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図面 (1)

課題

前立腺癌患者遺伝子発現プロフィールを使用して患者の予後情報を特定する、分子診断検査法の提供。

解決手段

前立腺癌患者から採取された生物学的試料からの予後バイオマーカー又は共発現バイオマーカー発現量を測定する工程を含み、測定された発現量を分析して、患者に関して起こり得る予後の情報、及び患者が前立腺癌再発を有する尤度を提供する。

概要

背景

前立腺癌は、男性に最もよく起こる固形悪性腫瘍であり、アメリカおよび欧州連合(EU)における男性の癌関連死の2番目によくある死因でもある。2008年には、前立腺癌と診断される患者は米国内だけでも18万例を突破しており、この疾患による死者は3万例近くに及ぶであろう。前立腺癌の進行にとって最も重大な危険因子の1つは年齢であり、これは調査された全ての人種グループに当てはまる。米国人口の高齢化に伴い、前立腺癌の年間発病率は2025年までに倍増し、1年に40万例近くに及ぶことが予測される。

1990年代前立腺特異抗原(PSA)スクリーニングが導入されて以来、臨床的に明らかな疾患を呈する患者の比率が激減し、今日新たに診断を受けた患者の半分は「低リスク」に分類される患者で占められるようになった。PSAは前立腺癌の有無を判定する腫瘍マーカーとして用いられ、PSAレベルが高い場合は前立腺癌を有するものと判定される。病期初期(T1)疾患等の低リスクな特徴を呈する限局性前立腺癌患者の比率が増えつつあるにもかかわらず、米国内の患者の90%超は依然として、前立腺切除もしくは放射線などの根治療法を受けている。根治療法を受けていない場合でも、転移性疾患発症し前立腺癌で死亡する患者は、これらの患者のうちの約15%にすぎない。A.Bill−Axelson,et al.,J Nat’l Cancer Inst.100(16):1144−1154(2008)。したがって、前立腺癌患者大多数過度治療を受けている。

前立腺癌の再発危険率および治療法の決定に関する評価は現在、主にPSAレベルおよび/または腫瘍病期に基づいて行われている。腫瘍病期と転帰との関連性は病理学レポートに記載するのに充分な有意なものであることが実証されてきた一方、米国病理学者協会(College of American Pathologists)コンセンサスステートメントは、この情報の入手解釈リポーティング、および解析の手法にはバリエーションがあることに注目している。C.Compton,et al.,Arch Pathol Lab Med 124:979−992(2000)。結果的に、既存の病理学的な病期分類方法は再現性に欠くとして批判されてきており、それ故、個々の患者について不正確リスク評価がなされ得る。

概要

前立腺癌患者の遺伝子発現プロフィールを使用して患者の予後情報を特定する、分子診断検査法の提供。前立腺癌患者から採取された生物学的試料からの予後バイオマーカー又は共発現バイオマーカー発現量を測定する工程を含み、測定された発現量を分析して、患者に関して起こり得る予後の情報、及び患者が前立腺癌の再発を有する尤度を提供する。なし

目的

本開示は、遺伝子発現プロフィールを使用して患者の予後情報を特定する方法を関する情報を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

前立腺癌患者における癌の再発尤度定量化する方法であって、前記患者から採取された前立腺組織を含む生物学的試料中の少なくとも1つの遺伝子の発現量を測定する工程であって、前記少なくとも1つの遺伝子が表3A、3B、4A、4B、5A、5B、6A、6B、7A、7B、8A、8B、10Aもしくは10Bの遺伝子を含むか、または前記少なくとも1つの遺伝子と共発現する遺伝子を含む工程と、前記患者の癌の再発尤度を予測する工程であって、表3A、4A、5A、6A、7A、8A、および10A中の任意の遺伝子の発現量が再発リスクの増加と正の関連を示し、かつ表3B、4B、5B、6B、7B、8B、および10B中の任意の遺伝子の発現量が再発リスクの増加と負の関連を示す工程と、を含む方法。

技術分野

0001

本出願は、米国特許仮出願第61/368,217号(2010年7月27日出願)、米国特許仮出願第61/414,310号(2010年11月16日出願)、および米国特許仮出願第61/485,536,号(2011年5月12日出願)に対する優先権を主張するものであり、それらの仮出願はいずれも本明細書に参照として援用されている。

0002

本開示は、遺伝子発現プロフィールを使用して患者の予後情報を特定する方法を関する情報を提供する、分子診断検査法に関する。本開示は詳細には、前立腺癌患者が癌の局所再発または遠隔再発を経験する尤度定量化する際に発現量を用いる対象の遺伝子およびmicroRNAを提供する。

背景技術

0003

前立腺癌は、男性に最もよく起こる固形悪性腫瘍であり、アメリカおよび欧州連合(EU)における男性の癌関連死の2番目によくある死因でもある。2008年には、前立腺癌と診断される患者は米国内だけでも18万例を突破しており、この疾患による死者は3万例近くに及ぶであろう。前立腺癌の進行にとって最も重大な危険因子の1つは年齢であり、これは調査された全ての人種グループに当てはまる。米国人口の高齢化に伴い、前立腺癌の年間発病率は2025年までに倍増し、1年に40万例近くに及ぶことが予測される。

0004

1990年代前立腺特異抗原(PSA)スクリーニングが導入されて以来、臨床的に明らかな疾患を呈する患者の比率が激減し、今日新たに診断を受けた患者の半分は「低リスク」に分類される患者で占められるようになった。PSAは前立腺癌の有無を判定する腫瘍マーカーとして用いられ、PSAレベルが高い場合は前立腺癌を有するものと判定される。病期初期(T1)疾患等の低リスクな特徴を呈する限局性前立腺癌患者の比率が増えつつあるにもかかわらず、米国内の患者の90%超は依然として、前立腺切除もしくは放射線などの根治療法を受けている。根治療法を受けていない場合でも、転移性疾患発症し前立腺癌で死亡する患者は、これらの患者のうちの約15%にすぎない。A.Bill−Axelson,et al.,J Nat’l Cancer Inst.100(16):1144−1154(2008)。したがって、前立腺癌患者の大多数過度治療を受けている。

0005

前立腺癌の再発危険率および治療法の決定に関する評価は現在、主にPSAレベルおよび/または腫瘍病期に基づいて行われている。腫瘍病期と転帰との関連性は病理学レポートに記載するのに充分な有意なものであることが実証されてきた一方、米国病理学者協会(College of American Pathologists)コンセンサスステートメントは、この情報の入手解釈リポーティング、および解析の手法にはバリエーションがあることに注目している。C.Compton,et al.,Arch Pathol Lab Med 124:979−992(2000)。結果的に、既存の病理学的な病期分類方法は再現性に欠くとして批判されてきており、それ故、個々の患者について不正確リスク評価がなされ得る。

0006

本出願は、前立腺癌患者から採取された生物学的サンプルからの遺伝子、遺伝子サブセット、microRNA、または1つ以上のmicroRNAと1種以上の遺伝子もしくは遺伝子サブセットとの組み合わせの発現量の測定、および測定された発現量の解析を含み、それらに基づき癌の再発尤度に関する情報を提供する、分子アッセイを開示するものである。例えば、癌の再発尤度は、臨床的または生化学的無再発期間に基づくスコア換算して記述し得る。

0007

また、本出願は、前立腺癌患者から採取された生物学的サンプルからの遺伝子、遺伝子サブセット、microRNA、または1つ以上のmicroRNAと1種以上の遺伝子もしくは遺伝子サブセットとの組み合わせの発現量の測定を含む、分子アッセイを開示している。例えば、患者は癌の再発もしくは癌による死、または予後因子に対して正または負の関連性を示す関連する1種以上の遺伝子またはmicroRNAの発現量を使用して層別化し得る。例示的な実施例において、予後因子はグリソン(Gleason)パターンである。

0008

生物学的サンプルは、手術生検、もしくは体液を含む標準法で採取することが可能であり、腫瘍組織または癌細胞、および場合によっては組織学的に正常な組織(例えば、腫瘍組織に隣接する組織学的に正常な組織)を含み得る。例示的な実施態様においては、生物学的サンプルはTMPRSS2融合に対して陽性または陰性である。

0009

例示的な実施例では、前立腺癌における特定の臨床転帰に対して正または負の関連性を示す関連する1種以上の遺伝子および/またはmicroRNAの発現量を使用して、予後および適切な療法を判定する。本明細書中に開示された遺伝子は、単独で使用してもよいし、細胞接着遊走、即初期ストレス反応、および関連する細胞外基質などの機能的な遺伝子サブセット内に配列することもできる。各遺伝子サブセットは、本明細書に開示される遺伝子のほか、1種以上の開示された遺伝子と共発現する遺伝子も包含する。遺伝子発現解析を行うようにプログラムされた計算を、コンピュータ上で実行することもできる。本明細書中に開示されたmicroRNAはまた、単独使用してもよいし、開示された1種以上のmicroRNAおよび/または遺伝子のいずれかと組み合わせて使用することもできる。

0010

例示的な実施態様において、分子アッセイには少なくとも2つの遺伝子の発現量が関与し得る。遺伝子または遺伝子サブセットは、予後または腫瘍ミクロ環境との関連の強度に従ってウェイトを与え得る。別の例示的な実施例において、分子アッセイには少なくとも1つの遺伝子および少なくとも1つのmicroRNAの発現量が関与し得る。遺伝子とmicroRNAとの組み合わせは、遺伝子とmicroRNAとの組み合わせが機能的に相互作用する尤度に基づいて選択し得る。

図面の簡単な説明

0011

生検グリソンスコア、ベースラインPSAレベル、および臨床病期T期の臨床評価および病理学的評価の分布を示す図である。

0012

定義
別途定義がない限り、本願明細書に用いられている技術用語および科学用語は、本発明の帰する当業者に一般的に理解されているのと同じ意味を有する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY 1994),and March,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 4th ed.,John Wiley & Sons(New York,NY 1992)は、当業者にとって、本出願に用いられている多くの用語に対する一般的指針となる。

0013

当業者であれば、本明細書に記述されている方法および材料と類似もしくは等価で、かつ本発明の実施に使用し得る多くの方法および材料を識別するであろう。事実上、本発明はいかなる場合も、本明細書に記述されている方法および材料に限定されない。以下、本発明の目的に合わせて、以下の用語を定義する。

0014

本明細書で用いられている「腫瘍」および「病変」という用語は、悪性であるか良性であるかに関係なく、全ての腫瘍細胞成長および増殖、ならびに全ての前癌性癌性細胞および組織を意味する。当業者であれば、1種以上の癌細胞、部分的または断片化した細胞、様々な病期の腫瘍、組織学的に正常な外観周囲組織、および/またはマクロもしくはミクロ解剖された組織等の複数の生物学的要素を、腫瘍組織標本に含み得ることを理解するであろう。

0015

「癌」および「癌性」という用語は、典型的には無秩序細胞増殖によって特徴づけられる、哺乳類生理的条件を指し、これを説明するものである。本開示における癌の実施例は、前立腺癌等の尿生殖路癌を包含している。

0016

癌の「病理」とは患者の健康を損なうあらゆる現象を包含し、限定はされないが、異常もしくは制御不能な細胞増殖、転移、隣接する細胞の正常な機能の妨害、サイトカインもしくは他の分泌生成物の異常なレベルでの放出、炎症性もしくは免疫学的反応の抑制もしくは悪化、周囲または遠隔の組織のもしくは器官(例えばリンパ節、その他)の腫瘍形成、前悪性腫瘍、悪性腫瘍、浸潤が挙げられる。

0017

本明細書において「前立腺癌」という用語は、交換可能に用いられ、最も広義には、前立腺の組織から生じる全ての病期の癌および全ての形態の癌を指す。

0018

American Joint Committee on Cancer(AJCC)のAJCC Cancer Staging Manual(7th Ed.,2010)の腫瘍(tumor)、リンパ節(node)、転移(metastasis)(TNM)病期分類システムによれば、前立腺癌の様々な病期は、腫瘍(T1:臨床的に不顕性な腫瘍であり、かつ画像診断を介しても触知できないかまたは不可視である。T1a:組織学的に偶然検出された腫瘍で切除組織の5%以下、T1b:組織学的に偶然検出された腫瘍で切除組織の5%を超える、T1c:針生検で腫瘍が同定される;T2:腫瘍が前立腺内限局している、T2a:腫瘍が1葉の半分以下に及んでいる、T2b:腫瘍が1葉の半分を越えた域にまで及んでいるが、両葉には及んでいない、T2c:腫瘍が両葉に及んでいる;T3:腫瘍が前立腺被膜を通過して進展している、T3a:被膜の外へ拡大(片側であるか両側であるかを問わない)、T3b:腫瘍が精嚢に浸潤する;T4:腫瘍が定着しているか、または精嚢以外の隣接する構造(膀胱頚部外括約筋直腸挙筋、もしくは骨盤壁)に侵入する)。リンパ節(N0:局部リンパ節の転移が存在しない;Nl:局部リンパ節における転移)。転移(M0:遠隔転移が存在しない;Ml:遠隔転移が存在する)のように定義されている。

