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技術 ろう付け接合構造、及びその製造方法

出願人 日立化成株式会社
発明者 吉澤千絵池田靖田中俊明押山奈穂曽根圭太地主孝広
出願日 2018年8月27日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-158079
公開日 2020年3月5日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-032425
状態 未査定
技術分野 はんだ付・ろう付材料 溶融はんだ付
主要キーワード ラティス構造 骨格径 エキスバンドメタル 被接合部材間 Ni添加量 カーペンター Ni含有率 Si含有率
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

繊細かつ複雑形状の被接合部材にかかわらず、エロージョンを起こさない、ろう付け接合構造を提供することにある。

解決手段

ろう付け接合構造は、AlもしくはAl合金を有する第1の被接合部材と、前記Alもしくは前記Al合金を有する第2の被接合部材とを接合したろう付け接合構造であって、前記第1の被接合部材と前記第2の被接合部材との間の接合層は、前記AlとNiの金属間化合物を有する。

概要

背景

環境負荷省エネルギーへの関心が高まる中、自動車家電熱交換器を中心に、軽量かつ熱伝導率の高いAlやAl合金は、ろう付け接合により多様なアプリケーションに適用されている。AlやAl合金のろう付けに使用するAl-Si系ろう材は、ろう付け温度が接合部材融点に近く、エロージョンが起こり易い。ろう付け時のエロージョン抑制について、特許文献1が知られている。

特許文献1には、耐エロージョン性に優れたAl合金のブレージングシートが開示されている。特許文献1に記載のブレージングシートは、芯材を形成するAl合金にアルカリ土類金属アルカリ金属を添加することによって、ろう材から芯材に浸入するSiやGeをSi化合物Ge化合物としてトラップすることでエロージョンを抑制することができると記載されている。

概要

繊細かつ複雑形状の被接合部材にかかわらず、エロージョンを起こさない、ろう付け接合構造を提供することにある。ろう付け接合構造は、AlもしくはAl合金を有する第1の被接合部材と、前記Alもしくは前記Al合金を有する第2の被接合部材とを接合したろう付け接合構造であって、前記第1の被接合部材と前記第2の被接合部材との間の接合層は、前記AlとNiの金属間化合物を有する。

目的

本発明の目的は、繊細かつ複雑形状の被接合部材にかかわらず、エロージョンを起こさない、ろう付け接合構造、及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

AlもしくはAl合金を有する第1の被接合部材と、前記Alもしくは前記Al合金を有する第2の被接合部材とを接合したろう付け接合構造であって、前記第1の被接合部材と前記第2の被接合部材との間の接合層は、前記AlとNiの金属間化合物を有することを特徴とするろう付け接合構造。

請求項2

請求項1に記載のろう付け接合構造において、前記第1の被接合部材、もしくは前記第2の被接合部材は、板状、多孔質体、不織布、ラティス構造体、打抜加工体、エキスバンドメタルのいずれかの形態であることを特徴とするろう付け接合構造。

請求項3

請求項1に記載のろう付け接合構造において、前記金属間化合物を形成する前記Niは、粒子状の前記Ni、または、箔状の前記Ni、または、前記第1の被接合部材もしくは前記第2の被接合部材の接合部表面のいずれかを被覆した前記Niであることを特徴とするろう付け接合構造。

請求項4

請求項1に記載のろう付け接合構造において、前記第1の被接合部材、および前記第2の被接合部材は、板状、多孔質体、不織布、ラティス構造体、打抜加工体、エキスバンドメタルのいずれかの形態であることを特徴とするろう付け接合構造。

請求項5

AlもしくはAl合金を有する第1の被接合部材と、前記Alもしくは前記Al合金を有する第2の被接合部材とを接合するろう付け接合構造の製造方法であって、前記第1の被接合部材の表面に前記AlとSiを有するろう材を設置する工程と、ろう材を塗布した前記第1の被接合部材に、前記第2の被接合部材を圧着する工程と、ろう材の融点以上、前記Alもしくは前記Al合金の融点未満で、ろう付けして、前記第1の被接合部材と前記第2の被接合部材との間の接合層が、前記AlとNiの金属間化合物が形成されるろう付け工程とを有することを特徴とするろう付け接合構造の製造方法。

