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技術 送電損失計算装置及び送電損失計算方法

出願人 株式会社日立製作所
発明者 逢見翔太三宅俊之藤原徹
出願日 2018年8月23日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-156743
公開日 2020年2月27日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-031505
状態 未査定
技術分野 交流の給配電 給配電網の遠方監視・制御
主要キーワード 消費電力増加分 エネルギー市場 インピーダンスマップ 出力表示画面 潮流情報 需要分布 消費電力合計 他エリア
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

調整力調達運用においてメリットオーダー送電損失の影響を反映し、経済的な調整力の調達・運用を実現することが可能な送電損失計算装置及び送電損失計算方法を提供する。

解決手段

送電損失計算装置1は、電力系統105における需給バランス及び潮流状態監視情報216と、電力系統における短期の将来に亘る総需要予測した短期予測結果217とに基づいて、短期需要分布変化を予測し、需給調整市場で調達する調整力リソース約定結果212と、予測した短期需要分布変化とに基づいて、短期需要分布変化を単一の前記調整力リソースで補償する場合に必要な出力変化分である個別必要量を調整力リソースごとに算出し、短期予測結果と調整力リソースごとに算出した個別必要量とに基づいて、短期需要分布変化を単一の調整力リソースで補償する場合に調整力リソースの出力変化分に対して生じる送電損失を、調整力リソースごとに算出する。

概要

背景

従来、電力系統では、発電消費される電力量に比べて、貯蔵可能な電力量が少ないことが知られている。このため、電力系統の運用では、需要量発電量差異を一定の範囲に維持する「同時同量」の原則を遵守する必要がある。発電・送配電小売の垂直一貫体制においては、電気事業者は「同時同量」を達成するために、ある程度柔軟に、自社の保有する発電機を制御することができる。

一方、電力自由化に伴う発送電分離によって、電気事業者が送配電事業者と発電・小売事業者に分離した場合、送配電事業者は需給調整市場から調整力購入し、これを運用する必要がある。ここで、「調整力」とは、周波数変動及び需給インバランスを抑制するための発電機等の出力調整可能量を指し、周波数調整力と需給調整力に大別される。周波数調整力は、秒から分オーダーまでの周波数変動に応じて自動的に出力調整されるガバナフリーLFC(Load Frequency Control)やAFC(Automatic Frequency Control)を指す。また、需給調整力は、分オーダー以上の長周期電力需給インバランスを解消するELD(Economic Load Dispatch)やDPC(Dispatching Power Control)を指す。このような調整力の調達・運用に要する費用は、託送料金として最終的には需要者の負担となる。

そこで、電気料金を抑制するためには、系統制約のもとで調整力を経済的に調達・運用することが重要となる。調整力の調達・運用コストを安価に抑えるには、調整力をコストの低い順に並べたメリットオーダーに従うことが望ましい。

例えば、非特許文献1には、日本国内における、メリットオーダーに基づく調整力の調達・運用の検討内容が報告されている。また、特許文献1には、メリットオーダーを用いて発電計画売電計画ポートフォリオを算出するエネルギー市場取引支援装置が開示されている。また、特許文献2には、送電損失電力量を算出し加算することで同時同量を達成する発電電力制御装置が開示されている。

概要

調整力の調達・運用においてメリットオーダーに送電損失の影響を反映し、経済的な調整力の調達・運用を実現することが可能な送電損失計算装置及び送電損失計算方法を提供する。送電損失計算装置1は、電力系統105における需給バランス及び潮流状態監視情報216と、電力系統における短期の将来に亘る総需要予測した短期予測結果217とに基づいて、短期需要分布変化を予測し、需給調整市場で調達する調整力リソース約定結果212と、予測した短期需要分布変化とに基づいて、短期需要分布変化を単一の前記調整力リソースで補償する場合に必要な出力変化分である個別必要量を調整力リソースごとに算出し、短期予測結果と調整力リソースごとに算出した個別必要量とに基づいて、短期需要分布変化を単一の調整力リソースで補償する場合に調整力リソースの出力変化分に対して生じる送電損失を、調整力リソースごとに算出する。

目的

そして、需給調整市場システム101は、調整力(あるいは、調整力を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

電力系統における需給バランス及び潮流状態監視によって得られる監視情報と、前記電力系統における短期の将来に亘る総需要予測した短期予測結果とに基づいて、短期需要分布変化を予測し、需給調整市場調達する調整力リソース約定結果と、前記予測した短期需要分布変化とに基づいて、前記短期需要分布変化を単一の前記調整力リソースで補償する場合に必要な出力変化分である個別必要量を前記調整力リソースごとに算出し、前記短期予測結果と前記調整力リソースごとに算出した前記個別必要量とに基づいて、前記短期需要分布変化を単一の前記調整力リソースで補償する場合に当該調整力リソースの出力変化分に対して生じる送電損失を、前記調整力リソースごとに算出することを特徴とする送電損失計算装置

請求項2

前記短期需要分布変化は、前記監視情報における過去の母線需要の変化と、前記短期予測結果における将来の総需要予測とから、所定の線形式を用いて予測されることを特徴とする請求項1に記載の送電損失計算装置。

請求項3

前記調整力リソースごとに算出される前記送電損失は、前記調整力リソースごとの前記個別必要量から前記短期予測結果で予測された総需要変化を差し引いた差分であることを特徴とする請求項1に記載の送電損失計算装置。

