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課題
解決手段
概要
背景
河川や産業廃水の水質評価の基準の一つであるCODを測定する場合、試料液に酸化剤として過マンガン酸カリウム溶液を加えて加熱反応させた後、過剰量の還元剤としてシュウ酸ナトリウム溶液を加え、その後酸化剤で逆滴定することによって、試料液によって消費された酸化剤に対応する酸素量を求めている。
自動COD計においては、滴定終了後に滴定管の先端に過マンガン酸カリウム溶液が残留していると、滴定が行われていない待機中に過マンガン酸カリウムが自己分解して二酸化マンガンとなる。しかも滴定管の先端は反応槽に挿入されているため、100℃又はそれに近い高温にさらされており、自己分解と二酸化マンガンの固形化が促進されやすい。
固形化した二酸化マンガンが蓄積すると、滴定量のドリフトを発生させてしまうばかりか、最終的には滴定管が目詰まりを起こして滴定不能になってしまう。そのため、滴定管の定期的な交換が必要であった。
上記問題を解消するため、特許文献1では、反応槽の外側において、滴定管の途中にエア供給管を合流させ、合流点より反応槽側に至った滴定液をエアで反応槽に吹き出す装置が提案されている。
特許文献1の装置によれば、滴定管は、滴定終了後に合流点の反応槽側が空の状態となるため、反応槽内で加熱される滴定管の先端に固形化した二酸化マンガンが蓄積することを、ある程度抑制できる。
しかし、特許文献1の装置の方法によっても、滴定管の合流点の反応槽側には、管壁にわずかに残った過マンガン酸カリウムが徐々に二酸化マンガンとなり析出してくる。そのため、従来は硫酸酸性にしたシュウ酸ナトリウム過剰の溶液をエア供給管から吸引して吸い上げ、滴定管の合流点の反応槽側を洗浄することが行われていた。
概要
滴定液が滴定管中で変質して滴定管の目詰まり等が発生することを防止する。滴定が行われる反応槽1に滴定液を供給する滴定管L4と、滴定管L4の途中の第1の合流点gに合流しているエア供給管L6備える滴定装置において、滴定終了後に、滴定管L4の第1の合流点gより反応槽1側の液体を総て排出すると共に、第1の合流点gの反応槽1と反対側に所定範囲の純水層とその純水層と隣接するエア層を形成した後、反応槽1に充填された洗浄液を、エア供給管L6側から減圧しその後加圧することでエア供給管L6の第1の合流点gより反応槽1側に吸引し排出することにより、滴定管L4を洗浄する。
目的
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、自己分解等により変質しやすい滴定液であっても、滴定管中で変質して滴定管の目詰まり等を発生させることが防止された滴定装置及び滴定管の洗浄方法を提供する
効果
実績
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請求項1
滴定が行われる反応槽と、前記反応槽に滴定液を供給する滴定機構と、前記反応槽にエアを供給するエア供給機構と、前記反応槽に純水を供給する純水供給機構と、前記反応槽に洗浄剤を供給する洗浄剤供給機構と、これら各機構を制御する制御部とを備え、前記滴定機構は、滴定液供給源から前記反応槽内に至る滴定管と、前記滴定管内の滴定液を移動させる滴定ポンプを有し、前記エア供給機構はエア供給管と、前記エア供給管内のエアを移動させるエア移動手段を有し、前記エア供給管は、前記滴定管における前記滴定ポンプよりも前記反応槽側に存する第1の合流点に合流し、前記純水供給機構は純水供給管と、前記純水供給管内の純水を移動させる純水ポンプを有し、前記純水供給管は、前記エア供給管の途中に存する第2の合流点又は前記第1の合流点に合流し、滴定時には、前記滴定ポンプにより滴定液を前記反応槽側に移動させると共に、前記エア供給機構により前記第1の合流点を経由して前記反応槽に連続的にエアを供給することによって、前記滴定管の前記第1の合流点より反応槽側に至った滴定液を総て前記反応槽に吹き出し、滴定終了後には、遅くとも下記ステップ5の開始より前に前記洗浄剤供給機構により、前記反応槽に洗浄剤を供給すると共に、下記ステップを順次行うことを特徴とする滴定装置。ステップ1:前記滴定ポンプで前記滴定管内の滴定液の少量を前記反応槽と反対側に移動させ、前記第1の合流点から前記反応槽と反対側に向けて所定の範囲のエア層を形成する。ステップ2:前記純水ポンプで前記純水供給管内の純水を前記反応槽側に移動させ、前記第1の合流点より前記反応槽側における前記滴定管に純水を充填する。ステップ3:前記滴定ポンプで前記滴定管内の滴定液の少量を前記反応槽と反対側に移動させ、前記エア層を前記反応槽と反対側に移動させると共に、前記第1の合流点から前記反応槽と反対側に向けて所定の範囲の純水層を前記エア層に隣接して形成する。ステップ4:前記エア供給機構により前記第1の合流点を経由して前記反応槽にエアを供給して、前記滴定管の前記第1の合流点より反応槽側の純水を前記反応槽に吹き出す。ステップ5:前記純水ポンプ又は前記エア移動手段で、予め前記反応槽内に収容された洗浄剤を含む洗浄液を、前記第1の合流点より前記反応槽側における前記滴定管に吸引し排出する動作を1回以上行う。ステップ6:前記滴定ポンプにより滴定液を前記反応槽側に移動させると共に、前記エア供給機構により前記第1の合流点を経由して前記反応槽に連続的にエアを供給することによって、前記滴定管の前記第1の合流点より反応槽側に至った前記エア層のエア、前記純水層の純水及び滴定液を総て前記反応槽に吹き出す。
請求項2
請求項3
請求項4
前記ステップ5において、前記純水ポンプで前記純水供給管内の純水を前記反応槽と反対側に移動させ、次いで前記反応槽側に移動させることにより、予め前記反応槽に供給された洗浄剤を含む洗浄液を、前記第1の合流点より前記反応槽側における前記滴定管に吸引し排出する動作を1回以上行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の滴定装置。
請求項5
前記ステップ5において、前記エア移動手段で前記エア供給管内のエアを前記反応槽と反対側に移動させ、次いで前記反応槽側に移動させることにより、予め前記反応槽に供給された洗浄剤を含む洗浄液を、前記第1の合流点より前記反応槽側における前記滴定管に吸引し排出する動作を1回以上行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の滴定装置。
請求項6
