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技術 反射防止構造体付き光学素子、その製造方法、製造用金型の製造方法及び撮像装置

出願人 株式会社タムロン
発明者 細谷成紀國定照房栗原亮一宮原正明
出願日 2018年8月6日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2018-147425
公開日 2020年2月13日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-024243
状態 未査定
技術分野 光学要素・レンズ プラスチック等の成形用の型 光学要素の表面処理 スタジオ装置
主要キーワード プレス空間 光学素子形成 円筒材 突出距離 走査型白色干渉計 微細柱 製造形態 研削加工機
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図面 (4)

課題

表面に反射防止構造体を有する光学素子において、入射角度特性に優れる反射防止性能を備え、且つ、プレス成形法で容易に形成可能な光学素子等の提供を目的とする。

解決手段

上記目的を達成するため、レンズ面に反射防止構造体を備える光学素子2であって、前記反射防止構造体は、前記レンズ面へ設けた複数の微細柱状突起3からなり、任意の位置の前記微細柱状突起の光軸方向の突出距離をh、前記レンズ面の中心部に位置する前記微細柱状突起の光軸方向の突出距離をh0としたとき、以下の条件式を満たすことを特徴とする反射防止構造体付き光学素子等を採用する。

概要

背景

従来から、ガラスプラスチック等の光透過性材料を用いた光学素子は、表面反射による透過光損失を低減させるため、光入射面及び光出射面に反射防止膜を設ける等の表面処理が施されている。この反射防止膜は、光学素子を構成する基材より低屈折率物質からなる単層膜、又は、低屈折率の物質と高屈折率の物質とが交互に積層した多層膜であり、蒸着法、スパッタリング法塗装法等により形成されている。

このような反射防止膜は、反射防止効果を向上させるためには、精密な膜厚の制御が必要で、製造においては高精度なプロセスが要求される場合があり、製造コストが上昇する要因となっている。また、反射防止膜は、各膜の表面及び界面で発生する反射光干渉を利用して反射防止を行うため、波長依存性がある。このため、デジタルカメラプロジェクター装置など広い波長帯域を用いる光学機器に対し、良好な反射防止効果を得ることは困難である。また、反射防止膜は、光の入射角度依存性を備えるため、レンズ等の曲率を持つ光学素子に対しては、光入射面及び光出射面の全体で良好な反射防止効果を得ることが困難である。

そこで、以上に述べた反射防止膜に代わる反射防止手段として、入射光波長以下の大きさを持つ微細凹凸構造光学素子表面に設ける方法が検討されてきた。この方法において、微細凹凸構造の突起形状として円錐四角錐等の錐形状を採用すると、界面における急激な屈折率の変化を抑制でき、波長帯域特性や入射角度特性に優れた反射防止性能が期待できる。一方、レンズ等の曲率を持つ光学素子を製造する方法として、プレス成形法がある。このプレス成型法は、同じ形状の光学素子を大量、且つ、安価に生産可能な製造方法である。

上述の反射防止のための微細凹凸構造とプレス成型法とを組み合わせた光学素子の製造方法として、以下のような先行技術が存在する。例えば、特許文献1には、プレス成型法を用いて、光学素子基材の表面に微細凹凸を形成するため、そのレプリカ形状を備える成形型を用い、カルコゲナイドガラスプレス成形することで、赤外光に対し表面での反射を抑制した光学素子を得る方法が開示されている。

概要

表面に反射防止構造体を有する光学素子において、入射角度特性に優れる反射防止性能を備え、且つ、プレス成形法で容易に形成可能な光学素子等の提供を目的とする。上記目的を達成するため、レンズ面に反射防止構造体を備える光学素子2であって、前記反射防止構造体は、前記レンズ面へ設けた複数の微細柱状突起3からなり、任意の位置の前記微細柱状突起の光軸方向の突出距離をh、前記レンズ面の中心部に位置する前記微細柱状突起の光軸方向の突出距離をh0としたとき、以下の条件式を満たすことを特徴とする反射防止構造体付き光学素子等を採用する。

目的

以上のことから、本件出願は、表面に反射防止構造体を有するプレス成形によって得られる光学素子において、入射角度特性に優れる反射防止性能を備えた光学素子、及びその光学素子を容易にプレス成形可能な金型の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

レンズ面に反射防止構造体を備える光学素子であって、前記反射防止構造体は、前記レンズ面へ設けた複数の微細柱状突起からなり、任意の位置の前記微細柱状突起の光軸方向の突出距離をh、前記レンズ面の中心部に位置する前記微細柱状突起の光軸方向の突出距離をh0としたとき、以下の条件式を満たすことを特徴とする反射防止構造体付き光学素子。

請求項2

使用平均波長をλとしたとき、式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の反射防止構造体付き光学素子。

請求項3

使用平均波長をλとしたとき、前記微細柱状突起は、使用平均波長の波長以下の周期性を備えて配列し、配列ピッチが0.2λ〜0.6λの範囲にある請求項1又は請求項2に記載の反射防止構造体付き光学素子。

請求項4

レンズ面に反射防止構造体を備える光学素子であって、前記反射防止構造体は、前記レンズ面へ設けた複数の微細柱状突起からなり、前記微細柱状突起において前記レンズ面の接平面における断面を当該微細柱状突起の底面としたとき、前記レンズ面の縁端部に位置する微細柱状突起の底面が中心部に位置する微細柱状突起の底面よりも大きい、ことを特徴とする反射防止構造体付き光学素子。

請求項5

使用平均波長をλとしたとき、前記微細柱状突起は、レンズ中心部からレンズ縁端部に向かって底面径Dが式(3)に示す範囲で漸次大きくなる請求項4に記載の反射防止構造体付き光学素子。

請求項6

前記反射防止微細形状は、ガラス転移点を有する光学素子基材と同一の材質である請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の反射防止構造体付き光学素子。

請求項7

前記請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の反射防止構造体付き光学素子の製造に用いる金型製造方法であって、以下の工程1及び工程2を備えることを特徴とする金型製造方法工程1:フォトリソグラフィ法を用いて、金型基材フォトレジストを塗工し乾燥させ、外周側が大きくなるようにパターン露光し、現像してエッチングパターンを形成する。工程2:エッチングパターンを形成した後に、金型基材の表面をドライエッチングすることにより、金型基材の表面に反射防止構造体付き光学素子の反射構造体を構成する微細柱状突起のレプリカパターンを形成した製造用金型を得る。

請求項8

前記請求項7に記載の金型製造方法で得られた製造用金型を用いることを特徴とする反射防止構造体付き光学素子の製造方法。

請求項9

前記請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の反射防止構造体付き光学素子を用いたことを特徴とする撮像装置

技術分野

0001

本件発明は、光学機器に用いる反射防止構造体付き光学素子、その製造方法、製造用金型の製造方法及び撮像装置に関する。

背景技術

0002

従来から、ガラスプラスチック等の光透過性材料を用いた光学素子は、表面反射による透過光損失を低減させるため、光入射面及び光出射面に反射防止膜を設ける等の表面処理が施されている。この反射防止膜は、光学素子を構成する基材より低屈折率物質からなる単層膜、又は、低屈折率の物質と高屈折率の物質とが交互に積層した多層膜であり、蒸着法、スパッタリング法塗装法等により形成されている。

