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技術 腫瘍溶解性アデノウイルスによる脳癌の処置方法

出願人 ディーエヌエートリックスインコーポレイテッドボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム
発明者 フエヨジュアンマンサノ‐ゴメスキャンデレリアコンラドチャールズラングフレッドヤングダブリュ.ケイ.アルフレッドトゥファロフランク
出願日 2019年11月1日 (1年2ヶ月経過) 出願番号 2019-199677
公開日 2020年3月5日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-033373
状態 未査定
技術分野 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 突然変異または遺伝子工学 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 動物,微生物物質含有医薬 ペプチド又は蛋白質 非環式または炭素環式化合物含有医薬 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 空間的座標 歴史的データ 複製モード 初期環境 強調領域 進入点 金属プローブ 小葉状
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重要な関連分野

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図面 (10)

課題

細胞特異的に複製することができる付加的な腫瘍溶解性ウイルス作出を含む、癌、具体的には、脳腫瘍のための付加的な処置を提供する。

解決手段

E1AのRb結合部位改変およびAdファイバータンパク質に挿入されたターゲティングモチーフを含む腫瘍溶解性アデノウイルスを使用して、網膜芽細胞腫(Rb)経路に変異を有する脳癌を処置するための組成物および方法を含む。アデノウイルスは、野生型網膜芽細胞腫経路を有する細胞に害を与えることなく、腫瘍細胞死滅させることができる。

概要

背景

B. 関連分野の説明
癌の発生は、遺伝子改変蓄積を通して起こる、複雑な多段階生物学的過程頂点として理解されている。これらの改変の全てではないにしても多くが、特異的な細胞増殖調節遺伝子を含む。これらの遺伝子は、典型的には、癌原遺伝子および腫瘍抑制遺伝子という二つのカテゴリー分類される。両クラスの遺伝子の変異は、一般に、改変された遺伝子材料を含有している細胞に増殖優位性を付与する。

腫瘍抑制遺伝子の機能は、癌原遺伝子と反対に、細胞増殖に対抗することである。例えば、点変異または欠失によって、腫瘍抑制遺伝子が不活化された時、増殖を調節するための細胞の制御機構混乱する。網膜芽細胞腫腫瘍抑制遺伝子の変異および/または機能の喪失は、腫瘍形成に関連付けられている。いくつかの場合において、脳腫瘍は、中枢神経系(CNS)外の原発腫瘍からの脳への転移である。転移に由来する脳腫瘍は、典型的には、脳の原発腫瘍より一般的である。脳へ転移する最も一般的な原発腫瘍は、乳房黒色腫、および腎臓である。これらの脳転移は、一般的には、複数の部位に起こるが、孤立性転移が起こる場合もある。

従来の治療が、典型的には、失敗しかつ毒性であるため、遺伝子治療は、神経膠腫を含む脳腫瘍のための有望な処置である。さらに、悪性疾患に寄与する遺伝子異常の同定は、遺伝子治療の設計を助ける重大な分子的な遺伝子情報を提供している。腫瘍増悪において示された遺伝子異常には、腫瘍抑制遺伝子の不活化ならびに多数の増殖因子および癌遺伝子過剰発現が含まれる。腫瘍処置は、変異およびその結果としての腫瘍の異常な生理学を標的とする治療用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその他の治療薬を供給することによって達成され得る。腫瘍細胞を正常細胞から区別するのが、これらの変異および異常な生理学である。腫瘍選択的なウイルスは、遺伝子治療のための有望なツールとなろう。ウイルスが如何に複製するかの知識の最近の進歩は、腫瘍選択的な腫瘍溶解性ウイルスを設計するために使用されている。神経膠腫においては、以下の3種類のウイルスが、動物モデルにおいて有用であることが示された:活性化されたras経路を有する腫瘍において選択的に複製することができるレオウイルス(Coffey et al.,1998);正常細胞および癌細胞において異なるタンパク質発現によって活性化され得るもの(Chase et al.,1998)を含む、遺伝子改変単純ヘルペスウイルス(Martuza et al.,1991;Mineta et al.,1995;Andreanski et al.,1997);ならびにE1B55kDaタンパク質を発現することができず、p53変異体腫瘍を処置するために使用される変異体アデノウイルス(Bischof et al.,1996;Heise et al.,1997;Freytag et al.,1998;Kirn et al.,1998)。総合すると、これらの報告は、抗癌剤としての腫瘍溶解性ウイルスの適切さを確認する。3種全ての系において、目標は、ウイルスの腫瘍内伝播および癌細胞を選択的に死滅させる能力である。キーポイントにおいて細胞経路を標的とする遺伝子修飾アデノウイルスは、神経膠腫において強力かつ選択的な抗癌効果を有する。

大部分の神経膠腫にp16/Rb/E2F経路の異常が存在するため、Rb経路を標的とすることは、神経膠腫の処置のために適切であるものとして注目されている(Fueyo et al.,1998a;Gomez-Manzano et al.,1998)。p16遺伝子およびRb遺伝子の移入による、失われた腫瘍抑制活性の置換によって、この経路を標的とすることによって、細胞分裂停止効果が生じた(Fueyo et al.,1998a;Gomez-Manzano et al.,1998)。外因性野生型E2F-1が、インビボアポトーシス誘導し、腫瘍増殖阻害したため(Fueyo et al.,1998b)、E2F-1の移入は、強力な抗癌効果をもたらした。しかしながら、主として、複製欠損アデノウイルスベクターは、複製し、他の細胞を感染させ、それによって、十分な数の癌細胞へ外因性の核酸を移入することができないため、既存のアデノウイルス構築物によるヒト神経膠腫腫瘍の処置は、現実的には、腫瘍の相当の部分に影響を与えることができない(Puumalainen et al.,1998)。p16/Rb/E2F経路を標的とすることによって、インビトロでは抗癌効果が生じるが、ベクター系のこの不完全さが、インビボでの遺伝子の治療効果を限定している。

細胞特異的に複製することができる付加的な腫瘍溶解性ウイルスの作出を含む、癌、具体的には、脳腫瘍のための付加的な処置が、引き続き必要とされている。付加的な処置には、治療能力を有するか、またはインビボで追跡される能力を有するアデノウイルスが含まれる。

概要

細胞特異的に複製することができる付加的な腫瘍溶解性ウイルスの作出を含む、癌、具体的には、脳腫瘍のための付加的な処置を提供する。E1AのRb結合部位の改変およびAdファイバータンパク質に挿入されたターゲティングモチーフを含む腫瘍溶解性アデノウイルスを使用して、網膜芽細胞腫(Rb)経路に変異を有する脳癌を処置するための組成物および方法を含む。アデノウイルスは、野生型網膜芽細胞腫経路を有する細胞に害を与えることなく、腫瘍細胞を死滅させることができる。なし

目的

腫瘍抑制遺伝子の機能は、癌原遺伝子と反対に、細胞増殖に対抗することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

(a)神経膠腫を有する患者を同定する工程、および(b)H1ドメインにRGDアミノ酸が挿入されたファイバータンパク質を含み、Rbに結合することができないE1Aポリペプチドを有する腫瘍溶解性アデノウイルスと、神経膠腫を接触させる工程、を含む、ヒト患者における神経膠腫を処置する方法であって、処置が、(i)25%を越える腫瘍量の低下、(ii)6ヶ月無増悪生存、および(iii)腫瘍壊死のうちの一つ以上をもたらし、かつ処置の終了を引き起こすのに十分な腫瘍溶解性アデノウイルスに起因する有害事象を生じない、方法。

請求項2

腫瘍溶解性アデノウイルスがΔ24アデノウイルスである、請求項1記載の方法。

請求項3

工程(a)の後で工程(b)の前に腫瘍の生検材料入手する工程をさらに含み、工程(a)が腫瘍イメージングを含む、請求項1記載の方法。

請求項4

神経膠腫が切除可能である、請求項1記載の方法。

請求項5

神経膠腫が切除可能でない、請求項1記載の方法。

請求項6

神経膠腫が前記処置の後に切除される、請求項4記載の方法。

請求項7

切除後腫瘍床が腫瘍溶解性アデノウイルスによって処置される、請求項6記載の方法。

請求項8

神経膠腫が前記処置の後に切除される、請求項5記載の方法。

請求項9

患者へのアデノウイルスの頭蓋送達によって、神経膠腫がアデノウイルスと接触させられる、請求項1記載の方法。

請求項10

送達が腫瘍内注射を含む、請求項9記載の方法。

請求項11

複数回注射が実施される、請求項10記載の方法。

請求項12

切除後カテーテルが患者へ植え込まれ、該カテーテルを介して腫瘍溶解性アデノウイルスが送達される、請求項7記載の方法。

請求項13

神経膠腫が、星状細胞腫乏突起神経膠腫未分化神経膠腫、膠芽腫上衣腫髄膜腫松果体部腫瘍、脈絡叢腫瘍、神経上皮腫瘍、胚芽腫末梢性神経芽細胞腫瘍、脳神経の腫瘍、造血系の腫瘍、胚細胞性腫瘍、またはトルコ鞍部腫瘍である、請求項1記載の方法。

請求項14

神経膠腫が膠芽腫である、請求項13記載の方法。

請求項15

腫瘍溶解性アデノウイルスが、針による最低10分間の低速注入を介して投与される、請求項1記載の方法。

請求項16

腫瘍溶解性アデノウイルスが、患者の神経膠腫内の複数の部位へ定位的に投与される、請求項1記載の方法。

請求項17

抗血管新生治療化学療法免疫治療手術放射線治療免疫抑制剤、または治療用ポリヌクレオチドによる遺伝子治療である第2の治療を、患者へ投与する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。

請求項18

第2の治療が、腫瘍溶解性アデノウイルスを含む組成物の投与の前に患者へ投与される、請求項17記載の方法。

請求項19

第2の治療が、腫瘍溶解性アデノウイルスを含む組成物の投与と同時に患者へ投与される、請求項17記載の方法。

請求項20

第2の治療が、腫瘍溶解性アデノウイルスを含む組成物の投与の後に患者へ投与される、請求項17記載の方法。

請求項21

化学療法が、アルキル化剤有糸分裂阻害剤抗生物質、または代謝拮抗薬を含む、請求項17記載の方法。

請求項22

約103〜約1015ウイルス粒子が患者へ投与される、請求項1記載の方法。

請求項23

約105〜約1012ウイルス粒子が患者へ投与される、請求項21記載の方法。

請求項24

約107〜約1010ウイルス粒子が患者へ投与される、請求項21記載の方法。

請求項25

対象がTh1応答の存在に基づきさらに選択される、請求項1記載の方法。

請求項26

Th1応答が、抗原特異的なインターフェロンγ(IFN-γ)、IL-12、および補体結合抗体の増加を特徴とする、請求項24記載の方法。

請求項27

(i)〜(iii)のうちの二つ以上が観察される、請求項1記載の方法。

請求項28

(i)〜(iii)の三つ全てが観察される、請求項1記載の方法。

請求項30

神経膠腫が再発性である、請求項1記載の方法。

請求項31

神経膠腫が1種以上の一次神経膠腫治療に失敗したことがある、請求項1記載の方法。

請求項32

(a)神経膠腫を有する患者を同定する工程、および(b)H1ドメインにRGDアミノ酸が挿入されたファイバータンパク質を含み、Rbに結合することができないE1Aポリペプチドを有する腫瘍溶解性アデノウイルスと、神経膠腫を接触させる工程を含む、ヒト患者集団における神経膠腫を処置する方法であって、該集団の処置が、(i)患者の30%における、完全応答者部分応答者+疾患安定によって定義される臨床的利益、(ii)25%における6ヶ月無増悪生存、(iii)完全応答者+部分応答者によって定義される応答者についての、12ヶ月の生存期間中央値のうちの一つ以上をもたらす、方法。

技術分野

0001

本願は、2013年6月18日に出願された米国仮出願第61/836,230号に基づく優先権の恩典を主張するものであり、その内容全体が、参照によって本明細書に組み入れられる。

0002

A. 発明の領域
本発明は、一般に、医薬および腫瘍学の領域に関する。より具体的には、腫瘍溶解性アデノウイルスを使用して、患者における神経膠腫処置する組成物および方法に関する。

背景技術

0003

B. 関連分野の説明
癌の発生は、遺伝子改変蓄積を通して起こる、複雑な多段階生物学的過程頂点として理解されている。これらの改変の全てではないにしても多くが、特異的な細胞増殖調節遺伝子を含む。これらの遺伝子は、典型的には、癌原遺伝子および腫瘍抑制遺伝子という二つのカテゴリー分類される。両クラスの遺伝子の変異は、一般に、改変された遺伝子材料を含有している細胞に増殖優位性を付与する。

0004

腫瘍抑制遺伝子の機能は、癌原遺伝子と反対に、細胞増殖に対抗することである。例えば、点変異または欠失によって、腫瘍抑制遺伝子が不活化された時、増殖を調節するための細胞の制御機構混乱する。網膜芽細胞腫腫瘍抑制遺伝子の変異および/または機能の喪失は、腫瘍形成に関連付けられている。いくつかの場合において、脳腫瘍は、中枢神経系(CNS)外の原発腫瘍からの脳への転移である。転移に由来する脳腫瘍は、典型的には、脳の原発腫瘍より一般的である。脳へ転移する最も一般的な原発腫瘍は、乳房黒色腫、および腎臓である。これらの脳転移は、一般的には、複数の部位に起こるが、孤立性転移が起こる場合もある。