滴定が行われる反応槽と、前記反応槽に挿入された定電流分極電位差滴定法により滴定の終点を求めるための一対の電極と、前記反応槽に試料液を供給する試料液供給機構と、前記反応槽に過マンガン酸カリウム溶液からなる滴定液を供給する滴定機構と、前記反応槽にエアを供給するエア供給機構と、前記反応槽に純水を供給する純水供給機構と、前記反応槽に少なくともシュウ酸ナトリウム溶液と硫酸を含む2種以上の試薬液を順次供給する試薬液供給機構と、前記反応槽内の液体を排出する排液機構と、これら各機構を制御すると共に、前記一対の電極からの情報に基づき滴定の終点を検出して前記試料液の化学的酸素要求量を求める制御部とを備え、前記滴定機構は、滴定液供給源から前記反応槽内に至る滴定管と、前記滴定管内の滴定液を移動させる滴定ポンプを有し、前記エア供給機構はエア供給管と、前記エア供給管内のエアを移動させるエアポンプを有し、前記エア供給管は、前記滴定管における前記滴定ポンプよりも前記反応槽側に存する第1の合流点に合流し、前記純水供給機構は純水供給管と、前記純水供給管内の純水を移動させる純水ポンプを有し、前記純水供給管は、前記エア供給管の途中に存する第2の合流点に合流し、滴定時には、前記滴定ポンプにより滴定液を前記反応槽側に移動させると共に、前記エア供給機構により前記第1の合流点を経由して前記反応槽に連続的にエアを供給することによって、前記滴定管の前記第1の合流点より反応槽側に至った滴定液を総て前記反応槽に吹き出し、滴定終了後には、遅くとも下記ステップ5の開始より前に前記試薬液供給機構により、前記反応槽にシュウ酸ナトリウム溶液を供給すると共に、下記ステップを順次行うことを特徴とする滴定装置。ステップ1:前記滴定ポンプで前記滴定管内の滴定液の少量を前記反応槽と反対側に移動させ、前記第1の合流点から前記反応槽と反対側に向けて所定の範囲のエア層を形成する。ステップ2:前記純水ポンプで前記純水供給管内の純水を前記反応槽側に移動させ、前記第1の合流点より前記反応槽側における前記滴定管に純水を充填する。ステップ3:前記滴定ポンプで前記滴定管内の滴定液の少量を前記反応槽と反対側に移動させ、前記エア層を前記反応槽と反対側に移動させると共に、前記第1の合流点から前記反応槽と反対側に向けて所定の範囲の純水層を前記エア層に隣接して形成する。ステップ4:前記エア供給機構により前記第1の合流点を経由して前記反応槽にエアを供給して、前記滴定管の前記第1の合流点より反応槽側の純水を前記反応槽に吹き出す。ステップ5:前記純水ポンプで前記純水供給管内の純水を前記反応槽と反対側に移動させ、次いで前記反応槽側に移動させることにより、予め前記反応槽に収容されたシュウ酸ナトリウム溶液を含む洗浄液を、前記第1の合流点より前記反応槽側における前記滴定管に吸引し排出する動作を1回以上行う。ステップ6:前記滴定ポンプにより滴定液を前記反応槽側に移動させると共に、前記エア供給機構により前記第1の合流点を経由して前記反応槽に連続的にエアを供給することによって、前記滴定管の前記第1の合流点より反応槽側に至った前記エア層のエア、前記純水層の純水及び滴定液を総て前記反応槽に吹き出す。
請求項7
技術分野
背景技術
0002
河川や産業廃水の水質評価の基準の一つであるCODを測定する場合、試料液に酸化剤として過マンガン酸カリウム溶液を加えて加熱反応させた後、過剰量の還元剤としてシュウ酸ナトリウム溶液を加え、その後酸化剤で逆滴定することによって、試料液によって消費された酸化剤に対応する酸素量を求めている。
0003
自動COD計においては、滴定終了後に滴定管の先端に過マンガン酸カリウム溶液が残留していると、滴定が行われていない待機中に過マンガン酸カリウムが自己分解して二酸化マンガンとなる。しかも滴定管の先端は反応槽に挿入されているため、100℃又はそれに近い高温にさらされており、自己分解と二酸化マンガンの固形化が促進されやすい。
固形化した二酸化マンガンが蓄積すると、滴定量のドリフトを発生させてしまうばかりか、最終的には滴定管が目詰まりを起こして滴定不能になってしまう。そのため、滴定管の定期的な交換が必要であった。
0004
上記問題を解消するため、特許文献1では、反応槽の外側において、滴定管の途中にエア供給管を合流させ、合流点より反応槽側に至った滴定液をエアで反応槽に吹き出す装置が提案されている。
特許文献1の装置によれば、滴定管は、滴定終了後に合流点の反応槽側が空の状態となるため、反応槽内で加熱される滴定管の先端に固形化した二酸化マンガンが蓄積することを、ある程度抑制できる。
0005
しかし、特許文献1の装置の方法によっても、滴定管の合流点の反応槽側には、管壁にわずかに残った過マンガン酸カリウムが徐々に二酸化マンガンとなり析出してくる。そのため、従来は硫酸酸性にしたシュウ酸ナトリウム過剰の溶液をエア供給管から吸引して吸い上げ、滴定管の合流点の反応槽側を洗浄することが行われていた。
先行技術
0006
特開2005−195412号公報
発明が解決しようとする課題
0007
シュウ酸ナトリウム過剰の溶液を吸い上げて洗浄を行うと、滴定管のシュウ酸ナトリウム過剰の溶液が吸い上げられる先端側に二酸化マンガンが析出することは防止できる。
ところが、特許文献1の滴定管では、滴定終了後は、合流点より反応槽側に至った過マンガン酸カリウム溶液が吹き出されて空となるが、合流点のところまでは充填された状態で留まっている。この合流点の手前まで至った過マンガン酸カリウム溶液が自己分解して、滴定管の合流点近傍に二酸化マンガンが析出してしまう問題が発生した。
0008
シュウ酸ナトリウム過剰の溶液で洗浄する際には、二酸化マンガンと素早く反応させる必要があるため、液温を高くしたシュウ酸ナトリウム過剰の溶液を用いていた。この高温のシュウ酸ナトリウム過剰の溶液が合流点を経由してエアを供給する管の先端近傍まで吸い上げられることにより、合流点の手前まで至った過マンガン酸カリウム溶液の温度も上昇してしまい、二酸化マンガンに変質しやすくなっているものと思われた。
0009
そこで、合流点の手前まで至った過マンガン酸カリウム溶液が直接高温のシュウ酸ナトリウム過剰の溶液に接触することを防止するため、シュウ酸ナトリウム過剰の溶液で洗浄する前に、合流点の手前まで至った過マンガン酸カリウム溶液を滴定ポンプで吸引し、合流点の滴定ポンプ側に空気層を形成することを試みた。
しかし、空気層を形成してもその部分にわずかな過マンガン酸カリウム溶液が残るため、空気層形成部分に二酸化マンガンが析出してしまった。
0010
そこで、空気層の代わりに水層を形成し、過マンガン酸カリウム溶液とシュウ酸ナトリウム過剰の溶液との間を水層で遮断することを検討した。しかし、過マンガン酸カリウム溶液と水とが混ざり合ってしまうため、合流点近傍の二酸化マンガン析出を防止することはできなかった。
0011
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、自己分解等により変質しやすい滴定液であっても、滴定管中で変質して滴定管の目詰まり等を発生させることが防止された滴定装置及び滴定管の洗浄方法を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
0012
上記の課題を達成するために、本発明は、以下の構成を採用した。
[1]滴定が行われる反応槽と、
前記反応槽に滴定液を供給する滴定機構と、
前記反応槽にエアを供給するエア供給機構と、
前記反応槽に純水を供給する純水供給機構と、
前記反応槽に洗浄剤を供給する洗浄剤供給機構と、
これら各機構を制御する制御部とを備え、
前記滴定機構は、滴定液供給源から前記反応槽内に至る滴定管と、前記滴定管内の滴定液を移動させる滴定ポンプを有し、
前記エア供給機構はエア供給管と、前記エア供給管内のエアを移動させるエア移動手段を有し、
前記エア供給管は、前記滴定管における前記滴定ポンプよりも前記反応槽側に存する第1の合流点に合流し、
前記純水供給機構は純水供給管と、前記純水供給管内の純水を移動させる純水ポンプを有し、
前記純水供給管は、前記エア供給管の途中に存する第2の合流点又は前記第1の合流点に合流し、
