら充電、無負荷電圧の設計値より低い所定の値(放電電圧)を下回ったら放電することで、回生電力の有効活用を図る技術が特許文献1に示されている。この特許文献1には「本発明による電力貯蔵式回生電力吸収装置は、電力貯蔵装置と、該電力貯蔵装置からき電線への放電及びき電線から該電力貯蔵装置への充電を制御する電力変換器と、き電線電圧Vsが電力充電運転開始電圧Vabsより高いとき、それを電力充電運転開始電圧Vabsまで引き下げるように上記電力変換器を制御する充電時電圧制御系と、き電線電圧Vsが電力放電運転開始電圧Vdiscより低いとき、それを電力放電運転開始電圧Vdiscまで引き上げるように上記電力変換器を制御する放電時電圧制御系と、き電線電圧Vsが電力充電運転開始電圧Vabs以下且つ電力放電運転開始電圧Vdisc以上のとき、電力貯蔵装置の充電率SOCを充電率指令値SOCrefに一致させるように上記電力変換器を制御する充電率制御系と、き電線電圧Vsが電力充電運転開始電圧Vabs以下且つ電力放電運転開始電圧Vdisc以上であり、更に、電力貯蔵装置の充電率SOCと充電率指令値SOCrefの偏差の絶対値が基準値ΔSOC以内のとき上記電力変換器のスイッチングを停止させるサプレス制御系とを有する。」と記載されている。

概要

電力貯蔵装置の容量を抑えた上で、平常時は回生電力の有効活用による省エネルギー化をりつつ、電力系異常時は変電所の代替として緊急走行に必要な電力量を補償する。電力貯蔵装置と当該電力貯蔵装置を制御する電力変換装置とで構成される電力供給システムにおいて、電力変換装置は、電力貯蔵装置の電力供給範囲であるき電範囲内をき電線から電力供給を受けて走行する1以上の列車の緊急走行に必要となる緊急用電力量を基に、電力貯蔵装置の充放電を制御する。

目的

このように、列車105の走行状況に応じて電力貯蔵装置104の充電量を制御することにより、電力貯蔵装置104の容量を抑えた上で、平常時は回生電力の有効活用による省エネルギー化を図りつつ、電力系異常時は変電所102の代替として列車緊急走行に必要となる電力量を補償する電力貯蔵装置104を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

電力貯蔵装置と前記電力貯蔵装置を制御する電力変換装置とで構成され、き電線電力を供給する電力供給システムにおいて、前記電力変換装置は、前記電力貯蔵装置の電力供給範囲であるき電範囲内を前記き電線から電力供給を受けて走行する1以上の列車の緊急走行に必要となる緊急用電力量を基に前記電力貯蔵装置の充放電を制御する充放電制御処理周期的にまたは非周期的に実行することを特徴とする電力供給システム。

請求項2

請求項1に記載の電力供給システムにおいて、各回の前記充放電制御処理では、前記緊急用電力量は、当該充放電制御処理に関して前記き電範囲内に存在する列車の数に基づいて決定された電力量であることを特徴とする電力供給システム。

請求項3

請求項2に記載の電力供給システムにおいて、各回の前記充放電制御処理では、前記緊急用電力量は、さらに、当該充放電制御処理に関して前記き電範囲内に存在する各列車の走行位置に基づいて決定された電力量であることを特徴とする電力供給システム。

請求項4

請求項3に記載の電力供給システムにおいて、各回の前記充放電制御処理では、前記緊急用電力量は、さらに、下記のうちの少なくとも1つ、前記各列車の緊急時の停車位置、前記各列車の車両性能、前記各列車の混雑度、緊急走行時のランカーブ、前記き電範囲における路線線形、および、前記き電範囲におけるき電線およびレールの少なくとも1つの送電負荷に基づいて決定された電力量であることを特徴とする電力供給システム。

請求項5

請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の電力供給システムにおいて、前記き電範囲内の各列車の走行位置は、前記1以上の列車の各々についてのダイヤを基に推定された走行位置であることを特徴とする電力供給システム。

請求項6

請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1項に記載の電力供給システムにおいて、各回の前記充放電制御処理では、前記き電範囲は、隣接する少なくとも1つの別の電力供給システムについてのき電範囲との間で調整された後のき電範囲であることを特徴とする電力供給システム。

請求項7

請求項6に記載の電力供給システムにおいて、各回の前記充放電制御処理では、前記電力貯蔵装置の現在充電量が前記緊急用電力量より不足している場合、または、調整される前の前記き電範囲内を走行する列車の数が、前記緊急用電力量に従う閾値を超えている場合、前記調整された後のき電範囲は、前記少なくとも1つの別の電力供給システムについてのき電範囲が延長されたことにより短くされたき電範囲であることを特徴とする電力供給システム。

請求項8

請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1項に記載の電力供給システムにおいて、各回の前記充放電制御処理では、前記電力貯蔵装置の現在充電量が前記緊急用電力量より不足している場合、前記電力変換装置は、前記1以上の列車の少なくとも1つのダイヤもしくはランカーブの変更に関する処理、もしくは、指令員もしくは前記1以上の列車の各々の運転士に対する警報の通知に関する処理を実行することを特徴とする電力供給システム。