0019

グリソン悪性度分類システム(Gleason Grading system)を使用することで、前立腺癌を有する男性の予後の評価に役立つ。他のパラメーターと共に、前立腺癌の病期分類ストラテジーに組み込まれ、予後を予測し、療法を指導する助けになる。前立腺癌は、その顕微鏡的な外観に基づいてグリソン「スコア」または「グレード」が与えられる。グリソンスコアが低い腫瘍は典型的には、その生涯にわたって患者に有意な脅威を引き起こし得ないほど充分に緩徐に生育する。これらの患者は、経時的な監視(「注意深い経過観察(watchful waiting)」もしくは「積極的サーベイランス(Active Surveillance)」を受ける。グリソンスコアが高い癌は、攻撃性が強く予後が悪化する。これらの患者は一般に手術(例えば、根治的前立腺切除)、および場合によっては療法(例えば、放射線、ホルモン、超音波化学療法)で治療される。グリソンスコア(もしくは総計)は、2つの最も一般的な腫瘍パターンのグレードを含む。これらのパターンはグリソンパターン1〜5と呼ばれる。パターン1は最も高分化型である。大部分はパターンが混在されている。グリソンスコアまたはグレードを得るには、優性パターンをその次に優性なパターンに加算する。これにより、2〜10の数値が得られる。グリソングレードとしては、以下が挙げられる。G1:高分化(軽度異型性)(グリソン(Gleason)2〜4)
G2:中分化中等度異型性)(グリソン(Gleason)5〜6)
G3〜4:低分化または未分化(高度異型性)(グリソン(Gleason)7〜10)

0020

病期分類:I期:Tla N0 M0 G1。II期:(T1a、N0、M0、G2〜4)または(T1b、c、T1、T2、N0、M0、全てのG);III期:T3、N0、M0、全てのG;IV期:(T4、N0、M0、全てのG)または(全てのT、N1、M0、全てのG)または(全てのT、全てのN、M1、全てのG)。

0021

本明細書において「腫瘍組織」という用語は、1つ以上の癌細胞を含有する生物学的サンプル、または1つ以上の癌細胞の一部分を指す。そのような生物学的サンプルが、腫瘍組織を取得する際に使用される方法(例えば、外科切除、生検、もしくは体液)に応じた他の生物学的構成要素、例えば、組織学的に(腫瘍に隣接するなどの)正常な外観の細胞を付加的に含み得ることは、当業者に認識されるであろう。

0022

本明細書において「AUAリスクグループ」という用語とは、臨床的限局性前立腺癌の処置に関する、2007年度にAmerican Urological Association(AUA)が更新した、臨床的限局性前立腺癌の処置に関するガイドラインを指し、局所療法後の患者の生化学的(PSA)再発リスク状態(低、中、または高)を判定する場合に臨床医によって用いられる。

0023

本明細書において「隣接組織(AT)」という用語は、腫瘍に隣接した組織学的に「正常な」細胞を指す。例えば、AT発現プロフィールは、疾患の再発および存続と関連し得る。

0024

本明細書において「非腫瘍性前立腺組織」とは、前立腺腫瘍に隣接している組織学的に正常な外観の組織を意味する。

0025

予後因子は、癌の自然な経過に関連した変数であり、癌をいったん発症した後の患者の再発速度および転帰に影響を及ぼす。予後の悪化と関連する臨床パラメーターとしては、例えば、腫瘍病期の増分、提示されるPSAレベル、およびグリソングレードまたはグリソンパターンが挙げられる。予後因子は多くの場合、様々なベースライン再発リスクを基準に患者をサブグループに分類する場合に使用される。

0026

本明細書中で使用されている「予後」という用語は、癌患者が癌に起因し得る死または進行(前立腺癌等の腫瘍性疾患の再発、転移進展、および薬剤抵抗を含む)を有する尤度を指す。例えば、「予後良好」とは再発を伴わない長期生存を包含し、「予後不良」とは癌の再発を包含する。

0027

本明細書において、「発現量」という用語は、遺伝子に適用された場合、遺伝子産物正規化レベル(例えば、遺伝子のRNA発現量、または遺伝子のポリペプチド発現量に対して定量化された正規化値)を指す。

0028

「遺伝子産物」または「発現生成物」という用語は、mRNAを含む遺伝子のRNA(リボ核酸転写産物転写物)、およびそのようなRNA転写物のポリペプチド翻訳生物を指すために、本明細書中に使用されている。遺伝子産物は、例えば、非スプライスRNA、mRNA、スプライスバリアントmRNA、microRNA、断片化RNA、ポリペチド翻訳後修飾ポリペチド、スプライスバリアントポリペチドなどであり得る。

0029

本明細書において「RNA転写物」という用語は、遺伝子のRNA転写産物(例えば、mRNA、非スプライスRNA、スプライスバリアントmRNA、microRNA、および断片化RNAを含む)を指す。

0030

「microRNA」という用語は、遺伝子発現を調節し得る18〜25のヌクレオチドを含んだ短い一本鎖非コードRNAを指す目的で本明細書に使用されている。例えば、複合体はRNA誘導サイレンシング複合体RISC)に関連している場合、特定のmRNA標的に結合してこれらのmRNAの配列を翻訳阻止または開裂させる。

0031

特に明記しない限り、本明細書中に使用されている各遺伝子名は、遺伝子に割り当てられた公式シンボルと一致し、これらのシンボルは本出願の出願日時点でEntrez Gene(URL:www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez)によって提供されている。

0032

相関」および「関連」という用語は、本明細書中で交換可能に用いられており、2つの測定値の関連(または測定されたエンティティ)を指す。本開示は、遺伝子、遺伝子サブセット、microRNA、またはmicroRNAと遺伝子もしくは遺伝子サブセットとの組み合わせが提供されており、それらの発現量は腫瘍病期と関連している。例えば、遺伝子またはmicroRNAの発現量の増加は、予後良好あるいは肯定的な予後に対して正の相関(正の関連性)を示し得る。そのような正の相関は、様々な方法で(例えば、1未満の癌の再発ハザード比により)統計学的に実証し得る。別の例では、遺伝子またはmicroRNAの発現量の増加は、予後良好あるいは肯定的な予後に対して負の相関(負の関連性)を示し得る。その場合、例えば、患者は癌の再発を経験する可能性がある。

0033

本明細書において「予後良好」あるいは「肯定的な予後」という用語は、再発を伴わない長期生存等の有益な臨床転帰を指す。本明細書において「予後不良」あるいは「否定的な予後」という用語は、癌の再発等の否定的な臨床転帰を指す。

0034

リスク分類」という用語は、被験者が特定の臨床転帰を経験するリスクのレベル(あるいは尤度)を基準に、被験者をグループ化することを意味する。本開示の方法(例えば、高、中間、低リスク)に基づいて、被験者をリスクグループに分類するかリスクのレベルで分類し得る。「リスクグループ」は、特定の臨床転帰に関して同程度のリスクレベルを有する被験者、または個々のグループである。

0035

「長期」生存という用語は、特定期間(例えば、少なくとも5年、または少なくとも10年)の生存を指すために本明細書中に使用されている。

0036

「再発」という用語は、癌の局所再発もしくは遠隔再発(即ち、転移)を指すために、本明細書中に使用されている。例えば、前立腺癌は、前立腺の隣の組織内でまたは精嚢内で局所的に再発する可能性がある。癌はまた、骨盤内の周囲リンパ節またはこの領域の外側のリンパ節に影響を及ぼし得る。前立腺癌は、前立腺の隣の組織(例えば、骨盤筋、骨、もしくは他の器官)に広がり得る。再発は、例えば画像診断検査もしくは生検で検出される臨床的再発を基準に判別するか、あるいは、例えば持続的な経過観察による前立腺特異抗原(PSA)レベル≧0.4ng/mL、またはPSAレベル上昇の結果としてサルベージ療法の初発変化で検出される生化学的再発を基準に判別することができる。

0037

「臨床的無再発期間(cRFI)」という用語は、手術から初めての臨床的再発まで、または前立腺癌の臨床的再発による死亡までの期間(月数)として、本明細書中に使用されている。不完全な経過観察による喪失、他の原発性癌、または臨床的再発に先立った死亡は、検閲事象と見なされるため、これらが起きた場合、検閲時間に達するまでこの被験者に臨床的再発が起こらなかったという情報くらいしか判らない。cRFIを計算する目的上、生化学的再発は無視される。

0038

「生化学的無再発期間(bRFI)」という用語は、手術から前立腺癌の初回の生化学的再発までの期間(月数)として、本明細書中に使用されている。臨床的再発、不完全な経過観察による喪失、他の原発性癌、または生化学的再発に先立った死亡は、検閲事象と見なされる。

0039

「全体的な生存率(OS)」という用語は、手術から何らかの原因による死亡までの期間(月数)を指すために、本明細書中に使用されている。不完全な経過観察による喪失は、検閲事象と見なされる。OSを計算する目的上、生化学的再発および臨床的再発は無視される。

0040

「前立腺癌特異的生存率(PCSS)」という用語は、手術から前立腺癌による死亡までの期間(月数)を指すために、本明細書中に使用されている。不完全な経過観察による喪失または他の原因による死亡は、検閲事象と見なされる。PCSSを計算する目的上、臨床的再発および生化学的再発は無視される。

0041

本明細書において「悪性度進行」または「病期進行」という用語は、グリソングレードが生検の時点での3+3から、根治的前立腺摘除術(radical prostatectomy)(RP)の時点での3+4以上になるまでの変化、またはグリソングレードが生検の時点での3+4から、RPの時点での4+3以上になるまでの変化、またはRPの時点での精嚢浸潤(SVI)もしくは被膜外浸潤(ECE)を指す。

0042

実際問題として、上記測定の計算は、検閲対象と見なされる事象の定義に応じて、スタディごとに変化し得る。

0043

マイクロアレイ」という用語は、ハイブリダイゼーション可能なアレイ要素(例えば、基質上のオリゴヌクレオチド、またはポリヌクレオチドプローブ)の秩序立った配列を指す。

0044

ポリヌクレオチド」という用語は、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを一般に指し、それらは無修飾RNAもしくはDNA、または修飾RNAもしくはDNAであり得る。したがって、例えば、本明細書中に定義されているポリヌクレオチドは、限定はされないが、一本鎖DNA二本鎖DNA一本鎖領域二本鎖領域とを含むDNA、一本鎖RNA二本鎖RNA、および一本鎖領域と二本鎖領域とを含むRNA、ならびにDNAとRNA(一本鎖であり得るかより典型的には二本鎖であり得、かつ一本鎖領域と二本鎖領域とを含む)とを含んでなるハイブリッド分子を包含する。加えて、本明細書において「ポリヌクレオチド」という用語は、RNAもしくはDNA、またはRNAおよびDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。そのような領域内の鎖は、同じ分子からの鎖であるか、異なる分子からの鎖であり得る。領域は1つ以上の分子を全て含んだ領域を包含し得るが、より典型的には分子をいくつか含んだ領域のみを包含する。三重螺旋領域の分子の1つは、多くの場合オリゴヌクレオチドである。「ポリヌクレオチド」という用語は、特異的にcDNAを包含する。この用語は、DNA(cDNAを含む)、および1つ以上の修飾塩基を含有するRNAを包含する。したがって、安定化または他の理由で主鎖が修正されたDNAまたはRNAは、その用語が本明細書中で意図された「ポリヌクレオチド」である。本明細書で定義されている用語「ポリヌクレオチド」内には更に、イノシン等の異例の塩基を有するDNAもしくはRNA、またはトリチウム化された塩基等の修飾塩基が含有されている。一般に、「ポリヌクレオチド」という用語は、化学的に、酵素によって、かつ/または代謝的に修飾された無修飾ポリヌクレオチドの全ての形態と、ウイルスおよび細胞(単純型および複雑型細胞を含む)に特有のDNAおよびRNAの化学形態とを包含する。

0045

「オリゴヌクレオチド」という用語は、比較的短いポリヌクレオチドを指し、限定はされないが、一本鎖デオキシリボヌクレオチド、一本鎖または二本鎖リボヌクレオチド、RNArDNAハイブリッド、および二本鎖DNAを包含する。一本鎖DNAプローブオリゴヌクレオチド等のオリゴヌクレオチドは多くの場合、例えば市販のオートメーション化されたオリゴヌクレオチドシンセサイザーを使用して化学法で合成される。ただし、オリゴヌクレオチドは、細胞および有機体内でのDNAの発現によるインビトロ組み換えDNA媒介技術を含む他の様々な方法で作製し得る。

0046

本明細書において「CT」という用語は閾値サイクル(Threshold cycle)を指す。つまり、或る反応中に発生した蛍光が、定義済み閾値を優に超える時点(例えば、反応中に充分な数の単位複製配列が累積して定義済み閾値と一致した時点)での定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)のサイクル数である。

0047

本明細書において「Cp」という用語は、「クロッシングポイント(crossing point)」を指す。Cp値は、qPCR増幅曲線全体の二次導関数およびその最大値を定量化することによって計算される。Cp値は、蛍光の増加が最高に達し、PCRの対数期が開始する時点でのサイクルを表す。

