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技術 3組巻線構造モータの駆動装置及び空気調和機

出願人 株式会社東芝
発明者 前川佐理
出願日 2018年8月24日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-157321
公開日 2020年2月27日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-031514
状態 未査定
技術分野 交流電動機の制御一般
主要キーワード 各相電流波形 交流直流変換回路 平滑作用 商用交流周波数 電源電圧センサ モータ駆動方式 低高調波 小容量コンデンサ
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年2月27日)のものです。
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図面 (19)

課題

比較的低コストな構成により低高調波を実現できる3組巻線構造モータ駆動装置を提供する。

解決手段

実施形態の3組巻線構造モータの駆動装置は、それぞれが独立した3組の3相巻線を備え、9個の巻線端子を有する3組巻線構造モータを駆動対象とし、3相交流電源の第1相間交流電圧,第2相間交流電圧,第3相間交流電圧を、それぞれ直流に変換する第1〜第3交流直流変換回路と、各変換回路の正側端子及び負側端子とモータの第1組〜第3組の3相巻線端子との間に接続される第1〜第3インバータと、3相交流電源の3相の位相又は3相間の位相を検出する第1〜第3位相検出部と、第1組〜第3組の3相巻線端子にそれぞれ流れる電流を検出する第1〜第3電流検出部と、モータのロータ回転位置を検出する位置検出部と、第1組〜第3組の3相巻線に流れる電流を、第1〜第3インバータにより第1〜第3相間交流電圧に同期して制御する制御部とを備える。

概要

背景

例えば永久磁石同期モータ等の交流モータを駆動するには、インバータを用いて直流電源3相交流電力に変換する必要がある。そして、このような駆動システムにおいて商用の3相交流電源を用いる場合は、3相交流電源から直流電力を得るための電源装置が搭載される。

3相交流から直流を得る電源装置としては、例えば非特許文献1に記載されているダイオード整流回路昇圧チョッパ回路とを用いる方式や、非特許文献2に記載されているPWM整流器を用いる方式等が一般的に知られている。ダイオード整流回路は、3相交流電圧整流直流電圧へ変換する。ダイオード整流器で整流された電圧は、交流電圧と同様に振幅が大きく変動するため、平滑コンデンサを接続して電圧を平滑する。図17は、ダイオード整流器,インダクタ及び平滑コンデンサからなる電源装置に接続されるインバータを示す。

このように、平滑コンデンサが接続された整流器ダイオードは、交流電圧が平滑コンデンサの端子電圧よりも大きい場合にのみ導通する。そのため、交流電源から整流器に流れ込む電流は、図18に示すように、交流電圧のピーク付近でのみレベル変位する力率の悪い波形となる。そこで、昇圧チョッパ回路をダイオード整流回路と平滑コンデンサとの間に接続して入力電流高調波を低減し、得られた直流電源をインバータに供給する。

また、PWM整流器を用いる方式では、リアクトルを介して3相交流を3相のブリッジ回路に供給する。そして、ブリッジ回路を構成するパワーデバイスによりスイッチングを行い、3相の交流電圧に同期した電圧を出力するよう動作させる。これにより正弦波状で低高調波の電流を通電して、高い力率で直流電圧への変換が実現できる。

一方、単相交流電源とするモータ駆動方式として、非特許文献3に開示されているように、小容量のフィルムコンデンサ単相ダイオード整流回路,及びインバータを用いた電解コンデンサレスインバータが提案されている。この方式によれば、力率を制御するための回路等を用いることなく、高力率で低高調波の電力供給を実現できる。

また、特許文献1には、3相のモータ巻線を2組持つ多巻線構造モータが示されている。このような多巻線モータは、巻線並列化し、2組であれば2台のインバータでそれぞれの3相巻線に電流を通電することで電流を低減できる。また、2組の巻線の位相構造的にずらすことで、互いの巻線により発生するトルク脈動キャンセルさせて、低振動のモータを実現することができる。