請求項6

請求項5に記載のろう付け接合構造の製造方法において、前記接合層を形成するろう材は、前記Al、前記Si、前記Niから成る金属成分と、フラックス樹脂溶剤を有し、前記Niの成分含有率は、ろう材の総量に対し5%以上15%以下であることを特徴とするろう付け接合構造の製造方法。

請求項7

請求項5に記載のろう付け接合構造の製造方法において、ろう付け時のろう材厚は、50μm以上500μm以下の範囲であることを特徴とするろう付け接合構造の製造方法。

請求項8

請求項5に記載のろう付け接合構造の製造方法において、前記ろう付け工程のろう付け温度は、590℃以上630℃以下の範囲であることを特徴とするろう付け接合構造の製造方法。

請求項9

請求項5に記載のろう付け接合構造の製造方法において、前記金属間化合物を形成する前記Niは、前記第1の被接合部材もしくは前記第2の被接合部材の接合部表面のいずれかを被覆した前記Niであることを特徴とするろう付け接合構造。

技術分野

0001

本発明は、AlもしくはAl合金被接合部材とする、ろう付けによる接合構造に関する。

背景技術

0002

環境負荷省エネルギーへの関心が高まる中、自動車家電熱交換器を中心に、軽量かつ熱伝導率の高いAlやAl合金は、ろう付け接合により多様なアプリケーションに適用されている。AlやAl合金のろう付けに使用するAl-Si系ろう材は、ろう付け温度が接合部材融点に近く、エロージョンが起こり易い。ろう付け時のエロージョン抑制について、特許文献1が知られている。

0003

特許文献1には、耐エロージョン性に優れたAl合金のブレージングシートが開示されている。特許文献1に記載のブレージングシートは、芯材を形成するAl合金にアルカリ土類金属アルカリ金属を添加することによって、ろう材から芯材に浸入するSiやGeをSi化合物Ge化合物としてトラップすることでエロージョンを抑制することができると記載されている。

先行技術

0004

特開2000−303132号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1におけるブレージングシートは、ろう材の膜厚が一定に確保されているため膜厚バラツキによる局所的なエロージョンは起こり難く、形状が定まっている多数の部材に、ろう付けすることは非常に便利である。

0006

しかしながら、繊細かつ複雑形状の接合部材や、小さな箇所、狭い部分等、様々な塗布形状に、特許文献1に記載のようなブレージングシートを使用するには、工程も煩雑になる。

0007

本発明の目的は、繊細かつ複雑形状の被接合部材にかかわらず、エロージョンを起こさない、ろう付け接合構造、及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明の好ましい一例は、AlもしくはAl合金を有する第1の被接合部材と、前記Alもしくは前記Al合金を有する第2の被接合部材とを接合したろう付け接合構造であって、前記第1の被接合部材と前記第2の被接合部材との間の接合層は、前記AlとNiの金属間化合物を有するろう付け接合構造である。

0009

本発明の好ましい他の例は、AlもしくはAl合金を有する第1の被接合部材と、前記Alもしくは前記Al合金を有する第2の被接合部材とを接合するろう付け接合構造の製造方法であって、前記第1の被接合部材の表面に前記AlとSiを有するろう材を設置する工程と、ろう材を塗布した前記第1の被接合部材に、前記第2の被接合部材を圧着する工程と、ろう材の融点以上、前記Alもしくは前記Al合金の融点未満で、ろう付けして、前記第1の被接合部材と前記第2の被接合部材との間の接合層が、前記AlとNiの金属間化合物が形成されるろう付け工程とを有するろう付け接合構造の製造方法である。

発明の効果

0010

本発明によれば、繊細かつ複雑形状の被接合部材にかかわらず、エロージョンを起こさない、ろう付け接合構造を得ることができる。

図面の簡単な説明

0011

Al、もしくはAl合金を被接合部材とする、ろう付け接合構造の断面概略図である。
Al-Si-Ni系ろう材を用いた形状の異なる被接合部材のろう付け性を示す表1である。
Al-Si系ろう材を用いた形状の異なる被接合部材のろう付け性を示す表2である。
Al-Si-Ni系ろう材のNi添加量と高さ変化量の関係を示す図である。
Al-Si-Ni系ろう材のろう材厚と高さ変化量の関係を示す図である。
Al-Si-Ni系ろう材のろう付け温度と高さ変化量の関係を示す図である。
Al-Si-Ni系ろう材と、Al-Si系ろう材を用いた時のAl板へのろう付け性評価を示す表3である。
Alの被接合部材に対してAl-Si-Ni系ろう材を用いた場合に、Ni添加量と高さ変化量の関係を示す図である。

