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技術 伝熱板の製造方法

出願人 日本軽金属株式会社
発明者 堀久司瀬尾伸城山中宏介
出願日 2018年8月27日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-158741
公開日 2020年3月5日 (8ヶ月経過) 公開番号 2020-032429
状態 未査定
技術分野 圧接、拡散接合
主要キーワード テーパー角度β テーパー角度α 上蓋板 断面視矩形 螺旋角度 水平方向距離 段差側面 作業手間
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (17)

課題

熱交換効率の高い伝熱板を製造でき、金属部材の表面の段差凹溝を小さくすることができるとともに接合表面粗さを小さくすることができる伝熱板の製造方法を提供することを課題とする。

解決手段

凹溝3に熱媒体用管6を挿入する熱媒体用管挿入工程と、蓋溝4に蓋板5を挿入する蓋板挿入工程と、蓋溝4の側壁と蓋板5の側面との突合せ部Jに沿って基端ピンF2と先端側ピンF3とを備えた本接合用回転ツールFを移動させて摩擦攪拌を行う接合工程と、を含み、接合工程において、回転した本接合用回転ツールFの先端側ピンF3を突合せ部Jに挿入し、基端側ピンF2の外周面ベース部材2及び蓋板5に接触させた状態で摩擦攪拌を行うとともに、熱媒体用管6の周囲に形成された空隙部Pに摩擦熱によって流動化させた塑性流動材Qを流入させることを特徴とする。

概要

背景

特許文献1には、ベース部材の内部に形成された流路流体流通させて熱交換等を行う伝熱板の製造方法が記載されている。ベース部材には、表面に開口する蓋溝と、この蓋溝の底面に形成された凹溝とが形成されている。伝熱板を製造する際には、凹溝に熱媒体用管を挿入するとともに蓋溝に蓋板を挿入して、この蓋板の側面と蓋溝の側壁とで形成された突合せ部に対して摩擦攪拌接合を行っている。

当該摩擦攪拌接合に用いる回転ツールとしては、特許文献2に記載のものが知られている。特許文献2の回転ツールは、ショルダ部と、ショルダ部から垂下する攪拌ピンとを備えている。ショルダ部及び攪拌ピンの外周面には、それぞれテーパー面が形成されている。ショルダ部のテーパー面には、平面視渦巻き状の溝が形成されている。当該溝の断面形状は、半円状になっている。

概要

熱交換効率の高い伝熱板を製造でき、金属部材の表面の段差凹溝を小さくすることができるとともに接合表面粗さを小さくすることができる伝熱板の製造方法を提供することを課題とする。凹溝3に熱媒体用管6を挿入する熱媒体用管挿入工程と、蓋溝4に蓋板5を挿入する蓋板挿入工程と、蓋溝4の側壁と蓋板5の側面との突合せ部Jに沿って基端ピンF2と先端側ピンF3とを備えた本接合用回転ツールFを移動させて摩擦攪拌を行う接合工程と、を含み、接合工程において、回転した本接合用回転ツールFの先端側ピンF3を突合せ部Jに挿入し、基端側ピンF2の外周面をベース部材2及び蓋板5に接触させた状態で摩擦攪拌を行うとともに、熱媒体用管6の周囲に形成された空隙部Pに摩擦熱によって流動化させた塑性流動材Qを流入させることを特徴とする。

目的

本発明は、熱交換効率の高い伝熱板の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ベース部材の表面に開口する蓋溝の底面に形成された凹溝に、熱媒体用管を挿入する熱媒体用管挿入工程と、前記蓋溝に蓋板を挿入する蓋板挿入工程と、前記蓋溝の側壁と前記蓋板の側面との突合せ部に沿って基端ピンと先端側ピンとを備えた回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行う接合工程と、を含み、前記回転ツールの前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には、階段状の段差部が形成されており、前記接合工程において、回転した前記回転ツールの前記先端側ピンを前記突合せ部に挿入し、前記基端側ピンの外周面を前記ベース部材及び前記蓋板に接触させた状態で摩擦攪拌を行うとともに、前記熱媒体用管の周囲に形成された空隙部に、摩擦熱によって流動化させた塑性流動材を流入させることを特徴とする伝熱板の製造方法。

請求項2

前記接合工程において、前記先端側ピンの先端を、前記蓋溝の底面よりも深く挿入することを特徴とする請求項1に記載の伝熱板の製造方法。

請求項3

前記接合工程において、前記先端側ピンの先端と、前記熱媒体用管に接触する仮想鉛直面との最近接距離が1〜3mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の伝熱板の製造方法。

