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技術 溶鋼の鋳造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 渡邉佑介田中孝憲長谷川貴士山内崇松井章敏原田晃史上原博英
出願日 2018年8月29日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-160291
公開日 2020年3月5日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-032442
状態 未査定
技術分野 連続鋳造 インゴット鋳造
主要キーワード ストッパー孔 各分析値 稼働コスト ストランド数 トータル酸素 トータル酸素量 中間容器 許容上限
関連する未来課題
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図面 (5)

課題

溶鋼大気中の酸素との気−液反応を抑制することができる、溶鋼の鋳造方法を提供すること。

解決手段

連続鋳造設備を用いた溶鋼の鋳造方法であって、連続鋳造設備の中間容器であるタンディッシュ1の内部に、少なくとも還元性ガスを含む置換ガス完全燃焼させない条件で吹き込む置換工程と、置換工程の後、内部に還元性ガスを含むタンディッシュ1を用いて、連続鋳造設備で連続鋳造を行う鋳造工程と、を含む。

概要

背景

鉄鋼製品には、製品の用途に応じてSi,Mn,Al,Ti等の様々な活性元素が添加されているが、溶鋼の表面が大気暴露された状態ではこれらの合金元素が大気中の酸素窒素と反応して、酸化物や窒化物を形成する。これらの酸化物や窒化物は、大型の非金属介在物となり、圧延工程を経た製品にて疵になる場合や、製品の疲労寿命に悪影響を及ぼす場合がある。このため、精錬後の溶鋼と大気とにおける気−液反応を抑止することが重要である。特に、連続鋳造設備にて溶鋼を鋳造する場合では、溶鋼が注入される中間容器であるタンディッシュが大気に暴露され易いことから、タンディッシュ内での溶鋼と大気との気−液反応を低減することが必要とされている。

例えば、特許文献1には、タンディッシュ内を不活性ガスであるアルゴンパージすることにより、タンディッシュ内での溶鋼と大気との気−液反応を低減する方法が開示されている。
また、特許文献2には、品質上懸念される非金属介在物として酸化物のみを考慮する場合において、より安価な不活性ガスである窒素でタンディッシュ内をパージすることで、タンディッシュ内での溶鋼と大気との気−液反応を低減する方法が開示されている。

概要

溶鋼と大気中の酸素との気−液反応を抑制することができる、溶鋼の鋳造方法を提供すること。連続鋳造設備を用いた溶鋼の鋳造方法であって、連続鋳造設備の中間容器であるタンディッシュ1の内部に、少なくとも還元性ガスを含む置換ガス完全燃焼させない条件で吹き込む置換工程と、置換工程の後、内部に還元性ガスを含むタンディッシュ1を用いて、連続鋳造設備で連続鋳造を行う鋳造工程と、を含む。

目的

特開2010−24531号公報
特開2010−253485号公報






ところで、タンディッシュには、一般的に、耐火物予熱するためのガスの通り道や、溶鋼の温度測定サンプル採取を目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

連続鋳造設備を用いた溶鋼鋳造方法であって、前記連続鋳造設備の中間容器であるタンディッシュの内部に、少なくとも還元性ガスを含む置換ガス完全燃焼させない条件で吹き込む置換工程と、前記置換工程の後、内部に前記還元性ガスを含む前記タンディッシュを用いて、前記連続鋳造設備で連続鋳造を行う鋳造工程と、を含む、溶鋼の鋳造方法。

請求項2

前記置換工程では、前記置換ガスとして前記還元性ガス及び空気を少なくとも含むガスを用い、前記置換ガスの空燃比を1.3以下とする、請求項1に記載の溶鋼の鋳造方法。

請求項3

前記還元性ガスに含まれるCO濃度を、前記還元性ガスに含まれるCOガスと前記溶鋼に含まれるAlとの平衡反応に基づいて、前記溶鋼に含まれるAlの再酸化が起こらない範囲とする、請求項1または2に記載の溶鋼の鋳造方法。