0012

本発明の実施例では、Al-Si合金とNiを主成分とする、ろう材をろう付けに用いることにより、ろう材の融点以上の温度で積極的にNiがろう材中のAlと金属間化合物を形成し、ろう材中のAl濃度が低減し、被接合部材側のAlがろう材中に溶け込むことを抑制する。このため、ろう材厚やろう付け温度のバラツキにかかわらず、繊細かつ複雑形状のAlもしくはAl合金である被接合部材に対して、信頼性の高い金属接合構造を実現することができる。

0013

また、実施例では、Al-Si合金とNiを主成分とするろう材は、Al-Si合金が40%以上50%以下、KF等のF系フラックスが15%以上25%以下、その他樹脂バインダ有機溶剤が25%以上45%以下から成る基本成分と、Ni成分から成る。前記Al-Si合金のSi含有率は、6%以上13%以下の範囲である。Si含有率が高くなると共にろう付け温度が低下することから、プロセスのろう付け温度に応じて、Si含有率が選定される。

0014

実施例では、Al-Si系ろう材とNi成分と合わせて100%となるよう調整される。ろう材のNi成分は、5%以上15%以下の範囲であることが好ましい。Ni成分が5%未満であると、エロージョンの抑制効果が殆ど認められず、また、15%より高い場合では、粘度が上昇し、ろう材厚が不均一となることでろう付け性が低減する。ここでエロージョンとは、ろう付けの際に、Al合金のろう材が、被接合部材を侵食し、被接合部材の厚さを減少させる現象をいう。

0015

また、被接合部材として、強度を保持するためにMg等を含むAl合金を使用する場合も多く、Al合金の種類にかかわらず、ろう付けできることが望ましい。しかしながら、Al-Si系ろう材は、被接合部材がMg等を含むAl合金の場合、ろう付け温度において、ろう材が凝集、または、はじくといった現象が起こり、ろう付け性が劣る傾向がある。

0016

このため、Al-Si系ろう材にNi成分を補うことで、Ni成分が、ろう材の凝集や、はじきを阻害し、Al合金表面に均一な膜を形成することが明らかとなった。純Alのエロージョン抑制とMgを含むAl合金のろう付けを両立させるためには、Ni添加量が5%以上15%以内の範囲であり、この範囲において、純Alのエロージョン抑制と、Al-Mg合金のろう付けとを両立することができる。

0017

Niの添加量5%未満の場合、ろう材のはじきや凝集の抑制効果が殆どなく、Niの添加量が15%より多い場合では、エロージョン抑制効果が強くなるため、接合強度が劣る可能性がある。これらの理由により、2つの課題を満足するNi成分の適正な添加量は5%以上15%以下である。

0018

実施例における被接合部材の形態は、複雑かつ緻密な多孔質体、不織布、ラティス構造体、打抜加工体、エキスバンドメタルの様な形状を有するものに有効であり、どの様な不規則な複雑な形状であっても、細部までエロージョンを起こすことなく、ろう付けができる。

0019

実施例では、Al-Si系ろう材に含有するNiの形態は、粒子、箔のいずれかから選択されるが、ろう材が溶融する際に、合金を形成することができれば、ろう材に添加する方法でなくとも、どのような形態であってもよい。例えば、被接合部材のいずれかの接合部表面がNiめっきで被覆されている形態であってもよく、ろう付けプロセスにより、適宜選択される。Niの形態を粒子、箔のいずれかから選択できることや、被接合部材にNiめっきで被覆する場合を選択できることで、ろう付けプロセスの自由度は高くなる。

0020

Ni粒子を添加する場合、ろう材に添加し攪拌して使用される。粒子径が5μm未満の場合、粒子径が小さくなるほど、少量の添加で、ろう材の粘度が増粘し易くなり、塗布性に影響を及ぼす。また、粒子径が200μmより大きい場合では、例えば粒子同士が重なり合った場合の様に、被接合部材との密着性悪くなり、Ni粒子の密度が不均一になる可能性があり、Ni粒子の存在しない箇所ではエロージョンが起こり易くなってしまう。このため、Ni粒子径の範囲は5μm以上200μm以下の範囲であることが望ましく、ろう材厚や塗布性に合わせて適宜選択される。

