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図面 (13)

課題

骨補填材等の需要にも即する多孔質セラミックスを提供する。

解決手段

多数の気孔を有するセラミックスであり、前記気孔として開気孔及び閉気孔が存在し、全気孔に占める前記開気孔の割合が80%以上であり、前記開気孔として、孔径が所定の範囲内にあるミクロ開気孔と、孔径が前記所定の範囲を上回る大径範囲内にあるマクロ開気孔とが併存する多孔質セラミックスとする。

概要

背景

骨補填材等の多孔質セラミックスとしては、例えば、「0.05〜1.3mmの微細な連続した空孔が全体に亙って均一に分布」したリン酸カルシウム多孔体が存在する(例えば、特許文献1等参照)。このリン酸カルシウム多孔体は、「ハイドロキシアパタイト微粉末又はβ−トリカルシウムフォスフェート微粉末に解膠剤を加え、更に起泡剤を添加」することで製造することができるとされている。

しなしながら、例えば、骨補填材であれば、血管や細胞等と、栄養分やたんぱく質等とで必要とされる気孔の大きさが異なる。したがって、上記従来の0.05〜1.3mmの開気孔を有する多孔質セラミックスでは、上記骨補填材の需要に即しない。

概要

骨補填材等の需要にも即する多孔質セラミックスを提供する。多数の気孔を有するセラミックスであり、前記気孔として開気孔及び閉気孔が存在し、全気孔に占める前記開気孔の割合が80%以上であり、前記開気孔として、孔径が所定の範囲内にあるミクロ開気孔と、孔径が前記所定の範囲を上回る大径範囲内にあるマクロ開気孔とが併存する多孔質セラミックスとする。

目的

本発明が解決しようとする主たる課題は、骨補填材等の需要にも即する多孔質セラミックスを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

多数の気孔を有するセラミックスであり、前記気孔として開気孔及び閉気孔が存在し、全気孔に占める前記開気孔の割合が80%以上であり、前記開気孔として、孔径が所定の範囲内にあるミクロ開気孔と、孔径が前記所定の範囲を上回る大径範囲内にあるマクロ開気孔とが併存する、ことを特徴とする多孔質セラミックス

請求項2

開気孔率が80%以上である、請求項1に記載の多孔質セラミックス。

請求項3

前記所定の範囲が0.5〜2.0μmである、請求項1又は請求項2に記載の多孔質セラミックス。

請求項4

前記大径範囲が50〜600μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス。

請求項5

セラミックス原料と、繊維幅が異なる複数種セルロース繊維との混合物焼結体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス。

請求項6

セラミックス原料と、セルロース繊維と、セルロース繊維の凝集物との混合物の焼結体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス。

請求項7

セラミックス原料と、セルロース繊維と、発泡剤との混合物の焼結体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス。

請求項8

前記焼結が、150〜350℃での低温焼結と、これに次ぐ800〜1300℃での高温焼結とである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス。

請求項9

前記混合物は、前記焼結体とされるに先立って、30〜50℃で乾燥体とされている、請求項5〜8のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス。

技術分野

0001

本発明は、骨補填材等として利用可能な多孔質セラミックスに関するものである。

背景技術

0002

骨補填材等の多孔質セラミックスとしては、例えば、「0.05〜1.3mmの微細な連続した空孔が全体に亙って均一に分布」したリン酸カルシウム多孔体が存在する(例えば、特許文献1等参照)。このリン酸カルシウム多孔体は、「ハイドロキシアパタイト微粉末又はβ−トリカルシウムフォスフェート微粉末に解膠剤を加え、更に起泡剤を添加」することで製造することができるとされている。

0003

しなしながら、例えば、骨補填材であれば、血管や細胞等と、栄養分やたんぱく質等とで必要とされる気孔の大きさが異なる。したがって、上記従来の0.05〜1.3mmの開気孔を有する多孔質セラミックスでは、上記骨補填材の需要に即しない。