請求項9

請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1項に記載の電力供給システムにおいて、前記電力変換装置は、電力系の異常を検知した場合、前記電力貯蔵装置の充電閾値および放電閾値の少なくとも1つを変更し、前記充電閾値は、前記電力貯蔵装置の現在充電量と比較される閾値であって、前記電力貯蔵装置の充電を開始するか否かを決定するための閾値であり、前記放電閾値は、前記電力貯蔵装置の現在充電量と比較される閾値であって、前記電力貯蔵装置の放電を開始するか否かを決定するための閾値であることを特徴とする電力供給システム。

請求項10

請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1項に記載の電力供給システムにおいて、各回の前記充放電制御処理では、前記緊急用電力量は、前記1以上の列車にそれぞれ対応した1以上の必要充電量に基づいて決定された電力量であり、前記1以上の列車の各々について、当該列車に対応した必要充電量は、当該列車にとっての緊急走行に必要な電力量であることを特徴とする電力供給システム。

請求項11

請求項1ないし請求項10のうちのいずれか1項に記載の電力供給システムにおいて、各回の前記充放電制御処理では、前記電力変換装置は、前記電力貯蔵装置の充電閾値および放電閾値の少なくとも1つと前記電力貯蔵装置の現在充電量との大小関係に基づいて充放電を制御し、前記充電閾値は、前記電力貯蔵装置の現在充電量と比較される閾値であって、前記電力貯蔵装置の充電を開始するか否かを決定するための閾値であり、前記放電閾値は、前記電力貯蔵装置の現在充電量と比較される閾値であって、前記電力貯蔵装置の放電を開始するか否かを決定するための閾値であり、各回の前記充放電制御処理では、前記充電閾値および前記放電閾値の少なくとも1つは、当該処理での目標充電量と前記現在充電量との大小関係に基づいて決定された値であり、各回の前記充放電制御処理では、前記目標充電量は、前記緊急用電力量と、前記電力貯蔵装置の最大充電容量及び定常時充電量の少なくとも1つとの大小関係に基づいて決定された充電量であることを特徴とする電力供給システム。

請求項12

請求項11に記載の電力供給システムにおいて、各回の前記充放電制御処理では、前記緊急用電力量が前記最大充電容量より大きい場合、前記目標充電量は、前記最大充電容量であり、前記緊急用電力量が前記最大充電容量以下且つ前記定常時充電量より大きい場合、前記目標充電量は、前記緊急用電力量であり、前記現在充電量が前記目標充電量と所定値との和より大きい場合、前記充電閾値および前記放電閾値の各々がより高い値であり、前記現在充電量が前記目標充電量と前記所定値との差以下である場合、前記充電閾値および前記放電閾値の各々がより低い値であることを特徴とする電力供給システム。

請求項13

電力貯蔵装置の充放電を制御することでき電線に電力を供給する電力供給方法において、前記電力貯蔵装置の電力供給範囲であるき電範囲内を前記き電線から電力供給を受けて走行する1以上の列車の緊急走行に必要となる緊急用電力量を基に前記電力貯蔵装置の充放電を制御する充放電制御処理を周期的にまたは非周期的に実行することを特徴とする電力供給方法。

技術分野

0001

本発明は、概して、電力貯蔵装置充放電の制御に関し、特に、停電変電所異常等の電力系異常時における、き電線電力を供給する変電所の代替としての電力貯蔵装置の制御に関する。

背景技術

0002

近年の環境問題エネルギー問題の深刻化により、省エネルギー化を実現する技術が重要視されている。鉄道の分野では、車両の運転に必要なエネルギーの削減策のひとつとしてブレーキ作動時に発生する回生電力の有効活用が注目されている。回生電力とは、車両に搭載されたモータ起電力によりブレーキ力を得た際に発電される電力である。回生電力を供給している車両を回生車両と呼ぶ。従来の摩擦ブレーキでは熱として捨てていた車両の運動エネルギーが、電力に変換することで利用可能となる。回生電力の活用方法は、非電化直流電化および交流電化といった動力形態で異なるが、以下の説明では、直流電化を例に取る。

0003

直流電化のき電システムでは、電力系統から受電した交流電力ダイオードによる整流装置直流に変換して電力をき電線に供給し、車両が力行時にき電線から電力をとりこむことで当該車両は走行する。回生電力は車両からき電線に供給され、他の力行中の車両(力行車両)が消費することで活用することができる。しかしながら、力行車両不在の場合、回生電力の供給先がなく、有効に活用することができない。なお、力行車両の消費する電力を力行電力と呼ぶ。

0004

このような問題に対し、力行中の車両が不在の場合でも、回生電力の有効活用を可能とする地上設置型回生電力貯蔵装置(以下、電力貯蔵装置)が注目されている。電力貯蔵装置は、き電線に接続され、回生電力を充電し、力行電力が発生した際に充電した電力を放電する装置である。電力貯蔵装置は、停電や変電所異常等の電力系異常時において、き電線に電力を供給する変電所の代替として、蓄えられた電力を列車の緊急走行のために活用する用途としても期待される。