0048

「閾値」あるいは「閾値処理(thresholding)」という用語は、遺伝子発現測定値と臨床反応非線形関係を考慮すると共に、レポートされた患者スコアにおける変動を更に軽減するために使用される手順を指す。閾値処理(thresholding)を適用した場合、閾値未満または閾値を超える測定値はいずれも、その閾値に設定される。遺伝子発現と転帰の非線形関係は、スムーザーまたは三次スプラインを使用し、無再発期間に対するCox PH回帰、または再発状態に対するロジスティック回帰における遺伝子発現をモデリングして、調査し得る。D.Cox,Journal of the Royal Statistical Society,Series B 34:187−220(1972)。レポートされた患者スコアの変動は、特定の遺伝子の定量化および/または検出の限界点における遺伝子発現の変動性関数として調査し得る。

0049

本明細書において「単位複製配列」という用語は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびリガーゼ連鎖反応等の増幅技術を使用して合成されたDNAの断片を指す。

0050

ハイブリダイゼーション反応の「ストリンジェンシー(stringency)」は当業者であれば容易に判別でき、一般的にプローブ長さ、洗浄温度、および塩濃度に応じて経験則に基づき算定される。一般に、プローブが長いほど適切なアニーリングを得るための所要温度は高く、一方、プローブが短いほど所要温度は低い。ハイブリダイゼーションは一般に、相補鎖がその融解温度未満の環境に存在する場合に、変性DNAが相補鎖をリアニールする能力に依存する。プローブとハイブリダイゼーション可能配列との間の所望の相同性の程度が高いほど、使用可能な相対温度が高い。結果として、相対温度が高いほど反応条件のストリンジェンシーが強まる傾向があり、一方、温度が低いほどその傾向が弱まる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーの更なる詳細および説明については、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(Wiley Interscience Publishers,1995)を参照されたい。

0051

本明細書中に定義されている「ストリンジェントな条件」または「高ストリンジェントな条件」は典型的に(1)洗浄低イオン強度および高温、例えば、50℃にて0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを使用し;(2)ハイブリダイゼーション時に42℃にて750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを含有する0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/pH6.5の50mMリン酸ナトリウム緩衝液と共に、ホルムアミド、例えば、50%(v/v)ホルムアミドなどの変性剤を使用するか、または(3)42℃にて50%ホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハート液音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、および10%硫酸デキストランを使用し、42℃にて0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)および50%ホルムアミド中で洗浄した後、55℃にてEDTA含有の0.1×SSCからなる高ストリンジェントな洗浄を行う。

0052

「中程度にストリンジェントな条件」は、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,New York:Cold Spring Harbor Press,1989の説明に従って確認でき、上記のハイブリダイゼーション条件に比べて低ストリンジェントな洗浄溶液およびハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度および%SDS)の使用を含む。中程度にストリンジェントな条件の一例は、20%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%硫酸デキストラン、および20mg/ml変性剪断サケ精子DNAを含有する溶液中で37℃にて一晩インキュベートした後、約37〜50℃にて1×SSC中でフィルタを洗浄する。プローブ長およびこれに類するもの等の因子適合させるための所要温度、イオン強度等の調整方法は、当業者によって認識されるであろう。

0053

スプライシング」および「RNAスプライシング」という用語は、交換可能に用いられており、真核細胞細胞質内に移動する連続したコード配列を有する成熟mRNAを生成するため、イントロンを除去してエクソン同士を連結するRNAプロセッシングを指す。

0054

本明細書において「共発現する」および「共発現した」という用語は、様々な患者からなる集団全体におけるそれぞれの転写物配列の量の統計的な相関を指す。ペアワイズ共発現(Pairwise co−expression)は、当該技術分野で公知の様々な方法で、例えば、ピアソン(Pearson)相関係数またはスピアマン(Spearman)相関係数を算出することによって計算できる。共発現遺伝子クリークは、グラフ理論を用いて同定し得る。共発現の解析は、正規化された発現データを使用して算定できる。或る遺伝子が、開示された特定の遺伝子と共発現すると言われるのは、遺伝子の発現量が、0.6に等しいかそれより大きいピアソン(Pearson)相関係数を呈する場合である。

0055

コンピュータベースのシステム」は、情報解析に使用されるハードウェアソフトウェアおよびデータ記憶媒体のシステムを指す。患者のコンピュータベースシステムの最小ハードウェアは、中央演算処理装置(CPU)、データ入力データ出力用ハードウェア(例えば、ディスプレイ装置)、およびデータ記憶装置を備える。現在利用可能な任意のコンピュータベースのシステムおよび/またはそのコンポーネントが、本開示の方法に関連した使用に好適であることは、当業者であれば容易に認めることができる。データ記憶媒体は、上に記載した本情報を記録する装置を備える製造品、またはそのような製造品にアクセスできる記憶アクセス装置を備える任意の製造品を含み得る。

0056

データ、プログラミング、または他の情報をコンピュータ可読媒体に「記録する」とは、当該技術分野で公知られている任意の方法を使用して情報を保存する工程を指す。保存された情報へのアクセスに用いる手段に応じて、何らかの便利なデータ記憶構造を選択できる。保存に使用できるデータプロセッサプログラムおよびフォーマットには、例えば、文書処理テキストファイルデータベースフォーマット等、様々なものがある。

0057

プロセッサ」あるいは「コンピューティング手段」とは、それに必要とされる機能を実行する任意のハードウェアおよび/またはソフトウェアの組み合わせを指す。例えば、好適なプロセッサは、電子コントローラメインフレームサーバ、またはパーソナルコンピュータデスクトップ型または携帯型)等の型式利用可能なプログラム可能デジタルマイクロプロセッサであり得る。プロセッサがプログラム可能である限り、好適なプログラミングが遠隔位置からプロセッサに伝達できるか、またはコンピュータプログラム製品(携帯型または固定型コンピュータ読み取り能記憶媒体等、基盤デバイス磁気光学、または固体かを問わない)に予め保存される。磁気媒体または光ディスクは、プログラミングを実行でき、対応する端末で各プロセッサとやり取りする好適な読み取り装置を介して読み取ることが可能である。

0058

本明細書において、「積極的サーベイランス(Active Surveillance)」および「注意深い経過観察(watchful waiting)」という用語は、症候が現れるかまたは変化するまで一切の治療なしに患者の症状を綿密に監視することを意味する。例えば、前立腺癌において注意深い経過観察(watchful waiting)は通常、他の医療問題および初期疾患を有する高齢の男性に使用される。

0059

本明細書において、「手術」という用語は、癌組織を除去するために行われる外科手術上の方法(骨盤のリンパ節切除、根治的前立腺摘除術(radical prostatectomy)、経尿道的前立腺切除術(TURP)、摘出切開、および腫瘍生検/除去を含む)に適用される。遺伝子発現解析に使用される腫瘍組織または切片は、これらの方法のいずれかによって採取し得る。

0060

本明細書において「療法」という用語は、放射線、ホルモン療法冷凍外科療法、化学療法、生物学的療法を含む、および高密度焦点式超音波療法を含む。

0061

本明細書において「TMPRSS融合」および「TMPRSS2融合」は交換可能に使用される用語であり、アンドロゲン駆動TMPRSS2遺伝子と、前立腺癌と有意な関連性があることが実証されたERGオンコジーンとの融合を指す。S.Perner,et al.,Urologe A.46(7):754−760(2007);S.A.Narod,et al.,Br J Cancer 99(6):847−851(2008)。本明細書において、陽性TMPRSS融合状態はTMPRSS融合が組織標本内に存在することを示し、一方、陰性TMPRSS融合状態はTMPRSS融合が組織標本内に存在しないことを示す。当業者であれば、TMPRSS融合状態の判定方法には、リアルタイム計量的PCR、または高スループットシークエンシング等、多くの方法があることを認識するであろう。例えば、K.Mertz,et al.,Neoplasis 9(3):200−206(2007);C.Maher,Nature 458(7234):97−101(2009)を参照のこと。

0062

遺伝子、遺伝子サブセット、およびmicroRNAを使用した遺伝子発現方法
本開示は、1つ以上の遺伝子、遺伝子サブセット、microRNA、または1つ以上のmicroRNAと、前立腺癌患者から採取される生物学的サンプルからの1つ以上の遺伝子または遺伝子サブセットとの組み合わせの発現量の測定を含む分子アッセイを提供すると共に、測定された発現量の解析も提供し、これにより癌の再発尤度に関する情報を提供する。

0063

本開示は、1つ以上の遺伝子および/またはmicroRNAの発現量に基づいて前立腺腫瘍を分類する方法を更に提供する。本開示は、特定の予後の転帰に対して正または負の関連性を示す遺伝子および/またはmicroRNAを更に提供する。例示的な実施態様において、臨床転帰はcRFI、およびbRFIを含む。別の実施形態において、予後因子に対して正または負の関連性を示す関連する1つ以上の遺伝子および/またはmicroRNAの発現量に基づいてリスクグループ内の患者を分類し得る。例示的な実施例において、予後因子はグリソン(Gleason)パターンである。

0064

開示された遺伝子およびmicroRNAの発現量を定量化するための技術的手法は、様々なものが本明細書に記載されており、限定はされないが、RT−PCR、マイクロアレイ、高スループットシークエンシング、遺伝子発現の連続解析(SAGE)、およびデジタル遺伝子発現(DGE)を含む。それらの手法については、以下で詳細に述べる。特定の態様において、各遺伝子またはmicroRNAの発現量は、遺伝子の発現産物の様々な特徴(エキソン、イントロン、蛋白質エピトープ、および蛋白質活性を含む)に関連して定量化し得る。

0065

1つ以上の遺伝子および/またはmicroRNAの発現量は、腫瘍組織において測定し得る。例えば、腫瘍組織は、腫瘍の外科的除去または摘除、または腫瘍生検によって採取し得る。腫瘍組織は、組織学的に「正常な」組織(例えば、腫瘍に隣接した組織学的に「正常な」組織)であり得るか、またはそのような組織を含み得る。遺伝子および/またはmicroRNAの発現量はまた、腫瘍から遠く離れた部位から回収される腫瘍細胞、例えば、循環腫瘍細胞、体液(例えば、尿、血液、血液分画等)においても測定し得る。

0066

検定される発現生成物は、例えば、RNAまたはポリペチドであり得る。発現産物は、断片化し得る。例えば、アッセイでは、発現産物の標的配列相補的プライマーを使用でき、したがって、完全な転写物だけでなく、標的配列を含む断片化された発現産物も測定できる。更なる情報は、表A(特許請求の範囲よりも上部の明細書中に挿入されている)に掲載されているとおりである。

0067

RNA発現産物は、直接検定してもよいし、またはPCRベース増幅方法、例えば、定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)で生じたcDNA産物の検出によって検定することもできる(例えば、米国特許第7,587,279号明細書を参照)。ポリペチド発現産物は、免疫組織化学(IHC)を使用して検定し得る。更に、RNAおよびポリペチド発現産物の両方はまた、マイクロアレイを使用して検定し得る。

0068

臨床的有用性
前立腺癌は現在、デジタル直腸診(DRE)および前立腺特異抗原(PSA)試験を使用して診断されている。PSA結果が高い場合、患者は一般的に前立腺組織生検を受ける。病理学者は、生検サンプルの確認および癌細胞の検査によってグリソンスコアを判定する。内科医はグリソンスコア、PSA、臨床病期、および他の因子に基づいて、患者を監視するか、それとも患者を手術および療法で治療するか決定をする必要がある。

0069

現在、初期前立腺癌における臨床上の意思決定を左右するのは、特定の組織病理学的因子および臨床因子である。これら因子のとしては、以下のものが挙げられる。(1)臨床病期(例えばT1、T2)、提示されたPSAレベル、およびグリソングレードなど、転帰の定量化において極めて強力な予後因子である腫瘍因子;ならびに(2)診断時の年齢および同時罹患率等の宿主因子。これらの因子が存在するため、限局性疾患の患者を予後によって層別化する臨床的に最も有用な手段は、臨床病期、血清PSAレベル、および腫瘍悪性度(グリソングレード)を併用し、多因子による病期分類を介してなされている。2007年度にAmerican Urological Association(AUA)が更新した、臨床的限局性前立腺癌の処置に関するガイドラインでは、これらのパラメーターをグループ化することによって、局所療法後の患者の生化学的(PSA)再発リスク状態(低、中、または高)を判定できるようにしている。I.Thompson,et al.,Guideline for the management of clinically localized prostate cancer,J Urol.177(6):2106−31(2007)。

0070

そのような分類を行った場合、手術/放射線を受けた後に補助療法を必要とし得る限局性疾患の患者を識別する上では役立つであることが証明されてきたが、反面、局所療法による処置を必要としない緩慢性の癌と局所療法を要する攻撃的な腫瘍との区別は付き難い。事実上、PSAスクリーニングで診断される前立腺癌の大多数は現在、臨床病期がT1cでかつPSA≦10ng/mLであるため、これらのアルゴリズムは、次第に、保存療法(conservative management)と原因療法(definitive therapy)との判別に使用するには限界が生じてきた。