請求項4

前記接合工程後に、前記蓋溝よりも表面側に、前記蓋溝よりも幅広に形成された上蓋溝に上蓋板を挿入する上蓋板挿入工程と、前記上蓋溝の側壁と前記上蓋板の側面との上側突合せ部に沿って前記基端側ピンと前記先端側ピンとを備えた前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行う上蓋接合工程と、を含み、前記上蓋接合工程において、回転した前記回転ツールの前記先端側ピンを前記上側突合せ部に挿入し、前記基端側ピンの外周面を前記ベース部材及び前記上蓋板に接触させた状態で摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の伝熱板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、伝熱板の製造方法に関する。

背景技術

0002

特許文献1には、ベース部材の内部に形成された流路流体流通させて熱交換等を行う伝熱板の製造方法が記載されている。ベース部材には、表面に開口する蓋溝と、この蓋溝の底面に形成された凹溝とが形成されている。伝熱板を製造する際には、凹溝に熱媒体用管を挿入するとともに蓋溝に蓋板を挿入して、この蓋板の側面と蓋溝の側壁とで形成された突合せ部に対して摩擦攪拌接合を行っている。

0003

当該摩擦攪拌接合に用いる回転ツールとしては、特許文献2に記載のものが知られている。特許文献2の回転ツールは、ショルダ部と、ショルダ部から垂下する攪拌ピンとを備えている。ショルダ部及び攪拌ピンの外周面には、それぞれテーパー面が形成されている。ショルダ部のテーパー面には、平面視渦巻き状の溝が形成されている。当該溝の断面形状は、半円状になっている。

先行技術

0004

特開2004−314115号公報
特許第4210148号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1の従来技術であると、凹溝、蓋板の下面及び熱媒体用管によって空隙部が形成されているため、熱媒体用管から放熱された熱が蓋板に伝わりにくくなり、伝熱板の熱交換効率が低下するという問題がある。

0006

また、特許文献2の従来技術であると、塑性流動材がテーパー面の溝の内部に入り込んでしまうため、溝が機能しなくなるという問題がある。また、当該溝に塑性流動材が入り込むと、塑性流動材が溝に付着した状態で摩擦攪拌されるため、被接合金属部材付着物とが擦れ合って接合品質が低下するという問題がある。さらに、被接合金属部材の表面が粗くなり、バリが多くなるとともに、金属部材の表面の段差凹溝も大きくなるという問題がある。

0007

このような観点から、本発明は、熱交換効率の高い伝熱板の製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、金属部材の表面の段差凹溝を小さくすることができるとともに、接合表面粗さを小さくすることができる伝熱板の製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0008

このような課題を解決するために本発明は、ベース部材の表面に開口する蓋溝の底面に形成された凹溝に、熱媒体用管を挿入する熱媒体用管挿入工程と、前記蓋溝に蓋板を挿入する蓋板挿入工程と、前記蓋溝の側壁と前記蓋板の側面との突合せ部に沿って基端ピンと先端側ピンとを備えた回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行う接合工程と、を含み、前記回転ツールの前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には、階段状の段差部が形成されており、前記接合工程において、回転した前記回転ツールの前記先端側ピンを前記突合せ部に挿入し、前記基端側ピンの外周面を前記ベース部材及び前記蓋板に接触させた状態で摩擦攪拌を行うとともに、前記熱媒体用管の周囲に形成された空隙部に、摩擦熱によって流動化させた塑性流動材を流入させることを特徴とする。

0009

かかる方法によれば、テーパー角度の大きい基端側ピンの外周面でベース部材及び蓋板を押えることができるため、接合表面の段差凹溝を小さくすることができるとともに、段差凹溝の脇に形成される膨出部を無くすか若しくは小さくすることができる。階段状の段差部は浅く、かつ、出口が広いため、基端側ピンで金属部材を押えても基端側ピンの外周面に塑性流動材が付着し難い。このため、接合表面粗さを小さくすることができるとともに、接合品質を好適に安定させることができる。また、先端側ピンを備えることにより深い位置まで容易に挿入することができる。また、空隙部に塑性流動材を流入させることで、空隙部を埋めることができるため、熱媒体用管とその周囲のベース部材及び蓋板との間で熱を効率よく伝達することができる。これにより、熱交換効率の高い伝熱板を製造することができ、例えば、熱媒体用管から放熱される熱を効率よく周囲のベース部材及び蓋板に伝達することができる。