0021

箔の場合では、ろう材を被接合部材表面に塗布後、ろう材上部から箔を重ねて設置し、その上部にもう一方の被接合部材を重ねた後、ろう付けする。箔の厚さ20μm未満では取り扱い性に問題があり、また、100μmより大きい場合では、適正範囲内のろう材厚を考慮すると、Ni含有率が30%を超えて、過度にエロージョンを抑制することになる。そのため、ろう付け性が低下する。従って、箔の厚さは、20μm以上100μm以下の範囲であることが好ましく、ろう材厚により、箔の厚さの範囲から適宜選択される。

0022

Niめっきを接合部に施す場合は、全体にめっきを施すと熱伝導率が低下するため、できる限り、ろう付け部のろう材と接する部分のみに施すことが望ましい。めっき厚は、ろう材厚にかかわり、0.5μm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。0.5μm未満では均一な膜形成が難しくなる。また、10μmより大きい場合では、ろう材中のNi濃度が高くなり、ろう付け時にろう材へ溶け込むNi量が過剰となり、過度にエロージョンが抑制されることから、ろう付け性が低下するものと考えられる。

0023

実施例による、ろう付け接合構造の製造方法は、以下のような複数の工程を有する。アセトンもしくはイソプロピルアルコール等の溶剤洗浄した第1の被接合部材上に、Al-Si合金とNiを主成分とするろう材を、第2の被接合部材に対応した膜厚で塗布する第1の工程を有する。また、ろう材を塗布した前記第1の被接合部材上に、第2の被接合部材を設置し、加圧して押さえて金属接合構造の前駆体を形成する第2の工程を有する。また、金属接合構造の前駆体を炉に入れて、第1の被接合部材、もしくは第2の被接合部材を構成するAlもしくはAl合金の融点未満で、ろう材の融点以上まで昇温し、第1の被接合部材と第2の被接合部材のろう付けが、安定するまで保持した後、少しずつ空冷により冷却する第3の工程を有する。このような製造方法により、AlもしくはAl合金を有する被接合部材間に、AlとNiの金属接合構造を形成することできる。
以下に、図面を用いて、実施例1から実施例5を、詳細に説明する。

0024

実施例1によるろう付け接合構造について以下に、詳細を説明する。
図1は、実施例1によるAlもしくはAl合金をAl-Siろう材でろう付けした接合構造断面図である。AlもしくはAl合金からなる第1の被接合部材(100)と第2の被接合部材(101)の接合構造において、第1の被接合部材(100)と第2の被接合部材(101)間に介在する、ろう材成分と第2被接合部材(101)の溶出成分とが、一体化した接合層(102)の組織には、AlとNiの金属間化合物(103)が形成されている。

0025

実施例1は、AlとSiとNiからなる金属を主成分とするろう材を用いることによって、Niが、接合部に介在する余剰のろう材中のAlもしくは、第2被接合部材(101)から溶け出したAlとが、積極的に金属間化合物を形成することでエロージョンが抑制される。また、第1の被接合部材(100)のろう付け面に対して、傾くことなく均一にろう付けすることができた。

0026

特に、繊細かつ複雑形状の多孔質体や不織布、エキスバンドメタルや打板加工の2次元網目構造や、ラティス構造の3次元的な網目構造を有するAlもしくはAl合金被接合部材に効果を発揮する。

0027

図2は、上記した、繊細かつ複雑形状の被接合部材を用い、ろう付けした時の高さ変化量(mm)と、傾き(mm)を測定した結果(表1)を示す。

0028

第2の被接合部材(101)の評価試料として、以下の被接合部材を用い、ろう付後の高さ変化量と傾きを測定した。高さ変化量は、ろう付け前後の評価試料の高さの差分とした。傾きは、ろう付け後、最も高い箇所と低い箇所をデジマチクインジケータ(ミツトヨ社製)で測定し、高低差を傾きとした。台座とする第1の被接合部材(100)は、1.5t×20×30(mm)のAl板(材質1050)を用いた。

0029

ろう材は、東洋アルミニウム社製Al-Si系4045を使用した。また、ろう材に添加するNi粉は、カーペンターパウダープロダクツ製 99% 75μmφを使用し、Al-Si系4045が90gに対し、Ni粉を10g加えて、真空攪拌することで均一に混合しNi添加量10%のAl-Si-Ni系のろう材を調整した。

