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図面 (7)

課題

解決手段

本発明は、機能的α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ(α−1,3.GT)のいずれの発現も欠く、動物に由来する組織を提供する。そのような組織は、整形外科再構築および修復、皮膚修復および内部組織修復のような異種移植の分野において、または医療機器として用いることができる。上記動物はウシブタまたはヒツジのような反芻動物または有蹄動物であり得る。α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、ブタ、ウシまたはヒツジのような出生前新生、または未成熟または十分に成熟した動物から得ることができる。

概要

背景

(発明の背景
ブタヒツジおよびウシのような反芻動物異種移植器官および組織ありそうな源と考えられる。ブタ異種移植片は最も注目されている。というのは、ブタの供給は豊富であり、育種プログラムがよく確立されており、それらのサイズおよび病理学がヒトに適合するためである。ウシまたはヒツジのような他の反芻動物源もまた硬いおよび柔軟な組織異種移植片のための源として提唱されてきた。しかしながら、これらの器官または組織のヒトへの導入が成功する前に克服しなければならないいくつかの障害がある。最も重要なのは免疫拒絶である。最初の免疫学的ハードルは「過剰急性拒絶」(HAR)である。HARは、外来性組織に結合する予め形成された天然抗体の高い力価の普遍的な存在によって定義される。これらの天然抗体のドナー組織内皮上の標的エピトープの結合は、HARにおいて開始事象であると信じられている。この結合に続いて、受容者血液でのドナー組織の灌流から数分以内に、補体活性化血小板およびフィブリン沈着が起こり、最終的には、ドナー器官において間隙浮腫および出血が起こり、その全ては受容者における組織の拒絶を引き起こす(非特許文献1)。

ヒトにおける最も頻繁に移植される組織は骨である(非特許文献2)。合衆国単独において、100,000を超える骨移植またはインプラント手法が毎年行われて、外傷、感染、先天的奇形、または悪性疾患由来する骨からなる欠陥修復しまたは置き換えている。ヒト骨は、石灰化基底物質およびコラーゲン繊維細胞外マトリックス包埋された細胞よりなる固い結合組織である(Stedman’s Medical Dictionary,Williams & Wilkins,Baltimore,Md.(1995))。

骨移植片およびインプラントは、しばしば、自家骨から形成される。しかしながら、特に子供における大きな欠陥用の移植可能な自家骨組織はしばしば入手できない。加えて、自家骨移植の結果、ドナー部位における疼痛、出血、創傷問題、化粧的不能、感染または神経損傷のような手術病的状態が起こり得る。さらに、移植された自家骨組織からの所望の機能的形状を作成することにおける困難性の結果、骨欠陥の最適な充填を下回りかねない。

靭帯軟骨、皮膚、心臓組織および弁、および粘膜下組織のような軟組織もまたヒトに通常に移植される。構造の多く、および元の組織の特性の多くは、異種移植片材料の使用を通じて移植において維持できる。異種移植片組織は、ヒトにおける移植で安全なように処理できる場合、入手できる材料の限定されない供給を代表する。

一旦個体に移植されれば、異種移植片は異種移植片の慢性および過剰急性拒絶のような免疫原性反応誘起する。この拒絶のため、骨異種移植片は骨折再吸収および癒着不能の増大した率を呈する。ヒトにおけるインプラントとしての、ブタ、ウシまたはヒツジのような動物組織の使用に対する主な免疫学的障害は、ヒトおよびサルにおける抗体のほぼ1%を含む、天然の抗−ガラクトースα1,3−ガラクトース抗体である。

旧世界サル、類人猿およびヒトを除いて、ほとんどの哺乳動物はガラクトースα1,3−ガラクトースエピトープを含有する細胞表面上の糖蛋白質を有する(非特許文献3)。対照的に、ガラクトースα1,3−ガラクトースを含有する糖蛋白質はブタのような他の哺乳動物の細胞で大量に見出されている。ヒト、類人猿および旧世界サルはガラクトースα1,3−ガラクトースを有さず、大量に生産される天然に生じる抗−ガラクトースα1,3−ガラクトース抗体を有する(非特許文献4)。抗−ガラクトースα1,3−ガラクトース抗体は、ガラクトースα−1,3ガラクトースを担う糖蛋白質および糖脂質に特異的に結合する。

哺乳動物における「α−1,3GTエピトープ」および抗−Gal抗体(すなわち、α−1,3ガラクトースを担う糖蛋白質および糖脂質に結合する抗体)のこの異なる分布は、先祖の旧世界霊長類およびヒトにおける不活化された(すなわち、突然変異された)α−1,3−ガラクトシドトランスフェラーゼを持つ種につき選択された進化過程の結果である。かくして、ヒトはα−1,3−GTの「天然ノックアウト」である。この事象の直接的な結果は、最初にHARを介してヒトに移植されたブタ器官の拒絶のような異種移植片の拒絶である。

α−ガラクトシダーゼでのエピトープの酵素的除去(非特許文献5)、特異的抗−gal抗体の除去(非特許文献6)、α−1,3−GT発現を排除するのに失敗した他の炭水化物部位でのエピトープのキャッピング(非特許文献7および非特許文献8)および補体阻害性蛋白質の導入(非特許文献9、非特許文献10)を含めた、種々の戦略が、ブタ異種移植によって引き起こされた抗−Gal液性応答を排除または変調するために行われてきた。非特許文献11は、H−トランスフェラーゼトランスジェニックブタにおけるα−1,3−GTの競合的阻害の結果、エピトープの数の部分的低下のみが得られることを報告した。同様に、非特許文献12は、N−アセチルグルカサミニルトランスフェラーゼIIIトランスジェニックブタにおけるgalエピトープの発現をブロックする試みもまた、galエピトープの数の部分的低下のみをもたらし、霊長類受容者における移植片生存を有意に拡大しないことを報告した。

Badylakらは、靭帯(上十字靭帯)および肩回旋腱板を修復するための結合組織移植片を含めた種々の組織移植片のために使用されるブタの小腸からの粘膜下組織を単離するプロセスを開発した。小腸粘膜下(SIS)材料は化学的および酵素的工程を用いて処理して、生きた細胞の組織をストリップし、宿主細胞内植および組織再生刺激する無細胞の細胞外マトリックスを得る(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。このプロセスは、現在、ヒト組織移植片で利用されている。しかしながら、化学的処理工程にもかかわらず、ガラクトースα1,3ガラクトース糖残基が移植片に包埋されたままであり、ヒト患者において免疫活性化および炎症を引き起こす(非特許文献13;非特許文献14)。

Stoneらは、ブタ軟組織および骨組織を処理して、細胞材料を取り出すプロセス、続いての、移植に先立って組織からガラクトースα1,3−ガラクトースを除去するα−ガラクトシルシダーゼでの処理を開発した(非特許文献15;非特許文献16)。このプロセスは多数の特許出願の主題であり、それらは、上十字靭帯修復、半月修復、関節軟骨異種移植片、粘膜下異種移植片、骨および骨マトリックス異種移植片、心臓弁置換および軟組織異種移植片のような種々の適用のためのそのような組織の使用を議論している。例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13および特許文献14;米国特許出願第2002/0087211号明細書、米国特許第2001/0051828号明細書、米国特許第2001/0039459号明細書、特許文献15、特許文献16および特許文献17;および特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、および特許文献27参照。

かくして、ヒトにおいて有害効果を引き起こさない組織移植片を提供する必要性が当該分野に存在する。

非特許文献17は、野生型およびα−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼノックアウトマウスに移植されたブタ軟骨の遅延された拒絶が、軟骨におけるα1,2−フコシルトランスフェラーゼHTトランスジェニック)のトランスジェニック発現によって低下されることを報告している。

ブタ細胞および生きた動物におけるα−1,3−GT遺伝子座の単一対立遺伝子ノックアウトが報告されている。非特許文献18は、ヒツジにおけるα−1,3−GT遺伝子の1つの対立遺伝子の標的化遺伝子欠失を報告した。非特許文献19は、異種接合性α−1,3−GTノックアウト体細胞ブタ胎児線維芽細胞の生産を報告した。2002年に、非特許文献20および非特許文献21は、α−1,3−GT遺伝子の1つの対立遺伝子が首尾よく不活性とされたブタの生産を報告した。非特許文献22は、HTおよびα−1,3−GTエピトープを発現した、ヒトα−1,2−フコシルトランスフェラーゼ(HT)をやはり発現する異種接合α−1,3−GTノックアウトブタの創製を報告した。

Austin Research Instituteに対する特許文献28および特許文献29;Bresatecに対する特許文献30;およびBioTransplant,Inc.およびThe General Hospital Corporationに対する特許文献31、特許文献32、特許文献33および特許文献34は、(ゲノム組織化または配列の知識なしで)α−1,3−GT遺伝子のcDNAの知識に基づくα−1,3−GT陰性ブタ細胞の生産の議論を提供する。しかしながら、そのような細胞がこれらの出願の出願日に先立って現実に生産されたという証拠はなく、実施例は全て仮定であった。

ヘテロ接合性α−1,3−GT陰性ブタ細胞の成功した生産の最初の公の開示がLake Tahoe Transgenic Animal Conferenceにおいて1999年7月に行われた(非特許文献23)。最近に至るまで、ホモ接合性α1,3GT陰性ブタ細胞の生産を誰も公表せず、公に開示しなかった。さらに、ブタ胚性幹細胞は今日まで利用できなかったため、α−1,3−GTホモ接合性胚性幹細胞を用いて、生きたホモ接合性α1,3GTノックアウトブタを調製することを試みる方法はなく、今も依然としてない。

2003年2月27日に、非特許文献24は、α−1,3−GT遺伝子のノックアウトにつきホモ接合性の胎児ブタ線維芽細胞の成功した生産を示す報告を公表した。

PLTherapeuticsに対する特許文献35は、核導入のための体細胞遺伝的修飾を記載する。この特許出願は、ブタ体細胞におけるα−1,3−GT遺伝子の遺伝子的破壊、および核導入のためのα−1,3−GT遺伝子の少なくとも1つのコピー欠くこれらの細胞の核の引き続いての使用を開示する。

Cooper & Korenに対する特許文献36は、シアリルトランスフェラーゼまたはフコシルトランスフェラーゼ蛋白質を発現する遺伝子工学により作成された哺乳動物のいずれの現実の生産も確認していない。該特許は、遺伝子工学により作成された哺乳動物が、哺乳動物の細胞表面でのガラクトシル化蛋白質エピトープの低下を呈すると主張する。

The Curators of the University of Missouriに対する特許文献37は、異種移植で用いるヘテロ接合性α1,3GTノックアウトミニアチュアブタの生産を確認する。この出願は、一般には、破壊されたα−1,3−GT遺伝子を含むノックアウトブタに指向され、ここに、ノックアウトブタにおける機能的α−1,3−GTの発現は野生型と比較して減少している。この出願は、ブタが異種移植で有用なように、どの程度までα−1,3−GTが減少されなければならないかについてのいずれのガイダンスも提供していない。さらに、この出願は、生産されたヘテロ接合性ブタが、機能的α1,3GTの減少した発現を呈するいずれの証拠も提供していない。さらに、該出願はホモα1,3GTノックアウトブタに言及するが、いずれかが現実に生産された、または生産可能であった適用についての証拠はなく、ましてや、得られた子孫が異種移植で生存可能であり、または表現型的に有用であるという証拠はない。

ガラクトースα1,3−ガラクトースを含有する糖蛋白質の全部の欠失は、異種移植についてのブタ動物の生産に対する明らかに最良アプローチである。α1,3GT遺伝子の双方のコピーの二重ノックアウト、または破壊は2つの方法:1)子孫を生じさせるための2つの単一対立遺伝子ノックアウト動物の育種、この場合、4つのうち1つが二重ノックアウトであるというメンデル遺伝学に基づいて予測するであろう、または2)予め存在する単一ノックアウトを持つ細胞における第二の対立遺伝子の遺伝的修飾によって生じさせることができることが理論的に可能である。事実、これは、ノックアウトブタ細胞についての最初の特許出願は1993年に出願されたが、最初のホモ接合性α1,3GTノックアウトブタは(ここに記載する)2002年7月に至るまで生産されなかったという事実によって示されるようにこれはかなり困難であった。

トランスジェニックマウス(ブタではない)は、歴史的には、そのほとんどが、ブタ胚性幹細胞は入手できなかったが、マウス胚性幹細胞は入手できたというのではない、多数の理由で、哺乳動物病理学に対する遺伝子的修飾の効果を調べるのに好ましいモデルであった。マウスは基本的な研究適用のための理想的な動物である。なぜならば、それらは取り扱うのが比較的容易であり、迅速に生殖し、および分子レベルにおいて遺伝子的に操作することができるためである。科学者はマウスモデルを用いて、結腸癌〜精神的遅れまでの、種々の遺伝子的ベース病気分子病理を調べる。数千の遺伝子的に修飾されたマウスが今日までに作り出されている。マウスノックアウトおよび古典的突然変異についての表現型および遺伝子型情報包括データベースを供するために、「Mouse Knockout and Mutation Database(マウスノックアウトおよび突然変異データベース)」がBioMedNetによって作り出されており(http://research.bmn.com/mkmd;非特許文献25;非特許文献26)。このデータベースは、今日までにマウスゲノムにおいて標的化された、3,000を超えるユニークな遺伝子についての情報を提供する。

マウスでのこの広範な実験に基づき、トランスジェニック技術がいくつかの重要な制限を有することが学習されてきた。開発の欠点のため、多くの遺伝子的に修飾されたマウス、特に、遺伝子ノックアウト技術によって作成されたヌルマウスは、研究者実験用のモデルを用いる機会を有する前にとして死亡する。たとえマウスが生存したとしても、マウスは、マウスを酷く不能、変形または衰弱させかねない、有意に改変された表現型を発生し得る(非特許文献27;非特許文献28;非特許文献29;非特許文献25;非特許文献26;http://research.bmn.com/mkmd)。さらに、与えられた遺伝子が生物の発生において臨界的な役割を演じるか否か、かくして、遺伝子の排除の結果、ノックアウトが首尾よく作り出され、生きた子孫が生産されるまで、致死的または改変された表現型がもたらされるか否かを予測するのは可能ではないことが学習された。

マウスは、遺伝子的には、機能的α−1,3−GT発現を排除するように修飾されてきた。二重−ノックアウトα−1,3−GTマウスが生産されてきた。このマウスは発生的に活力があり、正常な器官を有する(非特許文献30;非特許文献31、また、特許文献38参照)。しかしながら、これらのマウスにおける2つの表現型異常は明らかであった。まず、全てのマウスは密な皮質部白内障を発生する。第二に、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子の排除はマウスの発生に有意に影響した。α−1,3−GT遺伝子についてヘテロ接合性であるマウスの接合は、予測されるメンデルの1:2:1の比率から有意に偏った遺伝子型比率を生じた(非特許文献31)。

ブタは、マウスで見出されたよりも100〜1000倍高いガラクトースα1,3−ガラクトースを含有する細胞表面糖蛋白質のレベルを有する(非特許文献24;非特許文献32)。かくして、α1,3−GT活性はマウスよりもブタにおいてより臨界的かつより豊富である。

予測および予言的陳述にかかわらず、誰も、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子の破壊が致死的であって、またはブタ発生に影響し、または改変された表現型をもたらすか否かを知らなかった(非特許文献33;非特許文献24;非特許文献34;非特許文献35)。事実、当該分野における多くの専門家は、ホモ接合性α−1,3−GTノックアウトブタが全く活力があり、正常には発生しそうにないか否かについての深刻な疑問を表した。かくして、生きた二重α−1,3−GTノックアウトブタが生産されるまで、該時点における当業者によると、(i)子孫が活力があったか否か、または(ii)子孫が、ヒトへの移植器官の使用を可能とする表現型を呈するか否かを判断することはできなかった。

そのような関心は、二重ノックアウトブタが生産されるまで表された。2003年において、非特許文献36)は、異種移植において主な躍進を表した、α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの機能的発現も欠く最初の生きたブタの生産を報告した。

