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技術 浸炭窒化用鋼

出願人 大同特殊鋼株式会社
発明者 辻井健太濱田祐樹
出願日 2018年8月24日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-157269
公開日 2020年2月27日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-029608
状態 未査定
技術分野 熱処理
主要キーワード 製造性向 ダライ粉 疲労限度 表面硬化処理後 ビッカース硬さ試験機 含有質量 工具摩耗量 熱間鍛造性
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

製造性を確保しつつ、浸炭窒化処理における窒化物の生成を抑えた浸炭窒化用鋼を提供する。

解決手段

浸炭窒化用鋼は、質量%で、C:0.10〜0.30%、Si:0.30%以下、Mn:0.40〜1.60%、P:0.03%未満、S:0.03%未満、Cr:0.70%以下、Mo:0.01〜0.60%、Al:0.0010〜0.0800%、N:0.0010〜0.0150%、Ti:0.010〜0.0800%、B:0.0005〜0.0030%、残部がFe及び不可避的不純物であり、且つ下記式(1),式(2)を満たす。F1>−1.95・・式(1)、F2<10.0・・式(2) 但しF1=-1.71[C]+0.52[Si]-0.59[Mn]-0.50[Cu]-0.23[Ni]-0.18[Cr]-1.71[Mo] F2=236.61[Si]2-31.04[Si]+33.92[Cr]2-18.48[Cr]+23.92[Si][Mn] (F1,F2の式中[ ]は、[ ]内元素含有質量%を表す)

概要

背景

自動車部品として用いられるギヤシャフトといった部品は、表面の強度および内部の靭性を確保するために、高炭素マルテンサイトの形成を利用した浸炭が広く用いられている。しかし近年では浸炭窒化処理も行われるようになっている。部品が接触時に発熱し、温度が250〜300℃に上がるため、その時の軟化抵抗具合が窒化物析出により抑えられることから、浸炭窒化面疲労強度の向上に有効であると言われている。

一方で、浸炭窒化処理は下記のような問題を有するため、実用的にはあまり用いられていない。具体的には、浸炭窒化処理時に鋼材中のSiやCrといった元素窒素と結合することで窒化物が析出する。このような窒化物が析出すると鋼材焼入れ性を確保していたSiやCrといった元素が母相から失われるため焼入れ性が低下し、また窒化物の生成により粒界脆化され曲げ疲労強度が低下する、と考えられている。

上記問題を解決するため、例えば窒化物を形成しないMnやNi、Moといった元素を多く添加することも考えられるが、これらの元素を過剰に添加すると被削性などの製造性が大きく悪化してしまう。このため従来においては、製造性の確保と窒化物の析出低減を両立させた浸炭窒化用鋼は提供されていない。

尚、本発明に対する先行技術として、下記特許文献1では、浸炭や浸炭窒化処理等の表面硬化処理後焼入れを行っても熱処理歪みを小さくすることができる肌焼鋼が開示されている。しかしながら、この特許文献1にて開示されている合金組成は、基本的に本発明よりも高Cr添加であり、本発明の化学組成を満たす実施例は開示されていない。また浸炭窒化処理における窒化物の生成を抑制するための具体的な手段についても言及されておらず、特許文献1は本発明とは異なるものである。

概要

製造性を確保しつつ、浸炭窒化処理における窒化物の生成を抑えた浸炭窒化用鋼を提供する。浸炭窒化用鋼は、質量%で、C:0.10〜0.30%、Si:0.30%以下、Mn:0.40〜1.60%、P:0.03%未満、S:0.03%未満、Cr:0.70%以下、Mo:0.01〜0.60%、Al:0.0010〜0.0800%、N:0.0010〜0.0150%、Ti:0.010〜0.0800%、B:0.0005〜0.0030%、残部がFe及び不可避的不純物であり、且つ下記式(1),式(2)を満たす。F1>−1.95・・式(1)、F2<10.0・・式(2) 但しF1=-1.71[C]+0.52[Si]-0.59[Mn]-0.50[Cu]-0.23[Ni]-0.18[Cr]-1.71[Mo] F2=236.61[Si]2-31.04[Si]+33.92[Cr]2-18.48[Cr]+23.92[Si][Mn] (F1,F2の式中[ ]は、[ ]内元素の含有質量%を表す) なし

