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技術 地絡故障判定システム及び地絡故障判定方法

出願人 株式会社日立製作所
発明者 小熊賢司宮内努今本健二武井晃
出願日 2018年8月27日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-158801
公開日 2020年3月5日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-032768
状態 未査定
技術分野 短絡、断線、漏洩,誤接続の試験 電車への給配電
主要キーワード 電流状況 指定電流値 既設装置 送出電流 複数路 架線柱 混雑判定 途中情報
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重要な関連分野

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図面 (20)

課題

一部の変電所列車測定機能あるいは情報伝送機能がない状態であっても、電力設備故障判定を実施可能にする地絡故障判定システムを提供する。

解決手段

地絡故障判定システムにおいて、電力設備管理装置1は、電力設備装置3が送り出した送出電流を示す情報と列車2が受け取った受取電流を示す情報とを取得し、送出電流累積値と受取電流累積値とを一定時間ごとに初期化しながら算出する累積電流計算部110と、所定の補正用データに基づいて、送出電流累積値または受取電流累積値を補正する累積値補正部120と、補正後の送出電流累積値前記受取電流累積値の差分に基づいて、電力設備における障害発生の可能性を判定する比較判定を実行する電流比較判定部130と、を備える。さらに地絡故障判定システムは、電流比較判定部130による比較判定の判定結果に応じて、障害発生の可能性を表示または報知する出力部(表示装置4)を備える。

概要

背景

従来、鉄道電力設備においては、鉄道の架線断線故障して架線が直接地面に接する地絡が生じた場合に、変電所過大電流を出力しないよう電流の出力を停止する。

上記の動作について、例えば非特許文献1の第75頁〜80頁には、指定電流値以上の過大電流を出力した場合を検知する直流高速度遮断器(54F)と、時間当たりの電流変化率指定値以上であることを検知するΔI故障電流検出装置(50F)とを用いて行うことが記載されている。

また、特許文献1には、変電所と列車電流測定機能を持ち、変電所の送出電流量積算値と列車の受取電流量積算値とを比較し、比較結果から設備故障を判定するき電回路の故障保護装置が開示されている。

概要

一部の変電所や列車に測定機能あるいは情報伝送機能がない状態であっても、電力設備の故障判定を実施可能にする地絡故障判定システムを提供する。地絡故障判定システムにおいて、電力設備管理装置1は、電力設備装置3が送り出した送出電流を示す情報と列車2が受け取った受取電流を示す情報とを取得し、送出電流累積値と受取電流累積値とを一定時間ごとに初期化しながら算出する累積電流計算部110と、所定の補正用データに基づいて、送出電流累積値または受取電流累積値を補正する累積値補正部120と、補正後の送出電流累積値前記受取電流累積値の差分に基づいて、電力設備における障害発生の可能性を判定する比較判定を実行する電流比較判定部130と、を備える。さらに地絡故障判定システムは、電流比較判定部130による比較判定の判定結果に応じて、障害発生の可能性を表示または報知する出力部(表示装置4)を備える。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

電力設備装置から給電して列車走行させる電力設備における障害発生を検出する地絡故障判定システムであって、前記電力設備装置が送り出した送出電流を示す情報と前記列車が受け取った受取電流を示す情報とを取得し、前記送出電流の累積値を意味する送出電流累積値と前記受取電流の累積値を意味する受取電流累積値とを、一定時間ごとに初期化しながら算出する累積電流計算部と、補正条件と当該補正条件に対応する補正値とを保持する補正用データに基づいて、前記累積電流計算部によって算出された前記送出電流累積値または前記受取電流累積値を補正する累積値補正部と、前記累積値補正部による補正後の前記送出電流累積値及び前記受取電流累積値の差分に基づいて、前記電力設備における障害発生の可能性を判定する比較判定を実行する電流比較判定部と、前記電流比較判定部による前記比較判定の判定結果に応じて、前記障害発生の可能性を表示または報知する出力部と、を備えることを特徴とする地絡故障判定システム。

請求項2

前記累積値補正部は、前記列車の運行管理に関する運行管理情報を外部の制御装置から取得し、前記取得した前記運行管理情報と、前記運行管理情報に含まれる情報を前記補正条件に用いる前記補正用データとに基づいて、前記累積電流計算部によって算出された前記送出電流累積値または前記受取電流累積値を補正することを特徴とする請求項1に記載の地絡故障判定システム。

請求項3

前記補正用データは、時刻による前記補正条件と当該補正条件に対応する前記補正値とを保持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地絡故障判定システム。

請求項4

前記運行管理情報は、走行中の前記列車のうち、前記受取電流を示す情報を取得可能な列車の本数と、前記受取電流を示す情報を取得不能な列車の本数とを有し、前記補正用データは、前記受取電流を示す情報を取得可能な列車の本数と前記受取電流を示す情報を取得不能な列車の本数との組合せによる前記補正条件を有することを特徴とする請求項2に記載の地絡故障判定システム。

請求項5

前記運行管理情報は、前記電力設備装置が給電する全ての前記列車の本数と、前記受取電流を示す情報を取得可能な列車の本数とを有し、前記補正用データは、前記電力設備装置が給電する全ての列車の本数と前記受取電流を示す情報を取得可能な列車の本数との組合せによる前記補正条件を有することを特徴とする請求項2に記載の地絡故障判定システム。

請求項6

前記運行管理情報は、列車ダイヤ計画された運行計画と実際の運行状況との差分による遅れ時間に基づく情報を有し、前記補正用データは、前記遅れ時間に基づく情報を用いた前記補正条件を有することを特徴とする請求項2に記載の地絡故障判定システム。

請求項7

前記累積電流計算部の算出における前記一定時間は、前記送出電流累積値と前記受取電流累積値との差分から、高抵抗地絡の発生に伴う電流量の変化を判別可能な時間であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地絡故障判定システム。

請求項8

電力設備装置から給電して列車を走行させる電力設備における障害発生を検出する地絡故障判定システムによる地絡故障判定方法であって、前記電力設備装置が送り出した送出電流を示す情報と前記列車が受け取った受取電流を示す情報とを取得し、前記送出電流の累積値を意味する送出電流累積値と前記受取電流の累積値を意味する受取電流累積値とを、一定時間ごとに初期化しながら算出する累積電流計算ステップと、補正条件と当該補正条件に対応する補正値とを保持する補正用データに基づいて、前記累積電流計算ステップで算出された前記送出電流累積値または前記受取電流累積値を補正する累積値補正ステップと、前記累積値補正ステップによる補正後の前記送出電流累積値及び前記受取電流累積値の差分に基づいて、前記電力設備における障害発生の可能性を判定する比較判定を実行する電流比較判定ステップと、前記電流比較判定ステップによる前記比較判定の判定結果に応じて、前記障害発生の可能性を所定の出力装置から表示または報知する出力ステップと、を備えることを特徴とする地絡故障判定方法。

請求項9

前記累積値補正ステップにおいて、前記列車の運行管理に関する運行管理情報を外部の制御装置から取得し、前記取得した前記運行管理情報と、前記運行管理情報に含まれる情報を前記補正条件に用いる前記補正用データとに基づいて、前記累積電流計算ステップで算出された前記送出電流累積値または前記受取電流累積値を補正することを特徴とする請求項8に記載の地絡故障判定方法。

請求項10

前記補正用データは、時刻による前記補正条件と当該補正条件に対応する前記補正値とを保持することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の地絡故障判定方法。

請求項11

前記運行管理情報は、走行中の前記列車のうち、前記受取電流を示す情報を取得可能な列車の本数と、前記受取電流を示す情報を取得不能な列車の本数とを有し、前記補正用データは、前記受取電流を示す情報を取得可能な列車の本数と前記受取電流を示す情報を取得不能な列車の本数との組合せによる前記補正条件を有することを特徴とする請求項9に記載の地絡故障判定方法。

請求項12

前記運行管理情報は、前記電力設備装置が給電する全ての前記列車の本数と、前記受取電流を示す情報を取得可能な列車の本数とを有し、前記補正用データは、前記電力設備装置が給電する全ての列車の本数と前記受取電流を示す情報を取得可能な列車の本数との組合せによる前記補正条件を有することを特徴とする請求項9に記載の地絡故障判定方法。

請求項13

前記運行管理情報は、列車ダイヤで計画された運行計画と実際の運行状況との差分による遅れ時間に基づく情報を有し、前記補正用データは、前記遅れ時間に基づく情報を用いた前記補正条件を有することを特徴とする請求項9に記載の地絡故障判定方法。