0071

T1期の前立腺癌患者は、臨床的に明らかでない疾患を有するが、PSAが高いため(>4ng/mL、T1c)、前立腺経尿道を摘除したとき(TURP、T1a、T1b)または実施された生検において発見される。2007年度に存在する症例の約80%は、診断時に臨床T1期にある。スカンジナビア試験によれば、根治的前立腺摘除術(radical prostatectomy)後に初期前立腺癌(T1/T2)およびグリソンスコア≦7の患者における10年を経た時点での全体的な生存率(OS)は85%であった。

0072

T2前立腺癌を有する患者は、臨床的に明らかでかつ器官に限局した疾患に罹患しており、T3腫瘍を有する患者の疾患は、前立腺被膜に侵入しかつ/または精嚢を浸潤している疾患に罹患している。臨床病期分類が病理病期を過小評価しており、臨床的にT2期にある患者の約20%は前立腺切除後にpT3期に進むことが、外科的シリーズから判明している。T2またはT3前立腺癌患者のほとんどは、前立腺切除または放射線のいずれか一方の局所療法で処置されている。スカンジナビア試験からのデータによれば、グリソングレード≦7であるT2患者においては、前立腺切除が生存に及ぼす効果は10年経た時点で最高でも5%にすぎない。つまり、患者の大多数は、診断の時点で外科的療法による利益が得られていない。グリソンが7より大きいT2患者の場合、またはT3患者の場合、前立腺切除の療法効果は有意であると見なされるが、その有意性ランダム化試験では定量化されなかった。公知のとおり、これらの患者は局所療法後10年を経た時点で有意な再発リスク(10〜30%)を有する。ただし、診断の時点において最適な局所療法(根治的前立腺摘除術(radical prostatectomy)、放射線)、どの患者がネオアジュバント/アジュバントアンドロゲン遮断療法からメリットが得られる可能性が高いか、またどの療法(アンドロゲン遮断、化学療法)が生化学的に衰弱した(PSAの上昇)の時点で何らかの臨床的利益をもたらすかを定義するプロスペクテブランダム化試験(prospective randomized trial)は存在していない。

0073

ニードル生検からグリソンスコアを正確に定量化するにあたって、技術上の課題がいくつか存在する。第一に、グリソンパターン間の「ボーダーライン」である組織構造を解釈することは、泌尿器学的病理学者にとってさえ非常に主観的である。第二に、生検に関して「予測された」グリソンスコアが、自体における前立腺癌の実際の「観測された」グリソンスコアと必ずしも相関しない理由としては、上記のほかに、生検サンプリングが不完全であることも挙げられる。このため、グリソンスコアリングの精度は、スライド解読する病理学者の専門知識によってだけでなく、前立腺の生検サンプリングストラテジーの完全性および妥当性によっても左右される。T.Stamey,Urology 45:2−12(1995)。遺伝子/microRNAの発現アッセイ、および本明細書中に開示されている方法の実施によって提供される関連情報は、初期前立腺癌における最適な処置についての意思決定を容易にする分子アッセイ方法を提供する。例示的な実施態様では、発現量が前立腺癌の再発に対して(正または負の)関連性を示す遺伝子およびmicroRNAが提供されている。例えば、そのような臨床ツールがあれば、原因療法(definitive therapy)後に再発する可能性が高くかつ補助療法を必要とするT2/T3期の患者を、内科医が同定することも可能になる。

0074

加えて、内科医であれば本明細書中に開示されている方法を使用することにより、グリソンパターンおよびTMPRSS融合状態等の予後因子と有意に関連する1つ以上の遺伝子および/またはmicroRNAの発現量に基づいて、腫瘍を分子レベルで分類することが可能になる。これらの方法は、患者同士(intra−patient)の変動性、生検サンプルにおけるグリソンパターンの組織学的な定量化、または腫瘍組織に隣接する組織学的に正常な外観の組織の封入といった技術的問題の影響を受けない。複数の検体遺伝子/microRNAの発現試験を使用して、いくつかの適切な生理学的プロセスまたは構成要素の細胞特性の各々に関与する1つ以上の遺伝子および/またはmicroRNAの発現量を測定し得る。本明細書に開示されている方法は、遺伝子、および/またはmicroRNAをグループ化し得る。遺伝子およびmicroRNAのグループ化は、それらの遺伝子および/またはmicroRNAの貢献の知識に少なくとも部分的に基づき、例えば上に述べたグループにおける生理学的機能または構成要素の細胞特性に従って実行できる。更にまた、1つ以上のmicroRNAは、1つ以上の遺伝子と結合し得る。遺伝子とmicroRNAとの組み合わせは、遺伝子とmicroRNAとの組み合わせが機能的に相互作用する尤度に基づいて選択できる。加えて、グループ(または遺伝子サブセット)を形成することによって、癌再発に対する様々な発現量の寄与の数学的重み付けを容易化できる。生理的プロセスまたは構成要素の細胞特性を表す遺伝子/microRNAグループの重み付けは、そのプロセスの貢献を反映し得るか、または癌および臨床転帰の病理の特性を示している。

0075

任意選択的に、開示されている方法を用い、リスク(例えば、再発リスク)を基準に患者を分類し得る。患者は、サブグループ(三分位値または四分位値など)に区分化できる。患者のサブグループに対する各リスクの大/小は、選択された値によって定義される。

0076

予後を予測する上で開示されている遺伝子マーカーの有用性は、そのマーカーに特有のものでない場合がある。開示されている遺伝子の発現パターンと類似の発現パターンを有する代替マーカーは、その共発現遺伝子またはmicroRNAで置換し得るか、または加えて使用し得る。そのような遺伝子またはmicroRNAが共発現するので、発現量値の置換は試験の全体的有用性にほとんど影響してはならない。2つの遺伝子またはmicroRNAのかなり類似する発現パターンは、同じプロセスにおいて遺伝子またはmicroRNAの両方の関与によって生じる場合があり、かつ/または前立腺腫瘍細胞内で一般的な制御調節下に置かれる場合がある。したがって、本開示は、そのような共発現遺伝子、遺伝子、サブセットもしくはmicroRNAを、本開示の遺伝子の代替として、または本開示の遺伝子に付加して使用することを企図している。

0077

遺伝子産物の発現量アッセイ方法
本開示の方法および組成物には、特に明記しない限り、当該分野の技術の範囲内にある分子生物学の従来技術(組み換え技術を含む)、微生物学細胞生物学、および生化学が利用されている。例示的な技術は、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,2nd edition(Sambrook et al.,1989);“Oligonucleotide Synthesis”(M.J.Gait,ed.,1984)、“Animal Cell Culture”(R.I.Freshney,ed.,1987)、“Methodsin Enzymology”(Academic Press,Inc.)、“Handbook of Experimental Immunology”,4th edition(D.M.Weir & C.C.Blackwell,eds.,Blackwell Science Inc.,1987)、“Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells”(J.M.Miller & M.P.Calos,eds.,1987)、“Current Protocols in Molecular Biology”(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987)、および“PCR:The Polymerase Chain Reaction”,(Mullis et al.,eds.,1994)等の文献中で詳細に説明されている。

0078

遺伝子発現プロファイリングの方法としては、ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション解析に基づく方法、ポリヌクレオチドの配列決定に基づく方法、およびプロテオミクスに基づく方法が挙げられる。サンプル中のRNAの発現を定量化するための例示的方法としては、当該技術分野で公知のノーザンブロット法およびin situハイブリダイゼーション(Parker & Barnes,Methodsin Molecular Biology 106:247−283(1999))、リボヌクレアーゼ(RNAse)プロテクションアッセイ(Hod,Biotechniques 13:852−854(1992))、およびPCRに基づく方法、例えば、逆転写PCT(RT−PCR)(Weis et al.,Trends in Genetics 8:263−264(1992))が挙げられる。配列特異的二重鎖を認識できる抗体(例えば、DNA二重鎖、RNA二重鎖、およびDNA‐RNAハイブリッド二重鎖、またはDNA−蛋白質二重鎖など)を用いてもよい。配列決定に基づく遺伝子発現解析方法の代表例としては、遺伝子発現の連続解析(SAGE)、および大量並行シグネチャー配列決定(massively parallel signature sequencing)(MPSS)による遺伝子発現解析が挙げられる。

0079

逆転写PCR(RT−PCR)
典型的には、mRNA(microRNA)は、試験サンプルから単離される。出発原料は、典型的には、ヒト腫瘍(通常、原発性腫瘍)から単離される総RNAである。任意選択的に、同じ患者からの正常な組織を内部対照として使用できる。そのような正常な組織は、腫瘍に隣接した組織学的に正常な外観の組織であり得る。mRNAまたはmicroRNAは、組織標本から(例えば、新鮮冷凍された(例えば新鮮凍結)、またはパラフィン包埋(例えばホルマリン固定)サンプルから)抽出されたものであってよい。

0080

mRNAおよびmicroRNA抽出の一般的な方法は当該技術で周知であり、Ausubel et al.,Current Protocols of Molecular Biology,John Wiley and Sons(1997)等の分子生物学の標準教科書で開示されている。パラフィン包埋組織からRNAを抽出する方法は、例えば、Rupp and Locker,Lab Invest.56:A67(1987)、およびDe Andres et al.,BioTechniques 18:42044(1995)で開示されている。特に、RNAの単離は、精製キット緩衝液セット、およびQiagen等の商業的な製造業者からのプロテアーゼを使用して、そのメーカーの指示に従い実施できる。例えば、培養物内の細胞からの総RNAはQiagen RNeasyミニカラムを使用して単離し得る。他の市販RNA単離キットとしては、MasterPure(商標)Complete DNA and RNA Purification Kit(EPICENTRE(登録商標)、Madison,WI)、およびParaffin Block RNA Isolation Kit(Ambion社)が挙げられる。組織標本からの総RNAは、RNA Stat−60(Tel−Test)を使用して単離し得る。腫瘍から調製されたRNAは、例えば、塩化セシウム密度勾配遠心分離によって単離し得る。

0081

次いで、RNA含有のサンプルを逆転写にかけ、RNA鋳型からcDNAを生成した後、PCR反応において指数関数的増幅を行う。最も一般的に使用されている逆転写酵素としては、トリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(AMV−RT)、およびモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(MMLV−RT)の2つがある。逆転写工程は、典型的には、状況および発現プロファイリング目標に応じて特定のプライマー、ランダムヘキサマー(random hexamer)、またはオリゴdTプライマーを使用してプライムされる。例えば、抽出されたRNAは、メーカーの指示に従い、GeneAmp RNAPCRキット(Perkin Elmer,CA,USA)を使用して逆転写できる。続いて、誘導されたcDNAは以降のPCR反応で鋳型として使用できる。

0082

PCRベースの方法では、耐熱DNA依存性DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ)を使用する。例えば、TaqMan(登録商標)PCRは典型的には、TaqポリメラーゼまたはTthポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性を利用し、そのアンプリコンに結合されているハイブリダイゼーションプローブ加水分解するが、等価な5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素であれば、どのような酵素でも使用できる。2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、PCR反応生成物に典型的なアンプリコンを生成する。第3のオリゴヌクレオチドまたはプローブは、2つのPCRプライマーハイブリダイゼーション部位間に位置するアンプリコンのヌクレオチド配列の検出を容易にするように設計し得る。プローブは、レポーター色素等で検出可能に標識でき、更に蛍光染料および失活剤蛍光染料の両方で標識してTaqman(登録商標)プローブ構成として提供できる。Taqman(登録商標)を使用した場合、増幅反応中にTaq DNAポリメラーゼ酵素は、鋳型に依存した方法でプローブを開裂する。結果として得られたプローブ断片は溶液中で分離し、放出されたレポーター色素からのシグナルは、第2の蛍光体消光効果を免れる。新しい分子が合成されるたびに、レポーター色素の1分子が遊離される。消光されていないレポーター色素の検出は、データの定量的解釈の基礎となる。

0083

TaqMan(登録商標)RT−PCRは、市販の機器(例えば、ABIRISM7700 Sequence Detection System(登録商標)(Perkin−Elmer−Applied Biosystems,FosterCity,CA,USA)、またはLightcycler(Roche Molecular Biochemicals,Mannheim,Germany)等の高スループットのプラットフォーム)を使用して実施できる。好適な実施形態では、手順をマイクロウェルプレートベースのサイクラープラットフォームであるLightCycler(登録商標)480(Roche Diagnostics)リアルタイムPCRシステム上で実行する。

0084

5’ヌクレアーゼアッセイデータは一般的に、初めに閾値サイクル(「CT」)として表される。蛍光値は全てのサイクルで記録され、増幅反応においてその位置に増幅される生成物の分量を表す。閾値サイクル(CT)は、蛍光シグナルが統計的に有意として初めて記録される時点である、と一般的に説明される。代わりに、データをクロッシングポイント(crossing point)(「Cp」)として表すこともできる。Cp値は、qPCR増幅曲線全体の二次導関数、およびその最大値を定量化することによって計算される。Cp値は、蛍光の増加が最高に達してPCRの対数期が開始するサイクルを表す。