Revivicor,Inc.によって出願された特許文献39は、α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの機能的発現も欠く、生きたブタ、ならびにそれに由来する器官、細胞および組織の成功した生産を記載する。Immerge Biotherapeutics,Inc.によって出願された特許文献40は、α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼノックアウトブタの生産をやはり記載する。

概要

機能的α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼを欠く動物に由来する組織生成物の提供。本発明は、機能的α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ(α−1,3.GT)のいずれの発現も欠く、動物に由来する組織を提供する。そのような組織は、整形外科再構築および修復、皮膚修復および内部組織修復のような異種移植の分野において、または医療機器として用いることができる。上記動物はウシ、ブタまたはヒツジのような反芻動物または有蹄動物であり得る。α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、ブタ、ウシまたはヒツジのような出生前新生、または未成熟または十分に成熟した動物から得ることができる。なし

目的

本発明は、機能的α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ(α1,3GT)のいずれの発現も欠く動物に由来する組織を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

明細書に記載の発明。

技術分野

0001

本出願は、2004年3月17日に出願された米国仮特許出願第60/553,895号、および2004年4月6日に出願された米国仮特許出願第60/559,816号に対する優先権を主張する。

0002

(発明の分野)
本発明は、機能的α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ(α1,3GT)のいずれの発現欠く動物由来する組織を提供する。そのような組織は整形外科再構築および修復、皮膚の修復および内部組織の修復のような異種移植の分野において、または医療機器として用いることができる。

背景技術

0003

(発明の背景
ブタヒツジおよびウシのような反芻動物は異種移植器官および組織のありそうな源と考えられる。ブタ異種移植片は最も注目されている。というのは、ブタの供給は豊富であり、育種プログラムがよく確立されており、それらのサイズおよび病理学がヒトに適合するためである。ウシまたはヒツジのような他の反芻動物源もまた硬いおよび柔軟な組織異種移植片のための源として提唱されてきた。しかしながら、これらの器官または組織のヒトへの導入が成功する前に克服しなければならないいくつかの障害がある。最も重要なのは免疫拒絶である。最初の免疫学的ハードルは「過剰急性拒絶」(HAR)である。HARは、外来性組織に結合する予め形成された天然抗体の高い力価の普遍的な存在によって定義される。これらの天然抗体のドナー組織内皮上の標的エピトープの結合は、HARにおいて開始事象であると信じられている。この結合に続いて、受容者血液でのドナー組織の灌流から数分以内に、補体活性化血小板およびフィブリン沈着が起こり、最終的には、ドナー器官において間隙浮腫および出血が起こり、その全ては受容者における組織の拒絶を引き起こす(非特許文献1)。

0004

ヒトにおける最も頻繁に移植される組織は骨である(非特許文献2)。合衆国単独において、100,000を超える骨移植またはインプラント手法が毎年行われて、外傷、感染、先天的奇形、または悪性疾患に由来する骨からなる欠陥を修復しまたは置き換えている。ヒト骨は、石灰化基底物質およびコラーゲン繊維細胞外マトリックス包埋された細胞よりなる固い結合組織である(Stedman’s Medical Dictionary,Williams & Wilkins,Baltimore,Md.(1995))。

0005

骨移植片およびインプラントは、しばしば、自家骨から形成される。しかしながら、特に子供における大きな欠陥用の移植可能な自家骨組織はしばしば入手できない。加えて、自家骨移植の結果、ドナー部位における疼痛、出血、創傷問題、化粧的不能、感染または神経損傷のような手術病的状態が起こり得る。さらに、移植された自家骨組織からの所望の機能的形状を作成することにおける困難性の結果、骨欠陥の最適な充填を下回りかねない。

0006

靭帯軟骨、皮膚、心臓組織および弁、および粘膜下組織のような軟組織もまたヒトに通常に移植される。構造の多く、および元の組織の特性の多くは、異種移植片材料の使用を通じて移植において維持できる。異種移植片組織は、ヒトにおける移植で安全なように処理できる場合、入手できる材料の限定されない供給を代表する。

0007

一旦個体に移植されれば、異種移植片は異種移植片の慢性および過剰急性拒絶のような免疫原性反応誘起する。この拒絶のため、骨異種移植片は骨折再吸収および癒着不能の増大した率を呈する。ヒトにおけるインプラントとしての、ブタ、ウシまたはヒツジのような動物組織の使用に対する主な免疫学的障害は、ヒトおよびサルにおける抗体のほぼ1%を含む、天然の抗−ガラクトースα1,3−ガラクトース抗体である。

0008

旧世界サル、類人猿およびヒトを除いて、ほとんどの哺乳動物はガラクトースα1,3−ガラクトースエピトープを含有する細胞表面上の糖蛋白質を有する(非特許文献3)。対照的に、ガラクトースα1,3−ガラクトースを含有する糖蛋白質はブタのような他の哺乳動物の細胞で大量に見出されている。ヒト、類人猿および旧世界サルはガラクトースα1,3−ガラクトースを有さず、大量に生産される天然に生じる抗−ガラクトースα1,3−ガラクトース抗体を有する(非特許文献4)。抗−ガラクトースα1,3−ガラクトース抗体は、ガラクトースα−1,3ガラクトースを担う糖蛋白質および糖脂質に特異的に結合する。

0009

哺乳動物における「α−1,3GTエピトープ」および抗−Gal抗体(すなわち、α−1,3ガラクトースを担う糖蛋白質および糖脂質に結合する抗体)のこの異なる分布は、先祖の旧世界霊長類およびヒトにおける不活化された(すなわち、突然変異された)α−1,3−ガラクトシドトランスフェラーゼを持つ種につき選択された進化過程の結果である。かくして、ヒトはα−1,3−GTの「天然ノックアウト」である。この事象の直接的な結果は、最初にHARを介してヒトに移植されたブタ器官の拒絶のような異種移植片の拒絶である。

0010

α−ガラクトシダーゼでのエピトープの酵素的除去(非特許文献5)、特異的抗−gal抗体の除去(非特許文献6)、α−1,3−GT発現を排除するのに失敗した他の炭水化物部位でのエピトープのキャッピング(非特許文献7および非特許文献8)および補体阻害性蛋白質の導入(非特許文献9、非特許文献10)を含めた、種々の戦略が、ブタ異種移植によって引き起こされた抗−Gal液性応答を排除または変調するために行われてきた。非特許文献11は、H−トランスフェラーゼトランスジェニックブタにおけるα−1,3−GTの競合的阻害の結果、エピトープの数の部分的低下のみが得られることを報告した。同様に、非特許文献12は、N−アセチルグルカサミニルトランスフェラーゼIIIトランスジェニックブタにおけるgalエピトープの発現をブロックする試みもまた、galエピトープの数の部分的低下のみをもたらし、霊長類受容者における移植片生存を有意に拡大しないことを報告した。

0011

Badylakらは、靭帯(上十字靭帯)および肩回旋腱板を修復するための結合組織移植片を含めた種々の組織移植片のために使用されるブタの小腸からの粘膜下組織を単離するプロセスを開発した。小腸粘膜下(SIS)材料は化学的および酵素的工程を用いて処理して、生きた細胞の組織をストリップし、宿主細胞内植および組織再生刺激する無細胞の細胞外マトリックスを得る(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。このプロセスは、現在、ヒト組織移植片で利用されている。しかしながら、化学的処理工程にもかかわらず、ガラクトースα1,3ガラクトース糖残基が移植片に包埋されたままであり、ヒト患者において免疫活性化および炎症を引き起こす(非特許文献13;非特許文献14)。

0012

Stoneらは、ブタ軟組織および骨組織を処理して、細胞材料を取り出すプロセス、続いての、移植に先立って組織からガラクトースα1,3−ガラクトースを除去するα−ガラクトシルシダーゼでの処理を開発した(非特許文献15;非特許文献16)。このプロセスは多数の特許出願の主題であり、それらは、上十字靭帯修復、半月修復、関節軟骨異種移植片、粘膜下異種移植片、骨および骨マトリックス異種移植片、心臓弁置換および軟組織異種移植片のような種々の適用のためのそのような組織の使用を議論している。例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13および特許文献14;米国特許出願第2002/0087211号明細書、米国特許第2001/0051828号明細書、米国特許第2001/0039459号明細書、特許文献15、特許文献16および特許文献17;および特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、および特許文献27参照。

0013

かくして、ヒトにおいて有害効果を引き起こさない組織移植片を提供する必要性が当該分野に存在する。

0014

非特許文献17は、野生型およびα−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼノックアウトマウスに移植されたブタ軟骨の遅延された拒絶が、軟骨におけるα1,2−フコシルトランスフェラーゼHTトランスジェニック)のトランスジェニック発現によって低下されることを報告している。

0015

ブタ細胞および生きた動物におけるα−1,3−GT遺伝子座の単一対立遺伝子ノックアウトが報告されている。非特許文献18は、ヒツジにおけるα−1,3−GT遺伝子の1つの対立遺伝子の標的化遺伝子欠失を報告した。非特許文献19は、異種接合性α−1,3−GTノックアウト体細胞ブタ胎児線維芽細胞の生産を報告した。2002年に、非特許文献20および非特許文献21は、α−1,3−GT遺伝子の1つの対立遺伝子が首尾よく不活性とされたブタの生産を報告した。非特許文献22は、HTおよびα−1,3−GTエピトープを発現した、ヒトα−1,2−フコシルトランスフェラーゼ(HT)をやはり発現する異種接合α−1,3−GTノックアウトブタの創製を報告した。

0016

Austin Research Instituteに対する特許文献28および特許文献29;Bresatecに対する特許文献30;およびBioTransplant,Inc.およびThe General Hospital Corporationに対する特許文献31、特許文献32、特許文献33および特許文献34は、(ゲノム組織化または配列の知識なしで)α−1,3−GT遺伝子のcDNAの知識に基づくα−1,3−GT陰性ブタ細胞の生産の議論を提供する。しかしながら、そのような細胞がこれらの出願の出願日に先立って現実に生産されたという証拠はなく、実施例は全て仮定であった。

0017

ヘテロ接合性α−1,3−GT陰性ブタ細胞の成功した生産の最初の公の開示がLake Tahoe Transgenic Animal Conferenceにおいて1999年7月に行われた(非特許文献23)。最近に至るまで、ホモ接合性α1,3GT陰性ブタ細胞の生産を誰も公表せず、公に開示しなかった。さらに、ブタ胚性幹細胞は今日まで利用できなかったため、α−1,3−GTホモ接合性胚性幹細胞を用いて、生きたホモ接合性α1,3GTノックアウトブタを調製することを試みる方法はなく、今も依然としてない。

0018

2003年2月27日に、非特許文献24は、α−1,3−GT遺伝子のノックアウトにつきホモ接合性の胎児ブタ線維芽細胞の成功した生産を示す報告を公表した。

0019

PLTherapeuticsに対する特許文献35は、核導入のための体細胞遺伝的修飾を記載する。この特許出願は、ブタ体細胞におけるα−1,3−GT遺伝子の遺伝子的破壊、および核導入のためのα−1,3−GT遺伝子の少なくとも1つのコピーを欠くこれらの細胞の核の引き続いての使用を開示する。

0020

Cooper & Korenに対する特許文献36は、シアリルトランスフェラーゼまたはフコシルトランスフェラーゼ蛋白質を発現する遺伝子工学により作成された哺乳動物のいずれの現実の生産も確認していない。該特許は、遺伝子工学により作成された哺乳動物が、哺乳動物の細胞表面でのガラクトシル化蛋白質エピトープの低下を呈すると主張する。

0021

The Curators of the University of Missouriに対する特許文献37は、異種移植で用いるヘテロ接合性α1,3GTノックアウトミニアチュアブタの生産を確認する。この出願は、一般には、破壊されたα−1,3−GT遺伝子を含むノックアウトブタに指向され、ここに、ノックアウトブタにおける機能的α−1,3−GTの発現は野生型と比較して減少している。この出願は、ブタが異種移植で有用なように、どの程度までα−1,3−GTが減少されなければならないかについてのいずれのガイダンスも提供していない。さらに、この出願は、生産されたヘテロ接合性ブタが、機能的α1,3GTの減少した発現を呈するいずれの証拠も提供していない。さらに、該出願はホモα1,3GTノックアウトブタに言及するが、いずれかが現実に生産された、または生産可能であった適用についての証拠はなく、ましてや、得られた子孫が異種移植で生存可能であり、または表現型的に有用であるという証拠はない。

0022

ガラクトースα1,3−ガラクトースを含有する糖蛋白質の全部の欠失は、異種移植についてのブタ動物の生産に対する明らかに最良アプローチである。α1,3GT遺伝子の双方のコピーの二重ノックアウト、または破壊は2つの方法:1)子孫を生じさせるための2つの単一対立遺伝子ノックアウト動物の育種、この場合、4つのうち1つが二重ノックアウトであるというメンデル遺伝学に基づいて予測するであろう、または2)予め存在する単一ノックアウトを持つ細胞における第二の対立遺伝子の遺伝的修飾によって生じさせることができることが理論的に可能である。事実、これは、ノックアウトブタ細胞についての最初の特許出願は1993年に出願されたが、最初のホモ接合性α1,3GTノックアウトブタは(ここに記載する)2002年7月に至るまで生産されなかったという事実によって示されるようにこれはかなり困難であった。

0023

トランスジェニックマウス(ブタではない)は、歴史的には、そのほとんどが、ブタ胚性幹細胞は入手できなかったが、マウス胚性幹細胞は入手できたというのではない、多数の理由で、哺乳動物病理学に対する遺伝子的修飾の効果を調べるのに好ましいモデルであった。マウスは基本的な研究適用のための理想的な動物である。なぜならば、それらは取り扱うのが比較的容易であり、迅速に生殖し、および分子レベルにおいて遺伝子的に操作することができるためである。科学者はマウスモデルを用いて、結腸癌〜精神的遅れまでの、種々の遺伝子的ベース病気分子病理を調べる。数千の遺伝子的に修飾されたマウスが今日までに作り出されている。マウスノックアウトおよび古典的突然変異についての表現型および遺伝子型情報包括データベースを供するために、「Mouse Knockout and Mutation Database(マウスノックアウトおよび突然変異データベース)」がBioMedNetによって作り出されており(http://research.bmn.com/mkmd;非特許文献25;非特許文献26)。このデータベースは、今日までにマウスゲノムにおいて標的化された、3,000を超えるユニークな遺伝子についての情報を提供する。

0024

マウスでのこの広範な実験に基づき、トランスジェニック技術がいくつかの重要な制限を有することが学習されてきた。開発の欠点のため、多くの遺伝子的に修飾されたマウス、特に、遺伝子ノックアウト技術によって作成されたヌルマウスは、研究者実験用のモデルを用いる機会を有する前にとして死亡する。たとえマウスが生存したとしても、マウスは、マウスを酷く不能、変形または衰弱させかねない、有意に改変された表現型を発生し得る(非特許文献27;非特許文献28;非特許文献29;非特許文献25;非特許文献26;http://research.bmn.com/mkmd)。さらに、与えられた遺伝子が生物の発生において臨界的な役割を演じるか否か、かくして、遺伝子の排除の結果、ノックアウトが首尾よく作り出され、生きた子孫が生産されるまで、致死的または改変された表現型がもたらされるか否かを予測するのは可能ではないことが学習された。

0025

マウスは、遺伝子的には、機能的α−1,3−GT発現を排除するように修飾されてきた。二重−ノックアウトα−1,3−GTマウスが生産されてきた。このマウスは発生的に活力があり、正常な器官を有する(非特許文献30;非特許文献31、また、特許文献38参照)。しかしながら、これらのマウスにおける2つの表現型異常は明らかであった。まず、全てのマウスは密な皮質部白内障を発生する。第二に、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子の排除はマウスの発生に有意に影響した。α−1,3−GT遺伝子についてヘテロ接合性であるマウスの接合は、予測されるメンデルの1:2:1の比率から有意に偏った遺伝子型比率を生じた(非特許文献31)。