0010

また、前記接合工程において、前記先端側ピンの先端を、前記蓋溝の底面よりも深く挿入することが好ましい。また、前記接合工程において、前記先端側ピンの先端と、前記熱媒体用管に接触する仮想鉛直面との最近接距離が1〜3mmであることが好ましい。かかる方法によれば、空隙部に塑性流動材をより確実に流入させることができる。

0011

また、前記接合工程後に、前記蓋溝よりも表面側に、前記蓋溝よりも幅広に形成された上蓋溝に上蓋板を挿入する上蓋板挿入工程と、前記上蓋溝の側壁と前記上蓋板の側面との上側突合せ部に沿って前記基端側ピンと前記先端側ピンとを備えた前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行う上蓋接合工程と、を含み、前記上蓋接合工程において、回転した前記回転ツールの前記先端側ピンを前記上側突合せ部に挿入し、前記基端側ピンの外周面を前記ベース部材及び前記上蓋板に接触させた状態で摩擦攪拌を行うことが好ましい。かかる方法によれば、伝熱板の蓋板の表面側において、蓋板よりも幅広の上蓋板を用いてさらに摩擦攪拌を行うため、より深い位置に熱媒体用管を配置させることができる。

発明の効果

0012

本発明に係る伝熱板の製造方法によれば、熱交換効率の高い伝熱板を製造することができる。また、本発明に係る伝熱板の製造方法によれば、金属部材の表面の段差凹溝を小さくすることができるとともに、接合表面粗さを小さくすることができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の実施形態に係る接合方法に用いる本接合用回転ツールを示す側面図である。
本接合用回転ツールの拡大断面図である。
本接合用回転ツールの第一変形例を示す断面図である。
本接合用回転ツールの第二変形例を示す断面図である。
本接合用回転ツールの第三変形例を示す断面図である。
本発明の第一実施形態に係る伝熱板を示す斜視図である。
本発明の第一実施形態に係る伝熱板を示す拡大断面図である。
第一実施形態に係る伝熱板の製造方法の準備工程を示す断面図である。
第一実施形態に係る伝熱板の製造方法の熱媒体用管挿入工程及び蓋板挿入工程を示す断面図である。
第一実施形態に係る伝熱板の製造方法を示す断面図であって仮接合工程を示す。
第一実施形態に係る伝熱板の製造方法を示す断面図であって本接合工程を示す。
第一実施形態に係る伝熱板と本接合用回転ツールとの位置関係を示す拡大断面図である。
従来の回転ツールを示す概念図である。
従来の回転ツールを示す概念図である。
本発明の第二実施形態に係る伝熱板の製造方法を示す分解断面図であって本接合工程後を示す。
本発明の第二実施形態に係る伝熱板の製造方法を示す断面図であって上蓋接合工程を示す。

実施例

0014

本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。まずは、本実施形態に係る接合方法で用いる本接合用回転ツール(回転ツール)について説明する。本接合用回転ツールは、摩擦攪拌接合に用いられるツールである。図1に示すように、本接合用回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されており、基軸部F1と、基端側ピンF2と、先端側ピンF3とで主に構成されている。基軸部F1は、円柱状を呈し、摩擦攪拌装置主軸に接続される部位である。

0015

基端側ピンF2は、基軸部F1に連続し、先端に向けて先細りになっている。基端側ピンF2は、円錐台形状を呈する。基端側ピンF2のテーパー角度Aは適宜設定すればよいが、例えば、135〜160°になっている。テーパー角度Aが135°未満であるか、又は、160°を超えると摩擦攪拌後の接合表面粗さが大きくなる。テーパー角度Aは、後記する先端側ピンF3のテーパー角度Bよりも大きくなっている。図2に示すように、基端側ピンF2の外周面には、階段状の段差部F21が高さ方向の全体に亘って形成されている。段差部F21は、右回り又は左回り螺旋状に形成されている。つまり、段差部F21は、平面視して螺旋状であり、側面視すると階段状になっている。本実施形態では、本接合用回転ツールFを右回転させるため、段差部F21は基端側から先端側に向けて左回りに設定している。

0016

なお、本接合用回転ツールFを左回転させる場合は、段差部F21を基端側から先端側に向けて右回りに設定することが好ましい。これにより、段差部F21によって塑性流動材が先端側に導かれるため、被接合金属部材の外部に溢れ出る金属を低減することができる。段差部F21は、段差底面F21aと、段差側面F21bとで構成されている。隣り合う段差部F21の各頂点F21c,F21cの距離X1(水平方向距離)は、後記する段差角度C及び段差側面F21bの高さY1に応じて適宜設定される。