0030

ろう材厚は200μm±20μmとし、200μm厚のマスクを使用し、第1の被接合部材(100)の表面にスキージで塗布した後、ろう材を塗布した第1の被接合部材(100)表面に、第2の被接合部材(101)を設置した。

0031

ろう付け条件は、山陽精工(株)社製SMT SCOPE SA-8000を用いて、600℃で3分(min)の間、N2雰囲気の下で、ろう付けをした。エロージョンの起こり易さは、高さ変化量が大きいほどエロージョン度合いが大きいものとした。
No.1多孔質AlERG社製Duocel 40PPI6101-16ろう付け形
評価試料形状:1.5t×10×10(mm)ろう材塗布後、L字型ステンレス鋼板で両側を固定してろう付けした。
No.2打抜き加工Al 大栄金網工業社製1t×1mmφ×2ピッチ開口率23% A1050
評価試料形状:1t×50×50(mm)ろう材塗布後、L字型のステンレス鋼板で両側を固定してろう付けした。
No.3エキスバンドメタル大栄金網工業社製0.5t×3×4.6(mm) A1050
評価試料形状:0.5t×50×50(mm)ろう材塗布後、L字型のステンレス鋼板で両側を固定してろう付けした。
No.4 不織布 (株)ユニックス社製 Al純度99.7%
評価試料形状:20mm角厚さ5mmとなるように重ねてAl板上に設置。
No.5 板 A1050
評価試料形状:5t×10×10(mm)

0032

この結果、実施例1によれば、No.1〜No.5の試料に対しては、高さ変化量が、1.5mm以下を示し、エロージョン度合いが少なく耐エロージョン性が良好であった。また、これら断面をSEMとEDXで観察すると、ろう付けされた接合部にはAl-Niの金属間化合物が形成していることを確認した。

0033

実施例1では、第2被接合部材(101)として、多孔質体などの繊細かつ複雑形状の被接合部材を用いた例を示したが、第1の被接合部材(100)として、多孔質体などの繊細かつ複雑形状の被接合部材を用いてもよいし、第1の被接合部材(100)と第2被接合部材(101)の両方に、多孔質体などの繊細かつ複雑形状の被接合部材を用いた場合でも、エロージョンを抑制できる。

0034

比較例1
評価試料は、実施例1と同じ試料を用い、加熱温度600℃で、3分間(min)のろう付け条件で、ろう付けした。ろう材は、実施例1の東洋アルミニウム社製4045のみを使用した。この結果、図3の表2に示したように、すべての比較例の試料No.6〜No.10は、高さ変化量2mm以上で、エロージョン度合いが大きく、また、0.5mm以上傾いた状態で、ろう付けされていた。

0035

特許文献1に示されたように、ブレージングシートを使う場合には、繊細かつ複雑形状の接合部材や、小さな箇所、狭い部分等、様々な塗布形状にブレージングシートを使用することになり、工程も煩雑になる。一方、実施例1によれば、図2に示したように、繊細かつ複雑形状の接合部材や、小さな箇所、狭い部分等、様々な塗布形状においてもエロージョン度合いが少なく耐エロージョン性が良好となる。

0036

ろう材4045のNi添加量によるろう付け時のエロージョンの影響について評価した。
第2の被接合部材(101)は、便宜的に形状依存の影響が出ないAl板(材質は、品番1050)1.5t×10×10(mm)を、第1の被接合部材(100)は、第2の被接合部材(101)と同じ材質で、1.5t×20×30(mm)のAl板を使用し、実施例1に従ってろう付けした。

0037

また、ろう材は、実施例1と同様の方法で攪拌し、Ni添加量0%〜30%とするAl-Si-系ろう材を調整した。ろう付けは、ろう材厚200μm±20μmとし、ろう付け条件は、山陽精工(株)社製SMT SCOPE SA-8000を用い、600℃で、3分(min)の間、N2雰囲気化で、ろう付けした。Ni添加量と高さ変化量の関係について図4に示す。