請求項14

前記累積電流計算ステップの算出における前記一定時間は、前記送出電流累積値と前記受取電流累積値との差分から、高抵抗地絡の発生に伴う電流量の変化を判別可能な時間であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の地絡故障判定方法。

技術分野

0001

本発明は、鉄道電力設備に関する地絡故障判定システム及び地絡故障判定方法に関し、軌道に沿って敷設された架線等の設備における地絡等の故障の発生を判定する地絡故障判定システム及び地絡故障判定方法に適用して好適なものである。

背景技術

0002

従来、鉄道の電力設備においては、鉄道の架線が断線故障して架線が直接地面に接する地絡が生じた場合に、変電所過大電流を出力しないよう電流の出力を停止する。

0003

上記の動作について、例えば非特許文献1の第75頁〜80頁には、指定電流値以上の過大電流を出力した場合を検知する直流高速度遮断器(54F)と、時間当たりの電流変化率指定値以上であることを検知するΔI故障電流検出装置(50F)とを用いて行うことが記載されている。

0004

また、特許文献1には、変電所と列車電流測定機能を持ち、変電所の送出電流量積算値と列車の受取電流量積算値とを比較し、比較結果から設備の故障を判定するき電回路の故障保護装置が開示されている。

0005

特開平06−016070号公報

先行技術

0006

鉄道総合技術研究所鉄道技術推進センター,社団法人日本鉄道電気技術協会著「わかりやすい鉄道技術2 鉄道概論・電気編」、鉄道総合技術研究所鉄道技術推進センター、2005年

発明が解決しようとする課題

0007

ここで、軌道に沿って敷設された架線等の設備において架線が架線柱等に接触する場合、架線が直接地面に接する場合よりも抵抗値が大きくなる高抵抗地絡が発生する。この高抵抗地絡における抵抗値は、接触状態により不定量であるため、既存の地絡検知手段(例えば、非特許文献1における直流高速度遮断器54FやΔI故障電流検出装置50Fでは判定できないケースが懸念される。

0008

また、特許文献1に開示された故障保護装置による設備故障の判定方法では、変電所の送出電流量積算値と列車の受取電流量積算値とを比較するために、変電所の全てが送出電流量を測定し、かつ、走行する列車全てが受取電流量を測定し、全ての変電所及び列車のそれぞれが、判定装置測定値を送る機能を有していることが前提となっている。すなわち、一部の変電所や列車に測定機能あるいは情報伝送機能がない状態では、送出電流量積算値と受取電流量積算値との乖離が大きくなってしまい、判定を誤る可能性がある。

0009

本発明は以上の点を考慮してなされたもので、一部の変電所や列車に測定機能あるいは情報伝送機能がない状態であっても、変電所の送出電流の累積値と列車の受取電流の累積値との比較に基づいて、電力設備の故障判定を実施可能にする地絡故障判定システム及び地絡故障判定方法を提案しようとするものである。

課題を解決するための手段

0010

かかる課題を解決するため本発明においては、電力設備装置から給電して列車を走行させる電力設備における障害発生を検出する、以下のような地絡故障判定システムが提供される。本地絡故障判定システムは、前記電力設備装置が送り出した送出電流を示す情報と前記列車が受け取った受取電流を示す情報とを取得し、前記送出電流の累積値を意味する送出電流累積値と前記受取電流の累積値を意味する受取電流累積値とを、一定時間ごとに初期化しながら算出する累積電流計算部と、補正条件と当該補正条件に対応する補正値とを保持する補正用データに基づいて、前記累積電流計算部によって算出された前記送出電流累積値または前記受取電流累積値を補正する累積値補正部と、前記累積値補正部による補正後の前記送出電流累積値及び前記受取電流累積値の差分に基づいて、前記電力設備における障害発生の可能性を判定する比較判定を実行する電流比較判定部と、前記電流比較判定部による前記比較判定の判定結果に応じて、前記障害発生の可能性を表示または報知する出力部と、を備える。

0011

また、かかる課題を解決するため本発明においては、電力設備装置から給電して列車を走行させる電力設備における障害発生を検出する地絡故障判定システムによる、以下のような地絡故障判定方法が提供される。本地絡故障判定方法は、前記電力設備装置が送り出した送出電流を示す情報と前記列車が受け取った受取電流を示す情報とを取得し、前記送出電流の累積値を意味する送出電流累積値と前記受取電流の累積値を意味する受取電流累積値とを、一定時間ごとに初期化しながら算出する累積電流計算ステップと、補正条件と当該補正条件に対応する補正値とを保持する補正用データに基づいて、前記累積電流計算ステップで算出された前記送出電流累積値または前記受取電流累積値を補正する累積値補正ステップと、前記累積値補正ステップによる補正後の前記送出電流累積値及び前記受取電流累積値の差分に基づいて、前記電力設備における障害発生の可能性を判定する比較判定を実行する電流比較判定ステップと、前記電流比較判定ステップによる前記比較判定の判定結果に応じて、前記障害発生の可能性を所定の出力装置から表示または報知する出力ステップと、を備える。

発明の効果

0012

本発明によれば、一部の変電所や列車に測定機能あるいは情報伝送機能がない状態であっても、電力設備の故障判定を実施することができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の第1の実施の形態に係る地絡故障判定システムを含む鉄道の電力設備の装置構成例を示すブロック図である。
第1の実施の形態に係る地絡故障判定システムの機能構成例を示すブロック図である。
受取電流測定情報の一例を説明するための図である。
送出電流測定情報の一例を説明するための図である。
累積電流計算処理処理手順例を示すフローチャートである。
累積電流計算情報の一例を説明するための図である。
累積値補正処理の処理手順例を示すフローチャートである。
累積値補正情報の一例を説明するための図である。
電流比較判定処理の処理手順例を示すフローチャートである。
比較判定閾値情報の一例を説明するための図である。
電流測定情報の一例を説明するための図である。
メッセージの表示例を説明するための図である。
本発明の第2の実施の形態に係る地絡故障判定システムを含む鉄道の電力設備の装置構成例を示すブロック図である。
第2の実施の形態に係る地絡故障判定システムの機能構成例を示すブロック図である。
第2の実施の形態における累積値補正処理の処理手順例を示すフローチャートである。
第1の組合せ例における累積値補正情報を説明するための図である。
第1の組合せ例における運行管理情報を説明するための図である。
第2の組合せ例における累積値補正情報を説明するための図である。
第2の組合せ例における運行管理情報を説明するための図である。
第3の組合せ例における累積値補正情報を説明するための図である。
第3の組合せ例における運行管理情報を説明するための図である。

実施例

0014

以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳述する。

0015

(1)第1の実施の形態
(1−1)装置構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る地絡故障判定システムを含む鉄道の電力設備の装置構成例を示すブロック図である。図1には、電力設備管理装置1及び表示装置4を備えて構成される第1の実施の形態に係る地絡故障判定システム100と、運行管理装置(不図示)の制御に従って走行する列車2と、列車2に電力送出する電力設備装置3と、電力設備装置3から列車2に電力を伝達する電力伝達設備5とが示されている。

0016

列車2は、走行する際に電力設備装置3から電力伝達設備5を介して受電した電流(受取電流)を測定し、その測定値を電力設備管理装置1に送る。

0017

電力設備装置3は、電力伝達設備5を介して列車2に送出した電流(送出電流)を測定し、その測定値を電力設備管理装置1に送る。

0018

電力設備管理装置1は、例えば、一般的なパソコンサーバ等の計算機である。電力設備管理装置1は、上記の送出電流の測定値と受電電流の測定値のそれぞれについて、一定時間ごとに初期化される累積値計算を行う。さらに、電力設備管理装置1は、累積値計算の計算結果に対して、所定の補正用データを用いて補正を行い、補正後のデータに基づいて障害発生の可能性を判定し、その判定結果を示す情報を表示装置4に出力する。

0019

表示装置4は、公知の表示装置である液晶ディスプレイドットマトリクスLED、またはCRTディスプレイ等であり、電力設備管理装置1から出力された情報を表示する。なお、本実施の形態では、電力設備管理装置1の出力を、表示装置4の代わりに、あるいは表示装置4と併用して、音声出力装置(不図示)によって出力するようにしてもよい。この音声出力装置には、公知の音声出力装置を利用可能であり、具体的な音声出力方法については、表示装置4の表示に関連する説明において後述する。なお、図1では、電力設備管理装置1と表示装置4とを別に示したが、本実施の形態に係る地絡故障判定システム100において、上述した音声出力装置も含め、これらは一体化された装置で構成されてもよい。