滴定時には、前記滴定ポンプにより滴定液を前記反応槽側に移動させると共に、前記エア供給機構により前記第1の合流点を経由して前記反応槽に連続的にエアを供給することによって、前記滴定管の前記第1の合流点より反応槽側に至った滴定液を総て前記反応槽に吹き出し、
滴定終了後には、遅くとも下記ステップ5の開始より前に前記洗浄剤供給機構により、前記反応槽に洗浄剤を供給すると共に、下記ステップを順次行うことを特徴とする滴定装置。
ステップ1:前記滴定ポンプで前記滴定管内の滴定液の少量を前記反応槽と反対側に移動させ、前記第1の合流点から前記反応槽と反対側に向けて所定の範囲のエア層を形成する。
ステップ2:前記純水ポンプで前記純水供給管内の純水を前記反応槽側に移動させ、前記第1の合流点より前記反応槽側における前記滴定管に純水を充填する。
ステップ3:前記滴定ポンプで前記滴定管内の滴定液の少量を前記反応槽と反対側に移動させ、前記エア層を前記反応槽と反対側に移動させると共に、前記第1の合流点から前記反応槽と反対側に向けて所定の範囲の純水層を前記エア層に隣接して形成する。
ステップ4:前記エア供給機構により前記第1の合流点を経由して前記反応槽にエアを供給して、前記滴定管の前記第1の合流点より反応槽側の純水を前記反応槽に吹き出す。
ステップ5:前記純水ポンプ又は前記エア移動手段で、予め前記反応槽内に収容された洗浄剤を含む洗浄液を、前記第1の合流点より前記反応槽側における前記滴定管に吸引し排出する動作を1回以上行う。
ステップ6:前記滴定ポンプにより滴定液を前記反応槽側に移動させると共に、前記エア供給機構により前記第1の合流点を経由して前記反応槽に連続的にエアを供給することによって、前記滴定管の前記第1の合流点より反応槽側に至った前記エア層のエア、前記純水層の純水及び滴定液を総て前記反応槽に吹き出す。
0013
[2]前記滴定液が過マンガン酸塩溶液であり、前記洗浄剤がシュウ酸塩溶液である、[1]に記載の滴定装置。
[3]さらに、定電流分極電位差滴定法により滴定の終点を求めるための一対の電極を備え、前記一対の電極は、前記反応槽に挿入されている、[1]又は[2]に記載の滴定装置。
[4]前記ステップ5において、前記純水ポンプで前記純水供給管内の純水を前記反応槽と反対側に移動させ、次いで前記反応槽側に移動させることにより、予め前記反応槽に供給された洗浄剤を含む洗浄液を、前記第1の合流点より前記反応槽側における前記滴定管に吸引し排出する動作を1回以上行う、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の滴定装置。
[5]前記ステップ5において、前記エア移動手段で前記エア供給管内のエアを前記反応槽と反対側に移動させ、次いで前記反応槽側に移動させることにより、予め前記反応槽に供給された洗浄剤を含む洗浄液を、前記第1の合流点より前記反応槽側における前記滴定管に吸引し排出する動作を1回以上行う、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の滴定装置。
0014
[6]滴定が行われる反応槽と、
前記反応槽に挿入された定電流分極電位差滴定法により滴定の終点を求めるための一対の電極と、
前記反応槽に試料液を供給する試料液供給機構と、
前記反応槽に過マンガン酸カリウム溶液からなる滴定液を供給する滴定機構と、
前記反応槽にエアを供給するエア供給機構と、
前記反応槽に純水を供給する純水供給機構と、
前記反応槽に少なくともシュウ酸ナトリウム溶液と硫酸を含む2種以上の試薬液を順次供給する試薬液供給機構と、
前記反応槽内の液体を排出する排液機構と、
これら各機構を制御すると共に、前記一対の電極からの情報に基づき滴定の終点を検出して前記試料液の化学的酸素要求量を求める制御部とを備え、
前記滴定機構は、滴定液供給源から前記反応槽内に至る滴定管と、前記滴定管内の滴定液を移動させる滴定ポンプを有し、
前記エア供給機構はエア供給管と、前記エア供給管内のエアを移動させるエアポンプを有し、
前記エア供給管は、前記滴定管における前記滴定ポンプよりも前記反応槽側に存する第1の合流点に合流し、
前記純水供給機構は純水供給管と、前記純水供給管内の純水を移動させる純水ポンプを有し、
前記純水供給管は、前記エア供給管の途中に存する第2の合流点に合流し、
滴定時には、前記滴定ポンプにより滴定液を前記反応槽側に移動させると共に、前記エア供給機構により前記第1の合流点を経由して前記反応槽に連続的にエアを供給することによって、前記滴定管の前記第1の合流点より反応槽側に至った滴定液を総て前記反応槽に吹き出し、
滴定終了後には、遅くとも下記ステップ5の開始より前に前記試薬液供給機構により、前記反応槽にシュウ酸ナトリウム溶液を供給すると共に、下記ステップを順次行うことを特徴とする滴定装置。
ステップ1:前記滴定ポンプで前記滴定管内の滴定液の少量を前記反応槽と反対側に移動させ、前記第1の合流点から前記反応槽と反対側に向けて所定の範囲のエア層を形成する。
ステップ2:前記純水ポンプで前記純水供給管内の純水を前記反応槽側に移動させ、前記第1の合流点より前記反応槽側における前記滴定管に純水を充填する。
ステップ3:前記滴定ポンプで前記滴定管内の滴定液の少量を前記反応槽と反対側に移動させ、前記エア層を前記反応槽と反対側に移動させると共に、前記第1の合流点から前記反応槽と反対側に向けて所定の範囲の純水層を前記エア層に隣接して形成する。
ステップ4:前記エア供給機構により前記第1の合流点を経由して前記反応槽にエアを供給して、前記滴定管の前記第1の合流点より反応槽側の純水を前記反応槽に吹き出す。
ステップ5:前記純水ポンプで前記純水供給管内の純水を前記反応槽と反対側に移動させ、次いで前記反応槽側に移動させることにより、予め前記反応槽に収容されたシュウ酸ナトリウム溶液を含む洗浄液を、前記第1の合流点より前記反応槽側における前記滴定管に吸引し排出する動作を1回以上行う。
ステップ6:前記滴定ポンプにより滴定液を前記反応槽側に移動させると共に、前記エア供給機構により前記第1の合流点を経由して前記反応槽に連続的にエアを供給することによって、前記滴定管の前記第1の合流点より反応槽側に至った前記エア層のエア、前記純水層の純水及び滴定液を総て前記反応槽に吹き出す。
0015
[7]滴定が行われる反応槽に滴定液を供給する滴定管と、前記滴定管の途中の合流点に合流している分岐管を備える滴定装置の前記滴定管を洗浄する方法であって、
滴定終了後に、前記滴定管の前記合流点より前記反応槽側の液体を総て排出した状態で、前記合流点の前記反応槽と反対側に所定範囲の純水層とその純水層と隣接する空気層を形成した後、前記反応槽に充填された洗浄液を、前記分岐管側から減圧しその後加圧することによって、前記合流点より前記反応槽側における前記滴定管に吸引し排出する滴定管の洗浄方法。
発明の効果
0016
本発明の滴定装置及び滴定管の洗浄方法によれば、自己分解等により変質しやすい滴定液であっても、滴定管中で変質して滴定管の目詰まり等を発生させることを防止できる。
図面の簡単な説明
0017
本発明の第1実施形態に係る滴定装置の全体構成図である。
本発明の洗浄方法を説明するための図である。
本発明の第2実施形態に係る滴定装置の全体構成図である。
実施例
0018
[第1実施形態]
本実施形態の滴定装置は、図1に示すように、滴定が行われる反応槽1に、滴定の終点を検出するための一対の電極2、2が挿入されている。