請求項4

前記調整力リソースごとに算出される前記送電損失は、前記調整力リソースごとの前記個別必要量から前記短期予測結果で予測された総需要変化を差し引いた差分を当該個別必要量で除することによって得られる送電損失率であることを特徴とする請求項1に記載の送電損失計算装置。

請求項5

前記調整力リソースごとに算出される前記送電損失は、前記短期需要分布変化と前記調整力リソースごとの前記個別必要量とによって形成される電気系統の潮流状態における系統全体の送電損失であることを特徴とする請求項1に記載の送電損失計算装置。

請求項6

前記調整力リソースごとに算出した前記送電損失に基づいて、前記約定結果を補正した場合の補正後約定結果を策定することを特徴とする請求項1に記載の送電損失計算装置。

請求項7

前記補正後約定結果には、前記調整力リソースごとに算出された前記送電損失から算出される補正係数、あるいは当該補正係数を用いて補正された調整量の価格が含まれることを特徴とする請求項6に記載の送電損失計算装置。

請求項8

前記調整力リソースごとの前記個別必要量、前記調整力リソースごとの前記送電損失、または前記補正後約定結果を表示することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の送電損失計算装置。

請求項9

電力系統における需給バランス及び潮流状態の監視によって得られる監視情報と、前記電力系統における短期の将来に亘る総需要を予測した短期予測結果とに基づいて、短期需要分布変化を予測する短期需要分布変化予測ステップと、需給調整市場で調達する調整力リソースの約定結果と、前記短期需要分布変化予測ステップで予測した前記短期需要分布変化とに基づいて、前記短期需要分布変化を単一の前記調整力リソースで補償する場合に必要な出力変化分である個別必要量を前記調整力リソースごとに算出する個別必要量算出ステップと、前記短期予測結果と前記個別必要量算出ステップで前記調整力リソースごとに算出した前記個別必要量とに基づいて、前記短期需要分布変化を単一の前記調整力リソースで補償する場合に当該調整力リソースの出力変化分に対して生じる送電損失を、前記調整力リソースごとに算出する送電損失算出ステップと、を備えることを特徴とする送電損失計算方法

請求項10

前記短期需要分布変化予測ステップにおいて、前記監視情報における過去の母線需要の変化と、前記短期予測結果における将来の総需要予測とから、所定の線形式を用いて前記短期需要分布変化を予測することを特徴とする請求項9に記載の送電損失計算方法。

請求項11

前記送電損失算出ステップでは、前記調整力リソースごとの前記個別必要量から前記短期予測結果で予測された総需要変化を差し引いた差分を、前記調整力リソースごとの前記送電損失として算出することを特徴とする請求項9に記載の送電損失計算方法。

請求項12

前記送電損失算出ステップでは、前記調整力リソースごとの前記個別必要量から前記短期予測結果で予測された総需要変化を差し引いた差分を当該個別必要量で除することによって得られる送電損失率を、前記調整力リソースごとの前記送電損失として算出することを特徴とする請求項9に記載の送電損失計算方法。

請求項13

前記送電損失算出ステップでは、前記短期需要分布変化と前記調整力リソースごとの前記個別必要量とによって形成される電気系統の潮流状態における系統全体の送電損失を、前記調整力リソースごとの前記送電損失として算出することを特徴とする請求項9に記載の送電損失計算方法。

請求項14

前記送電損失算出ステップで算出した前記調整力リソースごとの前記送電損失に基づいて、前記約定結果を補正した場合の補正後約定結果を策定する補正後約定結果策定ステップをさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の送電損失計算方法。

請求項15

前記調整力リソースごとの前記個別必要量、前記調整力リソースごとの前記送電損失、または前記補正後約定結果を表示する表示出力ステップをさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の送電損失計算方法。

技術分野

0001

本発明は、送電損失計算装置及び送電損失計算方法に関し、電力系統調整力調達運用における送電損失を計算する送電損失計算装置及び送電損失計算方法に適用して好適なものである。

背景技術

0002

従来、電力系統では、発電消費される電力量に比べて、貯蔵可能な電力量が少ないことが知られている。このため、電力系統の運用では、需要量発電量差異を一定の範囲に維持する「同時同量」の原則を遵守する必要がある。発電・送配電小売の垂直一貫体制においては、電気事業者は「同時同量」を達成するために、ある程度柔軟に、自社の保有する発電機を制御することができる。

0003

一方、電力自由化に伴う発送電分離によって、電気事業者が送配電事業者と発電・小売事業者に分離した場合、送配電事業者は需給調整市場から調整力を購入し、これを運用する必要がある。ここで、「調整力」とは、周波数変動及び需給インバランスを抑制するための発電機等の出力調整可能量を指し、周波数調整力と需給調整力に大別される。周波数調整力は、秒から分オーダーまでの周波数変動に応じて自動的に出力調整されるガバナフリーLFC(Load Frequency Control)やAFC(Automatic Frequency Control)を指す。また、需給調整力は、分オーダー以上の長周期電力需給インバランスを解消するELD(Economic Load Dispatch)やDPC(Dispatching Power Control)を指す。このような調整力の調達・運用に要する費用は、託送料金として最終的には需要者の負担となる。

0004

そこで、電気料金を抑制するためには、系統制約のもとで調整力を経済的に調達・運用することが重要となる。調整力の調達・運用コストを安価に抑えるには、調整力をコストの低い順に並べたメリットオーダーに従うことが望ましい。