0026

ブタは、マウスで見出されたよりも100〜1000倍高いガラクトースα1,3−ガラクトースを含有する細胞表面糖蛋白質のレベルを有する(非特許文献24;非特許文献32)。かくして、α1,3−GT活性はマウスよりもブタにおいてより臨界的かつより豊富である。

0027

予測および予言的陳述にかかわらず、誰も、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子の破壊が致死的であって、またはブタ発生に影響し、または改変された表現型をもたらすか否かを知らなかった(非特許文献33;非特許文献24;非特許文献34;非特許文献35)。事実、当該分野における多くの専門家は、ホモ接合性α−1,3−GTノックアウトブタが全く活力があり、正常には発生しそうにないか否かについての深刻な疑問を表した。かくして、生きた二重α−1,3−GTノックアウトブタが生産されるまで、該時点における当業者によると、(i)子孫が活力があったか否か、または(ii)子孫が、ヒトへの移植器官の使用を可能とする表現型を呈するか否かを判断することはできなかった。

0028

そのような関心は、二重ノックアウトブタが生産されるまで表された。2003年において、非特許文献36)は、異種移植において主な躍進を表した、α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの機能的発現も欠く最初の生きたブタの生産を報告した。

0029

Revivicor,Inc.によって出願された特許文献39は、α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの機能的発現も欠く、生きたブタ、ならびにそれに由来する器官、細胞および組織の成功した生産を記載する。Immerge Biotherapeutics,Inc.によって出願された特許文献40は、α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼノックアウトブタの生産をやはり記載する。

0030

米国特許第4,902,508号明細書
米国特許第4,956,178号明細書
米国特許第5,372,821号明細書
米国特許第5,865,849号明細書
米国特許第5,913,900号明細書
米国特許第5,984,858号明細書
米国特許第6,093,204号明細書
米国特許第6,267,786号明細書
米国特許第6,455,309号明細書
米国特許第6,683,732号明細書
米国特許第5,944,755号明細書
米国特許第6,110,206号明細書
米国特許第6,402,783号明細書
米国特許第5,902,338号明細書
米国特許第2003/0039678号明細書
米国特許第2003/0023304号明細書
米国特許第2003/0097179号明細書
国際公開第00/47131号パンフレット
国際公開第00/47132号パンフレット
国際公開第99/44533号パンフレット
国際公開第02/076337号パンフレット
国際公開第99/51170号パンフレット
国際公開第99/47080号パンフレット
国際公開第03/097809号パンフレット
国際公開第02/089711号パンフレット
国際公開第01/91671号パンフレット
国際公開第03/105737号パンフレット
国際公開第94/21799号パンフレット
米国特許第5,821,117号明細書
国際公開第95/20661号明細書
国際公開第95/28412号パンフレット
米国特許第6,153,428号明細書
米国特許第6,413,769号明細書
米国公開番号2003/0014770号明細書
国際公開第00/51424号パンフレット
米国特許第6,331,658号明細書
国際公開第03/055302号パンフレット
米国特許第5,849,991号明細書
国際公開第04/028243号パンフレット
国際公開第04/016742号パンフレット

先行技術

0031

Strahanら,Frontiers in Bioscience(1996)1,e34−41
J.M.Laneら,Current Approaches to Experimental Bone Grafting,18 Orthopedic Clinics of North America,1987年,(2)p.213
Galiliら,J.Biol.Chem.1988年,263:p.17755−17762
Cooperら,Lancet,1993年,342:p.682−683
Stoneら,Transplantation,1997年,63:p.640−645
Yeら,Transplantation,1994年,58:p.330−337
Tanemuraら,J.Biol.Chem.1998年,27321:p.16421−16425
Koikeら,Xenotransplantation,1997年,4:p.147−153
Dalmassoら,Clin.Exp.Immunol.1991年,86:p.31−35
Dalmassoら,Transplantation,1991)52:p.530−533
Costaら,FASEB J,1999年,13,1762
Miyagawaら,J Biol.Chem,2001年,276,p.39310
Allmanら,Transplantation,2001年,71,p.1631−1640
Mcphersonら,Tissue Engineering 6,2000年,(3),p.233−239
Stoneら,Transplantation,1997年:63:p.646−651
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Denningら,Nature Biotechnology,2001年,19:p.559−562
Harrisonら,Transgenics Research,2002年,11:p.143−150
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Ramsoondarら,Biol of Reproduc,2003)69,p.437−445
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Galiliら,Transplantation,2002年,69:p.187−190
Ayaresら,Graft,2001年,4(1)p.80−85
Porter & Dallman Trasplantation(1997年,64:p.1227−1235
Galili,U.Biochimie,2001年,83:p.557−563
Phelpsら,Science,2003年,299:p.411−414

発明が解決しようとする課題

0032

従って、本発明の目的は、有意な拒絶を引き起こすことなくヒトに移植することができる組織生産物を提供することにある。

0033

本発明のもう1つの目的は、整形外科的再構築および修復、皮膚の修復および内部組織修復をヒトで用いるための動物からの組織を提供することにある。

課題を解決するための手段

0034

(発明の要旨)
本発明は、異種移植片として用いられる機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの組織生成物である。該組織は骨のような硬い組織、または皮膚のような柔軟な組織であり得る。この硬いおよび柔軟な組織は、例えば、整形外科的再構築および修復、皮膚の修復および/または内部組織修復のために使用される補綴として用いることができる。該動物はウシ、ブタまたはヒツジのような反芻動物または有蹄動物であり得る。特定の実施形態において、該動物はブタである。α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、ブタ、ウシまたはヒツジのような出生前新生、または未成熟または十分に成熟した動物から得ることができる。該組織は、ヒト組織修復のような動物において用いられる本明細書中に記載された方法に従って調製することができる。

0035

本発明の実施形態において、得られたα−1,3−GT酵素がもはや細胞表面でガラクトースα1,3−ガラクトースを生じさせることができないように、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が不活性とされている組織が提供される。1つの実施形態において、α−1,3−GT遺伝子はRNAに転写できるが、蛋白質には転写されない。別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子は不活性な切形形態で転写させることができる。そのような切形RNAは翻訳できないか、または非機能的蛋白質に翻訳することができる。代替実施形態において、α−1,3−GT遺伝子は、遺伝子の転写が起こらないように不活化させることができる。

0036

本発明の1つの実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子が遺伝子的標的化事象を介して不活化された組織が提供される。本発明の別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が遺伝子的標的化事象を介して不活化された動物からの組織が提供される。該遺伝子は相同組換えを介して標的化することができる。他の実施形態において、該遺伝子は破壊することができ、すなわち、遺伝子暗号の一部を改変することができ、それにより、該遺伝子のそのセグメントの転写および/または翻訳に影響させることができる。例えば、遺伝子の破壊は置換、欠失(「ノックアウト」)または挿入(「ノックイン」)技術を介して起こり得る。存在する配列の転写を変調する所望の蛋白質または調節配列についてのさらなる遺伝子もまた挿入することができる。

0037

本発明の1つの実施形態として、α−1,3−GT遺伝子において少なくとも1つの点突然変異を有する動物からの組織が提供される。そのような動物は抗生物質耐性遺伝子を含まず、かくして、ヒトで用いるためのより安全な生成物を作成する潜在能力を有する。かくして、本発明の別の実施形態は、ネオマイシンピューロマイシン、ヒグロマイシン、ゼオシン、hisD、またはブラスチシジンのような、抗生物質耐性または他の選択マーカー遺伝子を有しないホモ接合性α−1,3−GTノックアウトからの組織である。1つの実施形態において、この点突然変異は遺伝子的標的化事象を介して起こり得る。別の実施形態において、この点突然変異は天然で生じ得る。さらなる実施形態において、突然変異は突然変異形成剤を介してα−1,3−GT遺伝子において誘導することができる。1つの特定の実施形態において、該突然変異はα−1,3−GT遺伝子のエクソン9の第2の塩基におけるT−G間への突然変異であり得る(図2;Phelpsら,Science 299:411−414(2003)参照)。他の実施形態において、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも10または少なくとも20の点突然変異を存在させて、α−1,3−GT遺伝子を不活性とすることができる。他の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が、機能的α−1,3−GTのいずれの発現も妨げる点突然変異を含有する組織が提供される。特定の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子においてエクソン9の第二の塩基においてT−G間への突然変異を含む組織が提供される。さらなる実施形態において、1つの対立遺伝子は遺伝子的標的化事象によって不活化され、他の対立遺伝子は、α−1,3−GT遺伝子のエクソン9の第二の塩基におけるT−G間点突然変異の存在により不活化される。特定の実施形態において、1つの対立遺伝子がエクソン9に向けられた標的化コンストラクトを介して不活化され、他の対立遺伝子がα−1,3−GT遺伝子のエクソン9の第二の塩基におけるT−G間点突然変異の存在により不活化される動物からの組織が提供される(図2;Phelpsら,Science 299:411−414(2003)参照)。

0038

さらなる実施形態において、硬いまたは柔軟な組織が、やはりさらなる遺伝子的修飾を含有することができるα−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物から得ることができる。そのような遺伝子的修飾は他の遺伝子の付加および/または欠失を含んで、拒絶を妨げ、創傷治癒を促進し、および/または(例えば、プリオンまたはレトロウイルスのような)望まない病原体を最小化し、または排除することができる。

0039

1つの実施形態において、該組織は(動物から直接的に取り出された)その「天然」形態で用いることができる。別法として、組織はさらなる処理または修飾に供することができる。本発明の特定の実施形態において、本明細書中に記載された動物または組織に由来する脱細胞化組織が提供される。他の実施形態は、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物から組織を調製し得る方法およびプロセスを提供する。

0040

ある実施形態において、組織を調製するプロセスは、全ての生きた細胞をストリップし、または殺す工程(脱細胞化)を含むことができ、後に、組織修復および再形成、ならびに架橋および滅菌のための処置のために使用される無細胞マトリックスまたは足場のみが残る。特定の実施形態において、本明細書中に開示された動物に由来するいずれかの脱細胞化された硬いまたは柔軟な組織が提供される。1つの実施形態において、脱細胞化柔軟皮膚組織が提供される。別の実施形態において脱細胞化粘膜下組織が提供される。他の実施形態において、そのような脱−細胞化材料は免疫原性を低くすることができる。さらなる実施形態において、そのような脱−細胞化組織は足場またはマトリックスとして用いて、特定のヒト身体部分を修復および/または再構築することができる。1つの実施形態において、脱細胞化組織は、限定されるものではないが、以下のヘルニア腹部壁、回旋腱板、美容整形、または当業者に知られた、もしくは本明細書中に開示されたいずれかの他の柔軟な組織の欠陥を含めた修復で用いることができる。特定の実施形態において、粘膜下および皮膚脱細胞化材料が提供される。

0041

組織および組織の源はさらに修飾または処理して、創傷治癒を促進し;(プリオンおよびレトロウイルスのような)感染症伝播のような望まない病原体を最小化し、または排除し;成長因子を加えて、組織再構築を促進し、組織を滅菌し、および/または組織の生化学的または物理的特性を改良することができる。そのような処理はアルコールまたは過酸化物処理のように化学的、酵素および/またはガスへの暴露紫外線照射、またはγ照射のような機械的または物理的とすることができる。

0042

別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、さらなる機械的強度を供するために、または受容者患者への他の利益のために、プラスチック、(限定されるものではないが、ステンレス鋼およびチタンを含めた)金属のような他の不活性材料と組み合わせることができる。

0043

別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、移植された材料の部位へ受容者の細胞を動員させるように働く足場として用いることができる。この足場は細胞外マトリックス(ECM)成分を含有することもでき、そのようなECM成分は、所望により、α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物に由来することができる。別法として、例えば、移植された組織が、置き換わりつつある、または修復しつつある組織の同一の生物機械的機能を行うように、組織を完全な組織代替物として用いることができる。さらなる実施形態において、組織は、移植に先立って(化学的におよび/または機械的に)予めコンディショニングして、移植に続く組織の運動の最適な範囲を可能とし、または受容者についての「カスタムフィット」を可能とし、またはそうでなければ最適な生物学的または生物機械的特性を供することができる。

0044

本発明の1つの実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織を整形外科的再構築および修復で用いることができる。そのような組織は結合組織、腱、靭帯、筋肉、軟骨、骨および骨誘導体を含む。1つの実施形態において、組織は上十字靭帯(ACL)または後十字靭帯(PCL)代替物のような膝修復で用いることができる。別の実施形態において、組織は骨−腱−骨移植片、回旋腱板修復のために、または縫合プラグとして用いることができる。骨組織は全または部分的骨代替物骨プラグ骨スクリューまたは骨チップ(骨チップがペーストとして調製することができる製剤を含む)として用いることができる。また、骨組織が歯周適用のために、または脊髄スペーサーとして用いることもできる。

0045

さらなる実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織は皮膚修復で用いて、例えば、皮膚の深い組織火傷を修復することができる。皮膚組織は、限定されるものではないが、皮膚または表皮組織またはその誘導体を含む。

0046

本発明の別の実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織は腹部壁修復、ヘルニア修復、心臓弁修復または置換、美容整形/修復、顎顔面修復のような内部組織修復において、婦人科学または泌尿器組織の修復、および硬膜修復のために用いることができる。内部組織は心臓周辺組織、心臓弁および粘膜下組織を含む。1つの実施形態において、粘膜下組織を用いて、結合組織を修復し、または置き換えることができる。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物に由来する、組織生成物を含む補綴。
(項目2)
前記組織が硬い組織である、項目1に記載の補綴。
(項目3)
前記組織が柔軟な組織である、項目1に記載の補綴。
(項目4)
前記動物が有蹄動物である、項目1に記載の動物。
(項目5)
前記有蹄動物がブタ動物である、項目4に記載の動物。
(項目6)
前記硬い組織が骨またはその断片または誘導体である、項目2に記載の補綴。
(項目7)
前記柔軟な組織が皮膚、真皮、粘膜下、靭帯、腱および軟骨またはその断片もしくは誘導体よりなる群から選択される、項目3に記載の補綴。
(項目8)
前記組織が硬い組織および柔軟な組織の組合せである、項目1に記載の補綴。
(項目9)
前記組織が骨−腱−骨移植片である、項目8に記載の組織。
(項目10)
α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物に由来する、脱細胞化組織生成物。
(項目11)
前記動物が有蹄動物である、項目9に記載の組織。
(項目12)
前記動物がブタ動物である、項目10に記載の組織。
(項目13)
前記組織が柔軟な組織である、項目9に記載の脱細胞化組織。
(項目14)
前記柔軟な組織が真皮組織である、項目9に記載の組織。
(項目15)
前記柔軟な組織が粘膜下組織である、項目9に記載の組織。
(項目16)
前記粘膜下組織が小腸から由来する、項目11に記載の組織。
(項目17)
足場としての、項目9に記載の組織の使用。
(項目18)
ヒト身体の一部を再構築し、または修復するための、α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物に由来する、組織生成物の使用。
(項目19)
前記動物が有蹄動物である、項目18に記載の組織。
(項目20)
前記動物がブタ動物である、項目18に記載の組織。
(項目21)
前記組織がヒト整形外科的再構築または修復のために使用される、項目18に記載の組織の使用。
(項目22)
回旋腱板修復のための、項目21に記載の組織の使用。
(項目23)
骨、腱、靭帯および軟骨よりなる群から選択される組織の修復または再構築のための、項目21に記載の組織の使用。
(項目24)
前記組織が骨−腱−骨移植片である、項目21に記載の組織の使用。
(項目25)
前記組織がヒト皮膚修復のために使用される、項目18に記載の組織の使用。
(項目26)
前記組織がヒト軟組織の修復のために使用される、項目18に記載の組織の使用。
(項目27)
前記組織が脱細胞化される、項目18に記載の組織の使用。
(項目28)
前記組織が、ヒト身体の一部を再構築または修復するための足場として使用される、項目27に記載の脱細胞化組織の使用。

