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図面 (18)

課題

免疫チェックポイント分子等の免疫系で抑制的に作用するタンパク質に対して阻害的に作用し、癌に対する免疫能を向上させることができる天然由来の成分を提供する。

解決手段

ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)抽出物ナラタケ(Armillaria sp.)抽出物、及び/又は茶樹茸(Agrocybe chaxingu)抽出物を有効成分として含有する、抗癌剤耐性抑制剤を提供する。

概要

背景

日本の原因疾患死亡者数で最も多いのは悪性腫瘍(癌)であり、現在2人に1人が癌を発症し、3人に1人が癌により死亡するといわれている。世界保健機構(WHO)によれば、2005年の世界の5800万人の死亡のうち、悪性腫瘍による死亡は13%(760万人)を占める。死亡原因になった悪性腫瘍のうち、最多のものは肺癌(130万人)で、胃癌100万人)、肝癌大腸癌乳癌などが続く。日本では、約7万人が肺癌で亡くなっていると報告されている。

近年、癌細胞が免疫の働きにブレーキをかけて、免疫細胞活性化を阻害していることが判明してきている。免疫細胞の攻撃を阻止するこのブレーキを解除し、免疫細胞を再び活性化して、癌細胞を攻撃するようにする新たな治療法が注目されている。

上記の癌細胞のメカニズムにおいて免疫抑制性シグナル誘導し得る分子は「免疫チェックポイント分子」と呼ばれており、PD-1(Programmed cell death protein 1)リガンド経路関与するT細胞上のPD-1受容体及び癌細胞上で発現するリガンドPD-L1(Programmed death-ligand 1)及びPD-L2(Programmed death-ligand 2)、CTLA4(負の補助刺激受容体)経路に関与するT細胞上のCTLA4受容体等が知られている(非特許文献1及び2)。

PD-1分子は、CD28(正の補助刺激受容体)ファミリーに属する免疫抑制性補助シグナル受容体であり、活性化したT細胞、B細胞及び骨髄系細胞に発現し、そのリガンドとの結合によって、抗原特異的にT細胞活性を抑制することが示された(非特許文献1)。PD-1のリガンドとしては、B7ファミリーに属するPD-L1及びPD-L2が知られている。PD-1経路は、癌細胞に対する免疫の抑制に関与しているとされており、この経路を標的とした抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体が癌治療薬候補として期待され、抗体医薬の開発が進んでいる(特許文献1〜3)。

また、それぞれの癌に特有遺伝子変異が存在することがわかってきている。肺癌では「ALK融合遺伝子変異」、「EGFR遺伝子変異」といった遺伝子変異がみられ、これら以外にもさまざまな遺伝子変異のタイプが存在することが判明している。EGFR上皮増殖因子受容体)は、癌細胞表面に存在し、癌細胞が増殖するためのスイッチのような役割を果たしている。このEGFRを構成する遺伝子の一部(チロシナーゼ部位)に変異があると、癌細胞を増殖させるスイッチが常にオンとなっているような状態となり、癌細胞が限りなく増殖してしまう。肺癌では、これらの遺伝子変異をターゲットとした「個別化治療」を行うことができるようになりつつあり、EGFRチロシナーゼ阻害剤(EGFR−TKI)や抗EGFR抗体等が開発されているが、投与を続けると耐性をもち、効果が弱まるなどの問題も指摘されている。

最近、受容体チロシンキナーゼであるAXLキナーゼの活性化が新たなEGFR-TKI耐性機序となることが報告された。さらに、AXLと上皮間葉転換EMT)との関連が指摘され、予後の悪化や腫瘍増大、転移にも関与することが報告されている。AXLは様々な癌において過剰発現し、増殖や進展に関与しており、また、AXLの活性化はEGFR-TKIの他、抗癌剤シスプラチンHER2標的薬ラパチニブ等、種々の抗癌剤の耐性獲得に関与していることが知られている。

一方、キノコ類は、古来より東洋医学にも使用されており、悪性腫瘍の予防や治療に対しても、免疫強化アポトーシスの誘導などにより有益であるとされている。
しかしながら、キノコから得られる化合物で、上述のAXLの阻害効果や免疫チェックポイント阻害効果等に関する報告はほとんどされていない。

概要

免疫チェックポイント分子等の免疫系で抑制的に作用するタンパク質に対して阻害的に作用し、癌に対する免疫能を向上させることができる天然由来の成分を提供する。ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)抽出物ナラタケ(Armillaria sp.)抽出物、及び/又は茶樹茸(Agrocybe chaxingu)抽出物を有効成分として含有する、抗癌剤耐性抑制剤を提供する。なし

目的

本発明の目的は、免疫チェックポイント分子等の、その発現の上昇によって免疫系で抑制的に作用するタンパク質に対して阻害的に作用し、癌に対する免疫能を向上させることができる天然由来の成分を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)抽出物ナラタケ(Armillaria sp.)抽出物、及び/又は茶樹茸(Agrocybe chaxingu)抽出物を有効成分として含有する、抗癌剤耐性抑制剤

請求項2

ヤマブシタケ抽出物が、ヤマブシタケ菌糸体培養液由来抽出物、又はヤマブシタケフルーティングリキッド(Fruiting Liquid)抽出物である、請求項1記載の抗癌剤耐性抑制剤。

請求項3

ナラタケ抽出物が、ナラタケ菌糸体抽出物である、請求項1記載の抗癌剤耐性抑制剤。

請求項4

茶樹茸抽出物が、茶樹茸子実体抽出物である、請求項1記載の抗癌剤耐性抑制剤。

請求項5

前記抽出物がn-ヘキサンジクロロメタン又は酢酸エチル可溶画分である、請求項1〜4のいずれか1項記載の抗癌剤耐性抑制剤。

請求項6

免疫チェックポイント分子発現阻害する、請求項1〜5のいずれか1項記載の抗癌剤耐性抑制剤。

請求項7

免疫チェックポイント分子がPD-L1及び/又はPD-L2である、請求項6記載の抗癌剤耐性抑制剤。

請求項8

AXLの発現を阻害する、請求項1〜7のいずれか1項記載の抗癌剤耐性抑制剤。

請求項9

ヤマブシタケ菌糸体培養液由来抽出物が、(2,2-ジメチル-2H-クロメン-6-イル)メタノール、1-(2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)フェニル)-3-メチルブタン-1-オン、及び(4-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)メタノールの少なくとも1種を含む、請求項2記載の抗癌剤耐性抑制剤。

請求項10

ヤマブシタケフルーティングリキッド抽出物が、(2S,3S,4S)-2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-ヒドロキシ-3-(3-メチルブタノイル)ベンゾエート、(2S,3S,4S)-2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-クロロ-3,5-ジメトキシベンゾエート、及び2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-クロロ-3,5-ジメトキシベンゾエートの少なくとも1種を含む、請求項2記載の抗癌剤耐性抑制剤。

請求項11

ナラタケ菌糸体抽出物が、13-ヒドロキシジヒドロレオリド(13-hydroxydihydromelleolide)、メレドナル(melledonal) C、メレオリド、メレオリド F、アーミラリビン(armillarivin)、メレオリド K、6'-クロロメレオリド F、アルミラン(armillane)、及び5'-メトキシ-6'-クロロアルミランの少なくとも1種を含む、請求項3記載の抗癌剤耐性抑制剤。

請求項12

茶樹茸子実体抽出物が、チャシンBを含む、請求項4記載の抗癌剤耐性抑制剤。

請求項13

請求項1〜12のいずれか1項記載の抗癌剤耐性抑制剤を含有する、癌治療剤

請求項14

(2,2-ジメチル-2H-クロメン-6-イル)メタノール、1-(2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)フェニル)-3-メチルブタン-1-オン、(4-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)メタノール、(2S,3S,4S)-2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-ヒドロキシ-3-(3-メチルブタノイル)ベンゾエート、(2S,3S,4S)-2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-クロロ-3,5-ジメトキシベンゾエート、2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-クロロ-3,5-ジメトキシベンゾエート、13-ヒドロキシジヒドロメレオリド(13-hydroxydihydromelleolide)、メレドナル(melledonal) C、メレオリド、メレオリド F、アルミルラリビン(armillarivin)、メレオリド K、6'-クロロメレオリド F、アーミラン(armillane)、5'-メトキシ-6'-クロロアルミラン、及びチャキシンBの少なくとも1種を含む抗癌剤耐性抑制剤。