0020

電力伝達設備5は、例えば架線や第三軌条など、走行する列車2に電力を供給する公知の装置である。

0021

なお、図1に示したように、電力設備管理装置1、列車2、及び電力設備装置3は、それぞれが演算部(演算部11,21,31)と、情報インタフェース部(情報インタフェース部12,22,32)と、演算データ保持部(演算データ保持部13,23,33)とを備えている。

0022

演算部11,21,31は、プログラムの実行や制御途中情報の一時的な保持を行う機能を有する。これらは例えば、パソコンのCPU(Central Processing Unit)及びメモリ等の公知の部品を利用して実現される。

0023

情報インタフェース部12,22,32は、各装置間の情報の送受信を行う機能を有する。これらは例えば、イーサネット登録商標)のコネクタUSBポート光ファイバを用いたネットワーク無線LAN携帯電話などの無線ネットワーク、または、地上子と列車の間では周波数変調を用いた無線通信等、公知の部品や手段を利用して実現される。

0024

演算データ保持部13,23,33は、プログラムやデータの記憶を行う機能を有する。これらは例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブSSD)またはフラッシュメモリ等の公知の記憶装置を利用して実現される。

0025

(1−2)機能構成
図2は、第1の実施の形態に係る地絡故障判定システムの機能構成例を示すブロック図である。

0026

図2に示すように、電力設備管理装置1は、累積電流計算部110、累積値補正部120、電流比較判定部130、累積電流計算データ部140、累積値補正データ部150、及び比較判定閾値データ部160を備える。電力設備管理装置1の各部による具体的な処理や、各データ部が保持する情報の具体例等については、図面を参照しながら後述する。

0027

また、図2に示すように、列車2は、受取電流測定部210を備える。受取電流測定部210は、一定時間間隔、あるいは、電力設備管理装置1または不図示の入力手段から列車2に対する電流測定指示があったタイミングで、列車2が電力伝達設備5を介して電力設備装置3から受け取った電流(受取電流)を測定し、その測定結果を示す情報(受取電流測定情報)を電力設備管理装置1に送る。

0028

図3は、受取電流測定情報の一例を説明するための図である。図3に示した受取電流測定情報2110は、測定タイミングを「1分」間隔の一定時間間隔として、「15時0分」に受取電流を測定した場合の、受取電流測定部210による測定結果を示す情報を例示したものである。なお、本明細書において、時間の表記で秒の単位を明示していない場合は、「0秒」と読み替えてもよい。

0029

図3に示すように、受取電流測定情報2110には、列車2の受取電流を測定した時刻を示す測定時刻2111と、その測定時における電流値(測定値)を示す受取電流2112と、が紐付けられている。具体的には、図3の受取電流測定情報2110の場合、測定時刻「15時0分」の時点で受け取った電流量が「2000[A]」であることが示されている。

0030

また、図2に示すように、電力設備装置3は、送出電流測定部310を備える。送出電流測定部310は、一定時間間隔、あるいは、電力設備管理装置1または不図示の入力手段から電力設備装置3に対する電流測定指示があったタイミングで、電力設備装置3が電力伝達設備5を介して列車2に対して送り出した電流(送出電流)を測定し、その測定結果を示す情報(送出電流測定情報)を電力設備管理装置1に送る。

0031

図4は、送出電流測定情報の一例を説明するための図である。図4に示した送出電流測定情報3110は、測定タイミングを「1分」間隔の一定時間間隔として、「15時0分」に受取電流を測定した場合の、送出電流測定部310による測定結果を示す情報を例示したものである。

0032

図4に示すように、送出電流測定情報3110には、電力設備装置3の送出電流を測定した時刻を示す測定時刻3111と、その測定時における電流値(測定値)を示す受取電流2112と、が紐付けられている。具体的には、図4の送出電流測定情報3110の場合、測定時刻「15時0分」の時点で送り出した電流量が「2050[A]」であることが示されている。

0033

(1−3)障害発生判定処理
本実施の形態に係る地絡故障判定システム100は、一定時間間隔、あるいは、電力設備管理装置1または不図示の入力手段から電力設備管理装置1に対する障害発生判定の実行指示があったタイミングで、電力設備における障害発生の可能性を判定する障害発生判定処理を開始することができる。この障害発生判定処理は、累積電流計算部110による累積電流計算処理と、累積値補正部120による累積値補正処理と、電流比較判定部130による電流比較判定処理とに大別できる。以下、これらの各処理について詳しく説明する。

0034

(1−3−1)累積電流計算処理
累積電流計算部110は、累積電流計算データ部140に格納された情報を用いて、列車2の受取電流及び電力設備装置3の送出電流のそれぞれの累積値を計算する累積電流計算処理を実行する。当該処理は、例えば、一定時間間隔、あるいは、電力設備管理装置1または不図示の入力手段から電力設備管理装置1に対する障害発生判定の実行指示があったタイミングで開始され、後述する累積値補正処理や電流比較判定処理の開始タイミングも同様である。

0035

図5は、累積電流計算処理の処理手順例を示すフローチャートである。以下では、一定時間間隔を「1分」と設定した場合の、時刻「15時0分」の時点における計算処理を具体例として挙げながら、図5に示した累積電流計算処理を詳述する。

0036

図5によればまず、ステップS101において、累積電流計算部110は、電力設備装置3の送出電流測定部310から送出電流測定情報3110を受け取る(図3参照)。

0037

次にステップS102において、累積電流計算部110は、列車2の受取電流測定部210から受取電流測定情報2110を受け取る(図4参照)。

0038

次にステップS103において、累積電流計算部110は、累積電流計算データ140が保持する累積電流計算情報1410を参照し、累積電流計算の開始時刻終了時刻、及びリセット周期を取得する。

0039

図6は、累積電流計算情報の一例を説明するための図である。図6に示したように、累積電流計算情報1410には、累積値電流計算における累積値集計の開始時刻を意味する累積値集計開始時刻1411、累積値電流計算における累積値集計の終了時刻を意味する累積値集計終了時刻1412、及び、累積値電流計算における累積値集計のリセット周期を意味する累積値集計時間幅1413の各項目について、設定値1414が紐付けられている。具体的には、図6の累積電流計算情報1410の場合、累積電流計算の開始時刻が「5時0分」、終了時刻が「25時30分」、リセット周期が「15分」であることが示されており、ステップS103の処理によって、これらの情報が取得される。

0040

なお、リセット周期の時間は、任意の時間を設定できるが、ノイズによる影響を抑制できる(ノイズによる影響で障害発生を誤判定しない)程度に情報を累積可能な時間であることが好ましく、さらに、累積計算された送出電流累積値と受取電流累積値との差分から、不安定な電流状況を検出可能な(具体的には、高抵抗地絡の発生に伴う抵抗値(電流量に読替可)の変化を判別可能な)時間であることが好ましい。一般に、架線が架線柱等に接触することによる高抵抗地絡の発生時には、時間経過とともに、一時的に大幅な高抵抗状態となるが、その後は、抵抗値が通常状態よりも若干高い(通常状態と比べて検出が困難な)状態で継続する。したがって、本実施の形態では、上記の一時的な大幅な高抵抗状態の経過時間に近い時間をリセット時間に設定すれば、高抵抗地絡の発生を高精度で判定することができるようになる。なお、リセット周期の具体的な時間設定については、過去の知見やデータ分析等に基づいて決定すればよい。

0041

次にステップS104において、累積電流計算部110は、ステップS101,S102で取得した測定情報の測定時刻が、ステップS103で取得したリセット周期に基づくリセット実施タイミング合致するか否かを判定する。当該判定において合致する場合は(ステップS104のYES)、ステップS105に進み、合致しない場合は(ステップS104のNO)、ステップS106に進む。

0042

ここで、ステップS104の処理を具体例を用いて詳しく説明する。まず、ステップS101で取得した送出電流測定情報3110(図3参照)やステップS102で取得した受取電流測定情報2110(図4参照)によれば、測定時刻は何れも「15時0分」である。この測定時刻「15時0分」は、ステップS103で取得した累積値集計開始時刻「5時0分」と累積値集計終了時刻「25時30分」の間にある。したがって、測定時刻「15時0分」が、リセット周期「15分」によるリセット実施タイミングに合致するかを判定する必要がある。この合致判定には、例えば以下の式1を用いることができる。上記の具体値を式1に代入した場合の計算を式2に示す。



式2によれば、計算結果の「40」は整数であるから、この場合、測定時刻「15時0分」はリセット実施タイミングに合致すると判定される。

0043

ステップS105では、累積電流計算部110は、内部パラメータとして保持している「送出電流累積値」及び「受取電流累積値」にそれぞれ「0」を代入し、累積値をリセットする。ステップS105の後はステップS106に進む。