先行技術

0004

特開昭63−40782号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明が解決しようとする主たる課題は、骨補填材等の需要にも即する多孔質セラミックスを提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するための手段は、次のとおりである。
(請求項1に記載の手段)
多数の気孔を有するセラミックスであり、
前記気孔として開気孔及び閉気孔が存在し、
全気孔に占める前記開気孔の割合が80%以上であり、
前記開気孔として、孔径が所定の範囲内にあるミクロ開気孔と、孔径が前記所定の範囲を上回る大径範囲内にあるマクロ開気孔とが併存する、
ことを特徴とする多孔質セラミックス。

0007

(請求項2に記載の手段)
開気孔率が80%以上である、
請求項1に記載の多孔質セラミックス。

0008

(請求項3に記載の手段)
前記所定の範囲が0.5〜2.0μmである、
請求項1又は請求項2に記載の多孔質セラミックス。

0009

(請求項4に記載の手段)
前記大径範囲が50〜600μmである、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス。

0010

(請求項5に記載の手段)
セラミックス原料と、繊維幅が異なる複数種セルロース繊維との混合物焼結体である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス。

0011

(請求項6に記載の手段)
セラミックス原料と、セルロース繊維と、セルロース繊維の凝集物との混合物の焼結体である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス。

0012

(請求項7に記載の手段)
セラミックス原料と、セルロース繊維と、発泡剤との混合物の焼結体である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス。

0013

(請求項8に記載の手段)
前記焼結が、150〜350℃での低温焼結と、これに次ぐ800〜1300℃での高温焼結とである、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス。

0014

(請求項9に記載の手段)
前記混合物は、前記焼結体とされるに先立って、30〜50℃で乾燥体とされている、
請求項5〜8のいずれか1項に記載の多孔質セラミックス。

0015

(主な作用効果
本発明によると、孔径が異なる複数種の連続した空孔(開気孔)を必要とする多孔質セラミックスの需要に即する。具体的には、例えば、骨補填材であれば、0.5〜2.0μmの開気孔と、50〜600μmの開気孔とが併存する多孔質セラミックスの需要が存在するが、この需要に即するものとなる。この点、前述した特許文献1のリン酸カルシウム多孔体の製造方法は、起泡剤を使用するものであるため、開気孔の孔径を複数種とすることができず、複数種にしようとする発想自体もない。

0016

また、セルロース繊維を使用して形成した開気孔は、発泡剤を使用して形成した開気孔に比べて孔径が均一化しているため、孔径の小さなミクロ開気孔も使用に適するものである。

0017

さらに、全気孔に占める開気孔の割合が80%以上であれば、全気孔率(気孔の容積/多孔質セラミックスの容積×100(%))を極端に高くすることなく、開気孔率(開気孔の容積/多孔質セラミックスの容積×100(%))を従来と同程度、又はそれ以上とすることができ、多孔質セラミックスの強度を保つことができる。また、このように開気孔率を高くすることできるとすると、ミクロ開気孔及びマクロ開気孔の併存が可能になる。

0018

また、所定の範囲(ミクロ開気孔の孔径)を0.5〜2.0μm、大径範囲(マクロ開気孔の孔径)を50〜600μmに設定することで、例えば、骨補填材として利用する場合において、血管や細胞等と栄養分やたんぱく質等との両方に対応した多孔質セラミックスとなる。

発明の効果

0019

本発明によると、骨補填材等の需要にも即する多孔質セラミックスになる。

図面の簡単な説明

0020

β−TCPのSEM像である。
セルロース繊維のSEM像である。
多孔体XRDパターンである。
多孔体のFT−IRスペクトルである。
多孔体のSEM像である(PAA濃度10%)。
多孔体のSEM像である(PAA濃度20%)。
多孔体のSEM像である(PAA濃度30%)。
多孔体のSEM像である(セルロース繊維20g)。
多孔体のSEM像である(セルロース繊維40g)。
多孔体のSEM像である(セルロース繊維60g)。
セルロース繊維のSEM像である。
多孔体のSEM像である(セルロース繊維及び発泡剤を併用)。