技術分野

0001

本発明は、免疫チェックポイント阻害機能を有する抗癌剤耐性抑制剤に関し、より具体的には、ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)抽出物ナラタケ(Armillaria sp.)抽出物、及び/又は茶樹茸(Agrocybe chaxingu)抽出物を有効成分として含有する、免疫チェックポイント分子等の免疫系で抑制的に作用するタンパク質発現・機能に対して阻害的に作用する抗癌剤耐性抑制剤に関する。

背景技術

0002

日本の原因疾患死亡者数で最も多いのは悪性腫瘍(癌)であり、現在2人に1人が癌を発症し、3人に1人が癌により死亡するといわれている。世界保健機構(WHO)によれば、2005年の世界の5800万人の死亡のうち、悪性腫瘍による死亡は13%(760万人)を占める。死亡原因になった悪性腫瘍のうち、最多のものは肺癌(130万人)で、胃癌100万人)、肝癌大腸癌乳癌などが続く。日本では、約7万人が肺癌で亡くなっていると報告されている。

0003

近年、癌細胞が免疫の働きにブレーキをかけて、免疫細胞活性化を阻害していることが判明してきている。免疫細胞の攻撃を阻止するこのブレーキを解除し、免疫細胞を再び活性化して、癌細胞を攻撃するようにする新たな治療法が注目されている。

0004

上記の癌細胞のメカニズムにおいて免疫抑制性シグナル誘導し得る分子は「免疫チェックポイント分子」と呼ばれており、PD-1(Programmed cell death protein 1)リガンド経路関与するT細胞上のPD-1受容体及び癌細胞上で発現するリガンドPD-L1(Programmed death-ligand 1)及びPD-L2(Programmed death-ligand 2)、CTLA4(負の補助刺激受容体)経路に関与するT細胞上のCTLA4受容体等が知られている(非特許文献1及び2)。

0005

PD-1分子は、CD28(正の補助刺激受容体)ファミリーに属する免疫抑制性補助シグナル受容体であり、活性化したT細胞、B細胞及び骨髄系細胞に発現し、そのリガンドとの結合によって、抗原特異的にT細胞活性を抑制することが示された(非特許文献1)。PD-1のリガンドとしては、B7ファミリーに属するPD-L1及びPD-L2が知られている。PD-1経路は、癌細胞に対する免疫の抑制に関与しているとされており、この経路を標的とした抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体が癌治療薬候補として期待され、抗体医薬の開発が進んでいる(特許文献1〜3)。

0006

また、それぞれの癌に特有遺伝子変異が存在することがわかってきている。肺癌では「ALK融合遺伝子変異」、「EGFR遺伝子変異」といった遺伝子変異がみられ、これら以外にもさまざまな遺伝子変異のタイプが存在することが判明している。EGFR上皮増殖因子受容体)は、癌細胞表面に存在し、癌細胞が増殖するためのスイッチのような役割を果たしている。このEGFRを構成する遺伝子の一部(チロシナーゼ部位)に変異があると、癌細胞を増殖させるスイッチが常にオンとなっているような状態となり、癌細胞が限りなく増殖してしまう。肺癌では、これらの遺伝子変異をターゲットとした「個別化治療」を行うことができるようになりつつあり、EGFRチロシナーゼ阻害剤(EGFR−TKI)や抗EGFR抗体等が開発されているが、投与を続けると耐性をもち、効果が弱まるなどの問題も指摘されている。

0007

最近、受容体チロシンキナーゼであるAXLキナーゼの活性化が新たなEGFR-TKI耐性機序となることが報告された。さらに、AXLと上皮間葉転換EMT)との関連が指摘され、予後の悪化や腫瘍増大、転移にも関与することが報告されている。AXLは様々な癌において過剰発現し、増殖や進展に関与しており、また、AXLの活性化はEGFR-TKIの他、抗癌剤シスプラチンHER2標的薬ラパチニブ等、種々の抗癌剤の耐性獲得に関与していることが知られている。

0008

一方、キノコ類は、古来より東洋医学にも使用されており、悪性腫瘍の予防や治療に対しても、免疫強化アポトーシスの誘導などにより有益であるとされている。
しかしながら、キノコから得られる化合物で、上述のAXLの阻害効果や免疫チェックポイント阻害効果等に関する報告はほとんどされていない。

0009

特許第4409430号
特許第5159730号
特許第5885764号

先行技術

0010

Annu Rev Immunol, 26: 677-704, 2008
Nature 328: 267-270, 1987

発明が解決しようとする課題

0011

上記の免疫チェックポイント分子に対して阻害的に作用する薬剤、いわゆる「免疫チェックポイント阻害剤」は、臨床的にも効果が認められつつある。しかしながら、抗体医薬による治療は非常に費用がかかるために、患者にとっての負担は過度なものとなり得る。

0012

本発明の目的は、免疫チェックポイント分子等の、その発現の上昇によって免疫系で抑制的に作用するタンパク質に対して阻害的に作用し、癌に対する免疫能を向上させることができる天然由来の成分を提供することである。

課題を解決するための手段

0013

本発明者等は、食用キノコ由来の様々な抽出画分における薬理効果について長年にわたって研究を継続している。その中で、驚くべきことに、ヤマブシタケ抽出物、ナラタケ抽出物、及び茶樹茸抽出物中に免疫チェックポイント分子及びAXLの発現を阻害する有効成分が含まれることを見出した。
すなわち、本発明は以下を提供するものである。

0014

1.ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)抽出物、ナラタケ(Armillaria sp.)抽出物、及び/又は茶樹茸(Agrocybe chaxingu)抽出物を有効成分として含有する、抗癌剤耐性抑制剤。
2.ヤマブシタケ抽出物が、ヤマブシタケ菌糸体培養液由来抽出物、又はヤマブシタケフルーティングリキッド(Fruiting Liquid)抽出物である、上記1記載の抗癌剤耐性抑制剤。
3.ナラタケ抽出物が、ナラタケ菌糸体抽出物である、上記1記載の抗癌剤耐性抑制剤。
4.茶樹茸抽出物が、茶樹茸子実体抽出物である、上記1記載の抗癌剤耐性抑制剤。
5.前記抽出物がn-ヘキサンジクロロメタン又は酢酸エチル可溶画分である、上記1〜4のいずれか記載の抗癌剤耐性抑制剤。
6.免疫チェックポイント分子の発現を阻害する、上記1〜5のいずれか記載の抗癌剤耐性抑制剤。
7.免疫チェックポイント分子がPD-L1及び/又はPD-L2である、上記6記載の抗癌剤耐性抑制剤。
8.AXLの発現を阻害する、上記1〜7のいずれか記載の抗癌剤耐性抑制剤。
9.ヤマブシタケ菌糸体培養液由来抽出物が、(2,2-ジメチル-2H-クロメン-6-イル)メタノール、1-(2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)フェニル)-3-メチルブタン-1-オン、及び(4-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)メタノールの少なくとも1種を含む、上記2記載の抗癌剤耐性抑制剤。
10.ヤマブシタケフルーティングリキッド抽出物が、(2S,3S,4S)-2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-ヒドロキシ-3-(3-メチルブタノイル)ベンゾエート、(2S,3S,4S)-2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-クロロ-3,5-ジメトキシベンゾエート、及び2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-クロロ-3,5-ジメトキシベンゾエートの少なくとも1種を含む、上記2記載の抗癌剤耐性抑制剤。
11.ナラタケ菌糸体抽出物が、13-ヒドロキシジヒドロレオリド(13-hydroxydihydromelleolide)、メレドナル(melledonal) C、メレオリド、メレオリド F、アルミルラリビン(armillarivin)、メレオリド K、6'-クロロメレオリド F、アルミラン(armillane)、及び5'-メトキシ-6'-クロロアルミランの少なくとも1種を含む、上記3記載の抗癌剤耐性抑制剤。
12.茶樹茸子実体抽出物が、チャシンBを含む、上記4記載の抗癌剤耐性抑制剤。
13.上記1〜12のいずれか記載の抗癌剤耐性抑制剤を含有する、癌治療剤
14.(2,2-ジメチル-2H-クロメン-6-イル)メタノール、1-(2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)フェニル)-3-メチルブタン-1-オン、(4-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)メタノール、(2S,3S,4S)-2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-ヒドロキシ-3-(3-メチルブタノイル)ベンゾエート、(2S,3S,4S)-2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-クロロ-3,5-ジメトキシベンゾエート、2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-クロロ-3,5-ジメトキシベンゾエート、13-ヒドロキシジヒドロメレオリド(13-hydroxydihydromelleolide)、メレドナル(melledonal) C、メレオリド、メレオリド F、アルミルラリビン(armillarivin)、メレオリド K、6'-クロロメレオリド F、アルミラン(armillane)、5'-メトキシ-6'-クロロアルミラン、及びチャキシンBの少なくとも1種を含む抗癌剤耐性抑制剤。