0017

段差側面F21bの高さY1は適宜設定すればよいが、例えば、0.1〜0.4mmで設定されている。高さY1が0.1mm未満であると接合表面粗さが大きくなる。一方、高さY1が0.4mmを超えると接合表面粗さが大きくなる傾向があるとともに、有効段差部数(被接合金属部材と接触している段差部F21の数)も減少する。

0018

段差底面F21aと段差側面F21bとでなす段差角度Cは適宜設定すればよいが、例えば、85〜120°で設定されている。段差底面F21aは、本実施形態では水平面と平行になっている。段差底面F21aは、ツールの回転軸から外周方向に向かって水平面に対して−5°〜15°内の範囲で傾斜していてもよい(マイナスは水平面に対して下方、プラスは水平面に対して上方)。距離X1、段差側面F21bの高さY1、段差角度C及び水平面に対する段差底面F21aの角度は、摩擦攪拌を行う際に、塑性流動材が段差部F21の内部に滞留して付着することなく外部に抜けるとともに、段差底面F21aで塑性流動材を押えて接合表面粗さを小さくすることができるように適宜設定する。

0019

図1に示すように、先端側ピンF3は、基端側ピンF2に連続して形成されている。先端側ピンF3は円錐台形状を呈する。先端側ピンF3の先端は平坦面になっている。先端側ピンF3のテーパー角度Bは、基端側ピンF2のテーパー角度Aよりも小さくなっている。図2に示すように、先端側ピンF3の外周面には、螺旋溝F31が刻設されている。螺旋溝F31は、右回り、左回りのどちらでもよいが、本実施形態では本接合用回転ツールFを右回転させるため、基端側から先端側に向けて左回りに刻設されている。

0020

なお、本接合用回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝F31を基端側から先端側に向けて右回りに設定することが好ましい。これにより、螺旋溝F31によって塑性流動材が先端側に導かれるため、被接合金属部材の外部に溢れ出る金属を低減することができる。螺旋溝F31は、螺旋底面F31aと、螺旋側面F31bとで構成されている。隣り合う螺旋溝F31の頂点F31c,F31cの距離(水平方向距離)を長さX2とする。螺旋側面F31bの高さを高さY2とする。螺旋底面F31aと、螺旋側面F31bとで構成される螺旋角度Dは例えば、45〜90°で形成されている。螺旋溝F31は、被接合金属部材と接触することにより摩擦熱を上昇させるとともに、塑性流動材を先端側に導く役割を備えている。

0021

本接合用回転ツールFは、適宜設計変更が可能である。図3は、本発明の回転ツールの第一変形例を示す側面図である。図3に示すように、第一変形例に係る本接合用回転ツールFAでは、段差部F21の段差底面F21aと段差側面F21bとのなす段差角度Cが85°になっている。段差底面F21aは、水平面と平行である。このように、段差底面F21aは水平面と平行であるとともに、段差角度Cは、摩擦攪拌中に段差部F21内に塑性流動材が滞留して付着することなく外部に抜ける範囲で鋭角としてもよい。

0022

図4は、本発明の本接合用回転ツールの第二変形例を示す側面図である。図4に示すように、第二変形例に係る本接合用回転ツールFBでは、段差部F21の段差角度Cが115°になっている。段差底面F21aは水平面と平行になっている。このように、段差底面F21aは水平面と平行であるとともに、段差部F21として機能する範囲で段差角度Cが鈍角となってもよい。

0023

図5は、本発明の本接合用回転ツールの第三変形例を示す側面図である。図5に示すように、第三変形例に係る本接合用回転ツールFCでは、段差底面F21aがツールの回転軸から外周方向に向かって水平面に対して10°上方に傾斜している。段差側面F21bは、鉛直面と平行になっている。このように、摩擦攪拌中に塑性流動材を押さえることができる範囲で、段差底面F21aがツールの回転軸から外周方向に向かって水平面よりも上方に傾斜するように形成されていてもよい。上記の本接合用回転ツールの第一〜第三変形例によっても、下記の実施形態と同等の効果を奏することができる。

0024

[第一実施形態]
次に、本実施形態の伝熱板について説明する。以下の説明における「表面」とは、「裏面」の反対側の面を意味する。図6に示すように、本実施形態に係る伝熱板1は、ベース部材2と、蓋板5と、熱媒体用管6とで主に構成されている。ベース部材2は、略直方体を呈する。ベース部材2には、凹溝3と、蓋溝4とが形成されている。ベース部材2及び蓋板5の材料は摩擦攪拌可能であれば特に制限されないが、本実施形態ではアルミニウム合金である。ベース部材2は、例えば、蓋板5よりも硬度の高い材種で形成されている。