0003

このような反射防止膜は、反射防止効果を向上させるためには、精密な膜厚の制御が必要で、製造においては高精度なプロセスが要求される場合があり、製造コストが上昇する要因となっている。また、反射防止膜は、各膜の表面及び界面で発生する反射光干渉を利用して反射防止を行うため、波長依存性がある。このため、デジタルカメラプロジェクター装置など広い波長帯域を用いる光学機器に対し、良好な反射防止効果を得ることは困難である。また、反射防止膜は、光の入射角度依存性を備えるため、レンズ等の曲率を持つ光学素子に対しては、光入射面及び光出射面の全体で良好な反射防止効果を得ることが困難である。

0004

そこで、以上に述べた反射防止膜に代わる反射防止手段として、入射光波長以下の大きさを持つ微細凹凸構造光学素子表面に設ける方法が検討されてきた。この方法において、微細凹凸構造の突起形状として円錐四角錐等の錐形状を採用すると、界面における急激な屈折率の変化を抑制でき、波長帯域特性や入射角度特性に優れた反射防止性能が期待できる。一方、レンズ等の曲率を持つ光学素子を製造する方法として、プレス成形法がある。このプレス成型法は、同じ形状の光学素子を大量、且つ、安価に生産可能な製造方法である。

0005

上述の反射防止のための微細凹凸構造とプレス成型法とを組み合わせた光学素子の製造方法として、以下のような先行技術が存在する。例えば、特許文献1には、プレス成型法を用いて、光学素子基材の表面に微細凹凸を形成するため、そのレプリカ形状を備える成形型を用い、カルコゲナイドガラスプレス成形することで、赤外光に対し表面での反射を抑制した光学素子を得る方法が開示されている。

先行技術

0006

特開2010−72484号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、特許文献1に開示のプレス成型は、成形偏りを抑制するため、被成形物金型の中心部に設置した状態からプレス成形を開始することになる。係る場合、最初から金型と被成形物とが接している光学素子中心部では、プレス時間が長くなり、外周側に向かうほどプレス時間が短くなる。このようにプレス時間の差をもって形成した反射防止構造体は、光学素子の中心部と外周部との間で、凹凸形状の突出距離(高さ)に差が生じる。従って、光学素子の中心部と外周部とで光の反射率差異が生じる。その結果、反射防止構造体が、本来もっている良好な入射角度特性を生かせないという問題があった。

0008

以上のことから、本件出願は、表面に反射防止構造体を有するプレス成形によって得られる光学素子において、入射角度特性に優れる反射防止性能を備えた光学素子、及びその光学素子を容易にプレス成形可能な金型の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0009

上記課題を解決するため、鋭意研究を行った結果、以下に述べる光学素子、製造に用いる金型等に想到した。

0010

A.本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子
本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子は、レンズ面に反射防止構造体を備える光学素子であって、前記反射防止構造体は、前記レンズ面へ設けた複数の微細柱状突起からなり、任意の位置の前記微細柱状突起の光軸方向の突出距離をh、前記レンズ面の中心部に位置する前記微細柱状突起の光軸方向の突出距離をh0としたとき、以下の式(1)を満たすことを特徴とする。

0011

0012

B.反射防止構造体付き光学素子の製造用金型の製造方法
本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子の製造用金型の製造方法は、以下の工程1及び工程2を備えることを特徴とする。

0013

工程1:フォトリソグラフィ法を用いて、金型基材フォトレジストを塗工し乾燥させ、外周側が大きくなるようにパターン露光し、現像してエッチングパターンを形成する。
工程2: エッチングパターンを形成した後に、金型基材の表面をドライエッチングすることにより、金型基材の表面に反射防止構造体付き光学素子の反射構造体を構成する微細柱状突起のレプリカパターンを形成した製造用金型を得る。

0014

C.本件出願に係る光学素子の製造方法
本件出願に係る光学素子の製造方法は、上述の反射防止構造体付き光学素子の製造用金型を用いることを特徴とする。

0015

D.本件出願に係る撮像装置
本件出願に係る撮像装置は、上述の反射防止構造体付き光学素子を用いたことを特徴とする。

発明の効果

0016

本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子は、その光学面に設けた反射防止構造体を構成する微細柱状突起の突出距離が略均一となるものであるため、光学素子として波長帯域特性及び入射角度特性に優れる反射防止性能を発揮する。その結果、レンズ面の全体で良好な反射防止効果を得ることができる。また、本件出願は、反射防止構造体を構成する微細柱状突起の突出距離がレンズ面の全体で略均一となるような製造方法として、微細柱状突起のプレス法による形成は、微細柱状突起の底面径が大きい程、転写が容易となることを見いだし、光学素子の中心部の細柱状突起の底面径に比べ、外縁部の細柱状突起の底面径を大きく設計することにした。その結果、プレス時間の短縮化を図ると同時に、レンズ面の全体で微細柱状突起の突出距離が均一となり、高い反射防止効果を備える光学素子の提供が可能となった。

図面の簡単な説明

0017

本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子の模式断面図である。
突出距離を説明するための概念図である。
反射防止構造体を構成する微細柱状突起の底面径の変化を説明するための概念を示す模式図である。

0018

以下、本件発明に係る光学素子、製造に用いる金型等の実施の形態に関して詳説する。

0019

A.反射防止構造体付き光学素子の形態
本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子の反射防止構造体は、レンズ面への入射光の反射防止可能な複数の微細柱状突起で構成したものである。そして、本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子の特徴は、微細柱状突起の光軸に沿った突出距離hが均一な状態で、レンズ面の全域に存在する点にある。その結果、本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子1は、中心部から外縁部にかけて存在する微細柱状突起の突出距離が均一に近いものとなる。

0020

本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子の模式断面図を、図1に示している。この反射防止構造体は、光学素子2のレンズ面の少なくとも一面側に設けられるものである。そして、反射防止効果をより確実に得るためには、図1に示すようにレンズ面の両面に反射防止構造体を構成する微細柱状突起3を設けることが好ましい。なお、図1に示した微細柱状突起3は、厳密な微細柱状突起3の存在形態を示しているのではなく、単なる存在位置を示すためのイメージである。以下、本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子1の構成要素毎に詳説する。

0021

A−1.反射防止構造体付き光学素子で使用可能な光学素子
ここでいう光学素子2に関しては、プレス成形によって形成できる光学素子であれば、平面、球面、非球面、自由曲面等のいかなるレンズ面形状でも構わない。また、光学素子全体の形状として特段の限定は無く、円形矩形三角形状等の任意の形状を採用可能である。一例として、図1(a)にはメニスカスレンズを、図1(b)には両凹レンズ掲載している。

0022

A−2.反射防止構造体
本件出願における反射防止構造体は、図1から理解できるように光学素子2のレンズ面に配置するもので、使用平均波長以下のサイズ複数の微細柱状突起3で構成したものであり、波長帯域特性及び入射角度特性に優れた反射防止効果を発揮する。本件出願においては、レンズ面にある任意の位置の微細柱状突起の光軸方向の突出距離をh、レンズ面の中心部に位置する前記微細柱状突起の光軸方向の突出距離をh0としたとき、上述の式(1)の条件を満たすことが求められる。

0023

微細柱状突起の突出距離: 微細柱状突起の突出距離hとは、次のような概念を適用したものである。図2には、レンズ面に存在する微細柱状突起のイメージを示しており、突出距離hの説明を行うためのものである。よって、図2には一つの微細柱状突起のみを抽出したようにして示している。そして、この図2の中には、光軸方向を表す光軸平行線Op(=光軸と捉えて良い。)を示している。「微細柱状突起の底面の中心部を通り光軸平行線Opと直交する線NB」と「微細柱状突起の先端側を通り光軸平行線Opと直交する線NT」とを想定し、線NBと線NTとの距離を、「微細柱状突起の光軸に沿った突出距離h」としている。