0021

次に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。

0022

(製造方法)
本形態の多孔質セラミックスの製造方法においては、まず、セラミックス原料と気孔形成材とを混合する。

0023

セラミックス原料としては、例えば、アルミナジルコニアムライトコーディエライトチタニアサイアロンカーボン炭化珪素窒化珪素スピネルアルミン酸ニッケルチタン酸アルミニウムリン酸カルシウム等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、本形態の多孔質セラミックスを骨補填材として使用する場合においては、リン酸カルシウムを使用するのが好ましい。

0024

リン酸カルシウムとしては、例えば、ハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム第二リン酸カルシウムリン酸四カルシウムリン酸八カルシウムリン酸カルシウム系ガラス等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、β型リン酸三カルシウム(β−Ca3(PO4)2)(以下、単に「β−TCP」とも言う。)を使用するのが特に好ましい。

0025

セラミックス原料は、平均粒径1μm以下の粉末状であるのが好ましく、平均粒径0.3〜0.5μmの粉末状であるのがより好ましい。

0026

β−TCPの粉末は、次の方法によって製造すると好適である。
まず、炭酸カルシウム(CaCO3)及びリン酸水素カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2O)に純水を加え、ボールミルニーダー等の混合機を使用する等して混合する。この混合は、例えば、24〜48時間行うと好適である。また、純水は、必要により70〜90℃に加温しておくと好適である。

0027

次に、この混合により得られた混合物を乾燥する。この乾燥は、例えば、60〜70℃で行うと好適である。また、この乾燥は、24〜48時間行うと好適である。

0028

この乾燥により得られた乾燥体は、いったん粉砕する。この粉砕は、平均粒径が、例えば、0.3〜0.5μmとなるまで行うと好適である。この粉砕は、例えば、メノウ乳鉢自動乳鉢スタンプミル乾式ボールミルハンマーミル等の粉砕器具を使用して行うことができる。

0029

次に、この粉砕により得られた粉砕物仮焼する。この仮焼は、例えば、700〜800℃で行うと好適である。この際、昇温速度は、例えば、3℃/分とすることができる。この仮焼は、8〜24時間行うと好適である。

0030

この仮焼により得られた仮焼体は、再度粉砕する。この粉砕は、平均粒径が、例えば、0.3〜0.5μmとなるまで行うと好適である。この粉砕も前述した粉砕器具を使用して行うと好適である。

0031

以上のようにして、粉末状のβ−TCPが得られる。

0032

一方、セラミックス原料と混合する気孔形成材としては、例えば、繊維幅が異なる複数種のセルロース繊維、あるいはセルロース繊維及びセルロース繊維の凝集物、あるいはセルロース繊維及び発泡剤を使用することができる。なお、セルロース繊維は熱分解性を有し、加熱すると気化する等して消失する特性を有する。

0033

ここで、「繊維幅が異なる複数種のセルロース繊維」の意味について、説明を加える。本形態において繊維幅が異なる複数種のセルロース繊維とは、平均繊維幅が所定の範囲内にあるセルロース繊維を1種類としてカウントし、平均繊維幅がこれとは異なる範囲内にあるセルロース繊維を他の1種類としてカウントし、このような前提のもと、セルロース繊維が複数種類となる場合を意味する。

0034

繊維幅が異なる複数種のセルロース繊維の例としては、例えば、平均繊維幅が10〜50μmである普通のセルロース繊維と、リファイナーにかける等して平均繊維幅が0.5〜2.0μmとされたセルロース繊維と、更にジェットミルにかける等して平均繊維幅が0.1μm以下とされたセルロースナノファイバー(CNF)との混在物を例示することができる。

0035

CNFを含めセルロース繊維の原料としては、広葉樹針葉樹等を原料とする木材パルプワラバガス等を原料とする非木材パルプ回収古紙損紙等を原料とする古紙パルプDIP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。