0005

従来の治療が、典型的には、失敗しかつ毒性であるため、遺伝子治療は、神経膠腫を含む脳腫瘍のための有望な処置である。さらに、悪性疾患に寄与する遺伝子異常の同定は、遺伝子治療の設計を助ける重大な分子的な遺伝子情報を提供している。腫瘍の増悪において示された遺伝子異常には、腫瘍抑制遺伝子の不活化ならびに多数の増殖因子および癌遺伝子過剰発現が含まれる。腫瘍処置は、変異およびその結果としての腫瘍の異常な生理学を標的とする治療用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその他の治療薬を供給することによって達成され得る。腫瘍細胞を正常細胞から区別するのが、これらの変異および異常な生理学である。腫瘍選択的なウイルスは、遺伝子治療のための有望なツールとなろう。ウイルスが如何に複製するかの知識の最近の進歩は、腫瘍選択的な腫瘍溶解性ウイルスを設計するために使用されている。神経膠腫においては、以下の3種類のウイルスが、動物モデルにおいて有用であることが示された:活性化されたras経路を有する腫瘍において選択的に複製することができるレオウイルス(Coffey et al.,1998);正常細胞および癌細胞において異なるタンパク質発現によって活性化され得るもの(Chase et al.,1998)を含む、遺伝子改変単純ヘルペスウイルス(Martuza et al.,1991;Mineta et al.,1995;Andreanski et al.,1997);ならびにE1B55kDaタンパク質を発現することができず、p53変異体腫瘍を処置するために使用される変異体アデノウイルス(Bischof et al.,1996;Heise et al.,1997;Freytag et al.,1998;Kirn et al.,1998)。総合すると、これらの報告は、抗癌剤としての腫瘍溶解性ウイルスの適切さを確認する。3種全ての系において、目標は、ウイルスの腫瘍内伝播および癌細胞を選択的に死滅させる能力である。キーポイントにおいて細胞経路を標的とする遺伝子修飾アデノウイルスは、神経膠腫において強力かつ選択的な抗癌効果を有する。

0006

大部分の神経膠腫にp16/Rb/E2F経路の異常が存在するため、Rb経路を標的とすることは、神経膠腫の処置のために適切であるものとして注目されている(Fueyo et al.,1998a;Gomez-Manzano et al.,1998)。p16遺伝子およびRb遺伝子の移入による、失われた腫瘍抑制活性の置換によって、この経路を標的とすることによって、細胞分裂停止効果が生じた(Fueyo et al.,1998a;Gomez-Manzano et al.,1998)。外因性野生型E2F-1が、インビボアポトーシス誘導し、腫瘍増殖阻害したため(Fueyo et al.,1998b)、E2F-1の移入は、強力な抗癌効果をもたらした。しかしながら、主として、複製欠損アデノウイルスベクターは、複製し、他の細胞を感染させ、それによって、十分な数の癌細胞へ外因性の核酸を移入することができないため、既存のアデノウイルス構築物によるヒト神経膠腫腫瘍の処置は、現実的には、腫瘍の相当の部分に影響を与えることができない(Puumalainen et al.,1998)。p16/Rb/E2F経路を標的とすることによって、インビトロでは抗癌効果が生じるが、ベクター系のこの不完全さが、インビボでの遺伝子の治療効果を限定している。

0007

細胞特異的に複製することができる付加的な腫瘍溶解性ウイルスの作出を含む、癌、具体的には、脳腫瘍のための付加的な処置が、引き続き必要とされている。付加的な処置には、治療能力を有するか、またはインビボで追跡される能力を有するアデノウイルスが含まれる。

0008

従って、本発明によって、(a)神経膠腫を有する患者を同定する工程、および(b)H1ドメインにRGDアミノ酸が挿入されたファイバータンパク質を含み、Rbに結合することができないE1Aポリペプチドを有する腫瘍溶解性アデノウイルスと、神経膠腫を接触させる工程を含む、ヒト患者における神経膠腫を処置する方法が提供される。本方法において、処置は、(i)25%を越える腫瘍量の低下、(ii)6ヶ月無増悪生存、および(iii)腫瘍壊死のうちの一つ以上をもたらし、かつ処置の終了を引き起こすのに十分な腫瘍溶解性アデノウイルスに起因する有害事象を生じない。(i)〜(iii)のうちの二つ以上が観察されるか、または(i)〜(iii)の三つ全てが観察される。対象は、神経膠腫に対する自己免疫応答を示していてもよい。腫瘍応答には、コントラストMRIによって決定される、より不明瞭腫瘍境界が含まれ得る。

0009

腫瘍溶解性アデノウイルスはΔ24アデノウイルスであり得る。工程(a)は、腫瘍イメージングを含んでいてもよく、方法は、工程(a)の後、工程(b)の前に腫瘍の生検材料入手する工程をさらに含み得る。神経膠腫は、星状細胞腫乏突起神経膠腫未分化神経膠腫、膠芽腫上衣腫髄膜腫松果体部腫瘍、脈絡叢腫瘍、神経上皮腫瘍、胚芽腫末梢性神経芽細胞腫瘍、脳神経の腫瘍、造血系の腫瘍、胚細胞性腫瘍、またはトルコ鞍部腫瘍であり得る。神経膠腫は再発性であってもよく、かつ/または神経膠腫は1種以上の一次神経膠腫治療に失敗していてもよい。

0010

神経膠腫は、切除可能であってもよいしまたは切除可能でなくてもよい。神経膠腫は、処置の後に切除され得る。切除後腫瘍床は、腫瘍溶解性アデノウイルスによって処置され得る。神経膠腫は、患者へのアデノウイルスの頭蓋送達によってアデノウイルスと接触させられ得る。送達は、腫瘍内注射を含み得、切除後カテーテルが患者へ植え込まれ、腫瘍溶解性アデノウイルスがカテーテルを介して送達されるもののような複数回注射を含んでいてもよい。腫瘍溶解性アデノウイルスは、針による最低10分間の低速注入を介して投与され得る。腫瘍溶解性アデノウイルスは、患者の神経膠腫内の複数の部位へ定位的に投与され得る。用量は、約103〜約1015ウイルス粒子であり得、約105〜約1012ウイルス粒子が患者へ投与されるか、または約107〜約1010ウイルス粒子が患者へ投与される。処置は、用量漸増を含む、1×107ウイルス粒子、3×107ウイルス粒子、1×108ウイルス粒子、3×108ウイルス粒子、1×109ウイルス粒子、3×109ウイルス粒子、1×1010ウイルス粒子、および3×1010ウイルス粒子の投薬を含み得る。

0011

方法は、抗血管新生治療化学療法免疫治療手術放射線治療免疫抑制剤、または治療用ポリヌクレオチドによる遺伝子治療である第2の治療を、患者へ投与する工程をさらに含み得る。第2の治療は、腫瘍溶解性アデノウイルスを含む組成物の投与の前に患者へ投与されてもよいし、腫瘍溶解性アデノウイルスを含む組成物の投与と同時に患者へ投与されてもよいし、または腫瘍溶解性アデノウイルスを含む組成物の投与の後に患者へ投与されてもよい。化学療法には、アルキル化剤有糸分裂阻害剤抗生物質、または代謝拮抗薬が含まれ得る。第2の治療には、具体的には、放射線治療およびテモゾロミドが含まれ得る。

0012

対象は、Th1応答の存在に基づきさらに選択され得る。Th1応答は、抗原特異的なインターフェロンγ(IFN-γ)、IL-12、および補体結合抗体の増加を特徴とし得る。

0013

もう一つの態様において、(a)神経膠腫を有する患者を同定する工程、および(b)H1ドメインにRGDアミノ酸が挿入されたファイバータンパク質を含み、Rbに結合することができないE1Aポリペプチドを有する腫瘍溶解性アデノウイルスと、神経膠腫を接触させる工程を含む、ヒト患者集団における神経膠腫を処置する方法が提供される。本方法において、集団の処置は、(i)患者の30%における、完全応答者部分応答者+疾患安定によって定義される臨床的利益、(ii)25%における6ヶ月無増悪生存、(iii)完全応答者+部分応答者によって定義される応答者についての、12ヶ月の生存期間中央値のうちの一つ以上をもたらす。

0014

腫瘍溶解性アデノウイルスはΔ24アデノウイルスであり得る。工程(a)は、腫瘍イメージングを含んでいてもよく、方法は、工程(a)の後、工程(b)の前に腫瘍の生検材料を入手する工程をさらに含み得る。神経膠腫は、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、未分化神経膠腫、膠芽腫、上衣腫、髄膜腫、松果体部腫瘍、脈絡叢腫瘍、神経上皮腫瘍、胚芽腫、末梢性神経芽細胞腫瘍、脳神経の腫瘍、造血系の腫瘍、胚細胞性腫瘍、またはトルコ鞍部腫瘍であり得る。神経膠腫は再発性であってもよく、かつ/または神経膠腫は1種以上の一次神経膠腫治療に失敗していてもよい。

0015

神経膠腫は、切除可能であってもよいしまたは切除可能でなくてもよい。神経膠腫は、処置の後に切除され得る。切除後腫瘍床は、腫瘍溶解性アデノウイルスによって処置され得る。神経膠腫は、患者へのアデノウイルスの頭蓋内送達によってアデノウイルスと接触させられ得る。送達は、腫瘍内注射を含み得、切除後カテーテルが患者へ植え込まれ、腫瘍溶解性アデノウイルスがカテーテルを介して送達されるもののような複数回注射を含んでいてもよい。腫瘍溶解性アデノウイルスは、針による最低10分間の低速注入を介して投与され得る。腫瘍溶解性アデノウイルスは、患者の神経膠腫内の複数の部位へ定位的に投与され得る。用量は、約103〜約1015ウイルス粒子であり得、約105〜約1012ウイルス粒子が患者へ投与されるか、または約107〜約1010ウイルス粒子が患者へ投与される。

0016

方法は、抗血管新生治療、化学療法、免疫治療、手術、放射線治療、免疫抑制剤、または治療用ポリヌクレオチドによる遺伝子治療である第2の治療を、患者へ投与する工程をさらに含み得る。第2の治療は、腫瘍溶解性アデノウイルスを含む組成物の投与の前に患者へ投与されてもよいし、腫瘍溶解性アデノウイルスを含む組成物の投与と同時に患者へ投与されてもよいし、または腫瘍溶解性アデノウイルスを含む組成物の投与の後に患者へ投与されてもよい。化学療法には、アルキル化剤、有糸分裂阻害剤、抗生物質、または代謝拮抗薬が含まれ得る。

0017

対象は、Th1応答の存在に基づきさらに選択され得る。Th1応答は、抗原特異的なインターフェロンγ(IFN-γ)、IL-12、および補体結合抗体の増加を特徴とし得る。

0018

本発明の方法および/または組成物に関して記述された態様は、本明細書に記載された他の方法または組成物に関して利用されてもよい。従って、一つの方法に関係する態様は、本発明の他の方法にも同様に適用され得る。

0019

「約」という用語は、ウイルス、タンパク質、またはその他の量および尺度の決定の不正確さをさし、具体的なアッセイ、尺度、または定量化についての少なくとも1標準偏差誤差を含むものとする。

0020

「(a)」または「(an)」は、本明細書において使用されるように、1または複数を意味し得る。特許請求の範囲において使用されるように、「含む」という単語と共に使用された時、「(a)」または「(an)」という単語は、1または複数を意味し得る。