本実施形態において、電極2、2は定電流分極電位差滴定法により滴定の終点を求めるための双白金電極である。
反応槽1は加熱槽3内に配置されており、加熱槽3に設けられたヒータ4で加熱されるようになっている。加熱槽3にはヒータ4による加熱を制御するための温度センサ5が設けられている。
0019
また、反応槽1には、試料液供給管L1、硫酸供給管L2、シュウ酸塩供給管L3、及び滴定管L4の各々の一端が、滴定時に液面下となる位置まで挿入されている。
試料液供給管L1の他端は試料液の受水槽T1に挿入され、試料液供給管L1の途中には、試料液供給ポンプP1が設けられている。試料液供給ポンプはローラーポンプであり、正逆両方向に送液できるものとされている。
これら、試料液供給管L1、受水槽T1及び試料液供給ポンプP1で、本実施形態の試料液供給機構が構成されている。
0020
硫酸供給管L2の他端は硫酸を収容する硫酸タンクT2に挿入され、硫酸供給管L2の途中には硫酸供給ポンプP2が設けられている。
また、シュウ酸塩供給管L3の他端はシュウ酸ナトリウム溶液(シュウ酸塩溶液)を収容するシュウ酸塩タンクT3に挿入され、シュウ酸塩供給管L3の途中にはシュウ酸塩供給ポンプP3が設けられている。
硫酸供給ポンプP2及びシュウ酸塩供給ポンプP3は、所定量を計量して送液できるポンプとされている。
0021
これら、硫酸供給管L2、硫酸タンクT2、硫酸供給ポンプP2、シュウ酸塩供給管L3、シュウ酸塩タンクT3及びシュウ酸塩供給ポンプP3で、本実施形態の試薬液供給機構が構成されている。
また、シュウ酸ナトリウム溶液は、本実施形態において洗浄剤としても機能するので、シュウ酸塩供給管L3、シュウ酸塩タンクT3及びシュウ酸塩供給ポンプP3は、本実施形態の洗浄剤供給機構にも該当する。
0022
滴定管L4の他端は滴定液である過マンガン酸カリウム溶液(過マンガン酸塩溶液)を収容する滴定液タンクT4(滴定液供給源)に挿入され、滴定管L4の途中には電磁弁V1を介して滴定ポンプP4が設けられている。電磁弁V1は、共通ポートCが滴定ポンプP4側とされている。
これら、滴定管L4、滴定液タンクT4、滴定ポンプP4及び電磁弁V1で、本実施形態の滴定機構が構成されている。
0023
また、滴定管L4の滴定ポンプP4よりも反応槽1側にある第1の合流点gに、エア供給管L6の一端が接続されている。第1の合流点gは、反応槽1の外側であって反応槽1の高温雰囲気の影響を受けにくい箇所に配置されている。
エア供給管L6の他端は大気開放とされ、エア供給管L6の途中にはエア移動手段であるエアポンプP6が設けられている。また、エアポンプP6と第1の合流点gとの間にはピンチ弁V3が設けられている。
これら、エア供給管L6、エアポンプP6及びピンチ弁V3で、本実施形態のエア供給機構(エア移動機構)が構成されている。
0024
また、エア供給管L6の途中にある第2の合流点hに、純水供給管L5が接続されている。第2の合流点hは、ピンチ弁V3よりも反応槽1側とされている。
純水供給管L5の他端は純水を収容する純水タンクT5に挿入され、純水供給管L5の途中には、純水ポンプP5が電磁弁V2を介して設けられている。
電磁弁V2は、共通ポートCが純水ポンプP5側とされている。
これら、純水供給管L5、純水タンクT5、純水ポンプP5及び電磁弁V2で、本実施形態の純水供給機構が構成されている。
0025
第1の合流点g近傍は、具体的には、図2のように構成されている。
すなわち、滴定管L4は、第1の合流点gを境として、反応槽1側の反応槽側滴定管L4aと滴定ポンプP4側のポンプ側滴定管L4bに分かれている。そして、これら反応槽側滴定管L4aとポンプ側滴定管L4bが、三方分岐管Lgの2つのポートに各々挿入されることにより接続している。そして、三方分岐管Lgの3つめのポートには、エア供給管L6が挿入されている。
0026
第2の合流点h近傍も、第1の合流点g近傍と同様に、エア供給管L6が、第2の合流点hを境として反応槽1側とピンチ弁V3側に分かれており、これら三方分岐管の2つのポートに各々挿入されることにより接続している。そして、その三方分岐管の3つめのポートには、純水供給管L5が挿入されている。
0027
また、反応槽1には、排液管L8の一端が、反応槽1の最下部まで挿入されている。排液管L8の他端は、図示を省略する排液タンクに挿入されるか、図示を省略する排液設備に接続され、排液管L8の途中には、排液ポンプP8が設けられている。
また、反応槽1の上端近傍には、オーバーフロー管L9が接続されている。
これら、排液管L8、オーバーフロー管L9、排液ポンプP8及び排液タンク(又は排液設備)で、本実施形態の純水供給機構が構成されている。
0028
また、滴定機構、エア供給機構、純水供給機構、試薬液供給機構(一部は、洗浄剤供給機構を構成する。)及び排液機構を含む装置全体を制御すると共に、電極2、2からの情報に基づき滴定の終点を検出して試料液の化学的酸素要求量を求める制御部10を備えている。
0029
本実施形態の滴定装置は、制御部10の制御の下、以下に説明する試料液導入工程、前処理工程、酸化工程、酸化停止工程、滴定工程、滴定管洗浄工程、反応槽洗浄工程をこの順で行う。
試料液導入工程では、まず、試料液導入機構の試料液供給ポンプP1を受水槽T1から反応槽1に試料液を送液する方向に動作させる。そして、反応槽1に導入された試料液の液面が、試料液供給管L1の先端をある程度上回る程度となるまで送液した後、試料液供給ポンプP1の動作方向を反転させて、反応槽1から受水槽T1に試料液を戻す方向に送液する。逆送による試料液の液面低下は、試料液供給管L1の先端の位置で止まるため、所定量の試料液を計量して反応槽1に導入することができる。
前処理工程では、試薬液導入機構の硫酸供給ポンプP2を動作させ、所定量の硫酸を反応槽1内の試料液に加える。
0030
そして、酸化工程では、滴定ポンプP4により所定量の過マンガン酸カリウム溶液を反応槽1内の試料液に加え.ヒータ4により反応槽1内の試料液を100℃で30分間加熱し、試料液中の有機物質を酸化分解する。
滴定ポンプP4には、酸化工程に先立ち滴定液タンクT4から過マンガン酸カリウム溶液を充填しておく。
滴定ポンプP4に過マンガン酸カリウム溶液を充填する際は、電磁弁V1の滴定液タンクT4側を開として滴定ポンプP4に吸引動作を行わせる。
0031
滴定ポンプP4から反応槽1内の試料液に過マンガン酸カリウム溶液を送る際は、電磁弁V1の反応槽1側を開として、滴定ポンプP4に吐出動作を行わせる。
また、滴定ポンプP4に吐出動作を行わせる際には、同時に、エアポンプP6を動作させ第2の合流点h、第1の合流点gを経由して反応槽1内にエアを供給し続ける。このとき、ピンチ弁V3を開、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
0032
エアポンプP6により反応槽1内にエアを供給することと、滴定ポンプP4の吐出動作により第1の合流点gより反応槽側に至った過マンガン酸カリウム溶液は直ちに反応槽1内に吹き出される。また、過マンガン酸カリウム溶液と共にエアが反応槽1内に吹き出されることにより、反応槽1内の試料液を攪拌することができる。
0033
