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技術 プラスチック複合材の分解方法

出願人 三菱重工業株式会社
発明者 野地勝己
出願日 2018年8月22日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-155596
公開日 2020年2月27日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-028850
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック廃棄物の分離・回収・処理 触媒
主要キーワード 電気伝導領域 カーボン繊維強化プラスチック 接触割合 カーボン繊維強化樹脂 プラスチック複合材 メッシュ板 触媒担持ハニカム 滑り始め
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

プラスチック複合材の加熱を低い温度で行っても、短時間でプラスチック複合材のマトリックス樹脂を十分に分解することができるプラスチック複合材の分解方法を提供する。

解決手段

本発明のプラスチック複合材の分解方法は、反応器内でプラスチック複合材とバンドギャップが4eV以下である無機酸化物触媒とを接触させ、反応器内の雰囲気温度酸素存在下で380〜530℃に設定し、プラスチック複合材の表面温度を480〜650℃であって、前記雰囲気温度よりも50℃以上高い温度にする。

概要

背景

カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)等のプラスチック複合材廃材は、現状技術ではリサイクルが難しいため、多くが埋め立て処理または焼却処理されている。特に、プラスチック複合材のマトリックスとしてエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いたものは、一度硬化すると容易には熱硬化性樹脂と強化繊維とを分離することができない。

そこで、プラスチック複合材を処理または再利用する技術として、熱分解法や熱半導体法が開発されている。例えば、特許文献1には、熱半導体法として、プラスチック複合材の板の表面に、酸化クロム酸化チタン等の半導体を多孔体の表面に担持した触媒担持ハニカムを接触させ、酸素存在下において、半導体が真性電気伝導領域となる温度で被処理物とともに触媒担持ハニカムを加熱することにより、プラスチック複合材のポリマーを分解するプラスチック複合材の処理方法が記載されている。

また、プラスチック複合材ではないが、廃プラスチック有機物分解方法として、特許文献2には、酸化銅を担持し並びに活性成分が酸化チタンである酸化チタンの顆粒体を含む廃プラスチック・有機物分解用触媒が記載されている。この触媒は、顆粒体の形状が略球形(ここで略球形とは、顆粒体の滑り始める角度が0.5度〜15.0度であり、かつ全ての顆粒体が滑り終わる角度が2.0度〜30.0度である)であり、全顆粒体の70%以上の顆粒体の粒子径が0.2mm〜1.6mmであり、酸化銅の担持量が0.1重量%〜10.0重量%であることが記載されている。

概要

プラスチック複合材の加熱を低い温度で行っても、短時間でプラスチック複合材のマトリックス樹脂を十分に分解することができるプラスチック複合材の分解方法を提供する。 本発明のプラスチック複合材の分解方法は、反応器内でプラスチック複合材とバンドギャップが4eV以下である無機酸化物の触媒とを接触させ、反応器内の雰囲気温度を酸素存在下で380〜530℃に設定し、プラスチック複合材の表面温度を480〜650℃であって、前記雰囲気温度よりも50℃以上高い温度にする。

目的

また、特許文献2に開示された触媒は、触媒の調製が特別であり、市販の触媒で容易にプラスチック複合材の分解処理ができることが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

プラスチック複合材分解方法であって、反応器内でプラスチック複合材とバンドギャップが4eV以下である無機酸化物触媒とを接触させ、前記反応器内の雰囲気温度酸素存在下で380〜530℃に設定し、前記プラスチック複合材の表面温度を480〜650℃であって、前記雰囲気温度よりも50℃以上高い温度にする、プラスチック複合材の分解方法。

請求項2

前記反応器内の雰囲気温度が380〜450℃である、請求項1に記載のプラスチック複合材の分解方法。

請求項3

前記触媒が、粒状または粒状と板状および/もしくはハニカム形状との組み合わせである、請求項1又は2に記載のプラスチック複合材の分解方法。

請求項4

前記プラスチック複合材の層状面を前記触媒と接触させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチック複合材の分解方法。

請求項5

前記バンドギャップが4eV以下である無機酸化物は、チタン酸化物バナジウム酸化物タングステン酸化物モリブデン酸化物銅酸化物からなる群より選ばれる1種または2種以上の組み合わせである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチック複合材の分解方法。