0036

ただし、不純物混入を可及的に避けるために、木材パルプを使用するのが好ましい。木材パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプ機械パルプ(TMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。なお、広葉樹クラフトパルプは、広葉樹晒クラフトパルプであっても、広葉樹未晒クラフトパルプであっても、広葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。同様に、針葉樹クラフトパルプは、針葉樹晒クラフトパルプであっても、針葉樹未晒クラフトパルプであっても、針葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。また、機械パルプとしては、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプPGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプCGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、漂白サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。

0037

CNFは、以上の原料を微細化(解繊)することで得ることができる。当該解繊に先立っては、化学的手法によって前処理することもできる。化学的手法による前処理としては、例えば、酸による多糖加水分解酸処理)、酵素による多糖の加水分解(酵素処理)、アルカリによる多糖の膨潤アルカリ処理)、酸化剤による多糖の酸化(酸化処理)、還元剤による多糖の還元還元処理)等を例示することができる。

0038

解繊に先立ってアルカリ処理すると、パルプが持つヘミセルロースセルロース水酸基が一部解離し、分子アニオン化することで分子内及び分子間水素結合が弱まり、解繊におけるセルロース繊維の分散が促進される。

0039

アルカリ処理に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム水酸化リチウム水酸化カリウムアンモニア水溶液水酸化テトラメチルアンモニウム水酸化テトラエチルアンモニウム水酸化テトラブチルアンモニウム水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等の有機アルカリ等を使用することができる。ただし、製造コストの観点からは、水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。

0040

解繊に先立って酵素処理や酸処理、酸化処理を施すと、CNFの保水度を低く、結晶化度を高くすることができ、かつ均質性を高くすることができる。この点、CNFの保水度が低いと乾燥し易くなり、セラミックス原料及びCNFの混合物を乾燥する際にセラミックス原料にひび割れ等が生じるのを防ぎ易くなる。このような観点から、CNFの保水度は、500%以下であるのが好ましく300〜480%であるのがより好ましい。なお、保水度は、原料の選定、前処理、解繊等で任意に調整することができる。

0041

一方、酵素処理や酸処理、酸化処理によると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの非晶領域が分解され、結果、微細化処理のエネルギーを低減することができ、繊維の均一性分散性を向上することができる。繊維の均一性は、気孔の均一性に直結する。また、以上の前処理により、結晶領域繊維全体に占める割合が上がるため、CNFの分散性が向上する。ただし、前処理は、CNFのアスペクト比を低下させるため、過度の前処理は避けるのが好ましい。

0042

原料の解繊は、例えば、ビーター高圧ホモジナイザー高圧均質化装置等のホモジナイザーグラインダー摩砕機等の石臼摩擦機、単軸混練機多軸混練機、ニーダーリファイナー、ジェットミル等を使用して原料を叩解することによって行うことができる。ただし、リファイナーやジェットミルを使用して行うのが好ましい。

0043

CNF結晶化度は、50%以上であるのが好ましく、55%以上であるのがより好ましい。また、CNFの結晶化度は、90%以下であるのが好ましく、86%以下であるのがより好ましい。CNFの結晶化度が以上の範囲内であれば、CNFを気孔形成材として使用するにおいて好適なものとなる。なお、結晶化度は、例えば、原料の選定、前処理、解繊等で任意に調整することができる。

0044

また、CNFのパルプ粘度は、1.5cps以上であるのが好ましく、2.0cps以上であるのがより好ましい。パルプ粘度が以上の範囲内であれば、CNFを気孔形成材として使用するにおいて好適なものとなる。

0045

CNFを水に分散して得られるスラリー(濃度1%)のB型粘度は、1〜100000cpsが好ましく、5〜80000cpsがより好ましく、100〜10000cpsが特に好ましい。CNFスラリーのB型粘度を以上の範囲内にすると、セラミックス原料との混合や、混合物の乾燥、成形加工等が容易になる。

