図面 (/)

技術 モータとその制御装置

出願人 梨木政行
発明者 梨木政行
出願日 2018年8月6日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2018-147546
公開日 2020年2月13日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-025377
状態 未査定
技術分野 電動機,発電機と測定・保護装置等との結合 永久磁石型同期機 電動機の制御一般 同期機 交流電動機の制御一般
主要キーワード 想定条件 厚板部分 個駆動 円周方向配置 フライホイール動作 永久磁石粉 特殊解 楕円穴
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年2月13日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

モータ制御装置の小型化、低コスト化を図ること。

解決手段

各巻線片方向電流を適宜通電するモータとその駆動回路に関わり、A相ステータ磁極の両隣に配置する2個の全節巻き巻線WabとWcaと駆動用トランジスタ直列に接続してA相電流成分Iaを通電し、A相ステータ磁極を通過するA相磁束成分φaを励磁してトルクを発生し、他の相も同様の構成とする。その結果、各ステータ磁極を選択的に励磁でき、直列巻線両端電圧は該当する磁束成分だけとなり、簡素化、高性能化する。そして、各巻線と各トランジスタを2つの相で共用できるので利用率が改善し、小型化、低コスト化できる。

概要

背景

交流モータは現在の主流のモータであり広く使用されているが、視点を変えると不都合な面もある。例えば、一つの交流電流を作り出すために4個のトランジスタが必要となる。直流電流ならば、トランジスタ1個で制御できる。電力的にも、正弦波電流より直流電流の方が優れていることも多い。また。リラクタンスモータには、交流リラクタンスモータと直流電流を制御して駆動する、いわゆる、スイッチトリラクタンスモータなどが知られている。本発明は後者に近いが、問題点もある。

従来のリラクタンスモータの横断面図の例を図83に示す。ステータ磁極が6個でロータの磁極が4個のリラクタンスモータである。スイッチトリラクタンスモータとも言われている。839はステータ、83Bはロータ軸である。83A、83Fなどはロータの突極磁極で、円周方向幅は30°で、全周の4か所に等間隔に配置している。831はA相のステータ磁極で、A相の集中巻巻線837と838を破線で示すように巻回している。このモータの各巻線電流片方向電流で、各巻線を電流シンボルで示し、電流の流れる方向を示している。巻線837は紙面の表側から裏側へ流れるA相電流Ia、巻線838は紙面の裏側から表側へ流れるA相電流Iaを通電する。従って、電流を通電する時は、A相のステータ磁極831はS極となる。832はA相とは逆相の関係となるA/相のステータ磁極で、A/相の集中巻巻線83C、83Dを破線で示すように巻回している。A/相の巻線へもA相電流Iaを通電し、A/相のステータ磁極832はN極となる。831と832を同時を励磁してロータに矢印83Eで示す磁束成分φaを、紙面の下側から上側へ、ステータ磁極832、ロータ磁極83F、ロータ磁極83A、ステータ磁極831へ通過させ、φaはステータのバックヨークを通って一巡する。図83の状態では、ロータに反時計回転方向CCWのトルクが発生する。

同様に、833はB相のステータ磁極で、集中巻き巻線83H、83Jを巻回し、B相電流Ibを通電する。834はB/相のステータ磁極で、集中巻き巻線83G、83Kを巻回し、B相電流Ibを通電する。ステータ磁極834から833へ通過する磁束はφbである。835はC相のステータ磁極で、集中巻き巻線83L、83Mを巻回し、C相電流Icを通電する。836はC/相のステータ磁極で、集中巻き巻線83N、83Pを巻回し、C相電流Icを通電する。ステータ磁極836から835へ通過する磁束はφcである。各ステータ磁極の円周方向幅は30°で、全周の6か所に等間隔に配置している。

次に、図83のリラクタンスモータの動作について説明する。ロータの回転位置について、A相のステータ磁極831の時計回転方向端の回転位置をロータの始点と定義する。ロータ回転角位置θrは、図示するように、この始点からロータ磁極83AのCCW方向端部までの回転角とする。A相の巻線837、838とA/相の巻線83C、83Dを直列に接続し、A相電流Iaとして連続定格に近い値の一定電流Ioを通電した状態で、ロータをCCWへ一定速度Vsoで回転する。この時の巻線電圧は、図84の電圧Vaとなる。このVaの横軸は時間tであり、図84の最下段にはその時のロータ回転角位置θrの値を示している。図83のCCW方向は、図84の紙面の右方向である。なお、本発明では、図83のようなリラクタンスモータの基本構成のロータが1回転する角度を電気角360°と定義する。例えば、図83を2極対に多極化して変形した時、ロータの1回転は機械角360°、電気角720°となる。なお、他の特許、文献などではロータ磁極ピッチを基準とすることもあり、混乱しないように確認する。ここで、Vsoの単位は[ラジアン/sec]とする。また、ステータ磁極831、832とロータ磁極83A、83Fとが対向した部分に、磁束がエアギャップ部を介して通過すると仮定する単純モデルとしている。即ち、電圧の計算などにおいては、ステータ磁極とロータ磁極の周辺の空間には漏れ磁束が無いものとして単純計算する。

同様に、833、834のB相の巻線とB/相の巻線を直列に接続し、B相電流Ibとして一定電流Ioを通電した状態で、ロータをCCWへ一定速度Vsoで回転する。この時の巻線電圧は、図84の電圧Vbとなる。同様に、835、836のC相の巻線とC/相の巻線を直列に接続し、C相電流Icとして一定電流Ioを通電した状態で、ロータをCCWへ一定速度Vsoで回転する。この時の巻線電圧は、図84の電圧Vcとなる。各相がトルクを発生できるロータ回転角位置θrの関係を確認したことになる。

次に、図83のリラクタンスモータをCCWへ一定トルクを生成して回転する動作について説明する。図84の電圧Vaの特性から、A相は0°から30°の間と90°から120°の間でCCWのトルクを生成可能であり、A相電流は図84のIaに示すA相電流を通電する。同様に、図84の電圧Vbから、B相は30°から60°の間と120°から150°の間でCCWのトルクを生成可能であり、この間で、図84のIaより30°位相遅れたB相電流Ibを通電する。図84の電圧Vcから、C相は60°から90°の間と150°から180°の間でCCWのトルクを生成可能であり、この間で、図84のIaより60°位相の遅れたC相電流を通電する。リラクタンスモータのトルク周期は180°であり、ロータ回転位置θrに応じて前記電流Ia、Ib、Icを通電することにより、CCWの一定トルクを得ることができる。

また、図83のリラクタンスモータをCWへ一定トルクを生成して回転する動作について説明する。前記のCCWトルクの生成と同様である。A相の電流Iaは、図84のIaより30°位相の遅れた電流を通電することにより負のトルクが得られる。B相の電流Ibは、図84のIaより60°位相の遅れた電流を通電することにより負のトルクが得られる。C相の電流Icは、図84のIaより90°位相の遅れた電流、すなわち、図84のIaと同じ電流を通電することにより負のトルクが得られる。そして、ロータ回転位置θrに応じて前記電流Ia、Ib、Icを通電することにより、CWの一定トルクを得ることができる。

図83の従来リラクタンスモータの優れている点として、ロータが単純構造堅牢であるため、高速回転が容易であることが挙げられる。また、永久磁石を使用せずに駆動することができる。リラクタンス力である吸引力によりトルクを発生し、駆動アルゴリズムが比較的単純である。ステータ巻線も突極への集中巻き構成で、簡素であり製作が容易である。そして何より、低コストモータシステム実現の可能性がある。

次に、図83の従来リラクタンスモータの問題点について説明する。前記のモータ構成、前記の動作説明に関連する問題点である。従来リラクタンスモータの第1の問題点は、連続定格トルクが同一モータサイズの永久磁石型同期電動機に比較して劣ることである。また、用途によっては、低速回転で連続定格トルクの3倍以上の大きなトルクも望まれる。一般的に、大きなトルク領域では力率の低下などによりトルク定数が低下する傾向があり、大型化し、重量の問題もある。低速回転でのモータ損失は、銅損が支配的である。第2の問題点は、モータの最大トルクの近傍において力率が低く、インバータが大型化することである。特に、電気自動車主機用モータとしては、連続定格トルクの3倍以上の大きなトルクが必要であり、力率の問題、トルクリップルの問題が増大する。

第3の問題点は、リラクタンスモータを構成する各部分がトルクを発生する時間的な比率、空間的な比率が、図83の例で33%(1/3)程度と低いことである。図83の場合、モータの33%の部分がトルク発生に寄与しているが、他の67%(2/3)の部分は動作していない。利用率が33%とも言える。この第3の問題点は他の問題点の原因ともなっている。後に示す図5の駆動回路も同様である。その他に、騒音の問題、トルクリップルの問題などがある。永久磁石ロータを使用するモータとそれらの制御装置に関しては、少し作用が異なるが類似の問題がある。

以上のように、図83などの従来のリラクタンスモータは優れた点もあるが、問題点が多い。これらの問題の大半を解決することにより、リラクタンスモータを電気自動車の主機用モータとして実用化できるようになり、従来の永久磁石型同期モータに対する競争力を持ち、魅力的なモータとすることができると考えている。また、永久磁石ロータについても、本発明のリラクタンスモータとその制御装置と同じ技術を適用して、高性能化を図ることができる。

概要

モータと制御装置の小型化、低コスト化をること。各巻線へ片方向電流を適宜通電するモータとその駆動回路に関わり、A相ステータ磁極の両隣に配置する2個の全節巻き巻線WabとWcaと駆動用トランジスタを直列に接続してA相電流成分Iaを通電し、A相ステータ磁極を通過するA相磁束成分φaを励磁してトルクを発生し、他の相も同様の構成とする。その結果、各ステータ磁極を選択的に励磁でき、直列巻線両端電圧は該当する磁束成分だけとなり、簡素化、高性能化する。そして、各巻線と各トランジスタを2つの相で共用できるので利用率が改善し、小型化、低コスト化できる。

目的

第2の問題点は、モータの最大トルクの近傍において力率が低く、インバータが大型化することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ステータSTR1の円周方向に配置する(SN1×MN1)個以上のステータ磁極があり、それらの円周方向に並ぶステータ磁極SP11、SP12、SP13、SP14と、前記ステータ磁極SP11とSP12の間に位置するスロットSL11と、前記ステータ磁極SP12とSP13の間に位置するスロットSL12と、前記ステータ磁極SP13とSP14の間に位置するスロットSL13と、電気角位置が180°異なる2つのスロット間巻回する全節巻き巻線SWF、あるいは、スロットからバックヨークの外側を通してトロイダル状に巻回する環状巻線SWRであって、前記スロットSL11に配置する巻線SW11と、同様に、前記スロットSL12に配置する巻線SW12と、同様に、前記スロットSL13に配置する巻線SW13と、ロータの円周方向に配置する(RN1×MN1)個の軟磁性体を使用したロータ磁極RPを備えるロータRTR1と、前記巻線SW11に直列に接続した電力素子PE11と、前記巻線SW11に直列に接続した電力素子PE12と、前記巻線SW12に直列に接続した電力素子PE13とを備え、前記電力素子PE11と前記巻線SW11と前記巻線SW12と前記電力素子PE12とを直列に接続し、前記電力素子PE13と前記巻線SW13と前記巻線SW12と前記電力素子PE12とを直列に接続し、前記の直列に接続した各巻線と各電力素子で励磁電流通電して各ステータ磁極を励磁することを特徴とするモータとその制御装置。ここで、前記各巻線は、電磁気的に等価な巻線とその回路上の配置を入れ替えることができる。また、SN1は4以上の整数、RN1は2以上の整数、MN1は極対数であり1以上の整数とする。

請求項2

ステータSTR2の円周方向に配置する(SN2×MN2)個以上のステータ磁極があり、それらの円周方向に配置するステータ磁極SP21、SP22と、前記ステータ磁極SP21に巻回する集中巻き巻線SWS21と、前記ステータ磁極SP22に巻回する集中巻き巻線SWS22と、ロータの円周方向に配置する(RN2×MN2)個の軟磁性体を使用したロータ磁極RPを備えるロータRTR2と、前記巻線SW21に直列に接続した電力素子PE21と、前記巻線SW22に直列に接続した電力素子PE22と、前記巻線SW22に直列に接続した電力素子PE23とを備え、 前記電力素子PE21と前記巻線SW21と前記電力素子PE22とを直列に接続し、前記電力素子PE23と前記巻線SW22と前記電力素子PE22とを直列に接続し、前記の各巻線と各電力素子で励磁電流を通電して各ステータ磁極を励磁することを特徴とするモータとその制御装置。ここで、前記各巻線は、電磁気的に等価な巻線とその回路上の配置を入れ替えることができる。また、SN2は4以上の整数、RN2は2以上の整数、MN2は極対数であり1以上の整数とする。

請求項3

請求項1、2において、ステータ磁極SPの数SN3は((2×KN31)×MN3)個であって、ロータRTRは永久磁石を使用したロータ磁極を備えるロータRTR3であって、ロータRTR3のロータ磁極RPの数RN3は((2+4×KN32)×MN3)個であることを特徴とするモータとその制御装置。ここで、KN31は3以上の整数、KN32は2以上の整数、MN3は極対数であり1以上の整数とする。

請求項4

ステータSTR4の円周方向に配置する4個のステータ磁極SPがあり、それらの一つであるA相のステータ磁極SP41と、前記A相のSP41の円周方向の隣に位置するB相ステータ磁極SP42と、前記B相のSP42の円周方向の隣に位置するA/相ステータ磁極SP43と、前記A/相のSP43の円周方向の隣に位置するB/相ステータ磁極SP44と、前記ステータ磁極SP44とSP41の間に位置するスロットSL41と、前記ステータ磁極SP41とSP42の間に位置するスロットSL42と、前記ステータ磁極SP42とSP43の間に位置するスロットSL43と、前記ステータ磁極SP43とSP44の間に位置するスロットSL44と、前記スロットSL41とSL43に配置するAB相全節巻き巻線SWAB、あるいは、環状巻き線と、前記スロットSL44とSL42に配置するBA相全節巻き巻線SWBA、あるいは、環状巻き線と、ロータの円周方向に配置し、軟磁性体、あるいは、永久磁石を使用したRN4個のロータ磁極RPを備えるロータRTR4と、前記AB相全節巻き巻線SWAB、あるいは、環状巻き線に直列に接続した電力素子PE41と、前記BA相全節巻き巻線SWBA、あるいは、環状巻き線に直列に接続した電力素子PE42と、前記電力素子PE41が前記AB相全節巻き巻線SWABへ通電する電流の向きとは逆方向の電流を与える電力素子PE43とを備え、ロータ磁極の円周方向周期をRHB4として、前記A相のSP41から見た前記B相ステータ磁極SP42の円周方向位置は(RHB4/2)の奇数倍の位置であり、前記A相のSP41と前記A/相ステータ磁極SP43とは相対的に電磁気的な逆相の関係であってそれらの相の磁束成分φaが両ステータ磁極を通過し、前記A相のSP41と前記A/相ステータ磁極SP43とは相対的に電磁気的な逆相の関係であってそれらの相の磁束成分φbが両ステータ磁極を通過し、前記電力素子PE41と前記巻線SW41と前記巻線SW42と前記電力素子PE42とを直列に接続し、前記の直列に接続した各巻線と各電力素子で励磁電流を通電して各ステータ磁極を励磁することを特徴とするモータとその制御装置。ここで、RN4は2以上の整数である。また、前記モータ構成の極対数は1であり、極対数を2以上とすることもできる。

請求項5

ステータSTR5の円周方向に配置する4個のステータ磁極SPがあり、それらの一つであるA相のステータ磁極SP51と、B相のステータ磁極SP52と、前記A相のSP51とは電磁気的に逆の位相となるA/相ステータ磁極SP53と、前記B相のSP52とは電磁気的に逆の位相となるB/相ステータ磁極SP54と、前記A相のステータ磁極SP51へ巻回した集中巻き巻線SW51と、前記B相のステータ磁極SP52へ巻回した集中巻き巻線SW52と、前記A/相のステータ磁極SP53へ巻回した集中巻き巻線SW53と、前記B/相のステータ磁極SP54へ巻回した集中巻き巻線SW54と、ロータの円周方向に配置し、軟磁性体、あるいは、永久磁石を使用したRN5個のロータ磁極RPを備えるロータRTR5と、前記巻線SW51と巻線SW53を直列に接続し、巻線SW51と直列に接続した電力素子PE51と、前記巻線SW53と直列に接続した電力素子PE53と、前記巻線SW52と巻線SW54を直列に接続し、巻線SW52と直列に接続した電力素子PE52と、前記巻線SW54と直列に接続した電力素子PE54とを備え、ロータ磁極の円周方向周期をRHB5として、前記A相のSP51から見た前記B相ステータ磁極SP52の円周方向位置は(RHB5/2)の奇数倍の位置であり、前記A相のSP51と前記A/相ステータ磁極SP53とは相対的に電磁気的な逆相の関係であってそれらの相の磁束成分φaが両ステータ磁極を通過し、前記A相のSP51と前記A/相ステータ磁極SP53とは相対的に電磁気的な逆相の関係であってそれらの相の磁束成分φbが両ステータ磁極を通過し、前記電力素子PE51と前記巻線SW51と前記巻線SW53と前記電力素子PE53とを直列に接続し、励磁電流Ia5を通電して両ステータ磁極を励磁し、前記電力素子PE52と前記巻線SW52と前記巻線SW54と前記電力素子PE54とを直列に接続し、励磁電流Ib5を通電して両ステータ磁極を励磁することを特徴とするモータとその制御装置。ここで、RN5は3以上の整数である。また、前記モータ構成の極対数は1であり、極対数を2以上とすることもできる。

請求項6

請求項1、3において、ステータの円周方向に配置する(SN6×MN6)個のステータ磁極SP61、SP62、SP63、SP64と、ロータ磁極の数RN6が(SN6×MN6)個以上で、(3×SN6×MN6)個以下のロータRTR6とを備え、 ステータ磁極の円周方向幅θst6は(360°/RN6−720°/(SN6×RN6))より小さく、ロータ磁極の円周方向幅θrt6は(360°/RN6−720°/(SN6×RN6))より小さい ことを特徴とするモータとその制御装置。ここで、SN6は6以上の整数、前記角度は電気角、MN6は極対数であり1以上の整数とする。

請求項7

ステータの円周方向に配置する(SN7×MN7)個のステータ磁極SP71、SP72、SP73と、前記ステータ磁極SP71を励磁する巻線SW71と、前記ステータ磁極SP72を励磁する巻線SW72と、前記ステータ磁極SP73を励磁する巻線SW73と、前記巻線SW71に直列に接続する電力素子PE71と、前記巻線SW72に直列に接続する電力素子PE72と、前記巻線SW73に直列に接続する電力素子PE73と、ロータ磁極の数RN7が(SN7×MN7)個以上で、(3×SN7×MN7)個以下のロータRTR7とを備え、ステータ磁極の円周方向幅θst7は(360°/RN7−720°/(SN7×RN7))より小さく、ロータ磁極の円周方向幅θrt7は(360°/RN7−720°/(SN7×RN7))より小さいことを特徴とするモータとその制御装置。ここで、SN7は6以上の整数、前記角度は電気角、MN7は極対数であり1以上の整数とする。