0024

この微細柱状突起の突出距離hは、上述の式(1)として示した条件(0.55h0≦h≦1.45h0,λは使用平均波長)を満たすことが必要である。この式(1)は、レンズ面上の何れの位置に形成された微細柱状突起の突出距離h(=高さ)も、レンズ面の中心部に位置する微細柱状突起の突出距離h0の半分以上の高さを保っていることを規定する式である。これによれば、従来と比較して反射防止構造体を構成する微細柱状突起の高さのバラつき押さえ、中心部と任意の位置での反射率のバラつきを低減することができる。これにより、入射角度特性に優れる反射防止性能を備えた光学素子を実現することができる。

0025

この式(1)において、微細柱状突起の高さのバラつきを押さえ反射率のバラつきを低減する効果を得るには、式(1)の下限は0.60h0であることが好ましく、0.80h0であることがより好ましく、0.90h0であることが更に好ましい。一方、微細柱状突起の光軸方向の突出距離が高いほど反射防止構造体としての効果が高くなるため、特に上限を規定する必要はない。しかし、微細柱状突起の高さのバラつきを押さえるという観点から、式(1)の上限は、1.45h0であることが好ましく、1.36h0であることがより好ましく、1.25h0であることが更に好ましく、1.10h0であることが更に好ましい。

0026

即ち、式(1)は、レンズ面のいずれの箇所に存在する微細柱状突起の突出距離hも、レンズ中心部の光軸に沿った突出距離h0を基準として、±55%程度のばらつきの範囲に収まっていることを意味するものでもある。以上に述べた範囲を超える突出距離のばらつきが生じると、レンズ面において局所的な反射防止効果のばらつきが大きくなり、波長帯域特性及び入射角度特性が局所的にばらつくため安定した反射防止効果が得られず好ましくない。ここで、「h0」を「レンズ中心部の光軸に沿った突出距離」としている。これは、本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子において、当該光学素子と光軸との交差する付近の表面に存在する微細柱状突起の突出距離という意味であり、必ずしも光軸上に存在する必要は無い。

0027

そして、微細柱状突起の突出距離hは、次の式(2)として示した条件(λは使用平均波長,)を満たすことが好ましい。

0028

そして、微細柱状突起の突出距離hは、上述の式(2)として示した条件(0.24λ≦h,λは使用平均波長,)を満たすことが必要である。即ち、レンズ面のいずれの箇所に存在する微細柱状突起の突出距離hも、レンズ中心部の光軸に沿った突出距離h0を基準として、±55%程度のばらつきの範囲に収まっていることを意味している。以上に述べた範囲を超える突出距離のばらつきが生じると、レンズ面において局所的な反射防止効果のばらつきが大きくなり、波長帯域特性及び入射角度特性が局所的にばらつくため安定した反射防止効果が得られず好ましくない。ここで、「h0」を「レンズ中心部の光軸に沿った突出距離」としている。これは、本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子において、当該光学素子と光軸との交差する付近の表面に存在する微細柱状突起の突出距離という意味であり、必ずしも光軸上に存在する必要は無い。

0029

微細柱状突起の底面径: 本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子の備える微細柱状突起は、使用平均波長λからみて、レンズ中心部からレンズ縁端部に向かって底面径Dが、以下の式(3)に示す範囲で漸次大きくなることが好ましい。微細柱状突起の底面径Dが0.2λ未満の場合には、波長帯域特性及び入射角度特性が低下するため良好な反射防止効果を得られなくなり好ましくない。一方、微細柱状突起の底面径Dが0.6λを超えると、構造体による反射防止効果が得られず好ましくない。また、入射した光の回折が問題となる光学装置の場合には、さらに0.5λ以下にすることが望ましい。

0030

0031

この反射防止構造体を構成する微細柱状突起の底面径は、後述する金型を用いて製造することで、光学素子の中心部より外周部に行くにつれ大きくなることが好ましい。この概念を具体的に示したのが図3である。この図3において、光軸により定まる中心点4からみて、レンズ径方向Xがr1離れた位置の底面径をD(r1)、r2離れた位置の底面径をD(r2)、r3離れた位置の底面径をD(r3)としたとき、0.2λ≦D(r1)<D(r2)<D(r3)≦0.6λの関係を維持し、中心部と外周部とに存在する微細柱状突起3の突出距離が均一な反射防止構造体付き光学素子1となる。

0032

以上に述べたレンズ中心部からレンズ縁端部に向かって、細柱状突起の底面径Dが漸次大きくなる概念の中には、レンズ面の中心領域(中心点から半径R0の所定範囲)に底面径D0の微細柱状突起があり、その中心領域の外周に底面径DA(D0<DA)の微細柱状突起を備える環状反射防止領域A、さらに環状反射防止領域Aの外周に底面径DB(DA<DB)の微細柱状突起を備える環状反射防止領域B等の、底面径の異なる微細柱状突起(レンズ中心部からレンズ縁端部に向かって底面径が漸次大きくなる)を備えるn個の環状反射防止領域を設けることも好ましい。このように領域毎に、底面径の異なる微細柱状突起を備える概念を採用することで、微細柱状突起の形状制御を細かく行うことができ、波長帯域特性及び入射角度特性の要求に応じた反射防止効果を得ることが容易となるため好ましい。

0033

微細柱状突起の配置間隔: 本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子において、微細柱状突起は、使用平均波長の波長以下の周期性を備えて配列し、配列ピッチPが0.2λ〜0.6λの範囲にあることが好ましい。この配列ピッチPは、使用平均波長(λ)以下であれば一定の反射防止効果を得ル事ができるが、λ/2以下であることが好ましい。微細柱状突起3の配列ピッチPがλ/2を超えると、回折による有害光が発生しやすくなる傾向があるからである。配列ピッチPが0.2λ未満の場合には、反射防止構造体の微細柱状突起の存在密度が高くなりすぎて、反射防止構造体内で無用回折光が増加するため、波長帯域特性及び入射角度特性に優れた反射防止効果を得られなくなるため好ましくない。一方、当該形状間隔が0.6λを超える場合には、反射防止構造体の微細柱状突起の存在密度が低くなりすぎて、十分な反射防止効果が得られなくなるため好ましくない。

0034

そして、微細柱状突起の配置間隔と底面径との関係は、[底面径]/[配列ピッチP]の値が1以下であることは当然であり、0.8以上であることが望ましい。0.8以下の場合には、反射防止構造体の微細柱状突起の存在密度が低くなりすぎて、十分な反射防止効果が得られなくなるため好ましくない。

0035

なお、ここでは微細柱状突起の底面が円形(又は楕円)であってその底面径がレンズ面の中心部に比べて縁端部で大きくなることを説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る反射防止構造体の微細柱状突起は、当該微細柱状突起においてレンズ面の接平面における断面を微細柱状突起の底面としたときに、レンズ面の縁端部に位置する微細柱状突起の底面(底面積)が中心部に位置する微細柱状突起の底面(底面積)よりも大きければよいことは言うまでもない。底面の形状としては、円や楕円の他に、例えば多角形(三角形、四角形六角形など)の形状を採用することもできる。微細柱状突起の底面とは、つまり、後述する光学素子の製造用金型における微細柱状突起の転写部分であるから、微細柱状突起の底面を中心部に比べて縁端部で大きくすることでプレス成型時に凹部レプリカへ光学素子の材料の充填効率を中心部に比べて縁端部で向上させることができる。これにより、プレス時間を長時間にすることなく効率的に微細柱状突起の高さのバラつきを押さえ、入射角度特性に優れる反射防止性能を備えた光学素子を実現することができると共に、更にプレス成形法で容易に形成可能な光学素子を実現することができる。