0038

この結果、添加量5%未満では、高さ変化量が大きくエロージョン抑制効果が認められなかった。また、添加量15%を超えると、粘度が急激に上昇し、スキージでようやく塗布ができる状態であり、塗布むらが生じた。また、エロージョンの抑制効果が大きすぎることから、フィレットが形成されず、ろう付け性も低下しているものと考えられる。
このため、5%以上15%以下の範囲でNi成分を添加することにより、エロージョンは抑制され、良好に、ろう付けできることがわかった。

0039

ろう材4045(Ni添加量10%)と、ろう材4045とを比較し、ろう材厚によるエロージョンの影響について評価した。ろう材厚は、100μm〜540μmまで評価し、高さ変化量から、エロージョン性を確認した。第1の被接合部材(100)と第2の被接合部材(101)は、実施例2と同じ板を用い、ろう材調整方法、ろう付け、及びろう付け評価は、実施例1に従って行った。ろう材厚と高さ変化量の関係を図5に示す。

0040

ろう材4045を用いた場合(104)、ろう材厚200μmで、高さ変化量は2mm以上であった。一方、本実施例のNiを10%添加したろう材の場合(105)、ろう材厚が2倍の400μm以上であっても、高さ変化量は0.5mmであった。この結果、ろう材の厚さバラツキにかかわらず、エロージョンが抑制され、耐エロージョン性を示すことがわかった。

0041

被接合部材をろう付けする時のろう材厚は、50μm以上500μm以内の範囲であることが好ましく、ろう材厚は、被接合部材の形状により選択される。例えば、被接合部材の骨格の径または厚さが、数10μmの骨格であれば、ろう材厚は薄くなる。一方、被接合部材の骨格径または厚さが数mmであれば、ろう材厚は、骨格の径に比例して厚くなる。

0042

また、ろう材厚が、塗布むらにより、局所的に厚くなった場合でも、ろう材中のNiが積極的に、ろう材中のAlと金属間化合物を形成することで、エロージョンが抑制される。ろう材厚が50μmより小さい場合では、厚みの制御が難しくなり、ろう付け信頼性が低下する。

0043

また、図5に示すように、ろう材厚さが540μmの場合には、高さ変化量は、0.5mmとなる。高さ変化量が0.5mm以上では、エロージョンの影響が明らかになる。そこで、高さ変化量が0.5mmを越えないようにするには、ろう材厚は、500μm以下が望ましい。よって、50μm以上500μm以下の範囲が最も好ましく、被接合部材の骨格の径、または厚さにより適宜、ろう材厚さは、その範囲内で選択される。

0044

ろう材4045(Ni添加量10%)とろう材4045を比較し、590℃から630℃において、ろう付け温度によるエロージョンの影響を評価した。ろう材厚は200μm±20μm一定とし、第1の被接合部材(100)と第2の被接合部材(101)は、実施例2と同じ板を用い、ろう材の調整、及びろう付け評価は実施例1に従って行った。

0045

ろう付け温度と高さ変化量の関係について図6に示す。この結果、ろう材4045(Ni添加量10%)でろう付けした場合(107)、ろう付け温度610℃であっても高さ変化量が0.5mm以下と少なく、耐エロージョン性を示していた。一方、ろう材4045を用いた、ろう付けの場合(106)では、600℃で、2mm近い高さ変化量を示し、ろう付け温度の違いによるエロージョンの影響が大きいことが判明した。このため、本実施例による、ろう材4045(Ni添加量10%)は、温度バラツキによるエロージョンに影響されることなく、安定したろう付けが可能となる。

0046

図6からわかるように、本実施例によれば、590℃から630℃において、耐エロージョン性を示すことがわかる。ただし、ろう材の融点は、Si濃度に依存し、590℃以上で630℃以下の範囲から選択される。温度が高い方が被接合部材にぬれ易いことから、炉内の温度バラツキを考慮すると、Alの融点(660℃)に近くなるほど、接合部の状態にバラツキが生じ、部分的にエロージョンが起こり易くなる。

0047

すなわち、ろう付け温度が630℃より高くなると、膜厚や温度ばらつきのため、接合部が不安定となり易くなる。また、ろう付け温度が590℃より低くなると、本実施例のろう材の融点に近いため、ろう材が、一部溶解せず、ろう付けによる信頼性が保持できない。このため、適正な、ろう付けの温度範囲は、590℃以上で630℃以下である。