目的

本発明は以上のような事情背景とし、製造性を確保しつつ、浸炭窒化処理における窒化物の析出を少なくすることができる浸炭窒化用鋼を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

質量%でC:0.10〜0.30%Si:0.30%以下Mn:0.40〜1.60%P:0.03%未満S:0.03%未満Cr:0.70%以下Mo:0.01〜0.60%Al:0.0010〜0.0800%N:0.0010〜0.0150%Ti:0.010〜0.0800%B:0.0005〜0.0030%残部がFe及び不可避的不純物であり、且つ下記式(1),式(2)を満たすことを特徴とする浸炭窒化用鋼。F1>−1.95・・式(1)F2<10.0・・式(2)但しF1=-1.71[C]+0.52[Si]-0.59[Mn]-0.50[Cu]-0.23[Ni]-0.18[Cr]-1.71[Mo]F2=236.61[Si]2-31.04[Si]+33.92[Cr]2-18.48[Cr]+23.92[Si][Mn](F1,F2の式中[]は、[]内元素含有質量%を表す)

請求項2

請求項1において、質量%でCu:0.30%以下Ni:0.50%以下V:0.50%以下Nb:0.0010〜0.0800%の何れか1種若しくは2種以上を更に含有することを特徴とする浸炭窒化用鋼。

技術分野

0001

この発明は、自動車部品素材として好適に用いられる浸炭窒化用鋼に関するもので、特に浸炭窒化処理において焼入れ性を低下させる窒化物析出が少ない浸炭窒化用鋼に関する。

背景技術

0002

自動車部品として用いられるギヤシャフトといった部品は、表面の強度および内部の靭性を確保するために、高炭素マルテンサイトの形成を利用した浸炭が広く用いられている。しかし近年では浸炭窒化処理も行われるようになっている。部品が接触時に発熱し、温度が250〜300℃に上がるため、その時の軟化抵抗具合が窒化物析出により抑えられることから、浸炭窒化面疲労強度の向上に有効であると言われている。

0003

一方で、浸炭窒化処理は下記のような問題を有するため、実用的にはあまり用いられていない。具体的には、浸炭窒化処理時に鋼材中のSiやCrといった元素窒素と結合することで窒化物が析出する。このような窒化物が析出すると鋼材の焼入れ性を確保していたSiやCrといった元素が母相から失われるため焼入れ性が低下し、また窒化物の生成により粒界脆化され曲げ疲労強度が低下する、と考えられている。

0004

上記問題を解決するため、例えば窒化物を形成しないMnやNi、Moといった元素を多く添加することも考えられるが、これらの元素を過剰に添加すると被削性などの製造性が大きく悪化してしまう。このため従来においては、製造性の確保と窒化物の析出低減を両立させた浸炭窒化用鋼は提供されていない。

0005

尚、本発明に対する先行技術として、下記特許文献1では、浸炭や浸炭窒化処理等の表面硬化処理後焼入れを行っても熱処理歪みを小さくすることができる肌焼鋼が開示されている。しかしながら、この特許文献1にて開示されている合金組成は、基本的に本発明よりも高Cr添加であり、本発明の化学組成を満たす実施例は開示されていない。また浸炭窒化処理における窒化物の生成を抑制するための具体的な手段についても言及されておらず、特許文献1は本発明とは異なるものである。

先行技術

0006

特開2012−112024号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は以上のような事情背景とし、製造性を確保しつつ、浸炭窒化処理における窒化物の析出を少なくすることができる浸炭窒化用鋼を提供することを目的としてなされたものである。