0046

一方、より大きな径の開気孔(マクロ開気孔)を形成するためには、例えば、より太い繊維幅のセルロース繊維を使用することが考えられるが、更に分散剤等の添加剤の量をコントロールして開気孔の径が大きくなるようにすることも考えられる。また、より大きな径の開気孔を形成するためには、セルロース繊維の凝集物や発泡剤の使用も考えられる。ただし、発泡剤を使用するよりも、セルロース繊維の凝集物を使用する方が好ましい。セルロース繊維の凝集物を使用する方が、開気孔となり易く、また、径の大きさが均一化し易くなる。

0047

ただし、発泡剤の使用(発泡法)には、多くの経験則が存在するというメリットがある。したがって、発泡剤の使用も現時点においては好ましいものである。この際に使用する発泡剤(起泡剤)としては、非イオン性界面活性剤、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルポリオキシエチレンアルキルアミンポリエチレングリコール脂肪酸エステルアルカノールアミドポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合体等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。また、これらの非イオン性界面活性剤には、酸化エチレンを添加して発泡剤とすることもできる。

0048

発泡剤は、通常、セラミックス原料、他の気孔形成材、分散剤等を混合した後、混合物に添加して起泡させる。

0049

β−TCP等のセラミックス原料と気泡形成材との混合物には、あるいはセラミックス原料と気泡形成材とを混合するにあたっては、分散剤を添加する。

0050

分散剤としては、水溶性高分子化合物、例えば、ポリアクリル酸ポリアクリル酸アンモニウム塩等のポリアクリル酸誘導体ポリカルボン酸アンモニウムなどの中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。

0051

ただし、分散剤としては、セルロース繊維の分散機能を有し、かつセラミックス原料の分散機能も有する分散剤を使用するのが好適である。このような分散剤としては、ポリアクリル酸アンモニウム(PAA)を使用するのが好ましい。PAAは、気孔形成のために発泡剤を使用する場合においてセラミックス原料の解膠剤として使用されているが、気孔形成材としてセルロース繊維を使用する場合にも有用であることを知見している。

0052

ただし、PAAの濃度は高いものとするのが好ましく、好適には10容量%以上、より好適には25〜45容量%、特に好適には30〜40容量%である。濃度を高くするのではなく添加量を増やすこともできるが、添加量を増やすと次いで行う乾燥の負荷上がり、乾燥時間を長くするか、乾燥温度を高くする必要が生じる。しかるに、これらの対応によると、セラミックス原料が収縮し易くなり、ひび割れが生じる原因となる。

0053

一方、PAAの濃度が高過ぎると、得られる多孔質セラミックスがぼろぼろになり易くなる。

0054

以上のセラミックス原料、気泡形成材、及び分散剤は、ボールミル、ニーダー等の混合機を使用する等して混合する。この混合は、例えば、12〜24時間行うと好適である。

0055

次に、この混合により得られた混合物は、低温で乾燥する。乾燥温度は、例えば35〜45℃、好適には38〜42℃である。また、乾燥時間は、例えば1〜5日、好適には3日である。この点、本形態においてはセルロース繊維を使用することで、小さな孔径の開気孔を形成することができ仕様になっており、穏やかな乾燥が適する。なお、この乾燥を急激に行うと、セラミックス原料のひび割れの原因となる。

0056

乾燥によって得られた乾燥体は、焼結する。この焼結は、二段以上の複数段(段階)で行うのが好ましく、低温焼結と高温焼結との二段で行うのがより好ましい。焼結を二段で行う場合は、当該焼結が150〜350℃(好適には200〜250℃)での低温焼結と、これに次ぐ800〜1300℃(好適には1000〜1100℃)での高温焼結とであると好適である。この形態によると、低温焼結においては主にセラミックス原料が焼結され、高温焼結においては主にセルロース繊維等の気孔形成材が気化除去される。低温焼結が先行することで気孔形成材の除去に先立ちセラミックス原料が確実に固まった状態になるため、小さな径の開気孔が確実に形成される。