0085

誤差およびサンプル間の変動の効果を最小限に抑えるため、RT−PCRは通常、内部標準を使用して実施される。理想的な内部標準遺伝子リファレンス遺伝子も呼ばれる)は、同じ起源(即ち、正常組織および癌組織間で有意な相異のないレベル)の癌組織および非癌組織の間で極めて一定のレベルにて表され、実験的処置による有意な影響を受けず(即ち、化学療法に露出された結果として、関連する組織内での発現量における有意差を呈さず)、別々の患者から採取された同じ組織同士の間で極めて一定のレベルで表される。例えば、本明細書中に開示されている方法において有用なリファレンス遺伝子は、癌性前立腺内で、正常前立腺組織と比較して有意に相異する発現量を呈してはならない。遺伝子発現のパターンを正規化する際によく用いられるRNAは、ハウスキーピング遺伝子グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)およびβ−アクチンのmRNAである。正規化に使用される例示的なリファレンス遺伝子は、遺伝子AAMP、ARF1、ATP5E、CLTC、GPS1、およびPGK1のうちの1つ以上を含んで構成される。遺伝子発現の測定値は、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上)のリファレンス遺伝子の平均を基準に正規化できる。基準により正規化された(Reference−normalized)発現測定値は2から15までの範囲に及ぶ可能性があり、ここで、1単位の増加は一般に、RNA量における2倍の増加を反映する。

0086

リアルタイムPCRは、標的配列ごとの内部競合核酸(competitor)を正規化に使用する定量的比較PCRと、サンプル中に含有する正規化遺伝子またはRT−PCR用ハウスキーピング遺伝子を使用する定量的比較PCRの両方と互換性を持つ。詳細については、例えば、Held et al.,Genome Research 6:986−994(1996)を参照のこと。

0087

本開示の方法に用いられる代表的なプロトコールのステップでは、固定パラフィン包埋組織をRNA供給源として使用する。例えば、mRNAの単離、精製、プライマー伸張および増幅は当該技術分野で利用可能な方法を用いて実施できる(例えば、Godfrey et al.J.Molec.Diagnostics 2:84−91(2000);Specht et al.,Am.J.Pathol.158:419−29(2001))を参照のこと。簡潔に言うと、典型的なプロセスでは、初めに、パラフィン包埋腫瘍組織標本の約10μm厚の切片を切断する。その後、RNAを抽出し、蛋白質およびDNAをRNA含有のサンプルから除去する。RNA濃度を解析した後、遺伝子特異的プライマーを使用してRNAを逆転写し、続いてcDNA増幅産物に対してRT−PCRを行う。

0088

イントロンベースのPCRプライマーおよびプローブの設計
PCRプライマーおよびプローブは、対象遺伝子mRNA転写物中に存在するエクソンまたはイントロン配列に基づいて設計できる。プライマー/プローブの設計を行う際は、DNABLATソフトウェア(開発元:Kent,W.J.,Genome Res.12(4):656−64(2002))等の一般公開されているソフトウェア、またはBLASTソフトウェア(そのバリエーションを含む)を使用できる。

0089

必要であるか望ましい場合、標的配列の反復塩基配列は、非特異的シグナルが緩和されるようにマスクし得る。これを遂行するための例示的なツールとしては、反復因子ライブラリに対してDNA配列をスクリーニングし、内部で反復因子がマスクされる問い合わせ配列を返すためのRepeat Maskerプログラム(Baylor College of Medicineを介してオンラインで利用可能な)が挙げられる。その後、Primer Express(Applied Biosystems)、MGB assay−by−design(Applied Biosystems)、Primer3(Steve Rozen and Helen J.Skaletsky(2000)Primer3 on the WWW for general users and for biologist programmers)等の市販またはそれ以外の一般公開されているプライマー/プローブ設計パッケージいずれかを使用して、マスクしたイントロン配列を使用してプライマーおよびプローブ配列を設計することができる。S.Rrawetz,S.Misener,Bioinformatics Methodsand Protocols:Methods in Molecular Biology,pp.365−386(Humana Press)を参照のこと。

0090

PCRプライマー設計に影響する可能性のある他の因子としては、プライマーの長さ、融解温度(Tm)およびG/C含量、特異性相補プライマー配列、ならびに3’末端配列が挙げられる。一般に、PCRプライマーは概ね17〜30塩基の長さで、約20〜80%の含有率(例えば、約50〜60%のG+C塩基)であり、50〜80℃の間(例えば、約50〜70℃)の融解温度を呈するものが、最適である。

0091

PCRプライマーおよびプローブの設計に関するガイドラインの詳細については、例えば、Dieffenbach,CW.et al,“General Concepts forPCRPrimer Design”in:PCR Primer,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,.New York,1995,pp.133−155、Innis and Gelfand,“Optimization of PCRs”in:PCR Protocols,A Guide to Methodsand Applications,CRCPress,London,1994,pp.5−11、およびPlasterer,T.N.Primerselect:Primer and probe design.Methods MoI.Biol.70:520−527(1997)を参照のこと。それらの開示全体は、本明細書中で引用により明示的に援用されている。

0092

本明細書に開示されている実施例と関連するプライマー、プローブ、およびアンプリコン配列に関する詳細は、表Aに記載のとおりである。

0093

MassARRAY(登録商標)システム
MassARRAYベースの方法、例えば、Sequenom、Inc.(San Diego、CA)が策定した例示的な方法では、RNAの単離および逆転写の後、採取されたcDNAを競合核酸(competitor)である合成DNA分子スパイクし、単一塩基を除く全ての位置にある標的cDNA領域と照合して、内部標準として作用する。cDNA/競合核酸(competitor)の混合物は、増幅されたPCRであり、PCR後のシュリンプ由来アルカリホスファターゼSAP酵素処理を施すことによって、残存ヌクレオチドが脱リン酸化される。アルカリホスファターゼの失活後、競合核酸(competitor)およびcDNAからのPCR産物にプライマー伸張法を行い、それによって、競合核酸(competitor)およびcDNAで誘導されたPCR産物に対して明白なマスシグナルを生成する。精製後、これらの生成物をチップアレイ上に分取し、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法飛行時間型質量解析計(MALDI−TOF MS)解析での解析に必要とされる成分を予め装填する。その後、反応において存在するcDNAは、生成されたマススペクトルにおけるピーク領域の比率を解析することによって定量化される。詳細については、例えば、Ding and Cantor,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100:3059−3064(2003)を参照のこと。

0094

他のPCRベースの方法
本明細書中に開示されている方法に使用できるPCRベースの技術としては、上述のもの以外に、例えば、BeadArray(登録商標)技術(Illumina,San Diego,CA;Oliphant et al.,Discovery of Markers for Disease(Supplement to Biotechniques),June 2002、Ferguson et al.,Analytical Chemistry 72:5618(2000))、遺伝子発現の迅速アッセイ法において市販のLuminex100 LabMAP(登録商標)システムおよび複数カラーコードミクロスフィア(Luminex Corp.,Austin,TX)を用いた遺伝子発現検出用ビーズアレイ法(BeadsArray for Detection of Gene Expression(BADGE))(登録商標))(Yang et al.,Genome Res.11:1888−1898(2001))、ならびに高カバー率遺伝子発現プロフィール(high coverage expression profiling(HiCEP))解析法(Fukumura et al.,Nucl.Acids.Res.31(16)e94(2003))が挙げられる。

0095

マイクロアレイ
関心のある遺伝子またはマイクロアレイの発現量の評価には、マイクロアレイ技術を利用することもできる。この方法では、関心のあるポリヌクレオチド配列(cDNAおよびオリゴヌクレオチドを含む)は、基質上に配列される。その後、アレイ配列(arrayed sequence)は、特定のハイブリダイゼーションに好適な条件下で、試験サンプルのRNAから生成された検出可能に標識されたcDNAと接触される。RT−PCR方法の場合と同様にRNA供給源は、典型的には、腫瘍サンプルから単離された総RNAであり、任意選択的には、同じ患者の正常組織から内部標準または細胞系として単離された総RNAである。RNAは、例えば、凍結またはアーカイブされたパラフィン包埋、および固定(例えばホルマリン固定)組織標本から抽出できる。

0096

例えば、アッセイ対象となる遺伝子のcDNAクローンのPCR増幅済みインサートは、高密度の配列内の基質に適用される。通常、少なくとも1万のヌクレオチド配列が基質に適用される。例えば、マイクロチップ上に1万要素ごとに不動化されたマイクロアレイ遺伝子は、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションに好適である。蛍光標識cDNAプローブは、関心のある組織から抽出されたRNAの逆転写によって蛍光ヌクレオチドを組み込むことで生成し得る。チップに適用された標識cDNAプローブは、アレイ上のDNAの各スポットと特異的にハイブリダイズする。ストリンジェントな条件下で洗浄して、非特異的に結合しているプローブを取り除いた後、共焦レーザー顕微鏡、または別の検出方法CCDカメラ等)でチップをスキャンする。各アレイ済み要素のハイブリダイゼーションを定量化することにより、対応するRNAの存在量の評価が可能になる。

0097

二色蛍光により、2つのRNA供給源から生成された別個の標識cDNAプローブを、ペアでアレイにハイブリダイズさせる。したがって、各特異的遺伝子に対応する2つの供給源からの転写物の相対存在量が、同時に定量される。ハイブリダイゼーションを小規模化すると、大量の遺伝子の発現パターンを簡便かつ迅速に評価できる。そのような方法は、1細胞あたり2〜3のコピー数で発現される稀少な転写物を検出するだけでなく、発現量において少なくとも約2倍の差を再現的に検出するのにも必要な感度を有することが証明されてきた(Schena et at,Proc.Natl.Acad.ScL USA 93(2):106−149(1996))。マイクロアレイ解析は、Affymetrix GenChip(登録商標)技術またはIncyteのマイクロアレイ技術等の製造業者のプロトコールに従い、市販の機器で実施できる。

0098

遺伝子発現の連続解析(SAGE)
遺伝子発現の連続解析(SAGE)は、転写産物ごとに個々のハイブリダイゼーションプローブを提供する必要なしに多数の遺伝子転写物を同時かつ定量的に解析するための方法である。最初に、転写物を一意に同定するのに充分な情報を含む短配列タグ(約10〜14bp)を生成する。ただし、そのタグは、各転写物内の一意の位置から採取されることを条件とする。その後、配列できる多数の転写物を一括に連結し、長い連続分子を形成して、同時に複数のタグの同一性暴露する。転写物の任意の母集団の発現パターンは、個々のタグの存在量を定量化し、各タグに対応する遺伝子を同定することによって、定量的に評価し得る。詳細については、例えば、Velculescu et al.,Science 270:484−487(1995)、およびVelculescu et al.,Cell 88:243−51(1997)を参照のこと。

0099

核酸配列決定による遺伝子発現解析
核酸配列決定技術は、遺伝子発現解析に好適な方法である。これらの方法の基礎をなすのは、サンプル中にcDNA配列が検出される回数が、その配列に対応するRNAの相対的な発現に直接に関連するという原理である。これらの方法は時折、結果として得られたデータの離散的な数値特性を反映する、デジタル遺伝子発現(DGE)という用語で呼ばれることもある。この原理が適用されている初期の方法は、遺伝子発現の連続解析(SAGE)および大量並行シグネチャー配列決定(massively parallel signature sequencing)(MPSS)であった。例えば、S.Brenner,et al.,Nature Biotechnology 18(6):630−634(2000)を参照のこと。最近では、「次世代の」配列決定技術の出現によって、DGEが単純化され、スループットが向上し、しかも入手しやすくなった。その結果、DGEを利用することによって、これまでよりも多くの個々の患者サンプルにおいて従来可能であったよりも多くの遺伝子の発現をスクリーニングできるようになったラボが増加つつある。例えば、J.Marioni,Genome Research 18(9):1509−1517(2008);R.Morin,Genome Research 18(4):610−621(2008);A.Mortazavi,Nature Methods5(7):621−628(2008);N.Cloonan,Nature Methods 5(7):613−619(2008)を参照のこと。

0100

体液からのRNAの単離
発現解析用にRNAを血液、血漿および血清から(例えば、K.Enders,et al.,Clin Chem 48,1647−53(2002)および同書中の引用文献を参照)、更には尿から(例えば、R.Boom,et al.,J Clin Microbiol.28,495−503(1990)および同書中の引用文献を参照)単離する方法が記載されている。

0101

免疫組織化学
免疫組織化学方法はまた、遺伝子の発現量の検出に好適であり、本明細書中に開示されている方法に対する適用されている。そのような方法においては、関心のある遺伝子の遺伝子産物と特異的に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体)を使用できる。例えば、放射性ラベル蛍光ラベルビオチン等のハプテンのラベル、またはワサビ由来ペルオキシダーゼもしくはアルカリホスファターゼ等の酵素で抗体自体を直接標識することによって、抗体を検出し得る。あるいは、未標識の一次抗体を、一次抗体に特異的な標識二次抗体と共に使用することもできる。免疫組織化学プロトコールおよびキットは当該技術分野において周知であり、市販されている。