請求項8

ステータの円周方向に配置する(SN8×MN8)個以上のステータ磁極があり、それらの円周方向に並ぶステータ磁極SP81、SP82、SP83、SP84と、前記ステータ磁極SP81とSP82の間に位置するスロットSL81と、前記ステータ磁極SP82とSP83の間に位置するスロットSL82と、前記ステータ磁極SP83とSP84の間に位置するスロットSL83と、電気角位置が180°異なる2つのスロット間に巻回する全節巻き巻線SWF、あるいは、スロットからバックヨークの外側を通してトロイダル状に巻回する環状巻線SWRであって、前記スロットSL81に配置する巻線SW81と、同様に、前記スロットSL82に配置する巻線SW82と、同様に、前記スロットSL83に配置する巻線SW83と、ロータの円周方向に配置する(RN8×MN8)個のロータ磁極RPを備えるロータRTR8と、正側端子VsP8と負側端子VsN8を持つ直流電圧源Vs8と、前記正側端子VsP8と前記巻線SW81の間に直列に接続した電力素子PE81と、前記巻線SW81と前記負側端子VsN8の間に直列に接続した電力素子PE82と、前記正側端子VsP8と前記巻線SW82の間に直列に接続した電力素子PE83と、前記巻線SW82と前記負側端子VsN8の間に直列に接続した電力素子PE84と、前記正側端子VsP8と前記巻線SW83の間に直列に接続した電力素子PE85と、前記巻線SW83と前記負側端子VsN8の間に直列に接続した電力素子PE86と、前記巻線SW81と直列に接続したダイオードDD81と、前記巻線SW82と直列に接続したダイオードDD82と、前記巻線SW83と直列に接続したダイオードDD83とを備え、前記巻線SW81とダイオードDD81と前記巻線SW82とダイオードDD82と前記巻線SW83とダイオードDD83とを直列に接続し、前記巻線SW81、前記巻線SW82、前記巻線SW83へは片方向電流を通電し、前記スロットSL81に通電する電流の方向を正方向とすると、前記スロットSL82には逆の負方向に通電し、前記スロットSL83には正方向に通電し、前記の各巻線へ各電力素子で励磁電流を通電して各ステータ磁極を励磁することを特徴とするモータとその制御装置。ここで、前記各巻線は、電磁気的に等価な巻線とその回路上の配置を入れ替えることができる。また、SN8は6以上の整数、RN8は2以上の整数、MN8は極対数であり1以上の整数とする。

請求項9

請求項1、2、3、4、5、6、7において、モータの力行電力を供給する直流電圧源Vs91と、磁気エネルギーおよび動力電源回生を行う直流電圧源Vs92、あるいは、等価的に電源回生の電圧を増大する磁気回生電圧大手MRGMとを備えることを特徴とするモータとその制御装置。

請求項10

請求項1、2、4、5、6、7、8において、円周方向に並んで配置するN極のステータ磁極SPA1とS極のステータ磁極SPA2と、前記N極のステータ磁極SPA1の歯の先端部近傍と前記S極のステータ磁極SPA2の歯の先端部近傍の間に配置する永久磁石PMA1とを備えることを特徴とするモータとその制御装置。

請求項11

請求項1、2、4、5、6、7、8において、モータ内の磁束を通過する主な軟磁性体MMB1と、飽和磁束密度が前記軟磁性体MMB1より大きい特性を示す軟磁性体MMB2とを使用し、前記軟磁性体MMB2をステータ磁極SPでもあるステータの歯の1/2以下の部分に使用し、前記軟磁性体MMB2をロータ磁極RPでもあるロータの歯の1/2以下の部分に使用することを特徴とするモータとその制御装置。

請求項12

請求項2、4,5、7、8において、ステータの円周方向に隣り合わせに配置した2個以上のN極のステータ磁極SPC1と、ステータの円周方向に隣り合わせに配置した2個以上のS極のステータ磁極SPC2と、前記N極のステータ磁極SPC1と前記S極のステータ磁極SPC2との間のバックヨークへステータ磁極の磁性に合わせて配置する永久磁石PMC1と、を備えることを特徴とするモータとその制御装置。

請求項13

請求項1、2、4、5、6、7、8において、円周上に配置したN極のステータ磁極SPD1と、円周上に配置したS極のステータ磁極SPD2と、前記N極のステータ磁極SPD1と磁気的に接続するバックヨークBYSD1と、前記S極のステータ磁極SPD2と磁気的に接続するバックヨークBYSD2と、前記バックヨークBYSD1と前記バックヨークBYSD2との間へステータ磁極の磁性に合わせて配置した永久磁石PMD1とを備えることを特徴とするモータその制御装置。

請求項14

請求項1、2、3、4、5、6、7、8において、ステータ磁極の円周方向幅をθstEとし、ロータ磁極の円周方向周期をRHBEとし、ロータ磁極の一つの構成要素であって、ロータの円周方向の単位角度幅のロータ軸方向全長に渡る単位面積についてそのラジアル方向のパーミアンスPMAE1(1/磁気抵抗平均値MRE1)が最も大きい第1の回転部と、ロータ磁極の一つの構成要素であって、前記第1の回転部の円周方向に配置し、円周方向幅がθrtE2の第2の回転部と、ロータ磁極の一つの構成要素であって、前記第2の回転部の円周方向に隣接して配置し、円周方向幅がθrtE3の第3の回転部とを備え、前記第2の回転部の円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてのラジアル方向のパーミアンスPMAE2(1/磁気抵抗平均値MRE2)が前記第3の回転部の円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてのラジアル方向のパーミアンスPMAE3(1/磁気抵抗平均値MRE3)の15%から85%の値であり、前記ステータ磁極の円周方向幅θstEは前記第2の回転部の円周方向幅θrtE2より大きく、前記第2の回転部の円周方向幅θrtE2と前記第3の回転部の円周方向幅θrtE3との和(θrtE2+θrtE3)は前記ロータ磁極の円周方向周期の1/2である(RHBE/2)より大きいことを特徴とするモータとその制御装置。

請求項15

請求項1、2、3、4、5、6、7、8において、各相の電流として、連続的に通電する直流電流成分Ijと、ロータ回転角位置θrに応じて変動する変動電流成分Ikとを通電することを特徴とするモータとその制御装置。

請求項16

請求項1、2、3、4、5、6、7、8において、各相のステータ磁極を励磁する直流励磁巻線SWMEと、前記界磁巻線SWMEへ直流電流成分Ijを通電する電力素子PEG1とを備えることを特徴とするモータとその制御装置。

請求項17

請求項1、2、4、5、7、8において、ステータの円周方向に配置する(SNH×MNH)個のステータ磁極SBPがあり、それらのステータ磁極SBPがロータと対向する面に円周方向に360°/(RNH×MNH)の周期で配置したSKH個の小さな突極PKと、ロータRTRHの円周方向に配置する(RNH×MNH)個のロータ磁極RPKとを備えることを特徴とするモータとその制御装置。ここで、SNHは4以上の整数、SKHは2以上の整数、RNHは(SNH×MNH×SKH)以上の整数、MNHは極対数であり1以上の整数とする。

請求項18

ステータの円周方向に配置する(SNH×MNH)個のステータ磁極SBPと、ステータ磁極SBPがロータと対向する面に円周方向に360°/(RNH×MNH)の周期で配置したSKH個の小さな突極SPKと、ロータRTRHの円周方向に配置する(RNH×MNH)個のロータ磁極RPKと、ロータRTRHのステータ側表面からロータのバックヨーク側に位置する空隙部、あるいは、磁気抵抗の大きい難磁性部により構成した(RBN×MNH)個のロータ磁極RBPを備えることを特徴とするモータとその制御装置。ここで、SNHは4以上の整数、SKHは2以上の整数、RNHは(SNH×MNH×SKH)以上の整数、RBNは2以上の整数、MNHは極対数であり1以上の整数とする。

技術分野

0001

本発明は、交流電流通電する交流モータではなく、直流電流を通電するモータ、即ち、各巻線片方向電流を適宜通電するモータとその駆動回路制御装置に関わる。従って、ステータの各巻線の電流が生成する起磁力は、各ステータ磁極片方向にだけ作用する。
なお、従来のリラクタンスモータとその制御装置に対して、それらを改良し、発展させるものでもあるが、例えば、本発明は永久磁石形ロータを片方向電流で効率良く駆動する技術も含む。
本発明の用途は、電気自動車EV主機用モータ、家電用モータ、産業用モータなど関わる。それらを高性能化、高効率化、小型化、軽量化、低コスト化する技術に関わる。

背景技術

0002

交流モータは現在の主流のモータであり広く使用されているが、視点を変えると不都合な面もある。例えば、一つの交流電流を作り出すために4個のトランジスタが必要となる。直流電流ならば、トランジスタ1個で制御できる。電力的にも、正弦波電流より直流電流の方が優れていることも多い。また。リラクタンスモータには、交流リラクタンスモータと直流電流を制御して駆動する、いわゆる、スイッチトリラクタンスモータなどが知られている。本発明は後者に近いが、問題点もある。

0003

従来のリラクタンスモータの横断面図の例を図83に示す。ステータの磁極が6個でロータの磁極が4個のリラクタンスモータである。スイッチトリラクタンスモータとも言われている。839はステータ、83Bはロータ軸である。83A、83Fなどはロータの突極磁極で、円周方向幅は30°で、全周の4か所に等間隔に配置している。831はA相のステータ磁極で、A相の集中巻巻線837と838を破線で示すように巻回している。このモータの各巻線の電流は片方向電流で、各巻線を電流シンボルで示し、電流の流れる方向を示している。巻線837は紙面の表側から裏側へ流れるA相電流Ia、巻線838は紙面の裏側から表側へ流れるA相電流Iaを通電する。従って、電流を通電する時は、A相のステータ磁極831はS極となる。832はA相とは逆相の関係となるA/相のステータ磁極で、A/相の集中巻巻線83C、83Dを破線で示すように巻回している。A/相の巻線へもA相電流Iaを通電し、A/相のステータ磁極832はN極となる。831と832を同時を励磁してロータに矢印83Eで示す磁束成分φaを、紙面の下側から上側へ、ステータ磁極832、ロータ磁極83F、ロータ磁極83A、ステータ磁極831へ通過させ、φaはステータのバックヨークを通って一巡する。図83の状態では、ロータに反時計回転方向CCWのトルクが発生する。

0004

同様に、833はB相のステータ磁極で、集中巻き巻線83H、83Jを巻回し、B相電流Ibを通電する。834はB/相のステータ磁極で、集中巻き巻線83G、83Kを巻回し、B相電流Ibを通電する。ステータ磁極834から833へ通過する磁束はφbである。835はC相のステータ磁極で、集中巻き巻線83L、83Mを巻回し、C相電流Icを通電する。836はC/相のステータ磁極で、集中巻き巻線83N、83Pを巻回し、C相電流Icを通電する。ステータ磁極836から835へ通過する磁束はφcである。各ステータ磁極の円周方向幅は30°で、全周の6か所に等間隔に配置している。

0005

次に、図83のリラクタンスモータの動作について説明する。ロータの回転位置について、A相のステータ磁極831の時計回転方向端の回転位置をロータの始点と定義する。ロータ回転角位置θrは、図示するように、この始点からロータ磁極83AのCCW方向端部までの回転角とする。A相の巻線837、838とA/相の巻線83C、83Dを直列に接続し、A相電流Iaとして連続定格に近い値の一定電流Ioを通電した状態で、ロータをCCWへ一定速度Vsoで回転する。この時の巻線電圧は、図84電圧Vaとなる。このVaの横軸は時間tであり、図84最下段にはその時のロータ回転角位置θrの値を示している。図83のCCW方向は、図84の紙面の右方向である。なお、本発明では、図83のようなリラクタンスモータの基本構成のロータが1回転する角度を電気角360°と定義する。例えば、図832極対に多極化して変形した時、ロータの1回転は機械角360°、電気角720°となる。なお、他の特許、文献などではロータ磁極ピッチを基準とすることもあり、混乱しないように確認する。ここで、Vsoの単位は[ラジアン/sec]とする。また、ステータ磁極831、832とロータ磁極83A、83Fとが対向した部分に、磁束がエアギャップ部を介して通過すると仮定する単純モデルとしている。即ち、電圧の計算などにおいては、ステータ磁極とロータ磁極の周辺の空間には漏れ磁束が無いものとして単純計算する。

0006

同様に、833、834のB相の巻線とB/相の巻線を直列に接続し、B相電流Ibとして一定電流Ioを通電した状態で、ロータをCCWへ一定速度Vsoで回転する。この時の巻線電圧は、図84の電圧Vbとなる。同様に、835、836のC相の巻線とC/相の巻線を直列に接続し、C相電流Icとして一定電流Ioを通電した状態で、ロータをCCWへ一定速度Vsoで回転する。この時の巻線電圧は、図84の電圧Vcとなる。各相がトルクを発生できるロータ回転角位置θrの関係を確認したことになる。

0007

次に、図83のリラクタンスモータをCCWへ一定トルクを生成して回転する動作について説明する。図84の電圧Vaの特性から、A相は0°から30°の間と90°から120°の間でCCWのトルクを生成可能であり、A相電流は図84のIaに示すA相電流を通電する。同様に、図84の電圧Vbから、B相は30°から60°の間と120°から150°の間でCCWのトルクを生成可能であり、この間で、図84のIaより30°位相遅れたB相電流Ibを通電する。図84の電圧Vcから、C相は60°から90°の間と150°から180°の間でCCWのトルクを生成可能であり、この間で、図84のIaより60°位相の遅れたC相電流を通電する。リラクタンスモータのトルク周期は180°であり、ロータ回転位置θrに応じて前記電流Ia、Ib、Icを通電することにより、CCWの一定トルクを得ることができる。

0008

また、図83のリラクタンスモータをCWへ一定トルクを生成して回転する動作について説明する。前記のCCWトルクの生成と同様である。A相の電流Iaは、図84のIaより30°位相の遅れた電流を通電することにより負のトルクが得られる。B相の電流Ibは、図84のIaより60°位相の遅れた電流を通電することにより負のトルクが得られる。C相の電流Icは、図84のIaより90°位相の遅れた電流、すなわち、図84のIaと同じ電流を通電することにより負のトルクが得られる。そして、ロータ回転位置θrに応じて前記電流Ia、Ib、Icを通電することにより、CWの一定トルクを得ることができる。

0009

図83の従来リラクタンスモータの優れている点として、ロータが単純構造堅牢であるため、高速回転が容易であることが挙げられる。また、永久磁石を使用せずに駆動することができる。リラクタンス力である吸引力によりトルクを発生し、駆動アルゴリズムが比較的単純である。ステータ巻線も突極への集中巻き構成で、簡素であり製作が容易である。そして何より、低コストモータシステム実現の可能性がある。

0010

次に、図83の従来リラクタンスモータの問題点について説明する。前記のモータ構成、前記の動作説明に関連する問題点である。従来リラクタンスモータの第1の問題点は、連続定格トルクが同一モータサイズの永久磁石型同期電動機に比較して劣ることである。また、用途によっては、低速回転で連続定格トルクの3倍以上の大きなトルクも望まれる。一般的に、大きなトルク領域では力率の低下などによりトルク定数が低下する傾向があり、大型化し、重量の問題もある。低速回転でのモータ損失は、銅損が支配的である。第2の問題点は、モータの最大トルクの近傍において力率が低く、インバータが大型化することである。特に、電気自動車の主機用モータとしては、連続定格トルクの3倍以上の大きなトルクが必要であり、力率の問題、トルクリップルの問題が増大する。

0011

第3の問題点は、リラクタンスモータを構成する各部分がトルクを発生する時間的な比率、空間的な比率が、図83の例で33%(1/3)程度と低いことである。図83の場合、モータの33%の部分がトルク発生に寄与しているが、他の67%(2/3)の部分は動作していない。利用率が33%とも言える。この第3の問題点は他の問題点の原因ともなっている。後に示す図5の駆動回路も同様である。その他に、騒音の問題、トルクリップルの問題などがある。永久磁石ロータを使用するモータとそれらの制御装置に関しては、少し作用が異なるが類似の問題がある。

0012

以上のように、図83などの従来のリラクタンスモータは優れた点もあるが、問題点が多い。これらの問題の大半を解決することにより、リラクタンスモータを電気自動車の主機用モータとして実用化できるようになり、従来の永久磁石型同期モータに対する競争力を持ち、魅力的なモータとすることができると考えている。また、永久磁石ロータについても、本発明のリラクタンスモータとその制御装置と同じ技術を適用して、高性能化を図ることができる。

先行技術

0013

特許第3157162号公報(図2−4)
特許第5333419号公報
特許第5751147号公報

発明が解決しようとする課題

0014

本発明の目的は、交流モータである従来の永久磁石型同期モータとその駆動回路に対し、片方向電流を通電するモータ、即ち、直流モータとも言えるモータとその駆動回路の優れた点を集め、新たな技術を駆使し、モータと駆動装置の高性能化、高効率化、小型化、軽量化、低コスト化を実現することである。

0015

本発明の第1の課題は、前記第1の問題点を解決することであり、連続定格トルクの改善である。また、連続定格トルクの3倍以上の大きなトルクも望まれる。本発明の第2の課題は、前記第2の問題点を解決することであり、大きなトルク出力時の力率の改善、インバータが小型化である。本発明の第3の課題は、前記第3の問題点を解決することであり、モータ及び駆動回路の各部分の利用率の改善であり、他の課題を解決することにも繋がる。

課題を解決するための手段

0016

請求項1に記載の発明は、ステータSTR1の円周方向に配置する(SN1×MN1)個以上のステータ磁極があり、それらの円周方向に並ぶステータ磁極SP11、SP12、SP13、SP14と、前記ステータ磁極SP11とSP12の間に位置するスロットSL11と、前記ステータ磁極SP12とSP13の間に位置するスロットSL12と、前記ステータ磁極SP13とSP14の間に位置するスロットSL13と、電気角位置が180°異なる2つのスロット間巻回する全節巻き巻線SWF、あるいは、スロットからバックヨークの外側を通してトロイダル状に巻回する環状巻線SWRであって、前記スロットSL11に配置する巻線SW11と、同様に、前記スロットSL12に配置する巻線SW12と、同様に、前記スロットSL13に配置する巻線SW13と、ロータの円周方向に配置する(RN1×MN1)個の軟磁性体を使用したロータ磁極RPを備えるロータRTR1と、前記巻線SW11に直列に接続した電力素子PE11と、前記巻線SW11に直列に接続した電力素子PE12と、前記巻線SW12に直列に接続した電力素子PE13とを備え、前記電力素子PE11と前記巻線SW11と前記巻線SW12と前記電力素子PE12とを直列に接続し、前記電力素子PE13と前記巻線SW13と前記巻線SW12と前記電力素子PE12とを直列に接続し、前記の直列に接続した各巻線と各電力素子で励磁電流を通電して各ステータ磁極を励磁することを特徴とするモータとその制御装置である。ここで、前記各巻線は、電磁気的に等価な巻線とその回路上の配置を入れ替えることができる。また、SN1は4以上の整数、RN1は2以上の整数、MN1は極対数であり1以上の整数とする。