請求項4

前記置換ガスは、COガスの濃度が11mass%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶鋼の鋳造方法。

請求項5

造塊設備を用いた溶鋼の鋳造方法であって、前記造塊設備の鋳型の内部に、少なくとも還元性ガスを含む置換ガスを完全燃焼させない条件で吹き込む置換工程と、前記置換工程の後、内部に前記還元性ガスを含む前記鋳型を用いて、前記造塊設備で鋳造を行う鋳造工程と、を含む、溶鋼の鋳造方法。

技術分野

0001

本発明は、溶鋼鋳造方法に関する。

背景技術

0002

鉄鋼製品には、製品の用途に応じてSi,Mn,Al,Ti等の様々な活性元素が添加されているが、溶鋼の表面が大気暴露された状態ではこれらの合金元素が大気中の酸素窒素と反応して、酸化物や窒化物を形成する。これらの酸化物や窒化物は、大型の非金属介在物となり、圧延工程を経た製品にて疵になる場合や、製品の疲労寿命に悪影響を及ぼす場合がある。このため、精錬後の溶鋼と大気とにおける気−液反応を抑止することが重要である。特に、連続鋳造設備にて溶鋼を鋳造する場合では、溶鋼が注入される中間容器であるタンディッシュが大気に暴露され易いことから、タンディッシュ内での溶鋼と大気との気−液反応を低減することが必要とされている。

0003

例えば、特許文献1には、タンディッシュ内を不活性ガスであるアルゴンパージすることにより、タンディッシュ内での溶鋼と大気との気−液反応を低減する方法が開示されている。
また、特許文献2には、品質上懸念される非金属介在物として酸化物のみを考慮する場合において、より安価な不活性ガスである窒素でタンディッシュ内をパージすることで、タンディッシュ内での溶鋼と大気との気−液反応を低減する方法が開示されている。

先行技術

0004

特開2010−24531号公報
特開2010−253485号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、タンディッシュには、一般的に、耐火物予熱するためのガスの通り道や、溶鋼の温度測定サンプル採取を目的とした開口部等が予め加工されて設けられている。さらに、溶鋼のような高温下の環境での鉄容器の変形は不可避であるため、タンディッシュにおけるわずかな隙間の発生を工業的に抑止することは困難である。
特許文献1,2に記載の方法では、タンディッシュ内に混入する大気の影響を除外するため、不活性ガスによってタンディッシュ内を陽圧化することが提案されている。しかし、取鍋から注入された溶鋼を受けるタンディッシュの受鋼部では、溶鋼の自由落下に伴う大気の巻き込みが必ず発生していた。これに加え、パージガスを流している箇所ではそれに伴い不可避的にタンディッシュ内への大気の流入が発生していた。このため、特に、軸受鋼といった鋼中の酸化物に対して厳格鋼種においては、溶鋼と大気中の酸素との気−液反応をより低減する方法が求められている。

0006

そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、溶鋼と大気中の酸素との気−液反応を抑制することができる、溶鋼の鋳造方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一態様によれば、連続鋳造設備を用いた溶鋼の鋳造方法であって、上記連続鋳造設備の中間容器であるタンディッシュの内部に、少なくとも還元性ガスを含む置換ガス完全燃焼させない条件で吹き込む置換工程と、上記置換工程の後、内部に上記還元性ガスを含む上記タンディッシュを用いて、上記連続鋳造設備で連続鋳造を行う鋳造工程と、を含む、溶鋼の鋳造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、造塊設備を用いた溶鋼の鋳造方法であって、上記造塊設備の鋳型の内部に、少なくとも還元性ガスを含む置換ガスを完全燃焼させない条件で吹き込む置換工程と、上記置換工程の後、内部に上記還元性ガスを含む上記鋳型を用いて、上記造塊設備で鋳造を行う鋳造工程と、を含む、溶鋼の鋳造方法が提供される。

