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技術 α−シヌクレイノパチーの診断

出願人 学校法人順天堂
発明者 服部信孝波田野琢奥住文美上野真一
出願日 2018年8月28日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-159694
公開日 2020年3月5日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-034353
状態 未査定
技術分野 酵素、微生物を含む測定、試験 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード 被検血液 後結合 RBD シヌクレイノパチー 超音波発生装置 構造変換 構造型 pH範囲
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年3月5日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (6)

課題

患者に対する負担が少なく、安全かつ早期診断可能なパーキンソン病等のシヌクレイノパチー診断方法の提供。

解決手段

α−シヌクレイノパチーを診断するために、被検血液試料に抗α−シヌクレイン抗体を反応させて免疫沈降した試料に対して、pH6〜7.9の反応液条件でRT−QuIcを行うことを特徴とする被検血液中の異常α−シヌクレイン濃度の測定方法

概要

背景

パーキンソン病(PD)、多系統萎縮症(MSA)、レビー小体型認知症は、進行性難病であり、責任タンパク質であるα−シヌクレイン(AS)の凝集体沈着が共通病理として認識されている。これらの神経変性疾患は、α−シヌクレイノパチーと呼ばれている。これらの疾患は、いずれも根治療法は存在せず、対症療法が中心である。しかし、これらの疾患の診断及び治療開始の遅れは対症療法の効果を半減させ、寝たきりになるまでの期間を短くし、またMSAの診断の遅れは病気の進行を予測することができないため、適切な処置が遅れ、突然死重篤肺炎などのリスクを上昇させる。

これらα−シヌクレイノパチーの早期診断手段としては、まず遺伝子検査が挙げられるが、例えばPDでは80%程度の症例が遺伝的背景を持たない孤発性であるため有用ではない。また、心筋MIBGシチグラフィー(PDに生じる交換神経脱落ノルエピネフリン類似物質MIBGの取り込み低下により評価)、DATドパミントランスポータースキャンなどの検査は一定の診断効率上昇の効果は認められるが、6万円以上の費用を要する。
また、髄液中の異常α−シヌクレイン濃度をRT−QuIC(Real-time quaking-induced conversion)やHAABI(Handai Amyloid Burst Inducer:交差型超音波発生装置マイクロプレートリーダー一体化した全自動蛋白質凝集検出装置)で測定する方法が報告されている(非特許文献1、2)。

概要

患者に対する負担が少なく、安全かつ早期診断可能なパーキンソン病等のシヌクレイノパチーの診断方法の提供。α−シヌクレイノパチーを診断するために、被検血液試料に抗α−シヌクレイン抗体を反応させて免疫沈降した試料に対して、pH6〜7.9の反応液条件でRT−QuIcを行うことを特徴とする被検血液中の異常α−シヌクレイン濃度の測定方法。なし

目的

本発明の課題は、患者に対する負担が少なく、かつ簡便かつ安価な、PDに代表されるα−シヌクレイノパチーの早期診断方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

α−シヌクレイノパチー診断するために、被検血液試料に抗α−シヌクレイン抗体を反応させて免疫沈降した試料に対して、pH6〜7.9の反応液条件でRT−QuIcを行うことを特徴とする被検血液中の異常α−シヌクレイン濃度の測定方法

請求項2

α−シヌクレイノパチーが、パーキンソン病多系統萎縮症及びレビー小体型認知症から選ばれる神経変性疾患である請求項1記載の測定方法。

請求項3

被検血液試料が、ヒト血清である請求項1又は2記載の測定方法。

技術分野

0001

本発明は、パーキンソン病等のα−シヌクレイノパチー早期診断方法に関する。

背景技術

0002

パーキンソン病(PD)、多系統萎縮症(MSA)、レビー小体型認知症は、進行性難病であり、責任タンパク質であるα−シヌクレイン(AS)の凝集体沈着が共通病理として認識されている。これらの神経変性疾患は、α−シヌクレイノパチーと呼ばれている。これらの疾患は、いずれも根治療法は存在せず、対症療法が中心である。しかし、これらの疾患の診断及び治療開始の遅れは対症療法の効果を半減させ、寝たきりになるまでの期間を短くし、またMSAの診断の遅れは病気の進行を予測することができないため、適切な処置が遅れ、突然死重篤肺炎などのリスクを上昇させる。

0003

これらα−シヌクレイノパチーの早期診断手段としては、まず遺伝子検査が挙げられるが、例えばPDでは80%程度の症例が遺伝的背景を持たない孤発性であるため有用ではない。また、心筋MIBGシチグラフィー(PDに生じる交換神経脱落ノルエピネフリン類似物質MIBGの取り込み低下により評価)、DATドパミントランスポータースキャンなどの検査は一定の診断効率上昇の効果は認められるが、6万円以上の費用を要する。
また、髄液中の異常α−シヌクレイン濃度をRT−QuIC(Real-time quaking-induced conversion)やHAABI(Handai Amyloid Burst Inducer:交差型超音波発生装置マイクロプレートリーダー一体化した全自動蛋白質凝集検出装置)で測定する方法が報告されている(非特許文献1、2)。

先行技術

0004

Ann Clin Transl Neurol 2016; 3:812-818
J Biol Chem. 2014; 289:27290-27299.