0021

[本発明1001]
(a)神経膠腫を有する患者を同定する工程、および
(b)H1ドメインにRGDアミノ酸が挿入されたファイバータンパク質を含み、Rbに結合することができないE1Aポリペプチドを有する腫瘍溶解性アデノウイルスと、神経膠腫を接触させる工程、
を含む、ヒト患者における神経膠腫を処置する方法であって、
処置が、
(i)25%を越える腫瘍量の低下、
(ii)6ヶ月無増悪生存、および
(iii)腫瘍壊死
のうちの一つ以上をもたらし、かつ処置の終了を引き起こすのに十分な腫瘍溶解性アデノウイルスに起因する有害事象を生じない、
方法。
[本発明1002]
腫瘍溶解性アデノウイルスがΔ24アデノウイルスである、本発明1001の方法。
[本発明1003]
工程(a)の後で工程(b)の前に腫瘍の生検材料を入手する工程をさらに含み、工程(a)が腫瘍イメージングを含む、本発明1001の方法。
[本発明1004]
神経膠腫が切除可能である、本発明1001の方法。
[本発明1005]
神経膠腫が切除可能でない、本発明1001の方法。
[本発明1006]
神経膠腫が前記処置の後に切除される、本発明1004の方法。
[本発明1007]
切除後腫瘍床が腫瘍溶解性アデノウイルスによって処置される、本発明1006の方法。
[本発明1008]
神経膠腫が前記処置の後に切除される、本発明1005の方法。
[本発明1009]
患者へのアデノウイルスの頭蓋内送達によって、神経膠腫がアデノウイルスと接触させられる、本発明1001の方法。
[本発明1010]
送達が腫瘍内注射を含む、本発明1009の方法。
[本発明1011]
複数回注射が実施される、本発明1010の方法。
[本発明1012]
切除後カテーテルが患者へ植え込まれ、該カテーテルを介して腫瘍溶解性アデノウイルスが送達される、本発明1007の方法。
[本発明1013]
神経膠腫が、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、未分化神経膠腫、膠芽腫、上衣腫、髄膜腫、松果体部腫瘍、脈絡叢腫瘍、神経上皮腫瘍、胚芽腫、末梢性神経芽細胞腫瘍、脳神経の腫瘍、造血系の腫瘍、胚細胞性腫瘍、またはトルコ鞍部腫瘍である、本発明1001の方法。
[本発明1014]
神経膠腫が膠芽腫である、本発明1013の方法。
[本発明1015]
腫瘍溶解性アデノウイルスが、針による最低10分間の低速注入を介して投与される、本発明1001の方法。
[本発明1016]
腫瘍溶解性アデノウイルスが、患者の神経膠腫内の複数の部位へ定位的に投与される、本発明1001の方法。
[本発明1017]
抗血管新生治療、化学療法、免疫治療、手術、放射線治療、免疫抑制剤、または治療用ポリヌクレオチドによる遺伝子治療である第2の治療を、患者へ投与する工程をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1018]
第2の治療が、腫瘍溶解性アデノウイルスを含む組成物の投与の前に患者へ投与される、本発明1017の方法。
[本発明1019]
第2の治療が、腫瘍溶解性アデノウイルスを含む組成物の投与と同時に患者へ投与される、本発明1017の方法。
[本発明1020]
第2の治療が、腫瘍溶解性アデノウイルスを含む組成物の投与の後に患者へ投与される、本発明1017の方法。
[本発明1021]
化学療法が、アルキル化剤、有糸分裂阻害剤、抗生物質、または代謝拮抗薬を含む、本発明1017の方法。
[本発明1022]
約103〜約1015ウイルス粒子が患者へ投与される、本発明1001の方法。
[本発明1023]
約105〜約1012ウイルス粒子が患者へ投与される、本発明1021の方法。
[本発明1024]
約107〜約1010ウイルス粒子が患者へ投与される、本発明1021の方法。
[本発明1025]
対象がTh1応答の存在に基づきさらに選択される、本発明1001の方法。
[本発明1026]
Th1応答が、抗原特異的なインターフェロンγ(IFN-γ)、IL-12、および補体結合抗体の増加を特徴とする、本発明1024の方法。
[本発明1027]
(i)〜(iii)のうちの二つ以上が観察される、本発明1001の方法。
[本発明1028]
(i)〜(iii)の三つ全てが観察される、本発明1001の方法。
[本発明1030]
神経膠腫が再発性である、本発明1001の方法。
[本発明1031]
神経膠腫が1種以上の一次神経膠腫治療に失敗したことがある、本発明1001の方法。
[本発明1032]
(a)神経膠腫を有する患者を同定する工程、および
(b)H1ドメインにRGDアミノ酸が挿入されたファイバータンパク質を含み、Rbに結合することができないE1Aポリペプチドを有する腫瘍溶解性アデノウイルスと、神経膠腫を接触させる工程
を含む、ヒト患者集団における神経膠腫を処置する方法であって、
該集団の処置が、
(i)患者の30%における、完全応答者+部分応答者+疾患安定によって定義される臨床的利益、
(ii)25%における6ヶ月無増悪生存、
(iii)完全応答者+部分応答者によって定義される応答者についての、12ヶ月の生存期間中央値
のうちの一つ以上をもたらす、
方法。
本発明のその他の目的、特色、および利点は、以下の詳細な説明から明白になるであろう。しかしながら、この詳細な説明から、本発明の本旨および範囲に含まれる様々な変化および修飾が当業者に明白になるため、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい態様を示しているが、例示のために与えられているに過ぎないことが理解されるべきである。

0022

以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある種の局面をさらに示すために含まれる。本発明は、本明細書に提示された具体的な態様の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面のうちの一つ以上を参照することによって、よりよく理解され得る。

図面の簡単な説明

0023

体軸断面コントラスト画像:手術、放射線治療、テモゾロミド、および1サイクルダサチニブに失敗した最初の再発の後、DNX-2401によって対象を処置した。(マクドナルド基準による)DNX-2401治療に対する完全応答により、処置後32ヶ月目の現在、疾患の証拠は存在しない。(図1A)処置前、(図1B)2ヶ月、(図1C)8ヶ月、(図2D)23ヶ月。矢印:腫瘍。腫瘍増殖ではなく炎症によって引き起こされた図1Bの見かけの増悪に注目されたい。腫瘍は、応答し続け(図1C)、より小さくなり、原線維状に見える。図1Dに腫瘍が存在しないことに注目されたい。溝の下の小さい強調領域は、嚢胞(矢印)である。
体軸断面コントラスト画像:過去の手術、放射線治療、テモゾロミド、およびベバシズマブに失敗した3回目の再発時、DNX-2401によって対象を処置した。Δ24-RGD処置後2ヶ月目の腫瘍の小葉状外観左パネル)、それに続く、6ヶ月目の崩壊の証拠(「石けんの泡」)(右パネル)に注目されたい。腫瘍を6ヶ月目に切除し分析した。独立の病理学報告は、腫瘍がほとんど壊死しており、残部には、T細胞が優勢免疫細胞浸潤していると述べた(左、2ヶ月目、右、6ヶ月目)。
状断面コントラスト画像(右):以前の手術、放射線治療、およびテモゾロミドに失敗した最初の再発時、DNX-2401による治験のAアームにおいて対象を処置した。左画像、DNX-2401処置後1ヶ月目、右画像10ヶ月目。腫瘍体積は10ヶ月目に82%低下した。
体軸断面コントラスト画像(右):以前の手術、放射線治療、およびテモゾロミドに失敗した最初の再発時、DNX-2401による治験のAアームにおいて対象を処置した。
T2/FLAIR画像:以前の手術、放射線治療、およびテモゾロミドに失敗した最初の再発時、DNX-2401による治験のAアームにおいて対象を処置した。画像は、FLAIRシグナルの事実上完全な消散を含む顕著な改善を証明している。
第1相Bアームの患者から切除されたヒト腫瘍切片。Adヘキソンタンパク質についての染色は、DNX-2401による処置後2週間目までのウイルス伝播および抗神経膠腫効果の明白な証拠を示している。A、ウイルスによって誘導された壊死;B、感染腫瘍細胞;C、未感染腫瘍細胞。
第1相Bアームの患者から切除されたヒト腫瘍の切片。示されているT細胞の存在についての染色。主にCD8 T細胞の浸潤に注目されたい。H&E、ヘマトキシリンエオシン;CD3、休止Tリンパ球および活性型Tリンパ球に通常存在するT細胞特異的なマーカー;CD4、ヘルパーインデューサーTリンパ球において発現されるT細胞マーカー;CD8、細胞傷害性サプレッサーT細胞サブセットに一般的に存在するT細胞マーカー。
第I相臨床試験設計。
臨床的用量研究漸増プラン
応答基準

0024

例示的な態様の説明
従来の治療に対して本質的に抵抗性である悪性腫瘍は、治療が極めて困難である。そのような悪性腫瘍には、100,000人当たり6.4例という年間発生率を有する(CBTRUS、2002-2003)最も多い原発性脳腫瘍である悪性神経膠腫が含まれるが、これに限定されない。これらの神経学的に壊滅的な腫瘍は、原発脳腫瘍の最も一般的なサブタイプであり、最も致命的なヒト癌のうちの一つである。最も侵襲性の癌、多形膠芽腫(GBM)において、患者の生存期間中央値は、最大の処置努力にも関わらず9〜12ヶ月の範囲である(Hess et al.,1999)。原型疾患、悪性神経膠腫は、現在の処置計画に対して本質的に抵抗性である(Shapiro and Shapiro,1998)。実際、GBMを有する患者のおよそ1/3においては、放射線および化学療法による処置にも関わらず、腫瘍が増殖し続ける。手術、放射線、および化学療法を含む積極的処置によっても、生存期間中央値は1年未満である(Schiffer,1998)。これらの難治性腫瘍の多くについて、利用可能な優れた処置オプションはほとんど存在しないため、新規革新的な治療アプローチの探索が不可欠である。

0025

処置を改善する一つの可能性のある方法は、腫瘍細胞において腫瘍溶解効果を生ずるよう、天然に存在するウイルスを操作することができるという概念に基づく(各々参照によって本明細書に組み入れられる、Wildner,2001;Jacotat,1967;Kirn,2001;Geoerger et al.,2002;Yan et al.,2003;Vile et al.,2002)。アデノウイルスの場合、アデノウイルスゲノム内の特異的な欠失が、腫瘍細胞において複製する能力を保持しながら、正常な静止細胞において複製する能力を弱めることができる。一つのそのような制限増殖型アデノウイルスΔ24が、Fueyo et al.(2000)によって記載されている。各々参照によって本明細書に組み入れられる米国特許公開第20030138405号ならびに米国特許第8,168,168号および第6,824,771号も参照すること。Δ24アデノウイルスは、アデノウイルス5型(Ad-5)に由来し、E1A遺伝子のCR2部分に24塩基対欠失を含有している。Δ24の有意な抗腫瘍効果は、細胞培養系および悪性神経膠腫異種移植モデルにおいて示されている。

0026

腫瘍溶解性アデノウイルスには、生物学的治療(biotherapeutic)剤として使用するための候補になるためのいくつかの特性を有するΔ24のような制限増殖型アデノウイルス(CRAD)が含まれる。一つのそのような特性は、腫瘍溶解性ウイルスの最初のインプット用量を増幅して、近接する腫瘍細胞に薬剤が伝播し、直接抗腫瘍効果を提供するのを助ける、許容的な細胞または組織において複製する能力である。

0027

I.腫瘍溶解性アデノウイルスΔ24
Δ24アデノウイルスの腫瘍溶解効果はインビトロおよびインビボで証明されている。一般に、アデノウイルスは、36kbの直鎖状二本鎖DNAウイルスである(Grunhaus and Horwitz,1992)。宿主細胞アデノウイルス感染によって、アデノウイルスDNAはエピソームとして維持され、そのことは、組込み型ベクターに関連している可能性のある遺伝子毒性を低下させる。また、アデノウイルスは構造的に安定しており、ゲノム再編成は大規模な増幅の後にも検出されていない。アデノウイルスは、細胞周期段階に関わらず事実上全ての上皮細胞を感染させることができる。現在までのところ、アデノウイルス感染は、ヒトにおける急性呼吸器疾患のような軽度の疾患にのみ関連付けられているようである。

0028

Δ24ウイルスの具体的な形態、DNX-2401(DNATrix,Houston TX)は、E1A遺伝子内の24bp欠失(bp 923-946;Rb結合ドメイン)、およびAdファイバーのH1ループへのRGDインテグリン結合モチーフ(4Cペプチド:Cys-Asp-Cys-Arg-Gly-Asp-Cys-Phe-Cys;SEQID NO:1)の挿入を含有している、腫瘍内投与のための制限増殖型アデノウイルス(AdV)ベクター5型である。DNX-2401は、腫瘍細胞へ侵入するため、ある種の細胞表面インテグリンを使用することができる。

0029

DNX-2401は、正常なアデノウイルス受容体(CAR)ならびに腫瘍細胞および新生血管にのみ通常発現されるRGD結合インテグリンの両方を介して細胞に侵入する。これは、活性のためにCAR受容体に頼らなければならなかった旧世代アデノウイルスに対する有意な改善である。このRGD-4Cペプチド(CDCRGDCFC;SEQID NO:1)は、腫瘍細胞を含む多くの細胞型の表面上に存在するRGD結合(αVβ3およびαVβ5)インテグリンに高い親和性で結合することが示されている。重要なことに、RGD結合インテグリンは、腫瘍血管および神経膠腫細胞において発現されるが、正常な脳においては発現されないことが示されており、従って、DNX-2401による膠芽腫の大きく増加した選択的な感染のための基礎を提供する。

0030

細胞内への侵入後、DNX-2401複製は、細胞分裂のための主要な調節経路であるRb経路に欠陥を有する細胞に制限される。膠芽腫の>90%を含む事実上全ての腫瘍細胞が、Rb/p16経路に、そして既に細胞周期に欠陥を有するため、DNX-2401は、これらの腫瘍細胞において選択的かつ効率的に複製し、それらを死滅させる。この高度の選択性は、ウイルスE1タンパク質に通常存在する24bp Rb結合ドメインの欠失によって達成される。この領域の主要な機能は、正常なRb機能を有する健常細胞においてアデノウイルス複製を可能にすることである。この領域の欠失は、Rb経路欠陥を有する腫瘍細胞においてのみDNX-2401を複製可能にする。

0031

A. Δ24腫瘍溶解性ウイルスの機序
神経膠腫の低悪性度から中悪性度への形質転換の特徴である細胞増殖の劇的な増加は、大部分がp16/Rb/E2F経路の制御異常に関連している(Fueyo et al.,2000;Fueyo et al.,1998;Chintala,1997)。最も説得力があるのは、この経路の様々なメンバーの間に見られる変異オーバーラップ欠如であり、それは、Rb経路を特異的に標的とすることによって、これらの腫瘍の処置における重要な治療的進歩が達成され得ることを主張する(Kyritsis and Yung,1996;Fueyo et al.,1999)。崩壊しているRb状態は、Rb欠損腫瘍細胞において排他的に奏功する薬剤を利用する機会を提供する可能性が高いであろう(Fueyo et al.,1999)。大部分の正常なヒト脳細胞は一般的には静止している。中枢神経系(CNS)の細胞はほとんど分裂せず、これらの細胞は限定的に分裂するよう特異的に誘発される。細胞が細胞分裂を受けることを厳密に制限する、緊密な制御調節が進化している。p16/Rb/E2F経路は、完全分化細胞非分裂状態を維持するか、または正常な分裂細胞細胞周期進行を負に制御するための重要な経路である。