0005

例えば、非特許文献1には、日本国内における、メリットオーダーに基づく調整力の調達・運用の検討内容が報告されている。また、特許文献1には、メリットオーダーを用いて発電計画売電計画ポートフォリオを算出するエネルギー市場取引支援装置が開示されている。また、特許文献2には、送電損失電力量を算出し加算することで同時同量を達成する発電電力制御装置が開示されている。

0006

特開2017−151717号公報
特開2005−065426号公報

先行技術

0007

第4回需給調整市場検討小委員会、“需給調整市場システムの開発について”、[online]、2018年5月23日、電力広域的運営推進機関第4回需給調整市場検討小委員会配布資料資料5、[2018年8月1日検索]、インターネット

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、特許文献1に開示されたエネルギー市場取引支援装置は、電力の輸送に伴う送電損失を考慮しておらず、経済的な調整力の調達・運用を実現することができない。また、特許文献2に開示された発電電力制御装置は、送電電力量合計値受電電力量合計値に所定の送電損失率を乗じることで、電力系統全体の送電損失電力量を求めるのみであり、メリットオーダーに対して送電損失の影響を反映することができない。このように、従来技術では、送電損失を考慮したメリットオーダーを実現することができず、経済的な調整力の調達・運用を実現できないという課題があった。

0009

本発明は以上の点を考慮してなされたもので、調整力の調達・運用においてメリットオーダーに送電損失の影響を反映し、経済的な調整力の調達・運用を実現することが可能な送電損失計算装置及び送電損失計算方法を提案しようとするものである。

課題を解決するための手段

0010

かかる課題を解決するため本発明においては、電力系統における需給バランス及び潮流状態監視によって得られる監視情報と、前記電力系統における短期の将来に亘る総需要予測した短期予測結果とに基づいて、短期需要分布変化を予測し、需給調整市場で調達する調整力リソース約定結果と、前記予測した短期需要分布変化とに基づいて、前記短期需要分布変化を単一の前記調整力リソースで補償する場合に必要な出力変化分である個別必要量を前記調整力リソースごとに算出し、前記短期予測結果と前記調整力リソースごとに算出した前記個別必要量とに基づいて、前記短期需要分布変化を単一の前記調整力リソースで補償する場合に当該調整力リソースの出力変化分に対して生じる送電損失を、前記調整力リソースごとに算出することを特徴とする送電損失計算装置が提供される。

0011

また、かかる課題を解決するため本発明においては、電力系統における需給バランス及び潮流状態の監視によって得られる監視情報と、前記電力系統における短期の将来に亘る総需要を予測した短期予測結果とに基づいて、短期需要分布変化を予測する短期需要分布変化予測ステップと、需給調整市場で調達する調整力リソースの約定結果と、前記短期需要分布変化予測ステップで予測した前記短期需要分布変化とに基づいて、前記短期需要分布変化を単一の前記調整力リソースで補償する場合に必要な出力変化分である個別必要量を前記調整力リソースごとに算出する個別必要量算出ステップと、前記短期予測結果と前記個別必要量算出ステップで調整力リソースごとに算出した前記個別必要量とに基づいて、前記短期需要分布変化を単一の前記調整力リソースで補償する場合に当該調整力リソースの出力変化分に対して生じる送電損失を、前記調整力リソースごとに算出する送電損失算出ステップと、を備えることを特徴とする送電損失計算方法が提供される。

発明の効果

0012

本発明によれば、調整力の調達・運用においてメリットオーダーに送電損失の影響を反映し、経済的な調整力の調達・運用を図ることができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の一実施の形態に係る需給制御システム及びその周辺の構成例を示すブロック図である。
図1に示した需給制御システムの機能構成例を示すブロック図である。
電力系統と需給バランスを説明するための図である。
メリットオーダーに従った需給運用を説明するための図である。
約定結果の具体的なデータ例を示す図である。
送電損失計算処理処理手順例を示すフローチャートである。
電力系統の状態例を示す図である。
監視情報の具体的なデータ例を示す図である。
短期予測結果の具体的なデータ例を示す図である。
調整力リソース個別必要量の具体的なデータ例を示す図である。
送電損失情報の具体的なデータ例を示す図である。
補正後約定結果の具体的なデータ例を示す図である。
図12に示した補正後約定結果の別の表記例を示す図である。
送電損失情報や補正後約定結果のグラフによる表示例を示す図である。

実施例

0014

以下、図面を参照しながら、本発明の一実施の形態を詳述する。

0015

(1)需給制御システムの構成
(1−1)ハードウェア構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る需給制御システム及びその周辺の構成例を示すブロック図である。本実施の形態では、本発明に係る送電損失計算方法の適用先の一例として、電力系統の所定エリア管轄する需給制御システム1を想定し、この需給制御システム1の構成及び機能について詳しく説明する。換言すると、需給制御システム1は、本発明に係る送電損失計算装置の一例とも言える。

0016

需給制御システム1は、一般的なコンピュータを用いて実現することができ、図1に示すように、中央制御装置11、入力装置12、出力装置13、ディスプレイ等の表示装置14、主記憶装置15及び補助記憶装置16を備えて構成される。需給制御システム1を構成する各装置は、バスを介して相互に接続されている。また、補助記憶装置16は、需給制御システム1で利用可能な各種のデータやプログラムとして、各種データベース17及び各種プログラム18を記憶している。