図面の簡単な説明

0047

図1は、胎児680B1−4からの細胞に対する補体の相対的溶解効果を示すグラフである。
図2は、トキシンAによって選択された点突然変異が起こるα−1,3−GT遺伝子のコーディング領域の短いセグメントを示す(GenBankAcc.No.L36152)を示す。上側の配列は野生型で起こり;下側の配列は第二の対立遺伝子における点突然変異による変化を示す。
図3はウシα1,3GTのUDP結合部位三次元モデルの表示である。チロシン残基(表面,白色)の芳香族環はUDP(灰色スケール)のウラシル塩基近接して観察することができる。
図4は、2002年7月25日に生まれた、本発明の方法によって生産されたホモ接合性α−1,3−GT欠損クローン化ブタの写真である。
図5は、α−1,3−GTKOマウスにおける子ブタ小島様細胞クラスター(ICC)の注射前および後における抗−α−1,3−GALIgMレベルを示すグラフである。各マウスは4日間にわたる腹腔内を介する三回の系列的ICC注射(注射当たり200〜500ICC)を受けた。野生型(WT)子ブタICCの全ての3匹の受容体は、抗−α1,3gal IgM力価の有意な上昇およびICCインプラントから4週間後におけるベースラインへの引き続いての復帰を示した。α−1,3−GT DKO子ブタICCを注射した全ての3匹のマウスからの血清は、35日の観察時間の間に抗−α−1,3−gal IgM力価の低いベースライン値を維持した(Phelpsら,Science 299:411−414,2003,図S4)。
図6は、α−1,3−GTノックアウトベクターにおける5’および3’アームとして用いることができるα−1,3−GTゲノム配列に対応するブタα−1,3−GT遺伝子座、および相同組換え後における標的化された遺伝子座の構造のダイアグラムである。3’PCRおよび長い範囲のPCRで用いるプライマー名称および位置は短い矢印によって示される。短い棒線は、α−1,3−GTサザーンブロット分析で用いるプローブを示す。内因性α−1,3−GT遺伝子座およびα−1,3−GT標的化遺伝子座双方についてのBstEI消化でのサザーンバンドの予測されるサイズも示される。
図7は、膝の解剖学外観を提供する。この図は、反射位置における右側膝の前面図を示す。

0048

(詳細な説明)
本発明は、異種移植片として用いられる機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの組織生成物である。該組織は骨のような硬い組織、または皮膚のような柔軟な組織であり得る。この硬いおよび柔軟な組織は、整形外科的再構築および修復、皮膚修復、および内部組織修復のような異種移植で用いることができる。該動物はウシ、ブタまたはヒツジのような反芻動物または有蹄動物であり得る。特定の実施形態において、動物はブタである。α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、ブタ、ウシまたはヒツジのような誕生前、新生、未成熟、または十分に成熟した動物から得ることができる。

0049

本発明の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の対立遺伝子は、得られたα−1,3−GT酵素が細胞表面にもはやガラクトースα1,3−ガラクトースを生じさせることができないように不活性とされる。

0050

α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、ブタ、ウシまたはヒツジのような、誕生前、新生、未成熟、または十分に成熟した動物から得ることができる。1つの実施形態において、組織は(動物から直接摘出した)その「天然」形態で用いることができる。別法として、組織はさらなる処理または修飾に供することができる。

0051

本発明の1つの実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織は、整形外科的再構築および修復で用いることができる。さらなる実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織は皮膚の修復で用いることができる。本発明の別の実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織は内部組織の修復で用いることができる。

0052

定義
本明細書中で使用される場合、(例えば、「遺伝子的に修飾された(または改変された)動物」などにおいて)用語「動物」は、特に限定されるものではないが、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、シカラバウマ、サル、イヌネコラット、マウス、鳥類ニワトリ爬虫類魚類および昆虫を含めた任意の非−ヒト動物を含むことを意味する。本発明の1つの実施形態において、遺伝子的に改変されたブタおよびその生産方法が提供される。

0053

本明細書中で使用される場合、「器官」は組織化された構造であり、これは1つまたは複数の組織よりなることができる。「器官」は1つまたは複数の特異的生物学的機能を行う。器官は、限定されるものではないが、心臓、肝臓腎臓膵臓甲状腺および皮膚を含む。

0054

本明細書中で使用される場合、「組織」は細胞、およびそれらを囲う細胞内物質を含む組織化された構造である。「組織」は、単独でまたは他の細胞または組織と組み合わされて、1つまたは複数の生物学的機能を行うことができる。組織は硬いまたは柔軟な組織であり得る。「組織生成物」は、組織および/または本明細書中に記載された組織断片またはその組織誘導体を含む。「組織生成物」を用いて、ヒト組織を置き換えまたは修復することができる。そのような「組織生成物」は、本明細書中に記載された方法に従って、限定されるものではないが、脱細胞化のように修飾することができる。

0055

本明細書中で使用される場合、用語「ブタ」、「ブタ動物」は、性別、サイズまたは育種に関することなく同一タイプの動物をいう総称用語である。

0056

本明細書中で使用される場合、用語補綴または補綴デバイスとは、身体修復のための適切な形態に作り上げられた硬いまたは柔軟な組織をいう。1つの実施形態において、修復されるべき身体はヒト身体である。他の実施形態において、哺乳動物身体部分は修復された、例えば、ウマ、イヌ、ネコまたは他の家畜動物であり得る。

0057

I.組織のタイプおよび調製
α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、ブタ、ウシまたはヒツジのような誕生前、新生、未成熟、または十分に成熟した動物から得ることができる。

0058

1つの実施形態において、組織は(動物から直接摘出された)その「天然形態」であり得る。別の実施形態において、組織はさらなる処理または修飾に供することができる。組織および組織の動物源はさらに修飾または処理して、創傷治癒を促進し;(プリオンおよびレトロウイルスのような)感染症伝播のような望まない病原体を最小化し、または排除し;成長因子を加えて、組織再形成を促進し、組織を滅菌し、および/または組織の生物機械的または物理的特性を改良することができる。

0059

1つの実施形態において、処理のタイプは酵素的および/またはガスへの暴露、エチレンオキサイド処理、プロピレンオキサイド処理、ガスプラズマ滅菌、過酢酸滅菌、紫外線照射、またはγ線照射のように化学的、機械的または物理的であり得る。本発明の方法は、単独で、または組み合わされて、照射での処理、1つまたは複数のサイクル凍結および解凍化学的架橋剤での処理、アルコールまたはオゾン化での処理を含む。1を超えるこれらの処理を異種移植片に適用する場合、処理はいずれの順序で行ってもよい。

0060

1つの実施形態において、異種移植片組織は、紫外線照射への暴露、例えば、約15分間の紫外線照射への暴露によって処理することができる。別の実施形態において、組織はγ線照射に暴露することができる。組織は0.5メガラド、1.0メガラド、1.5メガラド、2.0メガラド、2.5メガラド、3.0メガラド、3.5メガラド、4.0メガラド、4.5メガラド、5.0メガラド、7.0メガラド、10メガラド、15メガラドもしくは20メガラド、または約0.5〜3メガラド、または1.5〜2.0メガラドの量のγ線照射に暴露することができる。さらなる実施形態において、異種移植片はオゾン化に供することができる。他の実施形態において、組織は滅菌についての認められた標準に従って処理することができる。例えば、American National Standard,ANSI/AAMI/ISO 11137−1994、医療製品の滅菌−有効化およびルーチン的管理のための要件照射滅菌、1994、American National Standard,ANSI/AAMI ST32−1991、γ線照射滅菌についてのガイドライン、1991、Scholla,M.H.and Wells,M.E.「産業滅菌におけるトラッキング傾向」 Medical Device and Diagnostic Industry,September 1997,pp.92−95,AAMI推奨される実務−「医療機器のγ線照射滅菌についてのプロセス制御ガイドライン」,ISBN No.0−910275−38−6,pp.7−21,1984,American National Standard,ANSI/AAMI/ISO 11137−1994,医療製品の滅菌−有効化およびルーチン的制御−照射滅菌についての要件、1994、American National Standard,ANSI/AAMI ST32−1991,γ線照射滅菌についてのガイドライン、1991、American National Standard、AMSI/AAMI ST31−1990、医療機器の電子線照射滅菌についてのガイドライン、1990、Genova,Hollis,Crowell and Schady,「産業γ線照射滅菌生産バッチの滅菌を有効化するための手法」,Journal of Parenteral Science and Technology,Volume.41,No.1,pp.33−36,Jan 1987,およびGaughran and Morrissey,「医療製品の滅菌」,Volume 2,ISBN−0−919868−14−2,pp.35−39、1980参照。

0061

別の実施形態において、異種移植片組織はアルコール溶液に浸漬処理することができる。限定されるものではないが、フェノールヘテロ芳香族アルコールエタノールメタノールプロパノールメチル−プロパノール、イソプロピルアルコール2−プロパノールシクロブタノール、1,2−エタンジオール、4,4−ジメチル2−ペンタノール、4−ペンテン−2−オール、4−アミノ−3−イソプロピルヘキサノール、5−メルカプト−2,4−シクロヘキサジエノールのような第一級アルコール第二級アルコール第三級アルコールポリオール高級アルコール芳香族アルコールを含めた、いずれかのアルコール溶液を用いてこの処理を行うことができる。アルコール溶液は10%、20%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%アルコールであり得る。例えば、イソプロパノールの70%溶液。アルコール溶液は(ほぼ20〜30℃または25℃のような)室温にて、または(ほぼ0〜20℃のような)低温で用いることができる。

0062

さらなる実施形態において、異種移植片組織は凍結/解凍サイクルによって処理することができる。例えば、異種移植片組織は凍結のいずれかの方法を用いて凍結することができる。1つの実施形態において、凍結していない組織を含む内部の温かいスポットが残らないように、組織は完全に凍結される。1つの実施形態において、異種移植片組織は一定の時間液体窒素に浸漬することができる。組織は少なくとも約1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分または15分浸漬することができる。別の実施形態において、異種移植片は凍結することができる。例えば、組織はフリーザーに入れることができるか、あるいは0℃以下の温度に組織を暴露することができる。次いで、凍結/解凍サイクル処理の次の工程において、異種移植片組織は、適切な溶液、例えば、等張生理食塩水浴中での浸漬によって解凍することができる。浴の温度は約25℃のようなほぼ室温であり得る。組織は解凍を可能とする時間、例えば、少なくとも5分、少なくとも10分または少なくとも15分生理食塩水浴に浸漬することができる。他の実施形態において、組織は凍結−解凍処理に先立って、またはその間に低温保護剤で処理することができる。

0063

なおさらなる実施形態において、異種移植片は化学剤に暴露して、細胞外マトリックス内の蛋白質をなめし、または架橋させることができる。任意のなめしまたは架橋剤もこの処理で用いることができ、1を超える架橋剤工程を行うことができるか、または1を超える架橋剤を用いて、高度な架橋を達成することができる。架橋剤は、例えば、以下の方法で:1つの生体分子上のアミン基を第二の生体分子上のチオール基カップリングさせ、生体ポリマーアミン間に架橋を形成することによって、アミンおよびチオールを架橋させ、アミンおよびカルボン酸またはチオールおよびカルボン酸の間に架橋を形成することによって作用することができる。

0064

1つの実施形態において、グルタルアルデヒドホルムアルデヒドパラホルムアルデヒドホルマリンアルデヒドアジピックジアルデヒドのようなアルデヒド、酸性pHにおけるなめしなどを用いて、組織の細胞外マトリックス内のコラーゲンを架橋することができる。別の実施形態において、脂肪族および芳香族ジアミンカルボジアミドジイソシアネート、および当業者によって知られた他の物質を架橋剤として用いることができる。1つの実施形態において、異種移植片組織はグルタルアルデヒドで処理することができる。例えば、組織は、少なくとも0.25%、0.5%、1%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%または20%または約0.05%〜約5.0%;約1%〜3%または約2%〜7%グルタルアルデヒドを含有することができる緩衝溶液に入れることができる。この溶液は約7.4、7.5または7.6のpHを有することができる。リン酸緩衝化生食塩水またはトリスヒドロキシメチルアミノメタンのようないずれかの適切な緩衝液を用いることができる。別の実施形態において、異種移植片組織は蒸気形態の架橋剤で処理することができる。1つの実施形態において、架橋剤は、例えば、気化されたホルムアルデヒドのような気化されたアルデヒド架橋剤であり得る。1つの実施形態において、組織は少なくとも0.25%、0.5%、1%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%または20%または約0.05%〜約5.0%;約1%〜3%または約2%〜7%の濃度の気化された架橋剤に暴露することができる。別の実施形態において、気化された架橋剤のpHは約7.4、7.5または7.6であり得る。別の実施形態において、組織は少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15または少なくとも16日の間架橋剤で処理することができる。特定の実施形態において、組織は3、4または5日間架橋剤で処理することができる。

0065

架橋剤は、限定されるものではないが、ジチオスレイトール(DTT、D−1532)、トリス(2−カルボキシエチルホスフィン(TCEP、T−2556)、トリス−(2−シアノエチル)ホスフィン(T−6052)、スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオプロピオネート(SPDP、S−1531)、スクシンイミジルアセチルチオアセテート(SATA、S−1553)、メルカプトトリプトファン、組み合わせたSPDP/DTT、組み合わせたSPDP/TCEP、ジブロモマン(D−1379)、BODIPYFLビス−(メチレンヨードアセトアミド)(D−10620)、ビス−((N−ヨードアセチル)ピペラジニルスルホンローダミン(B−10621)、ビス(イミドエステル)、ビス(スクシンイミジルエステル)、ジイソシアネート、二酸塩化物、ビス−(4−カルボキシピペリジニル)スルホンローダミン、ジ(スクシンイミジルエステル)(B−10622)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDAC、E−2247)、6−((アクリロイル)アミノ)ヘキサン酸のスクシンイミジルエステル(アクリロイル−X、SE;A−20770)、およびストレプトアビジンアクリルアミド(S−21379、セクション7.5)を含めた群から選択することもできる。

0066

別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織はプラスチック、生体ポリマー、および(限定されるものではないが、ステンレス鋼およびチタンを含めた)金属のような他の不活性な材料と組み合わせて、さらなる機械的強度または他の適用利益を受容者患者に供することができる。生体ポリマーは、限定されるものではないが、セルロースアルギン酸キトサン、コラーゲン、エラスチリ、およびレツクリンおよびそのアナログ、およびその混合物を含む。

0067

他の実施形態において、補綴はさらにポリマーおよびセラミックのような合成材料を含むことができる。適切なセラミックは、例えば、ヒドロキシアパタイトアルミナ黒鉛および熱分解炭素を含む。適切な合成材料は、酷い脱水に耐えることができないヒドロゲルおよび他の合成材料を含む。異種移植片は合成ポリマーならびに精製された生物学的ポリマーを含有することもできる。これらの合成ポリマーはメッシュに織って、または編んで、マトリックスまたは同様な構造を形成することができる。別法として、合成ポリマー材料は適切な形態に成型または注型することができる。

0068

適切な合成ポリマーは、限定されるものではないが、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリエステルポリスチレンポリアクリレートビニルポリマー(例えば、ポリエチレンポリテトラフルオロエチレンポリプロピレンおよびポリ塩化ビニル)、ポリカルボネートポリウレタンポリジメチルシロキサンセルロースアセテートポリメチルメタクリレートエチレンビニルアセテートポリスルホンニトロセルロースおよび同様なコポリマーを含む。デキストランヒドロキシエチル澱粉ゼラチン、ゼラチンの誘導体、ポリビニルピロリドンポリビニルアルコールポリ[N−(2−ヒドロキシプロピルメタクリルアミド]、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(イプシロンカプロラクトン)、ポリ乳酸ポリグリコール酸、ポリ(ジメチルグリコール酸)、ポリ(ヒドロキシテレート)、および同様なコポリマーのような生体再吸収性ポリマーを用いることもできる。これらの合成ポリマー材料はメッシュに織って、または編んで、マトリックスまたは基剤を形成することができる。別法として、合成ポリマー材料は適切な形態に成型または注型することができる。