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、髄液検査は、局所麻酔が必要であり、侵襲的な検査であるため患者への苦痛が伴うことから、全症例に行うことは困難である。
従って、本発明の課題は、患者に対する負担が少なく、かつ簡便かつ安価な、PDに代表されるα−シヌクレイノパチーの早期診断方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

そこで本発明者は、血液試料中の異常α−シヌクレインの測定を検討したが、そもそも血液中のα−シヌクレイン濃度は1pg/mL前後と非常に少なく検出に限界があった。さらに前述のように髄液に対して採用されていたRT−QuICを検討したが、髄液中の異常α−シヌクレイン測定条件では正確な測定はできなかった。そこで、さらに検討した結果、まず血液試料に抗α−シヌクレイン抗体を反応させて免疫沈降を行い、沈降した試料に対して一定のpH範囲でRT−QuICを行えば、PD等のα−シヌクレイノパチーが正確かつ簡便に診断できることを見出し、本発明を完成した。

0007

すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔3〕を提供するものである。

0008

〔1〕α−シヌクレイノパチーを診断するために、被検血液試料に抗α−シヌクレイン抗体を反応させて免疫沈降した試料に対して、pH6〜7.9の反応液条件でRT−QuICを行うことを特徴とする被検血液中の異常α−シヌクレイン濃度の測定方法
〔2〕α−シヌクレイノパチーが、パーキンソン病、多系統萎縮症及びレビー小体型認知症から選ばれる神経変性疾患である〔1〕記載の測定方法。
〔3〕被検血液試料が、ヒト血清である〔1〕又は〔2〕記載の測定方法。

発明の効果

0009

本発明によれば、患者への負担が少なく、簡便かつ安価にPDに代表されるα−シヌクレイノパチーが早期診断できる。そのため、運動症状等が出現する前の早期から治療を開始することができる。

図面の簡単な説明

0010

pH3.0〜5.0で反応させた場合のPDと健常コントロール凝集反応結果を示す図である。
pH8.0で反応させた場合のPDと健常コントロールの凝集反応結果を示す図である。
pH7.5で反応させた場合のPDと健常コントロールの凝集反応結果を示す図である。
本発明方法によるPD、健常コントロール、MSA及びPSPの凝集反応結果を示す図である。
DATスキャンで変化のないRBD患者の凝集反応結果を示す図である。
ヒト血清に直接QuICを施した場合のPD及び健常コントロールの凝集反応結果を示す図である。

0011

本発明の被検血液中の異常α−シヌクレイン濃度の測定方法は、α−シヌクレイノパチーを診断するために、被検血液試料に抗α−シヌクレイン抗体を反応させて免疫沈降した試料に対して、pH6〜7.9の反応液条件でRT−QuIcを行うことを特徴とする。

0012

本発明に用いられる検体は、血液試料であり、好ましくはヒト血液であり、さらに、血清、特にヒト血清が好ましい。従来、異常α−シヌクレイン濃度測定に髄液は用いられていたが、血液は用いられていなかった。血液を検体として異常α−シヌクレインの検出が可能になれば、患者への負担が改善されることは明らかである。

0013

まず、本発明方法では、被検血液試料に抗α−シヌクレイン抗体を反応させて免疫沈降を行う。
抗α−シヌクレイン抗体としては、α−シヌクレインに対する特異的でかつモノマーオリゴマー、凝集体のすべての構造を認識する抗体であれば、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよく、既に市販されているものを使用することができる。免疫沈降は、通常の免疫沈降法を行えばよく、例えば、被検血液試料に抗α−シヌクレイン抗体を反応させ、ビーズ又は磁気ビーズを加えて免疫反応合物とビーズ又は磁気ビーズと結合物を得、その後結合物から免疫反応混合物を回収する方法が挙げられる。