0017

この構成によれば、ステータ磁極の両隣の全節巻き巻線を直列に接続してそのステータ磁極の励磁電流成分を通電することにより、そのステータ磁極を選択的に励磁してそのステータ磁極の相の磁束成分を励磁することができ、また、他のステータ磁極へ電磁気的な影響を与えない。それら両巻線は全節巻き巻線なので他の全ての相の磁束成分と鎖交して影響を受けるが、両巻線の両端電圧他相の磁束が相殺するので影響を受けない。その結果、前記励磁電流成分を、他相の過大な電圧、複雑な電圧の影響などを受けずに、容易に正確に通電することができる。

0018

また、全節巻き巻線なので、隣り合うステータ磁極の励磁に巻線を共用でき利用率が向上し、集中巻巻き線に比較して、スロット内銅損を1/2に低減できる。

0019

また、全節巻き巻線の電流は両隣の2つステータ磁極の相電流成分が重畳した加算値であり、独特回路構成巻線配置により、各全節巻き巻線の2つの相の電流成分を相互に、自在に分離して通電することができる。そして、各トランジスタは2つの相の電流成分を重畳して通電することになり、同時に、通電経路を2倍にでき、各トランジスタの利用率を2倍にできる。その結果、駆動回路の出力を従来比で2倍に増加することができる。なお、片方向電流制御なので、比較的容易に、2つの相電流成分を重畳し、また、相互に分離できる。

0020

請求項2に記載の発明は、ステータSTR2の円周方向に配置する(SN2×MN2)個以上のステータ磁極があり、それらの円周方向に配置するステータ磁極SP21、SP22と、前記ステータ磁極SP21に巻回する集中巻き巻線SWS21と、前記ステータ磁極SP22に巻回する集中巻き巻線SWS22と、ロータの円周方向に配置する(RN2×MN2)個の軟磁性体を使用したロータ磁極RPを備えるロータRTR2と、前記巻線SW21に直列に接続した電力素子PE21と、前記巻線SW22に直列に接続した電力素子PE22と、前記巻線SW22に直列に接続した電力素子PE23とを備え、前記電力素子PE21と前記巻線SW21と前記電力素子PE22とを直列に接続し、前記電力素子PE23と前記巻線SW22と前記電力素子PE22とを直列に接続し、前記の各巻線と各電力素子で励磁電流を通電して各ステータ磁極を励磁することを特徴とするモータとその制御装置である。ここで、前記各巻線は、電磁気的に等価な巻線とその回路上の配置を入れ替えることができる。また、SN2は4以上の整数、RN2は2以上の整数、MN2は極対数であり1以上の整数とする。
この構成によれば、片方向電流制御なので、各トランジスタを共用することができ、駆動回路を小型化、低コスト化できる。

0021

請求項3に記載の発明は、請求項1、2において、ステータ磁極SPの数SN3は((2×KN31)×MN3)個であって、ロータRTRは永久磁石を使用したロータ磁極を備えるロータRTR3であって、ロータRTR3のロータ磁極RPの数RN3は((2+4×KN32)×MN3)個であることを特徴とするモータとその制御装置である。ここで、KN31は3以上の整数、KN32は2以上の整数、MN3は極対数であり1以上の整数とする。
この構成によれば、片方向電流制御であるが、特定の永久磁石型ロータを効率良く駆動することができ、各トランジスタの利用率を2倍とし、モータとその制御装置を高効率化、小型化、低コスト化できる。

0022

請求項4に記載の発明は、ステータSTR4の円周方向に配置する4個のステータ磁極SPがあり、それらの一つであるA相のステータ磁極SP41と、前記A相のSP41の円周方向の隣に位置するB相ステータ磁極SP42と、前記B相のSP42の円周方向の隣に位置するA/相ステータ磁極SP43と、前記A/相のSP43の円周方向の隣に位置するB/相ステータ磁極SP44と、前記ステータ磁極SP44とSP41の間に位置するスロットSL41と、前記ステータ磁極SP41とSP42の間に位置するスロットSL42と、前記ステータ磁極SP42とSP43の間に位置するスロットSL43と、前記ステータ磁極SP43とSP44の間に位置するスロットSL44と、前記スロットSL41とSL43に配置するAB相全節巻き巻線SWAB、あるいは、環状巻き線と、前記スロットSL44とSL42に配置するBA相全節巻き巻線SWBA、あるいは、環状巻き線と、ロータの円周方向に配置し、軟磁性体、あるいは、永久磁石を使用したRN4個のロータ磁極RPを備えるロータRTR4と、前記AB相全節巻き巻線SWAB、あるいは、環状巻き線に直列に接続した電力素子PE41と、前記BA相全節巻き巻線SWBA、あるいは、環状巻き線に直列に接続した電力素子PE42と、前記電力素子PE41が前記AB相全節巻き巻線SWABへ通電する電流の向きとは逆方向の電流を与える電力素子PE43とを備え、ロータ磁極の円周方向周期をRHB4として、前記A相のSP41から見た前記B相ステータ磁極SP42の円周方向位置は(RHB4/2)の奇数倍の位置であり、前記A相のSP41と前記A/相ステータ磁極SP43とは相対的に電磁気的な逆相の関係であってそれらの相の磁束成分φaが両ステータ磁極を通過し、前記A相のSP41と前記A/相ステータ磁極SP43とは相対的に電磁気的な逆相の関係であってそれらの相の磁束成分φbが両ステータ磁極を通過し、前記電力素子PE41と前記巻線SW41と前記巻線SW42と前記電力素子PE42とを直列に接続し、前記の直列に接続した各巻線と各電力素子で励磁電流を通電して各ステータ磁極を励磁することを特徴とするモータとその制御装置である。ここで、RN4は2以上の整数である。また、前記モータ構成の極対数は1であり、極対数を2以上とすることもできる。
この構成によれば、2つステータ磁極の両隣の全節巻き巻線を直列に接続して励磁電流成分を通電することにより、該当するステータ磁極を選択的に励磁してそのステータ磁極の相の磁束成分を励磁することができ、また、他のステータ磁極へ電磁気的な影響を与えない。それら両巻線は全節巻き巻線なので、相互に、他の相の磁束成分と鎖交して影響を受けるが、両巻線の両端電圧は他相の磁束が相殺するので影響を受けない。その結果、前記励磁電流成分を、他相の電圧の影響などを受けずに、容易に正確に通電することができる。このモータは、2つの相のステータ磁極と2つの全節巻き巻線で駆動するので、基本的に利用率は高く、前記電圧問題を解決できれば、高速回転においても高トルク、高力率、高出力を実現できる。

0023

請求項5に記載の発明は、ステータSTR5の円周方向に配置する4個のステータ磁極SPがあり、それらの一つであるA相のステータ磁極SP51と、B相のステータ磁極SP52と、前記A相のSP51とは電磁気的に逆の位相となるA/相ステータ磁極SP53と、前記B相のSP52とは電磁気的に逆の位相となるB/相ステータ磁極SP54と、前記A相のステータ磁極SP51へ巻回した集中巻き巻線SW51と、前記B相のステータ磁極SP52へ巻回した集中巻き巻線SW52と、前記A/相のステータ磁極SP53へ巻回した集中巻き巻線SW53と、前記B/相のステータ磁極SP54へ巻回した集中巻き巻線SW54と、ロータの円周方向に配置し、軟磁性体、あるいは、永久磁石を使用したRN5個のロータ磁極RPを備えるロータRTR5と、前記巻線SW51と巻線SW53を直列に接続し、巻線SW51と直列に接続した電力素子PE51と、前記巻線SW53と直列に接続した電力素子PE53と、前記巻線SW52と巻線SW54を直列に接続し、巻線SW52と直列に接続した電力素子PE52と、前記巻線SW54と直列に接続した電力素子PE54とを備え、ロータ磁極の円周方向周期をRHB5として、前記A相のSP51から見た前記B相ステータ磁極SP52の円周方向位置は(RHB5/2)の奇数倍の位置であり、前記A相のSP51と前記A/相ステータ磁極SP53とは相対的に電磁気的な逆相の関係であってそれらの相の磁束成分φaが両ステータ磁極を通過し、前記A相のSP51と前記A/相ステータ磁極SP53とは相対的に電磁気的な逆相の関係であってそれらの相の磁束成分φbが両ステータ磁極を通過し、前記電力素子PE51と前記巻線SW51と前記巻線SW53と前記電力素子PE53とを直列に接続し、励磁電流Ia5を通電して両ステータ磁極を励磁し、前記電力素子PE52と前記巻線SW52と前記巻線SW54と前記電力素子PE54とを直列に接続し、励磁電流Ib5を通電して両ステータ磁極を励磁することを特徴とするモータとその制御装置である。ここで、RN5は3以上の整数である。また、前記モータ構成の極対数は1であり、極対数を2以上とすることもできる。
この構成によれば、簡素なモータ構成で、スロットの断面積を広くできるので銅損の低減により高効率化ができ、駆動回路も簡素な構成とすることができる。また、片方向の連続トルク化、磁石利用による高効率化も可能である。

0024

請求項6に記載の発明は、請求項1、3において、ステータの円周方向に配置する(SN6×MN6)個のステータ磁極SP61、SP62、SP63、SP64と、ロータ磁極の数RN6が(SN6×MN6)個以上で、(3×SN6×MN6)個以下のロータRTR6とを備え、ステータ磁極の円周方向幅θst6は(360°/RN6−720°/(SN6×RN6))より小さく、ロータ磁極の円周方向幅θrt6は(360°/RN6−720°/(SN6×RN6))より小さいことを特徴とするモータとその制御装置である。ここで、SN6は6以上の整数、前記角度は電気角、MN6は極対数であり1以上の整数とする。
この構成によれば、スロットの断面積を広くできるので銅損の低減により高効率化ができる。また、磁石利用による高効率化も可能である。

0025

請求項7に記載の発明は、ステータの円周方向に配置する(SN7×MN7)個のステータ磁極SP71、SP72、SP73と、前記ステータ磁極SP71を励磁する巻線SW71と、前記ステータ磁極SP72を励磁する巻線SW72と、前記ステータ磁極SP73を励磁する巻線SW73と、前記巻線SW71に直列に接続する電力素子PE71と、前記巻線SW72に直列に接続する電力素子PE72と、前記巻線SW73に直列に接続する電力素子PE73と、ロータ磁極の数RN7が(SN7×MN7)個以上で、(3×SN7×MN7)個以下のロータRTR7とを備え、ステータ磁極の円周方向幅θst7は(360°/RN7−720°/(SN7×RN7))より小さく、ロータ磁極の円周方向幅θrt7は(360°/RN7−720°/(SN7×RN7))より小さいことを特徴とするモータとその制御装置である。ここで、SN7は6以上の整数、前記角度は電気角、MN7は極対数であり1以上の整数とする。
この構成によれば、スロットの断面積を広くできるので銅損を低減し、モータを高効率化できる。また、磁石利用による高効率化も可能である。

0026

請求項8に記載の発明は、ステータの円周方向に配置する(SN8×MN8)個以上のステータ磁極があり、それらの円周方向に並ぶステータ磁極SP81、SP82、SP83、SP84と、前記ステータ磁極SP81とSP82の間に位置するスロットSL81と、前記ステータ磁極SP82とSP83の間に位置するスロットSL82と、前記ステータ磁極SP83とSP84の間に位置するスロットSL83と、電気角位置が180°異なる2つのスロット間に巻回する全節巻き巻線SWF、あるいは、スロットからバックヨークの外側を通してトロイダル状に巻回する環状巻線SWRであって、前記スロットSL81に配置する巻線SW81と、同様に、前記スロットSL82に配置する巻線SW82と、同様に、前記スロットSL83に配置する巻線SW83と、ロータの円周方向に配置する(RN8×MN8)個のロータ磁極RPを備えるロータRTR8と、正側端子VsP8と負側端子VsN8を持つ直流電圧源Vs8と、前記正側端子VsP8と前記巻線SW81の間に直列に接続した電力素子PE81と、前記巻線SW81と前記負側端子VsN8の間に直列に接続した電力素子PE82と、前記正側端子VsP8と前記巻線SW82の間に直列に接続した電力素子PE83と、前記巻線SW82と前記負側端子VsN8の間に直列に接続した電力素子PE84と、前記正側端子VsP8と前記巻線SW83の間に直列に接続した電力素子PE85と、前記巻線SW83と前記負側端子VsN8の間に直列に接続した電力素子PE86と、前記巻線SW81と直列に接続したダイオードDD81と、前記巻線SW82と直列に接続したダイオードDD82と、前記巻線SW83と直列に接続したダイオードDD83とを備え、前記巻線SW81とダイオードDD81と前記巻線SW82とダイオードDD82と 前記巻線SW83とダイオードDD83とを直列に接続し、前記巻線SW81、前記巻線SW82、前記巻線SW83へは片方向電流を通電し、前記スロットSL81に通電する電流の方向を正方向とすると、前記スロットSL82には逆の負方向に通電し、前記スロットSL83には正方向に通電し、前記の各巻線へ各電力素子で励磁電流を通電して各ステータ磁極を励磁することを特徴とするモータとその制御装置である。ここで、前記各巻線は、電磁気的に等価な巻線とその回路上の配置を入れ替えることができる。また、SN8は6以上の整数、RN8は2以上の整数、MN8は極対数であり1以上の整数とする。
この構成によれば、各全節巻き巻線を環状結線とし、他相の過大な電圧、複雑な電圧の影響などを受けずに、容易に正確に通電することができる。

0027

請求項9に記載の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7において、モータの力行電力を供給する直流電圧源Vs91と、磁気エネルギーおよび動力電源回生を行う直流電圧源Vs92、あるいは、等価的に電源回生の電圧を増大する磁気回生電圧大手MRGMとを備えることを特徴とするモータとその制御装置である。
この構成によれば、各巻線の磁気エネルギーをより短時間で直流電圧源に回生することにより、各相の電流の制御性を改善し、トルクを増大することができる。

0028

請求項10に記載の発明は、請求項1、2、4、5、6、7、8において、円周方向に並んで配置するN極のステータ磁極SPA1とS極のステータ磁極SPA2と、前記N極のステータ磁極SPA1の歯の先端部近傍と前記S極のステータ磁極SPA2の歯の先端部近傍の間に配置する永久磁石PMA1とを備えることを特徴とするモータとその制御装置である。
この構成によれば、ステータ磁極である歯へ永久磁石の磁束を逆方向に通過させ、磁束の逆バイアスを行うことにより、歯の磁束密度を低減する、歯の通過可能な磁束量を増加する、歯幅を小さくしてスロット断面積を拡大する、歯の鉄損を減少するなどの効果を得る。

0029

請求項11に記載の発明は、請求項1、2、4、5、6、7、8において、モータ内の磁束を通過する主な軟磁性体MMB1と、飽和磁束密度が前記軟磁性体MMB1より大きい特性を示す軟磁性体MMB2とを使用し、前記軟磁性体MMB2をステータ磁極SPでもあるステータの歯の1/2以下の部分に使用し、前記軟磁性体MMB2をロータ磁極RPでもあるロータの歯の1/2以下の部分に使用することを特徴とするモータとその制御装置である。
この構成によれば、ステータ磁極が磁気飽和し易い部分に、部分的に高い磁束密度の部材を使用し、平均トルクを増加する、トルクリップルを低減する。また、部分的な活用により、その弊害を許容範囲にとどめる。

0030

請求項12に記載の発明は、請求項2、4,5、7、8において、ステータの円周方向に隣り合わせに配置した2個以上のN極のステータ磁極SPC1と、ステータの円周方向に隣り合わせに配置した2個以上のS極のステータ磁極SPC2と、前記N極のステータ磁極SPC1と前記S極のステータ磁極SPC2との間のバックヨークへステータ磁極の磁性に合わせて配置する永久磁石PMC1とを備えることを特徴とするモータとその制御装置である。
この構成によれば、モータの励磁負担を軽減できるので、特に軽負荷領域でのモータ効率向上が大きい。軽負荷領域を高頻度で使用する用途は多く、省エネ効果が大きい。

0031

請求項13に記載の発明は、請求項1、2、4、5、6、7、8において、円周上に配置したN極のステータ磁極SPD1と、円周上に配置したS極のステータ磁極SPD2と、前記N極のステータ磁極SPD1と磁気的に接続するバックヨークBYSD1と、前記S極のステータ磁極SPD2と磁気的に接続するバックヨークBYSD2と、前記バックヨークBYSD1と前記バックヨークBYSD2との間へステータ磁極の磁性に合わせて配置した永久磁石PMD1とを備えることを特徴とするモータその制御装置である。
この構成によれば、モータの励磁負担を軽減できるので、特に軽負荷領域でのモータ効率向上が大きい。軽負荷領域を高頻度で使用する用途は多く、省エネ効果が大きい。また、ステータ磁極の円周方向配置に関する制約が少ないので、他の請求項技術と併用できる。

0032

請求項14に記載の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8において、ステータ磁極の円周方向幅をθstEとし、ロータ磁極の円周方向周期をRHBEとし、ロータ磁極の一つの構成要素であって、ロータの円周方向の単位角度幅のロータ軸方向全長に渡る単位面積についてそのラジアル方向のパーミアンスPMAE1(1/磁気抵抗平均値MRE1)が最も大きい第1の回転部と、ロータ磁極の一つの構成要素であって、前記第1の回転部の円周方向に配置し、円周方向幅がθrtE2の第2の回転部と、ロータ磁極の一つの構成要素であって、前記第2の回転部の円周方向に隣接して配置し、円周方向幅がθrtE3の第3の回転部とを備え、前記第2の回転部の円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてのラジアル方向のパーミアンスPMAE2(1/磁気抵抗平均値MRE2)が前記第3の回転部の円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてのラジアル方向のパーミアンスPMAE3(1/磁気抵抗平均値MRE3)の15%から85%の値であり、前記ステータ磁極の円周方向幅θstEは前記第2の回転部の円周方向幅θrtE2より大きく、前記第2の回転部の円周方向幅θrtE2と前記第3の回転部の円周方向幅θrtE3との和(θrtE2+θrtE3)は前記ロータ磁極の円周方向周期の1/2である(RHBE/2)より大きいことを特徴とするモータとその制御装置である。
この構成によれば、各ステータ磁極がトルクを発生する回転角幅を拡大することができる。また、各相のトルク波形形状を矩形波形から2段形状とするなど、より滑らかなトルク変化としてトルクリップル、振動、騒音を低減できる。