発明の効果

0015

本発明により、免疫チェックポイント分子等の免疫系で抑制的に作用するタンパク質に対して阻害的に作用し、癌に対する免疫応答を促進させ得る天然由来の薬剤が提供される。

図面の簡単な説明

0016

ヤマブシタケ培養ろ液から化合物1〜3を単離する分画スキームの1例を示す。
ナラタケ菌糸体543株から化合物N1〜N9を単離する分画スキームの1例を示す。
ヤマブシタケのフルーティングリキッドから化合物FLY-1、FLY-4、FLY-5、FLY-7、及びFLY-9を単離する分画スキームの1例を示す。
茶樹茸乾燥粉末からチャキシンBを単離する分画スキームの1例を示す。
化合物FLY-1のプロトンNMRスペクトルを示す。
化合物FLY-4のプロトンNMRスペクトルを示す。
化合物FLY-5のプロトンNMRスペクトルを示す。
化合物FLY-7のプロトンNMRスペクトルを示す。
化合物FLY-9のプロトンNMRスペクトルを示す。
ヤマブシタケ培養ろ液から単離された化合物1〜3及びナラタケ菌糸体543株から単離された化合物N1〜N9によるヒト肺癌細胞株A549におけるAXL発現抑制効果を示す。縦軸は、AXLmRNAの発現をグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として示す(mRNAの発現はcDNA量を測定)。「対照」は化合物を添加していないサンプルを示す。
ヤマブシタケ培養ろ液から単離された化合物1〜3及びナラタケ菌糸体543株から単離された化合物N1〜N9によるヒト肺癌細胞株A549におけるPD-L1発現抑制効果を示す。縦軸は、PD-L1 mRNAの発現をグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として示す。「対照」は化合物を添加していないサンプルを示す。
ヤマブシタケ培養ろ液から単離された化合物1〜3及びナラタケ菌糸体543株から単離された化合物N1〜N9によるヒト肺癌細胞株A549におけるPD-L2発現抑制効果を示す。縦軸は、PD-L2 mRNAの発現をグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として示す。「対照」は化合物を添加していないサンプルを示す。
ヤマブシタケのフルーティングリキッドから単離された化合物FLY-1、FLY-4、FLY-5、FLY-7、及びFLY-9によるヒト肺癌細胞株A549におけるAXL発現抑制効果を示す。縦軸は、AXL mRNAの発現をグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として示す。「対照」は化合物を添加していないサンプルを示す。
ヤマブシタケのフルーティングリキッドから単離された化合物FLY-1、FLY-4、FLY-5、FLY-7、及びFLY-9によるヒト肺癌細胞株A549におけるPD-L1発現抑制効果を示す。縦軸は、PD-L1 mRNAの発現をグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として示す。「対照」は化合物を添加していないサンプルを示す。
ヤマブシタケのフルーティングリキッドから単離された化合物FLY-1、FLY-4、FLY-5、FLY-7、及びFLY-9によるヒト肺癌細胞株A549におけるPD-L2発現抑制効果を示す。縦軸は、PD-L2 mRNAの発現をグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として示す。「対照」は化合物を添加していないサンプルを示す。
茶樹茸乾燥粉末から単離されたチャキシンBによるヒト肺癌細胞株A549における用量依存的AXL発現抑制効果を示す。縦軸は、AXL mRNAの発現をグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として示す。
茶樹茸乾燥粉末から単離されたチャキシンBによるヒト肺癌細胞株A549における用量依存的PD-L1発現抑制効果を示す。縦軸は、PD-L1 mRNAの発現をグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として示す。
茶樹茸乾燥粉末から単離されたチャキシンBによるヒト肺癌細胞株A549における用量依存的PD-L2発現抑制効果を示す。縦軸は、PD-L2 mRNAの発現をグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として示す。

0017

本発明は、ヤマブシタケ抽出物、ナラタケ抽出物、及び/又は茶樹茸抽出物を有効成分として含有する、抗癌剤耐性抑制剤を提供する。
本発明において使用されるヤマブシタケ抽出物としては、特に限定するものではないが、ヤマブシタケ菌糸体培養液由来抽出物又はヤマブシタケフルーティングリキッド(Fruiting Liquid)抽出物を好適に使用することができる。
本発明において使用されるナラタケ抽出物としては、特に限定するものではないが、ナラタケ菌糸体抽出物を好適に使用することができる。
本発明において使用される茶樹茸抽出物としては、特に限定するものではないが、茶樹茸子実体抽出物を好適に使用することができる。

0018

本発明において、「抗癌剤耐性抑制剤」とは、抗癌剤治療に対して耐性を発揮するように作用し得るメカニズム、例えば免疫チェックポイント分子の発現の上昇や、AXLの活性化を抑制し得る効果を有する物質を意図する。本発明の抗癌剤耐性抑制剤は、ヤマブシタケ抽出物、ナラタケ抽出物、及び茶樹茸抽出物のいずれか1種、又は2種以上の抽出物を含むものとすることができる。

0019

ヤマブシタケ菌糸体培養液由来抽出物
本発明で使用するヤマブシタケ(Hericium erinaceum)は、ヒダナシタケ目サンゴハリタケサンゴハリタケ属に属するキノコであり、例えば山梨県鳴沢採取することができ、人工的に栽培することもできる。

0020

本発明の抽出物は、特に限定するものではないが、例えば、ヤマブシタケ菌糸体(久保産業株式会社保有菌株)をPGY培地にてジャーファーメンターで2週間通気撹拌培養することによって得られた培養液を、ろ過することにより菌糸体を取り除き、得られた培養ろ液を減圧濃縮後、n-ヘキサン、酢酸エチル液-液分配し、その残存液を乾固したものをエタノールで固-液分配することによって得られた各種可溶画分を減圧濃縮して得ることができる。本発明において好適に使用できる抽出物は、上記のn-ヘキサン可溶画分、酢酸エチル可溶画分、エタノール可溶画分のいずれを用いても良く、特に限定するものではないが、特にn-ヘキサン可溶画分を好適に使用することができる。ヘキサン可溶画分に抽出される成分が本発明の抗癌剤耐性抑制効果を有し得ることから、上記に関わらず、ヤマブシタケ培養液をn-ヘキサンで抽出する工程を含む製法であれば、本発明のヤマブシタケ菌糸体培養液由来抽出物を取得することができる。
本発明の抽出物を得るためには、上記の工程に加えて、更なる工程、例えば分離工程・精製工程・濃縮工程・乾燥工程等を含めることができる。