請求項6

前記反応器内で、ステンレス鋼製のメッシュ板の一部分に、前記プラスチック複合材および前記触媒を積載し、前記メッシュ板の下方から酸素を供給する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラスチック複合材の分解方法。

技術分野

0001

本発明は、プラスチック複合材分解方法に関する。

背景技術

0002

カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)等のプラスチック複合材の廃材は、現状技術ではリサイクルが難しいため、多くが埋め立て処理または焼却処理されている。特に、プラスチック複合材のマトリックスとしてエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いたものは、一度硬化すると容易には熱硬化性樹脂と強化繊維とを分離することができない。

0003

そこで、プラスチック複合材を処理または再利用する技術として、熱分解法や熱半導体法が開発されている。例えば、特許文献1には、熱半導体法として、プラスチック複合材の板の表面に、酸化クロム酸化チタン等の半導体を多孔体の表面に担持した触媒担持ハニカムを接触させ、酸素存在下において、半導体が真性電気伝導領域となる温度で被処理物とともに触媒担持ハニカムを加熱することにより、プラスチック複合材のポリマーを分解するプラスチック複合材の処理方法が記載されている。

0004

また、プラスチック複合材ではないが、廃プラスチック有機物の分解方法として、特許文献2には、酸化銅を担持し並びに活性成分が酸化チタンである酸化チタンの顆粒体を含む廃プラスチック・有機物分解用触媒が記載されている。この触媒は、顆粒体の形状が略球形(ここで略球形とは、顆粒体の滑り始める角度が0.5度〜15.0度であり、かつ全ての顆粒体が滑り終わる角度が2.0度〜30.0度である)であり、全顆粒体の70%以上の顆粒体の粒子径が0.2mm〜1.6mmであり、酸化銅の担持量が0.1重量%〜10.0重量%であることが記載されている。

先行技術

0005

特許第5904487号公報
特許第5655162号公報

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献1に開示された熱半導体法では、確かにプラスチック複合材の分解ができるものの、この方法では、プラスチック複合材を500℃に加熱して10分〜15分の時間を要することが記載されており、大量のプラスチック複合材を分解処理するには、エネルギー消費が大きく、また時間がかかるため連続処理できないという問題がある。また、特許文献2に開示された触媒は、触媒の調製が特別であり、市販の触媒で容易にプラスチック複合材の分解処理ができることが望まれている。

0007

そこで本開示は、上記の問題点に鑑み、プラスチック複合材の加熱を低い温度で行っても、短時間でプラスチック複合材のマトリックス樹脂を十分に分解することができるプラスチック複合材の分解方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上記の目的を達成するために、本発明の少なくとも一実施形態に係るプラスチック複合材の分解方法は、反応器内でプラスチック複合材とバンドギャップが4eV以下である無機酸化物の触媒とを接触させ、前記反応器内の雰囲気温度を酸素存在下で380〜530℃に設定し、前記プラスチック複合材の表面温度を480〜650℃であって、前記雰囲気温度よりも50℃以上高い温度にする方法である。

0009

幾つかの実施形態において、前記反応器内の雰囲気温度は380〜450℃が好ましい。また、前記触媒は、粒状または粒状と板状および/もしくはハニカム形状との組み合わせとすることが好ましい。さらには、前記プラスチック複合材の層状面を前記触媒と接触させることが好ましい。

0010

幾つかの実施形態において、前記バンドギャップが4eV以下である無機酸化物は、チタン酸化物バナジウム酸化物タングステン酸化物モリブデン酸化物銅酸化物からなる群より選ばれる1種または2種以上の組み合わせであるものが好ましい。

0011

幾つかの実施形態において、前記反応器内で、ステンレス鋼製のメッシュ板の中央部分などの一部分に、前記プラスチック複合材および前記触媒を積載し、前記メッシュ板の下方から酸素を供給してもよい。