0017

なお、後述する図2では、需給制御システム1の機能構成例として、機能部(具体的には、広域機関通信部201〜送電損失計算・補正部209)が示されるが、各機能部はプログラム(ソフトウェア)である。そして、以降の説明において、機能部を動作主体として記した場合、それは、中央制御装置11が補助記憶装置16から当該機能部に相当するプログラムを読み出し、主記憶装置15にロードした上で、当該機能部の機能を実現することを意味する。

0018

図1に示すように、需給制御システム1は、需給調整市場システム101に接続可能である。需給制御システム1と需給調整市場システム101は、直接接続されてもよいし、通信回線を介して接続されてもよい。需給調整市場システム101は、需給調整市場の取引を管理している。需給調整市場は、発電事業者及び小売事業者によって形成されるバランシンググループ(BG)と送配電事業者とが、調整力を取引する市場である。

0019

さらに、需給制御システム1は、通信回線102aを介して、電力系統105に設置された計測器103及び出力可機器104に接続可能である。計測器103は、送変電設備の潮流状態や開閉器状態等、電力系統105の状態を計測する機器である。出力可変機器104は、出力調整が可能な機器であって、具体的には例えば、出力変更機能を有する発電機、変換器潮流設備蓄電池、または需要家設備などに相当する。

0020

さらに、需給制御システム1は、通信回線102bを介して広域機関システム106とも接続可能である。広域機関システム106は、需給制御システム1が管轄しているエリア内における、バランシンググループの需要調達計画及び発電計画からなる需給計画を、通信回線102bを介して需給制御システム1に出力する。

0021

(1−2)調整力
ここで、需給調整市場における「調整力」について詳しく説明する。

0022

小売事業者及び発電事業者によって形成されるバランシンググループ(BG)は、それぞれ所定時間(例えば30分コマ)ごとの需要・調達計画及び発電計画を策定し、計画に基づいて運用している。この計画値は、小売事業者が策定する電力需要の予測と、小売事業者と発電事業者間で電力量を直接取引する相対取引卸電力取引所を介する市場取引と、に基づいて策定される。

0023

しかしながら、実際の電力量の需要と供給のバランスは短期的に変動するものであり、この変動に対して電力系統における需給バランスを維持するために、電力の需要量が供給量を上回る場合には、送配電事業者は、供給量を追加するか需要量を削減する必要がある。逆に、電力の需要量が供給量を下回る場合には、送配電事業者は、供給量を削減するか需要量を追加する必要がある。

0024

上記のような場合に備えて、送配電事業者は、発電機等の出力を自由に変化することのできる権利オプション調整余力)をバランシンググループから購入する。この権利(オプション、調整余力)が「調整力」と呼ばれる。調整力には、供給量の追加あるいは需要量の削減が可能な「上げ調整力」と、供給量の削減あるいは需要量の追加が可能な「下げ調整力」とがある。

0025

(1−3)機能構成
図2は、図1に示した需給制御システムの機能構成例を示すブロック図である。図2には、需給制御システム1の機能構成の他に、送受される情報も示されている。

0026

図2に示すように、需給調整市場システム101は、需給制御システム1から調整力必要量211を取得し、バランシンググループの調整力入札情報に基づいて調整力を約定する。そして、需給調整市場システム101は、調整力(あるいは、調整力を提供する調整力リソース)の約定結果212をバランシンググループ(不図示)及び需給制御システム1に出力する。より詳しく言えば、約定結果212は、需給調整市場システム101で調達する1以上の調整力リソースについての約定結果であり、単位量当たりの調達価格によるメリットオーダーに紐付けられる。約定結果212の具体例は、後述する図5に示される。

0027

また、広域機関システム106は、需給制御システム1が管轄しているエリア内における、バランシンググループの需要・調達計画及び発電計画からなる需給計画213を、通信回線102bを介して需給制御システム1に出力する。なお、需給計画213は、需給制御システム1の管轄エリア内のバランシンググループの需給計画だけでなく、他エリアのバランシンググループの需給計画を含むものであってもよい。

0028

図2に示すように、需給制御システム1は、中長期(例えば翌日〜数週間先まで)の需要予測に基づいて調整力調達を担う予測・調達機能群21と、電力系統状態の監視や短期(例えば数分先〜翌日まで)の需要予測に基づいて調整力の運用を計画し制御する運用機能群22とを備えて構成される。なお、需給制御システム1は、さらに他の機能群を備えてもよい。

0029

予測・調達機能群21は、広域機関通信部201、需要・再エネ中長期予測部202、調整力調達部203、及び市場システム通信部204から構成される。

0030

広域機関通信部201は、広域機関システム106から送信された需給計画213を取得し、調整力調達部203に出力する。

0031

需要・再エネ中長期予測部202は、気象予測等に基づいて、中長期に亘る需要及び再生可能エネルギー(再エネ)の出力を予測し、予測結果を中長期予測結果214として調整力調達部203に出力する。

0032

調整力調達部203は、広域機関通信部201から取得した需給計画213と、需要・再エネ中長期予測部202から取得した中長期予測結果214とに基づいて、調達する必要がある調整力(調整力必要量211)を策定し、策定した調整力必要量211を市場システム通信部204に出力する。また、調整力調達部203は、需給調整市場システム101から市場システム通信部204を経由して取得する約定結果212を、運用機能群22(送電損失計算・補正部209)に引き渡す。