0036

微細柱状突起の構成材: 本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子1は、後述する金型を用いたプレス成形によって製造されるため、ガラス、プラスチック等のガラス転移点を持つ素材の使用が可能である。そして、本件出願における微細柱状突起は、光学素子基材と同一の材質で構成されることが好ましい。本件出願にかかる反射防止構造体付き光学素子は、金型を用いたプレス成型法で製造することが好ましい。従って、光学素子の構成材と微細柱状突起との構成材として、同一の素材を使用することで、相互の密着性を高めることができる。

0037

B.反射防止構造体付き光学素子の製造用金型
本件出願における微細柱状突起をプレス成形法で製造する場合、微細柱状突起の径が大きい程、転写形成しやすい。また、本発明の反射防止構造体は、金型を用いたプレス時間の短い外周部でも、金型の内面形状を光学素子表面に転写しやすくなう。その結果、反射防止構造体付き光学素子の中心部と外周部とで微細柱状突起の突出距離が均一な光学素子を得ることができるようになる。

0038

反射防止構造体付き光学素子の製造に用いる金型は、上述の反射防止構造体付き光学素子の反射構造体を構成する微細柱状突起の形成が可能である限り、どのような方法で製造されたものでも構わない。しかしながら、次のような工程1及び工程2の手順を採用することが好ましい。以下に述べるように、フォトレジストのパターンをもとに、ドライエッチングで金型機材に、反射構造体を構成する微細柱状突起を形成するレプリカ形状を形成すると、微細柱状突起に対応した均一な深さの凹状レプリカ備える金型を得ることができる。

0039

工程1:フォトリソグラフィ法用いて、金型基材の光学素子形成表面に、ドライエッチングマスクとして用いる金属膜製膜し、このドライエッチングマスクの表面にフォトレジストを塗工し乾燥させ、2光束干渉露光、タルボ効果を利用した干渉露光、またはレーザー描画電子線描画を用いて露光し、現像してドライエッチングパターンを形成する。この工程1においては、従来からフォトリソグラフィ法に適用された全ての概念を適用できるため、工程上特段に限定を要する必要は無い。

0040

また、ドライエッチング時のレジスト/基材の選択比が十分に確保される場合には、金属膜の成膜をせず、基材表面にフォトレジストを塗工し乾燥させ、干渉露光、またはレーザー描画、電子線描画を用いて露光し、現像してドライエッチングパターンを形成してもよい。

0041

そして、金型基材の材質としては、光学素子に使用する材質を考慮して定めれば良いが、HRC51以上の硬さを持ち、ドライエッチング可能な材料を用いることが望ましい。例えば、炭化タングステン、SiC、グラッシーカーボン、NiPめっき層を備える部材等の使用が可能である。また、成形後の光学素子の離型性を向上させる事を目的に、金型表面に貴金属炭素膜等を設けても良い。

0042

そして、ドライエッチングマスクとして用いる金属膜は、後のドライエッチングで十分なエッチング選択比が得られる材質であれば何を用いても構わない。例えば、アルミニウム膜クロム膜チタン膜等である。このとき成膜法にも特段の限定はなく、単純蒸着、スパッタリング蒸着、CVD法等の化学気相反応法等の使用が可能である。

0043

このとき成膜法は、特に蒸着法に限るものではなく、スパッタCVDなどであっても構わない。また、製膜する金属膜は、後の金型材のドライエッチングで十分な選択比が得られる材質であれば構わない。

0044

工程2:ドライエッチングパターンを形成した後に、金型基材の表面をドライエッチングすることにより、金型基材の表面に「反射防止構造体付き光学素子の反射構造体を構成する微細柱状突起」のレプリカパターンを形成して製造用金型を得る。このときの製造用金型は、金型の中心部と外周部とで、微細柱状突起に対応した均一な深さの凹状レプリカを備えている。

0045

C.本件出願に係る光学素子の製造形態
本件出願に係る光学素子の製造方法は、上述の反射防止構造体付き光学素子の製造用金型を用いることを特徴とする。その他の製造条件等に関しては、特段の限定はない。

0046

D.本件出願に係る撮像装置
本件出願に係る撮像装置は、上述の反射防止構造体付き光学素子を用いたことを特徴とする。このときの撮像装置に関する特段の限定はなく、いかなる撮像装置も対象とできる。

0047

この実施例1においては、図1(a)に示した反射防止構造体付き光学素子1(メニスカスレンズ)であって、第1反射防止構造形態をそなえたものである。このときの光学素子材料は、硝材としてガラス転移点が180℃のカルコゲナイドガラス(新華光製 IRG206)を用い、使用平均波長が10μmで設計したものである。

0048

0049

図1に示した反射防止構造体付き光学素子1の凸面側は、有効径が13.62mmの非球面である。そして、光軸に垂直なX軸方向に距離(R)離れた位置での光軸方向の面位置をSag(R)としたとき、数2に示す関係を満足する形状である。この面の最大傾斜角は36.8°とした。

0050

[凸面側のパラメータ
r=12.1367
k=−10.0000
A4=2.5495E−3
A6=2.2378E−4
A8=6.0856E−7
A10=−9.3494E−9
A12=1.8505e−10

0051

図1に示した反射防止構造体付き光学素子1の凹面側は、有効径が8.95mmの非球面である。そして、光軸に垂直なX軸方向に距離(R)離れた位置での光軸方向の面位置をSag(R)としたとき、数2に示す関係を満足する形状である。この面の最大傾斜角は17.6°である。

0052

[凹面側のパラメータ]
r=13.2858
k=0.6453
A4=4.029E−5
A6=1.1353E−5
A8=−9.7868E−7
A10=4.7507e−8
A12=−1.0466e−9

0053

実施例1にかかる反射防止構造体付き光学素子: 実施例1の反射防止構造体付き光学素子1の凸面側にある微細柱状突起は、微細柱状突起のピッチが3〜3.4μm、光学素子中心部の微細柱状突起の底面径φ2.5μm、光学素子最外縁部の微細柱状突起の底面径φ3.0μmの、略型の微細柱状突起が細密配列されたものである。図3に示すように光学素子の中心部から外周に向かうにつれ、微細柱状突起の底面径が大きくなっている。

0054

実施例1の反射防止構造体付き光学素子1の凹面側にある微細柱状突起は、微細柱状突起のピッチが3〜3.2μm、光学素子中心部の微細柱状突起の底面径φ2.5μm、光学素子最外縁部の微細柱状突起の底面径φ2.7μmの、略鐘型の微細柱状突起が細密配列されたものである。図5に示すように光学素子の中心部から外周に向かうにつれ、微細柱状突起の底面径が大きくなっている。

0055

実施例1で用いた金型の製造: 実施例1の金型基材にはグラッシーカーボンの円筒材を用いた。最初に、研削加工機を用いて、円筒状グラッシーカーボンを光学の形状に外径加工を行った、その後、分解能1nm制御の非球面研削加工機で、反射防止構造体付き光学素子1の光学面を形成するための金型表面(以下、単に「金型側光学表面」と称する。)を加工形成した。その後、その金型側光学表面に光学研磨を施し。有機溶剤洗浄を行った。このようにして得られた金型基材の表面粗さはZygo走査型白色干渉計で測定した平均粗さRa=1.5nmであった。

0056

そして、以上のように調製した金型側光学表面に、ドライエッチングマスクとして用いる金属膜を製膜した。実施例1では、蒸着法を用いて、厚さ400nmのアルミニウム膜を形成した。