発明の効果

0012

このように本開示によれば、バンドギャップが4eV以下である無機酸化物の触媒をプラスチック複合材と接触させることで、反応器内の雰囲気温度を酸素存在下で380〜530℃と低い温度に設定しても、プラスチック複合材のマトリックス樹脂の分解によって発生するガス中炭化水素および一酸化炭素が、前記無機酸化物の触媒で酸化され、これによって生じる燃焼熱によって、プラスチック複合材の表面温度を480〜650℃であって、前記雰囲気温度よりも50℃以上高い温度にすることができる。よって、従来、プラスチック複合材のマトリックス樹脂を十分に分解するのに必要な温度よりも低い温度でプラスチック複合材を加熱しても、プラスチック複合材のマトリックス樹脂を十分に分解することができ、効率的にプラスチック複合材を処理することができる。なお、プラスチック複合材の表面温度が高すぎると、プラスチック複合材の強化繊維が劣化して再利用が難しくなるため、プラスチック複合材の表面温度は650℃以下とする。

0013

特に、反応器内の雰囲気温度を380〜450℃というより低い温度でも、触媒の形状や、プラスチック複合材へ触媒を接触させる配置によって、プラスチック複合材の表面温度を更に大きく上昇させることができる。例えば、触媒として、粒状または粒状とハニカム形状の組み合わせとしたり、プラスチック複合材の層状面を触媒と接触させる配置とすることで、プラスチック複合材の表面温度を雰囲気温度よりも100℃以上高くすることができる。

図面の簡単な説明

0014

本開示に係る少なくとも一実施形態におけるプラスチック複合材への触媒の配置の一実施形態を示す正面図(a)および側面図(b)である。
本開示に係る少なくとも一実施形態におけるプラスチック複合材への触媒の配置の他の実施形態を示す正面図(a)および側面図(b)である。
本開示に係る少なくとも一実施形態におけるプラスチック複合材への触媒の配置の更に他の実施形態を示す斜視図である。
本開示に係る少なくとも一実施形態におけるプラスチック複合材の分解方法の一実施形態を示す概略図である。
実施例1の試験例1の結果を示すグラフである。
実施例1の試験例2の結果を示すグラフである。
実施例1の試験例3の結果を示すグラフである。
実施例1の試験例4の結果を示すグラフである。
実施例2の試験例の結果を示すグラフである。
実施例3の試験例の結果を示すグラフである。
実施例4の試験例の結果を示すグラフである。

0015

以下、添付図面を参照して、本開示に係る少なくとも一実施形態におけるプラスチック複合材の分解方法の一実施形態について説明する。

0016

本実施形態のプラスチック複合材の分解方法は、反応器内でプラスチック複合材とバンドギャップが4eV以下である無機酸化物の触媒とを接触させ、反応器内の雰囲気温度を酸素存在下で所定の設定温度に加熱することで、プラスチック複合材の表面温度を、前記雰囲気温度よりも高い温度にするものである。

0017

処理対象となるプラスチック複合材としては、強化繊維とマトリックス樹脂との複合材料であれば、特に限定されないが、強化繊維としては炭素繊維ガラス繊維などでもよく、マトリックス樹脂としては、熱硬化性プラスチック熱可塑性プラスチックなどでもよい。熱硬化性プラスチックとしては、例えば、フェノール樹脂ウレタンフォームポリウレタンユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂メラミン樹脂アルキド樹脂等がある。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネートポリエチレンポリプロピレンポリ塩化ビニルポリスチレンポリエチレンテレフタレートABS樹脂ポリアミドポリイミドメタクリル樹脂ポリビニルアルコールポリアセタール石油樹脂塩化ビニリデン樹脂ポリブチレンテレフタレートポリブテンフッ素樹脂ポリアクリレート等がある。

0018

触媒として用いるバンドギャップが4eV以下である無機酸化物としては、例えば、銅(Cu)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)などの各酸化物がある。これら無機酸化物は一種類を単独で使用してもよいし、複数種類の組み合わせであってもよい。例えば、脱硝触媒として現在使用されている、チタン酸化物にバナジウム酸化物及びタングステンまたはモリブデンの酸化物を添加した触媒を用いることもできる。触媒のバンドギャップは3eV以下が好ましく、2eV以下がより好ましい。