0048

ろう材4045(Ni添加量10%)のもう一つの特徴は、被接合部材が純粋なAlではなく、Al-Mg合金であっても、Niが、ろう材の凝集やはじきの障害となり、Al合金表面のぬれ性向上に繋がることである。純Al品番1050の板を比較例とし、比較的入手し易いAl合金5052Pと、Al-Mg合金6061について評価した。評価するAl、及びAl合金の形状は1.5t×20×10(mm)とした。

0049

実施例1と同様に、ろう材4045(Ni添加量10%)を用いて、各々のAl板、及びAl合金板に、ろう材厚200μm±20μmとなるよう塗布した状態で、前記したろう付け条件と同じ600℃で3分(min)間の加熱をした。また、各々のAl板、及びAl合金板に、ろう材4045を塗布して後に加熱をして、比較例とした。実施例である、ろう材4045(Ni添加量10%)を用いた各Al板へのろう付け性を確認した結果を、図7の表3に示す。

0050

表3の符号71の列は、アルミ品番を示し、上からAl合金5052P、Al-Mg合金6061、純Al品番1050を示す。符号72の列は、ろう材4045(Ni添加せず)を用いた場合に、ろう材を塗布した直後での3種類のアルミ品番の各状態を示す。符号73は、ろう材4045(Ni添加量せず)を用いた場合に、600℃で3分(min)間の加熱後の各アルミ品番の状態を示す。

0051

符号74は、ろう材4045(Ni添加量10%)を用いた場合に、ろう材を塗布した直後での3種類のアルミ品番の各状態を示す。符号75は、ろう材4045(Ni添加量10%)を用いた場合に、600℃で3分(min)間の加熱後の各アルミ品番の状態を示す。

0052

ろう付け性を確認した結果、純Alである1050は、ろう材4045であっても、ろう材4045(Ni添加量10%)であっても変わることなく加熱後も、ぬれ性を保持していた。これに対し、Mgを含むAl-Mg合金5052P、及びAl-Mg合金6061に塗布したろう材4045は、塗布直後では、はじくことなく塗布されているものの、加熱後には、ろう材の凝集や表面のはじきが確認された。

0053

これらの現象から、Al-Mg合金へのろう付け性は低く、接合することは難しい。しかし、本実施例による、ろう材4045(Ni添加量10%)を用いることで、Al-Mg合金の凝集やはじきが抑制されることがわかった。

0054

次に、これら3種類の純AlとAl-Mg合金において、Al-Si系ろう材へのNi添加量と高さ変化量の関係について検討し、Al板の種類に関係なく、エロージョンの抑制と、ろう付けが両立するNi添加量の範囲を求めた。

0055

第1の被接合部材(100)は、実施例2と同じく純Alである1050とし、第2の被接合部材(101)は、Al-Mg合金5052P、及びAl-Mg合金6061と純Alの1050をそれぞれ用いた。形状は実施例2と同じ形状とした。

0056

Alの被接合部材に対して、Al-Si-Ni系ろう材を用いた場合に、Ni添加量と高さ変化量の関係を示す図である。
Ni添加量と高さ変化量の関係について図8に示す。エロージョンの度合いは、高さ変化量から確認した。Al-Mg合金5052Pを、第2の被接合部材に用いた場合(108)、及びAl-Mg合金6061を、第2の被接合部材に用いた場合(109)は、ろう材4045(Ni添加量0%)において、凝集や、はじきがあるため、高さ変化量が僅かであり、ろう付け性が低い。

0057

その後、高さ変化量は上昇し、それぞれ異なる所に最大値をもつことがわかった。これに対し、第1の被接合部材(100)と同じ材質である純Alである1050を、第2の被接合部材に用いた場合(110)には、エロージョンを起こし易い材料であるため、Al合金と異なる傾向を示す。ろう材4045(Ni添加量0%)の場合、高さ変化量が3.78mmと高く、エロージョン度合いが大きい。

実施例

0058

しかし、Niを添加していくことにより、Al-Niの金属間化合物が接合部に形成されるため、耐エロージョン性が向上し、エロージョンを起こし難くなるものと考えられる。これらの現象と、上記したエロージョン抑制効果と塗布むらを考慮し、Ni添加量5%以上15%以下の範囲であれば、Alの種類にかかわらず、ろう付けできることを確認した。

0059

100 AlもしくはAl合金の第1の被接合部材
101 AlもしくはAl合金の第2の被接合部材
102ろう付けによる接合層
103 Al-Ni金属間化合物

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