0005

従来の電力貯蔵装置は、き電線に発生している負荷によって変化するき電線電圧挙動を利用して、充放電を制御している。

0006

車両が存在せずき電線に負荷がないときや回生電力と力行車両で消費される電力が等しい場合、整流装置が出力する電流はゼロであり、き電線の電圧は負荷のない状態における無負荷電圧となる。

0007

回生電力が力行車両で消費される電力を下回っている場合、電力系統からき電線へ整流装置の出力電流が供給され、整流装置の内部抵抗により、き電線電圧は整流装置の出力電流に比例して無負荷電圧より低下する。

0008

回生電力が力行車両で消費される電力を上回っている場合、き電線から電力系統への電流は流れないので整流装置の出力電流はゼロであるが、き電線に電力供給源が存在することでき電線電圧は無負荷電圧より上昇する。

0009

そこで、き電線電圧が無負荷電圧の設計値より高い所定の値(充電電圧)を上回ったら充電、無負荷電圧の設計値より低い所定の値(放電電圧)を下回ったら放電することで、回生電力の有効活用を図る技術が特許文献1に示されている。この特許文献1には「本発明による電力貯蔵式回生電力吸収装置は、電力貯蔵装置と、該電力貯蔵装置からき電線への放電及びき電線から該電力貯蔵装置への充電を制御する電力変換器と、き電線電圧Vsが電力充電運転開始電圧Vabsより高いとき、それを電力充電運転開始電圧Vabsまで引き下げるように上記電力変換器を制御する充電時電圧制御系と、き電線電圧Vsが電力放電運転開始電圧Vdiscより低いとき、それを電力放電運転開始電圧Vdiscまで引き上げるように上記電力変換器を制御する放電時電圧制御系と、き電線電圧Vsが電力充電運転開始電圧Vabs以下且つ電力放電運転開始電圧Vdisc以上のとき、電力貯蔵装置の充電率SOCを充電率指令値SOCrefに一致させるように上記電力変換器を制御する充電率制御系と、き電線電圧Vsが電力充電運転開始電圧Vabs以下且つ電力放電運転開始電圧Vdisc以上であり、更に、電力貯蔵装置の充電率SOCと充電率指令値SOCrefの偏差の絶対値が基準値ΔSOC以内のとき上記電力変換器のスイッチングを停止させるサプレス制御系とを有する。」と記載されている。

先行技術

0010

特開2006−62489号公報

発明が解決しようとする課題

0011

回生電力の有効活用による省エネルギー化を主眼とする場合、回生電力を充電できるように電力貯蔵装置の充電率は一定以下に抑制されることになる。

0012

しかし、電力系異常時における代替の電力供給源として電力貯蔵装置を活用しようとした場合は、電力貯蔵装置の充電率が抑制されていると、列車の緊急走行に必要な電力量を電力貯蔵装置が補填できず、結果として、列車の緊急走行が不完全に終わる(たとえば、停電からの復旧まで列車が駅間に取り残される)状況が想定される。

0013

これを防ぐため、電力貯蔵装置の充電率を上げるといった第1の方法、もしくは、電力貯蔵装置の容量を大きくするといった第2の方法を採用することが考えられる。

0014

しかし、第1の方法では、電力貯蔵装置が回生電力を充電できる余地がなくなる可能性がある。第2の方法では、電力貯蔵装置の設置コストが増大する可能性がある。

課題を解決するための手段

0015

本発明は上記課題を解決するために、電力貯蔵装置と当該電力貯蔵装置を制御する電力変換装置とで構成される電力供給システムにおいて、電力変換装置は、電力貯蔵装置の電力供給範囲であるき電範囲内をき電線から電力供給を受けて走行する1以上の列車の緊急走行に必要となる電力量を基に、電力貯蔵装置の充放電を制御する。

発明の効果

0016

本発明により、電力貯蔵装置の容量を抑えた上で、平常時は回生電力の有効活用による省エネルギー化を図りつつ、電力系異常時は変電所の代替として緊急走行に必要な電力量を補償することが可能となる。

図面の簡単な説明

0017

実施例における電力供給システムを含んだ鉄道システム概要図。
実施例における電力変換装置の構成例を示す図。
実施例における充放電指標決定部の処理フローを示す図。
実施例における充放電判定部の処理フローを示す図。

実施例

0018

以下の説明において、「記憶部」は、1以上のメモリを含む。記憶部における少なくとも1つのメモリは、揮発性メモリであってもよいし不揮発性メモリであってもよい。

0019

また、以下の説明において、「プロセッサ部」は、1以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部または全部を行うハードウェア回路(たとえばFPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific IntegratedCircuit))といった広義のプロセッサでもよい。

0020

また、以下の説明において、「kkk部」(記憶部およびプロセッサ部を除く)の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、1以上のコンピュータプログラムがプロセッサ部によって実行されることで実現されてもよいし、1以上のハードウェア回路によって実現されてもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が1つの機能にまとめられたり、1つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。