課題を解決するための手段

0008

而して本発明の請求項1は、「浸炭窒化用鋼」に関するもので、質量%で、C:0.10〜0.30%、Si:0.30%以下、Mn:0.40〜1.60%、P:0.03%未満、S:0.03%未満、Cr:0.70%以下、Mo:0.01〜0.60%、Al:0.0010〜0.0800%、N:0.0010〜0.0150%、Ti:0.010〜0.0800%、B:0.0005〜0.0030%、残部がFe及び不可避的不純物であり、且つ下記式(1),式(2)を満たすことを特徴とする。
F1>−1.95・・式(1)、F2<10.0・・式(2)
但しF1=-1.71[C]+0.52[Si]-0.59[Mn]-0.50[Cu]-0.23[Ni]-0.18[Cr]-1.71[Mo]
F2=236.61[Si]2-31.04[Si]+33.92[Cr]2-18.48[Cr]+23.92[Si][Mn]
(F1,F2の式中[ ]は、[ ]内元素の含有質量%を表す)

0009

請求項2のものは、請求項1において、質量%で、Cu:0.30%以下、Ni:0.50%以下、V:0.50%以下、Nb:0.0010〜0.0800%、の何れか1種若しくは2種以上を更に含有することを特徴とする。

0010

かかる本発明は、種々の合金元素組合せからなる浸炭窒化部品について検討した結果得られた以下の知見、すなわち(1)窒化物に起因する疲労強度の低下を防止するためには、全N量のうち窒化物となるN量の割合(窒化物生成割合)を10%未満とすることが有効であること、(2)窒化物生成割合は、鋼中のSi,Cr,Mnの各量を規定することで制御可能であること、(3)鋼の低Si化および低Cr化に伴い低下する芯部での焼入れ性をBの添加で調整するようにすれば、被削性などの製造性は悪化しないこと等の知見を得て、完成させたものである。

0011

本発明の浸炭窒化用鋼では、従来浸炭窒化に用いられていた鋼(例えばJISSCM420材)に対し、SiおよびCrを低量化するとともにBを添加し、更に製造性に及ぼす合金成分の影響を定式化した指数F1と、窒化物の生成に及ぼす合金成分の影響を定式化した指数F2とを設け、これら指数F1、F2がそれぞれ式(1)、式(2)の条件を満たすように各合金元素の含有量を規定することで、製造性の確保と窒化物の析出低減の両立を図っている。

0012

次に本発明における各化学成分の限定理由を以下に詳述する。尚、以降の説明では、特にことわりがない限り「%」は「質量%」を意味するものとする。
「請求項1の化学成分について」
C:0.10〜0.30%
Cは、芯部硬さを確保するために有効な元素である。必要な硬さを得るには0.10%以上の添加を必要とする。但し、過剰な添加は冷間鍛造性、芯部の靭性、加工性を悪化させる。C増加により膨張量が増え、歪が増加するからである。このため、Cの上限を0.30%とする。好適なCの範囲は、0.15〜0.25%である。

0013

Si:0.30%以下
Siは、鋼の脱酸に有効な元素である。また焼入性を高める効果もある。但し、過剰に添加すると窒化処理時に窒化物が増加して、焼入れ性の低下や疲労強度の低下を招くおそれがある。このため、その上限を0.30%とする。好適なSiの範囲は、0.01〜0.17%である。

0014

Mn:0.40〜1.60%
Mnは、芯部硬さを確保するために有効な元素である。その効果を得るためには0.40%以上の添加を必要とする。但し、過剰な添加は被削性や加工性を悪化させる。このため、その上限を1.60%とする。好適なMnの範囲は、0.65〜1.50%である。

0015

P:0.03%未満、S:0.03%未満
PおよびSは、不純物である。これらは脆化を招くなど、部品の機械的性質にとって好ましくない元素であるため、その量は少ないほうが好ましい。そのため上限を0.03%とした。なお、その含有量を0%とすることは工業的に困難である。0.03%未満であれば特性にそれ程の影響がなく、0.03%未満の含有を許容する。

0016

Cr:0.70%以下
Crは、焼入れ性向上に寄与する元素であるが、過剰に添加すると窒化処理時に窒化物が増加して、焼入れ性の低下や疲労強度の低下を招くおそれがある。このため、その上限を0.70%とする。好適なCrの範囲は、0.01〜0.50%である。