0044

ステップS106では、累積電流計算部110は、送出電流累積値にステップS101で取得した送出電流測定情報3110の送出電流3112を加算し、受取電流累積値にステップS102で取得した受取電流測定情報2110の受取電流2112を加算する。

0045

具体的には、測定時刻「15時0分」の場合、ステップS105におけるリセット(初期化)処理を経ているため、加算前の各累積値は「0」であり、加算される送出電流3112は「2050A」で、受取電流2112は「2000A」である。以上のことから、ステップS106における送出電流累積値の計算には、以下の式3を用いることができ、当式に具体値を代入した場合の計算結果は式4に示される。同様に、ステップS106における受取電流累積値の計算には、以下の式5を用いることができ、当式に具体値を代入した場合の計算結果は式6に示される。



そしてステップS106の後は、累積電流計算処理を終了する。

0046

(1−3−2)累積値補正処理
累積値補正部120は、累積電流計算部110による累積電流計算処理で算出された「送出電流累積値」と「受取電流累積値」に対して、累積値補正データ部150に格納された情報を用いて補正する累積値補正処理を実行する。

0047

図7は、累積値補正処理の処理手順例を示すフローチャートである。以下では、上述した累積電流計算処理の具体例を引き継ぎながら、図7に示した累積値補正処理を詳述する。

0048

図7によればまず、ステップS201において、累積値補正部120は、累積電流計算部110による累積電流計算処理によって算出された送出電流累積値及び受取電流累積値と測定時刻とを受け取る。本具体例では、式4に示したように送出電流累積値は「2050[A]」であり、式6に示したように受取電流累積値は「2000[A]」であり、測定時刻は「15時0分」である。

0049

次にステップS202において、累積値補正部120は、補正用データとして、累積値補正データ部150が保持する累積値補正情報1510を受け取る。

0050

図8は、累積値補正情報の一例を説明するための図である。図8に示したように、累積値補正情報1510には、個々の条件1511について、補正の対象とする測定時刻を意味する対象測定時刻1512と、補正時に電流累積値に乗算する係数を意味する補正係数1513とが紐付けられている。なお、補正係数1513は、送出電流累積値に乗算する補正係数を示す送出電流用補正係数1514と、受取電流累積値に乗算する補正係数を示す受取電流用補正係数1515とに分けられている。

0051

図8に示したように、累積値補正情報1510は、時間帯(対象測定時刻1512)によって異なる補正値(補正係数1513)が定められており、これは、障害発生判定処理の判定対象路線を走行中の列車の本数の推定値に応じて補正値を定めたものである。補足すると、列車2は、原則として列車ダイヤ計画された運行計画に沿って運行されるため、時間帯(時刻)によって、所定の路線を走行中の列車2の本数は予め推定することができる。したがって、本実施の形態では、図8のように、判定対象の路線を走行中の列車2の本数を時間帯(時刻)に置き換えた補正用データを用いることができる。そして、このような補正用データを用いる場合、累積値補正データ部150に、予め固定的な補正用データを用意しておくことができるため、累積値補正部120による累積値補正処理における処理速度の向上や処理負荷の低減の効果に期待できる。

0052

次のステップS203では、累積値補正部120は、ステップS301で取得した測定時刻に基づいて、ステップS202で取得した補正用データ(累積値補正情報1510)に示された補正係数1513を用いて、ステップS301で取得した送出電流累積値及び受取電流累積値に対する補正計算を実施する。

0053

具体的には、図8に示した累積値補正情報1510の場合、測定時刻が「15時0分」のときは、対象測定時刻「10時0分〜21時59分」に該当することから、条件「3」の補正条件が適用され、その補正係数は、送出電流用が「0.9」で受取電流用が「1.0」であることが示されている。したがって、ステップS203における各電流累積値の補正計算には、以下の式7,式9を用いることができ、各式に具体値を代入した場合の計算結果は式8,式10に示される。



そしてステップS203の後は、累積値補正処理を終了する。

0054

(1−3−3)電流比較判定処理
電流比較判定部130は、累積値補正部120による累積値補正処理で算出された「補正後の送出電流累積値」と「補正後の受取電流累積値」について、比較判定閾値データ部160に格納された情報を用いて判定処理を行い、判定結果を表示装置4に出力する、電流比較判定処理を実行する。

0055

図9は、電流比較判定処理の処理手順例を示すフローチャートである。以下では、上述した累積電流計算処理及び累積値補正処理の具体例を引き継ぎながら、図9に示した電流比較判定処理を詳述する。

0056

図9によればまず、ステップS301において、電流比較判定部130は、累積値補正部120による累積値補正処理によって算出された補正後の送出電流累積値を取得する。具体例では、式8に示したように補正後の送出電流累積値は「1845[A]」である。

0057

次にステップS302において、電流比較判定部130は、累積値補正部120による累積値補正処理によって算出された補正後の受取電流累積値を取得する。具体例では、式10に示したように補正後の受取電流累積値は「2000[A]」である。

0058

次にステップS303において、電流比較判定部130は、比較判定閾値データ部160が保持する比較判定閾値情報1610を取得する。比較判定閾値情報1610には、後述するステップS304の比較判定で用いられる閾値に関する情報が記載されている。

0059

図10は、比較判定閾値情報の一例を説明するための図である。図10に示したように、比較判定閾値情報1610には、個々の条件1611に対応して、比較判定の判定条件の内容が示された判定項目1612と、判定項目1612で示された判定基準を満たした場合に出力するメッセージが示されたメッセージ1613とが紐付けられている。なお、図10の判定項目1612に記載された「送出電流累積値」及び「受取電流累積値」は、それぞれ、補正後の送出電流累積値及び受取電流累積値を意味する。そして、図10の比較判定閾値情報1610の場合、条件1611として「1」〜「3」の3件が記されており、それぞれが判定項目1612及びメッセージ1613を持っている。

0060

具体的には例えば、条件「1」における判定条件(判定項目1612)は、以下の式11の通りである。



すなわち、条件「1」に関する上記の式11においては、右辺に示された閾値が「0.4」となっており、左辺の値が当該閾値「0.4」を超えた場合に、条件「1」のメッセージ1613が出力されることになる。そして図10の場合、条件「2」や条件「3」の判定条件についても、左辺は条件「1」の式11と同じであり、右辺に示される閾値が「0.2」や「0.1」となっている点でのみ異なっている。

0061

そして、ステップS304において、電流比較判定部130は、ステップS301,S302で取得した補正後の送出電流累積値及び受取電流累積値を用いて、ステップS303で取得した比較判定閾値情報1610に示された条件1611の1つについて、判定条件(判定項目1612)を満たすか否かの判定を順次実行する(比較判定)。ステップS304の比較判定において判定条件を満たした場合は(ステップS304のYES)、ステップS305に進み、判定条件を満たさなかった場合は(ステップS304のNO)、ステップS306に進む。

0062

ステップS305は、ステップS304の比較判定において判定条件を満たした場合に行われる処理であって、このとき、電力設備における障害発生の可能性が存在すると判定されたことを意味する。具体的には、ステップS305において、電流比較判定部130は、ステップS304で判定条件(判定項目1612)を満たした条件1611について、比較判定閾値情報1610において当該条件1611に紐付けられたメッセージ1613の内容を表示装置4に出力する。例えば、図10の比較判定閾値情報1610における条件「1」についての比較判定で判定条件を満たした場合には、条件「1」に紐付けられたメッセージ1613である「“警告:電力設備に障害発生の可能性・大”」が表示装置4に出力される。そして、表示装置4は、出力されたメッセージの内容を表示画面に表示する。ステップS305の処理後は、ステップS306に進む。

0063

次に、ステップS306の処理を説明する。ステップS306では、電流比較判定部130は、ステップS303で取得した比較判定閾値情報1610に示された条件1611の全てについて、ステップS304の比較判定が実施されたか否かを判定する。ステップS306において全ての条件(図10の場合、条件「1」〜「3」)について比較判定が実施済みであった場合は(ステップS306のYES)、電流比較判定処理を終了する。一方、比較判定が未実施の条件が1つでもあった場合には(ステップS306のNO)、ステップS304に戻り、未実施の条件の1つを選んで比較判定を行う。このような処理を繰り返すことにより、最終的にはステップS303で取得した比較判定閾値情報1610に示された全ての条件について、ステップS304の比較判定が行われ、その後、電流比較判定処理が終了する。そして、電流比較判定処理の終了は、一連の障害発生判定処理の終了を意味する。