0102

プロテオミクス
プロテオーム」という用語は、或る時点でサンプル(例えば組織、有機体または細胞培養液)中に存在する蛋白質の総量として定義される。プロテオミクスは、とりわけ、サンプルの蛋白質発現の全体的な変更の研究を包含する(「発現プロテオミクス」とも呼ばれる)。プロテオミクスは典型的には、(1)二次元ゲル電気泳動(2−D PAGE)でサンプル中の個々の蛋白質を分離する工程と、(2)ゲルから回収された個々の蛋白質を同定する工程(例えばマイマススペクトロメトリーまたはN末端配列決定)と、(3)バイオインフォマテクスを使用してデータを解析する工程を含む。

0103

mRNA/microRNAの単離、精製および増幅の概説
固定パラフィン包埋組織をRNA供給源として使用した遺伝子発現プロファイリングの代表的プロトコールの工程(mRNAまたはmicroRNAの単離、精製、プライマー伸長および増幅を含む)は、様々な発行ジャーナル記事に提供されている(例えば、T.E.Godfrey,et al.,J.Molec.Diagnostics 2:84−91(2000);K.Specht et al.,Am.J.Pathol.158:419−29(2001),M.Cronin,et al.,Am J Pathol 164:35−42(2004)を参照)。代表的な方法では、まず組織標本部(例えば、パラフィン包埋腫瘍組織標本の約10μm厚の断片)を切断する。次いで、RNAを抽出し、蛋白質およびDNAを除去する。RNA濃度の解析の後、必要に応じてRNA修復を実行する。続いて、例えば、遺伝子特異的プロモーターを使用した逆転写によってサンプルを解析にかけた後、RT−PCRを行うことができる。

0104

遺伝子およびmicroRNAの発現量の同定における統計解析
本明細書中に記述されているように、関心のあるパラメーター(例えば、再発)とマーカー遺伝子/microRNAの発現量との間に有意な関係があるかどうかの判定に使用できる統計的方法が数多くあることは、当業者に認識されるであろう。例示的な実施例において、本発明は、前立腺癌患者からの組織およびデータを使用して、層化されたコホートサンプリングデザインケースコントロールサンプリングの形態)を提供する。標本の選択範囲は、病期T期(T1、T2)、年度コホート(<1993、=1993)、および前立腺切除グリソンスコア(低/中、高)を基準に層化した。臨床的再発を伴った全ての患者を選択し、臨床的再発を経験しなかった患者サンプルを選択した。患者ごとに、最高2つの濃縮された腫瘍標本、および1つの正常な外観の組織標本を検定した。

0105

全ての仮説試験が、両側p値を使用してレポートされた。転帰(臨床的無再発期間(cRFI)、生化学無再発期間(bRFI)、前立腺癌特異的生存率(PCSS)および全生存率(OS))と、個々の遺伝子および/またはmicroRNAとの間に有意な関係があるかどうかを調査する目的から、重み付き擬似最偏尤推定量(maximum weighted pseudo partial−likelihood estimator)を使用した人口統計学的または臨床的共変量Cox比例ハザード(PH)モデルを使用した。危険率(HR)が1であるという帰無仮説ウォールド試験から得られたp値をレポートする。個々の遺伝子および/またはmicroRNAと特定のサンプルのグリソンパターンとの間に有意な関係があるかどうかを調査する目的から、重み付き最尤法(maximum weighted likelihood method)を使用した序数ロジスティック回帰(ordinal logistic regression)モデルを使用した。オッズ比(OR)が1であるという帰無仮説のウォールド試験から得られたp値をレポートする。

0106

同時発現解析
本開示は、ステージング遺伝子、または特定のステージング遺伝子と共発現する遺伝子の発現に基づいて腫瘍の病期を判定する方法を提供する。特定の生物学的プロセスを実行するために、遺伝子同士は多くの場合、協調して連携(即ち、共発現)する。癌などの疾病経過において同定された共発現遺伝子群は、腫瘍状態および疾患進行バイオマーカーの役目を果たし得る。そのような共発現遺伝子は、共発現した相手のステージング遺伝子をアッセイする代わりに、またはそのようなアッセイに付加してアッセイできる。

0107

例示的な実施例において、調査対象となった前立腺癌標本の間での遺伝子発現量共同相関を評価することもできる。この目的のために、遺伝子および標本の間の相関構造を、階層的クラスター方法を介して調査することもできる。この情報を用いることによって、前立腺癌標本内で高度な相関を示すことが公知である遺伝子同士が、予期したように群生することを確認し得る。一変量Cox PH回帰分析におけるcRFIと名目上有意な(未調整のp<0.05)関係を示す遺伝子だけが、これらの解析の対象として含まれる。

0108

現在公知であるかまたは以後に策定される共発現解析方法の多くは、本発明の範囲および趣旨の範囲内に入るであろう。これらの方法は、例えば、相関係数、共発現ネットワーク分析クリーク分析等を含むものであってもよいし、RT−PCR、マイクロアレイ、塩基配列決定、および他の類似技術から得られる発現データに基づくものであってもよい。例えば、遺伝子発現クラスターは、相関のペアワイズ解析を使用し、ピアソン(Pearson)相関係数またはスピアマン(Spearman)相関係数に基づいて同定し得る(例えば、Pearson K.and Lee A.,Biometrika 2,357(1902);C.Spearman,Amer.J.Psychol 15:72−101(1904);J.Myers,A.Well,Research Design and Statistical Analysis,p.508(2nd Ed.,2003)を参照)。

0109

発現量の正規化
本明細書中に開示されている方法に用いられる発現データは、正規化することが可能である。正規化とは、例えば、アッセイされたRNAの量の差、および使用されるRNAの質の変動性を修正(変動性を排除して正規化)して、CTまたはCp測定値、およびこれらに類するものにおける系統的バリエーションの不要ソースを除去する工程を指す。アーカイブされた固定パラフィン包埋組織標本を含むRT−PCR実験に関して、系統的バリエーションのソースは、患者サンプルの時間経過、およびサンプルの貯蔵に使用される定着剤の種類を基準としたRNA分解の程度を包含したものであることは公知である。系統的バリエーションの他のソースは、ラボの処理条件に起因する。

0110

関連する条件の下で発現量に有意差のない特定の正規化遺伝子の発現は、アッセイ対象に含めることによって、アッセイにて正規化することができる。本明細書中に開示されている例示的な正規化遺伝子としては、ハウスキーピング遺伝子が挙げられる(例えば、E.Eisenberg,et al.,Trendsin Genetics 19(7):362−365(2003)を参照)。正規化は、アッセイされた全ての遺伝子の平均値もしくはメジアンシグナル(CTまたはCp)、またはその大規模サブセット(全体的な正規化手法)に基づくことができる。一般に、リファレンス遺伝子とも呼ばれる正規化する遺伝子は、癌性前立腺内で、非癌性前立腺組織と比較して有意に相異する発現量を呈さないことが公知で、かつ様々なサンプルおよび処理条件による有意な影響を受けない遺伝子であるべきであり、それゆえ外的影響を排除して正規化に対応できる。

0111

例示的な実施態様において、mRNAまたはmicroRNAの発現データを正規化するための基準として使用される1つ以上の遺伝子は、AAMP、ARF1、ATP5E、CLTC、GPS1およびPGK1である。別の例示的な実施態様において、microRNAの発現データを正規化するための基準として使用される1つ以上のmicroRNAは、hsa−miR−106a;hsa−miR−146b−5p;hsa−miR−191;hsa−miR−19b;およびhsa−miR−92aである。予後遺伝子および予測的遺伝子またはmicroRNAごとの較正済み加重平均CTまたはCp測定値は、5つ以上のリファレンス遺伝子またはmicroRNA平均値を基準にして正規化し得る。

0112

正規化を実行できる手段は数多くある。上述の技術は網羅的なものではなく、単なる例示を意図したものであることは、当業者に認識されるであろう。

0113

発現量の標準化
本明細書中に開示されている方法に用いられる発現データは、標準化することが可能である。標準化は、全ての遺伝子またはmicroRNAを事実上比較できる尺度に変換する工程を指す。この標準化を行う理由は、一部の遺伝子またはmicroRNAが他に比べて多くのバリエーションを示す(発現がより広範である)ためである。標準化は、その遺伝子またはmicroRNAの全てのサンプルにおける各発現値をその標準偏差除算することによって行う。その場合、ハザード比は、発現における1標準偏差増分あたりの相対再発リスクとして解釈される。

0114

本発明のキット
本発明の方法に使用される材料は、周知の手順に従って製作されたキットの調製に好適である。したがって、本開示は、開示されている遺伝子またはmicroRNAの発現を定量化し、予後の転帰または治療に対する反応を予測するために、遺伝子(もしくはmicroRNA)特異的プローブ、遺伝子(もしくはmicroRNA)選択プローブおよび/またはプライマーを含有し得る薬剤を含むキットを提供する。そのようなキットは、任意選択的に、腫瘍サンプルからRNAを抽出するための試薬(特に、固定パラフィン包埋組織標本および/またはRNA増幅用試薬)を含んでもよい。加えて、本キットは、任意選択的に、識別用の記載もしくはラベル付きの試薬、または本発明の方法における使用に関する指示を含んでもよい。キットは容器(本方法の自動化実装での使用に好適なマイクロリットルプレートを含む)を備えてもよく、本方法で利用される各種材料または試薬(典型的には、濃縮形態)のうちの1種以上、例えば、クロマトグラフィーカラム事前作製済み(pre−fabricated)マイクロアレイ、緩衝液、適当なヌクレオチド三リン酸塩(例えば、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP;またはrATP、rCTP、rGTPおよびUTP)、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、ならびに本発明のプローブおよびプライマー(例えば、適当な長さのポリ(T)、またはRNAポリメラーゼと反応するプロモーターに連結されているランダムプライマー)のうちの1つ以上が、各容器に付属する。予後情報または予測的情報の推定または定量化に使用される数学的アルゴリズムもまた、適切にキットの構成要素となり得る。

0115

レポート
商業的な診断目的に実施された場合は通常、レポート、即ち、本明細書に記載されている方法で得られる情報のサマリーを生成する。例えば、レポートは、1つ以上の遺伝子の発現量に関する情報、および/またはmicroRNA、腫瘍もしくは患者の再発リスクの分類、患者に起こり得る予後またはリスク分類、臨床因子および病理学的因子、および/または他の情報を含み得る。本発明の方法およびレポートは、レポートをデータベースに保管する工程を更に含み得る。本方法は、被験者のデータベースに記録を作成し、その記録にデータを取り込むことができる。レポートは、紙レポート、聴覚レポート、または電子記録であり得る。レポートは表示および/またはコンピュータ(例えば、ハンドヘルドデバイスデスクトップコンピュータスマートデバイスウェブサイトなど)への保存が可能である。レポートを医師および/または患者に提供するように企図されている。レポートの受信は、データおよびレポートを含むサーバコンピュータへのネットワーク接続確立する工程と、サーバコンピュータからデータおよびレポートを要求する工程と、を更に含み得る。

0116

コンピュータプログラム
上述の分析で得られた値(例えば、発現データ)は計算して手動で保存することができる。代わりに上記のステップは、コンピュータプログラム製品で完全にまたは部分的に実行できる。したがって、本発明は、コンピュータプログラムを保管した記憶媒体(コンピュータによる読み取りが可能)を備えるコンピュータプログラム製品を提供する。プログラムは、コンピュータでの読み取り時に、個体から採取された1つ以上の生体サンプルの分析により得られた値に基づいて、関連する計算を実行できる(例えば、遺伝子の発現量、正規化、標準化、閾値処理(thresholding)および分析で得られた値からスコアへの変換、および/または腫瘍病期および関連情報のテキストもしくはグラフィック描写への変換)。コンピュータプログラム製品の内部には、計算を実行するためのコンピュータプログラムが保存されている。

0117

本開示は、上述のプログラムを実行するためのシステムを提供する。本システムは通常、a)中央コンピューティング環境と、b)患者データを受信するコンピューティング環境に作動可能に接続されている入力装置(ここで、患者データが、例えば、発現量、もしくは患者から採取された生物学的サンプルを使用した分析から得られた他の値、または上に詳述されているマイクロアレイデータを含み得る)と、c)情報をユーザー(例えば、医療関係者)に提供するコンピューティング環境に作動可能に接続されている出力装置と、d)中央コンピューティング環境(例えば、プロセッサ)を介して実行されるアルゴリズム(ここで、アルゴリズムは入力装置で受信されるデータに基づいて実行され、かつアルゴリズムは発現スコア、閾値処理(thresholding)または本明細書に記載されている他の関数の計算を行う)と、を備える。本発明により提供される方法は、全面的または部分的に自動化し得る。

0118

本発明の全ての態様は、開示されている遺伝子と共発現するか機能的に関連する限られた数の付加的な遺伝子および/またはmicroRNA(例えば、統計学的に有意なピアソン(Pearson)および/またはスピアマン(Spearman)相関係数によって立証されているもの)を、開示されている遺伝子に付加してかつ/または置き換えて試験の対象に含めるように実施し得る。

0119

本発明について記述したのと同じ内容に関しては、下記の実施例を参照することによって理解が容易になるであろう。下記の実施例は、いかなる形であれ発明を限定することを意図するものでなく、例示として提供されている。