概要

比較的低コストな構成により低高調波を実現できる3組巻線構造モータの駆動装置を提供する。実施形態の3組巻線構造モータの駆動装置は、それぞれが独立した3組の3相巻線を備え、9個の巻線端子を有する3組巻線構造モータを駆動対象とし、3相交流電源の第1相間交流電圧,第2相間交流電圧,第3相間交流電圧を、それぞれ直流に変換する第1〜第3交流直流変換回路と、各変換回路の正側端子及び負側端子とモータの第1組〜第3組の3相巻線端子との間に接続される第1〜第3インバータと、3相交流電源の3相の位相又は3相間の位相を検出する第1〜第3位相検出部と、第1組〜第3組の3相巻線端子にそれぞれ流れる電流を検出する第1〜第3電流検出部と、モータのロータ回転位置を検出する位置検出部と、第1組〜第3組の3相巻線に流れる電流を、第1〜第3インバータにより第1〜第3相間交流電圧に同期して制御する制御部とを備える。

目的

したがって、モータを駆動するために2組以上のインバータを用いることも併せると、システム全体のコストが増加する可能性があることが課題である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

それぞれが独立した3組の3相巻線を備え、9個の巻線端子を有する3組巻線構造モータ駆動対象とするもので、3相交流電源の第1相と第2相との間の第1相間交流電圧,第2相と第3相との間の第2相間交流電圧,第3相と第1相との間の第3相間交流電圧を、それぞれ直流に変換する第1〜第3交流直流変換回路と、前記第1交流直流変換回路の正側端子及び負側端子と、前記モータの第1組の3相巻線端子との間に接続される第1インバータと、前記第2交流直流変換回路の正側端子及び負側端子と、前記モータの第2組の3相巻線端子との間に接続される第2インバータと、前記第3交流直流変換回路の正側端子及び負側端子と、前記モータの第3組の3相巻線端子との間に接続される第3インバータと、3相交流電源の3相の位相又は3相間の位相を検出する第1〜第3位相検出部と、前記モータの第1組〜第3組の3相巻線端子にそれぞれ流れる電流を検出する第1〜第3電流検出部と、前記モータのロータ回転位置を検出する位置検出部と、前記モータの第1組の3相巻線に流れる電流を、前記第1インバータにより前記第1相間交流電圧に同期して制御し、前記モータの第2組の3相巻線に流れる電流を、前記第2インバータにより前記第2相間交流電圧に同期して制御し、前記モータの第3組の3相巻線に流れる電流を、前記第3インバータにより前記第3相間交流電圧に同期して制御する制御部とを備える3組巻線構造モータの駆動装置

請求項2

前記制御部は、ベクトル制御を行う際に用いるq軸電流指令値を、速度指令値と前記モータの速度との差に基づく速度制御の結果に、前記交流電源の周波数の2倍値に関連した演算パラメータを乗じて生成する請求項1記載の3組巻線構造モータの駆動装置。

請求項3

前記制御部は、前記モータの第1組の3相巻線に流れる電流を制御する第1制御部と、前記モータの第2組の3相巻線に流れる電流を制御する第2制御部と、前記モータの第3組の3相巻線に流れる電流を制御する第3制御部とを備え、前記第1〜第3制御部は、互いに通信可能に構成され、各制御部がベクトル制御を行う際に用いるq軸電流指令値は、何れか1つの制御部における速度制御の結果に基づいて生成される請求項1又は2記載の3組巻線構造モータの駆動装置。

請求項4

それぞれが独立した3組の3相巻線を備え、9個の巻線端子を有する3組巻線構造モータと、このモータを駆動する請求項1から3の何れか一項に記載の3組巻線構造モータの駆動装置と、前記モータを介して駆動される圧縮機とを備える空気調和機