0032

ヒトアデノウイルスは、通常、静止細胞(非分裂)または分裂細胞(正常細胞もしくは癌細胞)であるヒト細胞に感染する。このウイルスのヒト細胞への導入(ウイルス感染)によって、アデノウイルスDNAが、E1Aアデノウイルスタンパク質の合成によって直ちに転写される。ElAタンパク質のCR2領域が、Rbタンパク質と特異的に相互作用し、E2Fの放出をもたらし、細胞を細胞周期のS期(DNA合成期)に進行させ、分裂周期に細胞を維持する。この一連イベントは、排他的にウイルスによってコードされたタンパク質を発現させる目的のため、効果的に宿主細胞を徴用する。アデノウイルス粒子活発な産生は、腫瘍溶解性ウイルスの重要な特色である、細胞を活発な複製モードへ駆動するこの能力に依る。生物学的特徴の結果として、腫瘍細胞は、そのような活性にとって好都合な複製環境を提供する。ウイルスゲノムの重要配列の変異は、アデノウイルスを、腫瘍抑制タンパク質に結合しそれを不活化することができないようにする。これらの修飾アデノウイルスは、機能的な標的腫瘍抑制遺伝子を欠く細胞(腫瘍細胞のみ)において排他的に複製することができる。

0033

従って、CR2領域に24塩基対欠失を有するE1Aタンパク質の発現は、タンパク質がRbに結合しそれを不活化するのを防止する。この弱められたE1A変異体アデノウイルスは、機能的に活性なRb経路を有する正常な静止細胞においては複製することができない。対照的に、腫瘍細胞は、ウイルス複製に対して許容的であり、ウイルスは、インビトロおよびインビボの両方でヒト神経膠腫細胞に効率的に侵入しそれを溶解する。

0034

Δ24の腫瘍溶解可能性は、Onyx-015のような他の制限増殖型アデノウイルスと比較して、劇的である。マウス異種移植頭蓋内神経膠腫腫瘍モデルにおけるΔ24の効果を図2に示す。この場合、RA55を表す曲線は、Onyx-015と同様にE1B領域に欠失を保持している。この腫瘍溶解性アデノウイルスは、使用された比較可能な用量(この場合、1×108pfu)で、Δ24と同程度の効力を有しない。紫外線曝露によって不活化される陰性対照Δ24も示す。Δ24の抗腫瘍効果は、様々なヒト腫瘍細胞株、およびp16/Rb/E2F経路の既知の欠陥を有する動物異種移植モデルにおいて証明されている。p16/Rb/E2F欠陥を有する細胞株におけるΔ24の許容的な複製は、正常星状細胞および正常静止線維芽細胞における高度に弱められた複製と対照的である。さらに、安定的または一時的なトランスフェクション技術を通してRbが機能的に回復した腫瘍細胞へ導入された時、このウイルスの活性は弱められる。

0035

いくつかの要因が、脳腫瘍の処置のための腫瘍溶解性アデノウイルスの使用にとって好都合である。第一に、神経膠腫は転移せず、従って、効率的な局所アプローチが疾患を治癒させるために十分であるはずである。第二に、全ての神経膠腫が、異なる遺伝子異常を発現している数種の細胞集団を保有する(Sidransky et al.,1992;Collins and James,1993;Furnari et al.,1995;Kyritsis et al.,1996)。従って、癌細胞への単一遺伝子の移入に感受性の腫瘍のスペクトルは、限定される場合がある。第三に、複製能を有するアデノウイルスは、G0に停止している癌細胞に感染しそれを崩壊させることができる。神経膠腫には、細胞周期から外れた細胞が必ず含まれているため、この特性は重要である。最後に、p16-Rb経路は、神経膠腫の大多数において異常であり(Hamel et al.,1993;Henson et al.,1994;Hirvonen et al.,1994;Jen et al.,1994;Schmidt et al.,1994;Costello et al.,1996;Fueyo et al.,1996b;Kyritsis et al.,1996;Ueki et al.,1996;Costello et al.,1997)、従って、Δ24戦略はこれらの腫瘍の大部分のために適切である。網膜芽細胞腫腫瘍抑制遺伝子機能の喪失は、様々な型の腫瘍の原因に関連付けられており、神経膠腫の処置に限定されない。

0036

本発明の他の態様において、E1A変異(例えば、E1A内のΔ24変異)を、同一アデノウイルスのE1B領域内の変異と組み合わせて使用し、従って、二重変異体アデノウイルスを作成することができる。本発明のある種の態様において、アデノウイルスは、Δ24変異およびE1B55kDタンパク質の発現または機能を防止するE1B領域内の欠失を含み得る。E1B55kDタンパク質は、p53に結合しそれを不活化することが示されている。E1B領域変異には、参照によって本明細書に組み入れられるgenebankアクセッション番号NC_001406の2426bp〜3328bpのアデノウイルス配列の欠失が含まれ得る。

0037

本発明のある種の態様において、腫瘍溶解性アデノウイルスは、アデノウイルス発現ベクターとして使用され得る。「アデノウイルス発現ベクター」には、(a)ベクターのパッケージングを支持し、(b)そこにクローニングされたポリヌクレオチドを発現させるために十分なアデノウイルス配列を含有しているベクターが含まれるものとする。アデノウイルス配列内の関心対象異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの挿入位置は、本発明にとって重要ではない。関心対象のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、Karlsson et al.(1986)によって記載されたようなE3置換ベクターにおいて欠失させられたE3領域または標的細胞におけるウイルス複製にとって不可欠でないその他の領域の代わりに挿入され得る。アデノウイルス粒子の生成のための伝統的な方法は、シャトルプラスミドおよびアデノウイルスヘルパープラスミドの293細胞または911細胞のいずれかへの同時トランスフェクションおよびその後のインビボ組換えである(Introgene,The Netherlands)。

0038

B.新生物細胞表面インテグリンターゲティング
癌を処置する腫瘍溶解性アデノウイルスの能力を改善するため、本明細書に記載された腫瘍溶解性アデノウイルスの修飾を行うことができる。本発明には、新生物細胞を標的とするアデノウイルスの能力を改善する腫瘍溶解性アデノウイルスの修飾も含まれる。受容体結合分子を改変することによって、癌細胞に感染しそこで複製するアデノウイルスの能力を増強するための腫瘍溶解性アデノウイルスゲノムの修飾が含まれる。

0039

細胞表面受容体は、癌の標的特異的治療のための魅力的な候補である。いくつかの腫瘍型におけるコクサッキーウイルス・アデノウイルス受容体(CAR)の欠如または低レベルの存在は、腫瘍溶解性アデノウイルスの効力を限定し得る。様々なペプチドモチーフ、例えば、RGDモチーフRGD配列は、細胞表面インテグリンの正常なリガンド模倣する)、Tatモチーフポリリジンモチーフ、NGRモチーフ、CTTモチーフ、CNGRLモチーフ、CPRECESモチーフ、またはストレプトタグ(strept-tag)モチーフを、ファイバーノブに付加することができる(Rouslahti and Rajotte,2000)。モチーフは、アデノウイルスファイバータンパク質のHIループへ挿入され得る。カプシドの修飾は、CAR非依存性の標的細胞感染を可能にする。これは、より高度の複製、より効率的な感染、および腫瘍細胞の増加した溶解を可能にする(参照によって本明細書に組み入れられるSuzuki et al.,2001)。EGFRまたはuPRのような特異的なヒト神経膠腫受容体に結合するペプチド配列も、付加され得る。EGFRvIIIのような癌細胞の表面上に排他的にまたは優先的に見出される特異的な受容体は、アデノウイルスの結合および感染のための標的として使用され得る。

0040

II. Rb経路
Rbは、その機能喪失が腫瘍形成に関連している腫瘍抑制遺伝子である。網膜芽細胞腫タンパク質またはRbとは、本明細書において使用されるように、網膜芽細胞腫遺伝子(Rb)によってコードされたポリペプチドをさす。網膜芽細胞腫遺伝子は、ヒトにおいては13q14に位置し、およそ110キロダルトン(kD)のタンパク質をコードする。リン酸化されていないRbは、転写因子(例えば、E2F)を隔絶し、細胞周期のG1において細胞を停止させることによって、細胞増殖を阻害する。転写因子は、Rbがリン酸化された時にRbから放出される。E1AのRbへの結合は、リン酸化とほぼ同様に、転写因子放出を引き起こす。いくつかのウイルスオンコプロテインは、ウイルスの複製を容易にするため、Rbを不活化の標的とする。これらのタンパク質には、アデノウイルスE1A、SV40ラージT抗原、およびパピローマウイルスE7が含まれる。

0041

E1Aタンパク質は、アデノウイルス感染後に合成される最初のウイルス特異的なポリペプチドのうちの一つであり、ウイルス複製が起こるために要求される(Dyson and Harlow,1992;Flint and Shenk,1997)。Rbタンパク質とE1Aタンパク質との相互作用は、既存の細胞E2F-Rb複合体からのE2Fの放出をもたらす。次いで、E2Fは、アデノウイルスのE2プロモーターからの転写および感染細胞のE2Fによって制御される遺伝子を自由に活性化することができる。これらの細胞遺伝子転写活性化は、次に、そうでなければ静止している細胞において、ウイルスDNA合成のために適当な環境を作出するのを助ける(Nevins,1992)。E1Aの2個のセグメントがRb結合にとって重要である;一方はアミノ酸30-60を含み、他方はアミノ酸120-127を含む(Whyte et al.,1988;Whyte et al.,1989)。いずれかの領域の欠失は、インビトロおよびインビボで、検出可能なE1A/Rb複合体の形成を防止する(Whyte et al.,1989)。

0042

Δ24変異を含有しているアデノウイルスは、Rbに結合することができず、感染細胞をG0に維持するE1Aタンパク質を産生する。従って、変異体Rb経路および変異体E1Aが、E2F活性化と共に、Δ24アデノウイルス転写のために必要である。

0043

網膜芽細胞腫(Rb)経路とは、本明細書において使用されるように、細胞増殖の制御における、Rbと相互作用する制御タンパク質またはRbと相互作用するその他のタンパク質の群の相互作用をさす(概説については、Kaelin,1999を参照されたい)。Rb経路内のタンパク質には、Rb、転写因子のE2Fファミリー、DRTFRIZ286、MyoD287、c-Abl288、MDM2289、hBRG1/hBRM、p16、p107、p130、c-Ablチロシンキナーゼ、および保存されたLXCXEモチーフを有するタンパク質、サイクリンE-cdk 2、およびサイクリンD-cdk 4/6が含まれるが、これらに限定されない。Rbのリン酸化は、リン酸化されていないRbに結合しているE2Fを放出する。E2Fは、サイクリンEの転写および活性を刺激し、さらなるRbリン酸化をもたらす。リン酸化されていないRbは、E2Fのような、DNA複製を増加させる制御タンパク質に結合することによって、腫瘍抑制因子として作用する(The Genetic Basis of Human Cancer,Vogelstein and Kinzler eds.,1998)。

0044

欠陥のある網膜芽細胞腫経路とは、本明細書において使用されるように、Rbの不活化、変異、もしくは欠失、または1種以上のタンパク質、タンパク質活性、もしくはタンパク質間相互作用の変異もしくは修飾のため、Rbと相互作用する上流もしくは下流の制御タンパク質が細胞増殖を制御し得ないことをさす。欠陥のあるRb経路を引き起こす変異には、Rb、INK4タンパク質、およびCIP/KIPにおける不活化変異、ならびにサイクリンD/cdk 4、6、およびサイクリンE、cdk 2のようなサイクリン遺伝子における活性化変異が含まれるが、これらに限定されない。ヒト腫瘍のほぼ100パーセントにおいて、p16、サイクリンD、cdk4、E2F、またはRb自体を含むRb制御経路の何らかの要素が、変異している可能性がある(The Genetic Basis of Human Cancer,1998)。Rb関連腫瘍には、神経膠腫、肉腫、肺、乳房、卵巣頚部膵臓結腸、皮膚、喉頭膀胱、および前立腺の腫瘍が含まれる。

0045

III. 脳癌を処置する方法
本発明は、崩壊しているRb経路を有する腫瘍細胞を含む脳腫瘍の処置を含む。膠芽腫、未分化星状細胞腫、および肉腫を含む多様な脳腫瘍が、本発明の方法および組成物を使用して処置され得ることが企図される。

0046

「神経膠腫」という用語は、脳または脊髄神経膠に起因する腫瘍をさす。神経膠腫は星状細胞および乏突起神経膠細胞のような膠細胞型に由来し、従って、神経膠腫には、星状細胞腫および乏突起神経膠腫、ならびに未分化神経膠腫、膠芽腫、および上衣腫が含まれる。星状細胞腫および上衣腫は、子供および成人の両方において脳および脊髄の全ての区域において起こり得る。乏突起神経膠腫は、典型的には、成人の大脳半球において起こる。神経膠腫は、小児科の脳腫瘍の75%、成人における脳腫瘍の45%を占める。脳腫瘍の残りの割合は、髄膜腫、上衣腫、松果体部腫瘍、脈絡叢腫瘍、神経上皮腫瘍、胚芽腫、末梢性神経芽細胞腫瘍、脳神経の腫瘍、造血系の腫瘍、胚細胞性腫瘍、およびトルコ鞍部腫瘍である。