0021

また、以下の説明において、「列車」は、編成された1以上の鉄道車両(以下、車両)で構成される。

0022

図1は、本発明の一実施例における電力供給システム100を含んだ鉄道システムの概要を示す。

0023

変電所102は、電力系統から電力を受電し、き電線101を介して所定範囲内に在線する列車105に対して電力を供給する。電力供給システム100は、回生電力貯蔵装置と呼ばれてもよいし、バッテリーポストと呼ばれてもよい。電力供給システム100は、き電線101との間で電力の授受を行う電力変換装置103と、電力変換装置103の制御の下で電力変換装置103を介して充放電を行う電力貯蔵装置104とで構成される。また、き電線101から電力供給を受けて走行する列車105がいる。

0024

電力貯蔵装置104の電力供給範囲であるき電範囲Lx(たとえば、電力貯蔵装置104が電力を供給可能な一方側の最も遠い位置Saと他方側の最も遠い位置Sb)が定義されている。

0025

電力変換装置103は、き電範囲Lx内をき電線101から電力供給を受けて走行する1以上の列車105の緊急走行に必要となる緊急用電力量Peを基に電力貯蔵装置104の充放電を制御する充放電制御処理周期的にまたは非周期的に実行する。これにより、電力貯蔵装置104の容量を抑えた上で、平常時は回生電力の有効活用による省エネルギー化を図りつつ、電力系異常時は変電所102の代替として緊急走行に必要な電力量を補償することが可能となる。なお、各回の充放電制御処理では、緊急用電力量Peは、き電範囲Lx内の1以上の列車105にそれぞれ対応した1以上の必要充電量Pqに基づいて決定された電力量(たとえば、1以上の必要充電量Pqの総和)である。これにより、緊急用電力量Peを適切な値とすることが期待できる。1以上の列車105の各々について、当該列車105に対応した必要充電量Pqは、当該列車105にとっての緊急走行に必要な電力量である。

0026

電力変換装置103は、緊急用電力量Peに加えて、電力貯蔵装置104の現在充電量Pcを基に、電力貯蔵装置104の充放電を制御する。

0027

現在充電量Pcは、電力貯蔵装置104が現在貯蔵する充電量を表す。現在充電量Pcは、電力貯蔵装置104の1台分の充電量でもよいし、近隣に設置された他電力貯蔵装置104の充電量を足し合わせ、あたかも1台の電力貯蔵装置104のように取り扱ってもよい。

0028

緊急用電力量Peは、き電範囲Lx内を走行する列車105が緊急走行を行うために必要となる充電量である。き電範囲Lx内を複数の列車105が走行する場合は、緊急用電力量Peは、上述したように、複数の列車105にそれぞれ対応した複数の必要充電量Pqの総和としてもよい。緊急用電力量Peの適正度を向上するために、各回の充放電制御処理では、緊急用電力量Peは、当該充放電制御処理に関してき電範囲Lx内に存在する列車105の数に基づいて決定された電力量である。緊急用電力量Peの適正度をさらに向上するために、各回の充放電制御処理では、緊急用電力量Peは、さらに、当該充放電制御処理に関してき電範囲Lx内に存在する各列車105の走行位置に基づいて決定された電力量でよい。緊急用電力量Peの適正度をさらに向上するために、各回の充放電制御処理では、緊急用電力量は、さらに、下記のうちの少なくとも1つ、
・き電範囲Lx内における各列車105の緊急時の停車位置
・き電範囲Lx内における各列車105の車両性能(たとえば、車両重量モータ効率、および、車両に蓄電池が搭載されているか否か、のうちの少なくとも1つ)、
混雑度(たとえば乗客重量)、
・緊急走行時の計画ランカーブ(たとえば、各走行地点における目標走行速度)、
・き電範囲Lxにおける路線線形(たとえば、各走行地点の勾配曲線半径走行抵抗駅ホーム位置、および、トンネル位置、のうちの少なくとも1つ)、および、
・き電範囲Lxにおけるき電線101およびレールの少なくとも1つの送電負荷(たとえば電気抵抗
に基づいて決定された電力量でよい。

0029

緊急用電力量Peは、電力変換装置103が算出してもよいし、電力供給システム100の外部システム(たとえば、運行管理装置)が算出してもよい。各列車105について、当該列車105の必要充電量Pqは、当該列車105に搭載された車上制御装置が算出して電力変換装置103や上記外部システムへ通知してもよいし、地上に設置された所定の装置が算出して電力変換装置103や上記外部システムへ通知してもよい。すなわち、本発明では、緊急用電力量Pe(および、各列車105の必要充電量Pq)を算出する主体は特に制約されないでよい。

0030

また、緊急用電力量Peは、上述したように、各列車105の走行位置に加えて、各列車105の緊急時の停車位置(たとえば次駅ホーム地点)に基づいてもよい。たとえば、各列車の必要充電量Pqは、当該列車105の走行位置から緊急時の停車位置までの距離に基づいてもよい。