0033

市場システム通信部204は、調整力調達部203から取得した調整力必要量211を需給調整市場システム101に送信し、また、需給調整市場システム101から出力される約定結果212を取得する。市場システム通信部204が取得した約定結果212は、調整力調達部203に取得され、前述したように、調整力調達部203から運用機能群22に引き渡される。

0034

運用機能群22は、計測情報入力部205、電力系統監視部206、需要・再エネ短期予測部207、需給運用部208、及び送電損失計算・補正部209から構成される。

0035

計測情報入力部205は、電力系統105に設置された計測器103及び出力可変機器104より、計測器103及び出力可変機器104によって計測された計測情報215を取得し、電力系統監視部206及び需給運用部208に出力する。

0036

電力系統監視部206は、計測情報入力部205から取得した計測情報215に含まれる周波数情報を用いて、電力系統105の需給バランスを監視するとともに、保有する電力系統ネットワーク情報と計測情報215とに基づく状態推定等により電力系統105の潮流状態を監視する。ここで、電力系統ネットワーク情報は、系統情報とも称し、電力系統105の接続を表すトポロジー情報インピーダンスマップにより構成される。そして、電力系統監視部206は、電力系統105の需給バランス及び潮流状態の監視によって得られた情報(監視情報216)を、需要・再エネ短期予測部207に出力する。監視情報216は、上記「系統情報」を含むものであってもよい。なお、図2の場合、監視情報216は、需要・再エネ短期予測部207を介して送電損失計算・補正部209に送信されるように示しているが、電力系統監視部206から送電損失計算・補正部209に直接送信されるようにしてもよい。

0037

需要・再エネ短期予測部207は、監視情報216及び短期的な気象予測等に基づいて、電力系統105における短期の将来に亘る総需要(より詳細には、短期の将来にわたる需要及び再生可能エネルギー(再エネ)の出力)を予測する。そして需要・再エネ短期予測部207は、その予測結果を短期予測結果217として需給運用部208に出力するとともに、監視情報216及び短期予測結果217を送電損失計算・補正部209に出力する。

0038

送電損失計算・補正部209は、予測・調達機能群21の調整力調達部203から取得する約定結果212と、需要・再エネ短期予測部207から取得する監視情報216及び短期予測結果217と、保有する系統情報とに基づいて、短期需要分布変化を予測する(短期需要分布変化予測の策定)。系統情報は、電力系統105の接続を表すトポロジー情報やインピーダンスマップにより構成される。

0039

さらに、送電損失計算・補正部209は、短期需要分布変化予測に基づいて、約定済みの調整力リソースを発動した際の送電損失及び送電損失の変化を、送電損失情報222として調整力リソースごとに算出する。

0040

そしてさらに、送電損失計算・補正部209は、送電損失情報222を用いて、約定結果212に含まれるメリットオーダーを補正し、補正後約定結果218として需給運用部208に出力する。また、送電損失計算・補正部209が算出した送電損失情報222と補正後約定結果218は、表示装置14の表示によって利用者通知される。

0041

本実施の形態では、上述した送電損失計算・補正部209による一連の処理を送電損失計算処理と称し、その詳細は図6等を参照しながら後述する。

0042

需給運用部208は、計測情報入力部205から取得する計測情報215と、需要・再エネ短期予測部207から取得する短期予測結果217と、送電損失計算・補正部209から取得する補正後約定結果218とに基づいて、出力変更指令220を生成し、通信回線102aを介して出力可変機器104に送信する。そして、出力可変機器104が、出力変更指令220に基づいて機器の出力を変更することにより、電力系統105の需給バランスが維持される。

0043

(2)電力系統と需給運用
以下では、電力系統及び需給運用について、図3図5を参照しながら説明する。図3は、電力系統と需給バランスを説明するための図である。図4は、メリットオーダーに従った需給運用を説明するための図である。図5は、約定結果の具体的なデータ例を示す図である。なお、本実施の形態に係る需給制御システム1は、送電損失を考慮してメリットオーダーに従った需給運用を行い、電力系統の需給バランスを取るものであるが、本章では、送電損失を無視した場合について説明する。すなわち、図3図4では、送電損失が無視されている。送電損失を考慮した場合の電力系統の状態は、図7に例示される。

0044

図3図4には、バス301a〜301fが示されているが、以降の説明では、個別のバスを区別しない場合、総称してバス301とする。ブランチ302a〜302e、発電機303a〜303d、及び負荷304a〜304dについても同様に、個々を区別しない場合には、ブランチ302、発電機303、負荷304と表す。これらは後述する図7でも同様である。

0045

まず、図3を参照して、電力系統の構成や需給バランスを説明する。

0046

図3に示したように、電力系統105は、複数のバス301及び複数のブランチ302から構成される。バス301は、電力系統105上に存在する変電所及び開閉所等に対応する。バス301には、発電機303及び負荷304が接続される。ブランチ302は、電力系統105上の送電線に対応しており、バス301を相互に接続する。ブランチ302には、それぞれの送電線に対しインピーダンスが設定されている。

0047

ここで、需給バランスが取れている電力系統においては、発電される電力から送電損失を差し引いた電力と消費される電力が一致している。図3には、送電損失を無視したときに、時刻「0:20」において需給バランスが取れている電力系統の状態が示されている。具体的には、図3において、発電機303の発電電力合計と負荷304の消費電力合計は、2500MWで一致している。一方で、図3において個別のバス301a〜301fに着目すると、それぞれのバス301において需給バランスはとれていないため、電力の余剰不足分はブランチ302を流れている。例えばバス301aにおいては、発電機303aの発電電力が1000MWであるのに対して、負荷304aの消費電力が800MWであることから、余剰電力の200MWがブランチ302aを流れている。