技術分野

0001

本発明の実施形態は、3組巻線構造のモータを駆動する装置,及びその装置を備えた空気調和機に関する。

背景技術

0002

例えば永久磁石同期モータ等の交流モータを駆動するには、インバータを用いて直流電源3相交流電力に変換する必要がある。そして、このような駆動システムにおいて商用の3相交流電源を用いる場合は、3相交流電源から直流電力を得るための電源装置が搭載される。

0003

3相交流から直流を得る電源装置としては、例えば非特許文献1に記載されているダイオード整流回路昇圧チョッパ回路とを用いる方式や、非特許文献2に記載されているPWM整流器を用いる方式等が一般的に知られている。ダイオード整流回路は、3相交流電圧整流直流電圧へ変換する。ダイオード整流器で整流された電圧は、交流電圧と同様に振幅が大きく変動するため、平滑コンデンサを接続して電圧を平滑する。図17は、ダイオード整流器,インダクタ及び平滑コンデンサからなる電源装置に接続されるインバータを示す。

0004

このように、平滑コンデンサが接続された整流器ダイオードは、交流電圧が平滑コンデンサの端子電圧よりも大きい場合にのみ導通する。そのため、交流電源から整流器に流れ込む電流は、図18に示すように、交流電圧のピーク付近でのみレベル変位する力率の悪い波形となる。そこで、昇圧チョッパ回路をダイオード整流回路と平滑コンデンサとの間に接続して入力電流高調波を低減し、得られた直流電源をインバータに供給する。

0005

また、PWM整流器を用いる方式では、リアクトルを介して3相交流を3相のブリッジ回路に供給する。そして、ブリッジ回路を構成するパワーデバイスによりスイッチングを行い、3相の交流電圧に同期した電圧を出力するよう動作させる。これにより正弦波状で低高調波の電流を通電して、高い力率で直流電圧への変換が実現できる。

0006

一方、単相交流電源とするモータ駆動方式として、非特許文献3に開示されているように、小容量のフィルムコンデンサ単相ダイオード整流回路,及びインバータを用いた電解コンデンサレスインバータが提案されている。この方式によれば、力率を制御するための回路等を用いることなく、高力率で低高調波の電力供給を実現できる。

0007

また、特許文献1には、3相のモータ巻線を2組持つ多巻線構造のモータが示されている。このような多巻線モータは、巻線並列化し、2組であれば2台のインバータでそれぞれの3相巻線に電流を通電することで電流を低減できる。また、2組の巻線の位相構造的にずらすことで、互いの巻線により発生するトルク脈動キャンセルさせて、低振動のモータを実現することができる。

0008

20th AnnualIEEE Power Electronics Specialists Conference,pp58-66 Vol.1 “An active power factor correction technique for three-phase diode rectifiers”
電気学会論文誌D,Vol.114,No.12「電源電圧センサレス三相PWMインバータの一方式」
平成12年電気学会全国大会論文集「高入力力率のダイオード整流回路を持つPMモータインバータ制御法」

先行技術

0009

特開平4−325893号公報

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、3相のダイオード整流回路を用いる構成では、3相交流電源から直流側に電流が流れない期間が必ず存在するため、高調波の低減には限界がある。また、PWM整流器を用いる構成は低高調波を実現することができるが、大容量のパワーデバイス,3相のリアクトル及び平滑コンデンサが必要となるため、回路が大型化してコスト増を招く。また、非特許文献3の電解コンデンサレスインバータは、力率制御回路なしで低高調波が実現できるが、モータのトルクを電源周波数の2倍周波数で変動させるため、大きなトルク脈動による振動や騒音等が問題となる。

0011

特許文献1の多巻線モータは、電流低減・低トルク脈動などメリットが多いが、交流電源から直流電圧を生成するためには、別途非特許文献1,2に開示されているような変換器が必要である。したがって、モータを駆動するために2組以上のインバータを用いることも併せると、システム全体のコストが増加する可能性があることが課題である。
そこで、比較的低コストな構成によって低高調波を実現できる3組巻線構造モータの駆動装置及び空気調和機を提供する。