0025

凹溝3は、ベース部材2の中央において、一方の側面から他方の側面に向けて貫通している。凹溝3は、蓋溝4の底面に凹設されている。凹溝3の底部は、円弧状になっている。凹溝3の開口は、ベース部材2の表面2a側に開放されている。

0026

蓋溝4は、凹溝3よりも幅広になっており、凹溝3の表面2a側において凹溝3に連続して形成されている。蓋溝4は、断面視矩形を呈し、表面2a側に開放されている。

0027

蓋板5は、蓋溝4に挿入される板状部材である。蓋板5は、蓋溝4に隙間無く挿入されるように、蓋溝4の中空部と同じ形状になっている。

0028

蓋溝4の一対の側壁と蓋板5の一対の側面とが突き合わされて突合せ部J,Jが形成される。突合せ部J,Jは、深さ方向に亘って摩擦攪拌により接合されている。

0029

熱媒体用管6は、凹溝3に挿入される円筒状部材である。熱媒体用管6の内部は、流体が流通する流路となる。凹溝3及び熱媒体用管6の大きさ等は適宜設定すればよいが、本実施形態では、熱媒体用管6の外径と、凹溝3の幅及び深さは略同等になっている。

0030

図7に示すように、後記する本接合工程を行う前、熱媒体用管6の周囲には、空隙部Pが形成されている。空隙部Pは、凹溝3、蓋板5の下面及び熱媒体用管6によって形成されている。空隙部Pの形態は凹溝3、蓋板5及び熱媒体用管6の形状等に基づいて適宜決定されるが、本実施形態では熱媒体用管6の上端と蓋板5の下面との接触部を隔てて左右に一つずつ(合計二つ)形成されている。空隙部Pは、本接合用回転ツールFの摩擦熱によって形成された塑性流動材Qで充填されている。

0031

次に、第一実施形態に係る伝熱板の製造方法について説明する。伝熱板の製造方法では、準備工程と、熱媒体用管挿入工程と、蓋板挿入工程と、仮接合工程と、本接合工程とを行う。

0032

図8Aに示すように、準備工程は、ベース部材2を用意する工程である。まず、クランプ(図示省略)を介して架台Kにベース部材2を固定する。そして、エンドミル等を用いて凹溝3及び蓋溝4を切削加工により形成する。なお、ダイキャスト又は押し出し成形等によって予め凹溝3及び蓋溝4が形成されたベース部材2を用いてもよい。

0033

図8Bに示すように、熱媒体用管挿入工程は、凹溝3に熱媒体用管6を挿入する工程である。

0034

図8Bに示すように、蓋板挿入工程は、蓋溝4に蓋板5を挿入する工程である。蓋溝4の側壁と、蓋板5の側面とがそれぞれ突き合わされて突合せ部J,Jが形成される。蓋板5の上面と表面2aとは面一になる。突合せ部Jの延長線上に位置するベース部材2の両側面にタブ材(図示省略)をそれぞれ配置し、当該タブ材に後記する摩擦攪拌の開始位置及び終了位置を設定してもよい。

0035

図9Aに示すように、仮接合工程は、仮接合用回転ツールGを用いて突合せ部J,Jに対して予備的に摩擦攪拌接合を行う工程である。仮接合工程の開始位置及び終了位置は、ベース部材2及びタブ材の表面上であれば特に制限されないが、タブ材の表面に設定することが好ましい。仮接合用回転ツールGの移動軌跡には、塑性化領域W1が形成される。

0036

図9Bに示すように、本接合工程は、本接合用回転ツールFを用いて突合せ部J,Jに対して摩擦攪拌接合を行う工程である。本接合工程の開始位置及び終了位置は、タブ材の表面に設定することが好ましい。本接合用回転ツールFをタブ材に挿入する際には、仮接合用回転ツールGの抜き孔を利用してもよいし、タブ材に別途下穴を設けて、当該下穴から本接合用回転ツールFを挿入してもよい。