0017

Mo:0.01〜0.60%
Moは、焼入れ性向上に寄与する元素である。その効果を得るため0.01%以上の添加を必要とする。但し、過剰に添加すると硬度が高くなり製造性が悪化し、またコストも高くなるため、その上限を0.60%とする。好適なMoの範囲は、0.01〜0.55%である。

0018

Al:0.0010〜0.0800%
Alは、溶製時の脱酸剤として使用される元素である。また、AlNを形成して結晶粒微細化する効果がある。この効果を得るため0.0010%以上含有させる。但し、過剰に添加するとAl2O3系介在物が生成し強度が低下するため、その上限を0.0800%とする。好適なAlの範囲は、0.0050〜0.0500%である。

0019

N:0.0010〜0.0150%
Nは、Alと結合してAlNを形成し、結晶粒を微細化する効果を有している。この効果を得るため0.0010%以上含有させる。但し、過剰に添加すると鋳造時のブロー発生を招くため、その上限を0.0150%とする。好適なNの範囲は、0.0020〜0.0130%である。

0020

B:0.0005〜0.0030%
Bは、炭ホウ化物を生成するため浸炭層の焼入れ性向上には寄与しないが、芯部の焼入れ性を高める効果を有している。この効果を得るため0.0005%以上含有させる。但し、過剰に添加するとBNを形成し、芯部での焼入れ性向上の効果が低下するため、その上限を0.0030%とする。好適なBの範囲は、0.0006〜0.0025%である。

0021

Ti:0.010〜0.0800%
Bを添加して、その効果を発揮するためには、鋼材中で固溶Bとして存在する必要がある。しかし、BはNと親和力が強くBNを形成してしまう。そこで、TiでNを固定して、固溶Bを確保する。但し、Tiを少量添加してもNが残ってしまうため、0.010%以上含有させる。一方、過剰に添加すると大型のTiNを生成して疲労破壊の起点となる可能性があるため、その上限を0.0800%とする。好適なTiの範囲は、0.012〜0.0600%である。

0022

F2<10.0・・式(2)
但しF2=236.61[Si]2-31.04[Si]+33.92[Cr]2-18.48[Cr]+23.92[Si][Mn]
窒化物が生成すると焼入れ性を担保するために添加していた元素が母相から奪われるため、不完全焼入れ組織(例えばパーライト)が形成されたり、またNの固溶による焼入れ性の向上効果が十分に得られなくなり、浸炭窒化部品の疲労強度が低下するものと推定される。このため窒化物の生成は少ない方がよい。

0023

本発明者らが調査した結果によれば、表層侵入したNを含む全N量のうち窒化物となるN量の割合(窒化物生成割合)が一定(10.0%)以上となると、疲労強度が大きくばらつくことが確認された。窒化物生成割合は、合金中のSi、Cr、Mn量に依存するものであり、上記の指数F2で表すことが可能であるため、本発明では式(2)においてF2<10.0と規定している。

0024

F1>−1.95・・式(1)
但しF1=-1.71[C]+0.52[Si]-0.59[Mn]-0.50[Cu]-0.23[Ni]-0.18[Cr]-1.71[Mo]
一般的に、鋼材の焼入れ性を確保するために合金元素を添加すると、材料の硬さが高くなり製造性は悪化する。このため、添加する元素の量は少ない方がよい。
鋼中の元素のうちC,Mn,Cu,Ni,Cr,Moは製造性を悪化させ、Siは製造性を高める効果があり、製造性を示す指数は上記F1で表すことができる。指数F1において、C,Mn,Cu,Ni,Cr,MoおよびSiの係数は、それぞれ製造性向上に対する寄与度を表している。なお、Cu及び/又はNi無添加の場合には、該当する元素の含有質量%をゼロとして指数F1を算出する。

0025

本発明者らが調査した結果によれば、F1>−1.95を満足するように各合金元素の含有量を制御することで、SCM420材と略同等の製造性を確保することができる。このため本発明では、式(1)においてF1>−1.95と規定している。

0026

「請求項2の化学成分について」
Cu:0.30%以下
Cuは、焼入れ性を高めるのに有効な元素である。但し、過剰な添加は熱間鍛造性の低下を招くほか、コストアップ要因にもなることから、その上限を0.30%とする。好適なCuの範囲は、0.01〜0.25%である。