0021

本発明者等は更に、上記の工程で得られたn-ヘキサン可溶画分から、更に有効成分となる化合物を単離した。特に限定するものではないが、ヤマブシタケ菌糸体培養液の有効成分である化合物は、例えばヘキサン可溶画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー逆相HPLC等の当分野で通常用いられる手段を用いて分画することで、単離することができる。
本発明のヤマブシタケ菌糸体培養液由来抽出物には、以下の化合物(1)、(2)及び(3)が含有される。

0022

式(1)の化合物(本明細書において化合物(1)と記載する)は、(2,2-ジメチル-2H-クロメン-6-イル)メタノールの化学名を有し、実施例に記載する工程を用い、ヤマブシタケ菌糸体培養ろ液ヘキサン可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ヤマブシタケ菌糸体培養ろ液28Lから39.7mgの収量で単離することができた。しかしながら、ヤマブシタケは天然物であり、更に菌糸体培養物を用いることから、化合物(1)の含有量は、ヤマブシタケを採取する場所・時期、培養条件、培養期間あるいは培養に供する菌株等によって異なり得る。

0023

0024

式(2)の化合物(本明細書において化合物(2)と記載する)は、1-(2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)フェニル)-3-メチルブタン-1-オンの化学名を有し、実施例に記載する工程を用い、ヤマブシタケ菌糸体培養ろ液ヘキサン可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ヤマブシタケ菌糸体培養ろ液28Lから19.1mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(2)の含有量は、ヤマブシタケを採取する場所・時期、培養条件、培養期間あるいは培養に供する菌株等によって異なり得る。なお、化合物(2)は文献未記載の新規化合物であった。

0025

0026

式(3)の化合物(本明細書において化合物(3)と記載する)は、(4-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)メタノールの化学名を有し、実施例に記載する工程を用い、ヤマブシタケ菌糸体培養ろ液ヘキサン可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ヤマブシタケ菌糸体培養ろ液28Lから2.3mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(3)の含有量は、ヤマブシタケを採取する場所・時期、培養条件、培養期間あるいは培養に供する菌株等によって異なり得る。

0027

0028

下記の実施例では、上記の化合物(1)(2,2-ジメチル-2H-クロメン-6-イル)メタノール、(2)1-(2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)フェニル)-3-メチルブタン-1-オン及び(3)(4-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)メタノールがいずれもin vitroにおいてAXLの発現上昇を抑制し、かつ免疫チェックポイント分子の発現上昇を抑制することが確認された。従って、特に限定するものではないが、本発明において使用されるヤマブシタケ菌糸体培養液由来抽出物は、化合物(1)、化合物(2)、及び化合物(3)のいずれか1種以上を含むように製造することが好ましい。

0029

従って、本発明はまた、化合物(1)、化合物(2)、及び化合物(3)の少なくとも1種を含有する抗癌剤耐性抑制剤を提供する。これらの化合物は、ヤマブシタケ菌糸体培養液から単離されたものであっても、化学的に合成されたものであっても良い。

0030

ナラタケ菌糸体抽出物
本発明で使用するナラタケ(Armillaria sp.)は、ハラタケタマバリタケ科ナラタケ属に属するキノコであり、例えば山梨県鳴沢村で採取することができ、人工的に栽培することもできる。

0031

本発明の抽出物は、特に限定するものではないが、例えば、ナラタケ菌糸体(543菌株)をPDB培地で三角フラスコにて22日間振とう培養することによって得られた培養液を、ろ過することにより菌糸体を取り除き、得られた菌糸体を凍結乾燥後に、n-ヘキサン、酢酸エチル、エタノールで固-液分配することによって得られた各種可溶画分を減圧濃縮して得ることができる。本発明において好適に使用できる抽出物は、上記のn-ヘキサン可溶画分、酢酸エチル可溶画分、エタノール可溶画分のいずれを用いても良く、特に限定するものではないが、特に酢酸エチル可溶画分を好適に使用することができる。酢酸エチル可溶画分に抽出される成分が本発明の抗癌剤耐性抑制効果を有し得ることから、上記に関わらず、ナラタケ菌糸体を酢酸エチルで抽出する工程を含む製法であれば、本発明のナラタケ菌糸体抽出物を取得することができる。
本発明の抽出物を得るためには、上記の工程に加えて、更なる工程、例えば粉砕工程・分離工程・精製工程・濃縮工程・乾燥工程等を含めることができる。

0032

本発明者等は更に、上記の工程で得られた酢酸エチル可溶画分から、更に有効成分となる化合物を単離した。特に限定するものではないが、ナラタケ菌糸体抽出物中の有効成分である化合物は、例えば酢酸エチル可溶画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相HPLC、中圧MPLC等の当分野で通常用いられる手段を用いて分画することで、単離することができる。
ナラタケ菌糸体抽出物には、以下の化合物(N1)〜(N9)が含有される。

0033

式(N1)の化合物(本明細書において化合物(N1)と記載する)は、13-ヒドロキシジヒドロメレオリド(13-hydroxydihydromelleolide)の化合物名を有し、実施例に記載する工程を用い、ナラタケ菌糸体の酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ナラタケ乾燥菌糸体68.5gから26.1mgの収量で単離することができた。しかしながら、ナラタケ菌糸体は天然物であり、更に菌糸体培養物であることから、化合物(N1)の含有量は、ナラタケを採取する場所・時期、培養条件、培養期間あるいは培養に供する菌株等によって異なり得る。

0034

0035

式(N2)の化合物(本明細書において化合物(N2)と記載する)は、メレドナル(melledonal) Cの化合物名を有し、実施例に記載する工程を用い、ナラタケ菌糸体の酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ナラタケ乾燥菌糸体68.5gから3.1mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(N2)の含有量は、ナラタケを採取する場所・時期、培養条件、培養期間あるいは培養に供する菌株等によって異なり得る。

0036

0037

式(N3)の化合物(本明細書において化合物(N3)と記載する)は、メレオリドの化合物名を有し、実施例に記載する工程を用い、ナラタケ菌糸体の酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ナラタケ乾燥菌糸体68.5gから28.8mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(N3)の含有量は、ナラタケを採取する場所・時期、培養条件、培養期間あるいは培養に供する菌株等によって異なり得る。

0038

0039

式(N4)の化合物(本明細書において化合物(N4)と記載する)は、メレオリド Fの化合物名を有し、実施例に記載する工程を用い、ナラタケ菌糸体の酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ナラタケ乾燥菌糸体68.5gから6.5mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(N4)の含有量は、ナラタケを採取する場所・時期、培養条件、培養期間あるいは培養に供する菌株等によって異なり得る。

0040

0041

式(N5)の化合物(本明細書において化合物(N5)と記載する)は、アルミルラリビン(armillarivin)の化合物名を有し、実施例に記載する工程を用い、ナラタケ菌糸体の酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ナラタケ乾燥菌糸体68.5gから8.4mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(N5)の含有量は、ナラタケを採取する場所・時期、培養条件、培養期間あるいは培養に供する菌株等によって異なり得る。

0042

0043

式(N6)の化合物(本明細書において化合物(N6)と記載する)は、メレオリド Kの化合物名を有し、実施例に記載する工程を用い、ナラタケ菌糸体の酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ナラタケ乾燥菌糸体68.5gから17.8mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(N6)の含有量は、ナラタケを採取する場所・時期、培養条件、培養期間あるいは培養に供する菌株等によって異なり得る。

0044

0045

式(N7)の化合物(本明細書において化合物(N7)と記載する)は、6'-クロロメレオリド Fの化合物名を有し、実施例に記載する工程を用い、ナラタケ菌糸体の酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ナラタケ乾燥菌糸体68.5gから14.9mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(N7)の含有量は、ナラタケを採取する場所・時期、培養条件、培養期間あるいは培養に供する菌株等によって異なり得る。