0033

請求項15に記載の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8において、各相の電流として、連続的に通電する直流電流成分Ijと、ロータ回転角位置θrに応じて変動する変動電流成分Ikとを通電することを特徴とするモータとその制御装置である。
この構成によれば、各巻線に生成する磁気エネルギーを直流電圧源との間で授受する時間の無駄が少なくし、電流の増加を早めることができるので、高速回転領域のおけるトルクを増大でき、また、高速回転数限界を上げることができる。

0034

請求項16に記載の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8において、各相のステータ磁極を励磁する直流励磁巻線SWMEと、前記界磁巻線SWMEへ直流電流成分Ijを通電する電力素子PEG1とを備えることを特徴とするモータとその制御装置である。
この構成によれば、請求項16と類似した作用、効果が得られ、各ステータ磁極の励磁電流成分を電力素子PEG1で一括して通電するので、駆動回路の電流負担を軽減でき、無効電流が減少し、力率が改善する。なお、直流電流成分Ijは無効電流成分であり、各ステータ磁極の磁気エネルギーが直流励磁巻線SWME内で循環する。

0035

請求項17に記載の発明は、請求項1、2、4、5、7、8において、ステータの円周方向に配置する(SNH×MNH)個のステータ磁極SBPがあり、それらのステータ磁極SBPがロータと対向する面に円周方向に360°/(RNH×MNH)の周期で配置したSKH個の小さな突極SPKと、ロータRTRHの円周方向に配置する(RNH×MNH)個のロータ磁極RPKとを備えることを特徴とするモータとその制御装置である。
ここで、SNHは4以上の整数、SKHは2以上の整数、RNHは(SNH×MNH×SKH)以上の整数、MNHは極対数であり1以上の整数とする。
この構成によれば、ステータ磁極とロータ磁極を多極化するので、相対的に低い回転数領域において、トルク出力をより大きくできる。

0036

請求項18に記載の発明は、ステータの円周方向に配置する(SNH×MNH)個のステータ磁極SBPと、ステータ磁極SBPがロータと対向する面に円周方向に360°/(RNH×MNH)の周期で配置したSKH個の小さな突極SPKと、ロータRTRHの円周方向に配置する(RNH×MNH)個のロータ磁極RPKと、ロータRTRHのステータ側表面からロータのバックヨーク側に位置する空隙部、あるいは、磁気抵抗の大きい難磁性部により構成した(RBN×MNH)個のロータ磁極RBPを備えることを特徴とするモータとその制御装置である。ここで、SNHは4以上の整数、SKHは2以上の整数、RNHは(SNH×MNH×SKH)以上の整数、RBNは2以上の整数、MNHは極対数であり1以上の整数とする。
この構成によれば、低い回転数領域において大きなトルクを出力し、一方で、高速回転も駆動できるので、基底回転数最高回転数の比大きくとることができる。

発明の効果

0037

本発明の新規な技術により、片方向電流を通電する全節巻き巻線を備えるモータにおいて、過大で複雑な電圧特性単純化し、電流の通電を容易にし、高トルク化、高力率化を実現できる。また、全節巻き巻線により巻線を共用し、モータ損失を低減できることから、連続定格トルク及び最大トルクの増加することができる。また、駆動回路の電力供給経路を増加することにより、インバータ出力を増加することができる。また、モータ各部の磁気飽和を低減することにより、最大トルクの増加が可能である。また、永久磁石を付加する技術により、一層の高効率化を実現できる。また、トルクリップルの低減、低騒音化の効果も得られる。
以上のように、モータと制御装置の高性能化、小型化、軽量化、低コスト化を実現できる。そして、従来のリラクタンスモータ、従来の永久磁石型同期モータを使用した駆動システムに対して、競争力のあるモータとその制御装置を実現できる。

図面の簡単な説明

0038

全節巻き巻線を備えるモータの横断面図の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明モータのステータ磁極とロータ磁極の水平展開図である。
全節巻き巻線と磁束との鎖交関係を示す図である。
リラクタンスモータの駆動回路の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
モータの速度−トルク特性の例である。
励磁電流と磁束鎖交数の関係の例である。
励磁電流とトルクの関係の例である。
ロータ回転角θrと歯の磁束の例である。
本発明モータの各相電流各相電圧の例である。
2極対化した本発明モータの横断面図の例である。
環状巻き巻線の本発明モータの横断面図の例である。
巻線長とコイルエンド長を短縮した環状巻き巻線の例である。
本発明モータをデュアルモータとした横断面図の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明モータの各相電圧、各相電流の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明モータの各相電圧、各相電流の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明モータの各相電流、各相電圧の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明モータの各相電圧、各相電流の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明モータの各相電圧、各相電流の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明モータの各相電圧、各相電流の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明モータの各相電圧、各相電流の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明モータの各相電流、各相磁束、各相電圧の例である。
本発明モータの各相電流、各相磁束、各相電圧の例である。
励磁電流と磁束鎖交数の関係の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明モータの各相電流、各相磁束、各相電圧の例である。
本発明モータの各相電流、各相磁束、各相電圧の例である。
本発明モータの各相電流、各相磁束、各相電圧の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明モータの各相電流、各相電圧の例である。
本発明モータの横断面図の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
本発明の駆動回路と巻線の例である。
ステータ磁極の歯間に永久磁石を配置したモータの横断面図の例である。
モータの主とする軟磁性材料の構成に、部分的に異種材料を配置した構成の例である。
同上の水平展開図である。
バックヨークに永久磁石を配置した本発明モータの横断面図の例である。
バックヨーク部をN極用とS極用にラジアル方向へ分離した本発明モータの横断面図の例である。
バックヨーク部をN極用とS極用にロータ軸方向へ分離した本発明モータの横断面図の例である。
本発明モータのステータ磁極とロータ磁極の水平展開図である。
ロータ磁極形状の例である。
電磁鋼板穴加工などをしたロータ横断面図の例である。
本発明モータのステータ磁極とロータ磁極の水平展開図である。
本発明モータのステータ磁極とロータ磁極の水平展開図である。
本発明モータのステータ磁極とロータ磁極の水平展開図である。
本発明モータの各相電圧、各相電流の例である。
本発明モータの各相電流、各相電圧の例である。
本発明の界磁巻線とその駆動回路である。
各ステータ磁極に3個の突極を設け、ロータに粗密の磁極を設けた本発明モータの横断面図の例である。
従来のリラクタンスモータの横断面図である。
従来のリラクタンスモータの電圧、電流、トルクの例である。
従来のリラクタンスモータのトルク特性の例である。

0039

図1に本発明のリラクタンスモータの横断面図の例を示す。図1のステータ磁極11、12、13、14、15、16の円周方向幅は30°で、全周の6か所に等間隔に配置している。ロータ磁極1K、1L、1M、1Nの円周方向幅は30°で、全周の4か所に等間隔に配置している。図1のステータ磁極とロータ磁極の形状は、前記図83磁極形状と同じである。図1の構成では、スロット内の各巻線の断面積を2倍に増加し、スロット内の銅損を低減することを目的としている。

0040

図1の各巻線は、図83に示した各ステータ磁極の集中巻き巻線を全節巻き巻線へ変換し、かつ、各スロット内の2個の集中巻き巻線を1個の巻線に統合した構成を示している。図1の巻線17とそのコイルエンド部1Dと巻線18で示す、巻線ピッチが電気角で180°の巻線はAB相の全節巻き巻線で、AB相電流Iabを通電する。巻線19とそのコイルエンド部1Eと巻線1Aで示す、巻線ピッチが電気角で180°の巻線はBC相全節巻き巻線で、BC相電流Ibcを通電する。巻線1Bとそのコイルエンド部1Fと巻線1Cで示す、巻線ピッチが電気角で180°の巻線はCA相全節巻き巻線で、CA相電流Icaとを通電する。

0041

ここで、図1各相巻線が、図83の各相巻線の様に集中巻き巻線である場合について考えて、各ステータ磁極の各集中巻き巻線に通電する各相の電流と生成する各相の磁束を定義する。A相ステータ磁極11とA/相ステータ磁極12へ巻回するA相の集中巻き巻線へA相電流Iaを通電し、1Gに示すA相の磁束φaを生成する。B相ステータ磁極13とB/相ステータ磁極14へ巻回するB相の集中巻き巻線へB相電流Ibを通電し、1Hに示すB相の磁束φbを生成する。C相ステータ磁極15とC/相ステータ磁極16へ巻回するC相の集中巻き巻線へC相電流Icを通電し、1Jに示すC相の磁束φcを生成する。

0042

なお、本発明ではA相の逆の相であるA/相等のように、/の文字を逆相の意味で使用する。そして、A/相ステータ磁極などのように固有名詞名称に使用する。但し、電流、電圧、磁束などの変数名には/の文字を使用しないことにする。変数名は算術式で使用するので、除算式と混乱する恐れがある。

0043

図1の各相の全節巻き線巻線の電流Iab、Ibc、Icaと、集中巻き巻線の構成を想定した各相電流Ia、Ib、Icは次式の関係となる。但し、図1図83の各巻線の巻き回数は同じとしている。
Iab=Ia+Ib (1)
Ibc=Ib+Ic (2)
Ica=Ic+Ia (3)

0044

(1)式は、図1のAB相巻線17に流れるAB相電流Iabが、図83のA相巻線837に流れるA相電流IaとB/相巻線83Aに流れるB相電流Ibの和であることを示している。(2)式は、図1のBC相巻線19に流れるBC相電流Ibcが、図83のB相巻線83Hに流れるB相電流IbとC/相巻線83Nに流れるC相電流Icの和であることを示している。(3)式は、図1のCA相巻線1Bに流れるCA相電流Icaが、図83のC相巻線83Lに流れるC相電流IcとA/相巻線83Cに流れるA相電流Iaの和であることを示している。

0045

従って、図1における各巻線の電流の計算方法は、集中巻き巻線における各相の電流値Ia、Ib、Icを求め、次に、(1)、(2)、(3)式に従ってIab、Ibc、Icaを求めて通電すれば、図83の場合と同じ磁束が励磁され、トルクを生成することができる。簡単な式だが、左辺の値を直接に得ることは容易ではない。

0046

各相電流Ia、Ib、Icは、(1)、(2)、(3)式を変形して、各相の全節巻き線巻線の電流Iab、Ibc、Icaで表し、次式となる。
Ia=(Iab−Ibc+Ica)/2 (4)
Ib=(Iab+Ibc−Ica)/2 (5)
Ic=(−Iab+Ibc+Ica)/2 (6)

0047

ここで、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)式で使用した6個の変数である各電流値は、正の値と負の値との両方の値をとることのできる式である。しかし、本発明では、各電流値を正の値を基本としたモータと駆動回路である。一つの側面は、直流のモータと直流の駆動回路である。

0048

従って、これらの各式には他の条件が加わる。
図1の全節巻き線巻線の場合には、実際に回路的に通電する全節巻き線巻線の電流Iab、Ibc、Icaは、全て0以上の値であって、負の値ではない。他方、図83の集中巻き巻き線の場合には、実際に回路的に通電する各相電流Ia、Ib、Icは、全て0以上の値であって、負の値ではない。なお、各相の電流を負の値にすることは、勿論技術的には駆動回路の追加により可能であるが、本発明では基本的に片方向電流を通電する技術について記述する。但し、本発明技術に付加して両方向電流を通電する技術は、本発明に含むものである。

0049

ここで、図1の全節巻き巻線の場合には、新たな可能性が発生する。それは、Iab、Ibc、Icaが0以上の値であっても、負の相電流成分Ia、Ib、Icを作り出せることである。但し、制約条件として、(1)、(2)、(3)式の左辺であるIab、Ibc、Icaが0以上の値であることが、当然、必要である。例えば、Ia=10、Ib=6、Ic=−5の時、Iab=16、Ibc=1、Ica=5となる。このように、全節巻き巻線の電流Iab、Ibc、Icaに正の電流を通電して、負の相電流成分Ic=−5を作り出すことができる。なお、この駆動制御技術は、請求項3の永久磁石ロータを使用する場合に活用することができる。例えば、トルク目標値がCCWトルクである場合を想定する。各相電流が0の時にはいずれかのステータ磁極が永久磁石によりCCWトルクTccwを発生し、他のいずれかのステータ磁極が永久磁石によりCWトルクTcwを発生して両トルクTccwとTcwとが相殺する状態が発生する。この時、Tcwを発生するステータ磁極の相電流を負の値とすることによりTcwを減少し、結果的にCCWトルクを生成することができる。また、請求項12、13にはステータに永久磁石を配置する構成を示していて、その場合にも同様に、相電流成分を負の値として、活用することができる。

0050

次に、図1の全節巻き巻線の特性、特徴について説明する。例えば、AB相巻線17、1D、18へは(1)式に示すAB相電流Iabを通電するので、A相ステータ磁極11とA/相ステータ磁極12を励磁する時と、B相ステータ磁極13とB/相ステータ磁極14を励磁する時に使用する構成であり、2つの用途に共用している。図83の各集中巻線がそれぞれ該当するステータ磁極を励磁する専用の巻線であることに対し、この点が異なる。

0051

そして、図1のAB相巻線17を配置するスロットに、図83のA相巻線837とB/相巻線83Gとを配置しており、それぞれの巻き回数が同じであれば、AB相巻線17の巻線断面積を2倍にできることになり、スロット内の巻線抵抗は1/2となる。従って、(1)式のIaとIbが同時に通電されない場合は、図1のAB相巻線17の方が銅損を1/2へ低減できることになる。これは大きな魅力である。但し、IaとIbが同時に通電される時間が増加すると、相対的な銅損低減の比率は低下する。

0052

図1の全節巻き巻線の一つの問題点は、各全節巻き巻線のコイルエンド部1D、1E、1Fが長くなり、巻線抵抗が増加する問題、各コイルエンド部を配置するスペースの問題、巻線製作が集中巻き巻線に対して複雑化する問題、巻線占積率が低下しがちである問題がある。しかし、これらの問題点は、モータ極数を4極対等へ多極化して使用することが多く、モータ全体としてのコイルエンド部の負担を軽減することができる。また、モータ形状として、偏平形状ではなく細長いモータ形状とすることも、コイルエンド部の負担の割合を軽減する方法の一つである。

0053

なお、本発明における極対数の定義は、基本的なステータ磁極とロータ磁極等を含む構成を極対数が1であると定義する。従って本発明では、図1の構成の場合6個のステータ磁極と4個のロータ磁極を含む構成を1極対とする。1極対の円周方向角度幅が、電気角で360°である。本発明で示す他の形態のモータも同様である。後に説明する永久磁石を利用した図37のロータの場合においても、磁極数が14個のロータで1極対とし、図37の全周で電気角360°と、本発明では定義する。一般的に、リラクタンスモータ、バーニアモータ等の他のモータの定義方法として、電磁気的な動作周期から規定するなど、前記とは異なった極対数、電気角が定義されることもあるので、混乱しないように確認しておく。

0054

図1の全節巻き巻線の大きな問題点は、各相の巻線へ他の相の磁束も鎖交するため、各相の巻線電圧が複雑になる問題、各相の巻線に過大な電圧が発生する問題がある。
例えば、図83のA相巻線にはA相磁束φaしか鎖交しないのに対し、図1のAB相巻線17と18には(φa+φb−φc)の磁束が鎖交する。その結果、後に(20)、(21)式に示し説明するように、AB相電流Iabの制御が複雑になる問題、AB相巻線の電圧が過大になる問題、そして、例えば主にA相で駆動する時にAB相電圧VabとCA相電圧Vcaとの電圧が偏る問題がある。これらの結果、電流制御が複雑になるだけでなく、駆動回路の電圧負担が増加しインバータが大型化する問題が発生する。

0055

次に、図1のリラクタンスモータの各全節巻き巻線に鎖交する磁束の問題点、そして、その他の問題点を明らかにするため、各相の電流、磁束、電圧、トルク、出力パワーについて数式で示し、説明する。但し、定性的な相関関係を明らかにすることを目的としており、種々の簡素化した条件の元で成立する数式である。具体的には、軟磁性体は2.0テスラで磁気飽和し、2.0テスラ以下の領域では線形比透磁率は2000以上などと十分に大きい。電流により励磁された磁束は、ステータ磁極とロータ磁極との間の狭いエアギャップ部のみを通って生成され、周辺の空間部への漏れ磁束は十分に小さい。このエアギャップ部の磁気抵抗は十分に小さい。各巻線抵抗は無視し、電流を通電した時の電圧降下を無視する。

0056

図1のリラクタンスモータが一定回転の状態について検討する。即ち、連続定格に近い値の一定電流Io[A]を通電した状態で、ロータをCCWへ一定速度Vso[ラジアン/sec]で回転する状態における、A相、B相、C相の磁束φa、φb、φc[Wb]と電圧Va、Vb、Vc[V]とリラクタンスモータの出力パワーPa、Pb、Pc[W]とトルクTa、Tb、Tc[Nm]の関係を検討する。

0057

図3の(a)は、図1のリラクタンスモータの各ステータ磁極の内周面形状をエアギャップ面からみて、円周方向を直線展開した図である。横軸はロータ回転角位置θrで、図1の反時計回転方向CCWは図3の紙面で右方向であり、−30°から360°までを示している。図3縦軸はロータ軸方向である。図1の各ステータ磁極11、16、13、12、15、14は、図3で同一の符号で示している。図3の各ステータ磁極の形状は、円周方向幅が30°で、ロータ軸方向長さがLsである。

0058

図3の(b)は、図1の各ロータ磁極の外周面形状をエアギャップ面からみて、円周方向に直線展開した図である。図1の各ロータ磁極1K、1L、1M、1Nは、図3で同一の符号で示している。図3の各ロータ磁極1K、1L、1M、1Nは、図1のロータがCCWへ回転するとき、図3の紙面で右側へ移動する。図3の各ロータ磁極の形状は、円周方向幅が30°で、ロータ軸方向長さがLsである。

0059

図1のロータの回転位置について、A相のステータ磁極11の時計回転方向端の回転位置をロータの始点と定義する。ロータ回転角位置θrは、図示するように、この始点からロータ磁極1KのCCW方向端部までの回転角とする。図3の(a)の各ステータ磁極と図3の(b)各ロータ磁極が、図3の紙面上で上下に位置する部分がお互いに対向する部分であり、ステータ磁極とロータ磁極の間で磁束が通過する部分である。

0060

図1図3のA相ステータ磁極とロータ磁極が対向する面積が増加する部分、区間において、通過する磁束φaの微少変化率Δφa、ロータの微少回転角Δθrは次式となる。ロータ半径をRrとする。
Δφa=Ls×Bo×Δθr×Rr (7)
dφa/dθr=Ls×Bo×Rr (8)
Boはステータ磁極の巻線へ一定電流Ioを通電した状態で、ステータ磁極とロータ磁極が対向する部分へ生成される磁束の磁束密度Boである。