0057

低温焼結の時間は、例えば5〜48時間、好適には10〜24時間である。また、高温焼結の時間は、例えば30〜600分、好適には30〜60分である。低温でゆっくり焼結し、高温一気に気孔形成材を除去してしまうと、セラミックス原料のひび割れ等を可及的に防ぐことができる。なお、昇温速度は、例えば、1〜5℃とすることができる。

0058

(多孔質セラミックス)
以上のようにして製造された本形態の多孔質セラミックスは、多数の気孔を有し、当該気孔として開気孔及び閉気孔が存在する。なお、前述した特許文献1には、焼結品は全て閉気孔のない開気孔であった旨の記載が存在する。しかしながら、本発明者等は、気孔形成材として発泡剤を使用した従来の方法(発泡法)によると、閉気孔率が30%程度にもなることを知見している。

0059

一方、本形態の多孔質セラミックスは、全気孔に占める開気孔の割合が80%以上(好適には90%以上)であり、全気孔に占める閉気孔の割合は20%以下(好適には10%以下、より好適には5%以下)に抑えられている。このように開気孔の割合を高くすることで、気孔率(全気孔の容積/多孔質セラミックスの容積×100(%))を極端に高くすることなく、開気孔率(開気孔の容積/多孔質セラミックスの容積×100(%))を従来と同程度、又はそれ以上とすることができる。したがって、多孔質セラミックスの強度が低下するおそれがない。この点、例えば、骨補填材の場合であれば、骨補填材は骨欠損部に補填され、当該骨欠損部が修復されるまでの初期段階においては骨欠損部の補強を行い、骨欠損部の修復後においては生体骨に吸収される。したがって、骨補填材の強度は、極めて重要である。また、このように開気孔率を高くすることができると、次いで説明するように、ミクロ開気孔及びマクロ開気孔の併存が可能になる。

0060

本形態の多孔質セラミックスは、開気孔として、孔径が所定の範囲内にあるミクロ開気孔と、孔径が前記所定の範囲を上回る大径範囲内にあるマクロ開気孔とが併存している。このようにミクロ開気孔とマクロ開気孔とを併存させることで、例えば、本形態の多孔質セラミックスを骨補填材として利用する場合においては、血管や細胞等と栄養分やたんぱく質等との両方に対応した多孔質セラミックスとなる。

0061

上記所定の範囲、つまりミクロ開気孔の孔径は、好ましくは0.5〜10.0μm、より好ましくは0.5〜2.0μmである。また、上記大径範囲、つまりマクロ開気孔の孔径は、好ましくは50〜600μm、より好ましくは100〜400μmである。

0062

本形態の多孔質セラミックスの開気孔率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。本形態のセラミックス原料は、上記したように閉気孔の割合を低く抑えているため、このような高い開気孔率にしたとしても強度の点で問題を生じるおそれが極めて少ない。

0063

本形態の多孔質セラミックスは、より好適には、開気孔として、孔径が上記所定の範囲を下回る小径範囲内にある超ミクロ開気孔が併存する。この形態においては、開気孔が超ミクロ開気孔、ミクロ開気孔、及びマクロ開気孔の3種類となり、例えば、本形態の多孔質セラミックスを骨補填材として利用する場合においては、より需要に即したものとなる。

0064

超ミクロ開気孔は、例えば、前述したCNF(気孔形成材)によって形成される。また、上記小径範囲、つまり超ミクロ開気孔の孔径は、好ましくは0.1μm以下である。

0065

本形態の多孔質セラミックスは、立方体(例えば、一辺1cm。)、直方体(3〜4×3〜4×2cm)等の六面体球体等として提供することができる。この大きさの多孔質セラミックスを得るにあたっては、例えば、大きな多孔質セラミックスを製造し、適宜の大きさに切り出すとよい。大きく製造し、小さく切り出す方が、多孔質セラミック均質化する。