なお、後述のように、滴定管洗浄工程終了時、第1の合流点g近傍は図2(a)に示すように、ポンプ側滴定管L4b全体に過マンガン酸カリウム溶液が充填された滴定液層Rが形成されているが、反応槽側滴定管L4a内はエア供給管L6から供給されたエアにより空の状態となっている。
酸化工程の開始時にも、滴定管洗浄工程終了時の状態が維持されており、過マンガン酸カリウム溶液は、ポンプ側滴定管L4bのみに充填され、反応槽側滴定管L4a内は空の図2(a)の状態となっている。そして、酸化工程の終了時にも、第1の合流点g近傍は、図2(a)の状態となる。
0034
次に、酸化停止工程では、試薬液供給機構のシュウ酸塩供給ポンプP3を動作させ、酸化工程で加えた過マンガン酸カリウム溶液と当量のシュウ酸ナトリウム溶液を加えて反応を終了させる。その後、試料液の温度が約70℃に冷却されるまで待機する。
酸化停止工程中も、エアポンプP6を動作させ続け、エアにより試料液を攪拌する。このとき、ピンチ弁V3を開、電磁弁V1の第1の合流点g側を閉、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
0035
滴定工程では、電極2、2間に定電流が流れるように制御部10によって電極2、2間の電圧制御を行いつつ、滴定ポンプP4により過マンガン酸カリウム溶液を少量ずつ反応槽1内の試料液に加えていく。そして、電極2、2間の電位が最大となるところを終点として検出する。
滴定工程において終点までに加えた過マンガン酸カリウム溶液の量が酸化工程において消費された過マンガン酸カリウム溶液の量に相当するので、制御部10は、その量に基づいてCOD値を算出する。
0036
滴定工程中も、エアポンプP6を動作させ続け、エアにより試料液を攪拌する。このとき、ピンチ弁V3を開、電磁弁V1の第1の合流点g側を開、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
これにより、滴定ポンプP4の吐出動作により第1の合流点gより反応槽1側に至った過マンガン酸カリウム溶液は直ちに反応槽1内に吹き出される。また、過マンガン酸カリウム溶液と共にエアが反応槽1内に吹き出されることにより、反応槽1内の試料液を攪拌することができる。
0037
なお、前述のように、酸化工程終了時、第1の合流点g近傍は図2(a)に示すように、ポンプ側滴定管L4b全体に過マンガン酸カリウム溶液が充填された滴定液層Rが形成されているが、反応槽側滴定管L4a内はエア供給管L6から供給されたエアにより空の状態となっている。
滴定工程の開始時にも、酸化工程終了時の状態が維持されており、過マンガン酸カリウム溶液は、ポンプ側滴定管L4bのみに充填され、反応槽側滴定管L4a内は空の図2(a)の状態となっている。そして、滴定工程の終了時にも、第1の合流点g近傍は、図2(a)の状態となる。
0038
その後、次に控えている別の試料液のCOD測定を行うために、滴定管洗浄工程及び反応槽洗浄工程が行われる。
滴定管洗浄工程では、第1の合流点gの反応槽1と反対側のポンプ側滴定管L4bに、所定範囲の純水層Wとその純水層Wと隣接するエア層Aを形成した後、反応槽1に充填された洗浄液を、エア供給管L6側から減圧しその後加圧することによって反応槽側滴定管L4aに吸引し排出する。
滴定工程は、滴定管L4の第1の合流点gより反応槽1側の液体を総て排出した状態で終了するので、この滴定管洗浄工程が、本発明の滴定管の洗浄方法に該当する。
0039
滴定管洗浄工程は、具体的には以下の手順で行われる。
ステップ1:滴定ポンプP4で滴定管L4内の過マンガン酸カリウム溶液の少量を反応槽1と反対側に移動させ、第1の合流点gから反応槽1と反対側に向けて所定の範囲のエア層Aを形成する。
ステップ2:純水ポンプP5で純水供給管L5内の純水を反応槽1に移動させ、第1の合流点gより反応槽1側における滴定管L4に純水を充填する。
ステップ3:滴定ポンプP4で滴定管L4内の過マンガン酸カリウム溶液の少量を反応槽1と反対側に移動させ、エア層Aを反応槽1と反対側に移動させると共に、第1の合流点gから反応槽1と反対側に向けて所定の範囲の純水層Wをエア層Aに隣接して形成する。
ステップ4:エア供給機構のエアポンプP6により第1の合流点gを経由して反応槽1にエアを供給して、滴定管L4の第1の合流点gより反応槽1側の滴定管L4の純水を反応槽1に吹き出す。
ステップ5:純水ポンプP5で純水供給管L5内の純水を反応槽1と反対側に移動させ、次いで反応槽1側に移動させることにより、予め反応槽1に収容されたシュウ酸ナトリウム溶液を含む洗浄液を、第1の合流点gより反応槽1側における滴定管L4に吸引し排出する動作を1回以上行う。
ステップ6:滴定ポンプP4により過マンガン酸カリウム溶液を反応槽1側に移動させると共に、エア供給機構のエアポンプP6により第1の合流点gを経由して反応槽1に連続的にエアを供給することによって、滴定管L4の第1の合流点gより反応槽1側に至ったエア層Aのエア、純水層Wの純水、及びエアと純水の押し出しに用いられて第1の合流点gより反応槽1側に至った過マンガン酸カリウム溶液を総て前記反応槽に吹き出す。
また、遅くとも前記ステップ5の開始より前にシュウ酸塩供給ポンプP3により、反応槽1に洗浄剤となるシュウ酸ナトリウム溶液を供給する。
0040
以下、各ステップについて、詳述する。
前述のように、滴定管洗浄工程開始時は、図2(a)の状態となっている。この状態から、ステップ1では、滴定ポンプP4の吸引動作により、滴定管L4内の過マンガン酸カリウム溶液の少量を反応槽1と反対側に移動させ、図2(b)に示すように、第1の合流点gから反応槽1と反対側に向けて所定の範囲のエア層Aを形成する。
0041
滴定ポンプP4の吸引動作を行う際、ピンチ弁V3を閉、電磁弁V1の第1の合流点g側を開、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
この時形成するエア層Aの範囲は、第1の合流点gから5〜20mmの範囲であることが好ましく、5〜10mmの範囲であることがより好ましい。すなわち、滴定ポンプP4の吸引動作は、滴定管L4内の過マンガン酸カリウム溶液を、5〜20mm移動させるようにすることが好ましく、5〜10mm移動させるようにすることがより好ましい。
エア層Aの範囲を好ましい範囲の上限値以下とすることにより、測定値のばらつきが発生しにくくなる。また、エア層Aの範囲を好ましい範囲の下限値以上とすることにより、滴定ポンプP4の動作制御が容易となる。
0042
ステップ2では、純水ポンプP5の吐出動作により、純水供給管L5内の純水を反応槽1に移動させ、図2(c)に示すように、第1の合流点gから反応槽1側の反応槽側滴定管L4aに純水を充填する。
純水ポンプP5の吐出動作を行う際、ピンチ弁V3を閉、電磁弁V1の第1の合流点g側を閉、電磁弁V2の第2の合流点h側を開としておく。
0043
この時反応槽側滴定管L4a内に充填する純水の量は、次のステップ3で、第1の合流点gから反応槽1と反対側に向けて所定の範囲の純水層Wを形成できる量であれば、反応槽側滴定管L4a全体を満たす量に足りなくても差し支えない。
但し、制御の容易性の観点から、反応槽側滴定管L4a全体を満たす量を多少上回る程度の量とすることが好ましい。
0044