0031

各列車105の走行位置は、当該列車105がき電範囲Lx内に存在するか否かの判定や、より適切な緊急用電力量Peの決定に使用可能である。各列車105の走行位置は、各列車105が検出し電力変換装置103や上記外部システムに通知してもよいし、軌道回路から特定されてもよい。

0032

また、各列車105の実際の走行位置が直接入手できる状況ではない場合(または、当該状況であるか否かに関わらず)、き電範囲Lx内の各列車105の走行位置は、1以上の列車105の各々についてのダイヤを基に推定された走行位置でよい。たとえば、ダイヤ情報(計画された各列車105のダイヤを示す情報)を基に、電力変換装置103(または上記外部システム)は、各時間帯における各列車105の走行位置を推定し、当該推定位置から緊急時の停車位置までの距離を基に、緊急用電力量Peを概算してもよい。ダイヤ情報を基に緊急用電力量Peを算出する場合、緊急用電力量Peの変動を事前予測することが出来る事から、電力貯蔵装置104の充放電動作の制御を時間帯ごとに予め設定することも可能となる。従って、列車走行位置に関する通信処理の省略や、緊急用電力量Peの算出負荷を簡素化できる利点がある。加えて、緊急用電力量Peが短時間で大幅に変動するような状況において、電力貯蔵装置104への急速な充放電が難しい場合、予測に基づき実際の変動タイミングより先行して充放電動作を開始することが可能となる。また、ダイヤ通りに各列車105が走行している間は予め設定した充放電動作で制御し、ダイヤと異なる走行が行われている場合(たとえば、臨時増発、運行遅延等)は、ダイヤと異なる運行に関する情報(たとえば、車両情報遅延時分実績ダイヤ等)を電力変換装置103(または上記外部システム)に通知することで、電力変換装置103(または上記外部システム)が、計画外の列車運用に対しても対応可能となる。

0033

また、各回の前記充放電制御処理では、前記き電範囲は、隣接する少なくとも1つの別の電力供給システムについてのき電範囲との間で調整された後のき電範囲でよい。具体的には、たとえば、路線内(たとえば駅間)に複数の電力供給システム100が存在する環境においては、電力供給システム100毎に、効率的にき電できるき電範囲を特定しておき、その範囲内を列車105が緊急時に必要となる電力量Pqを基に、緊急用電力量Peが決定されてもよい。より具体的には、たとえば、10kmおきに電力供給システム100が設置されている場合、各電力供給システム100の設置位置の前後5kmを各電力供給システム100のき電範囲Lxとすることが考えられる。各電力供給システム100のき電範囲は、電力供給システム100の設置位置を基に固定でもよいし、各電力供給システム100または隣接する電力供給システム100の運用状況や列車105の走行状況に応じてき電範囲は動的に変更されてもよい。後者の例は、次の通りである。すなわち、各回の充放電制御処理では、電力貯蔵装置104の現在充電量Pcが緊急用電力量Peより不足している場合、または、調整される前のき電範囲内を走行する列車105の数が、緊急用電力量Peに従う閾値(たとえば、緊急用電力量Peが小さい程小さい値となる閾値)を超えている場合、調整された後のき電範囲(動的に変更された後のき電範囲)は、少なくとも1つの別の電力供給システム100についてのき電範囲が延長されたことにより短くされたき電範囲でよい。具体的には、たとえば、ある電力変換装置103の電力貯蔵装置104の現在充電量Pcが当該電力変換装置103に割り当てられた緊急用電力量Peより不足しており、隣接する電力変換装置103の電力貯蔵装置104には十分な現在充電量Pc(少なくとも当該隣接する電力変換装置103の緊急用電力量Peよりも大きな現在充電量P)が確保されている場合、隣接する電力供給システム100のき電範囲を延長し自身の電力供給システム100のき電範囲を短くするような運用が考えられる。また、たとえば、ある電力供給システム100のき電範囲内を列車105が多数走行している場合、当該電力変換装置103に対する緊急用電力量Peの需要が集中することから、隣接する電力供給システム100のき電範囲を延長することで、特定の電力貯蔵装置104が充電すべき電力量を低減する運用が考えられる。複数の電力供給システム100の各々について、当該電力供給システム100と隣接の電力供給システム100との間のき電範囲を調整(設定)する方法として、電力供給システム100同士が相互に通信してき電範囲を調整する方法や、各種電力設備監視や制御を行う遠方監視制御装置(もしくは類似の機能を持った装置)が調整する方法を採用することが可能である。き電範囲に基づく充放電制御を行う場合、外部システム(たとえば、運行管理装置)から電力供給システム100に対し、列車105の走行位置を送信する構成とすることが採用されてよい。

0034

電力変換装置103の構成例について図2を用いて説明する。なお、図2において、各種電力量Pm、Pn、Pe、PcおよびPtの単位は、たとえばWh(ワットアワー)であり、各種電圧(および電圧閾値)Vc、VscおよびVsdの単位は、たとえばV(ボルト)である。