0047

本書の目的のため、応答および増悪の基準(全て、少なくとも4週間持続可能な応答)は、それらの用語がWorld Health Organizationによって採用され、脳腫瘍に適しているため、マクドナルド基準(Macdonald et al.,1990)を使用して定義され、コントラストを強調する病変部の二次元測定(MRIスキャン上の病変部の交差する最長径の低下)を使用して決定される。
・完全応答:全ての病変部の消失、生理学的用量を超えるステロイドなし
部分応答:50%以上の萎縮、ステロイドの安定または減少
・疾患安定:50%未満の萎縮
・増悪:新しい病変部、非インデックス病変部の明白な増悪、インデックス病変部の25%以上の増殖、または放射線学的増悪の非存在下での明白な臨床的増悪

0048

膠芽腫は、従来の治療に抵抗性の壊滅的な原発性高悪性度悪性神経膠腫である。手術、放射線治療、および化学療法のような現在の介入は、全生存期間中央値をおよそ14.6ヶ月に延長する。多くの新しい化合物は、組み合わせて試験された時ですら、全生存期間を改善することも、有用な臨床的応答をもたらすこともできていない。疾患の経過に影響を与えることができるこれらの腫瘍に対する新しい攻撃のモードという顕著な未解決医学的必要性が存在する。

0049

高悪性度悪性神経膠腫は、高度に血管性浸潤性の腫瘍であり、従って、外科的切除にも関わらず再発しがちである。処置オプションは、新たに診断された疾患についても、再発性疾患についても限定されており、特に、外科的に到達可能でない腫瘍を有する患者について限定されている。さらに、膠芽腫再発の80%以上は、最初の腫瘍と同一の区域において起こるが、付加的な放射線治療は、しばしば、毒性問題のために妨げられる。テモゾロミドは、新たに診断された膠芽腫および再発性未分化星状細胞腫の処置のために認可されており、ベバシズマブは再発性膠芽腫の処置のためにより最近認可された。これらの薬物は、全身送達され、複数回投与計画として投与されなければならない。テモゾロミドは、手術または放射線治療の補助として最も効果的に使用されている。対照的に、ベバシズマブは、再発性疾患のため、しばしば単独で投与され、または、実験的に、イリノテカンのような既存の化学療法と組み合わせて投与されている。

0050

腫瘍生物学の理解の進歩は、多数の重要なシグナリング経路および腫瘍形成の過程の同定を可能にした。しかしながら、経路の重複および代替シグナリングのため、単一の標的の阻害は、腫瘍増殖を実質的に阻害するために不十分であり得、数種の薬剤の組み合わせが必要とされ得る。

0051

現在、臨床的実施が検討されている抗血管新生剤が多数存在する。加速されたFDA認可のため、脳腫瘍を有する患者において最も一般に調査されている抗血管新生薬は、VEGF経路を崩壊させ、腫瘍血管サイズの減少を誘導し、低下した透過性を有するより正常化された血管ネットワークをもたらすヒト化モノクローナル抗体であるベバシズマブ(Avastin(登録商標))である。この化合物は、現在、初期環境および再発環境において、単一薬剤としても、組み合わせ薬剤としても、多数の研究において使用されている。

0052

現在進行中の第II/III相研究の大多数は、エンザスタウリン、セジラニブ、パゾパニブソラフェニブスニチニブ、およびシレンジイド(cilengitide)のような、キナーゼまたはインテグリンの低分子阻害剤の使用に移行している。治療計画は、これらの治療の組み合わせを含む場合があり、しばしば、非抗血管新生処置の同時処方を含み、新たに診断された疾患を有する患者および再発性疾患を有する患者の両方に投与され得る。初期の結果は、これらの薬剤のうちのいくつかは、6ヶ月PFSを中程度に延長することができるが、可能性のある長期的な利益および生存期間に対する影響は、未だ証明されていないことを示唆している。

0053

多形膠芽腫は、成人の最も一般的な悪性原発脳腫瘍である。これらの腫瘍の半分以上が、細胞周期調節に関与する遺伝子に異常を有する。しばしば、CDKN2Aにおける欠失または網膜芽細胞腫遺伝子の発現の喪失が存在する。他の型の脳腫瘍には、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、上衣腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、およびシュワン腫が含まれる。

0054

多くの情況において、細胞を死滅させるか、または細胞死もしくは「アポトーシス」を受けるように誘導する必要はない。むしろ、意味のある処置を達成するため、要求されるのは、腫瘍増殖がある程度遅くなることのみである。それは、細胞の増殖が完全に阻止されるか、またはいくらか腫瘍退行が達成されることであり得る。「寛解」および「腫瘍量の低下」のような臨床的用語にも、通常の使用法が与えられることが企図される。

0055

「治療的利益」という用語は、前癌、癌、および過剰増殖性疾患の処置を含む、対象の状態の医学的処置に関して、対象の健康を促進するかまたは増強するものをさす。その非網羅的な例のリストには、いくらかの期間の対象の寿命の延長、疾患の新生物発達の減少または遅延過剰増殖の減少、腫瘍増殖の低下、転移の遅延、癌細胞または腫瘍細胞の増殖速度の低下、および対象の状態に起因し得る対象の疼痛の減少が含まれる。

0056

A.アデノウイルス治療
当業者は、アデノウイルス送達をインビボおよびエクスビボの状況へ適用する方法を十分に承知している。ウイルスベクターについては、一般に、ウイルスベクターストックが調製されるであろう。ウイルスの種類および達成可能な力価に依って、1〜100個、10〜50個、100〜1000個、または1×104個、1×105個、1×106個、1×107個、1×108個、1×109個、1×1010個、1×1011個、1×1012個、もしくは1×1013個までの感染性粒子が、後述されるような薬学的に許容される組成物として患者へ送達されるであろう。

0057

様々な経路が様々な腫瘍型について企図される。分離した腫瘍塊または固形腫瘍が同定され得る場合、多様な直接アプローチ、局所的アプローチ、および領域的アプローチが採用され得る。例えば、アデノウイルスを腫瘍に直接注射することができる。腫瘍床は、切除および/または他の処置の前、途中、または後に処置され得る。切除またはその他の処置の後には、一般に、腫瘍または手術後の残存腫瘍部位に到達するカテーテルによってアデノウイルスが送達されるであろう。支持する静脈または動脈への注射によって、ベクターを腫瘍へ導入するため、腫瘍血管系が利用されてもよい。より遠位血液供給経路が利用されてもよい。

0058

癌を処置する方法には、腫瘍の処置、および腫瘍の近傍または周囲の領域の処置が含まれる。本願において、「残存腫瘍部位」という用語は、腫瘍に近接している区域を示す。この区域には、腫瘍が存在する体腔、ならびに腫瘍に隣接している細胞および組織が含まれ得る。

0059

B. 製剤および患者への投与ルート
臨床的適用が企図される場合、意図された適用のために適切な形態で薬学的組成物を調製することが必要であろう。一般に、これは、発熱物質およびヒトまたは動物にとって有害であり得るその他の不純物を本質的に含まない組成物の調製を要するであろう。

0060

本発明の活性組成物には、古典的な薬学的調製物が含まれ得る。一般に、送達ベクターを安定化し、標的細胞による取り込みを可能にするために適切な塩および緩衝液を利用することが、望まれるであろう。本発明の水性組成物は、薬学的に許容される担体または水性媒体に溶解または分散した細胞への有効量のベクターを含む。そのような組成物は、接種物とも呼ばれる。「薬学的にまたは薬理学的に許容される」という語句は、動物またはヒトへ投与された時に有害反応アレルギー反応、またはその他の不要の反応を生じない分子エンティティおよび組成物をさす。本明細書において使用されるように、「薬学的に許容される担体」には、全ての任意の溶媒分散媒コーティング抗菌剤抗真菌剤等張剤、および吸収遅延剤等が含まれる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野において周知である。従来の媒体または薬剤が、本発明と非適合性でない限り、治療用組成物において使用されることが企図される。補足的な活性成分が、組成物へ組み入れられてもよい。

0061

本発明によるこれらの組成物の投与は、適切な経路を介してなされるであろうが、具体的には、頭蓋内/腫瘍内投与が実施される。投与は、注射または注入によってもよい。頭蓋内投与を実施する方法について、参照によって具体的に組み入れられるKruse et al.(1994)を参照すること。そのような組成物は、通常、薬学的に許容される組成物として投与されるであろう。

0062

治療剤の有効量は、意図された目標、例えば、腫瘍細胞の排除に基づき決定される。「単位用量」という用語は、対象において使用するために適当な物理的に分離した単位をさし、各単位は、その投与、即ち、適切な経路および処置計画に関連して上述の所望の応答を起こすために計算された治療用組成物の予め決定された量を含有している。処置の回数および単位用量の両方に依る投与される量は、処置される対象、対象の状態、および望まれる防御に依る。治療用組成物の正確な量は、実務者の判断にも依り、各個体に特有である。本発明の操作されたウイルスは、動物へ直接投与されてもよいし、あるいは、細胞へ投与され、それがその後に動物へ投与されてもよい。

0063

本明細書において使用されるように、インビトロ投与という用語は、培養細胞を含むが、これに限定されない、動物から除去された細胞に対して実施される操作をさす。エクスビボ投与という用語は、インビトロで操作され、その後に生存動物へ投与される細胞をさす。インビボ投与という用語には、動物体内の細胞に対して実施される全ての操作が含まれる。本発明のある種の局面において、組成物は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボのいずれかで投与され得る。インビボ投与の例には、腫瘍細胞を選択的に死滅させるための、頭蓋内投与による本発明の組成物の腫瘍への直接注射が含まれる。

0064

腫瘍内注射または腫瘍血管系への注射は、具体的には、手術中に露出した腫瘍を含む、分離した固形の到達可能な腫瘍について企図される。直径1.5〜5cmの腫瘍について、注射体積は、1〜3cc、好ましくは、3ccであろう。直径5cmを越える腫瘍について、注射体積は、4〜10cc、好ましくは、5ccであろう。単一用量として送達される複数回注射は、約0.1〜約0.5ml、好ましくは、0.2mlの体積を含む。ウイルス粒子は、有利には、およそ1cm間隔で腫瘍への複数回注射を投与することによって接触させられ得る。

0065

外科的介入の場合、手術不能の腫瘍に切除を受けさせるため、手術前に本発明を使用することができる。あるいは、残存性または転移性の疾患を処置するため、手術の時点で、かつ/またはその後に、本発明を使用してもよい。例えば、切除された腫瘍床に、アデノウイルスを含む製剤を注射するかまたは灌流することができる。灌流は、例えば、手術の部位にカテーテルを植え込んでおくことによって、切除後に継続され得る。周期的な術後処置も構想される。

0066

適切である場合、例えば、腫瘍が切除され、残存する顕微鏡的疾患を排除するために腫瘍床が処置される場合、連続投与が、好ましくは、カテーテル法を介して、適用されてもよい。そのような連続灌流は、処置の開始後、約1〜2時間から、約2〜6時間、約6〜12時間、約12〜24時間、約1〜2日、約1〜2週間まで、またはそれ以上の期間にわたり行われ得る。一般に、連続灌流を介した治療用組成物の用量は、単回注射または複数回注射によって与えられるものと同等であり、灌流が行われる期間にわたり調整されるであろう。

0067

処置計画も、同様に変動し得、しばしば、腫瘍型、腫瘍位置、疾患増悪、ならびに患者の健康および年齢に依る。明らかに、ある種の型の腫瘍は、より積極的な処置を要求し、同時に、ある種の患者は、より負担のかかるプロトコルに耐えることができない。臨床医は、治療用製剤の既知の効力および毒性(もしあれば)に基づき、そのような決定をするために最も適しているであろう。遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての活性化合物溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適当に混合された水において調製され得る。分散液も、グリセロール液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物、ならびに油において調製され得る。保管および使用の通常の条件の下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するための保存剤を含有する。

0068

本発明の治療用組成物は、有利には、液状の溶液または懸濁液のいずれかとして注射可能な組成物の形態で投与され;注射前に液体に溶解させるかもしくは懸濁させるために適当な固体の形態が調製されてもよい。これらの調製物は乳化されてもよい。そのような目的のための典型的な組成物は、薬学的に許容される担体を含む。例えば、組成物は、リン酸緩衝生理食塩水1ミリリットル当たり10mg、25mg、50mg、または約100mgまでのヒト血清アルブミンを含有していてもよい。他の薬学的に許容される担体には、塩、保存剤、緩衝液等を含む、水性溶液、非毒性賦形剤が含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルである。水性担体には、水、アルコール性/水性溶液、生理食塩水溶液塩化ナトリウムまたはリンゲルデキストロースのような非経口溶剤が含まれる。静脈内溶剤には、液体および栄養補充剤が含まれる。保存剤には、抗微生物剤抗酸化剤キレート剤、および不活性ガスが含まれる。薬学的組成物のpHおよび様々な成分の正確な濃度は、周知のパラメータによって調整される。経路が局所である時、形態は、クリーム軟膏、または膏薬であり得る。

0069

C.組み合わせ治療
様々な治療に対する腫瘍細胞の抵抗性は、臨床腫瘍学において大きな問題となっている。現在の癌研究の一つの目標は、化学療法および放射線治療ならびに他の従来の癌治療の効力を改善する方式を見出すことである。一つの方式は、そのような伝統的治療を腫瘍溶解性アデノウイルス治療と組み合わせることによる。癌を処置するための伝統的治療には、影響を受けた器官の全部または一部の除去、外照射療法、キセノンアークおよびアルゴンレーザーによる光凝固寒冷療法、免疫治療、ならびに化学療法が含まれ得る。処置の選択は、(1)疾患が多巣性であるか単性であるか、(2)腫瘍の部位およびサイズ、(3)疾患の転移、(4)患者の年齢、または(5)組織病理学的所見のような複数の要因に依存する(The Genetic Basis of Human Cancer,1998)。