0057

次に、ドライエッチングマスクとして用いるアルミニウム膜の表面に、スピンコート法ポジ型フォトレジストを設けた。ポジ型フォトレジストを備える金型を、レーザー描画法等を用いて、光学素子中心部でのパターン径がφ2.5μm、光学素子最外縁部のパターン径がφ3.0μmであり、その間は中心から外周に向かうにつれパターン径が徐々に大きくなるような描画を行い、これを現像することでフォトレジストパターンを形成した。

0058

以上のようにして、アルミニウム膜(ドライエッチングマスク)の表面にフォトレジストパターンを備える状態でエッチング液内に所定時間浸漬し、アルミニウム膜(ドライエッチングマスク)のウエットエッチングを行い、その後に有機溶剤で洗浄し、レジスト膜を除去し、ドライエッチングパターン付き金型を作成した。

0059

そして、ドライエッチング装置を用いて、ドライエッチングパターン付き金型をドライエッチング処理した。このときのドライエッチング装置は、磁気中性線放電ドライエッチング装置であり、O2とSF6との混合ガス雰囲気で、10分間エッチングを行った。その後、不要なドライエッチングパターン(アルミニウム膜)を除去し、実施例1の反射防止構造体付き光学素子を製造するための金型を得た。

0060

金型を用いたプレス成形: 上述の金型を用いてプレス成形を行った。プレス成形装置は、筒状の胴型と胴型に摺動自在に取り付けた上金型下金型とを備え、胴型全体を加熱できる加熱機構と、胴型全体を真空にするための機構を備えている。このプレス成形を行うにあたり、下金型と上金型とを離間した状態で、φ=12mmの球形状のガラス転移点が180℃のカルコゲナイドガラスを下金型の中心部に載置した。

0061

続いて、プレス空間内を真空排気し、上金型と下金型とを加熱し、温度が225℃に達した後、被成形物を軟化させるため400秒間保持した後、上金型を下げプレス成形を開始した。成形荷重は0.5kNであり、550秒間保持した後に成形圧力解除し、その後室温まで冷却して反射防止構造体付き光学素子を取り出した。

0062

得られた反射防止構造体付き光学素子: このようにして得られた反射防止構造体付き光学素子1の反射防止構造体を構成する微細柱状突起の突出距離は、光学素子凸面の中心部で3.7μm、最外縁部付近で3.6μmであり、凹部の中心部で3.7μm、最外縁部付近で3.4μmであり、当該微細柱状突起の突出距離のばらつきは、光学素子の光学面全体で小さい。当該光学素子の中心部と最外縁部付近で反射率を、ThermoFisher社のFT−IR装置で測定した結果、それぞれ波長8〜12μm帯の平均反射率は、凸面中心部が0.33%、最外縁部付近が0.34%となり、凹面側中心部が0.33%、最外縁部付近が0.54%となり、光学素子の光学面全体で場所的な反射率のばらつきが少ないという結果が得られている。

0063

実施例2は、実施例1と同じ硝材を用い、上述の式2で表される光学面形状を備え、凸面、凹面の各パラメータも実施例1と同じである。以下、重複した説明を避けるため、実施例1と異なる部分に関してのみ詳細に説明する。

0064

実施例2で用いた金型の製造: 実施例1で示したと同様の加工及び成膜方法を採用している。但し、ポジ型フォトレジストを備える金型を、タルボ効果を利用した干渉露光にて露光し、これを現像することでフォトレジストパターンを形成している。このようにして得られた反射防止構造体を構成する微細柱状突起の底面径は、光学素子の中心部より外周部に行くにつれ大きくなる。

0065

このようにして得られたフォトレジストパターンは凸面側の光学素子中心部でのパターン径がφ2.5μm、光学素子最外縁部のパターン径がφ3.0μmであり、凹面側の光学素子中心部でのパターン径がφ2.5μm、光学素子最外縁部のパターン径がφ2.7μmであり、その間は中心から外周に向かうにつれパターン径が徐々に大きくなるようなパターンだった。そして、以下のドライエッチング工程及び成型工程は、実施例1と同様である。

0066

得られた反射防止構造体付き光学素子: このようにして得られた反射防止構造体付き光学素子1の反射防止構造体を構成する微細柱状突起の突出距離は、光学素子凸面の中心部で3.7μm、最外縁部付近で3.6μmであり、凹部の中心部で3.7μm、最外縁部付近で3.4μmであり、当該微細柱状突起の突出距離のばらつきは、光学素子の光学面全体で小さい。当該光学素子の中心部と最外縁部付近で反射率を、ThermoFisher社のFT−IR装置で測定した結果、それぞれ波長8〜12μm帯の平均反射率は、凸面中心部が0.33%、最外縁部付近が0.34%となり、凹面側中心部が0.33%、最外縁部付近が0.54%となり、光学素子の光学面全体で場所的な反射率のばらつきが少ないという結果が得られている。

0067

この実施例3においては、図1(a)に示した反射防止構造体付き光学素子1(メニスカスレンズ)であって、第1反射防止構造形態をそなえたものである。このときの光学素子材料は、硝材としてガラス転移点が180℃のカルコゲナイドガラスを用い、使用平均波長が10μmで設計したものである。

0068

実施例3は、実施例1と同じ硝材を用い、上述の式2で表される光学面形状を備え、凸面、凹面の各パラメータも実施例1と同じである。以下、重複した説明を避けるため、実施例1と異なる部分に関してのみ詳細に説明する。

0069

実施例3で用いた金型の製造: 実施例1で示したと同様の加工及び成膜方法を採用している。但し、ポジ型フォトレジストを備える金型を、レーザー描画法等を用いて、凸面の光学素子中心部でのパターン径がφ2.5μm、光学素子最外縁部のパターン径がφ3.0μmであり、凹面の光学素子中心部でのパターン径がφ2.5μm、光学素子最外縁部のパターン径がφ2.7μmであり、その間は中心から外周に向かうにつれパターン径が段階的に大きくなるような描画を行い、これを現像することでフォトレジストパターンを形成した。 そして、以下のドライエッチング工程及び成型工程は、実施例1と同様である。

0070

得られた反射防止構造体付き光学素子: このようにして得られた反射防止構造体付き光学素子1の反射防止構造体を構成する微細柱状突起の突出距離は、光学素子凸面の中心部で3.7μm、最外縁部付近で3.6μmであり、凹部の中心部で3.7μm、最外縁部付近で3.4μmであり、当該微細柱状突起の突出距離のばらつきは、光学素子の光学面全体で小さい。当該光学素子の中心部と最外縁部付近で反射率を、ThermoFisher社のFT−IR装置で測定した結果、それぞれ波長8〜12μm帯の平均反射率は、凸面中心部が0.33%、最外縁部付近が0.34%となり、凹面側中心部が0.33%、最外縁部付近が0.54%となり、光学素子の光学面全体で場所的な反射率のばらつきが少ないという結果が得られている。

0071

この実施例4においては、図1(a)に示した反射防止構造体付き光学素子1(メニスカスレンズ)であって、第1反射防止構造形態をそなえたものである。このときの光学素子材料は、硝材としてガラス転移点が180℃のカルコゲナイドガラスを用い、使用平均波長が10μmで設計したものである。

0072

実施例4は、実施例1と同じ硝材を用い、上述の式2で表される光学面形状を備え、凸面、凹面の各パラメータも実施例1と同じである。以下、重複した説明を避けるため、実施例1と異なる部分に関してのみ詳細に説明する。