課題を解決するための手段

0012

実施形態の3組巻線構造モータの駆動装置は、それぞれが独立した3組の3相巻線を備え、9個の巻線端子を有する3組巻線構造モータを駆動対象とするもので、
3相交流電源の第1相と第2相との間の第1相間交流電圧,第2相と第3相との間の第2相間交流電圧,第3相と第1相との間の第3相間交流電圧を、それぞれ直流に変換する第1〜第3交流直流変換回路と、
前記第1交流直流変換回路の正側端子及び負側端子と、前記モータの第1組の3相巻線端子との間に接続される第1インバータと、
前記第2交流直流変換回路の正側端子及び負側端子と、前記モータの第2組の3相巻線端子との間に接続される第2インバータと、
前記第3交流直流変換回路の正側端子及び負側端子と、前記モータの第3組の3相巻線端子との間に接続される第3インバータと、
3相交流電源の3相の位相又は3相間の位相を検出する第1〜第3位相検出部と、
前記モータの第1組〜第3組の3相巻線端子にそれぞれ流れる電流を検出する第1〜第3電流検出部と、
前記モータのロータ回転位置を検出する位置検出部と、
前記モータの第1組の3相巻線に流れる電流を、前記第1インバータにより前記第1相間交流電圧に同期して制御し、
前記モータの第2組の3相巻線に流れる電流を、前記第2インバータにより前記第2相間交流電圧に同期して制御し、
前記モータの第3組の3相巻線に流れる電流を、前記第3インバータにより前記第3相間交流電圧に同期して制御する制御部とを備える。

0013

また、実施形態の空気調和機は、それぞれが独立した3組の3相巻線を備え、9個の巻線端子を有する3組巻線構造モータと、
このモータを駆動する本実施形態の3組巻線構造モータの駆動装置と、
前記モータを介して駆動される圧縮機とを備える。

図面の簡単な説明

0014

第1実施形態であり、3組巻線構造モータを駆動するシステムの構成を示す図
制御部の構成を要部について示す機能ブロック
3相交流電源のUV相電圧波形を示す図
第1インバータに供給される直流電圧VDC1の波形を示す図
第1インバータのq軸電流Iq1の波形を示す図
第1〜第3巻線のトルクTm1〜Tm3及び合計トルクTallの波形を示す図
第1〜第3インバータに供給される直流電圧VDC1,VDC2,VDC3の波形を示す図
第1巻線の3相電流Iu1,Iv1,Iw1の波形を示す図
第1〜第3インバータのq軸電流Iq1〜Iq3の波形を示す図
第1〜第3巻線のトルクTm1〜Tm3及び合計トルクTallの波形を示す図
モータの回転速度ωを示す図
モータの回転角度θを示す図
UV,VW,WU各相間を流れる電源電流IAC1,IAC2,IAC3の波形を示す図
電源系統のU,V,W相電流IACu,IACv,IACwの波形を示す図
第2実施形態であり、第1〜第3制御部の構成を示す機能ブロック図
第3実施形態であり、3組巻線構造モータを駆動するシステムを適用した空気調和機の構成を示す機能ブロック図
従来技術であり、ダイオード整流器,インダクタ及び平滑コンデンサからなる電源装置に接続されるインバータを示す図
3相交流電源の各相電流波形を示す図

実施例

0015

(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1から図14を参照して説明する。図1は、3組巻線構造モータを駆動するシステムの構成を示す。モータ1は、3相巻線2U,2V,2Wを3組備える多巻線モータであり、例えば永久磁石同期モータや誘導機などが想定されるが、本実施形態では永久磁石同期モータとする。モータ1は、3組の3相巻線端子(U1,V1,W1),(U2,V2,W2),(U3,V3,W3)を有している。