0035

電力変換装置103は、電力貯蔵装置104の最大充電容量Pmおよび定常時充電量Pnおよびき電線電圧Vcおよび充電基準値ΔPを示す情報のソースであるデータソース201と、充電判定指標である電力充電運転開始電圧(以下、充電閾値)Vscおよび電力放電運転開始電圧(以下、放電閾値)Vsdおよび目標充電量Ptを決定する充放電指標決定部202と、電力貯蔵装置104の充放電指令Sを決定する充放電判定部203と、充放電指令Sを基に当該電力変換装置103の動作を決定する電力変換動作部204とで構成されている。

0036

定常時充電量Pnは、定常時(たとえば緊急時以外)の充電量、具体的には、たとえば、省エネルギーを主目的として電力貯蔵装置104を使用した場合における最適な充電量である。定常時充電量Pnは、たとえば、回生電力を充電する余裕を確保するための充電量(一例として、最大充電容量Pmの40%)でよい。

0037

最大充電容量Pmは、電力貯蔵装置104が充電可能な最大充電量である。最大充電容量Pmは、電力貯蔵装置104がデバイスとして充電できる最大電力量でもよいし、運用上使用する最大電力量でもよい。たとえば、電力貯蔵装置の充電率が100%となるまで充電するとデバイスとしての動作効率が下がるような場合には、充電率90%程度の電力量を最大電力量Pmでもよい。

0038

充電基準値ΔPは、現在充電量Pcが目標充電量Ptに対して十分近づいたかを充放電指標決定部が判定するための指標として用いられ、ゼロ以上の値である(現在充電量Pcと目標充電量Ptの差分がΔP以下になれば、目標とする充電量になっていると判定)。

0039

データソース201は、電力変換装置103の記憶部の一部でもよいし、外部の装置と通信する通信インターフェースでもよい。データソース201は、電力貯蔵装置104の最大充電容量Pmおよび定常時充電量Pnおよび充電基準値ΔPを表す情報を充放電判定部203へ入力する。また、データソース201はデータベースのような情報(たとえば、ダイヤ情報)でもよい。また、データソース201から、き電範囲Lxを表す情報が入力されてよい。

0040

き電線電圧Vcが充電閾値Vscより高いとき、充放電判定部203は、き電線電圧Vcを充電閾値Vscまで引き下げるように電力変換装置103を制御する、つまり、き電線101から電力貯蔵装置104へ充電する充放電指令Sを電力変換動作部204に出力する。また、き電線電圧Vcが放電閾値Vsdより低いとき、充放電判定部203は、き電線電圧Vcを放電閾値Vsdまで引き上げるように電力変換装置103を制御する、つまり、電力貯蔵装置104からき電線101へ放電する充放電指令Sを電力変換動作部204に出力する。

0041

充電閾値Vsc(の設定値)を下げると、き電線101から電力貯蔵装置104への充電が行われやすくなる。たとえば、充電閾値Vscを無負荷電圧以下とすると、回生電力が発生していない状況においても上記制御により電力貯蔵装置104への充電が行われやすくなる。逆に、放電閾値Vsd(の設定値)を上げると、電力貯蔵装置104からき電線101への放電が行われやすくなる。たとえば、放電閾値Vsdを無負荷電圧以上とすると、回生電力が発生している状況においても上記制御により電力貯蔵装置104からの放電が行われる場合がある。本特性を利用することにより、電力貯蔵装置104の現在充電量Pcが目標充電量Ptに満たない場合は、充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdを低下することで、充電を促進し、かつ過放電を抑制することが可能となる。逆に、電力貯蔵装置104の現在充電量Pcが目標充電量Pt以上となっている場合は、充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdを上昇することで、放電を促進し、かつ過充電を抑制することが可能となる。

0042

以下、周期的に(または非周期的に)行われる充放電制御処理の処理フローを説明する。本実施例では、充放電制御処理は、充放電指標決定部202が行う処理Aと、充放電判定部203が行う処理Bとで構成されている。なお、少なくとも1つの充放電制御処理は、処理Aが1回以上行われた後に処理Bが行われてもよい。その際、処理Bの際に使用される処理Aの結果としての充電閾値Vscと放電閾値Vsdの各々は、1回以上の処理Aにそれぞれ対応した1以上の充電閾値Vscに基づく値(たとえば平均値)および1以上の放電閾値Vsdに基づく値(たとえば平均値)でもよい。

0043

充放電指標決定部202の処理について図3を用いて説明する。図3の処理は、周期的に(たとえば5秒間隔で)行われる。

0044

まず、充放電指標決定部202は、最大充電容量Pm、定常時充電量Pnおよび充電基準値ΔPの情報をデータソース201から、緊急用電力量Pe(および、き電範囲Lx)の情報をたとえばデータソース201から、現在充電量Pcの情報を電力貯蔵装置104から、それぞれ入力する(ステップ1010)。

0045

次に、充放電指標決定部202は、緊急用電力量Peが最大充電容量Pmより大きい(Pm<Pe)か否かを判定する(ステップ1020)。

0046

Pm<Peの場合(ステップ1020:Yes)、充放電指標決定部202は、最大充電容量Pmの数値を目標充電量Ptとして設定する(ステップ1030)。

0047

Pm≧Peの場合(ステップ1020:No)、充放電指標決定部202は、緊急用電力量Peが定常時充電量Pnより大きい(Pn<Pe)か否かを判定する(ステップ1040)。