0061

前記のように、図1のAB相全節巻き巻線17、18の電圧Vab、BC相全節巻き巻線19、1Aの電圧Vbc、CA相全節巻き巻線1B、1Cの電圧Vcaは複雑な電圧になる。それで、最初に、各相のステータ磁極に集中巻き巻線を施したと想定してその相電圧について考えることにする。即ち、図1のステータ磁極へ、図83に示す各集中巻き巻線を施した状態を想定した仮想の相電圧である。具体的には、図1のA相ステータ磁極11へ巻回する集中巻き巻線の電圧とA/相ステータ磁極12へ巻回する集中巻き巻線の電圧との和がA相電圧Vaであり、これらの2つの直列巻線をA相巻線Waと称する。B相ステータ磁極13へ巻回する集中巻き巻線の電圧とB/相ステータ磁極14へ巻回する集中巻き巻線の電圧との和がB相電圧Vbであり、これらの2つの直列巻線をB相巻線Wbと称する。C相ステータ磁極15へ巻回する集中巻き巻線の電圧とC/相ステータ磁極16へ巻回する集中巻き巻線の電圧との和がC相電圧Vcであり、これらの2つの直列巻線をC相巻線Wcと称する。

0062

A相巻線Waに誘起するA相電圧Vaは、2個のステータ磁極に巻いた巻線を直列に接続しているので、両巻線の巻き回数の和をNwaとし、巻線抵抗を無視して、次式となる。巻線電圧は、磁束鎖交数(Nwa×φa)の時間変化率である。
Va=Nwa×dφa/dt (9)
=Nwa×(dφa/dθr)×(dθr/dt)
=Ls×Nwa×Bo×Rr×Vso (10)
前記の一定速度Vsoは次のようにも書けるので、代入している。
Vso=dθr/dt (11)

0063

(10)式において、(Ls×Nwa×Bo×Rr×Vso)は一定値となる。ここで、図84において、各相電圧を簡素に表現するため、(12)式に正規化して図示することにする。
(Ls×Nwa×Bo×Rr×Vso)=1 (12)

0064

図1のリラクタンスモータにおいて、各相の電流を一定電流Io[A]とし、ロータをCCWへ一定速度Vso[ラジアン/sec]で回転する状態における各相電圧Va、Vb、Vcは、(10)、(12)式と図3の関係から、図84として示すことができる。

0065

A相巻線が供給する電力Paは、電圧と電流の積であり、次式となる。
Pa=Va×Io (13)
そして、A相が発生するトルクTaは、電力と機械的パワーが等しいと仮定して、次式となる。
Ta=Pa/Vso (14)
=Va×Io/Vso (15)
(15)式において、Io/Vsoは一定値と仮定しているので、A相トルクTaは、A相電圧Vaに比例した値となる。なお、パワーは[W]、トルクは[Nm]、電圧は[V]、電流は[A]、速度は[ラジアン/sec]、LsとRrは[m]の単位としている。

0066

(8)式から(15)式の関係は、B相、C相についても同じなので、次の関係となる。
Vb=Ls×Nwa×Bo×Rr×Vso (16)
Vc=Ls×Nwa×Bo×Rr×Vso (17)
Tb=Vb×Io/Vso (18)
Tc=Vc×Io/Vso (19)
但し、各相のステータ磁極とロータ磁極が対向する面積が増加する部分、区間において成立する式である。

0067

また、(15)、(18)、(19)式より、図1図83のリラクタンスモータに関する各相トルクTa、Tb、Tcは、(Io/Vso)を一定値と仮定しているので、それぞれ各相電圧Va、Vb、Vcに比例する。その意味で、図84の各相電圧Va、Vb、Vcの下に各相トルクTa、Tb、Tcを括弧付きで付記している。

0068

次に、図1のリラクタンスモータで、CCWの正方向の連続トルクを生成する方法について説明する。図84のA相トルクであるTaが正トルクを生成する区間は、θrが0°から60°と90°から150°であり、図84のIaに示す電流を通電する。図84のB相トルクであるTbが正トルクを生成する区間は、θrが30°から90°と120°から180°であり、図84のIaに対して位相が30°遅れた電流Ibを通電する。図84のC相トルクであるTcが正トルクを生成する区間は、θrが60°から120°と150°から210°であり、図84のIaに対して位相が60°遅れた電流Icを通電する。図84に示す各相のCCWの電圧、トルクは1.0の大きさで、30°の角度幅であり、各相のトルク発生区間が30°づつであり、合計すると一定トルクとなる。ここで、図1の全節巻き巻線へ通電すべき電流Iab、Ibc、Icaは、(1)、(2)、(3)式へ相電流Ia、Ib、Icを代入して求めることができる。

0069

以上、図1の動作、現象について説明した。これらは、後に説明する他の請求項とも係わりがあり、少し詳しく述べた。しかし、図1の全節巻き巻線の電圧が複雑である問題、図1の全節巻き巻線に過大な電圧が発生する問題についてはまだ詳しく説明していない。
以下に、これらの現象の説明と、これらの問題点に対応する本発明の対応策を説明する。

0070

次に、図1の全節巻き巻線の鎖交磁束、巻線電圧について図4に示し、説明する。なお、図4モータモデルは、図1のリラクタンスモータに限らず、ステータ磁極の数およびロータ磁極の数が異なる図19の(b)、図25の(b)のリラクタンスモータ等へも適用できるように、一般化したモータ構成として説明する。

0071

図4の41はAX相ステータ磁極で、42はAX/相ステータ磁極である。巻線43とコイルエンド44と巻線45の全節巻き巻線WX1と巻線46とコイルエンド47と巻線48の全節巻き巻線WX2とを配置し、それぞれ巻き回数はNwx/2とする。49と4Aはロータ磁極である。破線で示す4Bは、41と42以外のステータの部分で、ステータ磁極の数などは限定しない。破線で示す4Cは、49と4A以外のロータの部分で、ロータ磁極の数などは限定しない。即ち、種々のモータに適用できる。

0072

ここで、図1図4のモータの限定条件として、ロータ軸中心点に対して点対称の構造、構成であること、巻線WX1とWX2へ通電する電流は図δの集中巻き巻線の電流を図1全節巻線の電流値変換した(1)、(2)、(3)式のような電流であることとする。

0073

この条件の元では、図4に発生する磁束は、AX相ステータ磁極41と42はAX/相ステータ磁極42を通る磁束φ1、φ2と、図4のφ3、φ4のように横切る、他の相の磁束の2種類へ集約することができる。この時、前記全節巻線W1の電圧Vw1と前記全節巻線W2の電圧Vw2の電圧は次式となる。
Vw1=Nwx/2×d(φ1+φ2+φ3+φ4)/dt (20)
Vw2=Nwx/2×d(φ1+φ2−φ3−φ4)/dt (21)
Vh =Nwx/2×d(φ3+φ4)/dt (22)
図4で左右に横切る磁束(φ3+φ4)が存在しなければ、(18)式の電圧Vhは0となり、Vw1とVw2は等しい値になる。しかし、(φ3+φ4)が存在すればその電圧成分VhはVw1とVw2へ差動的に作用し、複雑な電圧となる。その一つは、各相の電流変化に伴う磁束変化が他相の電圧へ及ぼす悪影響である。もう一つは、ロータの回転に伴う磁束変化が他相を励磁する二つ巻線へ差動的に作用して、二つの巻線の電圧が偏る現象が発生する。

0074

通常、図1のような比較的簡素な構成のリラクタンスモータであっても、図1の磁束(φ3+φ4)は磁束(φb−φc)であり、磁束φaに相当する磁束(φ1+φ2)より2倍くらい大きい磁束変化率となり、(22)式で示される電圧の影響は大きい。しかも、差動的に作用するため、Vw1とVw2の片方の電圧は小さくなり、他方は大きくなり、大きなアンバランスを発生する。このように、図1の全節巻き巻線の構成は、巻線抵抗を小さくできるので銅損低減の大きなメリットがあるが、モータの電流制御が困難になる問題、あるいは電流制御が制限される問題、差動的な電圧成分により電圧が大きくなり、各駆動回路の電圧負担が増加し、インバータが大型化する問題が発生する。

0075

例えば、図13相のリラクタンスモータの場合、各相の電流を増減するタイミングが他相の電流を増減するタイミングと重なるので、相互に悪影響して電流制御が難しくなる。また、図19の(b)、図25の(b)等の4相以上の多相のリラクタンスモータの場合、電流の増減時の電圧の悪影響に加え、電圧の偏りの問題が発生する。それは、二つの相が同時にトルクを生成する区間では、ロータの回転に伴う一定の磁束変化があるため相互に影響し、励磁する二つの巻線へ一定の電圧が差動的に作用し、電圧の偏りの問題が発生する。

0076

これらの複雑な現象に対し、各全節巻き巻線と駆動回路の組み合わせにより、簡単な電圧式となるように変換して、電圧と電流を容易に、かつ効率良く駆動する方法を提案する。それは、前記全節巻き巻線WX1と全節巻き巻線WX2とを直列に接続する方法である。それらの両端電圧は、次式のように、(20)式と(21)式の和の電圧となる。図4で横切る磁束(φ3+φ4)を排除することができ、電圧式を簡素化でき、かつ、過大な電圧が発生することもない。
Vw1+Vw2=Nwx×d(φ1+φ2)/dt (23)
図4に示すように、全節巻き巻線WX1とWX2は磁束(φ1+φ2)を励磁する巻線でもある。(23)式の関係を応用した駆動回路を、後に、図6図20図26図61図62図63に示し、具体的に説明する。図4で示す横切る磁束(φ3+φ4)の影響を受けない電流通電方法である。

0077

図5は、図83の集中巻き巻線や図1の全節巻き巻線を駆動する従来の代表的な駆動回路である。5Aは駆動回路全体制御回路、5Bは直流電圧源、51、52、53、54、55、56は駆動用トランジスタ、57は図1の17と18のAB相全節巻き巻線でAB相電流Iabを通電し、58は図1の19と1AのBC相全節巻き巻線でBC相電流Ibcを通電し、59は図1の1Bと1CのCA相全節巻き巻線でCA相電流Icaを通電する。残りの6個のダイオードは電力回生用ダイオードである。

0078

今、A相ステータ磁極11とA/相のステータ磁極12とを励磁するために、IabとIcaを通電する場合、全節巻き巻線の抵抗値が小さいので銅損を低減する効果がある。しかし、図5のAB相全節巻き巻線57、CA相全節巻き巻線59には(20)、(21)式で示した過大な電圧が発生する。巻線電圧が直流電圧源5Bの電圧以下とするために、例えば、巻線の巻き回数を1/2とすると、巻線電圧は1/2となるが巻線電流は2倍となる。そのため、図5のトランジスタ51、52、53、54、55、56の電流容量を2倍に増加することになり、高コスト化、大型化する問題が発生する。

0079

また一方、図83のような集中巻き巻線を図5の駆動回路で駆動する場合は、各相巻線に鎖交する磁束はその相の磁束だけなので、相電圧が複雑化する問題は無い。しかし前記のように、それぞれの相の専用巻線を巻回するので巻線抵抗が大きくなるため、銅損が大きく、モータが大型化する問題がある。また、全節巻き巻線の具体的電圧波形の例を、後に図14に示し、電圧の複雑さ、過大電圧の発生などの例について説明する。

0080

次に、(20)、(21)、(22)式に示した全節巻き巻線の電圧が複雑になる問題、全節巻き巻線に過大な電圧が発生する問題などに関し、問題点を軽減する方法を示す。それは、図1のリラクタンスモータの全節巻き巻線と図6の駆動回路とを組み合わせた構成である。その特徴の一つは、各全節巻き巻線の電圧式から単純な電圧となる接続方法であり、電流駆動方法である。他の特徴の一つは、図6の駆動回路の中で複数の電流を、相互の影響が少ない方法で、並列に通電する方法である。この駆動方法では、前記問題点を解決するだけでなく、図5の従来の駆動回路の2倍の電気的なパワー出力が可能となる。

0081

図1のAB相全節巻き巻線1DのAB相電流Iab、BC相全節巻き巻線1EのBC相電流Ibc、CA相全節巻き巻線1FのCA相電流Icaは、(1)、(2)、(3)式により、各ステータ磁極に巻回する集中巻き巻線のA相電流Ia、B相電流Ib、C相電流Icで示すことができる。

0082

図1の各ステータ磁極への集中巻き巻線を巻回した場合のA相電圧Va、B相電圧Vb、C相電圧Vcは、前記の(9)式と同様に、鎖交磁束φa、φb、φcとの関係より次式で表される。なおここで、巻き回数Nwaは、図1で180°反対側に配置している2つのステータ磁極に巻回する2つの集中巻き巻線巻き回数の和である。
Va=Nwa×dφa/dt (9)
Vb=Nwa×dφb/dt (24)
Vc=Nwa×dφc/dt (25)

0083

次に、AB相全節巻き巻線1DのAB相電圧Vab、BC相全節巻き巻線1EのBC相電圧Vbc、CA相全節巻き巻線1FのCA相電圧Vcaは、図4と(20)、(21)式と同様に、また、図1の各相の全節巻き巻線の鎖交磁束の関係から、次式で表される。ここで、各相の全節巻き巻線の巻き回数は、Nwa/2となる。なお言うまでもなく、これらの電圧式はファラデー電磁誘導の法則である。また、各巻線の方向は、その巻線の直流電流の流入側を正、流出側を負とする。
Vab=Nwa/2×d(φa+φb−φc)/dt (26)
=(Va+Vb−Vc)/2 (27)
Vbc=Nwa/2×d(−φa+φb+φc)/dt (28)
=(−Va+Vb+Vc)/2 (29)
Vca=Nwa/2×d(φa−φb+φc)/dt (30)
=(Va−Vb+Vc)/2 (31)

0084

ここで、(27)、(29)、(31)式は、(22)式の電圧成分に相当する差動的な電圧が加わっており、複雑であるだけでなく、大きなピーク電圧を持つことになる。そこで、図4と(23)式で示したように、2個の巻線を直列に接続にして、(22)式の差動電圧の成分を相殺し、簡素化して通電する。即ち、(27)、(29)、(31)式の電圧の2個を直列に接続にして、(22)式の差動電圧の成分を相殺することにより、次式のように簡素化した各相の相電圧とすることができる。そして、2個の巻線を直列に接続した両端に過大な電圧が発生することは無くなり、電圧の偏りの問題が無くなり、駆動回路への電圧負担を解消することができる。
Vab+Vbc=Vb (32)
Vbc+Vca=Vc (33)
Vca+Vab=Va (34)
後に述べる図6などの駆動回路で具体的に説明する。

0085

なお、(26)から(34)式に示したように、ここまで、駆動回路の問題となる電圧、特に過電圧に着目して説明した。しかし、他方で、各相の全節巻き巻線の電流Iab、Ibc、Icaは、それぞれ、(26)から(31)式が示すように、全ての相のステータ磁極へ電磁気的な影響を与える。例えば、B相ステータ磁極13とB/相ステータ磁極14だけを励磁する場合には、(26)、(28)、および、(32)式から解るように、AB相巻線17とBC相巻線19との両巻線へB相電流成分Ibを正確に通電する必要がる。このように、2つの巻線を直列に接続したときに相殺される電圧成分と、2つの巻線に電流を通電したときに相殺される起磁力成分とは表裏の関係となっている。また、前記の例で、2つの巻線へ通電するB相電流成分Ibは、図1の仮想のB相集中巻き巻線へB相電流Ibを通電した場合と、各スロットに通電される電流の値は同じである。

0086

なお、前記の全節巻き巻線の電流、鎖交磁束、電圧、トルク、パワーの関係は複雑になるので、各ステータ磁極に巻回した集中巻き巻線の電流、鎖交磁束、電圧、トルク、パワーを前記の各式で換算することにより、励磁の方法、制御の方法が解り易くなる。なお、巻線抵抗などを無視して単純モデル化すれば、集中巻き巻線の各相電流Ia、Ib、Icと各相電圧Va、Vb、Vcとの積和がパワー[W]になり、パワーを回転速度[rad/sec]で割ればトルク[Nm]になる。

0087

次に、図1のリラクタンスモータの各相の全節巻き巻線を図6の駆動回路で駆動する例を説明する。前記の(32)、(33)、(34)式に従う構成として、不要で駆動上有害な電圧成分を排除するためには、各相巻線の電圧Vab、Vbc、Vcaが2個ずつ、合計6個の巻線が必要になる。そのため、図1のAB相全節巻き巻線とBC相全節巻き巻線とCA相全節巻き巻線とを、それぞれ、2個の並列した巻線へ変換した構成を図2に示す。図1図2は、これらの巻線以外の構成は同じである。

0088

図2の21と24は、図1のAB相全節巻き巻線17、1D、18を変換した2個の並列した巻線である。図2のAB相全節巻き巻線21の近傍に、図6の駆動回路および他のモータ断面図で共通に示している巻線番号w1と通電するAB相電流Iab1を括弧付きで付記している。AB相全節巻き巻線24の近傍に、同様に、巻線番号w4と通電するAB相電流Iab2を括弧付きで付記している。巻線21と24の巻き回数は(Nwa/2)で、Iab1とIab2の値は(Iab/2)であり、同一の値の電流である。電気的には絶縁していて、図6の駆動回路の異なる場所へ配置して通電する。

0089

同様に、図2の23と26は、図1のBC相全節巻き巻線19、1E、1Aを変換した2個の並列した巻線である。BC相全節巻き巻線23の近傍に、図6の駆動回路および他のモータ断面図で共通に示している巻線番号w3と通電するBC相電流Ibc1を括弧付きで付記している。BC相全節巻き巻線26の近傍に、巻線番号w6と通電するBC相電流Ibc2を括弧付きで付記している。

0090

同様に、図2の25と22は、図1のCA相全節巻き巻線1B、1F、1Cを変換した2個の並列した巻線である。CA相全節巻き巻線22の近傍に、図6の駆動回路および他のモータ断面図で共通に示している巻線番号w2と通電するCA相電流Ica1を括弧付きで付記している。CA相全節巻き巻線25の近傍に、巻線番号w5と通電するCA相電流Ica2を括弧付きで付記している。

0091

なお、後で説明する図1を2極対化した図15のモータ、あるいは、図1のモータへトロイダル状の環状巻き巻線を巻回した図16のモータ例では、同一相の巻線が2組ずつ、合計6個の巻線が構成されるので、同一のスロット間に2組の巻線を分割して並列に設けなくても、図6の駆動回路で駆動することができる。

0092

しかし、図6の駆動回路上の2つの同相の巻線の電圧をより正確に同一の値とするためには、これらのモータにおいても、全てのスロットの巻線を2つの並列する巻線に分割し、それぞれを直列接続し、2つの並列する同相の巻線群を製作して図6の2つの同相巻線として接続する方法が、より厳密である。その場合には、前記の2つの巻線群の鎖交磁束は同じであり、電圧のアンバランスを発生しない。即ち、例えば、モータのエアギャップが不均一であるなど磁気的非対称性があっても、また、図6の駆動回路の電流制御誤差が発生しても、図6上の2つの同一相の巻線群の電圧はアンバランスを発生しない。但し、全スロットの巻線を2つの並列する巻線に分割するため、巻線が複雑になる。