0066

(用途)
本形態の多孔質セラミックスは、好適には骨補填材として利用することができる。ただし、骨補填材等の生体材料としてのほか、例えば、フィルター燃料電池ガス湿度センサー等の電極触媒担体断熱材、経口投与薬加工食品、飲料、各種吸着カラム材、化粧料歯磨剤消臭剤脱臭剤入浴剤洗顔剤シャンプートイレタリー品等の添加剤などとしても利用することができる。

0067

(その他)
本明細書において開気孔とは、多孔質セラミックスの表面から連通する気孔をいう。他方、閉気孔とは、多孔質セラミックスの内部に存在する気孔であり、多孔質セラミックスの表面から連通しない気孔をいう。したがって、本形態の多孔質セラミックスを骨補填材として利用する場合においては、開気孔が重要な役割を果たす。

0068

本明細書において開気孔率は、アルキメデス法で測定した値である。また、閉気孔率((閉気孔の容積/多孔質セラミックスの容積)×100(%))は、全気孔率から開気孔率で引いた値であり、全気孔率はアルキメデス法で求めたかさ比重計算密度理論密度)とを用いて計算した値である。

0069

本明細書において骨補填材とは、生体インプラント材として骨、歯、歯根等の補填用に使用する多孔質セラミックスをいう。

0070

本明細書においてCNFを含むセルロース繊維の平均繊維幅(径)は、次のようにして測定した値である。
まず、固形分濃度0.01〜0.1質量%のセルロース繊維の水分散液100mlをテフロン登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t−ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて5000倍、10000倍又は30000倍のいずれかの倍率電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視計測する。そして、計測値中位径を平均繊維幅とする。

0071

本明細書において結晶化度は、JIS−K0131(1996)の「X線回折分析通則」に準拠して、X線回折法により測定した値である。なお、セルロース繊維は非晶質部分結晶質部分とを有し、結晶化度はセルロース繊維全体における結晶質部分の割合を意味する。

0072

本明細書においてパルプ粘度は、JIS−P8215(1998)に準拠して測定する。なお、パルプ粘度が高いほどセルロース繊維の重合度が高いことを意味する。

0073

本明細書においてCNFスラリー(1%)のB型粘度は、JIS−Z8803(2011)の「液体粘度測定方法」に準拠して測定した値である。

0074

本明細書において保水度は、J A P A N T A P P I N o . 2 6 : 2 0 0 0 に準拠した保水度の測定法により、測定した値である。

0075

次に、本発明の実施例について説明する。
β−TCP粉末及びセルロース繊維から多孔質セラミックス(多孔体)を製造し、得られた多孔体に存在する開気孔の平均孔径や、開気孔率、閉気孔率、嵩密度、及び密度を測定する試験を行った。この試験においては、セルロース繊維の平均繊維幅及び混合(添加)量、並びにPAA(分散剤)の濃度を変化させた。詳細は、次のとおりである。

0076

(β−TCP粉末の合成)
β−TCP粉末は、次の手順で合成した。
まず、炭酸カルシウム(0.075mol)及びリン酸水素カルシウム二水和物(0.15mol)(Ca/P=1.50)に80℃の純水450mlを加え、ボールミル及びジルコニア製ボールを使用して24時間混合した。次に、この混合物を70℃で24時間乾燥した。得られた乾燥体は、メノウ乳鉢を使用して粉砕し、更に750℃で10時間仮焼した。昇温速度は、3℃/分とした。得られた仮焼体は、粉砕して粉末状にした(β−TCP粉末)。この粉末のSEM画像を、図1に示した。

0077

(多孔体の作成)
以上のようにして得られたβ−TCPの粉末20g及びセルロース繊維60gに、希釈したポリアクリル酸アンモニウム(PAA)水溶液150mlを加え、ボールミル及びジルコニア製ボールを使用して24時間混合した。PAA水溶液の濃度は、10%、20%、30%、又は40%と変化させた。次いで、40℃で3日間乾燥してから二段焼結した。この焼結は、230℃(低温焼結)で10時間、次いで1100℃(高温焼結)で40分間行った。昇温速度は、いずれも3℃/分とした。