0046

0047

式(N8)の化合物(本明細書において化合物(N8)と記載する)は、アルミラン(armillane)の化合物名を有し、実施例に記載する工程を用い、ナラタケ菌糸体の酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ナラタケ乾燥菌糸体68.5gから5.9mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(N8)の含有量は、ナラタケを採取する場所・時期、培養条件、培養期間あるいは培養に供する菌株等によって異なり得る。

0048

0049

式(N9)の化合物(本明細書において化合物(N9)と記載する)は、5'-メトキシ-6'-クロロアルミランの化合物名を有し、実施例に記載する工程を用い、ナラタケ菌糸体の酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ナラタケ乾燥菌糸体68.5gから5.2mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(N9)の含有量は、ナラタケを採取する場所・時期、培養条件、培養期間あるいは培養に供する菌株等によって異なり得る。

0050

0051

下記の実施例では、上記の化合物(N1)〜(N9)のいずれもがin vitroにおいてAXLの発現上昇を抑制し、かつ免疫チェックポイント分子の発現上昇を抑制することが確認された。従って、特に限定するものではないが、本発明において使用されるナラタケ抽出物は、化合物(N1)、(N2)、(N3)、(N4)、(N5)、(N6)、(N7)、(N8)及び(N9)のいずれか1種以上を含むように製造することが好ましい。

0052

従って、本発明はまた、化合物(N1)、(N2)、(N3)、(N4)、(N5)、(N6)、(N7)、(N8)及び(N9)の少なくとも1種を含有する抗癌剤耐性抑制剤を提供する。これらの化合物は、ナラタケ抽出物から単離されたものであっても、化学的に合成されたものであっても良い。

0053

ヤマブシタケフルーティングリキッド抽出物
本発明で使用するヤマブシタケ(Hericium erinaceum)は、先述の通り、ヒダナシタケ目サンゴハリタケ科サンゴハリタケ属に属するキノコであり、例えば山梨県鳴沢村で採取することができ、人工的に栽培することもできる。ヤマブシタケは、その発茸時にその菌糸体表面に液体分泌する。この液体は本発明者である河岸等によってフルーティングリキッド(fruiting liquid(FL))と命名された。ヤマブシタケのフルーティングリキッドは、例えば約800 mL容ポット内の菌床(菌糸体及び培地成分の混合物)6000本から約1Lの量で取得することができる。

0054

本発明の抽出物は、特に限定するものではないが、例えば、久保産業株式会社においてヤマブシタケを菌床栽培した際に発生したフルーティングリキッドを採取し、減圧濃縮後に、n-ヘキサン、酢酸エチルで液-液分配し、その残存液を乾固したものをエタノールで固-液分配することによって得られた各種可溶画分を減圧濃縮して得ることができる。本発明において好適に使用できる抽出物は、上記のn-ヘキサン可溶画分、酢酸エチル可溶画分、エタノール可溶画分のいずれを用いても良く、特に限定するものではないが、特に酢酸エチル可溶画分を好適に使用することができる。酢酸エチル可溶画分に抽出される成分が本発明の抗癌剤耐性抑制効果を有し得ることから、上記に関わらず、ヤマブシタケフルーティングリキッドを酢酸エチルで抽出する工程を含む製法であれば、本発明のヤマブシタケフルーティングリキッド抽出物を取得することができる。
本発明の抽出物を得るためには、上記の工程に加えて、更なる工程、例えば分離工程・精製工程・濃縮工程・乾燥工程等を含めることができる。

0055

本発明者等は更に、上記の工程で得られた酢酸エチル可溶画分から、更に有効成分となる化合物を単離した。特に限定するものではないが、ヤマブシタケフルーティングリキッド抽出物中の有効成分である化合物は、例えば酢酸エチル可溶画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相HPLC等の当分野で通常用いられる手段を用いて分画することで、単離することができる。
ヤマブシタケフルーティングリキッド抽出物には、以下の化合物(FLY-1)、(FLY-4)、(FLY-5)、(FLY-7)、(FLY-9)が含有される。

0056

化合物(FLY-1)は、現時点では化合物の構造式未同定である。実施例に記載する工程を用い、ヤマブシタケフルーティングリキッドの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ヤマブシタケフルーティングリキッド5.9Lから38.8mgの収量で単離することができた。しかしながら、ヤマブシタケは天然物であり、更にフルーティングリキッドはヤマブシタケ菌床栽培物由来であることから、化合物(FLY-1)の含有量は、ヤマブシタケを採取する場所・時期、栽培条件栽培期間あるいは栽培に供する菌株等によって異なり得る。

0057

式(FLY-4)の化合物(本明細書において化合物(FLY-4)と記載する)は、(2S,3S,4S)-2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-ヒドロキシ-3-(3-メチルブタノイル)ベンゾエートの化学名を有し、実施例に記載する工程を用い、ヤマブシタケフルーティングリキッドの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ヤマブシタケフルーティングリキッド5.9Lから7.4mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(FLY-4)の含有量は、ヤマブシタケを採取する場所・時期、栽培条件、栽培期間あるいは栽培に供する菌株等によって異なり得る。

0058

0059

式(FLY-5)の化合物(本明細書において化合物(FLY-5)と記載する)は、(2S,3S,4S)-2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-クロロ-3,5-ジメトキシベンゾエートの化学名を有し、実施例に記載する工程を用い、ヤマブシタケフルーティングリキッドの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ヤマブシタケフルーティングリキッド5.9Lから10.5mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(FLY-5)の含有量は、ヤマブシタケを採取する場所・時期、栽培条件、栽培期間あるいは栽培に供する菌株等によって異なり得る。

0060

0061

式(FLY-7)の化合物(本明細書において化合物(FLY-7)と記載する)は、2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-クロロ-3,5-ジメトキシベンゾエートの化学名を有し、化合物(FLY-5)の立体異性体である。実施例に記載する工程を用い、ヤマブシタケフルーティングリキッドの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ヤマブシタケフルーティングリキッド5.9Lから39.2mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(FLY-7)の含有量は、ヤマブシタケを採取する場所・時期、栽培条件、栽培期間あるいは栽培に供する菌株等によって異なり得る。

0062

0063

化合物(FLY-9)は、現時点では化合物の構造式は未同定である。実施例に記載する工程を用い、ヤマブシタケフルーティングリキッドの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ヤマブシタケフルーティングリキッド 5.9Lから24.2mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(FLY-9)の含有量は、ヤマブシタケを採取する場所・時期、栽培条件、栽培期間あるいは栽培に供する菌株等によって異なり得る。

0064

下記の実施例では、上記の化合物(FLY-1)、(FLY-4)、(FLY-5)、(FLY-7)、(FLY-9)のいずれもがin vitroにおいてAXLの発現上昇を抑制し、かつ免疫チェックポイント分子の発現上昇を抑制することが確認された。従って、特に限定するものではないが、本発明において使用されるヤマブシタケフルーティングリキッド抽出物は、化合物(FLY-1)、(FLY-4)、(FLY-5)、(FLY-7)及び(FLY-9)のいずれか1種以上を含むように製造することが好ましい。

0065

従って、本発明はまた、化合物(FLY-1)、(FLY-4)、(FLY-5)、(FLY-7)及び(FLY-9)の少なくとも1種を含有する抗癌剤耐性抑制剤を提供する。これらの化合物は、ヤマブシタケ抽出物から単離されたものであっても、化学的に合成されたものであっても良い。

0066

茶樹茸抽出物
本発明で使用する茶樹茸(Agrocybe chaxingu)は、ハラタケ目モエギタケフミヅキタケ属に属するキノコであり、例えば中国福建省で採取することができ、人工的に栽培することもできる。