0093

図6の6Sは駆動装置全体の制御回路、6Rは直流電圧源、61、62、63、64、65、66は駆動用トランジスタである。図6の67は、図2で並列な巻線とした2つのAB相全節巻き巻線の片方の21である。他のモータ断面図で共通に示している巻線番号ではw1であり、AB相電流Iab1をトランジスタ61により通電する。67の近傍に括弧付きの(w1)を付記している。6Aは他方の並列巻線で、図2の24であり、AB相電流Iab2をトランジスタ64により通電する。6Aの近傍に括弧付きの巻線番号(w4)を付記している。

0094

同様に、図6の68は、図2の22であり、CA相全節巻き巻線の一つで、巻線番号(w2)を付記している。CA相電流Ica1をトランジスタ62により通電する。6Bは他方の並列巻線で、図2の25であり、CA相電流Ica2をトランジスタ65により通電する。6Bの近傍に括弧付きの巻線番号(w5)を付記している。同様に、図6の69は、図2の23であり、BC相全節巻き巻線の一つで、巻線番号(w3)を付記している。BC相電流Ibc1をトランジスタ63により通電する。6Cは他方の並列巻線で、図2の26であり、BC相電流Ibc2をトランジスタ66により通電する。6Cの近傍に括弧付きの巻線番号(w6)を付記している。なお、巻線の向きは、通電電流が直流電流であり、電流の向きに合わせて配置する。また、これらの各トランジスタの負電圧保護のため、逆並列のダイオードを付加しても良い。

0095

図6のAB相全節巻き巻線67とCA相全節巻き巻線6Cの間に電流方向の向きのダイオード6Qを配置し、AB相全節巻き巻線67とBC相全節巻き巻線68の間に電流方向の向きのダイオード6Kを配置する。BC相全節巻き巻線68とCA相全節巻き巻線69の間に電流方向の向きのダイオード6Lを配置し、CA相全節巻き巻線69とAB相全節巻き巻線6Aの間に電流方向の向きのダイオード6Mを配置する。AB相全節巻き巻線6AとBC相全節巻き巻線6Bの間に電流方向の向きのダイオード6Nを配置し、BC相全節巻き巻線6BとCA相全節巻き巻線6Cの間に電流方向の向きのダイオード6Pを配置する。

0096

各巻線と各ダイオードに流れる電流は、(1)、(2)、(3)式の関係となっている。ダイオード6QにはA相電流成分Ia/2が流れ、6KにはB相電流成分Ib/2が流れ、6LにはC相電流成分Ic/2が流れ、6MにはA相電流成分Ia/2が流れ、6NにはB相電流成分Ib/2が流れ、、6PにはC相電流成分Ic/2が流れることになる。これらのダイオードは、各巻線が過電圧を発生しても、相互に電流が流れない他の巻線への過電圧の影響を低減する作用も行う。但し、各巻線は直列に各トランジスタが接続されており、各巻線のPWM平均電圧、電流を制御する機能があるので、リラクタンスモータの駆動条件、状態によっては、これらの6個のダイオードの一部、あるいは、全てを取り除くことも可能である。

0097

残りの6個のダイオード6D、6E、6F、6G、6H、6Jは直流電圧源6Rへの電力回生用ダイオードである。各相のフライホイール電流を通電するためにも使用する。

0098

次に、図6の各巻線の電圧を説明する。AB相全節巻き巻線67とダイオード6KとCA相全節巻き巻線68の間の電圧は(34)式の関係となり、これらの両端の電圧はA相電圧Vaである。(27)式のAB相電圧Vab、および、(31)式のCA相電圧Vcaの複雑な電圧、過大電圧は、AB相全節巻き巻線67とBC相全節巻き巻線68を直列に接続することにより相殺している。

0099

そして、巻線67に流れるAB相電流Iab1は(1)式の電流の1/2であり、巻線68に流れるCA相電流Ica1は(3)式の電流の1/2である。その内、巻線67から68へ流れる電流成分はA相電流成分Iaの1/2である。

0100

巻線67と6Aは同じ電圧、電流であり、巻線68と6Bは同じ電圧、電流である。従って、6Aと6Bの両端電圧も同じであり、同じ作用、効果がある。そして、巻線67から68へ流れる電流成分と巻線6Bから6Aへ流れる電流成分との和はA相電流成分Iaとなり、図2のA相ステータ磁極11とA/相ステータ磁極12を励磁する。

0101

図6のBC相全節巻き巻線69とダイオード6MとAB相全節巻き巻線6Aの間の電圧は(32)式の関係となり、これらの両端の電圧はA相電圧Vbである。(29)式のBC相電圧Vbc、および、(27)式のAB相電圧Vabの複雑な電圧、過大電圧は、BC相全節巻き巻線69とAB相全節巻き巻線6Aとを直列に接続することにより相殺している。

0102

そして、巻線69に流れるBC相電流Ibc1は(2)式の電流の1/2であり、巻線6Aに流れるAB相電流Iab2は(1)式の電流の1/2である。その内、巻線69から6Aへ流れる電流成分はB相電流成分Ibの1/2である。

0103

巻線69と6Cは同じ電圧、電流であり、巻線6Aと67は同じ電圧、電流である。従って、67と6Cの両端電圧も同じであり、同じ作用、効果がある。そして、巻線69から6Aへ流れる電流成分と巻線67から6Cへ流れる電流成分との和はB相電流成分Ibとなり、図2のB相ステータ磁極13とB/相ステータ磁極14を励磁する。

0104

図6のBC相全節巻き巻線69とダイオード6LとCA相全節巻き巻線68の間の電圧は(33)式の関係となり、これらの両端の電圧はA相電圧Vcである。(29)式のBC相電圧Vbc、および、(31)式のCA相電圧Vcaの複雑な電圧、過大電圧は、BC相全節巻き巻線69とAB相全節巻き巻線68とを直列に接続することにより相殺している。

0105

そして、巻線69に流れるBC相電流Ibc1は(2)式の電流の1/2であり、巻線68に流れるCA相電流Ica1は(3)式の電流の1/2である。その内、巻線69から6Aへ流れる電流成分はC相電流成分Icの1/2である。

0106

巻線69と6Cは同じ電圧、電流であり、巻線68と6Bは同じ電圧、電流である。従って、6Bと6Cの両端電圧も同じであり、同じ作用、効果がある。そして、巻線69から68へ流れる電流成分と巻線6Bから6Cへ流れる電流成分との和はC相電流成分Icとなり、図2のC相ステータ磁極15とB/相ステータ磁極16を励磁する。

0107

次に、図2において、ロータがCCWへ回転するときの図6動作順について、その概略を説明する。ロータ回転角位置θrが0°の位置でロータ磁極がA相ステータ磁極11へさしかかり、対向し始める。そして、θrが0°から30°までの間は、これらの両磁極が相互に対向する面積が増加して行き、A相ステータ磁極11を(1)、(3)式のA相電流成分Iaで励磁してCCW方向のトルクを生成する。この時、A/相ステータ磁極12も同様に作用する。

0108

同様に、ロータ回転角位置θrが30°の位置でロータ磁極がB相ステータ磁極13へさしかかり、対向し始める。そして、θrが30°から60°までの間は、これらの両磁極が相互に対向する面積が増加して行き、B相ステータ磁極13を(1)、(2)式のB相電流成分Ibで励磁してCCW方向のトルクを生成する。この時、B/相ステータ磁極14も同様に作用する。

0109

同様に、ロータ回転角位置θrが60°の位置でロータ磁極がC相ステータ磁極15へさしかかり、対向し始める。
そして、θrが60°から90°までの間は、これらの両磁極が相互に対向する面積が増加して行き、B相ステータ磁極15を(2)、(3)式のC相電流成分Icで励磁してCCW方向のトルクを生成する。この時、C/相ステータ磁極16も同様に作用する。

0110

この様に、CCWへロータが回転するとき、A相、B相、C相が交互に、順番に動作して連続的にCCWトルクを生成し、回転することができる。なお、図2のリラクタンスモータは、同期モータのようにロータ回転に同期してステータの通電動作が進む構造ではなく、動作するステータ磁極の相が変わる時には通電する巻線が円周方向に120°変わるので、紛らわしい面がある。また、前記説明では、電流Iab1とIab2が同じ電流値で、Ibc1とIbc2が同じ電流値で、Ica1とIca2が同じ電流値である場合について説明したが、トルクリップルの低減、モータ振動、騒音の低減などの目的で相互に異なる位相、異なる大きさの電流に変形することもできる。それらも本発明に含むものである。

0111

また、図6図26などの駆動回路の電流の種類、数は、図5の駆動回路の電流の数が3個であるのに対し、2倍に増加するので、電流を制御するために各電流値を検出する負担が増加する。図6の場合、(1)、(2)、(3)式の2倍の種類の電流が存在する。これらの式の左辺の値Iab、Ibc、Icaが2個ずつあるので6種類の電流検出を行う必要がある。右辺の電流Ia、Ib、Icも2個ずつ有り、6種類の電流であるが、相互に計算で求められる。電流検出器には種々構成のものがあり、いづれも使用できる。一つの電流検出方法は、2種類の電流が合流する場所で2種類の電流をまとめて検出する方法があり、電流検出器の製作、回路上の配置の都合など、より簡素化できる。例えば、図6のダイオード6Kのカソードと6Lのカソードの接続点で、A相電流成分Ia/2とC相電流成分Ic/2をシャント抵抗を用いてその電圧降下から電流値を検出する場合、2個のシャント抵抗を組み合わせて作ることができ、コモン電位を共通化することも可能であり、電流検出器を簡素化できる。(3)式の検出であり、Ia/2、Ic/2を検出し、Ica1も検出できる。他の2組、4個の電流検出も同様である。また、電流検出回路から電位の異なるモータ全体の制御回路への電流値の伝達は、アナログ方式高速デジタル方式等の種々方式が使える。

0112

次に、図1および図2のリラクタンスモータの具体的な電流、電圧、トルク、パワーの特性を説明するために、図10モータ出力特性と、リラクタンスモータ特性に大きく関わる軟磁性体の非線形電磁気特性の例として、図11図12図13について説明する。図10は、電気自動車EVなどの回転数とトルクの特性例である。横軸は回転数で、最高回転数は10,000rpmである。縦軸はトルクTで、最大トルクは100Nmである。図10のAで示す領域は、自動車の主機用途で急坂道の登運転などで必要となり、低速回転の大トルク領域は重要な特性である。大きな電流により軟磁性体が磁気飽和して力率が低下することが多い。また、大きな電流により銅損が大きくなり、モータが大型化する主な要因となる。モータの大型化は、実装、重量、コストの面で問題となる。図10のBで示す領域は高速回転領域で、自動車の高速走行で必要となる。巻線電圧を電源電圧により制限されるため、磁束を小さくする必要がある。領域Aと領域Bでは、界磁磁束の大きさに関しては、逆の特性が求められる。なお、領域Bではトルク脈動の問題、騒音、振動の問題、鉄損増加の問題がある。

0113

なお、従来の磁石式同期モータでも、領域Aの低速回転での大トルクでは大きな磁束を必要とし、領域Bの高速回転での定出力特性の領域では磁束の量を低減する必要があり、界磁特性が相反する。領域Aでは磁気飽和により力率が低下し、モータ銅損が増加してモータが大型化する問題がある。領域Bでは界磁弱めのために力率が低下して電圧が過大になりインバータが大型化する問題がある。

0114

図10のCで示す領域は定出力領域で、基底回転数は2,500rpmなので出力は26.18kWとなる。図10のDで示す領域は自動車の運転で使用頻度の高い領域であるが、モータ、インバータの大きさ、重量、コストには影響が少ない領域である。しかし、使用頻度が高いので、効率、燃費の点では重要である。また、静粛性が求められ、特に騒音の低減が必要な領域である。以上、図10に示した代表的動作領域A、B、C、Dに示すように、EVの主機用モータには様々な特性が求められる。これらの要求特性応える本発明技術について説明する。

0115

次に、リラクタンスモータの特性、出力の基礎となる電磁気特性を図11に示す。図11実線111は、例えば、図1のA相ステータ磁極11とA/相ステータ磁極12とロータ磁極1Kと1M、および、ステータのバックヨークの軟磁性体の磁気特性、即ち、A相磁束φaの磁気特性の例である。横軸Iexは励磁電流で、図1のリラクタンスモータへ集中巻き巻線を巻回したと仮定した場合のA相巻線WaのA相電流Iaに相当する。Iraは連続定格電流で、Imaxは最大電流で、Iopは図11で説明する状態の電流値である。縦軸は巻き回数Nwaと鎖交磁束φの積の磁束鎖交数Ψでその単位は[Wb・turn]である。

0116

図1のA相に関する特性が111となる。A相電流Iaが図11動作電流Iopとして作用するとき、Iopが小さな領域では勾配が大きく、直線状であるが、電流値が大きくなるに連れ磁気飽和する特性となる。励磁電流Iexが図11のIopで動作点112の時、113の凹状の略三角形の面積は磁気エネルギーEmでその単位は[Wb・turn・A]であり、また、[joule]である。114の凸状の略三角形の面積は磁気随伴エネルギーEcoでその単位は[Wb・turn・A]であり、また、[Joule]である。

0117

図11の特性の条件として、まず、A相ステータ磁極11とロータ磁極1Kとの全面が対向している状態、即ち、ロータ回転角位置θr=30°での静止状態を考える。この状態でのA相巻線WaのインダクタンスをLaとすると、A相巻線Waに誘起するA相電圧Vaは、(9)式から(35)式のように書ける。
Va=Nwa×dφa/dt=La×dIa/dt (35)
そして両辺の式を時間積分すると磁束鎖交数Ψとなる。
Ψ =Nwa×φa=La×Ia (36)

0118

但しここで、比例常数であるインダクタンスLaが電流Iaの増加に伴い非線形に変化する場合は、右辺の(La×Ia)には大きな誤差が発生する。インダクタンスLaは電流Iaの値により大きく変化し、ロータ回転角位置θrによっても大きく変化する。インダクタンスLaを使用してエネルギー、パワー出力、トルク出力を式で示し、論ずるのは難しい面がある。

0119

θr=30°で静止した状態でA相電流Iaを0からIopまで増加する場合の、A相巻線Waの電圧と電流の積(Va×Ia)の時間積分は、図11の113の面積に等しくなり、磁気エネルギーEmであってその単位は[joule]である。この時、電源側からモータ側へ供給するエネルギーは、113の磁気エネルギーEmだけであって、114の磁気随伴エネルギーEcoは与えられない。

0120

次に、A相電流IaをIopとした状態で、θr=0°、あるいは、少し負の値から30°まで一定速度Vsoで回転すると、A相電圧Vaは(9)、(10)式となり一定値Vopとなる。この回転する間のA相巻線Waの電圧と電流の積(Va×Ia)の時間積分は、図11の113の面積と114の面積の和となる。この時、電源側からモータ側へ供給するエネルギーは、113の磁気エネルギーEmと114の磁気随伴エネルギーEcoであり、磁気随伴エネルギーEcoはモータのトルクに変換され、出力される。一方、磁気エネルギーEmは、A相電流IaをIopから0とすることにより、モータ側から電源側へ回生される。これらのサイクルが繰り返され、トルク、パワーを出力する。なお、この磁気エネルギーEmをどのように電源へ回生するかが、リラクタンスモータの課題の一つである。その動作の例は、後に図14で説明する。

0121

なお、図1のモータは、図11のような磁気特性なので、軽負荷で電流が小さい領域では磁気エネルギーEmに相当する無効電力と磁気随伴エネルギーEcoに相当する有効電力とがほぼ等しくなり、力率は50[%]程度となる。負荷が大きくなると、磁気随伴エネルギーEcoの比率が増加し、力率が80[%]以上にもなる。この様な特性から、図1のリラクタンスモータは磁気飽和特性を利用して力率を向上していると見ることもできる。

0122

なお、(7)、(8)式、および、(14)から(19)式では、モータ出力連続定格出力より大きな領域におけるモータ出力の概略を論ずるため、図11の112の磁気エネルギーEmが0であると仮定して電磁気的に簡素化した条件で説明した。ある程度大きな電流Ioを通電し、一定速度Vsoで回転する状態における電流、電圧、磁束、トルクを概略として示している。これに対し、図11から図13では、リラクタンスモータの過渡的な電流、電圧、トルク、パワーについて説明するため、軟磁性体の磁気飽和特性、磁気エネルギーEm、磁気随伴エネルギーEcoなどの定性的な電磁気特性を示している。これらの両条件はやや矛盾しているが、支障が無い程度に使い分けている。リラクタンスモータは磁気的に非線形な領域で動作して大きなトルクを発生するので、表現、説明が難しい。

0123

次に、図12の121は、図1のリラクタンスモータのトルク特性の例である。横軸Iexは励磁電流で、図11と同じである。縦軸はトルクである。ロータ回転角位置θrは20°で、図1のA相ステータ磁極11へロータ磁極1Kの2/3がさしかかった位置を想定する。図12の122の領域は、励磁電流Iex、即ち、A相電流Iaが小さな領域で、A相ステータ磁極11の先端およびロータ磁極1Kの先端の磁束密度が1.5[T]以下の値であるなど、磁気的に比較的線形な領域である。二乗式形状のトルク特性となる。図12の123の領域は、A相ステータ磁極11の先端の磁束密度が、通常、1.7から2.0[T]の値で、磁気的に飽和する領域である。略直線状のトルク特性となる。図12の124の領域は、ステータ磁極の先端およびロータ磁極の先端だけでなく、歯全体あるいはバックヨークなどの磁束密度も高くなるなど、磁気抵抗が大きくなる領域である。

0124

次に、図13の131は、ロータ回転角位置θrとステータの歯を通過する磁束の大きさφ[Wb]の関係である。ロータ回転角θrが15°の近辺までは、ステータの突極磁極の角部とロータの突極磁極の角部の磁気飽和が関わっている。ロータ回転角θrが30°の近辺ではステータとロータの歯およびバックヨークの磁路全体の磁気抵抗が関わってくることが多い。単純モデル的なトルクは、図13の132のようになる。図85は、図83の従来のリラクタンスモータのステータ磁極が発生するトルクの例であり、図13の磁束の特性の結果として、ロータ回転角θrの30°近傍ではトルクが低下している。

0125

以上、図11図12図13に示したように、図1のリラクタンスモータは磁気的に磁束密度が飽和する領域で動作するモータである。飽和の程度は、励磁電流Iexの電流値とロータ回転角位置θrに依存する特性であり、単純ではない。従って、図14に電流、電圧の波形の例を示すが、駆動条件により変化する。

0126

これらの磁気的な非線形性により各数式が不明瞭になることを避けるため、本発明では各巻線のインダクタンスLをなるべく使用せずに説明する。図11図12に示したように、本発明のリラクタンスモータは、磁気的な非線形性を利用して、力率、効率の良いトルク出力、パワー出力を実現している。従って、本発明のリラクタンスモータの主要な動作点における各巻線のインダクタンスは大きく変化していて、そもそも比例定数であるべきインダクタンスの表現上の利点が損なわれている。そこで、(36)式に示すように、巻き回数Nwa、鎖交磁束φa、及び、磁束鎖交数Ψ、電圧V、電流I等で数式等を表現すれば、これらは物理量であり、磁気的な非線形性を含めて表現することができる。