0070

本発明に関して、化学療法または放射線治療による介入を含む抗癌剤、および放射線診断(radiodiagnositc)技術と、アデノウイルス治療を併用し得ることが企図される。免疫治療と腫瘍溶解性ウイルス治療を組み合わせることも有効であると判明し得る。

0071

「標的」細胞が、変異体腫瘍溶解性ウイルスと接触し、任意で、少なくとも1種の他の薬剤と接触することによって、細胞が死滅するか、細胞増殖が阻害されるか、転移が阻害されるか、血管新生が阻害されるか、またはその他の方法で標的細胞の過剰増殖表現型逆転するかもしくは低下し得る。これらの組成物は、標的細胞を死滅させるかまたはその増殖を阻害するのに有効な組み合わせ量で提供されるであろう。この過程は、同一のまたは異なる時点で、発現構築物および薬剤または因子と、細胞を接触させることを含み得る。これは、両方の薬剤を含む単一の組成物もしくは薬理学的製剤と細胞を接触させることによって達成されてもよいし、または2種の別個の組成物もしくは製剤(一方の組成物は腫瘍溶解性アデノウイルスを含み、他方は第2の薬剤を含む)と細胞を接触させることによって達成されてもよい。

0072

腫瘍溶解性アデノウイルス治療を、免疫抑制と組み合わせることもできる。免疫抑制は、参照によって本明細書に組み入れられるWO 96/12406に記載されるように実施され得る。免疫抑制剤の例には、シクロスポリン、FK506、シクロホスファミド、およびメトトレキサートが含まれる。

0073

あるいは、腫瘍溶解性アデノウイルス処置は、数分から数週間の範囲の間隔で、第2の薬剤または処置に先行するかまたは後続してもよい。第2の薬剤および腫瘍溶解性アデノウイルスが細胞へ別々に適用される態様においては、第2の薬剤および腫瘍溶解性アデノウイルスが細胞に対して有利に組み合わせられた効果を発揮することができるよう、各送達の時点の間に有意な期間が空かないことが一般に保証されるであろう。そのような場合において、細胞は、相互の約12〜24時間以内、より好ましくは、相互の約6〜12時間以内に両方のモダリティと接触させられ、約12時間のみの遅延時間が最も好ましいことが企図される。しかしながら、いくつかの状況において、処置のための期間を有意に延長することが望ましい場合があり、その場合、数日(2日、3日、4日、5日、6日、または7日)〜数週間(1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、または8週間)がそれぞれの投与の間に経過する。

0074

腫瘍溶解性アデノウイルスおよび/または第2の薬剤のいずれかの複数回の投与が望まれることも考えられ得る。腫瘍溶解性アデノウイルスが「A」で、他の薬剤が「B」である場合、以下に例示されるように、様々な組み合わせが利用され得る。

他の組み合わせも企図される。これらの場合にも、細胞殺傷を達成するため、両方の薬剤は、細胞を死滅させるのに有効な組み合わせ量で細胞へ送達される。

0075

組み合わせ治療において使用するために適当な薬剤または因子は、抗血管新生剤および/または抗癌活性を有する化学的化合物もしくは処置方法である;従って、本願の全体にわたって使用される「抗癌剤」という用語は、抗癌活性を有する薬剤をさす。これらの化合物または方法には、アルキル化剤、トポイソメラーゼI阻害剤トポイソメラーゼII阻害剤、RNA/DNA代謝拮抗薬、DNA代謝拮抗薬、抗有糸分裂剤、および細胞へ適用された時にDNA傷害を誘導するDNA傷害剤が含まれる。

0076

化学療法薬およびプロドラッグの例には、CPT11、テモゾロミド、プラチン化合物、および5-FCのようなプロドラッグが含まれる。アルキル化剤の例には、とりわけ、クロラムブシルシスプラチンシクロソン(cyclodisone)、フルロドパン(flurodopan)、メチルCCNU、ピペラジンジオンテロキシロン(teroxirone)が含まれる。トポイソメラーゼI阻害剤には、カンプトテシンおよびカンプトテシン誘導体ならびにモルホリノドキソルビシンのような化合物が包含される。ドキソルビシン、ピラゾロアクリジンミトキサントロン、およびルビダゾン(rubidazone)は、トポイソメラーゼII阻害剤の例示である。RNA/DNA代謝拮抗薬には、L-アラノシン5-フルオロウラシルアミノプテリン誘導体、メトトレキサート、およびピラゾフリン(pyrazofurin)が含まれ;DNA代謝拮抗薬群には、例えば、ara-C、グアノゾール(guanozole)、ヒドロキシ尿素チオプリンが包含される。典型的な抗有糸分裂剤は、コルヒチンリゾキシン(rhizoxin)、タキソール(taxol)、および硫酸ビンブラスチンである。その他の薬剤および因子には、γ線照射X線UV線照射マイクロ波電子放射等のようなDNA傷害を誘導する放射線および波が含まれる。「化学療法剤」とも記載される多様な抗癌剤は、DNA傷害を誘導するために機能し、それらは、全て、本明細書に開示された組み合わせ処置方法において有用であるものとする。有用であると企図される化学療法剤には、例えば、アドリアマイシンブレオマイシン、5-フルオロウラシル(5-FU)、エトポシド(VP-16)、カンプトテシン、アクチノマイシンDマイトマイシンC、シスプラチン(CDDP)、ポドフィロトキシンベラパミルが含まれ、過酸化水素も含まれる。本発明は、X線のシスプラチンとの使用またはシスプラチンのエトポシドとの使用のような、放射線に基づくものであってもよいしまたは実際の化合物であってもよい1種以上のDNA傷害剤の組み合わせの使用も包含する。

0077

本発明による前癌または癌の処置において、前癌病変部の細胞または腫瘍細胞は、腫瘍溶解性アデノウイルスに加えて、薬剤と接触させられるであろう。これは、局所的な腫瘍部位に、X線、UV光γ線、またはマイクロ波のような放射線を照射することによって達成され得る。あるいは、アドリアマイシン、ブレオマイシン、5-フルオロウラシル、エトポシド、カンプトテシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、ポドフィロトキシン、ベラパミル、または、より好ましくは、シスプラチンのような化合物を含む薬学的組成物を、治療的に有効な量、対象へ投与することによって、細胞を薬剤と接触させることができる。薬剤は、腫瘍溶解性アデノウイルスと組み合わせることによって、組み合わせ治療用組成物またはキットとして調製され使用され得る。

0078

核酸、具体的には、DNAを直接架橋する薬剤は、DNA傷害を容易にし、腫瘍溶解性アデノウイルスとの相乗的な抗新生物組み合わせをもたらすと考えられる。シスプラチンのようなシスプラチナム剤およびその他のDNAアルキル化剤が使用され得る。シスプラチンは、癌を処置するために広く使用されており、臨床的適用において使用される有効用量は、20mg/m2、3週間毎に5日間、計3クールである。シスプラチンは、経口では吸収されず、従って、静脈内、皮下、腫瘍内、または腹腔内への注射を介して送達されなければならない。ブレオマイシンおよびマイトマイシンCは、静脈内、皮下、腫瘍内、または腹腔内への注射によって投与される他の抗癌剤である。ブレオマイシンの典型的な用量は、10mg/m2であり、マイトマイシンCのそのような用量は、20mg/m2である。

0079

DNAに傷害を与える薬剤には、DNA複製、有糸分裂、および染色体分離干渉する化合物も含まれる。そのような化学療法化合物には、ドキソルビシンとしても公知のアドリアマイシン、エトポシド、ベラパミル、ポドフィロトキシン等が含まれる。新生物の処置のために臨床環境において広く使用されている、これらの化合物は、アドリアマイシンの21日間隔での25〜75mg/m2からエトポシドの35〜50mg/m2までの範囲の用量で、静脈内ボーラス注射を通して投与されるか、または静脈内用量の2倍が経口投与される。

0080

核酸の前駆体およびサブユニットの合成および忠実度を崩壊させる薬剤も、DNA傷害をもたらす。従って、多数の核酸前駆体が開発されている。特に有用であるのは、広範な試験を受けており、容易に入手可能である薬剤である。そのため、5-フルオロウラシル(5-FU)のような薬剤は、新生物組織によって優先的に使用されるため、この薬剤は新生物細胞へのターゲティングのために特に有用である。極めて毒性の5-FUは、局所を含む広範囲の担体において適用可能であるが、一般的には、3〜15mg/kg/日の範囲の用量の静脈内投与が使用されており、または代替的な5-FCが投与され、標的組織もしくは標的細胞において変換されてもよい。

0081

DNA傷害を引き起こし、広範に使用されているその他の因子には、γ線、X線として一般的に公知であるもの、および/または腫瘍細胞への放射性同位体の定方向送達が含まれる。マイクロ波およびUV線照射のようなその他の形態のDNA傷害因子も企図される。これらの因子は、全て、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体の組み立ておよび維持に対して広範囲の傷害をもたらす可能性が最も高い。X線の投薬量範囲は、長期間(3〜4週間)にわたる50〜200レントゲンの1日線量から、2000〜6000レントゲンの単一線量までの範囲である。放射性同位体の投薬量範囲は、広く変動し、同位体半減期放射される放射線の強度および型、ならびに新生物細胞による取り込みに依る。

0082

免疫治療は、変異体腫瘍溶解性ウイルスによって媒介される治療との組み合わせ治療の一部として使用され得る。組み合わせ治療のための一般的なアプローチは、後述される。一般に、腫瘍細胞は、ターゲティングを受けることができる、即ち、他の細胞の大多数に存在しない、何らかのマーカーを保持しているはずである。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらはいずれも本発明に関してターゲティングのために適当であり得る。一般的な腫瘍マーカーには、癌胎児性抗原前立腺特異抗原尿路腫瘍関連抗原胎児抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAPエストロゲン受容体ラミニン受容体、erb B、およびp155が含まれる。CAR、インテグリン、またはその他の細胞表面分子に特異的な抗体は、アデノウイルスが十分に感染させることができる細胞を同定するために使用され得る。CARは、アデノウイルス受容体タンパク質である。アデノウイルスのペントンベースは、ウイルスのインテグリン受容体への付着および粒子内部移行を媒介する。

0083

当業者は、"Remington's Pharmaceutical Sciences"15th Edition,1980を参照する。処置されている対象の条件に依って、必ず、投薬量の変動が起こるであろう。投与を担う者が、いずれにせよ、個々の対象のための適切な用量を決定するであろう。さらに、ヒトへの投与のため、調製物は、FDAOffice of Biologicsの規格によって要求されるような無菌性発熱性、一般的安全性、および純度の規格に適合しなければならない。

0084

腫瘍溶解性アデノウイルス治療の化学療法および放射線治療との組み合わせに加えて、他の遺伝子治療との組み合わせも有利であることが企図される。例えば、同時にp53のターゲティングと組み合わせられた腫瘍溶解性アデノウイルスのターゲティングは、改善された抗癌処置を生ずることができる。ポリペプチドをコードする腫瘍関連遺伝子または核酸、例えば、p21、Rb、APC、DCC、NF-1、NF-2、BCRA2、p16、FHIT、WT-1、MEN-I、MEN-II、BRCA1、VHL、FCC、MCC、ras、myc、neu、raf、erb、src、fms、jun、trk、ret、gsp、hst、bcl、およびablが、おそらく、この様式でターゲティングされ得る。

0085

抗血管新生治療も、本明細書に開示された腫瘍溶解性アデノウイルス治療と有利に組み合わせられ得る。具体的には、ベバシズマブ(Avastin(登録商標)、Genentech/Roche)は、新しい血管の増殖を遅くする薬物、血管新生阻害剤である。それは、結腸直腸癌肺癌乳癌(米国外)、膠芽腫(米国および日本)、腎臓癌、および卵巣癌を含む様々な癌を処置するために許可されている。ベバシズマブは、血管内皮増殖因子A(VEGF-A)を阻害するヒト化モノクローナル抗体である。VEGF-Aは、多様な疾患、特に、癌において、血管新生を刺激する化学的シグナルである。ベバシズマブは、米国における最初の臨床的に利用可能な血管新生阻害剤であった。

0086

上記の治療は、全ての型の手術と組み合わせて実装され得ることが、さらに企図される。癌を有する者のおよそ60%は、予防手術、診断または病期決定のための手術、治療的手術および緩和手術を含む何らかの型の手術を受けるであろう。これらの型の手術は、腫瘍溶解性アデノウイルス治療のような他の治療と併用され得る。

0087

治療的手術は、癌組織の全部または一部が物理的に除去され、切除され、かつ/または破壊される切除を含む。腫瘍切除とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去をさす。腫瘍切除に加えて、手術による処置には、レーザー手術、凍結手術電気手術、および顕微鏡下手術モース手術)が含まれる。本発明は、表在癌、前癌、または不随的な量の正常組織の除去と併用され得ることが、さらに企図される。

0088

癌細胞、組織、または腫瘍の一部または全部の切除によって、体内に腔が形成され得る。処置は、その区域への付加的な抗癌治療の灌流、直接注射、全身投与、または局所適用によって達成され得る。そのような処置は、例えば、1日毎、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、もしくは7日毎、または1週間毎、2週間毎、3週間毎、4週間毎、および5週間毎、または1ヶ月毎、2ヶ月毎、3ヶ月毎、4ヶ月毎、5ヶ月毎、6ヶ月毎、7ヶ月毎、8ヶ月毎、9ヶ月毎、10ヶ月毎、11ヶ月毎、もしくは12ヶ月毎に繰り返され得る。これらの処置も同様に変動する投薬量でなされ得る。さらに、複数の処置型(即ち、構築物、抗癌剤、および手術)を含む処置において、そのような処置型の間の時間は、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、もしくは約24時間;約1日、2日、3日、4日、5日、6日、もしくは7日;約1週間、2週間、3週間、4週間、もしくは5週間;約1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月、またはそれ以上離れていてよい。