0048

次に、図4を参照して、メリットオーダーに従った需給運用について説明する。

0049

需給バランスが取れた図3の状態(時刻「0:20」)に比べて、図4(時刻「0:30」)では、負荷304c及び負荷304dにおける消費電力が100MWずつ増えるとしている。このとき、この状況のままでは消費電力が200MW多く、需給バランスが崩れるため、需給制御システムは、調整力を購入して電力系統105の需給バランスを維持しようとする。具体的には、需給調整市場システム101からの調整力の約定結果212に基づいて、電力系統105内において発電を増加する発電機303を決定する。

0050

図5は、約定結果の具体的なデータ例を示す図である。例えば図5に示したように、約定結果212は、約定した調整力リソースの調達量及び価格を示す約定内容2121と、約定内容2121を価格順に並び替えたメリットオーダーリスト2122とを備えて構成される。図5では、簡便のため、調整力の種別は考慮していないが、約定結果212は、調整力の特性に応じた区分ごとに細分化されていてもよい。

0051

図4のように発電電力よりも消費電力が200MW多い状況において、図5のメリットオーダーリスト2122に従うと、最も安い調整力は発電機303aである。そして、発電機303aによる調達量は250MWであり、消費電力増加分の200MWを上回る電力量を確保できているため、この場合、発電機303aの発電を200MW増加させればよい。この結果、時刻「0:30」において発電機303の発電電力合計は2700MWとなり、負荷304の消費電力合計と損失電力との和も2700MWとなって一致することから、電力の需給バランスを維持できる。なお、本例では、調整力リソースとして発電機を想定して説明したが、出力可変機器104に含まれる他の出力可変機器を調整力リソースとしてもよい。

0052

以上が、送電損失を無視した場合におけるメリットオーダーに従った需給運用であるが、実際の電力系統では、電力の輸送に伴う送電損失が発生する。そこで、本実施の形態に係る需給制御システム1(送電損失計算装置)は、次章に説明する送電損失計算処理を実行することにより、送電損失を考慮してメリットオーダーに従った需給運用を行い、電力系統の需給バランスを維持できるようにしている。

0053

(3)送電損失計算処理
図6は、送電損失計算処理の処理手順例を示すフローチャートである。送電損失計算処理は、短期需要分布変化予測に基づいて送電損失に関する送電損失情報を算出し、送電損失情報に基づいて約定結果を補正した場合の補正後約定結果を策定し、送電損失情報や補正後約定結果を出力する処理であって、主に送電損失計算・補正部209によって実行される。

0054

図7は、電力系統の状態例を示す図である。前述した図4図5では送電損失を無視した場合の電力系統の状態を例示したが、図7では、送電損失を考慮した場合の電力系統の状態の一例として、時刻「0:20」の断面が示されている。

0055

以下に、図7の電力系統の状態を具体例として参照しながら、図6に示した送電損失計算処理の処理手順について詳しく説明する。

0056

図6によればまず、ステップS101において、送電損失計算・補正部209は、約定結果212、監視情報216、及び短期予測結果217を取得する。前述したように、約定結果212は、予測・調達機能群21の調整力調達部203から取得することができ、その具体的なデータ例は図5に示した通りである。また、監視情報216は、電力系統監視部206から(または需要・再エネ短期予測部207を介して)取得することができ、短期予測結果217は、需要・再エネ短期予測部207から取得することができる。

0057

図8は、監視情報の具体的なデータ例を示す図である。例えば図8に示したように、監視情報216は、バス監視情報2161及びブランチ監視情報2162を備えて構成される。バス監視情報2161は、各時刻におけるバスごとの発電電力、消費電力、電圧情報から構成される。ブランチ監視情報2162は、ブランチごとの潮流情報から構成され、図8に示す例では始端バスから終端バスに向かう潮流を正としている。また、同一のブランチについて2列ずつ記載されているのは、ブランチ両端のどちらのバス側の潮流かを分けて記載するためであり、この例では各時刻における始端バスから流入する潮流を記載している。

0058

図9は、短期予測結果の具体的なデータ例を示す図である。例えば図9に示したように、短期予測結果217には、短期(例えば10分間隔で1時間先まで)のエリア内の総需要予測値が記載される。

0059

次にステップS102において、送電損失計算・補正部209は、ステップS101で取得した監視情報216及び短期予測結果217に基づき、短期需要分布変化を予測する(短期需要分布変化予測の策定)。

0060

ここで、送電損失計算・補正部209による短期需要分布変化の具体的な予測方法は、特に限定されるものではなく、監視情報216における過去の母線需要の変化と、短期予測結果217における将来の総需要予測とに基づいて、様々な予測方法を採用することができる。具体的には例えば、バス地点ごと気象情報等からAI等を用いた機械学習によって予測するようにしてもよいし、また例えば、以下の式1〜式4に示すように、バスごとの過去の需要変化量を用いて短期予測を按分線形的に予測してもよい。あるいは、まったく別の手法を用いても構わない。このようにバスごとの需要変化を予測することで、潮流状態がどのように変化するか予測でき、潮流管理にも有用である。