0016

3相交流電源3は、装置全体電力を供給する電源であり、200V又は400V系である。整流回路4(1)〜4(3)はそれぞれ単相であり、ダイオードブリッジで構成されている。第1整流回路4(1)には、3相交流電源3のU,V相の交流が入力され、第2整流回路4(2)には同V,W相の交流が入力され、第3整流回路4(3)には同W,U相の交流が入力されている。

0017

整流回路4(1)〜4(3)の直流出力端子間には、それぞれ小容量コンデンサ5(1)〜5(3)及び第1〜第3インバータ6(1)〜6(3)が並列に接続されている。小容量コンデンサ5は、例えば数μF〜数10μF程度のフィルムコンデンサであり、インバータ6におけるスイッチングにより発生するリップルを平滑するために用いられる。電圧センサ20(1)〜20(3)は、それぞれコンデンサ5(1)〜5(3)の端子電圧VDC1〜VDC3を検出して制御部8に出力する。

0018

インバータ6(1)〜6(3)は、それぞれ6つのスイッチング素子,例えばNチャネルMOSFET3相ブリッジ接続して構成されている。第1インバータ6(1)の各相出力端子はモータ1の巻線端子U1,V1,W1に接続され、第2インバータ6(2)の各相出力端子は同巻線端子U2,V2,W2に接続され、第3インバータ6(3)の各相出力端子は同巻線端子U3,V3,W3に接続されている。

0019

電流センサ7(1)〜7(3)は、それぞれモータ1の各組巻線に流れる相電流を検出して、制御部8に出力する。本実施形態では、電流センサ7を各組毎に3相分配置しているが、それぞれ2相ずつでも良い。また、電流センサ7に替えて、インバータ6の下側スイッチング素子ソースにそれぞれシャント抵抗を配置しても良い。

0020

電圧センサ9(1)〜9(3)は、3相交流電源3の電圧値を検出するセンサであり、検出信号を制御部8に出力する。本実施形態では、3相の相間電圧(U,V),(V,W),(W,V)を検出しているが、各相電圧を検出したり、又は各相間若しくは各相の位相のみを検出しても良い。位置センサ10は、モータ1のロータ回転位置θ及び回転速度ωを検出するセンサであり、例えばエンコーダレゾルバ等が用いられる。又は、電圧や電流から位置を推定するセンサレス構成としても良い。制御部8は、モータ1の各相電流回転位置及び3相交流電源3の電圧から、各インバータ6(1)〜6(3)のスイッチング素子に与えるスイッチング信号を生成する。

0021

図2は、制御部8の内部構成を示している。速度指令値ωrefは、外部から与えられる、又はシステムとしての指令値である。位置センサ10で検出された速度ωは、速度指令値ωrefと共に速度制御部11に入力され、速度制御部11はq軸電流指令値IqRefを出力する。速度制御部11は、PI制御器等で構成される。q軸電流指令値IqRefには1/3が乗じられて、各インバータ6(1)〜6(3)の電流指令値IqRef_baseが生成される。

0022

位相検出部12(1)は、3相交流電源3の相間電圧Vuvの位相θuvを検出する。この位相に基づいたsin2θuvを乗算器13(1)により電流指令値IqRef_baseに乗じることで、第1インバータ6(1)に対するq軸電流指令値IqRef1が決定される。本実施形態では、位相θuvからsin2θuvを演算して乗じているが、例えばsinθuvの絶対値を演算して乗じても良い。

0023

座標変換部14(1)は、3相電流Iu1,Iv1,Iw1を、位置センサ10が検出した回転位置θにより座標変換してd,q軸電流Id1,Iq1を得る。電流制御部15(1)は、インバータ6(1)のd,q軸電流指令値IdRef1,IqRef1とd,q軸電流Id1,Iq1とに基づきd,q軸電圧指令値Vd1,Vq1を演算する。電流制御部15(1)は、速度制御部11と同様にPI制御器等で構成される。