ステップ3では、滴定ポンプP4の吸引動作により、滴定管L4内の過マンガン酸カリウム溶液の少量を反応槽1と反対側に移動させ、図2(d)に示すように、エア層Aを反応槽1と反対側に移動させると共に、第1の合流点gから反応槽1と反対側に向けて所定の範囲の純水層Wをエア層Aに隣接して形成する。
0045
滴定ポンプP4の吸引動作を行う際、ピンチ弁V3を閉、電磁弁V1の第1の合流点g側を開、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
この時形成する純水層Wの範囲は、第1の合流点gから5〜20mmの範囲であることが好ましく、5〜10mmの範囲であることがより好ましい。すなわち、滴定ポンプP4の吸引動作は、滴定管L4内の過マンガン酸カリウム溶液を、5〜20mm移動させるようにすることが好ましく、5〜10mm移動させるようにすることがより好ましい。
純水層Wの範囲を好ましい範囲の上限値以下とすることにより、測定値のばらつきが発生しにくくなる。また、純水層Wの範囲を好ましい範囲の下限値以上とすることにより、滴定ポンプP4の動作制御が容易となる。
0046
ステップ4では、エア供給機構のエアポンプP6により第1の合流点gを経由して反応槽1にエアを供給して、滴定管L4の第1の合流点gより反応槽1側の反応槽側滴定管L4aの純水を反応槽1に吹き出し、図2(e)に示すように、反応槽側滴定管L4a内を空にする。
エアポンプP6を動作させる際、ピンチ弁V3を開、電磁弁V1の第1の合流点g側を閉、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
0047
ステップ5では、純水ポンプP5の吸引動作により、純水供給管L5内の純水を反応槽1と反対側に移動させ、次いで純水ポンプP5の吐出動作により、反応槽1側に移動させる。これにより、予め反応槽1に収容されたシュウ酸ナトリウム溶液を含む洗浄液を、滴定管L4の第1の合流点gより反応槽1側の反応槽側滴定管L4aに吸引し排出する動作を1回以上行う。
純水ポンプP5の吸引吐出動作を行う際、ピンチ弁V3を閉、電磁弁V1の第1の合流点g側を閉、電磁弁V2の第2の合流点h側を開としておく。
0048
シュウ酸ナトリウム溶液を含む洗浄液を反応槽1に収容する作業は、滴定工程終了後、遅くともステップ5の開始より前に行う。具体的には、ステップ1の前に行ってもよいし、ステップ1〜4のいずれか1以上と同時に行ってもよい。
シュウ酸ナトリウム溶液を含む洗浄液を反応槽1に収容する作業は、具体的には、シュウ酸塩供給ポンプP3を動作させて、滴定工程終了後の反応槽1内の試料液にシュウ酸ナトリウム溶液(洗浄剤)を追加する。これにより、過剰量のシュウ酸ナトリウムが存在する洗浄液とする。
このとき追加するシュウ酸ナトリウム溶液の量は、酸化停止工程で加えたシュウ酸ナトリウム溶液の量と同程度とすることが好ましい。
0049
滴定工程終了後の反応槽1内の試料液は60〜80℃程度の温度であるので、シュウ酸ナトリウム溶液(洗浄剤)を追加した後の洗浄液の温度も60〜80℃程度と高い液温となる。このため、シュウ酸ナトリウム過剰の溶液で洗浄する際には、二酸化マンガンと素早く反応するため、効率的に滴定管L4内を洗浄できる。
0050
ステップ5で反応槽側滴定管L4aに吸引する洗浄液の量は、少なくとも、第1の合流点gまで洗浄液が到達する量とする。これにより、反応槽側滴定管L4a全体を洗浄液に触れさせることができる。
制御の容易性の観点から、吸引する洗浄液の量は、第1の合流点gを多少超えて、エア供給管L6の第1の合流点g近傍まで洗浄液が到達する量とすることが好ましい。特に第1の合流点gと第2の合流点hの中間地点まで洗浄液が到達する量とすることが好ましい。
0051
ステップ5で反応槽側滴定管L4aから洗浄液を排出する際は、吸引した洗浄液の全量を排出する。但し、最後に排出する際は、吸引した洗浄液の全量を排出した後、さらに純水ポンプP5の吐出動作を継続することが好ましい。これにより、反応槽側滴定管L4a内を純水で濯ぐことができる。
ステップ5における洗浄液の吸引吐出動作の繰り返し回数は、2〜6回が好ましく、たとえば4回とすることができる。
0052
ステップ5では、第1の合流点gまで温度の高い洗浄液が到達するが、ポンプ側滴定管L4bの滴定液層Rの第1の合流点g側には、エア層Aと純水層Wが存在する。純水層Wには、洗浄液が多少混じり合うが、エア層Aを超えて滴定液層Rまで温度の高い洗浄液が到達することはない。そのため滴定液層R部分で二酸化マンガンが析出することはない。
また、エア層Aが形成されている部分のポンプ側滴定管L4bの内壁には、若干の過マンガン酸カリウム溶液が付着していると考えられるが、純水層Wの水の温度はそれほど上昇しない。そのため、エア層A部分で二酸化マンガンが析出することもない。
0053
ステップ6では、滴定ポンプP4により過マンガン酸カリウム溶液を反応槽1側に移動させると共に、エア供給機構のエアポンプP6により第1の合流点gを経由して反応槽1に連続的にエアを供給する。このとき、ピンチ弁V3を開、電磁弁V1の第1の合流点g側を開、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
これにより、滴定管L4の第1の合流点gより反応槽1側である反応槽側滴定管L4aに至ったエア層Aのエア、純水層Wの純水、及びエアと純水の押し出しに用いられて第1の合流点gより反応槽1側に至った過マンガン酸カリウム溶液を総て前記反応槽に吹き出し、図2(a)の状態として滴定管洗浄工程を終了する。
0054
ステップ6において過マンガン酸カリウム溶液を移動させる量は、少なくともエア層Aのエアと純水層Wの純水の総てを、第1の合流点gより反応槽1側に押し出すことが可能な量とする。エアと純水を確実に押し出すため、過マンガン酸カリウム溶液を移動させる量は、エア層Aのエアと純水層Wの純水の総てを、第1の合流点gより反応槽1側に押し出すことが可能な量よりも少し多めの方が好ましい。
0055
最後に反応槽洗浄工程を行う。
反応槽洗浄工程では、排液ポンプP8を動作させて、反応槽1内の液体を総て排出する。このとき、滴定管L4内の過マンガン酸カリウム溶液が移動しないように、ピンチ弁V3、電磁弁V1の第1の合流点g側、電磁弁V2の第2の合流点h側を、総て閉としておく。
0056
その後純水ポンプP5の吐出動作により、反応槽1内に純水を入れ、これを排液ポンプP8により排出する動作を1回以上行い、反応槽1内を空の状態として反応槽洗浄工程を終了する。このとき、反応槽1に挿入された電極2、2や、試料液供給管L1、硫酸供給管L2、シュウ酸塩供給管L3、滴定管L4、排液管L8の外側も同時に洗浄できる。
反応槽洗浄工程終了後は、再び試料液導入工程に戻り次の試料液のCODを測定する。
0057
本実施形態の滴定装置によれば、滴定管を本発明の滴定管の洗浄方法により洗浄するため、自己分解等により変質しやすい過マンガン酸カリウム溶液からなる滴定液であっても、滴定管中で変質して滴定管の目詰まり等が発生することを防止できる。
0058
[第2実施形態]
本実施形態の滴定装置について、図3を用いて説明する。なお、図3において、図1と同一の構成部材については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