0037

本接合工程では、基端側ピンF2と先端側ピンF3とをベース部材2及び蓋板5に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う。回転する本接合用回転ツールFの先端側ピンF3を突合せ部Jに挿入しつつ、基端側ピンF2の外周面でベース部材2及び蓋板5を押さえながら摩擦攪拌接合を行う。本接合用回転ツールFは、突合せ部Jに沿って相対移動させる。基端側ピンF2及び先端側ピンF3の挿入深さは、基端側ピンF2の外周面がベース部材2及び蓋板5を押さえることが可能な範囲で適宜設定すればよい。例えば、基端側ピンF2及び先端側ピンF3の挿入深さは、基端側ピンF2の外周面がベース部材2及び蓋板5を押さえることが可能な範囲であり、かつ、先端側ピンF3が蓋溝4の底面に達するように設定してもよい。本実施形態では、基端側ピンF2の外周面の高さ方向の中央部あたりがベース部材2の表面2a及び蓋板5の表面5aに接触するように設定している。

0038

図10に示すように、本接合工程では、本接合用回転ツールFの摩擦熱によって形成された塑性流動材Qを空隙部Pに流入させる。すなわち、塑性流動材Qは、本接合用回転ツールFの基端側ピンF2の外周面の押し込み力によって、空隙部Pへと押し出されて流入する。本接合工程を行う際には、空隙部Pの形状や大きさ等に基づいて、本接合用回転ツールFの押し込み量及び挿入位置等を適宜設定することにより、空隙部Pに塑性流動材Qを好適に流入させることができる。

0039

本接合用回転ツールFの押し込み量(押し込み長)は、基端側ピンF2が押し退ける蓋板5の金属の体積が、熱媒体用管6の周囲の一方の空隙部Pの体積および塑性化領域W,Wの幅方向両側に発生するバリの体積との和と同等になるように設定することが好ましい。本接合用回転ツールF(突合せ部J,Jの位置)は、熱媒体用管6が潰れない程度に、熱媒体用管6に近接させればよい。例えば、熱媒体用管6の外周面と接触する仮想鉛直面と先端側ピンF3の先端までの最近接距離をオフセット量Iとすると、当該オフセット量Iは1〜3mmであることが好ましい。先端側ピンF3の挿入深さは、空隙部Pに塑性流動材Qを流入させることが可能な範囲で適宜設定すればよい。本実施形態では、先端側ピンF3の先端を蓋溝4の底面よりも深く挿入するように設定している。本接合用回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域Wが形成される。

0040

なお、本接合工程の終了後、摩擦攪拌によって生じたバリを切除するバリ切除工程を行ってもよい。バリ切除工程を行うことで、ベース部材2及び蓋板5の表面をきれいに仕上げることができる。

0041

ここで、例えば、図11Aに示すように、従来の回転ツール200であると、ショルダ部で被接合金属部材210の表面を押えないため段差凹溝(被接合金属部材の表面と塑性化領域の表面とで構成される段差凹溝)が大きくなるとともに、接合表面粗さが大きくなるという問題がある。また、段差凹溝の脇に膨出部(接合前に比べて被接合金属部材の表面が膨らむ部位)が形成されるという問題がある。一方、図11Bの回転ツール201のように、回転ツール201のテーパー角度βを回転ツール200のテーパー角度αよりも大きくすると、回転ツール200に比べて被接合金属部材210の表面を押えることはできるため、段差凹溝は小さくなり、膨出部も小さくなる。しかし、下向きの塑性流動が強くなるため、塑性化領域の下部にキッシングボンドが形成されやすくなる。

0042

これに対し、本実施形態の本接合用回転ツールFは、基端側ピンF2と、基端側ピンF2のテーパー角度Aよりもテーパー角度が小さい先端側ピンF3を備えた構成になっている。これにより、突合せ部Jに本接合用回転ツールFを挿入しやすくなる。また、先端側ピンF3のテーパー角度Bが小さいため、突合せ部Jの深い位置まで本接合用回転ツールFを容易に挿入することができる。また、先端側ピンF3のテーパー角度Bが小さいため、回転ツール201に比べて下向きの塑性流動を抑えることができる。このため、塑性化領域Wの下部にキッシングボンドが形成されるのを防ぐことができる。一方、基端側ピンF2のテーパー角度Aは大きいため、従来の回転ツールに比べ、被接合金属部材の厚さや接合の高さ位置が変化しても安定して接合することができる。

0043

また、基端側ピンF2の外周面で塑性流動材を押えることができるため、接合表面に形成される段差凹溝を小さくすることができるとともに、段差凹溝の脇に形成される膨出部を無くすか若しくは小さくすることができる。また、階段状の段差部F21は浅く、かつ、出口が広いため、塑性流動材を段差底面F21aで押さえつつ塑性流動材が段差部F21の外部に抜けやすくなっている。そのため、基端側ピンF2で塑性流動材を押えても基端側ピンF2の外周面に塑性流動材が付着し難い。よって、接合表面粗さを小さくすることができるとともに、接合品質を好適に安定させることができる。