0089

前記の治療のうちのいずれかが単独で有用であると判明し得ることも指摘されるべきである。この点に関して、組み合わせにおける化学療法および非変異体腫瘍溶解性ウイルス治療への言及は、これらのアプローチが別々に利用されてもよいことを企図するものとしても解釈されるべきである。

0090

IV.スクリーニング法
Rbに結合することができないアデノウイルスΔ24およびその他の変異体アデノウイルスに関して、細胞がウイルスタンパク質を転写し翻訳するためには、Rb経路が欠陥を有することが必要とされる。Rb経路は、E2Fの転写活性化活性を抑制することができないという意味で、欠陥を有することが要求される。E2Fは、その活性が抑制されない場合、細胞遺伝子およびアデノウイルスDNAの転写を活性化する。E2Fが抑制を免れ得る方式の例には、E2Fに結合することができないRb(即ち、E1AがRbに結合する)、E2Fの過剰発現、E2Fより少ないRb、およびRbのリン酸化が維持される状況が含まれるが、これらに限定されない。

0091

さらに、本発明者らは、対象におけるTh1偏向免疫応答の同定が、本発明の腫瘍溶解性アデノウイルスによる処置の成功予測することを観察した。また、Th2応答の存在が、非応答の指標となり得る。具体的なTh1マーカーはIL-12p70である。また、NLRP4のような腫瘍関連抗原に対する抗体の高いレベルが、査定され得、見出された場合、腫瘍溶解性ウイルス治療に対する応答を予測する。

0092

Th1マーカーには、IL-1β、IL-2、IL-8、IL-12、IL-18、IFN-γ、TNF-α、TNF-β、GMCSF、切断されたカスパーゼ3、ネオプテリン、およびβ2ミクログロブリンが含まれる。Th1表面マーカーには、CXCR3、CCR5、CCR1、ならびにIL-12受容体β1鎖およびα鎖が含まれる。Th2マーカーには、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-13、TGFβ、およびリン酸化STAT3が含まれる。Th2表面マーカーには、CXCR4、CCR3、CCR4、CCR7、CCR8、IL-1受容体、およびCD30が含まれる。腫瘍関連抗原には、BRAF、CABYR、CRISP3、CSAG3、CTAG2、DHFR、FTHL17、GAGE1、LDHC、MAGEA1、MAGEA3、MAGEA4、MAGEB6、MAPK1、MICA、MUC1、NLPR4、NYES01、P53、PBK、PRAME、SOX2、SPANXA1、SSX2、SSX4、SSX5、TSGA10、TSSK6、TULP2、XAGE2、およびZNF165が含まれる。具体的には、CABYR、MAGEA1、MAGEA3、MAGEB6、NLPR4、NYES01、PBK、およびZNF165のうちの1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、または8種全てが調査される。

0093

抗体が、アデノウイルスタンパク質(例えば、E1A)、Rb、およびRb経路の他のタンパク質、Th1応答、Th2応答、または腫瘍関連抗原を検出するために使用され得る。本発明のある種の局面において、複数の抗原と免疫反応性の1種以上の抗体が作製され得る。これらの抗体は、本明細書中の下記の様々な診断的または治療的な適用において使用され得る。

0094

本明細書において使用されるように、「抗体」という用語は、IgGIgMIgAIgD、およびIgEのような免疫学的結合剤を広くさすものとする。一般に、IgGおよび/またはIgMが、生理学的状況において最も一般的な抗体であり、実験室環境において最も容易に作成されるため、好ましい。抗体を調製し特徴決定するための手段も、当技術分野において周知である(例えば、参照によって本明細書に組み入れられるHarlow and Lane(1988)を参照すること)。

0095

本発明のある種の態様は、抗体コンジュゲートを形成するため、少なくとも1種の薬剤と連結される、抗原、ならびに翻訳されたタンパク質、ポリペプチド、およびペプチドに対する抗体を提供する。診断剤または治療剤としての抗体分子の効力を増加させるため、少なくとも1種の所望の分子またはモエティを連結するか、または共有結合で結合させるか、または複合体化することが慣習的である。レポーター分子とは、アッセイを使用して検出され得るモエティとして定義される。抗体とコンジュゲートされるレポーター分子の非限定的な例には、酵素放射標識ハプテン蛍光標識リン光分子、化学発光分子発色団発光分子光親和性分子、有色粒子、またはビオチンのようなリガンドが含まれる。

0096

抗体コンジュゲートのある種の例は、抗体が検出可能標識と連結されているコンジュゲートである。「検出可能標識」とは、特異的な機能的特性および/または化学的特徴のために検出され得る化合物および/または要素であり、その使用は、それが付着した抗体が検出され、かつ/または、所望により、さらに定量化されることを可能にする。

0097

細胞の集団におけるRb発現またはアデノウイルス遺伝子発現は、アデノウイルスタンパク質に対するプローブとして抗体を使用したウエスタンブロット分析によって決定され得る。検出されるウイルスタンパク質のレベルは、ウイルスタンパク質発現が細胞において起こっているか否かを示すであろう。

0098

アデノウイルス複製または細胞のRb経路もしくはp53経路に関与している、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドのような生物学的成分を検出するため、免疫検出法が利用され得る。免疫検出法には、少数を挙げると、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイRIA)、イムノラジオメトリックアッセイ蛍光イムノアッセイ化学発光アッセイ生物発光アッセイ、およびウエスタンブロットが含まれる。様々な有用なイムノアッセイ法の工程は、例えば、参照によって各々本明細書に組み入れられるDoolittle and Ben-Zeev(1999);Gulbis and Galand(1993);De Jager et al.(1993);Nakamura et al.(1987)のような科学文献に記載されている。

0099

抗原検出に関して、分析される生物学的試料は、例えば、組織切片もしくは標本均質化された組織抽出物、細胞、細胞小器官、上記の抗原含有組成物の分離されかつ/もしくは精製された形態のような、抗原を含有していると推測される試料であってよく、または、血液および/もしくは血清を含む、細胞もしくは組織と接触する生物学的液体であってもよいが、組織試料または抽出物が好ましい。

0100

一般に、免疫複合体形成の検出は、当技術分野において周知であり、多数のアプローチの適用を通して達成され得る。これらの方法は、一般に、放射性タグ、蛍光性タグ、生物学的タグ、および酵素タグのいずれかのような標識またはマーカーの検出に基づく。そのような標識の使用に関する米国特許には、参照によって各々本明細書に組み入れられる第3,817,837号;第3,850,752;3,939,350号;第3,996,345号;第4,277,437号;第4,275,149号、および第4,366,241号が含まれる。当然、当技術分野において公知であるように、二次抗体および/またはビオチン/アビジンリガンド結合配置のような二次的な結合リガンドの使用を通して、付加的な利点が見出され得る。

0101

処置の前、途中、または後に、腫瘍を生検し、神経膠腫細胞の有無を決定するため、上記の試験を実施することができる。生検プロトコルの例は、以下の通りである。定位生検は、脳腫瘍への金属プローブの正確な導入、脳腫瘍の小片の切断、顕微鏡下で調査するための除去である。患者をMRIまたはCATスキャンスイート輸送し、局所麻酔下でフレーム頭皮に付着させる。フレームの「ピン」が、厳格な固定のため頭蓋外板に付着する(フレームは、以後、生検の完了まで、その点から移動せず移動し得ない)。スキャン(MRIまたはCT)を入手する。神経外科医がスキャンを調査し、標的までの最も安全な軌道またはパスを決定する。これは重大な構造を回避することを意味する。標的の空間的座標を決定し、最適パスを選ぶ。全身麻酔下で生検を実施する。小さい切開進入点に作出し、頭蓋に小さい孔を空ける。「硬膜」を穿孔し、生検プローブを標的まで徐々に導入する。生検標本を取り出し、顕微鏡下での調査のため保存液に置く。しばしば、生検の成功を迅速に決定することができるよう、病理学者が生検スイートに存在している。

0102

V. 実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を示すために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、本発明の実施において良好に機能することが本発明者らによって発見された技術を表し、従って、その実施のための好ましいモードを構成すると見なされ得ることが、当業者によって認識されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示を考慮して、開示された具体的な態様に多くの変化を施しても、本発明の概念、本旨、および範囲から逸脱することなく、同様のまたは類似した結果を入手し得ることを認識するべきである。より具体的には、化学的にも生理学的にも関連しているある種の薬剤を、本明細書に記載された薬剤の代わりに用いても、同一のまたは類似した結果を達成し得ることが明白であろう。当業者に明白なそのような類似した代用物および修飾は、全て、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の本旨、範囲、および概念に含まれると見なされる。

0103

実施例1−方法
高悪性度神経膠腫のためのDNX-2401の第1相、用量漸増、2部研究を、MD Anderson Cancer Center in Houston Texasにおいて、研究者主導INDの下で開始した。研究参加資格のため、患者は、組織学的に立証された再発性高悪性度悪性神経膠腫を有することが要求された。研究の群Aは、生検によって確認された再発性神経膠腫の増殖区域への単一用量のDNX-2401の直接腫瘍内注射を評価し、群Bは、神経膠腫切除後の切除床への分割用量のウイルスの注射を評価した。両方の研究群について、開始用量は、107(例えば、1×107)ウイルス粒子(vp)であり、310vpまでハーフログ(half-log)増加率で用量を漸増させるプランであった。研究の主な目的は、インサイチューでのヒト脳腫瘍へのDNX-2401の注射の安全性、耐容性、実行可能性、および生物学的効果を決定することであった。

0104

群Aの患者は、針による直接腫瘍内注射を受容し、コホート別に標準的な用量漸増を受けた。腫瘍は、外科的に切除可能であってもよいしまたは切除可能でなくてもよい。割り当てられた用量レベルは、以下の通りであった:1×107、3×107、1×108、3×108、1×109、3×109、1×1010、および3×1010ウイルス粒子(vp)。ウイルス注射後28日間、患者を観察した後、次のコホートの患者を登録し処置した。

0105

群Bは、切除可能な腫瘍を有する患者のみを含んでいた。群Bの患者は、腫瘍の中心に永久に植え込まれたカテーテルを通して直接腫瘍内注射を受容し、次いで、コホート別に標準的な用量漸増を受けた(即ち、用量レベル1×107、3×107、1×108、3×108、1×109、3×109、1×1010、および3×1010ウイルス粒子(vp))。群Bのための用量漸増は、群Bが1用量レベルずつ群Aより遅れた以外、群Aに類似していた。群Aの患者は、群Bには含まれなかった。14日間の観察の後、病理学的分析および分子的分析のための生物学的標本を提供するため、定位カテーテルによって、腫瘍を一括切除した。腫瘍除去の後、付加的なDNX-2401を、切除腔の周囲の残存腫瘍へ注射した(即ち、腫瘍床への壁内注射)。

0106

群Aは、2012年9月に25人の対象の登録を完了した。達成された最大用量はプラン通り3×1010vpであった。手術の補助としてのDNX-2401を評価する群Bへの登録を、その後開始し、3×108vpの最大用量で12人の対象を登録した。追跡は、両方の処置群について、4ヶ月間は1ヶ月間隔で、2年間は2ヶ月毎、その後は4ヶ月毎に行われるよう予定された。患者は、研究の間、毒性および症状についてモニタリングされ、磁気共鳴画像法(MRI)、脊椎穿刺、および、適宜、臨床的な標準治療に基づくその他の試験を使用して評価される。

0107

実施例2−結果
両方の処置群のための研究査定は、査定のスケジュールに概説されるような規則的な時間間隔で実施された。データは、およそ4週間毎にMD Andersonの規格による電子的な症例報告フォームに記録され、MD AndersonのINDオフィスによって組織内でモニタリングされた。提示されたデータは、未監査であり、この時点では予備的と見なされるべきである。

0108

曝露の程度
群Aの患者についての最大ウイルス曝露は、腫瘍内送達後の3×1010vpからなっていた(4人の患者)。群Bにおいては、3人の患者へ、6×108vpの最大用量が送達された。

0109

(表1)曝露

0110

(表2)患者配置

0111

全部で37人の患者が登録され、25人の患者が群A(DNX-2401の腫瘍内投与)において処置され、12人の患者が群B(DNX-2401の腫瘍内/壁内投与)において処置された。2013年3月時点で、群Aにおいて処置された25人の患者のうちの2人、および群Bにおいて処置された12人の患者のうちの1人が、研究継続中であり、プロトコルに従い追跡されている。

0112

登録された37人のうち29人の患者が、組織学的に確認された膠芽腫を有し、7人が未分化星状細胞腫を有し、1人の患者が膠肉腫を有していた。研究開始後、27人の患者が最初の再発を経験し、10人の患者については2回目の腫瘍再発が起こった。機能障害に関しては、90〜100のカルノフスキースコアが、28人の患者(群Aの20人の患者および群Bの8人の患者)について報告され、70〜80のカルノフスキースコアが、9人の患者(群Aの5人の患者および群Bの4人の患者)について報告された。