0064

ここで、前述してきた具体例を用いて、ステップS304以降の処理を確認する。前述したように、本具体例では、ステップS301,S302で取得された補正後の送出電流累積値は「1845[A]」で、補正後の受取電流累積値は「2000[A]」である。そして、ステップS304において、まず、条件「1」についての比較判定を実施したとする。条件「1」における判定条件は、式11に示した通りであり、補正後の各電流累積値を式11の左辺に代入した計算結果は、以下の式12のようになる。



すなわち、本具体例の場合、条件「1」の判定条件は満たさないことから(ステップS304のNO)、ステップS306に進み、ステップS306のNOを経て、2回目のステップS304の処理が行われる。

0065

2回目のステップS304では、条件「2」について比較判定を実施したとする。ここで、式12で示したように、判定条件の左辺の計算結果は「−0.084」となることから、条件「2」の閾値である「0.2」よりも小さい。すなわち、本具体例の場合、条件「2」の判定条件は満たさない。その後、再びステップS306のNOを経て、3回目のステップS304の処理が行われる。

0066

3回目のステップS304では、残った条件「3」について比較判定が実施される。しかし、条件「3」における判定条件の閾値は「0.1」であることから、条件「2」の場合と同様に、判定条件を満たさない。したがって、再びステップS306に移行する。そして、このステップS306では、比較判定閾値情報1610に示された全ての条件について比較判定を実施済みであることから(ステップS306のYES)、電流比較判定処理は終了する。

0067

以上のように、測定時刻「15時0分」における上述した具体例の場合は、比較判定閾値情報1610に示された全ての条件について判定条件を満たすことがないまま、電流比較判定処理が終了し、一連の障害発生判定が終了する。換言すれば、測定時刻「15時0分」における上述した具体例の場合は、電力設備における障害発生の可能性があるとは判定されずに(障害発生の可能性がないと判定され)、障害発生判定が終了する。したがって、このような場合、電力設備において架線の地絡等による故障は発生していないと判断することができる。

0068

(1−3−4)次の実行タイミングにおける障害発生判定処理の処理例
ここまで、本実施の形態に係る地絡故障判定システム100による障害発生判定処理を説明する際、一定時間間隔を「1分」と設定した場合の、時刻「15時0分」の時点における処理を具体例として説明した。以下では、次の実行タイミング(時刻「15時1分」)における障害発生判定処理の具体的な処理例について説明する。

0069

「15時1分」の障害発生判定処理においても、「15時0分」の場合と同様に、累積電流計算部110による累積電流計算処理(図5)と、累積値補正部120による累積値補正処理(図7)と、電流比較判定部130による電流比較判定処理(図9)とが実行される。

0070

まず、累積電流計算部110による累積電流計算処理が行われる。図5に示したように、累積電流計算部110は、ステップS101で電力設備装置3の送出電流測定部310から送出電流測定情報を受け取り、ステップS102で列車2の受取電流測定部210から受取電流測定情報を受け取る。

0071

図11は、電流測定情報の一例を説明するための図である。図11に示す電流測定情報1110は、測定時刻1111と、当該測定時刻において送出電流測定部310で測定された送出電流1112と、当該測定時刻において受取電流測定部210によって測定された受取電流1113とをまとめたものである。図11の場合、累積電流計算処理のステップS101,S102で累積電流計算部110が受け取った電流量の各測定値が例示されている。具体的には、図11の電流測定情報1110の場合、測定時刻「15時1分」の時点で電力設備装置3から送出された電流量が「2300[A]」であり、列車2が受け取った電流量が「1500[A]」であることが示されている。すなわち、「15時1分」の時点において、累積電流計算部110がステップS101で受け取った送出電流測定情報が示す送出電流は「2300[A]」であり、ステップS102で受け取った受取電流測定情報が示す受取電流は「1500[A]」である。

0072

次に、ステップS103において、累積電流計算部110は、累積電流計算データ140が保持する累積電流計算情報1410を参照し、累積電流計算の開始時刻、終了時刻、及びリセット周期を取得する。「15時0分」の場合と同様に、図6の累積電流計算情報1410を参照するものとする。

0073

ステップS104では、累積電流計算部110は、ステップS101,S102で取得した測定情報の測定時刻「15時1分」が、ステップS103で取得したリセット周期に基づくリセット実施タイミングに合致するか否かを判定する。具体的には例えば、具体値を式1に代入して計算し、その計算結果は式13の通りとなる。



式13の結果は整数ではないことから、測定時刻「15時1分」はリセット実施周期と合致しないと判定され、累積値のリセットを実施することなく、ステップS106の処理に進む。

0074

そして、ステップS106において、累積電流計算部110は、送出電流累積値にステップS101で取得した送出電流測定情報の送出電流を加算し、受取電流累積値にステップS102で取得した受取電流測定情報の受取電流を加算する。具体的には、上述した「15時0分」時点での処理を参照すれば、送出電流累積値は「2050[A]」であったから、ステップS101で受け取った送出電流の「2300[A]」を加算することにより、「15時1分」における送出電流累積値は「4350[A]」となる。同様に、「15時1分」における受取電流累積値は、「2000[A]」に「1500[A]」を加算して「3500[A]」となる。その後、累積電流計算処理は終了する。

0075

次に、累積値補正部120による累積値補正処理が行われる。図7に示したように、累積値補正部120は、ステップS201で、累積電流計算部110による累積電流計算処理によって算出された送出電流累積値及び受取電流累積値と、測定時刻とを受け取る。本具体例の場合、送出電流累積値は「4350[A]」であり、受取電流累積値は「3500[A]」であり、測定時刻は「15時1分」である。

0076

ステップS202では、累積値補正部120は、累積値補正データ部150から補正用データを受け取る。「15時0分」の場合と同様に、図8の累積値補正情報1510を取得するものとする。

0077

次のステップS203では、累積値補正部120は、ステップS301で取得した測定時刻に基づいて、ステップS202で取得した補正用データ(累積値補正情報1510)に示された補正係数1513を用いて、ステップS301で取得した送出電流累積値及び受取電流累積値に対する補正計算を実施する。

0078

具体的には、図8の累積値補正情報1510によれば、測定時刻「15時1分」に該当する条件は、対象測定時刻が「10時0分〜21時59分」とされた条件「3」である。したがって、条件「3」の補正条件が適用され、送出電流用の補正係数「0.9」が送出電流累積値に乗算され、受取電流用の補正係数「1.0」が受取電流累積値に乗算される。これらの計算結果は、以下の式14,式15に示される。



そしてステップS203の後は、累積値補正処理を終了する。

0079

次に、電流比較判定部130による電流比較判定処理が行われる。図9に示したように、電流比較判定部130は、ステップS301において、累積値補正部120による累積値補正処理によって算出された補正後の送出電流累積値を取得し、ステップS302において、累積値補正部120による累積値補正処理によって算出された補正後の受取電流累積値を取得する。具体例では、式14に示したように補正後の送出電流累積値は「3915[A]」であり、式15に示したように補正後の受取電流累積値は「3500[A]」である。

0080

ステップS303では、電流比較判定部130は、比較判定閾値データ部160から比較判定の判定条件(図10に例示した比較判定閾値情報1610)を取得する。

0081

そしてステップS304では、電流比較判定部130は、ステップS301,S302で取得した補正後の送出電流累積値及び受取電流累積値を用いて、ステップS303で取得した比較判定閾値情報1610に示された条件1611の1つについて、判定条件(判定項目1612)を満たすか否かの判定を順次実行する(比較判定)。ここではまず、条件「1」に対する比較判定を行うとする。

0082

条件「1」の判定条件は、上述の式11に示した通りであり、式11の左辺に具体値を代入した場合の計算結果は、以下の式16のようになる。



すなわち、「15時1分」の場合、条件「1」の判定条件は満たさないことから(ステップS304のNO)、ステップS306に進み、ステップS306のNOを経て、2回目のステップS304の処理が行われる。

0083

2回目のステップS304では、条件「2」について比較判定を行うとする。ここで、式16で示したように、判定条件の左辺の計算結果は「0.1060」となることから、条件「2」の閾値である「0.2」よりも小さい。すなわち、本具体例の場合、条件「2」の判定条件は満たさない。その後、再びステップS306のNOを経て、3回目のステップS304の処理が行われる。

0084

3回目のステップS304では、残った条件「3」について比較判定を行うとする。このとき、判定条件の左辺の計算結果である「0.1060」は、条件「3」の閾値である「0.1」よりも大きい。すなわち、本具体例の場合、条件「3」の判定条件を満たすため、ステップS304のYESを経て、ステップS305の処理が行われる。