0073

実施例4で用いた金型の製造: 実施例1で示したと同様の加工及び成膜方法を採用している。但し、ポジ型フォトレジストを備える金型を、レーザー描画法等を用いて、凸面の光学素子中心部でのパターン径がφ2.5μm、光学素子最外縁部のパターン径がφ3.0μmであり、凹面の光学素子中心部でのパターン径がφ2.5μm、光学素子最外縁部のパターン径がφ2.7μmであり、その間は中心から外周に向かうにつれパターン径が段階的に大きくなるような描画を行い、これを現像することでフォトレジストパターンを形成した。 そして、以下のドライエッチング工程、実施例1と同様である。

0074

続いて、成形工程における、成形装置プレス前ガラス形状は実施例1と同様である。プレス空間内を真空排気し、上金型と下金型とを加熱し、温度が225℃に達した後、被成形物を軟化させるため400秒間保持した後、上金型を下げプレス成形を開始した。成形荷重は0.5kNであり、300秒間保持した後に成形圧力を解除し、その後室温まで冷却して反射防止構造体付き光学素子を取り出した。

0075

得られた反射防止構造体付き光学素子: このようにして得られた反射防止構造体付き光学素子1の反射防止構造体を構成する微細柱状突起の突出距離は、光学素子の凸面側中心部で3.7μm、最外縁部付近で2.2μmであり、光学素子の凹面側中心部で3.7μm、最外縁部付近で2.3μmであり、当該微細柱状突起の突出距離のばらつきは、実施例1には及ばないものの、光学素子の光学面全体で小さい。当該光学素子の中心部と最外縁部付近で反射率を、ThermoFisher社のFT−IR装置で測定した結果、それぞれ波長8〜12μm帯の平均反射率は、凸面中心部が0.33%、最外縁部付近が5.3%、凹面側中心部が0.33%、最外縁部付近が3.5%となり、実施例1には及ばないものの、光学素子の光学面全体で場所的な反射率のばらつきが少ないという結果が得られている。

0076

この実施例5においては、図1(a)に示した反射防止構造体付き光学素子1(メニスカスレンズ)であって、第1反射防止構造形態をそなえたものである。このときの光学素子材料は、硝材としてガラス転移点が180℃のカルコゲナイドガラスを用い、使用平均波長が10μmで設計したものである。

0077

実施例5は、実施例1と同じ硝材を用い、上述の式2で表される光学面形状を備え、凸面、凹面の各パラメータも実施例1と同じである。以下、重複した説明を避けるため、実施例1と異なる部分に関してのみ詳細に説明する。

0078

実施例5で用いた金型の製造: 実施例1で示したと同様の加工及び成膜方法を採用している。但し、ポジ型フォトレジストを備える金型を、レーザー描画法等を用いて、凸面の光学素子中心部でのパターン径がφ2.5μm、光学素子最外縁部のパターン径がφ3.0μmであり、凹面の光学素子中心部でのパターン径がφ2.5μm、光学素子最外縁部のパターン径がφ2.7μmであり、その間は中心から外周に向かうにつれパターン径が段階的に大きくなるような描画を行い、これを現像することでフォトレジストパターンを形成した。 そして、以下のドライエッチング工程、実施例1と同様である。

0079

続いて、成形工程における、成形装置とプレス前のガラス形状は実施例1と同様である。プレス空間内を真空排気し、上金型と下金型とを加熱し、温度が225℃に達した後、被成形物を軟化させるため400秒間保持した後、上金型を下げプレス成形を開始した。成形荷重は0.5kNであり、165秒間保持した後に成形圧力を解除し、その後室温まで冷却して反射防止構造体付き光学素子を取り出した。

0080

得られた反射防止構造体付き光学素子: このようにして得られた反射防止構造体付き光学素子1の反射防止構造体を構成する微細柱状突起の突出距離は、光学素子の凸面側中心部で3.7μm、最外縁部付近で2.1μmであり、光学素子の凹面側中心部で3.7μm、最外縁部付近で2.2μmであり、当該微細柱状突起の突出距離のばらつきは、実施例4には及ばないものの、光学素子の光学面全体で小さい。当該光学素子の中心部と最外縁部付近で反射率を、ThermoFisher社のFT−IR装置で測定した結果、それぞれ波長8〜12μm帯の平均反射率は、凸面中心部が0.33%、最外縁部付近が5.8%、凹面側中心部が0.33%、最外縁部付近が5.9%となり、実施例4には及ばないものの、光学素子の光学面全体で場所的な反射率のばらつきが少ないという結果が得られている。

0081

この実施例6においては、図1(b)に示した反射防止構造体付き光学素子1(両凹レンズ)であって、第1反射防止構造形態をそなえたものである。このときの光学素子は、硝材としてガラス転移点が145℃のポリカーボネート(三菱化学株式会社製 EP6000)を用い、これをプレス成形したものであり、使用平均波長が905nmで設計したものである。図1(b)に示した反射防止構造体付き光学素子1の有効径が25.0mm、曲率が61mmの球面である。この面の最大傾斜角は10.1°とした。

0082

実施例6にかかる反射防止構造体付き光学素子: 実施例1の反射防止構造体付き光学素子1の光学面にある微細柱状突起は、微細柱状突起のピッチが450nm、光学素子中心部の微細柱状突起の底面径がφ410nm、光学素子最外縁部の微細柱状突起の底面径がφ440nmの、略鐘型の微細柱状突起が細密配列されたものである。図3に示すように光学素子の中心部から外周に向かうにつれ、微細柱状突起の底面径が大きくなっている。

0083

実施例6で用いた金型の製造: 実施例6の金型基材には、円筒状SUS焼き入れ鋼材を用いた。最初に、研削加工機を用いて、円筒状SUS焼き入れ鋼材を光学駒の形状に外径加工を行い、反射防止構造体付き光学素子1の光学面を形成するための金型表面に、厚さ200μmの無電解NI−P合金めっきを施した。その後、分解能1nm制御の非球面研削加工機でダイヤモンド旋削し、反射防止構造体付き光学素子1の光学面を形成するための金型表面(以下、単に「金型側光学表面」と称する。)を加工形成した。その後、その金型側光学表面に光学研磨を施し。有機溶剤で洗浄を行った。このようにして得られた金型基材の表面粗さはZygo走査型白色干渉計で測定した平均粗さRa=1.2nmであった。

0084

そして、以上のように調製した金型側光学表面に、実施例6では、スパッタリング蒸着法を用いて、密着層として厚さ50nmのクロム膜を形成し、更にプラズマCVD法により厚さ2000nmのSi−N合金膜を製膜した。

0085

次に、製膜したSiN層の上にスピンコート法でポジ型フォトレジストを設けた。ポジ型フォトレジストを備える金型を、電子線描画を用いて、光学素子中心部でのパターン径が410nm、光学素子最外縁部のパターン径がφ440nmであり、その間は中心から外周に向かうにつれパターン径が大きくなるような描画を行い、これを現像することでフォトレジストパターンを形成した。

0086

そして、ドライエッチング装置を用いて、フォトレジストパターン付き金型のSiN層をドライエッチング処理した。このときのドライエッチング装置は、プラズマドライエッチング装置であり、CHF3ガス雰囲気で、8分間エッチングを行った。その後、不要なフォトレジストパターンを除去した。実施例4の場合、パターニングされたSiN面に離形膜層として、厚さ20nmのクロム密着層と、厚さ30nmの白金膜を、スパッタリング蒸着法で製膜し、反射防止構造体付き光学素子を製造するための金型とした。