0019

触媒の形状としては、ハニカム型、板状、粒状であってもよいが、特に、反応器の雰囲気温度よりもプラスチック複合材の表面温度をより高くするために、粒状の触媒を用いることが好ましい。粒状の直径の下限は、プラスチック複合材の分解生成物との分離を容易にするため、1mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2mm以上が更に好ましい。粒状の直径の上限は、プラスチック複合材と粒状触媒との接触点を増やし、均一に反応を促進させるため、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、4mm以下が更に好ましい。このような範囲内の直径の粒状触媒は、市販されているが、例えば、市販の無機酸化物を加圧成形後破砕して所定の直径の範囲内となるようにフィルタ等で整流することで得ることができる。

0020

ハニカム型触媒としては、セル一辺の下限は、プラスチック複合材とハニカム型触媒との接触点を増やし、均一に反応を促進させるため、2.8mm以上が好ましく、3.5mm以上がより好ましく、5.65mm以上が更に好ましい。セルの一辺の上限は、接触点を増やし均一に反応を促進させるため、9mm以下が好ましく、6.4mm以下がより好ましく、6.25mm以下が更に好ましい。板状触媒としては、厚さの下限は、プラスチック複合材との反応を十分に促進させるため、0.3mm以上が好ましく、0.6mm以上がより好ましく、0.7mm以上が更に好ましい。板状触媒の厚さの上限は、厚すぎると反応に関与しない触媒が生じるため、1mm以下が好ましく、0.9mm以下がより好ましく、0.8mm以下が更に好ましい。

0021

プラスチック複合材に対する触媒の配置としては、先ず、触媒の効果を十分に発揮させるために、プラスチック複合材の外表面積に対して、触媒の接触割合が20%以上となるように配置することが好ましい。また、プラスチック複合材は、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグを複数、積層させて加圧加熱条件下で硬化処理を行い製造される積層構造を有するものである。反応器の雰囲気温度よりもプラスチック複合材の表面温度をより高くするために、特に、このプラスチック複合材の積層構造が断面に見える面(本明細書において「層状面」という)に、触媒を配置することが好ましい。

0022

例えば、図1に、薄長い形状を有するプラスチック複合材10aを、ハニカム型触媒20aの複数のセル21で囲んだ配置を示す。プラスチック複合材10aの広い面積の表面11および裏面13には、ハニカム型触媒20aを配置せず、層状面12である4つの面を全てハニカム型触媒20aで囲むようにしてもよい。

0023

また、例えば、図2に、薄長い形状を有するプラスチック複合材10bを、触媒20bの複数の粒状触媒22で囲んだ配置を示す。プラスチック複合材10bの広い面積の表面11および裏面13にわたって粒状触媒22を敷き詰めるとともに、層状面12である4つの面の全て又は一部を粒状触媒22で覆うようにしてもよい。プラスチック複合材10の層状面12である4つの面の全面積が触媒20と接触している必要はなく、例えば、層状面12の全面積の25%以上が触媒と接触していることが好ましく、50%以上が触媒と接触していることがより好ましい。

0024

更に、例えば、図3のように、プラスチック複合材10cの表面11および裏面13のみを複数のセル21からなるハニカム型触媒20cで挟むように配置してもよい。また、触媒は、粒状触媒とハニカム型触媒との組み合わせであってもよく、図3に示すように、プラスチック複合材10cの裏面13の面積よりも広い面積を有するハニカム型触媒20cのはみ出した部分23に、粒状触媒(図示省略)を載せてプラスチック複合材10cの層状面12に触媒が接触するようにしてもよい。なお、ハニカム型触媒の代わりに板状触媒を用いることとしてもよいし、ハニカム型触媒と板状触媒とでプラスチック複合材を挟んでもよい。

0025

そして、図4に示すように、プラスチック複合材10に触媒20を接触させた処理対象物30を、焼成炉などの反応器41内に入れて、反応器41内でプラスチック複合材の分解処理を行う。プラスチック複合材のマトリックス樹脂の分解は、酸化反応であることから、反応器41内には十分な酸素が必要である。よって、反応器41には、空気等の酸素含有ガスを供給する設備(図示省略)が設けられている。