本実施形態の滴定装置は、図3に示すように、第1の合流点gに、エア供給管L6の一端が接続されている。エア供給管L6の他端は大気開放とされ、エア供給管L6の途中にはエア移動手段であるエアポンプP6が設けられている。また、エアポンプP6と第1の合流点gとの間にはピンチ弁V3が設けられている。さらに、ピンチ弁V3とエアポンプP6の間に、電磁弁V4が設けられている。電磁弁V4は、共通ポートCがピンチ弁V3側とされている。
0059
そして、電磁弁V4には、エア吸引管L7の一端が接続されている。エア吸引管L7の他端は大気開放とされ、エア吸引管L7の途中にはエア移動手段であるエアポンプP7が設けられている。
これら、エア供給管L6、エアポンプP6、ピンチ弁V3、電磁弁V4、エア吸引管L7及びエアポンプP7により、本実施形態のエア供給機構が構成されている。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
0060
本実施形態の滴定装置は、第1実施形態の滴定装置と同様に、試料液導入工程、前処理工程、酸化工程、酸化停止工程、滴定工程、滴定管洗浄工程、反応槽洗浄工程をこの順で行う。
試料液導入工程、前処理工程は、第1実施形態と同様である。
0061
酸化工程では、第1実施形態と同様にして、滴定ポンプP4により所定量の過マンガン酸カリウム溶液を反応槽1内の試料液に加え.ヒータ4により反応槽1内の試料液を100℃で30分間加熱し、試料液中の有機物質を酸化分解する。
また、第1実施形態と同様に、滴定ポンプP4に吐出動作を行わせるのと同時に、エアポンプP6を動作させ第2の合流点h、第1の合流点gを経由して反応槽1内にエアを供給し続ける。このとき、本実施形態では、ピンチ弁V3を開、電磁弁V4のエアポンプP6側を開とし、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
0062
次に、酸化停止工程では、第1実施形態と同様に、試薬液供給機構のシュウ酸塩供給ポンプP3を動作させ、酸化工程で加えた過マンガン酸カリウム溶液と当量のシュウ酸ナトリウム溶液を加えて反応を終了させる。その後、試料液の温度が約70℃に冷却されるまで待機する。
酸化停止工程中も、エアポンプP6を動作させ続け、エアにより試料液を攪拌する。このとき、ピンチ弁V3を開、電磁弁V4のエアポンプP6側を開、電磁弁V1の第1の合流点g側を閉、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
0063
滴定工程では、第1実施形態と同様に、電極2、2間に定電流が流れるように制御部10によって電極2、2間の電圧制御を行いつつ、滴定ポンプP4により過マンガン酸カリウム溶液を少量ずつ反応槽1内の試料液に加えていく。そして、電極2、2間の電位が最大となるところを終点として検出し、COD値を算出する。
滴定工程中も、第1実施形態と同様にエアポンプP6を動作させ続け、エアにより第1の合流点gより反応槽1側に至った過マンガン酸カリウム溶液を反応槽1に吹き出しつつ試料液を攪拌する。このとき、ピンチ弁V3を開、電磁弁V4のエアポンプP6側を開、電磁弁V1の第1の合流点g側を開、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
0064
その後、滴定管洗浄工程及び反応槽洗浄工程が行われる。
滴定管洗浄工程では、第1実施形態と同様に、第1の合流点gの反応槽1と反対側のポンプ側滴定管L4bに、所定範囲の純水層Wとその純水層Wと隣接するエア層Aを形成した後、反応槽1に充填された洗浄液を、エア供給管L6側から減圧しその後加圧することによって反応槽側滴定管L4aに吸引し排出する。
滴定工程は、滴定管L4管の第1の合流点gより反応槽1側の液体を総て排出した状態で終了するので、この滴定管洗浄工程が、本発明の滴定管の洗浄方法に該当する。
0065
本実施形態の滴定管洗浄工程は、具体的には以下の手順で行われる。
ステップ1:滴定ポンプP4で滴定管L4内の過マンガン酸カリウム溶液の少量を反応槽1と反対側に移動させ、第1の合流点gから反応槽1と反対側に向けて所定の範囲のエア層Aを形成する。
ステップ2:純水ポンプP5で純水供給管L5内の純水を反応槽1に移動させ、第1の合流点gより反応槽1側における滴定管L4に純水を充填する。
ステップ3:滴定ポンプP4で滴定管L4内の過マンガン酸カリウム溶液の少量を反応槽1と反対側に移動させ、エア層Aを反応槽1と反対側に移動させると共に、第1の合流点gから反応槽1と反対側に向けて所定の範囲の純水層Wをエア層Aに隣接して形成する。
ステップ4:エア供給機構のエアポンプP6により第1の合流点gを経由して反応槽1にエアを供給して、第1の合流点gより反応槽1側の滴定管L4の純水を反応槽1に吹き出す。
ステップ5:エア移動手段であるエアポンプP7でエア供給管L6のエアを反応槽1と反対側に移動させ、次いでエア移動手段であるエアポンプP6でエア供給管L6のエアを反応槽1側に移動させることにより、予め反応槽1に収容されたシュウ酸ナトリウム溶液を含む洗浄液を、第1の合流点gより反応槽1側における滴定管L4に吸引し排出する動作を1回以上行う。
ステップ6:滴定ポンプP4により過マンガン酸カリウム溶液を反応槽1側に移動させると共に、エア供給機構のエアポンプP6により第1の合流点gを経由して反応槽1に連続的にエアを供給することによって、滴定管L4の第1の合流点gより反応槽1側に至ったエア層Aのエア、純水層Wの純水、及びエアと純水の押し出しに用いられて第1の合流点gより反応槽1側に至った過マンガン酸カリウム溶液を総て前記反応槽に吹き出す。
また、遅くとも前記ステップ5の開始より前にシュウ酸塩供給ポンプP3により、反応槽1に洗浄剤となるシュウ酸ナトリウム溶液を供給する。
0066
以下、各ステップについて、第1実施形態と異なる点を中心に詳述する。
前述のように、滴定管洗浄工程開始時は、図2(a)の状態となっている。この状態から、ステップ1では、第1実施形態と同様にして滴定ポンプP4の吸引動作により、滴定管L4内の過マンガン酸カリウム溶液の少量を反応槽1と反対側に移動させ、図2(b)に示すように、第1の合流点gから反応槽1と反対側に向けて所定の範囲のエア層Aを形成する。
0067
ステップ2では、第1実施形態と同様にして、純水ポンプP5の吐出動作により、純水供給管L5内の純水を反応槽1に移動させ、図2(c)に示すように、第1の合流点gから反応槽1側の反応槽側滴定管L4aに純水を充填する。
0068
ステップ3では、第1実施形態と同様にして、滴定ポンプP4の吸引動作により、滴定管L4内の過マンガン酸カリウム溶液の少量を反応槽1と反対側に移動させ、図2(d)に示すように、エア層Aを反応槽1と反対側に移動させると共に、第1の合流点gから反応槽1と反対側に向けて所定の範囲の純水層Wをエア層Aに隣接して形成する。
0069
ステップ4では、第1実施形態と同様にエア供給機構のエアポンプP6により第1の合流点gを経由して反応槽1にエアを供給して、滴定管L4の第1の合流点gより反応槽1側の反応槽側滴定管L4aの純水を反応槽1に吹き出し、図2(e)に示すように、反応槽側滴定管L4a内を空にする。