発明の効果

0008

本発明の一態様によれば、溶鋼と大気中の酸素との気−液反応を抑制することができる溶鋼の鋳造方法が提供される。

図面の簡単な説明

0009

本実施形態におけるタンディッシュを示す平面図である。
COガスと溶鋼中のAlとの平衡反応についての計算結果を示すグラフである。
変形例における造塊設備を示す模式図である。
実施例の結果を示すグラフである。

0010

以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するように、本発明の実施形態を例示して多くの特定の細部について説明する。しかしながら、かかる特定の細部の説明がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかである。また、図面は、簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。

0011

<溶鋼の鋳造方法>
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る溶鋼の鋳造方法について説明する。本実施形態では、精錬処理された溶鋼を、連続鋳造設備を用いて連続鋳造する。連続鋳造設備は、溶鋼の鋳造において一般的に用いられるものであればよく、特に限定されない。連続鋳造設備を用いた連続鋳造では、取鍋(不図示)に収容された溶鋼を、図1に示すタンディッシュ1に注入し、その後、タンディッシュ1から鋳型(不図示)に溶鋼を注入することで所望の形状のスラブビレット等の鋳片が鋳造される。タンディッシュ1は、図1に示すように、上蓋に形成される注入孔10と、4個のストッパー孔11a〜11dを有する。注入孔10は、タンディッシュ1の上蓋の中央に形成され、取鍋に接続されるロングノズル(不図示)が挿通される開口部である。4個のストッパー孔11a〜11dは、タンディッシュ1の長手方向に並ぶようにして形成される孔であり、4本のストッパー(不図示)がそれぞれ挿通される開口部である。なお、注入孔10は、中央のストッパー孔11b,11cの間に形成される。なお、図1に示すタンディッシュ1は、4ストランドブルーム等の鋳片を鋳造する連続鋳造設備に設けられるものである。そして、4個のストッパー孔11a〜11dの位置は、鋳型が設置される各ストランドの位置に対応して設けられる。また、本実施形態において鋳造される溶鋼の鋼種は、非金属介在物として酸化物を低減する必要がある、軸受鋼である。

0012

(加熱工程)
本実施形態では、まず、タンディッシュ1を加熱する加熱工程を行う。加熱工程では、図1に示すように、中央側の2個のストッパー孔11b,11cに、ガス供給管2がそれぞれ設けられる。ガス供給管2は、空気と還元性ガスとを供給する(吹き込む)管であり、ガスが噴射される先端が2個のストッパー孔11b,11cからタンディッシュ1の内部に向かって設けられる。空気及び還元性ガスは、ガス供給装置からガス供給管2に供給され、それぞれの供給量(流量)が個別に調整可能に構成される。還元性ガスは、コークス炉にて発生し、回収された還元性のガスであるCガスである。Cガスは、還元性のガス成分である、COガス及び各種の炭化水素ガスを含み、例えば、表1に示すような組成からなる。

0013

0014

そして、加熱工程では、2個のストッパー孔11b,11cからタンディッシュ1の内部に空気と還元性ガスとを吹き込み、還元性ガスを燃焼させることで、タンディッシュ1の内部を加熱する。このとき、吹き込む空気の量は、空気に含まれる酸素ガスの量が、還元性ガスを完全燃焼させる量以上となるように、流量が調整される。好ましくは、還元性ガスと空気との空燃比が1.4以上となる条件で、還元性ガス及び空気が吹き込まれる。空燃比は、吹き込まれるCガスを完全燃焼させるのに必要な酸素の量(流量)に対する実際に流す空気の量(流量)の比である。なお、タンディッシュ1の内部の温度が還元性ガスの発火点より低い場合には、自然に着火が行われないため、火点を用いて吹き込むガスの着火が行われる。
加熱工程は、連続鋳造設備による鋳造が開始される直前まで行われる。なお、加熱工程が行われている間、ガス供給管2が設置されていない、2個のストッパー孔11a,11d及び注入孔10には、耐火性の蓋が設けられてもよい。