0127

次に図14に、図1のリラクタンスモータを図6の駆動回路を用いてCCWの一定トルクを発生してCCWへ一定回転数Vsoで回転駆動する場合の、各相の電流、電圧の波形の例を示す。図14のIaは、図1のA相とA/相のステータ磁極11、12へ集中巻き巻線を巻回し、直列に接続したと仮定したA相巻線WaのA相電流Iaである。VaはA相巻線WaのA相電圧Vaである。同様に、B相巻線WbのB相電流Ib、B相電圧Vb、および、C相巻線WcのC相電流Ic、C相電圧Vcを示している。なお、図14では、電流値、電圧値基準値を1.0とし、相対的な値を示している。電圧値は(12)式を指す。電流値の1.0は、(13)式などの一定電流Io[A]を指す。

0128

図14のA相電流Iaの値は、ロータ回転角位置θrが−7.5°から0°にかけて電流を増加し、θrが0°から25°の間は一定電流値1.0とし、θrが25°から35°にかけて電流を減少して0としている。電流の周期はロータ磁極のピッチの90°である。B相電流IbはIaより位相が30°遅れていて、C相電流IcはIaより位相が60°遅れている電流波形となる。図14では、A相電流Iaが増加する時間と減少する時間とが、ロータ回転角位置の換算値で2.5°異なる場合の例を示している。

0129

図14のA相電圧Vaは、θrが−7.5°の位置でA相電流Iaが増加し始めると、図1のA相ステータ磁極11とロータ磁極1Kはまだエアギャップを介して対向していないが近接しているので漏れ磁束が発生して、(9)式のA相電圧Vaが増加し始める。この間では、図6の駆動回路によりモータの磁気エネルギーEmとモータのパワー出力となる磁気随伴エネルギーEcoがモータ側へ供給され始め、トルクが発生している。

0130

θrが0°から22.5°までのA相電圧Vaは、(10)式で一定電圧となり、図6の駆動回路によりモータの磁気エネルギーEmとモータのパワー出力となる磁気随伴エネルギーEcoがモータ側へ供給される。そして、磁気随伴エネルギーEcoはトルク出力に変換される。もちろん、図1のA相ステータ磁極に関わる入力電力は、図14のA相電流IaとA相電圧Vaの積(Ia×Va)である。

0131

θrが22.5°から30°までの間はA相電流Iaが減少して、θrが−7.5°から22.5°までの間に蓄積された磁気エネルギーEmが図6の直流電圧源6Rへ回生されるため、A相電圧Vaは大きな負の電圧となる。回生電力は、その時の(Ia×Va)である。なお、この回生動作の間も、A相電流Iaに比例した起磁力がモータの磁気回路に作用し、A相電流Iaに応じたCCWのトルクが出力される。

0132

θrが30°から35°までの間は、A相電流Iaがさらに減少し0になるまで、磁気エネルギーEmの回生動作が継続される。この間は、ロータ磁極1KがA相ステータ磁極11から離れていく区間であり、CCWへ回転している状態でCWトルクを発生する。即ち、負のトルクであり、発電をすることになり、この発電電力図6の直流電圧源6Rへ回生される。

0133

前記の、θrが22.5°から35°までの間の回生電力は、図11の磁気エネルギーEmに関わっていて大きな値であり、回生方法が本発明の課題の一つである。この時の回生電力(Ia×Va)と回生電圧は、図14のAB相電圧Vab、BC相電圧Vbc、CA相電圧Vcaの電圧波形に大きく影響する。

0134

B相電圧VbはVaより位相が30°遅れていて、C相電圧VcはVaより位相が60°遅れている電圧波形となる。

0135

次に、図1のリラクタンスモータへ実際に巻回しているAB相全節巻き巻線1DのAB相電流Iabは(1)式の関係であり、図14のAB相電流Iabとなる。BC相全節巻き巻線1EのBC相電流Ibcは(2)式の関係であり、図14のBC相電流Ibcとなる。CA相全節巻き巻線1FのCA相電流Icaは(3)式の関係であり、図14のCA相電流Icaとなる。

0136

各相電流Ia、Ib、Icの通電時間の比率が約1/3であるのに対し、AB相電流Iab、BC相電流Ibc、CA相電流Icaの通電時間の比率が約2/3と、約2倍になっている。また、集中巻き巻線の場合の相電流の電流波形と、全節巻き巻線の場合の電流波形は異なる形状であるが、各スロットに流れる電流の合計は両方式で、常時同じである。その意味でも、両方式で生成される各ステータ磁極の磁束、発生するトルクは同じである。

0137

図1のAB相全節巻き巻線1DのAB相電圧Vabは、その鎖交磁束から(27)式の値となる。各相の相電圧Va、Vb、Vcに関わる複雑な電圧となり、図14のVabの電圧波形となる。ここで、全節巻き巻線であるAB相巻線WabのAB相電圧VabとAB相電流Iabについて考察する。図14において、θrが−7.5°から0°の間は、AB相電流Iabを0から1.0へ増加する区間であるが、AB相電圧Vabは1.0を超える大きな電圧となっており、Vabの全区間の中でも特にAB相電流Iabの増加が困難な区間となっている。中でもC相電圧Vcの回生電圧が不利に働いている。

0138

この現象は、図5の従来の駆動回路で図1の全節巻き巻線のリラクタンスモータを駆動する上で大きな問題である。AB相全節巻き巻線1DへAB相電流Iabの通電を開始し、増加させるタイミングで、C相の影響によりAB相全節巻き巻線1Dに大きな逆電圧が発生し、電流制御が妨げられる現象となる。各相の電流制御が、相互に逆電圧を発生して、電流制御が妨げられる。

0139

θrが52.5°から65°の間は、AB相電流Iabを1.0から0へ減少する区間であるが、AB相電圧Vabは−1.0を超える負の電圧となっており、Vabの全区間の中でも特にAB相電流Iabの減少が困難な区間となっている。中でもB相電圧Vbの回生電圧が不利に働いている。

0140

この様に、AB相巻線Wabの電流制御は、そのAB相電圧Vabが(27)式に示すように、各相の磁束が鎖交するため、大きな問題となる。部分的に大きな電圧が発生する問題と、電流の増減を妨げる電圧が発生する問題とがある。図5の従来の駆動回路である場合、直流電圧源5Bへの電圧負担、駆動用各トランジスタの電圧負担が大きくなる。しかも、直流電圧源5Bの電圧を大きくすると、問題となっている前記のC相電圧Vcの回生電圧およびB相電圧Vbの回生電圧も同じだけ大きくなるので、単純には解決できない。また、AB相電圧Vabが複雑になり、電圧、電流の制御が難しくなる問題もある。

0141

BC相全節巻き巻線1EのBC相電圧Vbcは(29)式の関係であり、AB相電圧Vabに比較して位相が30°遅れている。CA相全節巻き巻線1FのCA相電圧Vcaは(31)式の関係であり、AB相電圧Vabに比較して位相が60°遅れている。

0142

また、実際の電流制御は、通常、各トランジスタでPWM制御を行って、任意の等価平均電圧、電流を得ているので、厳密には少し異なる点がある。また、精密な電流制御をPWM制御で行うためには、図6では記載を省略しているが、各相の電流値を検出する電流検出手段とその電流検出信号を用いたフィードバック制御が必要である。エンコーダによるロータ回転角位置θrの検出も必要である。

0143

また、ステータ磁極およびロータ磁極の円周方向幅を図1の30°から35°、あるいは、40°などへ広げることもできる。円周方向幅を広げた角度だけ、磁気エネルギーEmの回生動作の時間の自由度が増す。但しその場合、スロット断面積が減少するので、その分だけ巻線抵抗が増加し、銅損が増加する。

0144

次に、この図6の駆動回路の利用効率について説明する。図1の各全節巻き巻線をそれぞれ並列する2つの全節巻き巻線へ変更した図2のリラクタンスモータを示した。電磁気的には等価に動作できる。この図2のリラクタンスモータを図6の駆動回路で駆動する利点の一つは、駆動回路の小型化である。

0145

図1の3個の全節巻き巻線を図5の従来の駆動回路で駆動する場合、A相ステータ磁極11とA/相のステータ磁極12を、巻線17、18のAB相全節巻き巻線と巻線1B、1CのCA相全節巻き巻線へ通電して駆動する。このように、二つの経路から電力供給が可能であって、もし電圧過大などの問題が無ければ、図5の従来の駆動回路の最大出力Pfmaxは次式とできる可能性が有る。
Pfmax=Vdc×Irat×2 (37)
ここで、Vdcは電源電圧、Iratはトランジスタの電流容量である。

0146

一方、図83の831はA相のステータ磁極で、集中巻巻線837、838と83C、83DへA相電流Iaを通電して駆動する。この条件での図5の従来の駆動回路の最大出力Pcmaxは、3相中の一つの経路から電力供給するので、次式となる。
Pcmax=Vdc×Irat (38)

0147

(37)式の最大出力Pfmaxは、(38)式の最大出力Pcmaxの2倍となる。しかし、図5の従来の駆動回路では、巻線電圧が(27)、(29)、(31)式のような特性となり、電圧が複雑となり、かつ、高速回転の重負荷時には過大電圧が発生する問題があった。そのため、(37)式の最大出力Pfmaxを得ることができない。

0148

次に、図6の本発明の駆動回路と図1の全節巻き巻線のリラクタンスモータで駆動する場合の、駆動回路の利用効率について説明する。前記のように、図6の駆動回路で駆動するために、図1の各相の全節巻き巻線を並列した2組の巻線としている。コイルエンド部が1DのAB相全節巻き巻線をw1とw4とし、1FのCA相全節巻き巻線をw2とw5とし、1EのBC相全節巻き巻線をw3とw6としている。図6の巻線67はw1、68はw2、69はw3、6Aはw4、6Bはw5、6Cはw6の構成である。

0149

今、図1のθr=10°の状態でCCWトルクを生成する場合、A相ステータ磁極11とA/相ステータ磁極12を励磁するために、AB相全節巻き巻線w1、w4のAB相電流Iab1、Iab2へA相の集中巻き巻線に換算した電流(Ia/2)をそれぞれ通電する。同時に、CA相全節巻き巻線w2、w6のCA相電流Ica1とIca2へもA相の集中巻き巻線に換算した電流(Ia/2)をそれぞれ通電する。

0150

図6においてこれらの電流は、トランジスタ61から巻線67(w1)を通り、ダイオード6Qを通り、巻線6C(w6)を通り、トランジスタ66を通って電流(Ia/2)を通電する。同時に、トランジスタ63から巻線69(w3)を通り、ダイオード6Mを通り、巻線6A(w4)を通り、トランジスタ64を通って電流(Ia/2)を通電する。その後、ロータの回転に伴って、B相ステータ磁極13とB/相ステータ磁極14、そして、C相ステータ磁極15とC/相ステータ磁極16の励磁へ移行し、通電する電流を、順次、切り替えていく。

0151

前記の通電状態における、図6の本発明の駆動回路の電力供給の最大出力Pnmaxは、二つの経路で供給しているので次式となる。
Pnmax=Vdc×Irat×2 (39)
(39)式の最大出力Pnmaxは、従来の集中巻き巻線のリラクタンスモータを図5の従来の駆動回路で駆動した(38)式の最大出力Pcmaxの2倍の値となる。図6のトランジスタの数は、図5のトランジスタの数と同じ6個であり、駆動回路の小型化が可能となる。

0152

なお、先に説明したように、図6では、直列接続する2つの巻線の電圧和が(32)、(33)、(34)式のように、(22)の電圧成分が相殺する構成なので、高速回転の重負荷時における過大電圧を低減し、ロータの回転に伴う電圧の偏りの問題も解消している。

0153

以上、図2に示すリラクタンスモータの全節巻き巻線を、図6の駆動回路で効率良く駆動する例を説明した。集中巻き巻線に比較して、全節巻き巻線の抵抗値を1/2に低減することができるので、銅損を低減することができる。それは、A相ステータ磁極11とA/相ステータ磁極12をA相電流成分を通電して励磁する時に、図2に示す全巻線の2/3を使用していることからも、相対的に推定できる。集中巻き巻線の場合は1/3の巻線しか利用できない。

0154

また、図6の駆動回路における巻線配置により、(20)、(21)、(22)式、および、(27)、(29)、(31)式で示した、電圧複雑化の問題、過大電圧の問題、ロータの回転に伴う電圧の偏りの問題を、(32)、(33)、(34)式の電圧関係の巻線配置を実現することにより解消した。また、図6の駆動回路では、常時、二つの経路で電力を供給できるため、同じトランジスタ数で2倍の電力を供給できるので、駆動回路の小型化が可能であることを示した。

0155

なお、主流のモータとして多く使用されている3相交流、正弦波電圧、正弦波電流の永久磁石応用同期モータの駆動回路は、6個のトランジスタでPWM制御して電圧、電流を制御している。通常、星形結線の3端子の巻線で、一つの経路分の電力しか供給できないので、その最大出力Psmaxは、(38)式と同じで、次式となる。
Psmax=Vdc×Irat (40)
従って、図6の本発明の駆動回路と全節巻きリラクタンスモータの各巻線の接続方法は、現行の永久磁石応用同期モータの駆動回路に比較し、1/2に小型化、低コスト化できる可能性が有る。

0156

また、ブラシ付き直流モータの駆動回路は、4個のトランジスタを使用して一つの経路で電力を供給する。従って、図6の本発明の駆動回路は、ブラシ付き直流モータの駆動回路よりも小型化できる可能性が有る。

0157

図6の駆動回路で駆動可能なリラクタンスモータモータの第1の条件は、各図で示しているように、各ステータ磁極を直流電流で励磁することによりロータ磁極を吸引して回転トルクを順次生成するモータ構成である。なお、各磁極の形状は図2のような矩形状の突極に限定せず、円周方向幅も必要なモータ特性に応じてある程度可変できる。第2の条件は、スロットに配置している巻線により、その巻線の円周方向の両隣のステータ磁極を励磁することが可能なことである。即ち、巻線を共用できることである。(1)、(2)、(3)式の関係である。例えば、図2図4で示した全節巻きのモータである。逆に、図83などのリラクタンスモータは各ステータ磁極へ専用の集中巻線を巻回しており、共用できないので、図6の駆動回路で駆動できない。第3の条件は、(22)式の電圧成分が相殺できるような2つの巻線の直列接続が可能なことである。

0158

一方、図6の駆動回路の構成の第1の条件は、前記のように、(22)式の電圧成分が相殺されるように、(32)、(33)、(34)式の関係で該当する2つの巻線を直列に、かつ、相互に接続することである。第2の条件は、(1)、(2)、(3)式の関係の電流の2つの経路の電流を同時に通電できることである。さらに言えば、(1)、(2)、(3)式の関係の全ての電流を同時に通電することもできる。なお、図6の駆動回路例での巻線配置順は、(1)、(2)、(3)式の配置順としている。また、図6の駆動回路での巻線配置順は、同相の巻線は逆に配置しても等価なので、巻線配置順として紙面上の配置を書き換え、変換することもできる。

0159

また、図6の駆動回路では、巻線6Cの一端がダイオード6Qのカソードに繋がっていて、駆動回路全体が循環するような例を示していて、各巻線の駆動を効率良くできている。しかし、種々の変形も可能である。例えば、巻線6Cの一端へ電流を供給するトランジスタと、ダイオード6Qの電流を通電するトランジスタを追加すれば、駆動回路全体が循環しないような形態へ変更することもできる。また、各トランジスタの位置、各巻線の位置を変えることも可能である。そのような、本発明の趣旨の範囲内である駆動回路は本発明に含まれるものである。

0160

次に、請求項1の駆動回路の他の実施例を図7に示し、説明する。図1のモータは、全節巻き巻き線の数が3個と少なく、奇数でもあり、2個の巻き線を直列にして相互に通電する方法の場合、非対称な部分が必要となるため回路的な負担が発生する。この回路的な負担を解消するため、図2に示したように、各相巻き線を並列の巻き線の構成として、6個の巻き線として図6の駆動回路で駆動する例を示した。図6では、各相の電圧、電流を2組に分けて駆動しているので、トランジスタの数が6個と多くなっているが、前記の回路的な負担は発生しておらず、各トランジスタの電流値は1/2なので、全トランジスタの電流の総容量は小さな値となっていて、単純に論理的に考えるとインバータを小型化できることになる。

0161

図7は、図1の3個の全節巻き巻線を直接駆動する方法である。図1に比較すると、紙面で右半分を削除している。トランジスタ61、62、63、巻線67、68、69、および、それらの周辺のダイオード6D、6E、6F、6K、6Lは、図6と同じ配置、構成である。新たに、トランジスタ71とダイオード72、73を追加している。これらは、前記の非対称性を補うための回路的な負担に相当する。また、図7では、図1の各巻線が図2の巻線のように並列巻線とはしていないので、各部の電流値が図6に比較して2倍の電流値となる。

0162

次に、図7図1との動作について説明する。
AB相の全節巻き巻線67へはAB相電流Iabを通電する。BC相の全節巻き巻線69へはBC相電流Ibcを通電する。CA相の全節巻き巻線68へはCA相電流Icaを通電する。各電流は、(1)、(2)、(3)式の関係になっている。A相電流成分Iaは、トランジスタ61からAB相の全節巻き巻線67を通り、ダイオード6Kを通り、CA相の全節巻き巻線68を通り、トランジスタ62を通って制御する。C相電流成分Icは、トランジスタ63からBC相の全節巻き巻線69を通り、ダイオード6Lを通り、CA相の全節巻き巻線68を通り、トランジスタ62を通って制御する。B相電流成分Ibは、トランジスタ63からBC相の全節巻き巻線69を通り、ダイオード73を通り、AB相の全節巻き巻線67を通り、トランジスタ71を通って制御する。

0163

前記のB相電流成分Ibの制御において、Ibの通電がIa及びIcの通電と重なる場合に、図6とは異なる電圧の干渉が発生し、制御的な工夫が必要である。(26)から(34)式の関係で、電圧波形的には図14の関係である。これら3個の巻線のうち2個の巻線を直列にして制御するので、(32)、(29)、(34)式に示したように、他の相の磁束変化に起因するような過大電圧の悪影響を受けずに電流制御を行うことができる。

0164

図83の従来モータを図5の回路で駆動する場合と比較すると、図1のモータの巻線は全節巻きなのでスロット内銅損を1/2の低減でき、図7のトランジスタの数は4個なので全トランジスタの総電流容量を4/6=2/3に低減できる。但し、各電流成分Ia、Ib、Icの内、複数の電流を同時に通電する場合は、電圧、電流関係が少し複雑になるので、制御的な配慮が必要となる。