0024

変調制御部16(1)は、Vd1,Vq1及びインバータ6(1)の直流電圧VDC1,モータ1の回転位置θから、各相のスイッチング信号U+1,U−1,V+1,V−1,W+1,W−1を生成する。尚、図2では省略的に示しているが、位相検出部12,座標変換部14、電流制御部15,変調制御部16が、インバータ6(2),6(3)にも対応して存在している。

0025

次に、本実施形態の作用について説明する。先ず、3相交流電源3のUV相間電圧が印加される整流回路4(1)〜インバータ6(1)〜第1巻線2U(1)〜2W(1)の駆動系について説明する。UV相電圧Vuvは、(1)式及び図3に示される交流電圧である。
Vuv=√2Vsin(2πft) …(1)

0026

整流回路4(1)は全波整流を行う。小容量コンデンサ1の容量は数μF程度であるため、商用交流周波数電圧変動を平滑するには不十分であり、インバータ6(1)の直流電圧VDC1は、(2)式及び図4に示すように0〜√2Vまで変動する電圧となり、200V系であれば0〜280[V]である。尚、図4では電圧振幅正規化して示している。
VDC1=√2Vsin2(2πft) …(2)

0027

この脈動する電圧変動の位相に同期するように、位相検出部12(1)で検出される位相θuvより得られるsinθuvの絶対値が乗じられるため、q軸電流指令値IqRef1も直流電圧VDC1と同様に脈動する値となる。そして、この指令値の通りに第1巻線2U(1)〜2W(1)へのq軸電流Iq1が、脈動値として(3)式及び図5に示すように、通電される。
Iq1=IqRef_base・sin2(2πft) …(3)

0028

この結果、第1巻線2U(1)〜2W(1)に流れる電流と回転子永久磁石とにより発生するトルクTm1は、(4)式に示すように、UV間電圧Vuvの2倍周波数に同期した脈動成分となる。
Tm1=PφIq1=PφIqRef_base・sin2(2πft)
=PφIqRef_base・{1−cos(2・2πft)}/2 …(4)

0029

また、モータ1の回転数ωmを用いて第1巻線2U(1)〜2W(1)によるモータ1の出力電力Pm1を(5)式で表す。
Pm1=ωmTm1
=ωmPφIqRef_base・{1−cos(2・2πft)}/2…(5)

0030

(5)式は、交流電源3のUV間からインバータ6(1)→第1巻線2U(1)〜2W(1)へと供給される電力が、(1)式で示すUV間電圧Vuvに同期した成分であることを示している。また、交流電源3のUV間より入力される電力Pin1は、整流回路4(1)に流れる電流IAC1から(6)式で表せる。
Pin1=Vuv・IAC1=√2Vsin(2πft)IAC1 …(6)

0031

ここで、入力電力Pin1から出力電力Pm1までの効率をηとすると、入出力間には大きな平滑コンデンサやリアクトルなどの平滑作用を成す素子がないので、IAC1は(7)式で表せる。
IAC1=Pin1/Vuv=ηPm1/{√2Vsin(2πft)}
=ηPm1/{√2Vsin(2πft)}
=ηωmPφIqRef_base・sin2(2πft)/{√2Vsin(2πft)}
=ηωmPφIqRef_base・sin(2πft)/(√2V) …(7)

0032

すなわち、第1巻線2U(1)〜2W(1)のq軸電流Iq1をUV間電圧Vuvに同期して制御することで、交流電源3のUV間に流れる交流電流を、Vuvと同位相正弦波電流にできる。これにより、力率制御回路やPWM整流器を用いることなく力率を向上させて電源電流の歪を低減し、電流に含まれる高調波を低減できる。

0033

ここで、3相交流電源3の残りの相に着目する。VW間,WU間の相間電圧は、(1)式と同様に(8),(9)式となり、第2巻線2U(2)〜2W(2),第3巻線2U(3)〜2W(3)で発生するトルクTm2,Tm3は、それぞれ(10)式,(11)式で表される。
Vvw=√2Vsin(2πft+2π/3) …(8)
Vwu=√2Vsin(2πft−2π/3) …(9)
Tm2=PφIq2=PφIqRef_base・sin2(2πft+2π/3)…(10)
Tm3=PφIq3=PφIqRef_base・sin2(2πft−2π/3)…(11)