0067

本発明の抽出物は、特に限定するものではないが、例えば、茶樹茸子実体乾燥粉末を、ジクロロメタン、酢酸エチル、エタノールで固-液分配することによって得られた各種可溶画分を減圧濃縮して得ることができる。本発明において好適に使用できる抽出物は、上記のジクロロメタン可溶画分、酢酸エチル可溶画分、エタノール可溶画分のいずれを用いても良く、特に限定するものではないが、特にジクロロメタン可溶画分を好適に使用することができる。ジクロロメタン可溶画分に抽出される成分が本発明の抗癌剤耐性抑制効果を有し得ることから、上記に関わらず、茶樹茸子実体乾燥粉末をジクロロメタンで抽出する工程を含む製法であれば、本発明の茶樹茸抽出物を取得することができる。
本発明の抽出物を得るためには、上記の工程に加えて、更なる工程、例えば粉砕工程・分離工程・精製工程・濃縮工程・乾燥工程等を含めることができる。

0068

本発明者等は更に、上記の工程で得られたジクロロメタン可溶画分から、更に有効成分となる化合物を単離した。特に限定するものではないが、茶樹茸抽出物中の有効成分である化合物は、例えばジクロロメタン可溶画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相HPLC等の当分野で通常用いられる手段を用いて分画することで、単離することができる。
茶樹茸抽出物には、以下の化合物(チャキシン(Chaxine) B)が含有される。

0069

チャキシンBは、実施例に記載する工程を用い、茶樹茸子実体乾燥粉末のジクロロメタン可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、茶樹茸子実体乾燥粉末1.5kgから2.1mgの収量で単離することができた。しかしながら茶樹茸は天然物であることから、チャキシンBの含有量は、茶樹茸の発生条件発生時期あるいは発生場所等によって異なり得る。尚、チャキシンBの単離方法及びその構造については、本発明者等によって報告されており、これを参照することができる(Tetrahedron 65 (2009) 9850-9853)。

0070

0071

免疫チェックポイント分子
本発明のヤマブシタケ抽出物、ナラタケ抽出物、及び茶樹茸抽出物に含まれる化合物は、免疫チェックポイント分子の発現を阻害することができる。特に、本発明において、その発現が阻害される免疫チェックポイント分子としては、PD-L1及びPD-L2が挙げられる。

0072

PD-L1(CD274とも呼ばれる)及びPD-L2(CD273とも呼ばれる)は免疫グロブリンファミリーに属する55kDのI型膜タンパク質であるPD-1(programmed cell death protein 1)のリガンドとして知られている。ヒトPD-L1cDNAの塩基配列情報等はGenBankaccession No.AF233516(NCBIデータベース等でGene ID: 29126)又はNM_014143、ヒトPD-L2 cDNAの塩基配列情報等はGenBank accession No.NM_025239(Gene ID: 80380)からそれぞれ取得することができる。

0073

AXL
本発明のヤマブシタケ抽出物、ナラタケ抽出物、及び茶樹茸抽出物に含まれる化合物はまた、AXLの発現を阻害することができる。
AXL(AXL receptor tyrosine kinase)は、受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーで、細胞増殖分化の制御に関与する複雑なシグナル伝達ネットワークに関わっており、発癌にも関与することが知られている。ヒトAXLcDNAの塩基配列情報等はNCBIデータベース等でGenBankaccession No. NM_001699(Gene ID: 558)として取得することができる。

0074

発現の阻害の評価
上記の分子の発現の阻害は、これらの分子を発現する細胞を含むin vitro又はin vivoの系で確認することができる。in vitroの系としては、PD-L1又はPD-L2を発現する標的細胞を含む系を利用することができる。AXLについても、AXL分子を発現する標的細胞を含む系を利用することができる。
あるいはまた、これらの分子の発現の阻害は、例えば癌を発症させた動物モデルを用いて確認することができる。

0075

本発明者等のグループでは、ヒトEGFR変異型(ヒト[L858R]EGFR)肺癌モデルマウスを独自に開発し、研究を行っている。このマウスは、ドキシサイクリンの存在下において特異的にヒト[L858R]EGFRが活性化するため、人為的に肺癌を発症させることができ、本発明の効果の確認に使用することができる(WO 2017/026383 A1)。

0076

しかしながら、意図的に癌を発症させた動物モデルは数多く知られており、使用可能な動物モデルは、上記のものに限定されるものではない。このようなマウスの作製は、例えばPoliti K. et al., Genes & Development 20: 1496-1510, 2006、Ji H. et al., Cell 2006 Jun; 9(6): 485-95に記載されている。

0077

in vitro及びin vivoにおける遺伝子の発現は、特に限定するものではないが、例えば上記のin vitro又はin vivoの実験系を用いて本発明の抽出物を添加(投与)したサンプル及び添加(投与)していないサンプルからmRNAを抽出し、逆転写反応によってcDNA化する。目的の遺伝子をコードするポリヌクレオチドの塩基配列情報に基づいて作製したプライマーを用いたPCR法によるcDNAの増幅を行った後、その発現量を確認することができる。プライマーはまた、プライマーセットとして市販されているものを使用することもできる。この場合、当分野において通常行われているように、発現量が一定であると考えられるグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として発現量を表すことができる。本発明の抽出物によるこれらの分子の発現の阻害の有無は、本発明の抽出物を添加(投与)しない場合との比較によって決定することができる。

0078

また、in vitro又はin vivoにおける実験系において、上記の発現の阻害が認められた場合の免疫応答を、例えば活性化T細胞からのサイトカインの放出、標的細胞の生存率の変化、腫瘍組織顕微鏡画像等によって確認することで、これらの分子の機能の阻害の有無を決定することもできる。

0079

癌治療剤
本発明は、上記の抗癌剤耐性抑制剤を含有する癌治療剤を提供する。本発明の癌治療剤は、上記のヤマブシタケ抽出物、ナラタケ抽出物、及び/又は茶樹茸抽出物、またはその有効成分であることが見出された化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、化合物(N1)〜(N9)、化合物(FLY-1)、化合物(FLY-4)、化合物(FLY-5)、化合物(FLY-7)、化合物(FLY-9)及びチャキシンBの少なくとも1種を含有し得る。

0080

免疫チェックポイントは、あらゆる癌細胞に対する免疫応答において見られるメカニズムである。従って、本発明の癌治療剤は、免疫チェックポイント分子等の免疫系で抑制的に作用するタンパク質の発現を阻害して、標的細胞である癌細胞に対する免疫応答を増強することができる。従って、本発明の癌治療剤の対象となる疾患は、胃癌、肺癌、乳癌、大腸癌、卵巣癌子宮癌前立腺癌膵臓癌肝臓癌白血病リンパ腫骨髄腫皮膚癌等が挙げられ、特に限定するものではない。

0081

医薬組成物
本発明の抽出物は、単独で抗癌剤耐性抑制剤又は癌治療剤として使用することも可能であるが、医薬組成物の有効成分として使用することもできる。こうした医薬組成物には、更なる有効成分、例えば限定するものではないが抗癌剤、抗生物質抗炎症剤解熱剤鎮痛剤等を含めることもできる。本発明の抽出物と更なる有効成分とは、別個に投与することもでき、また同時に、例えば単一の医薬組成物として配合することもできる。医薬組成物の形態、投与経路等は特に限定するものではなく、当分野において通常用いられる形態、投与経路を適宜選択することができるが、好ましくは経口投与静脈注射等である。医薬組成物として製剤化する場合には、調剤において通常使用される賦形剤増量剤崩壊剤防腐剤着色料甘味料香料被膜形成剤等を適宜配合することができる。本発明の抽出物は、注射剤としての投与も可能である。注射剤としての投与する場合、溶解補助剤等の使用、エマルジョン形態を利用することも可能である。

0082

抗癌剤耐性抑制剤として、又は医薬組成物として投与する場合、投与量は、投与経路、患者の年齢、体重、症状など、種々の要因を考慮して、適宜設定することができ、特に限定されないが、一般に1日当たり0.2〜8mg/kg体重、好ましくは1日当たり0.4〜4mg/kg体重の用量で使用可能である。投与の回数頻度等は治療・予防が予期される疾患により、また投与対象者の体調等によって適宜調整し得る。