0015

(置換工程)
加熱工程の後、タンディッシュ1の内部に少なくとも還元性ガスを含む置換ガスを完全燃焼させない条件で吹き込む置換工程を行う。
置換ガスは、置換工程において、2個のガス供給管2からタンディッシュ1の内部に吹き込まれるガスであり、還元性ガスと酸素ガスとを混合させたものであることが好ましい。この場合、置換ガスに含まれる酸素ガスの量を、置換ガスに含まれる還元性ガスの完全燃焼に必要な量より少なくする。なお、置換ガスの空燃比を1.3以下とすることが好ましく、1.0以下とすることがより好ましい。このようにすることで、還元性ガスの一部が燃焼するため、置換ガスの吹き込みによるタンディッシュ1の内部の温度低下を抑制または防止することができる。また、置換ガスを、還元性ガスのみとしてもよい。しかし、還元性ガスのみを置換ガスとして吹き込むと、置換ガスの燃焼が起こりにくいため、タンディッシュ1の内部の温度が低下する可能性がある。このため、還元性ガスのみを置換ガスとして吹き込むことは、置換ガスの吹き込み時間が短い場合やタンディッシュ1の内部の温度が充分に高い場合等、温度低下が問題とならない場合のみに行うことが好ましい。

0016

また、還元性ガスに含まれるCO濃度は、還元性ガスに含まれるCOガスと溶鋼に含まれるAlとの平衡反応に基づいて、溶鋼に含まれるAlの再酸化が起こらない範囲となることが好ましい。タンディッシュ1内雰囲気がCO−Ar雰囲気の場合を全圧1atmの条件下で考えた場合について検討した、溶鋼中のAlの再酸化について説明する。CO−Ar雰囲気での酸化反応は、(1)式を(2)式及び(3)式から考える。また、(1)式の平衡反応は、(4)式〜(7)式を用いて求められる。また、(4)式〜(7)式では、aAl2O3は1とし、eCC、eCAl、eAlAl及びeAlCは学振推奨値(学振製鋼委員会,製鋼反応の推奨平衡値,1968,日刊工業新聞社)を用いた。

0017

0018

上記の平衡反応を計算した結果を図2に示す。図2に示すグラフでは、(1)式の反応が平衡となる条件を示しており、計算結果の実線の上側の領域では溶鋼中のAlの再酸化が発生する条件となり、計算結果の実線の下側の領域では溶鋼中のAlの再酸化が発生しない条件となる。つまり、溶鋼中のAl濃度または鋳造する溶鋼の鋼種の上限Al濃度に応じて、これらのAl濃度を図2のグラフの縦軸に対応させて、図2の実線の下側の領域の範囲となるように、CO濃度の上限が決定される。例えば、高清浄度性が求められる軸受鋼では、一般的に、溶鋼中のAl濃度の上限が0.025mass%以下となっている。このため、このような鋼種の場合には、図2点線で示すように、CO濃度を11mass%以下とすることで、COガスによるAlの再酸化が抑えられる。また、溶鋼中のAl濃度の上限が0.025mass%以下となる鋼種の鋳造において、還元性ガスとして表1に示す成分のCガスを用いる場合、COガス濃度は11mass%以下となるため、Cガスの成分を調整しなくとも用いることができる。
置換工程は、タンディッシュ1内に還元性ガスが残るまで行われる。なお、加熱工程と同様に、置換工程が行われている間、ガス供給管2が設置されていない、2個のストッパー孔11a,11d及び注入孔10には、耐火性の蓋が設けられてもよい。

0019

(鋳造工程)
置換工程の後、置換ガスの吹き込みを停止し、タンディッシュ1を用いて溶鋼の連続鋳造を行う鋳造工程が行われる。
鋳造工程では、注入孔10に挿通されたロングノズル(不図示)を通じて、取鍋からタンディッシュ1へと溶鋼が注入される。そして、タンディッシュ1の下面の各ストランドの位置に設けられた、浸漬ノズルを通じて鋳型へと溶鋼が注入されることで、鋳造が行われる。