ここで、tは時刻を表し、Pi(t)は時刻tにおけるバスiの需要を意味し、Ptot(t)は時刻tにおけるエリア全体の総需要を意味する。また、デルタ(Δ)は、差分(変化量)を意味し、右肩のダッシュ(’)は予測値であることを意味する。

0061

次にステップS103において、送電損失計算・補正部209は、ステップS101で取得した約定結果212及び監視情報216と、ステップS102で策定した短期需要分布変化予測と、保有する系統情報とを用いて、予測需要分布に対して各調整力リソースを個別に発動を想定する場合の必要量(調整力リソース個別必要量221)を計算する。調整力リソース個別必要量221の計算にあたっては、発動を想定する調整力リソースが接続されているバスをスイングバスとして潮流計算するとよい。

0062

図10は、調整力リソース個別必要量の具体的なデータ例を示す図である。例えば、図10に示したように調整力リソース個別必要量221は、予測需要分布に対して各調整力リソースを個別に発動を想定する場合の必要量が単位日時ごとに示されており、この情報を用いることにより、所定時刻において最も経済的な調整力リソースを判断することができる。図10に示した時刻「0:30」(日付は省略)の場合を用いて、具体的な判断手順を以下に示す。

0063

まず、図9の短期予測結果217によれば、時刻「0:20」から時刻「0:30」にかけて、総需要の増加量は200MWである(2700MW−2500MW=200MW)。この200MWの総需要の増加に対して、図10に示した時刻「0:30」の調整力リソース個別必要量221によれば、調整力リソースとして発電機303aを用いる場合には、216MWの追加発電が必要であることが示されている。同様に、調整力リソースとして発電機303cを用いる場合には、203MWの追加発電が必要であることが示され、調整力リソースとして発電機303dを用いる場合には、198MWの追加発電が必要であることが示されている。すなわち、図10の調整力リソース個別必要量221によれば、時刻「0:30」では、複数の発電機303のうち、発電機303dが調整力リソースとして最も経済的であることが分かる。

0064

次にステップS104において、送電損失計算・補正部209は、ステップS101で取得した監視情報216と、ステップS102で策定した短期需要分布変化予測と、ステップS103で算出した調整力リソース個別必要量221とを用いて、送電損失に関する情報(送電損失情報222)を算出する。

0065

図11は、送電損失情報の具体的なデータ例を示す図である。例えば図11に示すように、送電損失情報222は、エリア全体の過去の送電損失の推移に関する情報が示された全体送電損失推移情報2221と、予測需要分布に対して追加発動する場合に調整力リソースごとに発生する送電損失の情報が示された調整力リソース別送電損失情報2222とを備えて構成される。より具体的には、全体送電損失推移情報2221には、送電損失、送電損失率、送電損失見込値、及び送電損失率見込値が表され、調整力リソース別送電損失情報2222には、発電機(調整力リソースの一例)ごとに、送電損失、送電損失率、及び系統全体送電損失が表されている。

0066

このうち、送電損失率見込値は、運用で用いている送電損失率の見込値であり、送電損失見込値は、送電損失率見込値から換算した送電損失の見込値である。そして、送電損失は、例えば以下の式5を用いて算出することができ、送電損失率は、例えば以下の式6を用いて算出することができる。



ここで、Ploss,res_j(t)は、時刻tで想定する需要分布変化分を調整力リソースjのみで補償する場合に調整力リソースjの出力変化分に発生する送電損失を意味する。ΔPreq,res_j(t)は、時刻tで想定する需要分布変化分を調整力リソースjのみで補償する場合の調整力リソースjの出力変化分を意味し、ΔPtot(t)は、時刻tで想定する総需要変化を意味する。また、デルタ(Δ)は、差分(変化量)を意味し、右肩のダッシュ(’)は予測値であることを意味する。



ここで、Plossrate,res_j(t)は、時刻tで想定する需要分布変化分を調整力リソースjのみで補償する場合に調整力リソースjの出力変化分に発生する送電損失率を意味する。また、デルタ(Δ)は、差分(変化量)を意味し、右肩のダッシュ(’)は予測値であることを意味する。

0067

以上のようにして算出した図11の送電損失情報222によれば、調整力リソース別送電損失情報2222において、発電機303a及び発電機303cは、送電損失の値が正であり、想定する総需要変化分以上に出力を変更する必要がある。一方で、発電機303dは、送電損失の値が負であり、想定する総需要変化分よりも少ない出力変化で十分となっている。これは、発電機303dによる出力変化によって電力系統の潮流状態が変わり、系統全体の送電損失が少なくなったために、見かけ上、送電損失が負の値となっていることを意味している。

0068

次にステップS105において、送電損失計算・補正部209は、ステップS101で取得した約定結果212に対して、ステップS104で算出した送電損失情報222を用いて補正を行った場合の補正後約定結果218を策定する。

0069

図12は、補正後約定結果の具体的なデータ例を示す図である。例えば、図12に示したように、補正後約定結果218は、補正後約定内容2181と補正後メリットオーダーリスト2182とを備えて構成される。補正後約定結果218を図5に例示した約定結果212と比較すると、大部分の項目は同じであるが、補正係数Kの項が追加されている点で異なる。時刻tにおける補正係数K(t)は、以下の式7を用いて算出できる。