0083

本発明の抗癌剤耐性抑制剤はまた、保健機能食品や病者用食品等の飲食品として、又はサプリメントとして使用することができる。飲食品又はサプリメントとして使用する場合、本発明の抽出物のヒトにおける推奨摂取量は、1日あたり好ましくは1 mg〜5 g、より好ましくは100 mg〜2 gの範囲である。飲食品又はサプリメントの形態は、粉末錠剤カプセル剤液剤等のいずれの形態であっても良く、特に限定するものではない。この場合、医薬組成物と同様に、通常使用される賦形剤、増量剤、崩壊剤、防腐剤、着色料、甘味料、香料、被膜形成剤等を適宜配合することができる。また、一般的な食品と共に摂取するための形態とし、また食品中に混合することも可能である。

0084

以下に本発明を実施例によって更に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0085

[実施例1ヤマブシタケ培養液由来抽出物の調製]
本発明において使用可能なヤマブシタケ培養液抽出物は、以下のようにして調製した。
ヤマブシタケ菌糸体(乾燥重量255g)の培養液28Lを濾別し、得られた培養ろ液を減圧濃縮後、n-ヘキサン、酢酸エチルで順次各3回の液-液分配によって抽出した。また、抽出後の培養ろ液を減圧濃縮することにより乾固して、エタノールで固-液分配した。得られた可溶部を順次減圧濃縮し、「ヘキサン可溶画分」、「酢酸エチル可溶画分」、及び「エタノール可溶画分」のそれぞれをヤマブシタケ培養ろ液由来抽出物として取得した(図1)。

0086

[実施例2ナラタケ菌糸体抽出物の調製]
本発明において使用可能なナラタケ菌糸体抽出物は、以下のようにして調製した。
68.5gのナラタケ543株菌糸体を粉砕し、n-ヘキサン、酢酸エチル、エタノールで順次固-液分配によって抽出し、減圧濃縮して「ヘキサン可溶画分」、「酢酸エチル可溶画分」、及び「エタノール可溶画分」のそれぞれをナラタケ菌糸体抽出物として取得した(図2)。

0087

[実施例3ヤマブシタケフルーティングリキッド抽出物の調製]
本発明において使用可能なヤマブシタケフルーティングリキッド抽出物は、以下のようにして調製した。
ヤマブシタケ菌床5.9Lのヤマブシタケフルーティングリキッドを減圧濃縮後、n-ヘキサン、酢酸エチルで順次各3回の液-液分配によって抽出した。また、抽出後の培養ろ液を減圧濃縮することにより乾固して、エタノールで固-液分配した。得られた可溶部を順次減圧濃縮し、「ヘキサン可溶画分」、「酢酸エチル可溶画分」、及び「エタノール可溶画分」のそれぞれをヤマブシタケフルーティングリキッド抽出物として取得した(図3)。

0088

[実施例4茶樹茸抽出物の調製]
本発明において使用可能な茶樹茸抽出物は、以下のようにして調製した。
1.5kgの茶樹茸乾燥子実体粉末を、n-ヘキサン、酢酸エチル、エタノールで順次固-液分配によって抽出し、減圧濃縮して「ジクロロメタン可溶画分」、「酢酸エチル可溶画分」、及び「エタノール可溶画分」のそれぞれを茶樹茸抽出物として取得した(図4)。

0089

[実施例5化合物の単離1]
実施例1で取得したヤマブシタケ培養液抽出物のうち、ヘキサン可溶画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel 60N(関東化学株式会社),溶媒:ジクロロメタン; 90%, 80%, 70%, 60%, 50%, 40%, 30%ジクロロメタン/酢酸エチル; 酢酸エチル;アセトン;メタノール)により溶出させて分画して26画分を取得した。分画した酢酸エチル可溶画分のうち、画分8を逆相HPLC(Phenylhexyl(ジーエルサイエンス株式会社),内径20 mm×250 mm, 70% メタノール)に供して、化合物(1)(39.7 mg)を得た。

0090

0091

また、画分8を逆相HPLC(Phenylhexyl(ジーエルサイエンス株式会社),内径20 mm×250 mm, 70%メタノール)に供して、化合物(2)(19.1 mg)を得た。

0092

0093

そして、画分5を逆相HPLC(Phenylhexyl(ジーエルサイエンス株式会社),内径20 mm×250 mm, 70%メタノール)に供して、化合物(3)(2.3 mg)を得た。



これらの実験はいずれも室温で実行された。本実施例で行った分画スキームを図1に示す。

0094

[実施例6化合物の単離2]
実施例2で取得したナラタケ菌糸体抽出物のうち、酢酸エチル可溶画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel 60N,溶媒:ジクロロメタン; 90%, 85%, 80%, 75%, 70%, 50% ジクロロメタン/酢酸エチル; 酢酸エチル;95%, 90%, 80%, 70%, 50% 酢酸エチル/メタノール; メタノール)により溶出させて分画し26画分を取得した。それらのうち、画分10を逆相HPLC(cholester(ナカライテスク株式会社),内径20 mm×250 mm, 80% メタノール)に供して、化合物(N1)(26.1 mg)を得た(図2)。

0095

0096

また、化合物(N1)を単離したものとは別の画分である画分2を逆相HPLC(cholester,内径20 mm×250 mm, 75%メタノール)に供して、化合物(N2)(3.1 mg)を得た。

0097

0098

また、ナラタケ菌糸体酢酸エチル可溶画分から分画された画分6を逆相HPLC(cholester,内径20 mm×250 mm, 80%メタノール)に供して、化合物(N3)(28.8 mg)を得た。

0099

0100

また、ナラタケ菌糸体酢酸エチル可溶画分から分画された画分11を逆相HPLC(cholester,内径20 mm×250 mm, 80%メタノール)に供して、化合物(N4)(6.5 mg)を得た。

0101

0102

また、ナラタケ菌糸体酢酸エチル可溶画分から分画された画分5を中圧分取液体クロマトグラフィー(silica gel 30μm 60Å,溶媒:クロロフォルム;98%クロロフォルム/メタノール;メタノール)により分画し、得られた画分4をさらに逆相HPLC(cholester,内径20 mm×250 mm, 80% メタノール)に供して、化合物(N5)(8.4 mg)を得た。

0103

0104

そして、化合物(N5)を単離したものとは別の画分である画分3を逆相HPLC(cholester,内径20 mm×250 mm, 80%メタノール)に供して、化合物(N6)(17.8 mg)を得た。

0105

0106

さらに、画分10を逆相HPLC(cholester,内径20 mm×250 mm, 80%メタノール)に供して、化合物(N1)とは別の画分から化合物(N7)(14.9 mg)を得た。

0107

0108

最後に、画分11を逆相HPLC(cholester,内径20 mm×250 mm, 80%メタノール)に供して、化合物(N4)とは別の画分から化合物(N8)(5.9 mg)および化合物(N9)(5.2mg)を得た。

0109

0110

0111

これらの実験はいずれも室温で実行された。本実施例で行った分画スキームを図2に示す。

0112

[実施例7化合物の単離3]
実施例3で取得したヤマブシタケフルーティングリキッド抽出物のうち、酢酸エチル可溶画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel 60N(関東化学株式会社),溶媒:ジクロロメタン; 90%, 85%, 80%, 75%, 70%, 60%, 50%, 40%, 30%ジクロロメタン/メタノール; メタノール)により溶出させて分画して15画分を取得した。分画した酢酸エチル可溶画分のうち、画分2を逆相HPLC(Phenyl(ジーエルサイエンス株式会社),内径20 mm×250 mm, 50% メタノール)に供して、画分2-3を得た。画分2-3を逆相HPLC(Phenylhexyl(ジーエルサイエンス株式会社), 内径20 mm×250 mm, 10% メタノール)に供して化合物(FLY-1)(38.8 mg)および化合物(FLY-9)(24.2 mg)を得た(図3)。これらはともに構造未決定であるが、単一の化合物であることが確認されている。
また、画分4を逆相HPLC(Phenylhexyl, 内径20 mm×250 mm, 60% メタノール)に供して化合物(FLY-4)(7.4 mg)を得た。化合物(FLY-4)は、HR-ESI-MSにより分子量が356であると決定され、NMR及びX線結晶構造解析により、以下の構造を有することが判明した。