0085

ステップS305では、電流比較判定部130は、ステップS304の比較判定で成立した条件について、比較判定閾値情報1610を用いて表示装置4にメッセージ出力を行う。具体的には、本例の場合、図10に示す条件「3」に紐付けられたメッセージ1613の内容として、「“注意:電力設備に障害発生の可能性・小”」が表示装置4に出力される。そして、表示装置4のメッセージウィンドウにおいて、当該メッセージが表示される。

0086

図12は、メッセージの表示例を説明するための図である。図12に示したメッセージウィンドウ410は、表示装置4における所定の表示領域であって、「15時1分」における電流比較判定処理(より広義には、障害発生判定処理)の判定結果表示として、「“注意:電力設備に障害発生の可能性・小”」が表示されている。

0087

なお、図12の表示例は一例に過ぎず、本実施の形態に係る地絡故障判定システム100における判定結果表示の表示態様はこれに限定されるものではない。例えば、図12のように、表示装置4がメッセージウィンドウ410に、比較判定閾値情報1610に保持されたメッセージ1613をそのまま表示してもよいし、一律で文字の色や大きさを管理する不図示の情報に基づいて、表示態様を変更して表示する等してもよい。また、メッセージウィンドウ410における表示情報に、処理を実行した時刻(測定時刻)である「15時1分」を追加してもよい。また、比較判定閾値情報1610が保持する各条件とその成立状態追加表示したり、ステップ304の比較判定で成立した条件について、その計算値を追加表示したりするようにしてもよい。

0088

そして、ステップS305の処理後は、ステップS306に進む。このとき、比較判定閾値情報1610における条件「1」〜条件「3」の全てについて比較判定が終了していることから、電流比較判定部130は電流比較判定を終了し、障害発生判定が終了する。

0089

このように、地絡故障判定システム100は、電力設備における故障を判定し、測定時刻が「15時1分」の場合は、障害発生の判定結果(図12参照)を表示装置4に表示させることができる。

0090

(1−4)まとめ
以上に説明したように、第1の実施の形態に係る地絡故障判定システム100は、障害発生判定処理として、列車2が運行管理装置(不図示)の制御に従って走行する場合に、電力設備装置3が列車2に対して送出した電流(送出電流)の測定値と、列車が消費した電流(受取電流)の測定値とのそれぞれについて、一定時間ごとに初期化される累積値計算を行う(累積電流計算処理)。そして、累積電流計算処理で算出された各累積値(送出電流累積値,受取電流累積値)に対して、所定の補正用データに基づいた補正計算を実施し(累積値補正処理)、補正後の送出電流累積値と受取電流累積値との差分を用いて所定の比較判定基準(比較判定閾値データ部160に格納された比較判定閾値情報)に基づく閾値判定(比較判定)を行い、閾値を超えた場合には「電力設備における障害発生の可能性がある」と判定し、表示装置4に判定結果を表示する(電流比較判定処理)。

0091

このような障害発生判定処理により、電力設備における障害発生の可能性が判定され、その判定結果が出力されるため、利用者は判定結果から、地絡などによる故障判定を行うことが可能となる。

0092

特に、本実施の形態では、累積電流計算処理において、一定時間で初期化しながら送出電流累積値及び受取電流累積値を算出し、その差分を用いて以降の処理を行うことにより、リセット周期内の比較的小さな電流累積値に基づいて障害発生判定処理を実施することができるため、従来よりも高い精度で抵抗値の変化等を判定することができる。その結果、架線が架線柱等に接触した場合に発生する「高抵抗地絡」のように、接触状態によって不定量な抵抗値の変化に対しても、精度よく障害発生の可能性を判定することができる。

0093

さらに、累積値補正処理において、測定時刻の時間帯(対象測定時刻1512)に応じて異なる補正係数を、送出電流用と受取電流用とに用意することにより、列車の運行状況に基づいた細やかな電流累積値の補正を実施することができる。より具体的には、受取電流の電流量の測定機能や情報伝送機能を有していない列車が運行される場合には、このような列車の運行数を考慮して補正係数を高く設定する等の工夫を行うことにより、一部の列車2に上記の測定機能や情報伝送機能がない場合であっても、精度よく障害発生の可能性を判定することができる。また、電力設備装置3からの給電の一部が他路線の列車に対して行われることが予め分かっている場合等も、同様に、補正係数を高く設定する等の工夫を行うことにより、一部の変電所(電力設備装置3)に上記の測定機能や情報伝送機能がない場合であっても、精度よく障害発生の可能性を判定することができる。

0094

かくして、本実施の形態に係る地絡故障判定システム100によれば、一部の変電所や列車に測定機能あるいは情報伝送機能がない状態であっても、電力設備における障害発生の可能性を表示・報知することができ、地絡故障等を原因とする電力設備の故障判定を実現することができる。

0095

なお、上述した本実施の形態の説明では、電力設備管理装置1(及び表示装置4)を独立した装置としたが、電力設備管理装置1(及び表示装置4)は、列車2や電力設備装置3、あるいは不図示の既設装置に取り込まれて構成されるものであってもよい。また、電力設備管理装置1の各データ部(累積電流計算データ部140,累積値補正データ部150,比較判定閾値データ部160)は、電力設備管理装置1とは別の独立したデータベース等の装置で構成されてもよい。

0096

また、図8に例示した累積値補正情報1510は、測定時刻を条件とした補正係数を保持するものであったが、補正用データとして用いられる累積値補正情報は、他の条件による補正係数を保持するものであってもよい。具体的には例えば、日付情報に基づく日付や曜日季節等を条件とした補正係数を保持するものであってもよい。また、補正係数は、乗算用の係数に限定されるものではなく、より高次補正式を表す複数の係数が補正係数として保持されてもよい。

0097

また、本実施の形態に係る地絡故障判定システム100では、電力設備管理装置1による障害発生判定処理(電流比較判定処理)における異常判定の出力先を、表示装置4に代えて、あるいは表示装置4と併用して、音声出力装置としてもよい。音声出力装置を用いることにより、電力設備の故障判定の判定結果を音声によって報知することができる。また、上述した電流比較判定処理では、比較判定において条件が成立した場合(障害発生を判定した場合)に表示装置4からメッセージ出力を行うとしたが、本実施の形態ではこれに限らず、全ての比較判定において条件が成立しなかった場合、すなわち、障害が発生していないと判定した場合についても、表示装置4からメッセージ出力を行うようにしてもよい。

0098

なお上記の音声出力装置は、テキストを音声に変換して出力する公知の装置を用いてもよいし、メッセージ情報(例えば、比較判定閾値情報1610のメッセージ1613の内容)に対応する音声信号を保持し、この音声信号に基づいて音声出力するものであってもよい。保持する音声信号は、例えばMP3等の規格に従った音声データを用いて、当該音声データを音声信号に変換する処理を用いてもよい。

0099

(2)第2の実施の形態
(2−1)構成
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る地絡故障判定システムを含む鉄道の電力設備の装置構成例を示すブロック図である。図13に示した装置構成を図1に示した第1の実施の形態における装置構成と比較すると、列車2の運行を制御する運行管理装置6が追加されている。また、第2の実施の形態に係る地絡故障判定システム200は、電力設備管理装置1に代えて電力設備管理装置1Aを備え、情報インタフェース部12を介して運行管理装置6と通信可能に接続されている。なお、運行管理装置6は、既知の運行管理装置であればよく、内部構成等の説明は省略する。

0100

図14は、第2の実施の形態に係る地絡故障判定システムの機能構成例を示すブロック図である。図14に示すように、電力設備管理装置1Aは、累積電流計算部110、累積値補正部220、電流比較判定部130、累積電流計算データ部140、累積値補正データ部150、及び比較判定閾値データ部160を備える。電力設備管理装置1Aを構成する各部のうち、累積値補正部220以外は、第1の実施の形態における電力設備管理装置1の構成と共通しており(図2参照)、その詳細な説明は省略する。累積値補正部220の詳細については後述する。また、電力設備管理装置1Aのハードウェア構成は、第1の実施の形態で説明した電力設備管理装置1のハードウェア構成と同様であり、その説明を省略する。

0101

また、図14に示すように、運行管理装置6は、列車の運行管理に関する情報(運行管理情報)が格納された運行管理データ部610を備えている。運行管理情報の具体的な内容については、図17等を参照しながら後述する。

0102

(2−2)障害発生判定処理
以下では、第2の実施の形態に係る地絡故障判定システム200によって実行される障害発生判定処理について説明する。地絡故障判定システム200による障害発生判定処理は、累積電流計算部110による累積電流計算処理と、累積値補正部220による累積値補正処理と、電流比較判定部130による電流比較判定処理とに大別できる。このうち、累積電流計算部110及び電流比較判定部130は、第1の実施の形態と共通する構成であり、それぞれによる処理内容も共通することから、説明を省略する。したがって、以下では、累積値補正部220による累積値補正処理について詳しく説明する。