0070

以上のように補正係数Kを算出することにより、各調整力リソースにおける送電損失の影響を定量化することができる。

0071

また、図13は、図12に示した補正後約定結果の別の表記例を示す図である。図12の補正後約定結果218は、補正前の調達量(値)及び価格と補正係数Kとを列挙する形式であったが、図13に示した補正後約定結果219のように、補正係数Kを用いて価格を直接補正し、補正後約定内容2191において元値補正値を明示するようにしてもよい。この場合、補正後メリットオーダーリスト2192は、補正された価格順に並び替えられ、図5の約定結果212におけるメリットオーダーリスト2122とは異なる順番となっている。補正係数Kを用いた価格の補正は、以下の式8を用いて算出できる。



ここで、Price_rev(t)は、時刻tの時間帯における補正後価格(補正値)を意味し、Price(t)は補正前の価格(元値)を意味する。

0072

次にステップS106において、送電損失計算・補正部209は、ステップS104で算出した送電損失情報222及びステップS105で策定した補正後約定結果218を表示装置14に表示することにより、利用者に通知する。表示にあたっては、図11図13で示した表形式を並べて表示するようにしてもよいし、あるいはグラフ化して表示してもよい。

0073

図14は、送電損失情報や補正後約定結果のグラフによる表示例を示す図である。図14に示した出力表示画面223は、ステップS106における表示装置14の表示画面の一例であって、系統全体送電損失率2231、補正係数2232、及び発動必要量と送電損失2233のそれぞれにおいてグラフが表示されている。系統全体送電損失率2231は、図11の全体送電損失推移情報2221に基づいて送電損失率及び送電損失率見込値をグラフ化したものであり、補正係数2232は、図12の補正後約定結果218に基づいて補正係数Kをグラフ化したものであり、発動必要量と送電損失2233は、図11の調整力リソース別送電損失情報2222に基づいて発電機303ごとの送電損失等をグラフ化したものである。

0074

次にステップS107において、送電損失計算・補正部209は、ステップS105で策定した補正後約定結果218を需給運用部208に出力する。

0075

この後、図2に示したように、需給運用部208は、ステップS107で取得する補正後約定結果218の他に、計測情報入力部205から計測情報215を、需要・再エネ短期予測部207から短期予測結果217を取得する。そして、需給運用部208は、このように取得した計測情報215、短期予測結果217、及び補正後約定結果218を用いて、想定する需要変化や既に発生している需要変化に対し、補正後約定結果218の補正後メリットオーダーリスト2182(または補正後約定結果219の補正後メリットオーダーリスト2192)に従って、LFC(Load Frequency Control)指令やEDC(Economic Load Dispatching Control)指令を生成し、出力変更指令220として出力する。図2に示したように、出力変更指令220は、通信回線102aを介して出力可変機器104に出力される。

0076

以上のように、本実施の形態に係る需給制御システム1は、送電損失計算処理を実行することによって、送電損失の影響をメリットオーダーリストに反映して出力変更指令220を出力することができるようになり、その結果、より経済的な調整力の運用が可能となる。また、調整力リソースごとの送電損失を利用者に通知することで、既存の運用方法の見直しの一助となる。

0077

かくして、本発明によれば、想定需要変動・潮流状態における各調整力リソースの送電損失を求めることで、調整力の調達・運用に用いるメリットオーダーの価格を送電損失に基づいて補正でき、調整力の調達・運用を経済的に実現できる。また、送電損失に基づく補正をメリットオーダーに直接反映しない場合においても、調整力リソースごとの送電損失のばらつきや時間変化を利用者に通知することで、調整力価格の設定方法や調整力の運用・調達における優先順位の補正等の制度見直しにつながり、調整力調達・運用の更なる経済化が期待できる。換言すれば、送電損失の影響を反映させたメリットオーダーの補正を利用者に訴えることができるため、経済的な調整力の調達・運用を促進することに期待できる。

0078

なお、本実施の形態では、本発明に係る送電損失計算方法の適用先の一例として、エリアを管轄している需給制御システム1を想定して説明したが、本発明の適用先はこれに限定されるものではなく、他にも例えば、需給運用を広域で実施するための広域需給調整システムに適用してもよいし、あるいは、需給調整市場システム101における調整力の取引段階において本発明の送電損失計算方法を適用し、価格補正に利用してもよい。

0079

なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

0080

また、図面に示した制御線情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実施には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。

0081

1需給制御システム
11中央制御装置
12入力装置
13出力装置
14表示装置
15主記憶装置
16補助記憶装置
17 各種データベース
18 各種プログラム
21予測・調達機能群
22運用機能群
101需給調整市場システム
102a,102b通信回線
103計測器
104出力可変機器
105電力系統
106 広域機関システム
201 広域機関通信部
202需要・再エネ中長期予測部
203調整力調達部
204 市場システム通信部
205計測情報入力部
206 電力系統監視部
207 需要・再エネ短期予測部
208需給運用部
209送電損失計算・補正部
211 調整力必要量
212約定結果
213需給計画
214 中長期予測結果
215 計測情報
216監視情報
217 短期予測結果
218,219補正後約定結果
220 出力変更指令
221 調整力リソース個別必要量
222 送電損失情報
223出力表示画面
301(301a〜301f)バス
302(302a〜302e)ブランチ
303(303a〜303d)発電機
304(304a〜304d)負荷
2121約定内容
2122 メリットオーダーリスト
2161バス監視情報
2162 ブランチ監視情報
2221 全体送電損失推移情報
2222 調整力リソース別送電損失情報
2181,2191 補正後約定内容
2182,2192 補正後メリットオーダーリスト
2231系統全体送電損失率
2232補正係数
2233発動必要量と送電損失

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