0069

生物学的ポリマーは天然に生じ得るか、あるいは醗酵などによってイン・ビトロで、あるいは組換え遺伝子工学によって生産することができる。組換えDNA技術を用いて、実質的にあらゆるポリペプチド配列を作成し、次いで、増幅し、蛋白質を細菌または哺乳動物細胞いずれかで発現させることができる。精製された生物学的ポリマーは製織製編、注型、成型、押出し、細胞整列および磁気整列のような技術によって適切に基材に形成することができる。適切な生物学的ポリマーは、限定されるものではないが、コラーゲン、エラスチンケラチン、ゼラチン、ポリアミノ酸多糖(例えば、セルロースおよび澱粉)およびそのコポリマーを含む。

0070

1つの実施形態において、組織は、例えば、移植された組織が、置き換えられまたは修復される組織と同一の生物機械的機能を行うように完全な組織置換として用いることができる。さらなる実施形態において、組織は移植に先立って(化学的におよび/または機械的に)予めコンディショニングして、移植に続いて最適な範囲の組織の運動を可能とし、または受容者について「カスタムフィット」を可能とすることができる。さらなる実施形態において、組織は後に記載するようにさらに処理および/または加工して、脱細胞化製品を形成することができ、これは、例えば、一旦移植されると足場として用いることができる。

0071

A.組織の再構築、修復および/または置換
本発明の1つの実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織を外科的適用で用いることができる。1つの実施形態において、組織は整形外科的再構築および修復で用いることができる。そのような組織は結合組織、腱、靭帯、筋肉、および軟骨のような柔軟な組織、ならびに骨および骨誘導体のような硬い組織を含む。1つの実施形態において、組織は前十字靭帯(ACL)または後十字靭帯(PCL)置換のような膝修復で用いることができる。別の実施形態において、組織は骨−腱−骨移植片、回旋腱板修復で、または縫合プラグとして用いることができる。骨組織は全または部分的骨置換、骨プラグ、骨スクリューまたは骨チップ(骨チップがペーストとして調製できる製剤を含む)として用いることができる。骨組織は歯周適用、美容、および/または顎顔面再構築のために用いることもできる。組織は脊椎修復のための脊髄スペーサーとして用いることもできる。組織は、小骨鼓膜槌骨付の鼓膜、骨プラグ、側頭骨肋骨軟骨および硬膜のような耳の組織を置き換えるのに用いることもでき、所望により、内耳の再構築に用いることもできる。

0072

1.骨組織
1つの実施形態において、本発明は、動物からの骨の少なくとも一部または骨の全ピースを摘出して、異種移植片を供することを含む、ヒトへの移植または植付け用の骨異種移植片を調製する方法を提供する。

0073

骨は任意の非−ヒト動物から収穫して、本発明の異種移植片を調製することができる。1つの実施形態において、骨はウシ、ヒツジまたはブタ動物から得ることができる。別の実施形態において、骨は未成熟なブタ、子または子から得られる。より若い動物の骨はより格子構造骨よりなり、一般には、より老齢の動物の骨よりも脆くはない。別の実施形態において、骨は6月齢〜18月齢の間の動物から得られる。

0074

無傷骨部分は動物の骨から摘出することができる。骨は新たに殺した動物から収集することができる。別法として、骨は生きた動物から外科的に摘出することができる。摘出される骨は、限定されるものではないが、前、側または後ろのような頭蓋環椎、軸、典型)、(上、下)、(上、下、側)、仙骨胎盤胸郭胸骨、肋骨、上側端骨、肩甲骨腹側、後側、鎖骨上腕骨(前または後)、橈−尺骨(前または後)、手(後側または)、大腿骨(前または後)、脛骨腓骨(前または後)および/または足(後側または側方)を含むことができる。1つの実施形態において、摘出の後、骨は適切な滅菌等張または他の組織維持溶液に入れることができる。動物の屠殺後における骨部分の収穫は屠殺後できる限り早く行うことができ、冷温度で行うことができる。例えば、約5℃と約20℃、約0℃と約20℃、約0℃と約10℃、または約0℃と約25℃との間。

0075

次いで、異種移植片組織を滅菌した、所望により冷たい水中で洗浄して、残存する血中蛋白質および水溶性物質を除去することができる。1つの実施形態において、次いで、異種移植片組織を前記したもののような条件下でアルコールに浸漬することができる。異種移植片は前記したもののような化学的、機械的または生物学的処理に供することができる。

0076

1つの実施形態において、収穫された骨部分は切断してストリップまたはブロックとすることができる。別の実施形態において、収穫された骨は、限定されるものではないが、骨ダボ、脊椎スペーサー、骨プラグ、骨チップ、骨スクリュー、骨セメント、D−形スペーサーおよび皮質リングを含めた骨移植片のいずれかの有用な配置とすることができる。ストリップ、ブロックまたは他の骨移植片は、格子構造骨が皮質骨に付着するように作成することができる。別法として、ストリップ、ブロックまたは他の骨移植片は、格子構造骨が皮質骨に付着しないように作成することができる。

0077

骨セメントおよび骨プラグ
本発明の他の実施形態において、機能的α−1,3−GTのいずれの発現も欠く動物からの骨セメントおよび骨プラグが提供される。

0078

骨セメント組成物インプラント材料の結合または固定において、ならびに損傷した天然骨強化において有用である。そのような適用は、例えば、整形外科、歯科および関連医療分野の領域で有用である。整形外科の分野は骨の骨折、骨腫瘍および他の病気による骨欠陥を扱う。治療は骨の全てまたは一部の外科的切除を必要とし得る。歯科適用においては、顎骨の欠損は歯の摘出、癌または他の病気に由来し得る。インプラント材料は、そのような骨欠陥の切除後に残る骨を修復しまたは再構築するのに有用である。そのような手法の間に用いられるインプラント材料は金属、セラミックおよびポリマーであり得る。骨セメントは他のインプラント材料に加えて用いて、インプラントを残りの生きた骨に結合し、付着させることができる。例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)は整形外科におけるハードウェア機器で広く用いられてきた。

0079

慣用的PMMA骨セメントは40年以上にわたって整形外科処置で用いられてきたが、理想からは程遠い。なぜならば、PMMA骨セメントは、1)骨内植を刺激せず、2)骨皮質よりも弱い備品(implement)であり、および3)高い発熱およびモノマー毒性を有するためである。かくして、本発明は、骨セメントに処方することができる、前記したもののような、マトリックス材料を提供する。そのような骨セメントは、人工生体材料(例えば、インプラント材料)を付着させるのに迅速な硬化時間および/または化学的結合を呈することができる。このセメントはイン・ビボ生体活性を呈し、機械的強度を維持し、適切な固さおよび弾性によって特徴付けることができ、および/またはその物理的および化学的効果を通じて骨質量を改善する。骨セメントは粉末および液体成分を含むことができる。1つの実施形態において、粉末相材料および液体相材料を含む、生体活性骨セメントが粉末−液体相で提供される。別の実施形態において、2つの別々のペースト材料を含む生体活性骨セメントがペースト−ペースト相で提供される。加えて、ここに提供される骨セメント材料は、PMMA骨セメントのような他のタイプの骨セメント成分と組み合わせることができる。骨セメントはシリンジを介する注入を通じるようないずれかの慣用的方法で用いることができる。本発明の骨セメントは、例えば、シリンジでの注入を介する脊髄外科的処置で用いることができる。シリンジ注入は、シリンジおよびより大きなボアニードルの使用を介する最小限に侵入的送達技術を提供する。また、シリンジ注入は、骨セメントが置換のその領域に正確に適合するのを可能とする。加えて、骨セメントまたはペーストは、限定されるものではないが、骨形態形成蛋白質(BMP)を含めた成長因子またはサイトカインと組み合わせることができる。

0080

骨プラグは、長骨における管の永久的または一時的ブロッキングで用いることができる。内部補綴または人工関節、例えば、骨における人工補綴の固定のために、補綴のステムを、骨セメントが充填された長骨の脊髄内管に挿入する。骨セメントが管中にステムの固定に必要以上に突き出るのを妨げ、および骨セメントがステムおよび骨の骨内膜壁の間にのみ存在するのを確実とし、および脊髄内管へさらに骨セメントがリークするのを防ぐために、ステム直下の管を骨プラグでブロックする(例えば、米国特許第6,669,733、第6,494,883号参照)。

0081

骨プラグは、広い範囲のサイズにて、かつ種々の高さ−直径比率を有するように成型して、広い範囲の軟骨置換状況に適応することができる。骨プラグは多角形または円形断面であり得る。例えば、プラグ平坦円板から円筒の範囲の形状を有する丸いデバイスであり得る。骨置換プラグまたは複数プラグを移植すべき位置、修復すべき骨欠陥のサイズ、および該欠陥の切除によって、あるいは軟骨置換プラグを移植すべきキャビティーのいずれかで引き続いての外科的輪郭形成によって最初に形成されたボイドキャビティーのサイズおよび形状のような種々の因子を各適用で考慮することができる。

0082

骨セメントプラグも用いることができ、そのようなデバイスは当該分野で良く知られている。骨セメントプラグは骨セメントディスペンサーと組み合わせて用いて、補綴デバイスをその骨管中に固定する前に骨管に骨セメントを圧縮することができる。その例として、骨セメントプラグは骨セメントディスペンサーと組み合わせて、人工尻の大腿ステムを管中に固定する前に大腿の脊髄内管に骨セメントを圧縮することができる。より詳しくは、尻および肩代替物のような全関節置換外科的処置において、骨セメントを用いて、補綴デバイスのステムを関節の骨の脊髄管に固定することができる。この点に関して、一般に、骨セメントが、補綴デバイスのステムが骨管に位置する前に骨管に十分にパッキングできる場合、補綴デバイスは骨管によりしっかりと固定されるであろうことが見出されている。1つの例において、骨管の最初の調製および洗浄の後、管の末端側部分を一般にはプラグで閉塞することができる。骨セメントプラグは骨セメントの骨管の末端側部分への制御されない流動を制限するように働くことができる。1つの特定の実施形態において、骨セメントプラグは骨セメントのカラムを補綴のステムの末端側先端を約1〜2cmを超えて制限することができる。プラグが骨管の末端側部分に設定された後、長いノズルを有する骨セメントディスペンサーを用い、骨セメントをプラグに隣接する閉塞された骨管の最も末端側部分に注入することができる。次いで、セメントがノズルから出るにつれ、骨管の末端側端部から骨管の基部側端部へ骨セメントのノズルを引っ込めることによって、骨管に骨セメントを後退して充填することができる。そのような後退充填は骨管の最も末端側部分において空気を捕獲するのを回避するのを助けることができる。骨管が骨セメントで充填された後、次いで、骨管加圧器を骨セメントディスペンサーに連結することができる。加圧器を骨の開いた端部に対してプレスして、骨管の基部側端部を閉塞することができる。次いで、より多くのセメントを加圧器を介してかつ加圧下で骨管に注入することができる。そのような圧縮下で、骨管中のセメントは骨管を規定する骨壁の内側表面の間隙に進入する。その後骨セメントが固まると、セメントおよび骨壁の内側表面の凹凸の間にミクロインターロックを確立することができる。これは骨管中の補綴デバイスの固定を有意に増強することができる。

0083

1つの実施形態において、骨セメントプラグは骨管中の所望の深さに配置するのが容易であり、その骨管を閉じるのに効果的であり得、骨セメントプラグは引き続いて除去する必要がある場合、骨管の末端側端部から取り出すのが容易であり得る。

0084

種々の骨セメントプラグが当該分野で知られている。例えば、米国特許第4,245,359号;第4,276,659号;第4,293,962号;第4,302,855号;第4,344,190号;第4,447,915号;第4,627,434号;第4,686,973号;第4,697,584号;第4,745,914号;第4,936,859号;第4,950,295号;第4,994,085号;第5,061,287号;第5,078,746号;第5,092,891号;第5,376,120号;第4,011,602号;第4,523,587号;第4,904,267号、第6,299,642号、第6,306,142号および第5,383,932号、およびWO 94/15544参照。

0085

骨プラグを移植するための外科的技術は、損傷の部位の穴をドリリングまたは切断することによって損傷した骨組織を除去し、この穴に骨プラグを装着することを含むことができる。外科的機器を用いて、機能的α−1,3−GTのいずれの発現も欠く動物からのドナー部位から骨プラグを収穫または摘出することができる。次いで、骨プラグを受容者部位の予め形成された穴にインプラントすることができる。慣用的収穫機器は末端側端部に切断エッジを有するチューブを含むことができる。プラグを摘出するためには、機器をドナー部位の骨へと駆動し、それと共に骨組織のプラグを取って取り出すことができる。

0086

骨スクリュー
別の実施形態において、機能的α−1,3−GTのいずれの発現も欠く動物から由来する骨スクリューが提供される。

0087

骨骨折を低下させる1つの方法は、すなわち、伝統的ギブス不適切または非現実的であることが判明し得る場合に、特に関節に隣接するものに当てはまるように、骨折が高度に臨界的領域に統合され、または皮膚組織に対する酷い損傷を含む骨折が治療されるのを可能とする外部固定機器を用いることであり得る。通常は複雑な構成であって、偶然の状況のほとんど予測できないことに適合させる種々の配置で供給されるそのようなデバイスは、これらの部分の骨材料中にしっかりと固定されるスクリューを用いて、破壊された骨の各非損傷部分に固定される対向端部を有する。かくして、例えば、脛骨骨折の場合において、対応する(脛骨)固定デバイスの対向端部は骨折した領域を横切って締め付けられる。他の場合において、のような関節を骨折が含む場合、対応する外部固定デバイスの骨スクリューは脛骨および距骨に固定される。

0088

外部固定デバイスを締め付け、かくして、デバイスの有効性を確実とするための骨スクリューは、適切なドライバーによる係合用に設計されたスクリューヘッド、および通常は該ヘッドから反対端部のスクリュー先端に向けてテーパーが付されたねじ付部分を有するスクリューシャンクを含むことができる。スクリューヘッドは、スクリューシャンクの片側で回る、スクリュー軸に平行に延びるフラットで形成することができる。骨スクリューは、該スクリューが挿入できる骨の特定のサイズおよび形状に適したように種々の長さとすることができる。

0089

脊髄スペーサー
本発明の他の実施形態において、機能的α−1,3−GTのいずれの発現も欠く動物からの脊髄のいずれかの成分が提供される。そのような成分は、限定されるものではないが、脊髄スペーサー、椎間円板性核および/または線維輪を含む。

0090

脊髄融合は、痛い脊髄運動、および構造的変形、外傷不安定性変性不安定性、および切除後医原性不安定性のような障害のための脊髄柱の安定化を供することが示される。融合、または関節固定は、隣接運動セグメントの間の骨性ブリッジの形成によって達成される。これはディスク空間内で、連続椎骨体間に前方に、または脊椎の連続横方向突起、板または他の後実施形態の間に後方に達成することができる。成功した融合は、骨原性または骨潜在細胞、細胞の存在、適切な血液の供給、十分な炎症応答、および局所骨の適切な調製を必要とする。

0091

融合または関節固定手法を行って、椎間円板を含む異常を治療することができる。隣接脊椎末端プレートの間に位置する椎間円板は脊髄を安定化し、脊椎およびクッション脊椎体の間の力を分配する。正常な椎間円板は半ゼラチン様成分、線維輪と呼ばれる外側の繊維状リングによって囲まれ、拘束される髄性核を含む。健康な非損傷脊髄において、線維輪は円板空間外側に髄性核が突出するのを防ぐ。

0092

脊髄円板は外傷、病気または老化により置き換わり、または損傷され得る。線維輪の破壊は髄性核が脊椎管に突き出るのを可能とし、これはヘルニアまたは破壊された円板と通常はいわれる疾患である。押し出された髄性核は脊髄神経圧迫し得、その結果、神経の損傷、疼痛、痺れ感、筋肉弱化および麻痺が起こり得る。椎間円板は通常の老化の過程または病気により劣化し得る。円板が脱水され、硬化するにつれ、円板の空間の高さは低下し、脊髄の不安定性、減少した移動性および疼痛に至る。これらの疾患に対する1つの治療は椎間板切除、または椎間円板の一部または全ての外科的除去、続いての、隣接する脊椎の椎体固定である。損傷した、または健康でない円板の除去は、円板空間が崩壊することを可能とすることができる。円板空間の崩壊は、酷い疼痛に加えて、脊椎の不安定、異常な関節メカニクス関節炎または神経損傷の未成熟発達を引き起こしかねない。椎間板切除および関節固定を介する疼痛除去は、円板空間の維持、および影響された運動セグメントの最終的な板固定を必要とする。