0087

金型を用いたプレス成形: 上述の金型を用いてプレス成形を行った。プレス成形に関しては、実施例1と同様に下金型と上金型とを離間した状態で、φ=12mm、厚さ6mmの円筒形状で、ガラス転移点が145℃のポリカーボネートを、下金型の中心部に載置した。そして、プレス内を真空廃棄したのち、上金型と下金型とを加熱し、上金型と下金型が120℃に達した後、ポリカーボネートを軟化させるため100秒間保持した後、上金型を下げプレス成形を開始した。成形荷重は0.5kNであり、360秒間保持した後に成形圧力を解除し、その後室温まで冷却して反射防止構造体付き光学素子を取り出した。

0088

得られた反射防止構造体付き光学素子: このようにして得られた反射防止構造体付き光学素子1の反射防止構造体を構成する微細柱状突起の突出距離は、光学素子の中心部で350nm、最外縁部付近で340nmであり、当該微細柱状突起の突出距離のばらつきは、光学素子の光学面全体で小さい。当該光学素子の中心部と最外縁部付近とで反射率を、反射分光膜厚計(大塚電子株式会社製 FE−3000)で測定した結果、それぞれ波長905nmの反射率は、中心部が0.42%、最外縁部付近が0.69%となり、光学素子の光学面全体で場所的な反射率のばらつきが少ないという結果が得られている。

0089

この実施例7においては、実施例6の硝材を、精密モールドレンズガラス材料(株式会社住田光学ガラス製 K−PG325)に変更した点が異なるのみであり、その他は実施例6と同様にして、図1(b)に示した反射防止構造体付き光学素子1(両凹レンズ)を製造した。以下、重複した説明を避けるため、実施例6と異なる部分に関してのみ詳細に説明する。

0090

実施例7にかかる反射防止構造体付き光学素子: 実施例6と同様の、微細柱状突起のピッチが450nm、光学素子中心部の微細柱状突起の底面径がφ410nm、光学素子最外縁部の微細柱状突起の底面径がφ440nmの、略鐘型の微細柱状突起が細密配列されたものであり、光学素子の中心部から外周に向かうにつれ、微細柱状突起の底面径が大きくなっている。

0091

実施例7で用いた金型の製造: 実施例7の金型基材には、円筒状超硬材を用いた。最初に、研削加工機を用いて、円筒状超硬材を光学駒の形状に外径加工を行い、その後、分解能1nm制御の非球面研削加工機で研削加工し、反射防止構造体付き光学素子1の光学面を形成するための金型表面(以下、単に「金型側光学表面」と称する。)を加工形成した。その後、その金型側光学表面に光学研磨を施し。有機溶剤で洗浄を行った。このようにして得られた金型基材の表面粗さはZygo走査型白色干渉計で測定した平均粗さRa=1.4nmであった。そして、以下のパターニング、ドライエッチング工程、実施例6と同様である。

0092

金型を用いたプレス成形: 上述の金型を用いてプレス成形を行った。プレス成形に関しては、実施例1と同様に下金型と上金型とを離間した状態で、φ=12mm、厚さ6mmの円筒形状で、ガラス転移点が288℃のK−PG325を、下金型の中心部に載置した。そして、プレス内を真空廃棄したのち、上金型と下金型とを加熱し、上金型と下金型が320℃に達した後、K−PG325を軟化させるため180秒間保持した後、上金型を下げプレス成形を開始した。成形荷重は0.5kNであり、300秒間保持した後に成形圧力を解除し、その後室温まで冷却して反射防止構造体付き光学素子を取り出した。

実施例

0093

得られた反射防止構造体付き光学素子: このようにして得られた反射防止構造体付き光学素子1の反射防止構造体を構成する微細柱状突起の突出距離は、光学素子の中心部で350nm、最外縁部付近で335nmであり、当該微細柱状突起の突出距離のばらつきは、光学素子の光学面全体で小さい。当該光学素子の中心部と最外縁部付近とで反射率を、実施例2と同様に測定した結果、それぞれ波長905nmの反射率は、中心部が1.1%、最外縁部付近が1.3%となり、光学素子の光学面全体で場所的な反射率のばらつきが少ないという結果が得られている。

0094

[比較例1]
この比較例1は実施例1〜5との対比を行うためのものである。従って、比較例1に係る反射防止構造体付き光学素子(メニスカスレンズ)は、実施例1と同じ硝材を用い、上述の式2で表される光学面形状を備え、凸面、凹面の各パラメータも実施例1と同じである。以下、重複した説明を避けるため、実施例1と異なる部分に関してのみ詳細に説明する。

0095

比較例1にかかる反射防止構造体付き光学素子: 反射防止構造体付き光学素子の凸面側にある微細柱状突起は、微細柱状突起のピッチが3μm、光学素子の微細柱状突起の底面径がφ2.5μm、略鐘型の微細柱状突起が細密配列されたもので、底面の径は面内のどの位置でも等しいものとした。

0096

比較例1で用いた金型の製造: 実施例1で示したと同様の加工及び成膜方法を採用している。但し、ポジ型フォトレジストを備える金型を、レーザー描画法等を用いて、パターン径φが全域で2.5μmになるように描画を行い、これを現像することでフォトレジストパターンを形成している。そして、以下のドライエッチング工程及び成型工程は、実施例1と同様である。

0097

得られた反射防止構造体付き光学素子: このようにして得られた比較例1の反射防止構造体付き光学素子の反射防止構造体を構成する微細柱状突起の突出距離は、光学素子凸面の中心部で3.7μm、最外縁部付近で1.8μmであり、当該微細柱状突起の突出距離は、光学素子の光学面最外縁部付近で小さく成っている。当該光学素子の中心部と最外縁部付近で反射率を、実施例1と同様に測定した結果、それぞれ波長8〜12μm帯の平均反射率は、中心部が0.33%、最外縁部付近が8.5%となり、光学素子の光学面全体で場所的な反射率のばらつきが大きいという結果が得られた。

0098

[比較例2]
この比較例2は、実施例6との対比を行うためのものである。従って、比較例2に係る反射防止構造体付き光学素子(両凹レンズ)と同じ硝材を用い、使用平均波長、有効径、曲率、最大傾斜角も同様である。以下、重複した説明を避けるため、実施例2と異なる部分に関してのみ詳細に説明する。

0099

比較例2にかかる反射防止構造体付き光学素子: 反射防止構造体付き光学素子の両凹面にある微細柱状突起は、微細柱状突起のピッチが450nm、光学素子の微細柱状突起の底面径がφ410nm、略鐘型の微細柱状突起が細密配列されたもので、底面の径は面内のどの位置でも等しいものとした。

0100

比較例2で用いた金型の製造: 実施例6で示したと同様の加工及び成膜方法を採用している。但し、ポジ型フォトレジストを備える金型を、電子線描画法等を用いて、パターン径φが全域で410nmになるような描画を行い、これを現像することでフォトレジストパターンを形成している。そして、以下のドライエッチング工程及び成型工程は、実施例2と同様である。

0101

得られた反射防止構造体付き光学素子: このようにして得られた比較例2の反射防止構造体付き光学素子の反射防止構造体を構成する微細柱状突起の突出距離は、光学素子の中心部で350nm、最外縁部付近で185nmであり、当該微細柱状突起の突出距離は、光学素子の光学面最外縁部付近で小さくなっている。当該光学素子の中心部と最外縁部付近で反射率を、実施例2と同様に測定した結果、それぞれ波長905nmの反射率は、中心部が0.42%、最外縁部付近が4.5%となり、光学素子の光学面全体で場所的な反射率のばらつきが大きいという結果が得られている。

0102

[比較例3]
この比較例7は、実施例5との対比を行うためのものである。従って、比較例7に係る反射防止構造体付き光学素子(両凹レンズ)と同じ硝材を用い、使用平均波長、有効径、曲率、最大傾斜角も同様である。以下、重複した説明を避けるため、実施例7と異なる部分に関してのみ詳細に説明する。