0020

鋳造工程では、タンディッシュ1への溶鋼の注入に伴い、注入孔10からの大気の巻き込みが発生するため、タンディッシュ1の内部に大気が流入する。また、4個のストッパー孔11a〜11d及びタンディッシュ1に生じた隙間からの大気の流入が発生する。特に、置換ガスの吹き込み時においては、タンディッシュ1の内部は陽圧化しているため隙間からの大気の流入は抑えられているが、置換ガスの吹き込みを止めた後には、隙間からの大気の流入が発生しやすくなる。しかし、本実施形態の鋳造工程では、タンディッシュ1の内部には、置換ガスの不完全燃焼により還元性ガスが存在した状態となる。このため、鋳造初期においてタンディッシュ1の内部に流入した大気中の酸素ガスは、下記(8)式または(9)式の反応により還元性ガスと反応し、溶鋼中のAlとの反応が抑えられることとなる。これにより、溶鋼と大気中の酸素との気−液反応を抑制することができる。
CmHn+(m/2+n/4)O2→mCO2+n/2H2O ・・・(8)
CO+1/2O2→CO2 ・・・(9)

0021

なお、鋳造工程では、タンディッシュ1へ所定の量の溶鋼が注入されると、タンディッシュフラックス等の被覆材がタンディッシュ1内に投入される。投入された被覆材は、溶融して溶鋼の浴面被覆する。このため、被覆材を投入した以降は、溶鋼はタンディッシュ1内の雰囲気ガス遮断され、溶鋼の再酸化は起こりにくくなる。つまり、本実施形態のように、鋳造の初期においてタンディッシュ1内に還元性ガスがある状態とすることで、鋳造工程の全期間にわたって溶鋼の再酸化を抑制することができるようになる。また、本実施形態では、置換工程にて置換ガスの噴射に用いる設備は、加熱工程にて用いられる設備の空燃比を変えるだけでよい。このため、特許文献1,2のように新たな設備を導入する必要がなく、簡易かつ安価に溶鋼の再酸化を防止することができる。さらに、製鉄所のコークス炉にて発生したCガスを還元性ガスとして用いるため、稼働コストにも優れる。

0022

<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。

0023

例えば、上記実施形態では、鋳造を行う設備を連続鋳造設備としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、鋳造を行う設備を、図3に示すような造塊設備3であってもよい。造塊設備3は、精錬処理された溶鋼を下注ぎ造塊することで、インゴットを鋳造する設備である。造塊設備3は、下注ぎ造塊法において一般的に用いられる設備であり、注入管30と、定盤31と、2個の鋳型32と、2個の蓋33とを有する。造塊設備3では、注入管30及び2個の鋳型32は、溶鋼4が通る注入経路34から定盤31を通じて2個の鋳型32にそれぞれ達するように、定盤31の上に設けられる。そして、2個の鋳型32の上には、断気のために蓋33がそれぞれ設けられる。

0024

このような造塊設備3では、従来、以下の鋳造方法が行われていた。まず、不活性ガスを2個の鋳型32の内部及び注入経路34に流入させる置換工程を行う。その後、溶鋼4が収容された取鍋5を注入管30の上部に配した後、溶鋼4を注入管30から注ぎ、注入経路34を通じて2個の鋳型32へと流入させる鋳造工程を行う。このような鋳造方法において、置換工程にて、上記実施形態と同様に、置換ガスを2個の鋳型32及び注入経路34に吹き込むことで、蓋33との隙間から鋳型32内に流入した大気や注入管30への注入時に巻き込まれる大気に含まれる酸素ガスを還元することができるようになる。なお、作業性や設備の簡易性の観点からは、2個の鋳型32の上部からのみ置換ガスを吹き込むようにしてもよい。また、連続鋳造設備1と異なり、鋳型32を高温に加熱する必要がないことから、置換ガスとして還元性ガスのみを用いるようにしてもよい。これにより、酸化物の介在物が低減されたインゴットを鋳造することができる。なお、図3に示す造塊設備3は一例であり、形状や鋳型の個数等は適宜変更することができる。