0026

処理対象物30は、図4に示すように、ステンレス鋼製のメッシュ板43の中央部分に載置して、反応器41内で分解処理されることが好ましい。これにより処理対象物30の下面から酸素含有ガスを供給しても、メッシュ板43を通して処理対象物30の下面、側面、上面に一様に酸素含有ガスを供給することができる。メッシュ板43は、処理対象物30の上に更に載置して、その上に処理対象物30を載置することを繰り返し、複数の処理対象物30を一度に反応器41内に入れてもよい。この複数段にした処理対象物30とメッシュ板43は、ベルトコンベア等の輸送手段42によって、反応器41内に輸送することもできる。所定の時間にわたり分解処理された処理対象物30とメッシュ板43は、輸送手段42によって反応器41から出た後、マトリックス樹脂が十分に分解されて残った強化繊維が、回収手段44によって回収される。

0027

反応器41内の雰囲気温度は、380〜530℃に設定する。触媒として、バンドギャップが4eV以下である無機酸化物を用いることで、反応器41内がこのような低い雰囲気温度に設定しても、プラスチック複合材のマトリックス樹脂の分解によって発生するガス中の炭化水素および一酸化炭素が、前記無機酸化物の触媒で酸化され、これによって生じる燃焼熱によって、プラスチック複合材の表面温度を前記雰囲気温度よりも大幅に上昇させることができる。

0028

雰囲気温度が380℃未満ではマトリックス樹脂の分解が進まず、触媒としてバンドギャップが4eV以下である無機酸化物を用いても、プラスチック複合材の表面温度を十分な温度まで上昇させることができない。一方、雰囲気温度が530℃を超えると、触媒としてバンドギャップが4eV以下である無機酸化物を用いた場合、プラスチック複合材の表面温度が上がり過ぎてプラスチック複合材の強化繊維も分解または劣化してしまい、再利用が難しくなる。反応器41内の雰囲気温度は、380〜450℃が好ましく、390〜420℃がより好ましい。

0029

プラスチック複合材の表面温度は480〜650℃である。プラスチック複合材のマトリックス樹脂を十分に分解するためには、480℃以上が必要で、490℃以上が好ましく、500℃以上がより好ましい。雰囲気温度よりもプラスチック複合材の表面温度が50℃以上高くなるようにすることが好ましく、80℃以上高くなるようにすることがより好ましく、100℃以上高くなるようにすることが更に好ましい。このように反応器41内の雰囲気温度とプラスチック複合材の表面温度との差を50℃以上とすることで、雰囲気温度を50℃以上上昇させるために必要な多大なエネルギーを、プラスチック複合材の分解により副生した炭化水素、一酸化炭素の酸化によって発生する燃焼熱を利用することで省くことができ、効率的にプラスチック複合材を処理することができる。この温度差が大きい程、よりエネルギー効率的が高い。なお、この温度差の上限は、特に限定されないが、例えば、270℃以下が好ましい。このような雰囲気温度とプラスチック複合材の表面温度の調整は、触媒の種類や形状、プラスチック複合材へ触媒を接触させる配置によって行うことが可能である。例えば、バンドギャップの値がより低い無機酸化物を用いたり、触媒の形状を粒状または粒状とハニカム形状の組み合わせとしたり、プラスチック複合材の層状面を触媒と接触させる配置とすることで、プラスチック複合材の表面温度を雰囲気温度よりも100℃以上高くすることができる。

0030

[実施例1:触媒の効果]
各種の触媒を用いてプラスチック複合材を分解する試験を行った。プラスチック複合材としては、サイズが幅30mm×長さ200mm×高さ12mmであり、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂のカーボン繊維強化樹脂を用いた。触媒としては、試験例1は触媒を用いず、試験例2はハニカム型脱硝触媒(TiO2/V2O5/WO3またはMoO3の三元触媒で、セルのサイズは6.4mm×6.4mm×10mm)を用いた。試験例3はTiO2粒状触媒(堺化学社製のCS−200S−24。直径:2〜4mm)をそのまま用いた。試験例4は、CuO(関東化学社製の特級試薬)を、加圧成形後、破砕して直径2〜4mmの粒状に整流後、使用した。