0165

次に、請求項1の駆動回路の他の実施例を図8に示し、説明する。前記の図7図6に比較し、トランジスタ81、ダイオード82、83、84を追加している。図8の駆動回路では、B相電流成分Ibは、トランジスタ61からAB相の全節巻き巻線67を通り、ダイオード84を通り、トランジスタ81で通電する。もう一方のB相電流成分Ibは、トランジスタ63からBC相の全節巻き巻線69を通り、ダイオード83を通り、トランジスタ81で通電する。巻線67と69のB相電流成分Ibを、トランジスタ81で並行して通電する。この場合には、図14にその電圧例を示すように、他の相の磁束変化に起因する過大電圧の悪影響を受けることになるが、トランジスタ81は両巻線に2倍の電圧を印加できる構成なので電圧問題は解消できる。電圧的な干渉問題は少ない。但し、トランジスタ81はB相電流成分Ibを並行して通電するため、他のトランジスタの2倍の電流容量が必要となる。

0166

また、前記のように、トランジスタ81は巻線67と69のB相電流成分Ibを通電するが、巻線67と69の動作状態は同じではないので両巻線の電圧が異なる。この問題を解消するため、トランジスタ81を2個のトランジスタ811と812に分けることもできる。トランジスタ811で巻線67のB相電流成分を通電し、トランジスタ812で巻線69のB相電流成分を通電する方法である。トランジスタを1個追加することになるが、巻線67と69のB相電流成分を、別々に駆動するので、電圧、電位の問題をより軽減し、解消することができる。

0167

なおここで、AB相の全節巻き巻線67の電圧は(26)、(27)式となり、A、B、C相の磁束の影響を受け、同時に、逆に、巻線67へ流れる電流はA、B、C相の各相の磁極へ電磁気的な影響を与える関係となっている。そして、巻線67と69の両巻線へB相電流成分Ibを正確に通電することにより、A相磁極とC相磁極に与えるB相電流成分Ibの電磁気的な影響が相殺される関係となっている。即ち、この時、両巻線のB相電流成分IbはB相ステータ磁極とB/相ステータ磁極にのみB相電流成分Ibの起磁力を印可することになる。

0168

他の例として、図8において、トランジスタ69と81はオフの状態で、トランジスタ61と62により巻線67と69にある電流Ixxを通電する時、(4)、(5)、(6)式より、自動的に、IxxはA相電流成分となり、B相磁極とC相磁極に与える電磁気的な影響は相殺される関係となっている。

0169

次に、請求項1の駆動回路の他の実施例を図9に示し、説明する。前記の図85図6に比較し、巻線間のダイオード6K、6Lを取り除き、トランジスタ91、ダイオード92を追加している。図9の回路の動作は図85回路動作と類似しているが、前記ダイオードが無いので、各巻線間の電圧の相互影響が発生する。図9の場合、巻線67と69にとって巻線68が共通の直列巻線であるため、(33)、(34)式の関係を保って、巻線間の電圧の相互影響が少なく制御することが可能である。

0170

しかし、巻線の数が巻線の数が4個以上になると、巻線間のダイオードが無い場合には、相互の電圧干渉の問題が増加するので、(32)、(33)、(34)式のような関係が保てなくなり、ステータ磁極の両隣の巻線を直列に接続して、他の相の磁束成分に起因する電圧の影響を相殺し、排除するという効果が薄れる。図6の駆動回路は巻線数が6個であり、各巻線間のダイオードで相互の電圧干渉を軽減している。各巻線間のダイオードを取り除いても通電可能ではあるが、2つ以上の電流を同時に通電すると、(26)から(34)式の関係を保てなくなる。そして、駆動回路の電圧負担が増加するので、各巻線の巻回数を少なくして低電圧化し、大電流化せざるを得なくなる。その結果、各巻線間のダイオードを取り除いたインバータでは、各トランジスタの総電流容量が増加するので、大型化、高コスト化することになる。

0171

次に、請求項1の他の実施例を図15に示し、説明する。図15のリラクタンスモータは、図1を2極対化したモータで、ステータには12個の突極状のステータ磁極と各巻線とを備えている。各巻線は電気角180°ピッチの全節巻きで、各スロットに1相の巻線を集中して巻回した集中巻きの構成であり、全部で6個の全節巻き巻線である。ロータには8個の突極状のロータ磁極を備えている。ステータ磁極とロータ磁極の円周方向幅は、電気角で30°、機械角で15°の例である。図2において各スロットの全節巻き巻線を並列配置した2個の全節巻き巻線に分割した巻線条件類似条件とする。即ち、それぞれの巻き回数は(Nwa/2)とする。例えば、2つのAB相巻線の通電電流は(Iab/2)とする。他の2つのBC相巻線、2つのCA相巻線も同様である。この時、図15の各巻線の電圧、電流は、図2の場合と駆動周波数は異なるが、おおよそ類似した特性となる。

0172

図15の15Aと15DはA2相ステータ磁極で、15A/と15D/はA2/相ステータ磁極である。15Bと15EはB2相ステータ磁極で、15B/と15E/はB2/相ステータ磁極である。15Cと15FはC2相ステータ磁極で、15C/と15F/はC2/相ステータ磁極である。

0173

151はAB2相巻線で、駆動回路図6の67であり、Iab1の電流を通電する。154もAB2相巻線で、駆動回路図6の6Aであり、Iab2の電流を通電する。

0174

152はBC2相巻線で、駆動回路図6の6Cであり、Ibc2の電流を通電する。155もBC2相巻線で、駆動回路図6の69であり、Ibc1の電流を通電する。153はCA2相巻線で、駆動回路図6の6Bであり、Ica2の電流を通電する。156もCA2相巻線で、駆動回路図6の68であり、Ica1の電流を通電する。

0175

なお、電流Iab1とIab2、は異なる回路部へ流れる電流だが、同じ位相、振幅の電流である。従って、図6回路図上で、図15の巻線151と154の巻線位置を相互に入れ替えることもできる。
同様に、図6の回路図上で、図15の巻線152と155、153と156とをそれぞれ入れ替えることもできる。特に、図15は、各巻線のコイルエンド部の偏りとコイルエンド相互の重なり具合バランスして、巻線の製作性に優れる巻線配置の例である。例えば最初に、巻線152と154と156を巻回し、次に、巻線151と153と155を最短で巻回することができる。

0176

なお、2極対の全節巻き巻線で構成する図15のリラクタンスモータは12個のスロットと巻線を備えていて、その巻線の中に同一の位相の巻線が2個ずつあり、全く逆方向の電流を通電する巻線も2個ずつある。従って、コイルエンド部の巻線接続先には2個スロットを選択するの自由度がある。即ち、ある電磁気的作用をするモータについて巻線の接続関係まで一概に限定できない。従って、図15に示した各巻線と図6に示した各巻線の対応関係は種々の変形が可能である。さらには、波巻きへの変形も可能であり、種々組み合わせも可能である。

0177

また、図15のリラクタンスモータは、モータを合理的に製作するために、全節巻き巻線としているが、それはある意味で巻線接続の制約である。即ち、各巻線は、電気角で180°の位相差を持つ2個のスロットの巻線のどちらかへ接続しなければならない。その観点では、図15に示した各巻線と図6に示した各巻線の紙面上の配置順、および、CCW方向回転時の時間的な通電順は、図2の場合と異なる点が出てくる。なお、次に示す図16の実施例では、トロイダル状の環状巻線の例であり、コイルエンド部でのスロット間の巻線接続が無い例であり、前記の巻線接続の制約がない。

0178

以上説明したように配置し、ロータの回転と共に各相電流を通電してトルクを発生し、ロータを回転駆動することができる。図15のリラクタンスモータを駆動回路図6で駆動する方法、特徴などの得られる効果などは、図2のリラクタンスモータを駆動回路図6で駆動する場合と同じである。即ち、図83の集中巻き巻線に比較して、全節巻き巻線の抵抗値を1/2に低減することができ、また、常時、二つの経路で電力を供給できるので、同じトランジスタ数で2倍の電力を供給でき、駆動回路の小型化が可能である。この時、電圧複雑化の問題、過大電圧の問題、ロータの回転に伴う電圧の偏りの問題を、(32)、(33)、(34)式の関係とすることにより解消できる。

0179

また、図15のリラクタンスモータは、図1を2極対化したモータなので、各相の全節巻き巻線が各相2個づつ、合計6個あり、駆動回路図6での駆動に都合が良い。従って、図2の場合、各スロットの全節巻き巻線を2つに分けて並列配置した例を示したが、図15の場合はその必要が無く、全節巻き巻線を比較的簡素にすることができる。

0180

しかし、各巻線の鎖交磁束はモータ各部形状誤差などもあるため、各相の鎖交磁束、発生電圧に誤差が発生する。鎖交磁束及び電圧をより厳密に扱いたい場合は、図2のモータの様に並列巻線とすることもできる。即ち、図15のモータの場合、例えば、AB3相巻線は、151、154の2つの巻線があるので、これらをそれぞれ並列巻線とし、2つの巻線を直列接続した2組のAB3相巻線を作り、それらを図6のAB相巻線67(w1)と巻線6A(w4)として配置する方法である。2組のAB3相巻線の鎖交磁束が等しくなる。BC3相巻線、CA3相巻線も同様である。また、図1を4極対化したモータの場合、2個の同相の全節巻き巻線を直列に接続し、図6の駆動回路で駆動できる。あるいは、図6の駆動回路を2倍に拡張し、12個の全節巻き巻線を12個のトランジスタで駆動することもできる。この様な変形も本発明に含むものである。

0181

次に、請求項1の他の実施例を図16に示し、説明する。巻線を除いて、各ステータ磁極、各ロータ磁極は前記の図1と同じである。各スロットごとの巻線を個別に巻回する方法である。16JはA3相ステータ磁極、16KはA3/相ステータ磁極、16LはB3相ステータ磁極、16MはB3/相ステータ磁極、16NはC3相ステータ磁極、16PはC3/相ステータ磁極である。

0182

図16のスロット内の巻線167は、図1のAB相巻線のスロット内の巻線17と同じで、AB3相巻線ある。しかし、全節巻きではなく、スロットからコイルエンド部164を通ってバックヨークの外側の巻線162へ巻回している。161は巻線167の断面形状を示し、163は巻線162の断面形状の例を示している。この巻線の形態は環状巻線、あるいは、トロイダル巻線とも言われる。図16の168もAB3相巻線で、同様に、コイルエンド部16Hを通ってバックヨークの外側の巻線16Fへ巻回するトロイダル状の環状巻き巻線である。巻線168の巻線の向きが巻線167の逆方向である。16Eは巻線168の断面形状を示し、16Gは巻線16Fの断面形状の例を示している。同様に、169、16AはBC3相巻線で、16N、16PはCA3相巻線である。

0183

巻線167、168の環状巻き巻線の鎖交磁束は前記の全節巻き巻線の鎖交磁束の半分になるので、両モータにおける巻線の電圧を揃えるために、環状巻き巻線の巻き回数を図1の2倍のNwaとする。これは、磁束と巻き回数の積である磁束鎖交数Ψを、図1の値と揃えることでもある。また、図16図1の両モータが発生するトルクを同じ値に揃えるためには、各スロットに通電する電流と巻き回数の積[A×turn数]を同じ値に揃える必要がある。従って、図16のAB3相巻線167、168へは、それぞれ、AB3相電流として、Iab/2=(Ia+Ib)/2を通電する。

0184

同様に、図16の169、16AはBC3相巻線で、図16のAB3相巻線167、168と同様に、バックヨークの外側へ巻回する。これらのBC3相巻線169、16Aへは、それぞれ、BC3相電流として、Ibc/2=(Ib+Ic)/2を通電する。図16の16B、16CはCA3相巻線で、それぞれ、CA3相電流としてIca/2=(Ic+Ia)/2を通電する。このような各相電流を通電する時、図16の各相電流がモータ内部で発生し、作用する起磁力は、図1図2の各相電流の起磁力と同じになる。

0185

次に、図16のAB3相巻線167、168とCA3相巻線16B、16Cの電圧を、図4の巻線43、45、46,48、および、各磁束φ1、φ2、φ3、φ4を使って説明する。図16の巻線167の電圧をVw11、168の電圧をVw12、16Bの電圧をVw21、16Cの電圧をVw22とする。図4における各磁束との位置と方向の関係から次式のように書ける。
Vw11=Nwx×d(φ1+φ3)/dt (41)
Vw12=Nwx×d(φ2+φ4)/dt (42)
Vw21=Nwx×d(φ1−φ4)/dt (43)
Vw22=Nwx×d(φ2−φ3)/dt (44)
これらの各電圧は、(20)、(21)、(22)式とは異なる電圧となる。そして、図4を横切る他の相の磁束φ3、あるいは、φ4を含んでおり、(20)、(21)式と同様に、複雑な電圧となり、過大な電圧を発生する。

0186

巻線167と16Cとを直列に接続した場合の電圧は次式となる。
Vw11+Vw22=Nwx×d(φ1+φ2)/dt (45)
巻線16Bと168とを直列に接続した場合の電圧は次式となる。
Vw21+Vw12=Nwx×d(φ1+φ2)/dt (46)
(45)、(46)式では、図4のAX相とAX/相ステータ磁極を通る磁束φ1とφ2だけとすることができ、他の相の磁束φ3、及び、φ4を排除できたので、簡素な電圧となり、過大な電圧は発生しない。磁束(φ1+φ2)は図16のA3相ステータ磁極16Jを通過するA3相磁束φa3に相当する。

0187

これらの巻線と鎖交磁束と電圧の関係を図16の各巻線へ適用し、次式の関係となる。
Vabt1+Vcat2=Nwa×d(φa3)/dt=Va3 (47)
Vabt2+Vcat1=Nwa×d(φa3)/dt=Va3 (48)
Vbct1+Vabt2=Nwa×d(φb3)/dt=Vb3 (49)
Vbct2+Vabt1=Nwa×d(φb3)/dt=Vb3 (50)
Vcat1+Vbct2=Nwa×d(φc3)/dt=Vc3 (51)
Vcat2+Vbct1=Nwa×d(φc3)/dt=Vc3 (52)
ここで、巻線167の電圧をVabt1、巻線168の電圧をVabt2、巻線169の電圧をVbct1、巻線16Aの電圧をVbct2、巻線16Bの電圧をVcat1、巻線16Cの電圧をVcat2とする。A3相ステータ磁極16Jへ巻き回数Nwaの集中巻き巻線を巻回したと仮定した電圧をA3相電圧Va3とする。同様に、B3相ステータ磁極16LのB3相電圧をVb3、C3相ステータ磁極16NのC3相電圧をVc3とする。

0188

なお、巻線167と16Cとを直列に接続したときの両巻線の鎖交磁束の合計は、図83の巻線837の集中巻き巻線の鎖交磁束であるA相磁束φaに相当する。同様に、巻線16Bと168とを直列に接続したときの両巻線の鎖交磁束の合計も、図83の集中巻き巻線83CのA相磁束φaに相当する。

0189

図16図83の巻線で機能的に異なる点は、図16の各環状巻き巻線は円周方向の両隣のステータ磁極を励磁することが可能であって共用することが可能な共用の巻線であり、図83の巻線837、838はA相ステータ磁極831を励磁する専用の巻線である点である。そして、図16の各環状巻き巻線のスロット内の巻線抵抗は、図83の各巻線のスロット内の巻線抵抗の1/2に低減することが可能である。

0190

次に、図16の各巻線と図6の駆動回路の各巻線との対応関係、及び、通電する各電流について説明する。図16のAB3相巻線167は、図6の67として接続し、AB3相電流であるIab1=Iab/2を通電する。167の近傍には、他のモータとの共通記号である巻線番号w1と電流名称Iab1を括弧付きで付記している。同様に、AB3相巻線168は、図6の6Aとして接続し、AB3相電流であるIab2=Iab/2を通電する。168にの近傍には、巻線番号w4と電流名称Iab2を括弧付きで付記している。BC3相巻線169は、図6の69として接続し、BC3相電流であるIbc1=Ibc/2を通電する。169にの近傍には、巻線番号w3と電流名称Ibc1を括弧付きで付記している。BC3相巻線16Aは、図6の6Cとして接続し、BC3相電流であるIbc2=Ibc/2を通電する。16Aにの近傍には、巻線番号w6と電流名称Ibc2を括弧付きで付記している。CA3相巻線16Bは、図6の6Bとして接続し、CA3相電流であるIca2=Ica/2を通電する。16Bにの近傍には、巻線番号w5と電流名称Ica2を括弧付きで付記している。CA3相巻線16Cは、図6の68として接続し、CA3相電流であるIca1=Ica/2を通電する。16Cにの近傍には、巻線番号w2と電流名称Ica1を括弧付きで付記している。各電流Iab、Ibc、Icaは(1)、(2)、(3)式の関係である。

0191

次に、図16の各巻線を図6の駆動回路に発生する各巻線の電圧について説明する。図6の巻線67とダイオード6Kと巻線68の間の電圧は、図16の巻線167と巻線16Cとを直列接続した電圧であり、(47)式で示され、両巻線がそれぞれ鎖交する他の相の磁束に起因する電圧成分が相殺され、A3相電圧Va3の電圧となる。即ち、(41)、(44)式の磁束φ3に起因する電圧成分は相殺されている。なおここで、ダイオード6Kの電圧降下は小さいので無視している。

0192

同様に、図6の巻線69とダイオード6Lと巻線68の間の電圧は、図16の巻線169と巻線16Cとを直列接続した電圧であり、(52)式で示され、他の相の磁束に起因する電圧成分が相殺され、C3相電圧Vc3の電圧となる。

0193

同様に、図6の巻線69とダイオード6Mと巻線6Aの間の電圧は、図16の巻線169と巻線168とを直列接続した電圧であり、(49)式で示され、他の相の磁束に起因する電圧成分が相殺され、B3相電圧Vb3の電圧となる。

0194

同様に、図6の巻線6Bとダイオード6Nと巻線6Aの間の電圧は、図16の巻線16Bと巻線168とを直列接続した電圧であり、(48)式で示され、他の相の磁束に起因する電圧成分が相殺され、A3相電圧Va3の電圧となる。

0195

同様に、図6の巻線6Bとダイオード6Pと巻線6Cの間の電圧は、図16の巻線16Bと巻線16Aとを直列接続した電圧であり、(51)式で示され、他の相の磁束に起因する電圧成分が相殺され、C3相電圧Vc3の電圧となる。

0196

同様に、図6の巻線67とダイオード6Qと巻線6Cの間の電圧は、図16の巻線167と巻線16Aとを直列接続した電圧であり、(50)式で示され、他の相の磁束に起因する電圧成分が相殺され、B3相電圧Vb3の電圧となる。

0197

以上示したように、図6の駆動回路の各トランジスタ間の電圧は、それぞれの2つの巻線が直列に接続されていて、両巻線に鎖交する他の相の磁束に起因する電圧成分が相殺されるような回路構成、巻線配置としている。その結果、図6の駆動回路は、(47)から(52)式のような比較的簡素な電圧を駆動するので、過大な電圧も発生せず、電流の制御性も良く、効率良く駆動できる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