0027

Ni:0.50%以下
Niは、焼入れ性を高めるのに有効な元素である。但し、過剰な添加は加工性の低下を招くため、その上限を0.50%とする。好適なNiの範囲は、0.40%以下である。

0028

V:0.50%以下
Vは、炭化物を形成して耐摩耗性を向上させる働きがある。但し、過剰な添加は被削性の低下を招くため、その上限を0.50%とする。好適なVの範囲は、0.25%以下である。

0029

Nb:0.0010〜0.0800%
Nbは、炭化物を形成し、結晶粒を微細化する効果を有している。この効果を得るため0.0010%以上含有させることが望ましい。但し、過度に添加しても効果は飽和するため、その上限を0.0800%とする。好適なNbの範囲は、0.0015〜0.0600%である。

発明の効果

0030

以上のような本発明によれば、製造性を確保しつつ、浸炭窒化処理における窒化物の析出が少ない浸炭窒化用鋼を提供することができる。

図面の簡単な説明

0031

疲労強度を評価するための試験片形状を表した図である。
試験片作製時の浸炭窒化処理条件を示した図である。
試験片作製時の浸炭処理条件を示した図である。
各実施例および比較例の窒化物生成割合と疲労強度との関係を示した図である。
各実施例および比較例のF2値と窒化物生成割合との関係を示した図である。
各実施例および比較例のF1値工具摩耗量との関係を示した図である。

0032

次に本発明の実施例を以下に説明する。ここでは、表1に示す実施例および比較例について、曲げ疲労強度・工具摩耗量・表層硬さ・窒化物生成割合を評価する試験を行った。
比較例は、使用する鋼材の組成が本発明の範囲を外れている。なお、比較例9ではSCR420材、比較例10,19ではSCM420材を用いている。また、比較例19,20,21では浸炭窒化処理に代えて浸炭処理を行っている。

0033

1.試験片の製造
下記表1に示す化学成分の鋼塊150kgを高周波誘導炉にて溶製し、得られた鋼塊をΦ105mmの丸棒圧延あるいは熱間鍛造し、さらに必要に応じてΦ22〜30mmの棒鋼に熱間鍛造し、920℃で1時間の焼ならし後、試験用の素材とした。

0034

0035

2.浸炭窒化処理
浸炭窒化処理では、通常CP=0.5〜1.0に制御し、浸窒ガスとしてアンモニアを使用し、浸窒流量、拡散時間、浸窒温度を調整することで表面N濃度を制御する。その後焼入れを行い、次に100℃〜300℃に加熱し、1〜3時間保持焼戻しを実施する。
この度の実施例では、図2に示すように930℃で浸炭処理し、その後850℃で浸炭窒化処理を実施し、120℃のセミホット油で焼入れを行なった。その後に180℃×120minの焼戻しを実施した。
3.浸炭処理
なお、浸炭窒化処理に代えて浸炭処理を行う場合は、図3に示すように930℃で120分処理した。CPは0.7固定であり、油温120℃のセミホット油で焼入れした。その後に180℃×120minの焼戻しを実施した。

0036

4.試験片の評価
ミクロ組織観察
Φ25×10tの試験片を用いてミクロ組織観察を行った。試験片を半円状に二等分に割り、切断面を披検面となるように樹脂埋めし、鏡面研磨した。研磨された面をナイタールで腐食し、倍率100〜400倍で光学顕微鏡を用い組織観察をした。またFE—EPMAを用い、倍率2000倍で表層の窒化物の析出状態を確認した。

0037

(窒化物析出量)
窒処理後、Φ25×200Lの試験片の表層から0.05mmの位置までのダライ粉臭素メタノールにより溶解し、母材を溶かし、窒化物のみ抽出して分析し、析出N量(単位はwt%)を算出した。