0034

モータ1の3組巻線の合計トルクTallは、Tm1,Tm2,Tm3の和であるから(12)式で表され、互いに120度位相差のトルクの脈動成分がキャンセルされることがわかる。図6に各組巻線のトルクTm1〜Tm3及び合計トルクTallの波形を示す。
Tall=Tm1+Tm2+Tm3=3PφIqRef_base …(12)
この結果、モータ1の出力トルク及び回転速度には電源周波数の脈動が現れず、低振動・低騒音を実現できる。

0035

図7から図14は,本実施形態の構成による各部の動作結果を示している。図7は、インバータ6(1)〜6(3)に夫々供給される直流電圧VDC1,VDC2,VDC3であり、コンデンサ5が小容量であるため、電源系統位相に応じてゼロVまで低下している。

0036

図8は、第1巻線2U(1)〜2W(1)の3相電流Iu1,Iv1,IW1であり、図9は、各巻線のq軸電流Iq1,Iq2,Iq3である。各巻線のq軸電流は、3相交流電圧の位相に同期して制御されていることが分かる。

0037

図10は、負荷が一定の場合の各巻線の発生トルクTm1,Tm2,Tm3及び合計トルクTallである。各巻線に流れるq軸電流は脈動しているが、それに基づき発生する合計トルクTallは、脈動が相殺されて消えている。図11はモータの回転速度ω,図12は回転角度θである。合計トルクTallの変動は無いため、回転速度ωの脈動も発生していない。

0038

図13は、UV,VW,WUの各相間を流れる電源電流IAC1,IAC2,IAC3、図14は電源系統のU,V,W相電流IACu,IACv,IACwである。多少の歪みが残っているが、リアクトルやPFC回路、PWM整流器無しで低高調波の電源電流を流すことができている。

0039

以上のように本実施形態の駆動装置は、それぞれが独立した3組の3相巻線2U,2V,2Wを備え、9個の巻線端子を有する3組巻線構造モータ1を駆動対象とする。第1〜第3整流回路4(1)〜4(3)には、それぞれ3相交流電源3のUV相間交流,VW相間交流,WU相交流が入力されて、直流に変換される。第1〜第3インバータ6(1)〜6(3)には、それぞれ第1〜第3整流回路4(1)〜4(3)及び小容量コンデンサ5(1)〜5(3)を介して直流電源が供給される。

0040

位相検出部12(1)〜12(3)は、それぞれ3相交流電源3の相間UV,VW,WVの位相を検出し、電流センサ7(1)〜7(3)は、それぞれモータ1の各組巻線に流れる相電流を検出して制御部8に出力する。制御部8は、モータ1の第1組の3相巻線2U(1)〜2W(1)に流れる電流を、第1インバータ6(1)によりUV相間交流電圧に同期して制御し、第2組の3相巻線2U(2)〜2W(2)に流れる電流を、第2インバータ6(2)によりVW相間交流電圧に同期して制御し、第3組の3相巻線2U(3)〜2W(3)に流れる電流を、第3インバータ6(3)によりWU相間交流電圧に同期して制御する。

0041

そして、制御部8は、ベクトル制御を行う際に用いるq軸電流指令値IqRef_baseを、速度指令値ωrefとモータ1の速度ωとの差に基づく速度制御の結果に、3相交流電源3の周波数の2倍値に関連した演算パラメータであるsin2θuvを乗じて生成する。これにより、各組巻線のトルクTm1〜Tm3に生じている脈動を相殺して、比較的簡単な構成でモータ1を低振動・低騒音で駆動することができる。