0025

また、上記実施形態では、還元性ガスとしてコークス炉にて発生したCガスを用いるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。還元性ガスは、酸素ガスと反応して燃焼するものであれば、他のものであってもよい。例えば、還元性ガスは、炭化水素ガスやCOガスであってもよい。なお、炭化水素ガスには、水素が含まれるため、溶鋼中の水素濃度が上昇する可能性がある。このため、水素濃度に厳格な鋼種である場合には、水素濃度の許容上限量と溶鋼中の水素濃度とから、用いられる炭化水素の種類や濃度が適宜調整されることが好ましい。

0026

さらに、上記実施形態では、連続鋳造設備が図1に示す形状のタンディッシュ1を有するものとしたが、本発明はかかる例に限定されない。連続鋳造設備は一般的なものであれば、特に限定されるものではない。このため、タンディッシュ1の形状やストランド数は、図1に示すもの以外のものであってもよい。
さらに、上記実施形態では、溶鋼の鋼種が軸受鋼であるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。溶鋼の鋼種は、溶鋼中のSi,Mn,Al,Ti等の活性元素の酸素ガスによる再酸化が懸念されるものであれば、他の鋼種であってもよい。

0027

さらに、状実施形態では、加熱工程を行うとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、タンディッシュ1を再使用する場合等、タンディッシュ1が十分に加熱されている場合には、加熱工程を行わずに置換工程以降の処理が行われてもよい。
さらに、上記実施形態では、置換ガスを2個のストッパー孔11b,11cから吹き込むとしたが、本発明はかかる例に限定されない。置換ガスは、2個のストッパー孔11b,11c以外の孔、例えば、注入孔10やストッパー孔11a,11d、測温またはサンプリングのために設けられる他の孔を通じて供給されてもよい。

0028

<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係る溶鋼の鋳造方法は、連続鋳造設備を用いた溶鋼の鋳造方法であって、連続鋳造設備の中間容器であるタンディッシュ1の内部に、少なくとも還元性ガスを含む置換ガスを完全燃焼させない条件で吹き込む置換工程と、置換工程の後、内部に還元性ガスを含むタンディッシュ1を用いて、連続鋳造設備で連続鋳造を行う鋳造工程と、を含む。
上記(1)の構成によれば、タンディッシュ1へ溶鋼を注入する際に、タンディッシュ1内に還元性ガスが存在している。このため、注入孔や隙間等から流入した大気中の酸素ガスが還元性ガスと反応し、溶鋼と大気中の酸素との気−液反応が抑制されるため、溶鋼の再酸化が抑制される。

0029

(2)上記(1)の構成において、置換工程では、置換ガスとして還元性ガス及び空気を少なくとも含むガスを用い、置換ガスの空燃比を1.3以下とする。
上記(2)の構成によれば、置換工程において、置換ガスの一部が燃焼するため、タンディッシュ1の温度低下を抑制または防止することができる。

0030

(3)上記(1)または(2)の構成において、還元性ガスに含まれるCO濃度を、還元性ガスに含まれるCOガスと溶鋼に含まれるAlとの平衡反応に基づいて、溶鋼に含まれるAlの再酸化が起こらない範囲とする。
上記(3)の構成によれば、COによる溶鋼中のAlの再酸化を抑えることができるため、酸化物の発生をより低減することができる。

0031

(4)上記(1)〜(3)のいずれかの構成において、置換ガスは、COガスの濃度が11mass%以下である。
上記(4)の構成によれば、溶鋼中のAl濃度が0.025mass%以下の鋼種、例えば高品質な軸受鋼等において、COによる溶鋼中のAlの再酸化を抑えることができる。