0031

ハニカム型脱硝触媒を使用した場合は、図1(a)、(b)に示すように、プラスチック複合材の層状面である4側面を全て触媒で囲むように配置し、全体で幅50mm×長さ220mm×高さ50mmとした。粒状触媒を使用した場合は、図2(a)、(b)に示すように、プラスチック複合材の表面および裏面の全面、並びに層状面の全面を触媒で覆い、全体で幅40mm×長さ220mm×高さ32mmとなるように配置した。これらはいずれも反応器内に設けたステンレス鋼製のメッシュ板(目開き:1.5mm)上の中央の位置に載置した。

0032

試験条件は、乾燥空気(水分1.38vol%)を、ガス流量6.7NL/分、ガス流速0.76Nm/sで、メッシュ板の下から上への方向で流しながら、反応器内の雰囲気温度が400℃又は500℃となるように加熱し、上記の設定温度の到達後2.5時間保持した。そして、試験中の反応器内の雰囲気温度(反応器温度)の他、プラスチック複合材の表面の温度(サンプル表面温度)、プラスチック複合材の裏面から下方10mmの触媒の温度(サンプル下10mm温度)を測定するとともに、反応器内のガス中に含まれるCO、CO2、THCの各濃度を測定した。また、試験後のプラスチック複合材の重量を測定し、試験前後のプラスチック複合材の重量減少率を算出するとともに、試験後の残差にマトリックス樹脂が残っているか否か目視で確認した。その結果を表1および図5図8に示す。

0033

0034

触媒なしで設定温度を500℃とした試験例1では、図5に示すように、加熱開始後、サンプル下10mm温度が400℃に到達した時から、THC濃度が増加し始め、500℃到達前後にCO及びCO2濃度が増加し、反応器温度を500℃に保持している間に徐々にCO及びCO2濃度が低下した。サンプル表面温度も、約530℃まで上昇した後、徐々に500℃まで低下した。プラスチック複合材の重量減少率も35.2%であり、残差にマトリックス樹脂がまだ残っていた。

0035

ハニカム型脱硝触媒を用いて設定温度を500℃とした試験例2では、加熱開始後、サンプル下10mm温度が400℃に到達した時から、THC、CO、CO2の各濃度が急激に増加した。それと同時に、サンプル表面温度も急激に上昇した。これは、推測であるが、触媒成型体蓄熱効果により、プラスチック複合材の温度が設定温度を超えて上昇してプラスチック複合材の分解が進行したと考えられる。残差にマトリックス樹脂が残っておらず、プラスチック複合材の重量減少率も36.1%と良好であった。

0036

TiO2粒状触媒を用いて設定温度を500℃とした試験例3では、加熱開始後、サンプル下10mm温度が400℃に到達した時から、THC、CO、CO2の各濃度が増加したと同時に、サンプル表面温度も大きく上昇した。試験例2と同様に、触媒の蓄熱効果によるプラスチック複合材の分解が進行したと考えられる。残差にマトリックス樹脂が残っておらず、プラスチック複合材の重量減少率も37.6%と良好であった。

0037

CuO粒状触媒を用いて設定温度を400℃とした試験例4では、加熱開始後、サンプル下10mm温度が400℃に到達した時に、CO2濃度が急激に増加した一方、THC、CO濃度の増加は非常に小さかった。これは、CuO粒状触媒が、発生したTHC及びCOを酸化させたためだと考えられる。そして、THC及びCOの燃焼熱が多量に発生したため、設定温度が400℃であったものの、サンプル表面温度が最高で550℃まで上昇し、2時間余りに渡って500℃以上を維持したものと考えられる。試験例4では、設定温度が400℃と一番低いものの、残差にマトリックス樹脂が残っておらず、プラスチック複合材の重量減少率も38.6%と一番良好であった。

0038

試験例1〜4の結果から、CuOやTiO2等の触媒は、一酸化炭素や炭化水素を分解する能力を有しており、また、プラスチック複合材の分解により発生した熱が、雰囲気ガスにより奪われるのを防ぐ役割を持つものと考えられる。