0042

(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。図15に示すように、第2実施形態では、第1実施形態の制御部8を、各インバータ6(1),6(2),6(3)に対応させて3つに分割した第1制御部21(1),第2制御部21(2),第3制御部21(3)を用いる。各制御部21(1),21(2),21(3)は互いに通信を行う通信部を備えている。

0043

例えば、共通の処理であるモータ1の速度制御を制御部21(1)が行い、その結果であるq軸電流指令値IqRef_baseを制御部21(2),21(3)に送信する。制御部21(2),21(3)は、受信したq軸電流指令値IqRef_baseに基づき各々の電流制御部15(2)及び変調制御部16(2),電流制御部15(3)及び変調制御部16(3)で演算を行い、対応するインバータ6(2),6(3)にスイッチング信号を出力する。

0044

以上のように第2実施形態によれば、モータ1の第1組の3相巻線2U(1)〜2W(1)に流れる電流を制御する第1制御部21(1)と、第2組の3相巻線2U(2)〜2W(2)に流れる電流を制御する第2制御部21(2)と、第3組の3相巻線2U(3)〜2W(3)に流れる電流を制御する第3制御部21(3)とを備える。これらの制御部21(1)〜21(3)は互いに通信可能に構成され、各制御部21(1)〜21(3)がベクトル制御を行う際に用いるq軸電流指令値IqRef_baseは、第1制御部21(1)における速度制御の結果に基づいて生成する。

0045

各制御部21(1),21(2),21(3)は、一般的な単一の3相モータを駆動できる数のポート数を持った、小ピン数のマイコンなどの演算器を用いて実現することができるため、安価な構成でモータ制御装置を実現できる。

0046

(第3実施形態)
図16は、本実施形態のモータ駆動システムを適用した空気調和機30の構成を示す。ヒートポンプシステム31を構成する圧縮機32は、圧縮部33とモータ1を同一の鉄製密閉容器35内に収容して構成され、モータ1のロータシャフトが圧縮部33に連結されている。モータ1は、第1又は第2実施形態の駆動装置により駆動される。そして、圧縮機32、四方弁36、室内側熱交換器37、減圧装置38、室外側熱交換器39は、熱伝達媒体流路たるパイプにより閉ループを構成するように接続されている。尚、圧縮機32は、例えばロータリ型の圧縮機である。空気調和機30は、上記のヒートポンプシステム31を有して構成されている。

0047

暖房時には、四方弁36は実線で示す状態にあり、圧縮機32の圧縮部33で圧縮された高温冷媒は、四方弁36から室内側熱交換器37に供給されて凝縮し、その後、減圧装置38で減圧され、低温となって室外側熱交換器39に流れ、ここで蒸発して圧縮機32へと戻る。一方、冷房時には、四方弁36は破線で示す状態に切り替えられる。このため、圧縮機32の圧縮部33で圧縮された高温冷媒は、四方弁6から室外側熱交換器39に供給されて凝縮し、その後、減圧装置38で減圧され、低温となって室内側熱交換器37に流れ、ここで蒸発して圧縮機32へと戻る。そして、室内側、室外側の各熱交換器37,39には、それぞれファン40,41により送風が行われ、その送風によって各熱交換器37,39と室内空気室外空気熱交換が効率良く行われるように構成されている。

0048

このように、本実施形態の3組巻線モータ1を駆動するシステムを空気調和機30に適用することで、空調運転を低振動・低騒音で行うことができる。

0049

(その他の実施形態)
第1〜第3位相検出部は、3相交流電源の電流・直流電圧からそれぞれの位相を推定する構成でも良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

0050

図面中、1は3組巻線構造モータ、2U〜2Wは3相巻線、4(1)〜4(3)は第1〜第3整流回路、6(1)〜6(3)は第1〜第3インバータ、7(1)〜7(3)は電流センサ、8は制御部、9(1)〜9(3)は電圧センサ、10は位置センサ、11は速度制御部、12は位相検出部、21(1)〜21(3)は第1〜第3制御部、30は空気調和機を示す。

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