0120

実施例1:前立腺癌生検コアにおけるRNA収率および遺伝子発現プロフィール
限局性前立腺癌の男性に対して診断の治療計画を指導するには、前立腺ニードルコア生検ベースの臨床ツールが必要である。ニードルコア生検標本において組織を制限することは、分子診断検査法の開発に向けての重大な課題である。この研究では、RT−PCRアッセイを使用してRNAの摘出収量および遺伝子発現プロフィールを調査し、手動で顕微解剖された固定パラフィン包埋(FPE)前立腺癌ニードル生検コアからのRNAを特徴づけた。また、RNA収量および遺伝子発現プロフィールとこれらの標本におけるグリソンスコアとの関連も調査した。

0121

患者およびサンプル
この研究では、固定パラフィン包埋(FPE)前立腺癌ニードルコア生検標本から抽出されたRNAの量と質を評価して、前立腺癌ニードルコア生検における遺伝子発現プロフィール分析の実現可能性を定量化した。この研究では、前立腺ニードルコア生検標本からのホルマリン固定塊48個が使用された。グリソンスコアの解釈(2005 Int’l Society of Urological Pathology Consensus Conference)、および病理学者によって評価された腫瘍併発率(<33%、33〜66%、>66%)に基づいて、標本が分類された。

0122

0123

アッセイ方法
各FPE組織塊からの連続した5μm未染色断片14個を、研究の対象に含めた。症例ごとに最初および最後の断片をH&Eで染色し、手動の顕微手術によって組織学的にチェックして、腫瘍の存在および腫瘍富化を確認した。

0124

手動のRNA摘出方法を使用して、富化された腫瘍サンプルからのRNAを抽出した。RiboGreen(登録商標)アッセイを使用してRNAを定量化し、ゲノムDNA汚染が存在するかどうかを試験した。定量RT−PCRを使用して、RNA収量が充分でかつゲノムDNAを含まないサンプルに対して試験を行い、リファレンス遺伝子および癌関連遺伝子に関して24の遺伝子パネルの遺伝子発現量を確認した。その発現は、6種類のリファレンス遺伝子(AAMP、ARF1、ATP5E、CLTC、EEF1A1、およびGPX1)の平均に対して正規化された。

0125

統計的方法
記述統計および図示を使用して、標準病理学メトリクスおよび遺伝子発現を要約すると共に、グリソンスコアのカテゴリおよび腫瘍併発率カテゴリを層化した。序数ロジスティック回帰を使用して、遺伝子発現とグリソンスコアのカテゴリとの間の関係を評価した。

0126

結果
単位表面積当たりのRNA収量は、16〜2406ng/mm2の範囲に及んだ。腫瘍併発率(p=0.02)およびグリソンスコア(p=0.01)が高いサンプルにおいては、RNA収率の上昇が観測された。71%の症例は96ウェルRT−PCRを実施する上でRNA収率が充分(>200ng)であった。87%の症例はRNA収量が100ng超であった。qRT−PCRで測定されたように、前立腺生検からの遺伝子発現は、市販の乳癌用分子アッセイに使用されたFPETサンプルと同等であることが、研究によって確認された。加えて、観測により、グリソンスコア上昇および腫瘍併発率上昇に伴って、生検RNA収量が増大することも確認された。グリソンスコアと有意に(p<0.05)関連している9種類の遺伝子が同定されたと共に、多くの試験遺伝子に関しては大きいダイナミックレンジの存在が観測された。

0127

実施例2:前立腺癌における予後関連の遺伝子に対する遺伝子発現分析
患者およびサンプル
1987〜2004年の間にCleveland Clinicで根治的前立腺切除(RP)の治療を受けた前立腺癌患者約2600例は、臨床病期T1/T2にあることが同定された。前外科的SA値が失われた場合、または初期診断からの腫瘍塊が使えない場合、ネオアジュバントおよび/またはアジュバント治療を受けた患者は、研究デザインから除外された。根治的前立腺切除の後に臨床的再発があった127例の患者、および臨床的再発がなかった374例の患者が、コホートサンプリングデザインを使用して無作為に選択された。標本は、病期T期(T1、T2)、年度コホート(<1993、≧1993)、および前立腺切除グリソンスコア(低/中、高)によって層化された。サンプルを採取された患者501例のうち、51例は腫瘍が不充分なため除外され、7例は臨床的不適格のため除外され、2例は遺伝子発現データ不良のため除外され、10例は一次グリソンパターンが利用できないため除外された。したがって、この遺伝子発現研究では、1987〜2004年に初期(T1、T2)前立腺癌の処置に対する根治的前立腺切除を実施された後に臨床的再発があった患者111例、ならびに臨床的再発がなかった患者330例からの組織およびデータを含めた。

0128

各患者における前立腺腫瘍標本から、2つの固定パラフィン包埋(FPE)組織標本が採取された。サンプリング方法(サンプリング方法AまたはB)は、最高グリソンパターンが一次グリソンパターンであるかどうかに依存する。2.2mmが容認されたパターン5の例を除き、選択された各標本の浸潤癌細胞は寸法が少なくとも5.0mmであった。可能な場合、標本同士が空間的に異なっていた。

0129

0130

腫瘍標本に隣接した組織学的に正常な外観の組織(NAT)(これらの実施例においては「非腫瘍性組織」とも呼ばれる)も評価された。腫瘍から3mm、FPET塊の端から3mmの範囲の隣接組織が採取された。一次グリソンパターンに隣接するNATは、優先的にサンプル採取された。一次グリソンパターンに隣接するNATが不充分な場合は、表2に記載の方法に従って、二次または最高グリソンパターン(A2またはB1)に隣接するNATがサンプル採取された。H&E染色が5μmで開始し未染色標本(unstained slide)が5μmで終端する10μm断片6個を、研究に含めた各固定パラフィン包埋腫瘍(FPET)塊から調製した。全ての症例を、組織学的にチェックし、手動で顕微解剖して、富化された腫瘍サンプル2つ(可能な場合は、腫瘍標本に隣接する正常組織の標本1つ)を産生する。

0131

アッセイ方法
この研究では、RT−PCR解析を使用して、根治的前立腺切除の治療を受けた初期前立腺癌患者の前立腺癌組織、ならびに周囲NATにおける738個の遺伝子および染色体配列換え(例えば、TMPRSS2−ERG融合または他のETS族遺伝子)のRNAの発現量を定量化した。

0132

RiboGreenアッセイを使用してサンプルを定量化し、サブセットを試験してゲノムDNA汚染の有無を確認した。サンプルを逆方向転写(RT)および定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)に使用した。6種類のリファレンス遺伝子(AAMP、ARF1、ATP5E、CLTC、GPS1、PGK1)に対して再現性の高いクロッシングポイント(crossing point)(CP)値の平均を使用して、基準により正規化された(Reference−normalized)遺伝子発現量に対して全ての解析を実施した。

0133

統計解析および結果
一次統計解析では、病期初期の前立腺癌に対して根治的前立腺切除を実施された後に臨床的再発があった患者111例、ならびに臨床的再発がなかった患者330例を含め、それらの患者を病期T期(T1、T2)、年度コホート(<1993、≧1993)、および前立腺切除グリソンスコア(低/中、高)によって層化した。グリソンスコアのカテゴリは、低(グリソンスコア≦6)、中(グリソンスコア=7)、および高(グリソンスコア≧8)のように定義されている。対象の患者に対して少なくとも1つのサンプルが評価可能な場合、患者を指定された解析に含めた。特に明記しない限り、全ての仮説試験を、両側p値を使用してレポートした。結果として得られた一連のp値にStoreyの方法を適用し、発見率(FDR)を20%にて制御するJ.Storey,R.Tibshirani,Estimating the Positive False Discovery Rate Under Dependence,with Applications to DNA Microarrays,Dept.of Statistics,Stanford Univ.(2001)。

0134

遺伝子リスト内の評価可能な遺伝子(727個の試験遺伝子、および5個のリファレンス遺伝子)ごとに、重み付き擬似最偏尤推定量(maximum weighted pseudo−partial−likelihood estimator)を使用して、遺伝子発現および無再発間隔の解析を、一変量のCox比例ハザード(PH)モデルに基づいて行った。ハザード比(HR)が1であるという帰無仮説のウォールド試験を使用して、p値を生成した。未調整のp値およびq値の両方(当該の仮説試験が拒絶される最小FDR)がレポートされた。未調整のp値(<0.05)は、統計的に有意であると見なされた。患者ごとに2つの腫瘍標本を選択したため、この解析は各患者からの2つの標本を使用して、(1)各患者からの一次グリソンパターンの標本(表2に記載されている標本A1およびB2)を使用した解析;(2)各患者からの最高グリソンパターンの標本(表2に記載されている標本A1およびB1)を使用した解析にて実施された。

0135

遺伝子リスト内の遺伝子(727個の試験遺伝子、および5個のリファレンス遺伝子)ごとに、重み付き最偏尤推定量(weighted maximum likelihood estimator)を使用して、遺伝子発現およびグリソンパターン(3、4、5)の解析を、一変量の序数ロジスティック回帰(ordinal logistic regression)モデルに基づいて行った。オッズ比(OR)が1であるという帰無仮説のウォールド試験を使用して、p値を生成した。未調整のp値およびq値の両方(当該の仮説試験が拒絶される最小FDR)がレポートされた。未調整のp値(<0.05)は、統計的に有意であると見なされた。患者ごとに2つの腫瘍標本を選択したため、この解析は各患者からの2つの標本を使用して、(1)各患者からの一次グリソンパターンの標本(表2に記載されている標本A1およびB2)を使用した解析;(2)各患者からの最高グリソンパターンの標本(表2に記載されている標本A1およびB1)を使用した解析にて実施された。

0136

選択された人口統計学的変数、臨床的変数、および病理学変数(年齢、人種、臨床的腫瘍の病期、病理学的腫瘍の病期、前立腺(辺縁帯対移行帯)内部において選択された腫瘍の標本の部位、手術時点のPSA、根治的前立腺摘除術(radical prostatectomy)、手術年度、および標本グリソンパターンからの全体的なグリソンスコアを含む)とcRFIとの間に有意な関係があるかどうかが確認された。人口統計学的変数または臨床的変数ごとに別個に、重み付き擬似最偏尤推定量(weighted pseudo partial−likelihood estimator)を使用した一変量Cox PH回帰分析にて臨床的共変量とcRFIとの間の関係をモデル化し、ハザード比(HR)が1であるという帰無仮説のウォールド試験を使用して、p値を生成した。未調整のp値<0.2である共変量を、共変量調整解析に含め得る。

0137

重要な人口統計学的および臨床的共変量を制御した後に、各々の個体癌関連遺伝子とcRFIとの間に有意な関係があるかどうかを特定した。遺伝子ごとに別個に、重要な人口統計学的変数および臨床的変数を共変量として含む重み付き擬似最偏尤推定量(weighted pseudo partial−likelihood estimator)を使用した一変量Cox PH回帰分析にて遺伝子発現とcRFIとの間の関係をモデル化した。cRFI予測に対する遺伝子発現の独自の貢献は、ノジュール(表2に定義されている標本)ごとの臨床共変量を含めたモデルを使用してウォールド試験からp値を生成することによって試験された。未調整のp値<0.05は、統計的に有意であると見なされた。

0138

一次および/または最高グリソンパターンにおけるグリソンパターンに対して有意に(p<0.05)正または負の関連を示す遺伝子は、表3Aおよび表3Bに掲載されているとおりである。表3Aにおける遺伝子の発現増加はグリソンスコア上昇と正の関連を示すのに対し、表3Bにおける遺伝子の発現増加はグリソンスコア上昇と負の関連を示す。

0139

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一次および最高グリソンパターンにおける再発(cRFI、bRFI)と関連した遺伝子を同定するために、標本A1およびB2を使用して、一変量のモデルにおける727個の遺伝子の各々を解析した(上掲の表2を参照)。一次および/または最高グリソンパターンにおけるcRFIおよび/またはbRFIに対して正または負の関連を示す遺伝子は、表4Aおよび表4Bに掲載されているとおりである。表4Aにおける遺伝子の発現増加は予後良好と負の関連を示すのに対し、表4Bにおける遺伝子の発現増加は予後良好と正の関連を示す。

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一次および/または最高グリソンパターンにおけるAUAリスク群に対する調整後の再発(cRFI、bRFI)に対して有意に(p<0.05)正または負の関連を示す遺伝子は、表5Aおよび表5Bに掲載されているとおりである。表5Aにおける遺伝子の発現増加は予後良好と負の関連を示すのに対し、表5Bにおける遺伝子の発現増加は予後良好と正の関連を示す。

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一次および/または最高グリソンパターンにおけるグリソンパターンに対する調整後の再発(cRFI、bRFI)に対して有意に(p<0.05)正または負の関連を示す遺伝子は、表6Aおよび表6Bに掲載されているとおりである。表6Aにおける遺伝子の発現増加は予後良好と負の関連を示すのに対し、表6Bにおける遺伝子の発現増加は予後良好と正の関連を示す。