0039

[実施例2:設定温度400℃における触媒のバンドギャップと性能の関係]
実施例1と同じ素材のプラスチック複合材2gに対し、この表面に、異なるバンドギャップを有するCr2O3、CuO、アモルファスα−Al2O3(アルファ型アルミナ)、V2O5、TiO2(アナターゼ型)の各粒状触媒(直径2〜4mm)5gを載せて、それぞれ設定温度を400℃として、保持時間1.5時間で、大気雰囲気下で試験を行った。また、比較例として、触媒を載せなかった場合についても同様の条件で試験を行った。その結果を図9に示す。なお、図9のグラフの縦軸は、重量減少率(%)ではなく、触媒なしの比較例における重量減少率を1とした場合の各触媒における重量減少率の比である、重量減少率比(単位:なし)とした。

0040

図9に示すように、設定温度が400℃と低い温度において、バンドギャップが低い値の触媒ほど、重量減少率比が高いことがわかった。α−Al2O3は触媒なしの比較例と同様の重量減少率であったが、バンドギャップが4eV以下であるCr2O3、CuO、V2O5、TiO2(アナターゼ型)が優れた分解性能を示し、その中でもバンドギャップが2eV以下であるCuOが比較例の約1.8倍の重量減少率となり、顕著に優れた分解性能を示した。

0041

[実施例3:設定温度400℃における脱硝触媒の性能]
TiO2系触媒である実施例1の試験例2のハニカム型脱硝触媒について、反応器の設定温度を400℃とした点と、ガス(O2:21vol%、H2O:1.38vol%、N2:残部)を1NL/分の流量で流した点と、保持時間を4.5時間とした点と、試験中のプラスチック複合材の重量を連続的に計測した点を除いて、実施例1と同様の条件で試験を行った。なお、比較例として、触媒を載せなかった場合についても同様の条件で試験を行った。その結果を図10に示す。なお、図10のグラフの右縦軸は、触媒なしの比較例における試験前のプラスチック複合材の重量に対する昇温時間200分後のプラスチック複合材の重量の変化を1とした場合の、実施例における試験前のプラスチック複合材の重量に対する昇温時間200分後のプラスチック複合材の重量の変化の比である、重量変化比(単位:なし)とした。

0042

図10に示すように、ハニカム型脱硝触媒を用いた場合、加熱開始後、サンプル下10mm温度が400℃に到達した時に、プラスチック複合材の重量が急激に減少した。一方、触媒を用いなかった場合は、サンプル下10mm温度が400℃に到達する辺りから、プラスチック複合材の重量が徐々に減少し始め、触媒を用いた場合に近い重量減少を示す状態までに、数十分が必要であった。

0043

[実施例4:触媒の配置]
実施例1と同じ素材のプラスチック複合材を、幅30mm×長さ30mm×高さ12mmのサイズとし、これに、実施例1の試験例2のハニカム型脱硝触媒を、表面のみに配置する場合、表面と裏面の両面に配置する場合、層状面である4側面に配置する場合について、ガス(O2:21vol%、H2O:1.38vol%、N2:残部)を1NL/分の流量で流した点を除き、実施例1と同じ条件下で設定温度を500℃として試験を行った。また、比較例として、触媒のない場合についても同様の条件で試験を行った。その結果を図11に示す。なお、グラフの縦軸は、各試験例において、時間当たりの重量減少率である分解速度定数を求め、比較例の分解速度定数を1とした場合の各試験例の比を表した。

実施例

0044

図11に示すように、触媒を用いなかった比較例(プラスチック複合材の外表面積に対する触媒の接触割合が0%)に対して、表面のみに配置した試験例(同割合が27.8%)、表面と裏面の両面に配置した試験例(同割合が55.6%)のように、触媒の接触割合が増加する程、分解速度定数比が大きくなることがわかった。触媒の接触割合が20%以上で、触媒のない場合に比べて分解速度定数比を約1.2倍以上にすることが可能であることがわかる。更に、層状面である4側面に配置した試験例(同割合が44.4%)では、表面と裏面の両面に配置した試験例よりも、触媒の接触割合が低いものの、分解速度定数比が高かった。これは、プラスチック複合材の表面や裏面よりも、層状面に触媒を配置した方が、分解速度を向上できることを示している。

0045

10プラスチック複合材
11 表面
12 層状面
13 裏面
20触媒
21ハニカム型触媒のセル
22粒状触媒
23 はみ出し部分
30 プラスチック複合材に触媒を接触させた処理対象物
41反応器
42輸送手段
43メッシュ板
44回収手段

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