0048

Pn<Peの場合(ステップ1040:Yes)、充放電指標決定部202は、緊急用電力量Peの数値を目標充電量Ptとして設定する(ステップ1050)。

0049

Pn≧Peの場合(ステップ1040:No)、充放電指標決定部202は、定常時充電量Pnの数値を目標充電量Ptとして設定する(ステップ1060)。

0050

次に、充放電指標決定部202は、現在充電量Pcが、上記で設定した目標充電量Ptに充電基準値ΔPを加えた値より大きい(Pt+ΔP<Pc)か否かを判定する。

0051

Pt+ΔP<Pcの場合(ステップ1070:Yes)、充放電指標決定部202は、過充電と判断する、具体的には、電力貯蔵装置104への放電を促進するため充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの設定値をより上げる(たとえば定常時より上げる)(ステップ1080)。

0052

Pt+ΔP≧Pcの場合(ステップ1070:No)、充放電指標決定部202は、現在充電量Pcが目標充電量Ptから充電基準値ΔPを引いた値より大きい(Pt−ΔP<Pc)か否かを判定する(ステップ1090)。

0053

Pt−ΔP<Pcの場合(ステップ1090:Yes)、充放電指標決定部202は、現在充電量Pcは許容範囲内の充電量であると判断する、具体的には、充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの設定値を維持する(たとえば定常時の設定とする)(ステップ1100)。

0054

Pt−ΔP≧Pcの場合(ステップ1090:No)、充放電指標決定部202は、過放電もしくは充電不足と判断する、具体的には、電力貯蔵装置104への充電を促進するため充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの設定値をより下げる(たとえば定常時より下げる)(ステップ1110)。

0055

最後に、充放電指標決定部202は、上記で設定した充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdを充放電判定部203へ送信する(ステップ1120)。

0056

図3の処理において、Pt=Pm(ステップ1030)は、電力貯蔵装置104の最大充電量Pmまで充電しても緊急用電力量Peに満たない状況が発生している事を意味する。この場合の対応策として、たとえば、隣接する両側または一側の電力供給システム100とき電範囲の分担を調整することで(具体的には、自身の電力供給システム100のき電範囲Lxを短くし隣接の電力供給システム100のき電範囲を延長することで)、自身の電力変換装置103に割り当てられる緊急用電力量Peを抑制することが考えられる。

0057

また、たとえば、電力変換装置103は、運転指令室や運行管理装置、列車集中制御装置へ本状況の発生を通知し、当該電力変換装置103の設置位置近辺を走行する列車105のダイヤやランカーブの変更を促す事で、電力停止時の影響を最小化することも考えられる。具体的には、各回の前記充放電制御処理では、電力貯蔵装置104の現在充電量Pcが緊急用電力量Peより不足している場合、電力変換装置103は、き電範囲Lx内の1以上の列車の少なくとも1つのダイヤもしくはランカーブの変更に関する処理(たとえば、ダイヤもしくはランカーブを変更する、または、ダイヤもしくはランカーブの変更を運行管理装置のような外部システムに依頼する)、もしくは、指令員もしくは当該1以上の列車の各々の運転士に対する警報の通知に関する処理(たとえば、当該警報を通知する、または、当該警報の通知を上記外部システムに依頼する)を実行する。

0058

上記ステップ1080、およびステップ1110では、充放電指標決定部202は、現在充電量Pcと目標充電量Ptの比較結果に応じて、充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの増減を行う。充放電指標決定部202は、図3の処理を周期的に実行するが、実行するたびに充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの設定値を上昇もしくは低下させてもよいし、所定の値に固定しておいてもよい。実行するたびに設定値が上昇もしくは低下する場合、充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの設定値には、上限値もしくは下限値が予め定められておいてもよい。また、充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの設定値は、使用する設定値を予め複数パターン定めておき、現在充電量Pcと目標充電量Ptの差に応じて使い分けられてもよい。たとえば、現在充電量Pcと目標充電量Ptの差が小さい(たとえば一定値未満である)場合、充放電指標決定部202は、充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの設定値を現在の値より小さい値としてもよい。また、たとえば、現在充電量Pcと目標充電量Ptの差が大きい(たとえば上記一定値以上である)場合、充放電指標決定部202は、充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの設定値を現在の値より大きい値としてもよい。また、上記では充電閾値Vscと放電閾値Vsdの両方が変化するが、どちらか片方の設定値だけが変化してもよい。

0059

上記は電力系正常時を想定した充放電指標決定部202の処理手順であるが、電力系異常時においては異なる処理が行われてもよい。たとえば、充放電指標決定部202は、電力系異常を検出した場合は、ステップ1080、1100および1100の少なくとも1つにおいて、充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの少なくとも1つの設定値を、電力系異常時用の設定値に変更してもよい。その際、電力系異常時にき電線電圧Vcを定常時より低く保つ方法として、たとえば、放電閾値Vsdを定常時より下げて設定することが考えられる。