0103

比較例3にかかる反射防止構造体付き光学素子: 反射防止構造体付き光学素子の両凹面にある微細柱状突起は、微細柱状突起のピッチが450nm、光学素子の微細柱状突起の底面径がφ410nm、略鐘型の微細柱状突起が細密配列されたもので、底面の径は面内のどの位置でも等しいものとした。

0104

比較例3で用いた金型の製造: 実施例2で示したと同様の加工及び成膜方法を採用している。但し、ポジ型フォトレジストを備える金型を、電子線描画法等を用いて、パターン径φが410nmの描画を行い、これを現像することでフォトレジストパターンを形成している。そして、以下のドライエッチング工程及び成型工程は、実施例3と同様である。

0105

得られた反射防止構造体付き光学素子: このようにして得られた比較例3の反射防止構造体付き光学素子の反射防止構造体を構成する微細柱状突起の突出距離は、光学素子の中心部で350nm、最外縁部付近で170nmであり、当該微細柱状突起の突出距離は、光学素子の光学面最外縁部付近で小さくなっている。当該光学素子の中心部と最外縁部付近で反射率を、実施例2と同様に測定した結果、それぞれ波長905nmの反射率は、中心部が0.93%、最外縁部付近が4.0%となり、光学素子の光学面全体で場所的な反射率のばらつきが大きいという結果が得られている。

0106

[実施例と比較例との対比]
実施例1〜5と比較例1との対比: 実施例1と比較例1との対比結果を、以下の表1にまとめて掲載している。実施例1〜5と比較例1とは、メニスカスレンズを製造しているため、凸面側と凹面側とに分けて掲載している。この表1からから理解できるように、微細柱状突起の配列ピッチは、本件出願に定める条件を満足するものとしている。

0107

0108

表1において、微細柱状突起の底面径(D)をみると、金型側測定値として記載した微細柱状突起の底面径(D)は、実施例1の凸面側は「中心部2.0μmから外縁部2.5μm」と変化し、式(3)の条件を満たしている。これに対し、比較例1の凸面側は「中心部2.0μmから外縁部2.0μm」と変化していないため、式(3)の条件を満たしていない。一方、実施例1の凹面側は「中心部2.0μmから外縁部2.2μm」と変化し、式(3)の条件を満たしている。これに対し、比較例1の凹面側は「中心部2.0μmから外縁部2.0μm」と変化していないため、式(3)の条件を満たしていない。

0109

このような微細柱状突起の底面径(D)に対応する転写形状を備える金型を用いることにより、微細柱状突起の突出距離hが、次のようになっている。まず、式(1)の条件を満たしているか否かという観点で見ると、実施例1及び比較例1の凸面側に関してみると、比較例1の凸面側外縁部の突出距離hが条件を満たしていない。更に、式(2)の条件を満たしているか否かという観点で見ると、実施例1の凸面側及び凸面側共に条件を満たしているが、比較例1の凸面側及び凸面側共に条件を満たしていない。

0110

そこで、実施例1及び比較例1の凸面側と凹面側との反射率を測定してみた、その結果表1に示すように、実施例1の反射率の中心部と外縁部とのばらつきが、比較例1に比べて小さくなっていることが理解できる。即ち、比較例1の反射防止構造体付き光学素子に比べ、実施例1の反射防止構造体付き光学素子はレンズ面の全体で、ばらつきの無い低い反射防止効果が安定して得られることが理解できる。

0111

実施例6と比較例2との対比: 実施例6と比較例2との対比結果を、以下の表2にまとめて掲載している。実施例6と比較例2とは、同一表面を備える両凹レンズを製造しているため、表2には一面側の情報のみ掲載している。この表2から理解できるように、微細柱状突起の配列ピッチは、本件出願に定める条件を満足するものとしている。

0112

0113

表2において、微細柱状突起の底面径(D)をみると、金型側測定値として記載した微細柱状突起の底面径(D)は、実施例6の一面側は「中心部410nmから外縁部430nm」と変化し、式(3)の条件を満たしている。これに対し、比較例2の一面側は「中心部410nmから外縁部410nm」と変化していないため、式(3)の条件を満たしていない。

0114

このような微細柱状突起の底面径(D)に対応する転写形状を備える金型を用いることにより、微細柱状突起の突出距離hが、次のようになっている。まず、式(1)の条件を満たしているか否かという観点で見ると、実施例6及び比較例2に関してみると、比較例2の一面側外縁部の突出距離hが条件を満たしていない。更に、式(2)の条件を満たしているか否かという観点で見ると、実施例6の一面側は条件を満たしているが、比較例2の一面側外縁部の突出距離hが条件を満たしていない。

0115

そこで、実施例6及び比較例2の一面側の反射率を測定してみた、その結果、表2に示すように、実施例6の反射率の中心部と外縁部とのばらつきが、比較例2に比べて小さくなっていることが理解できる。即ち、比較例2の反射防止構造体付き光学素子に比べ、実施例6の反射防止構造体付き光学素子は、レンズ面の全体で、ばらつきの無い低い反射防止効果が安定して得られることが理解できる。

0116

実施例7と比較例3との対比: 実施例7と比較例3との対比結果を、以下の表2にまとめて掲載している。実施例7と比較例3とは、同一表面を備える両凹レンズを製造しているため、表3には一面側の情報のみ掲載している。この表2から理解できるように、微細柱状突起の配列ピッチは、本件出願に定める条件を満足するものとしている。

0117

0118

表3において、微細柱状突起の底面径(D)をみると、金型側測定値として記載した微細柱状突起の底面径(D)は、実施例7の一面側は「中心部410nmから外縁部430nm」と変化し、式(3)の条件を満たしている。これに対し、比較例3の一面側は「中心部410nmから外縁部410nm」と変化していないため、式(3)の条件を満たしていない。

0119

このような微細柱状突起の底面径(D)に対応する転写形状を備える金型を用いることにより、微細柱状突起の突出距離hが、次のようになっている。まず、式(1)の条件を満たしているか否かという観点で見ると、実施例7及び比較例3に関してみると、比較例3の一面側外縁部の突出距離hが条件を満たしていない。更に、式(2)の条件を満たしているか否かという観点で見ると、実施例7の一面側は条件を満たしているが、比較例2の一面側外縁部の突出距離hが条件を満たしていない。

0120

そこで、実施例7及び比較例3の一面側の反射率を測定してみた、その結果、表3に示すように、実施例7の反射率の中心部と外縁部とのばらつきが、比較例3に比べて小さくなっていることが理解できる。即ち、比較例3の反射防止構造体付き光学素子に比べ、実施例7の反射防止構造体付き光学素子は、レンズ面の全体で、ばらつきの無い低い反射防止効果が安定して得られることが理解できる。

0121

本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子は、その光学面に均一な突出距離の微細柱状突起で構成した反射防止構造体を備えるため、入射光に対し、レンズ面の全体においてて、ばらつきの無い波長帯域特性及び入射角度特性を発揮し、良好な反射防止性能を発揮する。従って、本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子を用いた撮像装置は、十分な反射防止効果が得られた状態での画像の撮影が可能となり、画像品質飛躍的に向上する。
また、本件出願に係る反射防止構造体付き光学素子の製造方法として、金型に工夫を施すのみで、従来の製造装置の概念を適用できるため、新たな製造装置の導入が不要であるため従来の製造装置の有効活用が可能である。

0122

1反射防止構造体付き光学素子
2 光学素子
3微細柱状突起
4中心点
h 微細柱状突起の突出距離
OP光軸平行線

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