0093

骨移植片または脊椎スペーサーを用いて、椎間空間を充填して、円板空間崩壊を妨げ、円板空間を横切っての隣接脊椎の椎板固定を促進することができる。円板の除去後の椎間円板の空間を回復する多くの試みは金属デバイスに頼ってきた(例えば、米国特許第4,878,915号、第5,044,104号;第5,026,373号、第4,961,740号;第5,015,247号、第5,147,402号および第5,192,327号参照)。

0094

機能的α−1,3−GTの発現を欠く動物からの脊髄成分は、慣用的な方法に従って調製することができる。骨は動物から得ることができ、次いで、洗浄して組織および血液を取り出すことができる。骨はアルコールおよび過酸化物または前記した他の薬剤のような薬剤で処理して、細胞物質脂肪および非コラーゲン性蛋白質を除去することができる。骨物質を処理して、遊離コラーゲンを除去し、結合したまたは構造コラーゲンを残すことができる。遊離コラーゲンおよびいずれかの残存する脂肪を除去するための1つの剤はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。

0095

2.柔軟な組織
柔軟な組織は身体の他の構造および器官を連結し、支持し、または囲う。柔軟な組織は、例えば、関節皮膚または骨以外のいずれかの他の組織の周りの筋肉、腱、脂肪、血管、リンパ管、神経、組織を含む。

0096

結合組織、腱、半月、靭帯、筋肉および軟骨のような柔軟な組織は動物の関節から摘出することができる。組織の源は新たに殺した動物から収集することができる。別法として、組織は生きた動物から外科的に取り出すことができる。あらゆる関節が柔軟な組織として働くことができる。本発明の実施形態において、対応するドナー関節からの組織を用いて、異種移植片組織を作成することができる。例えば、大腿骨−脛骨(後膝後関節)関節からの軟骨を用いて、膝へ移植するための軟骨異種移植片を作成することができる。別の例において、ドナー動物の尻関節からの軟骨を用いて、ヒト尻関節のための軟骨異種移植片を作成することができる。

0097

1つの実施形態において、柔軟な組織は膝関節から摘出することができる。膝は、種々の運動を作り出すように相互作用する、空間的に相互関連した骨、靭帯、および軟骨構造を含む複雑な関節である。具体的には、大腿顆は、軟骨中央および側方半月を介して、脛骨の表面プラトーとで関節を成し、これらの構造の全ては種々の靭帯によって所定の位置に保持される。膝関節を安定化する実質的に4つの別々の靭帯がある(例えば、図7参照)。関節の片側には、関節の側間安定性のための安定材として働く中央副行靭帯(MCL)および側方副行靭帯(LCL)がある。MCLは、2つの靭帯構造、深いおよび表層成分から現実になるより広い靭帯であり、他方、LCLは別個の索−様構造である。関節の中央の前面部分には、前十字靭帯(ACL)がある。靭帯は脛骨上の大腿の非常に重要な安定材であって、脛骨が、敏活、跳躍および減速活動の間に前方に回転し、滑るのを妨げるように働く。ACLの直接背後には、その反対の後十字靭帯(PCL)がある。PCLは脛骨が後方に滑るのを妨げる。

0098

中央および側方半月は、プロテオグリカンから形成された基底物質内の、線維軟骨細胞と呼ばれる細胞、蛋白質コラーゲンの繊維の間隙マトリックスよりなる構造である。損傷していない半月は、正常な活動の間に反復される圧縮負荷にルーチン的に暴露される膝関節内の相互作用する骨表面のために適切な力の分配、安定化および潤滑を確保することによって膝のためにショック吸収を提供する。中央および側方半月のショック吸収機能の多くは、軟骨に固有弾性特性に由来する。半月が負傷、病気または炎症を通じて損傷される場合、関節炎の変化が、機能の引き続いての喪失と共に膝関節に起こる。

0099

膝の前十字靭帯(ACL)は、全ての反射位置における大腿からの脛骨の前変位抵抗するように機能する。ACLは過剰伸張に抵抗し、内部および外部脛骨回転の間に十分に延びた膝の回転安定性に寄与する。ACLは固有受容において役割を演じることができる。ACLは細胞、水、コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、エラスチンおよび他の糖蛋白質よりなる結合組織構造から構成される(例えば、Cyril Frank,M.D.et al.,Normal Ligament:Structure,Function,and Composition.Injury and Repair of the Musculoskeletal Soft Tissues,2:45−101)。構造的には、ACLは、外側大腿骨顆中央壁へと後上方に延びる脛骨の顆間隆起の前面における窪みに付着される。ACLの部分的または完全な裂傷は非常に普通であり、毎年米国において約30,000の外来患者手続きよりなる。

0100

関節軟骨は、ヒトおよび動物において連結する関節を形成する全ての骨の端部をカバーする。軟骨が線維軟骨細胞と呼ばれる細胞、およびコラーゲン繊維の細胞外マトリックス、ならびに種々のプロテオグリカンよりなる。軟骨は、力の分布についてのメカニズムとして、および骨の間の接触の領域における潤滑剤として関節で作用する。関節軟骨がなければ、応力集中および摩擦が、関節が運動を容易としない程度に起こる。関節軟骨の喪失は、通常、疼痛関節炎および減少した関節の運動に導く。成人における関節軟骨は天然では有意な程度まで再生しないため、一旦関節軟骨が破壊されると、損傷された成人関節軟骨が、歴史的には、修復、置換を含めた種々の外科的介入によって、または切除によって治療されてきた。

0101

1つの実施形態において、半月軟組織は、まず、膝蓋骨腱を横に切開することによって関節から摘出することができ、次いで、半月の角を接着する組織から切り離して自由とすることができる。所望により、少量の骨を角に付着したままとすることができ、例えば、骨プラグのような、骨の実質的に円筒プラグである。1つの特定の例において、骨プラグはほぼ直径が5ミリメートル×深さが5ミリメートルとすることができる。1つの実施形態において、半月滑膜接合を次いで突き止め、半月組織自体から離して、マトリックス材料を形成することができる。別の実施形態において、無傷の半月軟組織を移植用に用いることができる。

0102

別の実施形態において、関節軟骨軟組織を関節から摘出することができる。1つの実施形態において、軟骨下骨の小さな層を持つ関節軟骨の薄い皮を突き止め、ドナー関節から剃り落とすことができ、これはマトリックス材料を形成することができる。別の実施形態において、無傷関節軟骨軟組織を移植で用いることができる。

0103

さらなる実施形態において、前十字靭帯、後十字靭帯、側方副行靭帯または中央副行靭帯のような、靭帯軟組織を関節から摘出することができる。靭帯を取り出すためには、標準的な外科技術を用いて関節を切開することができる。1つの実施形態において、靭帯を、一旦または双方の端部に付着した骨のブロックと共に収穫することができる。1つの例において、実質的に円筒プラグを表す骨のブロックを靭帯と共に摘出することができ、骨プラグはほぼ直径が9〜10mm×ほぼ長さが20〜40mmとすることができる。別の実施形態において、靭帯は骨なくして収穫することができる。さらなる実施形態において、靭帯は骨なくして収穫し、次いで、接着組織から切開して離して、マトリックス材料を得ることができる。別の実施形態において、無傷の靭帯軟組織を移植で用いることができる。

0104

取り出しの後、組織を適切な滅菌等張または他の組織維持溶液に入れることができる。動物の屠殺後の組織の収穫は、屠殺後できるだけ早く行うことができ、冷温度で行うことができる。例えば、約5℃と約20℃、約0℃と約20℃、約0℃と約10℃、約0℃と約25℃との間。

0105

コラーゲン
別の実施形態において、本発明のコラーゲン組織を用いて、コラーゲン障害を治療することができる。異常な遺伝子またはコラーゲン蛋白質の異常なプロセッシングに由来するコラーゲン構造の変化の結果、ラーセン症候群壊血病骨形成不全およびエーレルス−ダンロー症候群のような多数の病気がもたらされる。エーレルス−ダンロー症候群は、現実には、生化学的かつ臨床的には別個の少なくとも10の別個の障害に関連した名称であるが、全ては、コラーゲンの構造における欠陥の結果として結合組織において構造的弱点を呈する。骨形成不全もまた1を超える障害を含む。少なくとも4つの生化学的にかつ臨床的に識別可能な障害が同定されており、その全ては多数の骨折および結果としての骨変形によって特徴付けられる。マルファン症候群がそれ自体を結合組織の障害として現し、異常なコラーゲンの結果と考えられていた。しかしながら、最近の証拠は、マルファンが、細胞外マトリックスの非−コラーゲン性ミクロフィブリルの一体的成分である細胞外蛋白質であるフィブリリンにおける突然変異に由来することを示している。

0106

軟骨プラグ
他の実施形態において、機能的α−1,3−GTの発現を欠く動物から得られた軟骨プラグが提供される。軟骨プラグを用いて、天然軟骨中のボイドを充填することができる。天然軟骨中のボイドは、外傷負傷または慢性病によるものであり得る。別法として、該プラグを用いて、流動可能ポリマーを軟骨下骨に繋留することができる。該プラグは任意のサイズ、形状、および所望の移植体に適した輪郭とすることもできる。該プラグは単独または複数で利用して、任意の適用でも任意のサイズのボイドも充填することができる。該プラグは、修復部位生理学的要件に適合する積層構造より形成することができ、あるいは積層構造を含むことができる。加えて、各プラグの周囲に隆起を形成して、周囲の軟骨、骨および/または隣接プラグへのその繋留を容易とすることができる(例えば、米国特許第6,632,246号参照)。

0107

軟骨プラグは多角形または円形断面とすることができる。多角形または円形断面は、1未満対1、ないし約20:1、約30:1または約40:1の高さ−対−直径比率を含むことができる。プラグは広い範囲のサイズであって、種々の高さ−対−直径比率を有するものに成型して、広い範囲の軟骨置換状況を受け入れることができる。例えば、プラグは平坦な円板ないし円筒の範囲の形状を有する丸いデバイスとすることができる。欠陥の切除によって最初に形成された、あるいは軟骨置換プラグを移植すべきキャビティーのいずれかの引き続いての外科的輪郭形成によって最初に形成された、軟骨置換プラグまたは複数プラグを移植すべき位置、修復すべき軟骨欠陥のサイズ、およびボイドキャビティーのサイズおよび形状のような種々の因子を、各特定の適用について考慮することができる。例えば、平坦化された円板形状を有する軟骨置換プラグデバイスはより高価であるが狭い欠陥に最も適しており、他方、大きな高さ−対−直径比率を有するデバイスは、より小さな表面積を有するが、軟骨および/または軟骨下骨層により深く伸びる欠陥に適している。

0108

本発明の軟骨プラグの表面を処理して、多孔性または粗くした表面を暴露することができる。プラグの表面を、粗くされ、またはテキスチャーを付与されるように処理することによって、細胞付着を増強することができ、細胞の移動および組織層成長異常を可能とする。適切な表面手触りでもって、得られた細胞は継続成長および内植を介してプラグ増強固定の表面に接着することができる。そのような細胞内植は、結局は、プラグとの骨界面に変換でき、望ましい特徴と考えられる。この変換において重要なのは、どのようにして負荷がデバイスから周囲の組織に移されるかである。プラグおよび周囲の組織の間の変形における大きなミスマッチは、フレキシブルではあるが、所望の固定を供しないプラグの周りの繊維状組織層に導きかねない。手触りのような多孔性は、バイオロジック固定を考慮する場合に重要かつ有益であり得る。

0109

縫合アンカー
本発明で提供される軟組織を用いて、縫合アンカーを形成することができ、これを用いて、関節再構築外科的処置および関節鏡外科手法の間に骨に形成された開口内の縫合を確実とすることができる。アンカーを骨に入れ、そうでなければ、密な骨材料に締め付けることができない縫合に連結することができる。そのような縫合アンカーを用いて、例えば、靭帯または腱を膝、肩および踝再構築および修復手術において骨に繋留することができる。骨アンカーの重要な属性は、挿入するのが容易であって、しっかりとした繋留を提供することである。外科処置後のアンカーの意図しない外れは深刻な有害な結果を有しかねず、よって、かなりの重要性が、付着された縫合によって適用される摘出または取り出し力に抵抗するアンカーの能力に置かれる(例えば、米国特許第4,738,255号、第4,013,071号、第4,409,974号、第4,454,875号、および第5,236,445号参照)。

0110

また、本発明は縫合を骨に繋留する方法を提供する。まず、骨にドリルで穴を開けることができる。次いで、骨アンカーの末端側を、最初に空けた穴に挿入することができる。長円形または卵形断面を持つロッドのような拡大機器を、アンカーの開いた基部側端部を通じて拡大チャンバーに挿入することができる。次いで、該機器を回転させて、該機器を機器が回転するにつれて壁と接触させることによって、骨アンカーの細長い穴を開けた基部側端部を拡大することができる。機器の長円形または卵形断面は、骨アンカーが機器と共に回転しないように、壁と接触させる前に旋回の少なくとも一部を通じて回転させることができる。1つの実施形態において、機器の末端側先端は拡大チャンバーの末端側端部における対応する凹所に存在する。該凹所は、そのまわりにロッドが回転してアンカーを拡大する固定されたピボット点を提供する。

0111

3.足場
ある実施形態において、組織を調製するプロセスは、全ての生きた細胞をストリップし、または殺して(脱細胞化)、後に、組織修復および再形成、ならびに所望により、架橋および滅菌のための処理のために使用される無細胞マトリックスまたは足場のみを残す工程を含むことができる。特定の実施形態において、いずれかの脱細胞化された硬いまたは柔軟な組織が提供され、これは本明細書中に開示された動物に由来する。1つの実施形態において、脱細胞化柔軟皮膚組織が提供される。別の実施形態において、脱細胞化粘膜下組織が提供される。他の実施形態において、そのような脱細胞化材料は免疫原性が低くすることができる。さらなる実施形態において、そのような脱細胞化組織は足場またはマトリックスとして用いて、特定のヒト身体部分を修復しおよび/または再構築することができる。1つの実施形態において、脱細胞化組織は、限定されるものではないが、以下のヘルニア、腹部壁、回旋腱板、美容整形または当業者に知られたもしくは本明細書中に開示されたいずれかの他の軟組織欠陥を含めた修復で用いることができる。特定の実施形態において、粘膜下および/または皮膚脱細胞化材料が提供される。

0112

本発明の1つの実施形態において、これらのα1,3GT動物に由来する組織を調達(収穫)し、次いで、さらに処理して、例えば、足場として用いる脱細胞化組織を形成することができる。1つの実施形態において、組織が、限定されるものではないが、安定化溶液での組織の処理、細胞およびいずれかの残存する抗原性組織成分を除去するための脱細胞化プロセス、酵素処理、組織の構造的一体性を改良し、またはいずれかの残存する抗原性組織成分を除去するための架橋、天然ウイルスを除去し、および/または不活化するための滅菌、および/または長期間の維持方法を含めた多工程プロセスに供することができる。1つの実施形態において、安定化溶液は適切な緩衝液、1つまたは複数の抗酸化剤、1つまたは複数の腫脹剤、抗生物質を含有することができ、1つまたは複数のプロテアーゼ阻害剤を含むことができる。