0044

また、空隙部Pに塑性流動材Qを流入させることで、空隙部Pを埋めることができるため、熱媒体用管6とその周囲のベース部材2及び蓋板5との間で熱を効率よく伝達することができる。これにより、熱交換効率の高い伝熱板1を製造することができる。

0045

また、本接合工程において、先端側ピンF3の先端を蓋溝4の底面よりも深く挿入することで、空隙部Pに塑性流動材Qをより確実に流入させることができる。

0046

また、本接合工程において、先端側ピンF3の先端と、熱媒体用管6の外周面に接触する仮想鉛直面との最近接距離が1〜3mmであるため、空隙部Pに塑性流動材Qをより確実に流入させることができる。

0047

また、本接合工程では、必ずしも突合せ部J,Jの深さ方向の全長に亘って摩擦攪拌を行う必要は無いが、突合せ部Jの深さの全長に亘って摩擦攪拌すれば、伝熱板1の水密性及び気密性を高めることができる。

0048

また、仮接合工程を行うことで、本接合工程を行う際に、ベース部材2と蓋板5との目開きを防ぐことができる。また、仮接合工程及び本接合工程では、摩擦攪拌の途中で仮接合用回転ツールG及び本接合用回転ツールFをベース部材2から離脱させず、一筆書き要領で各回転ツールを移動させれば、作業手間を少なくすることができる。

0049

なお、仮接合工程では、仮接合用回転ツールGによる塑性化領域W1が断続的に形成されるように不連続に摩擦攪拌を行ってもよい。また、仮接合工程では、溶接によって突合せ部J,Jを接合してもよい。

0050

また、例えば、第一実施形態に係る凹溝3、蓋溝4、蓋板5及び熱媒体用管6の形状は、あくまで例示であって、他の形状であってもよい。また、本接合工程後に、ベース部材2の表面2aと塑性化領域Wの表面との間に段差が生じた場合は、当該段差を埋めるように肉盛り溶接を行ってもよい。もしくは、塑性化領域Wの表面に金属部材を配置し、当該金属部材とベース部材2とを本接合用回転ツールFで摩擦攪拌接合してもよい。

0051

また、本実施形態では、蓋板5をベース部材2の上面側に配置したが、下面側に配置してもよい。

0052

〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態に係る伝熱板1Aは、蓋溝4よりも表面2a側に上蓋溝7を形成し、当該上蓋溝7に上蓋板8を配置する点で第一実施形態と相違する。

0053

第二実施形態に係る伝熱板の製造方法では、準備工程と、熱媒体用管挿入工程と、蓋板挿入工程と、仮接合工程と、本接合工程と、上蓋板挿入工程と、上蓋接合工程とを行う。

0054

図12に示すように、準備工程は、ベース部材2を用意する工程である。まず、クランプ(図示省略)を介して架台Kにベース部材2を固定する。そして、エンドミル等を用いて凹溝3、蓋溝4及び上蓋溝7を切削加工により形成する。なお、ダイキャスト又は押し出し成形等によって予め凹溝3、蓋溝4及び上蓋溝7が形成されたベース部材2を用いてもよい。上蓋溝7は、蓋溝4よりも幅広に形成されており、蓋溝4の表面2a側において蓋溝4に連続して形成されている。上蓋溝7は、断面視矩形を呈し、表面2a側に開放されている。

0055

熱媒体用管挿入工程は、凹溝3に熱媒体用管6を挿入する工程である。熱媒体工程は、第一実施形態と同じ要領で行う。

0056

蓋板挿入工程は、蓋溝4に蓋板5を挿入する工程である。蓋溝4の側壁と蓋板5の側面とが突き合わされて突合せ部Jが形成される。蓋溝4に蓋板5を挿入すると、熱媒体用管6と蓋板5とが接触するとともに、上蓋溝7の底面と蓋板5の上面とは面一になる。

0057

仮接合工程は、突合せ部J,Jに対して予備的に接合を行う工程である。仮接合工程は、第一実施形態と同じ要領で行う。

0058

本接合工程は、本接合用回転ツールFを用いて突合せ部J,Jに対して摩擦攪拌接合を行う工程である。本接合工程は、第一実施形態と同じ要領で行う。本接合用回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域W,Wが形成される。塑性化領域Wは、突合せ部J,Jの深さ方向の全長に亘って形成される。