0014

次に得られた免疫反応混合物に対して、pH6〜7.9の反応液条件でRT−QuICを行う。
RT−QuICは異常構造型のタンパク質を増幅反応の核(seed)として凝集反応を連続的に試験管内で行い、試料中の異常構造型タンパク質を増幅して検出する。またこの増幅過程βシート構造のタンパク質に特異的に結合し蛍光を発するチオフラビンT(ThT)の蛍光強度を測定することで異常構造型タンパク質の存在の有無をリアルタイムに測定するシステムである。
増幅反応は、(1)試料中の正常型α−シヌクレインと異常構造型α−シヌクレインを共凝集させる段階と、(2)共凝集を促進して正常型α−シヌクレインから異常構造型α−シヌクレインへの変換をもたらす段階を経てThTで検出する。異常構造型α−シヌクレインの共凝集を促進するため、正常型α−シヌクレインを反応液に添加するのが好ましい。この共凝集及び構造変換反応を、本発明ではpH6〜7.9の反応液条件で行う。
α−シヌクレインは酸性で凝集する傾向が強く、反応液がpH6未満の強酸性の条件下では健常人にも内在性α−シヌクレインがあり、PD患者と同等に凝集反応を生じる。一方pH8.0のアルカリ性の条件下ではPDおよび健常人の試料において凝集反応が起こりにくい。反応液がpH6〜7.9であるとPDの試料は、蛍光強度が最大の26万RFUまで上昇し、凝集反応を認めるが、健常人の試料においては凝集反応を認めず両者を区別することが可能である。好ましい反応pHは6.5〜7.9であり、より好ましくは6.5〜7.8であり、さらに好ましくは7.5である。

0015

以上のように、本発明方法によれば、患者に負担の少ない血液試料を用いて、簡便な操作により、異常α−シヌクレイン濃度が高い患者を健常人と区別して判定することができる。異常α−シヌクレイン濃度が高い患者としては、PDに限定されず、MSA、レビー小体型認知症が挙げられる。

0016

次に実施例を挙げて、本発明を更に詳細な説明する。

0017

実施例1
(1)ヒト血清に対して磁気ビーズを用いた免疫沈降を行った。
最初に磁気ビーズと抗α−シヌクレイン抗体をオーバーナイトで反応させ、その後被検血液試料を3時間反応させる。免疫反応混合物の溶出には、0.1Mグリシン(pH2.5〜3)を用いる。数秒反応させて溶出させたのち、速やかにpH7.5に調整する。

0018

(2)RT−QuIC
増幅反応は(i)反応液とIP−血清をインキュベートして反応混合物中に存在する正常型α−シヌクレインと構造異常型α−シヌクレインの共凝集を可能にする段階(ii)共凝集を促進して正常型α−シヌクレインから構造異常型への変換をもたらす段階を経てThTで検出する。共凝集の促進、構造変換においては200rpm,1min shake,14min restの振盪を120時間連続して行い、マルチプレートリーダーFLUOstar Omega−Fx1P BMG LABTECH)を用いてリアルタイムに蛍光強度を測定した。反応液の組成は100mmol/L phosphate buffer(pH7.5),10μmol/L thioflavin Tを用いた。基質α−シヌクレインは10μg使用している。SeedはIP−血清を使用している。BCA assayを行い、タンパク質濃度を1mg/mLに合わせた血清100μLをIPし、seedとして5μL使用している。
α−シヌクレインは酸性で凝集する傾向が強い。MES溶液とNaOH溶液で調整したMES溶液を用いた反応液で、pH3.0〜5.0の強酸性の条件下では健常人にも内在性α−シヌクレインがあり、PD患者と同等に凝集反応を認めた(図1)。一方りん酸二水素ナトリウムとりん酸水二ナトリウムで調整したphosphate bufferを用いた反応液でpH8.0のアルカリ性の条件下ではPDおよび健常人のIP−血清において凝集反応が起こりにくかった(図2)。反応液がpH7.5であるとPDのIP−血清は、蛍光強度が最大の26万RFUまで上昇し、凝集反応を認めるが、健常人のIP−血清においては凝集反応を認めず両者を区別することが可能であった(図3)。

0019

上記の方法を利用して患者群の血清(対照群をcontrol、レム睡眠行動異常症のみを認める群RBD、多系統萎縮症をMSA、進行性核上性麻痺をPSPと表記する)を用いてアッセイを行った。特にRBDはPD/MSAの運動症状発症前の前駆症状として知られており、RBD患者のうち、5年間で18〜35%、10年間で41〜76%がPD/MSAに移行する。血液採取にあたり、特に絶食などの制限は行っていない。血液採取・血清抽出を行い、−80℃に保存した。PD患者200名、control100名、RBD7名、MSA患者15名、PSP患者4名、AD群23名でアッセイを行った。
PDおよびMSAにおいては約80時間前後で凝集反応を認めた(図4)。一方でcontrolおよびPSPでは凝集反応を認めなかった(図4)。DATスキャンで変化のないRBD患者では凝集反応を認めなかった(図5)。

実施例

0020

(3)ヒト血清を直接RT−QuICに付した(免疫沈降は行なっていない。反応液の組成は100mmol/L phosphate buffer(pH7.5),10μmol/L thioflavin Tである。基質α−シヌクレインは10μg使用している。タンパク質濃度を1mg/mLに合わせた血清5μLを使用)。その結果、異常構造型α−シヌクレインは検出できなかった(図6)。

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