0078

セルロース繊維としては、平均繊維幅の異なる3種類(CF−1、CF−2、及びCF−3)を使用した。使用したセルロース繊維のSEM画像を図2に示した。図2の(1)に示すセルロース繊維(CF−1)は、通常のパルプ繊維である。このセルロース繊維は、平均繊維幅が18.64μm、平均繊維長が2.10mmであった。図2の(2)に示すセルロース繊維(CF−2)は、通常のパルプをリファイナーにかけて得たセルロース繊維である。このセルロース繊維は、平均繊維幅が15.24μm、平均繊維長が0.16mmであった。図2の(3)に示すセルロース繊維(CF−3)は、リファイナーにかけて得たセルロース繊維について、更にジェットミルに1〜2回かけて得たセルロース繊維である。このセルロース繊維は、平均繊維幅が1.15μm、平均繊維長が19.77μmであった。

0079

得られた多孔体のXRDパターンを図3に、FT−IRスペクトルを図4に示した。これらの図から、本試験例のセラミックスは、β−TCPであり、ハイドロキシアパタイトではないことが分かる。

0080

得られた多孔体のSEM画像を図5〜7に示し、物性を表1に示した。図5は、PAA水溶液の濃度が10容量%の場合を示す。図6は、PAA水溶液の濃度が20容量%の場合を示す。図7は、PAA水溶液の濃度が30容量%の場合を示す。

0081

0082

以上の結果から、セルロース繊維の繊維幅と開気孔の孔径との間に相関関係が存在することが分かる。したがって、気孔形成材としてセルロース繊維を使用することで、孔径の異なる複数種の開気孔を形成することができると推定することができる。

0083

次に、セルロース繊維の混合量(添加量)を変えて、同様の試験を行った。セルロース繊維の混合量は、20g、40g、又は60gと変化させた。この際、PAA水溶液の濃度は、30容量%(添加量150ml)とした。

0084

得られた多孔体のSEM画像を図8〜10に示し、物性(セルロース繊維20g及び40gの場合)を表1に示した。図8は、セルロース繊維の混合量が20gの場合を示す。図9は、セルロース繊維の混合量が40gの場合を示す。図8は、セルロース繊維の混合量が60gの場合を示す。

0085

以上の結果から、セルロース繊維の混合量を増やしても、孔径が大きくなることなく、開気孔率が高くなり、セルロース繊維の平均繊維幅に応じた気孔が形成されることが分かる。したがって、繊維幅が異なる複数種のセルロース繊維を気孔形成材として使用した場合においては、孔径が異なる複数種の気孔が形成されると推定することができる。

0086

さらに、β−TCP粉末30g、セルロース繊維30g、PAA30ml(濃度10%、20%、又は30%)、及び発泡剤(起泡剤)4mlを混合して多孔体を作成する試験を行った。セルロース繊維としては、平均繊維幅0.069μmの繊維を使用した(CF−4)。このセルロース繊維は、通常のパルプをリファイナーにかけて得たセルロース繊維について、更にジェットミルに3〜4回かけて得たセルロース繊維である。このセルロース繊維のSEM画像を図11に示す。発泡剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(BT−7)を使用した。発泡剤は、β−TCP粉末、セルロース繊維、及びPAAを混合した後に添加することとした。発泡剤を添加して起泡し、タッピングした後、40℃で乾燥させた。そして、1100℃で10時間焼結することで多孔体を得た。昇温速度は、3℃/分とした。

実施例

0087

焼結により得られた多孔体のSEM画像を図12に示す。当該画像から、200μm程度の気孔が形成されていることを確認することができる。

0088

本発明は、骨補填材等として利用可能な多孔質セラミックスとして利用可能である。

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