0113

他の実施形態において、脱細胞化組織を生じさせるための組織処理は、例えば、マトリックスを損傷することなく組織拒絶および移植片失敗に導きかねない細胞の除去を含むことができる。脱細胞化のプロセスは、組織をできる限り強い統合物であるが、より曲げやすいものとし、引っ張りおよび機能的特徴を保有し、移植片の接着、減少した感染および拒絶を妨げることを助け、および周囲の宿主組織の再形成を促進するという利点を有する。他の実施形態において、脱細胞化は、ある種の塩、界面活性剤または酵素、および/または真空加圧プロセスにおけるインキュベーションを含めた多数の化学的処理を用いて達成することができる。1つの実施形態において、界面活性剤はTriton X−100(Rohm and Haas Company of Philadelphia,PA)であり得る。ある実施形態において、Triton X−100は細胞膜を除去する。例えば、米国特許第4,801,299号参照。他の脱細胞化界面活性剤は、限定されるものではないが、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートおよびポリオキシエチレン(80)ソルビタンモノ−オレエート(Tween 20および80)、デオキシコール酸ナトリウム、3−[(3−クロルアミノプロピル)−ジメチルアミノ]−1−プロパンスルフォネートオクチル−グルコシドおよび/またはドデシル硫酸ナトリウムまたは当業者に知られたいずれかの他の界面活性剤を含む。別の実施形態において、酵素を用いて、脱細胞化を達成することができる。ある実施形態において、酵素は、限定されるものではないが、ジスパーゼII、トリプシンおよび/またはテルモシン、または当業者に知られたいずれかの他の酵素を含めた群から選択することができる。これらの酵素はコラーゲンおよび細胞間連結の異なる成分と反応することができる。例えば、ジスパーゼIIは、基底膜緻密層および基底膜アンカリングフィブリルの成分であるIV型コラーゲン攻撃することができる。別の例において、テルモシンは、ケラチノサイト基底層ヘミデスモソーム中のBulbous phemphigoid抗原を攻撃することができる。さらなる例において、トリプシンは細胞間のデスモソーム複合体を攻撃することができる。

0114

さらなるまたは別の実施形態において、脱細胞化異種移植片を化学剤に暴露して、細胞外蛋白質内の蛋白質をなめし、または架橋して、異種移植片に存在する免疫原性決定基をさらに減少させ、または低下させることができる。あらゆるなめしまたは架橋剤がこの処理で用いることができ、1を超える架橋工程を行うことができ、あるいは1を超える架橋剤を用いて、完全な架橋を確実とし、かくして、異種移植片の免疫原性を最適に低下させることができる。例えば、グルタルアルデヒト、ホルムアルデヒド、アジピックジアルデヒドなどのようなアルデヒドを用いて、細胞外コラーゲンを架橋させることができる。他の適切な架橋剤は脂肪族および芳香族ジアミン、カルボシイミド、ジイソシアネートなどを含む。別法として、異種移植片を、限定されるのではないが、例えば、気化されたホルムアルデヒドのごとき気化されたアルデヒド架橋剤を含めた蒸気形態の架橋剤に暴露することができる。架橋反応は、免疫原性決定基が異種組織から実質的に除去されるので継続すべきであるが、反応は、異種移植片の機械的特性の有意な変化に先立って終了すべきである。架橋剤は当業者に知られた、または本明細書中に記載されたいずれかの剤であり得る。

0115

特定の実施形態において、そのような柔軟な組織に由来するマトリックス材料を用いて、足場または補綴デバイスを形成することができる。マトリックス材料は乾燥した多孔性用量マトリックスに変換することができ、その一部を所望により架橋することができる。補綴デバイスの多孔性マトリックスは、半月線維軟骨細胞、内皮細胞、線維芽細胞、および細胞外マトリックスを通常占有し、ならびに細胞外マトリックス成分を合成し、沈積させる他の細胞のような細胞の内植を刺激する。コラーゲン、エラスチン、レツクリン、ソノアナログ、およびその混合物のような細胞外マトリックス線維マトリックス剤利用に加えることができる。これらの線維は、α−1,3−galのいずれの機能的発現も欠く動物から得ることもできる。1つの実施形態において、繊維はマトリックス全体をランダム配向させることができる。別法として、繊維はマトリックスを通じて、実質的に周方向に伸び、または実質的に径方向に伸びる向きをとることができる。マトリックスの繊維の密度は均一または不均一とすることができる。不均一配置においては、繊維の比較的高い密度は高応力の予測される点で確立することができる。

0116

マトリックス材料は前記した生体ポリマーのような他のタイプの材料を含むこともできる。マトリックス材料は、限定されるものではないが、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸デルマタン硫酸ヘパラン硫酸ヒアルロン酸、およびその混合物のようなグリコサミングリカン分子(GAG)を含むことができ、マトリックス材料の成分であり得る。加えて、マトリックス材料は繊維全体に分散したGAGを含有することができる。GAGは個々の分子としてマトリックス全体に均一に分散することができ、あるいはデバイスの異なる領域に種々の量で存在することができる。

0117

ある実施形態において、本明細書中に記載したα−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織から形成された足場は細胞外マトリックス(ECM)成分を含有することもできる。1つの実施形態において、そのようなECM成分は、α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物に由来することができる。細胞外マトリックス材料は、限定されるものではないが、皮膚、泌尿、膀胱または器官粘膜下組織を含めたいずれかの組織に由来することができる。足場は補綴デバイスとして機能することができる。足場は断片化ECM成分から合成することができ、あるいは好ましい実施形態においては、脱細胞化または天然組織の処理、かくして、生きた細胞の除去、および天然組織と同様な3−D構造−繊維配置を持つ予め形成された足場としてECMを後に残すことを介して誘導される。足場またはデバイスは、α−1,3−Galのいずれの機能的発現も欠く動物の軟組織から得られたマトリックス材料に由来することができる。軟組織は、限定されるものではないが、皮膚、器官粘膜下(すなわち、小腸粘膜下(SIS))、膝関節から取り出した側方半月、いずれかの関節から取り出した関節軟骨、靭帯および/またはアキレス腱のような腱を含むことができる。次いで、組織を後に記載するように処理して、生体適合性かつ生体再吸収性繊維のようなマトリックス材料を得ることができる。

0118

細胞外マトリックス(ECM)は、哺乳動物組織内に見出される細胞を囲みかつ支持する複雑な構造的存在である。ECMは結合組織とも言うことができる。ECMがコラーゲンおよびエラスチンのような構造蛋白質フィブリンフィブロレクチンおよびラミニンのような特殊化された蛋白質、およびプロテオグリカンで構成される。グリコサミノグリカン(GAG)は、ECMの極端に複雑な高分子量成分を形成する反復二糖単位の長い鎖である。これらの二糖単位はN−アセチル化ヘキソサミンを含有し、潤滑および架橋を提供する。GAGの例は、限定されるものではないが、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸およびヒアルロン酸を含む。

0119

コラーゲンは動物界で見出される最も豊富な蛋白質である。コラーゲンはECMを含む主な蛋白質である。少なくとも12のタイプのコラーゲンがある。I、IIおよびIII型は最も豊富であって、同様な構造のフィブリルを形成する。IV型コラーゲンは二次元小胞体を形成し、基底ラミナの主な成分である。コラーゲンは線維芽細胞によって圧倒的に合成されるが、上皮細胞もまたこれらの蛋白質を合成する。コラーゲンの基本的なより高次の構造は長くかつ薄い直径ロッド様蛋白質である。I型コラーゲンは、例えば、長さがほぼ300nm、直径が1.5nmであって、2つのα1(I)鎖および1つのα2(I)鎖よりなる3つのコイルサブユニットよりなる。各鎖は特徴的な右巻き三重螺旋にて相互のまわりに巻かれた1050のアミノ酸よりなる。螺旋ターン当たり3つのアミノ酸があり、3番目のアミノ酸ごとにグアニンがある。コラーゲンはプロリンおよびヒドロキシプロリンも豊富である。プロリンの嵩高いピロリドン環は三重螺旋の外側に存在する。コラーゲンの三重螺旋の側方相互作用の結果、概略50nm直径のフィブリルが形成される。コラーゲンのパッキングは、隣接分子がその長さのほぼ1/4変位する(67nm)ようなものである。このスタガードアレイ(staggered array)は、電子顕微鏡で観察することができる筋付効果を生じる。

0120

コラーゲンはプロコラーゲンと呼ばれるより長い前駆体蛋白質として合成される。I型プロコラーゲンはN−末端にさらに150のアミノ酸およびC−末端に250のアミノ酸を含有する。これらのプロ−ドメインは球状であって、多数の鎖内ジスルフィド結合を形成する。ジスルフィドはプロ蛋白質を安定化し、三重螺旋セクションを形成させる。コラーゲン繊維は小胞体(ER)およびゴルジ複合体において組立が開始される。シグナル配列は除去され、多数の修飾がコラーゲン鎖で起こる。特異的なプロリン残基はプロニル4−ヒドロキシダーゼおよびプロリル3−ヒドロキシダーゼによって加水分解され得る。特異的リシン残基もまたリシルヒドロキシダーゼによって加水分解される。プロリルヒドロキシダーゼは補因子としてのビタミンCに依存する。O−結合型グリコシル化もまたゴルジ通過の間に起こる。プロセッシングの完了に続いて、プロコラーゲンは細胞外空間分泌され、そこで細胞外酵素はプロ−ドメインを除去する。次いで、コラーゲン分子重合して、コラーゲンフィブリルを形成する。フィブリル形成に伴って、細胞外酵素リシルオキシダーゼによるある種のリシン残基の酸化が起こり、反応性アルデヒドが形成される。これらの反応性アルデヒドは2つの鎖の間で特異的な架橋を形成し、それにより、フィブリル中のコラーゲンのスタガードアレイを安定化する。

0121

フィブロネクチンの役割は、種々の細胞外マトリックスへ細胞を付着させることである。フィブロネクチンは細胞を、接着分子としてラミニンを含むIV型を除く全てのマトリックスに付着させる。フィブロネクチンは2つの同様なペプチド二量体である。各鎖は長さがほぼ60〜70nmであって、厚さが2〜3nmである。少なくとも20の異なるフィブロネクチン鎖が同定されており、これは単一フィブロネクチン遺伝子からの一次転写体の別のRNAスプライシングによって生起する。フィブロネクチンは、各々が、ヘパラン硫酸、コラーゲン(I、IIおよびIII型に対する別々のドメイン)、フィブリンおよび細胞−表面受容体のような異なる基質に対して高い親和性を持つ、少なくとも6つの密接に折り畳まれたドメインを含む。細胞−表面受容体−結合ドメインコンセンサスアミノ酸配列GDSを含有する。

0122

全ての基底ラミナは蛋白質およびGAGの共通の組を含有する。これらはIV型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、エンクチンおよびラミニンである。基底ラミナは、しばしば、IV型マトリックスと言われる。基底ラミナの成分の各々は、その上に存在する細胞によって合成される。ラミニンは細胞表面を規定ラミナに繋留する。

0123

1つの実施形態において、ECM成分または前記したその組合せのいずれかを用いて、足場を形成することができ、これは、所望により、補綴デバイスとして用いることができる。ECM−由来足場は、別法として、全ての細胞およびデブリスが除去され、後に、宿主細胞の動員および組織再生によく適した繊維パターンのECMを残すように、α1,3galノックアウトブタから組織の機械的、化学的または酵素的処理によって生産することができる。生体適合性かつ生体再吸収性繊維から製造された足場または補綴デバイスは、対象の骨の2つの間に配置された、および該2つを連結する領域に外科的にインプラントして、正常な運動および強度を提供することができる(例えば、外科的移植については、例えば、米国特許第6,042,610号、第5,735,903号、第5,479,033号、第5,624,463号、第5,306,311号、第5,108,438号、第5,007,934号および第4,880,429号参照)。補綴デバイスは再生組織用の足場として作用することができる。というのは、足場の物理的特徴は新しい組織の内植を刺激するためである。この結果、対象宿主身体領域コンポジット、および天然身体領域と実質的に同一なイン・ビボ外側表面輪郭を有する補綴デバイスがもたらされ得る。

0124

デバイスは2つの対象の骨の間の、および/または2つの対象の骨を連結させる領域に移植することができ、対象の身体の領域およびデバイスによって形成されたコンポジットは、治療すべき天然領域と実質的に同一なイン・ビボ外側表面輪郭を有することができる。デバイスは、(半月線維軟骨細胞、脊椎線維軟骨細胞などのような)線維軟骨細胞、線維芽細胞または軟骨細胞の内植に適合した生体適合性かつ部分的に生体再吸収性足場を確立することができる。内植下細胞と共に足場は該領域中の天然負荷力を支持することができる。

0125

別の実施形態において、(例えば、半月におけるセグメント欠陥のような)所望の形状をイン・ビボで有する補綴デバイスを製造する方法が提供される。該方法はα−1,3−galのいずれの機能的発現も欠く動物の組織から線マトリックス細胞を得、この生体適合性かつ部分的に生体再吸収性繊維マトリックスを所望の形状を規定する金型に入れることを含む(該金型は所望の身体領域を補うためのデバイスの外側表面を規定する)。次いで、繊維を凍結乾燥しおよび/または繊維が金型の形状を取るように化学的架橋剤と接触させることができる。別法として、成型が完了した後、金型中に形成された構造またはマトリックスを、その外側表面がセグメント欠点を補うように切断することができる。この方法は、半月におけるセグメント欠陥と相補的な外側表面輪郭を有するように適合したマトリックスを生じさせることができる。このタイプのマトリックスを移植して、半月のセグメント欠陥を修正し、または半月増強デバイスとして移植することができ、該マトリックスは、半月線維軟骨細胞の内植用の、および天然半月負荷力の支持用の生体適合性かつ少なくとも部分的に生体再吸収性の足場を確立することができる。

0126

4.硬いおよび柔軟な組織移植片
本発明の別の実施形態において、骨腱骨移植片が提供され、これは整形外科処置で有用であり得る。骨腱骨移植片は1つまたは複数の骨ブロック、および該骨ブロックに付着した腱を含有することができる。骨ブロックを切断して、固定スクリューを終了するのに十分な溝を供することができる。別法として、1つまたは複数の骨ブロックを含有する骨腱骨移植片が提供され、ここに、骨ブロックはジベルに予め形成され、腱は骨ブロックに付着される。骨腱骨移植片を得るための方法もまた提供され、それにより、それに付着された腱または靭帯を有する第一の骨プラグがまず切除され、次いで、それに付着した腱または靭帯を有する第二の骨プラグが切除され;従って、第一の骨プラグおよび第二の骨プラグは連続骨ストックに由来し、第一の骨プラグまたは第二の骨プラグの切除が、他方に続いて切除される骨プラグ中に溝を形成するように重ねられる。

0127

他の実施形態において、腱および一つの骨ブロックを含有する骨腱骨移植片が提供される。腱は骨の周りでループを形成して、腱、骨、腱層を作り出し、これは、縫合で所定の位置に保持することができる。これは、移植体を締め付けるための固定で利用できる腱の二つのトレーリング部分を含有することもできる。このタイプの移植片は、プーリータイプの様式で反対向き力をバランスさせるために腱運動に関連する天然の周期クリークすることによって組織故障を引き起こしかねない剪断を減少させつつ組織強度を増大させることができる。

0128

5.皮膚修復
本発明のさらなる実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織を皮膚修復で用いることができる。

0129

皮膚は三つの層:表皮、真皮、および皮下層に分けることができる。表皮は、底部から出発して頂部A:基底細胞層、有棘層顆粒層および角質層の四つの層に分けられる。

0130

表皮の基底細胞層は、表皮における他の細胞およびメラノサイト、すなわち、皮膚にその色を与えるメラニンをつくる細胞に分けられ、それに分化する基底細胞を含有する。有棘層は基底細胞層の上にあり、ケラチノサイト、すなわち、蛋白質ケラチンを作る細胞よりなる。ケラチンは、角質層ならびに毛髪および爪の重要な成分である。顆粒層における細胞は平坦化され、かつ排出され、上に存在する角質層と一緒に細胞を保持する「セメント」を供する暗い顆粒を含有する。真皮のこの最も上側の層は、現実には、皮膚に対する主な物理的バリアーを形成するケラチンが満たされた死滅した細胞の密にパッキングされた層よりなる。角質層は、身体の他の部分よりもより毎日の疲労および引き裂きに耐える掌および足底のように領域においてより厚い、また、真皮は、感染に対して皮膚の防御の一部として作用するランゲルハンス細胞を含有する。真皮−表皮接合は表皮が真皮に出会う場所である。基底膜ゾーンはこれらの二つの層の間の「」として働く。