0103

前述した第1の実施の形態における累積値補正処理では、累積値補正部120が、累積電流計算処理で算出された「送出電流累積値」と「受取電流累積値」に対して、累積値補正データ部150に格納された情報(累積値補正情報)を用いて補正する累積値補正処理を実行した。これに対し、第2の実施の形態における累積値補正処理では、累積値補正部220が、累積電流計算処理で算出された「送出電流累積値」と「受取電流累積値」に対して、累積値補正データ部150に格納された累積値補正情報に加えて、運行管理装置6の運行管理データ部610に格納された情報(運行管理情報)も用いて、補正を行う。

0104

図15は、第2の実施の形態における累積値補正処理の処理手順例を示すフローチャートである。以下では、一定時間間隔を「1分」と設定した場合の、時刻「15時1分」の時点における計算処理を具体例として挙げながら、図15に示した累積値補正処理を詳述する。なお、「15時0分」の時点における計算結果は、第1の実施の形態で説明した計算結果を流用する。

0105

図15によればまず、ステップS401において、累積値補正部220は、累積電流計算部110による累積電流計算処理によって算出された送出電流累積値及び受取電流累積値と、測定時刻とを受け取る(図7のステップS201と同様)。具体的には、第1の実施の形態の(1−3−4)で説明したように、「15時1分」の場合に受け取る送出電流累積値は「4350[A]」であり、受取電流累積値は「3500[A]」であり、測定時刻は「15時1分」である。

0106

次のステップS402では、累積値補正部220は、補正用データとして、累積値補正データ部150が保持する累積値補正情報を受け取る。次いでステップS403では、累積値補正部220は、運行管理装置6から、運行管理データ部610が保持する運行管理情報を受け取る。

0107

そして、ステップS404では、累積値補正部220は、ステップS403で取得した運行管理情報に基づいて、ステップS402で取得した補正用データ(累積値補正情報)に示された何れの補正条件を適用すべきかを判断し、該当する補正条件の補正係数を、ステップS401で取得した送出電流累積値及び受取電流累積値に乗算する補正計算を実施する。ステップS404の処理後は、累積値補正処理を終了する。

0108

ここで、第2の実施の形態における累積値補正処理では、ステップS402で取得する補正用データ(累積値補正情報)に示される補正条件を、ステップS403で取得する運行管理情報の内容に対応したものにすることによって、列車2及び電力設備装置3(発電所等)の現状に即した形で、より精度の高い電流累積値の補正処理を実現することができる。以下に、累積値補正情報と運行管理情報との組合せの具体例を提示し、「15時1分」における具体的な累積値補正処理の計算結果を示す。

0109

(2−2−1)第1の組合せ例
まず、第1の組合せ例として、走行中の列車2について、電力設備装置3から受け取った受取電流の電流量を電力設備管理装置1Aに送ることができる列車の数(A群)、または、電力設備装置3から受け取った受取電流の電流量を電力設備管理装置1Aに送ることができない列車の数(B群)に基づいて、電流累積値の補正条件を定める方法を提示する。

0110

図16は、第1の組合せ例における累積値補正情報を説明するための図である。図16に示した累積値補正情報1520では、条件1521に、それぞれの補正条件の番号が示されている。そして、列車数1522に、各補正条件の内容として、走行中の列車2のうち、電力設備装置3からの受取電流の電流量を電力設備管理装置1Aに送ることができる列車の数(A群列車数1524)と、電力設備装置3からの受取電流の電流量を電力設備管理装置1Aに送ることができない列車の数(B群列車数1525)とが示されている。また、補正係数1523に、各補正条件の内容を満たす場合に適用される補正係数として、送出電流累積値に乗算する送出電流用補正係数1526と、受取電流累積値に乗算する受取電流用補正係数1527とが示されている。

0111

図17は、第1の組合せ例における運行管理情報を説明するための図である。図17に示した運行管理情報6110は、測定時刻を示す測定時刻6111と、走行中の列車2のうち、電力設備装置3からの受取電流の電流量を電力設備管理装置1Aに送ることができる列車数(A群列車数6112)と、電力設備装置3からの受取電流の電流量を電力設備管理装置1Aに送ることができない列車数(B群列車数6113)とから構成される。具体的には、受取電流測定部210を持たない列車や、受取電流測定部210が故障した列車が、B群列車数6113に含まれる。

0112

そして、測定時刻「15時1分」において、図16図17に示した第1の組合せ例を用いて累積値補正処理のステップS404を実施した場合、次のように計算される。

0113

まず、図17の運行管理情報6110を参照することにより、測定時刻「15時1分」におけるA群列車数は「22列車」であり、B群列車数は「6列車」であることが分かる。そして、このA群列車数及びB群列車数に基づいて図16の累積値補正情報1520を参照すると、条件「4」の補正条件(A群列車数が20列車以上、かつB群列車数が5列車以上)に該当することが分かる。

0114

したがって、第1の組合せ例の場合、測定時刻「15時1分」において用いられる補正係数は、図16の条件「4」における補正係数であり、具体的には、送出電流用が「1.0」で受取電流用が「1.2」である。以上の具体値を上述した式7,式9に代入することによって、式17,式18に示すように補正後の送出電流累積値、及び補正後の受取電流累積値が算出される。

0115

そして、地絡故障判定システム200では、電流比較判定部130が式17,式18の算出結果を用いて電流比較判定処理を行うことにより(図9参照)、第1の実施の形態と同様に、電力設備に障害発生の可能性があると判定した場合には、その旨を表示装置4等から表示・報知することができる。この結果、地絡故障判定システム200は、第1の実施の形態に係る地絡故障判定システム100と同様の効果を奏して、電力設備の故障判定を実現することができる。

0116

さらに、第1の実施の形態よりも優れた効果として、第2の実施の形態では、上述したような第1の組合せ例を用いた累積値補正処理を実施する場合には、走行中の列車2のうち、受取電流の測定機能あるいは情報伝送機能が有効である列車数(または、無効である列車数)を考慮して、電流累積値を補正することができる。具体的には例えば、上記測定機能等が有効であるA群列車数の割合(あるいは無効であるB群列車数の割合)等に基づいて、受取電流用補正係数を変えるように設定しておくことで、上記測定機能等が無効であることによる受取電流の電流量の情報を補正によって補うことができる。かくして、電力設備装置3から給電されて走行中の複数の列車2の一部において、上記の測定機能や情報伝送機能がない状態であっても(本来は当該機能を有しているが、故障等の諸事情によって一部機能喪失された場合を含む)、これらの列車を含めて、精度よく電力設備の故障判定を行うことができる。

0117

(2−2−2)第2の組合せ例
次に、第2の組合せ例として、電力設備装置3が、電力設備管理装置1Aで管理される列車2の路線以外に不図示の複数路線にも給電している場合について、電流量累積値の補正条件を定める方法を提示する。

0118

図18は、第2の組合せ例における累積値補正情報を説明するための図である。図18に示した累積値補正情報1530では、条件1531に、それぞれの補正条件の番号が示されている。そして、列車数1532に、各補正条件の内容として、電力設備装置3が給電する全ての路線(区画)を走行する列車の数(C群列車数1534)と、電力設備装置3が給電する路線(区画)のうち電力設備管理装置1Aに送出電流の測定値が送られる列車2の数(D群列車数1535)とが示されている。また、補正係数1533に、各補正条件の内容を満たす場合に適用される補正係数として、送出電流累積値に乗算する送出電流用補正係数1536と、受取電流累積値に乗算する受取電流用補正係数1537とが示されている。

0119

図19は、第2の組合せ例における運行管理情報を説明するための図である。図19に示した運行管理情報6120は、測定時刻を示す測定時刻6121と、電力設備装置3が給電する全ての路線(区画)を走行する列車の数(C群列車数6122)と、電力設備装置3が給電する路線(区画)のうち電力設備管理装置1Aに送出電流の測定値が送られる列車2の数(D群列車数6123)とから構成される。

0120

そして、測定時刻「15時1分」において、図18図19に示した第2の組合せ例を用いて累積値補正処理のステップS404を実施した場合、次のように計算される。

0121

まず、図19の運行管理情報6120を参照することにより、測定時刻「15時1分」におけるC群列車数は「43列車」であり、D群列車数は「15列車」であることが分かる。そして、このC群列車数及びD群列車数に基づいて図18の累積値補正情報1530を参照すると、条件「4」の補正条件(C群列車数が20列車以上、かつD群列車数が10列車以上)に該当することが分かる。