0032

(5)本発明の一態様に係る溶鋼の鋳造方法は、造塊設備3を用いた溶鋼4の鋳造方法であって、造塊設備3の鋳型32の内部に、少なくとも還元性ガスを含む置換ガスを完全燃焼させない条件で吹き込む置換工程と、置換工程の後、内部に還元性ガスを含む鋳型32を用いて、造塊設備で鋳造を行う鋳造工程と、を含む。
上記(5)の構成によれば、図3に示すような造塊設備3においても、上記(1)の構成と同様な理由から、溶鋼4の再酸化を抑制することができる。

0033

本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、上記実施形態と同様に、タンディッシュ1を有するブルーム連鋳機である連続鋳造設備にて、軸受鋼(SUJ2)を鋳造する際に、上記実施形態に係る溶鋼の鋳造方法を用いた。
実施例では、まず、加熱工程として、容量20tのタンディッシュ1の内部をCガスと空気とを混合燃焼させ、180分間予熱を行なった。この際、Cガスと空気との混合比率は、Cガスを完全燃焼させるため、空燃比を1.4、つまりCガスを燃焼させるために必要な空気量の1.4倍とした。また、溶鋼には、予め、溶銑予備処理(脱リン脱硫)、転炉(脱炭・脱リン)、LF(取鍋内造滓)、RH脱ガス(介在物浮上)処理を施した。

0034

加熱工程の後、置換ガスをタンディッシュ1に吹き込む置換工程を行った。置換工程では、加熱工程で流していたCガスと空気とを、空燃比が1.4から1.0に低減させた流量で、置換ガスとしてタンディッシュ1に流入させることで、タンディッシュ1の内部に還元性ガスであるCガスを流入させた。また、置換工程において、置換ガスを流入させた時間は5分であった。

0035

置換工程の後、タンディッシュ1に溶鋼を注入し、連続鋳造を行うことで鋳造工程を行った。鋳造工程では、タンディッシュ1の容量分(20t)の溶鋼が注入された段階で、溶鋼をサンプリングし、溶鋼中のトータル酸素量及びトータル窒素量を分析した。また、精錬処理が完了した段階であるRH脱ガス処理終了時においても、溶鋼をサンプリング実施し、RH脱ガス処理終了時における溶鋼中のトータル酸素量及びトータル窒素量を分析した。そして、それぞれの分析結果から、RH脱ガス処理終了時から20t溶鋼注入時までにおける、トータル酸素及びトータル窒素のピックアップ量調査した。トータル酸素及びトータル窒素のピックアップ量は、各分析値のRH脱ガス処理終了時から20t溶鋼注入時までの変化量である。
また、実施例では比較例として、置換工程を行わずに、加熱工程の後に鋳造工程を行う従来の鋳造方法についても実施し、トータル酸素及びトータル窒素のピックアップ量を調査した。なお、比較例における加熱工程及び鋳造工程の条件は、実施例と同様とした。

実施例

0036

図4に、実施例及び比較例におけるトータル酸素及びトータル窒素のピックアップ量の調査結果を示す。図4に示すように、トータル窒素のピックアップ量は実施例と比較例とで同程度となっているのに対して、トータル酸素のピックアップ量は比較例で10ppmであってものが実施例では0ppmとなっており大幅に低減されることが確認できた。これは、タンディッシュ1内に混入した大気中の酸素が、還元性ガスと燃焼反応を起こすことで消費されたことが示唆される。

0037

1タンディッシュ
10注入孔
11a〜11dストッパー孔
2ガス供給管
3 造塊設備
30注入管
31定盤
32鋳型
33 蓋
34注入経路
4溶鋼
5 取鍋

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    【課題】均一で粗大な結晶組織を有する薄肉鋳片を、安定して製造することが可能な冷却ロールを提供する。【解決手段】双ロール式連続鋳造装置に用いられる冷却ロールであって、ロール本体と、このロール本体の外周面... 詳細

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