0059

図13に示すように、上蓋板挿入工程は、本接合工程後に、上蓋溝7に上蓋板8を挿入する工程である。上蓋板8は、蓋板5の表面側に配置される板状部材である。上蓋板8は、上蓋溝7に隙間無く挿入されるように、上蓋溝7の中空部と同じ形状になっている。上蓋溝7の一対の側壁と上蓋板8の一対の側面とが突き合わされて上側突合せ部J1,J1が形成される。上蓋板8の材料は摩擦攪拌可能であれば特に制限されないが、本実施形態ではアルミニウム合金である。ベース部材2は、例えば、上蓋板8よりも硬度の高い材種で形成されている。

0060

上蓋接合工程は、本接合用回転ツールFを用いて上側突合せ部J1,J1に対して摩擦攪拌接合を行う工程である。上蓋接合工程では、基端側ピンF2と先端側ピンF3とをベース部材2及び上蓋板8に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う。回転する本接合用回転ツールFの先端側ピンF3を上側突合せ部J1に挿入しつつ、基端側ピンF2の外周面でベース部材2及び上蓋板8を押さえながら摩擦攪拌接合を行う。本接合用回転ツールFは、上側突合せ部J1に沿って相対移動させる。基端側ピンF2及び先端側ピンF3の挿入深さは、基端側ピンF2の外周面がベース部材2及び上蓋板8を押さえることが可能な範囲で適宜設定すればよい。例えば、基端側ピンF2及び先端側ピンF3の挿入深さは、基端側ピンF2の外周面がベース部材2及び上蓋板8を押さえることが可能な範囲であり、かつ、先端側ピンF3が上蓋溝7の底面に達するように設定してもよい。本実施形態では、基端側ピンF2の外周面の高さ方向の中央部あたりがベース部材2の表面2a及び上蓋板8の表面8aに接触するように設定している。本接合用回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域W2,W2が形成される。塑性化領域W2は、上側突合せ部J1,J1の深さ方向の全長に亘って形成される。

0061

第二実施形態に係る伝熱板の製造方法によっても第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。
また、上蓋接合工程でも、基端側ピンF2の外周面で塑性流動材を押えることができるため、接合表面に形成される段差凹溝を小さくすることができるとともに、段差凹溝の脇に形成される膨出部を無くすか若しくは小さくすることができる。また、階段状の段差部F21は浅く、かつ、出口が広いため、塑性流動材を段差底面F21aで押さえつつ塑性流動材が段差部F21の外部に抜けやすくなっている。そのため、基端側ピンF2で塑性流動材を押えても基端側ピンF2の外周面に塑性流動材が付着し難い。よって、接合表面粗さを小さくすることができるとともに、接合品質を好適に安定させることができる。

0062

また、蓋板5よりも表面2a側に上蓋板8を配置して、上蓋溝7の側壁と上蓋板8の側面との上側突合せ部J1に摩擦攪拌接合を行うため、より深い位置に熱媒体用管6を配置させることができる。従前の方法であると、上蓋溝7に上蓋板8を配置した際に、隙間が発生するおそれがあるため、上蓋溝7の底面を面削する必要があった。しかし、本実施形態では、本接合工程後に、段差凹溝を小さくし、バリも少なくなるため、前記面削作業が不要となるか若しくは省略することができる。

0063

また、例えば、第二実施形態に係る凹溝3、蓋溝4、蓋板5、熱媒体用管6、上蓋溝7及び上蓋板8の形状は、あくまで例示であって、他の形状であってもよい。また、本接合工程後に、ベース部材2の表面2aと塑性化領域W2の表面との間に段差が生じた場合は、当該段差を埋めるように肉盛り溶接を行ってもよい。もしくは、塑性化領域W2の表面に金属部材を配置し、当該金属部材とベース部材2とを本接合用回転ツールFで摩擦攪拌接合してもよい。

0064

また、本実施形態では、蓋板5及び上蓋板8をベース部材2の上面側に配置したが、下面側に配置してもよい。

0065

1,1A伝熱板
2ベース部材
3凹溝
4蓋溝
5蓋板
6熱媒体用管
7上蓋溝
8上蓋板
F本接合用回転ツール(回転ツール)
F2基端側ピン
F3 先端側ピン
J 突合せ部
J1 上側突合せ部
W,W2塑性化領域
P 空隙部
Q 塑性流動材

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