0122

したがって、第2の組合せ例の場合、測定時刻「15時1分」において用いられる補正係数は、図18の条件「4」における補正係数であり、具体的には、送出電流用が「0.9」で受取電流用が「1.2」である。以上の具体値を上述した式7,式9に代入することによって、式19,式20に示すように補正後の送出電流累積値、及び補正後の受取電流累積値が算出される。

0123

以後は、第1の組合せ例の場合と同様に、電流比較判定部130が式19,式20の算出結果を用いて電流比較判定処理を行うことにより(図9参照)、地絡故障判定システム200は、電力設備に障害発生の可能性があると判定した場合には、その旨を表示装置4等から表示・報知することができる。この結果、地絡故障判定システム200は、第1の実施の形態に係る地絡故障判定システム100と同様の効果を奏して、電力設備の故障判定を実現することができる。

0124

さらに、第1の実施の形態よりも優れた効果として、第2の実施の形態では、上述したような第2の組合せ例を用いた累積値補正処理を実施する場合には、電力設備装置3が給電する路線を走行する全列車の数(C群列車数)に対する、電力設備管理装置1Aに送出電流の測定値が送られる列車2の数(D群列車数)を考慮して、電流累積値を補正することができる。具体的には例えば、C群列車数に対するD群列車数の割合が比較的高い場合には、受取電流用補正係数を高めに設定したり、D群列車数の絶対数が比較的高い場合には、送出電流用補正係数を低めに設定したりしておくことで、電力設備装置3(変電所)による送出電流の一部が電力設備管理装置1Aに送られない状態であっても、各電流量の情報を補正によって補うことができる。かくして、一部の変電所や列車による測定機能や情報伝送機能がない状態であっても、これらの変電所や列車を加味して、精度よく電力設備の故障判定を行うことができる。

0125

なお、第2の組合せ例の場合、累積値補正データ部150は、複数の路線のそれぞれについて、判定対象とする路線のための累積値補正情報1530を有するようにしてもよく、この場合、電力設備管理装置1Aは、複数の路線のそれぞれについて、順に障害発生判定処理を行うようにしてもよい。また、不図示の複数の路線は、車両基地を含むものであってもよい。

0126

(2−2−3)第3の組合せ例
次に、第3の組合せ例として、列車2の計画ダイヤ(不図示)からの遅れ時間に基づいて、電流累積値の補正条件を定める方法を提示する。

0127

図20は、第3の組合せ例における累積値補正情報を説明するための図である。図20に示した累積値補正情報1540では、条件1541に、それぞれの補正条件の番号が示されている。そして、遅れ時間1542に、各補正条件の内容として、全ての列車2による遅れ時間の合計値を表す全列車合計遅れ時間1544と、一列車あたりの平均遅れ時間1545とが示されている。また、補正係数1543に、各補正条件の内容を満たす場合に適用される補正係数として、送出電流累積値に乗算する送出電流用補正係数1546と、受取電流累積値に乗算する受取電流用補正係数1547とが示されている。

0128

図21は、第3の組合せ例における運行管理情報を説明するための図である。図21に示した運行管理情報6130は、測定時刻を示す測定時刻6131と、全ての列車2による遅れ時間の合計値を表す全列車合計遅れ時間6132と、一列車あたりの平均遅れ時間6133とから構成される。具体的には、図21の場合、測定時刻「14時3分」において、全ての列車2の合計遅れ時間が「34分15秒」であって、一つの列車2あたりの平均遅れ時間は「0分45秒」であることが示されている。

0129

このとき、例えば測定時刻「14時3分」において、図20図21に示した第3の組合せを用いて累積値補正処理のステップS404を実施するとすれば、図21の運行管理情報6130における上記の記載内容に基づいて、図20の累積値補正情報1540を参照すると、条件「3」の補正条件(全列車合計遅れ時間が45分未満、かつ兵器の暮れ時間が3分未満)に該当することが分かる。

0130

したがって、第4の組合せ例の場合、測定時刻「14時3分」において用いられる補正係数は、図20の条件「3」における補正係数であり、具体的には、送出電流用が「1.0」で受取電流用が「1.2」である。以上の具体値を上述した式7,式9に代入することによって、式21,式22に示すように補正後の送出電流累積値、及び補正後の受取電流累積値が算出される。

0131

以後は、第1の組合せ例や第2の組合せ例の場合と同様に、電流比較判定部130が式19,式20の算出結果を用いて電流比較判定処理を行うことにより(図9参照)、地絡故障判定システム200は、電力設備に障害発生の可能性があると判定した場合には、その旨を表示装置4等から表示・報知することができる。この結果、地絡故障判定システム200は、第1の実施の形態に係る地絡故障判定システム100と同様の効果を奏して、電力設備の故障判定を実現することができる。

0132

さらに、第1の実施の形態よりも優れた効果として、第2の実施の形態では、上述したような第3の組合せ例を用いた累積値補正処理を実施する場合には、列車の遅れ時間という実際の運行状況を考慮して、電流累積値を補正することができる。列車ダイヤが乱れて遅れ時間が発生した場合には、列車2の運休や増発等が行われたり、電力設備装置3から給電される路線内を走行する列車2の数(列車の配分)が予定とずれたりする可能性がある。このような場合に、運行状況を考慮せずに障害発生判定処理を行おうとすると、実情とは異なる列車数に基づいて電流累積値を算出することになり、電力設備の故障判定の精度が低下する可能性がある。そこで、第3の組合せ例のように、遅れ時間に応じた補正係数を用意しておくことにより、このような実情とのずれを補足して、精度よく、地絡等による電力設備の故障判定を行うことに期待できる。

0133

(2−3)その他
以上、第2の実施の形態に係る地絡故障判定システム200について詳しく説明した。上述した第2の実施の形態では、累積値補正処理において、累積値補正部220が、累積電流計算処理で算出された「送出電流累積値」と「受取電流累積値」に対して、累積値補正データ部150に格納された累積値補正情報と、運行管理装置6の運行管理データ部610に格納された情報(運行管理情報)とを用いて補正計算を行うことを説明し、累積値補正情報と運行管理情報との様々な組合せを採用可能なことを例示した。なお、上記の各組合せ例は、独立して採用可能なだけでなく、組合せ例同士を組合せて採用することも可能であり、その場合には、それぞれの組合せによる優れた効果を重複して得ることができる。

0134

なお、第2の実施の形態に係る地絡故障判定システム200では、派生例として、電力設備管理装置1Aの累積値補正部220が、累積値補正処理を実行する際に、運行管理データ部610に格納された情報(運行管理情報)を用いることに代えて、不図示の制御装置が保持する所定の制御データを取得するようにし、当該制御データを補正に用いるようにしてもよい。この制御装置は、例えば、混雑状況を、撮像装置によって取得した情報を基に判定する混雑判定装置であってもよく、このような制御装置から制御データを取得する場合は、累積値補正データ部150に、混雑状況と補正係数とを対応付けた累積値補正情報を保持しておくことが好ましい。混雑している状況では、列車2の運行が遅れがちであるが、上述した制御データと累積値補正情報とに基づいて電流累積値の補正処理を実施して、障害発生判定処理を行うことにより、混雑による列車2の運行への影響を考慮しながら、地絡等による電力設備の故障判定を行うことができる。

0135

また、別例として、上記制御装置は、天候気温を測定・管理する制御装置であるとしてもよい。このような制御装置から制御データ(天候・気温データ)を取得する場合は、累積値補正データ部150に、天候・気温等と補正係数とを対応付けた累積値補正情報を保持しておくことが好ましい。天候や気温によっては、送出電流や受取電流の電流量に変化が生じることがあるが、上述した制御データと累積値補正情報とに基づいて電流累積値の補正処理を実施して、障害発生判定処理を行うことにより、天候等による影響を考慮しながら、電力設備の故障判定を行うことができる。

0136

なお、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

0137

また、上述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカードSDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。

0138

また、各図面において、制御線情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実施には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。

0139

1,1A電力設備管理装置
2列車
3 電力設備装置
4表示装置
5電力伝達設備
6運行管理装置
11,21,31演算部
12,22,32情報インタフェース部
13,23,33 演算データ保持部
100,200地絡故障判定システム
110 累積電流計算部
120,220累積値補正部
130電流比較判定部
140 累積電流計算データ部
150 累積値補正データ部
160比較判定閾値データ部
210受取電流測定部
310送出電流測定部
410メッセージウィンドウ
610 運行管理データ

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