0060

次に、充放電判定部203の動作について図4を用いて説明する。図4の処理は、周期的に(たとえば5秒間隔で)行われる。

0061

まず、充放電判定部203は、最大充電容量Pmおよびき電線電圧Vcの情報をデータソース201から、現在充電量Pcの情報を電力貯蔵装置104から、充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの情報を充放電指標決定部202から、それぞれ入力する(ステップ2010)。

0062

次に、充放電判定部203は、き電線電圧Vcが放電閾値Vsdよりも小さい(Vc<Vsd)か否かを判定する(ステップ2020)。

0063

Vc<Vsdの場合(ステップ2020:Yes)、充放電判定部203は、電力変換動作部204に対して、放電開始を意味する充放電指令Sを送信する(ステップ2030)。

0064

Vc≧Vsdの場合(ステップ2020:No)、充放電判定部203は、き電線電圧Vcが充電閾値Vscより大きい(Vsc<Vc)か否かを判定する(ステップ2040)。Vsc<Vcの場合(ステップ2040:Yes)、充放電判定部203は、現在充電量Pcが最大充電容量Pmより小さい(Pc<Pm)か否かを判定する(ステップ2050)。

0065

Vsc<VcかつPc<Pmの場合(ステップ2050:Yes)、充放電判定部203は、電力変換動作部204に対して、充電開始を意味する充放電指令Sを送信する(ステップ2060)。

0066

Vsc≧Vc、または、Pc≧Pmの場合(ステップ2040:No、または、ステップ2050:No)、充放電判定部203は、電力変換動作部204に対して、充放電停止を意味する充放電指令Sを送信する(ステップ2070)。

0067

以上の実施例によれば、電力変換装置103が制御する電力貯蔵装置104の現在電力量Pcが、列車105が電力系異常時において各列車105が緊急走行のために必要となる緊急用電力量Peを確保できるように、電力貯蔵装置104への充電が促進され、かつ放電が抑制されるような目標充電量Ptおよび電力充放電開始電圧(Vsc、Vsd)を、電力変換装置103が設定する。また、緊急用電力量Peが少ない場合は、列車105からの回生電力を吸収する余地が確保できるように、電力貯蔵装置104への放電が促進され、かつ充電が抑制されるような目標充電量Ptおよび電力充放電開始電圧(Vsc、Vsd)を、電力変換装置103が設定する。このように、列車105の走行状況に応じて電力貯蔵装置104の充電量を制御することにより、電力貯蔵装置104の容量を抑えた上で、平常時は回生電力の有効活用による省エネルギー化を図りつつ、電力系異常時は変電所102の代替として列車緊急走行に必要となる電力量を補償する電力貯蔵装置104を提供することが可能となる。

0068

また、実施例によれば、多くの列車105が近辺を走行する時間帯過密運転)には緊急用電力量が大きくなり、電力貯蔵装置104が回生吸収できる電力量が制限される可能性があるが、過密運転の場合は列車同士による力行電力・回生電力の融通が可能であるため、過密運転時に電力貯蔵装置104の充電量を上げたとしても、省エネルギー化への影響は小さいと想定される。

0069

以上、具体的な実施例を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲を上記実施例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。たとえば、図3及び図4の処理は、以下のように総括することができる。

0070

すなわち、各回の前記充放電制御処理では、電力変換装置103は、電力貯蔵装置104の充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの少なくとも1つと電力貯蔵装置104の現在充電量Pcとの大小関係に基づいて充放電を制御する。充電閾値Vscは、電力貯蔵装置104の現在充電量Pcと比較される閾値であって、電力貯蔵装置104の充電を開始するか否かを決定するための閾値である。放電閾値Vscは、電力貯蔵装置104の現在充電量Pcと比較される閾値であって、電力貯蔵装置104の放電を開始するか否かを決定するための閾値である。各回の充放電制御処理では、充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの少なくとも1つは、当該処理での目標充電量Ptと現在充電量Pcとの大小関係に基づいて決定された値である。各回の充放電制御処理では、目標充電量Ptは、緊急用電力量Peと、電力貯蔵装置104の最大充電容量Pm及び定常時充電量Pnの少なくとも1つとの大小関係に基づいて決定された充電量である。

0071

具体的には、各回の充放電制御処理について、次のことが言える。すなわち、緊急用電力量Peが最大充電容量Pmより大きい場合、目標充電量Ptは、最大充電容量Pmである。緊急用電力量Peが最大充電容量Pm以下かつ定常時充電量Pnより大きい場合、目標充電量Ptは、緊急用電力量Peである。現在充電量Pcが目標充電量Ptと所定値(たとえば充電基準値ΔP)との和より大きい場合、充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの各々がより高い値とされる。現在充電量Pcが目標充電量Ptと当該所定値との差以下である場合、充電閾値Vscおよび放電閾値Vsdの各々がより低い値とされる。

0072

100:電力供給システム
103:電力変換装置
104:電力貯蔵装置

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