エアポンプP6を動作させる際、ピンチ弁V3を開、電磁弁V4のエアポンプP6側を開、電磁弁V1の第1の合流点g側を閉、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
0070
ステップ5では、エア移動手段であるエアポンプP7でエア供給管L6のエアを反応槽1と反対側に移動させ、次いでエア移動手段であるエアポンプP6でエア供給管L6のエアを反応槽1側に移動させる。これにより、予め反応槽1に収容されたシュウ酸ナトリウム溶液を含む洗浄液を、滴定管L4の第1の合流点gより反応槽1側の反応槽側滴定管L4aに吸引し排出する動作を1回以上行う。
0071
エアポンプP7を動作させる際は、ピンチ弁V3を開、電磁弁V4のエアポンプP7側を開、電磁弁V1の第1の合流点g側を閉、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
エアポンプP7を動作させると、まず、エア吸引管L7内のエアが電磁弁V4と反対側に移動し、これに伴いエア供給管L6の電磁弁V4よりも反応槽1側のエアが反応槽1と反対側に移動するので、反応槽側滴定管L4aに洗浄液を吸引できる。
0072
エアポンプP6を動作させる際は、ピンチ弁V3を開、電磁弁V4のエアポンプP6側を開、電磁弁V1の第1の合流点g側を閉、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
エアポンプP6を動作させると、エア供給管L6のエアが反応槽1側に移動するので、反応槽側滴定管L4aに吸引した洗浄液を反応槽1に吐出できる。
0073
シュウ酸ナトリウム溶液を含む洗浄液を反応槽1に収容する作業は、第1実施形態と同様に滴定工程終了後、遅くともステップ5の開始より前に行う。
ステップ5で反応槽側滴定管L4aに吸引する洗浄液の好ましい量は第1実施形態と同様である。
0074
ステップ5で反応槽側滴定管L4aから洗浄液を排出する際は、吸引した洗浄液の全量を排出する。但し、制御の容易性の点から、吸引した洗浄液の全量を排出した後、さらにエアポンプP6の吐出動作を継続することが好ましい。
また、最後に排出した後は、純水ポンプP5に吐出動作を行わせ、反応槽側滴定管L4a内を純水で濯ぐことが好ましい。純水ポンプP5に吐出動作を行わせる際は、ピンチ弁V3を閉、電磁弁V1の第1の合流点g側を閉、電磁弁V2の第2の合流点h側を開としておく。
0075
第1実施形態と同様にステップ5では、第1の合流点gまで温度の高い洗浄液が到達するが、ポンプ側滴定管L4bの滴定液層Rの第1の合流点g側には、エア層Aと純水層Wが存在するので、滴定液層R部分やエア層A部分で二酸化マンガンが析出することはない。
0076
ステップ6では、第1実施形態と同様に、滴定ポンプP4により過マンガン酸カリウム溶液を反応槽1側に移動させると共に、エア供給機構のエアポンプP6により第1の合流点gを経由して反応槽1に連続的にエアを供給する。このとき、ピンチ弁V3を開、電磁弁V4のエアポンプP6側を開、電磁弁V1の第1の合流点g側を開、電磁弁V2の第2の合流点h側を閉としておく。
これにより、滴定管L4の第1の合流点gより反応槽1側である反応槽側滴定管L4aに至ったエア層Aのエア、純水層Wの純水、及びエアと純水の押し出しに用いられて第1の合流点gより反応槽1側に至った過マンガン酸カリウム溶液を総て前記反応槽に吹き出し、図2(a)の状態として滴定管洗浄工程を終了する。
0077
最後の反応槽洗浄工程は、第1実施形態と同様にして行い、反応槽洗浄工程を終了する。反応槽洗浄工程終了後は、再び試料液導入工程に戻り次の試料液のCODを測定する。
本実施形態の滴定装置によれば、滴定管を本発明の滴定管の洗浄方法により洗浄するため、自己分解等により変質しやすい過マンガン酸カリウム溶液からなる滴定液であっても、滴定管中で変質して滴定管の目詰まり等が発生することを防止できる。
0078
[その他の実施形態]
第1実施形態、第2実施形態では、純水供給管L5が第2の合流点hに合流する構成としたが、純水供給管L5は、第1の合流点gに合流していてもよい。その場合、第1の合流点gには、三方分岐管Lgに代えて、四方分岐管を用いればよい。
また、試料液供給管L1には、校正液を供給するための校正液供給管を電磁弁を介して合流させ、試料液と校正液のいずれか一方を選択して、反応槽1に導入できるようにしてもよい。
また、校正液供給管を反応槽1に、直接挿入するようにしてもよい。
0079
また、エア移動手段は、エアポンプに限られず、例えば計装空気を利用してもよい。
また、硫酸供給管L2やシュウ酸塩供給管L3の途中にエア供給管を合流させ、硫酸やシュウ酸ナトリウム溶液も、過マンガン酸カリウム溶液と同様に、供給管先端の液をエアで反応槽1に吹き出すようにしてもよい。その場合、試料液の攪拌も各々の供給管に合流するエア供給管からのエアによって行うことができる。
0080
また、塩素イオンを含む試料液のCODを測定する場合は、シュウ酸ナトリウム溶液と硫酸と硝酸銀溶液を順次供給する試薬液供給機構を設ける構成とし、前処理工程において、硫酸と共に硝酸銀溶液を試料液に加え、塩素イオンをマスキングしてもよい。
また、塩素イオンを多量に含む試料液のCODを測定する場合は、アルカリ法を採用し、シュウ酸ナトリウム溶液と硫酸と水酸化ナトリウム溶液を順次供給する試薬液供給機構を設ける構成とし、前処理工程において、硫酸に代えて水酸化ナトリウム溶液を試料液に加え、酸化停止工程において、シュウ酸ナトリウム溶液と共に硫酸を試料液に加えるようにしてもよい。
また、終点の検出方法は、定電流分極電位差滴定法には限定されず、例えば、比色法などを用いてもよい。
0081
また、本発明の滴定装置はCOD測定にのみ用いられるものではなく、その他の中和滴定や酸化還元滴定等に用いても構わない。また滴定液は過マンガン酸カリウム溶液に限られるものではなく、その他の酸化剤等であっても構わない。
また、上記実施形態では、シュウ酸ナトリウム溶液がCOD測定のための反応試薬であると同時に洗浄剤でもある例について説明したが、洗浄剤は、測定のための反応試薬とは別に用意されるものであってもよい。
0082
また、本発明の滴定管の洗浄方法に用いる滴定装置は、分岐管側から減圧と加圧ができる構成であれば、分岐管に設けられるポンプや弁等の具体的構成に限定はない。
また、滴定管の合流点から反応槽と反対側に所定範囲の純水層とその純水層と隣接する空気層を形成する具体的手順にも特に限定はない。
その他、本発明は、その趣旨に反しない限りにおいて、様々な変形や実施形態の組み合わせを行うことができる。
0083
1…反応槽、2…電極、3…加熱槽、4…ヒータ、5…温度センサ、10…制御部、
P1…試料液供給ポンプ、P2…硫酸供給ポンプ、P3…シュウ酸塩供給ポンプ、
P4…滴定ポンプ、P5…純水ポンプ、P6…エアポンプ、P7…エアポンプ、
P8…排液ポンプ、
T1…受水槽、T2…硫酸タンク、T3…シュウ酸塩タンク、T4…滴定液タンク、
T5…純水タンク、
L1…試料液供給管、L2…硫酸供給管、L3…シュウ酸塩供給管、L4…滴定管、
L5…純水供給管、L6…エア供給管、L7…エア吸引管、L8…排液管、
L9…オーバーフロー管、
Lg…三方分岐管、L4a…反応槽側滴定管、L4b…ポンプ側滴定管、
g…第1の合流点、h…第2の合流点、
R…滴定液層、A…エア層、W…純水層