0038

(表層N濃度)
浸窒処理後、表層から0.05mmの位置までのダライ粉からガス分析により全窒素濃度(単位はwt%)を求めた。

0039

(窒化物生成割合)
上記で求めた析出N量を全窒素濃度で割り窒化物生成割合(%)を求めた。

0040

(表層硬さ)
浸炭窒化処理後もしくは浸炭処理後の試験片について、ビッカース硬さ試験機を用い、JIS Z2244に規定された試験方法により、表面下0.05mmの位置の硬さの5点平均を表層硬さとして測定した。この時の試験荷重は300gとした。

0041

(曲げ疲労強度)
Φ22の焼ならし材より、Φ15×210LでR=0.5の切欠を有する試験片10(図1参照)を作製し、浸炭窒化処理(図2参照)もしくは浸炭処理(図3参照)後、JIS Z 2274に準拠した方法で小野式回転曲げ疲労試験を実施し、SN曲線をとり、107回となる強度を疲労強度とした。なお試験条件は、回転数3500rpm,試験温度は室温の条件である。繰返し数107回で破断しない最大応力疲労限度とした。
なお各試験片の疲労強度は、SCM420材をガス浸炭処理した比較例19の強度を1.0とした場合の対比で評価した。

0042

(工具摩耗量)
被削性を評価するため、Φ30mmの焼ならし材に対し外周切削試験を実施し、工具摩耗量を測定した。超硬工具(P20)を用い、切削速度200m/min、切り込み量1mm、送り量0.2mm/min、潤滑方式:乾式(無潤滑)で20分間切削し、工具摩耗量を測定した。なお、各試験片に対する工具摩耗量は、SCM420材(比較例19)を1.0とした場合の対比で評価した。

0043

これらの評価結果を下記表2および図4〜6に示す。

0044

0045

(疲労強度について)
例えば、比較例10は、SCM420材からなる試験片を浸炭窒化した例である。比較例10は、同じSCM420材をガス浸炭した比較例19に比べて疲労強度が明らかに低下しており、これは浸炭窒化時に窒化物生成割合が35.0%と高かったことによるものであると推定される。このように従来の鋼材を用いた場合、浸炭窒化にて疲労強度が低下してしまうことが分かる。

0046

図4は、窒化物生成割合と疲労強度の関係を示した図である。同図に示すように、窒化物生成割合が10.0%以上の場合には、疲労強度が大きくばらついており、窒化物生成割合が高い浸炭窒化部品にあっては疲労強度が低下する可能性が高い。これに対し窒化物生成割合が10.0%未満の例についてみれば、SCM420材をガス浸炭して得た試験片(比較例19)と同等以上の疲労強度を確保することができていることが分かる。

0047

図5は、各実施例および比較例の指数F2と窒化物生成割合との関係を示した図である。同図によれば、F2と窒化物生成割合との間には一定の相関が認められ、F2が10.0未満となるようSi,Cr,Mnを含有させることで、浸炭窒化時の窒化物生成割合についても10.0%未満に抑制することが可能である。

0048

表2に示す結果をみても、指数F2が式(2)の条件(F2<10.0)を満足する実施例において、SCM420材をガス浸炭して得た試験片(比較例19)と同等以上の疲労強度を確保することができており、Si,Cr,Mnを、式(2)を満足するように含有させたことによる効果が得られている。

0049

(被削性について)
図6は、製造性を示す指数F1と工具摩耗量の関係を示した図である。
同図によれば、F1が−1.95以下となるほど合金元素を添加した場合に、工具摩耗量が著しく高くなり被削性が悪化することが分かる。一方で、F1>−1.95を満足するように各合金元素の含有量を制御することで、SCM420材(比較例19)と略同等の被削性を確保することができており、各合金元素を式(1)の条件(F1>−1.95)を満足するように含有させたことによる効果が得られている。

0050

そして、表2に示すように、鋼材の組成が本発明の範囲を満足する実施例1〜28においては、浸炭窒化時の窒化物生成割合が10.0%未満に抑制されておりSCM420材をガス浸炭して得た試験片(比較例19)と同等以上の疲労強度が得られている。また被削性についてもSCM420材(比較例19)と略同等であり、製造性の確保と窒化物の抑制の両立が図られている。

0051

以上本発明の浸炭窒化用鋼について詳しく説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。

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