0113

群A(登録25人)
測定可能な腫瘍を有しており、単一用量処置を完了した患者は、全て、応答について評価可能と見なされた(N=25)。組織病理学的に確認された再発性高悪性度神経膠腫を有する患者は、研究登録の時点で、疾患のために多量の前処置を受けていた。全ての患者が、テモゾロミドと同時に放射線治療を受容していた。

0114

全ての患者(外科的に到達可能であってもよいしまたは到達可能でなくてもよい)が、3×1010vpまでの用量で、成功裡に処置を完了した(N=25)。これは4桁に及ぶ用量漸増研究であったが、全ての患者が効力分析に含まれた。完全応答(CR)は4人(16%)、部分応答(PR)は2人(8%)、疾患安定(SD)は7人(28%)、疾患増悪(PD)は12人(48%)の患者において観察された。臨床的利益(CR+PR+SD)は、13人(52%)の患者において見られた。RANO基準によって応答(CR)が観察された最低用量は、1×108vp(コホート3)であった。この患者は、後に完全応答を宣告され、DNX-2401処置後38ヶ月目、生存しており、研究継続中である。2人目のCRは、1e10vpの用量のコホート7にいた。

0115

全ての患者を、PFS(無増悪生存期間)およびOS(全生存期間)の分析に含めた。全部で7人(28%)の患者が、少なくとも6ヶ月無増悪生存(PFS-6)を達成した。全ての対象についてのOS中央値は、8ヶ月および1年であった。OSは32%であり、1人の生存患者は未だ1年生マークに達していなかった(5.5ヶ月)。応答者(CR+PR)についてのOS中央値は、14ヶ月であった。6人の患者(24%、2CR、1PR、3SD)が、2013年3月時点で生存しており、そのうちの5人は、処置から1年を超えて生存していた。

0116

群B(登録12人)
組織病理学的に確認された再発性高悪性度神経膠腫を有する患者は、登録時までに多量の前処置を受けていた。全ての患者が、テモゾロミドと同時に放射線治療を受容していた。

0117

全ての患者が、(6×108vpの全曝露のため、0日目および14日目に分割して送達された)3×108vpまでの用量で、成功裡に処置を完了した(N=12)。3人の患者(25%)は、腫瘍内注射後14日目の切除の後に測定可能な疾患を有し、9人(75%)の患者は、手術の結果として測定可能な疾患を有しなかった。測定可能な疾患を有する3人の患者のうち、1人の患者については部分応答(PR)、2人の患者については疾患安定(SD)が達成された。測定可能な疾患を有しない9人の患者(75%)のうち5人(56%)の患者は、再発の欠如によって決定される疾患安定(SD)を示した。Bアームの全ての患者についての臨床的利益(CR+PR+SD)は、66%であった。全体で、少なくとも3人(25%)の患者が、6ヶ月目に無増悪であった。7人(58%)の患者が、2013年3月時点で生存している。

0118

腫瘍応答の機序
再発性高悪性度神経膠腫のための単剤治療としてのDNX-2401の単回投与の重要な利点には、以下のものが含まれる。
・MRI上の特徴的な変化を含む持続的な抗腫瘍応答
・存在したとしても最小である毒性副作用、それによる、患者の生活の質の増強
・他の抗癌剤または処置の組み合わせ使用を妨げない
・完全な抗腫瘍応答の可能性

0119

治療に対する腫瘍応答は、コントラストMRI上のサイン変化を伴うようである。これらには、コントラストパターンの初期の全体的な変化(「ブドウの房(bunch of grapes)」)が含まれ、いくつかの場合には、その後に「糸(thread)」パターンまたは「石けんの泡」に類似したものが出現する。DNX-2401処置後数ヶ月目までに、いくつかの腫瘍は、増悪し、より不明瞭な境界を有するように見える。これは、現在、他の免疫治療生成物によって見られるような、炎症によって引き起こされたものと考えられている。次いで、これは、より分離した、より小さい腫瘍へ変化し、いくつかの場合には、完全応答に至るであろう。

0120

この治験において観察されたMRI上の特徴的な変化が応答に関係していることの証拠は、外科的に切除された腫瘍に関する病理学報告に一部分由来する。腫瘍増悪であると考えられたもののため、2例の腫瘍が、DNX-2401治療の数ヶ月後に切除された。両方の場合において、病理学者は、腫瘍が>80%破壊されており(「処置に関連した壊死」)、残存する腫瘍には、免疫細胞の混合物(主にCD8 T細胞であることがその後に示された)が浸潤していることを報告した。これは、DNX-2401による感染が、有効な抗腫瘍免疫応答を誘発しているかまたはその他の方法で腫瘍を不安定化していることを示唆する。この所見が確認された場合、それは、単回DNX-2401注射の後に数人の対象の腫瘍において(MRIスキャンおよび/または処置後切除によって)観察された抗神経膠腫効果の持続性を説明し得る。

0121

急速に増殖する腫瘍による正常脳組織の置換は、最終的には重度身体障害および死亡をもたらすため、処置に対する抗腫瘍応答は、この疾患における特に重要なエンドポイントである。全体として、最小の罹患率で、疾患の経過に正の影響を与えることができる、膠芽腫に対する新しい攻撃のモダリティという高度の未解決の必要性が存在する。より少ない有害効果に関連していながら、薬物抵抗性リスクおよびオフターゲット毒性を減少させる新しい薬剤として、DNX-2401は、再発性膠芽腫のための現在の治療より安全でかつ有効である可能性を有する。さらに、それは、25.9%(22/85)という奏効率を達成したAvastin(登録商標)の効力すら越えているようである。22人の患者が、部分寛解を達成し、応答期間中央値は4.2ヶ月であった。

0122

バイオマーカーおよび抗腫瘍免疫
第I相臨床試験において獲得された経験は、DNX-2401腫瘍溶解治療に応答した患者と、応答しなかった患者との間の興味深い相関を明らかにした。この相関は、癌関連抗原(CRA)に対する抗体についての血清アッセイに基づいていた。CRA抗原は、正常組織には存在せず、増悪するにつれ癌によって「オンにされる」ため、癌における疾患の性質に関する情報を提供する。

0123

本発明者らは、31種の別個のCRAに対する抗体の有無について、第I相臨床試験に参加した患者を試験した。具体的には、DNX-2401を受容する前に、これらの抗原に対する抗体を発現している患者を探し、処置後に抗体を発達させた患者も探した。驚くべきことに、X線検査でDNX-2401に対する応答を有していた腫瘍を有する患者は、腫瘍抗原の定義されたセットに対して低い体液性抗体応答を有するかまたは応答を有しなかった。

0124

抗体応答の欠如は、DNX-2401治療に対する応答が、体液性免疫応答と比較して、細胞性免疫応答に基づいていることを示唆した。このため、本発明者らは、強応答者は、Th1(細胞傷害性T8細胞)偏向をより多く示し、非応答者は、Th2(抗体産生プロファイルとより一致するプロファイルを示すであろうと予想して、非応答者と比較して、応答者のサイトカインプロファイルを調べた。一般に、Th1応答は、抗原特異的なインターフェロンγ(IFN-γ)、IL-12、および補体結合抗体の増加を特徴し、Th2表現型は、IL-4、IL-5、IL-10の産生、ならびにIgE抗体IgA抗体、および全IgG抗体の増加を特徴とする。この予想は、(ELISA半定量的MSDアッセイを使用して)サイトカイン発現によって確認された。

0125

患者血清中の抗体の測定は、他のより慣習的なバイオマーカークラスと比較した時、いくつかの利点を有する。第1に、血清は、比較的非侵襲的サンプリングを要求する、容易に到達可能な組織である。第2に、抗体は、増幅された応答を提供し、それらの相対量は、初期の警告または小さい変化の検出を可能にする。第3に、侵襲的であり患者にとって不快であり、腫瘍の到達可能性にも依り、しばしば様々な細胞型の混合物を含有している組織生検が、要求されない。

0126

安全性
現在まで、脳腫瘍のためのDNX-2401の投与に関連した予想外の毒性は存在しない。有害事象は、両方の型の投与(即ち、腫瘍内および壁内)の後、一般に、軽度〜中程度であり、ウイルスと無関係であった。有害事象のために研究を中止した患者は存在せず、患者の血清、唾液、および尿の分析は、ウイルス排出を証明していない。死亡のSAEは、全て、DNX-2401と無関係であると見なされた。Avastin(登録商標)が患者において重度の毒性を引き起こし得るという点で、この安全性プロファイルには意味がある。これらの患者は、いずれも、薬物に関係する有害事象を経験しておらず、従って、現在、DNX-2401による安全性または毒性の問題は絶対的に存在しない。

0127

DNX-2401を用いて実施された2つの付加的な臨床研究からの安全性データは、脳臨床研究において観察された安全性を支持する。婦人科悪性疾患を有する21人の女性が、婦人科癌において1e9vp〜1e12vp/日の範囲の用量で毎日3日間受容した(Kimball et al.,2010;ClinicalTrials.gov Identifier:NCT00562003)。さらに、高悪性度神経膠腫を有する12人の患者が処置され、研究者は、腫瘍および周囲の脳へのウイルス注入が実行可能で安全であることを報告した。有害事象は一時的であって、重篤な有害事象はウイルスと無関係であった(ClinicalTrials.gov Identifier:NCT01582516)。

0128

現在の癌治療薬の多くは、患者に対する重度の毒性のため、使用が限定されている。例えば、ベバシズマブを受容したAVF3708gに登録された患者の>99%が、疲労、頭痛高血圧出血(bleeding/haemorrhage)、静脈/動脈血栓塞事象を含む有害事象を経験したことを報告した。他の重篤な事象には、創傷治癒合併症タンパク尿胃腸穿孔が含まれた。癌治療薬の毒性の歴史的データに基づき、DNX-2401によって有害事象が観察されないことは、予想外であり、驚くべきことである。

0129

具体的な患者転帰の例
DNX-2401による膠芽腫処置のみを受けた3人の患者が、追跡継続中である。詳細を以下に提供する。

0130

患者#12
患者#12(56白人女性)は、診断され、そのため、腫瘍切除を受け、その後、テモゾロミドおよびダサチニブからなる化学療法ならびに放射線治療によって処置された。彼は、群A(DNX-2401の腫瘍内投与)に登録され、コホート3に無作為に割り当てられた。彼女は、1×108ウイルス粒子(vp)の全用量で1mLのDNX-2401の腫瘍内注射を4回に分けて受容した。臨床的に、その患者は極めて良好になった。全ての神経症状が、その後、最初の6ヶ月の間に消散した。彼女は、増悪/炎症の外観を有する脳病変部の全体サイズのわずかな増加を有した;しかしながら、その後、継続的な腫瘍萎縮が起こった。研究中、彼女は重篤な有害事象(SAE)を経験していない。関係している可能性は低く、テモゾロミドによる二次的なものと見なされたリンパ球減少症例外として、全てのAEが、DNX-2401と無関係であると見なされた。32ヶ月目の現在、患者は生存しており、生存について追跡されている。最後のMRIは、単独のウイルス処置に対する完全応答と見なされる、周囲の脳の瘢痕および収縮のみを明らかにした。患者は、良好であり続けており、4ヶ月毎にモニタリングを受けている。彼女は、体調がよく、1日60分のウォーキングおよびガーデニングを報告している。これらの活動は、DNX-2401を受容する前には、行うことができなかったものである。

0131

患者#33
患者#33(40歳白人女性)は、原発腫瘍切除を受け、膠芽腫と同定された。彼女はテモゾロミド化学療法および放射線治療を受容した。彼女は、群A(DNX-2401の腫瘍内投与)に登録され、コホート7に無作為に割り当てられた。彼女は、1×1010vpの全用量で1mLのDNX-2401の腫瘍内注射を4回に分けて受容した。彼女は、注射直後の月内に良好になり、神経症状、具体的には、表出失語および複雑部分発作が消散した。さらに、連続MRスキャン上のコントラストを強調する塊およびFLAIR異常が事実上消失した。患者は研究中に重篤な有害事象を経験していない。全体として、患者は、マクドナルド基準による完全応答を有していたようである。DNX-2401投与以来、患者は現在も生存しており良好である。DNX-2401の注射後16ヶ月目の現在まで、彼女は神経症状を有していない。

0132

患者#42
患者#42(白人女性)は、原発腫瘍切除を受け、膠芽腫が確認された。彼女は、放射線治療を受容し、以下のような4クールの化学療法を受容した:テモゾロミド、メマンチン、再度テモゾロミド、ならびにマシテンタン。彼女は、群B(DNX-2401の腫瘍内/壁内投与)に登録され、コホート4へ無作為に割り当てられた。彼女は、3×108vpの全用量で1mLのDNX-2401の腫瘍内注射を1回受容した後、3×108vpの全用量で1mLのDNX-2401の壁内注射を10回に分けて受容した。切除後、測定可能な疾患は存在しなかった。研究参加中に、彼女は重篤な有害事象を経験していない。患者は現在も生存しており良好である。

0133

当業者は、目的を実施し、言及された結末および利点ならびにそれらに固有のものを入手するため、本発明が十分に適していることを容易に認識する。本明細書に記載された方法、手法、および技術は、現在、好ましい態様を代表するものであり、例示的であって、範囲を限定するものではない。本発明の本旨に包含されるかまたは添付の特許請求の範囲の範囲によって定義されるそれらの変化およびその他の使用が、当業者には想到されるであろう。

実施例

0134

VI. 参照
以下の参照は、本明細書に示されたものを補足する例示的な手法またはその他の詳細を提供するため、参照によって具体的に本明細書に組み入れられる。

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