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一次または最高グリソンパターンの標本の陰性TMPRSS融合標本において臨床的再発(cRFI)に対して有意に(p<0.05)正または負の関連を示す遺伝子は、表7Aおよび表7Bに掲載されているとおりである。表7Aにおける遺伝子の発現増加は予後良好と負の関連を示すのに対し、表7Bにおける遺伝子の発現増加は予後良好と正の関連を示す。

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0195

一次または最高グリソンパターンの標本の陽性TMPRSS融合標本において臨床的再発(cRFI)に対して有意に(p<0.05)正または負の関連を示す遺伝子は、表8Aおよび表8Bに掲載されているとおりである。表8Aにおける遺伝子の発現増加は予後良好と負の関連を示すのに対し、表8Bにおける遺伝子の発現増加は予後良好と正の関連を示す。

0196

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0200

0201

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0203

一次グリソンパターンにおけるTMPRSS融合状態に対して有意に(p<0.05)正または負の関連を示す遺伝子は、表9Aおよび表9Bに掲載されているとおりである。表9Aにおける遺伝子の発現増加はTMPRSS融合陰性と正の関連を示すのに対し、表10Aにおける遺伝子の発現増加はTMPRSS融合陽性と負の関連を示す。

0204

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0211

分子電界効果を調査して、腫瘍に隣接する組織学的に正常な外観の細胞の発現量が、前立腺癌の分子署名を呈していると判定した。非腫瘍サンプルにおけるcRFIまたはbRFIに対して有意に(p<0.05)正または負の関連を示す遺伝子は、表10Aおよび表10Bに掲載されているとおりである。表10Aは予後良好と負の関連を示すのに対し、表10Bにおける遺伝子の発現増加は予後良好と正の関連を示す。

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0218

グリソンパターンまたは最高グリソンパターンに対する調整の後、cRFIまたはbRFIと有意に(p<0.05)関連した遺伝子は、表11に掲載されているとおりである。

0219

0220

一次グリソンパターンにおける前立腺癌特異的生存率(PCSS)と有意に(p<0.05)関連した遺伝子は、表12Aおよび表12Bに掲載されているとおりである。表12Aにおける遺伝子の発現増加は予後良好と負の関連を示すのに対し、表12Bにおける遺伝子の発現増加は予後良好と正の関連を示す。

0221

0222

0223

0224

遺伝子リスト内の遺伝子(727個の試験遺伝子、および5個のリファレンス遺伝子)ごとに、重み付き最偏尤推定量(weighted maximum likelihood estimator)を使用して、遺伝子発現および悪性度進行/病期進行の解析を、一変量の序数ロジスティック回帰(ordinal logistic regression)モデルに基づいて行った。オッズ比(OR)が1であるという帰無仮説のウォールド試験を使用して、p値を生成した。未調整のp値およびq値の両方(当該の仮説試験が拒絶される最小FDR)がレポートされた。未調整のp値<0.05は、統計的に有意であると見なされた。患者ごとに2つの腫瘍標本を選択したため、この解析は各患者からの2つの標本を使用して、(1)各患者からの一次グリソンパターンの標本(表2に記載されている標本A1およびB2)を使用した解析;および(2)各患者からの最高グリソンパターンの標本(表2に記載されている標本A1およびB1)を使用した解析にて実施された。200個の遺伝子が一次グリソンパターンサンプル(PGP)における悪性度進行/病期進行と有意に(p<0.05)関連していることが見出されると共に、203個の遺伝子が最高グリソンパターンサンプル(HGP)における悪性度進行/病期進行と有意に(p<0.05)関連していることも見出された。

0225

一次および/または最高グリソンパターンにおける悪性度進行/病期進行に対して有意に(p<0.05)正または負の関連を示す遺伝子は、表13Aおよび表13Bに掲載されているとおりである。表13Aにおける遺伝子の発現増加は悪性度進行/病期進行のリスク上昇と正の関連を示す(予後不良)のに対し、表13Bにおける遺伝子の発現増加は悪性度進行/病期進行のリスクと負の関連を示す(予後良好)。

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実施例3:臨床的再発および前立腺癌による死亡に関連するmicroRNAの同定
microRNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)の一部と結合し、mRNAが蛋白質に変換される頻度を変更する変えることによって機能する。また、mRNAのターンオーバー、および細胞内でmRNAが無傷の状態に維持される期間に対しても影響を及ぼし得る。mRNAは主にmicroRNAの補助として作用するため、この研究ではmicroRNAの発現と遺伝子(mRNA)発現との合同の予後値を評価した。特定のmicroRNAの発現は、評価されたパネル内にない遺伝子の発現の代理になり得るため、我々はmicroRNAの発現自体の予後値も評価した。

0236

患者およびサンプル
根治的前立腺切除の後に臨床的再発があった127例の患者、および臨床的再発がなかった374例の患者から採取されたサンプル(実施例2に記載)が、この研究に使用された。最終的な解析セットは、遺伝子発現およびmicroRNAの発現が両方とも正しく測定された患者からの416個のサンプルを含む。これらの患者のうちの106例は臨床的再発を呈したのに対し、310例は臨床的再発がなかった。各前立腺サンプルから組織標本は採取され、(1)サンプル中の一次グリソンパターン、および(2)サンプル中の最高グリソンパターンを表す。加えて、腫瘍に隣接する組織学的に正常な外観の組織(NAT)のサンプルが採取された。各組織型の解析セットに含まれる患者の数、および臨床的再発を経験した患者の数、または前立腺癌で死亡した患者の数は、表14に示すとおりである。

0237

0238

アッセイ方法
固定パラフィン包埋(FPE)組織から抽出されたRNAから、76個の試験microRNAおよび5個のリファレンスmicroRNAの発現を定量化した。TaqMan(登録商標)MicroRNAアッセイキット(Applied Biosystems,Inc.,Carlsbad,CA)から入手されたクロッシングポイント(crossing point)(Cp)を使用して、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を介して、3通りの全ての組織型におけるmicroRNAの発現を定量化した。

0239

統計解析
一変量の比例ハザード回帰(Cox DR,Journal of the Royal Statistical Society,Series B 34:187−220,1972)を使用し、コホートサンプリングデザインからのサンプリング重量を適用し、かつLin and Weiの方法(Lin and Wei,Journal of the American Statistical Association 84:1074−1078,1989)に基づく分散評価を使用することによって、5つのリファレンスmicroRNA(hsa−miR−106a、hsa−miR−146b−5p、hsa−miR−191、hsa−miR−19bおよびhsa−miR−92a)の平均的発現により正規化されたmicroRNAの発現、および上述の733個の遺伝子(リファレンス遺伝子を含む)の基準により正規化された(reference−normalized)遺伝子発現を、臨床的再発および前立腺癌による死亡との関連について評価した。標準化されたハザード比(共変動値における1つの標準偏差の変化と関連性のあるハザードの比例的変化)を計算した。

0240

この分析に含めた予測因子クラスは、下掲のとおりである。
1.microRNAのみ
2.microRNA−遺伝子ペア層1
3.microRNA−遺伝子ペア層2
4.microRNA−遺伝子ペア層3
5.他の全てのmicroRNA−遺伝子ペア層4

0241

文献および既存のマイクロアレイデータセットをレビューすることによって、遺伝子−microRNAペアが機能的に相互作用する尤度、またはmicroRNAが前立腺癌に関する尤度に基づき、4つの層を予め特定した(層1は最高の尤度を表す)。

0242

偽発見率(FDR)(Benjamini and Hochberg,Journal of the Royal Statistical Society,Series B 57:289−300,1995)は、Efronの別個のクラス方法論(Efron,Annals of Applied Statistics 2:197−223.,2008)を使用して評価された。偽発見率は、誤って拒絶された(したがって偽発見である)帰無仮説の期待割合である。Efronの方法論は、全てのクラスからデータを利用して計算の精度を改善しながら、各クラス内で別個のFDR評価(q値)(Storey,Journal of the Royal Statistical Society,Series B 64:479−498,2002)を可能にする。この解析では、microRNAまたはmicroRNA−遺伝子ペアのq値を、経験的ベイズ尤度と解釈できる。所与のデータによると、臨床転帰に関連していると同定されたmicroRNAまたはmicroRNA−遺伝子ペアは事実上、偽発見である。別個のクラスアプローチを真の発見率関連度(TDRDA)解析(Crager,Statistics in Medicine 29:33−45,2010)に適用して、FDRを10%にて制御しながら、臨床的再発または前立腺癌特異的死亡に対する標準ハザード比が少なくとも指定量である一連のmicroRNAまたはmicroRNA−遺伝子ペアを特定した。各microRNAまたはmicroRNA−遺伝子ペアについて、10%FDRで設定されたTDRDAにmicroRNAまたはmicroRNA−遺伝子ペアが含まれる、最高の下限を示す最大下限(MLB)の標準化ハザード比を計算した。また、最善の予測因子を長いリストから選択する場合に、以後の研究で発生する平均値への回帰(RM)で修正された、真の標準化ハザード比の推定値も計算した(上述のCrager,2010)。選択されたmicroRNAまたはmicroRNA−遺伝子ペアを別々の以降の研究で調査した場合、RMで修正された標準化ハザード比の推定値は、予想し得る内容の合理的な推定値である。

0243

これらの解析は、患者生検時に利用できる臨床病理学的共変量(生検グリソンスコア、ベースラインPSA値、および臨床病期T期(T1=T2A対T2BまたはT2C))に関しては調整を繰り返し、microRNAまたはmicroRNA−遺伝子ペアが、これらの臨床病理学的共変量に依存しない予測値を有するかどうかこと評価した。

0244

結果
解析の際、偽発見率10%を許容して、根治的前立腺切除後の前立腺癌の臨床的再発に関連する一次グリソンパターン腫瘍組織から検定されたmicroRNA21個を同定した(表15)。結果は、最高グリソンパターン腫瘍組織から評価されたmicroRNAの場合と同様(表16)、microRNAの発現と臨床的再発との関連は、腫瘍組織サンプル内の部位に応じた顕著な変化がないことを示唆している。偽発見率10%では、正常な隣接組織から測定されたmicroRNAはいずれも、臨床的再発のリスクに関連していなかった。表15〜表21に掲載されているmicroRNAの配列は、表Bに示すとおりである。

0245

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0247

一次グリソンパターン組織から検定されたmicroRNAは、表17に示すとおりである。偽発見率10%では、これらのmicroRNAが前立腺癌特異的死亡のリスクに関連するものとして同定された。最高グリソンパターン組織から検定されたmicroRNAのための対応する解析は、表18に示すとおりである。正常な隣接組織から測定されたmicroRNAはいずれも、偽発見率10%では前立腺癌特異的死亡のリスクに関連していなかった。

0248

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0250

臨床的再発のリスクに関連するものとして同定できるmicroRNAは、表19および表20に示すとおりである。臨床病理学的共変量(生検グリソンスコア、ベースラインPSAレベル、および臨床病期T期)に関しては調整が施された。これらの共変量の分布は、図1に示すとおりである。表15に同定されている15個のmicroRNAは、それは表19に示したものと同じである。これらのmicroRNAは、グリソンスコア、ベースラインPSAおよび臨床病期T期に依存しない臨床的再発に関する予測値を有することを示している。

0251

一次グリソンパターンの腫瘍組織から検定された2つのmicroRNAは、グリソンスコア、ベースラインPSA、および臨床病期T期に依存しない前立腺癌による死亡に関する予測値を有することが明らかにされた(表21)。

0252

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0255

したがって、hsa−miR−93;hsa−miR−106b;hsa−miR−21;hsa−miR−449a;hsa−miR−182;hsa−miR−27a;hsa−miR−103;hsa−miR−141;hsa−miR−92a;hsa−miR−22;hsa−miR−29b;hsa−miR−210;hsa−miR−331;hsa−miR−191;hsa−miR−425;およびhsa−miR−200cの正規化された発現量は再発リスクの増加と正の関連を示す一方、hsa−miR−30e−5p;hsa−miR−133a;hsa−miR−30a;hsa−miR−222;hsa−miR−1;hsa−miR−145;hsa−miR−486−5p;hsa−miR−19b;hsa−miR−205;hsa−miR−31;hsa−miR−155;hsa−miR−206;hsa−miR−99a;およびhsa−miR−146b−5pの正規化された発現量は再発リスクの増加と負の関連を示す。

0256

更に、hsa−miR−106b;hsa−miR−21;hsa−miR−93;hsa−miR−331;hsa−miR−150;hsa−miR−27b;およびhsa−miR−10aの正規化された発現量は前立腺癌特異的死亡のリスク増加と正の関連を示す一方、hsa−miR−30e−5p;hsa−miR−30a;hsa−miR−133a;hsa−miR−222;hsa−miR−1;hsa−miR−26a;およびhsa−miR−152の正規化された発現量は前立腺癌特異的死亡のリスク増加と負の関連を示す。

0257

各層(層1〜4)に分類されたmicroRNA−遺伝子ペアの数、ならびに偽発見率10%にて臨床的再発が予測されたmicroRNA−遺伝子ペアの数およびパーセントは、表22に示すとおりである。

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実施例

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