0113

0114

最後に、画分3を逆相HPLC(Phenyl,内径20 mm×250 mm, 40%メタノール)に供して、化合物(FLY-5)(10.5 mg)および化合物(FLY-7)(39.2mg)をいずれも白色非晶質として得た。

0115

0116

0117

これらの実験はいずれも室温で実行された。本実施例で行った分画スキームを図3に示す。また、精製した化合物(FLY-1)、(FLY-4)、(FLY-5)、(FLY-7)、及び(FLY-9)のプロトンNMRスペクトルを図5−1〜図5−5にそれぞれ示す。

0118

[実施例8化合物の単離4]
実施例4で取得した茶樹茸抽出物のうち、ジクロロメタン可溶画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel 60N(関東化学株式会社),溶媒:ジクロロメタン; 95%, 90%ジクロロメタン/アセトン; 90%ジクロロメタン/エタノール;エタノール)により溶出させて分画して17画分を取得した。分画したジクロロメタン可溶画分のうち、画分5をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel 60N, 溶媒:ジクロロメタン; 95%, 90%ジクロロメタン/アセトン; 90%ジクロロメタン/エタノール;エタノール)に供して画分5-5を得た。画分5-5をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel 60N, 溶媒:ジクロロメタン; 99%,ジクロロメタン/アセトン;エタノール)に供して画分5-5-6を得た。画分5-5-6を逆相HPLC(Wakopak NaviC30 (富士フイルム和光純薬株式会社),内径20 mm×250 mm, 90%メタノール)に供して、チャキシンB(Chaxine B)(2.1 mg)を得た(図4)。

0119

これらの実験はいずれも室温で実行された。本実施例で行った分画スキームを図4に示す。

0120

[実施例9ヒト肺癌細胞株A549における効果1]
ヒト肺癌細胞株A549(the American Type Culture Collection (Rockville, MD, USA) CCL185)を10%FBS含有DMEM培地中で37℃、5%CO2下で前培養後、12ウェルプレート上に、1×106個/ウェル細胞濃度となるように調製した。

0121

実施例5で単離した化合物(1)〜(3)、及び実施例6で単離した化合物(N1)〜(N9)をそれぞれ最終濃度が20μg/mlとなるようにプレート上に添加し、37℃、5%CO2下で24時間培養した。

0122

培養した細胞を1,500rpm、4℃、5分間の遠心分離に供し、A549細胞のペレット回収した。細胞よりtotal RNAを抽出し、逆転写酵素ReverTra Ace (Toyobo, Osaka, Japan)を用いてRT-PCRを行い、AXL、PD-L1、及びPD-L2mRNAの存在を調べた。RT-PCRは、AXL mRNAについては配列番号1(フォワードプライマーTGCCATTGAGAGTCTAGCTGAC)及び2(リバースプライマー:TTAGCTCCCAGCACCGCGAC)、PD-L1 mRNAについては配列番号3(フォワードプライマー:GGACAAGCAGTGACCATCAAG)及び4(リバースプライマー:CCCAGAATTACCAAGTGAGTCCT)、PD-L2 mRNAについては配列番号5(フォワードプライマー:ACCGTGAAAGAGCCACTTTG)及び6(リバースプライマー:GCGACCCCATAGATGATTATGC)、対照としてのGAPDH mRNAについては配列番号7(フォワードプライマー:GGAGCGAGATCCCTCCAAAAT)及び8(リバースプライマー:GGCTGTTGTCATACTTCTCATGG)のプライマーセットを用いて実施した。
結果を、図6〜8に示す。

0123

その結果、ヤマブシタケ培養液由来抽出物から単離された化合物(1)〜(3)を添加したところ、AXLの阻害効果では、化合物(1)〜(3)のいずれもが有意な効果を示し、免疫チェックポイント分子であるPD-L1の発現も有意に阻害した。PD-L2では、いずれの化合物でも発現阻害が認められたが、化合物(1)では有意差が確認できなかった。

0124

ナラタケ菌糸体抽出物から単離された化合物(N1)〜(N9)を添加したところ、AXL及びPD-L1の発現に対して全てが有意な阻害効果を示し、PD-L2の発現に対しては、全ての化合物で発現阻害が認められたが、化合物(N4)、(N6)及び(N7)では有意差が確認できなかった。

0125

化合物(1)〜(3)及び化合物(N1)〜(N9)について得られた上記の結果を、以下の表1に示す。

0126

[実施例10ヒト肺癌細胞株A549における効果2]
ヒト肺癌細胞株A549(the American Type Culture Collection (Rockville, MD, USA) CCL185)を10%FBS含有DMEM培地中で37℃、5%CO2下で前培養後、12ウェルプレート上に、1×106個/ウェルの細胞濃度となるように調製した。
実施例7で単離した化合物(FLY-1)、(FLY-4)、(FLY-5)、(FLY-7)、及び(FLY-9)をそれぞれ最終濃度が20μg/mlとなるようにプレート上に添加し、37℃、5%CO2下で24時間培養し、実施例9と同様にしてヒト肺癌細胞株A549におけるAXL、PD-L1、及びPD-L2の発現に対する効果を確認した。
結果を、図9〜11に示す。

0127

その結果、化合物(FLY-1)、(FLY-4)、(FLY-5)、(FLY-7)、及び(FLY-9)を添加したところ、全ての化合物でAXL、PD-L1、及びPD-L2に対する発現阻害効果が認められた。

0128

[実施例11ヒト肺癌細胞株A549における効果3]
ヒト肺癌細胞株A549(the American Type Culture Collection (Rockville, MD, USA, ) CCL185)を10%FBS含有DMEM培地中で37℃、5%CO2下で前培養後、12ウェルプレート上に、1×106個/ウェルの細胞濃度となるように調製した。
実施例8で単離したチャキシンBを最終濃度が5μg/ml又は20μg/mlとなるようにプレート上に添加し、37℃、5%CO2下で24時間培養し、実施例9と同様にしてヒト肺癌細胞株A549におけるAXL、PD-L1、及びPD-L2の発現に対する効果を確認した。
結果を、図12〜14に示す。

0129

その結果、茶樹茸抽出物から単離されたチャキシンBを添加したところ、AXL、PD-L1、及びPD-L2のいずれの発現も用量依存的に阻害することが認められた。

実施例

0130

尚、本実施例において、化合物はそれぞれヤマブシタケ、ナラタケ、及び茶樹茸から単離されているが、効果が確認された化合物(1)(2,2-ジメチル-2H-クロメン-6-イル)メタノール、(2)1-(2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)フェニル)-3-メチルブタン-1-オン、(3)(4-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)メタノール、(FLY-4)(2S,3S,4S)-2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-ヒドロキシ-3-(3-メチルブタノイル)ベンゾエート、(FLY-5)(2S,3S,4S)-2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-クロロ-3,5-ジメトキシベンゾエート、(FLY-7)2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル 4-クロロ-3,5-ジメトキシベンゾエート、(N1)13-ヒドロキシジヒドロメレオリド(13-hydroxydihydromelleolide)、(N2)メレドナル(melledonal) C、(N3)メレオリド、(N4)メレオリド F、(N5)アルミルラリビン(armillarivin)、(N6)メレオリド K、(N7)6'-クロロメレオリド F、(N8)アルミラン(armillane)、(N9)5'-メトキシ-6'-クロロアルミラン、及びチャキシンBは、実験で示したようにいずれか一種でも有効であり、またいずれも化学的に合成されたものであっても良い。

0131

ヤマブシタケ抽出物、ナラタケ抽出物、及び茶樹茸抽出物は、抗癌剤耐性抑制効果を有する有効成分を含有しており、癌免疫療法において大いに効果がある可能性が示された。さらには、国民の大きな負担になると指摘されているがん治療における医療費問題も解決できる可能性も認められた。

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