0131

真皮は上方乳頭状真皮および下方網様真皮に分けられる。真皮の構造的成分はコラーゲン、弾性繊維、および下地物質を含む。神経および血管もまた真皮を通る。皮膚付属器官はエクリンおよびアポクリン汗腺毛包皮脂腺、および爪である。爪を除く、全ての皮膚付属器官は真皮に位置する。

0132

エクリン腺からのの放出は身体を冷却するプロセスである。汗は真皮中のコイル状細管中で生産され、真皮を通って汗ダクトによって輸送され、分泌される。全身体表面は約2〜300万のエクリン汗腺を有し、10Lまでの汗を一日当たり生産させることができる。

0133

ヒトにおいては、アポクリン汗腺は公知の機能を働かせず、恐らくは我々の先祖にとって有用な痕跡と見なされている。それらは主としての下および泌尿器領域に位置する。エクリン汗のように、アポクリン汗もまた真皮におけるコイル状細管中で生産されるが、アポクリンダクトは、それから皮膚表面に到達する毛包に汗を排出する。

0134

毛髪はケラチン、すなわち、爪および表皮の頂部層(角質層)を形成する同一物質よりなる。毛髪の根に位置する異なる細胞はケラチンおよびメラニンをつくり、これは毛髪にその色を与える。ヒトは2つのタイプの毛髪:産毛(明るくかつ細い)および終末毛(暗くかつ太い)を有する。皮脂腺は、毛包の管に排出されて、皮膚の表面に到達する皮脂と呼ばれる油状物質を分泌する。毛包およびその関連皮脂線はともに毛皮ユニットと呼ばれる。毛包は、掌および足底を除く身体の任意の箇所に分布している。ヒトにおいては、毛髪はかなり装飾的であるが、保護機能も発揮する。眉毛および睫毛は眼を埃および太陽から保護し、他方、の毛は鼻から異物をブロックする。頭髪いくらか断熱を提供する。

0135

皮脂腺は皮脂と呼ばれる油状物質を生産する。それらは頭皮、顔、および上体の皮膚で最も顕著であり、掌および足底には存在しない。毛皮脂ユニットの一部として、皮脂腺は皮脂を分泌し、これは毛包管に排出され、最終的には、皮膚の表面に至る。皮脂腺は、青春期の間に、増大したホルモンレベル、特にアンドロゲンに応答して、サイズが増加し、かつより多くの皮脂を生産する。それらはざ瘡の発達で重要な役割を演じる。

0136

皮下層は真皮および下にある筋膜被覆筋肉の間に存在する。この層は、繊維状中隔によって分けられたアジポサイト脂肪細胞)の群よりなる。皮下層は3つの主な機能を発揮して:冷気から身体を断熱し、外傷を吸収し、より深い組織のクッションとなり、および身体の貯蔵燃料のための貯蔵庫として作用する。

0137

爪は真皮に位置せず、その代わり、指および足指の末端に位置する唯一の皮膚付属器官である。爪プレートは死滅したケラチンよりなり、これは約0.3〜0.65mmの厚みの硬い保護構造を形成する。ケラチンは、表皮細胞を分割することによって爪マトリックス中に形成される。爪床表皮層であり、これは爪プレートの底部にしっかりと付着している。爪の血管は爪にそのピンク色を与える。基部側爪は折り畳まれ、またはクチクラは感染を引き起こす生物から爪のベースを保護する。爪は一日当たり0.1mmの平均速度で成長し、足指爪指爪よりもゆっくりと成長する。

0138

さらなる実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織は皮膚修復で用いることができる。限定されるものではないが、表皮組織、基底細胞層、有棘層、顆粒層、角質層、皮膚組織、上方乳頭皮膚組織、下方網様皮膚組織、コラーゲン、弾性繊維、下地物質、エクリン腺、アポクリン腺、毛包、皮脂層、爪、毛髪および皮下組織を含めた、そのような動物に由来する皮膚成分のいずれかの成分または組合せを用いることができる。そのような組織を用いて、ヒト皮膚を置き換え、例えば、皮膚の深い組織火傷を修復することができる。

0139

皮膚組織は、限定されるものではないが、真皮または表皮組織またはその誘導体を含む。皮膚の下には、脂肪皮下組織がある。1つの実施形態において、皮膚異種移植片は表皮を含むことができる。別の実施形態において、皮膚異種移植片は表皮および真皮を含むことができる。真皮は可変厚み、例えば、1mm、5mm、10mmまたは20mmで提供することができる。加えて、表皮、真皮および皮下組織を含有する皮膚移植片が提供される。1つの実施形態において、表皮、真皮および皮下組織を含有する皮膚移植片を用いて、骨領域の上にある、または腱の上の皮膚を置き換えることができる。

0140

別の実施形態において、(例えば、表6に記載されているように)皮膚組織はその天然形態にて、または脱細胞化様式で、回旋腱板の修復または置換、腹部内壁修復、婦人科学または泌尿器系組織修復のための足場として、靭帯または腱を修復し、または置き換えるためのプロセスの一部、または他の軟組織適用として用いられる。皮膚組織異種移植片は永久的代替物とすることができるか、あるいは患者が新しい皮膚を再度成長させることができるまで一時的代替物として用いることができる。1つの実施形態において、皮膚移植片は一時的代替物として用いることができる。一時的皮膚代替物部分的厚みの火傷を治癒し、創傷治癒を促進し、感染を防止することができ、患者が再構築外科的処置で十分なように健康でない場合、用いることができる。別の実施形態において、永久的皮膚移植片が提供される。

0141

さらなる実施形態において、異なるタイプの皮膚異種移植片が提供される。1つの実施形態において、移植片は分裂−厚み移植片である。分裂−厚み移植片は表皮の一部のみを持つ真皮を含有することができ、火傷または大きな創傷で用いることができる。別の実施形態において、移植片は全−厚み移植片である。全厚み移植片は表皮および真皮を含むことができ、これを用いて小さな領域を被覆することができる。さらなる実施形態において、移植片は有茎皮弁または移植片であり得る。有茎皮弁または移植片は表皮、真皮および皮下組織を含むことができる。有茎皮弁または移植片を用いて、創傷、あるいは骨、腱、または神経損傷を修復するためのさらなる手術を必要とし得る他の領域を被覆することができる。

0142

6.内部組織修復
本発明の別の実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織を、ヘルニア修復、腱プーリー、グライディング表面、血管吻合、心臓弁修復または置換および硬膜修復のような内部組織修復で用いることができる。内部組織が心臓周辺組織、心臓弁および粘膜下組織を含む。1つの実施形態において、粘膜下組織を用いて、結合組織を修復し、または置換することができる。

0143

別の実施形態において、異種移植片組織は、動物器官の粘膜下組織、好ましくはα1,3GTノックアウトブタからの器官粘膜下組織に由来する離層セグメントから調製される。好ましい実施形態において、粘膜下組織は動物の腸組織に由来する。該セグメントは、一般には筋層粘膜および緻密層を含めた粘膜下組織および粘膜下組織の基底組織を含むことができる。粘膜下組織および基底粘膜組織は筋層、および腸組織のセグメントの粘膜層管腔部分から離層させることができる。この処理の結果、管状で、非常に靭性で、繊維状でコラーゲン状の材料である三層腸組織を得ることができる。(例えば、米国特許第4,902,508号および第4,956,178号参照)。別の実施形態において、この組織は、例えば、400および600ポンドの体重である雌豚のような成熟動物から摘出される。三層腸セグメントを用いて異種移植片を形成することができるか、あるいは異種移植片は縦方向または横方向に切断して、細長い組織セグメントを形成することができる。いずれかの形態において、そのようなセグメントは中間部分、および反対末端部分、および反対側方部分を有し、これは、外科的に許容される技術を用いて、存在する生理学意的構造への外科的付着のために形成することができる。(米国特許第5,372,821号参照)。関連実施形態において、柔軟な組織は真皮または皮膚組織に由来し、これは形成されまたは切断し、存在する生理学的構造への外科的付着のために用いることができる。

0144

別の実施形態において、本発明は、ヒトへの移植用の柔軟な組織を調製し、または加工する方法を提供する。組織の無傷部分は動物のいずれかの組織から取り出すことができる。1つの実施形態において、無傷心臓を動物から取り出すことができ、次いで、心臓弁組織を切除することができ、または心臓周辺部分を収穫することができる。他の実施形態において、組織は、限定されるものではないが、上皮、結合組織、血液、骨、軟骨、筋肉、神経、アデノイト、脂肪、輪紋、骨、色脂肪、格子構造、筋肉、カータジニアス(Cartaginous)、海綿軟骨様クロム親和性肉様膜様、弾性、上皮、脂肪、線維ヒアリン、繊維状、ガムジ(Gamgee)、ゼラチン状顆粒化、腸−関連リンパ様ホーラー(Haller)血管、硬造血系未分化、間隙、被覆、島、リンパ管、リンパ系間葉中腎、粘膜結合性、多眼脂肪、ミエロイドネジオン柔軟、腎形成性、節、骨性、骨形成性、骨状、歯根端周囲、網様、網状、ゴム状、骨格筋平滑筋、および皮下組織を含むことができる。

0145

1つの実施形態において、組織は新たに殺した動物から収集することができる。別法として、組織は生きた動物から外科的に取り出すことができる。1つの実施形態において、取り出した後、組織を適切な滅菌等張または他の組織維持溶液に入れることができる。動物の屠殺後における組織の収穫は屠殺後できるだけ早く行うことができ、冷温度で行うことができる。例えば、約5℃と約20℃、約0℃と約20℃、約0℃と約10℃または約0℃と約25℃との間。収穫された組織および弁は隣接する組織から切除して離すことができる。1つの実施形態において、組織または心臓弁またはその部分は接着性組織、プラークカルシウム沈着などから切除して離すことができる。別法として、組織または弁は周囲の組織の部分と共に切開することができる。

0146

1つの特定の実施形態において、三尖弁は別々の小葉として切り出すことができる。別の実施形態において、三尖弁は、房室オリフィスおよび腱様索を囲う繊維状リングを含めた無傷弁として摘出することができる。別の実施形態において、弁の切開の後、弁または弁部分ステント、リングなどで支持することができる。別の実施形態において、腹膜または心膜を収穫して、当業者に知られた手法に従って心臓弁異種移植片またはマトリックス材料を形成することができる(例えば、Laurenによる米国特許第4,755,593号参照)。

0147

軟組織異種移植片はヒト身体部分、例えば、表6に開示したものの修復または再構築での種々の適用で用いることができる。

0148

心臓の弁
1つの実施形態において、心臓弁は、α−1,3−Galのいずれの発現も欠く動物から摘出される。α−1,3−Galのいずれの機能的発現も欠く動物からの、ウシ、ヒツジまたはブタ心臓、特にブタ心臓は心臓弁の源として働かすことができる。心臓弁は繊維軟骨細胞、およびコラーゲンおよび弾性繊維の細胞外マトリックス、ならびに種々のプロテオグリカンから構成される。心臓弁のタイプは、限定されるものではないが、僧帽弁心房弁、大動脈弁、三尖弁、胚動脈弁、プルニック(Plumonic)パッチ下降胸大動脈大動脈非−弁導管LPAおよびRPAを持つプルモニック非−弁導管、無傷尖頭を含むまたは含まない右または左肺半−動脈、伏在静脈、大動脈(Aortoiliac)、大腿静脈大腿動脈および/または半月弁を含む。ある実施形態において、ツールを用いて、心臓弁補綴を大動脈壁に固定することができる。ツールはファスナーおよび/または補強剤を含むことができる。特定の実施形態において、心臓弁補綴はフレキシブルな小葉を有することができる。1つの実施形態において、心臓弁補綴は組織のような天然材料、ポリマーまたはその組合せのような合成材料から構築することができる。別の実施形態において、弁補綴は組織弁とすることができ、加えて、ステントを含むことができ、または無ステントとすることができ、ブタ、ウシまたは他の動物組織源のものとすることができる。本発明に従って調製された心臓弁異種移植片は、天然心臓弁異種移植片の一般的な外観を有することができる。心臓弁異種移植片は、その各々を受容者心臓に移植することができる個々の小葉のような弁セグメントでもあり得る。別法として、ブタ心膜を用いて、本発明の心臓弁異種移植片を形成することができる。

0149

心臓は、リズミカル収縮させることによって動物体全体に血液を循環させるチューブ筋肉質器官である。哺乳動物においては、心臓は、右心房および心室左心房および心室から完全に分離されるように位置した4つのチャンバーを有する。通常、血液は全身静脈から右心房に流入し、次いで、右心室へ流動し、それから血液は肺動脈を介して肺へ駆動される。肺からの帰りに際して、血液は左心房に入り、次いで、左心室まで流動し、それから血液は全身動脈へ駆動される。

0150

4つの主な心臓弁はリズミックな収縮の間に血液の逆流を妨げる:三、肺動脈、僧帽および大動脈弁。三尖弁は右心房および右心室を隔て、肺動脈弁は右心房および肺動脈を隔て、僧帽弁は左心房および左心室を隔て、および大動脈弁は左心室および大動脈を隔てる。一般に、心臓弁の異常を有する患者は、弁心臓病を有するとして特徴付けられる。

0151

心臓弁は、適切に開かないことによって(狭窄)または漏れることによって(逆流)いずれかで機能不全となり得る。例えば、機能不全大動脈弁を持つ患者は大動脈弁狭窄または大動脈弁逆流いずれかと診断され得る。いずれの場合にも、外科的手段による弁置き換えが可能な処置である。置換弁自己移植片同種移植片、または異種移植片ならびに機械的弁、またはブタ弁から部分的に作成された弁であり得る。興味深いことには、低温保存同種移植片は移植後何年もの間、受容者患者内で生き続ける。生憎と、置換弁は変性、血栓症およびカルシウム沈着のような問題に陥りやすい。

0152

本発明の心臓弁異種移植片、またはそのセグメントは、公知の外科的技術を用いて当業者によって、例えば、内視鏡外科的処置、および経管腔移植のような最小限に侵入的な技術によって損傷されたヒトまたは動物心臓に移植することができる。そのような外科的技術を行うための具体的機器は当業者に知られており、これは、心臓弁インプラントの正確かつ再現性ある置換を確実とする。

0153

特定の実施形態において、補綴としての心臓弁は心臓および/または弁に対する病気の種々の形態を持つ患者で用いることができる。ブタ心臓は市場の重いブタ(例えば、120kgを超えるブタ)から得ることができる。滅菌リン酸緩衝化生理食塩水中で濯いだ後、心臓を現場で取り出し、(尖除去)、滅菌PBS中で4℃にて出荷することができる。全ての心臓が、例えば、動物屠殺から24時間以内に処理センター到着させることができる。大動脈および肺動脈弁は根こそぎ切り出すことができる。特定の実施形態において、これらの組織は、抗生物質および抗真菌剤の混合物中でのほぼ48℃におけるほぼ48時間のインキュベーションの生物負荷低下工程に供することができる。消毒された組織は低温保存し(例えば、10%(v/v)DMSOおよび10%(v/v)胎児ウシ血清中、−1℃/分)、あるいは低張性媒体での処理、続いての、デオキシリボヌクレアーゼIおよびリボヌクレアーゼAの混合物での消化を含む手法によって脱細胞化することができる。12日後、脱細胞化された弁を低温保存し、または例えばリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)中の0.35%(w/v)グルタルアルデヒドで2mmHgにて化学的に合計7日間固定することができる(低圧固定は、コラーゲンマトリックスの天然クリンプの維持を確実とする)。1つの実施形態において、固定された組織は低温保存しないが、(0.35%グルタルアルデヒドのような)グルタルアルデヒド溶液のような交差−固定溶液中で保存することができる。

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